JP2017078146A - ブロックポリイソシアネート組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
また、上記ポリイソシアネートのイソシアネート基を、ブロック剤により封鎖させたブロックポリイソシアネートは、主剤である活性水素化合物と混合しても常温では反応せず、加熱することにより該活性水素化合物との反応が進行する。このため、あらかじめ主剤と硬化剤を混合した状態で貯蔵することが可能となる。イソシアネート基を封鎖するブロック剤として、オキシム系、アルコール系、フェノール系、アミン系などがあり、種々のポリイソシアネートとブロック剤との組み合わせが提案されている。
近年、環境保全や省資源の観点から、加熱のためのエネルギー量削減を狙いとして、低温硬化性のブロックポリイソシアネート含有熱硬化性組成物が報告されている。具体的には、例えば、特許文献1〜4の、活性メチレン系ブロックポリイソシアネートを使用したものが挙げられる。
特許文献1と2に開示されたブロックポリイソシアネートにおいては、主剤である多価活性水素化合物の種類によっては、主剤との相溶性が不足する場合がある。相溶性が十分でないと、主剤と混合した時に白濁が発生してしまう。
また、特許文献3においては、ブロックポリイソシアネートの結晶性が高いため、主剤との相溶性や低温での貯蔵安定性に劣る懸念がある。さらに、特許文献4においても、熱硬化性組成物としたときの低温硬化性が不十分である懸念がある。
従って、熱硬化性組成物としたときの低温硬化性と、主剤との相溶性、低温での貯蔵安定性に優れたブロックポリイソシアネートが求められている。
[1]脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートから得られるポリイソシアネートにおいて、含有するイソシアネート基の少なくとも一部が、マロン酸ジエステル化合物およびアセト酢酸エステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のブロック剤でブロックされているブロックポリイソシアネート、及び、
1価アルコール化合物
を含有し、
前記ブロックポリイソシアネートに含まれる以下の3つの結合のモル数を各々(a)〜(c)としたときに、(a)/((a)+(b)+(c))=0.0020以上0.50未満である、
ブロックポリイソシアネート組成物:
(a)イソシアネート基と1価アルコール化合物とのウレタン結合
(b)イソシアネート基とマロン酸ジエステル化合物との結合
(c)イソシアネート基とアセト酢酸エステル化合物との結合。
[2]前記1価アルコール化合物が、炭素数3以上10以下の1級アルコールである、[1]に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
[3]前記ブロック剤が、マロン酸ジエステルとアセト酢酸エステルの両方を含む、[1]または[2]に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
[4]前記ブロック剤が、マロン酸ジエチルおよび/またはアセト酢酸エチルである、[1]または[2]に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
[5]前記ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートである、[1]〜[4]のいずれかに記載のブロックポリイソシアネート組成物。
[6][1]〜[5]のいずれかに記載のブロックポリイソシアネート組成物と、多価活性水素化合物とを含む、熱硬化性組成物。
[7][6]に記載の熱硬化性組成物を加熱硬化する工程を含む、硬化物の製造方法。
本実施形態におけるブロックポリイソシアネート組成物は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートから得られるポリイソシアネートにおいて、そのイソシアネート基の少なくとも一部がマロン酸ジエステル化合物およびアセト酢酸エステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のブロック剤でブロックされているブロックポリイソシアネート、及び、1価アルコール化合物を含む。
そして、上記ブロックポリイソシアネートに含まれる(a)イソシアネート基と1価アルコール化合物とのウレタン結合、(b)イソシアネート基とマロン酸ジエステル化合物との結合、及び、(c)イソシアネート基とアセト酢酸エステル化合物との間の結合のモル数を各々(a)〜(c)としたときに、(a)/((a)+(b)+(c))が、0.0020以上0.50未満である。
本実施形態において「脂肪族ジイソシアネート」とは、分子中に2つのイソシアネート基と鎖状脂肪族炭化水素を有し、芳香族炭化水素を有しない化合物をいう。
上記脂肪族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、ブタンジイソシアネート、ペンタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」ともいう。)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。このような脂肪族ジイソシアネートを用いることにより、得られるポリイソシアネート前駆体が低粘度となるのでより好ましい。
