JP2017077779A - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Abstract

【課題】 タイヤ内面に接着した帯状吸音材に切り込みを入れることにより、コーナリング時において帯状吸音材に生じる応力を緩和し、帯状吸音材の耐久性を改善すると共に、帯状吸音材からの放熱を促進し、高速耐久性を改善することを可能にした空気入りタイヤを提供する。【解決手段】 タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備え、トレッド部1の内面にタイヤ周方向に沿って帯状吸音材6が接着された空気入りタイヤにおいて、帯状吸音材6の幅方向の両端部にそれぞれタイヤ周方向に対する角度θが40°≦θ≦90°の範囲にある複数の切り込み7が形成されており、各切り込み7が帯状吸音材6の幅方向の一方の端部にのみ連通している。【選択図】図1

Description

本発明は、空気入りタイヤに関し、更に詳しくは、タイヤ内面に接着した帯状吸音材に切り込みを入れることにより、コーナリング時において帯状吸音材に生じる応力を緩和し、帯状吸音材の耐久性を改善すると共に、帯状吸音材からの放熱を促進し、高速耐久性を改善することを可能にした空気入りタイヤに関する。
タイヤ騒音を発生させる原因の一つにタイヤ空洞部に充填された空気の振動による空洞共鳴音がある。この空洞共鳴音は、車両走行時に路面と接地するタイヤのトレッド部が路面の凹凸によって振動し、この振動がタイヤ空洞部内の空気を振動させることによって生じる。この空洞共鳴音の中で騒音となる周波数域があり、その周波数域の騒音レベルを低下させることがタイヤ騒音を低減するのに重要である。
このような空洞共鳴現象による騒音を低減させる方法として、タイヤ内面にスポンジ等の多孔質材料からなる吸音材を弾性固定バンドによりトレッド部の内周面に装着することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、吸音材の固定を弾性固定バンドに依存した場合、高速走行時において弾性固定バンドが変形してしまうという問題がある。
これに対して、帯状吸音材をタイヤ内面に直接接着して固定する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この場合、タイヤ内面に帯状吸音材が直貼りされているためトレッド部に蓄熱が生じ、その蓄熱により高速耐久性が悪化するという問題がある。また、帯状吸音材をタイヤ内面に直貼りした場合、コーナリング時に帯状吸音材がタイヤの撓みに追従することができず破断してしまうという問題がある。
特許4281874号公報 特許5267288号公報
本発明の目的は、タイヤ内面に接着した帯状吸音材に切り込みを入れることにより、コーナリング時において帯状吸音材に生じる応力を緩和し、帯状吸音材の耐久性を改善すると共に、帯状吸音材からの放熱を促進し、高速耐久性を改善することを可能にした空気入りタイヤを提供することにある。
上記目的を達成するための本発明の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記トレッド部の内面にタイヤ周方向に沿って帯状吸音材が接着された空気入りタイヤにおいて、前記帯状吸音材の幅方向の両端部にそれぞれタイヤ周方向に対する角度θが40°≦θ≦90°の範囲にある複数の切り込みが形成されており、各切り込みが前記帯状吸音材の幅方向の一方の端部にのみ連通していることを特徴とするものである。
本発明では、帯状吸音材の幅方向の両端部にそれぞれ複数の切り込みを形成し、各切り込みを帯状吸音材の幅方向の一方の端部にのみ連通する構成としているので、コーナリング時にタイヤが撓んだ際に帯状吸音材の端部の切り込みが開いて、タイヤの変形に追従し、帯状吸音材に生じる応力を緩和し、帯状吸音材の破断を抑制することが可能となる。これにより、帯状吸音材の耐久性を改善することができる。また、コーナリング時に帯状吸音材の端部の切り込みが開くことにより、帯状吸音材の放熱面積が増大するので、帯状吸音材からの放熱を促進し、空気入りタイヤの高速耐久性を向上させることが可能となる。
本発明において、帯状吸音材の切り込みの幅aは帯状吸音材の幅Aに対して5%〜25%であることが好ましい。これにより、コーナリング時に帯状吸音材の端部の切り込みが開き、帯状吸音材からの放熱を促進することが可能となる。
