本発明のシリカバルーン材料は、シリカバルーン粒子の集合体からなる。
ここで、「シリカバルーン粒子」とは、本質的にシリカを構成材料とする外殻を有し、内部が中空の構造となっている(好ましくは球形またはそれに類する形状を有する)粒子を意味し、「シリカバルーン材料」とは、個々の粒子を意味する「シリカバルーン粒子」が多数集合してできた集合体を示すものである。
上記のように、本発明のシリカバルーン材料は、溶媒に対して、好ましくは、水に対してまたは水と類似の比重を有する溶媒に対して、良好な懸濁プロファイルを有する。
ここで、上記溶媒は、好ましくは、水または水と類似の比重を有する溶媒であり、例えば、0.6〜1.5、好ましくは0.7〜1.4、より好ましくは0.8〜1.3、例えば1.0〜1.2の比重を有する溶媒である。上記溶媒の例としては、水、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルアルコール、エチレングリコール、酢酸、アセトン、1,2−ジクロロエタンまたはこれらの組み合わせが挙げられ、その中でも水またはエチレングリコールが好ましい。
なお、上記のように、水または水と類似の比重を有する溶媒が好ましいが、これは、単一の溶媒が水と類似の比重を有する場合だけでなく、2種または3種以上の溶媒を組み合わせた混合溶媒が水と類似の比重を有する場合も含む。従って、上記の例示した溶媒以外の溶媒であっても、単一の溶媒として上記比重を有する溶媒はもちろんのこと、他の溶媒と組み合わせて2種または3種以上の溶媒の混合溶媒とし、当該混合溶媒が水と類似の比重、例えば0.6〜1.5、好ましくは0.7〜1.4、より好ましくは0.8〜1.3、例えば1.0〜1.2の比重を有する場合であれば、そのような溶媒も、好適に使用することが可能である。
また、本発明のシリカバルーン材料を懸濁できる溶媒としては、トルエン、キシレン、パラフィン油等の炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、プロパノール、ブタール、エチレングリコール等のアルコール類、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサンなどのエーテル類およびポリエーテル類、石油系溶剤等、ポリシロキサン類、も挙げられる。これらの溶媒は2種以上を併用してもよく、また、必要に応じてこれら以外の溶媒とも組み合わせることができる。これらの溶媒は、例えば、本発明のシリカバルーン材料を塗料や化粧料において用いる場合に、好適に使用することができる。なおこれらの溶媒に関しても、上述のように、単一の溶媒としては水と類似の比重を有しない場合であっても、2種以上の溶媒を組み合わせて混合溶媒とした場合に水と類似の比重を有すれば、当該混合溶媒もシリカバルーン材料を懸濁する溶媒として好適に使用することができる。
このように、シリカバルーン材料は、所望の用途に応じて、種々の溶媒(単一の溶媒または混合溶媒)に分散させて使用することができる。
本発明のシリカバルーン材料は、0.8〜1.3g/cm3、好ましくは0.9〜1.3g/cm3、例えば1.0〜1.2g/cm3の有効密度を有する。ここで、「有効密度」とは、粒子内空隙は含むが粒子間空隙は除いた体積に基づいて算出した密度を意味する。
シリカバルーン材料の有効密度は、ハーバート形比重瓶(JIS R 3503準拠品)を用い、JIS K0061:2001記載の方法に従って測定することができる。その際、密度既知の液体として2−プロパノールを使用することができる。
シリカバルーン材料がある溶媒に対して良好な懸濁プロファイルを示すには、少なくとも、シリカバルーン材料が、当該溶媒の比重の値に近い有効密度、好ましくは当該溶媒の比重の値以上の有効密度を有する必要がある。従って、上記シリカバルーン材料は、使用する溶媒の比重の値+0〜0.4の範囲内、好ましくは当該溶媒の比重の値+0〜0.3の範囲内、例えば、当該溶媒の比重の値+0〜0.2の範囲内の有効密度を有することが好ましい。通常、溶媒の比重は温度に応じて変化し得るため、バルーンシリカ材料は、その使用温度に応じて、当該温度での溶媒の比重の値に近い有効密度、好ましくは当該温度での溶媒の比重の値以上の有効密度を有する必要がある。しかしながら、シリカバルーン材料は概して常温付近での使用が見込まれるため、常温、例えば20℃での溶媒の比重に近い有効密度(好ましくは当該溶媒の20℃での比重の値以上の有効密度)を有していれば当該条件は満たされる。例えば、上記溶媒が20℃の水(比重:約1)である場合には、シリカバルーン材料は、好ましくは1〜1.4の範囲内、より好ましくは1〜1.3、例えば1〜1.2の範囲内の有効密度を有していればよい。
しかしながら、シリカバルーン材料が溶媒と近い上記のような有効密度(好ましくは当該溶媒の比重の値以上の有効密度)を有する場合であっても、それだけでは、シリカバルーン材料は当該溶媒に対して良好な懸濁プロファイルを示さない。
上記の有効密度は、1つの粒子を単独で測定して得られたものではなく、多数の粒子の集合体である材料、典型的には粉末状の材料を測定して得られるものである。従って、シリカバルーン材料を測定した有効密度の値が上記範囲内にあっても、当該材料の中に軽質な粒子(すなわち、粒子内空隙を含めた体積に基づいて算出した密度が、上記有効密度の値よりも小さい粒子)が数多く含まれてしまう場合もある。このような場合には、シリカバルーン材料が全体としては上記のような有効密度を有していたとしても、多数の軽質な粒子が溶媒中に分散せずに浮上してしまう。そして、浮上した粒子の数が多い場合には、浮上層を形成してしまう。
シリカバルーン材料を溶媒に分散させて懸濁状態を形成する場合、もし、溶媒に対して沈降する粒子が存在したとしても、そのような粒子は、例えば撹拌または溶媒粘度の調整により、容易に分散状態にすることができる。しかしながら、溶媒に対して浮上した粒子は、撹拌や溶媒粘度の調整に付しても、すぐにまた浮上してしまうため、分散状態にすることが難しい。
シリカバルーン材料がある溶媒に対して良好な懸濁プロファイルを示すためには、当該材料は、上記のような適切な有効密度を有することに加えて、当該材料に含まれるこのような軽質粒子ができるだけ少ない必要があり、好ましくはこのような軽質粒子を実質的に含まないか、または含まない。しかしながら、上述のように、このような条件を満たすシリカバルーン材料はこれまでに知られていなかった。
本発明のシリカバルーン材料は、下記の浮上率試験によって溶媒として水を用いて浮上率を測定した場合に、投入したシリカバルーン材料全重量を基準として好ましくは10重量%以下の粒子、より好ましくは5重量%以下、例えば、4重量%以下、3重量%以下、2重量%以下または1重量%以下の粒子しか浮上しない。そして、最も好ましくはシリカバルーン粒子が実質的に、すなわち、目視で確認できる量では浮上しない(浮上率0%)。
なお、浮上率試験は以下のように行った:常温下で、容積500mLの分液漏斗に水(脱イオン水)500mLと一定重量になるまで乾燥したシリカバルーン材料試料25gとを入れ、水中にシリカバルーン材料が均一に分散されるまで振とうした。これをその後静置し、浮上部分の割合を求めた。
浮上部分の割合は、上記のような分散・静置により浮上部分と沈降部分を分離させ、浮上層を回収して、一定重量になるまで乾燥した後に、投入したシリカバルーン材料に対する浮上物の比率(重量%および場合により体積%)を求めることによって算出した。本明細書においては、当該浮上物に関する比率を「浮上率」とも呼ぶ。
その際、分液漏斗としては株式会社相互理化学硝子製作所製スキーブ型分液ロート(容量:500mL)を使用した。静置時間は、分離が十分に達成される時間であればよく、例えば、少なくとも10分間である。ただし、分散・静置を一度行うだけでは、浮上部分と沈降部分の分離が十分でない場合も想定し得るので(例えば、本来沈降すべき微小粒子が隣接する他の比較的大きい軽質粒子の集合に組み入れられて一緒に浮上してしまう場合など)、そのような場合には、上記分散・静置のステップを複数回、例えば2または3回行うことが好ましい。具体的には、1回目の分散・静置により浮上部分と沈降部分を分離させ、沈降部分を除去した後に、再度水を加えて2回目の分散・静置を行う。そしてこれを必要に応じて繰り返すことができる。実施例では、分散・静置(1回目の静置時間:4時間、2回目の静置時間10分間)を2回行った後に浮上層を回収して浮上率の測定を行った。例えば下記のように、シリカバルーン材料が表面処理されている場合には、水への添加直後に多くの粒子が浮上してしまう場合もあり得るので、そのような場合には上記の分散・静置を複数回行うことが好ましく、必要に応じて、表面処理がされていない場合よりも分散・静置を多く繰り返してもよい。
なお、上記浮上率試験は、シリカバルーン材料が表面処理されているか否かに拘らずに行うことができる。すなわち、上記浮上率試験は、表面処理がされていない状態のシリカバルーン材料を用いても、表面処理がされている状態のシリカバルーン材料を用いても実施することができる。例えば表面疎水化処理されているシリカバルーン材料を用いると、水への添加直後には、その多くが凝集または浮上してしまう場合もあり得る。しかしながら、このような場合でも、該シリカバルーン材料が上記のような適切な有効密度および浮上率を有していれば、例えば振とうまたは撹拌することによって容易に懸濁状態を得ることができる。従って、表面処理の有無に拘らずに、上記浮上率試験によって浮上率を求めることが可能である(実施例では、表面処理を行っていないシリカバルーン材料を用いて行った。)。