上記脂環族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、例えば、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族及び脂環族ジイソシアネートは、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用することもできる。
次に、ポリイソシアネートについて説明する。本実施形態において、「ポリイソシアネート」とは、上述の脂肪族ジイソシアネート及び脂環族ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートの多量体(2つ以上のジイソシアネート分子から形成される多量体)である。
上記ポリイソシアネートは特に限定されないが、例えば、ビウレット結合、尿素結合、イソシアヌレート結合、ウレタン結合、ウレトジオン結合、アロファネート結合、オキサジアジントリオン結合及びイミノオキサジアジンジオン結合からなる群より選ばれる少なくとも1種の結合を有するポリイソシアネートが挙げられる。
尿素結合を有するポリイソシアネートは、イソシアネート基と水又はアミン基から形成され得る。ポリイソシアネート中の尿素結合の含有量は少ないことが好ましい。これにより、得られるポリイソシアネートが凝集しにくくなる傾向にある。
また、上記のイソシアヌレート化反応触媒をアロファネート化反応触媒として使用することもできる。上記のイソシアヌレート化反応触媒を用いて、アロファネート化反応を行う場合には、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートも当然のことながら生成する。アロファネート化反応触媒として、上記したイソシアヌレート化反応触媒を用い、アロファネート化反応と、イソシアヌレート化反応とを行うことが経済的であり、生産上好ましい。
アルコールから誘導されるアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比率は、粘度と硬化性の観点から1〜50%であることが好ましく、より好ましくは1〜40%、さらに好ましくは1〜30%である。アロファネート基/イソシアヌレート基のモル比率は、実施例に記載の方法により測定することができる。
アルコールの添加量は、アルコールの水酸基とジイソシアネートのイソシアネート基との当量比で1/1000〜1/10が好ましく、より好ましくは1/1000〜1/100である。1/1000以上とすることで、アロファネート基平均数が多くなる傾向にあり、生成したブロックポリイソシアネート組成物を低粘度化する傾向にあるため好ましい。また、1/10以下とすることで、イソシアネート基平均数が多くなる傾向にあり硬化性に優れるため好ましい。
これらの結合の中でも、耐候性、耐熱性、硬化性、相溶性の点で、ビウレット基、イソシアヌレート基、ウレタン基、アロファネート基を含んだポリイソシアネートが好ましい。
ポリイソシアネートのNCO基含有率は、例えばポリイソシアネートのイソシアネート基を過剰のアミン(ジブチルアミン等)と反応させ、残ったアミンを塩酸などの酸で逆滴定することによって求められる。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物においては、ポリイソシアネート中に含まれる(末端に位置する)イソシアネート基の一部がブロック剤でブロック(封鎖)されている。
ブロック剤としては、マロン酸ジエステル化合物およびアセト酢酸エステル化合物よりなる群より選ばれる少なくとも1種の活性メチレン化合物が用いられる。
なお、これらの活性メチレン化合物でイソシアネート基がブロックされた場合、ブロックされたイソシアネート基は、以下の一般式(1)のようなアミド構造となる。
低温硬化性の点で、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基の好ましくは50当量%以上、より好ましくは60当量%以上、さらに好ましくは80当量%以上がマロン酸ジエステルでブロックされる。
低温硬化性と、黄変性抑制の点で、アセト酢酸エステルでブロックされるイソシアネート基は、ポリイソシアネートに含まれるイソシアネート基の50当量%以下であることが好ましく、より好ましくは40当量%以下、さらに好ましくは30当量%以下である。
他のブロック剤としては、例えば、アルコール系、アルキルフェノール系、フェノール系、マロン酸ジエステル以外の活性メチレン系、メルカプタン系、酸アミド系、酸イミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、アミン系、イミド系、ピラゾール系化合物等が挙げられる。
ブロックポリイソシアネートの有効NCO基含有率は、実質的に溶剤を含んでいない状態で、3〜22質量%であることが好ましく、5〜18質量%であることがさらに好ましい。
有効NCO基含有率は、ポリイソシアネートの仕込み量とNCO基含有率、及びブロック剤の仕込み量より求められる。
本実施形態において、ブロックポリイソシアネート組成物に含まれる1価アルコール化合物に限定はない。1価アルコール化合物は、ブロックポリイソシアネートの未反応の(ブロックされていない)イソシアネート基と反応したり、ブロックポリイソシアネートの末端のエステル基とエステル交換反応したりすることができる。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物においては、この1価アルコール化合物を含むことにより、ブロックポリイソシアネート組成物の結晶化を大幅に抑制することができる。
