JP2017078639A - シンチレータパネルおよびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】シンチレータ層の残像特性および放射線耐性も含めた総合的な特性を改善できるシンチレータパネルを提供する。【解決手段】シンチレータパネル10は、X線16を透過する支持基板11と、支持基板11上に形成され、外部から入射したX線16を光に変換するシンチレータ層13とを具備する。シンチレータ層13は、ハロゲン化物であるCsIにTlを賦活剤として含有する蛍光体である。シンチレータ層13の膜厚方向におけるX線16の入射側を入射側領域A、および入射側領域Aとは反対側を非入射側領域Bとすると、入射側領域Aにおける蛍光体中の賦活剤の濃度は0.2mass%±0.15mass%、非入射側領域Bにおける蛍光体中の賦活剤の濃度は1.6mass%±0.4mass%である。【選択図】図1

Description

本発明の実施形態は、放射線を光に変換するシンチレータパネルおよびその製造方法に関する。
新世代のX線診断用画像検出器として、アクティブマトリクスや、CCDおよびCMOS等の固体撮像素子を用いた平面形の放射線検出器であるX線検出器が注目を集めている。このX線検出器にX線を照射することにより、X線撮影像またはリアルタイムのX線画像がデジタル信号として出力される。
X線検出器は、放射線を光に変換するシンチレータ層を有するシンチレータパネル、およびこのシンチレータパネルによって変換された光を電気信号に変換する光電変換基板を備えている。そして、入射X線によりシンチレータ層で変換された光が光電変換基板に到達することで電荷に変換され、この電荷が出力信号として読み出され、所定の信号処理回路等にてデジタル画像信号に変換される。
また、シンチレータ層にハロゲン化物であるCsIを用いた場合は、CsI単体では、入射X線を可視光に変換することができないことから、一般的な蛍光体と同様に入射X線に対する光の励起を活性化させるため、賦活剤を含有させている。
X線検出器においては、光電変換基板の受光感度のピーク波長が可視光領域の400nm〜700nm付近に存在することから、シンチレータ層にCsIを用いた場合は、入射X線により励起された光の波長が550nm付近となるTlが賦活剤として用いられている。
シンチレータ層がハロゲン化物であるCsIにTlを賦活剤として含有する蛍光体である場合、一般的な賦活剤を含有する蛍光体と同様に、シンチレータ層の特性が賦活剤であるTlの濃度および濃度分布に大きな影響を受けることとなる。
賦活剤を含有するシンチレータ層を有するシンチレータパネルにおいて、賦活剤の濃度および濃度分布が適正化されていない場合は、シンチレータ層の特性劣化を招くこととなり、シンチレータ層の発光特性に関連する感度(発光効率)および残像{n回目のX線画像に(n−1)回目以前のX線画像の被写体像が残留する現象}に影響が生じることとなる。
例えば、X線画像を用いた診断においては、被写体により撮影条件が大きく異なるため{入射X線の線量:0.0087mGy〜0.87mGy程度(部位によりX線透過率が異なるため)}、(n−1)回目のX線画像とn回目のX線画像の入射X線の線量に大きな差異が生じることがあり、(n−1)回目とn回目のX線画像の入射X線の線量差が(n−1)>nの場合、(n−1)回目のX線画像の非被写体部のシンチレータ層の発光特性が、入射X線の大きなエネルギーにより変化し、n回目のX線画像にまで、影響が残留することによって、残像が生じることとなる。
この残像特性は、X線画像を用いた診断においては、他のシンチレータ層の特性である感度(発光効率)や解像度(MTF)に比べても重要な特性となっている。
また、CsIにTlを賦活剤として含有する蛍光体で構成されるシンチレータ層では、シンチレータ層中の賦活剤であるTl濃度が高い程、シンチレータ層のX線耐性{X線照射によるダメージに伴うシンチレータ層の感度低下(信頼性項目)}が劣化することが論文(非特許文献1)等に示されている。さらに、一般的に物質が高エネルギーの照射(X線等)を受けた場合、物質を構成する原子間の結合にダメージ(結合が切れる等)が生じることに由来し、特に光を透過する蛍光体等においては、高エネルギーの照射(X線等)を受けた場合、ダメージによる着色(カラーセンター)が発生することが論文(非特許文献2)等に記載されている。
そして、CsIにTlを賦活剤として含有する蛍光体で構成されるシンチレータ層には、さらなる特性の改善に課題がある。
従来、シンチレータ層の特性の改善については、感度(発光効率)、解像度(MTF)、残像など、それぞれ個別の特性の改善に関するものが多く、残像特性およびX線耐性も含めた総合的な特性の改善に関するものはなかった。
特開2014−20781号公報 特開2015−38459号公報
