JP2017078434A - 構造物用制振ダンパー - Google Patents

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Takahiro Koizumi
貴宏 小泉
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【課題】構造が簡単で、専用金型で製造が可能で、弾性ゴム、鉛又は錫の筒状部材への加硫接着、圧入が容易な構造物用制振ダンパーを提供することを目的とする。【解決手段】一方の構造体に固定される筒状部材2と、他方の構造体に固定され、筒状部材2との間で相対変位可能に配置されロッド部材3を備え、筒状部材2を複数の単位筒状体4で構成し、単位筒状体4毎に内壁にロッド部材3を挿通する穴を形成したリング状の弾塑性ゴム、鉛又は錫からなる地震エネルギー吸収材5の外周部を固定し、リング状の地震エネルギー吸収材5の内壁にロッド部材3が挿通され、相対変位を地震エネルギー吸収材に伝達する中空パイプを配置し、単位筒状体4の外周端部に雄ねじ部を形成し単位筒状体4に雌ねじ部を形成した連結リング9で連結して筒状部材2とし、筒状部材2とロッド部材3の相対変位で地震エネルギーを吸収することを特徴とする。【選択図】図3

Description

本発明は、建築物や橋梁等の構造物の地震時の振動を抑制する構造物用制振ダンパーに関する。
構造物用制振ダンパーとしてオイルダンパー、エアーダンパーや粘弾性ダンパー、弾性ゴムダンパーが知られている。
特許第2541073号公報 特許第2566833号公報
オイルダンパーやエアーダンパーは、温度依存性がなく、高速時のエネルギー吸収性に優れ、繰り返しの変形に強いという利点を有するが、低速時の性能が低く、密閉性が必要で、液漏れが発生しやすいという問題がある。また、オイルダンパーやエアーダンパーは,シリンダー内部を密閉するために,シリンダー先端の蓋に設けた穴の内周部とロッド外周部の間で,シール材等を用いて密閉しまた滑動可能としている。ダンパーの外部に露出したピストンロッドの外周部には,外気によって錆びが生じやすい。ロッドの外周部表面に錆びによって凸凹が生じた場合には,密閉および滑動の役割を担うシール材が,ロッド外周部の凸凹によって容易に削られて破損する。その結果,ダンパーの密閉性が失われる。この障害を取り除くために,従来のダンパーではロッド外周部の錆を,定期的に除去するメンテナンスが必要となるという問題を有する。
粘弾性ダンパー等の弾性体の変形による振動吸収機能を有する制振ダンパーは、構造が簡単でメンテナンスも容易であるという利点を有する。 弾塑性ゴムの弾塑性変形によるダンパーは、ゴムの組成を変えることにより性能を変化することができ、繰り返し変形に強いという利点を有する。
しかしながら、弾性ゴムによるエネルギー吸収効率を向上するためには、筒状部材の長さを長くすると共に、筒状部材の内壁に固定される弾塑性ゴムの長さも長くする必要がある。長さの長い弾塑性ゴムを筒状部材の内壁に固着するために加硫接着が実施されるが弾性ゴムと筒状部材との接着性にばらつきが生じるという問題が発生する。また、異なるバリエーションのダンパーを製造する場合、それぞれのサイズに応じた金型が必要になるという問題を有する。
本発明は、従来技術の持つ問題を解決する、構造が簡単で、専用金型で製造が可能で、弾塑性ゴム、鉛又は錫からなる地震エネルギー吸収材の筒状部材への加硫接着、圧入が容易で、必要とする地震エネルギー吸収性能を有する制振ダンパーを製造することが可能な構造物用制振ダンパーを提供することを目的とする。
本発明の構造物用制振ダンパーは、前記課題を解決するために、地震時に相対変位する一方の構造体に固定される筒状部材と、他方の構造体に固定され、前記筒状部材の開口から内部に伸び、前記筒状部材との間で相対変位可能に配置されたロッド部材と、を備え、前記筒状部材を複数の単位筒状体で構成し、前記単位筒状体毎にその内壁に前記ロッド部材を挿通する穴を形成したリング状の弾塑性ゴム、鉛又は錫からなる地震エネルギー吸収材の内の少なくとも1つの外周部を固定し、前記リング状の地震エネルギー吸収材の内壁に前記ロッド部材が挿通可能で、地震時の相対変位を地震エネルギー吸収材に伝達する中空パイプを配置し、前記複数の単位筒状体の外周端部に雄ねじ部を形成し単位筒状体を雌ねじ部を形成した連結リングで連結して筒状部材とし、前記筒状部材と前記ロッド部材の地震時の相対変位を前記地震エネルギー吸収材に作用させて地震エネルギーを吸収することを特徴とする。
