JP2005075779A - 疎水性複合粉体及びそれを含む化粧料 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】シリカと酸化チタンとを含むチタンシリカ複合体の表面に、
有機ケイ素系化合物、及び炭化水素系滑剤からなる疎水性付与化合物A群より選択される1種又は2種以上と、
高級脂肪酸又はその金属塩、有機チタン系化合物、有機アルミニウム系化合物、及びフッ素系界面活性剤からなる疎水性付与化合物B群より選択される1種又は2種以上と、
を被覆することを特徴とする疎水性複合粉体。
前記複合粉体において、チタンシリカ複合体は、微粒子状の複数の酸化チタン粒子がシリカ担体中に略均一な密度で点在した形態であることが好適である。
前記複合粉体を含む化粧料。
Description
近年、日常的に無意識のうちに浴びる紫外線においても、シミ、ソバカスの発生、光老化による皺の発生、皮膚細胞の遺伝子損傷による皮膚癌の発生等の原因となる事が知られるようになり、皮膚学者や皮膚科医等の専門家は、日常的に紫外線から皮膚を保護することを推奨している。
紫外線散乱剤としての無機物質としては、二酸化チタンが最も頻繁に用いられている。二酸化チタンは、屈折率2.3〜2.6と顔料中で最も大きく、隠蔽力も白色顔料中最大である。しかしながら、実際の化粧料としては、塗布時に白浮きせず、仕上がりが自然であることが望ましい。
しかしながら、前記チタンシリカ複合体は、表面が親水性であるために、油剤中での分散性・安定性、特に乳化された油剤中での安定性が悪く、経時的に基剤中で分離する、あるいはエマルションの破壊を引き起こす等の問題があった。
また、この複合体を用いた化粧料は、紫外線防御能、透明性共に十分ではなく、さらには伸びが悪く、均一に塗布できない等の問題があった。
本発明は、前記従来の課題に鑑みなされたもので、油剤中での分散性・安定性に優れた疎水性複合粉体、及びそれを含む化粧料を提供することを目的とする。
有機ケイ素系化合物、及び炭化水素系滑剤からなる疎水性付与化合物A群より選択される1種又は2種以上と、
高級脂肪酸又はその金属塩、有機チタン系化合物、有機アルミニウム系化合物、及びフッ素系界面活性剤からなる疎水性付与化合物B群より選択される1種又は2種以上と、
を被覆することを特徴とする疎水性複合粉体である。
有機ケイ素系化合物、及び炭化水素系滑剤からなる疎水性付与化合物A群より選択される1種又は2種以上と、
高級脂肪酸又はその金属塩、有機チタン系化合物、有機アルミニウム系化合物、及びフッ素系界面活性剤からなる疎水性付与化合物B群より選択される1種又は2種以上と、
を被覆することを特徴とする疎水性複合粉体である。
本発明の第二の主題は、前記複合粉体を含むことを特徴とする化粧料である。
<チタンシリカ複合体>
本発明において、基体となるチタンシリカ複合体は、例えば特開2000−344509号公報に記載されたものであり、これは微粒子状の複数の酸化チタン粒子が、シリカ担体中に略均一な密度で点在している。これらの複合体は、単純にシリカとチタンを混合させたものより、各粒子の分散性が向上し、紫外線遮蔽効果が良好となる。
なお本発明において酸化チタンとは、二酸化チタンの他にさらに低次酸化チタン等も含むものである。
本発明では疎水性付与化合物として、
有機ケイ素系化合物、及び炭化水素系滑剤からなる疎水性付与化合物A群より選択される1種又は2種以上と、
高級脂肪酸又はその金属塩、有機チタン系化合物、有機アルミニウム系化合物、及びフッ素系界面活性剤からなる疎水性付与化合物B群より選択される1種又は2種以上と、
をそれぞれ単独で、又は混合物として、あるいはペンダント等の複合化物として用いる。
<有機ケイ素系化合物>
本発明で用いることのできる有機ケイ素系化合物としては、ポリオルガノシロキサン類(シリコーンオイル)、シラン類及びその加水分解生成物等が挙げられる。
