JP2017070976A - パネル部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】歩留まりを向上させると共に成形性および外観品質を向上させることを目的とする。【解決手段】板材を予成形形状に成形する予成形工程と、その予成形形状から最終パネル形状にプレス成形する本成形工程とを有する。最終パネル形状における複数の断面箇所について、同一断面位置における、最終パネル形状での断面線長L0に対する予成形形状での断面線長L1の比率が、それぞれ0.8倍以上1.0倍以下の範囲に収まるように、予成形形状を決定し、本成形工程では、予成形形状から最終パネル形状にプレス成形の際に形状変化がない材料部分(不変形部分X)の少なくとも一箇所を先に押さえてから、最終パネル形状にプレス成形する。【選択図】図1
Description
本発明は、張り出し成形などのプレス成形によって、自動車のドアパネルなどの外板パネルや内板パネルなどのパネル部品を製造する技術に関する。本発明は、特に、見た目が重視される外板のパネル部品の製造に好適な技術である。
プレス成形によるパネル部品の製造においては、成形性の向上は重要な課題の一つである。
ここで、一般のプレス成形において、歩留まりを向上させるためには成形時に型内に流入する材料の量を出来るだけ小さくし、張り出し成形に近い成形条件とすることが望ましい。しかし、材料の流入が小さすぎると成形時に型内の材料が足りなくなることによって板厚が過度に薄くなり、割れが生じるといった不具合が生じるおそれがある。一方、割れを回避するために絞り主体の成形とすると、歩留まりの低下を招く。そのような不具合に対処するため、従来、様々な取り組みが行われてきた。
ここで、一般のプレス成形において、歩留まりを向上させるためには成形時に型内に流入する材料の量を出来るだけ小さくし、張り出し成形に近い成形条件とすることが望ましい。しかし、材料の流入が小さすぎると成形時に型内の材料が足りなくなることによって板厚が過度に薄くなり、割れが生じるといった不具合が生じるおそれがある。一方、割れを回避するために絞り主体の成形とすると、歩留まりの低下を招く。そのような不具合に対処するため、従来、様々な取り組みが行われてきた。
特許文献1には、1回のプレス成形における初期段階でブランクが拘束されない範囲を作ることで余肉を小さくして、歩留まりを向上させる方法が記載されている。
また、特許文献2には、プレス金型の局所領域を可動ポンチとして駆動させ、予めブランクを型内に呼び込んでから成形を行うことにより成形不具合を回避する方法が報告されている。
また、自動車のドアパネルなどの外観が重視されるパネル部品のプレス成形による製造は、通常、1回のプレス成形で製造される。
また、特許文献2には、プレス金型の局所領域を可動ポンチとして駆動させ、予めブランクを型内に呼び込んでから成形を行うことにより成形不具合を回避する方法が報告されている。
また、自動車のドアパネルなどの外観が重視されるパネル部品のプレス成形による製造は、通常、1回のプレス成形で製造される。
しかし、特許文献1の方法では、従来の手法と比較して余肉を小さくすることは可能であるが、余肉が必要であることに変わりは無く、また、絞り成形であるため歩留まりの向上代には限界がある。
また特許文献2の方法では、成形不具合を回避することは可能であるが、絞り成形であるため歩留まりが低下する。
本発明は、上記のような点に考慮しつつなされたものであり、歩留まりを向上させると共に成形性および外観品質を向上させることを目的としている。
また特許文献2の方法では、成形不具合を回避することは可能であるが、絞り成形であるため歩留まりが低下する。
本発明は、上記のような点に考慮しつつなされたものであり、歩留まりを向上させると共に成形性および外観品質を向上させることを目的としている。