切り込みの深さdは帯状吸音材の厚さDに対して50%以上であることが好ましい。これにより、コーナリング時に帯状吸音材の端部の切り込みが開き、帯状吸音材からの放熱を促進し、空気入りタイヤの高速耐久性を向上させることが可能となる。また、タイヤの歪みに起因する帯状吸音材の破断を効果的に抑制することが可能となる。
帯状吸音材の体積はタイヤの内腔体積に対して10%〜30%であることが好ましい。これにより、帯状吸音材による吸音効果をより一層得ることが可能となる。このように帯状吸音材の体積を大きくすることで優れた騒音低減効果を得ることができ、しかも大型の帯状吸音材であっても良好な応力緩和効果と放熱効果を発揮することができる。空洞部の体積は、タイヤを正規リムにリム組みして正規内圧を充填した状態でタイヤとリムとの間に形成される空洞部の体積である。「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えば、JATMAであれば標準リム、TRAであれば“Design Rim”、或いはETRTOであれば“Measuring Rim”とする。但し、タイヤが新車装着タイヤの場合には、このタイヤが組まれた純正ホイールを用いて空洞部の体積を求めることとする。「正規内圧」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、各規格がタイヤ毎に定めている空気圧であり、JATMAであれば最高空気圧、TRAであれば表“TIRE ROAD LIMITS AT VARIOUS COLD INFLATION PRESSURES”に記載の最大値、ETRTOであれば“INFLATION PRESSURE”であるが、タイヤが新車装着タイヤの場合には、車両に表示された空気圧とする。
帯状吸音材はタイヤ周方向の少なくとも一箇所に欠落部を有することが好ましい。これにより、タイヤのインフレートによる膨張や、接地転動に起因する接着面のせん断ひずみに長時間耐えることが可能となる。
本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す斜視断面図である。 本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示す赤道線断面図である。 本発明の空気入りタイヤの内面に接着される帯状吸音材の一部を示す展開図である。 図3の帯状吸音材のタイヤ周方向の断面図である。 本発明の空気入りタイヤの内面に接着される帯状吸音材の切り込みの変形例を示し、(a)〜(d)は各変形例の展開図である。
以下、本発明の構成について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。図1及び図2は本発明の実施形態からなる空気入りタイヤを示すものである。図1において、本実施形態の空気入りタイヤは、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部1と、該トレッド部1の両側に配置された一対のサイドウォール部2と、これらサイドウォール部2のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部3とを備えている。
上記空気入りタイヤにおいて、タイヤ内面4のトレッド部1に対応する領域には、タイヤ周方向に沿って接着層5を介して帯状吸音材6が接着されている。帯状吸音材6は、連続気泡を有する多孔質材料から構成され、その多孔質構造に基づく所定の吸音特性を有している。帯状吸音材6の多孔質材料としては発泡ポリウレタンを用いると良い。一方、接着層5としては、両面接着テープが好ましい。
帯状吸音材6にはその幅方向の両端部にそれぞれ複数の切り込み7が形成されている。各切り込み7は帯状吸音材6の幅方向の一方の端部にのみ連通している。ここで、図3に示すように、帯状吸音材6の切り込み7のタイヤ周方向に対する角度を角度θとする。このとき、切り込み7のタイヤ周方向に対する角度θが40°≦θ≦90°の範囲にあることを満足するように各切り込み7が配置されている。なお、図3においてTcはタイヤ周方向、Twはタイヤ幅方向である。
