JP2017079285A - レーザ光源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】半導体レーザアレイをヒートシンクに実装することで発生する半導体レーザアレイの局所的な引張応力を緩和して、半導体レーザアレイの基板割れを抑制可能な技術を提供することを目的とする。【解決手段】レーザ光源装置1は、ヒートシンク14と、ヒートシンク14上に配置されるサブマウント基板12と、サブマウント基板12上に直に配置される給電層13aと、給電層13a上に直に配置され、かつ、複数のエミッタを有する半導体レーザアレイ11とを備え、給電層13aの厚さをt1、サブマウント基板12の厚さをt2としたときに、1/5≦t1/t2≦1を満たしている。【選択図】図2

Description

本発明は、半導体レーザアレイを備えるレーザ光源装置に関するものである。
固体光源は、高効率および長寿命といった利点を生かし、現在までに多岐にわたる用途展開がなされている。特に、照明装置または表示装置においては、既存のランプにとって代わる光源として定着しつつある。なかでも、半導体レーザは発光効率が高くプロジェクタとの親和性が高い次世代光源としての期待が大きいが、展開の加速に向けてはさらに安定的な高出力動作が求められる。半導体レーザ1つ当たりの出力の向上によって、所望の明るさをさらに少ない部品数で構成可能となり、設計面、製造面およびコスト面で有利になる為である。この半導体レーザの高出力動作を実現するうえで、レーザで発生する熱を効率良く排熱するヒートシンクは必須の構成部品である。
ヒートシンクを実装するに際し、半導体レーザとヒートシンクの熱膨張係数差に起因する熱応力が問題となる。半導体レーザとヒートシンクの接合は、半導体レーザ給電用のAu電極との親和性の高さおよび信頼性の観点からAuSnはんだによる高温下での接合が一般的である。ここで、赤色半導体レーザの初期成長基板であるGaAsと、高熱伝導率のヒートシンクの材料として一般的なCuの熱膨張係数は、それぞれ6.6×10−6/℃および16.7×10−6/℃(いずれも室温下での値)と、大きくかけ離れているため、はんだ接合後の冷却に伴い半導体レーザに対し圧縮方向に熱応力が生じる。
過大な応力負荷は、半導体レーザの結晶内部の格子欠陥を増長からダークライン劣化を生じ、寿命の低下を招く。また、負荷される応力は面内分布を持つため、複数エミッタを有する半導体レーザアレイのように共振器と垂直な方向に長尺な構造を有するものでは、エミッタ毎の特性差異を招く。
上記の問題に対し、例えば特許文献1では、半導体レーザアレイとヒートシンクの間に線膨張係数の小さいSiCまたはAlNからなるサブマウント基板を挿入することで、半導体レーザアレイに加わる応力を緩和している。なお、SiCおよびAlNの熱膨張係数は、それぞれ3.7×10−6/℃および4.8×10−6/℃(いずれも室温下での値)である。
国際公開第2011/74262号
しかし、特許文献1に記載の技術では、半導体レーザアレイがサブマウントに対し非対称な位置に接合されることに起因して局所的な引張応力が発生する。これにより、半導体レーザの基板割れが発生するリスクが高まるという問題があった。
そこで、本発明は、半導体レーザアレイをヒートシンクに実装することで発生する半導体レーザアレイの局所的な引張応力を緩和して、半導体レーザアレイの基板割れを抑制可能な技術を提供することを目的とする。
本発明に係るレーザ光源装置は、ヒートシンクと、前記ヒートシンク上に配置されるサブマウント基板と、前記サブマウント基板上に直に配置される給電層と、前記給電層上に直に配置され、かつ、複数のエミッタを有する半導体レーザアレイとを備え、前記給電層の厚さをt1、前記サブマウント基板の厚さをt2としたときに、1/5≦t1/t2≦1を満たすものである。
本発明によれば、レーザ光源装置は、ヒートシンクと、ヒートシンク上に配置されるサブマウント基板と、サブマウント基板上に直に配置される給電層と、給電層上に直に配置され、かつ、複数のエミッタを有する半導体レーザアレイとを備え、給電層の厚さをt1、サブマウント基板の厚さをt2としたときに、1/5≦t1/t2≦1を満たす。
したがって、サブマウント基板と給電層の厚さを示す数値がともに同じ桁数となるため、サブマウント基板の影響が小さくなり、その代わりに給電層の影響が大きくなる。その結果、半導体レーザアレイの配置がサブマウント基板に対して非対称になることの影響が小さくなり、半導体レーザアレイをヒートシンクに実装することで発生する半導体レーザアレイの局所的な引張応力を緩和して、半導体レーザアレイの割れを抑制することが可能である。