課題を解決するために、本発明の一態様のパネル部品の製造方法は、板材をプレス成形で最終パネル形状に成形するパネル部品の製造方法であって、板材を予成形形状に成形する予成形工程と、その予成形形状から最終パネル形状にプレス成形する本成形工程とを有し、上記最終パネル形状における複数の断面箇所について、同一断面位置における、上記最終パネル形状での断面線長に対する上記予成形形状での断面線長の比率が、それぞれ0.8倍以上1.0倍以下の範囲に収まるように、上記予成形形状を決定し、上記本成形工程では、予成形形状から最終パネル形状にプレス成形の際に形状変化がない材料部分の少なくとも一箇所を先に押さえてから、上記最終パネル形状にプレス成形することを特徴とする。
本発明の態様によれば、板材を所定の断面線長比率で予成形してから、最終パネル形状に本成形してパネル部品とし、しかも予成形段階で、最終パネル形状と同程度の断面線長に設定する。これによって、パネル部品の絞りなどを深く設計したりしても、歩留まりの向上と成形性向上との両方を図ることが可能となる。
このとき、最終パネル形状と予成形形状の断面線長を近いものとして予成形形状を設計し、最終成形の前に最終パネル形状とは別形状に成形を行う。これによって、予成形時に余裕を持ってひずみを導入出来る。ただし、最終パネル形状への加工時に部品を張りきれず、予成形の形状が一部で残留し、外観を少し損ねる可能性がある。このような予成形形状の残存は、外板部品のような外観品質が重要な部品に適用する場合に重要な課題となる。
このとき、最終パネル形状と予成形形状の断面線長を近いものとして予成形形状を設計し、最終成形の前に最終パネル形状とは別形状に成形を行う。これによって、予成形時に余裕を持ってひずみを導入出来る。ただし、最終パネル形状への加工時に部品を張りきれず、予成形の形状が一部で残留し、外観を少し損ねる可能性がある。このような予成形形状の残存は、外板部品のような外観品質が重要な部品に適用する場合に重要な課題となる。
これに対し、本発明の態様によれば、本成形工程で、予成形形状から最終パネル形状にプレス成形する際に形状変化がない部分の少なくとも一箇所を、クッションを有する金型部などで押さえてから、最終パネル形状にプレス成形することで、先に押さえた箇所に対し張力が付与される。これによって、予成形形状の残留を低減若しくは消去することが可能となる。
以上のことから、本発明の態様によれば、歩留まりを向上させると共に成形性および外観品質を向上させることが可能となる。
以上のことから、本発明の態様によれば、歩留まりを向上させると共に成形性および外観品質を向上させることが可能となる。
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態における成形工程を説明する概念図である。
本実施形態の成形は、図1に示すように、板材1(ブランク)を予成形形状に塑性変形する予成形工程と、予成形工程で予成形形状となった板材1を、製品としての最終パネル形状に塑性変形する本成形工程との2段階の成形工程からなる。なお、予成形工程自体が、複数段の予成形工程から構成されていても良い。
予成形工程は、例えば、予成形形状に成形するための予成形用金型を使用したプレス成形にて行われる。金型は、例えばパンチ及びダイの組を備える。予成形は液圧バルジ加工などのひずみが均一に入りやすい成形法で行うのが好ましいが、通常のプレス加工で行っても可能である。
図1は、本実施形態における成形工程を説明する概念図である。
本実施形態の成形は、図1に示すように、板材1(ブランク)を予成形形状に塑性変形する予成形工程と、予成形工程で予成形形状となった板材1を、製品としての最終パネル形状に塑性変形する本成形工程との2段階の成形工程からなる。なお、予成形工程自体が、複数段の予成形工程から構成されていても良い。
予成形工程は、例えば、予成形形状に成形するための予成形用金型を使用したプレス成形にて行われる。金型は、例えばパンチ及びダイの組を備える。予成形は液圧バルジ加工などのひずみが均一に入りやすい成形法で行うのが好ましいが、通常のプレス加工で行っても可能である。