Sara Bergenius,「GLAST CsI(Tl) Crystal」,ROYAL INSTITUTE OF TECHNOLOGY,Stockholm 2004,ISBN:91-7283-754-3 Simon Jolly,「Radiation damage and afterglow in CsI(Tl)」,Brunel University, Institute of Physical and Environmental Sciences,Physics Unit
本発明が解決しようとする課題は、シンチレータ層の残像特性および放射線耐性も含めた総合的な特性を改善できるシンチレータパネルおよびその製造方法を提供することである。
本実施形態のシンチレータパネルは、放射線を透過する支持基板と、支持基板上に形成され、外部から入射した放射線を光に変換するシンチレータ層とを具備する。シンチレータ層は、ハロゲン化物であるCsIにTlを賦活剤として含有する蛍光体である。シンチレータ層の膜厚方向における放射線の入射側を入射側領域、および入射側領域とは反対側を非入射側領域とすると、入射側領域における蛍光体中の賦活剤の濃度は0.2mass%±0.15mass%、非入射側領域における蛍光体中の賦活剤の濃度は1.6mass%±0.4mass%である。
一実施形態を示すシンチレータパネルの第1の構造例の断面図である。 同上シンチレータパネルの第2の構造例の断面図である。 同上シンチレータパネルの第3の構造例の断面図である。 同上シンチレータパネルの第4の構造例の断面図である。 同上シンチレータパネルを用いた撮影装置の断面図である。 同上シンチレータパネルのシンチレータ層のTl濃度と感度比との相関を示すグラフである。 同上シンチレータ層のTl濃度とMTF比との相関を示すグラフである。 同上シンチレータ層のTl濃度と残像比との相関を示すグラフである。 同上シンチレータ層の積層周期と感度比との相関を示すグラフである。 同上シンチレータ層の積層周期とMTF比との相関を示すグラフである。 同上シンチレータ層の積層周期と残像比との相関を示すグラフである。 同上シンチレータ層の膜厚と残像比との相関を示すグラフである。 同上シンチレータ層のTl濃度とX線耐性(感度減衰比)との相関を示すグラフである。 同上シンチレータ層を示し、(a)はシンチレータ層を示す模式図、(b)はシンチレータ層に入射するX線の線質が硬い場合のX線吸収量を示す模式図、(c)はシンチレータ層に入射するX線の線質が柔らかい場合のX線吸収量を示す模式図である。 同上シンチレータ層の膜厚と管電圧との相関を示すグラフである。 同上シンチレータ層の膜厚とX線吸収率との相関を示すグラフである。 同上シンチレータ層の一般的な形成方法を示す模式図である。 同上シンチレータ層の本実施形態の形成方法を(a)(b)に示す模式図である。 同上シンチレータパネルのサンプルI、II、III、IV、Vの同上シンチレータ層を示す模式図であり、(a)(b)(c)(d)(e)のサンプル毎の模式図である。 同上シンチレータパネルのサンプルI、II、III、IV、Vを用いて取得したX線画像であり、(a)(b)(c)(d)(e)はサンプル毎のX線画像である。 同上シンチレータパネルのサンプルI、II、III、IV、Vを用いて取得した各特性を示す表である。
以下、一実施形態を、図1ないし図21を参照して説明する。
図1ないし図4にはシンチレータパネル10の基本構成について第1ないし第4の構造例を示す。
まず、図1を参照して、シンチレータパネル10の第1の構造例を説明する。シンチレータパネル10は、放射線としてのX線を透過する支持基板11を有し、この支持基板11上に光を反射する反射層12が形成され、この反射層12上に放射線を可視光に変換するシンチレータ層13が形成され、このシンチレータ層13上にシンチレータ層13を密閉する保護層14が積層されて形成されている。
支持基板11は、遷移金属元素よりも軽元素を主成分とし、X線の透過率がよい物質から構成されている。
反射層12は、シンチレータ層13で発生した光を支持基板11とは反対方向へ反射させて光利用効率を高める。
シンチレータ層13は、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、CVD法等の気相成長法で、高輝度蛍光物質であるヨウ化セシウム(CsI)等のハロゲン化合物やガドリニウム硫酸化物(GOS)等の酸化物系化合物等の蛍光体を、支持基板11上に柱状に堆積させて成膜されている。そして、シンチレータ層13は、支持基板11の面方向に複数の短冊状の柱状結晶13aが形成された柱状結晶構造に形成されている。
そして、このように構成されたシンチレータパネル10において、支持基板11側からシンチレータ層13へと入射した放射線としてのX線16がこのシンチレータ層13の柱状結晶13aにて可視光17に変換され、支持基板11とは反対側のシンチレータ層13の表面(保護層14の表面)から可視光17が出射する。