実施の形態に係るレーザ光源装置の斜視図である。 レーザ光源装置の構成ユニットの斜視図である。 構成ユニットにおいて、熱膨張係数の小さい材料で構成されたサブマウントASSYによってヒートシンクの熱収縮の影響が緩和される状態を示す図である。 半導体レーザアレイにおいて局所的な引張応力が発生する領域を示す図である。 構成ユニットの側面図である。 構成ユニットの平面図である。 構成ユニットの半導体レーザアレイおよびサブマウントASSYの正面図である。 サブマウント基板の厚さと給電層の厚さによって変化する、半導体レーザアレイの上面に生じる引張応力を示すグラフである。 サブマウント基板に対して給電層の厚さが薄い場合のレーザ光源装置の構成ユニットの側面図である。 サブマウント基板に対して給電層の厚さが厚い場合のレーザ光源装置の構成ユニットの側面図である。
<実施の形態>
本発明の実施の形態について、図面を用いて以下に説明する。図1は、実施の形態に係るレーザ光源装置1の斜視図であり、図2は、レーザ光源装置1の構成ユニット2の斜視図である。
図1に示すように、レーザ光源装置1は、構成ユニット2、リードピン22a,22b,22c,22d、およびステム23を備えている。構成ユニット2とリードピン22a,22b,22c,22dは、Auからなる給電用リボン21a,21b,21c,21dにより電気的に接続されている。また、構成ユニット2とリードピン22a,22b,22c,22dは、SnAgCuリボンはんだ等により良好な熱伝導を保ちながらステム23に固定されている。リードピン22a,22b,22c,22dとステム23はガラス封止により固定されている。
ステム23は、電源ユニットおよび冷却ユニットを備えたベースに固定するための固定用ホール24a,24b,24c,24dと、ベースに固定する際の位置を決めるための切欠き25とを備えている。ステム23は、表面にNiめっきとAuめっきが施されたFe-Cu-Feのクラッド材からなる。熱伝導性に優れたCuの上下をFe層で挟んだサンドイッチ構造にすることで、図1では省略しているが、構成ユニット2の全体を覆うキャップを用いた気密封止を可能にする。すなわち、ステム23の表面に熱伝導性の比較的低いFe層を介して、キャップを抵抗溶接してステム23に接合することが可能となり、またリードピン22a,22b,22c,22dとステム23の間のガラス封止が可能となる。
図2に示すように、レーザ光源装置1の構成ユニット2は、半導体レーザアレイ11、サブマウント基板12、給電層13a,13b,13c、ヒートシンク14、および給電用ワイヤ15を備えている。サブマウント基板12は、ヒートシンク14上に給電層13cを介して配置されている。給電層13a,13bは、サブマウント基板12上に直に配置されている。半導体レーザアレイ11は、給電層13a上に直に配置されている。
半導体レーザアレイ11は、GaAs基板上にエピタキシャル成長させることで形成されている。より具体的には、半導体レーザアレイ11は、GaAs基板上にエピタキシャル成長された発振波長630〜670nmの可視光高出力ブロードエリアレーザからなり、サブマウント基板12との接合に際してはエピタキシャル成長層を下側にしたジャンクションダウン構造を採用することで、低熱抵抗化を実現している。サブマウント基板12は、熱伝導性に優れたSiCまたはAlN等のセラミックスからなり、Cuを主材料とする給電層13a,13b,13cが上下(給電層13a,13bが上側、給電層13cが下側)に配置されたバイメタル構造を有するサブマウントASSY3として実装されている。
給電層13aは、給電用リボン21aおよび給電用リボン21cから半導体レーザアレイ11のP側電極への給電を担い、給電層13bは、半導体レーザアレイ11のN側電極から給電用ワイヤ15、給電用リボン21b、給電用リボン21dへの電流パスを形成している。給電層13aおよび給電層13cの表面にはAuSnはんだが蒸着されており、加熱と加圧により半導体レーザアレイ11およびヒートシンク14との接合を可能にする。ヒートシンク14は熱伝導性に優れたCuからなる。
