JP2011034023A - 三次元画像再生表示装置、三次元画像再生表示方法、三次元画像情報取得再生システム、三次元画像情報取得再生方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡易な装置構成で、電子的に取得されている三次元画像信号に基づき立体像を表示する。
【解決手段】少なくとも一方が変調されている参照光と物体光を偏光方向を揃え同軸になるようにして撮像面上に形成された干渉縞を撮像部で撮像し三次元画像信号を取得し、sinωt成分とcosωt成分を分離する。ストライプ状のsinωt成分表示層822とcosωt成分表示層824が交互に配列されている表示パネル部820Aを使用しsinωt成分とcosωt成分の表示を行なう。変調偏光部830Aによりsinωt成分とcosωt成分の一方を垂直偏光波にし他方を水平偏光波にする。2光波重畳部850Aによりsinωt成分とcosωt成分の各光波を偏光方向を維持して同一軸上で重畳させる。45度偏光膜862により、sinωt成分とcosωt成分の偏光方向を回転させて同一方向に揃え、その各光波により立体像を表示する。
【選択図】図13A
【解決手段】少なくとも一方が変調されている参照光と物体光を偏光方向を揃え同軸になるようにして撮像面上に形成された干渉縞を撮像部で撮像し三次元画像信号を取得し、sinωt成分とcosωt成分を分離する。ストライプ状のsinωt成分表示層822とcosωt成分表示層824が交互に配列されている表示パネル部820Aを使用しsinωt成分とcosωt成分の表示を行なう。変調偏光部830Aによりsinωt成分とcosωt成分の一方を垂直偏光波にし他方を水平偏光波にする。2光波重畳部850Aによりsinωt成分とcosωt成分の各光波を偏光方向を維持して同一軸上で重畳させる。45度偏光膜862により、sinωt成分とcosωt成分の偏光方向を回転させて同一方向に揃え、その各光波により立体像を表示する。
【選択図】図13A
Description
本発明は、三次元画像再生表示装置、三次元画像再生表示方法、三次元画像情報取得再生システム、三次元画像情報取得再生方法に関する。より詳細には、電子的に取得されている三次元画像信号(ホログラム情報信号)に基づいて三次元画像を再生して表示する仕組みや、三次元画像信号を取得しさらに三次元画像を再生して表示する仕組みに関する。
レーザ光を用いてホログラムを作成し、三次元画像を記録・再生する方法として、写真フィルム技術を利用する仕組みが知られている。
一方、この考え方を電子的に実現する仕組み(電子ホログラムシステムと称する)や、さらにカラー化する仕組みが、たとえば、特許文献1〜3に提案されている。
電子ホログラムシステムの実現には、たとえば、物体にインコヒーレント光を照射した元で得られる物体からの光を干渉光とし、その干渉光を撮像面で受光することで、その撮像面上に干渉縞を形成した状態とする。撮像部からは、その干渉縞に対応する撮像出力信号が出力されるので、電子的にホログラム情報信号を取得できる。
この際、特許文献1〜3では、物体光と参照光の両方または一方を変調して、撮像装置上に両者を同軸上で干渉させ、光学情報を撮像装置上で光電変換させ、電気信号の処理を行なうようにしている。このような仕組みを「時間的光変調法によるホログラムの形成と撮像」と称する。
詳細は後述するが、「時間的光変調法によるホログラムの形成と撮像」の考え方は、取得されるホログラム信号は、時間的変調に無関係なノイズ項と時間的変調項を含み、時間的変調項は虚数部と虚数部で表すことができることを根拠としている。因みに、実数部はcos関数で表わすことができ、虚数部はsin関数で表すことができる。したがって、互いに直交する2つの直線偏光波の重ね合わせとみなすことができ、電気的信号処理による三次元像の即時記録と再生が可能であることが分かる。
つまり、この仕組みでは、物体の像情報を伴う電気信号は光変調周波数に等しい周波数を中心にある帯域幅をもって分布するのに対して、ノイズ光は周波数依存性を持たず、周波数軸上に一様に分布するようになることを根拠としてホログラム信号を取得する。これによって、周波数依存性を持たないノイズ光を電気的に除去することが可能となり、物体像情報を持つ変調信号のみを抽出するシステムが実現できる。
ここで、システム全体として考えた場合、特許文献1〜3の仕組みを適用してホログラム情報信号を電子的に取得するだけでは不完全であり、電子的に取得されたホログラム情報信号に基づいて、如何様にして、物体の立体像を電子的に再生するかが問題となる。
しかしながら、特許文献1〜3の仕組みを適用して電子的に撮像されたホログラム像に基づき電子的に立体像を再生する仕組みは、実際のところはあまり開示されていない。たとえば、特許文献3には、電子的に取得したホログラム情報信号を一旦記録装置に記憶しておき、その後、再生された合成ホログラム情報信号から、周波数低減された色別のホログラム情報信号を得て、物体の立体像の形成する旨が記載されているに過ぎない。具体的な内容については記載がないのである。
考え方としては、たとえば、45度位相板と透過型の2つの液晶を画素位置を整合させて重ね合わせるとともに、一方の液晶では実数部(sin項)の成分を、他方の液晶では虚数部(cos項)の成分を、それぞれ再生することが考えられるが、装置構成が大掛かりで、画素位置合わせは難しい。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特許文献1〜3の仕組みを適用して電子的に取得されたホログラム情報信号に基づいて立体像を再生することのできるより簡易な仕組みを提供することを目的とする。
本発明に係る一態様は、先ず、三次元画像撮像装置と三次元画像信号処理部により取得される物体の三次元像を示す三次元画像信号に基づいて、時間的な変調項としてのsinωt成分信号とcosωt成分信号を再生系信号処理部で取得する。
三次元画像撮像装置では、物体光(好ましくはコヒーレントな物体光)およびコヒーレントな参照光の少なくとも一方を予め定められた周波数の変調信号で変調し、少なくとも一方が変調されている参照光と物体光を偏光方向を揃え同軸になるようにして撮像部に入射させることで参照光と物体光の間で干渉され撮像部の撮像面上に形成された干渉縞を撮像部で撮像する。三次元画像信号処理部では、撮像部で取得される撮像信号に基づき物体の三次元像を示す三次元画像信号を取得する。
そして、sinωt成分表示部とcosωt成分表示部が同一面上に予め決められた配列順で交互に配列されている表示パネル部によりsinωt成分信号とcosωt成分信号のそれぞれについて表示を行なう。さらに、表示パネル部で表示されるsinωt成分の光波とcosωt成分の光波を2光波重畳出力部により偏光方向を揃えて同一軸上で重畳させ、重畳されたsinωt成分の光波とcosωt成分の光波により三次元の画像を再生して表示する。
詳細は後述するが、物体光と参照光の少なくとも一方を変調信号で変調して取得される三次元画像信号(ホログラム信号)は、時間的変調に無関係なノイズ項と時間的変調項を含み、さらに時間的変調項はsinωt成分とcosωt成分に分離できる。
よって、sinωt成分表示部とcosωt成分表示部が同一面上に予め決められた配列順で交互に配列されている表示パネル部を使用して、三次元画像情報を有したsin成分信号とcos成分信号に基づき表示することでsin成分の光波とcos成分の光波を生成し、そのsin成分の光波とcos成分の光波を偏光方向を揃えて重畳させると正しく立体像(三次元画像)を再生して表示することができる。時間的変調に無関係なノイズ項は、立体像の再生・表示に使用しない。
表示パネル部のsinωt成分表示部とcosωt成分表示部の配列形態としては、ストライプ状やマトリクス状を適用することが考えられる。何れであっても、sinωt成分表示部とcosωt成分表示部が同一面上に予め決められた配列順で交互に配列されている表示パネル部を使用するので、sin項の成分とcos項の成分を各別の透過型の2つの液晶表示装置で表示させる場合のような画素位置合せが不要である。
本発明の一態様によれば、sin成分とcos成分の表示を行なう部分の位置合せが不要であり、簡易な仕組みにより、立体像を再生・表示することができる。特許文献1〜3の仕組みを適用するので、時間的変調に無関係なノイズ項の影響を受けないS/Nの良好な立体像を再生・表示できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。各機能要素について実施形態別に区別する際には、A,B,C,…などのように大文字の英語の参照子を付して記載し、特に区別しないで説明する際にはこの参照子を割愛して記載する。また、各機能要素を色彩波長(具体的にはR,G,B)で区別する場合は色彩波長の参照子R,G,Bを付して記載し、特に区別しないで説明する際にはこの参照子を割愛して記載する。図面においても同様である。
なお、説明は以下の順序で行なう。
1.比較例の個別事情
2.本実施形態に関わる基礎技術
3.三次元画像撮像再生装置:概要
4.三次元画像撮像装置:第1実施形態(物体光を変調)
5.三次元画像撮像装置:第2実施形態(参照光を変調)
6.三次元画像撮像装置:第3実施形態(物体光と参照光の双方を変調)
7.左右像2光波重畳部:第1実施形態(プリズムによる2光波重畳&物体光変調)
8.左右像2光波重畳部:第2実施形態(位相共役鏡による2光波重畳&参照光変調)
9:三次元画像情報取得再生システム
10:電気信号処理:第1実施形態(汎用タイプ)
11:電気信号処理:第2実施形態(カラム読出方式)
12:三次元画像再生部:第1実施形態(ストライプ表示+45度偏光膜)
13:三次元画像再生部:第2実施形態(ストライプ表示+90度偏光学部材)
14:三次元画像再生部:第3実施形態(マトリクス表示)
15:三次元画像再生の仕組み
1.比較例の個別事情
2.本実施形態に関わる基礎技術
3.三次元画像撮像再生装置:概要
4.三次元画像撮像装置:第1実施形態(物体光を変調)
5.三次元画像撮像装置:第2実施形態(参照光を変調)
6.三次元画像撮像装置:第3実施形態(物体光と参照光の双方を変調)
7.左右像2光波重畳部:第1実施形態(プリズムによる2光波重畳&物体光変調)
8.左右像2光波重畳部:第2実施形態(位相共役鏡による2光波重畳&参照光変調)
9:三次元画像情報取得再生システム
10:電気信号処理:第1実施形態(汎用タイプ)
11:電気信号処理:第2実施形態(カラム読出方式)
12:三次元画像再生部:第1実施形態(ストライプ表示+45度偏光膜)
13:三次元画像再生部:第2実施形態(ストライプ表示+90度偏光学部材)
14:三次元画像再生部:第3実施形態(マトリクス表示)
15:三次元画像再生の仕組み
<比較例の個別事情>
最初に、特許文献1〜3の仕組みについて、それぞれの個別の問題点の詳細について検討する。
最初に、特許文献1〜3の仕組みについて、それぞれの個別の問題点の詳細について検討する。
特許文献1では、レーザ光を2つの経路に分岐し、一方の光波を物体に照射し、両方または一方をある光変調周波数の変調信号で変調し、両者を同軸上で干渉させ、光学情報を撮像部で光電変換して撮像信号を取得し電気信号処理を行なう。因みに、この方式で得られるのはインコヒーレントホログラムである。
得られる画像信号(物体の像情報を伴う電気信号)は光変調周波数に等しい周波数を中心にある帯域幅をもって分布する。これに対して、ノイズ光は周波数依存性を持たず、周波数軸上に一様に分布するようになる。これによって、周波数依存性を持たないノイズ光を電気的に除去することが可能となり、物体像情報を持つ変調信号のみを抽出するシステムが実現できる。光変調とそれに対応した電気信号での波長分離によりホログラム情報信号に含まれるバックグラウンドノイズを低減する仕組みに特徴がある。
しかしながら、特許文献1の仕組みでは、次のような問題がある。インコヒーレントホログラムであるので、三次元再生像の解像度に難点がある。カラー化技術については触れられていない。レーザ光を被写体に直接照射しなければならず、撮影対象が事実上非生物に限られ、人間を含む高等生物の撮像には適しない。撮像時には暗室が必要となる。照光か物体光のどちらか一方を変調させる場合は良いが、両方を変調させた場合の詳しい記載がなく、両者を同じ周波数で変調した場合には、何の効果も生じない(数式を当たってみればすぐ分かる)。
特許文献2では、インコヒーレント光の照射を受けた物体からの光を干渉光にするに当たって循環型干渉光学系を使用し、また、走査型の固体撮像装置を使用している。この方式でも、特許文献1と同様に、得られるのはインコヒーレントホログラムであるし、ホログラム情報信号に含まれるバックグラウンドノイズを低減する仕組みも特許文献1と同様のものである。
たとえば、循環型干渉光学系における三角形状の循環光路内に、光学活性体と光変調器を配し、物体からの光を偏光子を通じて循環型干渉光学系に入射し、循環型干渉光学系における循環光路をビームスプリッタで互いに逆方向に循環する2つの分割光に分岐する。これによって、時計回りの光波と反時計周りの光波を生成する。
その内の光学活性体を経て偏光面が回転された後に光変調器を通過する一方の光波に関して、干渉計内光路の1つ脚の中に偏光子(たとえば水晶)と光変調素子を配置し、ある周波数を有する変調信号に基づいて光変調素子を変調する、つまり、循環光路内で光変調を行なう。そして、像倍率の異なる干渉計からの出力光を撮像面上に、同軸かつ偏光方向を揃えて干渉させ、撮像面上に干渉縞(ホログラム)を形成する。
循環型干渉光学系から導出される干渉光は、実質的に干渉縞を形成するものとなる成分が時間および変調信号の周波数に依存するものとして、また、干渉縞の形成に寄与しない成分が時間及びおよび変調信号の周波数に依存しないものとして含まれる。干渉光により形成された干渉縞に基づいて得られるホログラム情報信号は、変調信号の周波数を中心とした所定の周波数帯域に依存し、それに、周波数に依存しないバックグラウンドノイズが混入したものとなる。
つまり、循環型干渉光学系から導出される干渉光に関して得られる画像信号は、変調信号の周波数を中心としたある周波数帯域に存在するホログラム情報信号と、周波数に依存しないバックグウランドノイズを含む。このため、画像信号を、変調信号の周波数を中心とした周波数帯域を通過帯域とする波長分離部(典型的には帯域通過フィルタ)に供給することで、インコヒーレントホログラム中に存在するバックグラウンドノイズが低減されたホログラム情報信号が得られる。
この方式は、三角干渉計が2つの光波(物体光と参照光)の干渉に際して、他の干渉計に比べて生成される2つの光波の光路長が自動的に等しくなる点が優れており、光学的なアライメントが楽になる。また撮像に際し、暗室は必要なく、太陽光など自然環境化にも適用できるため、実用化に一歩近づいたシステムと言える。
しかしながら、特許文献2の仕組みでは、次のような問題がある。特許文献1と同様に、インコヒーレントホログラムであるので三次元再生像の解像度に難点があるし、カラー化技術については触れられていない。たとえば、この特許文献2が提案された時点では、カラー化した際の効率的な光変調技術は確立されていなかった。また撮像信号を電気的に取得する仕組みは、電子ビーム、誘電体、フィルムなどを利用するもので、今日の技術としては適切でないと言える。
このように、特許文献1,2の仕組みは、インコヒーレント光の照射を受けた物体からの光に基づくホログラム情報信号を形成するもので、単色ホログラム情報信号が得られるに過ぎず、3原色成分を含む色彩ホログラム情報信号を形成することはできない。
これに対して、特許文献3では、特許文献2の仕組みをベースとして、インコヒーレント光の照射を受けた物体からの光に基づいて色彩ホログラム情報信号を得るように発展させた仕組みが提案されている。基本的には、インコヒーレント光の照射を受けた物体からの光を循環型干渉光学系に入射し、循環型干渉光学系から導出される光を走査型の撮像部で撮像する構成を採っている。
因みに、撮像部に関しては、走査型のものを使用するが、色彩波長別に各別のものを備える構成のいわゆる3板式と、撮像面に色分離フィルタが配設されたカラー撮像用の単板式が提案されている。
このとき、カラー化用に、R(赤),G(緑),B(青)の光学信号を異なる周波数で変調することで、走査型の撮像部から、色彩ホログラム情報信号を、それに混入したバックグラウンドノイズを低減することができる状態で得るようにしている。
しかしながら、特許文献3(特許文献2も)の仕組みでは、次のような問題がある。特許文献1と同様に、インコヒーレントホログラムであるので三次元再生像の解像度に難点がある。つまり、インコヒーレント光であるため、光学的な干渉長も短く、再生画質が鮮明でないので、鮮明なホログラムの形成や再生像の解像度についても改善すべき点がある。インコヒーレントな自然光を偏光フィルタやシャープカットやダイクロイックミラーを使用して偏光した単色性に富んだ光りを作り出さねばならず、全体的に光量が落ち、ダイナミックレンジに問題がある。特許文献3では、単板式の場合、撮像面に色分離フィルタが配設されたカラー撮像用のものが必要になる。
つまり、物体光や参照光を色彩波長別に変調し、走査型の撮像部で撮像することで色彩三次元画像情報を取得する仕組みがあるが、3板式では装置構成が大掛かりになるし光学系配置に正確さが要求され、単板式ではカラー撮像用のものが必要になる。加えて、インコヒーレントホログラムであるので、色彩三次元再生像のダイナミックレンジや解像度に難点がある。
<本実施形態に関わる基礎技術>
本実施形態では、時間的な光変調法により電子的にホログラム像を撮像する仕組みを採る。この際、自然光照射下にある色彩三次元被写体の像情報を、撮像装置内で、レーザ光を用いて、インコヒーレント光をコヒーレント光に変換する(ICH−CH光変換と称す)。インコヒーレント光とは、物体光(物体波)のように干渉性の殆どない光を意味し、コヒーレント光とは、レーザ光のように可干渉性の高い光を意味する。
本実施形態では、時間的な光変調法により電子的にホログラム像を撮像する仕組みを採る。この際、自然光照射下にある色彩三次元被写体の像情報を、撮像装置内で、レーザ光を用いて、インコヒーレント光をコヒーレント光に変換する(ICH−CH光変換と称す)。インコヒーレント光とは、物体光(物体波)のように干渉性の殆どない光を意味し、コヒーレント光とは、レーザ光のように可干渉性の高い光を意味する。
ICH−CH光変換により、インコヒーレント物体光をコヒーレント光に変換し、物体光の位相共役光を発生させ、これに基づく光学的、電気的信号処理を施す。ICH−CH光変換には、たとえば、位相共役鏡を使用するのが好ましい。白色光を構成する主な色彩波長成分としては、典型的には、カラーの基本色であるB(青)、G(緑)、R(赤)が適用される。
つまり、自然光による色彩三次元画像情報をICH−CH光変換部(たとえば位相共役鏡)に入射させ、別光源による各波長成分のコヒーレント光の一部を分派部(たとえばビームスプリツタなど)により分波する。そして、色彩三次元画像情報と各波長成分のコヒーレント光の一部をICH−CH光変換部内に同軸上で入射させることで、色彩三次元画像情報のICH−CH光変換を行なう。
また、ICH−CH光変換した物体光(物体波)とレーザ光による参照光(参照波)を、光学的な倍率を変えて同軸で干渉させ、固体撮像装置上に偏光方向を揃えて入射させることで、レーザ光による色彩ホログラム像を固体撮像装置上に形成させる。この色彩ホログラム像を固体撮像装置で撮像することで、三次元画像信号を取得する。
つまり、ICH−CH光変換されたコヒーレント光の位相共役光を生成して物体光とし、固体撮像装置上に結像させる。各波長成分のレーザ光の分波した残りのレーザ光を参照光とし、位相共役物体光と同軸になるように入射させて干渉させ、固体撮像装置上にコヒーレント光ホログラムを形成させる。
また、色彩ホログラム像を形成させる際に、白色光を構成する主な色彩波長成分を放出するレーザ光源使用し、物体光や参照光の何れか一方または双方を、色彩波長成分ごとに異なる変調周波数で変調し、固体撮像装置上に色彩ホログラム像を形成させる。変調は、AM,FM,PMの何れでもよい。
各波長成分(R,G,B光)を異なる周波数で変調させるが、物体光と参照光の双方を変調する場合は、双方の変調周波数を異ならせて変調させ、固体撮像装置上に色彩ホログラムを形成させる。
物体光の色彩波長成分(R,G,B光)を取得するために、R,G,Bの3色を発振する白色半導体レーザを使用する。物体光を変調する場合には、R,G,B光を異なる変調周波数で変調する。参照光を変調する場合には、色彩波長成分(R,G,B光)ごとに異なる変調周波数で変調する。
固体撮像装置により得られた撮像信号に対しては、変調により伴われた光学的なノイズ成分を電気的信号処理により除去し、意図的に色彩波長成分別に変調された光信号を波長成分ごとに特徴付けられた電気信号に変換する。
これらの利点として、固体撮像装置で取得される色彩信号は、既に色彩別に特徴付けられるため、固体撮像装置上には、ベイヤー配列などのマトリクス状のカラーフィルタ(色分解フィルタ)が不要となる。ただし、色彩別に特徴付けられている信号を処理するため、周波数処理が必要となる。ここで「周波数処理」とは、波長成分(R,G,B光)ごとに異なる変調周波数の成分を持つ混合された撮像信号から、それぞれの変調周波数に応じた成分を分離することを意味する。
それぞれの変調周波数に応じた成分を分離した後には、一般的なカラー撮像信号処理と同様の仕組みが適用できる。ただし、元々の撮像信号は変調周波数で変調された成分を含むので、この点を考慮した回路構成にすることが望まれる。
以上を踏まえて、最初に、電子的なホログラム記録の本実施形態において適用される理論について幾つか説明する。
[立体感の生理作用]
図1は、人間の立体感の生理作用を説明する図である。この図は、人間の目が三次元対象物をどのようにして立体とて捕らえているかを概念的に示している。
図1は、人間の立体感の生理作用を説明する図である。この図は、人間の目が三次元対象物をどのようにして立体とて捕らえているかを概念的に示している。
人間の目は神経が頭の中で交差しており、左目が情報は右脳で処理され、右目情報は左脳で情報処理される。両者の情報は脳梁を通じて互いに情報のやり取りを行なっている。左単眼視野(AL)と右単眼視野(AR)から両眼視野(B)が形成され、それに基づくパターン認識(D)があり、その結果、立体感(E)として認識されるという認識過程がある。
その他に、視差の効果は両眼に比べると劣るが、単眼でも立体として認識でき、左単眼視野(AL)→パターン認識(CL)→立体感(E)という経路と、右単眼視野(AR)→パターン認識(CR)→立体感(E)という経路があるとするのが一般的である。これは、実際に、自分の目で片方の目を覆って、他方の目だけで対象物を見るようにすると、前後の距離感は両眼視の場合より多少なくなるが、それでもかなりの立体感があることから分かる。
[時間的光変調法によるホログラムの形成とその撮像]
変調の対象となるのは、物体光・参照光の何れの場合もある。因みに、双方を変調する場合は、それぞれの変調周波数を少し(僅かに)異ならせる。
変調の対象となるのは、物体光・参照光の何れの場合もある。因みに、双方を変調する場合は、それぞれの変調周波数を少し(僅かに)異ならせる。
たとえば、撮像部の撮像面上の光の強度をI、物体光の複素振幅をB、参照光の複素振幅をSとする。
ここで、参照光のみを変調させる場合に、その参照光の変調周波数をωo とすると、固体撮像装置上の光の強度Iは式(1)で表される。
また、物体光と参照光の双方を変調させる場合に、物体光の変調周波数をωi 、参照光の変調周波数をωk とすると、固体撮像装置上の光の強度Iは式(2)で表される。
また、色彩三次元画像信号の取得の場合には、物体光をカラーの基本色であるB(青)、G(緑)、R(赤)で区別してそれぞれBr,Bg、Brとする。ここで、各色の物体光Br,Bg、Brを各別の変調角周波数ω1 ,ω2 ,ω3 の参照光で変調する場合には、固体撮像装置上の光の強度Iは式(3)で表される。
レーザ光の強度がそれほど強くなく、異なる波長間の光の干渉が無視できるとすると、式(3)は、式(4)のように簡略化できる。
さらに、式(4)を書き換えると、式(5)が得られる。
式(5)の右辺において、第1項の「N」は時間的変調に無関係なノイズ項であり、第2項以降は時間的変調項であり、それぞれ、各色の物体光Br,Bg、Brに対応する参照光の変調角周波数ω1 ,ω2 ,ω3 に関するものである。これらの色別の時間的変調項は、実数部と虚数部があり、実数部はcos関数、虚数部はsin関数で、それぞれ表すことができる。
したがって、互いに直交する2つの直線偏光波の重合せとみなすことができ、電気的カラー信号処理による色彩三次元像の即時記録や再生が可能であることが分かる。
[縮退4波混合による位相共役光の発生]
図2〜図2Aは、位相共役鏡の機能を説明する図である。ここで、図2は、4波混合による位相共役光の発生の仕組みを説明する図である。図2Aは、光学機能材料と電気光学係数と応答時間の関係を示す図である。
図2〜図2Aは、位相共役鏡の機能を説明する図である。ここで、図2は、4波混合による位相共役光の発生の仕組みを説明する図である。図2Aは、光学機能材料と電気光学係数と応答時間の関係を示す図である。
位相共役光を発生させる方法には、たとえば、「誘導ブリルアン散乱による方法」、「4波混合による方法」、「ホログラムを用いる方法」が知られている。
一般に、光屈折性材料の内でメモリ効果を持つものをフォトクロミック材料と言うが、これに対し、メモリ作用を持たず単に光応答のみを示す材料がある。この材料の方形の素子に同じ波長の2つのレーザビームを異なる角度で入射させると、光照射領域で2つの光波の干渉が生じ、媒質内に透過率や屈折率の変化を引き起こす。これらの変化は、光の干渉縞の縞模様に対応した透過率または屈折率の変調した領域が媒質内に作り出され、この現象はいわゆるダイナミックホログラフィとして知られている。
一方、位相共役鏡としてチタン酸バリウム(BaTiO3 )結晶を使用し、結晶中にλ=635nmのレーザビームを入射させ、簡単な光学機器構成を用い、4波混合法により位相共役光を発生させるのが「4波混合による方法」である。
図2を参照して、この4波混合による位相共役光の発生の仕組みを説明する。
ほぼ直方体状の光応答性媒体が位相共役鏡20として中心に配置され、一方の端面23aに第1の参照レーザ光L2a を発する光源(図示せず)とハーフミラー21aが配置される。さらに、それとは反対側の端面23b側に反射鏡21bが設置され、それらと直交する一方の端面23c側には反射鏡21が配置される。端面23aの側が第1の参照レーザ光L2a の入射側で、端面23bの側が第1の参照レーザ光L2a の出射側かつ反射鏡21bで反射された第2の参照レーザ光L2b の入射側である。端面23cの側が反射鏡21が配置される側で、端面23dの側が位相共役光の出射される側である。
ほぼ直方体状の光応答性媒体が位相共役鏡20として中心に配置され、一方の端面23aに第1の参照レーザ光L2a を発する光源(図示せず)とハーフミラー21aが配置される。さらに、それとは反対側の端面23b側に反射鏡21bが設置され、それらと直交する一方の端面23c側には反射鏡21が配置される。端面23aの側が第1の参照レーザ光L2a の入射側で、端面23bの側が第1の参照レーザ光L2a の出射側かつ反射鏡21bで反射された第2の参照レーザ光L2b の入射側である。端面23cの側が反射鏡21が配置される側で、端面23dの側が位相共役光の出射される側である。
ここで、波長λの第1の参照レーザ光L2a をハーフミラー21aを通して位相共役鏡20(光応答性媒体)の端面23a側に入射させ、対向する端面23b側の反射鏡21bにより第1の参照レーザ光L2a の反射光である第2の参照レーザ光L2b を形成させる。なお、第1の参照レーザ光L2a を第1の励起光とも称し、第2の参照レーザ光L2b を第2の励起光とも称する。
すなわち、ハーフミラー21aと反射鏡21b、ハーフミラー21aと位相共役鏡20の端面23a、位相共役鏡20の端面23bと反射鏡21bは、それぞれ光学的なキャビティを形成する。これによって、それぞれのキャビティの間で繰り返し反射が生じ、第1の参照レーザ光L2a (入射光)と第2の参照レーザ光L2b (反射光)は励起光となり、位相共役鏡20を励起状態にする。
ここで、位相共役鏡20の端面23c側には、反射鏡21が端面23cに対して適当な角度θで配置する。
第1の参照レーザ光L2a と第2の参照レーザ光L2b の照射によって、位相共役鏡20がエネルギを充分吸収すると、端面23cより漏れ出た漏れ光L2c_1 が反射鏡21によって反射され、位相共役鏡20との間で繰り返し反射が生じ、レージングを惹き起こす。その結果、端面23cは位相共役鏡となり、漏れ光L2c_1 とこれと位相共役な光が発生し、位相共役鏡20の端面23cに対向する端面23dより、位相共役光L2c*が放出するようになる。
