JP2017078123A - サポート材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物 - Google Patents

サポート材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】三次元立体造形法における、付加製造において造形後に効率よく除去可能な形状支持用サポート材用活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の提供。
【解決手段】式(1)で表される(A)(メタ)アクリレート10.0〜60.0質量%、カチオン性単量体(B)1.0〜20.0質量%、多官能性不飽和化合物(C)0.5〜10.0質量%、非反応性希釈剤(D)30.0〜80.0質量%を含有する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物及び該樹脂組成物を用いた形状支持用サポート材。特に(A)メタアクリレートが式(2)で表されることが好ましい単量体である形状支持用サポート材。CH=CR−CO−(O−C2k)m−OR・・・・(1)CH=CH−CO−(O−C)n−OR・・・・(2)
【選択図】なし

Description

本発明は、付加製造で使われる形状支持用のサポート材、特に活性エネルギー線硬化性液状樹脂から形成されるサポート材および、サポート材を形成するために用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物に関する。
付加製造技術とは三次元の形状データをもとに、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂、粉末樹脂、粉末金属などを溶融押出やインクジェット、レーザー光や電子ビームなどを用いて融着、硬化させることなどで、薄膜状に積み重ねて目的の立体造形物を得る技術である。形状データから直接造形物が得られ、中空やメッシュ状などの複雑な形状を一体成型できるため、小ロットもしくはオーダーメイドで製造する必要があるテストモデルの作成などをはじめ、自動車産業、航空機産業、医療用分野、産業用ロボット、家電、建築、食品等の幅広い分野に利用が広がっている。
立体造形物を得るには一般的に3Dプリンターと呼ばれる付加製造装置が使用されている。具体的には、アクリル系光硬化樹脂を使用したインクジェット紫外線硬化方式の3Dプリンター、例えばストラタシス社製Objet、キーエンス社製AGLISTAなどや、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフェニルサルフォン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂などを使用した熱溶解積層法方式の3Dプリンター、例えばストラタシス社製FORTUS、Dimension、uPrintなどや、粉末造形方式の3Dプリンター、例えば3Dシステムス社製SLSなどや、光造形方式の3Dプリンター、例えば3Dシステムス社製SLA、DWS社製DigitalWaxなどが知られている。
付加製造技術では複雑な形状の立体造形物を形成できるが、中空構造などを製造するためには、立体造形物の底部に一時的に造型中の樹脂を支持し、立体造形物が自重により変形することを防止するために形状支持用の構造体が必要になる。粉末原料を結着或いは融着させていく粉末造形方式の3Dプリンターの場合には、未結着、未融着の粉末が支持体として作用し構造物を支え、製造後には余分な粉末を払い落とすことで立体造形物を得ることが出来る。一方、光硬化性樹脂をレーザー光などで段階的に硬化していく光造形方式や熱可塑性樹脂を積層する溶融押出方式、光硬化性樹脂を用いたインクジェット方式による付加製造を行う場合、立体造形物と支持体となるサポート材をそれぞれ形成していく必要があるため、立体造形物の形成後にサポート材を除去する工程を設けなければならない。
しかし光造形方式や溶融押出方式、インクジェット方式による付加製造を行う場合、サポート材の除去は決して簡単な作業ではない。サポート材は、目的とする立体造形物と同一または異なる樹脂が使用されるが、同一樹脂の場合は造形物と連続した構造になっており、また異なる樹脂を使用した場合でも造形物と融着、接着もしくは粘着している。そのため、造形物からサポート材を剥離する作業において、通常ヘラやブラシなどを用いて手作業で剥離したり、ウォータージェットで吹き飛ばしたりなどの手段が用いられるが、立体造形物が破損する恐れがあって、丁寧な作業が必要となるため、大きな負担となっていた。
そこでサポート材として、立体造形物を形成するモデル材と異なる樹脂を使用できる場合、水や有機溶剤に溶解可能な材料、熱可塑性樹脂、水膨潤ゲル等を使用し、サポート材の性質に応じて加熱、溶解、化学反応、水圧洗浄などの動力洗浄や電磁波照射、熱膨張差などを利用した分離方法が提案されている(特許文献1、2)。具体的にはモデル材との剥離が行いやすい樹脂を用いたり(特許文献3、4)、サポート材にワックスを用いることで熱による溶融除去を行ったり(特許文献5、6)、アルカリや水、有機溶剤に溶解、分散させるなどの手段(特許文献7、8、9、10、11)によりサポート材除去の簡略化が提案されている。
しかしモデル材から剥離されやすいサポート材を使用しても、細部に詰まったサポート材の除去を効率的に行うことは極めて困難である。また、ワックスなどの熱による溶融除去の方法を用いる場合、溶融除去した後に立体造形物の表面に油状の残渣が付着するため、ふき取りなどの立体造形物に対する仕上げ作業が必要となり、さらに加熱によるワックスがモデル材に浸透しやすくなり、立体造形物の表面状態を悪化させる問題があった。
また、サポート材をアルカリ、水や有機溶剤に溶解、分散させる場合のおいても、溶解、分散したサポート材が洗浄液から分離されてないため、洗浄槽に浸漬されている立体造形物に付着しやすくなり、立体造形物の表面汚染を招き、結局表面ふき取りなどの立体造形物に対する仕上げ作業が必要となっていた。
一方、樹脂を水や有機溶剤などの洗浄液で膨潤して基材から除去する手法は、剥離した樹脂が溶剤と二相分離するため基材の表面が汚染され難く、また微細構造からの剥離が容易であるため、半導体製造におけるフォトレジストの除去に用いられる手段としてよく知られている(特許文献12)。しかし、フォトレジスト材料の剥離は通常、膨潤後に超音波振動や洗浄液の流れなどの外力を加える必要があるため、特殊かつ大型洗浄装置の設置や剥離工程の追加など、コストの増加と共に生産効率の低下を招く欠点があった。
この様に、手作業による除去と仕上げ工程も不要、特殊な大型洗浄装置も不要となる、洗浄液により膨潤し、立体造形物から自然に剥離可能なサポート材の開発が望まれていた。
特開2005−035299号公報 特開2012−096428号公報 米国特許第5,503,785号公報 WO2001−068375号公報 特開2004−255839号公報 特開2005−081563号公報 特表2008−507619号公報 特表2011−005658号公報 特開2010−155889号公報 特開2012−111226号公報 特開2014−083744号公報 特開2009−170624号公報
本発明は、サポート材に支持された粗造形物を洗浄液に浸漬することで、サポート材を効率よく除去でき、かつ仕上げ工程を不要としたサポート材およびサポート材を形成するために用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、サポート材として下記一般式(1)で示される単量体、カチオン性単量体、多官能性不飽和化合物および非反応性希釈剤からなることを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化物を用いることで前記の目標を達成しえることを見出し、本発明に至ったものである。