ポリオルガノシロキサン類は、その側鎖や末端が、アルキル基、フルオロアルキル基、高級脂肪酸、フェニル基等の非反応性の疎水性官能基で変性されているもの、あるいは水素基、エポキシ基、メタクリル基等の反応性の疎水性官能基で変性されているものである。
シラン類の加水分解生成物とは、加水分解性シランが有するアルコキシ基、水酸基、ハロゲン基等の加水分解性基が加水分解されてシラノールになったもの、シラノール同士が重縮合しシロキサン結合を有するオリゴマーやモノマーになったもの、及びこれらの混合物である。
本発明で用いることのできる炭化水素系滑剤としては、パラフィンワックス、ポリエチレンワックス等が挙げられる。
<有機チタン系化合物>
本発明で用いることのできる有機チタン系化合物としては、イソプロピルイソステアロイルチタネート(チタネートカップリング剤)等が挙げられる。
<有機アルミニウム系化合物>
本発明で用いることのできる有機アルミニウム系化合物としては、アセトアルコキシアルミウムジイソプロピレート(アルミニウムカップリング剤)等が挙げられる。
本発明で用いることのできるフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
<高級脂肪酸及びその金属塩>
本発明で用いることのできる高級脂肪酸としては、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リノール酸、リノレイン酸等が挙げられ、高級脂肪酸の金属塩としては、それらのアルミニウム塩、亜鉛塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、バリウム塩等が挙げられる。中でもステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸及びそれらのアルミニウム塩、亜鉛塩が所望の効果が得られやすく好ましい。
上記疎水化付与化合物の総被覆量は、チタンシリカ複合体に対して1〜70質量%の範囲が好ましく、30〜45質量%の範囲が特に好ましい。1質量%未満であると、油剤中での分散性・安定性が劣る傾向にあり、70質量%を超えると、紫外線防御能が劣る傾向にあるため好ましくない。
本発明の疎水性複合粉体は、チタンシリカ複合体表面に無機化合物を被覆した後、さらに前記疎水性付与化合物を被覆したものであると、耐光性や、濾過性、洗浄性等の生産性が向上するので好ましい。
前記無機化合物としては、窒化アルミニウム、アルミン酸ナトリウム、硫酸アルミニウム、硝酸アルミニウム等のアルミニウム化合物、窒化ケイ素、炭化ケイ素、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のケイ素化合物、窒化ジルコニウム、ケイ化ジルコニウム、炭化ジルコニウム、塩化ジルコニウム等ジルコニウム化合物等が挙げられ、これら1種を被覆することも、2種以上の被覆を積層する、あるいは2種以上を混合して被覆することもできる。これらの無機化合物は、特に窒化アルミニウム、窒化ケイ素、炭化ケイ素、窒化ジルコニウム、ケイ化ジルコニウム、炭化ジルコニウムから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
次に、本発明の疎水複合粉体の一般的な製造方法を説明する。
[1]チタンシリカ複合体の製造
先ず、基体となるチタンシリカ複合体を製造する。
第一の方法としては、例えば、酸化ケイ素微粒子分散液に、酸化チタン微粒子分散液を添加し、酸化ケイ素を析出させる際に、酸化チタンを包括させ複合化する方法;酸化ケイ素微粒子分散液中に、酸化チタン微粒子を分散させ、酸化ケイ素を析出させる際、酸化チタンを包括させ複合化する方法;酸化チタン微粒子分散液中に酸化ケイ素微粒子を分散させ、酸化ケイ素を析出させる際、酸化チタンを包括させ複合化する方法等が挙げられる。