位相共役光生成過程はおおよそ以下のメカニズムによる。第1の参照レーザ光L2a と端面23cからの漏れ光L2c_1 の反射鏡21による反射光L2c_2 が干渉し、位相共役鏡20の中に干渉縞22が形成される。第2の参照レーザ光L2b が干渉縞22によって反射して反射光L2c_2 がやってきた光路を遡る。この反射光L2c_2 がやってきた光路を遡る光は反射光L2c_2 と方角が同じで向きが違うため、反射光L2c_2 に対し共役位相の関係にある。すなわち、反射光L2c_2 がやってきた光路を遡る光は位相共役光L2c*となる。したがって、光応答性媒体20は位相共役鏡として作用する。
ここでは、第1の参照レーザ光L2a と反射光L2c_2 の干渉しか図示していないが、干渉の対象性から第2の参照レーザ光L2b と反射光L2c_2 の干渉による干渉縞も形成されている。この場合は、第1の参照レーザ光L2a が干渉縞22によって反射し、位相共役光となる。方向はやはり反射光L2c_2 のやってきた光路を遡る。
次に、反射鏡21の一方の端点(位相共役鏡20の端面23a側の端点)を支点として反時計方向に角度θだけ回転させると、反射鏡21の反射面21aは反射面21bの位置に移動する。位相共役鏡20は位相共役鏡であるために、“いかなる光でも発生源に正確に戻る作用”が働き、レージングが維持され、変位前の位相共役光L2c*が角度θ方向に変位し、トラッキング光L2d*となって端面23dの側に放出される。トラッキング光L2d*も同様に位相共役光である。
位相共役鏡20内で行なわれる光生成過程は“増幅率=1”であり、出射する位相共役光L2c*およびトラッキング光L2d*の光強度は第1の参照レーザ光L2a のそれに等しい。
また、位相共役光L2c*およびトラッキング光L2d*の光強度は、位相共役鏡20に入射する励起光のエネルギが閾値以上であれば、入射励起ビームの光強度に依存し、入射励起ビームの光強度が増せば位相共役光の光強度も増大する。位相共役鏡20に入射する励起光を、以下「入射励起ビーム」とも称し、本例では第1の参照レーザ光L2a に該当する。
また、位相共役光L2c*およびトラッキング光L2d*の光強度は、位相共役鏡20に入射する励起光のエネルギが閾値以上であれば、入射励起ビームの光強度に依存し、入射励起ビームの光強度が増せば位相共役光の光強度も増大する。位相共役鏡20に入射する励起光を、以下「入射励起ビーム」とも称し、本例では第1の参照レーザ光L2a に該当する。
反射鏡21を前述のような方法により、支点を中心に一定速度で振動させた場合、トラッキング光L2d*は反射鏡21の振動に追従するが、どの程度まで回転振動速度に追従できるかについては、用いる位相共役鏡20の材料の光応答速度によって決まる。
[ダイナミックホログラフィと光応答性材料]
前記のように、複数のレーザ光の干渉によって位相共役鏡20中に干渉縞が形成される理由は、光照射によって媒質中に屈折率変調領域が生じるためであり、ダイナミックな光応答過程として知られている。
前記のように、複数のレーザ光の干渉によって位相共役鏡20中に干渉縞が形成される理由は、光照射によって媒質中に屈折率変調領域が生じるためであり、ダイナミックな光応答過程として知られている。
ダイナミックな光応答を示す材料としては、以下のようなものが挙げられる。たとえば、赤外領域に感度のある材料としては、InP:Fe、GaAs:Cr結晶、GaAs/GaAlAsなどがある。
可視領域に感度のある材料としては、無機系であれば、LiNbO3 :Fe、KTN(K(TaNb)O3 )、BSO(Bi12SiO20)、BGO(Bi12GeO20)、SBN((SrBa)Nb2 O6 )、BaTiO3 、KNbO3 などがある。鉄またはロジウムなどの遷移金属を添加したLi20/(Ta205 +Li20)のモル分率が0.495〜0.50であるストイキオメトリ組成タンタル酸リチウム単結晶は、紫外光から可視光域でフォトリフラクティブ効果がある。サマリウムやイッテルビウムなどの遷移元素や希土類元素を微量に含有するとともにセリウムを不純物として含むニオブ酸ストロンチウムバリウム単結晶、SrxBa1-xNb206 で、xの範囲が0.25≦x≦0.75である光学材料も、ホログラム記録媒体、位相共役鏡、および光増幅器を構成した場合、応答速度が速く、安定性に優れたデバイスが実現できる。
また、高分子系材料(有機系)では、ポリジアセチレン、Poly−4−BCMUpolydiacetylene がある。これらは、はモノマーの単結晶に紫外線、X線、γ線を照射あるいは熱などを加えて重合し、ポリマーの単結晶にする。モノマーLB膜を重合してポリマーのLB膜にするなどの製法もある。また、キサンテン系のエリトロシンB色素含有ポリビニールアルコール(PVA)膜、アゾ色素を含有するポリビニールアルコール(PVA)樹脂なども、偏光方向が互いに直行する二つの位相共役光を発生する性質があり好適である。
一般的な無機質光学機能材料では、以下の4つのプロセスにより、干渉縞の光のパターンに応じた屈折率の変調パターンが媒体内に形成される。
(a)光照射が強い(干渉縞の明るい)部分では、材料内のトラップからキャリアが光励起している。
(b)励起キャリア(電子)は材料の伝導帯へ遷移し、光照射のない(干渉縞の暗い)部分へ移動し、そこで再びトラップされる。
(c)その結果、空間的に非一様な電荷分布が強い静電空間電場が作り出される。
(d)線形な電気光学効果によって、同じ媒体中に屈折率変化が生じ、その大きさは局所的な電界強度に比例する。
(a)光照射が強い(干渉縞の明るい)部分では、材料内のトラップからキャリアが光励起している。
(b)励起キャリア(電子)は材料の伝導帯へ遷移し、光照射のない(干渉縞の暗い)部分へ移動し、そこで再びトラップされる。
(c)その結果、空間的に非一様な電荷分布が強い静電空間電場が作り出される。
(d)線形な電気光学効果によって、同じ媒体中に屈折率変化が生じ、その大きさは局所的な電界強度に比例する。
このような材料は、以下の典型的な3つの性質により特徴付けられる。
(1)媒質の屈折率変化が始まる光エネルギの閾値
(2)回折効率
(3)応答時間
以下、順を追って説明する。
(1)媒質の屈折率変化が始まる光エネルギの閾値
(2)回折効率
(3)応答時間
以下、順を追って説明する。
(1)媒質の屈折率変化が始まる光エネルギの閾値
前述の(a)〜(d)までの過程を持つ材料で、もし入射光のエネルギがトラップからキャリアを光励起するほど大きくないなら、または光励起しても非一様な空間電荷場を形成するほどキャリアの数が十分でないなら、媒質に屈折率の変化は起こらない。したがって、屈折率変化を引き起こすためには、入射光エネルギに閾値が存在ことになる。今、閾値エネルギをEthとすると、「E>Eth」で媒質の屈折率変化が始まる。
前述の(a)〜(d)までの過程を持つ材料で、もし入射光のエネルギがトラップからキャリアを光励起するほど大きくないなら、または光励起しても非一様な空間電荷場を形成するほどキャリアの数が十分でないなら、媒質に屈折率の変化は起こらない。したがって、屈折率変化を引き起こすためには、入射光エネルギに閾値が存在ことになる。今、閾値エネルギをEthとすると、「E>Eth」で媒質の屈折率変化が始まる。
(2)回折効率
光学機能材料の元の屈折率no 、有効電気光学係数reff 、電場Eとすると、電気光学効果により引き起こされる屈折率変化Δnは式(6)で表される。
光学機能材料の元の屈折率no 、有効電気光学係数reff 、電場Eとすると、電気光学効果により引き起こされる屈折率変化Δnは式(6)で表される。
ここで、ダイナミックホログラフィックな要素を考えた場合、結晶厚(より正確には光波の結晶中の相互作用長)をlとすると、光波の回折効率ηは、吸収が小さい場合は式(7)で表される。したがって、屈折率変化Δn、すなわち、有効電気光学係数reff が大きいほど回折効率ηは大きい。
図2Aに、光学機能材料とその電気光学係数reff と応答時間の関係を例示する。ここで、図2A(1)は比較的大きな電気光学係数を持つ光学機能材料の場合であり、図2A(2)は比較的小さな電気光学係数を持つ光学機能材料の場合である。図2A(3)は、種々な材料の応答時間が実際にどのような値になるかを示す。図2A(1)に示すように、BaTiO3 、KNbO3 、(SrBa)Nb2 O6 のような材料(強誘電性光学機能材料である)は比較的大きな効電気光学係数reff の値を持つ。これに対して、図2A(2)に示すように、BGO(Bi12GeO20)やBSO(Bi12SiO20)、InP、GaAsなどは比較的小さな効電気光学係数reff の値を持つ。
図2A(2)に示す材料は図2A(1)に示したような強誘電性光学機能材料に比べ、非線形光学効果が小さい反面、前述の(a)〜(d)までの過程が比較的早く進行する。
(3)応答時間
(3−1)光相互作用領域の応答時間
ダイナミックホログラフィを主な対象とした場合、光相互作用領域(干渉縞)の動作感度、すなわち、応答時間が重要な因子になる。ここで、比誘電定数ε、電気伝導度σとすれば、応答時間τと光学機能材料(電気光学材料)の誘電緩和時間τcとの間には式(8)のような関係がある。
(3−1)光相互作用領域の応答時間
ダイナミックホログラフィを主な対象とした場合、光相互作用領域(干渉縞)の動作感度、すなわち、応答時間が重要な因子になる。ここで、比誘電定数ε、電気伝導度σとすれば、応答時間τと光学機能材料(電気光学材料)の誘電緩和時間τcとの間には式(8)のような関係がある。
ここで、光伝導が支配的な場合、電子の電荷e、吸収係数α、移動度μ、空のトラップへの再結合時間τR 、平均光照射強度Io とすると、式(8−2)の誘電緩和時間τcは式(9)のように表わすことができる。因みに、電子の電荷e、吸収係数α、移動度μ、再結合時間τR が材料に依存する因子である。
したがって、材料の比誘電定数εが小さく、材料の吸収係数αが比較的大きく、キャリアの移動度μが大きく、空のトラップへの再結合時間τR が長く、光照射強度Io が高いほど、応答時間τcは早い。
たとえば、図2A(3)から明らかなように、有機高分子材料であるPoly−4−BCMUpolydiacetylene は、π電子による強い非線形光学効果があり、その応答時間は極めて早く500〜700fs(フェムト秒)にも及ぶ。
[ICH−CH光変換]
図3は、ICH−CH光変換の基本を説明する模式図である。ここで、図3(1)は、ICH−CH光変換の全体の概念図であり、図3(2)は特にICH−CH光変換に注目して、その過程を模式的に示した図である。
図3は、ICH−CH光変換の基本を説明する模式図である。ここで、図3(1)は、ICH−CH光変換の全体の概念図であり、図3(2)は特にICH−CH光変換に注目して、その過程を模式的に示した図である。
入射光にインコヒーレントにレーザによるコヒーレント光を重畳させ、位相共役鏡内で4波混合を行なうと、前述のように共役位相波を発生させることができるが、同時にICH−CH光変換も行なわれる。この点について、図3に示す模式図を参照して説明する。
図3(1)に示すように、位相共役鏡30の端面33d側に反射鏡31a、また端面33b側に反射鏡31b、端面33c側に半透明鏡31cを配置し、端面33c側よりレーザによる波長λのコヒーレント光L3d_CHを半透明鏡31cを通して位相共役鏡30に入射させる。同時に、端面33a側より、三次元物体情報を持つインコヒーレント光L3a_ICH と、これに重畳するように、レーザによる波長λのコヒーレント光L3b_CHを入射させる。この場合、インコヒーレント光L3a_ICH はレンズなどの光学系を通過した自然光であり、位相が揃っておらず、かつ多くの波長からなっている光波である。
前述の4波混合の原理により、媒質内で干渉縞32が発生し、コヒーレントな位相共役光L3f_CHが発生する。その際、位相共役鏡30の内部ではICH−CH光変換も同時に進行し、コヒーレントな位相共役光L3f_CHは三次元物体情報を備えた位相共役光となる。端面33c側から入射させるコヒーレント光L3d_CHは、位相共役鏡30の励起光としての役割の他に、コヒーレント変換された物体情報を持つ位相共役光L3f_CHを呼び出すための探査光または読出し光としての役割も果たしている。
図3(2)は、どのようにしてICH−CH光変換が行なわれるか、その過程を強調して説明している。ここでは、位相共役鏡40内に生じた屈折率変調領域(干渉縞)の増強による波長選択作用(フーリエ変換)が示されている。
インコヒーレント光L4a_ICH はコヒーレント光のように時間的な波動周期に連続性がなく、ウエーブトレインまたはウエーブパケットの集合体のような形をしている。しかし、インコヒーレント光波をフーリエ展開すると、色々な波長の連続波の和として表すことができるという原理がある。よって、位相共役鏡40のエネルギ状態が高まっているときに位相共役鏡40にコヒーレント光L4b_CHが同時に入射すると、コヒーレント光L4b_CHとこの光の波長に相当するインコヒーレント光L4a_ICH の波長成分が干渉する。その結果として、媒質である位相共役鏡40内に僅かな屈折率変調を引き起こす。
図3(2)に示すように、位相共役鏡40の端面43a側からインコヒーレント光L4a_ICH とコヒーレント光L4b_CHを同時に入射させる。( i)に示すように、始めは未だ屈折率変調の効果は明瞭でなく、コヒーレント変換は生じない。この段階では、未だ入射するインコヒーレント光L4a_ICH は位相共役鏡40の端面43b(端面43aと反対)側にコヒーレント光L4b_CHとともに出射する。
少し時間が経過した次の段階では、( i)による波長選択性が少し促進し、(ii)に示すように干渉縞が次第に明瞭になってくる。位相共役鏡40の端面43b側にはインコヒーレント光L4a_ICH のコヒーレント変換されたコヒーレント光L4b_CH' が出射するようになるが、未だ完全な変換光ではない。また、インコヒーレント光L4a_ICH の透過成分(透過インコヒーレント光L4a_ICH')も出射するがその光量は僅かである。
( iii)は(ii)の過程が更に促進した状態を示す。生じた干渉縞42は回折格子のような作用をもたらし、インコヒーレント光L4a_ICH の内の特定の波長(コヒーレント光L4b_CHと同じ波長)の光が増幅され、それ以外の波長の光はフィルタされ、波長λのコヒーレント光L4c_CHのみ出射するようになる。すなわち、ICH−CH光変換が行なわれたことになる。
[光変調]
本実施形態では、物体光や参照光に対して変調を加える際に、レーザ光源から発せられた無変調のレーザ光に対して光変調を加える方法とレーザ光源に対して変調を加える方法の何れかまたは双方の仕組みを採ることがある。以下、各種の光変調について、簡単に説明する。
本実施形態では、物体光や参照光に対して変調を加える際に、レーザ光源から発せられた無変調のレーザ光に対して光変調を加える方法とレーザ光源に対して変調を加える方法の何れかまたは双方の仕組みを採ることがある。以下、各種の光変調について、簡単に説明する。
無変調のレーザ光に対する変調方法は、たとえば、電気光学効果を利用する方法、磁気光学効果を利用する方法、音響光学効果を利用する方法などに大別できる。
電気光学効果を利用する方法はさらに、印加電圧(電界)を加えることにより材料の屈折率が変化する現象に着目して、カー(Kerr)効果を利用する方法とポッケルス(Pockels )効果を利用する方法に分けられる。媒質の屈折率変化が印加電圧の2乗に比例する効果をカー効果と称し、たとえば、KTNなどが媒質材料として使用される。媒質の屈折率変化が印加電圧に比例する効果をポッケルス効果と称し、たとえば、KDP、ADP、CuCl、LiNbO3 、LiTaO3 、KLiNb、ZnSなどが媒質材料として使用される。なお、光の進行方向に沿って電界を印加する場合と垂直に印加する場合とがある。
磁気光学効果を利用する方法は、偏光方向が印加磁場により回転する効果を利用するもので、たとえば、YIGなどが媒質材料として使用される。
音響光学効果を利用する方法は、超音波と光の相互作用を利用するもので、たとえば、重フリントガラス、石英、などが媒質材料として使用される。
レーザ光源に対して変調を加える方法は、半導体のPN接合を利用する方法であり、光源と変調装置が同じか別かで2分される。光源と変調装置が同じ場合は直接型(または自発光型)と称し、半導体レーザや半導体ダイオードに適用される。たとえば、GaAs,GaAlAs,ZnSe,InAlAs,AlGaInAsP,ZnMgSSe,ZnCdSe/ZnSe(MQW)、などが半導体材料として使用される。一方、光源と変調装置が別の場合は間接型と称し、たとえばGaPなどが半導体材料として使用される。
<三次元画像撮像再生装置>
図4〜図4Bは、本実施形態の三次元画像撮像再生装置(三次元画像情報取得再生システム)の概要を説明する図である。ここで、図4は、本実施形態の三次元画像撮像再生装置900の概観図である。なお、図4(1)は、単眼用の三次元画像撮像再生装置900Sを示し、図4(2)は、双眼用の三次元画像撮像再生装置900Wを示す。図4A〜図4Bは、三次元画像撮像再生装置900の三次元画像撮像装置2に使用される左右像2光波重畳部500の概要を説明する図である。
図4〜図4Bは、本実施形態の三次元画像撮像再生装置(三次元画像情報取得再生システム)の概要を説明する図である。ここで、図4は、本実施形態の三次元画像撮像再生装置900の概観図である。なお、図4(1)は、単眼用の三次元画像撮像再生装置900Sを示し、図4(2)は、双眼用の三次元画像撮像再生装置900Wを示す。図4A〜図4Bは、三次元画像撮像再生装置900の三次元画像撮像装置2に使用される左右像2光波重畳部500の概要を説明する図である。
[概観]
単眼用の三次元画像撮像再生装置900Sは、図4(1)に示すように、筐体902、レンズ部904、カバー906、操作部908、色彩三次元画像再生部910を備える。
単眼用の三次元画像撮像再生装置900Sは、図4(1)に示すように、筐体902、レンズ部904、カバー906、操作部908、色彩三次元画像再生部910を備える。
三次元画像撮像再生装置900Sは、筐体902内に、干渉光学部3、変調信号源部4、撮像部5を主要部に備える三次元画像撮像装置2と、三次元画像信号処理部6(撮像系信号処理部)と、再生系信号処理部980と、データ記憶部998(記録メディア)が内蔵されている。色彩三次元画像再生部910と再生系信号処理部980で三次元画像再生表示装置が構成される。
レンズ部904は、単眼用として筐体902の一側面に1つのレンズ905が取り付けられている。カバー906は、図示しない蝶番(ヒンジ)により筐体902の一部に設けられた色彩三次元画像再生部910に対して開閉できるようにされている。カバー906は、三次元画像撮像再生装置900Sを不使用時に色彩三次元画像再生部910を覆い、使用時には図示のように開かれた状態とされる。操作部908は、三次元画像撮像再生装置900を操作するための各種のボタンを有する。
撮像系の三次元画像撮像装置2は、色彩三次元画像を撮像しデータ記憶部998に記録するものである。再生系信号処理部980は、データ記憶部998に記録された信号を元に色彩三次元再生像3DCHを色彩三次元画像再生部910により再生する。
色彩三次元画像再生部910は、後述するが、レーザパネル光源部、ストライプ型またはマトリクス型の表示パネル部、変調偏光部などを有する。
再生系信号処理部980は、撮像部5上の光強度Iと撮像部5で取得される撮像信号(画素信号)から得られる画像信号は1:1の関係にある点に着目して、式(5)に従ってsinωt成分信号とcosωt成分信号を取得して表示パネル部を駆動する。このとき、色彩三次元画像再生部910では、レーザパネル光源部から放射されたレーザ光が再生系信号処理部980による再生信号処理に従ってマトリクス型表示パネルや変調偏光部を透過すると、カラーの三次元像が空間に再生されて観察される。
ここで、撮像状態は、電気的にリアルタイム処理され、色彩三次元画像再生部910により、色彩三次元再生像3DCHが再生される。鑑賞する際には、偏光眼鏡など特に着用する必要はない。
双眼用の三次元画像撮像再生装置900Wは、図4(2)に示すように、単眼用とほぼ同様な構成であり、単眼用の三次元画像撮像再生装置900Sをベースに、双眼用としてレンズ部904が2つのレンズ905L,905Rを有するように変形している。内部的には、撮像系を単眼式から双眼式に発展させるべく左右像2光波重畳部500が筐体902内に内蔵される。
撮像系の三次元画像撮像装置2は、色彩三次元画像を撮像しデータ記憶部998に記録するものであり、後述のように、左右像2光波重畳部500を利用して、レンズ905L,905Rで取り込んだ左右の像情報を一系統にして撮像部5で撮像する仕組みを採る。単眼式と同様に、撮像状態は、電気的にリアルタイム処理され、色彩三次元画像再生部910により、色彩三次元画像3DCHが再生される。この場合でも、鑑賞する際には、偏光眼鏡など特に着用する必要はない。因みに、双眼による視差情報が加わるため、三次元(3D)化がより顕著になる点が単眼式と異なる。
[左右像2光波重畳部の概要]
単眼ではなく双眼(複眼)でホログラム像を撮像することを考えた場合、単純には、単眼でホログラム像を撮像する仕組みを2系統設ける仕組みにすることが考えられる。しかしながらこれでは装置構成が大掛かりなる。
単眼ではなく双眼(複眼)でホログラム像を撮像することを考えた場合、単純には、単眼でホログラム像を撮像する仕組みを2系統設ける仕組みにすることが考えられる。しかしながらこれでは装置構成が大掛かりなる。
そこで、本実施形態では、双眼のホログラム像を1つの撮像部で撮像することができ、単眼でホログラム像を撮像する仕組みを2系統設ける場合よりも装置構成が簡易になる仕組みを採る。基本的な考え方は以下の通りである。
先ず、物体光と参照光の少なくとも一方の左成分と右成分を、2つの光波を重畳する2光波重畳部に入射させて左成分と右成分を同一軸上にて重畳して2光波重成分を取得する。そして、2光波重成分を走査型の撮像部に入射させることで、1つの固体撮像装置で互いに偏光方向が同じ成分同士を同軸上で干渉させ、撮像部の撮像面上に干渉縞を形成させる。この干渉縞を撮像部で撮像することで、干渉縞に対応するホログラム情報信号を取得する。つまり、干渉縞を形成する対象の左右の物体光および/または参照光を光路上または固体撮像装置上で干渉させて受光するのである。
物体光と参照光の少なくとも一方の左成分と右成分を2光波重畳部に入射させて2光波重成分を取得するに当たっては、基本的には、次の3つの手法を採ることができる。
第1には、物体光(好ましくはコヒーレント光)の左成分(左眼成分)と右成分(左眼成分)を先ず2光波重畳部に入射させて物体光に関しての2光波重成分を取得する。その後、2光波重成分とコヒーレントな参照光を同軸となるようにして撮像部に入射させる。
第2には、左右の別に物体光(好ましくはコヒーレント光)とコヒーレントな参照光を先ず同軸となるようにして物体光と参照光が重畳された物体参照重畳光を取得する。その後、左右の物体参照重畳光を2光波重畳部に入射させて同軸となるようにして2光波重成分を取得し撮像部に入射させる。
第3には、コヒーレントな左右の像情報光の一方を物体光とし他方を参照光として2光波重畳部に入射させて同軸となるようにして2光波重成分を取得し撮像部に入射させる。
干渉性を良くして鮮明なホログラムを撮像するには物体光をコヒーレント光にするのがよい。そのためには、たとえば、光源よりコヒーレントな白色光を発する。入射光学系では、コヒーレントな白色光を 物体からの三次元情報を有するインコヒーレントな物体光と同軸上で同じ方向よりインコヒーレント光−コヒーレント光変換部に入射させることでコヒーレントな物体光を生成する。好ましくは、参照光と分岐する分岐部を設け、一方を参照光とし他方を物体光のコヒーレント変換に使用する。一方の分割光を 物体からの三次元情報を有するインコヒーレントな物体光と同軸上で同じ方向よりインコヒーレント光−コヒーレント光変換部に入射させることでコヒーレントな物体光を生成する。
色彩ホログラムを撮像するときには、参照光とコヒーレントな物体光の少なくとも一方について、色彩ホログラムを形成する複数の色彩波長成分を相互に異なる周波数の変調信号で変調する。好ましくは、物体光をコヒーレント光に変換するために使用される分岐部で二分された他方の分割光を参照光とするとよい。さらに、撮像光学系では、参照光とコヒーレントな物体光を、偏光方向を揃え、同軸になるようにして、走査型の撮像部に入射させ、参照光とコヒーレントな物体光の間で干渉させて撮像部の撮像面上に干渉縞を形成させ、撮像部で干渉縞を撮像する。こうすることで、カラー撮像用の撮像部を使用せずとも、簡易な構成で色彩ホログラムを電子的に取得できる。光変調の仕組みを適用するので、周波数処理によりバックグラウンドノイズが低減されたホログラム情報を取得できる。
このような考え方に基づいて左右像2光波重畳部500を構成する際には、物体光と参照光と、それらの左右を何れの段階で重畳させるのかと、物体光と参照光の何れを変調するのかによって、図4Aに示すように、種々の態様を採り得る。因みに、図では、「重畳」の箇所を丸付きの「+」で示している。コヒーレントなレーザ光を参照光とする場合は、何れの態様においても、たとえば左眼用は水平偏光で右眼用は垂直偏光にするなど、左右のコヒーレント光が干渉しないように、左右の偏光方向は互いに垂直(90°)で異なるようにすることで非干渉状態とする。
他の形態としては、左右の像情報光の何れか一方のコヒーレントな像情報光を参照光として使用することもでき、この場合には、左右の像情報光の偏光方向を同じに揃えて可干渉状態にする。
たとえば、図4A(1)に示す第1例の各態様は、左右の別に三次元画像撮像装置2にて物体光と参照光を同軸となるように重畳してから左右像2光波重畳部500に入射させて、左右像2光波重畳部500にて、左右の光情報を同軸となるように重畳させる場合である。この場合には、左右の別に物体光と参照光の偏光方向を同じに揃えて可干渉状態とするとともに、物体光と参照光が重畳された左右の像情報光の偏光方向を垂直(90°)で異なるようにすることで非干渉状態とする。
図4A(1−1)は、光変調の対象が物体光のみの場合であり、図4A(1−2)は、光変調の対象が参照光のみの場合であり、図4A(1−3)は、光変調の対象が物体光と参照光の双方の場合である。物体光と参照光の双方を変調する場合、それぞれの変調周波数や帯域は異なるものとする。
図4A(2)に示す第2例の各態様は、左右の物体光を左右像2光波重畳部500に入射させて同軸となるように重畳してから、さらに参照光と同軸となるように重畳させる場合である。この場合には、左右の物体光の偏光方向を垂直(90°)で異なるようにすることで非干渉状態とする。
図4A(2−1)は、光変調の対象が物体光のみの場合であり、図4A(2−2a),(2−2b)は、光変調の対象が参照光のみの場合であり、図4A(2−3a),(2−3b)は、光変調の対象が物体光と参照光の双方の場合である。物体光と参照光の双方を変調する場合、それぞれの変調周波数や帯域は異なるものとする。
また、参照光を変調する場合、左眼用と右眼用の各参照光を各別に変調してから左右像2光波重畳部500に入射させる。この場合、図4A(2−2a),(2−3a)のように、左眼用と右眼用の変調された各参照光を同軸に重畳してから左右像2光波重畳部500に入射させてもよいが、図4A(2−2b),(2−3b)のように、このことは必須ではない。
図4Bに示す第3例の各態様は、左右の像情報光の何れか一方のコヒーレントな像情報光を参照光として使用し、左右の物体光を左右像2光波重畳部500に入射させて同軸となるように重畳させる場合である。前述のように、左右の像情報光の偏光方向を同じに揃えて可干渉状態にする。
図4B(1)は、光変調の対象が右眼側の物体光のみの場合であり、図4B(2)は、光変調の対象が左眼側の物体光のみの場合であり、図4B(3)は、光変調の対象が左眼側と右眼側の両物体光の場合である。両物体光を変調する場合、それぞれの変調周波数や帯域は異なるものとする。
ここで、2光波を重畳して1光波に纏める光学系である左右像2光波重畳部500の構成としては、後述のように、たとえば、複屈折プリズムを利用する構成、位相共役鏡の4波混合の原理を応用した構成などが考えられる。
<三次元画像撮像装置:第1実施形態>
図5〜図5Aは、第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置を説明する図である。ここで、図5は、第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2A_1の概略構成図である。図5Aは、本実施形態の三次元画像撮像装置2で使用する主要構成要素の光学特性を概念的に示す図である。
