JP5682982B2 - 中空顆粒 - Google Patents

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Description

本発明は、構造制御性が高く、可視光透過性と紫外線遮蔽性に優れる、ナノ粒子を原料とした顆粒体に関するものである。
本発明は、先願の複合粒子に係る粒子形態制御法(特許文献1及び2、図1・2参照)から発展(図3〜5参照)し、予め固形(結晶)化されたナノメーターオーダー粒子を第二成分(子粒子)とし、液相分散理論・ナノ粒子充填理論・噴霧法(液滴プロセス)の3つを方法論とすることで、中空顆粒、可逆的変化可能な膨潤機能性粉体等を提供するものである。
本発明が成立した時代的要因(技術的背景)は、媒体撹拌型粉砕装置(ビーズミル)による液体中の粒状物質の分散度と、噴霧法(特に3〜4流体ノズル)による液滴径分布の、微細構造制御技術の急速な進展がある(図1〜3)。これに、既往の液相DLVO微粒子分散と、粒子充填構造を統合的に説明する理論的進展が組み合わさり、本発明の萌芽となった。
本発明の技術的特徴は、両者を融合したことにある。即ち、液相法(DLVO分散理論)と固相法(粒子充填理論)を組み合わせた液相中のナノ粒子の均一分散法と、ミクロンオーダーの液滴形成法と固形分の急速固化法とを、不可欠の技術的要件として融合した結果、分散や複合を支配する微小力(液架橋力やヘテロ凝集力等)と、操作条件として調節される粉体一次特性の制御性が格段に向上した(図3〜14)。
本発明の特徴は、オーダードミクスチャー、即ち、異種成分等の均一な複合や分散、及び、構成成分の低凝集性という、粉体二次特性(本発明では、顆粒体という形態・構造制御)の制御性が向上した結果、粒状物質を原料とした粒子集合体特性(可視光透過性、紫外線遮蔽性、膨潤性が可逆変化する粉体、粉体層滑沢性、熱伝導性)を、格段に向上できることにある(図11〜14)。
発明の発展性として、この均一分散性(複合化)と低凝集性は、濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件下(例えば40wt(重量)%以上)でのオーダードミクスチャーの提供や、顆粒体や中空粒子、フィラー等の板状の粒状物質の技術分野を拡大するという、格段の有用性を奏することができる(例えば、構成成分の分散と第二成分の結晶化とを同時達成することが必要なエマルション法等の汎用プロセスでは、不可能であった)。
粘土鉱物を原料とした板状又は鱗片状の粉体、特にマイカ、又はセリサイト(絹雲母)、又はマスコバイト(白雲母)、又はフロコバイト(金雲母)、又はバイオタイト(黒雲母)と呼ばれるケイ酸塩鉱物(雲母系、特に非膨潤性の粘土鉱物)は、粉体形状に起因する高い流動性(滑沢性)と、高い透明性とを併せ持つ高性能粉体で、化粧品用基材等として多用されている。特に絹雲母は、鉱物の一種で、英名のセリサイト(sericite)でも呼称される。
火山岩等の熱水変質帯等に粉末状の塊として産出し、愛知県北設楽郡東栄町(振草)にある粟代鉱山は、国際的な絹雲母の供給源として有名で、この絹雲母は「三信マイカ」(振草絹雲母)の名で販売されている。化学組成は、ほぼ「KAlSiAl20」で、白雲母(金雲母)に近い単斜晶系を有する。主に化粧品ファンデーション素材として用いられている。更に、耐熱性のある潤滑材としてや、粒子径分布調整や微粉砕したものは、プラスチック等の強化材用フィラーとしても使用されており、工業的にも重要な基材である(特許文献1〜2、非特許文献1〜3)。
機能性化粧品(Cosmeceuticals=Cosmetics+Pharmaceuticals)として業界に浸透している新材料系に例示されるような、基礎化粧品(スキンケア)や仕上げ化粧品(メイクアップ)に対する、物性の高度化、新機能の発現、新用途の開発等、演色(着色)性や透明・素肌感等の仕上がり(ソフトフォーカス)機能、質感、皺等の凹凸隠蔽性や滑沢性・使用感等の顔料(化粧)機能に加え、紫外線(UV)遮蔽能(SPF値)や肌荒れ防止用保湿性等を訴求する薬効機能をも高めた、機能性材料原料への需要が高まっている(非特許文献5〜6)。
また、上記の高級化粧品で特に要請の高いセリサイト(絹雲母)は、鉱物系原料としての資源枯渇の恐れもあり、“3R”のReduce(省資源化)的な観点からも、単純な基材としての利用ではなく、粉体基礎物性の高度化、新機能の発現、新用途の開発等が、喫緊の課題となっている(特許文献1〜6、非特許文献1〜6)。
本発明の技術的背景と既往技術群の課題を、物質発明として、〔1〕体質顔料、及び〔2〕パール顔料、製法発明として、〔3〕粒子複合化法、の観点から網羅することで、明確化する(図1〜3の操作条件・材料構造・材料機能のパテントマップを参照)。
〔1〕体質顔料(Body Pigment又はExtender Pigment)とは、主に化粧品業界に浸透している呼称で、無色又は白色(即ち、低屈折率・低隠蔽性)で、着色自由度と高滑沢性、高感触・使用感を材料機能とする、板状又は鱗片状のケイ酸塩鉱物(雲母系、特に非膨潤性の粘土鉱物)粉体をいう。化粧品(成形体や油分等と配合されたファンデーション組成とされた製品)用の原料粉体の基材である。
主としてマイカ等の粘土鉱物の単体、即ち、表面水酸基の親水・疎水化等の表面処理は行っていても、酸化チタン(チタニアと呼称される二酸化チタンTiOの他、黒色の低次酸化チタンTiOXも含む)等、他の酸化物系材料の複合化までは行っていない単機能の粒状物質について、その後の開発の基点となった代表例を時系列的に列挙すると、以下のようになる(特許文献1〜6、非特許文献1〜16)。
(1)天然物由来の原料粉体を精製(粒子径分布調整)、低純度(タルク含む)、山口雲母(株)・浅田製粉(株)等
(2)天然物由来の原料粉体を精製(粒子径分布調整)、高純度、絹雲母(マイカ)
(3)天然物由来の原料粉体の表面処理(湿式・乾式法、基材表面の親水・疎水化)、角八魚麟箔(株)「エイトパール」、三好化成(株)・大東化成(株)・岩瀬コスファ(株)等
(4)合成雲母(金雲母の水酸基のフッ素置換や天然鉱物の水熱処理)、トピー工業(株)・コープケミカル(株)等
体質顔料の代表的な既往技術群より、現状の技術的課題を抽出すると、以下のようになる。
(1)粉体の形状や構造の制御や粉体操作が単純(精製による粒子径分布調整レベル、等)であることが多い。
(2)現状は単機能(顔料機能≒演色性と滑沢性)に特化した材料系であることから、合成材料に比べ人為的な操作を加え難く、或いは経済的に不利である。
(3)(それ故)顔料機能(演色性や滑沢性等)を改善する技術が多く、薬効機能(紫外線遮蔽等)を目的とした知財が少ない。
(4)天然物由来の原料粉体が多く、高性能粉体であるほど原料自身の枯渇等の問題は大きい(所謂“3R”のReduce(省資源化)的な観点からの対処法が必須)。
(5)既往技術群は、いわば帰納(経験又は試行錯誤・個別対応・局所最適)的に開発された方法論で、異種技術を(演繹的に)探索・適用する方向となっていない。
特に上記の最後の課題は、機能性化粧品においては、大きな問題である。機能性化粧品の基材である体質顔料の基礎物性は、その後工程の複合粉体やファンデーション特性に影響する一次特性である。従って、局所的に特性改善しても、他特性が劣化しかねない。例えば、液相中の粒子分散理論とナノ粒子充填理論に係る、粉体工学的な現象理解に立脚しなければ、技術の本質を扱うことにならない。
粉体工学で解明されている液相中分散理論とナノ粒子充填理論に係る学術的な現象の理解を応用し、(発明として重要な立項要素である)演繹(俯瞰又は仮説検証・理論設計・全体調整)的に構造化することは必須であるが、現時点では実現されていない。その結果、体質顔料の流動性(滑沢性)等の基礎物性のみを改善した局所的な効果しか奏し得ず、機能性化粧品の複数機能の相乗という喫緊の必須要件(発明の進歩性)を本質的に解決する手段を奏し得ていない。
〔2〕既往技術群のパール顔料(Pearl Pigment)とは、主に化粧品業界に浸透している呼称で、特に多重の反射・散乱・干渉光(いわゆる真珠様光沢)を目途とした複合粒子をいう。化粧品用の原料粉体の添加材である。母粒子群として、マイカやタルク系のケイ酸塩鉱物のほか硼珪酸系金属酸化物等が用いられている。子粒子群として、チタニア、酸化亜鉛ZnO(亜鉛華)、酸化鉄(四三酸化鉄マグネタイトFeや三二酸化鉄ヘマタイトFe(いわゆる弁柄))、硫酸バリウムBaSO、酸化セリウムCeO、炭酸カルシウムCaCO(石灰石)等の、球状や板状の金属酸化物粒子等が用いられている。
また、子粒子の構造や形状(モルフォロジー)例として、粒状(複数成分が多層化されることも)、棒状、膜状(二層以上に多層化されることも)、また多孔状に、付着・被覆(静電的な弱い接触状態から、化学的反応や物質転換を伴う強固な結合まで)された構造体等、多種多様なモルフォロジーを含む。
物質発明として、パール顔料の技術的構成要素に着目した場合、後述の参考発明と同じ(又は部分的に同じ)構成の母粒子・子粒子(材料の種類)と、本発明と部分的に同じ操作法(製法)を用いた既往技術群が、いくつか存在している。即ち、前記の体質顔料を母粒子とし、チタニア・シリカ(SiO)・アルミナ(Al)・ジルコニア(ZrO)等の球状粒子(や薄膜)を添加第二成分(子粒子)として、その後の開発の基点となった基本的な代表例を列挙すると、以下のようになる(特許文献7〜21、非特許文献12〜31)。
(1)マイカ等の粘土鉱物とチタニアとの複合粒子に関する基本特許、デュポン(株)。
(2)多層・複合化、チタニア以外にアルミナやシリコン系の表面処理等、触媒化成(株)「カバーリーフ」、メルク(株)等。
(3)子粒子が特殊形態、蓋付カップ状の水酸化アルミニウムAl(OH)粒状被覆、三好化成(株)資生堂(株)「エクセルマイカ」。
(4)子粒子が特殊形態、羽毛状の酸化亜鉛系、資生堂(株)等。
(5)子粒子が特殊形態、レフ板又はバタフライ(蝶)状の硫酸バリウム系、資生堂(株)。
(6)子粒子が特殊形態、チタニアの角柱状(紡錘状やナノチューブを含む)化、大阪市工研(ペルオキソチタン酸アンモニウム法)等。
(7)子粒子が特殊形態、中空パール顔料、花王(株)。
(8)子粒子が特殊形態、顆粒(毬藻)状パール顔料、テイカ(株)。
(9)子粒子がポリマー、PMMA(ポリメタクリル酸メチル、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂)等、ロレアル(株)「エアロパウダー」、ノエビア(株)・資生堂(株)等。
(10)アジア系に肌色強調、ベンガラ(弁柄)酸化鉄(FeやFe)系、BASF(株)(旧エンゲルハード社)・メルク(株)(世界2大メーカー)。
(11)アジア系に肌色強調、Fe置換型マイカ(合成品)、トピー工業(株)。
また、操作条件・材料構造・材料機能のパテントマップ分析の中で、特に材料機能を請求項として挙げた代表例を列挙すると、以下のようになる(特許文献7〜30、非特許文献32〜59)。
(1)酸化セリウム(suntan長波長UVA(400〜315nm)域の紫外線遮蔽)、コーセー(株)、東北大学、大阪大学。
(2)酸化チタン(sunburn短波長UVB(315〜280nm)域の紫外線遮蔽)と酸化亜鉛(UVA紫外線遮蔽)最適配合、昭和電工(株)。
(3)自然な発色(ソフトフォーカス=透過率VS反射率)評価、日本光研(株)。
(4)使用感・心理的評価(触感試験、官能評価)、三協パイオテク(株)「トライボステーション」等、日本メナード化粧品(株)成形体の配合調整等。
(5)粉体層剪断試験(破壊包絡線評価)、粉体(成形体に対し1個の粒子)同士や壁面等との付着力(原子間力顕微鏡等)評価を含む、(株)ナノシーズ等。
パール顔料の代表的な既往技術群より、現状の技術的課題を抽出すると以下のようになる。
(1)学術的には単純な複合化法に限られていて、粉体の形状や構造の制御や粉体操作が単純(工程増による多層・複合化、材料種の非人為的な形態形成に依存した特殊形態被覆、等)であることが多い。
(2)現状は主として単機能(特に顔料機能≒演色性と滑沢性)を目途とした材料系であることから、合成材料に比べ人為的な操作を加え難く、或いは経済的に不利である。
(3)天然物由来の原料粉体が多く、高性能粉体であるほど原料自身の枯渇等の問題は大きい(“3R”のReduce(省資源化)的な観点からの対処法が必須)。
(4)機能性化粧品で必須の、顔料機能(演色性や滑沢性等)と薬効機能(紫外線遮蔽等)の相乗が達成されていない。
