JP2017075417A - 複合杢加工糸及びその製造方法 - Google Patents

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徹治 大林
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【課題】トップ杢調のナチュラルな色合い外観及びふくらみ感と反発感やドレープ性のある独特な風合いを表現する事ができる複合杢加工糸及びその製造方法を提供することを技術的な課題とするものである。【解決手段】単繊維繊度が1〜8dtexのカチオン染料可染性捲縮フィラメント糸と,単繊維繊度が2〜6dtexのカチオン染料不染性のサイドバイサイド型捲縮フィラメント糸を含む混繊交絡糸であって、該混繊交絡糸のカチオン染料可染性捲縮フィラメント糸の占有率が50〜70%であり、交絡数が100〜180個/mであり、捲縮率が3〜10%である複合杢加工糸。【選択図】図1

Description

本発明は、複合杢加工糸及びその製造方法に関するものであり、さらに詳しくはカチオン染料可染性捲縮フィラメント糸とカチオン染料不染性のサイドバイサイド型捲縮フィラメント糸を特定の混繊比率とし、且つ低捲縮とすることで、トップ杢調のナチュラルな色合い外観及びふくらみ感と反発感やドレープ性のある独特な風合いを表現することができる複合杢加工糸及びその製造方法に関するものである。
複合杢調加工糸は暖かみのある色調外観から、婦人アウター、メンズスラックス等に幅広く用いられている。これらの複合杢調加工糸としては、特許文献1には、カチオン染料可染性のポリエステル高配向未延伸糸(カチオンPOY)に弛緩熱処理を施して太細斑を付与した糸条Aと、カチオン染料不染性のポリエステル高配向未延伸糸に熱延伸仮撚加工を施し捲縮を付与した糸条Bとのタスラン混繊杢調交絡糸とした杢調嵩高加工糸が開示されている。特許文献2には、コンジュゲート糸(サイドバイサイド型の高配向未延伸糸)を熱延伸した後、カチオン可染糸を含むポリエステル高配向未延伸糸と特定の条件下にて同時延伸仮撚加工を施して混繊交絡処理した複合仮撚糸は、織編物にした時に優れた膨らみ感、ストレッチ性、緻密な杢感を表現することが開示されている。
特開2002−115140号公報 特願2014−72448号公報
しかしながら、特許文献1の加工糸は、仮撚による捲縮特性は有するもののタスラン加工が施された強交絡糸であることから、杢外観が細か過ぎて鯖杢状態でナチュラルなトップ杢とはほど遠いものであった。特許文献2の複合仮撚糸は、高捲縮を維持した状態で延伸仮撚が施されていることから、ソフト風合いと高ストレッチ感や緻密な杢感は得られるものの、ドレープ性やナチュラルなトップ杢表現に欠けるものであった。
本発明は、このような技術の欠点を解消するものであり、カチオン染料可染性捲縮フィラメント糸とカチオン染料不染性のサイドバイサイド型捲縮フィラメント糸を特定の混繊比率とし、且つ低捲縮とすることで、トップ杢調のナチュラルな色合い外観及びふくらみ感と反発感やドレープ性のある独特な風合いを表現することができる複合杢加工糸及びその製造方法を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、例えば、特定の熱延伸処理を施したカチオン染料不染性のサイドバイサイド型ポリエステル加工糸と特定のカチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸を同時仮撚加工する際に、低張力且つ低仮撚係数である低捲縮加工条件下で仮撚加工を施して得られた複合杢加工糸が、トップ杢調のナチュラルな色合い外観及びふくらみ感と反発感やドレープ性のある独特な風合いを両立して表現することができることを本発明者は見出し、さらに検討を重ねて本発明を完成させたものである。すなわち、本発明は、以下の(1)〜(4)を要旨とするものである。
