JP2017071125A - 積層体及びパイプ - Google Patents

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祐己 桑嶋
Hiroki Kuwajima
祐己 桑嶋
利昭 増井
Toshiaki Masui
利昭 増井
早登 津田
Hayato Tsuda
早登 津田
剛志 稲葉
Tsuyoshi Inaba
剛志 稲葉
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Abstract

【課題】長期間使用しても、硫化水素が漏洩して金属層が腐食しない積層体を提供する。【解決手段】150℃における硫化水素の透過係数が10.0×103cm3・mil/24h・100in2・atm以下である第1のポリマーからなる第1層、第1層の上に形成されており、引張弾性率が400MPa以上である第2のポリマーからなる第2層、及び、第2層の上に形成されており、金属からなる第3層、を備えることを特徴とする積層体。【選択図】 図1

Description

本発明は、積層体及びパイプに関する。
海底油田で使用されるパイプには、ライザー(原油汲み上げ)、ウンビリカル(汲み上げのコントロール用で原油粘度低下用の薬液の仕込み用の配管やパワーケーブル等を一つのパイプにまとめたもの)、フローライン(汲み上げた原油を海底に這わせて移送する配管)等がある。いずれも構造は一様でなく、金属のみの配管、金属/樹脂ハイブリッドの配管等が知られているが、軽量化のために金属のみの配管は減少の傾向にあり、金属/樹脂ハイブリッドが主流になってきている。
特許文献1では、胴体(カーカス)/パイプ/金属製補強層/耐摩擦層/金属製補強層/外層樹脂層の構成を有するライザー管等において、上記パイプを、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体の共重合単位を含む共重合体であり、動的粘弾性測定による170℃における貯蔵弾性率(E’)が60〜400MPaであることを特徴とするフッ素樹脂により形成することが提案された。
国際公開第2010/110129号
上記の技術を使用すれば、原油や天然ガス中に含まれる硫化水素の透過を抑制できるので、それによって金属製補強層の腐食を抑制できる。また、樹脂製パイプが上記フッ素樹脂からなるので、樹脂製パイプが金属製補強層に食い込んだり、変形したり、クラックが発生したりといった問題が解決し得る。
しかしながら、本発明は、更に革新的な技術を提供しようとするものであり、長期間使用しても、硫化水素が漏洩して金属層が腐食しない積層体を提供することを目的とする。
本発明は、150℃における硫化水素の透過係数が10.0×10cm・mil/24h・100in・atm以下である第1のポリマーからなる第1層、第1層の上に形成されており、引張弾性率が400MPa以上である第2のポリマーからなる第2層、及び、第2層の上に形成されており、金属からなる第3層、を備えることを特徴とする積層体である。
第1のポリマーは、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体(但し、テトラフルオロエチレン及びビニリデンフルオライドを除く。)の共重合単位を含む共重合体であり、かつ、動的粘弾性測定による170℃における貯蔵弾性率(E’)が60〜400MPaであることが好ましい。
第2のポリマーは、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体(但し、テトラフルオロエチレン及びビニリデンフルオライドを除く。)の共重合単位を含む共重合体、又は、ポリビニリデンフルオライドであることが好ましい。
本発明の積層体は、更に、第2層とは反対側の第1層の上に、第2のポリマーからなる第4層を備えることができる。
本発明は、上述の積層体からなることを特徴とするパイプでもある。
上述のパイプは、ライザー管又はフローラインとして好適に利用できる。
本発明の積層体は、硫化水素を透過させにくいポリマー層を備えており、このポリマー層が損傷しにくいので、ポリマー層に硫化水素を含む物資が高温かつ高圧で接触する状態が長期間継続しても、硫化水素を透過させにくい。硫化水素は金属層を腐食させるが、硫化水素の透過が抑制されていることにより、金属層の腐食も抑制できる。
本発明のパイプは、長期間に渡って、硫化水素を含む高温かつ高圧の物資を流通させても、硫化水素を漏洩させることがなく、金属製補強層が腐食することもない。
本発明のライザー管及びフローラインは、長期間に渡って、硫化水素を含む高温かつ高圧の物資を流通させても、硫化水素を漏洩させることがなく、金属製補強層が腐食することもない。従って、水深が大きい海底油田や海底ガス田から、原油やガスを長期間汲み上げることができる。