本成形工程は、最終パネル形状に成形するための本成形用金型を使用したプレス成形にて行われる。金型は、例えばパンチ及びダイの組を備える。但し、後述のように、本成形用金型の一部には、材料の一部を先に押さえて挟持するためのクッションを有する。
各プレス成形は、例えば張り出し成形とする。
本実施形態では、予成形工程に先立って、予成形用金型の形状、つまり予成形形状を、最終パネル形状から求める処理を有する。なお、予成形形状が決定したら、その予成形形状となるように予成形用金型を製造する。
各プレス成形は、例えば張り出し成形とする。
本実施形態では、予成形工程に先立って、予成形用金型の形状、つまり予成形形状を、最終パネル形状から求める処理を有する。なお、予成形形状が決定したら、その予成形形状となるように予成形用金型を製造する。
予成形形状の決定方法は、最終パネル形状における板材1の板厚方向に沿った断面を複数箇所設定し、同一断面位置における、最終パネル形状での断面線長に対する予成形形状での断面線長の比率が、それぞれ予め設定した許容値の範囲に収まるように、予成形形状を決定する。すなわち、予成形形状の決定は、最終パネル形状と予成形形状の各断面線長を比較して、両者の断面線長の比率が、それぞれ予め設定した許容値の範囲に収まるように、予成形形状を決定する。なお、「板材1の板厚方向に沿った」方向は、プレス方向に相当する。
その最終パネル形状に基づく予成形形状の決定方法の処理例を図2に示す。
すなわち、板材1に対して2以上の断面箇所を設定する(処理A)。少なくとも最終パネル形状における断面形状の曲率が急峻しているような特徴箇所を通るように断面箇所を設定すると良い。このようにすることで設定する断面の数を少なく抑えることが可能となる。
複数の断面箇所の位置決定についての第1の設定例を図3に示す。
すなわち、図3に示す例では、複数の断面箇所の位置を、成形前の板材1の板厚方向(平面視、成形による張り出し方向に対応)に沿った方向からみて、n×m(n,m:2以上の整数)の格子状(メッシュ状)に(n+m)個の断面箇所を設定した場合の例である。設定箇所については後述する。なお、成形領域の外周輪郭線は、最終パネル形状の外形線に相当する。
すなわち、板材1に対して2以上の断面箇所を設定する(処理A)。少なくとも最終パネル形状における断面形状の曲率が急峻しているような特徴箇所を通るように断面箇所を設定すると良い。このようにすることで設定する断面の数を少なく抑えることが可能となる。
複数の断面箇所の位置決定についての第1の設定例を図3に示す。
すなわち、図3に示す例では、複数の断面箇所の位置を、成形前の板材1の板厚方向(平面視、成形による張り出し方向に対応)に沿った方向からみて、n×m(n,m:2以上の整数)の格子状(メッシュ状)に(n+m)個の断面箇所を設定した場合の例である。設定箇所については後述する。なお、成形領域の外周輪郭線は、最終パネル形状の外形線に相当する。
次に、最終パネル形状について、上記設定した複数箇所での断面線長をそれぞれ求める(処理B)。最終パネル形状の断面線長L0は、例えばCAEを用いて、最終パネル形状の成形シミュレーションを行うことで断面線長L0を取得する。また、実際にプレス成形を行って最終パネル形状の製品を製造することで、断面線長L0を光学的測定法などで測定して取得する。もっとも、断面線長L0の取得方法は、これに限定されず、公知の手法を採用すればよい。
次に、予成形形状における、最終パネル形状で設定した断面位置と同位置での断面線長L1が、「取得した対応する断面線長相当の断面線長となるように、各断面箇所での断面線長L1をそれぞれ特定する(処理C)。この時点では、各断面箇所での断面線長L1は、例えば後述の許容値の範囲で設定する。
次に、予成形形状における、最終パネル形状で設定した断面位置と同位置での断面線長L1が、「取得した対応する断面線長相当の断面線長となるように、各断面箇所での断面線長L1をそれぞれ特定する(処理C)。この時点では、各断面箇所での断面線長L1は、例えば後述の許容値の範囲で設定する。