従って、本発明は、0.8〜1.3g/cm3の有効密度を有するシリカバルーン材料であって、常温下で当該シリカバルーン材料を水中に分散させ静置し、浮上部分の割合を求めた浮上率が、10重量%以下である、シリカバルーン材料に関する。
本発明の1つの態様において、本発明は、0.8〜1.3g/cm3の有効密度を有するシリカバルーン材料であって、水中での浮上部分の割合として求めた浮上率が10重量%以下であり、この際、この浮上率は、常温下で当該シリカバルーン材料を水中に分散させて、浮上部分と沈降部分が分離するまで静置するステップを一以上含む方法により求められるものである、シリカバルーン材料に関する。
本発明のシリカバルーン材料は、上記のように非常に低い浮上率を示し、これは当該材料が上述の軽質粒子を実質的に含まないか、または含んでいたとしても非常に少ない量でしか含まないことを意味する。
本発明のシリカバルーン材料は、上記のような適切な有効密度かつ上記のような非常に低い浮上率を有するため、これを溶媒に対して懸濁すると良好な分散状態が達成され、すなわち、当該材料は良好な懸濁プロファイルを示す。
なお、ここで、「懸濁」とは、シリカバルーン粒子が溶媒中に分散された状態を意味する。ただし、上記のように、溶媒に対して沈降する粒子が存在したとしてもそのような粒子は容易に分散状態にできるので、本明細書では、沈降粒子(沈降物)が存在する状態も上記「懸濁」に含めることができる。
ここでは便宜上、溶媒の典型的な例として水を使用した場合の浮上率のみを記載した。しかしながら、水と類似の比重を有する他の溶媒(例えば上記の溶媒)にシリカバルーン材料を懸濁する場合であっても、シリカバルーン材料が当該溶媒に応じて上記のような適切な有効密度を有し、かつ、水での浮上率が上記のように非常に低い場合に、当該材料が当該溶媒に対しても同等に良好な懸濁プロファイルを示すことは、当業者には理解されるところである。
本発明のシリカバルーン材料は、各粒子の内部に中空構造を有するため、内部に存在するガス(例えば空気)の影響により、優れた電気絶縁効果、断熱効果、遮音効果等を発揮する。また、本発明のシリカバルーン材料は、該材料を構成する各粒子が高い純度を有するシリカからなるため、化学的に安定である。
なお、本発明では、走査電子顕微鏡(SEM)を用いた観察によっても、本発明のシリカバルーン材料が中空構造を有することが確認された。
また、本発明の1つの実施態様において、本発明のシリカバルーン材料を構成するシリカバルーン粒子は、上記のような中空構造を有するが、多孔質ではない。本発明のさらなる実施態様において、本発明のシリカバルーン材料を構成するシリカバルーン粒子は、粒子の表面が緻密化されていてもよい。
また、本発明のシリカバルーン材料は、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.92以上、例えば0.93以上または0.94以上の平均円形度を有する。本発明の1つの実施態様において、本発明のシリカバルーン材料は、0.90〜1の範囲の円形度を有する。
ここで、「円形度」とは、投影された物体と同じ面積の円の円周とその物体の周囲長との比率を意味し、真円の場合は1となる。円形度は光学顕微鏡等で得られる粒子像を画像解析することにより算出することができる。具体的には、2万個以上の粒子を撮影し、画像解析して得られたデータより算出した算術平均値を円形度とすることができる。本発明では、粒子の撮影及び画像解析に、スペクトリクス社製粒子画像イメージング分析装置モフォロギG3を用いた。
上記のように本発明のシリカバルーン材料は、非常に高い円形度を有し、従って各粒子がほぼ球状の形態にある。そのため、シリカバルーン材料は、例えば遮熱塗料や化粧料に充填することが容易であり、種々の用途において、優れた加工性、弾力性、触感、光学特性、増量効果を付与することができる。
また、本発明のシリカバルーン材料は、好ましくは1g/mL以下、より好ましくは0.5g/mL以下の嵩密度を有する。例えば、本発明のシリカバルーン材料は、好ましくは0.05〜1g/mL、より好ましくは0.1〜0.5g/mLの嵩密度を有することができる。ここで、「嵩密度」は、JIS K3362:2008記載の見掛け密度の測定方法を用いて測定することができる。
本発明のシリカバルーン材料は、粒子間の空隙に加えて、「粒子内の空隙」を有する。従って、1つの態様において、本発明のシリカバルーン材料の嵩密度は、緻密シリカ(中実のシリカ)に比べて相対的に小さい(他の条件が同じであれば)。このように緻密シリカと比べて低い嵩密度を有し得ることも、本発明のシリカバルーン材料の特徴の一つである。
そして、良好な懸濁プロファイルを維持することが条件ではあるが、嵩密度が小さいほど、粒子内部や粒子間の空隙率が高くなるので、優れた断熱性や電気抵抗性が達成される。
さらに、本発明のシリカバルーン材料は、好ましくは0.1mL/g以下、さらに好ましくは0.05mL/g以下の細孔容積を有する。「細孔容積」は、細孔分布測定装置(例えば、日本ベル株式会社製高精度比表面積・細孔分布測定装置BELSORP−max)を用いることにより、定容量式ガス吸着法によって測定することができる。
本発明の1つの実施態様において、本発明のシリカバルーン材料は多孔性構造を有さず、そのような場合、本発明のシリカバルーン材料の細孔容積は、多孔性構造を有するシリカ粒子に比べて相対的に小さい。
また、本発明のシリカバルーン材料は、好ましくは10m2/g以下、より好ましくは5m2/g以下の比表面積を有する。「比表面積」は、比表面積測定装置(例えば、日本ベル株式会社製高精度比表面積・細孔分布測定装置BELSORP−max)を用いることにより、定容量式ガス吸着法によって測定することができる。
本発明の1つの実施態様において、本発明のシリカバルーン材料は多孔性構造を有さず、そのような場合、本発明のシリカバルーン材料の比表面積は、多孔性構造を有するシリカ粒子に比べて相対的に小さい。
さらに、本発明のシリカバルーン材料は、好ましくは、色の明度を表すL値(以下、単に「L値」ともいう)が90以上であり、より好ましくは95以上、特に好ましくは97以上である。また、本発明のシリカバルーン材料は、色の色相を表すa値(以下、単に「a値」ともいう)の絶対値が5以下であることができ、好ましくは1以下、より好ましくは0.5以下、特に好ましくは0.3以下である。さらに、本発明のシリカバルーン材料は、色の色相を表すb値(以下、単に「b値」ともいう)の絶対値が5以下であることができ、好ましくは3以下、より好ましくは2以下、特に好ましくは1以下である。L値が100に近いほど、そして、a値、b値の絶対値が0に近いほど白色に近づく。ここで、L値、a値およびb値は、市販の分光色差計により測定することができる。例えば、日本電色工業株式会社製の分光色差計SE−6000を使用して、開口径30mmの測定セルに試料高さ8mm以上を敷き詰めて測定することができる。
本発明のシリカバルーン材料は上記のようなL値、ならびにa値およびb値の絶対値を有するため、ほぼ完全な白色を有し、フライアッシュ系のバルーン材料よりも白い。本発明の好ましい態様では、シリカバルーン材料は、90以上のL値、かつ5以下のa値の絶対値かつ5以下のb値の絶対値を有し、そのような場合には純白であるため、さらなる精製工程を必要とせずに、意匠性が求められる用途、例えば化粧品等にも使用することができる。
また、本発明のシリカバルーン材料は、好ましくは1μm〜500μm、より好ましくは5〜300μm、例えば10〜300μmの平均粒径を有し、さらに好ましくは10μm〜200μm、例えば、10〜100μmまたは10〜80μm、より好ましくは20〜60μm、特に好ましくは25〜55μmの平均粒径を有する。
上記の「平均粒径」は、光学顕微鏡等で2万個以上の粒子を撮影し、粒子像を画像解析して得られたデータより算出した面積円相当径の体積基準粒度分布における、積算値50%での粒径を意味する。本発明では、粒子の撮影及び画像解析には、スペクトリクス社製粒子画像イメージング分析装置モフォロギG3を用いた。
上記のような粒径は、化粧料や塗料等に含ませる場合に非常に好適な大きさであり、すなわち、これらの機能を損ね得る程には大きすぎず、また上述のような生体に影響を与え得る非常に微小な粒子も含まない。
本願では、下記の製造方法を用いることにより、上記のような適切な有効密度および非常に低い浮上率を達成しつつ、かつ、このような好適な粒径を有するシリカバルーン材料を得ることが可能である。
外殻の壁厚(平均厚み)は、好ましくは0.01〜20μm、より好ましくは0.1〜10μm、例えば1〜8μmであることができる。平均厚みは、有効密度、平均粒径およびシリカの真密度から求めることができる。
本発明のシリカバルーン粒子、シリカバルーン材料は、上記の特徴を単独でまたはこれらの特徴の2つ以上を組み合わせて含み得る。
