JP2017076038A - デジタルホログラフィ装置およびデジタルホログラフィ方法 - Google Patents

デジタルホログラフィ装置およびデジタルホログラフィ方法 Download PDF

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Abstract

【課題】所望の波長の像成分を抽出可能に記録または再生する。【解決手段】デジタルホログラフィ装置(1)は、波長λ1・λ2の参照光および物体光が干渉することにより形成されるホログラムを撮像するモノクロの撮像装置(12)を備える。撮像装置は、波長λ1について、位相シフト量がそれぞれ異なり、かつ、波長λ2について位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを撮像する。【選択図】図1

Description

本発明はデジタルホログラフィ装置およびデジタルホログラフィ方法に関する。
以後の文章中で位相の単位はラジアンで表す。光の干渉を利用した干渉計測技術、特にデジタルホログラフィは、非接触かつ非破壊で、物体の3次元情報を得ることができるため、近年、注目を集めている測定法の一つとなっている。
デジタルホログラフィは、3次元物体への光照射によって得られる干渉縞から、コンピュータを用いて3次元物体の像を再生する技術である。一般的には例えば、3次元物体への光照射によって得られる物体光と、該物体光に対して可干渉(コヒーレント)である参照光とが作る干渉縞を、CCD(charge coupled device)等の撮像素子を用いて記録する。記録された干渉縞に基づいて、コンピュータで3次元物体の像を再生する。
非特許文献1には、干渉縞から像を再生する基本的なデジタルホログラフィ技術が記載されている。
非特許文献3には、2種類の干渉縞から像を再生する2段階位相シフト法が記載されている。
特許文献1−3には、画素を分割して、複数種類の干渉縞を同時に撮像し、位相シフト法によって像を再生する技術(並列位相シフト法)が記載されている。
ここで、被写体の色情報をホログラムに記録する技術として、特許文献2−3、および非特許文献2の技術がある。特許文献2−3、および非特許文献2には、複数の波長のレーザ光およびカラーフィルタアレイを用いることにより、被写体の色情報をホログラムに記録する技術が記載されている。カラーフィルタアレイを用いる方式は、ホログラフィではない一般的なデジタルカメラで用いられるカラー撮影方式と同様のものである。
特許文献4には、複数波長が重畳した複数の干渉縞から各波長の像を再生する技術が記載されている。
非特許文献4には、複数台の撮像装置を用いることにより複数種類の干渉縞を同時に撮像し、位相シフト法によって像を再生する技術が記載されている。
日本国特許第4294526号公報(2009年4月17日登録) 国際公開WO2010/092739(2010年8月19日公開) 国際公開WO2012/002207(2012年1月5日公開) 国際公開WO2015/040925(2015年3月26日公開)
J. W. Goodman and R. W. Lawrence、「DIGITAL IMAGE FORMATION FROM ELECTRONICALLY DETECTED HOLOGRAMS」、APPLIED PHYSICS LETTERS、(1967)、Vol. 11、No. 3、p.77-79 T. Kakue, et al., "Parallel phase-shifting color digital holography using two phase shifts", Appl. Opt. 48, pp.H244-H250 (2009) X. F. Meng, et al., "Two-step phase-shifting interferometry and its application in image encryption", Opt. Lett. 31, pp.1414-1416 (2006) J. Hahn, et al., "Spatial phase-shifting interferometry withcompensation of geometric errors based on genetic algorithm", Chinese Opt. Lett. 7, pp.1113-1116 (2009)
しかしながら、カラーフィルタアレイを用いる方法では、以下の問題を生じる。まず、カラーフィルタによって光の吸収および反射が生じ、光利用効率が低下する。また、カラーフィルタは単一の波長成分のみを通過させるわけではないので、波長成分の完全な分離記録が困難である。デジタルホログラフィの像再生時おいて、カラーフィルタで遮断できなかった不要な波長の光成分は、所望の波長の光成分であると誤認識されて計算される。そのため、不要な波長の光成分は本来とは異なる空間位置で像を結ぶ。その結果、不要な波長の光成分は再生像にゴーストを生じさせてしまう。また、並列位相シフト法を適用する場合、カラーフィルタアレイと並列位相シフト法に必要な光学アレイとを高精度で位置合わせする必要があるという問題が生じる。また、特許文献4の技術では、導入する位相シフト量に厳しい制限が課される。そのような位相シフト量を導入するのは簡単ではない。
本発明の一態様では、複数の波長または複数の偏光の光によって形成されるホログラムをモノクロ撮像素子を用いて記録するインライン型デジタルホログラフィにおいて、所望の波長または偏光の像成分を抽出可能に記録または再生することを実現する。
本発明の一態様に係るデジタルホログラフィ装置は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムを撮像するモノクロの撮像装置を備え、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記撮像装置は、少なくとも、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを撮像する構成である。
上記の構成によれば、第1物体光および第2物体光の振幅および位相の特定に必要な、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを記録することができる。それゆえ、モノクロの撮像装置を用いて、波長または偏光方向毎に精度よく分離された再生像を得るために必要な複数のホログラムを記録することができ、カラーフィルタを利用する場合に生じるゴーストの問題を回避することができる。そのため、高画質の再生像を得ることができる。また、光の利用効率を高くすることができる。
上記第1参照光および上記第1物体光は、第1波長であり、上記第2参照光および上記第2物体光は、上記第1波長とは異なる第2波長である構成としてもよい。
上記第1参照光および上記第1物体光は、第1偏光方向の偏光であり、上記第2参照光および上記第2物体光は、上記第1偏光方向に直交する第2偏光方向の偏光である構成としてもよい。
上記撮像装置は、さらに、上記第1ホログラムから上記第4ホログラムのいずれに対しても、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なり、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量が異なる、第5ホログラムを撮像し、上記第1ホログラムの位相シフト量を基準として、上記第2ホログラムの位相シフト量と上記第3ホログラムの位相シフト量とは互いに対称な値であり、上記第4ホログラムの位相シフト量と上記第5ホログラムの位相シフト量とは互いに対称な値である構成としてもよい。
上記の構成によれば、物体光の振幅および位相を特定するための計算が簡単になる。
上記デジタルホログラフィ装置は、上記第1参照光の光路長を変更するピエゾ素子を備える構成としてもよい。
上記の構成によれば、ピエゾ素子によって第1参照光の光路長を変更することで、位相シフト量を変更することができる。
上記デジタルホログラフィ装置は、上記撮像装置が撮像した上記第1ホログラムから上記第4ホログラムを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定する再生装置を備える構成としてもよい。
上記の構成によれば、各波長または各偏光方向の物体光の振幅および位相を特定することができる。それゆえ、被写体の分光された3次元画像情報または偏光状態の情報を得ることができる。
上記デジタルホログラフィ装置は、再生装置を備え、上記再生装置は、上記第2ホログラムの画素値と上記第3ホログラムの画素値との和の1/2を上記第1ホログラムの画素値から減じたものと、上記第4ホログラムの画素値と上記第5ホログラムの画素値との和の1/2を上記第1ホログラムの画素値から減じたものとを用いて、上記第1物体光の複素振幅の実部を特定し、上記第2ホログラムの画素値から上記第3ホログラムの画素値を減じたものと、上記第4ホログラムの画素値から上記第5ホログラムの画素値を減じたものとを用いて、上記第1物体光の複素振幅の虚部を特定する構成としてもよい。
上記撮像装置は、上記第1参照光、上記第1物体光、上記第2参照光、上記第2物体光、第3参照光、および第3物体光により形成されるホログラムを撮像し、上記第3参照光と上記第3物体光とは互いに干渉可能であり、上記第3参照光と、上記第1物体光および上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第1ホログラム、上記第2ホログラム、上記第3ホログラム、および上記第4ホログラムでは、上記第3参照光および上記第3物体光についての位相シフト量はそれぞれ異なり、上記撮像装置は、さらに、上記第1ホログラムから上記第4ホログラムのいずれに対しても、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、かつ、上記第3参照光および上記第3物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第5ホログラム、および第6ホログラムを撮像する構成としてもよい。
上記の構成によれば、第1波長、第2波長、第3波長の物体光の振幅および位相の特定に必要な、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、第4ホログラム、第5ホログラム、および第6ホログラムを記録することができる。