CH=CR-CO-(O-C2k)m-OR2 一般式(1)

(式中、k=2〜3、m=1〜100、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基を表す。)
すなわち、本発明は
(1)付加製造における形状支持用サポート材に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、単量体(A)が10.0〜60.0質量%、カチオン性単量体(B)が1.0〜20.0質量%、多官能性不飽和化合物(C)が0.5〜10.0質量%、非反応性希釈剤(D)が30.0〜80.0質量%を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、

CH=CR-CO-(O-C2k)m-OR2 一般式(1)

(式中、k=2〜3、m=1〜100、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基を表す。)
(2)単量体(A)が下記一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする前記(1)に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、

CH=CH−CO−(O−C)n−OR3 一般式(2)

(式中、n=1〜100、Rは炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基を表す。)
(3)カチオン性単量体(B)が下記一般式(3)で示される化合物であることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、

CH=CH−CO−Y−R−N(CH一般式(3)

(式中、Yは酸素原子またはNHを表し、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、X-はメチルスルホネート又はp−トルエンスルホネートを表す。)
(4)多官能性不飽和化合物(C)がエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、
(5)非反応性希釈剤(D)がエチレングリコール構造を含む化合物であることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物、
(6)インクジェット方式による三次元光造型法に用いられる前記(1)〜(5)のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有する光硬化性インク、
(7)前記(6)に記載の光硬化性インクを活性エネルギー線により硬化して得られることを特徴とする形状支持用サポート材、
(8)前記(7)に記載のサポート材を用いて造型することを特徴とする立体造形物
を提供するものである。
本発明によれば、下記一般式(1)で示される単量体(A)、カチオン性単量体(B)、多官能性不飽和化合物(C)および非反応性希釈剤(D)からなる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)が付加製造により成形されると同時に或いは成形される直後に活性エネルギー線照射により硬化され、サポート材及びサポート材に支持された粗造形物を得る。得られる粗造形物を洗浄液に浸漬することで、サポート材が洗浄液により膨潤し、モデル材とサポート材の膨張収縮の差による内部応力が生じ、サポート材が立体造形物より容易に剥離することが出来る。さらに、膨潤したサポート材は洗浄液とは二相分離するため、溶解したサポート材等による造形物の表面汚染が無く、油脂分等の洗浄工程やふき取りの仕上げ工程が不要であり、作業性や生産性の向上につながる効果がある。またサポート材が洗浄液とデカンテーションやろ過により分離、回収が容易となり、環境負荷を減らす効果も期待できる。

CH=CR-CO-(O-C2k)m-OR2 一般式(1)

(式中、k=2〜3、m=1〜100、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基を表す。)
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明に用いられる単量体(A)は、下記一般式(1)で示される化合物(式中、k=2〜3、m=1〜100、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基を表す。)であり、具体的には、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類があり、また上記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類に炭素数1〜18のアルキル基を導入したアルコシキエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコシキプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルコシキジエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコシキジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルコシキトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコシキトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルコシキポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルコシキポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコシキポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類があり、上記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類にフェニル基を導入したフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類があり、さらに上記ポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート類に炭素数1〜18のアルキルフェニル基を導入した、アルキルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、アルキルフェノキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等のアルキルフェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類等が挙げられる。これらの単量体(A)は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。

CH=CR-CO-(O-C2k)m-OR2 一般式(1)
本発明に用いられる単量体(A)としては、下記一般式(2)で示される化合物(式中、n=1〜100、Rは炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基を表す。)であるアルコキシポリエチレングリコールアクリレート類、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート類、アルキルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート類が挙げられる。これらの化合物は、低粘度であり取り扱いやすく、また硬化性が高いため好ましい。さらに、Rがメチル基であり、nが1〜10であるメトキシポリエチレングリコールアクリレート類がより粘度が低く取り扱い易いので特に好ましい。