このような炭素数および沸点を有する1価アルコール化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、iso−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、n−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、n−ヘプタノール、n−オクタノール、2−エチル−1−ヘキサノール、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、シクロヘキサノール、フェノール、ベンジルアルコール等が挙げられ、一種、又は二種以上選択して用いることができる。
また、1価アルコール化合物の炭素数は、ブロックポリイソシアネート組成物と多価活性水素化合物との相溶性の点で、上記マロン酸ジエステルおよび上記アセト酢酸エステルに結合した末端アルキル基の炭素数より高い方が好ましい。
本発明者らの研究によれば、ブロックポリイソシアネートがブロックされていない未反応のイソシアネート基を一部含み、しかも、それが1価アルコール化合物と反応してウレタン結合を有している場合には、結晶化が非常に起こりにくく、相溶性により優れることが判明した。もっとも、上記比率は、0.01以上0.40以下であることが好ましく、0.02以上0.30以下であることがより好ましい。
本実施形態において、ブロックポリイソシアネートは、上述のポリイソシアネートと上述のブロック剤との反応により得ることができる。
上記反応には、通常、ブロック化反応触媒が用いられる。ブロック化反応触媒としては塩基性化合物が好ましく、例えば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチララート、ナトリウムフェノラート、カリウムメチラート等の金属アルコラート;テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイドや、その酢酸塩、オクチル酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩等の有機弱酸塩;酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸のアルカリ金属塩;酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の錫、亜鉛、鉛等の金属塩;ヘキサメチレンジシラザン等のアミノシリル基含有化合物;リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属の水酸化物等が挙げられる。
ポリイソシアネートとブロック剤との反応は、一般に−20〜150℃で行うことが出来るが、副反応の抑制と反応効率の観点から、好ましくは0〜100℃である。反応温度を低くすると、ブロック化反応時にブロック化されないイソシアネート基の残量が多くなる傾向がある。
また、ポリイソシアネートとブロック剤との反応時間は、一般に0.1〜6時間で行うことが出来るが、生成するウレタン結合構造量の適正化の観点から、好ましくは0.5〜4時間である。反応時間を短くすると、ブロック化反応時にブロック化されないイソシアネート基の残量が多くなる傾向がある。
このときの加熱温度及び加熱時間は、例えば、50〜180℃、10〜480分、とすることができる。
ブロックされないイソシアネート基を残す方法として、例えば、あらかじめブロック剤の添加量を、ポリイソシアネートのイソシアネート基のモル量より少なくする方法、ブロック化反応触媒の添加量を制御する方法、反応温度または反応時間を制御する方法等が挙げられる。これらの方法は、単独でもよく、組み合わせてもよい。
また、上記ブロック剤と1価アルコール化合物とを同時に添加する方法により、ブロックポリイソシアネートのイソシアネート基と1価アルコール化合物との間にウレタン結合を形成させる方法を取ることもできる。
以上のような方法により、ブロックポリイソシアネート中の未反応のイソシアネート基と、1価アルコール化合物とがウレタン結合を形成したブロックポリイソシアネート組成物を生成することができる。
上記の工程で製造したブロックポリイソシアネート組成物は、低温硬化性と主剤との相溶性、低温での貯蔵安定性が両立できる。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物には、目的及び用途に応じて、各種有機溶剤を添加することができる。
添加する有機溶剤としては、特に限定されないが、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素系溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶剤;トルエン、キシレン、ジエチルベンゼン、メシチレン、アニソール、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、クロロベンゼン等の芳香族系溶剤;エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコール系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素系溶剤;N−メチル−2−ピロリドン等のピロリドン系溶剤;N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶剤;γ−ブチロラクトン等のラクトン系溶剤;モルフォリン等のアミン系溶剤;及びそれらの混合物が挙げられる。
