以下、本実施形態に係る照明器具Xについて、図面を参照して詳細に説明する。本実施形態に係る照明器具Xは、トンネル照明を行うための照明器具(トンネル灯)である。ただし、本実施形態に係る照明器具Xは、トンネル灯に限定されず、道路灯や街路灯、防犯灯などであってもよい。なお、以下の実施形態で説明する構成は本発明の一例にすぎない。本発明は、以下の実施形態に限定されず、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態に係る照明器具Xは、図1、図2A及び図2Bに示すように、基本ユニット1と、1つ又は複数(図示例では2つ)の増設ユニット2、3と、1つ又は複数(図示例では2本)の電源ケーブル15とを有している。また、基本ユニット1及び2つの増設ユニット2、3は、それぞれ1つ又は2つのLEDモジュール10をそれぞれ備えている(図1参照)。なお、以下の説明では、特に断りのない限り、図1において上下、左右、前後の各方向を規定する。すなわち、照明器具Xの長手方向を左右方向とし、照明器具Xの短手方向を上下方向とし、照明器具Xの厚み方向(奥行き方向)を前後方向とする。
LEDモジュール10は、図3に示すように、基板100と、複数個のLED101と、4つのレンズユニット102とを有している。レンズユニット102は、図4A〜図4Cに示すように、ベース部1020と、30個のレンズ1021と、4つの取付部1022とを有する。ベース部1020は、おおよそ長方形の平板状に形成されている。ただし、ベース部1020の四隅は、ベース部1020の厚み方向から見て曲面形状に形成されることが好ましい。また、ベース部1020は、長手方向に沿った2つの側面にそれぞれ突部1023、1024が設けられている。一方の突部(以下、第1突部ともいう)1023は、ベース部1020の厚み方向から見て台形状に形成されている(図4A参照)。また、他方の突部(以下、第2突部ともいう)1024は、ベース部1020の厚み方向から見て矩形に形成されている。なお、第1突部1023及び第2突部1024の裏面には、円柱状の位置決め部1025がそれぞれ設けられている(図4B及び図4C参照)。
複数個のレンズ1021は、図4Aに示すように、例えばドーム状の形状を有しており、ベース部1020の表面に、縦横に並ぶように設けられる。ただし、30個のレンズ1021は、縦に6個ずつ1列に並べられ、かつ、5つの列が等間隔に平行に並ぶようにベース部1020の表面に配置される。また、各列の6個のレンズ1021は、等間隔に配置される。これらのレンズ1021は、おおよそ回転楕円体を長軸に沿って半分に分割したドーム状の形状に形成されている。なお、本実施形態では、レンズ形状はドーム状としたが、これに限らず半球状等の形状としてもよい。
4つの取付部1022は、ベース部1020の短手方向に沿った2つの側面のほぼ中央に、それぞれ2つずつ設けられている。取付部1022は、おおよそU字形状の撓み片10220と、撓み片10220の先端からベース部1020に向かって突出する突起10221を有している(図4B参照)。撓み片10220は、後端部分でベース部1020と繋がり、ベース部1020の厚み方向に沿ってレンズ1021と同じ側に突出し、ベース部1020から離れる向きに折り返すように構成される。また、撓み片10220の先端は、ベース部1020の裏面の法線方向に沿って、ベース部1020の裏面よりも先に位置している(図4B参照)。突起10221は、おおよそ三角柱状に形成されている。また、突起10221は、撓み片10220の先端におけるベース部1020側の側面から、ベース部1020に近付くにつれて撓み片10220からの突出量を増やすように構成されている(図4B参照)。
ここで、レンズユニット102のベース部1020、レンズ1021、取付部1022などの構成要素は、ポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂等の透光性及び弾性を有する合成樹脂材料の成形体として一体に形成されることが好ましい。ただし、レンズユニット102は、取付部1022以外の構成要素がガラス(例えば、石英ガラスなど)で構成されても構わない。