(5)既往技術群は、いわば帰納(経験又は試行錯誤・個別対応・局所最適)的に開発された方法論を適用した形式となっている。
(6)その中でも特に滑沢性・使用感の特性向上や評価(特に心理的・定性的評価の定量化)は未発達で、殆どが、顔料機能(演色性等)・薬効機能(紫外線遮蔽等)を操作したために滑沢性が低下し、評価も定性的(非定量的)なアンケート形式で出願されている。技術的に相互比較し得る形式で出願されたものは見当たらず、専門分野の技術者でも容易には着想し得ない、研究室規模レベルの、別々の独立した検討レベルに留まっている。
特に上記の後半の課題は、機能性化粧品の一層の高機能化のために克服すべきである。例えば、機能性化粧品の添加材であるパール顔料の基礎物性は、その後工程のファンデーション特性に影響する一次特性なので、例え局所的に特性を改善したとしても、他の特性が劣化しかねない。例えば、液相中の粒子分散理論とナノ粒子充填理論に係る、粉体工学的な現象理解に立脚しなければ、技術の本質を扱うことにならない。
粉体工学で解明されている液相中分散理論とナノ粒子充填理論に係る学術的な現象の理解を応用し、(発明として重要な立項要素である)演繹(俯瞰又は仮説検証・理論設計・全体調整)的に構造化したものとは、少なくとも現時点ではなっていない。その結果、体質顔料の流動性(滑沢性)等の基礎物性のみを改善した効果しか奏し得ず、機能性化粧品の複数機能の相乗という必須要件(発明の進歩性)を本質的に解決する手段を奏し得ていない。
〔3〕既往技術群の手法(粒子複合化法)とは、形状又は構造が制御された粒状物質が、少なくとも二つ以上の物質から形成された、複合構造体、多孔体、顆粒体、多孔性顆粒体、複合構造顆粒体、凝集体、又は中空体であることを特徴とする形状又は構造が制御された粒状物質の製法をいう。
製法発明としての技術的構成要素に着目した場合、後述の参考発明と同じ(又は部分的に同じ)構成の母粒子・子粒子(材料の種類)と、本発明と部分的に同じ操作法(製法)を用いた既往技術群が、いくつか存在している。即ち、物質・製法・機能のうち、主として方法・プロセス(製法発明)でその後の開発の基点となった基本的な代表例を列挙すると、以下のようになる(特許文献22〜29、非特許文献38〜45)。
(1)固相法に類型化される手法、機械的複合化法(ボールミルやビーズミル法等)、乾式成形プロセス含む。
(2)液相法に類型化される手法、湿式の表面処理、シランカップリング、硫酸チタニルの加水分解法、ゾルゲル法、DLVO理論から計算される静電反発力とvan der Waals引力の差で決まる液中分散等。
(3)気相法に類型化される手法、乾式表面処理、各種噴霧プロセス(凍結乾燥法・噴霧乾燥法・噴霧熱分解法・化学炎法等)、化学気相成長(蒸着)CVD法・物理気相成長(蒸着)PVD法、顆粒体製造や粒子複合化等。
(4)高エネルギー製法に類型化される手法、プラズマ法や超臨界流体法等、カーボンナノチューブ等の新材料系の製法を含む。
粒子複合化法の代表的既往技術群より、現状の技術的課題を抽出すると以下のようになる。
(1)操作条件(発明の独自性)として分析した場合、粒子・粉体の均一分散(Breaking Down)と、緻密充填・成形(Building Up)とが、同時には制御されていない。その結果、材料(粉体)構造として、母粒子表面を被覆可能な子粒子を量論組成で添加すると、母粒子・子粒子夫々の凝集形成を回避できていない。凝集を回避しようとすれば、量論比より過剰に少ない子粒子しか添加し得ない(図1・2)。そのため、到達し得る材料機能に限界があった(→例えば下記のように機能性化粧品で必須の顔料機能(演色性や滑沢性等)と薬効機能(紫外線遮蔽等)の相乗が達成されていない)。
(2)発明の進歩性として分析した場合、機能性化粧品で必須の、顔料機能(演色性や滑沢性等)と薬効機能(紫外線遮蔽等)との相乗を達成(又は目的とした)既往技術群が見当たらない(図1・2)。
(3)実材料系(現実に実用化されている系で、粒子径分布幅が広域等、制御上難点が多い物)に限定すると、あまり複雑な複合化法は行われていないか、材料種限定の特異的な形態変化(例えば酸化亜鉛の針状化)を利用した(従って、汎用性のない)方法が主である。合成材料系や研究室規模の既往例に比べ、人為的な操作を加え難く、或いは経済的に不利である。
(4)既往技術群は、いわば帰納(経験又は試行錯誤・個別対応・局所最適)的に開発された方法論を適用した形式となっている。
具体的に、混合物質の調製において、対象材料組成や、粉体表面の親水性・新油性による制限を受け難い、粉体の形状や構造の制御法に(固相法の一種の)機械的複合化法がある。中でも、反対方向に回転する複数の楕円形状・粉砕媒体間の剪断を利用する方法は、機械的複合化法の中でも剪断力が比較的小さめで、化粧品や薬剤を破壊せずに複合化が可能で(例えば、特許文献3)、例えば、酵母からの酵素の放出特性制御が検討されている(非特許文献2)。しかし、この方法も典型的なバッチプロセス(単位操作毎に区切って非連続で行う回分処理法)であり、生産性や工業化、コストの点で不利である他、特別の設備投資が必須で、現時点ではあまり普及していないようである。
混合物質の調製において、材料を限定せずに、粉体の形状や構造を制御して高機能化を達成する製法の面から検討した場合、金属アルコキシドと粒子表面水酸基との加水分解反応、加湿雰囲気中の粒子表面に生成した水膜を用いた局所加水分解法、Harding(1972)らにより提案された電気二重層のζ(ゼータ)電位の電荷符号差を利用したヘテロ凝集法、懸濁重合法、ゾルゲル法やエマルション法等がある。これらの所謂「液相プロセス」は、粘土鉱物を原料とした粉体、中でも板状又は鱗片状の粉体を適用した化粧品や薬剤分野においても、比較的多く見受けられる方法であり(マイクロカプセル製造、チタニア被覆による紫外線遮蔽等)、粉体の形状や構造の制御に関する代表的な液相法でもある。
その製造原理は、水相と油相の反発に起因する構成成分の均一分散と、界面活性剤を利用した複合化とを利用するものである。比較的、粒子構造の制御性の高い方法として例示される。しかし、これらの方法は、構成成分の分散と第二成分の結晶化を時間的に同時に達成することが必要で、難制御性の典型的なバッチプロセス(=非連続的な複数工程を必須とする製法)であり、生産性や工業化・コストの点で不利である他、現在の技術では一般化された原料がなく、対象材料によって、組成や粉体特性、調製方法を模索する必要がある、等が問題である。その結果、成功例はシリカ等の合成し易く、液中のζ電位が正負で逆であるような静電引力の機能し易い材料系に散見される研究室規模の製法に分類され、本願で対象とする濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件(例えば40wt(重量)%以上)には不適である(例えば、非特許文献3〜5)。
混合物質の調製において、(特に本発明と競合し得る)液相〜気相法の中間的な技術的特徴を有する既往例を分析する。液状物質→粒状物質の転換プロセスを具体化する場合に、想定される装置構成を例示する。量産性や連続生産性を考慮して、粉体の形状や構造の制御に関する製法を検討すると、気相合成法(気相法)が相対的に優れている。中でも、噴霧乾燥法、噴霧熱分解法、凍結乾燥法、超臨界法等、“噴霧法”を中心とする「液滴プロセス」は、乳糖や吸入製剤の工業化に成功している代表的な気相法である。
しかし、現在の液滴プロセスは、液相法に比べて比較的高速な乾燥過程によって、原料物質を液状物質中に溶解(又は分散)させた均一な分布状態をそのまま保ち、できるだけ短時間に固化することで複数の粒状物質の均一な分布状態を作る、という点に主眼が置かれている。例えば、中実粉体や凝集粉体、顆粒体、複合粉体の場合、ケラチンと顔料の複合粉体(特許文献3)や、乳糖とアルギン酸ナトリウムの複合粉体(非特許文献5)、吸入製剤粉体の顆粒体(非特許文献6)等、特許等としての新規性は、複数の粒状物質の均一な分布状態に起因していることが多い。従って、雲母系粉体や粘土鉱物粉体、エマルション法と同様に、粉体の形状や構造を多様且つ高制御に調整した新規な粉体(例えば複合構造の粉体、又は多孔性粉体、又は顆粒体、又はマイクロカプセル等)を製造するためには、対象材料によって、組成や粉体特性、調製方法を模索する必要がある等の問題を持っている。
液滴プロセスの多孔性粉体又は中空粉体の場合も同様で、複数の粒状物質の均一な分布状態に起因した単純な制御等が主である。多孔性粉体又は中空粉体は、液滴の熱処理温度又は液滴の移動速度等の、液滴プロセスの操作条件の調節や、ガラス系フィラーで代表的な発泡成分添加又は芯材の焼失や酸溶解除去による「バブルプロセス」で製造される。この方法には、主に、無機物系等の発泡成分を添加したガラス系材料と同様の電気炉中のバッチ処理(非連続処理)製法(例えば、特許文献6)、発泡成分添加を液滴プロセスと組み合わせた気相中の連続的な製法(例えば、特許文献7)、アゾ系物質等、無機物よりも低沸点の分解開始温度を持つ有機物を発泡成分とした製法(例えば、特許文献8)、ガソリン等の可燃性液状物質を溶媒又は分散媒とし、溶媒からの発泡を利用した気相中の連続的な製法(例えば、特許文献9)、芯材を焼失、又は酸で溶解除去する方法(例えば、特許文献10)、等がある。
しかし、これらの従来技術は、言わば無差別にガス状物質をばらまく(言わば絨毯爆撃)方式のため、かなりの確率で液滴外での発泡(言わば誤爆)が起こり、ガス状物質の液滴内部での爆発(発泡)は確率的に期待するしかなかった。そのため、多孔性又は中空構造の均一性と高制御性達成の限界は本質的には解決せず、また、液滴径分布にも幅があるため、気孔率や孔径が不均一、ほぼ確実に破裂粒子が発生する等、多くの問題が未解決であった。
更に、個々の既往例を分析することによって、製法としての問題点を明確化する。特に特許文献27では、母粒子・子粒子の凝集をなくすことが主たる目的にされていて、500μmのタルク等の板状粒子を第二の撹拌用媒体(ジルコニアビーズ)とし、予め粒子化(結晶化)された数10nmのチタニア等の微粒子を第二成分(子粒子)として、数100μmのジルコニアビーズと有機溶媒との媒体撹拌ミル法を用いる方法論により、ナノメーター微粒子の分散性向上を目指す旨、開示されている。
化粧品組成物例として、有機溶媒の媒体撹拌ミル法やヘンシェルミキサー法と、回転円盤式の噴霧乾燥法とを方法論として用いて、該構成要素から成る粉末化粧料の製造方法が開示されている(特許文献25)。
予め粒子化(結晶化)された数10nmのチタニア等の微粒子を用い、数mmのジルコニアビーズと有機溶媒との媒体撹拌ミル法と、二流体ノズル式の噴霧乾燥法とを方法論とする(併用する)ことで調製された、化粧料用粉体(いわゆる顆粒体)等が開示されている(特許文献26)。
装置工学的な既往例としては、ミクロンオーダー以下の母粒子・子粒子の凝集回避を目的とし、二流体ノズル式・噴霧乾燥法のノズル設計・提案を方法論とした、母粒子表面への子粒子複合化法が開示されている(特許文献28)。
数学的モデルと噴霧プロセスを併用する特許として、母粒子に高分子材料を用いて、赤道表面効果・数学的モデルにより、母粒子表面に付着する単位表面積あたりの子粒子の重量比を請求項とした粒子複合化法が開示されている(特許文献29)。
しかし、以上の母粒子・子粒子の凝集回避と母粒子表面への子粒子の複合化は、液相中の粒子分散理論とナノ粒子充填理論に係る、粉体工学的な現象理解に同時に立脚しなければ、技術の本質を扱うことにならない。粉体工学で解明されている液相中分散理論とナノ粒子充填理論に係る学術的な現象の理解を応用し、(発明として重要な立項要素である)演繹(俯瞰又は仮説検証・理論設計・全体調整)的に構造化したものとは、少なくとも現時点ではなっていない。その結果、体質顔料としての流動性(滑沢性)やパール顔料としての演色性等の単機能の改善に留まり、機能性化粧品の複数機能の相乗という必須要件(発明の進歩性)を本質的に解決する手段を奏し得ていない。
以上の現状分析の一つの論拠として、例えば、母粒子に板状粒子(=球状粒子よりも凝集をなくすことが難しい)を用いる既往技術群が全て、有機溶媒(=多くの場合に親水表面を有する無機粉体の分散が容易)を好適例の必須用件として構成されている点や、水系の分散媒の場合は、好適例の材料種が母粒子・子粒子共に球状粒子に留まっている点を挙げる。