図5〜図5Aは、第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置を説明する図である。ここで、図5は、第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2A_1の概略構成図である。図5Aは、本実施形態の三次元画像撮像装置2で使用する主要構成要素の光学特性を概念的に示す図である。
第1実施形態は、レーザ光源側で光変調を行なう点と、ICH−CH光変換と位相共役光生成を1つの素子で行なう点に特徴がある。
[構成]
第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2A_1は、物体光を変調させて、参照光を変調させない態様である。
第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2A_1は、物体光を変調させて、参照光を変調させない態様である。
三次元画像撮像装置2A_1は、干渉光学部3A、変調信号源部4A、左右像2光波重畳部500、撮像部5を具備する。撮像部5の後段には三次元画像信号処理部6が設けられる。左右像2光波重畳部500については、別の項で詳しく説明する。
干渉光学部3Aと変調信号源部4Aは、左眼用と右眼用に各別に設けられる。左眼用には参照子Hを付し、右眼用には参照子Kを付す。構成としては、左眼用の干渉光学部3A_Hおよび変調信号源部4A_Hと右眼用の干渉光学部3A_Kおよび変調信号源部4A_Kは同じであるので、この参照子を割愛して区別せずに説明し、図では、左眼用についてのみ詳しく示し、右眼用は省略して示す。この点は後述の他の実施形態でも同様である。
撮像部5としては、走査型のものを使用する。「走査型のもの」とは、撮像部5の撮像面を電子的に走査することで各走査位置の情報(画素情報)を取得するものを意味する。走査型のものであればよく、撮像部5としては、撮像管の他に、たとえばCCD(Charge Coupled Device )やCMOS(Complementary Metal-oxide Semiconductor )を具備する固体撮像装置を使用することもできる。ここで、本実施形態に使用する撮像部5は、色彩ホログラムを撮像するものではあるが、色分離フィルタが配設されたカラー撮像用のものである必要はなく、モノクロ用のものである点に特徴がある。
三次元画像信号処理部6は、撮像部5で取得される撮像信号S5を信号処理して色彩波長別のホログラム情報信号を取得する。
干渉光学部3Aは先ず、ICH−CH光変換素子および位相共役光生成素子として機能する位相共役鏡104が物体光側の光学系の中心に配置されている。位相共役鏡104の端面105a側には、自然光照明下の物体BJからの光(物体光)を取り込む入射光学系110として、赤外線カットフィルタなどの光学フィルタ112とレンズ116と半透明鏡118(ハーフミラー)が、物体BJ側からこの順に配置されている。端面105aとは反対側の端面105b側には反射鏡122が配置され、端面105aおよび端面105bに対して直交する側の端面105dには反射鏡124が配置されている。位相共役鏡104と反射鏡122,124で、インコヒーレント光−コヒーレント光変換部が構成される。
位相共役鏡104の端面105dとは反対側の端面105c側に撮像部5が配置され、端面105dと撮像部5の間の撮像光学系130として、半透明鏡132、偏光角調整用偏光子134、ビームスプリッタ136が、端面105c側からこの順に配置されている。また、ビームスプリッタ136を通過した成分を半透明鏡118側に反射させるような位置に反射鏡126が配置されている。ビームスプリッタ136はレーザ光を2つの分割光に分岐する分岐部の一例である。
ここで、本実施形態の撮像光学系130では、左右像2光波重畳部500が撮像部5の前段に介在するように配置される。この点は後述の他の実施形態でも同様である。
さらに、シャープカットフィルタ138が、偏光角調整用偏光子134の位置(つまり撮像光学系)に配置されている。なお、このシャープカットフィルタ138は、偏光角調整用偏光子134の位置ではなく、入射光学系110側(たとえば図中に点線で示す光学フィルタ112とレンズ116の間)に配置してもよい。
第1実施形態の変調部4Aは、光源部150と光変調部160を備える。第1実施形態では、光源部150としては物体光用の光源と参照光用の光源を各別に備える。それぞれを、物体光光源152、参照光光源154と記す。物体光光源152および参照光光源154としては、白色(RGB)半導体レーザ素子(以下、三波長半導体レーザとも称する)を使用する。白色半導体レーザ素子の放射光の波長(赤色、緑色、青色)をそれぞれ、λ1 , λ2 , λ3 とする。
物体光光源152と半透明鏡132の間には、ビームエキスパンダ172と偏光子174が物体光光源152側からこの順に配置されている。参照光光源154とビームスプリッタ136との間には、ビームエキスパンダ176と偏光子178が参照光光源154側からこの順に配置されている。ビームエキスパンダ172とビームエキスパンダ176の光学倍率は異なるもの(ビームエキスパンダ172の方が高倍率)とする。
光変調部160は、参照光を変調させるべく、物体光光源152に対して波長(R,G,B)ごとに異なる周波数で変調処理を行なう変調信号源部162を波長(R,G,B)別に有する。物体波光源152と変調信号源部162でRGB変調半導体レーザ部を構成している。これとの対比で、参照波光源154をRGB変調半導体レーザ部とも称する。
これにより、物体光光源152からは、RGBごとに異なる周波数で変調した波長別の変調レーザ光が重畳して発せられると見なし得る。つまり、物体光光源152から発せられる変調レーザ光は、変調信号源部162Rからの角変調周波数ω1 の変調信号と変調信号源部162Gからの角変調周波数ω2 の変調信号と変調信号源部162Bからの角変調周波数ω3 の変調信号に応じて変調されたものとなる。物体光光源152から発せられる変調レーザ光を、変調されたRGBコヒーレント光W5_CH と記す。
なお、左眼用の変調角周波数ω1 ,ω2 ,ω3 はRGB別に異なり、右眼用の変調角周波数ω1 ,ω2 ,ω3 もRGB別に異なり、さらに、左眼用と右眼用でも相互に異なるものとする。
一方、参照光光源154は変調しないので、RGB三色の発振波長を持つ1個の無変調RGB三波長半導体レーザとする。参照光光源154から発せられるレーザ光を、無変調のRGBコヒーレント光W3_CH と記す。
[光学特性]
図5Aに、光源部150(物体光光源152、参照光光源154)に使用される三波長半導体レーザとICH−CH光変換素子とシャープカットフィルタ138の光学特性が概念的に示めされている。曲線a(鎖線)はICH−CH光変換素子(たとえば位相共役鏡104や後述のICH−CH光変換素子102)の光電導感度特性を表しており、RGBの波長域全体に亘ってほぼ一様な感度を持っている。曲線b(破線)はシャープカットフィルタ138の光学特性であり、RGBの特定な波長を中心にややブロードな透過特性を持っている。これらに対して、曲線c(実線)は三波長半導体レーザ(物体光光源152、参照光光源154)の光学特性であり、RGBの特定な波長に鋭いピークを持つような急峻な光放射特性を持つ。
図5Aに、光源部150(物体光光源152、参照光光源154)に使用される三波長半導体レーザとICH−CH光変換素子とシャープカットフィルタ138の光学特性が概念的に示めされている。曲線a(鎖線)はICH−CH光変換素子(たとえば位相共役鏡104や後述のICH−CH光変換素子102)の光電導感度特性を表しており、RGBの波長域全体に亘ってほぼ一様な感度を持っている。曲線b(破線)はシャープカットフィルタ138の光学特性であり、RGBの特定な波長を中心にややブロードな透過特性を持っている。これらに対して、曲線c(実線)は三波長半導体レーザ(物体光光源152、参照光光源154)の光学特性であり、RGBの特定な波長に鋭いピークを持つような急峻な光放射特性を持つ。
[作用]
第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2A_1におけるカラーホログラム信号の取得は次のように行なわれる。物体光を光変調させ、参照光を変調させないものであり、概要を説明すると以下の通りの特徴を備えている。
第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2A_1におけるカラーホログラム信号の取得は次のように行なわれる。物体光を光変調させ、参照光を変調させないものであり、概要を説明すると以下の通りの特徴を備えている。
・ICH−CH光変換と位相共役光の発生は同一素子(位相共役鏡104)で行なう。
・コヒーレント光の変調操作は物体光光源152に対して行なう。
・半導体レーザ光源として物体光光源152と参照光光源154の2個を配置する。何れも、RGB三色の発振波長が等しく、参照光光源154は無変調とし、物体光光源152はRGBで異なる周波数ω1 ,ω2 ,ω3 で変調する三波長三変調レーザとする。
・物体光であるインコヒーレント光と参照光光源154から発せられる無変調コヒーレント光を位相共役鏡104に端面105a側から同軸で入射させてICH−CH光変換させるとともに、物体光光源152から発せられたR,G,B別の変調コヒーレント光による4波混合を行なうことで、コヒーレント変換された物体光の位相共役光を発生させる。位相共役光は物体情報を伴い、周波数ω1 ,ω2 ,ω3 で変調されたコヒーレント光となっている。これを、変調位相共役光(コヒーレント変換された変調物体光)と称する。
・無変調RGB三波長半導体レーザである参照光光源154の参照光をビームスプリッタ136で分岐させ、変調位相共役光と偏光方向を揃え、両者の光学倍率を変え、同軸で撮像面(受光面)上で干渉させてRGBカラーホログラム像を撮像面上に形成させる。
・コヒーレント光の変調操作は物体光光源152に対して行なう。
・半導体レーザ光源として物体光光源152と参照光光源154の2個を配置する。何れも、RGB三色の発振波長が等しく、参照光光源154は無変調とし、物体光光源152はRGBで異なる周波数ω1 ,ω2 ,ω3 で変調する三波長三変調レーザとする。
・物体光であるインコヒーレント光と参照光光源154から発せられる無変調コヒーレント光を位相共役鏡104に端面105a側から同軸で入射させてICH−CH光変換させるとともに、物体光光源152から発せられたR,G,B別の変調コヒーレント光による4波混合を行なうことで、コヒーレント変換された物体光の位相共役光を発生させる。位相共役光は物体情報を伴い、周波数ω1 ,ω2 ,ω3 で変調されたコヒーレント光となっている。これを、変調位相共役光(コヒーレント変換された変調物体光)と称する。
・無変調RGB三波長半導体レーザである参照光光源154の参照光をビームスプリッタ136で分岐させ、変調位相共役光と偏光方向を揃え、両者の光学倍率を変え、同軸で撮像面(受光面)上で干渉させてRGBカラーホログラム像を撮像面上に形成させる。
このような仕組みにより位相共役物体光W7を発生させているため、元の三次元像情報を極めて正確に有したホログラム像が撮像部5により撮像することが可能となる。レンズ系の収差などで歪んだ像情報は、元通りの収差なしの像情報として復元される。以下、第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2A_1によるホログラム撮像の様子を具体的に説明する。
自然光で照射された物体BJがあり、その像情報を持つインコヒーレント光W1_ICHが三次元画像撮像装置2A_1内に配置された入射光学系110に入射する。インコヒーレント光W1_ICHは、光学フィルタ112、レンズ116を通過して、インコヒーレント光W2_ICHとなり、半透明鏡118を透過し、端面105a側から位相共役鏡104内に入射する。
無変調白色半導体レーザである参照光光源154から放出された無変調のRGBコヒーレント光W3_CH は、ビームエキスパンダ176でビーム径が広げられ偏光子178を経て偏光方向が定められ、ビームスプリッタ136により2つの分割光に分岐される。一方がビームスプリッタ136で反射して左右像2光波重畳部500を介して撮像部5へと向かう無変調のRGBコヒーレント光W31_CHとなり、他方がビームスプリッタ136を透過し反射鏡126および半透明鏡118を経て位相共役鏡Q1へと向かう無変調のRGBコヒーレント光W32_CHとなる。
RGB波長成分を異なる周波数ω1 ,ω2 ,ω3 で変調し物体光光源152より放出された変調されたRGBコヒーレント光W5_CH は、ビームエキスパンダ172と偏光子174により光偏光方向が定められる。そして、この変調されたRGBコヒーレント光W5_CH は、半透明鏡132で反射され、端面105d側から位相共役鏡104内に入射する。
位相共役鏡104内には、インコヒーレント光W2_ICH(物体光)、無変調のRGBコヒーレント光W32_CH、変調されたRGBコヒーレント光W5_CH が入射している。ここで、端面105b側に配置された反射鏡122および端面105c側に配置された反射鏡124により、位相共役鏡104から出射した光を再び位相共役鏡104内に戻し、位相共役鏡104内の光エネルギ状態を励起する。その結果、前述の4波混合の原理により、位相共役物体光W7が発生し、端面105d側から出射される。
位相共役鏡104内に入射した物体光情報を持つインコヒーレント光W2_ICHは、前述した理由により、ICH−CH光変換され、端面105bや端面105cから出力される光波はコヒーレント変換光となっている。以下、端面105bから出力される光波をコヒーレント変換物体光W4_CH と記し、端面105cから出力される光波をコヒーレント変換物体光W6_CH と記す。
端面105d側から位相共役鏡104内に入射する変調されたRGBコヒーレント光W5_CH は探査光または読出し光の役割を果たす。そのため、物体光情報を持つコヒーレント変換物体光W6_CH は無変調であるが、端面105d側から読み出された位相共役物体光W7は変調された物体情報を持つコヒーレント光となっている。以下、周波数ω1 ,ω2 ,ω3 で変調された位相共役物体光W7(コヒーレント変換された変調物体光)を、変調された位相共役物体光W7b と記す。
位相共役鏡104から出射された変調された位相共役物体光W7b は、半透明鏡132、シャープカットフィルタ138、偏光角調整用偏光子134を透過し、左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5の撮像面を照射する。参照光光源154から発せられた無変調のRGBコヒーレント光W3_CH がビームスプリッタ136で反射分岐され無変調のRGBコヒーレント光W31_CHとなって、同様に、撮像部5の撮像面を照射する。このため、変調された位相共役物体光W7b と無変調のRGBコヒーレント光W31_CHが同軸で偏光方向を揃えて異なる光学倍率で重畳して撮像面上に結像し、RGBの各干渉縞FR1 よりなるカラーホログラムCH1 を形成する。
物体光(変調された位相共役物体光W7b )と参照光(無変調のRGBコヒーレント光W31_CH)を纏めてホログラム形成光CHと称する。通常のホログラム作成過程との対比では、位相共役物体光W7b は物体光に相当し、無変調のRGBコヒーレント光W31_CHは参照光に相当する。正しく干渉させるには、図に示すように両方の光波の偏光方向が同じでなければならない。
また、第1実施形態(基本例)の場合、左右の別に、予め物体光と参照光を同軸で重畳して物体参照重畳光W+WW_L,W+WW_Rにしておき、その後に左右像2光波重畳部500側で、左右の物体参照重畳光W+WW_L,W+WW_Rをさらに重畳することで物体参照重畳光W+WW+ にする。左右のコヒーレント光が干渉しないように、左右の偏光方向は互いに異なるものとする。一例として、左眼側は水平偏光で、右眼側は垂直偏光であるとする。こうすることで、左眼側の水平偏光の物体光と水平偏光の参照光が干渉し、右眼側の垂直偏光の物体光と垂直偏光の参照光が干渉し、左右ではどのような関係でも干渉しないようにできる。
位相共役鏡104に入射させるインコヒーレント光の波長成分を整えるために、図中のAの箇所に光学フィルタ112を挿入しているが、このことは必須ではない。前述のように、シャープカットフィルタ138を、Aの箇所やBの箇所に挿入してもよい。
また、撮像部5の撮像面上で干渉させる2つの光波の偏光方向を揃える目的で、Bの位置に偏光角調整用偏光子134を配置しているが、このことは必須ではない。偏光角調整用偏光子134を備えずとも両方の光波の偏光方向が同じであれば、偏光角調整用偏光子134を配置しなくてもよい。
第1実施形態では、物体像情報を持つインコヒーレント光W1_ICHが、位相共役鏡104により、コヒーレント変換されてコヒーレント変換物体光W4_CH として出力される。加えて、このコヒーレント変換物体光W4_CH とコヒーレント光W5_CH が位相共役鏡104の異なる端面105からそれぞれ入射することで、物体像情報を持つ位相共役物体光W7(変調された位相共役物体光W7b )が出力される。
このとき、RGB別の変調角周波数の変調信号に基づいて変調される状態におかれたRGBコヒーレント光W5_CH を位相共役鏡104に入射することで、位相共役物体光W7b はRGB別の角変調周波数ω1 ,ω2 ,ω3 の各変調信号に応じて変調されたものとなる。
RGB別に変調された位相共役物体光W7b は、無変調の参照光(RGBコヒーレント光W31_CH)と、同軸とされ物体参照重畳光W+WW_Lとされ、かつ、異なる像倍率で、左右像2光波重畳部500を介して撮像部5の撮像面に入射し結像する。
位相共役物体光W7b とRGBコヒーレント光W31_CHが撮像面上で干渉し合うことになるので、撮像部5の撮像面上には、赤色干渉縞、緑色干渉縞、青色干渉縞が重畳した状態で形成される。撮像部5は、その撮像面上で重畳した状態の赤色干渉縞、緑色干渉縞、青色干渉縞を走査して撮像信号S5を取得する。
撮像部5からは撮像面を電子的に走査することで撮像信号S5が得られ、三次元画像信号処理部6に供給される。三次元画像信号処理部6は、撮像信号S5に対して種々の信号処理をすることで、撮像部5の撮像面上にホログラム形成光CHによって形成された赤色干渉縞、緑色干渉縞、青赤色干渉縞に基づく画像信号を取得する。この画像信号は、赤色干渉縞に対応する青色ホログラム情報信号、緑色干渉縞に対応する緑色ホログラム情報信号、青色干渉縞に対応する赤色ホログラム情報信号を含む。
ここで、位相共役物体光W7b は、RGB別の角変調周波数ω1 ,ω2 ,ω3 の変調信号に応じて変調されているので、撮像面上の赤色干渉縞、緑色干渉縞、青色干渉縞を形成する成分が時間およびRGB別の角変調周波数ω1 ,ω2 ,ω3 に依存するものとなる。また、赤色干渉縞、緑色干渉縞、青色干渉縞の形成に寄与しない成分が、時間および周波数に依存しないものとして含まれる。このため、画像信号に含まれるRGB別のホログラム情報信号は、RGB別の変調信号の角変調周波数ω1 ,ω2 ,ω3 (変調周波数f1 ,f2 ,f3 )を中心とした所定の周波数帯域に存在し、それに、周波数に依存しないバックグラウンドノイズが混入したものとなる。
RGB別のホログラム情報信号は、後段の波長分離部(図示せず)にて波長分離される。波長分離部には、たとえば、RGB別の変調信号の角変調周波数ω1 ,ω2 ,ω3 (変調周波数f1 ,f2 ,f3 )と対応する周波数を中心とした所定の周波数帯域を通過周波数帯域とするRGB別のバンドパスフィルタが設けられる。これによって、波長分離部からは、バックグラウンドノイズが低減されたRGB別のホログラム情報信号が得られる。
このように、第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2A_1では、次のような利点がある。先ず、干渉光学部3A内に、物体波光源152および参照波光源154をなすレーザ光源を配置する。光源部150には半導体レーザを使用しているため、その他の光学素子も含めて小型化が実現できる。
物体光の位相共役光を発生させるために、物体光としてのインコヒーレント光W2_ICHをコヒーレント光(位相共役物体光W7b )に変換(ICH−CH変換)させるICH−CH変換素子として位相共役鏡104を用いている。そして、位相共役物体光W7b と参照光としてのRGBコヒーレント光W31_CHの倍率を変え、偏光方向を揃えて撮像部5の撮像面上で同軸で干渉させるようにしている。撮像面上にカラーホログラムを形成させ、撮像部5で光学信号を電気信号に変える仕組みを採っている。
物体光の位相共役光と参照光を干渉させるため、レンズなどの収差が除去されたホログラムが形成され、再生画像が鮮明になる利点がある。
物体光(位相共役物体光W7b )と参照光(無変調のRGBコヒーレント光W31_CH)の各光路長を長くとることができるので、その差も大きくとることができ、装置の光学設計の自由度が増す。装置内の光学素子のレイアウトの自由度が増す。干渉させる2つのコヒーレント光の光路長が異なる場合でも、撮像面上に三次元像情報を有する鮮明なホログラムが形成できる利点がある。
また、前述のように、位相共役鏡104にてICH−CH変換と位相共役光生成を行なうので、後述の第2実施形態と比べて、ICH−CH変換と位相共役光生成に要する構成部分が簡易である。
また、第1実施形態は、物体光を光変調し、参照光は無変調とする構成である。加えて、それぞれに専用のレーザ光源を使用する構成を採っている。具体的には、物体光側にはRGB変調半導体レーザ部(物体波光源152+変調信号源部162)を使用し、参照波側にはRGB無変調半導体レーザ部(参照波光源154)を必要とする。しかしながら、一方の光源(RGB変調半導体レーザ部)が光変調素子も兼ねるため、装置内の機能素子の数が減る。
電気信号処理とも関係するが、物体光や参照光でRGB光を光変調し、RGBで変調周波数を変えることで、ホログラム形成時のノイズ光成分を電気的に除去できる。
装置(カメラ)内でのホログラム形成は、超小型暗室でのホログラム作成行為と類似であり、外来光によるノイズの影響が少ないという利点もある。
第1実施形態で示した構成例は物体光用と参照光用の光源が各別のレーザ光源であるので、一見すると、レーザ光源に対して変調を加える方法により、物体光は変調させず参照光を光変調させる態様に変形することができそうに思われる。しかしながら、参照光光源154からのレーザ光の分岐をビームスプリッタ136で行なう構成であるので、レーザ光源に対して変調を加える方法の適用では、物体光は変調させず参照光を光変調させる態様に変形することはできない。
[変形例]
図5Bは、第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2A_1に対する変形例を説明する図である。ここで、図5Bは、第1実施形態(変形例)の三次元画像撮像装置2A_2の概略構成図である。
図5Bは、第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2A_1に対する変形例を説明する図である。ここで、図5Bは、第1実施形態(変形例)の三次元画像撮像装置2A_2の概略構成図である。
第1実施形態(変形例)の三次元画像撮像装置2A_2は、第1実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2A_1をベースに物体光と参照光を各別に左右像2光波重畳部500に入力するように変形したものである。
左右像2光波重畳部500には、干渉光学部3A_Hで取得される左眼側の変調された物体光WL(fH)(=W7b )と干渉光学部3A_Kで取得される右眼側の変調された物体光WR(fK)(=W7b )と無変調(円偏光)の参照光WW(=W31_CH)が入射される。第1実施形態(変形例)は、後述の第1実施形態の左右像2光波重畳部500Aに適用される。
偏光方向を揃える機能は左右像2光波重畳部500側で担当してもよく、その場合は、干渉光学部3側には偏光子174,178や偏光角調整用偏光子134を使用しなくてもよい。
参照波光源154は、左眼用と右眼用で各別にし、何れか一方のみを無変調(円偏光)の参照光WWとして左右像2光波重畳部500に入射する構成にしてもよい。この場合、左右像2光波重畳部500に入射する側に関しては、ビームスプリッタ136を物体光の光路から外れた位置に配置し、入射させない側に関しては、ビームスプリッタ136は不要である。
また、図示しないが、左眼用と右眼用で参照波光源154を共用する構成にしてもよい。この場合、1つのビームスプリッタ136を物体光の光路から外れた位置に配置し、ビームスプリッタ136を通過したRGBコヒーレント光W32_CHを左眼用と右眼用用に分岐するとよい。
<三次元画像撮像装置:第2実施形態>
図6は、第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置を説明する概略構成図である。
図6は、第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置を説明する概略構成図である。
第2実施形態は、レーザ光源側で光変調を行なうのではない点と、ICH−CH光変換素子と位相共役光生成素子を各別にする点と、ICH−CH光変換素子で光変調を行なう点に特徴がある。この第2実施形態(基本例)は、後述の第5実施形態の左右像2光波重畳部500Eに適用される。
[構成]
図6に示す第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2B_1は、物体光を変調させずに、参照光を変調させる態様である。本実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2と同様の機能要素には同一の参照符号を用いる。
図6に示す第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2B_1は、物体光を変調させずに、参照光を変調させる態様である。本実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2と同様の機能要素には同一の参照符号を用いる。
第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2B_1は、干渉光学部3B、変調信号源部4B、左右像2光波重畳部500、および撮像部5を具備する。
光源部150には、1個のレーザ光源156を用いる。このレーザ光源156としては、RGB三色の発振波長を持つ1個の無変調RGB三波長半導体レーザを使用する。
干渉光学部3Bは先ず、物体光側の光学系では、位相共役鏡104が波長成分別に配置されている。第2実施形態は、第2実施形態は、位相共役鏡104を、ICH−CH変換素子と位相共役光生成素子として利用する。
自然光照明下の物体BJからの光(物体光)を取り込む入射光学系110として、光学フィルタ112とレンズ116と半透明鏡118が、物体BJ側から位相共役鏡104側に向けて、この順に配置されている。
半透明鏡118とB色成分用の位相共役鏡104Bとの間には、ダイクロイックミラー120Bと半透明鏡128Bがこの順に配置されている。ダイクロイックミラー120Bは、B色成分は透過させ、G色成分とR色成分を反射させる。半透明鏡128Bは、ダイクロイックミラー120B側からのB色成分は透過させるが位相共役鏡104B側からのB色成分は反射させる。
G色成分用の位相共役鏡104Gの半透明鏡118(ダイクロイックミラー120B)側にはダイクロイックミラー120Gが配置されている。さらに、ダイクロイックミラー120Gと位相共役鏡104Gとの間における半透明鏡128B側からの物体光の光路上には半透明鏡128Gが配置されている。ダイクロイックミラー120Gは、R色成分は透過させ、G色成分を反射させる。半透明鏡128Gは、ダイクロイックミラー120G側からのG色成分や半透明鏡128B側からのB色成分は透過させるが位相共役鏡104G側からのG色成分は反射させる。
R色成分用の位相共役鏡104Rの半透明鏡118(ダイクロイックミラー120G)側には反射鏡127R(ダイクロイックミラー120Rでもよい)が配置されれている。さらに、反射鏡127Rと位相共役鏡104Rとの間における半透明鏡128G側からの物体光の光路を妨げない位置には半透明鏡128Rが配置されている。反射鏡127Rは、R色成分を反射させる。半透明鏡128Rは、反射鏡127R側からのR色成分は透過させるが位相共役鏡104R側からのR色成分は反射させる。