断面線長相当の断面線長とは、最終パネル形状での断面線長に対する予成形形状での断面線長の比率が予め設定した許容値の範囲の場合である。本実施形態では、上記予め設定した許容値の範囲は、(L1/L0)が0.8倍以上1.0倍以下となる範囲である。この条件にすれば、同一断面において、最終パネル形状の断面線長と予成形形状の断面線長が同一に近づくように設定される。
次に、特定した各断面箇所の断面線長L1の条件を全て満足するようにして、予成形形状を特定する(処理D)。
次に、特定した各断面箇所の断面線長L1の条件を全て満足するようにして、予成形形状を特定する(処理D)。
上述の処理Aにおいて、上記断面線長を求める断面箇所が多くなるほど精度が高くなる。断面箇所の取り方は自由であるが、少なくとも2箇所以上の断面箇所を採用する。
ここで、成形前の板材1の板厚方向であるプレス方向をZ軸とし、そのZ軸に直交する方向をX軸及びY軸として直交座標を考える。このとき、X軸及びY軸は、成形前の板材1の面に沿った方向となる。
そして、図3に示す第1の設定例では、XZ平面に平行に所定間隔づつn箇所、断面箇所を設定すると共に、YZ平面に平行に所定間隔づつ、m箇所、断面箇所を設定する。
ここで、成形前の板材1の板厚方向であるプレス方向をZ軸とし、そのZ軸に直交する方向をX軸及びY軸として直交座標を考える。このとき、X軸及びY軸は、成形前の板材1の面に沿った方向となる。
そして、図3に示す第1の設定例では、XZ平面に平行に所定間隔づつn箇所、断面箇所を設定すると共に、YZ平面に平行に所定間隔づつ、m箇所、断面箇所を設定する。
このn,mの値を2以上に設定すると、成形前の板材1の板厚方向からみて格子状(メッシュ状)に断面箇所が設定されることになる。なお格子状は直交した格子状である必要な無い。切断箇所は、平面視で、互いに交差する少なくとも2方向に設定して、各方向に1又は2複数位置の断面形状を使用すればよい。また各断面の面方向もZ軸に平行でなくても良い。
なお、上述のように、最終パネル形状における曲率が予め設定した以上に急峻に変化する箇所を多く通る断面を選択することが好ましい。また断面を特定する線は直線でなくても良いが、直線に設定する方が簡便である。
また2方向の断面箇所で予成形形状を決定する場合には、例えば、相対的に曲率変化の度合いが小さい方向からの断面線形からの予成形形状の形状を仮決めした後に、他方の方向における断面線形で修正するようにして、最終的な予成形形状の形状を決定する。
なお、上述のように、最終パネル形状における曲率が予め設定した以上に急峻に変化する箇所を多く通る断面を選択することが好ましい。また断面を特定する線は直線でなくても良いが、直線に設定する方が簡便である。
また2方向の断面箇所で予成形形状を決定する場合には、例えば、相対的に曲率変化の度合いが小さい方向からの断面線形からの予成形形状の形状を仮決めした後に、他方の方向における断面線形で修正するようにして、最終的な予成形形状の形状を決定する。
最終パネル形状と予成形形状の断面線長の比率は、予成形形状の断面線長が最終パネル形状の断面線長に対して、0.8倍以上1.0倍以下の範囲、好ましくは0.9倍以上1.0倍以下の範囲であることが望ましい。断面線長の比率が0.8倍未満となると、最終成形時に線長が足りず、割れが生じたり歩留まりが低下したりする恐れがある。また、断面線長の比率が1.0倍を超えると、最終成形時に線長が余り、製品面でしわが発生する可能性が生じる。これに対し、0.8倍以上1.0倍以下の範囲に調整することで、割れ発生や製品面でしわが発生することを大幅に減らすことが可能となることを確認している。すなわち、0.8倍以上1.0倍以下の範囲における境界値は、臨界的な値では無い。少なくともこの範囲内であるならば高い歩留まりが確保されることを確認したために、この値に規定した。