本発明の一態様に係るデジタルホログラフィ装置は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生装置を備え、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記再生装置は、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定する構成である。
本発明の一態様に係るデジタルホログラフィ方法は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムを、モノクロの撮像装置を用いて撮像する撮像ステップを含み、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記撮像ステップにおいては、少なくとも、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを撮像する方法である。
本発明の一態様に係るデジタルホログラフィ方法は、第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生ステップを含み、上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、上記再生ステップは、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定するステップを含む方法である。
本発明の各態様に係る再生装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを上記再生装置として動作させることにより上記再生装置をコンピュータにて実現させる再生装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
本発明は、モノクロの撮像装置を用いて、波長毎または偏光方向毎に精度よく分離された再生像を抽出可能に、複数のホログラムを記録または再生することができる。そのため、カラーフィルタを利用する場合に生じるゴーストの問題を回避することができる。そのため、高画質の再生像を得ることができる。
本発明に係る一実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。 本発明に係る他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。 本発明に係るさらに他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。 本発明に係るさらに他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。 撮像面の一部の画素を示す模式図である。 本発明に係るさらに他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。 本発明に係るさらに他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。 本発明に係るさらに他の実施形態のデジタルホログラフィ装置の構成を示す模式図である。 シミュレーションに用いる被写体の像、および再生像を示す図である。 シミュレーションに用いる被写体の像、および再生像を示す図である。
本発明の実施形態について図に基づいて以下に説明する。説明の便宜上、各実施形態において、上述した実施形態に示した部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、適宜その説明を省略することがある。
〔実施形態1〕
本実施形態は、複数の波長で形成されるホログラムを、モノクロ撮像素子を用いて記録するインライン型デジタルホログラフィに関する。そして、デジタルホログラフィ装置は、記録したホログラムを用いて、複数の波長の情報を互いに分離して再生することができる。
(デジタルホログラフィ装置1の構成)
図1は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置1の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置1は、インライン型(in-line型またはon-axis型)のデジタルホログラフィ装置である。デジタルホログラフィ装置1は、記録装置21(ホログラム記録装置)と再生装置11とを備える。記録装置21は、撮像装置12、波長λ1のレーザ光源LS1、波長λ2のレーザ光源LS2、および光学系を備える。波長λ1と波長λ2とは互いに異なる。再生装置11は、コンピュータ等の計算機によって構成することができる。なお、レーザ光としては、可視光のみならず、不可視光(赤外線、近赤外線、紫外線、またはX線等)も利用することができる。
光学系は、ミラー等の複数の光学素子を備え、波長λ1・λ2のレーザ光(コヒーレント光)を被写体13(物体)および撮像装置12へ導く。具体的には、光学系は、複数の光学素子として、ビームスプリッタBS1〜BS4、ミラーM1〜M3、ビームエキスパンダBE、およびピエゾ素子PZTを備える。ビームエキスパンダBEはそれぞれ、対物レンズBEa、ピンホールBEb、およびコリメータレンズBEcを備える。ビームスプリッタBS1〜BS4は、ハーフミラーからなる。ビームスプリッタBS1は、ダイクロイックミラーからなってもよい。ミラーM3はピエゾ素子PZTによって支持されている。ミラーM3は、ピエゾ素子PZTによって、参照光の光路に垂直な方向に変位可能である。すなわち、本実施形態では、参照光の光路長を調整することができる。なお、ミラーM3は、参照光の光路に垂直ではない方向に変位してもよい。
撮像装置12は、撮像するための複数の画素がx方向およびy方向に配列した撮像面を有し、撮像面に到達した光の強度を記録する。x方向はy方向に対して垂直である。撮像装置12は、CCD等の撮像素子を有する。撮像装置12は、撮像面上に形成された干渉縞を記録する。この干渉縞は物体光の情報を有するホログラムである。撮像装置12はカラーフィルタを備えないため、撮像装置12の1つの画素は同時に複数の波長の光を受光する。すなわち撮像装置12はモノクロ撮像装置である。撮像装置12は、撮像した干渉縞の画像データを再生装置11に出力する。再生装置11の詳細については後述する。
(物体光および参照光)
レーザ光源LS2から出射された波長λ2のレーザ光は、ミラーM1およびビームスプリッタBS1で反射され、波長λ1のレーザ光と同じ経路に合成される。光軸が揃えられた2つの波長λ1・λ2のレーザ光は、ビームエキスパンダBEを通過する。波長λ1・λ2のレーザ光は、ビームスプリッタBS2によって、物体照明光と参照光とに分割される。
波長λ1・λ2毎に、物体照明光および参照光の偏光方向は一致している。ただし、波長λ1の光の偏光方向と波長λ2の光の偏光方向とが一致している必要はない。
ビームスプリッタBS2によって分けられた波長λ1・λ2の物体照明光は、ミラーM2を経由して、被写体13に照射される。物体照明光が被写体13によって散乱、透過または回折されたものが物体光である。被写体13からの物体光は、ビームスプリッタBS3で反射され、撮像装置12の撮像面に入射する。
なお、物体光の経路(被写体13からビームスプリッタBS3の間、および/または、ビームスプリッタBS3から撮像装置12の間)に偏光子を設けてもよい。偏光子は、被写体13によって乱れた物体光の偏光、またはビームスプリッタBS3によって乱れた物体光の偏光を、一方向の偏光に整えることによって、ノイズとなる成分を除去する役割を果たす。
ビームスプリッタBS2によって分けられた波長λ1・λ2の参照光は、ビームスプリッタBS4を通過する。ビームスプリッタBS4を通過した参照光は、ミラーM3によって反射される。ミラーM3で反射された参照光は、ビームスプリッタBS4で反射され、ビームスプリッタBS3を通過して、撮像装置12の撮像面に入射する。デジタルホログラフィ装置1はインライン型であるので、撮像面に入射する物体光および参照光は、実質的にその光軸が撮像面に垂直になる。
(ホログラムの記録)
撮像面には、波長λ1の物体光(物体波)および参照光(参照波)が干渉して形成された干渉縞と、波長λ2の物体光(物体波)および参照光(参照波)が干渉して形成された干渉縞との重ね合わせの干渉縞(ホログラム)が形成される。モノクロ撮像装置である撮像装置12は、複数の波長λ1・λ2の干渉縞が重畳されたホログラムを撮像する。
本実施形態のデジタルホログラフィ装置1では、ピエゾ素子PZTを駆動してミラーM3の位置を変えて、5回の撮像を行う。すなわち、撮像装置12は、参照光の位相状態が異なる5種類のホログラムを逐次記録する。なお、撮像装置12は、各波長の参照光の強度分布を記録するために、物体光が遮られた状態で、波長λ1の参照光および波長λ2の参照光をそれぞれ撮像しておく。撮像装置12は、撮像した画像データを再生装置11に出力する。
ミラーM3のある位置を基準として、ミラーM3の変位量を0[nm]、±d1[nm]、±d2[nm]に変化させる。例えば、ミラーM3の変位量を0[nm]、±50[nm]、±100[nm]に変化させる。なお、参照光の光路が長くなる方を、正(+)方向の変位とする。ここでは、一例として、波長λ1が532nmであり、波長λ2が640nmであるとする。
第1状態では、ミラーM3の変位量は0[nm]である。各波長について、第1状態における物体光と参照光との位相の関係を基準とし、物体光の位相に対する参照光の位相の遅れまたは進みを位相シフト量(位相変調量)と定義する。なお、位相は2πずれると元に戻るため、2つの位相シフト量の差が2πの整数倍である場合、それら2つの位相シフト量は同じと見なすことができる。
第1状態においては、波長λ1・λ2共に位相シフト量は0である。第1状態において記録されるホログラムを第1ホログラムとする。
第2状態では、ミラーM3の変位量は+d1[nm]である。往復分の光路長の変化は2×d1であるため、波長λ1の参照光は4π×d1/λ1だけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は4π×d1/λ1である。一方、波長λ2の位相シフト量は、4π×d1/λ2である。第2状態において記録されるホログラムを第2ホログラムとする。
第3状態では、ミラーM3の変位量は−d1[nm]である。波長λ1の参照光は−4π×d1/λ1だけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は−4π×d1/λ1である。一方、波長λ2の位相シフト量は、−4π×d1/λ2である。第3状態において記録されるホログラムを第3ホログラムとする。