(1)単繊維繊度が1〜8dtexのカチオン染料可染性捲縮フィラメント糸と,単繊維繊度が2〜6dtexのカチオン染料不染性のサイドバイサイド型捲縮フィラメント糸を含む混繊交絡糸であって、該混繊交絡糸のカチオン染料可染性捲縮フィラメント糸の占有率が50〜70%であり、交絡数が100〜180個/mであり、捲縮率が3〜10%であることを特徴とする複合杢加工糸。
(2)筒編染色後のL*値が、ブルー染色地で30〜45であることを特徴とする(1)記載の複合杢加工糸。
(3)筒編染色後のL*値が、ブラック染色地で20〜30であることを特徴とする(1)記載の複合杢加工糸。
(4)単繊維繊度が3〜10dtexのカチオン染料不染性のサイドバイサイド型ポリエステル高配向未延伸糸YAに、延伸倍率1.4〜1.6倍、熱処理温度140〜190℃の熱延伸処理を施して得られた加工糸Aと、単糸繊度が2〜10dtexのカチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸YBとを、下記(i)〜(iv)の条件で同時仮撚加工を施して得られた複合加工糸を、混繊交絡処理することを特徴とする請求項1記載の複合杢加工糸の製造方法。
(i)0.04≦T1≦0.15
(ii)15000≦T≦20000
(iii)10%≦OF≦-5%
(iv)145≦HT≦190
ただし、T1:加撚張力(cN/dtex)、T:仮撚係数、OF:仮撚時のOF率、HT:仮撚温度(℃)である。
本発明は、カチオン染料可染性捲縮フィラメント糸とカチオン染料不染性のサイドバイサイド型捲縮フィラメント糸を特定の混繊比率とし、且つ低捲縮とすることで、トップ杢調のナチュラルな色合い外観及びふくらみ感と反発感やドレープ性のある独特な風合いを表現することができる複合杢加工糸とすることができる。
本発明の製造方法の一例を示す工程概略図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の複合杢加工糸は、少なくとも2種のマルチフィラメント糸からなる混繊交絡糸であって、カチオン染料可染性捲縮フィラメント糸とカチオン染料不染性のサイドバイサイド型捲縮フィラメント糸で構成されている。
カチオン染料可染性捲縮フィラメント糸としては、カチオン染料を染着するものであれば特に限定されないが、例えば、エチレングリコールとテレフタル酸からなるポリエチレンテレフタレートに、5−ナトリウムスルホイソフタル酸が0.5〜5モル%共重合されたものが挙げられる。5−ナトリウムスルホイソフタル酸の共重合割合を0.5〜5モル%とすることで、該フィラメント糸の紡糸性を維持しながら、布帛としたときに適度な杢調を表現することが可能となり、該共重合割合は、1.0〜3.5モル%であることがより好ましい。
カチオン染料可染性捲縮フィラメント糸の単繊維繊度は、1〜8dtexであり、1.5〜3dtexが好ましい。該単繊維繊度を1〜8dtexとすることで、単繊維が細すぎて交絡状態が緻密になったり、染着濃度が薄くなったり、混繊交絡度合が弱く流れ杢状態になることが抑えられ、トップ杢調のナチュラルな色合い外観を表現することができる。
カチオン染料不染性のサイドバイサイド型捲縮フィラメント糸としては、熱収縮性の異なる2種類のポリマーがサイドバイサイド型で接合しているものであれば特に限定されるものではなく、繊維形成性を有する公知のポリエステル重合体を任意に選択して用いることができる。例えば、繰り返し単位がエチレンテレフタレートからなるホモポリエチレンテレフタレート(ホモPET)が用いられる。その他、ポリブチレンテレフタレート、ポリテトラメチレンテレフタレートなども使用可能である。熱収縮性の異なる2種類のポリエステルが、同一のポリエステルである場合、両者の極限粘度を異なるものとすることにより、熱収縮性を異なるものとすることができる。すなわち、相対的に極限粘度の低いPETを低熱収縮性ポリエステル、極限粘度の高いPETを高熱収縮性ポリエステルとして用いることができる。
2種類のポリエステルが同一である場合、安定したストレッチ性能の観点から、極限粘度(η)の差が、0.08〜0.25であることが好ましく、0.10〜0.20であることがより好ましい。