物体光を撮像部5側に導光する光学系は、半透明鏡128GからのBG色成分の光路上に反射鏡127BG、半透明鏡128RからのR色成分の光路上にダイクロイックミラー129、ダイクロイックミラー129側からの光路上に偏光子174が配置されている。反射鏡127BGは、半透明鏡128GからのBG色成分(位相共役物体光W7)をダイクロイックミラー129側に反射する。ダイクロイックミラー129は、反射鏡127側からのBG色成分は偏光子174側に透過させ、半透明鏡128RからのR色成分(位相共役物体光W7)は偏光子174側に反射させる。偏光子174は、RGB色成分の偏光面を揃える。偏光子174を通過した位相共役物体光W7(RGB色成分)は半透明鏡132を通過し撮像部5を照射する。
参照光を撮像部5に導光する光学系は、レーザ光源156から発せられた無変調のRGBコヒーレント光W3_CH の偏光面を揃える偏光子178と偏光子178を通過した無変調のRGBコヒーレント光W3_CH を分岐するビームスプリッタ136が配置されている。
ビームスプリッタ136を通過した無変調のRGBコヒーレント光W32_CHに対してビームエキスパンダ172、ビームスプリッタ136で反射された無変調のRGBコヒーレント光W31_CHに対してビームエキスパンダ176が配置されている。
ビームエキスパンダ176と撮像部5の間に、光変調素子106がRGB別に配置され、さらに反射鏡126が配置され、反射鏡126で反射された無変調のRGBコヒーレント光W31_CHを撮像部5側に反射させる半透明鏡132が配置されている。
光変調素子106の入出力側にダイクロイックミラー120や反射鏡127が配置されている。各光変調素子106R,106G,106Bに対しては、RGB別の変調信号源部162R,162G,162Bが接続され、RGBの各色彩波長に対応するように、それぞれ異なる周波数ωi ,ωj ,ωk の変調信号が供給される。
なお、左眼用の変調角周波数ωi ,ωj ,ωk はRGB別に異なり、右眼用の変調角周波数ωi ,ωj ,ωk もRGB別に異なり、さらに、左眼用と右眼用でも相互に異なるものとする。
たとえば、B色成分用の光変調素子106Bに対して、入力側にはダイクロイックミラー120Bが配置され、出力側にはダイクロイックミラー120B_2が配置されている。G色成分用の光変調素子106Gに対して、入力側にはダイクロイックミラー120G_1が配置され、出力側にはダイクロイックミラー120G_2が配置されている。R色成分用の光変調素子106Rに対して、入力側にはダイクロイックミラー120R_1が配置され、出力側には反射鏡127R_2が配置されている。ダイクロイックミラー120R_1は反射鏡127R_1に変更してもよい。反射鏡127R_2はダイクロイックミラー120R_2に変更してもよい。
ダイクロイックミラー120Bは、ビームエキスパンダ176側からのRGBコヒーレント光W31_CHの内のB色成分を光変調素子106B側に透過させ、G色成分とR色成分をダイクロイックミラー120G_1側に反射させる。ダイクロイックミラー120B_2は、光変調素子106B側からのB色成分を反射鏡126側に透過させるがダイクロイックミラー120G_2側からのGR色成分は反射鏡126側に反射させる。
ダイクロイックミラー120G_1は、ダイクロイックミラー120R_1側からのRG色成分(G色成分とR色成分)の内のR色成分はダイクロイックミラー120R_1側に透過させ、G色成分を光変調素子106G側に反射させる。ダイクロイックミラー120G_2は、光変調素子106G側からのG色成分をダイクロイックミラー120R_2側に反射させるが反射鏡127R_2側からのR色成分はダイクロイックミラー120B_2側に透過させる。
ダイクロイックミラー120R_1は、ダイクロイックミラー120G_1側からのR色成分を光変調素子106R側に反射させる。反射鏡127R_2は、光変調素子106R側からのR色成分をダイクロイックミラー120G_2側に反射させる。
第2実施形態の変調信号源部4Bの光変調部160は、参照光を変調させるべく、波長別の光変調素子106に対して波長(R,G,B)ごとに異なる周波数で変調処理を行なう変調信号源部162を波長(R,G,B)別に有する。これにより、光変調素子106からは、R,G,Bで異なる周波数で変調した波長別の変調参照光が出力される。
[作用]
第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2B_1におけるカラーホログラム信号の取得は次のように行なわれる。参照光を光変調させ、物体光を変調させないものであり、概要を説明すると以下の通りの特徴を備えている。
第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2B_1におけるカラーホログラム信号の取得は次のように行なわれる。参照光を光変調させ、物体光を変調させないものであり、概要を説明すると以下の通りの特徴を備えている。
・物体光についてのICH−CH光変換と位相共役光生成は同一素子(位相共役鏡104)で行なう。
・位相共役鏡104および光変調素子106は、RGBの波長ごとに感度特性の異なる素子をそれぞれ使用する。
・物体光であるインコヒーレント光W2_ICHとレーザ光源156から発せられ半透明鏡118で反射した無変調のRGBコヒーレント光W32_CHをそれぞれダイクロイックミラー120B,120GでRGB波長成分にそれぞれ分離し、両者を同軸で重畳させる。さらに、波長成分別に異なる感度特性を持つ位相共役鏡104B,104G,104Bにそれぞれ入射させてICH−CH変換を行なうとともに位相共役光を発生させる。位相共役物体光W7は物体情報を伴う無変調のコヒーレント光となっている。
・RGB波長別の光変調素子106を使用し、参照光について、変調信号源部162によりそれぞれ波長ごとに異なる周波数ωi ,ωj ,ωk で変調操作を行なう。
・無変調RGB三波長半導体レーザであるレーザ光源156の光波をビームスプリッタ136で分岐させてから、光変調素子106で変調を加える。そして、撮像部5の撮像面上で位相共役物体光W7とRGB別に変調された参照光(RGBコヒーレント光W31_CH)の偏光方向を揃え、両者の光学倍率を変え、同軸で撮像面上で干渉させてRGBカラーホログラム像を撮像面上に形成させる。
・本実施形態(基本例)と同様に、左右の別に、予め物体光と参照光を同軸で重畳して物体参照重畳光W+WW_L,W+WW_Rにしておき、その後に左右像2光波重畳部500側で、左右の物体参照重畳光W+WW_L,W+WW_Rを重畳することで物体参照重畳光W+WW+ にする。
・位相共役鏡104および光変調素子106は、RGBの波長ごとに感度特性の異なる素子をそれぞれ使用する。
・物体光であるインコヒーレント光W2_ICHとレーザ光源156から発せられ半透明鏡118で反射した無変調のRGBコヒーレント光W32_CHをそれぞれダイクロイックミラー120B,120GでRGB波長成分にそれぞれ分離し、両者を同軸で重畳させる。さらに、波長成分別に異なる感度特性を持つ位相共役鏡104B,104G,104Bにそれぞれ入射させてICH−CH変換を行なうとともに位相共役光を発生させる。位相共役物体光W7は物体情報を伴う無変調のコヒーレント光となっている。
・RGB波長別の光変調素子106を使用し、参照光について、変調信号源部162によりそれぞれ波長ごとに異なる周波数ωi ,ωj ,ωk で変調操作を行なう。
・無変調RGB三波長半導体レーザであるレーザ光源156の光波をビームスプリッタ136で分岐させてから、光変調素子106で変調を加える。そして、撮像部5の撮像面上で位相共役物体光W7とRGB別に変調された参照光(RGBコヒーレント光W31_CH)の偏光方向を揃え、両者の光学倍率を変え、同軸で撮像面上で干渉させてRGBカラーホログラム像を撮像面上に形成させる。
・本実施形態(基本例)と同様に、左右の別に、予め物体光と参照光を同軸で重畳して物体参照重畳光W+WW_L,W+WW_Rにしておき、その後に左右像2光波重畳部500側で、左右の物体参照重畳光W+WW_L,W+WW_Rを重畳することで物体参照重畳光W+WW+ にする。
このような仕組みにより、コヒーレントな位相共役物体光W7を発生させているため、元の三次元像情報を極めて正確に有したホログラム像が撮像部5により撮像できる。第1実施形態と同様に、レンズ系の収差などで歪んだ像情報は、元通りの収差なしの像情報として復元される。以下、第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2B_1によるホログラム撮像の様子を具体的に説明する。
自然光で照射された物体BJがあり、その像情報を持つインコヒーレント光W1_ICHが三次元画像撮像装置2B_1内に配置された入射光学系110に入射する。インコヒーレント光W1_ICHは、光学フィルタ112、レンズ116を通過して、インコヒーレント光W2_ICHとなり、半透明鏡118を透過し、ダイクロイックミラー120Bに向かう。
無変調白色半導体レーザであるレーザ光源156から放出された無変調のRGBコヒーレント光W3_CH は偏光子178を経て偏光方向が定められ、ビームスプリッタ136により分岐される。その一部が、ビームスプリッタ136で反射して光変調素子106へと向かう無変調のRGBコヒーレント光W31_CHとなり、残りの一部が、ビームスプリッタ136を透過し、ビームエキスパンダ172を経て半透明鏡118へと向かう無変調のRGBコヒーレント光W32_CHとなる。無変調のRGBコヒーレント光W32_CHは半透明鏡118で反射され、ダイクロイックミラー120Bに向かう。
ダイクロイックミラー120Bは、B色成分のみを透過し、G色成分とR色成分は反射する。したがって、物体情報を伴ったインコヒーレント光W2_ICHのB色成分と無変調のRGBコヒーレント光W32_CHのB色成分がダイクロイックミラー120Bと半透明鏡128Bを透過して、B光領域に感度を持つ位相共役鏡104B内に入射する。位相共役鏡104Bでは、B色成分についてのみICH−CH光変換が行なわれ、物体情報を伴ったB色成分のコヒーレント変換物体光が形成される。このとき、コヒーレント変換物体光に共役な位相共役光W6B_CHが発生し、戻り光となり半透明鏡128Bに向かう。
戻り光となった位相共役光W6B_CHは半透明鏡128Bで反射され、半透明鏡128Gを透過し、位相共役物体光W7b のB色成分として反射鏡127BGに向かう。位相共役物体光W7b のB色成分は、反射鏡127BGで反射して、ダイクロイックミラー129と偏光子174を透過してその偏光方向が定められ、半透明鏡132を透過して、左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5の撮像面を照射する。
物体情報を伴ったインコヒーレント光W2_ICHのG色成分およびR色成分と無変調のRGBコヒーレント光W32_CHのG色成分およびR色成分がダイクロイックミラー120Bで反射され、ダイクロイックミラー120Gに向かう。
ダイクロイックミラー120Gは、R色成分のみを透過し、G色成分は反射する。したがって、物体情報を伴ったインコヒーレント光W2_ICHのG色成分と無変調のRGBコヒーレント光W32_CHのG色成分がダイクロイックミラー120Gで反射される。その後、半透明鏡128Gを透過して、G光領域に感度を持つ位相共役鏡104G内に入射する。位相共役鏡104Gでは、G色成分についてのみICH−CH光変換が行なわれ、物体情報を伴ったG色成分のコヒーレント変換物体光が形成される。このとき、コヒーレント変換物体光に共役な位相共役光W6G_CHが発生し、戻り光となり半透明鏡128Gに向かう。
戻り光となった位相共役光W6G_CHは半透明鏡128Gで反射され、位相共役物体光W7b のG色成分として反射鏡127BGに向かう。位相共役物体光W7b のG色成分は、反射鏡127BGで反射して、ダイクロイックミラー129と偏光子174を透過してその偏光方向が定められ、半透明鏡132を透過して、左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5の撮像面を照射する。
物体情報を伴ったインコヒーレント光W2_ICHのR色成分と無変調のRGBコヒーレント光W32_CHのR色成分がダイクロイックミラー120Gを透過してダイクロイックミラー120Rに向かう。ダイクロイックミラー120RはR色成分を反射する。したがって、物体情報を伴ったインコヒーレント光W2_ICHのR色成分と無変調のRGBコヒーレント光W32_CHのR色成分がダイクロイックミラー120Rで反射される。その後、半透明鏡128Rを透過して、R光領域に感度を持つ位相共役鏡104R内に入射する。位相共役鏡104Rでは、R色成分についてのみICH−CH光変換が行なわれ、物体情報を伴ったR色成分のコヒーレント変換物体光が形成される。このとき、コヒーレント変換物体光に共役な位相共役光W6R_CHが発生し、戻り光となり半透明鏡128Rに向かう。
戻り光となった位相共役光W6R_CHは半透明鏡128Rで反射され、位相共役物体光W7b のR色成分としてダイクロイックミラー129に向かう。位相共役物体光W7b のR色成分は、ダイクロイックミラー129で反射して、偏光子174を透過してその偏光方向が定められ、半透明鏡132を透過して、左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5の撮像面を照射する。
レーザ光源156から発せられた無変調のRGBコヒーレント光W3_CH がビームスプリッタ136で反射分岐され無変調のRGBコヒーレント光W31_CHとなり、ビームエキスパンダ176を通過してビーム径が広げられる。
ビームエキスパンダ176でビーム径が広げられたRGBコヒーレント光W31_CHは先ず、ダイクロイックミラー120B_1に向かう。ダイクロイックミラー120B_1は、B色成分のみを透過し、G色成分とR色成分は反射する。したがって、RGBコヒーレント光W31_CHのB色成分がダイクロイックミラー120B_1を透過して、光変調素子106B内に入射する。光変調素子106Bには変調信号源部162Bにより周波数ωi の変調電界が印加されているので、変調されたRGBコヒーレント光W31_CHのB色成分となる。その後は、ダイクロイックミラー120B_2を透過して、反射鏡126と半透明鏡132で順に反射されて左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5の撮像面を照射する。
ダイクロイックミラー120B_1で反射されたRGBコヒーレント光W31_CHのG色成分とR色成分は、ダイクロイックミラー120G_1に向かう。ダイクロイックミラー120G_1は、R色成分のみを透過し、G色成分は反射する。したがって、RGBコヒーレント光W31_CHのG色成分がダイクロイックミラー120G_1で反射されて、光変調素子106G内に入射する。光変調素子106Gには変調信号源部162Gにより周波数ωj の変調電界が印加されているので、変調されたRGBコヒーレント光W31_CHのG色成分となる。その後は、ダイクロイックミラー120G_2、反射鏡126、半透明鏡132で順に反射されて左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5の撮像面を照射する。
ダイクロイックミラー120G_1を透過したRGBコヒーレント光W31_CHのR色成分は、ダイクロイックミラー120R_1に向かう。ダイクロイックミラー120R_1は、R色成分を反射する。したがって、RGBコヒーレント光W31_CHのR色成分がダイクロイックミラー120R_1で反射されて、光変調素子106R内に入射する。光変調素子106Rには変調信号源部162Rにより周波数ωk の変調電界が印加されているので、変調されたRGBコヒーレント光W31_CHのR色成分となる。その後は、反射鏡127R_2で反射されて、ダイクロイックミラー120G_2を通過し、さらに反射鏡126、半透明鏡132で順に反射されて左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5の撮像面を照射する。
RGBの物体情報を持つ無変調の位相共役物体光W7とωi ,ωj ,ωk で変調されたRGBコヒーレント光W31_CHが同軸で偏光方向を揃えて異なる光学倍率で重畳して撮像面上に結像しRGBの各干渉縞FR2 よりなるカラーホログラムCH2 を形成する。以下、カラーホログラムCH2 の撮像が撮像部5でなされるなど第1実施形態と同様の処理がなされる。
物体光(無変調の位相共役物体光W7)と参照光(変調されたRGBコヒーレント光W31_CH)を纏めてホログラム形成光CHと称する。通常のホログラム作成過程との対比では、無変調の位相共役物体光W7は物体光に相当し、変調されたRGBコヒーレント光W31_CHは参照光に相当する。
第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2B_1は、物体光(無変調の位相共役物体光W7)と参照光(変調されたRGBコヒーレント光W31_CH)の各光路長を長くとることができ、その差も大きくとることができ、装置の光学設計の自由度が増す。この点は第1実施形態と同様である。
ICH−CH変換および位相共役光生成を行なう部材と変調を行なう部材とが異なるので、第1実施形態と比べて、ICH−CH変換および位相共役光生成と変調とに要する構成部分が複雑であるが、光源部150にはレーザ光源156が1つでよい利点がある。
ここでは図示しないが、参照光側の光変調素子106を取り外して、物体光側のダイクロイックミラー120と半透明鏡128の間に配置することで、物体光を変調し参照光は変調しない構成に変形することもできる(第3実施形態を参照)。この場合、参照光側では、ダイクロイックミラー120や反射鏡127が不要になる。
[変形例]
図6Aは、第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2B_1に対する変形例を説明する概略構成図である。ここで、図6Aは、第2実施形態(変形例)の三次元画像撮像装置2B_2の概略構成図である。
図6Aは、第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2B_1に対する変形例を説明する概略構成図である。ここで、図6Aは、第2実施形態(変形例)の三次元画像撮像装置2B_2の概略構成図である。
第2実施形態(変形例)の三次元画像撮像装置2B_2は、第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2B_1をベースに物体光と参照光を各別に左右像2光波重畳部500に入力するように変形したものである。物体光(無変調の位相共役物体光W7)と参照光(変調されたRGBコヒーレント光W31_CH)を同軸にする構成が不要であるので、反射鏡126や半透明鏡132を取り外している。
左右像2光波重畳部500には、干渉光学部3B_Hで取得される左眼側の無変調の物体光WL(=W7)および変調された参照光WW(fH)(=W31_CH)と、干渉光学部3B_Kで取得される右眼側の無変調の物体参照重畳光WR(fK)(=W7)および変調された参照光WW(fK)(=W31_CH)が入射される。第2実施形態(変形例)は、後述の第2実施形態の左右像2光波重畳部500Bに適用される。
偏光方向を揃える機能は左右像2光波重畳部500側で担当してもよく、その場合は、干渉光学部3側には偏光子174,178を使用しなくてもよい。
この場合、基本例との対比から分かるように、反射鏡126や半透明鏡132が不要になる。変調された参照光に関しては、左眼用と右眼用で、何れか一方を水平偏光で他方を垂直偏光とする。
<三次元画像撮像装置:第3実施形態>
図7は、第3実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置を説明する概略構成図である。
図7は、第3実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置を説明する概略構成図である。
第3実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2C_1は、物体光を変調させ、かつ、参照光も変調させる点に特徴がある。また、参照光側の光変調素子として、音響光学効果(超音波)を利用する点に特徴がある。この第3実施形態(基本例)は、後述の第5実施形態の左右像2光波重畳部500Eに適用される。
[構成]
第1〜第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2と同様の機能要素には同一の参照符号を用いる。
第1〜第2実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2と同様の機能要素には同一の参照符号を用いる。
なお、変調信号源部4Cの内、参照光側の機能要素には参照子aを追加し、物体光側の構成機能には参照子bを追加して区別する。参照光側の変調角周波数ωi ,ωj ,ωk はRGB別に異なり、物体光側の変調角周波数ω1 ,ω2 ,ω3 もRGB別に異なり、さらに、参照光側と物体光側でも相互に異なるものとする。加えて、左眼用と右眼用でも相互に異なるものとする。
第3実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2C_1は、干渉光学部3C、変調信号源部4C、左右像2光波重畳部500、および撮像部5を具備する。光源部150には、1個のレーザ光源156を用いる。このレーザ光源156としては、RGB三色の発振波長を持つ1個の無変調RGB三波長半導体レーザを使用する。
干渉光学部3Bは先ず、RGB波長別のICH−CH光変換素子102(画像変換素子)と位相共役鏡104が物体光側の光学系の中心に配置されている。第3実施形態は、位相共役鏡104を位相共役光生成素子のみとして利用する。
ICH−CH光変換素子と位相共役光生成素子を各別にするので、ICH−CH光変換素子102としては、色々な材料の適用が可能である。
RGB波長別のICH−CH光変換素子102のそれぞれに対しては、その両端に変調信号を供給する変調信号源部162bが各別に接続されている。変調信号源部162bは、ICH−CH光変換素子102対して波長(R,G,B)ごとに異なる周波数ω1 ,ω2 ,ω3 で変調処理を行なう。
参照光を撮像部5に導光する光学系は先ず、偏光子178と超音波光変調素子140を備える。超音波光変調素子140は、超音波媒体USと圧電体TDと超音波吸収体ABを具備する。
光変調部160aは、参照光を変調させるべく、超音波光変調素子140の圧電体TDに対して波長(R,G,B)ごとに異なる周波数ωi ,ωj ,ωk で変調処理を行なう変調信号源部162を波長(R,G,B)別に有する。これにより、超音波光変調素子140からは、1次回折光として、R,G,Bで異なる周波数で変調した波長別の変調参照光が出力される。
偏光子178は、レーザ光源156から発せられた無変調のRGBコヒーレント光W3_CH の偏光面を揃えて超音波光変調素子140の超音波媒体USの側面からある角度を持って入射させる。
超音波光変調素子140は、音響光学型の光変調偏光器(超音波を利用した光変調素子)であるとともに、ブラッグ(Bragg )回折効果により1次回折光と変調も回折もされない0次光に分岐することでビームスプリッタに似通った機能をなす。回折効果による1次回折光を変調されたRGBコヒーレント光W31_CHとして使用し、変調も回折もされない0次光を無変調のRGBコヒーレント光W32_CHとして使用する。
超音波光変調素子140から出射された無変調のRGBコヒーレント光W32_CH(0次光)に対してビームエキスパンダ172、変調されたRGBコヒーレント光W31_CH(1次回折光)に対してビームエキスパンダ176が配置されている。さらに、ビームエキスパンダ176を通過した変調されたRGBコヒーレント光W31_CHを反射させる反射鏡126、反射鏡126で反射された変調されたRGBコヒーレント光W31_CHを左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5側に通過させる半透明鏡132が配置されている。半透明鏡132は、位相共役物体光W7b を撮像部5側へ反射させる機能も持つ。
自然光照明下の物体BJからの光(物体光)を取り込む入射光学系110として、光学フィルタ112とレンズ116と半透明鏡118が、物体BJ側からICH−CH光変換素子102に向けて、この順に配置されている。
半透明鏡118とB色成分用のICH−CH光変換素子102Bとの間には、ダイクロイックミラー120Bが配置され、ICH−CH光変換素子102Bと位相共役鏡104Bとの間には半透明鏡128Bが配置されている。ダイクロイックミラー120Bは、B色成分は透過させ、G色成分とR色成分を反射させる。半透明鏡128Bは、ICH−CH光変換素子102B側からのB色成分は透過させるが位相共役鏡104B側からのB色成分は反射させる。
G色成分用のICH−CH光変換素子102Gの半透明鏡118(ダイクロイックミラー120B)側にはダイクロイックミラー120Gが配置されている。さらに、ICH−CH光変換素子102Gと位相共役鏡104Gとの間における半透明鏡128B側からの物体光の光路上には半透明鏡128Gが配置されている。ダイクロイックミラー120Gは、R色成分は透過させ、G色成分を反射させる。半透明鏡128Gは、ICH−CH光変換素子102G側からのG色成分や半透明鏡128B側からのB色成分は透過させるが位相共役鏡104G側からのG色成分は反射させる。
R色成分用のICH−CH光変換素子102Rの半透明鏡118(ダイクロイックミラー120G)側にはダイクロイックミラー120Rが配置されれている。ダイクロイックミラー120Rは反射鏡でもよい。さらに、ICH−CH光変換素子102Rと位相共役鏡104Rとの間における半透明鏡128G側からの物体光の光路を妨げない位置には半透明鏡128Rが配置されている。ダイクロイックミラー120Rは、R色成分を反射させる。半透明鏡128Rは、ICH−CH光変換素子102R側からのR色成分は透過させるが位相共役鏡104R側からのR色成分は反射させる。
物体光を撮像部5側に導光する光学系は、半透明鏡128GからのBG色成分の光路上に反射鏡127BG、半透明鏡128RからのR色成分の光路上にダイクロイックミラー129、ダイクロイックミラー129側からの光路上に偏光子174が配置されている。反射鏡127BGは、半透明鏡128Gからの位相共役物体光W7b のBG色成分をダイクロイックミラー129側に反射する。ダイクロイックミラー129は、反射鏡127BG側からの位相共役物体光W7b のBG色成分は偏光子174側に透過させ、半透明鏡128Rからの位相共役物体光W7b のR色成分は偏光子174側に反射させる。偏光子174は、RGB色成分の偏光面を揃える。偏光子174を通過した位相共役物体光W7b (RGB色成分)は半透明鏡132で反射され撮像部5を照射する。
[作用]
第3実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2C_1におけるカラーホログラム信号の取得は次のように行なわれる。
物体光を光変調させ、参照光を変調させないものであり、概要を説明すると以下の通りの特徴を備えている。
第3実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2C_1におけるカラーホログラム信号の取得は次のように行なわれる。
物体光を光変調させ、参照光を変調させないものであり、概要を説明すると以下の通りの特徴を備えている。
物体光を光変調させる点に着目したとき、以下の通りの特徴を備えている。
・ICH−CH光変換と光変調は同一素子(ICH−CH光変換素子102)で行ない、位相共役光生成は別素子(位相共役鏡104)で行なう。
・ICH−CH光変換素子102および位相共役鏡104は、RGBの波長ごとに感度特性の異なる素子をそれぞれ使用する。
・レーザ光源156としては、前述のように、RGB三色の発振波長を持つ1個の無変調RGB三波長半導体レーザを用いる。
・RGB波長別のICH−CH光変換を行なう3個のICH−CH光変換素子102を使用し、変調信号源部162によりそれぞれ波長ごとに異なる周波数ω1 ,ω2 ,ω3 で変調操作を行なう。
・ICH−CH光変換と光変調は同一素子(ICH−CH光変換素子102)で行ない、位相共役光生成は別素子(位相共役鏡104)で行なう。
・ICH−CH光変換素子102および位相共役鏡104は、RGBの波長ごとに感度特性の異なる素子をそれぞれ使用する。
・レーザ光源156としては、前述のように、RGB三色の発振波長を持つ1個の無変調RGB三波長半導体レーザを用いる。
・RGB波長別のICH−CH光変換を行なう3個のICH−CH光変換素子102を使用し、変調信号源部162によりそれぞれ波長ごとに異なる周波数ω1 ,ω2 ,ω3 で変調操作を行なう。