CH=CH−CO−(O−C)n−OR3 一般式(2)
単量体(A)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)全体に対して10.0〜60.0質量%であることが好ましい。10.0質量%以上である場合には、硬化後に得られるサポート材から非反応性希釈剤(D)のブリードアウトが抑制でき、また膨潤率が大きくなるため好ましい。また、60.0質量%以下である場合には、硬化後に得られるサポート材の洗浄による除去時間を短縮することができるため好ましく、20.0〜50.0質量%であることがより好ましい。
本発明に用いられるカチオン性単量体(B)はエチレン性不飽和基を有するカチオンと無機酸又は有機酸アニオンからなるイオン性の化合物であり、具体的には、カチオンとして、例えば、エチレン性不飽和結合を有するアンモニウム、イミダゾリウム、コリン、スルホニウム、ピラゾリウム、ピリジニウム、ピロリジニウム、ホスホニウム等が挙げられる。対アニオンとしては、Cl、Br、I等のハロゲンイオン又はOH、CHCOO、NO 、ClO 、PF 、BF 、HSO 、CHSO 、CFSO 、CHSO 、CSO 、(CFSO,SCN等の無機酸アニオン又は有機酸アニオンから選ばれる少なくとも1種のイオンである。
カチオン性単量体(B)が含有するエチレン性不飽和結合として、例えば、ビニル基、アリル基、アクリロイル基等が挙げられる。また、活性エネルギー線による硬化性、他の共重合できる単量体との共重合性がよい観点から、(メタ)アクリレート基と(メタ)アクリルアミド基がより好ましく、アクリレート基およびアクリルアミド基が硬化性に優れる点から更に好ましい。
本発明に用いられるカチオン性単量体(B)は、下記一般式(3)で示される化合物(式中、Yは酸素原子またはNHを表し、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、X-はメチルスルホネート又はp−トルエンスルホネートを表す。)である場合、単量体(A)、多官能性不飽和化合物(C)や非反応性希釈剤(D)との相溶性が高く、優れる洗浄性が提供できるため特に好ましい。