これらは、上述の技術的課題(3)に整理した通り、製法特許としての技術的構成要素に着目した場合、新規な操作条件(発明の独自性)を加えなければ、目的とする進歩性を達成し得ないとする、本発明の立場を証明している。
以上、粒子1個及び/又は粒子群(粉体層や粒子充填層、成形体、圧粉体等を含む)の外部形態や内部構造の制御法、及びその粒状物質と、制御装置に関して、(1)体質顔料、(2)パール顔料、(3)粒子複合化法、3つの観点から、特許としての技術的構成要素の問題を俯瞰すると、下記のように整理される。
(1)粒子・粉体の均一分散(Breaking Down)と、緻密充填・成形(Building Up)とを、同時に制御した構成、が不可。
(2)液相中の粒子分散理論と、ナノ粒子充填理論とに係る、粉体工学的理論を同時に制御条件として数式化した、技術項目の抽出、が不可。
(3)機能性化粧品で必須の、顔料機能(演色性や滑沢性等)と薬効機能(紫外線遮蔽等)の相乗、が不可。
その結果、板状粒子を母粒子、予め固形(結晶)化されたナノメーターオーダー粒子を子粒子とした複合粒子において、母粒子・子粒子の凝集フリー、且つ、母粒子表面に子粒子が微細均一に複合化された複合粒子に関して、以下の全ての要件を満たすことは、現状では不可能であった。
(1)当該粒状物質の集合体(粉体層や粒子充填層、成形体、圧粉体等を含む)の、光学波長800nmの透過率の、400nmの透過率による減算(差)を、可視光透過率、光学波長400nmの透過率の、290nmの透過率による減算(差)を、紫外線遮蔽率、として、各指標を定義した時、可視光透過率が20%以下、紫外線遮蔽率が40%以上、
(2)当該粒状物質の集合体の、内部摩擦角が、15°以下、
(3)高コストな人為的操作を要せず、経済的にも問題のない操作条件(工程の改善)、
(4)特に、平均粒子径15μm以下、且つアスペクト比(=平均粒子径÷平均粒子厚)100以下の含水ケイ酸アルミニウムカリウム、又は層状ケイ酸塩、又は雲母、又は粘土鉱物製の板状の粒状物質原料と、平均粒子径0.1μm以下の予め固形(結晶)化された金属酸化物製の添加物質に好適な、発明としての技術的構成要素、が必要である。
従って、既往技術では、濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件(例えば40wt(重量)%以上)でのオーダードミクスチャー(均一な複合+凝集フリー)製法等、粒状物質に係る微細構造の高制御化技術の、緊急性の高い要求に応えることができなかった。
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上記の現状分析に鑑み、本発明者らは、既往技術群の技術的課題を抜本的に解決することを可能とする粒状物質の形態制御法、及びその粒状物質と制御装置の開発を目標に鋭意研究を積み重ねた結果、液相中の粒子分散理論と、ナノ粒子充填理論に係る、粉体工学的・学術的な現象の理解が進展しつつある点に着目した。
粒子に働く微小力は、van der Waals(又はLondon−van der Waals)引力、分子間力、静電気力、液架橋力(毛管凝縮力)等から構成され、取り扱う雰囲気(湿度、真空度、構成ガス組成等)や、粉体特性(粒子径、モルフォロジー(外的形状、内的構造等)、巨視的扁平度、微視的表面粗さ、材質に基づく親水(撥油)〜疎水(撥水)性等により影響を受け、これらが、個々の材料系で適宜選択され、制御して用いられている。
この中で、本発明者らは、静電ホモ反発力・静電ヘテロ凝集力・Van der Waals凝集力・液架橋凝集力が、大気中(=水分が本質的に存在)はもちろん、多くの雰囲気中で粒子に働く付着力の支配的因子であり、特に液相中の粒子の付着力の中で、最も影響度が大きいと考えられていること、に着目した。
粒子分散理論において、液相プロセスは、粒子・粉体の制御性と、工程の経済性との整合が比較的とりやすい方法論であり、粒子・粉体の均一分散(Breaking Down)において、既往例でも用いられている(図1)。一方、緻密充填・成形(Building Up)に関して、製剤の打錠工程において、主に乾式(固相)プロセスとして、六方細密充填等数学的モデルを実材料系に適用する既往例が種々行われている。
この両者を組み合わせると、静電「斥力」を母・子粒子の同種同士の均一分散に用い、母粒子表面を被覆可能な子粒子を量論組成で複合化しつつ、同時に母粒子・子粒子夫々の凝集形成を回避した(所謂)オーダードミクスチャー(Ordered Mixture=均一な複合+凝集フリー)を、所与し得る可能性が見出せる。
しかし、現時点では、粒子分散理論において、母粒子表面を被覆可能な子粒子を量論組成で添加すると、粒子相互の物理的接触が発生し得るにも関わらず「(恰も)分散には限界がない(=無限に分散し得る)」かのように、粒子充填理論が全く顧慮されていない。
特に濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件下(例えば40wt(重量)%以上)では、このような言わば「無限に分散し得る」と仮定した計算式では、子粒子の凝集を回避できない。その結果、現時点では、母粒子・子粒子夫々の凝集形成を回避できていないか、凝集を回避しようとすれば、量論比より過剰に少ない子粒子しか添加し得ないという極めて大きな問題状況に留まっている(図2)。
更に、近年、所謂ナノメーターサイズ(サブミクロン以下)の微粒子(ナノ粒子)の実用化が進展したという状況変化が見られる。粉体工学等の学術的レベル(研究室規模)では、液相中の粒子分散理論と、ナノ粒子・充填理論とを相乗させようとする試みが、数学的アプローチから実施されている。
しかし、本発明者らは、その工業的実用化や検証(実施例)としては、あくまで数学的計算によるモデル範囲内や、ラボレベルの少量試料に留まっていて、(本発明のような)現実的規模の材料特性上の検証や、技術的必須項目の抽出に成功した先例は見当たらない。しかし、本発明者らは、これらは、既往の技術群が経験則に基づく知見の蓄積で得られた成果であったためで、現象の「本質的な限定要素」が明確化されていないこと、異分野の知見を組み合わせるという発想が希薄であること、等が理由であって、工業技術としての限界ではない、と考えた。
本発明は、現状では不可能であった新規な形態制御法による粒状物質が凝集してなる中空顆粒を提供することを目的とするものである。
上記の課題を解決するための、参考発明は、粒子径30μm未満、及び、アスペクト比(粒子径の粒子厚さによる除算(商))が100以下の、金属酸化物の、板状・棒状・紡錘状又は鱗片状の粒状物質(母粒子)、及び、粒子径0.1μm未満の、金属酸化物の粒状物質(子粒子)、より構成される、複合粒子を製造する方法において、粒状物質を、水系溶媒、アルコールないしエーテル系溶媒より選ばれる液状物質(分散媒体)中に分散し、粒状物質を含む液状物質(混合液体)を製造し、混合液体中の、粒状物質の分散度と液状物質の乾燥速度を、制御因子として選択し、混合液体中で作用するvan der Waals引力と、界面電気二重層の重なりに基づく静電反発力との、両微小力間の相互作用によって定まる、混合液体中の粒状物質の平均表面間距離(LDLVO)を算出すると共に、同時に、混合液体中に含まれる粒状物質の固形分濃度と、粒子径とによって定まる、混合液体中の粒状物質の平均表面間距離(LWoodcock)を、別途算出して、混合液体中の粒状物質の平均表面間距離を「LDLVO≧LWoodcock」となるよう、混合液体中の粒状物質を高分散化する制御を行うと共に、同時に、混合液体を100μm未満の液状物質(液滴)とし、液滴の制御温度を−100〜10000℃となるように、液状物質の乾燥を高速度化する制御を行うことにより、母粒子と子粒子が単独で凝集することなく、母粒子表面に子粒子が均一状態又は局所的に制御された不均一状態で被覆された形態・形状又は構造を有する複合粒子を作製することを特徴とする複合粒子の製造方法、である。
また、本発明は、粒子径0.1μm未満の金属酸化物の粒状物質が凝集してなる中空顆粒であって、
無水ケイ酸で表面処理された微粒子酸化チタンからなると共に表面が正電荷又は負電荷を帯びた上記粒状物質を、水系溶媒、アルコールないしエーテル系溶媒より選ばれる分散媒体中に分散し、上記粒状物質を含む混合液体を製造し、
上記混合液体中で作用するvan der Waals引力と、界面電気二重層の重なりに基づく静電反発力との両微小力間の相互作用によって定まる上記混合液体中の上記粒状物質の平均表面間距離(LDLVO)を算出すると共に、上記混合液体中に含まれる上記粒状物質の固形分濃度と粒子径とによって定まる上記混合液体中の上記粒状物質の平均表面間距離(LWoodcock)を算出し、
上記混合液体中の粒状物質の平均表面間距離が「LDLVO≧LWoodcock」となるように上記混合液体中の上記粒状物質を分散させると共に、
上記混合液体を100μm未満の液滴とし、該液滴から上記分散媒体を蒸発させて乾燥させることにより得られ
可逆性膨潤機能を有することを特徴とする中空顆粒にある。
また、参考発明は、上記製造方法により製造される、粒子径30μm未満、及び、アスペクト比が100以下の、金属酸化物の、板状・棒状・紡鐘状又は鱗片状の粒状物質(母粒子)、及び、粒子径0.1μm未満の、金属酸化物の粒状物質(子粒子)、より構成される、複合粒子であって、母粒子と子粒子が単独で凝集することなく、母粒子表面に子粒子が均一状態又は局所的に制御された不均一状態で被覆された形態・形状又は構造を有することを特徴とする複合粒子、である。
また、上記の粒状物質を原料とする凝集体の材料特性において、可視光透過率と紫外線遮蔽率を評価指標として選択し、光学波長800nmの透過率の、400nmの透過率による減算(差)を、可視光透過率、光学波長400nmの透過率の、290nmの透過率による減算(差)を、紫外線遮蔽率、として、各指標を定義し、可視光透過率が20%以下、及び/又は、紫外線遮蔽率が40%以上であることが好ましい。
更に、参考発明は、上記の粒状物質・群の製造方法に使用するための装置であって、粒子径30μm未満、及び、アスペクト比が100以下の、金属酸化物の、板状・棒状・紡錘状又は鱗片状の粒状物質(母粒子)、及び、粒子径0.1μm未満の、金属酸化物の粒状物質(子粒子)、より構成される、粒状物質・群を、水系溶媒、アルコールないしエーテル系溶媒より選ばれる液状物質(分散媒体)中に分散し、全ての粒状物質群を含む液状物質(混合液体)を製造する手段、混合液体中の粒状物質の平均表面間距離を「LDLVO≧LWoodcock」となるように、混合液体中の粒状物質を高分散する手段、同時に、混合液体を100μm未満の液状物質(液滴)とする手段、液滴の温度を−100〜10000℃となるように、液状物質の乾燥を高速度化する手段を有し、母粒子と子粒子が単独で凝集することなく、母粒子表面に子粒子が均一状態又は局所的に制御された不均一状態で被覆された形態・形状又は構造を有する粒状物質・群製造用装置であることを特徴とする粒状物質・群の製造装置、である。
次に、本発明及び参考発明について、更に詳細に説明する。
本発明者らは、以上の着想を実現すべく鋭意検討した結果、具体的には、下記〔A〕〜〔E〕5点の手段を、同時に、又は連続的に、又は断続的に組み合わせることで、発明を具現化した;
1)〔A〕高アスペクト比のミクロンオーダーの板状粒子と、平均粒子径0.1μm以下の予め固形(結晶)化された金属酸化物製の添加物質を用い、当該粒状物質を、水系の液状物質(以下、分散媒体)中に分散し、全ての粒状物質を含む液状の物質(以下、混合物質)を製造する手段〔A〕
2)〔B〕混合物質中で第二成分に作用する、van der Waals引力と、界面電気二重層の重なりに基づく静電反発力との、両微小力間の相互作用によって定まる、混合物質中の第二成分相互の平均表面間距離(以下、LDLVO)を算出する手段〔B〕
3)〔C〕混合物質中に含まれる第二成分の固形分濃度と、第二成分の直径によって、混合物質中の第二成分相互の平均表面間距離(以下、LWoodcock)を算出する手段〔C〕
4)〔D〕混合物質中の第二成分相互の平均表面間距離をLDLVO≧LWoodcockとする手段〔D〕
5)〔E〕混合物質を100μm未満の液滴状物質にし、液滴状物質を−100〜10000℃の範囲の熱処理温度を与える装置に移動させる手段〔E〕
手段〔A〕、即ち、対象とする材料群や、液状物質への分散方法について、現状の技術レベルと粒子複合化技術への適用可能性に関し、装置工学的に再検討した。
