JP2017082261A - 偏析が定量評価された合金板 - Google Patents

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【課題】偏析程度が定量評価された合金板を提供する。【解決手段】熱間または冷間圧延後の合金板を切断した断面について、板厚方向に評価元素iの線分析で得られた特性X線信号カウント数の1次元プロファイルに対して3次の多項式適合法を適用して平滑化処理を施し、平滑化処理を施した後の線分析プロファイル全体の平均信号カウント数yiaveを用いて、下記(1)式で表される各分析点での規格化濃度Cinormのプロファイルに変換し、規格化濃度Cinormの最大値と最小値の差を偏析度として元素iの偏析度を1以下とする。Cinorm=(yi−yiave)/yiave・・・(1)ここで、Cinorm:各分析点での規格化濃度、yi:各分析点での信号カウント数、yiave:合金板断面の1次元プロファイル全体の平均信号カウント数、i:元素【選択図】図4

Description

本発明は、合金板の内部品質低下をもたらす偏析の程度を定量評価する方法、並びにこのような方法によって偏析の程度が定量評価された合金板に係り、特にFe−Cr−Ni合金板に関する。
近年、主に高耐食合金として使用されるFe−Cr−Ni合金板の内部品質要求が厳しくなる中で、偏析の定量評価方法をより確実に行い、品質の特定ができるようにすることが重要である。連続鋳造にて製造されるスラブを素材として圧延された合金板の板厚中央には、原理的に完全な回避が困難である鋳造末期の濃化溶鋼の生成により生じるマクロ偏析の痕跡として偏析帯が形成する。この偏析帯は、全体の平均合金組成より、成分が正側もしくは負側に偏析しているため、狙っている合金組成とは異なった内部品質になってしまい、特に合金板の切断面の耐食性低下をもたらす。しかしながら、これまでFe−Cr−Ni合金板の偏析の定量評価方法が確立されていなかったことがあり、偏析による製品不良発生を特定できない問題があった。
これまで連続鋳造技術により製造された鋳片または鋼板に対する偏析の評価方法がいくつか提案されている。例えば、鋳片の偏析定量評価方法に関しては、板厚中央部をレーザーICP分析法で迅速測定する方法(例えば、特許文献1参照)、鋳片軸心部の硬度を測定し、その平均値、最大値、最大値と最小値との差の中の1種以上から特定する方法(例えば、特許文献2参照)、連続鋳造機出側で溶断された鋳片を表面研磨することなく、同一箇所にレーザー光を複数回繰り返し照射して表面スケールを溶融しながらレーザー発光分光分析を行う方法(例えば、特許文献3参照)、鋳片断面をエッチングし、透明接着テープおよび紙を用いて偏析をイメージング評価する方法(例えば、特許文献4参照)、などが提案されている。
しかしながら、これらは鋳片の偏析評価を狙った分析方法であるため、鋳片そのものを試料とするために、試料の取り扱いの作業性や成分偏析の分析精度に難がある。また、その鋳片を素材として、種々の圧延工程を通過した後の合金板の内部品質予測への適用も難しい。
また、鋼板の偏析定量評価方法に関しては、例えばEPMA等を用いて指標元素の濃度マッピング分析から、ある設定閾値以上の面積を求めて評価する方法(例えば、特許文献5参照)、また同じくEPMAを用いて偏析部の分析を行い、評価元素の線分析値の標準偏差を偏析度として評価する方法(例えば、特許文献6および7参照)が提案されている。
しかしながら、これら手法では鋳片凝固組織のデンドライト樹枝間に現れるミクロ偏析に由来する分析値のノイズ、また非金属介在物や析出物に由来する局所的なノイズまで含めて評価されてしまうため、正確に偏析度を把握できているとは言い難い。
特開平9−68500号公報 特開平9−178733号公報 特開2010−71872号公報 特表2012−529043号公報 特開2009−236842号公報 特開2001−98346号公報 特開2011−68998号公報
本発明は、上記状況に鑑みてなされたものであり、合金板の内部品質に影響する偏析の程度が定量評価された合金板を提供することを目的としている。特に、Fe−Cr−Ni合金板において、内部品質に影響する偏析の程度が定量評価された合金板を提供することを目的としている。