第4状態では、ミラーM3の変位量は+d2[nm]である。波長λ1の参照光は4π×d2/λ1だけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は4π×d2/λ1である。一方、波長λ2の位相シフト量は、4π×d2/λ2である。第4状態において記録されるホログラムを第4ホログラムとする。
第5状態では、ミラーM3の変位量は−d2[nm]である。波長λ1の参照光は−4π×d2/λ1だけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は−4π×d2/λ1である。一方、波長λ2の位相シフト量は、−4π×d2/λ2である。第5状態において記録されるホログラムを第5ホログラムとする。
第1〜第5ホログラムにおいては、波長λ1の位相シフト量がそれぞれ異なる。さらに、第1〜第5ホログラムにおいては、波長λ2の位相シフト量がそれぞれ異なる。
2つの波長λ1・λ2について、上記のように位相シフト量が異なる5種類のホログラム(第1〜第5ホログラム)を記録することができれば、波長λ1の物体光の位相情報(複素振幅分布)と波長λ2の位相情報とを分離して抽出することができる。すなわち、再生装置11において、波長λ1のホログラムと波長λ2のホログラムとが重畳した第1〜第5ホログラムから、波長λ1の再生像と波長λ2の再生像とを分離して再生することができる。5種類のホログラムとして、基準である第1ホログラム、波長λ1の位相シフト量がαでありかつ波長λ2の位相シフト量がαである第2ホログラム、波長λ1の位相シフト量が−αでありかつ波長λ2の位相シフト量が−αである第3ホログラム、波長λ1の位相シフト量がαでありかつ波長λ2の位相シフト量がαである第4ホログラム、および、波長λ1の位相シフト量が−αでありかつ波長λ2の位相シフト量が−αである第5ホログラムが記録できればよい。
(再生方法)
撮像されたホログラムの画素値は、干渉縞の光強度を表す。複数のホログラムから元の物体光の位相情報を算出できれば、回折積分によって物体光の伝播を遡ることにより、任意の奥行き位置での合焦像(再生像)を得ることができる。以下において、再生方法の概要を説明した後、再生方法の詳細を説明する。
まず(第1処理)、第1〜第5ホログラムを用いて、各点(画素)における波長λ1の物体光の複素振幅分布の実部および虚部を求める。すなわち、波長λ1の物体光の振幅および位相を求める。
次に(第2処理)、第1〜第5ホログラムを用いて、各点(画素)における波長λ2の物体光の複素振幅分布の実部および虚部を求める。すなわち、波長λ2の物体光の振幅および位相を求める。
その次に(第3処理)、求められた波長λ1・λ2の物体光の振幅および位相を用いて回折積分(回折計算)することにより、波長λ1・λ2のそれぞれの再生像(振幅情報)および3次元形状情報(位相情報)を再生することができる。
最後に(第4処理)、波長λ1の再生像と波長λ2の再生像とを色合成すれば、多色(2色)の再生像を生成することができる。
以下に再生方法の詳細について説明する。撮像されたホログラムの各画素の座標を(x、y)で表す。ここでは1つの画素(x、y)に注目して説明する。第1ホログラムの画素の画素値I(0、0)は、当該画素において検出された光強度を表す。ここで、I(0、0)の括弧の中の値は、それぞれ(波長λ1の位相シフト量、波長λ2の位相シフト量)を表す。同様に、第2ホログラムの画素の画素値をI(α、α)とし、第3ホログラムの画素の画素値をI(−α、−α)とし、第4ホログラムの画素の画素値をI(α、α)とし、第5ホログラムの画素の画素値をI(−α、−α)とする。画素毎に画素値は異なるので、I(0、0)、I(α、α)、I(−α、−α)、I(α、α)、およびI(−α、−α)はx、yを変数とする関数である。各ホログラムの画素値は、式(1)で表される。
ここで、0thλ1は波長λ1の0次回折光強度を示し、0thλ2は波長λ2の0次回折光強度を示す。Arλ1は波長λ1の参照光の振幅を示し、Arλ2は波長λ2の参照光の振幅を示す。Uλ1は波長λ1の物体光の複素振幅を示し、Uλ2は波長λ2の物体光の複素振幅を示す。jは虚数単位である。なお、式(1)では、波長λ1、λ2の位相シフト量がそれぞれα、αである場合(第2ホログラム)を表しているが、α、αを他の値に置き換えれば他のホログラムの画素値を表す式になる。各値は注目している画素(x、y)における値を示す。すなわち、I(α、α)、0thλ1、0thλ2、Arλ1、Arλ2、Uλ1、Uλ2は、x、yの関数である。
I(0、0)、I(α、α)、I(−α、−α)、I(α、α)、およびI(−α、−α)は第1ホログラム〜第5ホログラムの測定値であるので、既知である。波長λ1の参照光の強度Arλ1 および波長λ2の参照光の強度Arλ2 は既知である。なお、撮像装置12で参照光の強度分布を記録せずに、再生装置11で各波長の参照光の強度分布を仮の値に仮定して計算を行ってもよい。各波長の位相シフト量α〜αも既知である。
は、第2ホログラムの画素値と第3ホログラムの画素値との和の1/2を上記第1ホログラムの画素値から減じたものである。Iは、第4ホログラムの画素値と第5ホログラムの画素値との和の1/2を第1ホログラムの画素値から減じたものである。Iは、第2ホログラムの画素値から第3ホログラムの画素値を減じて1/2を乗じたものである。Iは、第4ホログラムの画素値から第5ホログラムの画素値を減じて1/2を乗じたものである。
、Iを用いて、複素振幅Uλ1の実部Re[Uλ1]は式(2)で表される。I、Iを用いて、複素振幅Uλ1の虚部Im[Uλ1]は式(3)で表される。式(2)(3)により、I、I、I、Iから、複素振幅Uλ1の実部と虚部とが得られる。すなわち、第1ホログラム〜第5ホログラムから、波長λ1の物体光の振幅および位相が求められる。なお、位相シフト量α〜αは、式(2)の右辺の分母および式(3)の右辺の分母が0にならないように選ばれればよい。ピエゾ素子PZTでのミラー3の変位量を調整することで、位相シフト量α〜αを調整することができる。
同様に、I、Iを用いて、複素振幅Uλ2の実部Re[Uλ2]は式(4)で表される。I、Iを用いて、複素振幅Uλ2の虚部Im[Uλ2]は式(5)で表される。式(2)(3)により、I、I、I、Iから、複素振幅Uλ2の実部と虚部とが得られる。すなわち、第1ホログラム〜第5ホログラムから、波長λ2の物体光の振幅および位相が求められる。
以上により、注目した画素における波長λ1、λ2の物体光の振幅および位相が求められる。他の画素についても同様にして波長λ1、λ2の物体光の振幅および位相を求めることができる。すなわち、複数の(全ての)画素について各波長の物体光の振幅および位相を求めることにより、各波長の物体光の複素振幅分布を求めることができる。物体光の振幅および位相を求めることができれば、それらから被写体13の像(再生像)を再生することができる。
複数波長情報の時分割記録では従来、複数の波長のうち1つの波長の光を撮像素子へ照射させ、位相シフト量の異なる複数種類のホログラムを記録し、その後他の波長の光のみを撮像素子へ照射させ同様に位相シフト量の異なる複数種類のホログラムを記録する。これに対し、本実施形態によれば複数の波長の光を同時に撮像素子へ照射させた状態で複数種類のホログラムを記録する点が異なる。そのため、シャッタやレーザ発振のON/OFFの操作など特定の波長の光のみを照射させるために従来必要とされた機構が不要となり、装置構成の簡略化や計測時間の短縮を達成できる。
再生装置11は、第1〜第5ホログラムを用いて、上記のように式(2)〜(5)によって、各波長の物体光の振幅および位相を特定する。なお、第1ホログラムから第5ホログラムの撮像条件である、各波長の位相シフト量α〜αは、ユーザによって再生装置11に入力される。または、ピエゾ素子PZTの駆動量が再生装置11に入力されてもよい。再生装置11は、波長λ1、λ2とピエゾ素子PZTの駆動量とから、各波長の位相シフト量を計算してもよい。そして、再生装置11は、各波長の物体光の振幅および位相を用いて、再生像を生成する。再生像を求める回折積分(第3処理)、色合成(第4処理)等は公知技術を利用して行うことができるので、説明を省略する。
(デジタルホログラフィ装置1の効果)
本実施形態のデジタルホログラフィ装置1では、モノクロの撮像装置12を用いて複数の波長の干渉縞を含むホログラムを撮像する。位相シフト量の異なる複数のホログラムを用いて、波長毎に精度よく分離された再生像を得ることができる。そのため、カラーフィルタを利用する場合に生じるゴーストの問題を回避することができる。そのため、高画質の再生像を得ることができる。またデジタルホログラフィ装置1は、カラーフィルタを利用しないので、光の利用効率を高くすることができる。また、インライン型の装置構成であることから、干渉縞の可視度が上がる。そのため、干渉縞を精度よく記録でき、明るい物体の像を再生することができる。また、本実施形態のデジタルホログラフィ装置1では、モノクロの撮像装置12を用いて、被写体の分光された3次元画像情報を得ることができる。
本実施形態では、波長λ1、λ2の物体光の振幅および位相を5つのホログラムから求めることができるので、2段階位相シフト法を利用する必要がない。そのため、例えば物体光の強度が参照光の強度より大きい場合にも好適に適用することができる。
〔実施形態2〕
以上では複数の波長を用いる場合について説明したが、本発明は、複数の偏光を用いるデジタルホログラフィ装置にも適用することができる。
同じ波長の参照光と物体光とは互いに干渉可能であり、異なる波長の参照光と物体光とは互いに干渉しない。同じように、同じ偏光方向の参照光と物体光とは互いに干渉可能であり、異なる(直交する)偏光方向の参照光と物体光とは互いに干渉しない。
そのため、上述の実施形態で説明した波長λ1および波長λ2を、第1偏光および第2偏光に置き換えることができる。第1偏光および第2偏光は、偏光方向が互いに直交する直線偏光である。
図2は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置2の構成を示す模式図である。図において、垂直偏光を縦向きの矢印で示し、水平偏光を横向きの矢印で示す。デジタルホログラフィ装置2は、記録装置22および再生装置11を備える。実施形態1とは異なり、記録装置22は、光源として、波長λ1のレーザ光を出射する1つのレーザ光源LSを備える。ここでは、レーザ光源LSは、第1偏光(垂直偏光)および第2偏光(水平偏光)を含む、偏光方向が斜め45°の直線偏光のレーザ光を出射する。また、記録装置22は、光学系として、ビームスプリッタBS2〜BS4、ミラーM1〜M4、ビームエキスパンダBE、および複数のピエゾ素子PZT1、PZT2を備える。