半導体レーザアレイ11、サブマウントASSY3、およびヒートシンク14の接合はAuSnはんだ(融点:約290℃)で、ヒートシンク14とステム23の接合はSnAgCuはんだ(融点:約220℃)で行うことにより、先にボンディングによりレーザ光源装置1の構成ユニット2を作製した後に、構成ユニット2をステム23とボンディングすることが可能となる。すなわち、レーザ光源装置1の構成ユニット2とステム23の接合時は、接合温度を220℃〜290℃の間で制御することで、構成ユニット2の構成部品どうしの接合は維持したままSnAgCuはんだを溶融させてレーザ光源装置1の構成ユニット2とステム23を固定することが可能となる。
次に、本実施の形態に係るレーザ光源装置1の特徴を、前提となる技術での問題点に触れながら述べる。前提技術では、レーザ光源装置は、半導体レーザアレイ(材料:GaAs、線膨張係数:6.6×10−6/℃)およびヒートシンク(材料:Cu、線膨張係数:16.7×10−6/℃)を備えている。互いに大きくかけ離れた線膨張係数を有する2つの部品の接合に際し、線膨張係数が半導体レーザアレイに近いサブマウント(基板材料:SiC、線膨張係数:3.7×10−6/℃)を介することで、半導体レーザアレイの接合面を起点として発生する圧縮応力の緩和を、一層安価な方法で実現している。
図3は、構成ユニット2の側面図であり、熱膨張係数の小さい材料で構成されたサブマウントASSY3によってヒートシンク14の熱収縮の影響が緩和される状態を示す図である。なお、図中の矢印は熱応力の方向と大きさを示している。図3に示すように、ヒートシンク14は大きな線膨張係数を有するため、高温加熱を伴うはんだ接合後の冷却に際し、圧縮方向に大きな熱応力が発生する。この圧縮応力の影響を、実施の形態に係るレーザ光源装置1では、ヒートシンク14の直上に接合されたサブマウントASSY3により緩和することで、半導体レーザアレイ11への応力負荷が小さくすることが可能となる。
一方、半導体レーザアレイとサブマウントを介したヒートシンクの接合においては、半導体レーザアレイとサブマウントの接合面を起点として発生する圧縮応力の他に、半導体レーザアレイの前端面側に発生する局所的な引張応力が存在する。図4は、上記の引張応力が発生する領域を示すために、半導体レーザアレイ11とサブマウントASSY3を抜粋した図であり、半導体レーザアレイ11において局所的な引張応力が発生する領域を示す図である。図4では、半導体レーザアレイ11の出射方向101が手前側に向くように配置されている。図4において斜線領域で示した領域102、すなわち半導体レーザアレイ11の出射面である前側端面の基板上面に引張応力が発生する。
上記の局所的な引張応力は、半導体レーザアレイ11が、その直下のサブマウントASSY3に対し、非対称な位置に接合されることに起因すると考えられる。半導体レーザアレイ11は、その前側端面が、サブマウントASSY3の前側端面とおおよそ等しい位置になるように前方に配置される。
図5は、構成ユニット2の側面図であり、レーザ光源装置1において、半導体レーザアレイ11が、サブマウントASSY3の前方に配置されることの必要性を示す図である。図6は、構成ユニット2の平面図であり、半導体レーザアレイ11がその直下のサブマウントASSY3に対し非対称な位置に接合された状態を示す図である。
なお、図5に示すように、半導体レーザアレイ11からの出射光103は、一般的に端面出射型の半導体レーザでは垂直方向(エピタキシャル成長における積層方向)に全角で約60°と大きなビーム拡がり角を有する。したがって、半導体レーザアレイ11の直下の給電層13aにおける光の吸収と反射を防ぎ、出射光を効率良く後段の光学部品に入射するためにも、半導体レーザアレイ11は、半導体レーザアレイ11の前側端面がサブマウントASSY3の前方から突き出すように配置されることが望ましい。
一方、排熱の観点からは、発熱体である半導体レーザアレイ11とその直下の給電層13aの接合面積は、極力広くすることが望まれる。したがって、図5と図6に示すように半導体レーザアレイ11の前側端面がサブマウントASSY3の前側端面とおおよそ等しい位置になるような配置となる。
上記の局所的な引張応力は、半導体レーザアレイ11の材料であるGaAs基板の割れの発生要因となる。GaAs基板の割れは、レーザ共振器が崩壊するために発振動作が不可能となりレーザ光源装置の動作停止につながる。仮に劈開面に沿うように前側端面と平行に割れることでレーザ共振器を維持できたとしても、後側端面反射率および共振器長の変化により、期待していた性能が全く得られなくなる。引張応力に起因するGaAs基板の割れが発生するタイミングは、応力の大きさの程度またはGaAs基板の状態等によって異なる。十分大きな引張応力が生じている場合は、各部品をはんだ接合する際、降温時に加えられる熱応力によって割れが発生する。