上述した空気入りタイヤでは、切り込み7がタイヤ周方向に対する角度θを40°≦θ≦90°の範囲とし帯状吸音材6の幅方向の両端部にそれぞれ形成されているが、特に、角度θは90°であることが好ましい。帯状吸音材6の幅方向の両端部にそれぞれ複数の切り込み7を形成し、各切り込み7を帯状吸音材6の幅方向の一方の端部にのみ連通する構成としているので、コーナリング時にタイヤが撓んだ際に帯状吸音材6の端部の切り込み7が開いて、タイヤの変形に追従し、帯状吸音材6に生じる応力を緩和し、帯状吸音材6の破断を抑制することが可能となる。これにより、帯状吸音材6の耐久性を改善することができる。また、コーナリング時に帯状吸音材6の端部の切り込み7が開くことにより、帯状吸音材6の放熱面積が増大するので、帯状吸音材6からの放熱を促進し、空気入りタイヤの高速耐久性を向上させることが可能となる。ここで、切り込み7を帯状吸音材6の幅方向の両端部に連通させると、帯状吸音材6同士の擦れや切り込み7の底部からの亀裂が生じて帯状吸音材6の破断に繋がる。このため、各切り込み7が帯状吸音材6の幅方向の一方の端部にのみ連通する構成をとることで、帯状吸音材6に生じる応力に起因する帯状吸音材6の破断を生じにくくさせることができる。
図3に示すように切り込み7の幅を幅aとし、帯状吸音材6の幅を幅Aとする。このとき、帯状吸音材6の切り込み7の幅aは帯状吸音材6の幅Aに対して5%〜25%であることが好ましい。
上述した空気入りタイヤでは、帯状吸音材6の切り込み7のタイヤ周方向に対する間隔をランダムに配置しても良いが、各方向の引張り歪に対し均一に対応できることから帯状吸音材6の切り込み7のタイヤ周方向に対する間隔を等間隔とすることがより好ましい。これにより、コーナリング時に帯状吸音材6の端部の切り込み7が開き、帯状吸音材6からの放熱を促進することが可能となる。ここで、切り込み7の幅aが広過ぎると帯状吸音材6が安定せず、帯状吸音材6をタイヤ内面4に接着する際の貼付け性が悪化する。一方、切り込み7の幅aが狭過ぎると、帯状吸音材6がタイヤの変形に追従できず、帯状吸音材6に生じる応力を緩和することができないため、帯状吸音材6の耐久性の改善効果が低下する。また、帯状吸音材6の放熱面積が小さいため、帯状吸音材6からの放熱を促進できず、タイヤの高速耐久性の改善効果が低下する。
図4は帯状吸音材6のタイヤ周方向の断面図である。切り込み7の深さを深さdとし、帯状吸音材6の厚さを厚さDとする。このとき、切り込み7の深さdは帯状吸音材6の厚さDに対して50%以上であることが好ましい。
上記の空気入りタイヤでは、コーナリング時に帯状吸音材6の端部の切り込み7が開き、帯状吸音材6からの放熱を促進することが可能となる。また、タイヤの歪みに起因する帯状吸音材6の破断を効果的に抑制することが可能となる。ここで、切り込み7の深さdが浅過ぎると、帯状吸音材6からの放熱が鈍くなり、タイヤの高速耐久性が悪化すると共に、コーナリング時に帯状吸音材6がタイヤの撓みに追従することができず、その結果、帯状吸音材6の破断に繋がる場合もある。
上記の空気入りタイヤにおいて、帯状吸音材6の体積はタイヤの内腔体積に対して10%〜30%であることが好ましい。また、帯状吸音材6の幅Aはタイヤ接地幅に対して30%〜90%であることがより好ましい。これにより、帯状吸音材6による吸音効果をより一層得ることが可能となる。ここで、帯状吸音材6の体積がタイヤの内腔体積に対して10%を下回ると吸音効果を適切に得ることができない。また、帯状吸音材6の体積がタイヤの内腔体積に対して30%を超えると空洞共鳴現象による騒音の低減効果が一定となり、より一層の低減効果が望めなくなる。
また、図2に示すように、帯状吸音材6はタイヤ周方向の少なくとも1箇所に欠落部9を有することが好ましい。欠落部9とはタイヤ周上で帯状吸音材6が存在しない部分である。帯状吸音材6に欠落部9を設けることにより、タイヤのインフレートによる膨張や接地転動に起因する接着面のせん断ひずみに長時間耐えることができ、帯状吸音材6の接着面に生じるせん断歪みを効果的に緩和することが可能となる。このような欠落部9はタイヤ周上で1箇所又は3〜5箇所設けるのが良い。つまり、欠落部9をタイヤ周上の2箇所に設けると質量アンバランスに起因してタイヤユニフォミティの悪化が顕著になり、欠落部9をタイヤ周上の6箇所以上に設けると製造コストの増大が顕著になる。
なお、欠落部9をタイヤ周上の2箇所以上に設ける場合、帯状吸音材6がタイヤ周方向に途切れることになるが、そのような場合であっても、例えば、両面接着テープからなる接着層5のような他の積層物で複数の帯状吸音材6を互いに連結するようにすれば、これら帯状吸音材6を一体的な部材として取り扱うことができるため、タイヤ内面4への貼り付け作業を容易に行うことができる。