また、図2にシンチレータパネル10の第2の構造例を示す。図1に示したシンチレータパネル10の第1の構造例において、反射層12を備えていないだけで、他の構成は同様である。この場合、支持基板11には、反射率の高い例えばAl、Ni、Cu、Pd、Ag等の金属材料が用いられる。
また、図3にシンチレータパネル10の第3の構造例を示す。図1に示したシンチレータパネル10の第1の構造例において、シンチレータ層13が柱状結晶13aをなしていないだけで、他の構成は同様である。
また、図4にシンチレータパネル10の第4の構造例を示す。図2に示したシンチレータパネル10の第2の構造例において、シンチレータ層13が柱状結晶13aをなしていないだけで、他の構成は同様である。
また、図5にはシンチレータパネル10を用いた例えばCCD−DR方式の撮影装置20を示す。撮影装置20は、筐体21を有し、この筐体21の一端にシンチレータパネル10が設置され、筐体21の内部に鏡面の反射板22および光学レンズ23が設置され、筐体21の他端に例えばCCD等の受光素子24が設置されている。そして、X線発生源(X線管)25から放射されたX線16がシンチレータパネル10に入射し、シンチレータ層13で変換した可視光17がシンチレータ層13の表面から出射される。このシンチレータ層13の表面にX線像が映し出され、このX線像を反射板22で反射するとともに光学レンズ23で集光して受光素子24に照射し、受光素子24でX線像を電気信号に変換して出力する。
CCD−DR方式の撮影装置20に用いられる受光素子24は、受光感度のピーク波長が400〜700nmの可視光領域に存在するため、シンチレータ層13にCsIを用いた場合、X線16の入射により励起された光の波長が550nm付近となるTlが賦活剤として用いられる。
そして、図1ないし図4に示される構造のシンチレータパネル10において、シンチレータ層13は、ハロゲン化物であるCsIにTlを賦活剤として含有する蛍光体であり、さらに次の(1)(2)(3)(4)の特徴を有している。
(1):蛍光体中の賦活剤の濃度はシンチレータ層13の膜厚方向に分布が存在する。すなわち、シンチレータ層13の膜厚方向におけるX線16の入射側を入射側領域A、および入射側領域Aとは反対側(シンチレータ層13で変換した可視光17の出力側)を非入射側領域Bとすると、入射側領域Aにおける蛍光体中の賦活剤の濃度は0.2mass%±0.15mass%、非入射側領域Bにおける蛍光体中の賦活剤の濃度は1.6mass%±0.4mass%である。さらに、シンチレータ層13は、入射側領域Aおよび非入射側領域Bの賦活剤の濃度領域のみで構成され、入射側領域Aおよび非入射側領域B以外の賦活剤の濃度領域は存在しない。
(2):シンチレータ層13の膜厚方向における入射側領域Aが占める割合は10%以上である。
(3):シンチレータ層13は、入射側領域Aおよび非入射側領域B内における単位膜厚200nm以下の領域において、面内方向および膜厚方向の賦活剤の濃度分布が±15%以下であり、均一性が維持されている。
(4):シンチレータ層13は、CsIとTlIの2つの蒸発源(材料源)を用いた真空蒸着法により形成され、かつ好ましくは短冊状の柱状結晶13aの構造を有している。
ここで、図1に示される第1の構造例のシンチレータパネル10において、シンチレータ層13の膜厚:350μm、シンチレータ層13の母材:CsI、賦活剤:Tlとし、シンチレータ層13中のTl濃度と各特性との相関を試験した結果を図6ないし図8に示す。
図6はシンチレータ層13中のTl濃度と感度比との相関を示す。試験条件は、入射X線:70kV−0.0087mGy、感度比:シンチレータ層13中のTl濃度が0.1mass%の場合の感度を基準(1.0)とした比率であり、各試験サンプルのシンチレータ層形成条件(シンチレータ層13中のTl濃度を除く)は同一である。そして、図6に示すように、シンチレータ層13中のTl濃度が1.4mass%〜1.8mass%近辺において最も感度が向上した。
図7はシンチレータ層13中のTl濃度と解像度であるMTF比との相関を示す。試験条件は、入射X線:70kV−0.0087mGy、MTF比:シンチレータ層13中のTl濃度が0.1mass%の場合のMTF(at 2Lp/mm)を基準(1.0)とした比率であり、各試験サンプルのシンチレータ層形成条件(シンチレータ層13中のTl濃度を除く)は同一である。そして、図7に示すように、シンチレータ層13中のTl濃度が2.0mass%付近までは略一定となった。