ビームスプリッタBS4は、第1偏光の参照光と第2偏光の参照光とを分離する。例えば、ビームスプリッタBS4は、ハーフミラーと複数の偏光子との組み合わせ、または、偏光ビームスプリッタと複数の1/4波長板との組み合わせで構成することができる。第1偏光(垂直偏光)の参照光の経路に、ミラーM3およびピエゾ素子PZT1が配置されており、第2偏光(水平偏光)の参照光の経路に、ミラーM4およびピエゾ素子PZT2が配置されている。ミラーM3、M4で反射された第1偏光の参照光および第2偏光の参照光は、ビームスプリッタBS4または他のビームスプリッタによって再び同じ経路に合成される。ピエゾ素子PZT1、PZT2を個別に駆動することにより、第1偏光の参照光および第2偏光の参照光のそれぞれの位相シフト量を個別に調整することができる。第1偏光の参照光、第2偏光の参照光、第1偏光の物体光、および第2偏光の物体光は、撮像面上でホログラムを形成する。すなわち、上記の第1ホログラム〜第5ホログラムを、2つのピエゾ素子PZT1、2を駆動しながら、5回の撮像によって記録することができる。
本実施形態では、複数の波長が複数の偏光方向に置き換わっただけで、複数のホログラムからそれぞれの偏光方向の再生像を求める手順は、上述の実施形態と同じである。
これによれば、偏光分離機能を有しない撮像装置を用いて得られた複数のホログラムから、それぞれの偏光方向の再生像を個別に再生することができる。ホログラムの記録枚数を減らせるために、計測時間の短縮の効果が期待できる。
〔実施形態3〕
本実施形態では、3つの波長の光を用いる点が実施形態1と異なる。本実施形態では、7種類のホログラムが、7回の撮像によって逐次記録される。
図3は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置3の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置3は、記録装置23および再生装置11を備える。実施形態1とは異なり、記録装置23は、波長λ3のレーザ光源LS3、ビームスプリッタBS6を備える。波長λ3は、波長λ1・λ2とは異なる。
ミラーM3は、ピエゾ素子PZTによって、参照光の光路に垂直な方向に変位可能である。すなわち、本実施形態では、参照光の光路長を調整することができる。波長λ1・λ2・λ3毎に、物体光および参照光の偏光方向は一致している。ただし、波長が異なる光の偏光方向が互いに一致している必要はない。
レーザ光源LS1〜LS3から出射された3つの波長λ1〜λ3のレーザ光は、ミラーM1、ビームスプリッタBS1・BS6によって同じ経路に合成される。3つの波長λ1〜λ3のレーザ光は、他の実施形態と同様に、ビームスプリッタBS2によって物体照明光および参照光に分けられる。ここでは、物体照明光が被写体13に照射され、被写体13の反射光が物体光としてモノクロの撮像装置12に入射する。
(ホログラムの記録)
撮像面には、波長λ1の物体光および参照光が干渉して形成された干渉縞と、波長λ2の物体光および参照光が干渉して形成された干渉縞と、波長λ3の物体光および参照光が干渉して形成された干渉縞との重ね合わせの干渉縞(ホログラム)が形成される。モノクロ撮像装置である撮像装置12は、複数の波長λ1〜λ3の干渉縞が重畳されたホログラムを撮像する。
本実施形態のデジタルホログラフィ装置3では、ピエゾ素子PZTを駆動してミラーM3の位置を変えて、7回の撮像を行う。すなわち、撮像装置12は、参照光の位相状態が異なる7種類のホログラムを逐次記録する。なお、撮像装置12は、各波長の参照光の強度分布を記録するために、物体光が遮られた状態で、波長λ1〜λ3の参照光をそれぞれ撮像しておく。
第1状態では、ミラーM3の変位量は0[nm]である。第1状態における物体光と参照光との位相の関係を基準とし、物体光の位相に対する参照光の位相の遅れまたは進みを位相シフト量と定義する。第1状態においては、波長λ1・λ2共に位相シフト量は0である。第1状態において記録されるホログラムを第1ホログラムとする。
第2状態では、ミラーM3の変位量は+d1[nm]である。往復分の光路長の変化は2×d1であるため、波長λ1の参照光は4π×d1/λ1だけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は4π×d1/λ1である。一方、波長λ2の位相シフト量は、4π×d1/λ2である。波長λ3の位相シフト量は、4π×d1/λ3である。第2状態において記録されるホログラムを第2ホログラムとする。
第3状態では、ミラーM3の変位量は−d1[nm]である。波長λ1の参照光は−4π×d1/λ1だけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は−4π×d1/λ1である。一方、波長λ2の位相シフト量は、−4π×d1/λ2である。波長λ3の位相シフト量は、−4π×d1/λ3である。第3状態において記録されるホログラムを第3ホログラムとする。
第4状態では、ミラーM3の変位量は+d2[nm]である。波長λ1の参照光は4π×d2/λ1だけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は4π×d2/λ1である。一方、波長λ2の位相シフト量は、4π×d2/λ2である。波長λ3の位相シフト量は、4π×d2/λ3である。第4状態において記録されるホログラムを第4ホログラムとする。
第5状態では、ミラーM3の変位量は−d2[nm]である。波長λ1の参照光は−4π×d2/λ1だけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は−4π×d2/λ1である。一方、波長λ2の位相シフト量は、−4π×d2/λ2である。波長λ3の位相シフト量は、−4π×d2/λ3である。第5状態において記録されるホログラムを第5ホログラムとする。
第6状態では、ミラーM3の変位量は+d3[nm]である。波長λ1の参照光は4π×d3/λ1だけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は4π×d3/λ1である。一方、波長λ2の位相シフト量は、4π×d3/λ2である。波長λ3の位相シフト量は、4π×d3/λ3である。第6状態において記録されるホログラムを第6ホログラムとする。
第7状態では、ミラーM3の変位量は−d3[nm]である。波長λ1の参照光は−4π×d3/λ1だけ位相がずれる。すなわち波長λ1の位相シフト量は−4π×d3/λ1である。一方、波長λ2の位相シフト量は、−4π×d3/λ2である。波長λ3の位相シフト量は、−4π×d3/λ3である。第7状態において記録されるホログラムを第7ホログラムとする。
第1〜第7ホログラムにおいては、波長λ1の位相シフト量がそれぞれ異なる。さらに、第1〜第7ホログラムにおいては、波長λ2の位相シフト量がそれぞれ異なる。さらに、第1〜第7ホログラムにおいては、波長λ3の位相シフト量がそれぞれ異なる。
7種類のホログラムとして、基準である第1ホログラム、波長λ1の位相シフト量がαであり波長λ2の位相シフト量がαでありかつ波長λ3の位相シフト量がαである第2ホログラム、波長λ1の位相シフト量が−αであり波長λ2の位相シフト量が−αでありかつ波長λ3の位相シフト量が−αである第3ホログラム、波長λ1の位相シフト量がαであり波長λ2の位相シフト量がαでありかつ波長λ3の位相シフト量がαである第4ホログラム、波長λ1の位相シフト量が−αであり波長λ2の位相シフト量が−αでありかつ波長λ3の位相シフト量が−αである第5ホログラム、波長λ1の位相シフト量がαであり波長λ2の位相シフト量がαでありかつ波長λ3の位相シフト量がαである第6ホログラム、および、波長λ1の位相シフト量が−αであり波長λ2の位相シフト量が−αでありかつ波長λ3の位相シフト量が−αである第7ホログラムが記録できればよい。第1ホログラムの位相シフト量(0)を基準として、各波長について、第2ホログラムの位相シフト量と第3ホログラムの位相シフト量とは対称な値であり、第4ホログラムの位相シフト量と第5ホログラムの位相シフト量とは対称な値であり、第6ホログラムの位相シフト量と第7ホログラムの位相シフト量とは対称な値である。
(再生方法)
以下に再生方法の詳細について説明する。撮像されたホログラムの各画素の座標を(x、y)で表す。ここでは1つの画素(x、y)に注目して説明する。第1ホログラムの画素の画素値をI(0、0、0)とする。ここで、I(0、0、0)の括弧の中の値は、それぞれ(波長λ1の位相シフト量、波長λ2の位相シフト量、波長λ3の位相シフト量)を表す。同様に、第2ホログラムの画素の画素値をI(α、α、α)とし、第3ホログラムの画素の画素値をI(−α、−α、−α)とし、第4ホログラムの画素の画素値をI(α、α、α)とし、第5ホログラムの画素の画素値をI(−α、−α、−α)とし、第6ホログラムの画素の画素値をI(α、α、α)とし、第7ホログラムの画素の画素値をI(−α、−α、−α)とする。各ホログラムの画素値は、式(6)で表される。
ここで、0thλ3は波長λ3の0次回折光強度を示す。Arλ3は波長λ3の参照光の振幅を示す。Uλ3は波長λ3の物体光の複素振幅を示す。I(α、α、α)、0thλ3、Arλ3、Uλ3は、x、yの関数である。
I(0、0、0)、I(α、α、α)、I(−α、−α、−α)、I(α、α、α)、I(−α、−α、−α)、I(α、α、α)、I(−α、−α、−α)は第1ホログラム〜第7ホログラムの測定値であるので、既知である。波長λ1の参照光の強度Arλ1 、波長λ2の参照光の強度Arλ2 および波長λ3の参照光の強度Arλ3 は既知である。なお、撮像装置12で参照光の強度分布を記録せずに、再生装置11で各波長の参照光の強度分布を仮の値に仮定して計算を行ってもよい。各波長の位相シフト量α〜αも既知である。
、Iを用いて、複素振幅Uλ1の実部Re[Uλ1]は式(7)で表される。I、I10を用いて、複素振幅Uλ1の虚部Im[Uλ1]は式(10)で表される。式(7)(10)により、I、I、I、I10から、複素振幅Uλ1の実部と虚部とが得られる。すなわち、第1ホログラム〜第7ホログラムから、波長λ1の物体光の振幅および位相が求められる。なお、位相シフト量α〜αは、式(7)〜式(12)の右辺の分母が0にならないように選ばれればよい。ピエゾ素子PZTでのミラー3の変位量を調整することで、位相シフト量α〜αを調整することができる。