上述のように構成されるレンズユニット102は、図5A及び図5Bに示すように、基板100に取り付けられる。LED101は、例えば、白色光を放射するパッケージ型の発光ダイオードである。ただし、LED101は、COB(チップ・オン・ボード)型の発光ダイオードであってもよい。基板100は、例えば、アルミ基板などの放熱性の良い基板材料で長尺の矩形板状に形成されることが好ましい。基板100は、表面に多数のLED101が縦横に等間隔に並べて実装される。ただし、基板100は、複数(図示例では4つ)の領域103に区分けされている(図3参照)。個々の領域103(以下、第1領域103A、第2領域103B、第3領域103C、第4領域103Dともいう)には、レンズユニット102のレンズ1021と同数(30個)のLED101が、複数個のレンズ1021と同じ間隔及び配列で縦横に並べて実装されている(図3参照)。なお、基板100の表面において、隣り合うLED101の間には、チップ抵抗やチップコンデンサなどの表面実装型の電子部品104が実装されている。そして、個々の領域103における複数個のLED101及び電子部品104は、例えば、基板100のそれぞれの領域103の表面に形成されている導体(例えば、銅はく)によって互いに電気的に接続されている。また、これら4つの領域103A〜103Dには、レンズユニット102の第1突部1023及び第2突部1024のそれぞれに設けられている位置決め部1025が嵌まる位置決め用の孔1000がそれぞれ2つずつ設けられている(図3及び図5B参照)。
次に、レンズユニット102をLEDモジュール10の基板100に取り付ける作業(取付作業)について説明する。作業者は、例えば、第1領域103Aの表面にレンズユニット102を被せた後、取付部1022の撓み片10220の中央部分(湾曲した部分)を、手を使って前から後ろへ押す。すると、取付部1022の突起10221が基板100の端部から外向き(基板100から離れる向き)の力を受けることによって撓み片10220が撓む。そして、突起10221が基板100の端部を乗り越えて基板100の端部から外向きの力を受けなくなれば、撓み片10220が元の状態(撓む前の状態)に復帰する。その結果、突起10221が基板100の端部の裏面に引っ掛かるため、ベース部1020と突起10221との間で基板100を挟み込むようにして、レンズユニット102が基板100に取り付けられる(図5A及び図5B参照)。また、レンズユニット102が基板100(の第1領域103A)に取り付けられた状態では、基板100(の第1領域103A)に設けられている2つの孔1000に、レンズユニット102の第1突部1023及び第2突部1024の位置決め部1025がそれぞれ嵌まっている。したがって、レンズユニット102は、2つの位置決め部1025が基板100の孔1000にそれぞれ嵌められることにより、基板100の表面に実装されている個々のLED101に対して、複数個のレンズ1021をそれぞれ位置決めすることができる。なお、作業者は、突起10221に指をかけて外向き(基板100から離れる向き)に引っ張ることにより、撓み片10220を撓ませて突起10221と基板100の端部の引っ掛かりを解除すれば、基板100からレンズユニット102を取り外すことができる。
上述のように本実施形態におけるレンズユニット102は、ドライバなどの工具なしで作業者の手指のみで基板100に取り付けられる。そのため、基板に対してねじ止めされる構造のレンズユニットと比較して、本実施形態におけるレンズユニット102は、組立作業の簡略化を図ることができる。
ところで、本実施形態におけるレンズユニット102のレンズ1021は、図4A〜図4Cに示す構成に限定されず、例えば、図6A〜図6Gに示すように構成されても構わない。図6A〜図6Gに示すレンズユニット102は、それぞれに異なる配光特性を実現するように構成されている。したがって、本実施形態に係る照明器具Xは、基板100(の領域103)に取り付けられるレンズユニット102の種類に応じて、トンネル照明における入口照明、基本照明及び出口照明のそれぞれに適した配光特性を容易に実現することが可能である。