異種のポリエステルを用いる場合、極限粘度が同じでも熱収縮性が異なる場合があり、このような場合は、必ずしも極限粘度に差を設ける必要はない。また、高熱収縮性ポリエステルの極限粘度が、低熱収縮性ポリエステルの極限粘度よりも低い場合もあり得る。例えば、高熱収縮性ポリエステルとして、イソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,2−ビス〔4−(B−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパンのうちいずれか1種以上の成分が共重合された共重合PETを用い、かつ低熱収縮性ポリエステルとしてホモPETポリマーを用いた場合は、共重合PETポリマーの熱収縮率が相対的に高いので、いずれのポリエステルの極限粘度が高くてもよい。この場合の具体例としては、高熱収縮性ポリエステルとして、イソフタル酸5〜10モル%及び2,2−ビス〔4−(B−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン3〜8モル%を共重合成分として含み、かつ極限粘度(η)が0.50〜1.50である共重合PETを用い、低熱収縮性ポリエステルとして、極限粘度(η)が0.30〜0.60のPETを用いる場合などが挙げられる。また、その場合の質量比率は、前者/後者の割合を50/50〜70/35にすると緻密なクリンプ形態を呈しより膨らみ感を表現することができる。
本発明のサイドバイサイド糸は、単繊維繊度が2〜6dtexであり、2.5〜5dtexが好ましい。単繊維繊度を2〜6dtexとすることで、反発性や膨らみ感を良好に表現することができるとともに、風合いが硬くなったり混繊交絡度合が弱く流れ杢状態になることが少なくなり、トップ杢調のナチュラルな色合い外観を表現することができる。
本発明の複合杢加工糸の総繊度は、トップ杢調のナチュラルな色合い外観及びふくらみ感と反発感やドレープ性のある独特な風合いをより表現する観点から、100〜200dtexが好ましく、120〜180dtexがより好ましく、135〜165dtexがいっそう好ましい。
本発明の複合杢加工糸は、混繊交絡糸のカチオン染料可染性捲縮フィラメント糸の占有率が50〜70%であり、55〜65%が好ましい。該占有率を50〜70%とすることにより、カチオン染料不染性捲縮フィラメント糸とカチオン染料可染性捲縮フィラメント糸の相乗効果により、よりナチュラルな杢感を表現することができる。
本発明の複合杢加工糸は、交絡数が100〜180個/mであり、130〜160個/mが好ましい。該交絡数を100〜180個/mとすることにより、交絡不良や筋状欠点が見られることも少なく、よりナチュナルな杢感を表現することができる。
本発明の複合杢加工糸は、捲縮率が3〜10%であり、4〜8%が好ましい。該捲縮率を3〜10%とすることで、布帛とした場合に、伸縮性能が劣ったり、ふくらみ感が不足することがなく、ストレッチ変化時にもよりナチュラルな杢感を表現することができる。
本発明の複合杢加工糸においては、前述のカチオン染料可染性捲縮フィラメント糸の占有率を50〜70%とし、さらに、例えば、後述するような製造条件により低捲縮率で特定の交絡数を有する混繊交絡糸とすることにより、トップ杢調のナチュラルな色合い外観を呈すると共に、捲縮形態を低捲縮状態にする事で、ふくらみ感と反発感やドレープ性をより表現することができる。
本発明の複合杢加工糸は、トップ杢調のよりナチュラルな色合い外観を呈する観点から、筒編高圧染色地でのL*値が、ブルー染色地で30〜45であることが好ましく、35〜40がより好ましい。該L*値が30〜45であることにより、杢感全体が白茶けて見えコイントラストに欠けることとなったり、生地全体が濃色となり、杢感ではなく無地調が強調されたりすることが抑えられる。