本発明のパイプの一例を示す模式図である。 本発明のパイプの一例を示す模式図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明の積層体は、第1層、第2層及び第3層を備える。
第1層は、150℃における硫化水素の透過係数が10.0×10cm・mil/24h・100in・atm以下である第1のポリマーからなる。本発明の積層体は、第1層を備えることから、原油や天然ガス中に含まれる硫化水素を透過させにくい。従って、本発明の積層体からなるパイプであって、第1層を内層として備えるパイプは、内部に硫化水素を含む高温の物資を流通させても、硫化水素を漏洩させにくい。
上記透過係数は、8.0×10cm・mil/24h・100in・atm以下であることが好ましく、5.0×10cm・mil/24h・100in・atm以下であることがより好ましく、3.0×10cm・mil/24h・100in・atm以下であることが更に好ましく、下限は特に限定されないが、1.0×10cm・mil/24h・100in・atmであってよい。
上記透過係数は、光音響検出法により測定することができる。
第1のポリマーとしては、フルオロポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン等や、それらの混合物を挙げることができる。
第1のポリマーとしては、フルオロポリマーが好ましく、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体(但し、テトラフルオロエチレン及びビニリデンフルオライドを除く。)の共重合単位を含む共重合体がより好ましく、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体(但し、テトラフルオロエチレン及びビニリデンフルオライドを除く。)の共重合単位を含む共重合体であり、かつ、動的粘弾性測定による170℃における貯蔵弾性率(E’)が60〜400MPaである共重合体が更に好ましい。
第1層は、厚みが1〜500mmであってよい。
第2層は、第1層の上に形成されており、引張弾性率(E’)が400MPa以上である第2のポリマーからなる。金属層はポリマー層よりも硬いので、両者が接触するとポリマー層が損傷したり変形したりしやすい。本発明の積層体は、第2層を備えることから、第1層が硫化水素を透過させにくいポリマーからなるにも関わらず、第1層が損傷したり変形したりしにくく、長期間使用しても硫化水素をほとんど透過させない。
第2層は、他の層を介して第1層の上に形成されていてもよいが、第1層の上に直接形成されていることが好ましい。また、第1層の損傷及び変形を抑制する作用がより高いことから、第1層と第2層とは接着していないことが好ましい。第1層と第2層とは、接触しているが、手で容易に剥離できてよいし、鍵状に噛みあっていてもよい。
上記引張弾性率は、600MPa以上であることが好ましく、800MPa以上であることがより好ましく、1000MPa以上であることが更に好ましく、上限は特に限定されないが、50000MPaであってよい。
上記引張弾性率は、オートグラフAG−1KNIS(株式会社島津製作所製)を用いて下記の条件で測定することができる。
ASTM1708に準拠
測定温度:28℃
サンプル形状:マイクロダンベル
引張速度:100mm/分
第1のポリマーと第2のポリマーとは同一であっても異なってもよい。
第2のポリマーとしては、フルオロポリマー、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトン、ポリエーテルケトンエーテルケトンケトン等や、それらの混合物を挙げることができる。
第2のポリマーとしては、フルオロポリマーが好ましく、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体(但し、テトラフルオロエチレン及びビニリデンフルオライドを除く。)の共重合単位を含む共重合体又はポリビニリデンフルオライド(PVDF)がより好ましく、PVDFが更に好ましい。
第2層は、厚みが1〜500mmであってよい。
第3層は、第2層の上に形成されており、金属からなる。第3層は、金属層よりも柔らかいポリマー層を補強する役割を有する。金属は硫化水素により腐食する欠点を有するが、本発明の積層体は、第1層を有していることから、第1層側に硫化水素を含む物資が高温かつ高圧で接触する状態が長期間継続しても、第3層が直接硫化水素と接触することがなく、腐食することがない。