基本ユニット1は、図1に示すように、2つのLEDモジュール10、2つの電源装置12、基本ユニット本体11、端子台13、制御ユニット14、電源ケーブル15などを備えている。基本ユニット本体11は、ボックス110、第1カバー111、蝶番112、第1固定板113、第2固定板114などを有している。ボックス110は、前後方向から見た平面視の形状が正方形の4つの角を丸めた形状であり、かつ、前面が開放された扁平な箱形に形成されている。第1固定板113並びに第2固定板114は、おおよそ正方形の金属板でそれぞれ構成されている。2つのLEDモジュール10は、第1固定板113の前面に左右に並べて取り付けられている。第2固定板114の前面において、右側に2つの電源装置12が取り付けられ、左側に端子台13と制御ユニット14が取り付けられている。第2固定板114は、放熱板115を挟んでボックス110の内底面にねじ止めされている。放熱板115は、おおよそ正方形の金属板(例えば、アルミ又はアルミ合金)で構成され、かつ、左右両側の端縁から前方へ立ち上がる一対の支持片1150を有している(図1参照)。これら一対の支持片1150は、上下方向から見て角樋状に形成されている。第1固定板113は、放熱板115の一対の支持片1150に支持されることが好ましい。例えば、第1固定板113は、一対の支持片1150の前面にねじ止めされることが好ましい。
ボックス110の下側の側壁には、合計6つの孔1100が左右方向に間隔を空けて設けられている(図1参照)。これら6つの孔1100は、電力系統からの給電用の電気ケーブル16や制御信号(調光信号)が伝送される通信ケーブル17などが挿通される。ただし、それぞれの孔1100に挿通される電気ケーブル16や通信ケーブル17は、ケーブルグランド160、170によって個別にボックス110に取り付けられている。同様に、ボックス110の左側の側壁にも、2つの孔が設けられている。これら2つの孔には、2つの電源装置12から2つの増設ユニット2、3へ直流電流を流すための電源ケーブル15がそれぞれ挿通されている。ただし、それぞれの孔に挿通される電源ケーブル15は、いずれもケーブルグランド150によって個別にボックス110に取り付けられている。
第1カバー111は、透光性を有する材料(ガラス又はアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂など)によって、正方形の4つの角を丸めた形状に形成されている。第1カバー111は、一対の蝶番112によってボックス110に取り付けられている。蝶番112は、一方の金具に軸が設けられ、他方の金具が抜き差し可能に軸に引っ掛けられている、いわゆる、引掛蝶番(あるいは抜き差し蝶番ともいう)である。また、第1カバー111は、ボックス110の前面開口を塞ぐ位置(閉位置)において、ボックス110の上下両側の側壁にそれぞれ取り付けられている一対の固定金具116にねじ止めされている(図2A参照)。ただし、ボックス110の前端には、第1カバー111とボックス110の間の隙間を塞ぐための防水パッキンが配置されることが好ましい。
2つの電源装置12は同一の構成を有している。これらの電源装置12は、長尺のプリント配線板に種々の電子部品が実装された回路ブロック120と、回路ブロック120を収容する電源ケース121とを有している(図1参照)。回路ブロック120は、電力系統から供給される交流の電圧・電流を直流の電圧・電流に変換するように構成されている。また、回路ブロック120は、制御ユニット14に制御されることにより、直流の出力電流を増減してLEDモジュール10の光出力(光束)を調整(調光)するように構成されている。これら2つの電源装置12は、第2固定板114の前面における右端に、長手方向を上下方向に一致させるようにして左右方向に並べて取り付けられている(図1参照)。端子台13は、複数組のねじ端子を有する中継用の端子台である。