JP2017071177A - 液体吐出ヘッドの製造方法及び液体吐出ヘッドのウエハ - Google Patents

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山口 孝明
Takaaki Yamaguchi
孝明 山口
好一 小俣
Koichi Komata
好一 小俣
田村 秀男
Hideo Tamura
秀男 田村
卓 谷口
Taku Taniguchi
卓 谷口
久保 康祐
Kosuke Kubo
康祐 久保
勇治 田丸
Yuji Tamaru
勇治 田丸
亮治 大橋
Ryoji Ohashi
亮治 大橋
俊雄 根岸
Toshio Negishi
俊雄 根岸
洋平 小薄
Yohei Kousu
洋平 小薄
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Abstract

【課題】液体吐出ヘッドの内部構造やESDの発生場所によらず、ESD破壊の発生を抑える液滴吐出ヘッドの製造方法を提供する。
【解決手段】基板の第1の領域R1に、第1のエネルギー発生素子5と、第1のエネルギー発生素子5を覆う第1の導電膜17と、を形成し、基板の、スクライブライン24aを挟んで第1の領域R1と隣接する第2の領域R2に、第2のエネルギー発生素子と、第2のエネルギー発生素子を覆う第2の導電膜と、を形成する。スクライブライン24aに、基板と第1の導電膜17とに電気的に接続された第1の電気接続部31aを形成し、スクライブライン24aを含む第1及び第2の領域R1,R2の周縁部に沿って基板を切断する。
【選択図】図6

Description

本発明は、液体吐出ヘッドの素子基板の製造方法及び液体吐出ヘッドのウエハに関する。本発明は特に、素子基板の静電気放電(ESD; Electro-Static Discharge)による破壊(以下、ESD破壊という)を抑制することが可能な液体吐出ヘッドの製造方法に関する。
所望の文字や画像等の情報を紙やフィルム等の記録媒体に記録する情報出力装置の一つとして、インクジェットプリンタなどの液体吐出装置が知られている。液体吐出装置は、インクなどの液滴を吐出し記録媒体に着弾させることで記録を行う液体吐出ヘッドを備えている。液体吐出ヘッドにおける液体吐出方式の一つとして、サーマルインクジェット方式が知られている。サーマルインクジェット方式では、液体に接する発熱抵抗素子に数μ秒程度通電することで熱エネルギーを発生させ、熱エネルギーで誘発された液体の発泡現象を液滴の吐出に利用する。一般に、サーマルインクジェット方式の液体吐出ヘッドは、液滴の吐出に必要な発熱抵抗素子を有する素子基板を搭載している。素子基板は、シリコンからなる支持基板と、支持基板上に形成され、発熱抵抗素子などを備えた素子形成部と、素子形成部の上に形成され、吐出口を備えた吐出口形成部材と、を有している。
素子基板の製造工程や液体吐出ヘッドの記録動作において、素子基板にESD破壊が生じる可能性のあることが知られている。特許文献1には、発熱抵抗素子(ヒータ)のESD破壊を防止するため、発熱抵抗素子と並列にダミーMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)を設けることが記載されている。パッドから流入する電流をダミーMOSに流すことで、発熱抵抗素子に大電流が流入することが防止される。
特許文献2には、耐キャビテーション層をゲート接地型MOSに接続することが記載されている。耐キャビテーション層に流れ込んだESDによる電流は、ゲート接地型MOSを介して支持基板に流れる。このため、耐キャビテーション層と発熱抵抗素子の電極との間の保護膜のESD破壊が生じにくくなる。
特開2004−050636号公報 米国特許第7267430B2号明細書
ESDは素子基板の様々な場所で発生する。このうち、吐出口形成部材の表面で発生したESDによる電流は、吐出口形成部材の表面に沿って進行する。この現象は沿面放電と呼ばれる。特許文献1に開示された構成では、例えばパッドよりも吐出口の近傍で発生したESDによる電流は、吐出口から素子基板の内部に沿面放電によって進入し、保護膜のESD破壊などを引き起こす可能性がある。パッドは一般に素子基板の端部に設けられているため、ESDによる電流の多くは、パッドではなく素子基板の内部に進入する可能性がある。