上記硬化促進触媒としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート、ジメチルスズジネオデカノエート、ビス(2−エチルヘキサン酸)スズ等のスズ系化合物;2−エチルヘキサン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛等の亜鉛化合物;2−エチルヘキサン酸チタン、チタンジイソプロポキシビス(エチルアセトナート)等のチタン化合物;2−エチルヘキサン酸コバルト、ナフテン酸コバルト等のコバルト化合物;2−エチルヘキサン酸ビスマス、ナフテン酸ビスマス等のビスマス化合物;ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、2−エチルヘキサン酸ジルコニル、ナフテン酸ジルコニル等のジルコニウム化合物;アミン化合物等が挙げられる。
上記酸化防止剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、リン系化合物、イオウ系化合物等が挙げられる。
上記紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。
上記光安定剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒンダードアミン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物、ベンゾエート系等が挙げられる。
上記顔料としては、特に限定されないが、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、インディゴ、キナクリドン、パールマイカ、アルミニウム等が挙げられる。
上記レベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーンオイル等が挙げられる。
上記可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル類、リン酸系化合物、ポリエステル系化合物等が挙げられる。
上記レオロジーコントロール剤としては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシエチルセルロース、尿素化合物、マイクロゲル等が挙げられる。
上記界面活性剤としては、特に限定されないが、例えば、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
また、本実施形態に係るポリイソシアネート組成物およびブロックポリイソシアネート組成物において、上述したその他の添加剤の含有量は、0〜80質量%であることが好ましく、0〜70質量%であることが好ましく、0〜60質量%であることがより好ましい。
本実施形態の熱硬化性組成物は、上記ブロックポリイソシアネート組成物と、多価活性水素化合物とを含有する。該熱硬化性組成物を加熱硬化させることによって硬化物を得ることができる。
本実施形態の熱硬化性組成物は、上記ブロックポリイソシアネート組成物を、多価活性水素化合物と混合することにより製造することができる。
本実施形態の熱硬化性組成物を加熱することによって、ブロックポリイソシアネートと、多価活性水素化合物中の活性水素とがエステル交換反応し、硬化物とすることができる。
上記多価活性水素化合物とは、分子内に活性水素が2つ以上結合している化合物である。多価活性水素化合物の例として、特に限定されないが、例えば、ポリオールやポリアミン、アルカノールアミン、ポリチオールなどが挙げられるが、多くはポリオールが使われる。
また、アルカノールアミンとしては、特に限定されないが、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)エチレンジアミン、モノ−、ジ−(n−又はイソ−)プロパノールアミン、エチレングリコールービスープロピルアミン、ネオペンタノールアミン、メチルエタノールアミン等が挙げられる。
上記ポリチオールとしては、特に限定されないが、例えば、ビス−(2−ヒドロチオエチロキシ)メタン、ジチオエチレングリコール、ジチオエリトリトール、ジチオトレイトール等が挙げられる。
上記ポリエステルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリカプロラクトンポリオール類等が挙げられる。ポリエステルポリオールは、特に限定されないが、例えば、二塩基酸の単独又は混合物と、多価アルコールの単独又は混合物との縮合反応によって得られるものが挙げられる。二塩基酸としては、特に限定されないが、例えば、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸等のカルボン酸からなる群より選ばれる二塩基酸が挙げられる。また、多価アルコールとしては、特に限定されないが、具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどからなる群より選ばれる多価アルコールが挙げられる。また、ポリカプロラクトンポリオール類は、特に限定されないが、例えば、多価アルコールを用いたε−カプロラクトンの開環重合により得られる。