すなわち、この端子台13は、それれその組の一方のねじ端子と電源装置12の入力端子及び制御ユニット14の入力端子が電気的に接続され、それぞれの組の他方のねじ端子と電気ケーブル16及び通信ケーブル17とが電気的に接続される。制御ユニット14は、矩形のプリント配線板に電解コンデンサなどの電子部品が実装された制御回路ブロック140と、制御回路ブロック140を収容するケース141とを有している。制御回路ブロック140は、例えば、PWM(パルス幅変調)信号からなる調光信号を平滑(積分)し、平滑した電圧信号(制御信号)を2つの電源装置12にそれぞれ出力するように構成されている。そして、2つの電源装置12は、制御ユニット14から出力される制御信号に応じて、直流の出力電流を調整している。なお、端子台13及び制御ユニット14は、第2固定板114の中央から左側において、上下に並べて取り付けられている(図1参照)。
中央の増設ユニット2(以下、第1増設ユニットともいう)は、図1に示すように、増設ユニット本体(以下、第1増設ユニット本体という)20と、2つのLEDモジュール10とを備える。第1増設ユニット本体20は、第1本体ケース21と、第2カバー22と、固定板(以下、第3固定板という)23とを有する。第3固定板23は、おおよそ長方形の金属板で構成されている。2つのLEDモジュール10は、第3固定板23の前面に左右に並べて取り付けられている。第1本体ケース21は、ステンレス鋼板やアルミ又はアルミ合金などの金属材料によって、鍔付きのバット(vat)のような形状に形成されている。第1本体ケース21は、前面開口を囲む鍔の内周面に溝が設けられている。第3固定板23は、例えば、第1本体ケース21の底壁にねじ止めされて第1本体ケース21内に収容されることが好ましい。ここで、第1本体ケース21の下側の側壁における左右方向の中央に、電源ケーブル15が挿通される挿通孔が設けられている。電源ケーブル15は複数(図示例では給電用の4本とアース用の1本の合計5本)の電線151を有している。そして、給電用の4本の電線151は、2つのLEDモジュール10に対して、それぞれ2本ずつ、電気的に接続されている。また、アース用の電線151は、第1本体ケース21にねじ止めされて電気的に接続されている(図7参照)。
第2カバー22は、第1カバー111と同様に、透光性を有する材料(ガラス又はアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂など)によって、おおよそ長方形に形成されている。第2カバー22は、矩形枠状の防水パッキン24が周縁に装着されている。第2カバー22は、防水パッキン24が装着されている周縁部分が、第1本体ケース21の鍔に設けられている溝に嵌め込まれることによって第1本体ケース21に取り付けられている。つまり、第1本体ケース21は、第2カバー22と防水パッキン24に前面開口が塞がれることによって、内部が気密状態に保たれている。
左端の増設ユニット3(以下、第2増設ユニットともいう)は、図1に示すように、増設ユニット本体(以下、第2増設ユニット本体という)30と、1つのLEDモジュール10とを備える。第2増設ユニット本体30は、第2本体ケース31と、第3カバー32と、固定板(以下、第4固定板という)33とを有する。第4固定板33は、おおよそ長方形の金属板で構成されている。LEDモジュール10は、第4固定板33の前面に取り付けられている。第2本体ケース31は、ステンレス鋼板やアルミ又はアルミ合金などの金属材料によって、鍔付きのバット(vat)のような形状に形成されている。第2本体ケース31は、前面開口を囲む鍔の内周面に溝が設けられている。第4固定板33は、例えば、第2本体ケース31の底壁にねじ止めされて第2本体ケース31内に収容されることが好ましい。ここで、第2本体ケース31の下側の側壁における左右方向の中央に、電源ケーブル15が挿通される挿通孔が設けられている。電源ケーブル15は複数(図示例では給電用の2本とアース用の1本の合計3本)の電線151を有している。そして、給電用の2本の電線151は、1つのLEDモジュール10に対して電気的に接続されている。また、アース用の電線151は、第2本体ケース31にねじ止めされて電気的に接続されている(図7参照)。