その結果、化粧品・薬剤・工業用フィラー等の新材料開発の観点から、(ア)セリサイト(絹雲母)、(イ)分散媒体、(ウ)添加物質、(エ)水系の液状物質中への分散、の、4種類、に着目した。
(ア)セリサイト(絹雲母)とは、絹雲母や白雲母、金雲母と総称される雲母族系粘土鉱物の野外名を示し、熱水の活動、変成岩中の作用、堆積岩の続成作用による生成等を成因とし、真珠光沢と滑性とを有することを特徴とする物質を示す。振草産セリサイト(組成がSiO60.0%以下、及びAl0.0%以上、及びKO6.0%以上、及び平均粒子径15μm以下)から成る含水ケイ酸アルミニウムカリウム、又は層状ケイ酸塩、又は雲母、又は粘土鉱物が、好適であるが、シリコン酸化物(珪酸等)とアルミニウム酸化物(アルミナ等)を主成分とする層状結晶構造を有する酸化物であれば、微量成分量が異なる物質でもよい。
また、雲母及び粘土鉱物は、シリコン酸化物(珪酸等)とアルミニウム酸化物(アルミナ等)を主成分とする層状結晶構造を有する酸化物を示し、特に制限はない。更に、溶解度に関しても制限されるものではなく、非水溶性の雲母系粉体であっても、上記組成を有する物質であれば、任意の溶媒に対する易溶性の物質であっても、特に問題ではない。
(イ)水系の液状物質(以下、分散媒体)とは、イオン交換水や蒸留水等を示し、原料の粒状物質(セリサイト)と添加物質とをイオン状態に溶解、又は粒状やコロイド状に分散させた溶液、又はスラリー等が例示されるが、特に制限されるものではない。
(ウ)セリサイト粉体の形状又は構造を制御するための粒状物質又は液状物質又はガス状物質(以下、添加物質)は、例えば物質の状態(固体又は液体又は気体等)、材質(金属又は高分子又は酸化物又は非酸化物等)、大きさ、添加量等については特に制限はなく、金、銀、銅、白金、鉄、チタン等の金属系、チタン系化合物、ホウ素系化合物、亜鉛系化合物等の各種機能付与・促進剤、ポリエチレングリコール、ポリビニルアルコール、アラビアゴム等の各種高分子添加剤、各種界面活性剤、各種バインダー、加熱により分解してガス状物質を発生する性質を有する粒状物質又は液状物質又はガス状物質(アゾ系物質等の発泡剤等)、セリサイトやセリサイト以外の粘土鉱物系の板状粉体自身、等が例示される。
(エ)水系の液状物質中への分散とは、摩砕型の湿式撹拌ボールミル、即ち、縦向きの円筒形をなして、冷却水が通されるジャケットを備え、ビーズが充填されるステータと、ステータ軸心に配置されてステータ上部に回転可能に軸承され、上側部の軸心を中空な排出路としたシャフトと、該シャフトと一体となって回転するセパレータと、該セパレータ下のシャフトに径方向に向けて突出されるピンないしディスク状のローターと、ステータより上方に突出するシャフトに固着され、モータのプーリとベルト掛けされるプーリと、ステータ底部にシャフト軸端に対向して設けられ、ビーズ分離用のスクリーンを備えた原料スラリーの供給口と、ステータより突出するシャフト上端の開口端に装着されるロータリージョイントより成り、セパレータは、シャフト軸方向に一定の間隔を存して固着される一対のディスクと、両ディスクを連結するブレードよりなってインペラを構成し、シャフトと共に回転してディスク間に入り込んだビーズとスラリーに遠心力を付与し、その比重差によってビーズを分離、即ち、比重の比較的大なるビーズを径方向外方に飛ばす一方、比重の比較的小さなスラリーをディスク間に開口してシャフトの径方向に形成される導出孔より上記排出路に通して上方に排出させる媒体撹拌型粉砕装置を好適とするが、特に制限はない。
例えば、ジョークラッシャーやボールミル・ジェットミル・振動ミル・遊星ミル等の粉砕機、JIS−Z8840等に示される水平円筒型やV型の、容器回転・機械撹拌・流動撹拌型の混合機、ロール・ブレード型の混錬機や押し出し成形装置、流動層(媒体型や振動型を含む)や回転ドラム・パン型・噴霧型の造粒機・乾燥機、ケーク・遠心型の分級・濾過・沈降・脱水機等の固液分離装置、サイクロンやバグフィルター等の篩い分け・集塵機、等が例示される。
本発明者らは、種々の理論的・実験的検討によって、高アスペクト比のミクロンオーダーのセリサイト(絹雲母)と、平均粒子径0.1μm以下の予め固形(結晶)化されたチタニアナノ粒子を用い、蒸留水に、媒体撹拌型粉砕装置を分散(解砕)装置として適用するシステムを方法として好適とするが、材料種・方法に関して、特に制限されるものではない。
手段〔B〕、即ち、液相プロセスの粒子分散理論について、現状の技術レベルと粒子複合化技術への適用可能性に関し、装置工学的に再検討した。
その結果、化粧品・薬剤・工業用フィラー等の新材料開発の観点から、粒子に働く微小力(分子間力、静電気力、液架橋力、毛管凝縮力、等)を検討し、(ア)van der Waals引力、(イ)界面電気二重層の重なりに基づく静電反発力、(ウ)両微小力間の相互作用によって定まる混合物質中の第二成分相互の平均表面間距離(以下、LDLVO)、の、3種類、に着目した。
(ア)van der Waals(又はLondon−van der Waals)引力とは、電荷を持たない中性の原子・分子間等で働く凝集力の総称で、van der Waals引力ポテンシャルVAは、下記の理論計算式、
=−A×d÷24÷H
但し、
Aは、物質のHamaker定数(10−20J)
dは、平均粒子径(m)
Hは、引力が作用している粒子同士の平均表面間距離(m)
以上の計算式より、算出する。
(イ)界面電気二重層の重なりに基づく静電反発力とは、液状物質中に分散された粒子表面に界面電気二重層が形成され、粒子同士の電気二重層が重なり合って生じたイオン濃度変化(浸透圧発生)を下げようとして作用する斥力で、静電反発ポテンシャルVRは、下記の理論計算式、
=π×d×εr×ε0×Ψ0×ln{1+exp(−κH)}
但し、
εrは、空気中に置かれた粒子の誘電率(10−20J)
ε0は、真空の誘電率(F/m)
Ψ0は、電気二重層厚さ(Debye Length)で、通常ζ電位が用いられる
κは、その逆数が電気二重層厚さ(Debye Length)
以上の計算式より、算出する。
(ウ)両微小力((ア)van der Waals引力と(イ)静電反発力)間の相互作用によって定まる、混合物質中の第二成分相互の平均表面間距離(LDLVO)とは、van der Waals引力ポテンシャルVAと静電反発ポテンシャルVRは和(但し符号は逆符号なので実際は差)、即ち、ポテンシャル障壁VTが、下記の経験式、
+V <(10〜20)×σ×T
但し、
σは、ステファン=ボルツマン(Stefan−Boltmann)定数
Tは、絶対温度(K)
ポテンシャル障壁VTのピーク値(VTmax)が、以上の計算式を満たすよう、粒子同士の平均表面間距離H(以下、LDLVO)を算出する。
一般に、微粒子になるほど、DLVO(Derjaguin, Landau, Verwey and Overbeek)理論で求められる静電反発により、ポテンシャル障壁が同じ表面電位でも小さくなり、静電反発作用による分散安定化は困難になる。そこで、理論計算例として、表面電位と対イオン濃度を同じにして、DLVO理論から計算されるvan der Waals引力と静電反発作用を考慮したポテンシャル曲線の計算例を、図6に示す(ナノメーター例として20nm、サブミクロン例として300nm、及び中間サイズとして100nm)。
即ち、先ずサブミクロン以上の粒子では、粒子の分散に必要なポテンシャル障壁のピーク値VTmaxが、Boltzmann定数と絶対温度の積の10〜20倍以上あり、この表面電位条件で十分、分散可能である。一方、平均粒子径20nm等のナノ粒子では、ポテンシャル障壁が極めて低く、この条件では凝集を起こす。ナノ粒子の分散には百数十mV以上の高い表面電位が必要であるが、通常の方法では、こうした高い表面電位は得られない。
従って、現時点では、粒子分散理論において、母粒子表面を被覆可能な子粒子を量論組成で添加すると、粒子相互の物理的接触が発生し得るにも関わらず、恰も分散には限界がないかのように、粒子充填理論が全く顧慮されていない。その結果、現時点では、母粒子・子粒子夫々の凝集形成を回避できていないか、凝集を回避しようとすれば、量論比より過剰に少ない子粒子しか添加し得ない状況に留まっていること(図2)を、この理論計算結果は、示している。
なお、van der Waals引力と、界面電気二重層の重なりに基づく静電反発力との、両微小力間の相互作用によって定まる、混合物質中の第二成分相互の平均表面間距離LDLVOを、DLVO理論により求める方法を例示したが、特に制限されるものではなく、目的の濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件下(例えば40wt(重量)%以上)での簡便な計算方法を供し得るものであれば、それに限定されない。
手段〔C〕、即ち、固相プロセス(乾式成形)における(そして、それを応用した液相中の)粒子充填理論について、現状の技術レベルと粒子複合化技術への適用可能性に関し、装置工学的に再検討した。その結果、化粧品・薬剤・工業用フィラー等の新材料開発の観点から、粒子同士の平均表面間距離Hと平均粒子径d、その分散系に投入(充填)される粒子の濃度Fの、3種類の幾何学的関係(数学的モデル)を考慮すればよいことを見出した。
具体的には、例えば汎用的な六方細密充填による下記の理論計算式、
H=d×{(π÷3÷√2÷F)^(1/3)−1}
或いはWoodcockらが提案した計算式、
H=d×{√(1÷3÷π÷F+5/6)−1}
以上の計算式より、粒子の平均表面間距離を算出する。
図7に、Woodcock式による粒子平均表面間距離(以下、LWoodcock)の理論計算例を示す(図8と同様に、20、100、300nmとした)。即ち、先ずサブミクロン以上の粒子では、表面電位の常識的な操作条件下において、粒子濃度Fが50vol(体積)%以上にならないと、図6で示したDLVO理論で求められる粒子の分散に必要なポテンシャル障壁のピーク値とはならないことが読み取れる。一方、平均粒子径20nm等のナノ粒子では、許容し得る粒子濃度Fが数10vol%で、濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件(例えば40wt(重量)%以上)と比べ、極めて非常識な(所謂「希薄系」スラリー)値となることが予想される。
なお、混合物質中に含まれる第二成分の固形分濃度と、第二成分の直径によって、混合物質中の第二成分相互の平均表面間距離LWoodcockを、六方細密充填モデルと、Woodcock式により求める方法を例示したが、特に制限されるものではなく、目的の濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件下(例えば40wt(重量)%以上)での簡便な計算方法を供し得るものであれば、それに限定されない。
手段〔D〕、即ち、混合物質中の第二成分相互の平均表面間距離について、現状の技術レベルと粒子複合化技術への適用可能性に関し、装置工学的に再検討した。その結果、化粧品・薬剤・工業用フィラー等の新材料開発の観点から、特に混合物質中の第二成分(即ち、分散系中の微細側の構成成分)に着目し、相互の平均表面間距離を、下記の条件とすればよいことを見出した。
DLVO ≧ LWoodcock
図8と9に、目的のナノメーターオーダー粒子のLDLVOを二種類の表面電位において、LWoodcockをナノメーターとサブミクロン、及び比較のためにナノメーターオーダー粒子の六方細密充填モデルの計算結果を合わせて例示する。なお、図8・9中には、DLVO理論による分散可能な閾値であるステファン=ボルツマン定数と絶対温度の積の例として、代表値15のラインを点線で表示した。
即ち、ナノメーターオーダーの粒子では、表面電位の常識的な操作条件下において、第二成分相互の平均表面間距離が、分散限界の数nmレベルに達してしまう。そのような条件では、許容し得る粒子濃度Fが数10vol%(数vol%@Woodcock式〜30vol%@六方細密充填モデル)で、許容し得る限界となる。
しかしながら、本発明者らは、分散系中の微細側の構成成分に着目し、第二成分(子粒子)について、前記の手段〔D〕(LDLVO ≧ LWoodcock)を達成し、且つ、分散系中の主成分(母粒子)においては(及び、子粒子を添加した混合物質においても)、目的の濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件(例えば40wt(重量)%以上)にすればよいことを見出した。