合金板の偏析を制御するにあたり、まずは、その程度を精度良く定量評価する必要があった。そこで、その定量評価方法を鋭意研究した結果、発明者らは、従来の技術では精度の良い評価が困難であるという結果を得た。そこで、Fe−Cr−Ni合金スラブを供試材として実験を重ねた。そして、熱間または冷間圧延した後に、合金板を採取して、その合金板について偏析を定量評価する方法を開発するに至った。
すなわち、合金板を切断した断面について、板厚方向に評価元素の線分析で得られた特性X線信号カウント数の1次元プロファイルに対して3次の多項式適合法を適用して平滑化処理を施すことを特徴とする偏析の定量評価方法を開発した。
その最大の特徴は、上記平滑化処理を施した後の線分析プロファイル全体の平均信号カウント数を用いて、下記(1)式で表される規格化濃度プロファイルに変換した後、規格化濃度プロファイルにおいて、正偏析側および負偏析側ピークの最大振れ幅を偏析度として、偏析を定量評価することである。
Ci norm=(yi−yi ave)/ yi ave ・・・(1)
ここで、
Ci norm:各分析点での規格化濃度
yi:各分析点での信号カウント数
yi ave:合金板断面の1次元プロファイル全体の平均信号カウント数
i:元素
すなわち本発明は、少なくとも2種以上の金属元素から構成される偏析が定量評価された合金板であって、熱間または冷間圧延後の合金板を切断した断面について、板厚方向に評価元素iの線分析で得られた特性X線信号カウント数の1次元プロファイルに対して3次の多項式適合法を適用して平滑化処理を施し、その平滑化処理を施した後の線分析プロファイル全体の平均信号カウント数yi aveを用いて、下記(1)式で表される各分析点での規格化濃度Ci normのプロファイルに変換し、前記規格化濃度Ci normの最大値と最小値の差を偏析度として前記元素iの偏析度が1以下であることを特徴としている。
Ci norm=(yi−yi ave)/ yi ave ・・・(1)
ここで、
Ci norm:各分析点での規格化濃度
yi:各分析点での信号カウント数
yi ave:合金板断面の1次元プロファイル全体の平均信号カウント数
i:元素
基準としては、規格化濃度Ci normの最大値と最小値の差を偏析度として定量評価することが良い。そして、取り扱う合金はFe−Cr−Ni合金であると効果が大きい。また、元素iとしてMoを含有しても構わない。偏析の評価元素iはCr、NiあるいはMoとすると評価が明確である。
上記に記載の偏析の定量評価方法によって定量評価された合金板においては、元素iの偏析度が1以下であると特性に優れた合金板が得られる。
本発明の合金板は、Cr:10〜30wt%、Ni:3〜65wt%、Mo:20wt%以下、Si:5wt%以下、Mn:5wt%以下、Al:5wt%以下、Cu:5wt%以下、N:0.5wt%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなる成分組成を持つ場合に効果が大きい。
線分析により得られた、板厚方向のMo濃度の強度を示すカウント数を示すグラフである。 線分析により得られた、板厚方向のMo濃度の強度を示すカウント数の平滑化処理例である。 線分析により得られた、板厚方向のMo濃度の強度を示すカウント数(図1)を平滑化処理したプロファイルである。 線分析により得られた、板厚方向のMo濃度の強度を示すカウント数を平滑化処理したプロファイル(図3)から規格化濃度に変換したプロファイルである。
以下に、本発明における偏析が評価された合金板、およびその偏析の定量評価方法について、原理および限定理由を説明する。
まず、鋳造、あるいは熱間加工によって得られるスラブを、冷間加工することで合金板を得る。そして、この合金板を切断して試料片とする。ここで、特に限定はしないが、鋳造は普通造塊、連続鋳造法によることが良い。熱間加工については、熱間鍛造、熱間圧延によることが良い。
続いて、鏡面研磨を施した後、電子線ビーム照射を用いる分析機器を用いて、板厚方向に評価元素の特性X線信号カウント数(以下、信号値)の1次元プロファイルを得る。限定はしないが、電子線ビーム照射を用いる分析機器としては、EPMA(Electron Probe Micro Analyzer)が好ましい。
測定した合金板断面の信号値のプロファイルには、検出機器固有の規則的ノイズの他に、スラブの凝固組織でのデンドライトの1次、2次アーム間の微細なミクロ偏析に起因する短距離信号、また介在物や析出物に起因する非偏析信号が含まれている。例えば、図1に例示したグラフにおける「析出物」「介在物」と表示した幅の細いピークが該当する。そのため、より正確な偏析帯のマクロ偏析の長距離信号を抽出するには、これらノイズおよび短距離/非偏析信号を除去する必要がある。