第3カバー32は、第2カバー22と同様に、透光性を有する材料(ガラス又はアクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂など)によって、おおよそ長方形に形成されている。第3カバー32は、矩形枠状の防水パッキン34が周縁に装着されている。第3カバー32は、防水パッキン34が装着されている周縁部分が、第2本体ケース31の鍔に設けられている溝に嵌め込まれることによって第2本体ケース31に取り付けられている。つまり、第2本体ケース31は、第3カバー32と防水パッキン34に前面開口が塞がれることによって、内部が気密状態に保たれている。なお、第2増設ユニット本体30は、左右方向の長さがおおよそ半分である点を除いて、第1増設ユニット本体20とほぼ同一の構造を有している。
ところで、2つの増設ユニット2、3は、保持体4を介して基本ユニット1に保持されている(図1及び図2A参照)。保持体4は、基本ユニット1及び2つの増設ユニット2、3を下から支える第1保持部材40と、基本ユニット1及び2つの増設ユニット2、3を上から支える第2保持部材41と、複数(図示例では2つ)の結合部材42、43とを有している。
第1保持部材40は、第1主片400、第1L字片401、第1前突片402、第1後突片などを有している。ただし、第1主片400、第1L字片401、第1前突片402、第1後突片は、ステンレス鋼板などの金属板が加工されることで一体に形成されることが好ましい。第1主片400は、長尺の矩形状に形成されている。第1L字片401は、長手方向から見た形状がL字形であり、第1主片400の前端から全長に渡って前方へ突出するように設けられている(図1及び図8A参照)。第1前突片402は、長尺の矩形状に形成され、第1L字片401の前端における、長手方向の中央付近よりも左側から、上方へ突出するように設けられている(図1及び図8A参照)。第1後突片は、長尺の矩形状に形成され、第1L字片401の後端における、長手方向の中央付近よりも左側から、上方へ突出するように設けられている。第1保持部材40は、第1主片400が基本ユニット本体11のボックス110の下側の側壁にねじ止めされることによって、基本ユニット1に取り付けられている(図1参照)。
第2保持部材41は、第2主片410、第2L字片411、第2前突片412、第2後突片413などを有している。ただし、第2主片410、第2L字片411、第2前突片412、第2後突片413は、ステンレス鋼板などの金属板が加工されることで一体に形成されることが好ましい。第2主片410は、長尺の矩形状に形成されている。第2L字片411は、長手方向から見た形状がL字形であり、第2主片410の前端から全長に渡って前方へ突出するように設けられている(図1及び図8A参照)。第2前突片412は、長手方向から見た形状がJ字形であり、第2L字片411の前端から全長に渡って、上方へ突出するように設けられている。また、第2前突片412は、長手方向の中央から左側の部分に、3つの丸孔が設けられている。第1後突片は、長尺の矩形状に形成され、第2L字片411の後端における、長手方向の中央付近よりも左側から、下方へ突出するように設けられている(図1参照)。第2保持部材41は、第2主片410が基本ユニット本体11のボックス110の上側の側壁にねじ止めされることによって、基本ユニット1に取り付けられている(図1参照)。
2つの結合部材42、43は、図1及び図8Aに示すように、全体が長尺の矩形板状に形成され、かつ、長手方向に沿った両端(上端及び下端)が後方に折り曲げられている。ただし、一方の結合部材42(以下、第1結合部材ともいう)は、他方の結合部材43(以下、第2結合部材ともいう)の2倍の長さを有している。第1結合部材42は、長手方向における両端寄りにねじ挿通孔420がそれぞれ設けられている。これら2つのねじ挿通孔420は、いずれも長軸方向を短手方向(上下方向)に一致させた長孔に形成されている(図7参照)。同じく、第2結合部材43は、長手方向における中央に、長軸方向を短手方向(上下方向)に一致させた長孔のねじ挿通孔430が設けられている(図7参照)。