上記アクリルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ヒドロキシル基を有するエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物と、これと共重合可能な他のエチレン性不飽和結合含有単量体の単独又は混合物とを共重合したものが挙げられる。
上記ポリエーテルポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウムなどの水酸化物、又は、アルコラート、アルキルアミンなどの強塩基性触媒を使用して、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、シクロヘキセンオキサイド、スチレンオキサイドなどのアルキレンオキサイドの単独又は混合物を付加して得られるポリエーテルポリオール類;エチレンジアミン類等の多官能化合物にアルキレンオキサイドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類;上記ポリエーテル類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られるいわゆるポリマーポリオール類等が挙げられる。
上記ポリオレフィンポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
上記フッ素ポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、分子内にフッ素を含むポリオールであり、例えば特開昭57−34107号公報、特開昭61−275311号公報で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体が挙げられる。
上記ポリカーボネートポリオールとしては、特に限定されないが、例えば、ジメチルカーボネート等のジアルキルカーボネート、エチレンカーボネート等のアルキレンカーボネート、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネート等の低分子カーボネート化合物と、前述のポリエステルポリオールのところで言及した低分子多価アルコールと、を縮重合して得られるものが挙げられる。
ポリウレタンポリオールとしては、特に限定されないが、常法により、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとを反応させることにより得られるものが挙げられる。
上記ポリオールの水酸基価は、架橋密度や硬化物の機械的物性の点で、硬化物あたり10〜300mgKOH/gであることが好ましい。樹脂あたりの水酸基価が10mgKOH/g以上であることによって、架橋密度が減少することを防止し、本実施形態の目的とする物性を十分に達成することができる。一方、樹脂あたりの水酸基価が300mgKOH/g以下であることによって、架橋密度が過度に増大することを抑制し、塗膜の機械的物性を高度に維もの持することができる。上記水酸基価は、滴定法により求めることができる。
メラミン系硬化剤としては、特に限定されないが、例えば、完全アルキルエーテル化メラミン樹脂、メチロール基型メラミン樹脂、一部にイミノ基を有するイミノ基型メラミン樹脂が代表的なものとして例示される。
メラミン系硬化剤を併用する場合は、酸性化合物の添加が有効である。酸性化合物の具体例としては、特に限定されないが、例えば、カルボン酸、スルホン酸、酸性リン酸エステル、亜リン酸エステルが挙げられる。
カルボン酸としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、乳酸、コハク酸、シュウ酸、マレイン酸、デカンジカルボン酸等が挙げられる。
スルホン酸としては、特に限定されないが、例えば、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフタレンジスルホン酸等が挙げられる。
酸性リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジラウリルホスフェート、モノメチルホスフェート、モノエチルホスフェート、モノブチルホスフェート、モノオクチルホスフェート等が挙げられる。
亜リン酸エステルとしては、特に限定されないが、例えば、ジエチルホスファイト、ジブチルホスファイト、ジオクチルホスファイト、ジラウリルホスファイト、モノエチルホスファイト、モノブチルホスファイト、モノオクチルホスファイト、モノラウリルホスファイト等が挙げられる。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、例えば、塗料組成物、粘着剤組成物、接着剤組成物、注型剤組成物等の硬化性組成物;繊維処理剤等の各種表面処理剤組成物;各種エラストマー組成物;発泡体組成物等の架橋剤;改質剤;添加剤として使用することができる。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、静電塗装、ベル塗装などにより、各種素材に、プライマー又は中塗り、上塗りとして好適に使用される。また、この塗料組成物は、さらに防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装、プラスチック塗装などに、美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性、密着性などを付与するために好適に用いられる。