ここで、混合液体の体積%と重量%の変換法を、チタニアと雲母(セリサイト)複合系で例示する:
* チタニア重量%=20wt%(例:30÷(30+120)g)
* 固形分重量%=30wt%((30+120)÷(30+120+350)g)
* チタニア:雲母の平均真密度2.4g/cm(4g/cm×20wt%+2g/cm×80wt%)
* 固形分体積%=15vol%(2.4で除する)
以上、図8(及び図12・13)に示す通り、LDLVO〜LWoodcockとし、第二成分(子粒子)移動度を抑制すれば、局所制御の粒子複合化や、中空顆粒及び制御された陥没顆粒を製造できる(例:粒子径の粗大化や、シリカ表面処理で電気的中性化し、凝集度を向上させる、等)。
図9(及び図12・13)に示す通り、LDLVO>LWoodcockとし、第二成分(子粒子)移動度を増進すれば、均一な粒子複合化や、中実顆粒を製造できる(例:粒子径微細化や、アルミナ表面処理で電気的に極性化し、凝集度を抑制する、等)。本発明は、このような装置工学的な知見に基づいて具現化されたものである。
手段〔E〕、即ち、「液状物質→粒状物質」転換プロセスについて、現状の技術レベルと粒子複合化技術への適用可能性に関し、装置工学的に再検討した。その結果、化粧品・薬剤・工業用フィラー等の新材料開発の観点から、(ア)混合物質→液滴状物質の転換プロセス、(イ)液滴状物質の熱処理プロセス、(ウ)液状物質→粒状物質の転換プロセス、の、3種類、に着目した。
(ア)混合物質→液滴状物質の転換プロセスは、回転円板方式、2流体式等のガスノズル方式等の各種噴霧法、超音波霧化法、静電噴霧法、等が例示される。中でも、3流体又は4流体ノズル法、即ち、対象のミクロンオーダー母粒子を理論上は1個だけ含有し得る数〜10数μmの液滴を生産性よく製造できる方法であって、供給口から液体を傾斜面に供給し、供給された液体を傾斜面に沿って高速流動させる空気流で薄く引き伸ばして薄膜流とし、薄膜流を傾斜面先端から気体中に噴射(噴霧)する際、尖鋭なエッジを特に境界として、その両面に設けられた2つ以上の傾斜面の途中に、2種以上の異なる液体を供給し、傾斜面に供給された液体を高速流動させる空気流で薄く引き伸ばして薄膜流とし、薄膜流を傾斜面先端のエッジから気体中に噴射(噴霧)することを特徴とする方法を、好適とする。
この噴霧法には、同心円状の薄膜流を円錐状(鉛筆状)コーン面に流す3流体ノズル法と、線状の2種以上の異なる液体を三角柱状(ナイフ状)斜面に流す4流体ノズル法がある。しかし、目的の濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件(例えば40wt(重量)%以上)を具現化できる方法であれば、任意の方法でよい。
なお、混合物質の調製において、材料を限定せずに、粉体の形状や構造を制御して高機能化を達成する製法の面から検討した場合、金属アルコキシドと粒子表面水酸基との加水分解反応、加湿雰囲気中の粒子表面に生成した水膜を用いた局所加水分解法、Harding(1972)らにより提案された電気二重層のζ電位の電荷符号差を利用したヘテロ凝集法、エマルション法、懸濁重合法等がある。
これらの所謂「液相プロセス」は、粘土鉱物を原料とした粉体、中でも板状又は鱗片状の粉体を適用した化粧品や薬剤分野においても、比較的多く見受けられる方法であり(マイクロカプセル製造、チタニア被覆による紫外線遮蔽等)、粉体の形状や構造の制御に関する代表的な液相法でもある。その製造原理は、水相と油相の反発に起因する構成成分の均一分散と、界面活性剤を利用した複合化とを利用するものである。比較的、粒子構造の制御性の高い方法として例示されるが、特に制限されるものではなく、汎用的な液相法に類型化される手法(例えば湿式の表面処理、シランカップリング、硫酸チタニルの加水分解法、ゾルゲル法等)等でも問題ない。
中でも電気二重層のζ電位の電荷符号差を利用したヘテロ凝集法(例えば非特許文献41〜43)は、Hardingらにより70年代に提案された汎用的な製法で、目的の濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件下(例えば40wt(重量)%以上)として信頼性が高く、静電「斥力」を母・子粒子の同種同士の均一分散に、静電「引力」を母・子粒子の異種同士の均一付着に、併用することを推奨できる。
図10に、好適とする物質(材料)群のpHとζ電位の関係を例示する。粘土鉱物を原料とした板状又は鱗片状の粉体は、構成成分によって種々変化するが、凡そシリカ(SiO)とアルミナ(代表例としてγAlとαAl)の中間的な値を示す。一方、第二成分(子粒子)ナノメーターオーダー粒子として好適とするチタニアのζ電位も、(材質にもよるが)粘土鉱物に比較的近い値を示す。これは、静電「引力」を併用する観点からは不利である。
そこで、チタニア粒子表面に、アルミナ(特にγAl等の多形アルミナ)被覆を施す方法が好適例として示される。しかし、他の材料系の選択によって、例えば粘土鉱物とチタニアのζ電位の電荷符号差の大きい系を選ぶ、アルミナ以外(例えば正に帯電させるのが有利ならば高分子被覆等)等、特に制限されるものではない。
(イ)液滴状物質の熱処理プロセスは、原料物質を溶解(又は分散)した液状物質の液滴を、液滴径を制御して温度コントロール場へ輸送し、液滴中の分散媒体の乾燥が液滴周囲から起こる物理現象を利用するものであればよく、噴霧乾燥法、噴霧熱分解法、ミスト熱分解法、超臨界法、凍結乾燥法、熱プラズマ法、気相反応法、等が例示されるが、特に制限されるものではない。
(ウ)液状物質→粒状物質の転換プロセスを具体化する場合に、使用される装置構成を例示する。量産性や連続生産性を考慮して、粉体の形状や構造の制御に関する製法を検討すると、気相合成法(気相法)が相対的に優れている。中でも、噴霧乾燥法、噴霧熱分解法、凍結乾燥法、超臨界法等、“噴霧法”を中心とする「液滴プロセス」は、乳糖や吸入製剤の工業化に成功している代表的な気相法である。
即ち、水系の分散媒体に、構成成分の粒状物質を溶解・分散等した混合物質を作製し、これを噴霧→乾燥→析出→結晶化(固化)の各過程で、低温から加熱温度域に液滴が導入され、液滴から溶媒等が蒸発し、液滴の内部は液状物質状態で周囲から溶質が析出する際、溶解度の低い傾向を持つ溶質等が、先に析出する傾向を持つ(この時、他の溶質等は液滴の内部で、液状物質状態を保持している)。更に、液滴が加熱部を進行し、更に、溶媒が蒸発して溶質等の析出が進展すると、目的とする複合粒子が生成する。
液滴の搬送方法は、不活性ガス等のガス状物質の気流で液滴を搬送する方法を好適とするが、液滴加熱部に液滴の損失を少なくして搬送できる方法であれば、任意の方法でよい。
温度コントロール場、又は、同時又は連続的又は断続的に温度制御機能を付与可能な装置とは、石英、アルミナ、耐熱鋼等の反応管や反応壁を設け、雰囲気制御や、発生熱エネルギーの効率的利用が可能な密閉構造を好適とするが、反応に問題がなければ自由空間でもよい。
また、反応駆動力としては、原料の自励的な反応が経済性の点で最も望ましいが、反応促進と短時間化の目的で、気相析出反応(CVD)法で多用される外部加熱(電気炉加熱)法や、プラズマ、アーク、火炎(但し「火炎」とは、完全燃焼であり、水蒸気(HO)と二酸化炭素(CO)に完全に分解される現象をいう)、高還元比の部分燃焼(但し「還元比」とは、水蒸気+二酸化炭素と、水素(H)+一酸化炭素(CO)との比)、氷や液体窒素、超臨界状態の二酸化炭素、等を利用又は併用することを妨げるものではない。
製造された複合粒子又は上記中空顆粒の使用方法、及び上記複合粒子又は上記中空顆粒を利用した成形体や焼結体としては、化粧品材料を好適とするが、更に、半導体素子の保護・絶縁等を目的としたパッケージング(封止)材料、絶縁材料、電極・導電材料、電気粘性流体、化学機械研磨用スラリー、射出成形や鋳込み成形等のセラミック成形プロセス原料、基板材料、セラミック電子材料、セラミック構造材料、充填剤や嵩増剤等の各種フィラー系粉体、吸入療法用経肺薬剤、錠剤用薬剤粉体、等の材料系が例示される。
紫外線遮蔽能(及び可視光透過能)等の薬効(化粧)機能は、化粧品として人肌上に使用された状態を、模式的に再現(シミュレーション)可能なことを条件とする。例えば化粧品原料を、実際にファンデーション組成物として配合されているシリコーン等の溶媒に、フーバーマーラー等の顔料・塗料の濃度・色相・練肉性・稠度の比較・色合わせ試験機で混合・混錬し、ガラス基板等の間に、ドクターブレード等で分散させた試料フィルムが例示される。その光学特性の評価は、分光光度計(積分球ユニット装着は任意)、OPACITY CHARTS(LENETA社製等)のデジタル変角光沢計(スガ試験機社等)、黒・白色度(隠蔽率)色差計等、任意の方法でよい。
一般に、フィルム状試料の紫外線・可視光線等の透過率測定において、紫外〜可視光〜赤外線領域下の反射・屈折・散乱・遮蔽効果(能力)は、物質(例えばチタニアや酸化亜鉛等)固有のバンドギャップに基づく光吸収効果と、フィルム中に分散した化粧品原料の一次粒子径と二次粒子径(分散径又は凝集度)に基づく屈折効果や散乱(遮蔽)効果等との相乗効果に依存する。紫外線遮蔽能(及び可視光透過能)等の薬効(化粧)機能の評価は、これらの諸効果の分解能を満足するものであれば、何ら限定されるものではない。
質感、皺等の凹凸隠蔽性や、滑沢性・使用感等の顔料(化粧)機能は、粒子1個に働く付着力の直接測定で得られた生データではなく、個々の粒子の集合体である粉体層(所謂バルク粉体層)を対象とし、粉体層で得られた数値を重量や表面積で規格化するものであった。即ち、計算値であり、直接測定で得られた生データではない方法や装置である。
例えば、堆積した粉体層の自由表面と水平面とが成す角度である安息角や、スパチュラ角や差角、ISO企画化も行われたJenikeセルによる剪断応力試験法、Mohr応力円の破壊包絡線を基に計算する内部摩擦角、Carrの提唱に基づいた流動性と噴流性に係る経験的指数、重量又は体積基準での固め・緩め嵩密度、両者の比である圧縮度、引張り破断試験法、錠剤破断試験法、曲げ試験法、更に、化学分析的な手法として、比表面積や粉体帯電量、粒子径とアスペクト比(=化粧品業界では通常、板状粒子の最大長と厚みの比)、粉体層の親水/疎水バランス、電子顕微鏡観察、篩い分けや静電気評価、複数モニターによるアンケート調査(所謂官能評価)、人造皮膚模型(バイオスキン)による人肌上に使用された状態を模式的に再現(シミュレーション)した粉体特性評価、等が例示される。
好適例として、滑沢性・使用感等の顔料機能の定量化の方法は、Jenikeセル等による剪断応力試験法に基づく内部摩擦角評価を挙げるが、目的の濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件(例えば40wt(重量)%以上)を具現化できる方法であれば、任意の方法でよい。
以下のような効果が奏される。
(1)粒子1個及び/又は粒子群(粉体層や粒子充填層、成形体、圧粉体等を含む)の外部形態や内部構造の制御法、及びその複合粒子及び中空顆粒と、制御装置に関して、1)体質顔料、2)パール顔料、3)粒子複合化法、の3つの観点において、既往技術が持つ技術的問題、即ち、
1)粒子・粉体の均一分散(Breaking Down)と、緻密充填・成形(Building Up)とを、同時に制御した構成、が不可、
2)液相中の粒子分散理論と、ナノ粒子充填理論とに係る、粉体工学的理論を同時に制御条件として数式化した、技術項目の抽出、が不可、
3)機能性化粧品で必須の、顔料機能(演色性や滑沢性等)と薬効機能(紫外線遮蔽等)の相乗が、が不可、
という、以上の3つの欠点を克服し得る。
(2)そして、更には、
1)複合粒子又は上記凝集体の集合体(粉体層や粒子充填層、成形体、圧粉体等を含む)の、光学波長800nmの透過率の、400nmの透過率による減算(差)を、可視光透過率、光学波長400nmの透過率の、290nmの透過率による減算(差)を、紫外線遮蔽率、として、各指標を定義した時、可視光透過率が20%以下、紫外線遮蔽率が40%以上、
2)当該複合粒子又は上記中空顆粒の集合体の、滑沢性・使用感指標の内部摩擦角が、15°以下、
3)高コストな人為的操作を要せず、経済的にも問題のない操作条件(工程の改善)、