本発明のシリカバルーン材料は、例えば、塗料(例えば遮熱塗料)、樹脂(例えば、エポキシ樹脂、ポリウレタン、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂のような熱硬化性樹脂、シリコン樹脂)、パテ(例えば補修用パテ)、接着剤、コーティング材、シーリング材、FRPパネル、PVC製品、自動車アンダーコート、プラスチックフィラー、増感剤、遮熱材、窓枠の強化材や断熱材、フィルム用断熱材、建材中において使用することができる。
例えば、上記シリカバルーン材料を塗料や樹脂に混合すると、当該塗料や樹脂の内部に空気で満たされたナノ空間が形成されるため、当該塗料や樹脂の絶縁性や断熱性、遮音性を高めることができる。特に上記のような中空のナノ空間によって、シリカバルーン材料を添加された塗料や樹脂では、空気に近い断熱特性を得ることができ、低い熱伝導率を達成することができる。
例えば、本発明のシリカバルーン材料を充填させた樹脂を成型する場合には、該シリカバルーン材料の中空構造を破壊しない程度の圧力で成型することが望ましい。具体的には、注型法、インフレーション法、吹き込み法、積層法、発泡法、マッチドダイ法、反応射出(RIM)法、回転法、等が挙げられる。
また、本発明の1つの実施態様において、上記シリカバルーン材料は適度な粒度分布を有し、各粒子がほぼ球状をしているため、他の材料に充填することが容易であり、当該シリカバルーン材料が添加される材料に対して、優れた加工性、弾力性、触感、光学特性、増量効果を付与する。この特性を活かして、化粧品における滑剤やクレンジング剤、フィルム等のアンチブロッキング剤として使用することもできる。
更に、本発明の方法に従って製造された上記シリカバルーン材料は、酸処理により酸に可溶である化合物は粒子から抽出されるため、実質的に純シリカとなる。よって、例えばナトリウムやアルミニウム等、ケイ素と酸素以外の元素を実質的に含まないことから、上記の特性に加え、実質的に純シリカを求める用途にも良好に使用することができる。この代表例として、半導体や電気部品に用いる塗料や樹脂等のフィラーや断熱充填物、また、例えば高温下等でナトリウムと反応し、変質する樹脂等が挙げられる。
本発明の1つの態様において、本発明のシリカバルーン材料は、例えばメッキなどによりその粒子表面に導電性被膜を形成させることができ、それによって、導電性粒子を得ることができる。該導電性粒子は、帯電防止剤や導電性金属粒子の代替品、等として使用することができる。
更に、本発明のシリカバルーン材料は、医薬部外品原料規格で定められる無水ケイ酸としても取り扱うことができる。
また、本発明の1つの態様において、本発明のシリカバルーン材料は表面処理、好ましくは表面疎水化処理が施されている。
好ましくは、本発明のシリカバルーン材料を塗料、樹脂、パテやコーティング材などの有機系材料に混合する場合に、当該混合に先立って、シリカバルーン材料の表面を予め処理し、所望の特性を当該表面に付与する。例えば、上記の混合に先立ってシリカバルーン材料の表面を予め疎水化処理することにより、当該シリカバルーン材料の上記有機系材料(塗料、樹脂、パテやコーティング材など)への添加量、すなわちシリカバルーン材料の充填量を増加することが可能となる。その結果、シリカバルーン材料を添加した材料における絶縁性、断熱性、遮熱性、遮音性をより一層向上させることができる。
本発明のシリカバルーン材料は上記のように比表面積が小さいので、少量の表面処理剤、例えば少量の疎水化剤で処理することができ、従って経済面及び環境影響面での効果も高い。
上記の表面処理は、本発明のシリカバルーン材料を添加する材料、当該材料の用途に応じて、公知の表面処理を適宜選択して行うことができる。
例えば、表面処理として疎水化表面処理を施すためには、公知の疎水化剤を使用することができる。具体的に例示すれば、シリル化剤として、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、ビニルトリクロロシラン等のクロロシラン類やテトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、i−ブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、i−ブチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシランのようなオルガノアルコキシシラン等のアルコキシシラン類、ヘキサメチルジシラザン等のシラザン類、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、オリタメチルシクロテトラシロキサンのような環状オリゴシロキサン類等がある。また、ジメチルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アルキル変性シリコーンオイル、クロロアルキル変性シリコーンオイル、クロロフェニル変性シリコーンオイル、脂肪酸変性シリコーンオイル、ポリエーテル変性シリコーンオイル、アルコキシ変性シリコーンオイル、カルビノール変性シリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイル、フッ素変性シリコーンオイル、及び、末端反応性シリコーンオイル等のシリコーンオイルも疎水化剤として好ましい。
更に、脂肪酸及びその金属塩として、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などの長鎖脂肪酸が挙げられ、その金属塩としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムなどの金属との塩も疎水化剤として有効である。
これらのうち、シリル化剤とシリコーンオイルが最も一般的であり、特にヘキサメチルジシラザンは、疎水度が高いものが得られやすいので、好ましい。
また、本発明のシリカバルーン材料は、シリコーン表面処理剤、特にシランカップリング剤で表面処理することもできる。このようなシリコーン表面処理剤での処理によっても、本発明のシリカバルーン材料の上記有機系材料への均一混合が容易になり、充填量も高めることができる。
本発明のシリカバルーン材料をシリコーン表面処理剤で処理する方法としては、乾式処理法と湿式処理法を採用することができる。乾式法は、ヘンシェルミキサー等の撹拌機を用いて高速撹拌しながら、シリコーン表面処理剤又はこれに水や有機溶剤等を混合した溶液を滴下あるいは噴霧して添加し、均一に撹拌混合した後、加熱乾燥させる方法である。一方、湿式法は、シリカバルーン材料を水又は有機溶剤等に分散させてスラリー化し、シリコーン表面処理剤を添加して撹拌混合する、あるいは水又は有機溶剤等にシリコーン表面処理剤を予め溶解させた溶液中に、撹拌しながらシリカバルーン材料を分散させて処理する方法である。湿式法の場合は、デカンテーション、濾過、遠心分離等で脱溶媒した後、乾燥させて表面処理シリカバルーン材料を得る。シリコーン表面処理剤の添加量は、シリカバルーン材料100重量部に対し、0.3〜5.0重量部、特に0.5〜2.0重量部が好ましい。
シリコーン表面処理剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
また、本発明の表面処理に使用できるシランカップリング剤としては、一般式(1):Y3−Si−Z−S−CO−R(式中、Yは炭素数1〜6のアルコキシ基またはアセトキシ基、Zは炭素数1〜8のアルキレン基、Rは炭素数1〜18の炭化水素基を表す。)で示されるシランカップリング剤も使用することができる。
上記一般式(1)のYで表される「炭素数1〜6のアルコキシ基またはアセトキシ基」としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、イソブトキシ基などのアルコキシ基;アセトキシ基などを挙げることができる。これらのうち、アルコキシ基が好ましく、炭素数1〜4のアルコキシ基が特に好ましい。
上記一般式(1)のZで表される「炭素数1〜8のアルキレン基」としては、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2−)、トリメチレン基(−CH2CH2CH2−)、テトラメチレン基(−CH2CH2CH2CH2−)、プロピレン基(−CH(CH3)CH2−)などを例示することができる。これらのうち、エチレン基およびプロピレン基が好ましい。
上記一般式(1)のRで表される「炭素数1〜18の炭化水素基」としては、直鎖、環式または分岐アルキル基、アルケニル基、アリール基およびアラルキル基を挙げることができる。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、ヘプチル基、イソヘプチル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、イソウンデシル基、ドデシル基、イソドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、イソテトラデシル基、ペンタデシル基、イソペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、イソヘプタデシル基、オクタデシル基、イソオクタデシル基などを例示することができる。