酸化ケイ素微粒子の分散液としては、シリカゾル等が例示でき、酸化チタン微粒子の分散液としては、チタニアゾル等が例示できるが、これに限定されない。
前記酸化チタンの前駆体としては、液体に溶解することが必要であり、四塩化チタン、硫酸チタン、硫酸チタニル、チタニウムテトラ−i−プロポキシド(TTIP)等が例示できるが、これらに限定されない。
ケイ素含有物質としては、ケイ酸塩、シリコンアルコキシド、水ガラス等が挙げられる。ケイ酸塩としては、Na2SiO3、Na4SiO4等が挙げられる。また、シリコンアルコキシドとしては、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケートなどが挙げられる。また、水ガラスとしては、例えばJIS1号、JIS2号、JIS3号などが挙げられる。なお、ケイ素含有物質はここで例示したものに限定されない。
微粒子状メソポーラス粉体の製造方法は、ケイ酸塩を溶解する溶解工程、ケイ酸をミセル上に析出させる縮合工程、界面活性剤を除去する除去工程からなる。微粒子状メソポーラス粉体は0<SiO2<Y2O<2のケイ酸塩(Y:アルカリ金属原子)を0.1〜5.0M濃度、カチオン界面活性剤の存在下、pH11以上で溶解し、pHを10.5以下として前記カチオン界面活性剤で棒状ミセルを形成させるとともにケイ酸を棒状ミセル上に析出させ、カチオン界面活性剤を除去することで得られる。
また棒状マクロポーラス粉体は、上述の微粒子状メソポーラス粉体の製造方法において、溶解工程でケイ酸塩を1.3〜2.0M濃度で溶解し、縮合工程でpHを30分以内に10.5以下とすることで得られる。
複合体に無機化合物を被覆する場合は、複合体を水等の媒液に分散させたスラリーに、目的とする無機化合物の塩の溶液を添加後、酸性化合物又は基性化合物を添加する、あるいは無機化合物の塩と酸性化合物又は塩基性化合物とを同時に添加する等して中和し、無機化合物を複合体の表面に沈着させる。酸性化合物としては、例えば、硫酸、塩酸等の無機酸、酢酸等の有機酸が、塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の水酸化物あるいは炭酸化物、アンモニア等のアンモニウム化合物、アミン類等を用いることができる。
次いで、チタンシリカ複合体に疎水性付与化合物を被覆する。その方法としては、例えば、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の高速攪拌機を用いて、疎水性付与化合物と複合体とを混合し被覆する、あるいはジェットミル等の気流粉砕機、ハンマーミル等の衝撃粉砕機等の乾式粉砕機中に疎水性付与化合物と複合体とを添加し、複合体を粉砕しながら被覆する等の乾式処理を用いることができる。
あるいは、疎水性付与化合物が、加水分解性シラン類及びその加水分解生成物等、複合体との反応性を有し強く結合するものの場合には、該疎水性付与化合物を複合体のスラリー中に添加し、攪拌・混合して被覆する湿式処理を適用することもできる。
(1)シラン類(有機ケイ素系化合物)
(2)有機チタン系化合物、有機アルミニウム系化合物
(3)フッ素系界面活性剤、高級脂肪酸又はその金属塩
(4)ポリオルガノシラン類(有機ケイ素系化合物)
(5)炭化水素系滑剤
例えば、(2)イソプロピルイソステアロイルチタネート(疎水性付与化合物B群)と(4)メチルハイドロジェンポリシロキサン(疎水性付与化合物A群)とで被覆する場合には、イソプロピルイソステアロイルチタネートで被覆した後、メチルハイドロジェンポリシロキサンで被覆することが好ましい。
いずれの方法においても、疎水性付与化合物はアルコール等の有機溶媒に溶解した溶液や、界面活性剤を用いて水に分散させた分散液として添加しても良い。前記加水分解生成物は、シラン類と水とを加水分解反応させて、予め調製しておくこともできる。