特許文献2に開示された構成は、ゲート接地型MOSと発熱抵抗素子との距離が大きい場合、その間の保護膜の絶縁性が低い部位でESD破壊が生じるおそれがある。特に、長尺化された液体吐出ヘッドでは、ゲート接地型MOSと発熱抵抗素子との距離が大きくなりやすく、ESD破壊が生じやすい。
すなわち、特許文献1,2のいずれに開示された構成も、ESDがパッドやゲート接地型MOSなどの接地要素から離れたところで発生した場合、ESD破壊が生じやすい。ESD破壊の生じやすさは液体吐出ヘッドの内部構造にも依存する。
本発明の目的は、液体吐出ヘッドの内部構造やESDの発生場所によらず、ESD破壊が生じにくい液体吐出ヘッドの製造方法を提供することにある。
本発明の液体吐出ヘッドの製造方法は、基板の第1の領域に、液体に吐出のためのエネルギーを与える第1のエネルギー発生素子と、第1のエネルギー発生素子を覆う第1の導電膜と、を形成する工程と、基板の、スクライブラインを挟んで第1の領域と隣接する第2の領域に、液体に吐出のためのエネルギーを与える第2のエネルギー発生素子と、第2のエネルギー発生素子を覆う第2の導電膜と、を形成する工程と、スクライブラインに、基板と第1の導電膜とに電気的に接続された第1の電気接続部を形成する工程と、スクライブラインを含む第1及び第2の領域の周縁部に沿って基板を切断し、第1のエネルギー発生素子と第1の導電膜とを有する第1の素子基板と、第2のエネルギー発生素子と第2の導電膜とを有する第2の素子基板と、を得る工程と、を有する。
本発明では、第1の素子基板と第2の素子基板の間に延びるスクライブラインに、基板と第1の導電膜とに電気的に接続された第1の電気接続部が形成される。スクライブラインは、完成した液体吐出ヘッドの素子基板からは取り除かれる領域である。このため、スクライブラインに形成される第1の電気接続部は、配置個数や配置位置に関して大きな制約を受けない。従って、本発明によれば、液体吐出ヘッドの内部構造やESDの発生場所によらずESD破壊が生じにくい液体吐出ヘッドの製造方法を提供することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドの素子基板を示す斜視図である。 吐出口形成部材の図示を省略した素子基板の平面図である。 図1のA−A線に沿った素子基板の概略断面図である。 液体吐出ヘッドの製造フローを示す概略図である。 液体吐出ヘッドの製造に用いられるウエハの平面図である。 図5に示すウエハのA部の詳細図である。 パッドの近傍の断面図である。 図6のC−C線に沿った、第1のスクライブラインの断面図である。 ESDの発生メカニズムを示す概略図である。 導電膜に印加する電圧とリーク電流との関係を示す模式図である。 めっき加工の工程を示すパッドの近傍の断面図である。
以下、図面を参照して本発明の液体吐出ヘッドとその製造方法を説明する。図1は本発明の一実施形態に係る液体吐出ヘッドの素子基板を示す斜視図、図2は、吐出口形成部材の図示を省略した素子基板の平面図である。図3は、図1のA−A線に沿った素子基板の概略断面図である。液体吐出ヘッドの素子基板1は、インクジェットプリンタなどの液体吐出装置の一部を構成している。一例では、素子基板1は幅Wsubが2.2mm、長さLsubが30.0mmの長方形である。素子基板1の形状は平行四辺形、三角形その他の多角形でもよい。本実施形態の液体吐出ヘッドはインクを吐出するインクジェットヘッドであるが、インク以外の液体を吐出する液体吐出ヘッドも本発明に含まれる。
素子基板1は、シリコンからなる支持基板2と、支持基板2の上に設けられた吐出口形成部材3と、を有している。吐出口形成部材3はエポキシ系樹脂材料で形成されている。吐出口形成部材3は、インクが吐出する吐出口20を備えた天井部材3aと、発泡室4を形成する側壁部材3bと、から構成されている。支持基板2の発泡室4に面する位置には、インクに吐出のためのエネルギーを与えるエネルギー発生素子5が形成されている。エネルギー発生素子5は、インクを加熱し気泡を発生させる発熱抵抗体(ヒータ)である。なお、支持基板2の上には後述するように複数の層が形成されているが、図1ではこれらの層を省略して示している。