・物体光であるインコヒーレント光W2_ICHとレーザ光源156から発せられ半透明鏡118で反射した無変調のRGBコヒーレント光W32_CHをそれぞれダイクロイックミラー120でRGB波長成分にそれぞれ分離し、両者を同軸で重畳させる。さらに、RGBのICH−CH光変換素子102にそれぞれ入射させ、ICH−CH光変換させるとともに、変換された波長成分別のコヒーレント変換物体光を変調角周波数ω1 ,ω2 ,ω3 で変調する。ICH−CH光変換素子102より出射した各変調されたコヒーレント変換物体光W4b_CH(W4R_CH,W4G_CH,W4B_CH)を、波長成分別に異なる感度特性を持つ位相共役鏡104B,104G,104Bにそれぞれ入射させて位相共役光を発生させる。位相共役物体光W7は物体情報を伴い、B色成分は周波数ω1で変調され、G色成分は周波数ω2で変調され、R色成分は周波数ω3で変調されたコヒーレント光となっている。以下、周波数ω1 ,ω2 ,ω3 で変調された各位相共役物体光W7(コヒーレント変換された変調物体光)を、変調された位相共役物体光W7b と記す。
一方、参照光を変調する点に着目したときには、以下の通りの特徴を備えている。
・参照光の光変調は超音波光変調素子140で行なう。
・光変調素子および分岐素子として機能する超音波光変調素子140は、RGBの全波長領域に光感度特性を持ち、RGB光に対して1個の素子で処理する。
つまり、参照光の光変調には超音波を利用した超音波光変調素子140が用いられ、異なる周波数の変調電界を同時に印加して、RGBに対しそれぞれ異なる周波数ωi ,ωj ,ωk で変調するような光信号を1つの素子で得るようにする。
・参照光の光変調は超音波光変調素子140で行なう。
・光変調素子および分岐素子として機能する超音波光変調素子140は、RGBの全波長領域に光感度特性を持ち、RGB光に対して1個の素子で処理する。
つまり、参照光の光変調には超音波を利用した超音波光変調素子140が用いられ、異なる周波数の変調電界を同時に印加して、RGBに対しそれぞれ異なる周波数ωi ,ωj ,ωk で変調するような光信号を1つの素子で得るようにする。
纏めると以下の通りである。
・無変調RGB三波長半導体レーザであるレーザ光源156からの放出光を超音波光変調素子140に入射させ、RGB別に光変調させた1次回折光(変調されたRGBコヒーレント光W31_CH)を同軸で出射させて参照光とする。同時に超音波光変調素子140より無変調で出射する0次光(無変調のRGBコヒーレント光W32_CH)と、物体光である像情報を持つインコヒーレント光W2_ICHを同軸で重畳させてICH−CH光変換素子102に入射させ、ICH−CH光変換と光変調を行なう。コヒーレント変換された光を位相共役鏡に入射させて位相共役光を発生させる。ICH−CH光変換素子102より出射したコヒーレント変換物体光W4_CH を位相共役鏡104に入射させて位相共役物体光W7b を発生させる。
・無変調RGB三波長半導体レーザであるレーザ光源156からの放出光を超音波光変調素子140に入射させ、RGB別に光変調させた1次回折光(変調されたRGBコヒーレント光W31_CH)を同軸で出射させて参照光とする。同時に超音波光変調素子140より無変調で出射する0次光(無変調のRGBコヒーレント光W32_CH)と、物体光である像情報を持つインコヒーレント光W2_ICHを同軸で重畳させてICH−CH光変換素子102に入射させ、ICH−CH光変換と光変調を行なう。コヒーレント変換された光を位相共役鏡に入射させて位相共役光を発生させる。ICH−CH光変換素子102より出射したコヒーレント変換物体光W4_CH を位相共役鏡104に入射させて位相共役物体光W7b を発生させる。
・無変調RGB三波長半導体レーザであるレーザ光源156の光波を超音波光変調素子140で波長別に異なる周波数で変調するとともに分岐させる。そして、撮像部5の撮像面上で位相共役物体光W7b と偏光方向を揃え、両者の光学倍率を変え、同軸で撮像面上で干渉させてRGBカラーホログラム像を撮像面上に形成させる。
・第1・第2実施形態(基本例)と同様、左右の別に予め物体光と参照光を同軸で重畳して物体参照重畳光W+WW_L,W+WW_Rにしておき、その後に左右像2光波重畳部500側で、左右の物体参照重畳光W+WW_L,W+WW_Rをさらに重畳することで物体参照重畳光W+WW+ にする。
・第1・第2実施形態(基本例)と同様、左右の別に予め物体光と参照光を同軸で重畳して物体参照重畳光W+WW_L,W+WW_Rにしておき、その後に左右像2光波重畳部500側で、左右の物体参照重畳光W+WW_L,W+WW_Rをさらに重畳することで物体参照重畳光W+WW+ にする。
このような仕組みにより、コヒーレントな変調された位相共役物体光W7b (つまり位相共役物体光W7)を発生させているため、第1・第2実施形態と同様に、元の三次元像情報を極めて正確に有したホログラム像が撮像部5により撮像できる。第1・第2実施形態と同様に、レンズ系の収差などで歪んだ像情報は、元通りの収差なしの像情報として復元される。以下、第3実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2C_1によるホログラム撮像の様子を具体的に説明する。
自然光で照射された物体BJがあり、その像情報を持つインコヒーレント光W1_ICHが三次元画像撮像装置2C_1_1内に配置された入射光学系110に入射する。インコヒーレント光W1_ICHは、光学フィルタ112、レンズ116を通過して、インコヒーレント光W2_ICHとなり、半透明鏡118を透過し、RGBの波長領域に光感度があるICH−CH光変換素子102に向かう。
無変調白色半導体レーザであるレーザ光源156から放出された無変調のRGBコヒーレント光W3_CH は偏光子178を経て偏光方向が定められ、RGBに対しそれぞれ異なる周波数ωi ,ωj ,ωk で変調する超音波光変調素子140内に入射される。超音波光変調素子140では、ブラッグ回折条件を満たすと、周波数ωi ,ωj ,ωk で変調されたRGBコヒーレント光が同軸で特定な方向に回折された1次回折光が、変調されたRGBコヒーレント光W31_CHとして放出される。
また、超音波光変調素子140内に入射した無変調のRGBコヒーレント光W3_CH がブラッグ回折される際には、1次回折光の他に、光変調されず回折もされない0次光が存在する。この0次光はそのまま超音波光変調素子140をそのまま透過して、RGBの無変調な無変調のRGBコヒーレント光W32_CHとして放出される。
この無変調のRGBコヒーレント光W32_CHは、ビームエキスパンダ172を透過してそのビーム径が広げられ、半透明鏡118で反射してその向きを変え、ダイクロイックミラー120Bに向かう。
自然光で照射された物体BJがあり、その像情報を持つインコヒーレント光W1_ICHが三次元画像撮像装置2C_1内に配置された入射光学系110に入射する。インコヒーレント光W1_ICHは、光学フィルタ112、レンズ116を通過して、インコヒーレント光W2_ICHとなり、半透明鏡118を透過し、ダイクロイックミラー120Bに向かう。
ダイクロイックミラー120Bは、B色成分のみを透過し、G色成分とR色成分は反射する。したがって、物体情報を伴ったインコヒーレント光W2_ICHのB色成分と無変調のRGBコヒーレント光W32_CHのB色成分がダイクロイックミラー120Bを透過して、ICH−CH光変換素子102B内に重畳して入射する。ICH−CH光変換素子102Bでは、前記の原理に基づいてB色成分についてのみICH−CH光変換が行なわれ、物体情報を伴ったB色成分のコヒーレント変換物体光W4_CH が形成される。
ICH−CH光変換素子102Bには、変調信号源部162Bにより周波数ω1の変調電界が印加されている。したがって、ICH−CH光変換素子102Bで変換されたコヒーレント変換物体光W4_CH は周波数ω1で変調された変調されたコヒーレント変換物体光W4B_CHになっている。この変調されたコヒーレント変換物体光W4B_CHは、半透明鏡128Bを透過して、B光領域に感度を持つ位相共役鏡104B内に入射し、変調されたコヒーレント変換物体光W4B_CHに共役な位相共役光W6B_CHが発生し、戻り光となり半透明鏡128Bに向かう。
戻り光となった位相共役光W6B_CHは半透明鏡128Bで反射され、半透明鏡128Gを透過し、変調された位相共役物体光W7b のB色成分として反射鏡127BGに向かう。この変調された位相共役物体光W7b のB色成分は、反射鏡127BGで反射して、ダイクロイックミラー129と偏光子174を透過してその偏光方向が定められ、半透明鏡132を透過して、左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5の撮像面を照射する。
物体情報を伴ったインコヒーレント光W2_ICHのG色成分およびR色成分と無変調のRGBコヒーレント光W32_CHのG色成分およびR色成分がダイクロイックミラー120Bで反射され、ダイクロイックミラー120Gに向かう。
ダイクロイックミラー120Gは、R色成分のみを透過し、G色成分は反射する。したがって、物体情報を伴ったインコヒーレント光W2_ICHのG色成分と無変調のRGBコヒーレント光W32_CHのG色成分がダイクロイックミラー120Gで反射されて、ICH−CH光変換素子102G内に重畳して入射する。ICH−CH光変換素子102Gでは、前記の原理に基づいてG色成分についてのみICH−CH光変換が行なわれ、物体情報を伴ったG色成分のコヒーレント変換物体光W4_CH が形成される。
ICH−CH光変換素子102Gには、変調信号源部162Gにより周波数ω2の変調電界が印加されている。したがって、ICH−CH光変換素子102Gで変換されたコヒーレント変換物体光W4_CH は周波数ω2で変調された変調されたコヒーレント変換物体光W4G_CHになっている。この変調されたコヒーレント変換物体光W4G_CHは、半透明鏡128Gを透過して、G光領域に感度を持つ位相共役鏡104G内に入射し、変調されたコヒーレント変換物体光W4G_CHに共役な位相共役光W6G_CHが発生し、戻り光となり半透明鏡128Gに向かう。
戻り光となった位相共役光W6G_CHは半透明鏡128Gで反射され、変調された位相共役物体光W7b のG色成分として反射鏡127BGに向かう。変調された位相共役物体光W7b のG色成分は、反射鏡127BGで反射して、ダイクロイックミラー129と偏光子174を透過してその偏光方向が定められ、半透明鏡132を透過して、左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5の撮像面を照射する。
物体情報を伴ったインコヒーレント光W2_ICHのR色成分と無変調のRGBコヒーレント光W32_CHのR色成分がダイクロイックミラー120Gを透過してダイクロイックミラー120Rに向かう。ダイクロイックミラー120RはR色成分を反射する。したがって、物体情報を伴ったインコヒーレント光W2_ICHのR色成分と無変調のRGBコヒーレント光W32_CHのR色成分がダイクロイックミラー120Rで反射されて、ICH−CH光変換素子102R内に重畳して入射する。ICH−CH光変換素子102Rでは、前記の原理に基づいてR色成分についてのみICH−CH光変換が行なわれ、物体情報を伴ったR色成分のコヒーレント変換物体光W4_CH が形成される。
ICH−CH光変換素子102Rには、変調信号源部162Rにより周波数ω3の変調電界が印加されている。したがって、ICH−CH光変換素子102Rで変換されたコヒーレント変換物体光W4_CH は周波数ω3で変調された変調されたコヒーレント変換物体光W4R_CHになっている。この変調されたコヒーレント変換物体光W4R_CHは、半透明鏡128Rを透過して、R光領域に感度を持つ位相共役鏡104R内に入射し、変調されたコヒーレント変換物体光W4R_CHに共役な位相共役光W6R_CHが発生し、戻り光となり半透明鏡128Rに向かう。
戻り光となった位相共役光W6R_CHは半透明鏡128Rで反射され、変調された位相共役物体光W7b のR色成分としてダイクロイックミラー129に向かう。この変調された位相共役物体光W7b のR色成分は、ダイクロイックミラー129で反射して、偏光子174を透過してその偏光方向が定められ、半透明鏡132を透過して、左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5の撮像面を照射する。
レーザ光源156から発せられた無変調のRGBコヒーレント光W3_CH が超音波光変調素子140に入射して、変調されたRGBコヒーレント光W31_CHとして放出される。この変調されたRGBコヒーレント光W31_CHは、ビームエキスパンダ176を通過してビーム径が広げられ、反射鏡126により反射されて向きを変え、半透明鏡132を通過して左右像2光波重畳部500を経由して撮像部5の撮像面を照射する。
RGBの物体情報を持つω1 ,ω2 ,ω3 で変調された位相共役物体光W7b とωi ,ωj ,ωk で変調されたRGBコヒーレント光W31_CHが同軸で偏光方向を揃えて異なる光学倍率で重畳して撮像面上に結像し、RGBの各干渉縞FR3 よりなるカラーホログラムCH3 を形成する。以下、カラーホログラムCH3 の撮像が撮像部5でなされるなど、第1・第2実施形態と同様の処理がなされる。
物体光(変調された位相共役物体光W7b )と参照光(変調されたRGBコヒーレント光W31_CH)を纏めてホログラム形成光CHと称する。通常のホログラム作成過程との対比では、変調された位相共役物体光W7b は物体光に相当し、超音波光変調素子140により1次回折光として放出される変調されたRGBコヒーレント光W31_CHは参照光に相当する。
第3実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2C_1は、第1・第2実施形態と同様、物体光(変調された位相共役物体光W7b )と参照光(変調されたRGBコヒーレント光W31_CH)の各光路長を長くとることができ、その差も大きくとることができ、装置の光学設計の自由度が増す。
第3実施形態では、参照光側と物体光側の各変調角周波数をそれぞれ異ならせている。これにより、参照光側と物体光側の双方を変調する場合においても、光変調とそれに対応した電気信号での波長分離によりホログラム情報信号に含まれるバックグラウンドノイズを確実に低減する仕組みを実現できる。
[変形例]
図7Aは、第3実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2C_1に対する変形例を説明する概略構成図である。ここで、図7Aは、第3実施形態(変形例)の三次元画像撮像装置2C_2の概略構成図である。
図7Aは、第3実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2C_1に対する変形例を説明する概略構成図である。ここで、図7Aは、第3実施形態(変形例)の三次元画像撮像装置2C_2の概略構成図である。
第3実施形態(変形例)の三次元画像撮像装置2C_2は、第3実施形態(基本例)の三次元画像撮像装置2C_1をベースに物体光と参照光を各別に左右像2光波重畳部500に入力するように変形したものである。物体光(変調された位相共役物体光W7b )と参照光(変調されたRGBコヒーレント光W31_CH)を同軸にする構成が不要であるので、反射鏡127や半透明鏡132を取り外している。
左右像2光波重畳部500には、干渉光学部3C_Hで取得される左眼側の変調された物体光WL(=W7b )および変調された参照光WW(fH)(=W31_CH)と、干渉光学部3C_Kで取得される右眼側の無変調の物体参照重畳光WR(fK)(=W7b )および変調された参照光WW(fK)(=W31_CH)が入射される。第3実施形態(変形例)は、後述の第4実施形態の左右像2光波重畳部500Dに適用される。
偏光方向を揃える機能は左右像2光波重畳部500で持ってもよく、その場合は、干渉光学部3側に偏光子174,178や偏光角調整用偏光子134を使用しなくてもよい。
この場合、基本例との対比から分かるように、反射鏡127や半透明鏡132が不要になる。変調された参照光に関しては、左眼用と右眼用で、何れか一方を水平偏光で他方を垂直偏光とする。
左右像2光波重畳部500には、干渉光学部3A_Hで取得される左眼側の無変調の物体光WL(=W7)および変調された参照光WW(fH)(=W31_CH)と、干渉光学部3A_Kで取得される右眼側の無変調の物体参照重畳光WR(fK)(=W7)および変調された参照光WW(fK)(=W31_CH)が入射される。この第2実施形態(変形例)は、後述の第2実施形態の左右像2光波重畳部500Bに適用される。
[音響光学効果による変調と偏光について]
図8は、音響光学効果による変調と偏光を説明する図である。ここでは、特に、超音波光変調素子140によるRGB光変調と回折を定性的に示す。
図8は、音響光学効果による変調と偏光を説明する図である。ここでは、特に、超音波光変調素子140によるRGB光変調と回折を定性的に示す。
前述のように、超音波光変調素子140は、超音波を利用した光変調素子であるとともに、ブラッグ回折効果により1次回折光と変調も回折もされない0次光に分岐することでビームスプリッタに似通った機能をなす。
たとえば、図8に示すような超音波媒体US、圧電体TD(トランスデューサ)、超音波吸収体ABからなる超音波光変調素子140を用いて、音響光学効果によって光の変調操作と偏光を行なうことができる。超音波光変調素子140は、たとえば、超音波媒体USの材質として重フリントガラス、TeO2 、PbMoO4 などが使用され、圧電体TDにはLiNbO3 などが使用される。
超音波媒体USに対して圧電体TDにより体積変化や屈折率変化を引き起こさせることができ、その効果を利用することで、光変調効果が得られる。
ここで図のように、超音波媒体USの側面から波長λの光を回折角(ブラッグ角)で入射させ、圧電体TDに周波数fの電気信号を印加すると、超音波媒体US内に超音波の波長Ωの屈折率の粗密波ができる。次の3つの場合が起こる。
1つ目は、超音波の波長Ωが比較的長く、光と超音波の相互作用長W(トランスデューサの幅)が短い(W<Ω2/2πλ)場合である。この場合、ラマン・ナース(Ramann−Nath)回折が起き、多数の回折光が式(10)で示されるφ方向に回折される。変調光として用いる場合には、式(10)における「±1次」の回折光の内のどちらか一方を使用すればよい。
2つ目は、超音波の波長Ωが比較的短く、光と超音波の相互作用長W(トランスデューサの幅)が長い(W≫Ω2/2πλ)場合である。この場合、ブラッグ回折が起き、特定の角度φで入射した光のみ回折される。この場合、0次光は何の回折も変調も受けず、超音波媒体USの反対側の側面より出射するが、1次光は変調され、φ方向に回折される。φをブラッグ角と称する。変調周波数f、変調角周波数ω、超音波媒体US内の音響波の速度v、とすると、ブラッグ角φの正弦は式(11)で表される。
3つ目は、RGB光(それぞれの波長はλR ,λG ,λB )をそれぞれ異なる周波数で変調し、同じブラッグ角φの回折光が得られるようにする場合である。この場合、3つの変調角周波数ωR ,ωG ,ωB (それぞれ変調周波数fR ,fG ,fB )に対して、式(12)で表される9個の条件式が得られる。「φ1」に関わる成分は波長λR のR光が入射角φ1などで入射したときの回折効果、「φ2」に関わる成分は波長λG のG光が入射角φ2などで入射したときの回折効果、「φ3」に関わる成分は波長λB のR光が入射角φ3などで入射したときの回折効果を示す。「φi」に関わる成分とは、参照子「’」,「”」が付されているものも該当する意味である。
これらの9個の条件式により、R光を変調角周波数ωR で変調し、G光を変調角周波数ωG で変調し、B光を変調角周波数ωB で変調し得るようなφ1,φ2’,φ3”が存在する。さらに、周波数を最適に選定した場合には、φ1=φ2’=φ3”、つまり、fR ・λR =fG ・λG =fB ・λB 、ωR ・λR =ωG ・λG =ωB ・λB なる条件が存在し、このとき出力変調回折光はRGBで同軸となる。
<左右像2光波重畳部:第1実施形態>
図9は、第1実施形態の左右像2光波重畳部500Aを説明する図である。
図9は、第1実施形態の左右像2光波重畳部500Aを説明する図である。
本実施形態の左右像2光波重畳部500は、干渉光学部3_Hで取得される左眼像情報を含むコヒーレント光WLと干渉光学部3_Kで取得される右眼像情報を含むコヒーレント光WRを参照光WWと干渉させ、各ホログラムを重畳させて1つの撮像部5に入射させる。特に、第1実施形態の左右像2光波重畳部500Aは、複屈折プリズムを利用して左右の像情報光の2光波を重畳することで、左右の重畳ホログラムを作る点に特徴がある。
以下では、物体光側のみ変調し参照光側は無変調であるとする。左眼用の干渉光学部3_H側のRGB別の変調角周波数を纏めてωH(変調周波数をfH)と記し、右眼用の干渉光学部3_K側のRGB別の変調角周波数を纏めてωK(変調周波数をfK)と記す。
[構成]
第1実施形態の左右像2光波重畳部500Aは、偏光子部510と、2光波重畳部520と、半透明鏡550を備える。
第1実施形態の左右像2光波重畳部500Aは、偏光子部510と、2光波重畳部520と、半透明鏡550を備える。
偏光子部510は、左眼像情報の系統に配される水平偏光子512Lと右眼像情報の系統に配される垂直偏光子514Rを有する。
第1実施形態の2光波重畳部520は、左眼像情報の系統に配される楔形の複屈折プリズム522Lと右眼像情報の系統に配される楔形の複屈折プリズム524Rと、両系統に共通に配される複屈折プリズム526を有する。複屈折プリズム526は、一対の楔形の複屈折プリズム526L,526Rで構成されている。
複屈折プリズム522Lと複屈折プリズム524Rの結晶の光軸は何れも光の進行方向に対して水平なっている。複屈折プリズム526Lの結晶の光軸は光の進行方向に対して紙面上では垂直であり、複屈折プリズム526Rの結晶の光軸は複屈折プリズム526Lの結晶の光軸に対して垂直である。
複屈折プリズム522Lは、水平偏光成分(p波)が図中左よりほぼ平行光束で入射したときに、進行方向に対し内側(法線Z1側)に屈折するように鋭角になっている。複屈折プリズム524Rは、垂直偏光成分(s波)が図中左より平行光束で入射したときに、内側に屈折するように法線Z’側に鈍角になるように配置される。
半透明鏡550は、物体光(物体重畳光W+_1)の光軸に対して斜め45°で配置されている。半透明鏡550に対しては、物体光(物体重畳光W+_1)の光軸に対して90°の方向(図の下側)から無変調の円偏光の参照光WW_1が入力されるようになっている。
[作用]
コヒーレントな変調された左眼像情報光WL_1および右眼像情報WR_1が図中左側から2光波重畳部530に入射するように配置されている。左眼像情報光WL_1は水平偏光子512Lに偏光方向が水平偏光(p波)になるように定められ、右眼像情報光WR_1は垂直偏光子514Rにより、偏光方向が垂直偏光(s波)になるように予め設定されている。
コヒーレントな変調された左眼像情報光WL_1および右眼像情報WR_1が図中左側から2光波重畳部530に入射するように配置されている。左眼像情報光WL_1は水平偏光子512Lに偏光方向が水平偏光(p波)になるように定められ、右眼像情報光WR_1は垂直偏光子514Rにより、偏光方向が垂直偏光(s波)になるように予め設定されている。
2光波重畳部520を構成する各プリズム形状の角度を正しく制御すれば、2光波重畳部520を通過後のp波光束WL_p1 とs波光束WR_s1 は物体重畳光W+_1となり、法線Z1軸上に出射するようになる。
ここで、第1実施形態の左右像2光波重畳部500Aは、前記説明から理解されるように、複屈折プリズムを利用した例であるが、通常の使用方法とは逆の使い方をする。すなわち、図のような構成の複屈折プリズム526で入射側と出射側を反対にして使うと、一般的には入射する円偏光のレーザ光がプリズム透過後は、p波(水平偏光)成分とs波(垂直偏光)成分が分離され、異なる方向に出射するようになる。しかし、第1実施形態のように、予め水平方向と垂直方向に偏光分離している2つの光波を2光波重畳素子510に入射させて、それらの物体重畳光W+_1を作り出すところに大きな特徴がある。
左眼像情報光WL_1,WL_p1 は周波数fHの変調光(RGB別の異なる変調周波数)であり、右眼像情報光WR_1,WR_s1 は周波数fKの変調光(RGB別の異なる変調周波数)である。つまり、変調周波数の数は左右で最大計6種の変調周波数となる。これらが重畳された物体重畳光W+_1が半透明鏡550を透過し、半透明鏡550で反射した円偏光の無変調の参照光WW_1が撮像部5の法線Z1の同軸上で重畳され物体参照重畳光W+WW+_1 となり同じ偏光方向の光波同士が干渉する。
すなわち、水平偏光の変調された左眼像情報光WL_p1 と無変調の参照光WW_1の水平偏光成分が干渉して干渉波WCR_p1(fH)を形成し、撮像部5の撮像面上に干渉縞FR_H1 を形成する。同様に、垂直偏光の変調された右眼像情報光WR_s1 と無変調の参照光WW_1の垂直偏光成分が干渉して干渉波WCR_s1(fK)を形成し、撮像部5の撮像面上に干渉縞FR_K1 を形成する。この場合は、左眼像情報と右眼像情報は、同一の撮像部5により異なる変調周波数を伴った別個のホログラムCHD1(干渉縞FR_H1 ,FR_K1 )として撮像される。
<左右像2光波重畳部:第2実施形態>
図10は、第2実施形態の左右像2光波重畳部500Bを説明する図である。
図10は、第2実施形態の左右像2光波重畳部500Bを説明する図である。
第2実施形態の左右像2光波重畳部500Bは、位相共役鏡の4波混合の原理を応用して、左右の像情報光の2光波を重畳することで、左右の重畳ホログラムを作る点に特徴がある。
以下では、参照光側のみ変調し物体光側は無変調であるとする。左眼用の参照光のRGB別の変調角周波数を纏めてωM(変調周波数をfM)と記し、右眼用の参照光のRGB別の変調角周波数を纏めてωN(変調周波数をfN)と記す。
[構成]
第2実施形態の左右像2光波重畳部500Bは、偏光子部510と、2光波重畳部530と、半透明鏡550を備える。偏光子部510と半透明鏡550は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態の左右像2光波重畳部500Bは、偏光子部510と、2光波重畳部530と、半透明鏡550を備える。偏光子部510と半透明鏡550は、第1実施形態と同様である。
第2実施形態の2光波重畳部530は先ず、その中心部に位相共役鏡532が配置されている。そして、位相共役鏡532を挟むように左右に一対の反射鏡534,536が光のそれぞれの光の進行方向に対して45度の角度で配置されている。さらに、その内側には、一対の半透明鏡542,544が配置されている。また、位相共役鏡532の前後にこれを挟むように、反射鏡546および半透明鏡548(半透明鏡550側へ)が配置されている。
半透明鏡550は、物体光(物体重畳光W+_2)の光軸に対して斜め45°で配置されている。物体光(物体重畳光W+_2)の光軸に対して90°の方向(図の下側)から左眼用と右眼用の別に異なる周波数で変調され、かつ、異なる偏光方向の参照光WW_2(WW_2M ,WW_2N :2変調参照光)が半透明鏡550に入力されるようになっている。ここでは一例として、左眼用は水平偏光で変調周波数fMの参照光WW_2M であり、右眼用は垂直偏光で変調周波数fNの参照光WW_2N である。
なお、図では、左眼用の水平偏光の参照光WW_2M (fM)と右眼用の垂直偏光の参照光WW_2N (fN)を同軸で半透明鏡550に入射させているがこのことは必須でない。これらを同軸で入射させる場合は、たとえば、図示のように、偏光子部560と2光波重畳部570を介在させればよい。偏光子部560は、左眼用の参照光WW_2M (fM)の系統に配される水平偏光子562Lと右眼用の参照光WW_2N (fN)の系統に配される垂直偏光子564Rを有する。2光波重畳部570は、図示を割愛しているが、たとえば2光波重畳部520と同様のものを利用すればよい。これにより、2光波重畳部570を通過後の参照光WW_2M (fM)と参照光WW_2K (fK)は参照重畳光WW_2+ となり、半透明鏡550に入射するようになる。
[作用]
コヒーレントな変調されていない左眼像情報光WL_2および右眼像情報WR_2が図中左側から2光波重畳部530に入射するように配置されている。その際、左右の各像情報光は、偏光子部510により、対応する参照光の偏光方向と揃えられるようにする。ここでは一例として、左眼像情報光WL_2は水平偏光子512Lにより偏光方向が水平偏光(p波)になるように定められ、また右眼像情報光WR_2は垂直偏光子514Rにより偏光方向が垂直偏光(s波)になるように予め設定されている。