(製造例1)
1. 50g/Lの濃度の四塩化チタン水溶液100Lに、20%アンモニア水を60分かけて添加し、四塩化チタンを中和した。中和によって得られた含水酸化チタンスラリーを直ちに濾過脱水した後、リパルプして含水酸化チタンスラリーにし、このスラリーに濃硫酸8kgを添加した後95〜100℃で3時間加熱処理した。しかる後5%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を10時間かけて添加して中和し、濾過、洗浄した。得られた脱水ケーキに濃硫酸と水を添加して解膠し、pHを1.6に調整した後7時間攪拌して、酸化チタン濃度がTiO2換算で15質量%のチタニアゾルを得た。このチタニアゾル10Lと市販の20質量%シリカゾル(触媒化成工業製)2.5Lを混合し、水酸化ナトリウムにてpHを8前後に調整した後、濾過・洗浄して乾燥させ、700℃にて焼成しハンマーミルで粉砕して、微粒子状チタンシリカ複合体を得た。
2. 前記チタンシリカ複合体2kgをヘンシェルミキサーで攪拌しながら、300mLのエタノールに溶解したジメチルポリシロキサン200gと、パーフルオロアルキルリン酸エステル200gを添加し、添加終了後、気流ジェットミル粉砕した。
1. 10%シリカゾル12.5Lと、酸化チタン換算で0.75kg分の四塩化チタン水溶液を添加して混合攪拌し、この水溶液を真空乾燥させた後、700℃にて焼成し微粒子チタンシリカ複合体を得た。
2. 前記チタンシリカ複合体2kgを再度水性スラリーにして、サンドミルを用いて湿式粉砕した。このスラリーを80℃に加温して、ZrO2換算で150g/Lの硫酸ジルコニウム水溶液1Lと、100g/Lの水酸化ナトリウム水溶液とを、スラリーのpHを8〜9に保持しながら同時に20分間で添加し、次いでAl2O3換算で300g/Lのアルミン酸ナトリウム水溶液を0.5Lと、20%硫酸とを、スラリーのpHを8〜9に保持しながら同時に20分間で添加し、10分間攪拌した後、20%硫酸でpHを5.5になるように30分間かけて中和し、酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムとの混合物で複合体の表面を被覆した。
3. 前記スラリーを硫酸でpH3とした後、n−ヘキシルトリメトキシシラン100gを添加し、1時間熟成した後、中和・濾過・洗浄、乾燥し、ハンマーミルを用いて粉砕した。この粉体をヘンシェルミキサーで攪拌しながら、イソプロピルイソステアロイルチタネート300gを添加し、添加終了後に10分間攪拌した。
1. 0.5Mメタケイ酸ナトリウム水溶液25Lに、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(BTC)2.5molを溶解し、この水溶液に製造例1の15質量%チタニアゾル10Lを添加した。このときの温度は70℃であった。塩酸を用いて、pHを8前後に調整した後、この分散液を濾過し、その残留物を水洗して乾燥させた後700℃にて焼成し、微粒子メソポーラス形態のチタンシリカ複合体を得た。
2. 前記チタンシリカ複合体2kgを再度水性スラリーにして、サンドミルを用いて湿式粉砕した。このスラリーを80℃に加温して、Al2O3換算で300g/Lのアルミン酸ナトリウム水溶液1Lと20%硫酸とを、スラリーのpHを8〜9に保持しながら同時に20分間で添加し、10分間攪拌した後、20%硫酸でpHを5.5になるように30分間かけて中和し、酸化アルミニウムで複合体の表面を被覆した。
3. 前記スラリーを硫酸でpH3とした後、n−オクチルトリメトキシシラン200gを添加し、60分間熟成してから中和した。次いでスラリーに、ステアリン酸ナトリウムを200g添加し、30分間攪拌した後、20%硫酸でpHが6になるように40分間かけて中和した。これを濾過・洗浄、乾燥し、ハンマーミルを用いて粉砕した。