ここで、図3に示す例では格子状に複数箇所の断面を設定する例であるが、複数箇所の断面の設定は、これに限定されない。
ここで、図3に示す例では格子状に複数箇所の断面を設定する例であるが、複数箇所の断面の設定は、これに限定されない。
次に、複数の断面箇所の位置決定についての第2の設定例を図4に示す。
この例は、複数箇所の断面の位置を放射状に設定する例である。すなわち、プレス方向に沿った方向(成形前の板材における板厚方向に沿った方向)からみて、最終パネル形状の成形領域内に内部設定点P0を設定し、その内部設定点P0を通過し且つ互いに異なる方向に延びる複数の線CA1〜CA8を設定し、その設定した複数の線の位置に複数箇所の断面を設定する。
図4では、複数の線が8本の場合を例示しているが、8本以外でも構わない。但し、断面数は8断面以上が好ましい。また放射状に設定する場合の方が、格子状に設定する場合に比べて、断面数を抑えられる。
この例は、複数箇所の断面の位置を放射状に設定する例である。すなわち、プレス方向に沿った方向(成形前の板材における板厚方向に沿った方向)からみて、最終パネル形状の成形領域内に内部設定点P0を設定し、その内部設定点P0を通過し且つ互いに異なる方向に延びる複数の線CA1〜CA8を設定し、その設定した複数の線の位置に複数箇所の断面を設定する。
図4では、複数の線が8本の場合を例示しているが、8本以外でも構わない。但し、断面数は8断面以上が好ましい。また放射状に設定する場合の方が、格子状に設定する場合に比べて、断面数を抑えられる。
また放射状に延びる線は等間隔に設定する必要はない。最終パネル形状において曲率変化が大きい箇所を通過するように設定することが好ましい。
また図4では、内部設定点P0を通過する線の両端が、成形領域の外周輪郭線(最終パネル形状の外形線)に到達する直線を1本の線とした場合を例示しているが、後述の図7に示すように、内部設定点P0と成形領域の外周輪郭線(最終パネル形状の外形線)の一点とを結ぶように各線を設定してもよい。このようにする場合、図4の例では、線は16本となる。
また図4では、内部設定点P0を通過する線の両端が、成形領域の外周輪郭線(最終パネル形状の外形線)に到達する直線を1本の線とした場合を例示しているが、後述の図7に示すように、内部設定点P0と成形領域の外周輪郭線(最終パネル形状の外形線)の一点とを結ぶように各線を設定してもよい。このようにする場合、図4の例では、線は16本となる。
また内部設定点P0は、プレス方向に沿った方向から最終パネル形状を見た際の、図心の位置に設定すると良い。
ここで、上記説明では、予成形工程と本成形工程の2段階の成形工程で最終パネル形状に成形する場合を例に説明したが、予成形工程が、2段階以上の仮成形工程から構成されていても良い。
この場合、各仮成形工程での加工後の加工形状を、最終パネル形状における複数の断面箇所について、同一断面位置における、最終パネル形状での断面線長に対する加工後の加工形状での断面線長が、それぞれ上記許容値の範囲に収まるように、それぞれ仮成形工程毎に設定しても良い。もっとも最終パネル形状に成形する1段階前の予成形形状が上記条件に満足していればよい。
ここで、上記説明では、予成形工程と本成形工程の2段階の成形工程で最終パネル形状に成形する場合を例に説明したが、予成形工程が、2段階以上の仮成形工程から構成されていても良い。
この場合、各仮成形工程での加工後の加工形状を、最終パネル形状における複数の断面箇所について、同一断面位置における、最終パネル形状での断面線長に対する加工後の加工形状での断面線長が、それぞれ上記許容値の範囲に収まるように、それぞれ仮成形工程毎に設定しても良い。もっとも最終パネル形状に成形する1段階前の予成形形状が上記条件に満足していればよい。
次に、複数箇所の断面の位置決定についての第3の設定例に示す。
この例は、図5に示すように、断面線長を調整する複数の断面箇所を同心状に設定した例である。