支持基板2の上には熱酸化膜11と下部蓄熱層12と上部蓄熱層13とが設けられている。下部蓄熱層12と上部蓄熱層13の間にはスイッチング素子18が形成されている。上部蓄熱層13の上にはヒータ層14が設けられている。ヒータ層14の上には、互いに間隔をあけて共通電極15aと個別電極15bが設けられている。個別電極15bはスイッチング素子18と接続されている。ヒータ層14の共通電極15aと個別電極15bで挟まれた領域がエネルギー発生素子5を形成する。エネルギー発生素子5と共通電極15aと個別電極15bは保護膜16で覆われている。保護膜16は、電気的な絶縁性に優れるSiNまたはインクに対する化学的安定性に優れるSiCで形成することができる。保護膜16は導電膜17で覆われている。導電膜17は、インクの発泡及び消泡時における熱的、物理的、化学的衝撃からエネルギー発生素子5を保護する耐キャビテーション層として機能する。導電膜17は発泡室4の壁面の一部を構成している。なお、導電膜17はタンタルやイリジウムからなることが好ましく、また、導電膜17は単層膜に限らずこれらの材料を積層した積層膜であってもよい。支持基板2は、支持基板2を貫通し発泡室4に連通する液体供給路19を有している。液体供給路19は、一つのエネルギー発生素子5の列(ヒータ列)につき複数設けられてもよい。インクは液体供給路19から発泡室4に導入され、エネルギー発生素子5で加熱されて吐出口20から吐出する。
支持基板2には複数のパッド21が設けられている。パッド21は支持基板2の少なくとも一つの辺、本実施形態では2つの短辺に沿って配列し、それぞれパッド列21dを形成している。ヒータ電圧の入力パッド21aが共通ヒータ電極22に、グランド電圧の入力パッド(以下、グランドパッド21bという)が共通グランド電極23に接続されている。共通ヒータ電極22は、各エネルギー発生素子5に共通する共通電極15aを介して、エネルギー発生素子5と接続されている。共通グランド電極23は、各エネルギー発生素子5に対応したスイッチング素子18と個別電極15bとを介して、エネルギー発生素子5に接続されている。データ入力パッド21cは、制御回路(不図示)を介して、各エネルギー発生素子5に接続されている。制御回路は入力されたデータに基づいて各スイッチング素子18を制御する。
次に、以上説明した液体吐出ヘッドの製造方法の一例を説明する。図4は、液体吐出ヘッドの製造フローを示す概略図である。図5は、液体吐出ヘッドの製造に用いられるウエハの平面図を示している。本明細書では、ウエハ25はシリコン等からなる基板36と、その上に形成された様々な要素とを含む概念として定義される。基板36はウエハ25の切断後、個々の液体吐出ヘッドの支持基板2となる。
図5を参照すると、ウエハ25(基板36)はスクライブライン24によって複数の領域に仕切られている(分割されている)。ウエハ25をスクライブライン24に沿って切断することによって、各領域に対応した複数の液体吐出ヘッドが作成される。以下の説明では、複数の領域を第1の領域R1、第2の領域R2等と呼ぶ。図6は、図5に示すウエハのA部の詳細図を示している。図6には第1〜第3の領域R1〜R3を示しているが、他の領域も同じ構成を有している。第1〜第3の領域R1〜R3はそれぞれ4つの辺からなる周縁部で確定されている。第1の領域R1と第2の領域R2は第1のスクライブライン24aを挟んで隣接し、第2の領域R2と第3の領域は第2のスクライブライン24bを挟んで隣接している。以下の説明で、第1の領域R1に対応する素子基板1を第1の素子基板101、第2の領域R2に対応する素子基板1を第2の素子基板102等と呼ぶことがある。同様に、本明細書及び特許請求の範囲では、エネルギー発生素子5、導電膜17等についても、それらが属する領域ないし素子基板に対応して、「第1の」、「第2の」等の先行詞を付す場合がある。