コヒーレントな変調されていない左眼像情報光WL_2および右眼像情報WR_2が図中左側から2光波重畳部530に入射するように配置されている。その際、左右の各像情報光は、偏光子部510により、対応する参照光の偏光方向と揃えられるようにする。ここでは一例として、左眼像情報光WL_2は水平偏光子512Lにより偏光方向が水平偏光(p波)になるように定められ、また右眼像情報光WR_2は垂直偏光子514Rにより偏光方向が垂直偏光(s波)になるように予め設定されている。
位相共役鏡532を取り囲む1つの反射鏡546と他の3つの半透明鏡542,544,548はキャビティを形成し、入射した光波が前後左右に繰返し反射することにより位相共役鏡532を励起状態にする。その結果、半透明鏡548より撮像部5に向かって左眼像情報光の位相共役光WL_p2 と右眼像情報光の位相共役光WR_s2 が放出され、物体重畳光W+_2が形成される。位相共役光WL_p2 ,WR_s2 は何れも位相共役光であるため、元の光波の偏光方向を保持しており、位相共役光WL_p2 はやはり水平偏光であり、位相共役光WL_s2 もやはり垂直偏光が維持される。
左眼像情報光WL_2,WL_p2 は無変調光(RGB3波長光)、右眼像情報光WR_2,WR_s2 も無変調光(RGB3波長光)であり、2光波重畳部530により重畳され物体重畳光W+_2となり半透明鏡550を透過し撮像部5の撮像面に入射する。物体重畳光W+_2が半透明鏡550を透過し、半透明鏡550で反射した2変調参照光WW_2(水平偏光で変調周波数fMの参照光WW_2M と垂直偏光で変調周波数fNの参照光WW_2N )が撮像部5の法線Z2の同軸上で重畳され物体参照重畳光W+WW+_2 となり同じ偏光方向の光波同士が干渉する。
すなわち、水平偏光の無変調の左眼像情報光WL_p2 と変調参照光WW_2の水平偏光成分(参照光WW_2M )が干渉して干渉波WCR_p2(fM)を形成し、撮像部5の撮像面上に干渉縞FR_M2 を形成する。同様に、垂直偏光の無変調の右眼像情報光WR_s2 と変調参照光WW_2の垂直偏光成分(参照光WW_2N )が干渉して干渉波WCR_s2(fN)を形成し、撮像部5の撮像面上に干渉縞FR_N2 を形成する。この場合も、左眼像情報と右眼像情報は、同一の撮像部5により異なる変調周波数を伴った別個のホログラムCHD2(干渉縞FR_M2 ,FR_N2 )として撮像される。
<三次元画像情報取得再生システム>
図11は、三次元画像情報取得再生システム(三次元画像撮像再生装置900S,900Wに相当)を説明する図である。本実施形態の三次元画像情報取得再生システム901は、固体撮像装置としてCCD固体撮像装置やCMOSセンサなどのXYアドレス型の固体撮像装置を使用した場合の構成例である。この三次元画像情報取得再生システム901は、三次元画像撮像装置2と三次元画像信号処理部6と後述の三次元画像再生表示装置801などの各機能部が1つの筐体内に一体化された装置(システム)である。図示しないが、たとえば、三次元画像撮像装置2および三次元画像信号処理部6とその制御機能部と、三次元画像再生表示装置801とその制御機能部を別の筐体にした装置構成(システム構成)にしてもよい。
図11は、三次元画像情報取得再生システム(三次元画像撮像再生装置900S,900Wに相当)を説明する図である。本実施形態の三次元画像情報取得再生システム901は、固体撮像装置としてCCD固体撮像装置やCMOSセンサなどのXYアドレス型の固体撮像装置を使用した場合の構成例である。この三次元画像情報取得再生システム901は、三次元画像撮像装置2と三次元画像信号処理部6と後述の三次元画像再生表示装置801などの各機能部が1つの筐体内に一体化された装置(システム)である。図示しないが、たとえば、三次元画像撮像装置2および三次元画像信号処理部6とその制御機能部と、三次元画像再生表示装置801とその制御機能部を別の筐体にした装置構成(システム構成)にしてもよい。
[構成]
三次元画像情報取得再生システム901は、三次元画像撮像装置2(干渉光学部3、変調信号源部4、撮像部5を含む)、三次元画像信号処理部6、再生系信号処理部980、周辺回路部990、およびデータ記憶部998を備える。
三次元画像情報取得再生システム901は、三次元画像撮像装置2(干渉光学部3、変調信号源部4、撮像部5を含む)、三次元画像信号処理部6、再生系信号処理部980、周辺回路部990、およびデータ記憶部998を備える。
三次元画像撮像装置2としては、前述の第1〜第3実施形態(基本例および変形例)の何れを使用してもよい。もちろん、左右像2光波重畳部500により、単眼式を双眼式に発展させたものとする。三次元画像撮像装置2の干渉光学部3については、便宜的に、光学レンズ系3a(レンズ部904と対応)と光学信号処理部3bに分けて示している。
周辺回路部990は、カメラシステム制御部991、光学系制御部992、制御信号生成部994、および通信インタフェース部996を有する。周辺回路部990には、その他に、光源部150と光変調部160を備える変調部4や、図示しないが、たとえば、垂直走査部および水平走査部を具備する走査部なども設けられる。
制御信号生成部994は、クロック発生部994a、クロック変換部994b(クロック逓倍部)、信号処理パルス発生部994c、およびプログラマブルパルス発生部994d(PG)を有する。
クロック発生部994aは、基本クロックCLK0を生成する。基本クロックCLK0は、三次元画像撮像装置2側の光変調周波数fR ,fG ,fB に対応する3種が使用される。クロック変換部994bは、基本クロックCLK0に基づき、基本クロックCLK0よりも高速周波数のパルスを生成する逓倍回路を内蔵しており、高速の内部クロックを生成する。
信号処理パルス発生部994cやプログラマブルパルス発生部994dは、入力される基本クロックCLK0に同期したクロックをデバイス内の各部に供給するタイミングジェネレータの機能ブロックを備える。
たとえば、信号処理パルス発生部994cは、RGB波長成分別のサンプルホールドパルス、CDSパルス、AD変換クロックを、変調信号源部162が生成するRGB波長成分別の変調信号の変調角周波数ωと一定の関係を持って生成する。ここで「一定の関係」とは、サンプルホールドパルス、CDSパルス、AD変換クロックと、変調信号の間における、角周波数(周波数)、位相、同期の関係を意味している。
プログラマブルパルス発生部994dは、三次元画像信号処理部6やカメラシステム制御部991や光学系制御部992などが使用する各種の制御パルスを生成する。その動作はカメラシステム制御部991により制御される。
通信インタフェース部996は、外部から供給される動作モードなどを指令するデータを受け取り、さらに三次元画像情報取得再生システム901内で生成したデータを外部に出力する。
三次元画像信号処理部6は、撮像部5から出力される撮像信号(つまり三次元画像撮像装置2で取得された三次元画像信号)を処理して左右別かつRGB別の各波長成分のホログラムデータを生成する。三次元画像信号処理部6で生成された左右別かつRGB別の各波長成分のホログラムデータは、カメラシステム制御部991を経由してデータ記憶部998に記録され、物体BJの色彩立体像の形成(再生)に使用される。すなわち、データ記憶部998から読み出されて再生系信号処理部980で処理された後に色彩三次元画像再生部910にて色彩三次元画像3DCHが再生される。
たとえば、三次元画像信号処理部6で取得されたホログラムデータはデータ記憶部998への記録が行なわれる。このようにしてデータ記憶部998に記録された各波長成分のホログラムデータは、再生系信号処理部980によって再生用の信号処理が施され、色彩三次元画像再生部910に再生データが入力されることで、再生されたホログラムデータに基づいて色彩三次元画像3DCHが再生される。
[作用:撮像系]
光学レンズ系3aを透過した物体情報を伴ったインコヒーレント光W1_ICHが、光源部150および光変調部160の作用を受けて、光学信号処理部3bでコヒーレント変換され、三次元画像撮像装置2について前述した光学信号処理が施される。三次元画像撮像装置2で生成されたコヒーレントなホログラム形成光CH(物体光と参照光)は、撮像部5に入射して撮像面上に、左右別かつRGB別の各干渉縞よりなるカラーホログラムを形成する。撮像部5では、そのカラーホログラムを電子的に撮像することで、各画素では光電変換がなされカラーホログラムを表わす電気信号(撮像信号S5)に変換し、三次元画像信号処理部6に供給する。
光学レンズ系3aを透過した物体情報を伴ったインコヒーレント光W1_ICHが、光源部150および光変調部160の作用を受けて、光学信号処理部3bでコヒーレント変換され、三次元画像撮像装置2について前述した光学信号処理が施される。三次元画像撮像装置2で生成されたコヒーレントなホログラム形成光CH(物体光と参照光)は、撮像部5に入射して撮像面上に、左右別かつRGB別の各干渉縞よりなるカラーホログラムを形成する。撮像部5では、そのカラーホログラムを電子的に撮像することで、各画素では光電変換がなされカラーホログラムを表わす電気信号(撮像信号S5)に変換し、三次元画像信号処理部6に供給する。
ここで、ホログラム形成光CHには、色彩立体像を表わすR,G,Bの各波長成分が含まれており、撮像部5により撮像されるカラーホログラムは、左右別かつRGB別の各干渉縞が重畳されたものである。したがって、撮像部5で取得される撮像信号S5は、変調R画素信号と変調G画素信号と変調B画素信号が重畳しているものである。以下では、変調R画素信号と変調G画素信号と変調B画素信号を纏めて変調RGB画素信号とも称する。
三次元画像信号処理部6では、撮像信号S5が画素ごとに順次読み出され、RGB別の系統に分けられて各種の信号処理が施され、デジタルデータに変換(AD変換)される。AD変換されたホログラムデータは、RGB別にデータ処理が施され、データ記憶部998に記録される。データ記憶部998に記録することなく、RAM(Random Access Memory:随時書込み読出しメモリ)に記憶して直ちに再生に供するようにしてもよい。
三次元画像信号処理部6では、撮像信号S5について、ホログラム形成光CHに含まれている色彩立体像を表わすR,G,Bの各波長成分にそれぞれ対応するように、R,G,Bの成分に分けてアナログ信号処理やデジタルデータ処理を行なう。そのために、RGB別のサンプルホールドパルス、CDSパルス、AD変換クロックなどが信号処理パルス発生部994cから発生される。
このように、本実施形態の撮像系の信号処理では、撮像部5に使用される信号電荷生成部(フォトダイオード部)はRGB光変調信号が重畳された形(白色光)で受光し、これを光電変換する。
光変調部160には、RGBコヒーレント光(物体光および/または参照光)を異なる変調角周波数ωR ,ωG ,ωB (変調周波数fR ,fG ,fB )でそれぞれ変調するための変調信号が光変調部160(図示しない変調信号源部162)から印加される。
ここで、三次元画像撮像装置2側に適用されるRGB用の変調角周波数ωR ,ωG ,ωB (変調周波数fR ,fG ,fB )の各変調信号は、固体撮像装置(撮像部5)のフレーム周波数の整数倍または水平駆動周波数の整数倍にするのがよい。光変調部160による撮像部5の撮像面上の光変調強度の各位置と信号処理における垂直走査・水平走査の位置の関係を固定するためである。
撮像部5で受光した画素信号は電気的に変調しており、時間的RGBで(=変調周波数で)コーディングされている。RGB像信号は左右別かつRGB別の各変調周波数を中心にある帯域幅の中に分布するが、ノイズ光は周波数空間に一様に分布する。
このため、ノイズ光は電気信号処理で除去できる。RGBに対しては既に時間的にコーディングされているため、改めて空間的な周期性でコーディングされたモザイク光学フィルタを使用する必要がない。
三次元画像撮像装置2側の変調周波数と電気信号処理系統のフレーム周波数や水平駆動周波数の間に比例関係を持たせることで、AD変換などの信号処理が適切になされる。
また、AD変換時にRGB別の3つのAD変換クロック(基本CLK周波数)を用い、これらの周波数と三次元画像撮像装置2側のRGB変調周波数を同じにする。同じにしない場合は、RGB別の3つのAD変換クロックを光変調周波数の整数倍にする。
好ましくは、RGB別の3つのAD変換クロックと光変調周波数をそれぞれ同期させる。たとえるならば、高速度ストロボ撮影時の行為と類似であり、タイミングがずれていると静止状態の映像が撮れないが、同期させると静止状態の映像が撮れる。
これらによって、当該信号のみを正しくAD変換し、遅延によるノイズも発生しないようにすることができる。画素信号の伝送遅延や歪みによるノイズ信号が発生しない。それほど精度が要求されない場合、高速AD変換が実現できる。アナログ、デジタル両変調方式が適用できる。システム化した際の電気信号処理が楽になる。
[作用:再生系]
再生系の色彩三次元画像再生部910では、レーザパネル光源部から放射されたレーザ光を、再生系信号処理部980による再生信号処理に従ってマトリクス型表示パネルや変調偏光層などを透過させる。これにより、カラーの三次元像が空間に再生されて観察される。ここで、半導体レーザより放出される左右別かつRGB別の波長は撮像の際に使用した半導体レーザのRGB放射波長と同じであることが望ましい。
再生系の色彩三次元画像再生部910では、レーザパネル光源部から放射されたレーザ光を、再生系信号処理部980による再生信号処理に従ってマトリクス型表示パネルや変調偏光層などを透過させる。これにより、カラーの三次元像が空間に再生されて観察される。ここで、半導体レーザより放出される左右別かつRGB別の波長は撮像の際に使用した半導体レーザのRGB放射波長と同じであることが望ましい。
色彩三次元画像再生部910は、sinωt成分表示層とcosωt成分表示層を具備するものとする。sinωt成分表示層では再生像信号のsin成分に相当するデジタル処理された電気信号に基づき表示される。cosωt成分表示層では再生像信号のcos部に相当するデジタル処理された電気信号に基づき表示される。
つまり、式(5)で示したように、再生系信号処理部980での再生信号処理においては、sinωt成分とcosωt成分の別にデータを取得する。そして、マトリクス型表示パネルのsinωt成分表示層は三次元画像情報を伴うsinωt成分のデータで、cosωt成分表示層は三次元画像情報を伴うcosωt成分のデータで表示駆動する。このとき、正しく立体像を再生させるために、画像情報を有したsin成分の光波とcos成分の光波を、偏光方向を揃えて重畳させるようにする。
<電気信号処理:第1実施形態>
図12〜図12Aは、電気信号処理系統の第1実施形態を説明する図である。ここで、図12は、第1実施形態の電気信号処理系統の構成図である。図12Aは、三次元画像信号処理部6が取り扱う信号波形の概要図である。
図12〜図12Aは、電気信号処理系統の第1実施形態を説明する図である。ここで、図12は、第1実施形態の電気信号処理系統の構成図である。図12Aは、三次元画像信号処理部6が取り扱う信号波形の概要図である。
第1実施形態の電気信号処理系統は、撮像部5として、CCD固体撮像装置やCMOSセンサなどのXYアドレス型の固体撮像装置など種類を問わない汎用タイプの構成である。撮像部5の後段には、撮像信号処理部600Aと周波数分離処理部602Aを備えた三次元画像信号処理部6Aが配置されている。撮像部5の画素からは撮像信号S5(画素信号電圧Vx)が出力される。
すなわち、光学レンズ系3aを透過した物体情報を伴ったインコヒーレント光W1_ICHが、光源部150および光変調部160の作用を受けて、光学信号処理部3bでコヒーレント変換され、三次元画像撮像装置2について前述した光学信号処理が施される。三次元画像撮像装置2で生成されたコヒーレントなホログラム形成光CH(物体光と参照光)は、撮像部5に入射して、撮像部5の撮像面上に、RGBの各干渉縞よりなるカラーホログラムを形成する。撮像部5では、そのカラーホログラムを電子的に撮像することで、各画素では光電変換がなされカラーホログラムを表わす電気信号(撮像信号S5)に変換し、三次元画像信号処理部6に供給する。
ここで、ホログラム形成光CHには、色彩立体像を表わすR,G,Bの各波長成分が含まれており、撮像部5により撮像されるカラーホログラムは、RGBの各干渉縞が合成されたもの(RGB重畳変調光信号と称する)である。したがって、撮像部5で取得される撮像信号S5は、変調R画素信号と変調G画素信号と変調B画素信号が重畳しているものである。以下では、変調R画素信号と変調G画素信号と変調B画素信号を纏めて変調RGB画素信号とも称する。
撮像信号処理部600Aは、たとえばAGC(自動利得調整)回路やCDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)処理などを有し、アナログ処理により変調RGB画素信号を処理することでRGB重畳変調画像信号S6を取得する。
撮像部5から出力される撮像信号は、たとえばフローティングデフュージョンアンプ構成の出力アンプから出力されるものとする。その撮像信号は、リセットレベル(フィードスルーレベル)と信号レベルが画素ごとに繰り返されたものとなっており、リセットレベルと信号レベルの差が受光量に対応した信号成分である。撮像信号処理部600Aでは、たとえばCDS処理によりこの信号成分を取得する。
周波数分離処理部602Aは、撮像信号処理部600Aで取得されたRGB重畳変調画像信号S6に基づき、三次元画像撮像装置2で適用しているRGB別の変調周波数に着目した周波数分離処理によりR,G,B別の画像信号を取得する。この際、アナログ信号をデジタルデータに変換(AD変換)する。このため、周波数分離処理部602Aは、サンプルホールド部630(S&H)とAD変換部650をR,G,Bの系統別に備えている。
なお、好ましくは、サンプルホールド部630の前段に、RGB別の変調周波数に対応した帯域制限処理部620を設ける。帯域制限処理部620としては、変調周波数に対応した周波数成分を通過させるバンドパスフィルタ(BPF)や変調周波数に対応した周波数成分以外を減衰させるバンドエリミネーションフィルタ(BEF)を使用する。また、好ましくは、AD変換前にAD変換クロックの1/2に帯域制限するアンチエイリアス処理部622を設ける。アンチエイリアス処理部としてはローパスフィルタ(LPF)を使用する。
AD変換部650は、撮像信号処理部600Aから出力されるアナログのRGB重畳変調画像信号S6をデジタルのホログラムデータD650に変換する。変換されたホログラムデータD650は、図示しないその他の処理回路(カメラ信号処理部など)を経てそれぞれ対応するデータ処理が施され、外部(たとえば記録再生装置)に出力される。
撮像部5がCCD型などのように画素信号が水平転送レートで順次出力されるものである固体撮像装置の場合は、AD変換部650としては高速変換処理に対応するもの(たとえばフラッシュ型)を使用するのがよい。撮像部5がXYアドレス型であってカラム読出方式を適用する固体撮像装置である場合、AD変換部650としては参照信号比較型のAD変換方式を適用することができる。
周波数分離処理部602Aでは、RGB重畳変調画像信号S6について、ホログラム形成光CHに含まれている色彩立体像を表わすR,G,Bの各波長成分にそれぞれ対応するように、R,G,Bの成分に分けてアナログ信号処理やデジタルデータ処理を行なう。そのために、RGB別のサンプルホールドパルスSH、AD変換クロックCKAD_1が制御信号生成部994から供給される。
光変調部160には、RGBコヒーレント光(物体光および/または参照光)を異なる変調角周波数ωR ,ωG ,ωB (変調周波数fR ,fG ,fB )でそれぞれ変調するような変調信号が変調信号源部162から印加されている。また、AD変換部650には、好ましくは、同じ変調角周波数ωR ,ωG ,ωB のAD変換クロックCKAD_1が、コヒーレント光の変調信号と同期するように印加される。このような同期法は、変調信号に対する検波と復調を同時に行なっているとみなすことができる。
RGB重畳変調画像信号S6は、RGBコヒーレント光の変調周波数に等しい周波数のAD変換クロックCKAD_1でAD変換部650によりデジタルデータであるホログラムデータD_750に変換される。RGBコヒーレント光の変調周波数に等しい周波数のAD変換クロックCKAD_1でAD変換部650によりデジタルデータであるホログラムデータD_750に変換されることになる。RGB重畳変調画像信号S6における、ホログラム形成光CHに含まれている色彩立体像を表わすR,G,Bの各波長成分と対応する各色光信号(R光信号、G光信号、B光信号)が、それぞれ正確にデジタルデータに変換される。
周波数fR ,fG ,fB のAD変換クロックCKAD_1でAD変換する際に、サンプリング定理から、折返し効果を除去することが必要になる。そのため、アンチエイリアス処理部622(LPF)により、入力される各色光信号の帯域をAD変換クロックCKAD_1の周波数(fR ,fG ,fB )の1/2になるように予め制限しておく。
サンプルホールド部630では、サンプルホールドパルスSHに基づき、入力されたRGB重畳変調画像信号S6のピーク値をサンプリングして、AD変換処理に必要な短時間保持する。ピーク値を正確に保持するために、信号処理パルス発生部994cは、サンプルホールドパルスSH_R,SH_G,SH_Bに関して、好ましくは、その周波数、位相、同期の有無などを管理する。最適な状態は、同一周波数で、位相同期をとり、かつ、パルスのアクティブ期間が入力されたアナログ信号のピーク点と一致する状態である。
たとえばRGB光を異なる周波数で光変調していないと、たとえばG光のサンプリング周波数で駆動するサンプルホールド部630_GはR光やB光に相当する画像信号が来てもGのサンプリング周波数で処理してしまう。そのため、G光の画像信号のみをGのサンプリング周波数で処理するようにするためには、G光の変調周期とサンプルホールド部630_Gに供給するサンプルホールドパルスSH_Rの周期を一致させて同期をとる必要がある。
このように、第1実施形態では、撮像部5に使用される信号電荷生成部(フォトダイオード部)はRGB光変調信号が重畳された形(白色光)で受光し、これを光電変換する。また、アンチエイリアス処理部622にてAD変換クロックCKAD_1の1/2に帯域制限する。そのため、RGB情報を変調周波数の形で重畳させて一緒に転送することができ、同じ転送速度なら従来のモザイク型RGB画素よりも多くの情報量を転送することができ、高解像度になる。各画素が周波数変調されたRGB情報を受光するため、1つの画素でRGB3情報が得られるため、高解像度になるからである。転送あるいは伝送後の信号はサンプリング定理より復元可能である。
ここで、三次元画像撮像装置2側に適用されるRGB用の変調角周波数ωR ,ωG ,ωB (変調周波数fR ,fG ,fB )の各変調信号は、撮像部5(固体撮像装置)のフレーム周波数の整数倍または水平駆動周波数の整数倍にするのがよい。
撮像部5で受光した画素信号は電気的に変調しており、時間的RGBで(=変調周波数で)コーディングされている。RGB像信号はRGBの各変調周波数を中心にある帯域幅の中に分布するが、ノイズ光は周波数空間に一様に分布する。
このため、ノイズ光は電気信号処理で除去できる。RGBに対しては既に時間的にコーディングされているため、改めて空間的な周期性でコーディングされたモザイク光学フィルタを使用する必要がない。
さらに、三次元画像撮像装置2側の変調周波数と電気信号処理系統のフレーム周波数や水平駆動周波数の間に比例関係を持たせることで、AD変換などの信号処理が適切になされる。
また、AD変換時にRGB別の3つのAD変換クロックCKAD_1(基本CLK周波数)を用い、これらの周波数と三次元画像撮像装置2側のRGB変調周波数を同じにする。同じにしない場合は、RGB別の3つのAD変換クロックCKAD_1を光変調周波数の整数倍にする。
好ましくは、RGB別の3つのAD変換クロックCKAD_1と光変調周波数をそれぞれ同期させる。たとえるならば、高速度ストロボ撮影時の行為と類似であり、タイミングがずれていると静止状態の映像が撮れないが、同期させると静止状態の映像が撮れる。
これらによって、当該信号のみを正しくAD変換し、遅延によるノイズも発生しないようにすることができる。画素信号の伝送遅延や歪みによるノイズ信号が発生しない。それほど精度が要求されない場合、高速AD変換が実現できる。アナログ、デジタル両変調方式が適用できる。システム化した際の電気信号処理が楽になる。
<電気信号処理:第2実施形態>
図12Bは、電気信号処理系統の第2実施形態を説明する図である。第2実施形態の電気信号処理系統は、撮像部5として、CMOSセンサなどのXYアドレス型のもので、特に「カラム読出方式」を採用する場合に好適な構成である。
図12Bは、電気信号処理系統の第2実施形態を説明する図である。第2実施形態の電気信号処理系統は、撮像部5として、CMOSセンサなどのXYアドレス型のもので、特に「カラム読出方式」を採用する場合に好適な構成である。
「カラム読出方式」とは、列並列出力方式とも称され、一行分の画素信号を一斉に垂直方向に読み出す方式である。
撮像部5の後段には、撮像信号処理部600Bと周波数分離処理部602Bを備えた三次元画像信号処理部6Bが配置されている。撮像信号S5が三次元画像信号処理部6Bに供給されるまでは第1実施形態と同様である。三次元画像信号処理部6Bでは、撮像信号S5が一行ごとに順次読み出される。
XYアドレス型の固体撮像装置では、たとえば、画素トランジスタが2次元行列状に多数配列されて画素部が構成され、ライン(行)ごとあるいは画素ごとに入射光に対応する信号電荷の蓄積が開始され、その蓄積された信号電荷に基づく電流または電圧の信号がアドレス指定によって各画素から順に読み出される。ここで、MOS(CMOSを含む)型においては、アドレス制御の一例として、一行分を同時にアクセスして行単位で画素信号を画素部から読み出すカラム読出方式が多く用いられている。画素部から読み出されたアナログの画素信号は、必要に応じて、アナログ−デジタル変換装置(AD変換装置/ADC:Analog Digital Converter)にてデジタルデータに変換する。このため、種々のAD変換の仕組みが提案されている。
AD変換方式としては、回路規模や処理速度(高速化)や分解能などの観点から様々な方式が考えられているが、一例として、参照信号比較型のAD変換方式がある。なお、参照信号比較型は、スロープ積分型あるいはランプ信号比較型などとも称される。参照信号比較型のAD変換方式では、デジタルデータに変換するための電圧比較用に、漸次値の変化するいわゆるランプ状の参照信号(ランプ波:ある決められた振幅・傾きを持つもの:階段波でもよい)を使用する。そして、アナログの単位信号と参照信号を比較するとともに、比較処理結果に基づくカウント動作有効期間にカウント処理を行なうことで得られるカウント値に基づいて単位信号のデジタルデータを取得する。参照信号比較型のAD変換方式と前述のカラム読出方式を組み合わせた方式(カラムAD方式と称する)にすることで、画素からのアナログ出力を列並列に低帯域でAD変換ができ、高画質と高速を両立するイメージセンサに適しているといえる。
ここで示す第2実施形態の電気信号処理系統に着目した構成図においても、参照信号比較型のAD変換方式を適用する場合で示す。
画素信号のAD変換時に使用されるAD変換クロックCKAD_0については、第1実施形態の周波数分離処理時に使用されるAD変換クロックCKAD_1とは異なり、三次元画像撮像装置2側の光変調周波数と同一周波数にすることや同期させることは基本的には要件とならない。概ね、一水平走査期間がAD変換期間になり、その間のAD変換レンジやビット分解能を勘案して、AD変換クロックCKAD_0の周波数や参照信号の振幅や傾きを設定すればよい。AD変換クロックCKAD_0としては計数用のカウントクロックCKcnt1と参照信号生成用のカウントクロックCKdac_0 の2種を使用する。
撮像信号処理部600Bは、参照信号比較型のAD変換処理を行なうAD変換部670とAD変換用の参照信号SLP を生成する参照信号生成部680を備える。図示しないがAD変換部670は、比較部とカウンタ部を有する。
参照信号比較型AD変換方式を採用する場合に、考え方としては、参照信号生成部680も列並列で(画素列ごとに)設けることも考えられる。たとえば、各画素列に比較器と参照信号発生器を設け、自列の比較器の比較結果を基に、逐次、参照信号の値を対応する列の参照信号発生器で変化させていく構成を採る場合である。しかしながらこれでは回路規模や消費電力が増える。そこで、本実施形態では、参照信号生成部680を全列共通に使用する構成を採り、参照信号生成部680から発生される参照信号SLP_ADC を各画素列のAD変換部670が共通に使用する構成にする。