すなわち、プレス方向に沿った方向(成形前の板材における板厚方向に沿った方向)からみて、最終パネル形状の成形領域内に内部設定点P0を設定し、その内部設定点P0を通過し且つ互いに異なる方向に延びる複数の線CA1〜CA8を設定する。さらに、複数の線CA1〜CA8を同じ割合で分割し、複数の線CA1〜CA8のうち、同一割合点を順次結んだ各無端環状の線を、複数の断面箇所を設定する。
ここで、予成形形状のうち、本成形工程の金型のパンチ底で押さえる領域に対応する部分内が、最終パネル形状での形状と同形状となるように、当該予成形形状を設定する。上記の最終パネル形状での形状と同形状の部分を不変形部分Xと呼ぶことにする。
そして、本成形工程で使用する金型のうち、不変形部分Xを押さえる金型部分にクッションを設ける。
この例は、図5に示すように、断面線長を調整する複数の断面箇所を同心状に設定した例である。
すなわち、プレス方向に沿った方向(成形前の板材における板厚方向に沿った方向)からみて、最終パネル形状の成形領域内に内部設定点P0を設定し、その内部設定点P0を通過し且つ互いに異なる方向に延びる複数の線CA1〜CA8を設定する。さらに、複数の線CA1〜CA8を同じ割合で分割し、複数の線CA1〜CA8のうち、同一割合点を順次結んだ各無端環状の線を、複数の断面箇所を設定する。
ここで、予成形形状のうち、本成形工程の金型のパンチ底で押さえる領域に対応する部分内が、最終パネル形状での形状と同形状となるように、当該予成形形状を設定する。上記の最終パネル形状での形状と同形状の部分を不変形部分Xと呼ぶことにする。
そして、本成形工程で使用する金型のうち、不変形部分Xを押さえる金型部分にクッションを設ける。
図6は、その本成形工程で使用する金型の例の概念図である。図6では、見やすくするために、ブランク1と金型との間に隙間をあけて図示している。
この金型は、上型である第10と、下型であるパンチ11,12及びしわ押さえ15とを備える。
この図6では、パンチのうち、底部が不変形部分Xに対向する部分を、分離したパンチ部11とし、そのパンチ部11に、インナーダイクッション13を設けた例である。
このような金型を使用すると、本成形工程では、まず、図6(b)のように、インナークッション13を備えたパンチ部11が先に不変形部分Xを押さえた後に、図6(a)のように、最終パネル形状にプレス成形が実行される。このように、先に不変形部分Xを挟持することで、その不変形部分Xへの材料の流入出が抑制される。
図6では、不変形部分Xが一箇所の場合を例示しているが、複数箇所の不変形部分Xを設定して、その全部の不変形部分Xの先に押さえてから最終パネル形状にプレス成形するようにしても良い。
この金型は、上型である第10と、下型であるパンチ11,12及びしわ押さえ15とを備える。
この図6では、パンチのうち、底部が不変形部分Xに対向する部分を、分離したパンチ部11とし、そのパンチ部11に、インナーダイクッション13を設けた例である。
このような金型を使用すると、本成形工程では、まず、図6(b)のように、インナークッション13を備えたパンチ部11が先に不変形部分Xを押さえた後に、図6(a)のように、最終パネル形状にプレス成形が実行される。このように、先に不変形部分Xを挟持することで、その不変形部分Xへの材料の流入出が抑制される。
図6では、不変形部分Xが一箇所の場合を例示しているが、複数箇所の不変形部分Xを設定して、その全部の不変形部分Xの先に押さえてから最終パネル形状にプレス成形するようにしても良い。
(作用その他)
張り出し成形を行う場合、1回のプレス加工で最終パネル形状に成形を行うとパンチ底では摩擦抵抗によりほとんど材料はひずまないことに対し、パンチ肩部、ダイ肩部では材料が過度に薄くなり、加工深さを大きくすると、割れが生じる可能性が高くなる。
これに対し、本実施形態では、予成形段階で、最終パネル形状におけるパンチ底部と対向する材料にひずみを導入しておくことにより、擬似的に最終成形段階での成形性を向上させることができる。