図8はシンチレータ層13中のTl濃度と残像比との相関を示す。試験条件は、(n−1)回目とn回目のX線画像の入射X線の線量差を(n−1)>nとし、(n−1)回目のX線画像では入射X線:70kV−0.87mGy、被写体:鉛板(板厚3mm)、X線画像取得間隔:60secとし、n回目のX線画像では入射X線:70kV−0.0087mGy、被写体:無し、X線画像取得間隔:60secとする。さらに、残像比:シンチレータ層13中のTl濃度が0.1mass%の場合の残像を基準(1.0)とした比率であり、各試験サンプルのシンチレータ層形成条件(シンチレータ層13中のTl濃度を除く)は同一である。そして、図8に示すように、シンチレータ層13中のTl濃度が1.6mass%近辺において残像が最小レベルとなった。さらに、残像比が0.5(好ましくは0.4)以下の領域であって、シンチレータ層13中のTl濃度が1.6mass%±0.4mass%の領域では、残像が確認されなかった。
そして、図8に示すように、シンチレータ層13である蛍光体中の賦活剤の濃度が1.6mass%近辺において残像が最小レベルとなり、残像比が0.5(好ましくは0.4)以下となる1.6mass%±0.4mass%の領域では残像が確認されず、また、図6および図7に示すように、1.6mass%±0.4mass%の領域では感度およびMTFの各特性も良好であるため、シンチレータ層13の残像特性も含めた総合的な特性を改善するには、賦活剤の濃度は1.6mass%±0.4mass%の領域が好ましい。
また、図1に示される第1の構造例のシンチレータパネル10において、シンチレータ層13の膜厚:350μm、シンチレータ層13の母材:CsI、賦活剤:Tlとし、シンチレータ層13中のTl濃度を一定とした場合のシンチレータ層13の積層周期{単位膜厚(基板1回転当りの形成膜厚)の形成周期}と各特性との相関を試験した結果を図9ないし図11に示す。
図9はシンチレータ層13の積層周期と感度比との相関を示す。試験条件は、入射X線:70kV−0.0087mGy、シンチレータ層13中のTl濃度:0.1mass%、感度比:シンチレータ層13の積層周期が200nmの場合の感度を基準(1.0)とした比率であり、各試験サンプルのシンチレータ層形成条件(シンチレータ層13中のTl濃度を除く)は同一である。
図10はシンチレータ層13の積層周期とMTF比との相関を示す。試験条件は、入射X線:70kV−0.0087mGy、シンチレータ層13中のTl濃度:0.1mass%、MTF比:シンチレータ層13の積層周期が200nmの場合のMTF(at 2Lp/mm)を基準(1.0)とした比率であり、各試験サンプルのシンチレータ層形成条件(シンチレータ層13中のTl濃度を除く)は同一である。
図11はシンチレータ層13の積層周期と残像比との相関を示す。試験条件は、(n−1)回目とn回目のX線画像の入射X線の線量差を(n−1)>nとし、(n−1)回目のX線画像では入射X線:70kV−0.87mGy、被写体:鉛板(板厚3mm)、X線画像取得間隔:60secとし、n回目のX線画像では入射X線:70kV−0.0087mGy、被写体:無し、X線画像取得間隔:60secとする。さらに、シンチレータ層13中のTl濃度:0.1mass%、残像比:シンチレータ層13の積層周期が200nmの場合の残像を基準(1.0)とした比率であり、各試験サンプルのシンチレータ層形成条件(シンチレータ層13中のTl濃度を除く)は同一である。
そして、図9ないし図11に示すように、シンチレータ層13の積層周期が200nm以上の領域では、各特性が劣化する傾向となった。
これは、シンチレータ層13の発光波長のピーク波長は550nm付近であるが、シンチレータ層13の母材であるCsIの屈折率が1.8であるため、シンチレータ層13内を伝播する発光波長のピーク波長をλ1とすると、屈折率と波長との関係から、λ1=550nm/1.8=306nmと見なせるため、シンチレータ層13の積層周期がλ1よりも大きい場合は、シンチレータ層13の結晶性のばらつき、およびシンチレータ層13中のTl濃度のばらつき等に伴う光学特性の劣化(散乱・減衰等)の影響を受ける可能性が高くなることと合致するからである。
また、図6ないし図8に示されるように、シンチレータ層13中のTl濃度が1.6mass%±0.4mass%の領域では、各特性が安定状態に近いため、シンチレータ層13中のTl濃度が変動(±15%程度)しても、各特性の変動は小さいこととなる。
蛍光体中の賦活剤の濃度が1.6mass%±0.4mass%の領域にあっても、蛍光体の面内方向および膜厚方向における賦活剤の濃度分布に大きな偏りがあれば、各特性が大きく変動してしまいやすいので、蛍光体の面内方向および膜厚方向における賦活剤の濃度分布が±15%以内にあることが好ましい。この賦活剤の濃度分布が±15%程度の変動範囲内であれば、各特性の変動は小さく影響は少ない。