CH=CH−CO−Y−R−N(CH一般式(3)
本発明におけるカチオン性単量体(B)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)全体に対して1.0〜20.0質量%であることが好ましい。1.0質量%以上である場合には、硬化後のサポート材の水等の洗浄液に対する膨潤性が良好となるため好ましい。また、20.0質量%以下である場合には、得られるサポート材の水等の洗浄液に対する溶解率が低い値で抑えられるため好ましく、3.0〜15.0質量%であることがより好ましい。
多官能性不飽和化合物(C)は、エチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であり、具体例としては、2官能性化合物としては、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリエステルジ(メタ)アクリレート類、ポリカーボネートジ(メタ)アクリレート類、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート類、ポリウレタン(メタ)アクリルアミド類が挙げられ、また、3官能以上のモノマーとしては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリ(メタ)アクリロイルオキシエトキシトリメチロールプロパン、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、コハク酸変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらの多官能性不飽和化合物(C)は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。
前記アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3-メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−n−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート類としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジ(ネオペンチルグリコール)ジ(メタ)アクリレート、トリ(ネオペンチルグリコール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(ネオペンチルグリコール)ジ(メタ)アクリレート、ジ(3-メチル−1,5−ペンタンジオール)ジ(メタ)アクリレート、トリ(3-メチル−1,5−ペンタンジオール)ジ(メタ)アクリレート、ポリ(3-メチル−1,5−ペンタンジオール)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ポリエステルジ(メタ)アクリレート類としては、分子中にポリエステル骨格を含む両末端又は側鎖に水酸基を有するポリエステルポリオールと(メタ)アクリル酸がエステル結合したものである。ポリエステル骨格は多価カルボン酸成分とジオール成分からなる共重合体であり、多価カルボン酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などが挙げられ、また、ジオール成分としては、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
ポリカーボネートジ(メタ)アクリレート類としては、分子中にカーボネート骨格を含む両末端又は側鎖に水酸基を有するポリカーボネートポリオールと(メタ)アクリル酸がエステル結合したものである。ポリカーボネートポリオールのカルボニル成分としてホスゲン、クロロギ酸エステル、ジアルキルカーボネート、ジアリールカーボネート及びアルキレンカーボネート等が挙げられ、ジオール成分としてはエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
ポリウレタンジ(メタ)アクリレート類としては、分子中に2個以上の水酸基を有するアルコール化合物と、1分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクレート化合物との付加反応で得られる化合物であり、合成方法は、特に限定することがなく、公知のウレタン化反応技術により合成することができる。
ポリウレタン(メタ)アクリルアミド類としては、分子中に2個以上の水酸基を有するアルコール化合物と、1分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物と、水酸基を有する(メタ)アクリルアミド化合物との付加反応で得られる化合物であり、合成方法は、特に限定することがなく、公知のウレタン化反応技術により合成することができる。
分子中に2個以上の水酸基を有するアルコール化合物は主鎖骨格の末端又は側鎖に1個以上の水酸基を有するエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−ブチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,5−ペンタングリコール、2−メチル−1,3−プロピレングリコール、2−メチル−1,4−ブチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリメチルペンタングリコール、ポリヘキサメチレングリコール、ポリグリセリン、ポリブタジエンポリオール、水添ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオール、水添ポリイソプレンポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。これらのポリオールは、1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
1分子内に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソンアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート類、1,3−フェニレンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の芳香族イソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート、2,5−ノルボルナンジイソシアネート、2,6−ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族イソシアネート類、又は、これらのアダクトタイプ、イソシアヌレートタイプ、ビュレットタイプ等の多量体が挙げられる。これらのポリイソシアネートは、1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられる水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基を導入したヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリレート、炭素数が1〜6のアルキレングリコール基を導入したジアルキレングリコール(メタ)アクリレート、トリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明に用いられる水酸基を有する(メタ)アクリルアミド化合物としては、例えば、炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基を導入したN−ヒロドキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(ヒロドキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシアルキル−N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、炭素数1〜6のアルキル基を導入したN−アルキル−N−ヒロドキシアルキル(メタ)アクリルアミド等や、4−ヒドロキシフェニル基を導入したN−アルキル−N−(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド、4−ヒドロキシフェニル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(4−ヒドロキシフェニル)(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
多官能性不飽和化合物(C)は、エチレングリコール構造を有するエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類や、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等を用いたウレタン(メタ)アクリレート類及びウレタン(メタ)アクリルアミド類であることが好ましい。これらの構造を有する多官能性不飽和化合物(C)は、単量体(A)や非反応性希釈剤(D)との相溶性が高い。また、多官能性不飽和化合物(C)のエチレン性不飽和基としてアクリル基またはアクリルアミド基を用いた場合、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)の硬化性が良好であるため、更に好ましい。
多官能性不飽和化合物(C)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)全体に対して0.5〜10.0質量%である。0.5質量%以上である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)を活性エネルギー線照射により重合して得られるサポート材の引張強度、硬度、弾性等が良く、かつ、非反応性希釈剤(D)のブリードアウトが抑制できるため好ましい。また、10.0質量%以下である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)の粘度が低く操作性が良好であり、洗浄液に対する膨潤性が大きく、洗浄性が向上するため好ましく、1.0〜5.0質量%であることがより好ましい。
本発明で用いる非反応性希釈剤(D)としては、単量体(A)、カチオン性単量体(B)、多官能性不飽和化合物(C)と相溶し、反応せず、かつ非重合性のものであれば特に限定されないが、炭素数2から4のアルキレン基、炭素数1から4のアルキル基等からなるアルキレングリコール類、ポリアルキレングリコール類、アルキルアルキレングリコール類、アルキルポリアルキレングリコール類、アルキルポリアルキレングリコールアセテート類、カルボン酸エステル類、ケトン類、水、液状ポリオレフィン類、液状ポリオレフィン誘導体、液状ポリエステル類、液状ポリカーボネート類、イオン性液体等が挙げられ、これらの非反応性希釈は、1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、アルキレングリコール構造を有する化合物(A)やイオン性を有するため親水性の高いカチオン性単量体(B)との相溶性が高く、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)を容易に調製でき、かつ硬化後のブリードアウトを抑制できる観点から、非反応性希釈剤(D)としては、エチレングリコール構造を含む化合物であることがより好ましい。具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールや、炭素数1から4のアルキル基を含むエチレングリコールモノアルキルエーテル、ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチレングリコールモノアルキルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテル、エチレングリコールジアルキルエーテル、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、トリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、ポリエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等が挙げられる。