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物を含む粘着剤組成物や接着剤組成物の使用分野としては、自動車、建材、家電、木工、太陽電池用積層体等が挙げられる。その中でも、テレビ、パソコン、デジタルカメラ、携帯電話等の家電の液晶ディスプレイ用等の光学部材は、各種機能を発現するため、各種被着体のフィルム及びプレートを積層させる必要がある。各種被着体のフィルム及びプレート間に用いる材料は十分な粘着性、あるいは接着性が要求されることから、本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物を含む粘着剤組成物、接着剤組成物の使用例として好ましい。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物を含む硬化性組成物等が用いられうる被着体としては、特に限定されないが、例えば、ガラス;アルミニウム、鉄、亜鉛鋼板、銅、ステンレスのような各種金属;木材、紙、モルタル、石材のような多孔質部材;フッ素塗装、ウレタン塗装、アクリルウレタン塗装等がされた部材;シリコーン系硬化物、変性シリコーン系硬化物、ウレタン系硬化物等のシーリング材硬化物;塩化ビニル、天然ゴム、合成ゴム等のゴム類;天然皮革、人工皮革等の皮革類;植物系繊維、動物系繊維、炭素繊維、ガラス繊維などの繊維類;不織布、ポリエステル、アクリル、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリオレフィン等の樹脂類のフィルム及びプレート;紫外線硬化型アクリル樹脂層、印刷インキ、UVインキ等のインキ類等が挙げられる。
なお、以下で物の量又は割合を示す「部」及び「%」は、特に断らない限り、質量基準の値を意味するものとする。
実施例及び比較例における各種パラメータの測定・算出方法について下記に示す。
ポリイソシアネートのイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
E型粘度計(株式会社トキメック社製)で測定し、ローターは標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は以下の通りである。
100r.p.m. (128mPa・s未満の場合)
50r.p.m. (128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20r.p.m. (256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10r.p.m. (640mPa・s以上1,280mPa・s未満の場合)
5r.p.m. (1,280mPa・s以上2,560mPa・s未満の場合)
下記の計算式より算出した。
有効NCO基含有率(有姿(溶剤を含んだ状態)における値、質量%)
=ポリイソシアネートのNCO基含有率(質量%)
×(ポリイソシアネートの仕込み量(g)/(ポリイソシアネートの仕込み量(g)+ブロック剤の仕込み量(g)))
×固形分割合(組成物中の固形分(溶剤以外の成分)の割合)(質量%)/100
合成例2〜7で得られたブロックポリイソシアネート組成物の1H−NMRを測定し、1価アルコール化合物とイソシアネート基が結合することで得られたウレタン結合に起因するアミノ基(4.8ppm付近)、イソシアネート基とマロン酸ジエチルとが結合することにより形成されたアミド体に隣接するアミノ基(7.3ppm付近:ケト体、8.0ppm付近:ジアミドジエステル体、9.8ppm付近:エノール体)、および、イソシアネート基とアセト酢酸エチルとが結合することにより形成されたアミド体に隣接するアミノ基(7.2ppm付近:ケト体、9.2ppm付近:エノール体)に起因するピークの面積から、下記式により上記ウレタン結合のモル比率を求めた。
上記ウレタン結合のモル比率=(a)/((a)+(b)+(c))
(b):イソシアネート基とマロン酸ジエチルとが結合することにより形成されたアミド体に隣接するアミノ基数(=7.3ppm付近のピーク面積+8.0ppm付近のピーク面積/2+9.8ppm付近のピーク面積:8.0ppm付近のピーク(ジアミドジエステル体)は、1つの結合構造に2つのアミノ基を有する構造のため、ピーク面積の1/2を結合構造数とした)から求めた、イソシアネート基とマロン酸ジエステル化合物との結合構造数(モル数)。
(c):イソシアネート基とアセト酢酸エチルとが結合することにより形成されたアミド体に隣接するアミノ基数(=7.2ppm付近のピーク面積+9.2ppm付近のピーク面積)から求めた、イソシアネート基とアセト酢酸エステル化合物との結合構造数(モル数)。
(a):イソシアネート基とn−ブタノール、イソブタノール又はイソプロパノールとが結合することで得られたウレタン結合に起因するアミノ基数(=4.8ppm付近のピーク面積)から求めた、イソシアネート基と1価アルコール化合物とのウレタン結合構造数(モル数)。
実施例及び比較例におけるブロックポリイソシアネート組成物、及び、それらの合成に使用されたポリイソシアネートの合成方法について以下に示す。
(合成例1)
(ポリイソシアネートの合成)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管及び滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI) 1000gを仕込み、撹拌下反応器内温度を60℃に保持した。その後、イソシアヌレート化反応触媒としてテトラメチルアンモニウムアセテート(2−ブタノール 5.0質量%溶液)を2.1g添加し、反応を行った。4時間後、反応液の屈折率測定により反応終点を確認し、燐酸(85質量%水溶液)0.2gを添加し反応を停止した。