したがって、シンチレータ層13の残像特性も含めた総合的な特性を改善するには、蛍光体中の賦活剤の濃度は1.6mass%±0.4mass%で、かつ蛍光体の面内方向および膜厚方向における賦活剤の濃度分布が±15%以内であることが好ましい。さらに、蛍光体の少なくとも単位膜厚200nm以下の領域において、蛍光体の面内方向および膜厚方向における賦活剤の濃度分布に大きな偏りがあれば、各特性が大きく変動してしまいやすいので、単位膜厚200nm以下の領域においても蛍光体の面内方向および膜厚方向における賦活剤の濃度分布が±15%以内であることが好ましい。
次に、図1に示される第1の構造例のシンチレータパネル10において、シンチレータ層13の母材:CsI、賦活剤:Tl、シンチレータ層13の積層周期:150nmとし、シンチレータ層13の膜厚と各特性との相関を試験した結果を図12および図13に示す。
図12はシンチレータ層13の膜厚と残像比との相関を示す。試験条件は、(n−1)回目とn回目のX線画像の入射X線の線量差を(n−1)>nとし、(n−1)回目のX線画像では入射X線:70kV−0.87mGy、被写体:鉛板(板厚3mm)、X線画像取得間隔:60secとし、n回目のX線画像では入射X線:70kV−0.0087mGy、被写体:無し、X線画像取得間隔:60secとする。さらに、シンチレータ層13中のTl濃度が0.1mass%、残像比:シンチレータ層13の膜厚が600μmの場合の残像を基準(1.0)とした比率であり、各試験サンプルのシンチレータ層形成条件(シンチレータ層13中のTl濃度を除く)は同一である。そして、図12に示すように、シンチレータ層13の膜厚が薄い程、残像も小さくなった。これは、シンチレータ層13の膜厚が薄くなると、X線吸収率(DQE)の低下に伴い感度低下が発生するが、残像特性はシンチレータ層13の発光特性の1つであるため、感度低下(入射X線により励起される光の減少)に伴い相対的に残像も減少すると考えられる。
図13はシンチレータ層13中のTl濃度とX線耐性(X線照射によるダメージに伴うシンチレータ層13の感度減衰)との相関を示す。試験条件は、入射X線:70kV−0.0087mGy、X線耐性における積算照射線量:通常のX線画像診断における3年間使用相当、感度減衰比:シンチレ−タ層中のTl濃度が0.1mass%の場合のX線耐性後の感度減衰率を基準(1.0)とした比率であり、各試験サンプルのシンチレータ層形成条件(シンチレータ層13中のTl濃度を除く)は同一である。そして、図13に示すように、シンチレータ層13中のTl濃度が一定の閾値である0.4mass%よりも少ないと、X線耐性の劣化が少なく、また、シンチレータ層13中のTl濃度が一定の閾値である0.4mass%以上になると、X線耐性の劣化が顕著となり、さらにTl濃度が一定の閾値である1.0mass%以上になると、X線耐性の劣化傾向が鈍化した。
これは、一般的に物質が高エネルギーの照射(X線等)を受けた場合、物質を構成する原子間の結合にダメージ(結合が切れる等)が生じることに由来し、特に光を透過する蛍光体等においては、高エネルギーの照射(X線等)を受けた場合、ダメージによる着色(カラーセンター)が発生するためと考えられる(前記非特許文献2参照)。また、一般的に、物質が高エネルギーの照射(X線等)を受けた場合、高エネルギーの照射によるダメージは物質の結晶状態に依存し、不純物濃度が高い場合や結晶の歪が大きい場合は、不純物濃度が低い場合や結晶の歪が小さい場合に対してダメージが大きくなることが考えられる。
ここで、ハロゲン化物であるCsIにTlを賦活剤として含有する蛍光体で構成されるシンチレータ層13においては、賦活剤は不純物であることから、シンチレータ層13中のTl濃度が高い程、入射X線によるダメージが顕著となるため、図13に示されるシンチレータ層13中のTl濃度とX線耐性(感度減衰比)の相関とも合致することになる。
したがって、シンチレータ層13のX線耐性を改善するには、蛍光体中の賦活剤の濃度は0.4mass%以下が好ましいが、図6および図8に示されるように、蛍光体中の賦活剤の濃度が0.05mass%以下(0mass%では発光しない)では、感度および残像の劣化傾向が顕著となる。すなわち、シンチレータ層13に顕著な特性劣化を起こさずにX線耐性を改善するには、蛍光体中の賦活剤の濃度は0.2mass%±0.15mass%以内であること好ましい。
次に、図14(a)はシンチレータ層13を示す模式図、図14(b)はシンチレータ層13に入射するX線16の線質が硬い場合のX線吸収量を示す模式図、図14(c)はシンチレータ層13に入射するX線16の線質が柔らかい場合のX線吸収量を示す模式図である。また、シンチレータ層13の母材をCsIとした場合におけるシンチレータ層13の膜厚と各特性との相関を試験した結果を図15および図16に示す。
図14(a)(b)(c)に示されるように、シンチレータ層13に入射したX線16はシンチレータ層13で吸収および可視光に変換されることから、入射X線のエネルギーはシンチレータ層13の膜厚方向zに沿って順次減衰するため、シンチレータ層13の発光レベルも膜厚方向zに沿って順次減衰することとなる。