本発明で用いる非反応性希釈剤(D)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)全体に対して30.0〜80.0質量%である。30.0質量%以上である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)の粘度が低く、操作性が良好であり、硬化して得られるサポート材の硬化収縮率が低く、立体造形物を精度良く製造できるため好ましい。また、80質量%以下である場合には、活性エネルギー線により重合して得られる硬化物の引張強度、硬度、弾性等が十分に満足でき、非反応性希釈剤(D)がブリードアウトせず、膨潤率が大きく維持できるため好ましい。45.0〜70.0質量%であることがより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)は活性エネルギー線照射により硬化するが、本発明の活性エネルギー線とは、電磁波または荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するもの、すなわち、可視光、電子線、紫外線、赤外線、X線、α線、β線、γ線等の光エネルギー線などを指す。例えば、高圧水銀ランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LEDランプ、電子線加速装置、放射性元素などの線源が挙げられる。活性エネルギー線源として電子線を用いた場合は、通常、光開始剤を含有する必要はないが、その他の活性エネルギー線源を用いた場合は、光重合開始剤(E)を添加することが好ましい。照射する活性エネルギー線としては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)の保存安定性と硬化速度および有害性の低さから紫外線が好ましい。
本発明で用いる光重合開始剤(E)としては、アセトフェノン系、ベンゾイン系、ベンゾフェノン系、αアミノケトン系、キサントン系、アントラキノン系、アシルフォスフィンオキサイド系、高分子光開始剤系等の通常のものから適宜選択すればよい。例えば、アセトフェノン類としては、ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルホリノプロパン−1、ベンゾイン類としては、ベンゾイン、α−メチルベンゾイン、α−フェニルベンゾイン、α−アリルベンゾイン、α−ベンゾイルベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノン類としては、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、αアミノケトン類としては、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−(4−モルホリニル)−1−プロパノン、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−(4−(4−モルホリニル)フェニル)−1−ブタノン、2−(ジメチルアミノ)−2−(4−メチルフェニル)メチル−1−(4−(4−モルホリニル)フェニル)−1−ブタノン、キサントン類としては、キサントン、チオキサントン、アントラキノン類としては、アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、アシルフォスフィンオキサイド類としては、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、高分子光開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−(4−(1−メチルビニル)フェニル)プロパン−1−オンのポリマーなどが挙げられる。これらの光重合開始剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電子線以外の活性エネルギー線源を用いた場合、光重合開始剤(E)の含有量は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)全体に対して0.1〜5.0質量%が好ましい。0.1質量%以上である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)を活性エネルギー線照射により十分に重合反応を起こし、得られるモデル材中の残存モノマー量が少なく、硬化物の引張強度、弾性等が良好となるため好ましく、5.0質量%以下である場合には、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)のポットライフが長く、保管中のゲル化などのトラブルの発生を抑制しやすくなるため好ましい。さらに、0.5〜3.0質量%がより好ましい。
活性エネルギー線照射量(積算光量)は、特に制限するものではなく、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)に用いられる単量体(A)、カチオン性単量体(B)、多官能性不飽和化合物(C)、および光重合開始剤(E)の種類と使用量によって変動するものであるが、50〜2000mJ/cmであることが好ましい。積算光量が50mJ/cm以上であると、十分な硬化が進行し、硬化物の引張強度、弾性等が良好であり、また、積算光量が2000mJ/cm以下であると、活性エネルギー線の照射時間が短く、付加製造における生産性向上につながり、得られる成形品の経時的着色が生じにくく、100〜1000mJ/cmであることがより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)は、上記単量体(A)、カチオン性単量体(B)、多官能性不飽和化合物(C)以外に、エチレン性不飽和化合物(F)をさらに使用することができる。エチレン性不飽和化合物(F)としては単官能の(メタ)アクリレート、単官能の(メタ)アクリルアミドやビニル化合物であり、これらのエチレン性不飽和化合物(F)は1種類単独で使用してもよいし、また2種類以上併用してもよい。エチレン性不飽和化合物(F)の添加量は、本発明による活性エネルギー線硬化性樹脂組成物が発現する特性に悪影響を与えない程度であれば特に限定されず、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物全体に対して10質量%以下の範囲が好ましい。
前記の単官能(メタ)アクリレートは、例えば、炭素数が1〜22の直鎖、分岐、環状のアルキル基を導入したアルキル(メタ)アクリレート、炭素数が4〜9のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、炭素数が1〜4のアルキル基と炭素数4〜9のアルキレングリコール基からなる官能基を導入したアルコキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシジアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートや、フェノキシ基と炭素数4〜9のアルキレングリコール基からなる官能基を導入したフェノキシアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートや、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記の単官能(メタ)アクリルアミドは、例えば、炭素数が1〜22の直鎖、分岐、環状のアルキル基を導入したN−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜6のヒドロキシアルキル基を導入したN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジ(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド、炭素数が1〜4のアルキル基と炭素数1〜4のアルキレングリコール基からなる官能基を導入したN−(アルコキシアルキレングリコール)(メタ)アクリルアミド、N−(アルコキシポリアルキレングリコール)(メタ)アクリルアミドや(メタ)アクロイルモルホリン等が挙げられる。
前記のビニル化合物として、酢酸ビニル、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、スチレン、炭素数1〜18のアルキル基を導入したp−アルキルスチレン、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルオキサゾリン等が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)は、必要に応じて各種添加剤(G)を使用できる。添加剤としては、熱重合禁止剤、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線増感剤、防腐剤、リン酸エステル系およびその他の難燃剤、界面活性剤、湿潤分散材、帯電防止剤、着色剤、可塑剤、表面潤滑剤、レベリング剤、軟化剤、顔料、有機フィラー、無機フィラーなどが挙げられる。これら各種樹脂や添加剤の添加量は、本発明による活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)が発現する特性に悪影響を与えない程度であれば特に限定されず、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)全体に対して5質量%以下の範囲が好ましい。
熱重合禁止剤としては、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、4−ヒドロキシ−2,2,6,6,−テトラメチルピペリジン−1−オキシル、フェノチアジン、ピロガロール、β−ナフトールなどが挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ブチル化ヒドロキシトルエン及びブチルヒドロキシアニソール等のヒンダードフェノール系、ベンゾトリアゾール系、及びヒンダードアミン系の化合物が挙げられる。
界面活性剤としては、例えばノニルフェノールのポリエチレンオキサイド付加物、ラウリン酸ポリエチレンオキサイド付加物、ステアリン酸ポリエチレンオキサイド付加物等のアルキレンオキサイド付加型非イオン界面活性剤、ソルビタンパルミチン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸モノエステル、ソルビタンステアリン酸トリエステル等の多価アルコール型非イオン界面活性剤、アセチレン系グリコール化合物型非イオン界面活性剤、アセチレン系ポリアルキレングリコール化合物型非イオン界面活性剤、パーフルオロアルキルポリエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルベタイン等のフッ素含有界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーンオイル、(メタ)アクリレート変性シリコーンオイル等の変性シリコーンオイル、両性の高分子界面活性剤(ビッグケミージャパン株式会社製、BYKJET−9150、BYKJET−9151等)が挙げられる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)の使用方法としては、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を所定の形状パターンに形成すると同時に、または形成した直後、活性エネルギー線を照射して硬化させる事が好ましく、光造型法による三次元造形に使用することが好ましく、インクジェット方式により吐出し、活性エネルギー線照射により硬化させる三次元光造型法に用いることがより好ましい。