反応液をろ過した後、薄膜蒸留装置を用いて未反応のHDIを除去し、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを得た。得られたポリイソシアネートは、25℃における粘度が2500mPa・s、NCO基含有率が22.2質量%であった。
(ブロックポリイソシアネート組成物Aの製造)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、合成例1で得たポリイソシアネートを100部、酢酸ブチル42.3部を仕込み、マロン酸ジエチル71.1部、アセト酢酸エチル14.5部、28%ナトリウムメチラート メタノール溶液0.8部の混合物を室温で添加し、80℃で1時間反応を続けた。その後、1−ブタノール76.0部を添加し、80℃、2時間撹拌した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%ブロックポリイソシアネート組成物Aの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Bの製造)
ブロックポリイソシアネート組成物Aと同様の装置にて、ポリイソシアネートを100部、酢酸ブチル42.3部を仕込み、マロン酸ジエチル64.1部、アセト酢酸エチル13.1部、28%ナトリウムメチラート メタノール溶液0.8部の混合物を室温で添加し、80℃で1時間反応を続けた。その後、1−ブタノール84.0部を添加し、窒素をフローさせながら、80℃、2時間撹拌した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Bの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Cの製造)
ブロックポリイソシアネート組成物Aと同様の装置にて、ポリイソシアネートを100部、酢酸ブチル42.3部を仕込み、マロン酸ジエチル56.9部、アセト酢酸エチル11.6部、28%ナトリウムメチラート メタノール溶液0.8部の混合物を室温で添加し、80℃で1時間反応を続けた。その後、1−ブタノール93.0部を添加し、80℃、2時間撹拌した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Cの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Dの製造)
ブロックポリイソシアネート組成物Aと同様の装置にて、ポリイソシアネートを100部、酢酸ブチル42.3部を仕込み、マロン酸ジエチル56.9部、アセト酢酸エチル11.6部、28%ナトリウムメチラート メタノール溶液0.4部の混合物を室温で添加し、80℃で0.5時間反応を続けた。その後、1−ブタノール93.0部を添加し、80℃、2時間撹拌した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Dの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Eの製造)
ブロックポリイソシアネート組成物Aと同様の装置にて、ポリイソシアネートを100部、酢酸ブチル42.3部を仕込み、マロン酸ジエチル71.1部、アセト酢酸エチル14.5部、28%ナトリウムメチラート メタノール溶液0.8部の混合物を室温で添加し、80℃で0.5時間反応を続けた。その後、1−ブタノール76.0部を添加し、窒素をフローさせながら、80℃、2時間撹拌した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Eの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Fの製造)
合成例2において、28%ナトリウムメチラート メタノール溶液を1.5部とした以外は、同様の方法にて、ブロックポリイソシアネート組成物Fを合成した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Fの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Gの製造)
合成例2において、反応温度と反応時間を60℃、3時間とした以外は、同様の方法にて、ブロックポリイソシアネート組成物Gを合成した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Gの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Hの製造)
合成例2において、1−ブタノールをイソブタノールに変更した以外は、同様の方法にて、ブロックポリイソシアネート組成物Hを合成した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Hの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Iの製造)
合成例2において、1−ブタノール76.0部をイソプロパノール61.0部に変更した以外は、同様の方法にて、ブロックポリイソシアネート組成物Iを合成した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Iの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Jの製造)