図示しないが、参照信号生成部680は、DA変換部(DAC;Digital Analog Converter)を有し、初期値からカウントクロックCKdac_0 に同期して、指定された傾き(変化率)の参照信号SLP_ADC を生成する。カウントクロックCKdac_0 はAD変換部650(のカウンタ部)用のカウントクロックCKcnt_0 と同一にしてもよい。参照信号SLP_ADC は、全体的にある傾きを持って線形に変化する波形を持つものであればよく、その変化が滑らかなスロープ状を呈するものであってもよいし、階段状に順次変化するものであってもよい。
参照信号比較型のAD変換に当たっては、比較部による参照信号SLP_ADC と画素信号電圧Vxとの比較結果に基づいてカウント動作有効期間Ten(その期間を示す信号をカウントイネーブル信号ENと称する)を決定し、カウントイネーブル信号ENがアクティブな期間のカウントクロックCKcnt1のクロック数に基づきアナログの処理対象信号をデジタルデータに変換する。
基準レベル(リセットレベルSrst )についての処理をプリチャージ相(P相と省略して記すこともある)の処理と称し、信号レベルSsig についての処理をデータ相(D相と省略して記すこともある)の処理と称する。P相の処理後にD相の処理を行なう場合、D相の処理はリセットレベルSrst に信号成分Vsig を加えた信号レベルSsig についての処理となる。
カウント動作有効期間Tenとしては、AD変換部670にてP相レベルとD相レベルとの間の差分処理を行なう場合には、たとえば一般的には、各相の処理時に何れも、カウント開始を参照信号SLP_ADC の変化開始時点としカウント終了を参照信号SLP_ADC と処理対象信号電圧とが一致する時点(事実上は交差する時点:以下同様)とする第1処理例を採り得る。P相・D相の何れのAD変換処理時にも、比較出力Coの変化点に対して前半でカウントを行なう方式(前半カウント方式と称する)である。
この場合、1画素の信号成分Vsig のデジタルデータDsig を取得するためのP相・D相のカウント処理において、カウンタを、ダウンカウント動作とアップカウント動作を切り替えて動作させると、CDS処理も同時に実現でき効率的である。すなわち、P相処理で得られる信号レベルSsig のデジタルデータをDrst 、信号成分Vsig のデジタルデータをDsig とすると、D相処理で得られるデジタルデータはDrst +Dsig となる。ここで、P相・D相でカウントモードを異ならせるとDrst +Dsig −Drst =Dsig (あるいはその負の値)の演算結果がD相処理後に自動的に取得される。P相・D相の差分処理を、カウント動作有効期間Tenを同一(前半カウント方式)にしたまま、カウントモードを異ならせることで、実現する方式とも言える。
なお、第1処理例に対する変形例として、P相・D相の何れのAD変換処理時にも、比較出力Coの変化点に対して後半でカウントを行なう方式(後半カウント方式と称する)を採ることもできる。この場合にも、P相・D相の差分処理を、カウント動作有効期間Tenを同一(後半カウント方式)にしたまま、カウントモードを異ならせることで、実現する方式にすることもできる。
あるいは、AD変換部670にてP相レベルとD相レベルとの間の差分処理を行なう場合に、各相の処理の何れか一方は、カウント開始を参照信号SLP_ADC の変化開始時点としカウント終了を参照信号SLP_ADC と処理対象信号電圧とが一致する時点とするが、他方はカウント開始を参照信号SLP_ADC と処理対象信号電圧とが一致する時点としカウント終了をその回の所望のカウント数に到達する時点(典型的には最大AD変換期間が到達した時点)とする第2処理例を採ることもできる。P相・D相の一方のAD変換処理時には比較出力Coの変化点に対して前半でカウントを行ない、P相・D相の他方のAD変換処理時には比較出力Coの変化点に対して後半でカウントを行なう、つまり、P相・D相でカウント動作有効期間Tenを前半・後半に切り分けるという方式(前後半カウント方式と称する)である。
後半カウントの考え方は、フルレンジのデジタルデータをDm、画素信号電圧VxのデジタルデータをDxとしたとき、後半カウントで得られるデータはDm−Dx(つまりDxに対しては補数)になることを利用するものである。この特質と前半カウントで得られるデータの特質(実数)を利用するのが前後半カウント方式である。この場合、カウンタは、P相・D相のカウント処理において、ダウンカウント動作とアップカウント動作の何れか一方のみで動作すればよく、この場合も、CDS処理も同時に実現できる。
すなわち、P相処理時の初期値をDini とすると、P相処理で得られるデジタルデータはDini ±Drst になり、その後のD相処理で得られるデジタルデータは{(Dini ±Drst )±(Dm−(Dsig +Drst ))}になる。“±”は、カウントモードに依存し、アップモード時は“+”、ダウンモード時は“−”である。ここで、アップモード時は、Dini =−Dmにすることで、D相処理後に−Dsig が自動的に取得されるし、ダウンモード時は、Dini =Dmにすることで、Dsig がD相処理後に自動的に取得される。P相・D相の差分処理を、カウントモードを同一にしたまま、カウント動作有効期間Tenを異ならせることで実現する方式とも言える。
考え方としては、P相処理結果とD相処理結果を独立に保持しておき、AD変換部670の後段にてP相レベルとD相レベルとの間の差分処理を行なうことも考えられる。P相データとD相データを個別に後段側に転送し、デジタル演算処理でCDS処理を行なうということである。この場合には、各相の処理時に何れも、カウント開始を参照信号SLP_ADC の変化開始時点としカウント終了を参照信号SLP_ADC と処理対象信号電圧とが一致する時点、もしくはカウント開始を参照信号SLP_ADC と処理対象信号電圧とが一致する時点としカウント終了をその回の所望のカウント数に到達する時点(典型的には最大AD変換期間が到達した時点)とする第3処理例を採ることもできる。この場合、カウンタは、P相・D相のカウント処理において、ダウンカウント動作とアップカウント動作の何れか一方のみで動作すればよい。
ここでは、3つの処理例を説明したが、本出願人は、その他にも、参照信号比較型のAD変換方式を種々提案しており、それらも任意に採用し得る。
何れの処理例においても、原理的には、コンパレータ(電圧比較器)に参照信号SLP_ADC を供給し、入力されたアナログの画素信号を参照信号SLP_ADC と比較するとともに、カウント動作有効期間Tenに入るとクロック信号でのカウント(計数)を開始することによって、指定されているカウント動作有効期間Tenにおけるクロック数をカウントすることでAD変換を行なう。
撮像信号処理部600Bは、AD変換部670による参照信号比較型のAD変換処理により取得したRGB重畳変調画像データD6を周波数分離処理部602Bに供給する。
周波数分離処理部602Bは、デジタル周波数処理部690を、R,G,Bの系統別に備える。各デジタル周波数処理部690は、撮像信号処理部600Bで取得されたRGB重畳変調画像データD6に基づき、三次元画像撮像装置2で適用しているRGB別の変調周波数に着目した周波数分離処理によりR,G,B別の画像データを取得する。
<三次元画像再生部:第1実施形態>
図13〜図13Aは、第1実施形態の三次元画像再生部800A(色彩三次元画像再生部910に対応)を説明する図である。ここで、図13は、第1実施形態の三次元画像再生部800Aの全体概要を示し、図13Aは、その詳細を説明する図である。
図13〜図13Aは、第1実施形態の三次元画像再生部800A(色彩三次元画像再生部910に対応)を説明する図である。ここで、図13は、第1実施形態の三次元画像再生部800Aの全体概要を示し、図13Aは、その詳細を説明する図である。
[全体概要]
前述の三次元画像撮像装置2により取得されたホログラム信号に基づいて正しく立体像を再生させるためには、画像情報を有したsin成分の光波とcos成分の光波を、偏光方向を揃えて重畳させる必要がある。
前述の三次元画像撮像装置2により取得されたホログラム信号に基づいて正しく立体像を再生させるためには、画像情報を有したsin成分の光波とcos成分の光波を、偏光方向を揃えて重畳させる必要がある。
この際、第1実施形態の三次元画像再生部800Aでは、変調偏光部を透過して垂直方向に偏光した光波と水平方向に偏光した光波が偏光方向をそのまま保持している場合に、45度偏光膜により両者の偏光方向を45度にすることで偏光方向を揃える構成を採る。以下、具体的に説明する。
図13に示すように、第1実施形態の三次元画像再生部800Aは、レーザパネル光源部810A、表示パネル部820A、変調偏光部830A、2光波重畳部850A、偏光方向揃え部860A、の各層を、この順に備えている。実際の装置では、これら5つの層(810A,820A,830A,850A,860A)が一体成形される。2光波重畳部850Aと偏光方向揃え部860Aにより2光波重畳出力部が構成される。
レーザパネル光源部810Aは詳細は後述するが、半導体レーザアレイ、ストライプ状の位相共役鏡、光反射層、反射鏡などを備えて構成され、側面励起方式(サイドポンピィング)が採用され、偏光方向が同一のコヒーレント光を表示パネル部820に照射する。
表示パネル部820Aは、ライン方向(行方向:横方向)に延びるストライプ状のsinωt成分表示層822とcosωt成分表示層824をライン方向と直交する方向(列方向)に交互に配列したストライプ表示方式の光透過ホログラム表示パネル層を有している。コヒーレント光を発するレーザパネル光源部810Aと、光透過型の表示パネル部820Aの組合せにより、これら全体として、コヒーレント光で表示する表示パネルを簡易かつ実現容易な構成にしているのである。原理的にはコヒーレント光で表示する自発光型にすることも考えられるが、現時点では非現実的である。
変調偏光部830Aは、偏光方向が互いに直角なライン方向に延びる細長いストライプ状の偏光層が交互に配列された構造体である。表示パネル部820Aと変調偏光部830Aで画素部840Aが構成される。変調偏光部830Aは、表示パネル部820Aの上にストライプ状の垂直偏光膜832(垂直偏光部の一例)と水平偏光層834(水平偏光部の一例)を交互に配列した偏光層を有する。変調偏光部830Aは、sinωt成分とcosωt成分の各光波を、偏光方向を90度ずらせて2光波重畳部850Aに入射させる機能を持つ。
表示パネル部820Aからストライプ状に入射されてくるsinωt成分の光波とcosωt成分の光波の何れか一方を垂直偏光とし他方を水平偏光とすればよく、その選択は自由である。たとえば、変調偏光部830Aは、ストライプ状のsinωt成分表示層822上に同一方向のストライプ状の垂直偏光膜832が配置され、ストライプ状のcosωt成分表示層824上に同一方向のストライプ状の水平偏光層834が配置されるようにする。つまり、ストライプ状の垂直偏光膜832直下の画素表示部であるsinωt成分表示層822は、前述した再生像信号のsin成分に相当するデジタル処理された電気信号が表示される。ストライプ状の水平偏光層834直下の画素表示部であるcosωt成分表示層824は、再生像信号のcos成分に相当するデジタル処理された電気信号が表示される。
2光波重畳部850Aは、詳細は後述するが、ストライプ状のマイクロプリズム層(複屈折層)を2層有して構成されている。その内の1層には、画像情報を有したsin成分の光波とcos成分の光波のそれぞれに対応したストライプ状の複屈折マイクロプリズムが各別に設けられる。2光波重畳部850Aは、各複屈折マイクロプリズムを通過したsin成分の光波とcos成分の光波がストライプ状のマイクロプリズム層に入射することで同一軸上で重畳されるように構成される。
本構成例では、レーザパネル光源部810A、表示パネル部820A、変調偏光部830A、2光波重畳部850Aの各ストライプ方向は全て同じ方向(ライン方向、行方向)である。図示しないが、レーザパネル光源部810A、表示パネル部820A、変調偏光部830A、2光波重畳部850Aの各ストライプ方向は全て列方向でもよい。ただし、これは一例であって、これらの内で、少なくとも、変調偏光部830Aと2光波重畳部850Aのストライプ方向が一致していればよく、その他は一致していることは必須でない。たとえば、偏光方向が同一のコヒーレント光を表示パネル部820Aに裏面から照射すればよく、考え方としては、レーザパネル光源部810Aと表示パネル部820Aのストライプ方向は一致していることは必須でない。また、たとえば、表示パネル部820Aのストライプ方向と、変調偏光部830Aおよび2光波重畳部850Aのストライプ方向を交差(典型的には直交)させてもよい。
偏光方向揃え部860Aは、偏光方向が45度の偏光膜(45度偏光膜862)を有している。第1実施形態では、2光波重畳部850Aを透過後も、垂直偏光膜832を透過して垂直方向に偏光したsinωt成分の光波と、水平偏光層834を透過して水平方向に偏光したcosωt成分の光波が、偏光方向をそのまま保持している。このような状況において、2光波重畳部850Aの上に偏光方向揃え部860Aを配置することで、両者の偏光方向をともに45度にして(たとえばsinωt成分の光波は+45度方向に偏光、cosωt成分の光波は−45度方向に偏光)、両者の偏光方向を同じに揃えることができる。
つまり、図の端に「偏光状態」を示すように、sinωt成分表示層822と対応する垂直偏光膜832は紙面縦方向に偏光しており、これに対して、cosωt成分表示層824と対応する水平偏光層834は紙面水平方向に偏光している。これらの変調偏光部830Aの上に、垂直偏光膜832および水平偏光層834それぞれに対して、45度の偏光角をなす偏光方向揃え部860Aがストライプ状の2光波重畳部850Aを介して全面に亘り積層されている。
ストライプ表示方式やマトリクス表示方式ではないが、垂直偏光表示層(垂直偏光膜あり)/45度偏光膜/水平偏光表示層(水平偏光膜あり)/45度偏光膜と交互に積層させた構成(参照構成と称する)にすることが考えられる。しかしながらこの場合、偏光膜を4回積層させることになり、光の利用効率はかなり落ちる。
これに対して、三次元画像再生部800Aでは、偏光方向が互いに垂直な微細なストライプ状の垂直偏光膜832と水平偏光層834を表示パネル部820A上で交互に配列し、その上に45度偏光膜862を有する偏光方向揃え部860Aを重ねる構造としている。このような構成の三次元画像再生部800Aによれば、変調偏光部830Aの垂直偏光膜832や水平偏光層834と、偏光方向揃え部860Aの45度偏光膜862による2回だけの偏光膜の透過で済むので、4回の偏光膜の透過になる参照構成よりも光の利用率を高めることができる。
なお、図示しないが、解像度を上げて表示パネル部820A(光透過ホログラム表示パネル層)のスイライプ間隔を狭くした場合は、2光波重畳部850Aは省略しても差し支えない。この場合、偏光方向揃え部860Aを透過した光を少し離れた所から見れば、垂直偏光膜832と水平偏光層834の回折光透過成分が同じ偏光方向で重畳されるため、十分立体像として鑑賞できるからである。
図13Aには、第1実施形態の三次元画像再生部800Aにおける、表示パネル部820A、変調偏光部830A、2光波重畳部850A、偏光方向揃え部860Aの1画素分の詳細構成が示されている。
2光波重畳部850Aの前面には偏光方向揃え部860Aを構成する45度偏光膜862が配置されている。
画素部840Aの1画素は、垂直偏光成分かつsinωt成分を表示する垂直偏光成分表示画素842(sinωt成分表示画素)、およびこれと対をなす水平偏光成分かつcosωt成分を表示する水平偏光成分表示画素844(cosωt成分表示画素)の組で構成される。垂直偏光成分表示画素842は、sinωt成分を表示するsinωt成分表示層822と垂直偏光膜832の各1画素分から構成され、水平偏光成分表示画素844は、cosωt成分を表示するcosωt成分表示層824と水平偏光層834の各1画素分から構成される。
2光波重畳部850Aは、sinωt成分とcosωt成分の系統別に配される複屈折マイクロプリズムを具備する第1のプリズム部852と、両系統に共通に共通に配される複屈折マイクロプリズムを具備する第2のプリズム部854を有する。
プリズム部852は、sinωt成分の系統の垂直偏光膜832上に配される楔形の複屈折マイクロプリズム852_sinとcosωt成分の系統の水平偏光膜834上に配される楔形の複屈折マイクロプリズム852_cosを有する。複屈折マイクロプリズム852_sinはストライプ状であり、その結晶の光軸は光の進行方向に対して垂直になっている。複屈折マイクロプリズム852_cosはストライプ状であり、その結晶の光軸は光の進行方向に対して水平になっている。また、複屈折マイクロプリズム852_sinの鋭角方向は光の進行方向に対して外側になり、複屈折マイクロプリズム852_cosの鋭角方向は光の進行方向に対して内側になるように配置される。
プリズム部854は、画像情報を有したsin成分の光波とcos成分の光波のそれぞれに対応した全体として直方体をなす一対の楔形の複屈折マイクロプリズム854_a,854_bを有する。複屈折マイクロプリズム854_aはストライプ状であり、その結晶の光軸は光の進行方向に対して紙面上では垂直である。複屈折マイクロプリズム854_bは、ストライプ状であり、その結晶の光軸は複屈折マイクロプリズム854_aの結晶の光軸に対して垂直である。
複屈折マイクロプリズム852_sinは、垂直偏光成分(s波)が図中右よりほぼ平行光束で入射したときに、進行方向に対し内側に屈折するように法線Z側に鈍角になっている。複屈折マイクロプリズム852_cosは、水平偏光成分(p波)が図中右より平行光束で入射したときに、内側に屈折するように法線Z側に鋭角になるように配置される。これにより、2つの光波は複屈折マイクロプリズム852_sin,852_cosにより、光の進行方向に対して共に内側に屈折し、プリズム部854に入射する。その後、プリズム部854により、2つの光波は重畳され、それぞれの偏光方向が90度違ったまま、プリズム部854の出射面AB上の同一点Kより出射する。
第1実施形態の2光波重畳部850Aは、前記説明から理解されるように、複屈折プリズムを利用した例であるが、通常の使用方法とは逆の使い方をする。すなわち、図のような構成のプリズム部854で入射側と出射側を反対にして使うと、一般的には入射する円偏光のレーザ光がプリズム透過後は、p波(水平偏光)成分とs波(垂直偏光)成分が分離され、異なる方向に出射するようになる。しかし、本構成のように、予め水平方向と垂直方向に偏光分離している2つの光波(sin成分とcos成分)をプリズム部852に入射させて同一軸上で重畳させることで、それらの重畳光波を作り出すところに大きな特徴がある。
すなわち、垂直偏光成分表示画素842を透過後のsinωt成分の光波は偏光方向が光の進行方向に対して垂直なs波となり、複屈折マイクロプリズム852_sinを透過後は屈折してその向きを変え、複屈折マイクロプリズム852_sinの鈍角方向に進む。これに対して、水平偏光成分表示画素844を透過後のcosωt成分の光波は偏光方向が光の進行方向に対して水平なp波となり、複屈折マイクロプリズム852_cosを透過後は屈折してその向きを変え、複屈折マイクロプリズム852_cosの鋭角方向に進む。これら2つの光波(s波とp波)は、光軸方向の異なる2つの複屈折マイクロプリズム854_a,854_bを透過すると、互いに重畳され、それぞれの偏光方向を維持したままプリズム部854の出射面AB上の同一点Kより出射するようになる。
<三次元画像再生部:第2実施形態>
図14〜図14Aは、第2実施形態の三次元画像再生部800B(色彩三次元画像再生部910に対応)を説明する図である。ここで、図14は、第2実施形態の三次元画像再生部800Bの全体概要を示し、図14Aは、その詳細を説明する図である。
図14〜図14Aは、第2実施形態の三次元画像再生部800B(色彩三次元画像再生部910に対応)を説明する図である。ここで、図14は、第2実施形態の三次元画像再生部800Bの全体概要を示し、図14Aは、その詳細を説明する図である。
第2実施形態の三次元画像再生部800Bは、第1実施形態の三次元画像再生部800Aに対してさらに改良を加え、2光波重畳部850Aの前面の偏光方向揃え部860Aを取り外し、変調偏光部830Bと2光波重畳部850Bの間に90度の偏光機能を持つ光学部材を具備した偏光方向揃え部860Bを配置することで、1回の偏光膜透過のみで立体表示を可能にする点に特徴がある。以下、具体的に説明する。
図14に示すように、第2実施形態の三次元画像再生部800Bは、レーザパネル光源部810B、表示パネル部820B、変調偏光部830B、偏光方向揃え部860B、2光波重畳部850B、の各層を、この順に備えている。実際の装置では、これら5つの層(810B,820B,830B,860B,850B)が一体成形される。2光波重畳部850Bと偏光方向揃え部860Bにより2光波重畳出力部が構成される。
レーザパネル光源部810Aは、第1実施形態のレーザパネル光源部810Aと同様の構成である。表示パネル部820Bは、第1実施形態の表示パネル部820Aと同様の構成である。
変調偏光部830Bは、偏光方向が互いに直角な細長いストライプ状の偏光層が交互に配列された構造体である。表示パネル部820Bと変調偏光部830Bで画素部840Bが構成される。変調偏光部830Bは、表示パネル部820Bの上にストライプ状の垂直偏光膜832と水平偏光層834を交互に配列した偏光層を有し、sinωt成分とcosωt成分の各光波を、偏光方向を90度ずらせて偏光方向揃え部860Bに入射させる機能を持つ。
たとえば、変調偏光部830Bは、ストライプ状のsinωt成分表示層822上にストライプ状の垂直偏光膜836が配置され、ストライプ状のcosωt成分表示層824上にストライプ状の水平偏光層838が配置されるようにする。つまり、ストライプ状の垂直偏光膜836直下の画素表示部であるsinωt成分表示層822は、前述した再生像信号のsin成分に相当するデジタル処理された電気信号が表示される。ストライプ状の水平偏光層838直下の画素表示部であるcosωt成分表示層824は、再生像信号のcos成分に相当するデジタル処理された電気信号が表示される。
偏光方向揃え部860Bは、一対の画素部の前面に透明な偏光作用の異なるストライプ状の光学部材をそれぞれ配置したものである。偏光方向揃え部860Bは、変調偏光部830Bの上に、偏光角を回転させる作用(偏光角回転作用)を持つストライプ状の光学部材と偏光角回転作用のないストライプ状の光学部材が画像情報を有したsin成分の光波とcos成分の光波に対応して設けられる。偏光角回転作用を持つ光学部材としては、石英などの偏光方向回転素子(90度偏光学部材866)を使用し、偏光角回転作用のない光学部材としてはガラスなど等方材料で構成され入射光の偏光方向を同じに維持する無偏光素子(透明スペーサ868)を使用する。これによって、偏光方向揃え部860Bは、sinωt成分とcosωt成分の各光波の偏光方向を同じに揃えて2光波重畳部850Bに入射させる機能を持つ。
2光波重畳部850Bは、詳細は後述するが、ストライプ状のマイクロプリズム層(複屈折層)を2層有して構成されている。その内の1層には、画像情報を有したsin成分の光波とcos成分の光波のそれぞれに対応した複屈折マイクロプリズムが各別に設けられる。2光波重畳部850Bは、各複屈折マイクロプリズムを通過したsin成分の光波とcos成分の光波がストライプ状のマイクロプリズム層に入射することで同一軸上で重畳されるように構成される。
偏光方向揃え部860Bは、sin成分の光波とcos成分の光波の何れか一方(本例ではsin成分側)に対して偏光方向が90度の偏光角回転作用を持つストライプ状の光学部材(90度偏光学部材)を有している。変調偏光部830Bの下(変調偏光部830B側)に偏光方向揃え部860Bを配置し、sin成分の光波とcos成分の光波の何れか一方(本例ではsin成分側)のみの偏光方向を90度にすることで、両者の偏光方向を同じに揃えることができる。
つまり、図の端に「偏光状態」を示すように、sinωt成分表示層822と対応する垂直偏光膜836は紙面縦方向に偏光しており、これに対して、cosωt成分表示層824と対応する水平偏光層838は紙面水平方向に偏光している。これらの変調偏光部830Bの上に、垂直偏光膜836および水平偏光層838の内の何れか一方(本例では垂直偏光膜836)のみに対して90度の偏光角をなす偏光方向揃え部860Aが積層されている。
そのため、第2実施形態の構成では、第1実施形態の偏光方向揃え部860A(45度偏光膜862)を配置する必要がない。
2光波重畳部850Bは、偏光方向揃え部860Bにより偏光方向が同じに揃えられたsin成分の光波とcos成分の光波がストライプ状のマイクロプリズム層に入射することで同一軸上で重畳されるように構成される。
本構成例では、レーザパネル光源部810B、表示パネル部820B、変調偏光部830B、偏光方向揃え部860B、2光波重畳部850Bの各ストライプ方向は全て同じ方向(ライン方向)である。図示しないが、レーザパネル光源部810B、表示パネル部820B、変調偏光部830B、偏光方向揃え部860B、2光波重畳部850Bの各ストライプ方向は全て列方向でもよい。ただし、これは一例であって、これらの内で、少なくとも、変調偏光部830Bと偏光方向揃え部860Bと2光波重畳部850Bのストライプ方向が一致していればよく、その他は一致していることは必須でない。たとえば、表示パネル部820Bのストライプ方向と、変調偏光部830B、偏光方向揃え部860B、および2光波重畳部850Bのストライプ方向を交差(典型的には直交)させてもよい。
三次元画像再生部800Bは、偏光方向が互いに垂直な微細なストライプ状の偏光層836,838を表示パネル部820B上で交互に配列し、偏光層836,838の一方のみの上に90度偏光学部材を具備した偏光方向揃え部860Bを重ねる構造としている。偏光方向揃え部860Bの90度偏光学部材866は石英などの偏光方向回転素子であり偏光方向揃え部860Aの45度偏光膜862よりは光の利用効率がよい。このような構成の三次元画像再生部800Bによれば、変調偏光部830Bの垂直偏光膜836や水平偏光層836による1回だけの偏光膜の透過で済むので、第1実施形態よりも光の利用率を高めることができる。
なお、図示しないが、解像度を上げて表示パネル部820B(光透過ホログラム表示パネル層)のスイライプ間隔を狭くした場合は、2光波重畳部850Bは省略しても差し支えない。この場合、2光波重畳部850Bを透過した光を少し離れた所から見れば、垂直偏光膜836と水平偏光層838の回折光透過成分が同じ偏光方向で重畳されるため、十分立体像として鑑賞できるからである。
図14Aには、第2実施形態の三次元画像再生部800Bにおける、表示パネル部820B、変調偏光部830B、偏光方向揃え部860B、2光波重畳部850B、の1画素分の詳細構成が示されている。
画素部840Bの1画素は、垂直偏光成分かつsinωt成分を表示する垂直偏光成分表示画素846(sinωt成分表示画素)、およびこれと対をなす水平偏光成分かつcosωt成分を表示する水平偏光成分表示画素848(cosωt成分表示画素)の組で構成される。垂直偏光成分表示画素846は、sinωt成分を表示するsinωt成分表示層822と垂直偏光膜836の各1画素分から構成され、水平偏光成分表示画素848は、cosωt成分を表示するcosωt成分表示層824と水平偏光層838の各1画素分から構成される。
垂直偏光成分表示画素846上に、偏光角を90度回転させる作用を持つ方形の材料、たとえば石英で構成された90度偏光学部材866が設置される。これに対して、水平偏光成分表示画素848上に、偏光角回転作用のない方形の等方材料、たとえばガラスで構成された透明スペーサ868が配置される。ここで、垂直偏光波(sinωt成分)が90度偏光学部材866を透過するときに、その偏光角が90度回転して水平偏光波となり、一方、水平偏光波(cosωt成分)が透明スペーサ868を透過する場合は偏光角は回転せずそのまま出射するので、2つの光波の偏光方向は何れも水平偏光の光波となる。