1. 0.5Mメタケイ酸ナトリウム水溶液50Lに、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(BTC)5molを溶解し、この水溶液に塩酸と、酸化チタン換算で1.5kg分の四塩化チタンを添加し、pHを8前後に調整した。この時の温度は70℃であった。その後、この分散液を濾過し、その残留物を水洗し乾燥させた後700℃にて焼成し、微粒子メソポーラス形態のチタンシリカ複合体を得た。
2. 前記チタンシリカ複合体2kgを再度水性スラリーにして、サンドミルを用いて湿式粉砕した。このスラリーを60℃に加温して、SiO3として100g/Lのケイ酸ナトリウム水溶液3Lを1時間かけて添加し、次いで90℃に昇温して1時間熟成した。次いで20%硫酸でpHを5.5になるように30分間かけて中和し、シリカで複合体の表面を被覆した。
3. 次いで、20%硫酸でpHを3として、イソブチルトリメトキシシラン200gを添加し、30分間攪拌した後、水酸化ナトリウムでpH10として、ラウリン酸アルミニウム300gを添加し、1時間熟成した。これを中和・濾過・洗浄、乾燥し、ジェットミルを用いて粉砕した。
1. 0.5Mメタケイ酸ナトリウム水溶液50Lに、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド(STC)5molを溶解し、この水溶液に塩酸と、酸化チタン換算で1.5kg分の硫酸チタニルを混合した水溶液を添加してpHを8前後に調整した。この時の温度は70℃であった。その後、この分散液を濾過し、その残留物を水洗いして乾燥させた後700℃にて焼成し、微粒子メソポーラス形態のチタンシリカ複合体を得た。
2. 前記チタンシリカ複合体2kgを再度水性スラリーにして、サンドミルを用いて湿式粉砕した。このスラリーを60℃に加温して、SiO3として100g/Lのケイ酸ナトリウム水溶液1LとAl2O3換算で300g/Lのアルミン酸ナトリウム水溶液を0.5Lとを予め混合しておいたものを1時間かけて添加し、次いで90℃に昇温して1時間熟成した。次いで20%硫酸でpHを5.5になるように30分間かけて中和し、濾過・洗浄・乾燥し、シリカと酸化アルミニウムの混合物で複合体の表面を被覆した。
3. 前記粉体をヘンシェルミキサーで攪拌しながら、300mlのエタノールに溶解したアセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート200gと、200mlのエタノールに溶解したパラフィンワックス100gを順に添加し、更にジェットミルを用いて粉砕した。
1. チタニウムテトラ−i−プロポキシド(TTIP)1.5kgをイソプロピルアルコール4.5kgに溶解し、この水溶液に水1.25kgを添加して水酸化チタンを得た。その後0.5Mメタケイ酸ナトリウム水溶液50Lに、ベヘニルトリメチルアンモニウムクロライド(BTC)0.01molを溶解し、この水溶液に前記過程で得られた水酸化チタン水溶液を添加した。この時の温度は70℃であった。塩酸を用いて、pHを8前後に調整した後、この分散液を濾過し、その残留物を水洗いして乾燥させた後700℃にて焼成し、微粒子メソポーラス形態のチタンシリカ複合体を得た。
2. 前記チタンシリカ複合体2kgを再度水性スラリーにして、サンドミルを用いて湿式粉砕した。このスラリーを80℃に加温して、ZrO3換算で100g/Lの硫酸ジルコニウム水溶液1Lと、Al2O3換算で300g/Lの硫酸アルミニウム水溶液0.5Lとを予め混合しておいたものを1時間かけてゆっくり添加し、次いで20%硫酸でpHを5.5になるように30分間かけて中和し、濾過・洗浄・乾燥し酸化ジルコニウムと酸化アルミニウムの混合物で複合体の表面を被覆した。