上記金属としては、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、フランシウム、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、鉛、錫、カドミウム、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジウム、プロメチウム、サマリウム、ユウロピウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウム、ルテチウム、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、オスミウム、イリジウム、白金、金や、それらの金属と、炭素、窒素、フッ素、酸素、水素、塩素、ケイ素、ホウ素、リン、硫黄、ヒ素、アンチモン、テルル、セレン、ポロニウム、アスタチン等の非金属を任意の割合で含む合金や複合金属を挙げることができる。
第3層は、厚みが0.01〜100mmであってよい。
本発明の積層体は、更に、第2層とは反対側の第1層の上に、第2のポリマーからなる第4層を備えることもできる。第4層は、第2層とは反対側の第1層の面を保護する役割を有する。第4層は、他の層を介して第1層の上に形成されていてもよいが、第1層の上に直接形成されていることが好ましい。
第4層は、厚みが1〜500mmであってよい。
第1のポリマー、第2のポリマー又はテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体(但し、テトラフルオロエチレン及びビニリデンフルオライドを除く。)の共重合単位を含む共重合体は、動的粘弾性測定による170℃における貯蔵弾性率(E’)が60〜400MPaであることが好ましい。また、第1のポリマー、第2のポリマー又は上記共重合体は、フッ素樹脂であることが好ましい。
上記貯蔵弾性率は、動的粘弾性測定により170℃で測定する値であり、より具体的には、アイティ−計測制御社製動的粘弾性装置DVA220で長さ30mm、巾5mm、厚み0.25mmのサンプルを引張モード、つかみ巾20mm、測定温度25℃から250℃、昇温速度2℃/min、周波数1Hzの条件で測定する値である。170℃における好ましい貯蔵弾性率(E’)は80〜350MPaであり、より好ましい貯蔵弾性率(E’)は100〜350MPaである。
測定サンプルは、例えば、成形温度をフルオロポリマーの融点より50〜100℃高い温度に設定し、3MPaの圧力で厚さ0.25mmに成形したフィルムを、長さ30mm、巾5mmにカットすることで作成することができる。
上記エチレン性不飽和単量体としては、テトラフルオロエチレン及びビニリデンフルオライドと共重合可能な単量体であれば特に制限されないが、下記の式(1)及び(2)で表されるエチレン性不飽和単量体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
式(1): CX=CX(CF
(式中、X、X、X及びXは、同一又は異なって、H、F又はClを表し、nは0〜8の整数を表す。但し、テトラフルオロエチレン及びビニリデンフルオライドを除く。)
式(2): CF=CF−ORf
(式中、Rfは炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のフルオロアルキル基を表す。)
式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体としては、CF=CFCl、CF=CFCF、下記式(3):
CH=CF−(CF (3)
(式中、X及びnは上記と同じ。)、及び、下記式(4):
CH=CH−(CF (4)
(式中、X及びnは上記と同じ。)
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、CF=CFCl、CH=CFCF、CH=CH−C、CH=CH−C13、CH=CF−CH及びCF=CFCFからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、CF=CFCl及びCH=CFCFから選択される少なくとも1種であることが更に好ましい。
式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体としては、CF=CF−OCF、CF=CF−OCFCF及びCF=CF−OCFCFCFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記共重合体は、
55.0〜90.0モル%のテトラフルオロエチレン、
5.0〜44.9モル%のビニリデンフルオライド、及び、