このため、シンチレータ層13にX線16が入射した場合、シンチレータ層13の発光特性は、X線入射側のシンチレータ層13の特性に依存することとなる。
図15はX線吸収率50%におけるシンチレータ層13の膜厚とX線の線質{X線発生源(X線管)の管電圧}との相関{NIST(米国立標準技術研究所)の材料データより概算}である。試験条件は、入射X線:単一線(単一の線質で形成されるX線)、シンチレータ層13のX線吸収率:50%である。
図16は管電圧70kVにおけるシンチレータ層13の膜厚とX線吸収率との相関である。試験条件は、入射X線:単一線、X線の線質(管電圧):70kVである。
そして、図14(b)(c)、図15および図16から分かるように、X線は線質が硬い{X線発生源(X線管)の管電圧が高い}程、物質の透過性が高いため、シンチレータ層13にX線が入射した場合、X線の線質が硬い程、シンチレータ層13の膜厚方向zに沿って生じる減衰は小さくなる。
しかし、X線発生源であるX線管の特性上、発生するX線は単一線では無く、設定された線質よりも軟らかい線質{X線発生源(X線管)の管電圧が低い}が多く含まれるため、一般的なX線画像を用いた診断においては、シンチレータ層13の発光特性はよりX線入射側のシンチレータ層13の特性に依存することとなる。
例えば、シンチレータ層13の母材をCsI、シンチレータ層13の膜厚を500μm、入射X線の管電圧を70kV(単一線)とした事例の場合、シンチレータ層13のX線吸収率は約50%であり、かつシンチレータ層13のX線の入射側の領域(シンチレータ層13の膜厚の1/10の領域)において、シンチレータ層13に吸収されたX線全体のうちの15%以上が吸収されることとなる。
さらに、X線発生源であるX線管から発生されるX線は単一線では無く、設定された線質よりも軟らかい線質が多く含まれるため、前記事例の場合、シンチレータ層13のX線入射側の領域(シンチレータ層13の膜厚の1/10程度の領域)において、シンチレータ層13に吸収されたX線全体のうちの少なくとも25%以上が吸収されると考えられる。
一般的な間接方式のX線平面画像検出器や図5に示されるCCD−DR方式の撮影装置20においては、不要な被曝を軽減するため、シンチレータ層13のX線吸収率が少なくとも50%以上となるようなシンチレータ層13の膜厚を選択することが多く、例えば、管電圧を70kV付近として使用されることが多い一般撮影用途のX線平面画像検出器の場合、シンチレータ層13の膜厚は500μm以上とすることが一般的である。
このため、一般的な間接方式のX線平面画像検出器や図5に示されるCCD−DR方式の撮影装置20は、シンチレータ層13のX線の入射側の領域(シンチレータ層13の膜厚の1/10程度の領域)において、シンチレータ層13の発光全体のうちの25%以上が発生すると考えられる。
次に、図17にシンチレータ層13の一般的な形成方法の模式図を示す。真空チャンバ30内に支持基板11を配置し、この支持基板11を回転させながら、真空チャンバ30内に設置されているCsIの蒸発源31からの蒸発粒31aとTlIの蒸発源32からの蒸発粒32aを支持基板11の積層面に蒸着する真空蒸着法により、シンチレータ層13を積層形成する。
このとき、支持基板11の回転周期とCsIおよびTlIの蒸発とを制御すれば、シンチレータ層13の積層周期当りの面内方向および膜厚方向のTl濃度分布を任意に制御することができる。そのため、シンチレータ層13の形成時において、シンチレータ層13の積層周期当りの面内方向および膜厚方向のTl濃度分布の均一性を確保すれば、シンチレータ層13の全体の面内方向および膜厚方向のTl濃度分布の均一性も確保されることとなる。
さらに、図18(a)(b)にシンチレータ層13の本実施形態の形成方法の模式図を示す。真空チャンバ30内に、CsIの蒸発源31、必要とされるTl濃度に対応したTlIの2つの蒸発源32-1,32-2が配置されている。そして、真空チャンバ30内に支持基板11を配置し、この支持基板11を回転させながら、CsIの蒸発源31からの蒸発粒31aと、必要とされるTl濃度によって切り換えられるTlIの蒸発源32-1,32-2からの蒸発粒32a-1,32a-2とを支持基板11の積層面に蒸着する真空蒸着法により、シンチレータ層13を積層形成する。これにより、シンチレータ層13の膜厚方向のTl濃度分布を変化させることが可能となる。すなわち、シンチレータ層13の入射側領域をA、非入射側領域をBとした場合、蛍光体中の賦活剤の膜厚方向の濃度および濃度分布をA<Bとし、かつ入射側領域Aおよび非入射側領域Bの賦活剤の濃度領域のみで構成し、入射側領域Aおよび非入射側領域B以外の賦活剤の濃度領域は存在しないように形成することが可能となる。