同様に、I、Iを用いて、複素振幅Uλ2の実部Re[Uλ2]は式(8)で表される。I、I10を用いて、複素振幅Uλ2の虚部Im[Uλ2]は式(11)で表される。式(8)(11)により、I、I、I、I10から、複素振幅Uλ2の実部と虚部とが得られる。すなわち、第1ホログラム〜第7ホログラムから、波長λ2の物体光の振幅および位相が求められる。同様に、I、Iを用いて、複素振幅Uλ3の実部Re[Uλ3]は式(9)で表される。I11、I12を用いて、複素振幅Uλ3の虚部Im[Uλ3]は式(12)で表される。式(9)(12)により、I、I、I11、I12から、複素振幅Uλ3の実部と虚部とが得られる。すなわち、第1ホログラム〜第7ホログラムから、波長λ3の物体光の振幅および位相が求められる。
以上により、注目した画素における波長λ1、λ2、λ3の物体光の振幅および位相が求められる。他の画素についても同様にして波長λ1、λ2、λ3の物体光の振幅および位相を求めることができる。このように、モノクロの撮像装置12で記録された波長数×2+1のホログラムから、各波長の物体光の複素振幅分布(振幅および位相)を求めることもできる。各波長の物体光の複素振幅分布から各波長の再生像を得ることができるので、それらを合成することでカラーの再生像を得ることができる。また、例えばレーザ光源LS1・LS2・LS3の代わりに、複数の発振波長数を有する1つのレーザ光源を用いることもできる。また、干渉してホログラムを形成することができれば、複数のレーザ光源の代わりに、例えば多波長を含む、白色光源、発光ダイオード、レーザダイオード、光パルス光源、光ファイバーレーザ光源、光コム光源、テラヘルツ光源、ミリ波源、または電波源を用いることもできる。
本実施形態では、第2ホログラム〜第7ホログラムの各波長の位相シフト量は特定の値(2πの整数倍)に制限されない。それゆえ、ピエゾ素子PZTによるミラー3の変位量の設定の自由度が高い。例えば、ミラー3の変位による光路長の変化を、波長未満(複数波長の場合はその最短波長未満)(位相では2π未満)とすることもできる。もちろん、光路長の変化を波長以上とすることもできる。それゆえ、ピエゾ素子PZTによるミラー3の変位量を小さくすることができる。そのため、条件を変えて複数種類のホログラムを容易に撮像することができる。
〔実施形態4〕
本実施形態では、3つの波長の光を用いる点、および、参照光の光路のみに位相差を生じさせるアレイが配置されている点が実施形態3と異なる。本実施形態では、1つの撮像装置で複数種類のホログラムを同時に並列に記録する。
図4は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置4の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置4は、記録装置24および再生装置11を備える。記録装置24は、実施形態3の記録装置23とは異なり、ビームスプリッタBS4およびピエゾ素子PZTの代わりに、参照光の経路に空間光変調器SLMおよび結像光学系LNを備える。空間光変調器SLMを通過した参照光は、結像光学系LNを通過し、撮像装置12に入射する。
空間光変調器SLMは、2次元に配列した複数のセルを有する。空間光変調器SLMは、例えば7種類のセル(セルA〜G)のセットを複数含む。空間光変調器SLMのセルA〜Gのそれぞれは、特定の波長の参照光に特定の位相のずれを生じさせる。ここでは液晶等の透過型の空間光変調器を用いているが、反射型の空間光変調器を用いることもできる。
結像光学系LNは、複数のレンズ等の光学素子を含み、空間光変調器SLMの各セルを通過した参照光を、撮像装置12の撮像面12fに結像させる。
(ホログラムの記録)
図5は、撮像面12fの一部の画素を示す模式図である。撮像面12fの各セルA’〜G’は、1つの画素を表す。
空間光変調器SLMのセルA〜Gを通過した光は、それぞれ、対応する画素A’〜G’に入射する。ここでは、同じ種類の画素は、桂馬飛びで周期的に配置されている。ただし、同じ種類の画素は、図5のように周期的な配置になっていなくてもよく、ランダムに分布していてもよい。
空間光変調器SLMのセルAは、波長λ1・λ2・λ3の参照光については位相を遅らせない。空間光変調器SLMの複数のセルAに対応する複数の画素A’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(0、0、0)である第1ホログラムを撮像する。セルAにおける物体光と参照光との位相の関係を基準とする。
空間光変調器SLMのセルBは、波長λ1、λ2、λ3の参照光については、それぞれ位相をα、α、α遅らせる。空間光変調器SLMの複数のセルBに対応する複数の画素B’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(α、α、α)である第2ホログラムを撮像する。
空間光変調器SLMのセルCは、波長λ1、λ2、λ3の参照光については、それぞれ位相を−α、−α、−α遅らせる。空間光変調器SLMの複数のセルCに対応する複数の画素C’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(−α、−α、−α)である第3ホログラムを撮像する。
空間光変調器SLMのセルDは、波長λ1、λ2、λ3の参照光については、それぞれ位相をα、α、α遅らせる。空間光変調器SLMの複数のセルDに対応する複数の画素D’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(α、α、α)である第4ホログラムを撮像する。
空間光変調器SLMのセルEは、波長λ1、λ2、λ3の参照光については、それぞれ位相を−α、−α、−α遅らせる。空間光変調器SLMの複数のセルEに対応する複数の画素E’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(−α、−α、−α)である第5ホログラムを撮像する。
空間光変調器SLMのセルFは、波長λ1、λ2、λ3の参照光については、それぞれ位相をα、α、α遅らせる。空間光変調器SLMの複数のセルFに対応する複数の画素F’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(α、α、α)である第6ホログラムを撮像する。
空間光変調器SLMのセルGは、波長λ1、λ2、λ3の参照光については、それぞれ位相を−α、−α、−α遅らせる。空間光変調器SLMの複数のセルGに対応する複数の画素G’は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(−α、−α、−α)である第7ホログラムを撮像する。
1回の撮像で記録されたホログラムには、位相シフト量が異なる7種類のホログラムが並列して含まれている。画素を種類毎に抽出することで、第1ホログラム〜第7ホログラムがそれぞれ得られる。なお、抽出されたホログラムの各画素の間の画素値は、公知の画像補間技術で補間することができる。その後、実施形態3と同様の方法で、7つのホログラムから各波長の物体光の振幅分布を求めることができる。
本実施形態では、1回の撮像で位相シフト量が異なる複数種類のホログラムを得ることができる。そのため、被写体13が動く場合であっても被写体13の再生像を生成することができる。
なお、空間光変調器SLMの代わりに、セル毎に光路差または光学厚さの異なる素子アレイ、または、セル毎に偏光方向に応じた光路差が発生する素子アレイ(空間光変調素子)を用いることもできる。これらの素子アレイは透過型および反射型のいずれであってもよい。
〔実施形態5〕
本実施形態では、波長板を用いて位相シフト量を調整する構成について説明する。
図6は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置5の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置5は、記録装置25および再生装置11を備える。記録装置25は、実施形態1の記録装置21とは異なり、ビームスプリッタBS4およびピエゾ素子PZTの代わりに、参照光の経路に複数の(4個の)波長板WP1〜WP4を備える。記録装置25は、物体光の経路(被写体13からビームスプリッタBS3の間、および、ビームスプリッタBS3から撮像装置12の間)に偏光子LP1、LP2を備える。
レーザ光源LS1から出射される波長λ1のレーザ光の偏光方向と、レーザ光源LS2から出射される波長λ2のレーザ光の偏光方向とは揃っている。ここでは、波長λ1・λ2のレーザ光の偏光方向は垂直偏光であるとする。
偏光子LP1は、被写体13によって乱れた物体光の偏光を一方向の偏光に整える。偏光子LP2は、ビームスプリッタBS3によって乱れた物体光の偏光を、一方向の偏光に整える。
ビームスプリッタBS2によって分けられた波長λ1・λ2の参照光は、複数(ここでは4個)の波長板WP1〜WP4を通過する。波長板WP1〜WP4による作用については後述する。波長板WP1〜WP4を通過した波長λ1・λ2の参照光は、ミラーM3を経由し、ビームスプリッタBS3および偏光子LP2を通過して撮像装置12の撮像面に入射する。
(ホログラムの記録)
本実施形態のデジタルホログラフィ装置5では、波長板WP1〜WP4の配置状態(回転角度)を変えて、5回の撮像を行う。すなわち、撮像装置12は、参照光の位相状態が異なる5種類のホログラムを逐次記録する。なお、撮像装置12は、各波長の参照光の強度分布を記録するために、物体光が遮られた状態で、波長λ1の参照光および波長λ2の参照光をそれぞれ撮像しておく。
第1状態では、波長板WP1〜WP4は、高速軸が参照光の偏光方向(垂直偏光)と一致している。そのため波長λ1・λ2の参照光は波長板WP1〜WP4による位相変化を受けない。第1状態における物体光と参照光との位相の関係を基準とし、物体光の位相に対する参照光の位相の遅れまたは進みを位相シフト量と定義する。第1状態においては、波長λ1・λ2共に位相シフト量は0である。第1状態において記録されるホログラムを第1ホログラムとする。
第2状態では、波長板WP2・WP3・WP4は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP1は、低速軸(遅相軸)が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP1は、波長λ1、λ2の光の低速軸に沿った成分の位相を(高速軸に比べて)、それぞれα、α遅らせる。第2状態においては、波長λ1、λ2の位相シフト量はそれぞれα、αである。第2状態において記録されるホログラムを第2ホログラムとする。
第3状態では、波長板WP1・WP3・WP4は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP2は、低速軸が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP2は、波長λ1、λ2の光の低速軸に沿った成分の位相を(高速軸に比べて)、それぞれα、α遅らせる。第3状態においては、波長λ1、λ2の位相シフト量はそれぞれα、αである。第3状態において記録されるホログラムを第3ホログラムとする。