しかしながら、一般的な単純移動平均法では、平滑区間のデータ点の重みを全て1とした単純平均値で平滑化してしまうために、ノイズが除去されると共に必要なプロファイルまでも平坦化してしまい、マクロ偏析の凹凸情報が失われてしまう。そこで、目的とする短距離ノイズだけを除去することができ、プロファイルの凹凸情報が失われ難い3次の多項式適合法による平滑化処理を施し、ノイズ除去を行う。
以下に、図2を参照しながら3次の多項式適合法の原理を示す。まず、除去したいノイズの距離を考慮して、平滑化区間点数を定める。この際、平滑化区間を対称とするのが、処理法として簡便であるので、点数は奇数とするのが望ましい。図2では、点数を白点で示す13点とした場合を例示した。
次に、プロファイルの始点位置から定めた平滑化区間点数の位置まで(第1点目〜第13点目)のデータに対して、信号値を目的変数y、位置を説明変数xと置いて下記(2)式で表される3次多項式を最小二乗法で当てはめて回帰式を求め、黒点で示す区間中心位置に対する信号値の計算値を求める。
そして、次段階では第2点目〜第14点目の13点に対して同様の処理を行い、以降同様に1点ずつ区間をずらしながらこの処理を繰り返して、区間中心位置に対する信号値の計算値を並べていく。この計算処理をプロファイルの始点位置から終点位置に1回施すと平滑回数1回、処理後に得られた信号値に対して再度同じ処理を施すと平滑回数2回である。この処理を重ね掛けていくと目的とするノイズが除去される。このようにしてノイズを除去して平滑化処理されたプロファイルを図3に示す。信号値のプロファイルのノイズは複雑な凹凸形状を示すため、放物線となる2次多項式では十分なノイズ除去が難しく、また4次多項式以上では上記計算処理の負荷が非常に大きくなるため、3次多項式を選んだ。
y=a0+a1x+a2x2+a3x3 ・・・(2)
ここで、
y:信号値(目的変数)
x:位置(説明変数)
a0:定数項
a1〜a3:回帰係数
そして、平滑化処理を施した後の信号値プロファイル全体の平均信号値を用いて、下記(1)式で表される規格化濃度プロファイルに変換する。このようにして規格化濃度に変換されたプロファイルを図4に示す。本発明による規格化濃度では、全体の平均値を濃度値0とおいて、正側への振れを正偏析、負側への振れを負偏析として評価することが可能である。そして、規格化濃度プロファイルにおいて、正偏析側および負偏析側ピークの最大振れ幅を偏析度として、偏析を定量評価する。
Ci norm=(yi−yi ave)/ yi ave ・・・(1)
ここで、
Ci norm:各分析点での規格化濃度
yi:各分析点での信号値
yi ave:合金板断面の1次元プロファイル全体の平均信号値
i:元素
偏析を定量評価された合金板
本発明において、上記の偏析の定量評価方法は、高耐食合金として使用されることが多いFe−Cr−Ni合金に適用するのが望ましい。また、Moは耐食性の向上に大きな効果があるため、Fe−Cr−Ni合金板に添加されることが多い。これらの添加元素であるNi、Cr、Moは、鋳造中における、冷却過程、特に液相線温度から固相線温度までの温度区間で、液相中に濃化し易いという性質を持っている。
従って、合金板の内部品質、特に耐食性についてはNi、Cr、Moの偏析度が大きく影響するため、本発明による偏析の定量評価方法での評価元素はNi、Cr、Moとすることが望ましい。また、Ni、Cr、Moで評価された偏析度は、偏析部および健全部との間で特性の差が表れないように、1以下であることが望ましい。特性としては、耐食性などが挙げられる。
特に、連続鋳造により鋳造したスラブや普通造塊によって鋳造した鋼塊の偏析は、板厚の中心部において顕著に現れる特徴がある。そのため、本発明の評価方法は中心偏析を評価するのに好適である。ここで言う中心とは、特に限定はしないが、板厚の中心から板厚の±30%にあたる部分で定義される。
本発明で用いるFe−Cr−Ni合金板については、下記にある成分範囲の合金が好適である。成分範囲を規定した理由を説明する。
Cr:10〜30wt%、
Crは耐食性を向上させるため、かつ必要な不動態皮膜を表面に形成するために必要不可欠な元素である。Crを添加することにより、耐孔食性、耐隙間腐食性、耐酸性、ならびに耐応力腐食割れ性が改善される。ただし、その効果を得るには10wt%以上添加させることが必要である。しかしながら、30wt%を超えて添加すると、σ相等の金属間化合物の生成を助長し、合金板の脆化や耐粒界腐食性の低下を招く。従って、Crは10〜30wt%の範囲とする。好ましくは12〜28wt%である。