0.1〜10.0モル%の式(1):
CX=CX(CF (1)
(式中、X、X、X及びXは同一又は異なってH、F又はClを表し、nは0〜8の整数を表す。但し、テトラフルオロエチレン及びビニリデンフルオライドを除く。)
で表されるエチレン性不飽和単量体、
の共重合単位を含む共重合体であることが好ましい。
より好ましくは、
55.0〜85.0モル%のテトラフルオロエチレン、
10.0〜44.9モル%のビニリデンフルオライド、及び、
0.1〜5.0モル%の式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体、
の共重合単位を含む共重合体である。
更に好ましくは、
55.0〜85.0モル%のテトラフルオロエチレン、
13.0〜44.9モル%のビニリデンフルオライド、及び、
0.1〜2.0モル%の式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体、
の共重合単位を含む共重合体である。
高温での機械的強度を向上させる観点に加えて、低透過性が特に優れることから、式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体がCH=CH−C、CH=CH−C13及びCH=CF−CHからなる群より選択される少なくとも1種の単量体であることが好ましい。より好ましくは、式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体がCH=CH−C、CH=CH−C13及びCH=CF−CHからなる群より選択される少なくとも1種の単量体であり、かつ、上記共重合体が
55.0〜80.0モル%のテトラフルオロエチレン、
19.5〜44.9モル%のビニリデンフルオライド、及び、
0.1〜0.6モル%の式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体、
の共重合単位を含む共重合体であることである。
上記共重合体は、
58.0〜85.0モル%のテトラフルオロエチレン、
10.0〜41.9モル%のビニリデンフルオライド、及び、
0.1〜5.0モル%の式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体、
の共重合単位を含む共重合体であってもよい。
上記共重合体は、
55.0〜90.0モル%のテトラフルオロエチレン、
9.2〜44.2モル%のビニリデンフルオライド、及び、
0.1〜0.8モル%の式(2):
CF=CF−ORf (2)
(式中、Rfは炭素数1〜3のアルキル基又は炭素数1〜3のフルオロアルキル基を表す。)
で表されるエチレン性不飽和単量体、の共重合単位を含む共重合体であることも好ましい。
より好ましくは、
58.0〜85.0モル%のテトラフルオロエチレン、
14.5〜39.9モル%のビニリデンフルオライド、及び、
0.1〜0.5モル%の式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体、
の共重合単位を含む共重合体である。
上記共重合体は、
55.0〜90.0モル%のテトラフルオロエチレン、
5.0〜44.8モル%のビニリデンフルオライド、
0.1〜10.0モル%の式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体、及び、
0.1〜0.8モル%の式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体、
の共重合単位を含む共重合体であることも好ましい。
より好ましくは、
55.0〜85.0モル%のテトラフルオロエチレン、
9.5〜44.8モル%のビニリデンフルオライド、
0.1〜5.0モル%の式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体、及び、
0.1〜0.5モル%の式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体、
の共重合単位を含む共重合体である。
更に好ましくは
55.0〜80.0モル%のテトラフルオロエチレン、
19.8〜44.8モル%のビニリデンフルオライド、
0.1〜2.0モル%の式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体、及び、
0.1〜0.3モル%の式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体、
の共重合単位を含む共重合体である。第1及び第2のポリマーがこの組成を有する場合、低透過性に特に優れる。