第4状態では、波長板WP1・WP2・WP4は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP3は、低速軸が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP3は、波長λ1、λ2の光の低速軸に沿った成分の位相を(高速軸に比べて)、それぞれα、α遅らせる。第4状態においては、波長λ1、λ2の位相シフト量はそれぞれα、αである。第4状態において記録されるホログラムを第4ホログラムとする。
第5状態では、波長板WP1・WP2・WP3は、高速軸が参照光の偏光方向と一致している。一方、波長板WP4は、低速軸が参照光の偏光方向と一致している。波長板WP4は、波長λ1、λ2の光の低速軸に沿った成分の位相を(高速軸に比べて)、それぞれα、α遅らせる。第5状態においては、波長λ1、λ2の位相シフト量はそれぞれα、αである。第5状態において記録されるホログラムを第5ホログラムとする。
デジタルホログラフィ装置5では、このように、2つの波長λ1・λ2について、上記のように位相シフト量が異なる5種類のホログラム(第1〜第5ホログラム)を記録することができる。本実施形態では、波長板が波長λ1、λ2の参照光に与える位相変化は高い自由度を持って設定することができる。それゆえ、特別な波長板を製作する必要が無く、市販の波長板を流用することができる。なお、波長板WP4を省略し、波長板WP1および波長板WP2の低速軸が参照光の偏光方向と一致している状態で、第5ホログラムを記録してもよい。なお、3波長を用いる場合、波長板を後2つ追加して、同様の手順で第6ホログラムおよび第7ホログラムを撮像すればよい。なお、NUM個の波長を用いる場合、同様の手順で合計(2×NUM+1)個のホログラムを撮像すればよい。この場合、位相シフト量を変化させるために、波長板を適宜追加する。
(再生方法)
ここでは、任意の波長数および規則的でない位相シフト量に一般化した場合の再生方法について説明する。波長数をNUMとする。撮像装置12は、(2×NUM+1)個のホログラムを記録する。記録された各ホログラムは、NUM個の波長のホログラムが多重化されたものである。第mホログラムの画素(x、y)の画素値をIとする。Iは、画素の位置x、yおよび各波長の位相シフト量αm1、αm2、…、αmNUMの関数である。Iは式(13)で表される。
ここで、Arλn(x、y)は波長λnの参照光の振幅であり、Uλn(x、y)は波長λnの物体光の複素振幅分布であり、0thλn(x、y)は波長λnの0次回折光である。αmnは第mホログラムにおける第n波長の位相シフト量である。*は複素共役を表し、jは虚数単位を表す。Uλn(x、y)=Aoλn(x、y)exp{−jφoλn(x、y)}である。Aoλn(x、y)は物体光の振幅、φoλn(x、y)は物体光の位相である。0次回折光の総和を1つの変数とし、各波長におけるUλn(x、y)をNUM個の変数とし、各波長におけるUλn (x、y)をNUM個の変数として、Iは、(2×NUM+1)個の変数を含む。式(13)は、オイラーの公式に基づいて式(14)のように書き換えられる。
変数が(2×NUM+1)個あるため、ホログラムを(2×NUM+1)個得ることで連立方程式を立てて解くことができる。これにより、所望の波長における物体波の情報(明暗および3次元形状)を得ることができる。(2×NUM+1)個のホログラムの画素の画素値をI、I、…、I2NUM+1とする。なお、ここでのI、I、…は、式(1)〜(12)のものとは別のものである。
(2×NUM+1)個のI、I、…、I2NUM+1に、それぞれ、任意の係数C、C、…、C2NUM+1を掛けて和をとったものは、以下の式(15)で表される。
ここで、Re[]は実部を表し、Im[]は虚部を表す。さらに、D1、…、D2NUM+1、および0thsum(x、y)を式(16)〜(23)のように定義する。
式(16)〜(23)を用いると、式(15)は以下の式(24)のように表される。
各Cは任意の値に設定することができる係数であるため、各Cの値を設定すれば各Dの値は既知となる。(2×NUM+1)個のDのうち、1個以外の(2×NUM)個のDが0となるように各Cを選ぶ(設定する)と、上述した(2×NUM+1)個の変数のうち1個の変数を式(24)から求めることができる。例えば、D以外のD、D、…D2NUM+1が0となるようにCの組を設定すると、変数の1つであるRe[Uλ1(x、y)]を特定することができる。同様に、別の組み合わせの(2×NUM)個のDが0となるように各Cを設定すると、別の変数を式(24)から特定することができる。このように、(2×NUM+1)通りのCの組を設定することにより、(2×NUM+1)個の変数を求めることができる。波長数が任意で、かつ、位相シフト量に規則性がない場合であっても、このようにCの組を設定することにより、(2×NUM+1)個の変数を求めることができる。
一例として、波長数NUM=2の場合について説明する。このとき、Iは式(25)で表される。第1〜第5ホログラムI、…、Iに、それぞれ、係数C、…、Cを掛けて和をとったものは、式(26)で表される。
0thsum(x、y)を求めるとき、D=1、D=0、D=0、D=0、D=0となるように、C、C、C、C、Cを選ぶ。D=1、D=0、D=0、D=0、D=0を条件として式(16)〜(22)から得られる5個のDに関する連立方程式を解くと、D=1、D=0、D=0、D=0、D=0となるような5個のCを決定することができる。その時のDの組およびCの組を式(26)に代入すると、0thsum(x、y)を求めることができる。同様の手続により、Re[Uλ1(x、y)]、Re[Uλ2(x、y)]、Im[Uλ1(x、y)]、Im[Uλ2(x、y)]を求めることができる。
簡単な例として、位相シフト量が、(α11、α12)=(0、0)、(α21、α22)=(α、α)、(α31、α32)=(−α、−α)、(α41、α42)=(α、α)、(α51、α52)=(−α、−α)であるとする。式(16)〜式(22)から、D、D、D、D、Dは、式(27)〜(31)のようになる。
これを式(26)に当てはめて考える。Im[Uλ1(x、y)]を求めるとき、D=0、D=0、D=0、D=1、D=0として、上記式(27)〜(31)からなる5個の連立方程式から各Cを求めることができる。これにより、C=0、C=−C=sinα/2(sinαsinα−sinαsinα)、C=−C=sinα/2(sinαsinα−sinαsinα)が得られる。これと式(26)より、式(32)が得られる。
このように、Im[Uλ1(x、y)]を特定することができる。式(32)は上述の式(3)に対応する。同様の計算により、式(1)、(2)、(4)、(5)を導くことができる。
3波長以上の場合も手順は同様で、連立方程式の数が増えるだけである。ここでは解析的に連立方程式を解いたが、既知の値(ホログラムの画素値および位相シフト量等)を用いて、数値計算によって式(16)〜(22)の連立方程式を解いてもよい。
再生装置11は、(2×NUM+1)個のホログラムを用いて、上記のように(16)〜(22)の連立方程式を解いて、(2×NUM+1)通りのCの組を求める(設定する)。再生装置11は、Cの各組を用いて、式(24)の各変数を特定する。これにより、再生装置11は、(2×NUM+1)個のホログラムから、各波長の物体光の振幅および位相を特定する。
なお、各画素における0次回折光の強度0thsumは複数のホログラムの全画素の強度の平均に等しいと近似した場合、0thsumは式(33)で表される。ここでは、(2×NUM)個のホログラムが記録され、式(33)は、全ての(2×NUM個の)ホログラムの全画素の強度の平均を表す。なお、0次回折光の強度0thsumがいずれか1つのホログラムIの全画素の強度の平均に等しいと近似してもよい。また、それぞれのホログラムにおいて、全画素の強度の平均値をホログラムから減算することで、それぞれのホログラムから0thsumを別々に近似的に除去しても良い。
ここで、X、Yは、それぞれx方向の画素数、y方向の画素数である。この場合、0thsumは既知の値となり、変数を1つ減らすことができる。それゆえ、この場合、再生装置11は、(2×NUM)個のホログラムI、I、…、I2NUMから各波長の物体光の振幅および位相を特定することができる。すなわち、0次回折光の上記近似を用いれば、記録するホログラムの数を1つ減らすことができる。すなわち、波長数が2の場合、位相シフト量が異なる4個のホログラムから各波長の物体光の振幅および位相を特定することができる。4個のホログラムを記録する場合、デジタルホログラフィ装置5において波長板WP4は省略することができる。さらに、デジタルホログラフィ装置5において波長板WP3をも省略し、波長板WP1、WP2の両方によって位相が遅れた状態を第4ホログラムとして記録してもよい。波長数が3の場合、位相シフト量が異なる6個のホログラムから各波長の物体光の振幅および位相を特定することができる。
〔実施形態6〕
本実施形態では、電気光学素子EOを用いて位相シフト量を調整する構成について説明する。本実施形態では、7種類のホログラムが、7回の撮像によって逐次記録される。
図7は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置6の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置6は、記録装置26および再生装置11を備える。実施形態5とは異なり、記録装置26は、波長λ3のレーザ光源LS3、ビームスプリッタBS6を備える。また、記録装置26は、実施形態5の記録装置25とは異なり、波長板WP1〜WP4の代わりに、参照光の経路に電気光学素子EOを備える。
電気光学素子EOは、印加された電圧に応じて光学軸(例えば垂直軸)の屈折率が変化する(複屈折性を生じる)素子である。例えば、電気光学素子EOは、カー効果(2次電気光学効果)またはポッケルス効果(1次電気光学効果)を示す素子である。
(ホログラムの記録)
本実施形態のデジタルホログラフィ装置6では、電気光学素子EOに印加する電圧を変えて、7回の撮像を行う。すなわち、撮像装置12は、参照光の位相状態が異なる7種類のホログラムを逐次記録する。