Ni:3〜65wt%
Niは耐食性を向上させ、また組織をオーステナイト相に保つのに必要な元素である。Niを添加することにより、塩化物を含む溶液環境下において、耐孔食性、耐隙間腐食性、ならびに耐応力腐食割れ性を改善する効果がある。本発明では、オーステナイト相の単相組織、またはオーステナイト相およびフェライト相の2相組織を形成するために3wt%以上添加させる必要がある。ただし、Niは貴金属でFeよりも高価であるため、65wt%以下とする。従って、Niは3〜65wt%とする。好ましくは5〜60wt%、より好ましくは、5〜55wt%である。
Mo:20wt%以下
Moは耐食性を向上させる元素である。Moを添加することにより、耐孔食性や耐全面腐食性が改善される。しかしながら、20wt%を超えて添加すると、σ相等の金属間化合物の生成を助長し、合金板の脆化や耐粒界腐食性の低下を招く。そのため、Moは17wt%以下の範囲とする。好ましくは15wt%以下、より好ましくは、10wt%以下である。
Si:5wt%以下
Siは耐酸性、ならびに耐孔食性に有効に作用するだけでなく、脱酸にも有効な元素である。そのため、5wt%以下で添加しても構わない。好ましくは、4wt%以下である。
Mn:5wt%以下
Mnは脱酸作用を有するだけでなく、オーステナイト相を形成する作用を持つ。そのため、Mnは5wt%以下で添加しても構わない。好ましくは、4wt%以下である。
Al:5wt%以下
Alは脱酸作用を有するだけでなく、スラグの共存下において脱酸が進むとともに脱硫を促進して、合金板を脆化させるSを低減し、熱間加工性を向上する効果を持つ。そのため、Alは5wt%以下で添加しても構わない。好ましくは3wt%以下である。
Cu:5wt%以下
Cuは耐酸性を向上させる効果を持つ元素である。しかしながら、5wt%を超える添加では熱間加工性を低下させる。従って、5wt%以下の範囲とする。好ましくは4wt%以下である。
N:0.5wt%以下
Nは強力なオーステナイト相生成元素であると共に、CrやMoと共に耐食性を向上させるのに必要な元素である。従って、Nは0.5wt%以下で添加しても構わない。好ましくは0.4wt%以下である。
Co、W、Nb:30wt%以下
本発明では、合金にCo、W、Nbのいずれか1種または2種以上を、合計で30wt%以下の範囲で含有しても構わない。Coはオーステナイト生成元素であり有効である。Wは耐食性を向上する効果がある。Nbは耐食性を高めるとともに、強度を向上する効果がある。
以下に、実施例を示し、本発明の効果をより明確なものとする。
表1に示す金属組成を有する本発明に係る発明例1〜12の合金板、および本発明の要件から外れる比較例13〜20の合金板を以下のようにして製造した。
まず、鉄屑、ステンレス鋼屑、Fe−Cr、Fe−Ni等からなる原料60tonを電気炉で溶解し、次いでAODあるいはVODのいずれか一方、または両者を用いて精錬し、所定の成分に調整した後、連続鋳造機にてスラブを製造する。その後、熱間圧延、または冷間圧延を施して4〜8mmの厚みを持つ合金板を製造した。合金組成は、連続鋳造直前の溶鋼を採取し、蛍光X線分析装置にて求めた。
そして、上記合金板について、以下のように調査を実施した。
合金板の幅1/4位置で圧延方向に平行な断面を切り出して鏡面研磨を施した後、EPMAを用いて板厚方向に等間隔ステップで電子線ビームを照射することで、Ni、Cr、Moの線分析を実施した。分析条件は以下の通りである。
電子線の加速電圧:25kV
電子線ビーム径:1μm
照射ステップ間隔:2μm
サンプリング時間:500μ秒
特性X線の検出方法:波長分散型X線分光法(WDS)
特性X線信号カウント数の1次元プロファイルに、3次の多項式適合法を適用し、平滑化処理を実施した。その後、処理後のプロファイルを規格化濃度に変換し、正偏析側および負偏析側ピークの最大振れ幅を求めた。この処理方法について、表1にある実施例のNo.1を例に説明する。
図1は、線分析により得られたMo濃度の強度を示すカウント数を示すグラフである。図2は、線分析により得られたMo濃度の強度を示すカウント数の平滑化処理例である。図3は、線分析により得られたMo濃度の強度を示すカウント数を平滑化処理したプロファイルである。図4は、線分析により得られたMo濃度の強度を示すカウント数を平滑化処理したプロファイルから規格化濃度に変換したプロファイルである。