上記一般式(1)で示されるシランカップリング剤の具体例としては、3−トリエトキシシリルプロピルチオアセテート、3−トリメトキシシリルプロピルチオアセテート、3−トリプロポキシシリルプロピルチオアセテート、3−オクタノイルチオプロピルトリメトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシラン、3−オクタノイルチオプロピルトリプロポキシシランおよび2−アセチルチオエチルトリメトキシシランなどを挙げることができる。
上記一般式(1)で示されるシランカップリング剤は、相当するメルカプトトリアルコキシシランとチオエステルとのエステル交換反応などの公知の方法によって製造することができる(特表2001−505225号公報参照)。また、例えば3−オクタノイルチオプロピルトリエトキシシランの市販品としては、「NXTシラン」(日本ユニカー(株)製)を使用することができる。
また、上記の表面処理のために、有機ケイ素化合物として、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシラン、オタクデシルジメチル(3−(トリメトキシシリル)プロピル)アンモニウムクロライド等のような有機ケイ素化合物を使用することもできる。
さらに、本発明においては、本発明のシリカバルーン材料と金属アルコキシドとを乾式で接触処理してシリカバルーン材料表面に金属アルコキシドを付着せしめた後、上記シリカバルーン材料を水蒸気と接触せしめて表面に付着した金属アルコキシドを加水分解し、それによって得られた表面処理シリカバルーン材料を更に疎水化処理することもできる。
上記金属アルコキシドとしては、下記の一般式(2)で表わされる化合物が特に制限なく使用される。
M(OR)n ・・・(2)
(ただし、Mは金属元素、Rはアルキル基、nは整数を表わす。nが2以上の場合、Rは同一のアルキル基でもよいし、炭素数や構造の異なる複数のアルキル基であってもよい。)
上記一般式における金属元素(M)は、特に限定されないが、Ti、Zr、Al、Sn、Zn、Mgが帯電性能の制御には好適であり、さらに、Ti、Zrでは流動性付与特性が優れ、特に好適である。また、アルコキシ基(RO)も特に限定されないが、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等が一般的であり、好適である。
上記金属アルコキシドを具体的に例示すれば、テトラメトキシチタン、テトラエトキシチタン、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラ−s−ブトキシチタン、テトラ−t−ブトキシチタン、テトラエトキシジルコニウム、テトラ−i−プロポキシジルコニウム、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリメトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、トリ−i−プロポキシアルミニウム、トリ−n−ブトキシアルミニウム、トリ−s−ブトキシアルミニウム、トリ−t−ブトキシアルミニウム、モノ−s−ブトキシジ−i−プロピルアルミニウム、ジメトキシ錫、ジエトキシ錫、ジ−n−ブトキシ錫、テトラエトキシ錫、テトラ−i−プロポキシ錫、テトラ−n−ブトキシ錫、ジエトキシ亜鉛、マグネシウムメトキシド、マグネシウムエトキシド、マグネシウムイソプロポキシド等が挙げられる。そのうち、テトラ−i−プロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシジルコニウムは、入手しやすく、特に好適である。金属アルコキシドはそのまま使用することもできるが、粘度、融点、その他の性状を考慮してアルコールやエーテル、ヘキサンやトルエン等の炭化水素系溶媒、シリコーンオイル等々の非水溶媒に適宜希釈あるいは溶解して使用することもできる。
本発明では、上記のような表面処理剤の1種類を単独で、あるいは、2種類以上の場合は混合するか、または、順次段階的に表面処理して、用途に応じて要求される表面処理、好ましくは表面疎水化を達成することができる。
なお、例えば本発明のシリカバルーン材料の表面を疎水化処理し、溶媒として水を用いた場合、水への添加直後には凝集や浮上層が形成することもあり得る。しかしながら、このような場合でも、該シリカバルーン材料が上記のような適切な有効密度および浮上率を有していれば、例えば振とうまたは撹拌することによって容易に、表面が疎水化されていないシリカバルーン材料(多量のシラノール基Si−OHを有しているために親水性である)の場合と同様に、懸濁状態を得ることができる。
すなわち、本発明のシリカバルーン材料は、表面疎水化処理等の表面処理がされていてもされていなくてもよく、表面疎水化の有無に拘らずに、上記溶媒に懸濁して所望の用途に用いることが可能である。
シリカバルーン材料の製造方法
本発明のシリカバルーン材料は、以下の工程(A)〜(C)を含む方法によって製造することができる。
(A)珪酸アルカリ水溶液を噴霧乾燥に付して、中空構造を有するシリカバルーン前駆体を得る工程、
(B)工程(A)から得られたシリカバルーン前駆体を酸で処理することにより、当該前駆体からアルカリを除去してシリカバルーンを得る工程、および
(C)工程(B)から得られたシリカバルーンを洗浄し、乾燥する工程。
以下、上記(A)〜(C)の工程について説明する。
<工程(A)>
この工程は、珪酸アルカリ水溶液を噴霧乾燥に付して、中空構造を有するシリカバルーン前駆体を得る工程である。
この工程(A)では、SiO2/M2Oモル比(ここで、Mはアルカリ金属を表す)が1.9〜2.7の珪酸アルカリ水溶液を用いる。本願では、上記モル比がこの範囲内にある場合に、上記の所望の有効密度を有するシリカバルーン材料が得られることが判明した。上記モル比は、好ましくは2.0以上である。また、上記モル比は、好ましくは2.5以下であり、より好ましくは2.4以下である。上記モル比が大きくなるとシリカ分が多くなり、粘性が高くなり、噴霧乾燥しにくくなる。その結果、中実多孔質シリカの含有量が増加する傾向がある。一方、上記モル比が小さい場合、アルカリが多く、中和時に発生する廃棄物が多くなるため非効率である。また、モル比1であるメタケイ酸ナトリウムの性質に近づくためにノズルで析出しやすくなり、安定な噴霧が困難となる。更には、得られるシリカの重質化が進み、有効密度が上記範囲の粒子を得ることが困難となる。重量化が進む理由について明らかではないが、メタケイ酸ナトリウムの結晶の析出が影響しているのではないかと考えている。これらを踏まえ、例えば2.0〜2.5の上記モル比を有する珪酸アルカリを用いるのが特に好ましい。
上記珪酸アルカリ水溶液は、好ましくは珪酸ナトリウム水溶液および/または珪酸カリウム水溶液である。
珪酸アルカリ水溶液としては、例えば、JIS K1408で規定されている珪酸ナトリウム1号、2号、3号や例えば、和光純薬株式会社製の珪酸カリウム水溶液などを水酸化ナトリウムや水酸化カリウムでモル比を調整したものを使用することができる。
上記珪酸アルカリ水溶液は、水溶液全体の重量を基準として、珪酸アルカリを20重量%以上の量で含む。本願では、珪酸アルカリ水溶液が20重量%以上の珪酸アルカリを含む場合に、上記の所望の有効密度を有するシリカバルーン材料が得られることが判明した。上記量は、好ましくは25重量%以上であり、より好ましくは30重量%以上であり、特に好ましくは35重量%以上であり、最も好ましくは40重量%以上である。また、上記量は、好ましくは60重量%以下であり、より好ましくは55重量%以下、さらに好ましくは50重量%以下である。珪酸アルカリの量が多いほうが対費用効果が良いが、多すぎると粘度上昇により噴霧乾燥品の形状が歪んでしまうおそれがあるので、例えば、珪酸アルカリを20〜60重量%の範囲で含む珪酸アルカリ水溶液を用いるのが好ましい。
工程(A)における噴霧乾燥は、噴霧乾燥に関連して従来から公知の任意の方法で行うことができる。例えば、市販の噴霧乾燥装置(ディスク回転式やノズル式等がある。例えば、大川原化工機株式会社製噴霧熱分解装置)を用いた従来公知の方法で行うことができる。
例えば、この噴霧乾燥は、熱風気流中(空気:1,000〜7,000L/時、好ましくは3,000〜5,000L/時)に、上記珪酸アルカリ水溶液を1,000〜5,000g/時、好ましくは、2,000〜4,000g/時の速度で噴霧することによって行われる。上記噴霧乾燥において、噴霧された珪酸アルカリ水溶液が発泡することによりバルーン(中空微小球体)が形成される。その表面から水分が抜けることによって、当該表面が硬化してバルーン形状の粒子(すなわち、中空構造を持つ粒子)が形成する。
なお、この噴霧乾燥により、珪酸アルカリの含水率は好ましくは30重量%以下、例えば10〜25重量%に低下する。