上記共重合体は、
58.0〜85.0モル%のテトラフルオロエチレン、
9.5〜39.8モル%のビニリデンフルオライド、
0.1〜5.0モル%の式(1)で表されるエチレン性不飽和単量体、及び、
0.1〜0.5モル%の式(2)で表されるエチレン性不飽和単量体、
の共重合単位を含む共重合体であってもよい。
上記共重合体は、各単量体の含有量が上述の範囲内にあると、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド及び第3成分からなる従来公知の共重合体と比べて結晶性が高くかつ170℃でも貯蔵弾性率が高いので、高温での機械的強度、耐薬品性及び低透過性に優れる。高温での低透過性とは、例えばメタン、硫化水素、CO、メタノール、塩酸等に対する低透過性である。
上記PVDFは、VDFの重合単位のみからなるホモポリマーであってもよいし、VdFの共重合単位と他の単量体の共重合単位とからなるものであってもよい。他の単量体の共重合体は、全共重合体単位の5モル%以下であることが好ましい。他の単量体としては、フッ化ビニル、トリフルオロエチレン、トリフルオロクロロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、ヘキサフルオロプロピレン、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン、プロピレン等が挙げられる。
共重合体及びPVDFの各単量体の含有量は、NMR、元素分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで単量体単位の含有量を算出できる。
第1及び第2のポリマーは、メルトフローレート(MFR)が0.1〜50g/10minであることが好ましい。
上記MFRは、ASTM D3307−01に準拠し、メルトインデクサー(東洋精機社製)を用いて、297℃、5kg荷重下で内径2mm、長さ8mmのノズルから10分間あたりに流出するポリマーの質量(g/10分)である。
第1及び第2のポリマーは、融点が180℃以上であることが好ましく、上限は290℃であってよい。より好ましい下限は200℃であり、上限は270℃である。
上記融点は、示差走査熱量計RDC220(Seiko Instruments製)を用い、ASTM D−4591に準拠して、昇温速度10℃/分にて熱測定を行い、得られる吸熱曲線のピークにあたる温度を融点とする。
第1及び第2のポリマーは、熱分解開始温度(1%質量減温度)が360℃以上であるものが好ましい。より好ましい下限は370℃である。上記熱分解開始温度は、上記範囲内であれば、上限を例えば450℃とすることができる。
上記熱分解開始温度は、加熱試験に供したフッ素樹脂の1質量%が分解する温度であり、示差熱・熱重量測定装置〔TG−DTA〕を用いて加熱試験に供したフッ素樹脂の質量が1質量%減少する時の温度を測定することにより得られる値である。
第1層及び第2層は、上記ポリマー以外の他の成分を更に含んでもよい。上記他の成分としては、強化繊維、充填剤、可塑剤、加工助剤、離型剤、顔料、難燃剤、滑剤、光安定剤、耐候安定剤、導電剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、発泡剤、香料、オイル、柔軟化剤、脱フッ化水素剤、核剤、酸性添加剤、受酸剤、腐食防止剤、中空ビーズ、架橋剤、分子量10000以下のフルオロポリマー低分子量物等が挙げられる。
強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、バサルト繊維等が挙げられる。充填剤としては、ポリテトラフルオロエチレン、マイカ、シリカ、タルク、セライト、クレー、酸化チタン、硫酸バリウム等が挙げられる。導電剤としてはカーボンブラック等が挙げられる。可塑剤としては、ジオクチルフタル酸、ペンタエリスリトール等が挙げられる。加工助剤としては、カルナバワックス、スルホン化合物、低分子量ポリエチレン、フッ素系助剤等が挙げられる。脱フッ化水素剤としては有機オニウム、アミジン類等が挙げられる。
上記他の成分の中でも、第1層及び第2層は、強化繊維を含むことが好ましい。これにより、耐摩耗性、並びに、高温環境における機械的強度及び低透過性を更に向上させることができる。
第1層及び第2層は、上述したテトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体の共重合単位を含む共重合体と、該共重合体以外の樹脂又はゴムと、からなることも好ましい。該共重合体以外の樹脂又はゴムとしては、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)及びポリテトラフルオロエチレン(PTFE)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