2光波重畳部850Bは、sinωt成分とcosωt成分の系統別に配される複屈折マイクロプリズムを具備する第1のプリズム部856、両系統に共通に配される複屈折マイクロプリズムを具備する第2のプリズム部858を有する。プリズム部856は、sinωt成分の系統の90度偏光学部材866上に配される楔形の複屈折マイクロプリズム856_sinとcosωt成分の系統の透明スペーサ868上に配される楔形の複屈折マイクロプリズム856_cosを有する。複屈折マイクロプリズム856_sin,856_cosはストライプ状であり、プリズム部856に入射する2つの光波はともに水平偏光なので、その結晶の光軸は何れも光の進行方向に対して水平になるように選択される。また、複屈折マイクロプリズム856_sin,856_cosの鋭角方向は光の進行方向に対してともに内側になるように配置される。
プリズム部858は、画像情報を有したsin成分の光波とcos成分の光波のそれぞれに対応した一対の楔形の複屈折マイクロプリズム858_a,858_bと断面が三角形の複屈折マイクロプリズム858_eを有する。複屈折マイクロプリズム858_a,858_b,858_eは何れもストライプ状である。プリズム部858は、複屈折マイクロプリズム858_a,858_bの鋭角の頂点が突き合わされ、それによって形成される凹部に複屈折マイクロプリズム858_e(の断面の三角形の部分)が突き合わされることで、全体として直方体となっている。プリズム部858_a,858_bの結晶の光軸は光の進行方向に対して紙面上では水平であり、複屈折マイクロプリズム858_eの結晶の光軸は複屈折マイクロプリズム856_a,856_bの結晶の光軸に対して垂直である。
複屈折マイクロプリズム856_sinは、90度偏光学部材866を透過した水平偏光成分(p波)が図中右よりほぼ平行光束で入射したときに、進行方向に対し内側に屈折するように法線Z側に鋭角になっている。複屈折マイクロプリズム856_cosは、透明スペーサ868を透過した水平偏光成分(p波)が図中右より平行光束で入射したときに、内側に屈折するように法線Z側に鋭角になるように配置される。これにより、2つの光波は複屈折マイクロプリズム856_sin,856_cosにより、光の進行方向に対して共に内側に屈折し、プリズム部858に入射する。その後、複屈折マイクロプリズム858により、2つの光波は重畳され、それぞれの偏光方向が同じに維持されたまま、複屈折マイクロプリズム858の出射面AB’上の同一点K’より出射する。
<三次元画像再生部:第3実施形態>
図15は、第3実施形態の三次元画像再生部800C(色彩三次元画像再生部910に対応)を説明する図である。
図15は、第3実施形態の三次元画像再生部800C(色彩三次元画像再生部910に対応)を説明する図である。
第1および第2実施形態の三次元画像再生部800A,800Bでは、表示パネル部820A,820Bがともに、ライン方向に延びたストライプ状のsinωt成分表示層822とcosωt成分表示層824を交互に配列したストライプ型表示パネルであった。
これに対して、第3実施形態の三次元画像再生部800Cは、ライン方向に関してもsinωt成分表示層とcosωt成分表示層を交互に配列するように変形してマトリクス型表示パネルにしている点に特徴がある。変調偏光部830C、2光波重畳部850C、偏光方向揃え部860C(偏光方向揃え部860Bのとき)は、第1・第2実施形態と同様にストライプ型でよい。
変調偏光部830Cは、偏光方向が互いに直角な細長いストライプ状の垂直偏光膜832と水平偏光膜834が交互に配列されている。そして、垂直偏光膜832と水平偏光膜834のそれぞれに対して、表示パネル部820Cのsinωt成分表示層822とcosωt成分表示層824がライン方向にも交互に配置される。
画素マトリクス構造は、sinωt成分かつ垂直偏光成分を表示する表示画素849_1、cosωt成分かつ垂直偏光成分を表示する表示画素849_2、cosnωt成分かつ水平偏光成分を表示する表示画素849_3、sinωt成分かつ水平偏光成分を表示する表示画素849_2、4からなる。表示画素849_1はsinωt成分を表示するsinωt成分表示層822と垂直偏光膜832,836の各1画素分から構成され、表示画素849_2はcosωt成分表示層824と垂直偏光膜832,836の各1画素分から構成され、表示画素849_3はcosωt成分表示層824と水平偏光膜834,838の各1画素分から構成され、表示画素849_4はsinωt成分表示層822と水平偏光膜834,838の各1画素分から構成される。
第3実施形態によれば、ライン方向にもsinωt成分表示層とcosωt成分表示層を交互に配列することで、表示パネル全体として全体としてsinωt成分表示層とcosωt成分表示層がマトリクス状に配列されるので立体像表示の精細度が向上する。
第3実施形態によれば、ライン方向にもsinωt成分表示層とcosωt成分表示層を交互に配列することで、表示パネル全体として全体としてsinωt成分表示層とcosωt成分表示層がマトリクス状に配列されるので立体像表示の精細度が向上する。
なお、図示しないが、変調偏光部830C、偏光方向揃え部860C、および2光波重畳部850C(偏光方向揃え部860Bのとき)のストライプ方向は、列方向であってもよい。また、変調偏光部830C(垂直偏光膜832と水平偏光膜834)、偏光方向揃え部860Cもストライプ状ではなくマトリクス状に配置してもよい。
<三次元画像再生の仕組み>
図16〜図17は、図13〜図P31に示したパネル型の三次元画像再生部800を適用した三次元画像再生表示装置801を説明する図である。ここで、図16および図16Aは、三次元画像再生表示装置801における立体画像再生の概要を説明する図であり、図17は、レーザパネル光源部810の詳細を説明する図である。
図16〜図17は、図13〜図P31に示したパネル型の三次元画像再生部800を適用した三次元画像再生表示装置801を説明する図である。ここで、図16および図16Aは、三次元画像再生表示装置801における立体画像再生の概要を説明する図であり、図17は、レーザパネル光源部810の詳細を説明する図である。
[立体画像再生の概要]
図16には、三次元画像再生表示装置801の全体概要と三次元像(立体像)の再生の仕組みが示されている。ここでは、一例として第2実施形態の三次元画像再生部800Bを適用する場合で説明する。
図16には、三次元画像再生表示装置801の全体概要と三次元像(立体像)の再生の仕組みが示されている。ここでは、一例として第2実施形態の三次元画像再生部800Bを適用する場合で説明する。
図示する三次元画像再生表示装置801は、三次元画像再生部800Bが適用されており、レーザパネル光源部810B、変調偏光部830B、偏光方向揃え部860B、2光波重畳部850Bが、この順で配置されている。
レーザパネル光源部810Bは、ストライプ方向と直交する方向に延在する半導体レーザアレイ812、ストライプ状の位相共役鏡813、ストライプ状の光反射層814、ストライプ方向と直交する方向に延在する反射鏡815などを備えて構成されている。半導体レーザアレイ812は、半導体レーザ812LDがストライプ方向と直交する方向に配列されている。
半導体レーザアレイ812と反射鏡815は、ストライプ状の位相共役鏡813と光反射層814を挟んで、ストライプ方向の互いに反対側に配置されている。位相共役鏡813と光反射層814はストライプ方向と直交する方向に交互に配置されており、位相共役鏡813が光反射層814によって隔てられた構成になっている。
半導体レーザアレイ812によって位相共役鏡813内にストライプ方向に放出されたレーザ光は、位相共役鏡813の反対側に設置された反射鏡815により反射され、位相共役鏡813を励起する。この励起方法は、側面励起方式(サイドポンピィング)であり、レーザ光は図に示されるように、ストライプ状の位相共役鏡813の前面から、位相共役鏡の性質にしたがって位相の揃ったレーザ光L_810となって放射される。レーザ光L_810は、同一位相のRGBコヒーレント放射光(円偏光)となっている。
半導体レーザアレイ812を構成する個々の半導体レーザ812LDは、パネルの縦方向(ストライプ方向と直交する方向)にR,G,B,R,G,B,…,R,G,Bと配列してもよく、または1つの素子がRGB3波長を放出するような形式のものであってもよい。半導体レーザ812LDより放出されるRGBの波長は、撮像の際に使用した光源部150の半導体レーザのRGB放射波長と同じであることが望ましい。
このようにしてレーザパネル光源部810Bの位相共役鏡813から放射されたストライプ状のレーザ光L_810が再生信号処理にしたがった表示パネル部820B、変調偏光部830B、偏光方向揃え部860B、2光波重畳部850Bを透過すると、カラー立体像801AA(三次元再生像)が再生される。
図16Aには、三次元画像再生表示装置801におけるホログラム表示による三次元像の再生の性質と特徴が表されている。通常の画像再生とは異なり、選択された画面の数行または数列の選択領域801AIを像再生に利用するだけでも、解像度は別にして、回折光801AJにより全体像(カラー立体像801AAA :三次元再生像)が再生される。
[レーザパネル光源部の詳細]
図17には、レーザパネル光源部810の詳細が示されている。ここでは、図16、図16Aに示したレーザパネル光源部810Bの断面構造が示されている。
図17には、レーザパネル光源部810の詳細が示されている。ここでは、図16、図16Aに示したレーザパネル光源部810Bの断面構造が示されている。
図16に示されるレーザパネル光源部810Bは、ストライプ状光源の集合体であり、1つのストライプ状光源のX1−X2方向の断面構造が図17(1)に示され、そのY1−Y2方向の断面構造が図17(2)に示されている。レーザパネル光源部810BのY1−Y2方向の上面視が図17(3)に示され、そのY1−Y2方向の断面構造が図17(4)に示されている。
図17(1)に示すように、スイライプ状直方体形状の位相共役鏡813のストライプ方向の一方の端部に反射鏡815が配置され、対向する他方の端部には半導体レーザアレイ812を構成する半導体レーザ812LDが配置されている。以下では、位相共役鏡813のレーザ光L_810が出射される側の面を上面、それとは反対側の面を底面とする。
図17(1),(2)に示すように、位相共役鏡813の底面に光反射膜816が形成されている。図17(2)に示すように、ストライプ方向の両端部、上面、底面を除く位相共役鏡813の残りの2面に光反射層814が配置されている。これにより、図17(4)に示すように、個々のストライプ状の位相共役鏡813と光反射層814がストライプ方向と直交する方向に交互に配置され、位相共役鏡813がストライプ方向と直交する方向に光反射層814によって分離された構成になっている。
図17(1),(2),(3),(4)に示すように、位相共役鏡813の上面に、半透明鏡817が設けられ、その上層に、方形や円形(図は方形)などの開口部818aが形成された光遮蔽膜818bを具備するアパチャー部818が設けられている。
このような構造により、図17(1)に示すようにサイドポンピィング方式が適用され、半導体レーザ812LDによって位相共役鏡813内にストライプ方向に放出されたレーザ光は、位相共役鏡813の反対側に設置された反射鏡815により反射され、位相共役鏡813を励起する。これによって、ストライプ状の位相共役鏡813の上面の各開口部818aを通して、位相共役鏡の性質にしたがって位相の揃ったレーザ光L_810となって放射される。ここで、各開口部818aから出射される各レーザ光L_810は、同一位相のRGBコヒーレント放射光(円偏光)となっている。
以上説明したように、本実施形態の仕組みによれば、フィルム形式によらない電気・光学的な色彩三次元画像の記録と再生を実現できる。特別な眼鏡などを使用せず、色彩三次元画像の鑑賞ができる仕組みが実現される。一眼式撮像装置で三次元画像の撮像と記録ができるだけでなく、左眼および右眼の視差情報を取り入れた画像信号を一つの撮像部(1チップ)上で信号処理することができる二眼式撮像装置も実現できる。撮像部に関しては、モザイク状やベイヤー配列状の光学カラーフィルタ画素アレイをチップ上に搭載しないでよい。立体像の再生系に関しては、パネル型三次元画像再生表示装置を実現できるし、プロジェクション型三次元画像再生表示装置への応用も可能である。
以上、本発明について実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は前記実施形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で前記実施形態に多様な変更または改良を加えることができ、そのような変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
また、前記の実施形態は、クレーム(請求項)に係る発明を限定するものではなく、また実施形態の中で説明されている特徴の組合せの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組合せにより種々の発明を抽出できる。実施形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
三次元画像の再生・表示という点では、先ず特許文献1〜3のように、物体光と参照光の少なくとも一方を光変調し、それによって得られる物体の三次元像を示す三次元画像信号に基づいてsinωt成分信号とcosωt成分信号を取得するものであればよい。また、sinωt成分表示部とcosωt成分表示部が同一面上に予め決められた配列順で交互に配列されている表示パネル部によりsinωt成分信号とcosωt成分信号のそれぞれについて表示を行なえばよい。さらに、表示パネル部で表示されるsnωt成分の光波とcosωt成分の光波を2光波重畳出力部により偏光方向を揃えて同一軸上で重畳させ、重畳されたsinωt成分の光波とcosωt成分の光波により三次元の画像を再生して表示するものであればよい。これらを満たす限りにおいて、モノクロ撮像・色彩撮像は不問であるし、鮮明さを求めないのであれば物体光をコヒーレント光に変換することは必須でない。単眼での撮像であるのか双眼であるのかも問わない。双眼の場合に、左右のホログラム像を、各別の撮像部で撮像するか、1つの撮像部で重畳して撮像するかも不問である。
色彩撮像と再生・表示を行なう場合に、インコヒーレントな物体光をコヒーレントな光と同軸で同方向からインコヒーレント光−コヒーレント光変換部に入射させてコヒーレントな物体光を生成することで高解像度の色彩ホログラムを撮像する仕組みでは、撮像部がモノクロ用であることは必須ではない。特許文献3のように、カラー用の走査型の撮像部で撮像してもよいし、コヒーレントな物体光と参照光をRGBの各成分に分離してRGB別の撮像部に入射させてもよい。
色彩撮像と再生・表示を行なう場合に、撮像部がモノクロ用である仕組みでは、インコヒーレントな物体光をコヒーレントな光と同軸で同方向からインコヒーレント光−コヒーレント光変換部に入射させてコヒーレントな物体光を生成することは必須ではない。特許文献3のようにインコヒーレントな物体光と参照光で色彩ホログラムを撮像する際に、特許文献3とは異なり撮像部をモノクロ用として、信号処理でRGB成分ごとの分離を行なう前記実施形態の仕組みを適用してよい。
2…三次元画像撮像装置、3…干渉光学部、4…変調信号源部、5…撮像部、6…三次元画像信号処理部、102…ICH−CH光変換素子、104…位相共役鏡、106…光変調素子、110…入射光学系、130…撮像光学系、136…ビームスプリッタ、140…超音波光変調素子、150…光源部、152…物体波光源、154…参照波光源、156…レーザ光源、160…光変調部、162…変調信号源部、500…左右像2光波重畳部、510,560…偏光子部、520,530,570…2光波重畳部、550…半透明鏡、600…撮像信号処理部、602…周波数分離処理部、620…帯域制限処理部、622…アンチエイリアス処理部、630…サンプルホールド部、650…AD変換部、670…AD変換部、680…参照信号生成部、690…デジタル周波数処理部、800…三次元画像再生部、801…三次元画像再生表示装置、810…レーザパネル光源部、820…表示パネル部、822…sinωt成分表示層、824…cosωt成分表示層、830…変調偏光部、832,836…垂直偏光膜、834,838…水平偏光膜、840…画素部、842,846…垂直偏光成分表示画素、844,848…水平偏光成分表示画素、850…2光波重畳部、852,854,856,858…プリズム部、852_cos,852_sin,854_a,854_b,856_sin,856_cos,858_a,858_b,858_e…複屈折マイクロプリズム、860…偏光方向揃え部、862…45度偏光膜、866…90度偏光学部材(偏光方向回転素子)、868…透明スペーサ(無偏光素子)、900…三次元画像撮像再生装置、901…三次元画像情報取得再生システム、910…色彩三次元画像再生部、980…再生系信号処理部、990…周辺回路部、998…データ記憶部、BJ…物体
Claims (18)
- 物体光およびコヒーレントな参照光の少なくとも一方が予め定められた周波数の変調信号で変調されている前記参照光と前記物体光を偏光方向を揃え同軸になるようにして撮像部に入射させることで前記参照光と前記物体光の間で干渉され前記撮像部の撮像面上に形成された干渉縞を前記撮像部で撮像することで得られる物体の三次元像を示す三次元画像信号に基づいて、時間的な変調項としてのsinωt成分信号とcosωt成分信号を取得する再生系信号処理部と、
前記再生系信号処理部で取得されたsinωt成分信号に基づいて表示を行なうsinωt成分表示部と、前記再生系信号処理部で取得されたcosωt成分信号に基づいて表示を行なうcosωt成分表示部が同一面上に予め決められた配列順で交互に配列されている表示パネル部と、
前記表示パネル部で表示されるsinωt成分の光波とcosωt成分の光波を、偏光方向を揃えて同一軸上で重畳させ、重畳されたsinωt成分の光波とcosωt成分の光波を出力する2光波重畳出力部と、
を備え、
三次元の画像を再生して表示する三次元画像再生表示装置。 - 前記表示パネル部は光透過型のものであり、
前記表示パネル部の前記sinωt成分表示部と前記cosωt成分表示部に偏光方向が同一のコヒーレント光を照射する光源部を備える
請求項1に記載の三次元画像再生表示装置。 - 前記表示パネル部は、それぞれ表示面の行方向または列方向に延在したストライプ状の前記sinωt成分表示部とストライプ状の前記cosωt成分表示部が、ストライプ方向と直交する方向に交互に配列されている
請求項1または2に記載の三次元画像再生表示装置。 - 前記表示パネル部は、前記sinωt成分表示部と前記cosωt成分表示部が、表示面の行方向および列方向のそれぞれに交互に配列されている
請求項1または2に記載の三次元画像再生表示装置。 - 前記表示パネル部上には、前記sinωt成分表示部と前記cosωt成分表示部の何れか一方には出力される光波の偏光方向を垂直方向にする垂直偏光部が設けられ、前記sinωt成分表示部と前記cosωt成分表示部の他方には出力される光波の偏光方向を水平方向にする水平偏光部が設けられた変調偏光部を備える
請求項1〜4の内の何れか一項に記載の三次元画像再生表示装置。 - 前記2光波重畳出力部は、
前記垂直偏光部から出力された垂直偏光の光波と前記水平偏光部から出力された水平偏光の光波を同軸で重畳する2光波重畳部と、
前記2光波重畳部から同軸で出力された垂直偏光の光波と水平偏光の光波の偏光方向を同一軸上で同一に揃える偏光方向揃え部と、
を有する請求項5に記載の三次元画像再生表示装置。 - 前記2光波重畳部は、前記変調偏光部のストライプ方向に延在するように前記垂直偏光部と前記水平偏光部のそれぞれに対して設けられたストライプ状の複屈折マイクロプリズムを具備する第1のプリズム部と、前記変調偏光部のストライプ方向に延在し前記第1のプリズム部の各複屈折マイクロプリズムからの垂直偏光の光波と水平偏光の光波を同一軸で重畳する複数のストライプ状の複屈折マイクロプリズムの組合せで構成された第2のプリズム部を有する
請求項6に記載の三次元画像再生表示装置。 - 前記2光波重畳出力部は、
前記垂直偏光部から出力された垂直偏光の光波と前記水平偏光部から出力された水平偏光の光波の偏光方向を同一に揃える偏光方向揃え部と、
前記偏光方向揃え部から出力された2つの光波を同軸で重畳する2光波重畳部と、
を有する請求項5に記載の三次元画像再生表示装置。 - 前記偏光方向揃え部は、前記変調偏光部のストライプ方向に延在するように設けられ前記垂直偏光の光波と前記水平偏光の光波の何れか一方の偏光方向を他方の偏光方向に揃えるストライプ状の偏光方向回転素子と前記垂直偏光の光波と前記水平偏光の光波の他方の偏光方向を同じに維持するストライプ状の無偏光素子を有し、
前記2光波重畳部は、前記変調偏光部のストライプ方向に延在するように前記偏光方向回転素子と前記無偏光素子のそれぞれに対して設けられたストライプ状の複屈折マイクロプリズムを具備する第1のプリズム部と、前記変調偏光部のストライプ方向に延在し前記第1のプリズム部の各複屈折マイクロプリズムからの偏光方向が同一の光波を同一軸で重畳する複数のストライプ状の複屈折マイクロプリズムの組合せで構成された第2のプリズム部を有する
請求項8に記載の三次元画像再生表示装置。 - 物体光およびコヒーレントな参照光の少なくとも一方が予め定められた周波数の変調信号で変調されている前記参照光と前記物体光を偏光方向を揃え同軸になるようにして撮像部に入射させることで前記参照光と前記物体光の間で干渉され前記撮像部の撮像面上に形成された干渉縞を前記撮像部で撮像することで得られる物体の三次元像を示す三次元画像信号に基づいて、時間的な変調項としてのsinωt成分信号とcosωt成分信号を取得する再生系信号処理工程と、
前記sinωt成分信号に基づいて表示を行なうsinωt成分表示部と前記cosωt成分信号に基づいて表示を行なうcosωt成分表示部が同一面上に予め決められた配列順で交互に配列されている表示パネル部により前記sinωt成分信号に基づいて表示を行なうとともに前記cosωt成分信号に基づいて表示を行なう表示工程と、
前記表示パネル部で表示されるsinωt成分の光波とcosωt成分の光波を、偏光方向を揃えて同一軸上で重畳させ、重畳されたsinωt成分の光波とcosωt成分の光波により三次元の画像を再生して表示する再生表示工程と、
を備える三次元画像再生表示方法。 - 物体光およびコヒーレントな参照光の少なくとも一方について予め定められた周波数の変調信号で変調する光変調部と、
走査型の撮像部と、
少なくとも一方が前記光変調部により変調されている前記参照光と前記コヒーレントな物体光を、偏光方向を揃え、同軸になるようにして、前記撮像部に入射させることで、前記参照光と前記コヒーレントな物体光の間で干渉させて前記撮像部の撮像面上に干渉縞を形成させる撮像光学系と、
前記干渉縞を前記撮像部で撮像することで得られる撮像信号に基づき、物体の三次元像を示す三次元画像信号を取得する三次元画像信号処理部と、
前記三次元画像信号処理部で得られた三次元画像信号に基づいて、時間的な変調項としてのsinωt成分信号とcosωt成分信号を取得する再生系信号処理部と、
前記再生系信号処理部で取得されたsinωt成分信号に基づいて表示を行なうsinωt成分表示部と、前記再生系信号処理部で取得されたcosωt成分信号に基づいて表示を行なうcosωt成分表示部が同一面上に予め決められた配列順で交互に配列されている表示パネル部と、
前記表示パネル部で表示されるsinωt成分の光波とcosωt成分の光波を、偏光方向を揃えて同一軸上で重畳させ、重畳されたsinωt成分の光波とcosωt成分の光波を出力する2光波重畳出力部と、
を備えた三次元画像情報取得再生システム。 - コヒーレントな白色光を発する光源と、
前記光源からの前記コヒーレントな白色光を二分する分岐部と、
コヒーレントな物体光を生成するインコヒーレント光−コヒーレント光変換部と、
物体からの色彩三次元情報を有するインコヒーレントな物体光と前記分岐部で分岐された一方の分割光を同軸上で同じ方向より前記インコヒーレント光−コヒーレント光変換部に入射させる入射光学系と、
を備え、
前記光変調部は、前記分岐部で二分して得られる他方の分割光を参照光とし、前記コヒーレントな物体光および参照光の少なくとも一方について、色彩ホログラムを形成する複数の色彩波長成分を相互に異なる周波数の変調信号で変調する
請求項11に記載の三次元画像情報取得再生システム。 - 前記撮像部は、色分離フィルタが形成されていないモノクロ用のものであり、
前記撮像光学系は、色彩波長成分ごとの物体光を、前記参照光と偏光方向を揃え同軸になるようにして前記撮像部に入射させることで、前記参照光と前記コヒーレントな色彩波長成分ごとの物体光の間で干渉させて前記撮像部の撮像面上に色彩波長成分ごとの干渉縞を重畳して形成させ、
前記三次元画像信号処理部は、前記干渉縞を前記撮像部で撮像することで得られる三次元画像信号に基づき、前記色彩波長成分ごとの干渉縞のそれぞれに対応する色彩ホログラム情報信号を取得する
請求項12に記載の三次元画像情報取得再生システム。 - 前記光変調部は、物体光および参照光の少なくとも一方について、色彩ホログラムを形成する複数の色彩波長成分を相互に異なる周波数の変調信号で変調し、
前記撮像部は、色分離フィルタが形成されていないモノクロ用のものであり、
前記撮像光学系は、少なくとも一方が前記光変調部により変調されている前記参照光と色彩波長成分ごとの前記物体光を、偏光方向を揃え、同軸になるようにして、前記撮像部に入射させることで、前記参照光と前記色彩波長成分ごとの物体光の間で干渉させて前記撮像部の撮像面上に色彩波長成分ごとの干渉縞を重畳して形成させ、
前記三次元画像信号処理部は、前記干渉縞を前記撮像部で撮像することで得られる三次元画像信号に基づき、前記色彩波長成分ごとの干渉縞のそれぞれに対応する色彩ホログラム情報信号を取得する
請求項11に記載の三次元画像情報取得再生システム。 - コヒーレントな白色光を発する光源と、
前記光源からの前記コヒーレントな白色光を二分する分岐部と、
コヒーレントな物体光を生成するインコヒーレント光−コヒーレント光変換部と、
物体からの色彩三次元情報を有するインコヒーレントな物体光と前記分岐部で分岐された一方の分割光を同軸上で同じ方向より前記インコヒーレント光−コヒーレント光変換部に入射させる入射光学系と、
を備え、
前記光変調部は、前記分岐部で二分して得られる他方の分割光を参照光とし、前記コヒーレントな物体光および参照光の少なくとも一方について、色彩ホログラムを形成する複数の色彩波長成分を相互に異なる周波数の変調信号で変調し、
前記撮像光学系は、少なくとも一方が前記光変調部により変調されている前記参照光と前記コヒーレントな物体光を、偏光方向を揃え、同軸になるようにして、前記撮像部に入射させることで、前記参照光と前記コヒーレントな物体光の間で干渉させて前記撮像部の撮像面上に干渉縞を形成させる
請求項14に記載の三次元画像情報取得再生システム。 - 物体からの三次元情報を有する像情報光を左成分と右成分の別に取り込む入射光学系を備え、
前記撮像光学系は、2つの光波を重畳する2光波重畳部を具備し、前記像情報光と対応する物体光および/またはコヒーレントな参照光の左成分と右成分を前記2光波重畳部に入射させることで、前記左成分と前記右成分を同一軸上にて重畳して2光波重成分を取得し、前記2光波重成分を前記撮像部に入射させることで、互いに偏光方向が同じ成分同士を同軸上で干渉させて前記撮像部の撮像面上に干渉縞を形成させる
請求項11〜15の内の何れか一項に記載の三次元画像情報取得再生システム。 - 各機能部が同一の筐体に収容されている
請求項11〜16の内の何れか一項に記載の三次元画像情報取得再生システム。 - 物体光およびコヒーレントな参照光の少なくとも一方について予め定められた周波数の変調信号で変調し、
少なくとも一方が変調されている前記参照光と前記物体光を偏光方向を揃え同軸になるようにして撮像部に入射させることで、前記参照光と前記物体光の間で干渉させて前記撮像部の撮像面上に干渉縞を形成させることで物体の三次元像を示す画像信号を取得し、
前記物体の三次元像を示す画像信号に基づいて、時間的な変調項としてのsinωt成分信号とcosωt成分信号を取得し、
前記sinωt成分信号に基づいて表示を行なうsinωt成分表示部と前記cosωt成分信号に基づいて表示を行なうcosωt成分表示部が同一面上に予め決められた配列順で交互に配列されている表示パネル部により前記sinωt成分信号に基づいて表示を行なうとともに前記cosωt成分信号に基づいて表示を行ない、
前記表示パネル部で表示されるsinωt成分の光波とcosωt成分の光波を、偏光方向を揃えて同一軸上で重畳させ、重畳されたsinωt成分の光波とcosωt成分の光波により三次元の画像を再生して表示する
三次元画像情報取得再生方法。
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