合成例2において、28%ナトリウムメチラート メタノール溶液を4.0部添加した以外は、同様の方法にて、ブロックポリイソシアネート組成物Jを合成した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Jの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Kの製造)
ブロックポリイソシアネート組成物Aと同様の装置にて、ポリイソシアネートを100部、酢酸ブチル42.3部を仕込み、マロン酸ジエチル28.4部、アセト酢酸エチル5.8部、28%ナトリウムメチラート メタノール溶液0.8部の混合物を室温で添加し、80℃で0.5時間反応を続けた。その後、1−ブタノール127.4部を添加し、80℃、2時間撹拌した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Kの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Lの製造)
合成例2において、反応温度と反応時間を80℃、0.2時間とした以外は同様の方法にて、ブロックポリイソシアネート組成物Lを合成した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Lの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
(ブロックポリイソシアネート組成物Mの製造)
合成例2において、反応温度と反応時間を80℃、6時間に変更した以外は、同様の方法にて、ブロックポリイソシアネート組成物Mを合成した。
ブロックポリイソシアネートが60質量%のブロックポリイソシアネート組成物Mの有効NCO基含有率およびモル比率を表1に示す。
実施例及び比較例におけるブロックポリイソシアネート組成物の各種物性の評価方法について以下に示す。
(硬化性)
ポリイソシアネート組成物と、アクリルポリオール(Setalux1152、Nuplex Resins社製、水酸基価70.4mgKOH/g(有姿)、固形分61質量%)を、NCO/OH=1.0になるように配合し、酢酸ブチルで固形分50%に希釈して、塗料組成物を調製した。
得られた塗料組成物を、PP板に、乾燥後膜厚が60μmになるようにアプリケーター塗装した。温度23℃にて30分間乾燥し、100℃にて30分間焼き付けた後、塗膜を板から剥がした。アセトン内に23℃、24時間浸漬した際の残膜率(ゲル分率)を測定した。
<評価基準>
○:ゲル分率が90%以上
△:ゲル分率が80%以上90%未満
×:ゲル分率が80%未満
硬化性の評価の際と同様の方法にて調製した塗料組成物を、ガラス板に膜厚80μmになるようにアプリケーター塗装した後の透明性を目視にて確認した。
<評価基準>
○:白濁なし
×:白濁あり
ポリイソシアネート組成物を−10℃貯蔵した際の外観を観察した。
<評価基準>
○:1週間貯蔵後に白濁なし
△:3日間貯蔵後に白濁なし、1週間貯蔵後に白濁あり
×:3日間貯蔵後に白濁あり
合成例2〜14で得られたブロックポリイソシアネート組成物A〜Mを用いて、硬化性、相溶性及び低温での貯蔵安定性の各評価を行った。得られた結果を表1に示す。
Claims (7)
- 脂肪族ジイソシアネートおよび脂環式ジイソシアネートからなる群より選ばれる少なくとも1種のジイソシアネートから得られるポリイソシアネートにおいて、含有するイソシアネート基の少なくとも一部が、マロン酸ジエステル化合物およびアセト酢酸エステル化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のブロック剤でブロックされているブロックポリイソシアネート、及び、
1価アルコール化合物
を含有し、
前記ブロックポリイソシアネートに含まれる以下の3つの結合のモル数を各々(a)〜(c)としたときに、(a)/((a)+(b)+(c))=0.0020以上0.50未満である、
ブロックポリイソシアネート組成物:
(a)イソシアネート基と1価アルコール化合物とのウレタン結合
(b)イソシアネート基とマロン酸ジエステル化合物との結合
(c)イソシアネート基とアセト酢酸エステル化合物との結合。 - 前記1価アルコール化合物が、炭素数3以上10以下の1級アルコールである、請求項1に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
- 前記ブロック剤が、マロン酸ジエステルとアセト酢酸エステルの両方を含む、請求項1または2に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
- 前記ブロック剤が、マロン酸ジエチルおよび/またはアセト酢酸エチルである、請求項1または2に記載のブロックポリイソシアネート組成物。
- 前記ジイソシアネートが、ヘキサメチレンジイソシアネートである、請求項1〜4のいずれかに記載のブロックポリイソシアネート組成物。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のブロックポリイソシアネート組成物と、多価活性水素化合物とを含む、熱硬化性組成物。
- 請求項6に記載の熱硬化性組成物を加熱硬化する工程を含む、硬化物の製造方法。
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