上記熱風の温度は、入口温度が350℃以下である。本願では、入口温度が350℃を超えると、上記の所望の有効密度かつ浮上率を有するシリカバルーン材料が得られないことが判明した。これは、このような高温ではシリカバルーンの膜厚を制御することが困難なため、得られるシリカバルーン材料の中に上記の軽質粒子が多く含まれてしまうためであると考えられる。このような場合には、たとえシリカバルーン材料が全体として適切な有効密度を有していたとしても、多数の軽質粒子の存在により、良好な懸濁プロファイルを得ることはできない。上記入口温度は、好ましくは300℃未満または300℃以下であり、例えば、290℃以下または280℃以下である。また、上記入口温度が160℃未満であると乾燥が不十分であるため、上記入口温度は、好ましくは160℃以上であり、より好ましくは180℃以上であり、例えば190℃以上または200℃以上である。本願では、上記入口温度が、例えば160℃〜350℃であることができ、200℃〜300℃、特に220℃〜280℃の場合に非常に良好な懸濁プロファイルを有するシリカバルーン材料を得ることができた。
また、上記熱風の温度は、出口温度が50℃以上であることが好ましい。上記出口温度が50℃未満であると乾燥が不十分である。また、出口温度は、乾燥が十分であることに加え、結露が起こらない温度とすることが好ましい。これは、結露が起こると、粒子の凝集、配管内のスケーリング、バグフィルターの目詰まり等が発生しやすくなってしまうからである。十分な乾燥と結露の防止という観点から、上記出口温度は、50〜200℃、好ましくは100〜140℃、より好ましくは110〜130℃の範囲にあることが好ましい。
当該工程(A)により、中空構造を有するシリカバルーン前駆体(実施例や図では、「中間物」とも呼ぶ)が得られる。当該前駆体は、好ましくは粉末状の形態を有する。ここで「粉末状」とは、粒子の平均粒径が0.1μm〜1mmの範囲内にあることを意味する。
このシリカバルーン前駆体をそのまま工程(B)に付すこともできるが、工程(A)と工程(B)の間に、空気分級工程に付してもよい。従って、上記工程(A)はさらに、空気分級工程を含むことができる。
この空気分級工程を含むことにより、噴霧乾燥工程により得られたシリカバルーン前駆体から極度に大きいサイズの粒子・凝集物や極端に小さいサイズの微粉を除くことができ(例えば、粒子径が約0.1μmより小さい粒子、および約1mmより大きい粒子を除去する)、また、球状形態(または概ね球状形態)にある粒子をより選択的に回収することができる。
空気分級は、空気分級に関連して従来から公知の任意の方法で行うことができる。特に限定はされないが、例えば、気流式分級機、バグフィルター等を用いることができる。
上記工程(A)によって得られるシリカバルーン前駆体は、固体形状かつ粉末状を維持できる範囲の含水量を有するものであれば問題なく使用することができる。
1つの態様では、ここで説明したシリカバルーン前駆体は、天然珪砂とアルカリから水ガラスを経て層状珪酸ナトリウムを製造する工程において、噴霧乾燥装置に接続されたバグフィルターの後に得ることができる(図1参照)。
<工程(B)>
この工程は、上記工程(A)から得られたシリカバルーン前駆体を酸で処理する工程(中和処理工程)である。この工程(B)により、当該シリカバルーン前駆体からアルカリ成分が除去され、シリカバルーンが得られる。
この工程は、例えば、酸の入った反応容器中に、上記工程(A)から得られた上記のシリカバルーン前駆体を添加することで行われる。この酸処理には無機酸を使用することができ、好ましくは鉱酸が使用される。その中でも、例えば硫酸、硝酸、塩酸等の強酸が好ましく、特に硫酸や塩酸は廃水処理が容易なので好ましい。使用する無機酸の濃度、ならびに添加する無機酸と上記シリカバルーン前駆体との量比は、使用する無機酸の種類に応じて、アルカリ成分が完全に除去できるような適切な濃度および量比が、適宜選択される。その際、酸の割合が大きすぎると発熱による凝集促進や廃液処理に使用するアルカリの量が増す。一方、酸の割合が小さすぎると上記前駆体投入時に珪酸アルカリの溶解が生じる恐れがあり、また、中和に使用する装置も大型化してしまう。
従って、例えば、無機酸の濃度は、例えば硫酸を使用する場合には、好ましくは1〜20重量%硫酸、より好ましくは3〜10重量%硫酸、特に好ましくは4〜8重量%硫酸(例えば4〜6重量%硫酸)が使用される。このような濃度範囲の硫酸を使用すると、反応中の反応系のpHを酸性に保つことが容易となり、さらに、反応後の過剰硫酸の除去が容易となる。
例えば、添加する無機酸と上記シリカバルーン前駆体との量比は、例えば、無機酸として6重量%硫酸を用いる場合には、6重量%硫酸10Lに対して、好ましくは100g〜3,000g、より好ましくは300g〜1,500gの量比となるように、無機酸の量と上記シリカバルーン前駆体の量を調節する。
上記のような範囲内に無機酸濃度、および無機酸とシリカバルーン前駆体との量比を設定することにより、得られるシリカバルーン材料の品質の劣化や経済的観点からの不利益を回避することができる。
処理温度は、好ましくは10℃以上、より好ましくは15〜30℃である。酸処理工程(中和処理工程)は常温下で行うこともできる。処理時間は、好ましくは0.5分〜5時間、より好ましくは1分〜2時間である。処理中は、液を撹拌して反応を促進および均一化することが好ましい。中和反応は短時間で完結し、そして、長時間撹拌させると形状変化(割れ)が生じる恐れがあるので、3分〜60分の処理時間が特に好ましい。
本製造方法においては、酸処理工程の間、反応液のpHを酸性領域、特に2以下(例えば1以下)に維持することが好ましい。pHが2より大きいと酸濃度が低く、そのような場合には装置の大型化が必要となってしまうからである。
この工程(B)により、シリカバルーンを得ることができる。
なお、この酸処理工程では、超音波処理を同時に施すこともできる。超音波処理は、公知の超音波処理装置を使用することによって行うことができる。超音波処理としては、20〜500kHz、好ましくは25〜50kHzの範囲の周波数の超音波を照射することが好ましい。酸処理と同時に超音波処理を施すことにより、中和反応がより一層、促進および均一化される。また、中和処理工程においては、粒子が弱い凝集を示す場合もあるが、超音波処理を施すことにより、このような粒子の緩い凝集を解くこともできる。
従って、上記工程(B)はさらに、酸処理工程と共に、超音波処理を施す工程を含むことができる。
なお、酸処理工程で得られたシリカ粒子をそのまま次の工程(C)に使用してもよいが、常法の分離手段によって、粗大粒子や凝集物を除去して粒度を調整してから、次の工程(C)に使用することもできる。
従って、上記工程(B)はさらに、得られたシリカバルーンを粒度調整に供する工程を含むことができる。この粒度調整は、例えばろ過によって行うことができ、例えば、適切な目開きのナイロンフィルターを用いてろ過することにより、粗大粒子や凝集物を除去することができる。粗大粒子や凝集物だけを効率的に除去するために、ナイロンフィルターを用いることが好ましい。目開きが小さすぎると詰まり易く、作業性が悪い。一方、目開きが大きすぎると凝集物が通過してしまう。よって、好ましくは、63〜212μmの範囲の目開きを有するナイロンフィルターを使用することが好ましい。例えば、SEFAR社製ボルティングクロス 150メッシュを使用することができる。
酸処理後のシリカバルーンは、酸溶液中における懸濁液の形態で、あるいは、粒度調整、例えばろ過による粒度調整を行った場合には当該シリカバルーンを含むろ液の形態で得られ、これらを、工程(C)の洗浄、乾燥工程に供することができる。
<工程(C)>
この工程は、工程(B)から得られたシリカバルーンを洗浄し、乾燥する工程である。
この工程では、洗浄により前記シリカバルーンから酸処理時に用いた酸を除去し、その後の乾燥により、洗浄に用いた液体(典型的には水)を除去する。
洗浄方法は、工程(B)から得られたシリカバルーンを、中性付近のpHにできる方法であれば特に限定はされない。例えば、工程(B)から得られた懸濁液(またはろ液)を遠心分離器で脱水しながら、水を加えることにより、洗浄を行うことができる。好ましくは、洗浄工程では、中性になるまで、好ましくは6〜8のpHになるまでシリカバルーンを水洗する。この洗浄工程により、中性のシリカバルーンを得ることができる。
上記のように洗浄したシリカバルーンを乾燥する。乾燥は任意の公知の乾燥機を用いて行われる。
乾燥工程の乾燥温度は、好ましくは120℃以上、より好ましくは130℃以上、さらに好ましくは140℃以上の温度である。また、上記乾燥温度は、好ましくは259℃以下、より好ましくは250℃以下、さらに好ましくは230℃以下、特に好ましくは200℃以下、180℃以下、170℃以下または160℃以下である。本発明の1つの実施態様において、上記乾燥温度は、120〜259℃であることができる。乾燥時間は、好ましくは10分〜24時間、より好ましくは30分〜6時間である。上記の範囲内の温度で乾燥することにより、非常に高い凝集防止効果が達成される。
また、当該乾燥工程は、好ましくは1段階で行われる。
この乾燥により、シリカバルーン中の水分が除去され、従って、得られたシリカバルーン材料は、ほとんど水分を含まないか、あるいは実質的に水分を含まない。
当該乾燥工程により、シリカバルーンから水分が除去される。一旦当該乾燥工程を経たバルーン形状の粒子は、温度や圧力の変化に曝されても、バルーン構造を安定して維持することができる。