活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)の安定吐出を行う観点から、液粘度は25℃において1〜100mPa・sが好ましく、吐出温度は20〜80℃の範囲が好ましい。吐出温度を高温に設定すると活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)の液粘度が低下し、高粘度の樹脂組成物を吐出できるが、熱による変性や重合が起こりやすくなる。そのため、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)の25℃の液粘度が80mPa・s以下、70℃より低温での吐出がより好ましい。活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)の吐出後の液滴の着弾時の広がりを小さく抑えるために、25℃の液粘度は10mPa・s以上がより好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)の活性エネルギー線照射による硬化物は三次元光造型法における造型時に造形物を支持するサポート材として用いることが好ましい。
光造型法による三次元造形により造形された直後の造形物は、造形物の中空部分などがサポート材により支持された粗造形物として得られる。本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)を硬化して得られたサポート材に支持された粗造形物からのサポート材の除去方法としては、ヘラ等で削り落とすことも、ウォータージェット等の物理的衝撃を与えて取り除くこともできるが、粗造形物を洗浄液に浸漬することにより、サポート材が洗浄液により膨潤し、立体造形物との膨潤率の差から内部応力が生じ、外力を加えることなく立体造形物から剥離、除去する方法が造形物の破損の可能性が少なくなり、またサポート材は洗浄液を吸収し、膨潤ゲルとなり洗浄液と二相分離するため、立体造形物の表面は洗浄液に溶解したサポート材等の樹脂による汚染が認められず、仕上工程としては洗浄液を揮発させることで除去すれば良く、工程を簡略化できるため好ましい。また膨潤したサポート材は洗浄液と相分離しているため、ろ過により洗浄液から容易に分離回収でき、環境負荷を減らす効果も期待できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)のインクジェット方式による三次元光造型は、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)の微小液滴をインク吐出ノズルから所定の形状パターンを描画し、活性エネルギー線を照射して硬化薄膜を形成する方式が好ましい。また、硬化薄膜上にさらに積層と硬化を繰り返して行うことにより、三次元の造型物の支持体となるサポート材を取得できる。
本発明の三次元光造形方法による立体造形物の製造において、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)からなるサポート材に支持された造形物を得るために、モデル材を用いるが、使用するモデル材は特に限定せず、光硬化性樹脂や熱溶融可能なワックスが挙げられる。モデル材はサポート材となる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)と同時にインクジェット方式による造型できる観点から、インクジェットで吐出可能な物性の光硬化性樹脂が好ましい。
モデル材として使用される光硬化性樹脂として、例えばキーエンス社製3Dプリンター、AGLISTAシリーズで使用されるモデル材AR−M2やAR−H1等(株式会社キーエンス製)、ストラタシス社製3Dプリンター、Objetシリーズで使用されるモデル材Vero Clear、Tango Plus、デジタルABS等(Stratasys Ltd.製)、3Dシステムス社製3Dプリンター、Projetシリーズで使用されるモデル材VisiJET等(3DSystems製)等が挙げられるが、特に限定されない。
モデル材として使用される熱溶融可能なワックスや樹脂として、例えばパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルバナワックス、エステルワックス、アミドワックス等のワックス類、ポリエチレングリコール、低融点結晶性ポリエステル樹脂等のポリマー類が挙げられるが、特に限定されない。
本発明のサポート材の洗浄に用いる洗浄液としては、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)を硬化させて得られたサポート材を膨潤させ、立体造形物が溶解しないことができれば特に制限は無いが、一般的な有機溶剤や水が挙げられる。一般的な有機溶剤として、芳香族炭化水素類、脂肪族炭化水素類、アルコール類、ケトン類、アルキレングリコール類、ポリアルキレングリコール類、グリコールエーテル類、グリコールエステル類、カルボン酸エステル類等が挙げられる。これらの洗浄液は、1種を単独、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。立体造形物を溶解しない事こと、また立体造形物から剥離したサポート材が洗浄液と分離し易いこと、さらに、安全性の面から、洗浄液は水もしくはイソプロパノール、エタノールが好ましく、より溶解性が低く、安全性が高い水が特に好ましい。
サポート材の洗浄時間としては、24時間以下が好ましく10時間以下がより好ましい。生産効率の点から洗浄時間が24時間以下であれば、一日毎に洗浄サイクルを繰り返す事ができて効率が良いため好ましく、10時間以下であれば昼間に製造した造形物を夜間に洗浄し、翌日には洗浄が完了できるためより効率よく生産可能なためより好ましい。
サポート材の形状は立体造形物の形状を支持する様に設けられれば任意であるが、本発明のサポート材は洗浄液に浸漬することで、外力を加えることなく除去可能な支持体として得ることができ、粗造形物の任意の外表面に接して多数の支持体を設けることも可能である。このように多数の支持体を設けることにより、自重による変形を防止するだけでなく、造形終了部分に対して光を遮蔽する効果があり、過剰な活性エネルギー線照射による粗造形物の劣化を防止することもできる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。また、以下において「部」及び「%」は特記しない限りすべて質量基準である。
製造例1 多官能性不飽和化合物(C−4)の製造
攪拌機、温度計、還流冷却器を備えた300mLセパラフラスコに水酸基価374mgKOH/g、数平均分子量300の末端水酸基を有するポリエチレングリコール43.50g、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.30gを添加し、そこにポリイソシアネートとしてトリレンジイソシアネート37.82gを添加し、窒素雰囲気中で攪拌しながら、60℃で3時間反応させた。更に、この反応物にN−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド18.37g、および触媒としてジブチルスズジラウレート0.02gを添加し、60℃で3時間反応して、IR測定で2230cm−1のイソシアネート基の吸収ピークが消失したことを確認した。その後、反応容器を冷却し、数平均分子量1,300の多官能性不飽和化合物(C−4)(PEG300/TDI/HEAA)を得た。数平均分子量は、高速液体クロマトグラフィー(株式会社島津製作所製のLC−10Aを用いて、カラムはShodex GPC KF−806L(排除限界分子量:2×107、分離範囲:100〜2×10、理論段数:10,000段/本、充填剤材質:スチレン−ジビニルベンゼン共重合体、充填剤粒径:10μm)、溶離液としてテトラヒドロフランを使用した。)により測定し、標準ポリスチレン分子量換算により算出した。
実施例1 実施例用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H−1)の調製
メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(ブレンマーPME4000(ポリエチレングリコールの平均重合度90):日油株式会社製)(A−1)5.0質量部、ポリエチレングリコールアクリレート(ブレンマーAE200(ポリエチレングリコールの平均重合度4.5):日油株式会社製)(A−2)55.0質量部、N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート塩酸塩(B−1)1.0質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート(NKエステルA−TMPT:新中村化学工業株式会社製)(C−1)0.5質量部、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(D−1)33.5質量部、IRGACURE184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:BASFジャパン株式会社製)(E−1)5.0質量部をそれぞれ容器に仕込み、25℃で1時間攪拌することにより、均一透明な実施例1の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H−1)を得た。
実施例2〜8 実施例用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H−2)〜(H−8)の調製
表1に示す組成で、実施例1と同様の操作を行うことにより、実施例2〜8に相当する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H−2)〜(H−8)を得た。
比較例1〜8 比較例用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(I−1)〜(I−8)の調製
表1に示す組成で、実施例1と同様の操作を行うことにより、比較例1〜8に相当する活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(I−1)〜(I−8)を得た。ここにおいて、比較例7は特許文献8(特開2010−155889号公報)に記載の実施例9を、比較例8は特許文献9(特開2012−111226号公報)に記載の実施例2−8を参考にした。
表1
表1中の略号の説明
A:単量体
A−1:メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(ブレンマーPME4000(ポリエチレングリコールの平均重合度90);日油株式会社製)
A−2:ポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAE200(ポリエチレングリコールの平均重合度4.5);日油株式会社製)
A−3:ステアロキシポリエチレングリコールモノメタクリレート(ブレンマーPSE1300(ポリエチレングリコールの平均重合度30);日油株式会社製)
A−4:エトキシジエチレングリコールモノアクリレート(ライトアクリレートEC−A;共栄社化学株式会社製)
A−5: トリプロピレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAP150;日油株式会社製)