本発明の積層体は、第1のポリマーを成形することにより所望の形状を有する第1層を得る工程、第1のポリマーの外側に第2のポリマーを成形することにより所望の形状を有する第2層を得る工程、第2のポリマーの外側に上記金属を成形することにより所望の形状を有する第3層を得る工程を含む製造方法により製造することができる。
第1及び第2のポリマー並びに金属の成形は、公知の方法により実施できる。第1及び第2のポリマーを成形する方法としては、押出成形、圧縮成形、射出成形等が挙げられる。また、第1のポリマー及び第2のポリマーを、逐次押出成形、共押出成形等により成形してもよい。
本発明の積層体からなるパイプもまた、本発明の1つである。本発明のパイプにおいては、上記第1層、第2層及び第3層がそれぞれ管状体を構成し、第1層の上に第2層が形成され、第2層の上に第3層が形成されている。図1に、本発明のパイプの構成の一例を模式的に示す。図1における内層11が第1層に相当し、中間層12が第2層に相当し、外層13が第3層に相当する。
本発明のパイプにおいては、中間層である第2層が第2のポリマーからなるので、第1層と第3層との間の摩擦を低減することができる。また、内層である第1層が第1のポリマーからなるので、上記パイプに硫化水素を含む物資を高温かつ高圧で流通させても、硫化水素の透過を抑制することができ、金属からなる第3層の腐食を防止することができる。外層である第3層は、内層及び中間層を補強しており、内部を流通する流物資の圧力によりパイプが破裂することを防止する。外層である第3層は、金属からなるので、硫化水素と接触すると腐食し、補強効果が著しく劣化する。しかし、上記パイプは、特定のポリマーからなる内層及び中間層を備えることから、硫化水素を含む物資を高温かつ高圧で流通させた場合であっても、硫化水素が外層には到達せず、補強効果が長期間に渡って維持される。
第2層は、層が100%充填されていなくてもよい。すなわち、層に穴や空洞があいていてもよい。また、第1層と第2層との間に粘着層があってもよく、第2層と第3層との間に粘着層があってもよい。
第1層と第2層はフレーミングによって残留応力を除去する事ができるし、公知の表面処理やフッ素化を行ってもよい。
本発明のパイプは、外層である第3層の外周に、更に、耐摩擦層が設けられていてもよく、上記耐摩擦層の外周に、更に、補強層が設けられていてもよく、上記補強層の外周に、更に、被覆層が設けられていてもよい。図2に、本発明のパイプの構成の一例を模式的に示す。図2における内層11が第1層に相当し、中間層12が第2層に相当し、外層13が第3層に相当する。外層13の周囲には、耐摩擦層24、補強層25及び被覆層26が設けられている。
耐摩擦層24は、外層13及び補強層25の間の摩擦を低減する作用を有する。補強層25は、外層13による内層11及び中間層12を補強する効果をより一層強化する。被覆層26は、補強層25の外周に位置し、パイプの内外を仕切る役目をもつ。被覆層26はポリエチレンやポリアミドから形成できる。
本発明のパイプは、内層11の内周に、図示しない胴体(カーカス)を設けてもよい。胴体を設けると、深海で使用される場合でも高い圧力に耐えて、パイプ形状を保つことができる。
本発明のパイプは、ライザー管又はフローラインとして好適に使用できる。上記ライザー管及びフローラインは、海底油田又はガス田において海底から海面上に物資を輸送するライザー管及びフローラインとして好適に利用できる。物資としては、原油、石油ガス、天然ガス等の流体が挙げられる。
本発明の積層体は、ライザー管及びフローライン以外の用途でも使用することができ、例えば、自動車用エンジン周辺の高温部、若しくは、耐薬品性が求められる部位、例えば、自動車用エンジンのエンジン本体、主運動系、動弁系、潤滑・冷却系、燃料系、吸気・排気系等、駆動系のトランスミッション系等、シャーシのステアリング系、ブレーキ系等、電装品の基本電装部品、制御系電装部品、装備電装部品等における、耐熱性・耐油性・耐燃料油性・耐LLC性・耐スチーム性が要求されるガスケットや非接触型及び接触型のパッキン類(セルフシールパッキン、ピストンリング、割リング形パッキン、メカニカルシール、オイルシール等)等のシール、ベローズ、ダイヤフラム、ホース、チューブ、電線等として好適な特性を備えている。