4)特に、平均粒子径15μm以下、且つアスペクト比(=平均粒子径÷平均粒子厚)100以下の含水ケイ酸アルミニウムカリウム、又は層状ケイ酸塩、又は雲母、又は粘土鉱物製の板状の粒状物質原料と、平均粒子径0.1μm以下の予め固形(結晶)化された金属酸化物製の添加物質に好適な、発明としての技術的構成要素、
という、4つの目的を達成し得るという、格段の効果が奏される。
(3)その結果、板状粒子を母粒子、予め固形(結晶)化されたナノメーターオーダー粒子を子粒子とした複合粒子において、母粒子・子粒子の凝集フリー、且つ、母粒子表面に子粒子が微細均一に複合化し得るという、現状では不可能であった新規な形態制御法、及びその複合粒子と、制御装置を所与し得る。
(4)粉体工学の理論的な粒子複合化法を実材料向けの方法論として具現化し、近年需要が高まっている濃厚系スラリーと呼ばれる実際の製造現場の現実的な濃度条件下(例えば40wt(重量)%以上)でのオーダードミクスチャー(均一な複合+凝集フリー)製法や、フィラーや化粧品として使用される雲母系粒状物質の技術分野を拡大するものとして、有用である。
本発明・参考発明と既往技術との差異性を明示した技術位置付けマップである。 本発明・参考発明と先願発明との各構成と関係及び違い(差異性)を示すパテントマップである。 本発明・参考発明の技術的概要の一覧図である(先願発明との差異性を明示)。 本発明・参考発明のSTF(新規性・制御条件)を図示した一覧図である。 実施例・参考例の全内容の一覧図である。 本発明・参考発明の技術的特徴の前半(液相中の表面ポテンシャル制御)の制御機構である(DLVO理論から計算されるvan der Waals引力と静電反発作用を考慮したポテンシャル曲線の計算例、(1)20nm、(2)100nm、(3)300nm)。 本発明・参考発明の技術的特徴の後半(粒子充填の表面間距離制御)の制御機構である(Woodcock式による粒子平均表面間距離LWoodcock理論計算例、(1)20nm、(2)100nm、(3)300nm)。 本発明・参考発明の技術的特徴の(表面ポテンシャルと表面間距離制御の融合)の制御機構である((1)ナノメーターオーダー粒子のLDLVO(25・50mVの二種類の表面電位)、(2)サブミクロン粒子・ナノ粒子・ナノ粒子の六方細密充填モデル各々のLWoodcock)。 本発明・参考発明の技術的特徴の「LDLVO ≧ LWoodcock」の50nmの場合である。 本発明・参考発明の技術的特徴の(微小力制御)のうち2種の静電気力の制御機構である(本願で好適とする物質(材料)群のpHとζ電位の関係、粘土・カオリン・γアルミナ・αアルミナ・シリカ)。 参考例の前半(均一及び局所制御の粒子複合化)結果である。 参考例の前半(均一及び局所制御の粒子複合化)の制御機構(移動度の制御)とSTF「LDLVO ≧ LWoodcock」の関係を図示した一覧図である。 実施例(中実及び中空顆粒化)の制御機構(移動度の制御)と技術的特徴の「LDLVO ≧ LWoodcock」の関係を図示した一覧図である。 実施例及び参考例の可視光透過性と紫外線遮蔽性の向上結果・一覧である。 参考例1の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<1−1>チタニア20wt%・微粒子酸化チタンのラボレベル調製)。 参考例2の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<1−2>チタニア25wt%・微粒子酸化チタンのラボレベル調製)。 参考例3の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<1−3>チタニア50wt%・微粒子酸化チタンのラボレベル調製)。 参考例4の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<1−4>チタニア15wt%・微粒子酸化チタンのラボレベル調製)。 <1>微粒子酸化チタンのラボレベル調製[参考例1]〜[参考例4]の可視光透過性と紫外線遮蔽性の向上結果である。 参考例5の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<2−1>静置1週間(チタニア20wt%)・生産仕様の調製)。 参考例6の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<2−2>静置1週間で量産型(チタニア25wt%)・生産仕様の調製)。 <2>生産仕様の調製(スラリー静置と処理量)[参考例5〜6]の可視光透過性と紫外線遮蔽性の向上結果である。 参考例7の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<3−1>エタノール10wt%混合分散媒・分散化と防菌の有機溶媒併用)。 参考例8の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<3−2>エタノール10wt%誘電率調整添加剤・分散化と防菌の有機溶媒併用)。 参考例9の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<3−3>エタノール100wt%・分散化と防菌の有機溶媒併用)。 <3>分散化と防菌の有機溶媒エタノール併用[参考例7〜9]の可視光透過性と紫外線遮蔽性の向上結果である。 参考例10の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<4>微細プラズマ溶融ビーズ・媒体撹拌制御の強化)。 参考例11の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<5−1>薄膜流のエッジ境界あり・噴霧量の増量化(4流体ノズル法))。 参考例12の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<5−2>薄膜流のエッジ境界なし・噴霧量の増量化(4流体ノズル法))。 参考例13の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<5−3>生産仕様の調製・噴霧量の増量化(4流体ノズル法))。 <5>噴霧量の増量化4流体ノズル法[参考例11〜13]の可視光透過性と紫外線遮蔽性の向上結果である。 参考例14の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<6−1>微粒ナノ粒子・微粒子酸化チタンの種類(粒子径及び外部形状))。 参考例15の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<6−2>大球ナノ粒子・微粒子酸化チタンの種類(粒子径及び外部形状))。 参考例16の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<6−3>紡錘状ナノ粒子・微粒子酸化チタンの種類(粒子径及び外部形状))。 <4>媒体撹拌の強化微細ビーズ15μm[参考例10]<6>微粒子酸化チタン種類:粒子径と形状[参考例14〜16]の可視光透過性と紫外線遮蔽性の向上結果である。 参考例17の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<7−1>媒体との親和性を制御(疎水化)・母粒子の表面電荷制御)。 参考例18の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<7−2>端面・卓面を共に正電荷・母粒子の表面電荷制御)。 <7>母粒子電荷制御:合成雲母とアルミナ[参考例17〜18]の可視光透過性と紫外線遮蔽性の向上結果である。 参考例19の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<8−1>中実顆粒、5ミクロンレベル)。 実施例1の走査型電子顕微鏡写真、偏光顕微鏡の透過像、水中での膨潤可逆変化結果を示す。 (<8−2>中空顆粒、5ミクロンレベル)。 実施例1の、粒径制御した走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<8−2>中空顆粒、5ミクロンレベル)。 実施例2の、円盤回転数で粒径制御した写真と粒子径分布を示す。 (<8−3>中空顆粒、50ミクロンレベル)。 実施例2の、粒径制御した走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<8−3>中空顆粒、50ミクロンレベル)。 比較例1の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<9>汎用的な機械的複合化法(固相法)による混合粉体)。 比較例2の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<10−1>微粒ナノ粒子・汎用的な噴霧法(2流体ノズル法))。 比較例3の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<10−2>親水良分散性のナノ粒子・汎用的な噴霧法(2流体ノズル法))。 <9>汎用的・機械的複合化法による混合粉体[比較例1]<10>汎用的な噴霧法(2流体ノズル法)の混合粉体[比較例2〜3]の可視光透過性と紫外線遮蔽性の結果である。 比較例4の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<11−1>表面電荷制御無し原料・参考発明の制御を一部だけ汎用法に戻す)。 比較例5の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<11−2>良分散ナノ粒子+電荷制御無し雲母・参考発明の制御を一部だけ汎用法に戻す)。 比較例6の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<11−3>紡錘状チタニア20wt%・参考発明の制御を一部だけ汎用法に戻す)。 比較例7の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<11−4>紡錘状チタニア30wt%・参考発明の制御を一部だけ汎用法に戻す)。 <10>汎用的な噴霧法(2流体ノズル法)の混合粉体[比較例2〜3]の可視光透過性と紫外線遮蔽性の結果である。 比較例8の走査型電子顕微鏡写真を示す。 (<11−5>ホモミキサーによる中空顆粒、5ミクロンレベル)。
次に、実施例・参考例・比較例により本発明及び参考発明を具体的に説明するが、以下の実施例・参考例・比較例によって、何ら限定されるものではない。
実施例・参考例・比較例において、新規性評価の制御因子(特別な技術的特徴)として、分散や複合を支配する微小力や、一個の粒子に着目した粉体一次特性、主に凝集体や粉体層に着目した粉体二次特性(複合粒子と顆粒体という形態・構造制御)を選択し、下記のように整理した(図4〜10)。
(1)制御の最上位概念
母粒子と子粒子の平均表面間距離LDLVOとLWoodcock
(2)制御の目標となる調製因子=微小力(反発力、凝集力)
1)van der Waals凝集力(混合液体中、静置された母粒子・子粒子において)
2)静電ホモ反発力(混合液体中)
3)液架橋凝集力(液滴内や液滴形成過程、静置された母粒子・子粒子において)
4)静電ヘテロ凝集力(混合液体中から、液滴内において)
(3)直接的に制御される粉体一次特性
1)一次粒子径と粒子径分布(母粒子と子粒子の)
2)表面処理(親水と疎水の、母粒子と子粒子の、但し一次粒子の、湿式や乾式法で)
3)表面電位(正又は負、但し一次粒子の、板状粒子の端面(正)と卓面(負)夫々の)
(4)直接的に制御される二次特性
1)複合度(子粒子の表面被覆率と均一度)
2)二次粒子径や凝集体径、凝集径分布(母粒子と子粒子、特に子粒子の)
3)凝集体強度(又は母粒子や子粒子の分散度、板状粒子のカードハウス構造強度)
4)表面処理(親水と疎水の、母粒子と子粒子の、但し二次粒子全体の、湿式や乾式法で)
本参考例では、静電「斥力」を、母・子粒子の同種同士の均一分散に用い、静電「引力」を、母・子粒子の異種同士の均一付着に併用する。そこで、このような微小力制御の一手法として、アルミナ表面処理の微粒子酸化チタンを用いた。
特に微小力において、参考例・比較例で実際に調節した操作条件は、母粒子と子粒子の一次特性、分散度の制御方法、混合液体の乾燥方法、液滴の形成方法で、下記のようにまとめられる(図4・5)。