3. 前記粉体をヘンシェルミキサーで攪拌しながら、300mLのエタノールに溶解したステアリン酸亜鉛100gと、200mLのエタノールに溶解したメチルフルオロプロピルポリシロキサン200gを順に添加し、更にジェットミルを用いて粉砕した。
製造例3のステアリン酸ナトリウムの添加量を400gとし、n−オクチルトリメトキシシラン添加を省いたこと以外は製造例3と同様の方法で製造した。
製造例3のn−オクチルトリメトキシシランの添加量を400gとし、ステアリン酸ナトリウム添加を省いたこと以外は製造例3と同様の方法で製造した。
(比較製造例3)
製造例2のイソプロピルイソステアロイルチタネートの添加量を600gとし、n−ヘキシルトリメトキシシラン添加を省いたこと以外は製造例2と同様の方法で製造した。
製造例4のラウリン酸アルミニウムの添加量を600gとし、イソブチルトリメトキシシラン添加を省いたこと以外は製造例4と同様の方法で製造した。
(比較製造例5)
製造例1のパーフルオロアルキルリン酸エステルの添加量を400gとし、ジメチルポリシロキサン添加を省いたこと以外は製造例1と同様の方法で製造した。
製造例5のパラフィンワックスの添加量を200gとし、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート添加を省いたこと以外は製造例5と同様の方法で製造した。
(比較製造例7)
製造例1と同様の方法でチタンシリカ複合体を製造した。
30mLサンプル瓶に水/メタノール混合液を10mL入れ、耳かき1杯程度の試料を液面に落とした。これを振とう機(TAITEC DOUBLE SHAKER NR−30:TAITEC製)に固定し、180rpmで5分間回転した。混合液のメタノールの割合を変化させ同様の操作を繰り返し、目視判定で試料が懸濁しなくなった混合液のメタノール含有量(質量%)を疎水化度とした。結果を表1に示す。
製造例 1 2 3 4 5 6
疎水化度(%) 45 45 55 55 45 50
比較製造例 1 2 3 4 5 6 7
疎水化度(%) 35 10 30 35 15 20 0
1.ステアリン酸処理微粒子酸化亜鉛 2.0
2.製造例1の疎水性複合粉体 8.0
3.パラオキシケイ皮酸オクチル 5.0
4.4−tertブチル−4’−メトキシベンゾイルメタン 1.0
5.オキシベンゾン 3.0
6.デカメチルシクロペンタシロキサン 23.0
7.ジメチルポリシロキサン 2.0
8.スクワラン 20.0
9.ジイソステアリン酸グリセリン 2.0
10.有機変性モンモリロナイト 0.5
11.防腐剤 適 量
12.香料 適 量
13.イオン交換水 28.5
14.1.3−ブチレングリコール 5.0
(製法)
3〜12を70℃に加熱し溶解させた。この中に1,2を添加し、ホモミキサーで分散した。分散を続けながら、この中に70℃で加熱した13,14を添加し、均一な乳化物になるまで攪拌した。得られた乳化物を熱交換器で冷却し、容器に充填した。
処方例1−1〜1−6及び比較処方例1−1〜1−7で得られたW/O型プロテクターの疎水化度安定性を以下のようにして調べた。各サンプル及び直径1mmのガラスビーズを容量比1:1の割合で容器中に入れ、ASADA製PAINT SHAKERを用いて30分間振とうした。振とう前後のサンプルを上腕部に塗布し、5分間乾燥させた後水をかけ、指で強くこすった時の水の濁りを目視にて評価した。評価の基準は以下の通りである。
A:水が透明(粉末の水への移行なし)
B:水が少し濁る
C:水が白濁(水へ粉末が多量に移行)
表2に評価結果を示す。
処方例 1-1 1-2 1-3 1-4 1-5 1-6
振とう前 A A A A A A
振とう後 A A A A A A
比較処方例 1-1 1-2 1-3 1-4 1-5 1-6 1-7
振とう前 A A A A A A C