半導体レーザアレイ11、サブマウントASSY3、およびヒートシンク14の接合に際してAuSnを用いる本実施の形態では、降温中のAuSnはんだの融点(約290℃)以下の温度領域では互いの部品が拘束されているため、線膨張係数とΔTに応じた熱応力が加えられる。一方、極端に大きくない引張応力では、部品実装時でのGaAs基板の割れは発生しなかったとしても、レーザ光源装置としての実動作時に発生するヒートサイクル負荷によって割れが生じうる。ここで、ヒートサイクル負荷を発生する実動作とは、レーザ光源装置のパルス駆動または、繰り返しのON/OFF制御等である。
前提技術における上記の問題点を鑑み、本実施の形態では、サブマウントASSY3の給電層13aを厚くすることで、半導体レーザアレイ11の上面に発生する局所的な引張応力を緩和することを特徴としている。
図7は、実施の形態に係るレーザ光源装置1の特徴を説明するため、レーザ光源装置1から半導体レーザアレイ11およびサブマウントASSY3を抜粋した図であり、構成ユニット2の半導体レーザアレイ11およびサブマウントASSY3の正面図である。なお、給電層13aの厚さをt1、サブマウント基板12の厚さをt2、および半導体レーザアレイ11の横幅をWとする。
また、図8は、サブマウント基板12の厚さと給電層13aの厚さによって変化する、半導体レーザアレイ11の上面に生じる引張応力を示すグラフである。図8では、給電層13aの厚さt1とサブマウント基板12の厚さt2をパラメータとしたときの、半導体レーザアレイ11の上面に発生する局所的な引張応力の計算値が示されている。図8において丸印、三角印および四角印は、サブマウント基板12の厚さt2がそれぞれ0.1mm、0.3mmおよび0.5mmのときの結果を示す。グラフの横軸は、それぞれのサブマウント基板12の厚さに対する給電層13aの厚さの比率(t1/t2)によって、給電層13aの厚さを示している。グラフの縦軸は、半導体レーザアレイ11の上面に生じる局所的な引張応力の最大値を、基準値で規格化した値である。
ここで、基準値とは給電層13aの厚さt1およびサブマウント基板12の厚さt2が、それぞれ0.02mmおよび0.3mmの構造において、半導体レーザアレイ11の上面に発生する局所応力の最大値である。また、給電層13aの厚さt1およびサブマウント基板12の厚さt2以外の寸法は、いずれの場合も同一であり、代表的な寸法は半導体レーザアレイ11の横幅Wが4mm、ヒートシンク14の厚さが6mmである。
図8に示すように、給電層13aが厚くなるにつれて局所応力の値が低下することがわかる。また、給電層13aの厚さがサブマウント基板12の厚さに対して0.5以下となる範囲(t1/t2≦0.5)では、局所応力はおおよそ線形に低下する。なお、給電層13aの厚さをさらに厚くしても局所応力の改善効果は小さい。
図9と図10は、サブマウント基板12の厚さt2に対し、給電層13aの厚さt1を厚くすることで局所応力の緩和が可能となることを説明するための図である。より具体的には、図9は、サブマウント基板12に対して給電層13aの厚さが薄い場合のレーザ光源装置1の構成ユニット2の側面図であり、例えば、サブマウント基板12の厚さt2が0.3mm、給電層13aの厚さt1が0.02mmであるような構造である。図10は、サブマウント基板12に対して給電層13aの厚さが厚い場合のレーザ光源装置1の構成ユニット2の側面図であり、例えば、サブマウント基板12の厚さt2が0.3mm、給電層13aの厚さt1が0.1mm以上であるような構造である。
図9の構造では、サブマウント基板12に対して給電層13aの厚さが非常に薄く、半導体レーザアレイ11との接合においてサブマウント基板12の影響が支配的となる。一方で、図10の構造では、サブマウント基板12と給電層13aの厚さを示す数値がともに同じ桁数となるため、サブマウント基板12の影響が小さくなり、その代わりに半導体レーザアレイ11と同等の奥行を有する給電層13aの影響が大きくなる。
したがって、前者の構造では半導体レーザアレイ11の配置がサブマウントASSY3に対して非対称になることの影響を強く受ける一方で、後者の構造では非対称になることの影響が小さくなり、半導体レーザアレイ11の上面に加えられる局所的な引張応力が緩和されると考えられる。