(1)板状粒子の表面電位(又は母粒子の分散度、母粒子の一次特性)
1)天然又は合成雲母(端面(正)と卓面(負))と板状アルミナ(端面も卓面も正電荷)端面も卓面も正電荷〜端面正卓面負〜端面負卓面正〜端面も卓面も負電荷
2)天然雲母の精製時の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC)等)=カチオン量
(2)子粒子の凝集体径と強度(又は子粒子の分散度。子粒子の一次特性)
1)子粒子の一次粒子径
20以下〜30〜40〜50nm以上
2)子粒子の表面処理(無処理、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、アルギン酸)正電荷〜中性〜負電荷
(3)分散度の制御方法(即ち混合液体の分散方法、媒体撹拌ミル法、濾過、凝集剤の有無)
1)ビーズ直径(混合液体の単位体積あたりに占めるビーズ量「ビーズ濃度」)
15以下〜30μm〜汎用ボールミル〜ミル未使用
2)調製した混合液体(スラリー)の量
量産〜試作レベル〜ラボレベル〜バッチ処理
3)混合液体の静置時間(期間)許容度
数日以上静置〜連続処理〜同時処理〜1プロセス
4)混合液体の固形分濃度(母粒子+子粒子の分散媒に対する重量%)
濃厚系スラリー(40wt%以上)〜希薄系スラリー(40wt%未満)
5)分散媒の誘電率(静電反発力に比例、ヘテロ凝集力に反比例)
水・エタノール・両者の混合媒体、混合液体へのエタノールの添加量(0〜100%)
6)混合液体の乾燥方法(又は粒子の固化方法)
法、電気炉法、濾過・乾燥法
(4)液滴の形成方法
1)3又は4流体ノズル
2)4流体ノズルの種類=薄膜流を流す傾斜面先端のエッジの有無(有=○、無=△)
3)2流体ノズル(=10数μmの液滴)
4)回転円盤法(=数10〜数100μmの液滴)
5)濾過・乾燥法(汎用法、液相状態→言わば数100μm以上の液滴の意)
また、効果(成果)の評価指標として、上記の粒状物質を原料として作製した粒子集合体の特性、可視光透過率、紫外線遮蔽率、粉体層滑沢性、熱伝導性を、選択した。可視光透過率、紫外線遮蔽率について、下記のように規格化した(図14)。
(1)規格化・可視光透過率
光学波長800nmの透過率の、400nmの透過率による減算(差)を、可視光透過率とし、可視光透過率が20%以下を効果として評価
(2)規格化・紫外線遮蔽率
光学波長400nmの透過率の、290nmの透過率による減算(差)を、紫外線遮蔽率とし、紫外線遮蔽率が40%以上を効果として評価
以下の実施例・参考例においては、材料系の代表的な酸化物系粉体として、母粒子に天然・合成のセリサイト、板状アルミナ(商品名「セラフ」)を、子粒子にチタニアを、夫々使用した。
参考例1
<1>「微粒子酸化チタンのラボレベル調製」([参考例1〜4]で共通、図11〜19)
<1−1>「チタニア重量%(定義は[0094]〜[0100])20wt%」
微粒子酸化チタン(テイカ株式会社製MT−500H、アルミナ表面処理品、光回折/散乱径30nm)30gを精製水350gに加えマグネチックスターラーで分散した。湿式媒体ミル法(寿工業株式会社製UAM−015型ビーズミル)で、プラズマ溶融ビーズ(直径30μm、イットリウム(Y)強化型ZrO製)を用い、30分間分散し、子粒子スラリーを調製した。
絹雲母(愛知県北設楽郡東栄町振草産、天然雲母の精製時の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC))未使用、光回折/散乱径7μm)120gを、子粒子スラリーに加え、更に30分間分散した。
混合スラリーを、噴霧乾燥機(藤崎電機株式会社製MDL−050B型、ノズルPN3005型、3流体ノズル法)にて乾燥し、サイクロン法で回収された粉体を、参考例1(複合粉体1)とした。
ここで第二成分(子粒子)について、前記の手段〔D〕(LDLVO ≧ LWoodcock)を確認した(前記の混合液体の体積%と重量%の変換法参照)。チタニア真密度(単分散したと仮定する)4.26g/ccより、系に投入されたチタニア体積VTiO2は、
TiO2 =30÷4.26≒7(cc)
となる。
蒸留水350g=350ccに、ビーズミル系内で循環している水の量200g=200ccを加味すると、系に投入したチタニア体積(vol)割合% TiO2は、
TiO2 =7÷(7+350+200)≒0.013(1vol%)
となる。
従って、図8と9で示した、表面電位の常識的な操作条件下において、ナノメーターオーダーの第二成分(子粒子)に許容し得る閾値のうち、より厳格側の数vol%@Woodcock式(相互の平均表面間距離が数nmレベル)を満たす(なお、六方細密充填モデルでは、数10vol%(〜30vol%)まで許容され、ヘテロ凝集法を併用した参考例1では、まだ余裕があると言える)。
図11ないし図15に示す通り、得られた粉体の複合状態等を、透過型電子顕微鏡TEM及び走査型電子顕微鏡SEMで確認した。
図12と13は、前記説明及び図8と9で示した「LDLVO ≧ LWoodcock」を用い、均一・局所不均一の複合粒子と、中実・中空顆粒を製造した結果である。
表1に示す通り、可視光透過率と紫外線遮蔽率の測定を、以下の方法で行った。粉体が5wt%になるように、表1に示す組成でシリコーン中分散フィルムを作製した。得られたフィルムを紫外可視分光光度計(島津製作所製UV−160A型、積分球・未使用)の受光部直前に設置し、290〜800nmの紫外〜可視光の透過率(%)を測定した。
夫々の粉体に対して、400nmと290nmとの透過率の差を紫外線遮蔽力、800nmと400nmとの差を可視光遮蔽力として、規格化した。図14に、規格化紫外線遮蔽率、規格化可視光透過率、及び290nmの透過率を整理した。
また複合粉体の酸化チタン含有量を、蛍光X線分析装置で、絹雲母由来の無水ケイ酸のピークと比較することで、定量した。
参考例2
<1−2>「チタニア重量%25wt%」
微粒子酸化チタン(テイカ株式会社製MT−500H、アルミナ表面処理品、光回折/散乱径30nm)37.5g、絹雲母(愛知県北設楽郡東栄町振草産、天然雲母の精製時の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC))未使用)112.5gを用い、参考例1と同様に調製した。図16に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例3
<1−3>「チタニア重量%50wt%」
微粒子酸化チタン(テイカ株式会社製MT−500H、アルミナ表面処理品、光回折/散乱径30nm)75g、絹雲母(愛知県北設楽郡東栄町振草産、天然雲母の精製時の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC))未使用)75gを用い、参考例1と同様に調製した。図17に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例4
<1−4>「チタニア重量%15wt%」
微粒子酸化チタン(テイカ株式会社製MT−500H、アルミナ表面処理品、光回折/散乱径30nm)22.5g、絹雲母(愛知県北設楽郡東栄町振草産、天然雲母の精製時の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC))未使用)127.5gを用い、参考例1と同様に調製した。
(図8と9で示した)「LDLVO ≧ LWoodcock」を用い、均一及び局所不均一の粒子複合化を行った。これにより、微小力調整による母粒子と子粒子の移動度の制御が可能となり、任意の複合化を実施できた。
図11に、代表的な絹雲母−チタニア複合粒子の、断面TEM写真と、WDS面分析マップ、線分析及びEDSスペクトルを示す。中央の塊上に分布したAl−Si−O系化合物の周りを、外殻状にTi−O系化合物が分布しており、均一な粒子複合化が行われていることがわかる。
図12は、図8・9のLDLVO≒LWoodcock範囲で、ナノ粒子表面電位の制御性を高め、静電ヘテロ凝集力により均一及び局所不均一の複合粒子を製造した結果である。参考発明の理論通り、構造制御性が高いことがわかる。
また図12及び図15〜18に示す通り、子粒子添加量等により、母粒子表面の複合量を任意に制御できる。また参考発明の粒子平均表面間距離を用いた制御法は、子粒子制御性が高く、SEM基板上に遊離したチタニア粒子等、複合の制御性の悪さを示す痕跡は確認されない。
その結果、図14及び19に示す通り、規格化可視光透過率は、安定して低値を維持し、広範囲の光波長まで高い透明性を示す。また規格化紫外線遮蔽率は、高値を示し、紫外線領域での高い遮蔽性を表している。
参考例5
<2>「生産仕様の調製(スラリー静置と処理量)」([参考例5〜6]で共通、図20〜22)
<2−1>「静置1週間(チタニア重量%20wt%)」
参考例1の混合スラリー調製後、1週間静置した後、参考例1と同様に調製した。図20に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例6
<2−2>「静置1週間で量産型(チタニア重量%25wt%)」
微粒子酸化チタン300g、精製水4800g、プロペラミキサー分散、湿式媒体ミル法(寿工業株式会社製UAM−1型ビーズミル)、絹雲母(凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC))未使用)900gを用い、1週間静置した後、参考例1と同様に調製した。図21に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例7
<3>「分散化と防菌の有機溶媒エタノール併用」([参考例7〜9]で共通、図23〜26)
<3−1>「エタノール10wt%混合分散媒(チタニア重量%20wt%)」
精製水280gとエタノール(和光純薬工業、99%)約70gの混合分散媒を用い、参考例1と同様に調製した。図23に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
なお、エタノール重量%は、前記と同様に、混合液体全量に対する比とした。
参考例8
<3−2>「エタノール10wt%誘電率調整添加剤(チタニア重量%20wt%)」
参考例1の混合スラリー調製した後、エタノール約70gを誘電率調整剤として添加後15分間分散し、参考例1及び7と同様に調製した。図24に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例9
<3−3>「エタノール100wt%(チタニア重量%20wt%)」
精製水の代わりに、エタノール約350gを用い、更にビーズミル系内をエタノールで置換し、参考例1及び7と同様に調製した。図25に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例10
<4>「媒体撹拌の強化、微細ビーズ15μm」([参考例参考例10]図27、35)
Y強化ZrOビーズ(直径15μm)を用い、参考例1と同様に調製した。図27に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例11
<5>「噴霧量の増量化、4流体ノズル法」([参考例11〜13]で共通、図28〜31)
<5−1>「微粒子酸化チタンのラボレベル調製(薄膜流のエッジ境界あり)」
参考例1の混合スラリー調製後、噴霧乾燥機(藤崎電機株式会社製MDL−050B型、ノズルSE4003型、薄膜流のエッジ境界あり4流体ノズル法)で、参考例1と同様に調製した。図28に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例12
<5−2>「微粒子酸化チタンのラボレベル調製(薄膜流のエッジ境界なし)」
参考例1の混合スラリー調製後、噴霧乾燥機(大川原化工機株式会社製NL−5型、ツインジェットノズル、薄膜流のエッジ境界なし4流体ノズル法)で、参考例1と同様に調製した。図29に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例13
<5−3>「生産仕様の調製」