上記洗浄、乾燥工程により、粉末状の本発明のシリカバルーン材料を得ることができる。このようにして得られたシリカバルーン粒子は、そのままでも種々の用途に十分に用い得るものであるが、常法の分離手段によって、極端に大きな粒子径を有する粒子を除去して粒度をさらに調整することもできる。このような粒度調整により、より粒度がそろったシリカバルーン材料(実施例では、「目的物」とも呼ぶ)を得ることができる。
従って、本発明の1つの実施態様において、上記工程(C)はさらに、得られたシリカバルーン材料を粒度調整に供する工程を含むことができる。この粒度調整は、例えば篩を用いた篩分けによって行うことができる。篩は除去しようとする粒子の大きさ(粒子径)に応じて適宜選択することができるが、例えば、120μm〜500μmの範囲の目開きを有する篩を用いることができ、好ましくは150μm〜300μmの目開きを有する篩を使用することができる。
また、このような粒度調整としては湿式分級も考えられる。湿式分級としては、例えば、水簸を用いることができる。
「水簸」とは、粒子の湿式分級方法の1つであり、分級装置内において、媒体中における粒子の沈降速度に対抗する速度の上昇流を用いることにより、主に粒子の大きさ、形状、液体との比重差に依存して、粒子を分離する方法である。水簸による粒度調整は、例えば、国際公開第2013/121703号に記載されるように実施することができる。なお、水簸等の湿式分級を行った場合には、分級後のシリカバルーン材料は、必要に応じて、洗浄、ろ過、乾燥に供することができる。
以上の工程によって、上述の良好な懸濁プロファイルを有する中空構造のシリカバルーン粒子からなる本発明のシリカバルーン材料を得ることができる。
なお、本発明の1つの実施態様において、上記製造方法は、工程(A)と工程(B)の間に乾燥工程を含まない。
また、表面が疎水化処理されている、すなわち、疎水化表面を有するシリカバルーン材料を製造する場合には、上記の工程(A)〜(C)に加えて、工程(D)として、上記工程(C)から得られたシリカバルーン材料を表面疎水化処理する工程を含むことができる。
上記のような方法で製造されたシリカバルーン材料は、上述のような良好な懸濁プロファイルを有し、例えば塗料、樹脂、パテ、接着剤、コーティング材、シーリング材、FRPパネル、PVC製品、自動車アンダーコート、プラスチックフィラー、増感剤、建材中において、例えば断熱材、遮熱材、遮音材または窓枠の強化材において、あるいは、化粧品においてまたはそれにおける滑剤やクレンジング剤、フィルム等のアンチブロッキング剤、水面浮上物の芯材、例えばポリウレタン製救命具や発泡スチロールブイの芯材等として使用することができる。
従って、本発明の1つの態様において、本発明は、塗料(例えば遮熱塗料)、樹脂、パテ、接着剤、シーリング材、FRPパネル、PVC製品、自動車アンダーコート、プラスチックフィラー、増感剤、窓枠の強化材または建材において、あるいは化粧品においてまたはそれにおける滑剤やクレンジング剤、フィルム等のアンチブロッキング剤、水面浮上物の芯材、例えばポリウレタン製救命具や発泡スチロールブイの芯材等として使用するための、上記シリカバルーン材料に関する。
本発明のさらなる1つの実施態様において、本発明は、反射材、断熱材、遮熱材または遮音材としての、例えば遮熱塗料用の反射材または遮熱材としての上記シリカバルーン材料の使用に関する。
本発明の1つの態様において、本発明は、例えば化粧料(好ましくは洗浄用化粧料や身体洗浄剤)における、クレンジング砥粒またはクレンジング剤としての上記シリカバルーン材料の使用に関する。
また、本発明のさらなる1つの実施態様において、本発明は、上記シリカバルーン材料を含む塗料組成物、好ましくは遮熱塗料組成物に関する。好ましくは、当該塗料組成物は、水性または油性塗料組成物である。
さらに、本発明のさらなる1つの実施態様において、本発明は、上記シリカバルーン材料を含む化粧料に関する。好ましくは、当該化粧料は、水性または油性化粧料である。
<塗料組成物>
本発明の塗料組成物は、塗料組成物に関して従来公知の一般的な材料および方法で製造することができる。
本発明の塗料組成物は、上記シリカバルーン材料に加えて、塗膜形成材、溶媒、顔料、添加剤等を含有することができる。
本発明の塗料組成物に含有され得る塗膜形成材としては、例えば、ポリエステル樹脂、ニトロセルロース樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキド樹脂、アミノアルキド樹脂、(メタ)アクリル樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、またはこれらのうちの1種または2種以上の組み合わせが挙げられる。本発明の塗料組成物の遮熱効果はシリカバルーン粒子自身の反射作用によって得られるため、塗膜形成材はその種類によらずに本発明の塗料組成物に使用することができる。
上記塗料組成物に使用し得る溶媒としては、ガソリン、灯油、トルエン、キシレン、パラフィン油などの炭化水素類、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールなどのアルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトンなどのケトン類、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサン、カルビトールセロソルブなどのエーテル類およびポリエーテル類、石油系溶剤等、ポリシロキサン類、水等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を併用してもよい。上述のように、単一の溶媒としては水と類似の比重を有しない場合であっても、2種以上を併用して混合溶媒とした場合に水と類似の比重、例えば0.6〜1.5、好ましくは0.7〜1.4、より好ましくは0.8〜1.3、例えば1.0〜1.2の比重を有すれば、当該混合溶媒も上記塗料組成物に好適に使用することができる。また、例示以外の溶媒であっても、一般に塗料組成物に使用されているものであって、単一の溶媒または混合溶媒として上記の比重を有するものであれば同様に、上記塗料組成物に好適に使用することができる。
上記シリカバルーン材料は、可視光域における反射率が高いため、白色顔料として使用できる。よって、本発明の1つの実施態様において、本発明の塗料組成物は、上記シリカバルーン材料を白色顔料として含む塗料組成物、例えば白色用(白色系)塗料組成物である。本発明の塗料組成物に含まれ得るその他の顔料としては、チタン白、酸化クロムなどの金属酸化物、及び、紺青、ファスト・エロー、フタロシアニン・ブルーなどの無機顔料及び/又は有機顔料が挙げられる。
本発明の塗料組成物に含有され得る添加剤としては、各種可塑剤、硬化剤、顔料分散剤、乳化剤、乾燥剤、消泡剤、防腐剤、凍結防止剤などを挙げることができる。
本発明の塗料組成物は、上記シリカバルーン材料を塗料と混合し、必要に応じて撹拌、粉砕を行い分散させることにより得ることもできる。混合する塗料としては、従来の塗料一般が使用できる。この場合、上記シリカバルーン材料は遮熱性向上添加剤として作用する。
本発明の塗料組成物における上記シリカバルーン材料の含有量は、良好な遮熱性を発揮する観点から、塗膜形成材100重量部につき0.01〜400重量部が好ましく、0.1〜300重量部がより好ましく、0.5〜200重量部がさらに好ましい。また、塗料の製品安定性の観点から塗料組成物全量に対する上記シリカバルーン材料の含有量は、好ましくは0.0001重量%以上、より好ましくは0.05重量%以上、さらに好ましくは0.1重量%以上、さらにより好ましくは0.5重量%以上であり、好ましくは90重量%以下、より好ましくは80重量%以下、さらに好ましくは70重量%以下、さらにより好ましくは60重量%以下であり、好ましくは0.0001〜90重量%、より好ましくは0.05〜80重量%、さらに好ましくは0.1〜70重量%、さらにより好ましくは0.5〜60重量%である。
本発明の塗料組成物を塗布して得られる塗膜は、好ましくは遮熱性である。
本発明の塗料組成物の塗布法としては、通常用いられる方法を用いることができる。例えば、ハケ塗り、スプレーが多く用いられるが、塗布する対象物によってロールコータ、静電塗装、カーテン塗装、浸漬法なども適用可能である。さらに塗布後、乾燥させて塗膜化させる方法についても、自然乾燥、焼き付け等の方法を用いることができ、塗料の性状などによって適宜選択され得る。
本発明の塗料組成物は、例えば、家、工場などの建築物、又は、冷蔵庫、貯蔵タンク、電車、飛行機、車、船などの構造物の屋根、天井、外壁、内壁等の遮熱性を付与したい場所に塗布することができる。
本発明のシリカバルーン材料は、塗料に一般に使用される溶媒(例えば水または水と類似の比重を有する溶媒)に対して良好な懸濁プロファイルを有するため、それを塗料組成物に用いた場合には、中空構造を有するにもかかわらずに塗料中に均一に分散させることができる。従って、上記の塗料組成物(好ましくは遮熱塗料組成物)は、シリカバルーンの利点(例えば、安全性が高く、内部に空気層を有するため断熱、遮熱効果が高い)を享受しながらさらに、従来のシリカバルーンでは得られなかった良好な製品安定性を有することができる。そして実際に塗布された場合には、実施例に実証されるように均一な塗膜を得ることが可能である。