第1結合部材42は、2つのねじ挿通孔420にそれぞれ前方からボルト44が挿通されている。これら2本のボルト44は、第2保持部材41の第2前突片412に設けられている3つの丸孔のうちの中央及び右端の2つの丸孔に挿通され、第2前突片412の後方において、それぞれナット45が締め付けられている。同様に、第2結合部材43は、ねじ挿通孔430に前方からボルト44が挿通されている。このボルト44は、第2保持部材41の第2前突片412に設けられている3つの丸孔のうちの左端の丸孔に挿通され、第2前突片412の後方において、ナット45が締め付けられている(図8A及び図8B参照)。ここで、ねじ挿通孔420、430が長孔に形成されているので、ボルト44がナット45に十分に締め付けられていない状態では、結合部材42、43は、上下方向に移動可能となっている(図7及び図8B参照)。つまり、第1結合部材42及び第2結合部材43は、ボルト44の軸(雄ねじ部)がねじ挿通孔420、430の上端に当たる位置(結合位置)と、ボルト44の軸がねじ挿通孔420、430の下端に当たる位置(非結合位置)との間で移動可能となっている。
次に、本実施形態に係る照明器具Xの組立手順を説明する。まず、組立作業を行う作業者は、基本ユニット1に第1保持部材40と第2保持部材41をそれぞれ取り付け、さらに、ボルト44とナット45を用いて、第2保持部材41に第1結合部材42及び第2結合部材43を取り付ける。それから、作業者は、ボルト44を緩めて第1結合部材42を非結合位置に移動し(図7参照)、第1増設ユニット2(の第1増設ユニット本体20)の下端部分を、第1保持部材40における第1前突片402と第1L字片401との間の隙間に前方から差し込む。このとき、作業者は、第1増設ユニット2(の第1増設ユニット本体20)から引き出されている電源ケーブル15を、基本ユニット本体11(のボックス110)の左側面に設けられている孔に挿通させる。続いて、作業者は、第1結合部材42を結合位置に移動させ、ボルト44を締め付けることで第1結合部材42を結合位置に固定する(図2参照)。すなわち、第1結合部材42が結合位置で第2保持部材41に固定(結合)されると、第1増設ユニット2(の第1増設ユニット本体20)の上端部分が、第1結合部材42と第1L字片401との間で挟まれて抜け止めされる。
続いて、作業者は、第2結合部材43を非結合位置に移動し(図8B参照)、第2増設ユニット3(の第2増設ユニット本体30)の下端部分を、第1保持部材40における第1前突片402と第1L字片401との間の隙間に前方から差し込む。このとき、作業者は、第2増設ユニット3(の第2増設ユニット本体30)から引き出されている電源ケーブル15を、基本ユニット本体11(のボックス110)の左側面に設けられている孔に挿通させる。続いて、作業者は、第2結合部材43を結合位置に移動させ、ボルト44を締め付けることで第2結合部材43を結合位置に固定する(図8A参照)。すなわち、第2結合部材43が結合位置で第2保持部材41に固定(結合)されると、第2増設ユニット3(の第2増設ユニット本体30)の上端部分が、第2結合部材43と第2L字片411との間で挟まれて抜け止めされる(図8A参照)。以上のような組立手順で、本実施形態に係る照明器具Xが組み立てられる。なお、図8A及び図8Bに示すように、結合部材42、43の後面及び第2L字片411の下面に、それぞれ防水パッキン431、414が配置されることが好ましい。これらの防水パッキン431、414により、第2保持部材41及び結合部材42、43と増設ユニット2、3の隙間への雨水の浸入が抑制される。
ここで、2つの結合部材42、43は、第2保持部材41に対して、上下方向に移動可能に設けられ、かつ、結合位置に対して、非結合位置が上になるように構成されている。このため、ボルト44が弛んだ場合でも結合部材42、43が勝手に非結合位置に移動する可能性が低いので、増設ユニット2、3が保持体4から脱落することを回避できる。