以上のように、実施の形態に係るレーザ光源装置1は、ヒートシンク14と、ヒートシンク14上に配置されるサブマウント基板12と、サブマウント基板12上に直に配置される給電層13aと、給電層13a上に直に配置され、かつ、複数のエミッタを有する半導体レーザアレイ11とを備え、給電層13aの厚さをt1、サブマウント基板12の厚さをt2としたときに、1/5≦t1/t2≦1を満たす。
したがって、サブマウント基板12と給電層13aの厚さを示す数値がともに同じ桁数となるため、サブマウント基板12の影響が小さくなり、その代わりに給電層13aの影響が大きくなる。その結果、半導体レーザアレイ11の配置がサブマウント基板12に対して非対称になることの影響が小さくなり、半導体レーザアレイ11をヒートシンク14に実装することで発生する半導体レーザアレイ11の局所的な引張応力を緩和して、半導体レーザアレイ11の割れを抑制することが可能である。
以上より、レーザ光源装置1の歩留り向上を図ることが可能となり、材料費および加工費等のコスト低減が可能である。また、製造後の半導体レーザアレイ11の割れのリスクが低下することで、長期使用可能な信頼性の高いレーザ光源装置1を実現することが可能である。
追加の部品または微細加工を伴わずに半導体レーザアレイ11の割れを抑制することが可能であるため、部品点数の増加または加工費の増加による製品の製造コストの上昇を抑制することが可能である。
給電層13aに適当な厚みを与えて低電気抵抗化を図ることで、半導体レーザアレイ11の各エミッタに流入する電流の分布を低減し、エミッタ毎の特性ばらつきの低減が可能である。したがって、さらに均一に近い特性を有するレーザ光源装置1を実現することができることから、製品品質の向上を図ることが可能である。
半導体レーザアレイ11は、GaAs基板上にエピタキシャル成長させることで形成され、給電層13aの材料はCuであり、サブマウント基板12の材料はSiCまたはAlNであり、ヒートシンク14の材料はCuである。したがって、上記において説明した効果を最も発揮することができる。
また、SiCまたはAlNからなるサブマウント基板12に対しCuからなる給電層13aに適当な厚みを与えることで、半導体レーザアレイ11で発生した熱が給電層13a内で拡がり、熱伝導率の相対的に低いサブマウント基板12での熱流密度が低下する。したがって、レーザ光源装置1の熱抵抗低減による動作性能改善が可能である。
半導体レーザアレイ11の横幅方向の長さである横幅Wは、当該半導体レーザアレイ11の共振器長の3倍以上であってもよい。この場合、高出力化が可能な長尺の半導体レーザアレイ11において、局所的な引張応力の緩和が可能である。ここで、長尺の半導体レーザアレイ11とは、半導体レーザアレイ11の横幅Wが例えば代表的な寸法である4mmよりも長いものをいう。例えば、半導体レーザアレイ11の横幅Wが8mm以上の構造でも、代表的な寸法を有する構造とほぼ同等の引張応力が生じるため、図8に示したサブマウント基板12と給電層13aの厚さの組合せを採用することが可能である。さらに、給電層13aに適当な厚みを与えることによる低熱抵抗化、およびエミッタ毎の特性ばらつきの低減効果も大いに有効である。
なお、最適な給電層13aの厚さt1とサブマウント基板12の厚さt2の組合せは、局所応力の大きさだけではなく、レーザ光源装置1の熱抵抗、および半導体レーザアレイ11の接合面付近に生じる圧縮応力も考慮して決定する必要がある。すなわち、SiCまたはAlNからなるサブマウント基板12は、Cuからなる給電層13aおよびヒートシンク14よりも熱伝導率が低いため、サブマウント基板12の厚さの相対的な増加はレーザ光源装置1の熱抵抗増加につながる。
一方、サブマウント基板12が相対的に薄くなると、ヒートシンク14との接合により半導体レーザアレイ11に生じる圧縮応力を緩和する、というサブマウント基板12の本来の目的が薄れる。また、サブマウント基板12が薄くなると剛性が低下し、脆く割れやすい部品となってしまう。
したがって、サブマウント基板12の厚さt2は0.1mm≦t2≦0.5mmの範囲内にあることが望ましい。好ましくはサブマウント基板12の厚さt2が0.2mm≦t2≦0.4mmに対して、給電層13aの厚さt1を約0.1mmにすることで、半導体レーザアレイ11に加えられる局所応力を低減しつつ、低熱抵抗化と、半導体レーザアレイ11の接合面付近に生じる圧縮応力の緩和を図ることが可能である。
また、ヒートシンク14との接合で半導体レーザアレイ11に生じる圧縮応力は、ヒートシンク14の厚さまたは材質により制御することが可能である。すなわち、ヒートシンク14の厚さを小さくすると、半導体レーザアレイ11の給電層13aとの接合面近傍で発生する圧縮応力を低減することが可能である。