<化粧料>
本発明の化粧料は、化粧料に関して従来公知の一般的な材料および方法で製造することができる。
本発明の化粧料は、上記シリカバルーン材料が配合されている。
本発明の化粧料は、上記シリカバルーン材料の配合量が0.1〜30重量%の範囲にあることができ、特に1〜20重量%の範囲にあることが好ましい。シリカバルーン材料の配合量が0.1重量%未満では、滑性、皮膚の欠点を暈かす効果や透明感などシリカ系粒子の配合効果が得られず、30重量%を越えると本来化粧料に求められる着色性、油分感等が損なわれることがある。
なお、本発明のシリカバルーン材料を化粧料に配合するに際し、その表面を従来公知の表面処理剤、例えば、シリコーン化合物、フッ素化合物、金属石鹸類、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アミノ酸類、レシチン類等で処理しても良い。
本発明の化粧料は、前記シリカ系粒子と、通常、化粧料に配合されることのある成分、例えば、オリーブ油、ナタネ油、牛脂等の油脂類、ホホバ油、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ等のロウ類、パラフィン、スクワラン、合成及び植物性スクワラン、α−オレフィンオリゴマー、マイクロクリスタリンワックス、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素類、ステアリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、α−ヒドロキシ酸等の脂肪酸類、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ラウリルアルコール、エタノール、イソプロパノール、ブチルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等のアルコール類、アルキルグリセリルエーテル類、ミリスチン酸イソプロピル、パルチミン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、ラウリル酸セチル、オレイン酸デシル等のエステル類、エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等の多価アルコール類、ソルビトール、ブドウ糖、ショ糖、トレハロース等の糖類、メチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、メチルフェニルシリコーン油、各種変性シリコーン油、環状ジメチルシリコン油等のシリコーン油、パーフルオロポリエーテル等のフッ素油、アラビアガム、カラギーナン、寒天、キサンタンガム、ゼラチン、アルギン酸、グアーガム、アルブミン、プルラン、カルボキシビニルポリマー、セルロース及びその誘導体、ポリアクリル酸アミド、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリビニルアルコール等の各種高分子、アニオン、カチオン、ノニアオン系各種界面活性剤類、動植物抽出物、アミノ酸及びペプチド類、ビタミン類、パラメトキシケイ皮酸オクチル等のケイ皮酸系、サリチル酸系、安息香酸エステル系、ウロカニン酸系、ベンゾフェノン系をはじめとした紫外線防御剤、殺菌・防腐剤、酸化防止剤、変性又は未変性の粘土鉱物、酢酸ブチル、アセトン、トルエンなどの溶剤、各種粒子径、粒子径分布及び形状の酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ベンガラ、黄色酸化鉄、黒色酸化鉄、酸化セリウム、酸化ジルコニウム、シリカ、マイカ、タルク、セリサイト、窒化ホウ素、硫酸バリウム、パール光沢を有する雲母チタン、及びそれらの複合物、各種有機顔染料、水、香料などの少なくとも1種を含んでいる。ここで、酸化チタン、酸化亜鉛等の無機化合物はシリコン処理、フッ素処理、金属石鹸処理等の表面処理をして用いてもよい。
上記化粧料に使用し得る溶媒の例としては、トルエン、キシレン、パラフィン油等の炭化水素類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、プロパノール、ブタール、エチレングリコール等のアルコール類、1,2−ジメトキシエタン、ジオキサンなどのエーテル類およびポリエーテル類、石油系溶剤等、ポリシロキサン類、水等が挙げられる。これらの溶媒は2種以上を併用してもよい。上述のように、単一の溶媒としては水と類似の比重を有しない場合であっても、2種以上を併用して混合溶媒とした場合に水と類似の比重、例えば0.6〜1.5、好ましくは0.7〜1.4、より好ましくは0.8〜1.3、例えば1.0〜1.2の比重を有すれば、当該混合溶媒も上記化粧料に好適に使用することができる。また、例示以外の溶媒であっても、一般に化粧料に使用されているものであって、単一の溶媒または混合溶媒として上記の比重を有するものであれば同様に、上記化粧料に好適に使用することができる。
本発明の化粧料はまた、ポリアクリル酸メチル、ナイロン、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ポリエチレン、ポリエステル、ポリウレタン等の樹脂粒子を含んでいてもよい。
さらに、美白効果を有する有効成分としてアルブチン、コウジ酸、ビタミンC、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム、ジ−パルチミン酸アスコルビル、アスコルビン酸グルコシド、その他のアスコルビン酸誘導体、プラセンタエキス、イオウ、油溶性甘草エキス、クワエキス等の植物抽出液、リノール酸、リノレイン酸、乳酸、トラネキサム酸等を含むこともできる。肌荒れ改善効果を有する有効成分としてビタミンC、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、カフェー誘導体、リグナン、サポニン、レチノイン酸及びレチノイン酸構造類縁体、N−アセチルグルコサミン、α−ヒドロキシ酸等の抗老化効果を有する有効成分、グリセリン、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等の多価アルコール類、混合異性化糖、トレハロース、プルラン等の糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン・キトサン、コンドロイチン硫酸ナトリウム等の生体高分子類、アミノ酸、ベタイン、セラミド、スフィンゴ脂質、コレステロール及びその誘導体、ε−アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、各種ビタミン類等を含むこともできる。
本発明の化粧料には、医薬部外品原料規格2006(発行:株式会社薬事日報社、平成
18年6月16日)や、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook(発行:The Cosmetic, Toiletry, and Fragrance Association、13th Edition 2010)等に収載されている化粧料成分を特に制限なく使用することができる。
このような方法で製造された化粧料は、粉末状、ケーキ状、ペンシル状、スティック状、クリーム状、ジェル状、ムース状、液状、クリーム状などの各種形態で使用され、さらに具体的に述べれば、石鹸、クレンジング剤、クレンジングフォーム、メーク落とし用クリーム等の洗浄用化粧料や身体洗浄剤、保湿・肌荒れ防止、アクネ、角質ケア、マッサージ、しわ・たるみ対応、くすみ・くま対応、紫外線ケア、美白、抗酸化ケア用等のスキンケア化粧料、パウダーファンデーション、リキッドファンデーション、クリームファンデーション、ムースファンデーション、プレスドパウダー、化粧下地等のベースメークアップ化粧料、アイシャドウ、アイブロー、アイライナー、マスカラ、口紅等のポイントメークアップ化粧料、育毛用、フケ防止、かゆみ防止、洗浄用、コンディショニング・整髪、パーマネント・ウエーブ用、ヘアカラー・ヘアブリーチ用等のヘアケア化粧料、洗浄用、日焼け防止、手荒れ防止、スリミング用、血行改善用、かゆみ抑制、体臭防止、制汗、体毛ケア、リペラント用、ボディパウダー等のボディーケア化粧料、香水、オードパルファム、オードトワレ、オーデコロン、シャワーコロン等、練香水、ボディーロ−ション、バスオイル等のフレグランス化粧料、歯磨き、マウスウォッシュ等のオーラルケア製品などが挙げられる。
本発明のシリカバルーン材料は、化粧料に一般に使用される溶媒(例えば水または水と類似の比重を有する溶媒)に対して良好な懸濁プロファイルを有するため、それを化粧料に用いた場合には、中空構造を有するにもかかわらずに化粧料中に均一に分散させることができる。従って、上記の化粧料(好ましくは洗浄用化粧料や身体洗浄剤)は、シリカバルーンの利点(例えば、硬度や安全性が高く、中空構造を有するので滑らかなクレンジングが可能)を享受しながらさらに、従来のシリカバルーンでは得られなかった良好な製品安定性を有することができる。そして実際に使用された場合には、実施例に実証されるように非常に良好な洗浄効果を発揮することが可能である。