まず、基板36上に熱酸化膜11、下部蓄熱層12、スイッチング素子18などの回路パターンを形成する(ステップS1)。スイッチング素子18の下部はp型の不純物拡散領域26となっており、スイッチング素子18の上部はスイッチング素子電極層27となっている。不純物拡散領域26の上にはゲート酸化膜28が形成され、スイッチング素子電極層27とゲート酸化膜28は下部蓄熱層12を貫通するビア29で接続される。次に、下部蓄熱層12とスイッチング素子18の上にSiOからなる上部蓄熱層13を形成し、所定の形状にパターニングする。一例では、上部蓄熱層13はCVD(Chemical Vapor Deposition)によって900nm厚さで成膜される。上部蓄熱層13に平坦化処理を行ってもよい。次に、TaSiNからなるヒータ層14を、例えば10nm厚さで成膜し、さらにAlCu層を成膜する(ステップS2)。一例では、AlCu層はスパッタリングによって1000nm厚さで成膜される。これらの成膜は連続して行われる。その後、エネルギー発生素子5に対応する位置のAlCu層を除去して、共通電極15aと個別電極15bを作製する。次にSiCNからなる保護膜16をCVDによって300nm厚さで成膜する(ステップS3)。次に導電膜17をスパッタリングによって200nm厚さで成膜し、所定の形状にパターニングする(ステップS4)。
第1の領域R1において、全てのエネルギー発生素子5は導電膜17で覆われる。導電膜17は各列のエネルギー発生素子5を覆う複数の直線状の部分17aと、部分17aと平行に延びる複数の直線状の部分17bと、部分17a,17bを互いに接続し、部分17a,17bと直交する方向に延びる2つの部分17cと、を有している。部分17a,17b,17cは全体として一体の連続した配線を構成している。この結果、導電膜17は第1の領域R1内で共通の電位となる。さらに、第1の領域R1には、第1の領域R1の長辺とエネルギー発生素子5の列との間を延びる部分17bから分岐する導電性の第1の配線膜30aが形成される。他の第1の配線膜30a1は部分17cから分岐し、金属膜32の近傍まで形成される。この段階では他の第1の配線膜30a1は金属膜32とは接続されない。第1の配線膜30a,30a1は導電膜17と同時に形成され、パターニングされる。従って、第1の配線膜30a,30a1は導電膜17と同じ材料からなり、同じ膜厚を有している。導電膜17に接続された第1の配線膜30aは、支持基板2のパッド21が配列していない長辺まで延びている。第1の配線膜30aはさらに第1のスクライブライン24aまで延びて、後述の第1の電気接続部31aに接続される。第1の配線膜30aはパッド列21dとの干渉を避けるため、パッド列21dと平行に延びている。
第1の配線膜30aは、第1の領域R1の短辺方向に関して両端の部分17bからそれぞれ複数本延びており、これによって第1の配線膜30aのインピーダンスを低下させることが可能となる。ただし、第1の配線膜30aの本数は複数本に限定されず、導電膜17のいずれかの部分から分岐する少なくとも一つの第1の配線膜30aが設けられていればよい。本実施形態では後述するように、第1の配線膜30aはESDによる電流を基板36に逃がす機能を有している。素子基板1が短い場合でも少なくとも一つ、素子基板1が長い場合には好ましくは複数の第1の配線膜30aを設けることで、素子基板1内の位置による上記機能のばらつきが抑制される。特に、図6からも分かるとおり、第1の配線膜30aの個数や位置に大きな制約はなく、素子基板1の寸法に応じて適切に設定することができる。
図7は、パッドの近傍の断面図を示している。共通ヒータ電極22(または共通グランド電極23)の上には金属層32が設けられ、その中央部は露出している。金属層32の近傍には第1の配線膜30a1は設けられておらず、金属層32と第1の配線膜30a1は電気的に分離されている。
以上の工程において、第1〜第2のスクライブライン24a〜24bにも第1〜第3の領域R1〜R3と同様の構成の多層膜が形成される。図8は、図6のC−C線に沿った、第1のスクライブライン24aの断面図を示している。図示は省略するが、第2のスクライブライン24bも第1のスクライブライン24aと同様の構成を有している。
第1のスクライブライン24aにおいて、基板36の上にはp型の不純物拡散領域26、層間膜33、配線層34、層間膜35、ヒータ層14、電極層15、保護膜16、第1の配線膜30aが順次積層される。これらの層は第1の領域R1の対応する層と同時に成膜される。層間膜33は下部蓄熱層12と、層間膜35は上部蓄熱層13と、配線層34は共通グランド電極23及び共通ヒータ電極22と同時に形成される。