また、本発明の構造物用制振ダンパーは、異なる種類の地震エネルギー吸収材を配置した単位筒状体を連結して筒状部材を構成することを特徴とする。
また、本発明の構造物用制振ダンパーは、単位筒状体に配置される地震エネルギー吸収材としての弾塑性ゴムの硬度を必要に応じて異なるように設定することを特徴とする。
また、本発明の構造物用制振ダンパーは、前記単位筒状体に配置される弾塑性ゴムを仕切りパイプを介して多層積層構造とすることを特徴とする。
また、本発明の構造物用制振ダンパーは、前記鉛又は錫をリング状として前記中空パイプに嵌挿し、前記リング状の鉛又は錫の相対変位方向の両側に接する変位伝達プレートを前記中空パイプに固定して配置することを特徴とする。
また、本発明の構造物用制振ダンパーは、前記変位伝達プレートを応力による変形度が前記鉛又は錫と同程度の金属又は樹脂で形成することを特徴とする。
地震時に相対変位する一方の構造体に固定される筒状部材と、他方の構造体に固定され、前記筒状部材の開口から内部に伸び、前記筒状部材との間で相対変位可能に配置されたロッド部材と、を備え、前記筒状部材を複数の単位筒状体で構成し、前記単位筒状体毎にその内壁に前記ロッド部材を挿通する穴を形成したリング状の弾塑性ゴム、鉛又は錫からなる地震エネルギー吸収材の内の少なくとも1つの外周部を固定し、前記リング状の地震エネルギー吸収材の内壁に前記ロッド部材が挿通可能で、地震時の相対変位を地震エネルギー吸収材に伝達する中空パイプを配置し、前記複数の単位筒状体の外周端部に雄ねじ部を形成し単位筒状体を雌ねじ部を形成した連結リングで連結して筒状部材とし、前記筒状部材と前記ロッド部材の地震時の相対変位を前記地震エネルギー吸収材に作用させて地震エネルギーを吸収することで、長さの短い単位筒状体を専用金型で製作することができ安価で品質のばらつきの少ないダンパーを製造することが可能となる。また、短い単位筒状体への地震エネルギー吸収材の配置が長い筒状部材に比較し極めて容易とすることが可能となる。地震エネルギー吸収材を配置した単位筒状体がユニット化されているので必要に応じたバリエーションのダンパーを安価に且つ容易に製作することが可能となる。中空パイプを配置することで、ロッド部材の相対移動が確保され、確実に地震時の相対変位を地震エネルギー吸収材に伝達することが可能となる。
異なる種類の地震エネルギー吸収材を配置した単位筒状体を連結して筒状部材を構成することで、地震エネルギー吸収材を配置した単位筒状体がユニット化されているため、剛性を求める弾性ゴムダンパーと減衰性を求める鉛ダンパーというように求める機能に応じて種類の異なるダンパーの組み合わせが可能となる。
単位筒状体に配置される地震エネルギー吸収材としての弾塑性ゴムの硬度を必要に応じて異なるように設定することで、多層の弾性ゴムのそれぞれの変形形状を同一に近づけ、且つ、中空パイプと弾塑性ゴムとの加硫接着部の剥離を防止することが可能となる。
単位筒状体に配置される弾塑性ゴムを仕切りパイプを介して多層積層構造とすることで、大きな変位による弾塑性ゴムのひずみ量を低減することが可能となる。
鉛又は錫をリング状として前記中空パイプに嵌挿し、前記リング状の鉛又は錫の相対変位方向の両側に接する変位伝達プレートを前記中空パイプに固定して配置することで、地震時の変位を中空パイプに固定された変位伝達プレートを介して確実に鉛又は錫に伝達し地震エネルギーを吸収することが可能となる。
変位伝達プレートを応力による変形度が鉛又は錫と同程度の金属又は樹脂で形成することで、鉛又は錫の繰り返し変形による変形形状をほぼ同一とすることで安定した地震エネルギー吸収性能を維持することが可能となる。
本発明の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態を示す図である。 本発明の実施形態を示す図である。 (a)(b)本発明の実施形態を示す図である。 (a)(b)本発明の実施形態を示す図である。 (a)(b)本発明の実施形態を示す図である。9を螺着 (a)(b)本発明の実施形態を示す図である。