本発明の複合杢加工糸は、よりトップ杢調のナチュラルな色合い外観を呈する観点から筒編高圧染色地でのL*値が、ブラック染色地で20〜30であることが好ましく、22〜26がより好ましい。該L*値が20〜30であることにより、杢感全体が白茶けて見えコイントラストに欠けることとなったり、生地全体が濃色となり、杢感ではなく無地調が強調されたりすることが抑えられる。
次に、本発明の複合杢加工糸の製造方法について説明する。
本発明の製造方法においては、カチオン染料不染性のサイドバイサイド型ポリエステル高配向未延伸糸YAに、延伸倍率1.4〜1.6倍、熱処理温度140〜190℃の熱延伸処理を施して加工糸を得る。延伸倍率が1.4倍未満、又は、熱処理温度が140℃未満では、前述の捲縮特性を発現することができず布帛に膨らみ感や反発性を付与することができない。さらには、延伸倍率が1.6倍を超えたり、熱処理温度が190℃を超えると、高捲縮特性は得られるものの、糸加工時の糸切れや毛羽が発生することがあり好ましくない。前記条件下にて得られ加工糸の捲縮率は、30〜70%が好ましく、40〜60%が好ましい。該加工糸の捲縮率を30〜70%とすることで、仮撚加工付与後の本発明の複合杢加工糸とした際に、より適度な捲縮状態とすることができ、いっそう良好な膨らみ感、反発性、ドレープ性を付与することがいっそう可能となる。
さらに、本発明は、前述の熱延伸処理を施した加工糸と単糸繊度が2〜10dtexのカチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸YBとを同時仮撚加工するに際し、加撚張力(T1)を低張力である0.04≦T1≦0.15cN/dtex、仮撚係数(T)を仮撚加工時に通常用いない低仮撚係数である15000≦T≦20000、仮撚OF率を10%≦OF≦-5%、仮撚温度を145≦HT≦190℃とするものであり、すなわち、低張力且つ低仮撚係数の低捲縮加工条件下で仮撚加工を施すものであり、これにより、トップ杢調のナチュラルな色合い外観及びふくらみ感と反発感やドレープ性のある独特な風合いを表現することができることを本発明者は見出したものである。該仮撚係数は17000〜19000が好ましく、仮撚OF率は7〜0%が好ましい。該条件にて仮撚加工を施すことにより、カチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸YBは配向度の進行が抑えられた低配向度糸となると共に、断面変形の少ない高伸度低捲縮の加工糸Bとなる。一方の加工糸Aは、前工程で熱延伸加工が施されて高クリンプ状態の糸条形態が、低クリンプ形態となり、両者間に糸条形態及び糸質物性差が生じることとなり、後の混繊交絡処理を施すとトップ杢調のナチュラルな色合い外観を呈すると共に、布帛にすると膨らみ感と反発感やドレープ性を得ることができる。
尚、加撚張力(T1)が0.04cN/dtex未満や仮撚OF率が10%未満では、加工張力が低過ぎて、糸切れを誘発するため好ましくない。また、加撚張力(T1)が0.2cN/dtexを超え、仮撚OF率が-5%を超えると、両糸条が延伸されて極端な糸長差が生じ、加工糸切れ毛羽の誘発や部分的な交絡斑がみられるため好ましくない。さらに、仮撚係数(T)が15000未満では、仮撚数が低過ぎてペーパーライクな硬い風合いとなり、ドレープ性や反発性が付与できず、20000を超えると、糸条全体の捲縮形態が強くなって、ドレープ性やナチュラルな色合い外観を表現出来ない。また、仮撚温度(HT)が145℃未満では仮撚加工時、糸条が熱固定されないため、高収縮特性を有する事から、布帛にした場合寸法安定性に欠けるものである。一方、仮撚温度(HT)が190℃を超えるとカチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸が弱糸傾向となり、切れ毛羽が多発して解舒性や製織時のトラブルの原因となることから好ましくない。