以上のことから、ハロゲン化物であるCsIにTlを賦活剤として含有する蛍光体で構成されるシンチレータ層13において、シンチレータ層13の入射側領域AをX線耐性が良好なTl濃度とし、かつ残りの非入射側領域BのTl濃度を最適化すれば、残像特性の改善とX線耐性の改善との両立が可能となる。すなわち、入射側領域Aにおける蛍光体中の賦活剤の濃度は0.2mass%±0.15mass%、非入射側領域Bにおける蛍光体中の賦活剤の濃度は1.6mass%±0.4mass%とすることにより、残像特性の改善とX線耐性の改善との両立が可能となる。
しかも、入射側領域Aにおける蛍光体中の賦活剤の濃度と非入射側領域Bにおける蛍光体中の賦活剤の濃度との間の濃度領域は、入射側領域Aに比べてX線耐性が低下し、非入射側領域Bに比べて残像特性が低下するため、入射側領域Aおよび非入射側領域Bの賦活剤の濃度領域のみで構成し、入射側領域Aおよび非入射側領域B以外の賦活剤の濃度領域は存在しないものとすることにより、高いレベルでの残像特性の改善とX線耐性の改善との両立が可能となる。
さらに、シンチレータ層13の膜厚方向における入射側領域Aが占める割合を10%以上とすれば、残像特性の改善とX線耐性の改善との両立が可能となる。例えば、シンチレータ層13の膜厚方向における入射側領域Aが占める割合が10%よりも小さいと、各特性の改善バランスが崩れることとなる。
さらに、シンチレータ層13は、入射側領域Aおよび非入射側領域B内における単位膜厚200nm以下の領域において、面内方向および膜厚方向の賦活剤の濃度分布が±15%以下であり、均一性が維持されていることにより、安定した各特性が得られる。
さらに、シンチレータ層13は、CsIとTlIの2つの蒸発源32-1,32-2を用いた真空蒸着法により形成され、かつ好ましくは短冊状の柱状結晶13aの構造を有している。
故に、ハロゲン化物であるCsIにTlを賦活剤として含有する蛍光体で構成されるシンチレータ層13に上記(1)〜(4)の特徴を付与すれば、シンチレータ層13の特性改善(残像特性およびX線耐性を含めた総合的な改善)が可能となる。
また、図1に示される第1の構造例のシンチレータパネル10の実施例について説明する。この実施例では、シンチレータ層13の母材:CsI、賦活剤:Tl、シンチレータ層13の積層周期:150nm、シンチレータ層13の面内方向および膜厚方向の賦活剤の濃度分布:±15%とし、シンチレータ層13の膜厚方向の濃度分布の有無、シンチレータ層13中の賦活剤の濃度をそれぞれ異ならせたサンプルI、II、III、IV、Vを作成する。図19(a)(b)(c)(d)(e)にはサンプルI、II、III、IV、Vのシンチレータ層13の模式図を示す。
サンプルIは、シンチレータ層13の膜厚方向の濃度分布:一定、シンチレータ層13の膜厚:350μm、シンチレータ層13中の賦活剤の濃度:0.1mass%である。
サンプルIIは、シンチレータ層13の膜厚方向の濃度分布:一定、シンチレータ層13の膜厚:350μm、シンチレータ層13中の賦活剤の濃度:1.2mass%である。
サンプルIIIは、シンチレータ層13の入射側領域をA、および非入射側領域をBとし、入射側領域Aでは膜厚:35μm、および賦活剤の濃度:0.1mass%であり、非入射側領域Bでは膜厚:315μm、および賦活剤の濃度:1.2mass%である。
サンプルIVは、シンチレータ層13の膜厚方向の濃度分布:一定、シンチレータ層13の膜厚:350μm、シンチレータ層13中の賦活剤の濃度:1.6mass%である。
サンプルVは、シンチレータ層13の入射側領域をA、および非入射側領域をBとし、入射側領域Aでは膜厚:35μm、および賦活剤の濃度:0.1mass%であり、非入射側領域Bでは膜厚:315μm、および賦活剤の濃度:1.6mass%である。
これら5つのサンプルI、II、III、IV、Vについて、それぞれ図6に示されるCCD−DR方式の撮影装置20に組み合わせ、特定の撮影条件下にて被写体を撮影し、所定の画像処理条件にて撮影画像を処理した場合のX線画像(n回目)を図20(a)(b)(c)(d)(e)に示すとともに、特性の結果を図21の表に示す。
図21において、感度比、MTF比、残像比は、シンチレータ層13中のTl濃度が0.1mass%の場合を基準(1.00)とした比率である。感度減衰比は、シンチレ−タ層中のTl濃度が0.1mass%の場合のX線耐性後の感度減衰率を基準(1.00)とした比率である。
感度比およびMTF比の試験条件は、入射X線:70kV−0.0087mGyとする。残像比の試験条件は、(n−1)回目とn回目のX線画像の入射X線の線量差を(n−1)>nとし、(n−1)回目のX線画像では入射X線:70kV−0.87mGy、被写体:鉛板(板厚3mm)、X線画像取得間隔:60secとし、n回目のX線画像では入射X線:70kV−0.0087mGy、被写体:無し、X線画像取得間隔:60secとする。X線耐性の試験条件は、入射X線:70kV−0.0087mGy、積算照射線量:通常のX線画像診断における3年間使用相当とする。