A−6:メトキシポリエチレングリコールモノアクリレート(ブレンマーAME400(ポリエチレングリコールの平均重合度9);日油株式会社製)
A−7:ノニルフェノキシテトラエチレングリコールモノアクリレート(ライトアクリレートNP−4EA;共栄社化学株式会社製)
A−8:メトキシトリエチレングリコールモノアクリレート(ライトアクリレートMTG−A;共栄社化学株式会社製)
B:カチオン性単量体
B−1:N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルメタクリレート塩酸塩
B−2:N,N,N−トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミド塩酸塩
B−3:N,N,N−トリメチルアンモニウムエチルアクリレートメタンスルホン酸塩
B−4:N,N,N−トリメチルアンモニウムプロピルアクリルアミドp−トルエンスルホン酸塩
C:多官能性不飽和化合物
C−1:トリメチロールプロパントリアクリレート(NKエステルA−TMPT;新中村化学工業株式会社製)
C−2:トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(NKエステルA−DCP;新中村化学工業株式会社製)
C−3:1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(NKエステルA−HD−N;新中村化学工業株式会社製)
C−4:製造例1の数平均分子量1,300のPEG300/TDI/HEAA
C−5:数平均分子量700のポリエチレングリコールジアクリレート(NKエステルA−600(ポリエチレングリコールの平均重合度14);新中村化学工業株式会社製)
C−6:ポリプロピレングリコールジアクリレート(NKエステルAPG−700(ポリプロピレングリコールの平均重合度12);新中村化学工業株式会社製)
C−7:分子量1,100のポリエチレングリコールジアクリレート(NKエステルA−1000(ポリエチレングリコールの平均重合度23);新中村化学工業株式会社製)
D:非反応性希釈剤
D−1:トリプロピレングリコールモノメチルエーテル
D−2:1,2−プロピレングリコール
D−3:数平均分子量400の1,2−ポリプロピレングリコール(ユニオールD400;日油株式会社社製)
D−4:ジエチレングリコール
D−5:イオン交換水
D−6:エチレングリコール
D−7:数平均分子量200のポリエチレングリコール(PEG200;東邦化学工業株式会社社製)
D−8:ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート
D−9:ジエチレングリコールエチルエーテル
E:光開始剤
E−1:1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184;BASFジャパン株式会社製)
E−2:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(IRGACURE-TPO;BASFジャパン株式会社製)
F:(A)、(B)、(C)以外のエチレン性不飽和化合物
F−1:N−(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド(「HEAA」;KJケミカルズ株式会社製)
F−2:N−アクロイルモルホロリン(「ACMO」;KJケミカルズ株式会社製)
F−3:4−ヒドロキシブチルアクリレート
G:添加剤
G−1:サーフィノール440(エアープロダクツジャパン社製)
G−2:2,4−ジフェニル−4−メチル−ペンテン
実施例1〜8および比較例1〜8で得られたサポート材形成用の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H−1)〜(H−8)、(I−1)〜(I−8)を用いた評価を以下の方法で実施し、結果を表2に示す。
粘度測定
コーンプレート型粘度計(装置名:RE550型粘度計 東機産業株式会社製)を使用し、JIS K5600−2−3に準じて、25℃にて、各実施例と比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度を測定した。
硬化性
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)(処理面を表に)を密着させ、バーコーターにて各実施例と比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を50μmの厚みに塗布し、空気下にて紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製、インバーター式コンベア装置ECS−4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製M04−L41、紫外線照度300mW/cm、1パスでの積算光量200mJ/cm)し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の硬化に必要な積算光量を測定した。またここで記載する硬化とは塗膜の表面がベタ付かなくなる状態とする。
耐ブリードアウト性
水平に設置したガラス板上に厚さ75μmの重剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7001)を密着させ、厚さ1mm、内部が50mm×20mmのスペーサーを設置し、スペーサーの内側に各実施例と比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を充填した後、更にその上に厚さ50μmの軽剥離PETフィルム(東洋紡株式会社製、ポリエステルフィルムE7002)を重ね、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製、インバーター式コンベア装置ECS−4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製M04−L41、紫外線照度300mW/cm、1パスでの積算光量200mJ/cm)し、活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を硬化させた。また紫外線を照射する積算光量は上記硬化性評価で得られた積算光量とした。その後、両側の剥離PETフィルムを取り除いて作成した硬化物を試験片として用い、25℃、50%RHに設定した恒温恒湿槽中に168時間静置し、静置前後の試験片表面を目視により評価を行った。
○:静置前、静置後共にブリードアウトが認められない
△:静置前にブリードアウトが見られないが、静置後にブリードアウトが若干認められる
×:静置前にブリードアウトが若干認められ、静置後にブリードアウトが激しく認められる
××:硬化物が粘稠な液体
膨潤性
サポート材の膨潤率は下記の計算式から求められる。50mm×20mm×1mmの長方形のサポート材を用いて、25℃の洗浄液に24時間浸漬し、浸漬前後のサポート材の長辺の長さから膨潤率を算出する。
膨潤率(%)=(浸漬後の硬化物の長さ−浸漬前の硬化物の長さ)/浸漬前の硬化物の長さ×100
なお、洗浄液としてはイオン交換水を使用した。
サポート材の除去性
水平に設置した厚さ1mmのPMMA板に厚さ1mm、内部が50mm×20mmのスペーサーを設置し、スペーサーの内側に各実施例と比較例で得られた活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)を充填した後、紫外線を照射(装置:アイグラフィックス製、インバーター式コンベア装置ECS−4011GX、メタルハライドランプ:アイグラフィックス製M04−L41、紫外線照度300mW/cm、1パスでの積算光量200mJ/cm)し、サポート材を得た。また紫外線を照射する積算光量は上記硬化性評価で得られた積算光量とした。その後、得られたPMMA板上のサポート材を洗浄液に浸漬し、PMMA板上からサポート材が自然に剥離するまでの時間と剥離状態を確認し、下記の評価方法により評価した。なお、洗浄液としてはイオン交換水を使用した。
○:サポート材がすべて除去(PMMA板表面にザラツキ、べた付き等も無い状態)
○△:サポート材はほぼ除去(PMMA板表面にザラツキ、べた付き等がわずかにあるが、水流で洗浄可能な状態)
△:サポート材は大部分除去(PMMA表面にザラツキ、べた付き等の残留があり、水流では洗浄不可な状態)
△×:サポート材は一部除去(PMMA表面にサポート材の残留が多量にある状態)
×:サポート材は除去されていない状態
表2
表2の結果から明らかなように、得られた実施例1〜8の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物(H)は、25℃において100mPa・s以下の粘度を有し、操作性に優れる。また、積算光量2000mJ/cm以下で硬化可能であり、優れた硬化性を示した。さらに、UV照射により得られた硬化物からの非反応性希釈剤のブリードアウトが確認されず、支持体として好適に使用でき、またイオン交換水を洗浄液とした場合、PMMA板からいずれも24時間以内に剥離し、良好な洗浄性を示したことから、実施例は光造型法による三次元造形での良好なサポート材として用いることができる。一方、単量体(A)を使用せず、代わりにヒドロキシブチルアクリレートを使用した比較例1、単量体(A)を過剰に使用した比較例2、単量体(A)およびカチオン性単量体(B)を使用していない特許文献9(特開2010−155889号公報)記載の実施例9に相当する本発明の比較例7では、イオン交換水に浸漬してもサポート材の膨潤はほとんど見られず、サポート材の除去にはヘラ等で削り取るなどの工程が必要な状態であった。またカチオン性単量体(B)を使用していない比較例3や多官能性化合物(C)を過剰に使用した比較例4は液状樹脂の粘度は低く、操作性は良好であり、ブリードアウトも低かったが、洗浄水に浸漬した際のも膨潤性が低く、PMMA板からの剥離にかかる時間が48時間と長く、またPMMA板への残留物が多く、サポート材除去性の低いものであった。多官能性化合物(C)を使用していない比較例5やカチオン性単量体(B)を過剰に使用した比較例6では、積算光量5000mJ/cmの紫外線を照射しても、粘稠な液体の状態であり、硬化物は造形物を支持するサポート材としては使用できない状態であった。特許文献10(特開2012−111226号公報)記載の実施例2−8に相当する本発明の比較例8では活性エネルギー線硬化性樹脂組成物の粘度は低く、操作性は良好であったが、得られた硬化物が十分な架橋構造を形成できず、ポリプロピレングリコールのブリードアウトが多量に見られた。また、サポート材除去後、PMMA板表面に黄色油状の残渣がみられ、水洗では完全に除去できず、アルコールなどの有機溶剤でふき取る必要があった。比較例5、6、8についてはサポート材除去後、洗浄液は白濁し、サポート材の回収は不可能であった。
以上説明してきたように、本発明の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は付加製造用のサポート材を形成するために好適に用いることができる。また活性エネルギー線硬化性樹脂組成物は粘度が低く、操作性に優れるためインクジェットによる付加製造にも用いる事が出来る。更に立体造形物が本発明のサポート材により支持された状態の粗造形物を洗浄液に浸漬した場合、サポート材を膨潤ゲルとして容易に剥離することができ、洗浄液にサポート材が溶解することが無いため、造形物の表面汚染が無く、油脂分等の洗浄工程や拭き取りの仕上げ工程が不要である。この様に本発明のサポート材は優れた洗浄性を発揮し、また剥離したサポート材が洗浄液と二相分離するため、デカンテーションやろ過により洗浄液からのサポート材の分離、回収が容易となり、環境負荷を減らす効果も期待できる。