本発明の複合杢加工糸は、布帛に用いる場合、無撚で用いても良いし、撚係数(R)が5000〜30000の範囲で追撚を施す事で、さらにバラエティーに富んだ杢感を表現することができる。尚、布帛組織としては、特に、限定するものではなく、織物では、平組織、綾組織、朱子組織、あるいは、ドビーやジャガードによる変化組織が採用され、仕上げ加工工程において染色はもちろんのこと濃染加工やアルカリ減量、柔軟、制電、撥水等の各種の加工が施されていても良い。編物では、よこ編、トリコット編、ラッシェル編などが挙げられる。
次に、本発明の複合杢加工糸の製造例を、図1を用いて説明する。
カチオン染料不染性のサイドバイサイド型ポリエステル高配向未延伸糸(YA)は、第1供給ローラー(1)と第1引取ローラー(3)との間の熱処理ヒーター(2)で熱延伸された加工糸となる。次いで、この加工糸とカチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸(YB)は、引き揃えられた状態で第2供給ローラー(4)と第2引取ローラー(7)との間の仮撚加工域に供給され、仮撚ヒーター(5)と仮撚ピン装置(6)を用いて、低捲縮・低OF率下で同時仮撚加工が施される。次いで、第2引取ローラー(7)により流体処理加工域に導かれて、第3引取ローラー間(9)で流体ノズル(8)によって流体噴射加工が施され、第3引取ローラー(9)を経て、巻き取りローラー(10)によりパッケージ(11)に捲き取られる。流体ノズルとしては、混繊交絡で使用する流体ノズルとしては、特に限定するものではなく、本発明の数値を満足する交絡度合いを付与出来るものであれば如何なるものも採用することが出来る。条件としては、エアー圧力を好ましくは0.1〜0.3MPaに、オーバーフィード率を好ましくは1〜10%に設定する。なお、この混繊交絡処理も目的に応じて、連続又は不連続的な工程のいずれかを選択すればよい。
本発明における、特性値の測定法は、次の通りである。
(1)繊度
JIS L1013 8.3.1に準じて測定した。
(2)捲縮率
実施例および比較例で得られた混繊交絡糸から、枠周1.125mの検尺機を用いて、巻き数5回のカセを作製し、スタンドに吊り下げた状態で一昼夜放置した。次に、このカセに0.000147cN/dtexの荷重(荷重1)を掛けて、沸水中に入れて30分間の湿熱処理をおこなった後、ろ紙にて水分を軽く取って30分風乾放置した。次いで、荷重1を掛けたまま、さらに0.00177cN/dtexの軽荷重(荷重2)を掛け、カセの長さaを測定した。次に荷重2のみを外して重荷重0.044cN/dtexの荷重を掛け、カセの長さbを測定した。下記式を用いて、捲縮率を算出した。
捲縮率(%)=[(b−a)/b]×100
(3)カチオン染料可染性捲縮フィラメント糸の占有率
占有率(%)=[B/C]×100
ただし、C:複合杢加工糸の総繊度(dtex)、B:カチオン染料可染性捲縮フィラメント糸の加工糸繊度(dtex)である。
(4)仮撚係数
仮撚係数T=√複合杢加工糸の総繊度(dtex)×仮撚数(T/M)
(5)加撚張力(cN/dtex)
加撚張力T1=加撚張力(cN)T1/複合杢加工糸の総繊度(dtex)
(6)交絡数
最上部にチャックを有し、その下1cmを原点として約100cmのスタンドスタンドを用意する。スケール上端のチャックに試料の一端をはさんだ後、試料を垂直に垂らし、試料下部に0.1cN/dtexの荷重を掛けて印間長50cmとして上下に印を付ける。次に、試料上部の印点に糸束を2分割する様にフックを挿入して、フックを下降させ、フックが糸の絡みによって停止した部分を交絡部とし、これを繰り返して印間長50cm間の交絡数を数える。この方法で5回測定してその平均の交絡数を出し、下記式で得られたものを交絡数とした。
交絡数(個/m)=(平均個数/50cm)×2
(7)筒編染色後のL*値
<筒編生機作成法>
英光産業社製筒編機(釜径:3.5インチ、針本数:260N)を用い、30cm程度の筒編生機を作成する。
(精練条件)
・精練剤:サンモールFL(日華化学)‥2g/L
・温度×時間:80℃×20分
(i)ブルー染色処方
・染料:Aizen Cathilon Blue CD-F2RLH(保土谷化学工業社製)‥1% omf