振とう後 B B B B B B C
1.製造例1の疎水性複合粉体 10.0
2.疎水化処理セリサイト 10.0
3.スクワラン 20.0
4.デカメチルシクロペンタシロキサン 12.0
5.ジイソステアリン酸グリセリン 3.0
6.有機変性モンモリロナイト 1.5
7.防腐剤 適 量
8.香料 適 量
9.イオン交換水 38.5
10.1、3−ブチレングリコール 5.0
(製法)
3〜7を70℃に加熱し溶解させた。この中に1及び2を添加し、ホモミキサーで分散した。この中に9、10を混合し70℃に加熱したものを添加し、ホモミキサーで乳化した。さらに8を混合して容器に充填した。
製造例1の代わりに比較製造例1を用いること以外は処方例2と同様の方法で、クリームタイプW/Oサンスクリーンを得た。
1.タルク 1.0
2.製造例1の疎水性複合粉体 10.0
3.ステアリン酸処理微粒子酸化亜鉛 15.0
4.流動パラフィン 1.0
5.デカメチルシクロペンタシロキサン 26.8
6.ジメチルポリシロキサン 21.0
7.POE変性ジメチルポリシロキサン 2.0
8.イオン交換水 15.0
9.1.3−ブチレングリコール 8.0
10.防腐剤 0.1
11.香料 0.1
(製法)
4〜7を70℃で加熱混合した(油相)。別に8中に9、10を溶解させ、70℃に加熱した(水相)。油相中に1〜3の粉末を添加し、ホモミキサーで分散した。この中に先の水相を添加し、ホモミキサーで乳化した。さらに11を混合して容器に充填した。
製造例1の代わりに比較製造例1を用いること以外は処方例3と同様の方法で、2層タイプW/Oサンスクリーンを得た。
処方例2、3及び比較処方例2、3の透明性及び紫外線防御能を以下の方法にて調べた。
住友3M社製3MトランスポアTMサージカルテープの粘着部分を張り合わせ50mm×50mmの測定シートを2枚作成した。各シート上に、それぞれのサンプルを50mgずつ載せ、指で均一に塗り広げた。15分乾燥させたのち、日立製作所製自記分光光度計 U−3410を用いて700〜280nmの透過率を測定した。
波長領域は、可視光線が400〜800nm、紫外線(UVA)が320〜400nm、紫外線(UVB)が280〜320nmであるため、700〜400nmの透過率が高いほど透明性が高く、400〜280nmの透過率が低いほど紫外線防御能が高いといえる。
1.セリサイト 5.0
2.ベンガラ 0.36
3.黄酸化鉄 0.8
4.黒酸化鉄 0.16
5.製造例1の疎水性複合粉体 14.0
6.流動パラフィン 5.0
7.デカメチルシクロペンタシロキサン 29.0
8.POE変性ジメチルポリシロキサン 4.5
9.イオン交換水 36.0
10.1.3−ブチレングリコール 5.0
11.防腐剤 0.1
12.香料 0.08
(製法)
6〜8を70〜80度で加熱溶解した(油相)。また、9に10及び11を溶解した(水相)。1〜5を混合し、これに先の油相を添加し、ホモミキサーで混合した。12を添加し混合した後、水相を添加し乳化し、容器に充填した。
処方例4−1〜4−6、及び比較処方例4−1〜4−7で得られたW/O型ファンデーションの官能評価を行うため、20人のパネルを用いて嗜好性の評価を行った。各人に各W/O型ファンデーションを顔面に塗布してもらい、塗布時の伸びの良さについて評価してもらった。
評価基準は次のようにした。
A:20人中16人以上が、伸びが良く、均一に塗布できると感じる
B:20人中10〜15人が、伸びが良く、均一に塗布できると感じる
C:20人中10人未満が、伸びが良く、均一に塗布できると感じる
(表3)
処方例
4-1 4-2 4-3 4-4 4-5 4-6
官能評価 A A A A A A
比較処方例
4-1 4-2 4-3 4-4 4-5 4-6 4-7
官能評価 C C C C C C C
処方例5 油性スティックファンデーション