平滑化処理は以下の手順で実施した。なお、本実施例では電子線の照射ステップが2μmであるため、2μm間隔の信号データとなる。平滑化処理の平滑区間は13点とした。図2に例示するように、まず始点位置0μmから24μmまでの13点について、(2)式で表される3次多項式を最小二乗法で当てはめて回帰曲線の式を求めた。次に、その回帰式を用いて区間中心位置、すなわち12μm位置での計算値を求めた。そして、今度は2μmから26μmまでの13点区間について、上記手順と同様に回帰式を求めて区間中心である14μm位置での計算値を求めた。このように、1点ずつ13点の区間をずらしながら上記の処理を繰り返し、終点位置に至る13点区間まで、区間中心位置に対する計算値を求めた。この1回目の平滑化処理により得られた計算値プロファイルに対して、上記手順により平滑区間13点で平滑化処理を行い、計5回実施した。その後、処理後のプロファイルを規格化濃度に変換し、正偏析側および負偏析側ピークの最大振れ幅を偏析度として求めた。
このように、介在物、析出物に起因する信号を取り除き、効果的に平滑化処理がなされ、偏析度として0.43が的確に得られたことが明らかである。表1に示した合金板について、Ni、Cr、MoあるいはCoを評価元素に用いた偏析度を求めて評価した。
更に、分析に供した合金板断面の耐食性を評価するため、孔食性を調査する腐食試験を実施した。腐食試験はJIS G0577に準拠し、合金板断面および表面健全部を20wt%NaCl水溶液に浸漬させ、水溶液の温度を変えながら孔食電位測定を実施し、臨界孔食発生温度(以下、CPT)を求めた。このCPTを耐食性の指標とし、偏析部を含む合金板断面のCPTを表面健全部のCPTと比較することで、偏析の耐食性への影響を以下のように評価した。評価結果を表1に示す。
○:表面健全部とのCPTの差が10℃以内
×:表面健全部とのCPTの差が10℃を超えて低い
表面健全部および断面のCPTが10℃以内の差であれば、内部品質に問題が無いと判定した。表1に示すように、偏析度が1を超えると偏析部は耐食性を低下させることが明らかとなった。従って、本発明の偏析評価方法を用いることによって、内部品質が保証されたFe−Ni−Cr合金を選別することが可能である。さらに、偏析度が1以下に軽減されており、耐食性に優れた合金を提供することも可能である。
Figure 2017082261

Claims (5)

  1. 少なくとも2種以上の金属元素から構成される偏析が定量評価された合金板であって、
    熱間または冷間圧延後の前記合金板を切断した断面について、板厚方向に評価元素iの線分析で得られた特性X線信号カウント数の1次元プロファイルに対して3次の多項式適合法を適用して平滑化処理を施し、その平滑化処理を施した後の線分析プロファイル全体の平均信号カウント数yi aveを用いて、下記(1)式で表される各分析点での規格化濃度Ci normのプロファイルに変換し、前記規格化濃度Ci normの最大値と最小値の差を偏析度として前記元素iの偏析度が1以下であることを特徴とする合金板。
    Ci norm=(yi−yi ave)/ yi ave ・・・(1)
    ここで、
    Ci norm:各分析点での規格化濃度
    yi:各分析点での信号カウント数
    yi ave:合金板断面の1次元プロファイル全体の平均信号カウント数
    i:元素
  2. 前記合金はFe−Cr−Ni合金であることを特徴とする請求項1に記載の合金板。
  3. 前記評価元素iとしてMoを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の合金板。
  4. 前記評価元素iとしてCr、NiおよびMoを含有することを特徴とする請求項1または2に記載の合金板。
  5. 前記合金板は、Cr:10〜30wt%、Ni:3〜65wt%、Mo:20wt%以下、Si:5wt%以下、Mn:5wt%以下、Al:5wt%以下、Cu:5wt%以下、N:0.5wt%以下、残部はFe及び不可避的不純物からなる成分組成を持つことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の合金板。
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