したがって、サブマウント基板12の厚さt2が0.1mm、給電層13aの厚さt1が0.1mmの場合のように、サブマウント基板12の厚さが相対的に薄い構造に対しても、例えばヒートシンク14の厚さを2mm以下にすることで、半導体レーザアレイ11への局所的な引張応力だけでなく給電層13aとの接合面近傍に生じる圧縮応力も緩和することが可能である。また、上記のような例では、サブマウント基板12の厚さに対して熱伝導率の高い給電層13aの厚さを十分厚くできるため、熱抵抗の大幅な低減が可能である。
なお、給電層13bおよび給電層13cにおいては、給電層13aのように、厚肉化することによる半導体レーザアレイ11への局所応力改善の効果は得られない。なぜならば、給電層13bおよび給電層13cは半導体レーザアレイ11との接合に直接的には関与していないためである。一方、給電層13bは厚肉化することで、半導体レーザアレイ11の各エミッタに流入する電流の分布を低減し、エミッタ毎の特性ばらつきの低減が可能である。
また、給電層13cは、給電層13aと給電層13bに応じて厚肉化することで、サブマウント基板12の上下面を、同等の厚みと総面積を有する給電層13a,13b,13cで挟むことができる。したがって、サブマウント基板12と給電層13a,13b,13cの線膨張係数のミスマッチによるサブマウント基板12の反りを抑制することが可能である。これにより、給電層13bおよび給電層13cは、給電層13aの厚さt1に応じて等しく変化させることが望ましい。
給電層13a,13b,13cは、めっき、真空蒸着、または拡散接合等でサブマウント基板12の上下面に形成することができる。形成方法としては、所望の給電層13a,13b,13cの厚さに応じて適切に選択することが望ましい。例えば、厚さが70μm以下のような比較的薄い領域ではめっきまたは真空蒸着により、面粗さの小さい給電層13a,13b,13cが得られる。一方、上記の方法では厚さが70μmを超えるような厚膜の形成に際し、面粗さの増大による半導体レーザアレイ11との接触部での局所応力が懸念される。したがって、給電層13a,13b,13cの厚さが70μmを超える領域では、拡散接合等の異種材料接合法を用いることが望ましい。
なお、例えば給電層13a,13b,13cおよびヒートシンク14の材料であるCuと、サブマウント基板12の材料であるSiCまたはAlNが、交互に積層されたような構造においても、半導体レーザアレイ11の直下の給電層13aの厚さを厚くすることで局所的な引張応力の低減が可能である。上記の構造の例としては、多層配線基板等に半導体レーザアレイを実装したモジュール等がある。
また、本実施の形態においては、GaAsを初期成長基板とする半導体レーザアレイに限定されない。InP、GaN、またはサファイア等を初期成長基板とした半導体レーザアレイを採用してもよく、この場合も上記において説明した効果と同等の効果を得ることが可能である。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略することが可能である。
1 レーザ光源装置、11 半導体レーザアレイ、12 サブマウント基板、13a 給電層、14 ヒートシンク。

Claims (4)

  1. ヒートシンクと、
    前記ヒートシンク上に配置されるサブマウント基板と、
    前記サブマウント基板上に直に配置される給電層と、
    前記給電層上に直に配置され、かつ、複数のエミッタを有する半導体レーザアレイと、
    を備え、
    前記給電層の厚さをt1、前記サブマウント基板の厚さをt2としたときに、
    1/5≦t1/t2≦1を満たす、レーザ光源装置。
  2. 前記半導体レーザアレイは、GaAs基板上にエピタキシャル成長させることで形成され、
    前記給電層の材料はCuであり、
    前記サブマウント基板の材料はSiCまたはAlNであり、
    前記ヒートシンクの材料はCuである、請求項1記載のレーザ光源装置。
  3. 前記サブマウント基板の厚さは0.1mm以上かつ0.5mm以下である、請求項1または請求項2記載のレーザ光源装置。
  4. 前記半導体レーザアレイの横幅方向の長さは、当該半導体レーザアレイの共振器長の3倍以上である、請求項1から請求項3のいずれか1つに記載のレーザ光源装置。
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