・助剤:酢酸‥0.2cc/L
(ii)ブラック染色処方
・染料:Kayacrl Black R-ED(日本化薬社製)…10%omf
・助剤:酢酸‥0.2cc/L
(その他染色条件)
・浴比: 1 :50
・温度×時間:130℃×30分
(洗浄条件)
・還元洗浄剤:ビズノール P-55(一方社油脂工業)‥5g/L
・温度×時間:80℃×20分
上記の染色方処方で染色した筒編地を光が貫通しない範囲になる様に折り重ね、マクベス社製MS-CE3100型分光光度計を用いて、その反射率を測定し、CIE Labの色差式から濃度指標を求めた値がL*値であり、L*値はその値が小さい程深みある色となる。
(8)織物評価(ドレープ性、杢感、膨らみ感や反発性)
得られた織物について、以下の判定基準にて評価した。
○:良好
△:やや悪い
×:悪い
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。
<実施例1>
カチオン染料不染性のサイドバイサイド型ポリエステル高配向未延伸糸(YA)として、イソフタル酸8モル%及び2,2−ビス〔4−(B−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン5モル%を共重合成分として含む共重合ポリエチレンテレフタレート(PET)(極限粘度:0.63)を高熱収縮性ポリエステルとして用い、ポリエチレンテレフタレート(PET)(極限粘度:0.53)を低熱収縮性ポリエステルとして用いた。そして、両ポリエステルをサイドバイサイド型に接合しながら複合紡糸し、90デシテックス24フィラメントの高配向未延伸糸(質量比率として高粘度側/低粘度側:60/40、紡糸速度:3250m/min、伸度:110%)を用意した。また、一方のカチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸(YB)としては、伸度が120%で、エチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位として、酸成分として5−ナトリウムスルホイソフタル酸を1.5モル%共重合したカチオン可染ポリエステル高配向未延伸糸80デシテックス36フィラメントを用意した。この供給糸条2本のYAとYBを用い図1に示す工程に従い、表2の糸加工条件下で本発明の複合杢加工糸145デシテックス60フィラメントを製造した。
<実施例2>
カチオン染料不染性のサイドバイサイド型ポリエステル高配向未延伸糸(YA)として、伸度125%の90デシテックス12フィラメント糸、カチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸(YB)として、伸度が120%の80デシテックス48フィラメント糸を用いる以外は、表2に示した加工条件下で本発明の複合杢加工糸142デシテックス60フィラメント糸を得た。
<比較例1>
カチオン染料不染性のサイドバイサイド型ポリエステル高配向未延伸糸(YA)として、90デシテックス72フィラメント糸、カチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸(YB)として、80デシテックス12フィラメントを用いる以外は、実施例1と同様な加工条件で145デシテックス84フィラメントの加工糸を得た。
<比較例2>
カチオン染料不染性のサイドバイサイド型ポリエステル高配向未延伸糸(YA)として、90デシテックス6フィラメント糸、カチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸(YB)として、80デシテックス72フィラメントを用いる以外は、実施例1と同様な加工条件で145デシテックス78フィラメントの加工糸を製造した。
<比較例3>
実施例1と同じ供給糸条を用い、仮撚数を低くすると共に、加撚張力を実施例1に合わせるべく仮撚OF率を調整して146デシテックス60フィラメントの加工糸を製造した。