記録装置26は、第1状態から第7状態において、印加する電圧をそれぞれ変えることで、位相シフト量を異ならせることができる。これにより、記録装置26は、波長λ1・λ2・λ3の位相シフト量が(0、0、0)である第1ホログラム、(α、α、α)である第2ホログラム、(α、α、α)である第3ホログラム、(α、α、α)である第4ホログラム、(α10、α11、α12)である第5ホログラム、(α13、α14、α15)である第6ホログラム、(α16、α17、α18)である第7ホログラムを撮像する。
デジタルホログラフィ装置6では、電気光学素子EOに印加する電圧を変えることで電気光学素子EOの屈折率を変化させることができる。そのため、デジタルホログラフィ装置6は、第1状態〜第7状態を素早く切り替えることができる。それゆえ、デジタルホログラフィ装置6では、像の再生に必要な複数種類のホログラムを撮像する時間を短縮することができる。なお、再生方法は、実施形態5で説明した方法を用いることができる。
なお、ビームスプリッタBS2を偏光ビームスプリッタに置き換えて、電気光学素子EOの位置をビームエキスパンダBEと偏光ビームスプリッタとの間(参照光と物体光の共通経路)に変更してもよい。電気光学素子EOの固有偏光方位は、偏光ビームスプリッタの反射偏光方位・透過偏光方位と一致させておく。偏光ビームスプリッタで分離された一方の光を参照光とし、偏光ビームスプリッタで分離された他方の光を物体照明光とする。電気光学素子EOで固有偏光間の位相差が変調されるため、参照光と物体光との間で像再生に必要な位相シフトを得ることができる。干渉縞を得るためには、(i)いずれかの経路に波長板または偏光子等を設けて、撮像装置12に入射する物体光と参照光との偏光を揃えるか、または、(ii)ビームスプリッタBS3を偏光ビームスプリッタに変更した上で、偏光子LP2で参照光と物体光の両者が含まれる偏光方向を抽出するかすればよい。この構成とすることで、電気光学素子EOにおける屈折率ドリフトの影響を抑制することができる。
〔実施形態7〕
本実施形態では、顕微鏡と組み合わせて、干渉性の低い光(蛍光)を物体光として用いる点が、上述の実施形態とは異なる。なお、デジタルホログラフィ装置は、顕微鏡に限らず、広角カメラまたは望遠鏡と組み合わせることもできる。
図8は、本実施形態のデジタルホログラフィ装置7の構成を示す模式図である。デジタルホログラフィ装置7は、記録装置27および再生装置11を備える。記録装置27は、光源31、波長フィルタ32、ビームスプリッタBS1、顕微鏡対物レンズ34、レンズ35を、蛍光顕微鏡の構成要素として備える。さらに記録装置27は、偏光子LP1、空間光変調器SLM1、空間光変調器SLM2、偏光子LP2、およびモノクロの撮像装置12を備える。ビームスプリッタBS1は、励起光の一部を通過させかつ蛍光の一部を反射するように、例えば2色性ミラーまたはハーフミラー等を有する。
観察対象である被写体13には、蛍光標識として複数種類の蛍光分子が含まれる。複数種類の蛍光分子は、互いに波長の異なる蛍光を発生させる。デジタルホログラフィ装置7は、被写体13内の蛍光標識された物質を観察することができる。被写体13は、例えば生体試料である細胞等である。
光源31は、蛍光分子を励起させるための励起光を発生させる。波長フィルタ32は、励起に必要ない波長の光を遮蔽する。波長フィルタ32を通過した励起光は、ビームスプリッタBS1および顕微鏡対物レンズ34を通過し、被写体13に照射される。
被写体13の中の複数種類の蛍光分子は、励起光によって励起し、複数の波長の蛍光を発生させる。被写体13から出射された蛍光は、顕微鏡対物レンズ34によって拡大され、ビームスプリッタBS1によって反射される。レンズ35は、蛍光が拡がって蛍光の強度が小さくなるのを防ぐために、通過した蛍光を平行光に近づける。レンズ35を通過した蛍光は、さらに偏光子LP1、空間光変調器SLM1、空間光変調器SLM2、および偏光子LP2を通過し、撮像装置12に入射する。
偏光子LP1は、透過軸の方向の成分のみを通過させる。偏光子LP1の透過軸は、垂直方向と水平方向の間の方向に設定する。偏光子LP1を通過した光は、透過軸方向に偏光している。偏光子LP1を通過した光は、垂直方向成分の光のうちの透過軸方向成分と、水平方向成分の光のうちの透過軸方向成分との重ね合わせである。ここでは、垂直方向成分の光(第1成分光)を物体光と見なし、水平方向成分の光(第2成分光)を参照光と見なす。
空間光変調器SLM1は、本実施形態では、垂直方向成分の光(物体光)の位相を変調させ、垂直方向成分の光を球面波に変換する。空間光変調器SLM1は、水平方向成分の光(参照光)に対しては位相の変調を行わない。そのため、水平方向成分の光は、空間光変調器SLM1の通過前と通過後とで進行方向および波面形状は変わらない。
空間光変調器SLM2は、2次元に配列した複数のセルを有す。各セルは、垂直方向成分の光(物体光)に対して、水平方向成分の光(参照光)の位相をずらす。例えば空間光変調器SLM2のセルAを基準とすると、各波長λ1・λ2・λ3の水平方向成分の光(参照光)の位相シフト量は(0、0、0)である。一方で、セルBを通過した各波長λ1・λ2・λ3の水平方向成分の光(参照光)の位相シフト量は(α、α、α)である。同様に、セルCでは参照光の位相シフト量は(−α、−α、−α)である。実施形態4と同様に、7種類のセルがあれば、7種類の位相シフト量の組み合わせを得ることができる。
偏光子LP2の透過軸の方向は、偏光子LP1と同じである。空間光変調器SLM2の1つのセルを通過した光は、撮像装置12の1つの画素に入射する。このように対応するように、空間光変調器SLM2および偏光子LP2は撮像装置12の撮像面に貼り合わせられている構成とすることができる。または、空間光変調器SLM2と撮像面との間に、結像光学系を配置することもできる。
被写体13から出射された蛍光は単一の光路を経て撮像面に到達するので、蛍光の一部である物体光と参照光とは自己干渉する。球面波と平面波とが干渉すると、フレネルゾーンパターン(干渉縞)が形成される。偏光子LP2を通過した物体光と参照光とは、偏光方向が同じであるので、撮像面上において、干渉縞(フレネルゾーンパターン)を形成する。撮像装置12は、形成された干渉縞をホログラムとして記録する。撮像装置12は、実施形態4と同様に、空間分割された第1ホログラム〜第7ホログラムを1回の撮像によって記録することができる。その後、実施形態4と同様の方法で、7つのホログラムから各波長の物体光の振幅分布を求めることができる。本実施形態では、モノクロの撮像装置12を利用して複数波長の情報を多重記録するので、光の利用効率が高い。
なお、物体光と参照光とは、厳密に球面波と平面波とである必要は無い。物体光および参照光の波面形状(波面の曲率)が異なっていれば干渉縞が形成される。そのため、空間光変調器SLM1は、垂直方向成分の光と水平方向成分の光との波面形状(波面の曲率)を異ならせる働きをすればよい。なお、偏光子LP1は省略することもできる。また、蛍光だけでなく、物体(被写体)によって反射、回折または散乱された干渉性の低い光を利用することもできる。また、レンズ35を通過後の光を球面波とし、空間光変調器SLM1の代わりに波長板によって、一方の偏光における波面の曲率を他方の偏光における波面の曲率に対して異ならせることもできる。もしくは、レンズ35通過後の光が平面波である場合、形状が平行平板ではなく厚みに凹または凸などの分布を有する複屈折部材を用いることで空間光変調器SLM1の代用が可能である。
また、蛍光の光路の任意の位置に、各波長について、通過させる波長幅を制限する波長バンドパスフィルタを配置してもよい。これにより蛍光(物体光および参照光)の干渉性を高めることができる。
〔シミュレーション1〕
本発明の実施形態1に基づくホログラムの記録および再生のシミュレーション結果について説明する。ここでは、図1に示すデジタルホログラフィ装置1を使用すると仮定する。すなわち、5種類のホログラムは、5回の撮像によって逐次記録される。
シミュレーションの条件は以下の通りである。λ1=532nm(緑)、λ2=640nm(赤)である。撮像装置の画素数は2048(横)×2048(縦)、画素ピッチは縦横共に2.2μmである。モノクロの撮像装置12が検出可能な階調数は12bits(階調数4096)である。5種類のホログラムを撮像するために、ピエゾ素子PZTの駆動量(ミラーM3の変位量)を0nm、±50nm、±100nmとする。
図9は、シミュレーションに用いる被写体の像、および再生像を示す図である。図9の(a)は被写体の振幅(波長λ1および波長λ2の明暗)を示し、図9の(b)は被写体の位相(被写体の3次元形状)を示し、図9の(c)は波長λ1における被写体の明暗を示し、図9の(d)は波長λ2における被写体の明暗を示す。被写体の位相は、撮像装置12から見た奥行き方向の被写体の形状を表す。図9の(b)に示す被写体の位相において、明るい箇所は撮像装置12に近く、暗い箇所は撮像装置12から遠いことを示す。
上記の条件の下、計算機によって、物体光と参照光とが撮像面に形成するホログラムを記録し、再生像を計算するシミュレーションを行った。なお、ホログラムの記録も計算機によるシミュレーションによって行っている。
図9の(e)は波長λ1の再生像を示す。図9の(f)は波長λ1の物体光から求めた被写体の位相(被写体の3次元形状)を示す。図9の(g)は波長λ2の再生像を示す。図9の(h)は波長λ2の物体光から求めた被写体の位相を示す。
図9の(e)〜(h)に示すように、モノクロの撮像装置12で記録された5つのホログラムを用いて、波長毎に被写体の明暗を精度よく再現することができる。これらの再生像ではゴーストが発生していないことが分かる。なお、波長λ1の再生像と波長λ2の再生像とを色合成すれば、多色の再生像が得られる。一方、被写体の位相(3次元形状)の測定では、波長λ2を用いて求めた位相が、波長λ1を用いて求めた位相よりも、本来の被写体の位相をよりよく再現できている。これは、被写体の一部の領域で波長λ1の階調が暗いために、該領域では波長λ1の物体光から正確な3次元形状の情報が得られないためである。2波長の従来のデジタルホログラフィ方法では、ピエゾ素子の駆動量が少なくとも320nm(波長λ2の半分)必要であったのに対し、実施形態1の方法では、より小さい駆動量で、再生可能な複数のホログラムを撮像することができる。
〔シミュレーション2〕
本発明の実施形態3に基づくホログラムの記録および再生のシミュレーション結果について説明する。ここでは、図3に示すデジタルホログラフィ装置3を使用すると仮定する。すなわち、7種類のホログラムは、7回の撮像によって逐次記録される。
シミュレーションの条件は以下の通りである。λ1=473nm(青)、λ2=532nm(緑)、λ3=640nm(赤)である。7種類のホログラムを撮像するために、ピエゾ素子PZTの駆動量(ミラーM3の変位量)を0nm、±50nm、±100nm、±150nmとする。シミュレーションの他の条件および被写体は、上述のシミュレーション1と同じである。