また、本実施形態に係る照明器具Xは、2つの取付金具5、6により、トンネルの内壁に取り付けられている。一方の取付金具5(以下、第1取付金具ともいう)は、ステンレス鋼板などの金属板により、長尺の矩形板状に形成されている。第1取付金具5は、基本ユニット本体11のボックス110の底壁に後方からねじ止めされることで基本ユニット1に固定されている(図1及び図2参照)。また、第1取付金具5は、基本ユニット1の上下両側に突出する、長手方向の両端部分に長円形の取付孔50がそれぞれ設けられている(図2参照)。他方の取付金具6(以下、第2取付金具ともいう)は、第1取付金具5と同様に、ステンレス鋼板などの金属板により、長尺の矩形板状に形成されている。また、第2取付金具6は、長手方向の両端部分がL字形に曲げられている(図1参照)。第2取付金具6は、第1保持部材40の第1後突片及び第2保持部材41の第2後突片413に後方からねじ止めされることにより、保持体4に固定されている(図1及び図2参照)。また、第2取付金具6は、L字形に曲げられている両端部分が第2増設ユニット3の上下両側にそれぞれ突出し、それらの突出した端部に、長円形の取付孔60がそれぞれ設けられている(図2参照)。本実施形態に係る照明器具Xは、例えば、トンネルの内壁に埋め込まれている複数のボルトが、第1取付金具5及び第2取付金具6のそれぞれの両端部分に設けられている取付孔50、60にそれぞれ挿通される。そして、それらのボルトにナットが締め付けられることにより、本実施形態に係る照明器具Xがトンネルの内壁に取り付けられる。
上述のように本実施形態に係る照明器具Xは、基本ユニット1と、1つ又は複数の増設ユニット2、3と、1つ又は複数の電源ケーブル15とを有している。基本ユニット1は、基板100に複数個のLED101が実装されて構成されている1つ又は複数のLEDモジュール10と、LEDモジュール10に給電して点灯させる1つ又は複数の電源装置12とを備えている。また、基本ユニット1は、1つ又は複数のLEDモジュール10及び1つ又は複数の電源装置12を内部に収容する基本ユニット本体11を備えている。基本ユニット本体11は、前面が開口した箱状に形成されている。また、基本ユニット本体11は、前面と対向する底面と1つ又は複数のLEDモジュール10との間に電源装置12が配置されている。1つ又は複数の増設ユニット2、3は、基板100に複数個のLED101が実装されて構成されている1つ又は複数のLEDモジュール10と、1つ又は複数のLEDモジュール10を内部に収容する増設ユニット本体20、30とをそれぞれ備えている。1つ又は複数の電源ケーブル15は、基本ユニット1の1つ又は複数の電源装置12と、1つ又は複数の増設ユニット2、3の1つ又は複数のLEDモジュール10とを電気的に接続している。
本実施形態に係る照明器具Xが上述のように構成されれば、器具本体(基本ユニット本体11)の小型化並びにLEDモジュール10の個数の増加に容易に対応可能とすることができる。つまり、本実施形態に係る照明器具Xは、基本ユニット本体11内に収容されているLEDモジュール10と基本ユニット本体11(のボックス110)の底面との間に電源装置12が配置されている。そのため、電源装置12がLEDモジュール10の横に並べて配置されている従来例と比較して、器具本体(基本ユニット本体11)の小型化を図ることができる。また、本実施形態に係る照明器具Xは、基本ユニット1の電源装置12から電源ケーブル15を介して増設ユニット2、3に給電するように構成されている。そのため、それぞれの増設ユニット2、3毎に電源装置を搭載する場合と比較して、器具本体(増設ユニット本体20、30)の小型化を図ることができる。
また、本実施形態に係る照明器具Xにおいて、基本ユニット1と1つ又は複数の増設ユニット2、3を保持する保持体4を備えることが好ましい。保持体4は、基本ユニット1及び1つ又は複数の増設ユニット2、3を下から支える第1保持部材40と、基本ユニット1及び1つ又は複数の増設ユニット2、3を上から支える第2保持部材41と、複数の結合部材42、43とを有することが好ましい。複数の結合部材42、43は、1つ又は複数の増設ユニット本体20、30を第2保持部材41に結合する結合位置と、1つ又は複数の増設ユニット本体20、30を第2保持部材41に結合しない非結合位置との間で移動可能に設けられていることが好ましい。