保護膜16は、スクライブライン24aの第1の配線膜30aと対向する位置に開口16aを有している。開口16aには第1の配線膜30aが設けられている。保護膜16の開口16aは第1の配線膜30aの幅より小さい。すなわち、第1の配線膜30aは保護膜16の開口16aよりも幅が大きく、開口16aの全域を覆っている。第1の配線膜30aは保護膜16の開口16aを介して導電性の電極層15及びヒータ層14と接続される。ヒータ層14の下の層間膜35には開口35aが設けられ、ヒータ層14及び電極層15が層間膜35の下方の導電性の配線層34と電気的に接続される。配線層34の下方の層間膜33には開口33aが設けられ、配線層34は開口33aを介して不純物拡散領域26に接続される。不純物拡散領域26は薄いp型の基板36に接続されている。以上の構成により、導電膜17及び第1の配線膜30aは基板36と電気的に接続され、ないしは基板36に接地される。すなわち、保護膜16の開口16aや層間膜35の開口35aによって導電膜17及び第1の配線膜30aと基板36とを電気的に接続する電気接続部31aが画定されている。
ここで、このような電気接続部を設ける理由について説明する。図9はESDの発生メカニズムを示している。図9(a)はエネルギー発生素子の近傍を拡大して示す平面図である。図9(b)は図9(a)におけるK−K線に沿った断面図である。図9(a)におけるL部において、導電膜17と共通電極15aとの間の保護膜16でESD破壊が発生しやすい。製造工程中に何らかの原因により導電膜17に放電が生じると、導電膜17と共通電極15aとの間の保護膜16のうち、絶縁性が劣る、もしくは欠陥のある箇所でESD破壊が生じる(破線部)。共通電極15a側でESD破壊が多く発生する理由は、共通電極15aは共通ヒータ電極22と接続されているため、個別電極15bと比べて電気容量が大きいためである。放電はウエハ工程中、ウエハ工程後の様々な段階で生じる。最も放電が発生しやすいのはウエハ切断後の洗浄工程(ステップS10)であるが、その前後にも放電は生じ得る。本発明では、ウエハ工程で導電膜17と同時に第1の配線膜30aを形成するので、導電膜17が形成されてから基板36が切断されるまでの間、導電膜17と共通電極15a(または個別電極15b)との間のESD破壊を効率的に抑制することができる。
本実施形態では、ESDによる電流が導電膜17から基板36に誘導される。特に長尺の記録素子基板では、エネルギー損失を低減するため、共通電極15a及び個別電極15bを厚くし配線抵抗を下げることが有効な場合がある。その場合、共通電極15a及び個別電極15bの上に成膜される保護膜16が均一な厚さで形成されにくく、ESD破壊が生じやすくなる可能性がある。このような場合でも、本発明ではESD破壊が生じにくくなるため、歩留りが向上する。
図6に示すように、第1のスクライブライン24aには第2の領域R2から延びる第2の配線膜30bと接続された第2の電気接続部31bも形成されている。すなわち、第2の領域R2の第2の配線膜30bも第1のスクライブライン24aまで延ばされ、第2の電気接続部31bに接続される。ただし、第2の電気接続部31bは第1の電気接続部31aに対して電気的に分離されている。
次に、電気検査工程を行う(ステップS5)。この工程はウエハ25(基板36)を切断する前に行われる。電気検査工程では各種回路の動作確認、電圧に対する耐圧性確認だけでなく、使用時にインクと接触する導電膜17の配線層に対する絶縁性が確認される。配線層のほとんどは共通ヒータ電極22に接続されたヒータ駆動配線と、共通グランド電極23に接続されたヒータ駆動グランド配線である。従って、導電膜17とこれらの配線との間の絶縁性が確保されているかどうかが検査される。なお、液体吐出ヘッドの使用時には、ヒータ駆動配線は共通電極15aに接続され、エネルギー発生素子5に正電位VHを印加する。ヒータ駆動グランド配線は個別電極15bに接続され、エネルギー発生素子5にグランド電位GNDHを印加する。