本発明の構造物用制振ダンパーの実施の形態を図により説明する。図1、図2、図3により、本発明の構造物用制振ダンパーの一実施形態を説明する。
構造物用制振ダンパー1は、建築物や橋梁等の構造物の一方の構造体に連結される筒状部材2と、他方の構造体に連結するロッド部材3を備えている。図2に示されるようにロッド部材3の両端外周には雄ねじ部3aが形成される。
筒状部材2は、複数の単位筒状体4を連結して構成される。単位筒状体4は断面円形で同一径、同一長さの部材として形成されるため専用金型で成形が可能であるため安価に製造することが可能である。単位筒状体4の端部外周には連結用の雄ねじ部4aが形成される。
単位筒状体4の内部に地震エネルギー吸収材5として、リング状の弾性ゴム6、リング状の鉛又は錫7、リング状の弾性ゴム6とリング状の鉛又は錫7の少なくともいずれかを配置する。リング状の地震エネルギー吸収材5の内側にロッド部材3が挿通可能な中空パイプ8を配置する。地震エネルギー吸収材がリング状の弾性ゴム6の場合、加硫接着により単位筒状体4、弾塑性ゴム5、中空パイプ8を一体化する。
中空パイプ8は、地震による相対変位を地震エネルギー吸収材5に伝達する機能と、地震エネルギー吸収材5の地震による内側への変形を抑制する機能と、ロッド部材3の相対変位を確保する機能を有する。
図3に示されるように、内側に雌ねじ部を形成した連結リング9を単位筒状体4の端部外周に形成した雄ねじ部4aに螺着し、複数の単位筒状体4を一体に連結し筒状部材2を形成する。相対変位する他方の構造体に連結されるロッド部材3を、複数の単位筒状体4を連結して形成される筒状部材2の中空パイプ8に挿入する。ロッド部材3の他方の構造体側の雄ねじ部3aに中空パイプ8の端面と接するようにナット10を螺着する。さらに、ロッド部材3の雄ねじ部3aにカプラー11を螺着し、カプラー11に他方の構造体に連結するための取付部材12を螺着する。
一方の構造体側の単位筒状体4には、リング状の地震エネルギー吸収材5が単位筒状体4に空間部が形成されるように配置される。ロッド部材3の一方の構造体側の端部は、一方の構造体側の単位筒状体4内に形成された空間部に位置する。ロッド部材3の一方の構造体側の雄ねじ部3aに中空パイプ8の端面と接するようにナット13を螺着する。一方の構造部側の単位筒状体4と一方の構造体に連結するための取付部材14を連結リング9を螺着して連結する。
図4(a)(b)は、単位筒状体4内に地震エネルギー吸収材5としてリング状弾性ゴム6を配置した実施形態を示す。リング状の弾性ゴム6と中空パイプ8の外周、単位筒状体4の内周を加硫接着により一体にする。
弾性ゴム6の硬度を他の地震エネルギー吸収材5を配置した単位筒状体4との組み合わせに応じて異なるように設定しても良い。弾性ゴム6として高減衰性ゴムを用いると地震エネルギーの吸収効率が向上する。地震時の変位は中空パイプ8を介して弾性ゴム6に伝達され、弾性ゴム6が弾性変形して地震エネルギーを吸収する。
図5(a)(b)は、単位筒状体4の内部にエネルギー吸収材5としてのリング状の鉛又は錫7を配置した実施形態を示す図である。単位筒状体4にリング状の鉛又は錫7を配置する場合、単位筒状体4を鉛又は錫7を囲む容器構造とする。リング状の鉛又は錫7の内周に接する中空パイプ8の外周には、リング状の鉛又は錫7の相対変位方向の両端面に接する半径方向の外側に伸びるリング状の変位伝達プレート8aが固定される。変位伝達プレート8aの中空パイプ8への固定は、溶接又は中空パイプ8に形成した環状溝への嵌合等の手段による。
地震時の変位は中空パイプ8に固定された変位伝達プレート6aから鉛又は錫7に伝達され、鉛又は錫7がせん断変形して地震エネルギーを吸収する。変位伝達プレート8aの応力による変形度が鉛又は錫と同程度の金属又は樹脂で形成することで、鉛又は錫の繰り返し変形による変形形状をほぼ同一とし安定した地震エネルギー吸収性能を維持することが可能となる。