また自動車用以外では、例えば、船舶、航空機等の輸送機関における耐油、耐薬品、耐熱、耐スチーム、あるいは耐候用のパッキン、O−リング、ホース、その他のシール材、ダイヤフラム、バルブに、また化学プラントにおける同様のパッキン、O−リング、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ホース、ロール、チューブ、耐薬品用コーティング、ライニングに、食品プラント機器及び食品機器(家庭用品を含む)における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ベルト、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブに、原子力プラント機器における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、チューブに、一般工業部品における同様のパッキン、O−リング、ホース、シール材、ダイヤフラム、バルブ、ロール、チューブ、ライニング、マンドレル、電線、フレキシブルジョイント、ベルト、ゴム板、ウエザーストリップ、PPC複写機のロールブレード等への用途に好適である。また、本発明の積層体は、耐薬品性、低溶出性及び低着香性を有するため、医療・ケミカル分野においては、耐油、耐薬品、耐熱、耐スチームあるいは耐候用のシール材、蓋材、ベルト、ロール、ホース、チューブ、フィルム、コーティング、ライニング、ジョイント、容器等に、その他水素タンク用のライニング、リ・インジェクションパイプ、ウンビリカル(汲み上げのコントロール用で原油粘度低下用の薬液の仕込み用の配管やパワーケーブルなどを一つのパイプにまとめたもの)などに適用できる。
本発明の積層体は、配管に適用することもできる。この場合、上記積層体からなる配管は通常の方法によって製造することができ、特に制限されることはない。また、上記配管には、コルゲートチューブも含まれる。
硫化水素を含む物資を流通させるための、上記積層体、パイプ、ライザー管又はフローラインの使用も本発明の1つである。
つぎに本発明を実施例をあげて説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体の共重合単位を含む共重合体(150℃における硫化水素の透過係数が2.8×10cm・mil/24h・100in・atm、引張弾性率が400MPa、動的粘弾性測定による170℃における貯蔵弾性率(E’)が150MPa)のペレットを用いて、ダイ内径/チップ外形=260/247(mm)を備えるパイプ成形押出機(押出機:形式FS90、スクリューサイズ90mm、L/D=28、株式会社池貝社製)を用いてダイス温度300℃、スクリュー回転数12rpm、ライン速度0.1m/minでパイプ成形を行い、外径154mm、内径142mm、厚み6mmの第1層を得た。第1層と同じ装置を用いて、ポリビニリデンフルオライド(商品名、ネオフロンPVDF VP−825、ダイキン工業社製、引張弾性率が1000MPa)を成形し、第1層の外側に第2層を形成した。第2層の外側にSUS304を使用した金属層を形成した。
10,20 パイプ
11 内層
12 中間層
13 外層
24 耐摩擦層
25 補強層
26 被覆層

Claims (6)

  1. 150℃における硫化水素の透過係数が10.0×10cm・mil/24h・100in・atm以下である第1のポリマーからなる第1層、
    第1層の上に形成されており、引張弾性率が400MPa以上である第2のポリマーからなる第2層、及び、
    第2層の上に形成されており、金属からなる第3層、
    を備えることを特徴とする積層体。
  2. 第1のポリマーは、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体(但し、テトラフルオロエチレン及びビニリデンフルオライドを除く。)の共重合単位を含む共重合体であり、かつ、動的粘弾性測定による170℃における貯蔵弾性率(E’)が60〜400MPaである請求項1記載の積層体。
  3. 第2のポリマーは、テトラフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、及び、エチレン性不飽和単量体(但し、テトラフルオロエチレン及びビニリデンフルオライドを除く。)の共重合単位を含む共重合体、又は、ポリビニリデンフルオライドである請求項1又は2記載の積層体。
  4. 更に、第2層とは反対側の第1層の上に、第2のポリマーからなる第4層を備える請求項1、2又は3記載の積層体。
  5. 請求項1、2、3又は4記載の積層体からなることを特徴とするパイプ。
  6. ライザー管又はフローラインである請求項5記載のパイプ。
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