インクが発泡室4に充填されている状態では、導電膜17の電位はグランド電位GNDHとなる。これは、導電膜17が発泡室4の壁面の一部を構成し、インクに接するためである。従って、インクが発泡室4に充填されている状態を模擬して導電膜17の絶縁性を検査するためには、導電膜17をグランド電位とし、ヒータ駆動配線とヒータ駆動グランド配線に正電位を印加すればよい。しかし、ヒータ駆動グランド配線に正電位を印加することはできない。これはヒータ駆動グランド配線にはESD破壊に対する保護素子(保護回路)が入っており、その耐圧性能上ヒータ駆動グランド配線に高電位をかけられないためである。そのため、本実施形態では、ヒータ駆動配線とヒータ駆動グランド配線をグランド電位GNDHとして(接地電圧として)、導電膜17に負電位(負電圧)を印加する。これによって、電位の相対関係を使用時と合せることができる。図10は、導電膜17に印加する電圧と、導電膜17と配線層との間を流れるリーク電流との関係を模式的に示している。図10(a)は良品の液体吐出ヘッドにおける電圧とリーク電流の関係を示し、図10(b)は不良品の液体吐出ヘッドにおける電圧とリーク電流の関係を示している。リーク電流が急激に上昇する電圧が閾値より大きければ良品であると判定され、閾値より小さければ不良品と判定することができる。
次に、実装工程時の電気的接点の信頼性向上を目的として、金めっきでパッド21を形成する(ステップS6)。めっき加工は、絶縁性を検査する工程とウエハ25(基板36)を切断する工程との間に行われる。
図11(a)はめっき加工されたグランドパッド21bの周辺の断面図を示している。図7に示すように、めっきが形成される前は金属層32が露出している。他の第1の配線膜30a1は金属層32の近くまで延びているが電気的に接続されていない。他の第1の配線膜30a1と金属層32を覆うようにめっき加工することで、第1の領域R1に、導電膜17と基板36とに接続されたグランドパッド21bが形成される。この結果、導電膜17が基板36に電気的に接続される。これに対し、図11(b)に示す他のパッド21は金属層32がめっきで覆われるだけである。他の第1の配線膜30a1はウエハ25(基板36)が切断された後、すなわち、第1のスクライブライン24aがなくなり、第1の配線膜30aを介した導電膜17と基板36の導通がなくなった後にも、導電膜17と基板36の導通を維持する。このように、本発明では、グランドパッド21bがウエハ25(基板36)を切断する前に形成されるため、導電膜17が形成されてから、ウエハ25が切断されて個々の素子基板1が完成するまでの間、常に導電膜17が基板36に接地されている。従って、製造工程中のESD破壊の発生確率を低減することができる。
次に、ウエハ25にドライフイルムを貼り合せ、レジストコーティング等を用いて吐出口形成部材3を形成する(ステップS7)。次にウエハ25にダイシングテープに貼りつける(ステップS8)。次にウエハ25をブレード等により切断する(ステップS9)。すなわち、ウエハ25を、各領域の周縁部に沿って切断する。第1の領域R1と第2の領域R2の間の周縁部は前述した第1のスクライブライン24aである。その後、個別に切り出された記録素子基板1はダイシングテープに貼りつけられたまま切削屑等を除去するために洗浄される(ステップS10)。洗浄では水と窒素を混合した洗浄体を用いた二流体洗浄が好適に用いられる。洗浄後、ダイシングテープが素子基板1から剥がされて(ステップS11)、素子基板1が液体吐出ヘッドに組み込まれる。
5a,5b 第1、第2のエネルギー発生素子
17 導電膜
24a,24b 第1、第2のスクライブライン
30a,30b 第1、第2の配線膜
31a,31b 第1、第2の電気接続部
36 基板
R1,R2 第1、第2の領域

Claims (13)

  1. 基板の第1の領域に、液体に吐出のためのエネルギーを与える第1のエネルギー発生素子と、前記第1のエネルギー発生素子を覆う第1の導電膜と、を形成する工程と、
    前記基板の、スクライブラインを挟んで前記第1の領域と隣接する第2の領域に、液体に吐出のためのエネルギーを与える第2のエネルギー発生素子と、前記第2のエネルギー発生素子を覆う第2の導電膜と、を形成する工程と、
    前記スクライブラインに、前記基板と前記第1の導電膜とに電気的に接続された第1の電気接続部を形成する工程と、