図6(a)(b)は、単位筒状体4の内部にエネルギー吸収材5として、リング状の弾塑性ゴム6とリング状の鉛又は錫7を配置した実施形態を示す図である。弾性ゴム6は加硫接着により配置される。リング状の鉛又は錫7の内周に接する中空パイプ8の外周には、リング状の鉛又は錫7の相対変位方向の両端面に接する半径方向の外側に伸びるリング状の変位伝達プレート8aが固定される。変位伝達プレート8aの中空パイプ8への固定は、溶接又は中空パイプ6に形成した環状溝への嵌合等の手段による。
図7(a)(b)は、単位筒状体4の内部に地震エネルギー吸収材5としてリング状の弾性ゴム6を配置した他の実施形態を示す図である。この実施形態ではリング状の弾性ゴム6の間に仕切りパイプ15を配置し、弾性ゴム6を多層積層構造としたものである。図に示される実施形態では、仕切りパイプ15は1本であるが、複数の仕切りパイプ15を配置しても良い。多層積層構造の弾性ゴム5の中空パイプ6が固定され、地震時の変位を多層積層構造の弾性ゴム5に伝達し、地震エネルギーを吸収する。弾性ゴム6を多層積層構造とすることにより、弾性ゴム6の地震の変位によるひずみ量を調整することが可能となり、且つ、弾性ゴム6と中空パイプ8との間の接着剥がれを防止することが可能となる。
以上のように本発明の構造物用制振ダンパーによれば、長さの短い単位筒状体を専用金型で製作することができ安価で品質のばらつきの少ないダンパーを製造することが可能となる。また、短い単位筒状体への地震エネルギー吸収材の配置が長い筒状部材に比較し極めて容易とすることが可能となる。地震エネルギー吸収材を配置した単位筒状体がユニット化されているので必要に応じたバリエーションのダンパーを安価に且つ容易に製作することが可能となる。
1:構造物用制振ダンパー、2:筒状部材、3:ロッド部材、3a:雄ねじ、4:単位筒状体、4a:雄ねじ部、5:地震エネルギー吸収材、6:弾性ゴム、7:鉛又は錫、8:中空パイプ、8a:変位伝達プレート、9:連結リング、10:ナット、11:カプラー、12:取付部材、13:ナット、14:取付部材、15:仕切りパイプ

Claims (6)

  1. 地震時に相対変位する一方の構造体に固定される筒状部材と、
    他方の構造体に固定され、前記筒状部材の開口から内部に伸び、前記筒状部材との間で相対変位可能に配置されたロッド部材と、
    を備え、
    前記筒状部材を複数の単位筒状体で構成し、前記単位筒状体毎にその内壁に前記ロッド部材を挿通する穴を形成したリング状の弾塑性ゴム、鉛又は錫からなる地震エネルギー吸収材の内の少なくとも1つの外周部を固定し、前記リング状の地震エネルギー吸収材の内壁に前記ロッド部材が挿通可能で、地震時の相対変位を地震エネルギー吸収材に伝達する中空パイプを配置し、前記複数の単位筒状体の外周端部に雄ねじ部を形成し単位筒状体を雌ねじ部を形成した連結リングで連結して筒状部材とし、前記筒状部材と前記ロッド部材の地震時の相対変位を前記地震エネルギー吸収材に作用させて地震エネルギーを吸収することを特徴とする構造物用制振ダンパー。
  2. 異なる種類の地震エネルギー吸収材を配置した単位筒状体を連結して筒状部材を構成することを特徴とする請求項1に記載の構造物用制振ダンパー。
  3. 単位筒状体に配置される地震エネルギー吸収材としての弾塑性ゴムの硬度を必要に応じて異なるように設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物用制振ダンパー。
  4. 前記単位筒状体に配置される弾塑性ゴムを仕切りパイプを介して多層積層構造とすることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の構造物用制振ダンパー。
  5. 前記鉛又は錫をリング状として前記中空パイプに嵌挿し、前記リング状の鉛又は錫の相対変位方向の両側に接する変位伝達プレートを前記中空パイプに固定して配置することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の構造物用制振ダンパー。
  6. 前記変位伝達プレートを応力による変形度が前記鉛又は錫と同程度の金属又は樹脂で形成することを特徴とする請求項5に記載の構造物用制振ダンパー。
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