1.本発明の疎水性複合粉体 8.0
2.タルク 2.8
3.カオリン 16
4.マイカ 3.0
5.ニ酸化チタン 16.0
6.ベンガラ 1.0
7.黄酸化鉄 3.0
8.黒酸化鉄 0.2
9.固形パラフィン 3.0
10.マイクロクリスタリンワックス 7.0
11.ワセリン 15.0
12.ジメチルポリシロキサン 3.0
13.スクワラン 5.0
14.パルミチン酸イソプロピル 17.0
15.酸化防止剤 適 量
16.香料 適 量
(製法)
9〜15を85℃で溶解し、これに充分混合された1〜8を攪拌しながら添加し、コロイドミルで磨砕分散した。16を添加し、脱気後70℃で容器に流し込み冷却して処方例5を得た。
1.シリコーン処理タルク 11.4
2.シリコーン処理マイカ 41.0
3.シリコーン処理二酸化チタン 10.0
4.本発明の疎水性複合粉体 10.0
5.シリコーン処理酸化亜鉛 8.0
6.シリコーン処理ベンガラ 1.0
7.シリコーン処理黄酸化鉄 3.0
8.シリコーン処理黒酸化鉄 0.2
9.ナイロンパウダー 2.0
10.ジメチルポリシロキサン 8.5
11.オクチルメトキシシンナメート 1.0
12.POE変性ジメチルポリシロキサン 0.6
13.モノオレイン酸POEソルビタン 1.0
14.オクタン酸イソセチル 2.0
15.エチルパラベン 0.2
16.香料 0.1
(製法)
10〜15を加熱溶解した(油相)。別に1〜9をブレンダーで混合し、先の油相と混合した。さらに16を噴霧して均一に混合した。これを粉砕機で粉砕し、中皿に圧縮成型した。
1.本発明の疎水性複合粉体 10.0
2.赤色201号 0.6
3.赤色202号 1.0
4.赤色223号 0.2
5.キャンデリラロウ 9.0
6.固形パラフィン 8.0
7.ミツロウ 5.0
8.カルナバロウ 5.0
9.ラノリン 11.0
10.ヒマシ油 23.2
11.2−エチルヘキサン酸セチル 17.0
12.イソプロピルミリスチン酸エステル 10.0
13.酸化防止剤 適 量
14.香料 適 量
(製法)
1〜3を10の一部と混合し、ローラー処理した(顔料部)。4を10の一部に溶解した(染料部)。5〜13を混合し、加熱溶解した後、顔料部、染料部を添加しホモミキサーで均一に分散した。これに14を添加し混合した後型に流し込み急冷し、スティック状とした。
Claims (4)
- シリカと酸化チタンとを含むチタンシリカ複合体の表面に、
有機ケイ素系化合物、及び炭化水素系滑剤からなる疎水性付与化合物A群より選択される1種又は2種以上と、
高級脂肪酸又はその金属塩、有機チタン系化合物、有機アルミニウム系化合物、及びフッ素系界面活性剤からなる疎水性付与化合物B群より選択される1種又は2種以上と、
を被覆することを特徴とする疎水性複合粉体。 - シリカと酸化チタンとを含むチタンシリカ複合体の表面に、無機アルミニウム化合物、無機ケイ素化合物、無機ジルコニウム化合物からなる群より選択される1種または2種以上を被覆し、さらに
有機ケイ素系化合物、及び炭化水素系滑剤からなる疎水性付与化合物A群より選択される1種又は2種以上と、
高級脂肪酸又はその金属塩、有機チタン系化合物、有機アルミニウム系化合物、及びフッ素系界面活性剤からなる疎水性付与化合物B群より選択される1種又は2種以上と、
を被覆することを特徴とする疎水性複合粉体。 - 請求項1又は2に記載の複合粉体において、チタンシリカ複合体は、微粒子状の複数の酸化チタン粒子がシリカ担体中に略均一な密度で点在した形態であることを特徴とする疎水性複合粉体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の複合粉体を含むことを特徴とする化粧料。
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