微粒子酸化チタン270g、精製水3950g、プロペラミキサー分散、湿式媒体ミル法(寿工業株式会社製UAM−1型ビーズミル)、絹雲母(凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC))未使用)1080gを用い、1週間静置した後、噴霧乾燥機(藤崎電機株式会社製MDL−050B型、ノズルSE4003型、4流体ノズル法)で、参考例1と同様に調製した。図30に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例14
<6>「微粒子酸化チタン種類:粒子径と形状」([参考例14〜16]で共通、図32〜35)
<6−1>「微粒の球状チタニア(チタニア重量%20wt%)」
微粒子酸化チタン(石原産業株式会社製TTO−51(A)、アルミナ表面処理品、光回折/散乱径20nm)を用い、参考例1と同様に調製した。図32に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例15
<6−2>「相対的に大粒径の球状チタニア(チタニア重量%20wt%)」
微粒子酸化チタン(石原産業株式会社製TTO−55(A)、アルミナ表面処理品、光回折/散乱径40nm)を用い、参考例1と同様に調製した。図33に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例16
<6−3>「紡錘状チタニア+微細化したプラズマ溶融ビーズ(直径15μm)」
微粒子酸化チタン(石原産業株式会社製TTO−S−3、アルミナ表面処理品、紡錘状(短軸20×長軸80nm)、Y強化ZrOビーズ(直径15μm)を用い、参考例1と同様に調製した。図34に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例17
<7>「母粒子電荷制御:合成雲母とアルミナ」([参考例17〜18]で共通、図36〜38)
<7−1>「合成雲母(チタニア重量%20wt%)」
母粒子による電荷調整法として、媒体との親和性を制御(疎水化)する方法を利用し、結晶水を含有しない合成雲母(トピー工業株式会社製PDM−8W、光回折/散乱径10μm)を用いて、参考例1と同様に調製した。図36に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例18
<7−2>「表面電荷(板状アルミナ)調製品(チタニア重量%20wt%)」
母粒子の端面・卓面を共に正に制御する方法として、板状アルミナ(キンセイマティック株式会社製セラフYFA05070、光回折/散乱径5μm)を用い、参考例1と同様に調製した。図37に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
参考例19
<8>「微粒子酸化チタンの中実・中空顆粒」([実施例1〜3]で共通、図39〜43)
<8−1>「中実顆粒、5ミクロンレベル(小液滴径、3流体ノズル法)」
小粒子化及び、中性化して静電反発力を低下させ、凝集度を高め、凝縮過程のナノ粒子の移動度を抑制するため、微粒子酸化チタン(テイカ株式会社製MT−100HP、含水ケイ酸表面処理、光回折/散乱径15nm)を70g用いた(以下の実施例では、板状粒子は用いない)。
その後、参考例1と同様にビーズミル・噴霧乾燥等で、調製した。図39に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
<8−2>「中空顆粒、5ミクロンレベル(小液滴径、3流体ノズル法)」
大粒子化及び、負極性化して静電反発力を高め、凝集度を抑制し、凝縮過程のナノ粒子の移動度を高めるため、微粒子酸化チタン(昭和電工株式会社製マックスライトTS−04、無水ケイ酸表面処理品(表面・負電荷)、光回折/散乱径40nm)を用い、参考例1及び参考例19と同様に調製した。
また凝縮過程のナノ粒子の移動度を制御して顆粒径を調整するため、媒体撹拌条件を制御因子に選択し、ビーズ径を15〜50μm、処理時間を30分〜4時間と調節した。図40、41に、実施例1の走査型電子顕微鏡写真、偏光顕微鏡の透過像、水中での膨潤可逆変化結果を示す。
<8−3>「中空顆粒、50ミクロンレベル(大液滴径、回転円盤噴霧法)」
顆粒の大粒径化のため、微粒子酸化チタン(昭和電工株式会社製マックスライトTS−04、無水ケイ酸表面処理品(表面・負電荷)、光回折/散乱径40nm)を70g用い、噴霧乾燥機(大川原化工機製型、回転円盤法)で、参考例1及び参考例19と同様に調製した。図43に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
以上の実施例及び参考例に関して、図13は、図8のLDLVO≒LWoodcock範囲と図9のLDLVO>LWoodcock範囲で、ナノ粒子移動度を調節し、表面凝縮(凝結)と体積凝縮を任意に制御して、中実・中空顆粒を製造した結果である。本発明の理論通り、構造制御性が高いことがわかる。
図39〜42で明らかなように、中実・中空顆粒を任意に製造できる。
図40で明らかなように、水中で膨潤化(膨張)させ、その構造変化を空気中⇔水中で可逆的に行うことが可能な、可逆性膨潤粉体を製造できる。
図42で明らかなように、回転円盤の回転数を制御因子にして、中実顆粒の顆粒体径を任意に制御できる。
図40〜43で明らかなように、可逆性膨潤機能を持つ中空顆粒を、任意の顆粒体径で製造できる。
(比較例1)
<9>「汎用的・機械的複合化法による混合粉体」([比較例1]図44、47)
微粒子酸化チタン(テイカ株式会社製、MT−500B、表面処理なし、光回折/散乱径35nm)、絹雲母(愛知県北設楽郡東栄町振草産、天然雲母の精製時の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC))「使用」の通常市販品、光回折/散乱径7μm)、分散プロセス用にヘンシェルミキサー及びハンマーミル(不二パウダル製ラボミルLM05)を用い、参考例1と同様に調製した。図44に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
(比較例2)
<10>「汎用的な噴霧法(2流体ノズル法)の混合粉体」([比較例2〜3]で共通、図45〜46)
<10−1>「微粒子酸化チタンのラボレベル調製」
微粒子酸化チタン(テイカ株式会社製MT−500H、アルミナ表面処理品、光回折/散乱径30nm)、噴霧乾燥機(ヤマト科学製パルビスミニスプレーGB−22型、2流体ノズル法)を用い、参考例1と同様に調製した。図45に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
(比較例3)
<10−2>「微粒子酸化チタンの種類(親水・良分散性のナノ粒子)」
微粒子酸化チタン(昭和電工株式会社製マックスライトTS−04、無水ケイ酸表面処理品(表面・負電荷)、光回折/散乱径40nm)、噴霧乾燥機(ヤマト科学製パルビスミニスプレーGB−22型、2流体ノズル法)を用い、参考例1と同様に調製した。図46に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
(比較例4)
<11>「参考発明の制御を一部だけ汎用法に戻した事例」([比較例4〜8]で共通、図47〜53)
<11−1>「表面電荷を制御しない微粒子酸化チタンと絹雲母」
微粒子酸化チタン(テイカ株式会社製、MT−500B、表面処理なし、光回折/散乱径35nm)、絹雲母(愛知県北設楽郡東栄町振草産、天然雲母の精製時の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC))を使用し、カチオン調節で表面電荷を制御しない通常市販品、光回折/散乱径7μm)を用い、参考例1と同様に調製した。図48に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
(比較例5)
<11−2>「親水・良分散性のナノ粒子と、表面電荷を制御しない絹雲母」
微粒子酸化チタン(テイカ株式会社製MT−100HP、含水ケイ酸表面処理、光回折/散乱径15nm)、絹雲母(愛知県北設楽郡東栄町振草産の通常市販品、光回折/散乱径7μm)を用い、参考例1と同様に調製した。図49に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
(比較例6)(←[参考例16]の反例)
<11−3>「紡錘状チタニア、チタニア重量%20wt%」
微粒子酸化チタン(石原産業株式会社製TTO−S−3、アルミナ表面処理品、紡錘状(短軸20×長軸80nm)を用い、参考例1と同様に調製した。図50に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
(比較例7)(←[参考例16]の反例)
<11−4>「紡錘状チタニア、チタニア重量%30wt%」
微粒子酸化チタン(石原産業株式会社製TTO−S−3、アルミナ表面処理品、紡錘状(短軸20×長軸80nm)を45g、絹雲母(愛知県北設楽郡東栄町振草産、天然雲母の精製時の凝集剤(ポリ塩化アルミニウム(PAC))未使用)を105g用い、参考例1と同様に調製した。図51に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
(比較例8)
<11−5>「ホモミキサーによる中空顆粒、5ミクロンレベル」
分散機としてホモミキサー(特殊機化工業製TKホモミキサーAM−M2.5型)を用い、参考例1及び参考例19と同様に調製した。図53に、走査型電子顕微鏡SEMを示す。
上記比較例に関して、図46、48〜51、53で明らかなように、汎用法や本発明の制御を不完全に行った場合、子粒子の凝集や、不完全な複合化で残存した孤立粒子が発生する等、構造制御性に問題が起こる。
図47・52で明らかなように、光学特性(進歩性)においても、十分な可視光透過率と紫外線遮蔽率が得られず、その規格化した値及び両者のマージンも小さく、特性向上が得られない。
以上説明したように、板状粒子を母粒子、予め固形(結晶)化されたナノメーターオーダー粒子を子粒子とした複合粒子において、母粒子・子粒子の凝集フリー、且つ、母粒子表面に子粒子が微細均一に複合化し得るという、現状では不可能であった新規な形態制御法、及びその粒状物質と、制御装置を所与し得る。また、化粧品、食品、薬剤、工業用フィラー、膨潤性粉体、セラミックス圧粉体・成形体・焼結体等の粉体形態の製品の、格段の材料特性の向上を達成できる。参考発明は、粉体工学の理論的な粒子複合化法を実材料向けの方法論として具現化し、濃厚系スラリー(例えば40wt(重量)%以上)でのオーダードミクスチャー製法や、フィラーや化粧品として使用される雲母系粒状物質の技術分野を拡大するものとして、有用である。

Claims (4)

  1. 粒子径0.1μm未満の金属酸化物の粒状物質が凝集してなる中空顆粒であって、
    無水ケイ酸で表面処理された微粒子酸化チタンからなると共に表面が正電荷又は負電荷を帯びた上記粒状物質を、水系溶媒、アルコールないしエーテル系溶媒より選ばれる分散媒体中に分散し、上記粒状物質を含む混合液体を製造し、
    上記混合液体中で作用するvan der Waals引力と、界面電気二重層の重なりに基づく静電反発力との両微小力間の相互作用によって定まる上記混合液体中の上記粒状物質の平均表面間距離(LDLVO)を算出すると共に、上記混合液体中に含まれる上記粒状物質の固形分濃度と粒子径とによって定まる上記混合液体中の上記粒状物質の平均表面間距離(LWoodcock)を算出し、
    上記混合液体中の粒状物質の平均表面間距離が「LDLVO≧LWoodcock」となるように上記混合液体中の上記粒状物質を分散させると共に、
    上記混合液体を100μm未満の液滴とし、該液滴から上記分散媒体を蒸発させて乾燥させることにより得られ
    可逆性膨潤機能を有することを特徴とする中空顆粒。
  2. 上記混合液体中の上記粒状物質の分散を、ビーズミルで行うことを特徴とする請求項1に記載の中空顆粒。
  3. 上記液の乾燥は、噴霧乾燥法により行うことを特徴とする請求項1又は2に記載の中空顆粒。
  4. 化粧品、薬剤、工業用フィラー、セラミックス圧粉体・成形体・焼結体より選ばれるいずれかの製品への原料粉体として用いられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の中空顆粒。
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