以下において、実施例1を含む本発明の実施例及び比較例を示すが、本発明は、これら実施例によって何等限定されるものではなく、特許請求の範囲によって特定されるものであることはいうまでもない。
以下に実施例及び比較例を示す。評価結果は表1および2にまとめた。なお、実施するに当たり、以下の分析手法及び装置を用いた。
平均粒子径、円形度:スペクトリクス社製粒子画像イメージング分析装置モフォロギG3
比表面積、細孔容積:日本ベル株式会社製高精度比表面積・細孔分布測定装置BELSORP−max
真密度:島津製作所製乾式自動密度計アキュピック1330(ヘリウムガス置換法)
<測定手順>
嵩密度:JIS K3362:2008記載の見掛け密度の測定方法を用いた。
有効密度:本技術で得られる製品は中球状をしており、真密度や嵩密度では正しく特性を評価できない。そこで、粒子内空隙は含むが粒子間空隙は除いた体積に基づいて算出した密度を有効密度と定義する。有効密度は、ハーバート形比重瓶(JIS R 3503準拠品)を用い、JIS K0061:2001記載の方法で測定した。なお、その際、密度既知の液体として2−プロパノールを使用した。
浮上率:常温下で、株式会社相互理化学硝子製作所製スキーブ型分液ロート(容量:500mL)に水(脱イオン水)500mLと一定重量になるまで乾燥したサンプル25gとを入れ、サンプルが均一に分散されるまで振とうした。これを4時間静置させ、沈降物を放出した。これに水500mLを加え、10分間静置させ、沈降物を放出した。残った浮上物を回収し、一定重量になるまで乾燥した。なお、浮上物が1gを超えた場合は、浮上物の有効密度も測定した。
<パラメーター>
平均粒径:粒子画像イメージング分析装置を用いて2万個以上の粒子を撮影し、画像解析のデータより算出した面積円相当径を体積基準で集計した。体積基準粒度分布における積算値50%での粒径をもって平均粒径とした。
円形度:円形度とは、投影された物体と同じ面積の円の円周とその物体の周囲長との比率で、真円の場合は1となる。粒子画像イメージング分析装置を用いて2万個以上の粒子を撮影し、画像解析のデータより算出した算術平均値を円形度とした。
実施例1
珪酸ナトリウム水溶液をSiO2とNa2Oのモル比(SiO2/Na2O)で2.0、含有量48重量%となるように調製した。この珪酸ナトリウム水溶液3,000gを用い、2流体ノズルの一方に2,250g/hrの流量で、他方のノズルに空気を3,840L/hr(空/液体積比1,710)の流量で、入口温度220℃の熱風に噴霧してシリカバルーン前駆体1,077g(表では有効数字2桁を用いて1,100gと記載した。他の実施例に関しても同様。)を得た(以後、中間物とも表記する。)。この時、出口温度は120℃であった。なお、この中間物の水分量は20重量%だった。
撹拌している室温の6重量%硫酸10Lに中間物1,000gをゆっくりと投入し、投入後30分間撹拌を続けた。
得られた懸濁液を遠心分離器で脱水しつつ水を加えることにより脱酸を行った。ろ液のpHが6を超えたところで脱水を止め、固体を回収した。これを150℃で5時間乾燥させて粉末が得られた。その後、この粉を150μmの篩で整粒した(以後、目的物と表記する。)。
目的物は嵩密度が0.43g/mL、有効密度が1.14g/cm3、真密度を測定したところ、2.0g/cm3だった。これは、非晶質シリカの真密度2.2g/mLに近い値と言える。
浮上率を測定したところ2.6重量%だった。よって、この目的物は、均質で懸濁させやすい粒子であると言える。
画像解析法による平均粒子径は33μmで、円形度は0.94だった。
比表面積及び細孔容積を測定したところ、比表面積が0.5m2/g以下、細孔容積が0.05mL/g以下だった。
色相を測定したところ、Lが99.1、aが−0.1、bが0.4であった。このことから、本品はほぼ純白であるといえる。
比較例1
珪酸ナトリウム水溶液をSiO2とNa2Oのモル比(SiO2/Na2O)で3.2、含有量32重量%となるように調製した。この珪酸ナトリウム水溶液3,000gを用い、2流体ノズルの一方に620g/hrの流量で、他方のノズルに空気を15,900L/hr(空/液体積比31,800)の流量で、入口温度400℃の熱風に噴霧して中間物494g(表では500gと記載した)を得た。この時、出口温度は150℃であった。
中間物100gを濃度10重量%の硫酸水溶液640gに浸漬して1.5時間撹拌した。この時、固形分(SiO2)濃度は10.2重量%、分散液の温度は35℃、pHは3.0であった。乾燥機にて、120℃で24時間乾燥・加熱処理して目的物を得た。
目的物は有効密度が1.06g/cm3で、浮上率は18.8重量%だった。得られた浮上物の有効密度を測定したところ、0.74g/cm3で、全体に占める割合は27.1体積%だった。よって、この目的物は、軽質な粒子と重質の粒子の混合物であり、懸濁させにくい粒子であると言える。
画像解析法による平均粒子径は23μmだった。
実施例2〜9、比較例2〜5
実施例1と同様の手順に、表1記載の条件で実施した。結果を表2に記載する。なお、比較例において噴霧時にノズルの閉塞等で凝集物が生じるものがあった。この凝集物は中間物回収後に取り除き、中間物の収量には含めていない。
<化粧料> 実施例10〜12、比較例6〜9
評価に使用した薬剤
身体洗浄剤(市販品)
色調:青色透明
配合成分:水、コカミドDEA、ココイルメチルタウリンNa、オレフィン(C14−16)スルホン酸Na、コカミドプロピルベタイン、ラウレス硫酸Na、ココアンホ酢酸Na、アロエベラエキス−1、BG、EDTA−2Na、カンフル、クエン酸、グリセリン、メントール、塩化Na、フェノキシエタノール、メチルパラベン、安息香酸Na、香料
口紅(市販品)
配合成分:ポリブテン、ミネラルオイル、スクワラン、ミリスチン酸イソプロピル、シリル化処理無水ケイ酸、マイカ、ポリエチレン・ポリエチレンテレフタレート積層末、酸化チタン、酢酸トコフェロール、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄
評価手順
試作洗浄剤の調整:身体洗浄剤95部に対し粒子5部の割合で試験管に入れ、よく振盪した。
洗浄試験:口紅を手の甲に1cm3塗布し、10分間乾燥させた。調整後4時間静置した試験管の中心部から試作洗浄剤をスポイトで抜き取り、口紅に1滴滴下し、これを水で濡らした指で30秒間擦った。
実施例10
実施例1で製造した粒子を用いて試作洗浄剤を調製した。これを用いて洗浄試験を行った。その際、ざらつき感はなかった。その後、流水で濯いだところ、口紅の跡はなくなっていた。
比較例6
口紅を手の甲に1cm3塗布し、10分間乾燥させた。身体洗浄剤をスポイトで口紅に1滴滴下し、これを水で濡らした指で30秒間擦った。その際、ざらつき感はなかった。その後、流水で濯いだところ、筋状に口紅の跡が残った。
比較例7
国際公開番号WO2013/121703記載の方法で中空球状シリカを製造したところ、有効密度0.45g/cm3の中空球状シリカが得られた。この粒子を用いた他は、実施例10と同様の手順で試作洗浄剤を調整し、洗浄試験を行った。結果を表3に記載する。
実施例11〜12、比較例8〜9
表3に記載された粒子を用いた他は、実施例10と同様の手順で試作洗浄剤を調整し、洗浄試験を行った。結果を表3に記載する。
上記結果より、有効密度が大きい、もしくは、浮上率が高い粒子を用いた場合、十分な洗浄効果が得られなかった。これは、試作洗浄剤を調整後、4時間静置する間に、粒子が浮上若しくは沈降し、試験管の中心部における粒子存在率が低下していたためと考えられる。
<塗料> 実施例13〜18、比較例10〜13
ラッカー(市販品)
色調:うすい褐色、透明
配合成分:ニトロセルロース、合成樹脂(アルキド)、有機溶媒(第2石油類、非水溶性)
水溶性ニス(市販品)
色調:無色、透明
配合成分:合成樹脂(アクリル)、有機溶剤(第1石油類、水溶性)、水
評価手順
市販の塗料90部に対し粒子10部を加えてステンレス製ビーカーに入れ、よくかき混ぜて試作塗料を調製した。調製後、10分間静置した。幅10cm、長さ100cmの木材の板を垂直に立て、これに刷毛で試作塗料を塗った。この時、試作塗料は撹拌させないようにした。なお、用いた塗料は乾燥すると透明になるため、粒子の部分は白色となり、色むらを観察することにより、粒子の均一性を評価した。
実施例13
実施例1で製造した粒子をラッカーに混ぜて試作塗料を調製した。この時、液面に浮遊物は認められなかった。これを使って塗布試験を行った。乾燥後、全体的に同程度の白さで、色むらは認められなかった。
比較例10
有効密度0.5g/cm3の中空球状シリカの粒子を使うこと以外、実施例13と同様の手順で評価を行った。その際、試作塗料を混ぜた後、すぐに液面に浮遊物が認められた。塗布試験を行い、乾燥後、色むらが認められた。これは、試作塗料内の粒子が偏在化していたために生じたと考えられる。
実施例14〜18、比較例11〜13
表4記載の条件で試作塗料を調整した他は、実施例13と同様の手順で塗布試験を実施した。結果を表4に記載する。