画像処理条件は、フラットフィールド補正(Flat Field Correction):有り、ウィンドウ処理:有り(画像のヒストグラム平均値±10%)とする。
そして、図20(a)に示すように、賦活剤の濃度が0.1mass%のサンプルIでは、図中破線で囲む範囲に残像が確認された。一方、図20(b)(c)(d)(e)に示すように、サンプルII、III、IV、Vでは、図中破線で囲む範囲に残像は確認されなかった。
図21に示すように、サンプルIは、X線耐性(感度減衰比)が最も優れるが、感度比が低下するとともに、残像比が高くなって上述のように残像が確認されるようになる。
サンプルIIは、サンプルIに比べて、感度比および残像比が改善されたが、X線耐性(感度減衰比)の低下が確認された。
サンプルIIIは、サンプルIIに比べて、感度比および残像比がわずかに低下するもののX線耐性(感度減衰比)の改善が確認された。
サンプルIVは、サンプルI、II、IIIに比べて、感度比および残像比の改善が確認されたが、X線耐性(感度減衰比)の低下が確認された。
サンプルVは、サンプルIIIに比べて、X線耐性(感度減衰比)がほとんど変わらず、感度比および残像比の改善が確認された。さらに、サンプルVは、サンプルIVに比べて、感度比および残像比がわずかに低下するものの、X線耐性(感度減衰比)の改善が確認された。
したがって、シンチレータ層13に本実施形態で規定される上記(1)〜(4)の特徴を付与すれば、感度やMTFも良好な状態で、残像特性の改善とX線耐性の改善との両立ができるため、シンチレータパネル10の高性能化と信頼性の向上が可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 シンチレータパネル
11 支持基板
13 シンチレータ層
16 放射線としてのX線
A 入射側領域
B 非入射側領域

Claims (7)

  1. 放射線を透過する支持基板と、
    前記支持基板上に形成され、外部から入射した放射線を光に変換するシンチレータ層と
    を具備し、
    前記シンチレータ層は、
    ハロゲン化物であるCsIにTlを賦活剤として含有する蛍光体であり、
    前記シンチレータ層の膜厚方向における前記放射線の入射側を入射側領域、および前記入射側領域とは反対側を非入射側領域とすると、前記入射側領域における前記蛍光体中の前記賦活剤の濃度は0.2mass%±0.15mass%、前記非入射側領域における前記蛍光体中の前記賦活剤の濃度は1.6mass%±0.4mass%である
    ことを特徴とするシンチレータパネル。
  2. 前記シンチレータ層は、前記入射側領域および前記非入射側領域の前記賦活剤の濃度領域のみで構成されている
    ことを特徴とする請求項1記載のシンチレータパネル。
  3. 前記シンチレータ層の膜厚方向における前記入射側領域が占める割合は10%以上である
    ことを特徴とする請求項1または2記載のシンチレータパネル。
  4. 前記シンチレータ層は、前記入射側領域および前記非入射側領域内におけるそれぞれの単位膜厚200nm以下の領域において、面内方向および膜厚方向のそれぞれの前記賦活剤の濃度分布が±15%以下である
    ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一記載のシンチレータパネル。
  5. 前記シンチレータ層は、柱状結晶構造を有する
    ことを特徴とする請求項1ないし4いずれか一記載のシンチレータパネル。
  6. 前記支持基板は、遷移金属元素よりも軽元素を主成分とする物質から構成されている
    ことを特徴とする請求項1ないし5いずれか一記載のシンチレータパネル。
  7. 放射線を透過する支持基板と、前記支持基板上に形成され外部から入射した放射線を光に変換するシンチレータ層とを具備するシンチレータパネルの製造方法であって、
    前記シンチレータ層は、ハロゲン化物であるCsIにTlを賦活剤として含有する蛍光体であり、
    前記シンチレータ層の膜厚方向における前記放射線の入射側を入射側領域、および前記入射側領域とは反対側を非入射側領域とすると、前記入射側領域における前記蛍光体中の前記賦活剤の濃度は0.2mass%±0.15mass%、前記非入射側領域における前記蛍光体中の前記賦活剤の濃度は1.6mass%±0.4mass%となるように、前記CsIと前記Tlとを材料源とした気相成長法により前記シンチレータ層を形成する
    ことを特徴とするシンチレータパネルの製造方法。
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