Claims (8)

  1. 付加製造における形状支持用サポート材に用いられる活性エネルギー線硬化性樹脂組成物であって、下記一般式(1)で示される単量体(A)が10.0〜60.0質量%、カチオン性単量体(B)が1.0〜20.0質量%、多官能性不飽和化合物(C)が0.5〜10.0質量%、非反応性希釈剤(D)が30.0〜80.0質量%を含有することを特徴とする活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。

    CH=CR-CO-(O-C2k)m-OR2 一般式(1)

    (式中、k=2〜3、m=1〜100、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基を表す。)
  2. 単量体(A)が下記一般式(2)で示される化合物であることを特徴とする請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。

    CH=CH−CO−(O−C)n−OR3 一般式(2)

    (式中、n=1〜100、Rは炭素数1〜18のアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基を表す。)
  3. カチオン性単量体(B)が下記一般式(3)で示される化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。

    CH=CH−CO−Y−R−N(CH一般式(3)

    (式中、Yは酸素原子またはNHを表し、Rはエチレン基又はプロピレン基を表し、X-は メチルスルホネート又はp−トルエンスルホネートを表す。)
  4. 多官能性不飽和化合物(C)がエチレン性不飽和基を2個以上有する化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  5. 非反応性希釈剤(D)がエチレングリコール構造を含む化合物であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物。
  6. インクジェット方式による三次元光造型法に用いられる請求項1〜5のいずれか一項に記載の活性エネルギー線硬化性樹脂組成物を含有する光硬化性インク。
  7. 請求項6に記載の光硬化性インクを活性エネルギー線により硬化して得られることを特徴とする形状支持用サポート材。
  8. 請求項7に記載のサポート材を用いて造型することを特徴とする立体造形物。
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