    前記スクライブラインを含む前記第1及び第2の領域の周縁部に沿って前記基板を切断し、前記第1のエネルギー発生素子と前記第1の導電膜とを有する第1の素子基板と、前記第2のエネルギー発生素子と前記第2の導電膜とを有する第2の素子基板と、を得る工程と、を有する液体吐出ヘッドの製造方法。
  2. 前記第1の領域及び前記スクライブラインに、前記第1の電気接続部と前記第1の導電膜とに接続された導電性の配線膜が形成される、請求項1に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  3. 前記第1の領域及び前記スクライブラインに、複数の前記配線膜が形成される、請求項2に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  4. 前記第1のエネルギー発生素子と前記第1の導電膜との間に、前記スクライブラインまで延びる絶縁性の保護膜が形成され、前記保護膜は、前記スクライブラインの前記配線膜と対向する位置で、前記配線膜の幅より小さい幅の開口を有している、請求項2または3に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  5. 前記第1のエネルギー発生素子と電気的に接続されたパッドを含むパッド列が前記周縁部を構成する一部の辺に沿って形成され、前記スクライブラインは他の前記辺に沿って形成される、請求項1から4のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  6. 前記スクライブラインに、前記基板と前記第2の導電膜とに電気的に接続され、前記第1の電気接続部と電気的に分離された第2の電気接続部が形成される、請求項1から5のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  7. 前記基板を切断する前に、前記第1の領域において前記第1の導電膜と前記基板とを電気的に接続する工程を有する、請求項1から6のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  8. 前記第1の領域に前記第1の導電膜と前記基板とに接続されたパッドを形成することで、前記第1の導電膜と前記基板とを電気的に接続する、請求項7に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  9. 前記パッドは金めっきで形成される、請求項8に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  10. 前記第1の導電膜と前記基板とを電気的に接続する工程の前に、前記第1の導電膜に負電圧を印加し、前記第1のエネルギー発生素子に接地電圧を印加することによって、前記第1の導電膜と前記第1のエネルギー発生素子との間の絶縁性を検査する工程を有する、請求項7から9のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  11. 前記第1及び第2の導電膜はタンタルまたはイリジウムからなる単層膜、またはタンタル及びイリジウムが積層されてなる積層膜である、請求項1から10のいずれか1項に記載の液体吐出ヘッドの製造方法。
  12. 第1の領域と、第2の領域と、前記第1の領域と第2の領域とを仕切るスクライブラインと、を有する基板であって、前記スクライブラインを含む前記第1及び第2の領域の周縁部に沿って切断される基板を有し、
    前記第1の領域には、液体に吐出のためのエネルギーを与える第1のエネルギー発生素子と、前記第1のエネルギー発生素子を覆う第1の導電膜と、が設けられ、
    前記第2の領域には、液体に吐出のためのエネルギーを与える第2のエネルギー発生素子と、前記第2のエネルギー発生素子を覆う第2の導電膜と、が設けられ、
    前記スクライブラインには、前記基板と前記第1の導電膜とに電気的に接続された第1の電気接続部が設けられている、液体吐出ヘッドのウエハ。
  13. 前記第1の領域において前記第1の導電膜と前記基板とが電気的に接続されている、請求項12に記載の液体吐出ヘッドのウエハ。
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