切り込み7としては、図1に示す他に図5(a)に示すように切り込み7を帯状吸音材6の両端部で互い違いに配置した場合や、図5(b)に示すように切り込み7を帯状吸音材6の両端部で配置数を変えた場合、図5(c)に示すように切り込み7をランダムに配置した場合、図5(d)に示すように帯状吸音材6の両端部で切り込み7の幅が異なるように形成した場合を例示することができる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
タイヤサイズ275/35ZR20で、タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、トレッド部の内面にタイヤ周方向に沿って帯状吸音材が接着された空気入りタイヤにおいて、切り込みの幅(幅a/幅A×100%)、及び切り込みの深さ(深さd/厚さD×100%)を表1−1及び表1−2のように設定した従来例及び実施例1〜8のタイヤを製作した。
これら試験タイヤについて、下記試験方法により、高速耐久性、耐久性及び帯状吸音材の貼付け性を評価し、その結果を表1−1及び表1−2に併せて示した。
高速耐久性:
各試験タイヤをそれぞれリムサイズ20×9 1/2Jのホイールに組み付け、空気圧360kPa、荷重5kNの条件でドラム試験機にて走行試験を実施した。具体的には、初期速度250km/hとし、20分毎に10km/hずつ速度を増加させ、タイヤに故障が発生するまで走行させ、その到達ステップ(速度)を測定した。その結果を表1−1及び表1−2に示す。
耐久性:
ここで言う耐久性は、コーナリング時に帯状吸音材がタイヤの撓みに追従する性能である歪み追従性を示す。各試験タイヤをそれぞれリムサイズ20×9 1/2Jのホイールに組み付け、空気圧170kPa、荷重8.82kN、スリップ角±5°の条件でドラム試験機にて12時間の走行試験を実施した後、帯状吸音材の接着面の剥がれ又は帯状吸音材の破断の有無を目視により確認した。その結果を表1−1及び表1−2に示す。上記の項目において、脱落、破断が無い場合を「◎」で示し、接着面の剥がれ又は帯状吸音材の破断が一部あるが問題ない場合を「○」で示し、接着面の剥がれ又は帯状吸音材の破断が帯状吸音材全体の1/4以下の場合を「△」で示し、接着面の剥がれ又は帯状吸音材の破断が帯状吸音材全体の1/4以上の場合を「×」で示した。
帯状吸音材の貼付け性:
上記の項目において、帯状吸音材の貼付け性に問題ない場合を「◎」で示し、帯状吸音材の貼付け性が若干悪化するものの十分対応可能である場合を「○」で示した。
Figure 2017077779
Figure 2017077779
この表1−1、表1−2から判るように、実施例1〜8の空気入りタイヤは高速耐久性、耐久性及び帯状吸音材の貼付け性が同時に改善されていた。
1 トレッド部
2 サイドウォール部
3 ビード部
4 タイヤ内面
5 接着層
6 帯状吸音材
7 切り込み
8 空洞部
9 欠落部

Claims (5)

  1. タイヤ周方向に延在して環状をなすトレッド部と、該トレッド部の両側に配置された一対のサイドウォール部と、これらサイドウォール部のタイヤ径方向内側に配置された一対のビード部とを備え、前記トレッド部の内面にタイヤ周方向に沿って帯状吸音材が接着された空気入りタイヤにおいて、前記帯状吸音材の幅方向の両端部にそれぞれタイヤ周方向に対する角度θが40°≦θ≦90°の範囲にある複数の切り込みが形成されており、各切り込みが前記帯状吸音材の幅方向の一方の端部にのみ連通していることを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記帯状吸音材の切り込みの幅aが前記帯状吸音材の幅Aに対して5%〜25%であることを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記切り込みの深さdが前記帯状吸音材の厚さDに対して50%以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記帯状吸音材の体積が前記タイヤの内腔体積に対して10%〜30%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記帯状吸音材がタイヤ周方向の少なくとも一箇所に欠落部を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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