<比較例4>
実施例1と同じ供給糸条を用い、仮撚数を高くすると共に、加撚張力を実施例1に合わせるべく仮撚OF率を調整して133デシテックス60フィラメントの加工糸を製造した。
<比較例5>
カチオン染料不染性のサイドバイサイド型ポリエステル高配向未延伸糸(YA)として、180デシテックス48フィラメント糸を用いると共に、交絡数を実施例1に合わせるべくインターレースエアー圧力を高くした以外は、実施例1と同様な加工条件で208デシテックス84フィラメントの加工糸を製造した。
<比較例6>
カチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸(YB)として、160デシテックス72フィラメントを用いる以外は、実施例1と同様な加工条件で229デシテックス96フィラメントの加工糸を製造した。
次に、実施例、比較例にて得られた加工糸を、前述の筒編み染色処方に沿って、生機を作成して高圧染色加工を行いL*値を測定した。更に、得られた加工糸をZ-500T/Mの追撚を施した後、表1に示す織密度で2/2ツイル織物を試作した。
さらに、得られたツイル織物(生機)を、80℃×20分間精練した後、カチオン染料(保土谷化学工業製「Aizen Cathilon Blue F2RLH」)を1.5%omf用いて130℃×30分間染色し、170℃で20秒間仕上げセットして織物を得た。
実施例、比較例にておこなった加工条件、および評価結果を表2に示す。
実施例1及び2で得られた複合杢加工糸からなる筒編染色地及び織物は、トップ杢調のナチュラルな色合い外観を呈すると共に、布膨らみ感と反発感やドレープ性を表現できるものであった。一方、比較例1〜6においては、本発明を満足する原糸特性や加工条件及び加工糸の糸質特性を満足するものではなかったので、表1に記載の如く、トップ杢調のナチュラルな色合い外観を呈する事ができなかった。
(YA)カチオン染料不染性のサイドバイサイド型ポリエステル高配向未延伸糸
(YB)カチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸
(1)第1供給ローラ
(2)熱処理ヒーター
(3)第1引取ローラ
(4)第2供給ローラ
(5)仮撚ヒーター
(6)仮撚ピン装置
(7)第2引取りローラ
(8)流体ノズル
(9)第3引取ローラ
(10)巻き取りローラ
(11)パッケージ

Claims (4)

  1. 単繊維繊度が1〜8dtexのカチオン染料可染性捲縮フィラメント糸と,単繊維繊度が2〜6dtexのカチオン染料不染性のサイドバイサイド型捲縮フィラメント糸を含む混繊交絡糸であって、該混繊交絡糸のカチオン染料可染性捲縮フィラメント糸の占有率が50〜70%であり、交絡数が100〜180個/mであり、捲縮率が3〜10%であることを特徴とする複合杢加工糸。
  2. 筒編染色後のL*値が、ブルー染色地で30〜45であることを特徴とする請求項1記載の複合杢加工糸。
  3. 筒編染色後のL*値が、ブラック染色地で20〜30であることを特徴とする請求項1記載の複合杢加工糸。
  4. 単繊維繊度が3〜10dtexのカチオン染料不染性のサイドバイサイド型ポリエステル高配向未延伸糸YAに、延伸倍率1.4〜1.6倍、熱処理温度140〜190℃の熱延伸処理を施して得られた加工糸と、単糸繊度が2〜10dtexのカチオン染料可染性ポリエステル高配向未延伸糸YBとを、下記(i)〜(iv)の条件で同時仮撚加工を施して得られた複合加工糸を、混繊交絡処理することを特徴とする請求項1記載の複合杢加工糸の製造方法。
    (i)0.04≦T1≦0.15
    (ii)15000≦T≦20000
    (iii)10%≦OF≦-5%
    (iv)145≦HT≦190
    ただし、T1:加撚張力(cN/dtex)、T:仮撚係数、OF:仮撚時のOF率、HT:仮撚温度(℃)である。
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