本実施形態に係る照明器具Xが上述のように構成されれば、保持体4に対する増設ユニット2、3の取付作業の簡素化を図ることができる。つまり、本実施形態に係る照明器具Xは、結合部材42、43が非結合位置に移動されていれば、第2保持部材41に対して、増設ユニット2、3が容易に着脱可能であるので、保持体4に対する増設ユニット2、3の取付作業の簡素化を図ることができる。
さらに、本実施形態に係る照明器具Xにおいて、複数の結合部材42、43は、長手方向が移動方向に一致した1つ又は複数の長孔(ねじ挿通孔420、430)を有することが好ましい。そして、複数の結合部材42、43は、1つ又は複数のねじ挿通孔420、430にそれぞれ挿通されている1又は複数の雄ねじ(ボルト44)によって第2保持部材41にねじ止めされていることが好ましい。
本実施形態に係る照明器具Xが上述のように構成されれば、2つの結合部材42、43が第2保持部材41に対して上下方向に移動可能に設けられ、かつ、結合位置に対して、非結合位置が上になるように構成される。このため、本実施形態に係る照明器具Xは、ボルト44が弛んだ場合でも結合部材42、43が勝手に非結合位置に移動する可能性が低くなるので、増設ユニット2、3が保持体4から脱落することを回避できる。
またさらに、本実施形態に係る照明器具Xにおいて、LEDモジュール10は、基板100に取り付けられるレンズユニット102を備えることが好ましい。レンズユニット102は、板状のベース部1020と、ベース部1020に設けられて複数個のLED101から放射される光を屈折させる複数のレンズ1021とを有することが好ましい。また、レンズユニット102は、複数のレンズ1021が複数個のLED101を覆うように、基板100に対してベース部1020を取り付けるための複数の取付部1022を有することが好ましい。複数の取付部1022は、ベース部1020に設けられた撓み可能な撓み片10220と、撓み片10220に設けられ、基板100に引っ掛けるための突起10221とをそれぞれを備えることが好ましい。
本実施形態に係る照明器具Xが上述のように構成されれば、ドライバなどの工具なしで作業者の手指のみでレンズユニット102が基板100に取り付けられる。そのため、本実施形態に係る照明器具Xは、基板に対してねじ止めされる構造のレンズユニットをLEDモジュール10が備える場合と比較して、LEDモジュール10の組立作業の簡略化を図ることができる。
ところで、基本ユニット1は、第1固定板113がボックス110(の放熱板115)から取り外された状態で電源ケーブル15と端子台13との結線作業が行われる。これに対して、図9に示すように、2枚の板材1130、1131と、これら2枚の板材1130、1131を互いに回転可能に連結する2つの蝶番117とで第1固定板113が構成されることが好ましい。つまり、電源ケーブル15と端子台13との結線作業が行われる際、左側の板材1130が前方へ回転されることにより、端子台13(及び制御ユニット14)がボックス110の前面開口から露出される。そのため、第1固定板113がボックス110から取り外されなくても、電源ケーブル15と端子台13との結線作業、並びに通信ケーブル17と制御ユニット14との結線作業が可能になる。
上述のように本実施形態に係る照明器具Xにおいて、基本ユニット1は、1つ又は複数のLEDモジュール10が取り付けられている取付板(第1固定板113の左側の板材1130)を備えることが好ましい。また、基本ユニット1は、基本ユニット本体11の底面に配置され、電源ケーブル15が電気的に接続される端子台13を備えることが好ましい。さらに、基本ユニット1は、端子台13を前方から覆い隠す閉位置と端子台13を基本ユニット本体11の前面に望ませる開位置との間で回転可能に板材1130を支持する支持部材(2つの蝶番117)を備えることが好ましい。
本実施形態に係る照明器具Xが上述のように構成されれば、端子台13に対する電源ケーブル15の結線作業の容易化を図ることができる。