図10は、シミュレーションに用いる被写体の像、および再生像を示す図である。図10の(a)は被写体の振幅(波長λ1、波長λ2および波長λ3の明暗)を示し、図10の(b)は波長λ1における被写体の明暗を示す。被写体の位相、波長λ2における被写体の明暗、および波長λ3における被写体の明暗は、それぞれ図9の(b)〜(d)と同じである。
図10の(c)は波長λ1の再生像を示す。図10の(d)は波長λ1の物体光から求めた被写体の位相(被写体の3次元形状)を示す。図10の(e)は波長λ2の再生像を示す。図10の(f)は波長λ2の物体光から求めた被写体の位相を示す。図10の(g)は波長λ3の再生像を示す。図10の(h)は波長λ3の物体光から求めた被写体の位相を示す。
図10に示すように、モノクロの撮像装置12で記録された7つのホログラムを用いて、波長毎に被写体の明暗を精度よく再現することができる。3波長の従来のデジタルホログラフィ方法では、ピエゾ素子の駆動量が少なくとも約150μm(2つの波長の最小公倍数)必要であったのに対し、実施形態3の方法では、遙かに小さい(1/1000以下の)駆動量で、再生可能な複数のホログラムを撮像することができる。ピエゾ素子を用いる場合でなくとも、従来のデジタルホログラフィ方法では、複雑で素子点数の多い光学系を必要とするか、市販の変調素子では実施が難しいかであった。これに対し、上記実施形態では、簡素な光学系で、かつ、市販の変調素子を用いてイメージングおよび計測が可能になる。
〔ソフトウェアによる実現例〕
再生装置11は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。
後者の場合、再生装置11は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するCPU、上記プログラムおよび各種データがコンピュータ(またはCPU)で読み取り可能に記録されたROM(Read Only Memory)または記憶装置(これらを「記録媒体」と称する)、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などを備えている。そして、コンピュータ(またはCPU)が上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明は、デジタルホログラフィ装置、分光3次元動画顕微鏡、ハイスピード3Dカラー動画カメラ等に利用することができる。また、本発明は、ロボットビジョン、マン−マシンインターフェース、計測・分析装置に利用することができる。そのため、本発明は、工学のみならず、生命化学等の分野においても利用が可能である。
1〜7 デジタルホログラフィ装置
21〜27 記録装置
11 再生装置
12 撮像装置
12f 撮像面
13 被写体
LP1、LP2 偏光子
LS、LS1〜LS3 レーザ光源
M3 ミラー(反射部材)
SLM、SLM1、SLM2 空間光変調器
PZT、PZT1、PZT2 ピエゾ素子

Claims (11)

  1. 第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムを撮像するモノクロの撮像装置を備え、
    上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、
    上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、
    上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、
    上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、
    上記撮像装置は、少なくとも、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを撮像することを特徴とするデジタルホログラフィ装置。
  2. 上記第1参照光および上記第1物体光は、第1波長であり、
    上記第2参照光および上記第2物体光は、上記第1波長とは異なる第2波長であることを特徴とする請求項1に記載のデジタルホログラフィ装置。
  3. 上記第1参照光および上記第1物体光は、第1偏光方向の偏光であり、
    上記第2参照光および上記第2物体光は、上記第1偏光方向に直交する第2偏光方向の偏光であることを特徴とする請求項1に記載のデジタルホログラフィ装置。
  4. 上記撮像装置は、さらに、上記第1ホログラムから上記第4ホログラムのいずれに対しても、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量が異なり、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量が異なる、第5ホログラムを撮像し、
    上記第1ホログラムの位相シフト量を基準として、上記第2ホログラムの位相シフト量と上記第3ホログラムの位相シフト量とは互いに対称な値であり、上記第4ホログラムの位相シフト量と上記第5ホログラムの位相シフト量とは互いに対称な値であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のデジタルホログラフィ装置。
  5. 上記第1参照光の光路長を変更するピエゾ素子を備えることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のデジタルホログラフィ装置。
  6. 上記撮像装置が撮像した上記第1ホログラムから上記第4ホログラムを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定する再生装置を備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のデジタルホログラフィ装置。
  7. 再生装置を備え、
    上記再生装置は、
    上記第2ホログラムの画素値と上記第3ホログラムの画素値との和の1/2を上記第1ホログラムの画素値から減じたものと、上記第4ホログラムの画素値と上記第5ホログラムの画素値との和の1/2を上記第1ホログラムの画素値から減じたものとを用いて、上記第1物体光の複素振幅の実部を特定し、
    上記第2ホログラムの画素値から上記第3ホログラムの画素値を減じたものと、上記第4ホログラムの画素値から上記第5ホログラムの画素値を減じたものとを用いて、上記第1物体光の複素振幅の虚部を特定することを特徴とする請求項4に記載のデジタルホログラフィ装置。
  8. 上記撮像装置は、上記第1参照光、上記第1物体光、上記第2参照光、上記第2物体光、第3参照光、および第3物体光により形成されるホログラムを撮像し、
    上記第3参照光と上記第3物体光とは互いに干渉可能であり、
    上記第3参照光と、上記第1物体光および上記第2物体光とは互いに干渉せず、
    上記第1ホログラム、上記第2ホログラム、上記第3ホログラム、および上記第4ホログラムでは、上記第3参照光および上記第3物体光についての位相シフト量はそれぞれ異なり、
    上記撮像装置は、さらに、上記第1ホログラムから上記第4ホログラムのいずれに対しても、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、かつ、上記第3参照光および上記第3物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第5ホログラム、および第6ホログラムを撮像することを特徴とする請求項1または2に記載のデジタルホログラフィ装置。
  9. 第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生装置を備え、
    上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、
    上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、
    上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、
    上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、
    上記再生装置は、
    上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定することを特徴とするデジタルホログラフィ装置。
  10. 第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムを、モノクロの撮像装置を用いて撮像する撮像ステップを含み、
    上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、
    上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、
    上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、
    上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、
    上記撮像ステップにおいては、少なくとも、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを撮像することを特徴とするデジタルホログラフィ方法。
  11. 第1参照光、第1物体光、第2参照光、および第2物体光により形成されるホログラムに基づいて物体光の振幅および位相を特定する再生ステップを含み、
    上記第1参照光と上記第1物体光とは互いに干渉可能であり、
    上記第2参照光と上記第2物体光とは互いに干渉可能であり、
    上記第1参照光と上記第2物体光とは互いに干渉せず、
    上記第2参照光と上記第1物体光とは互いに干渉せず、
    上記再生ステップは、上記第1参照光および上記第1物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なり、かつ、上記第2参照光および上記第2物体光についての位相シフト量がそれぞれ異なる、第1ホログラム、第2ホログラム、第3ホログラム、および第4ホログラムを用いて、上記第1物体光の振幅および位相を特定するステップを含むことを特徴とするデジタルホログラフィ方法。
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