張り出し成形を行う場合、1回のプレス加工で最終パネル形状に成形を行うとパンチ底では摩擦抵抗によりほとんど材料はひずまないことに対し、パンチ肩部、ダイ肩部では材料が過度に薄くなり、加工深さを大きくすると、割れが生じる可能性が高くなる。
これに対し、本実施形態では、予成形段階で、最終パネル形状におけるパンチ底部と対向する材料にひずみを導入しておくことにより、擬似的に最終成形段階での成形性を向上させることができる。
このとき、予成形形状の決定は、最終パネル形状と予成形形状の断面線長を比較することにより行うが、最終パネル形状と予成形形状の断面線長の比率を、予成形形状の断面線長が最終パネル形状の断面線長に対して0.8倍以上1.0倍未満に設定することで、パネル部品の絞りなどを深く設計したりしても、歩留まりの向上と成形性向上との両方を向上することが可能となる。
このとき、最終パネル形状と予成形形状の断面線長を近いものとして予成形形状を設計し、最終成形の前に最終パネル形状とは別形状での成形を行う。これによって、予成形時に余裕を持ってひずみを導入出来るが、最終パネル形状への加工時に部品を張りきれず、予成形の形状が一部で残留し、外観を少し損ねる可能性がある。このような予成形形状の残存は、外板部品のような外観品質が重要な部品に適用する場合に重要な課題となる。
このとき、最終パネル形状と予成形形状の断面線長を近いものとして予成形形状を設計し、最終成形の前に最終パネル形状とは別形状での成形を行う。これによって、予成形時に余裕を持ってひずみを導入出来るが、最終パネル形状への加工時に部品を張りきれず、予成形の形状が一部で残留し、外観を少し損ねる可能性がある。このような予成形形状の残存は、外板部品のような外観品質が重要な部品に適用する場合に重要な課題となる。
これに対し、本実施形態によれば、本成形工程で、予成形形状から最終パネル形状にプレス成形の際に形状変化がない部分の少なくとも一箇所を、クッション13を有する金型部11で押さえてから、最終パネル形状へのプレス成形を実施することで、クッション13で押さえる箇所に対して張力が付与される。これによって、予成形形状の残留を低減若しくは消去することが可能となる。
すなわち、インナーダイクッションを用いずに成形すると、予成形の次工程で成形中に金型内部では材料が保持されないため、材料が自由に移動し、結果として、不変形部分X又はその周りでしわが生じたり成形後スプリングバックにより予成形形状が残留したりといった不具合が生じる可能性がある。
すなわち、インナーダイクッションを用いずに成形すると、予成形の次工程で成形中に金型内部では材料が保持されないため、材料が自由に移動し、結果として、不変形部分X又はその周りでしわが生じたり成形後スプリングバックにより予成形形状が残留したりといった不具合が生じる可能性がある。
これに対し、本実施形態のようにインナーダイクッション13を用いることにより、本成形工程でのプレス成形中に、不変形部分Xでは製品内部の材料移動が抑制され、製品面に適正な張力を付与し、パネル全体、若しくは予成形形状の残留が懸念される部位に引張り変形を与えることとなって、予成形形状の残留を抑制することができる。
ここで、本発明は、自動車部品のパネル部品に限らない。板材1をプレス成形してパネル部品を製造する加工全てに対して適用することが可能である。また、プレス成形の素材は鉄鋼に限らずステンレス等の鉄合金、さらには非鉄材料、非金属材料に対しても適用可能である。特に、今まで適用が難しい場合もあった、ハイテン材などにも適用可能となる。
ここで、本発明は、自動車部品のパネル部品に限らない。板材1をプレス成形してパネル部品を製造する加工全てに対して適用することが可能である。また、プレス成形の素材は鉄鋼に限らずステンレス等の鉄合金、さらには非鉄材料、非金属材料に対しても適用可能である。特に、今まで適用が難しい場合もあった、ハイテン材などにも適用可能となる。
11 パンチ部
13 インナーダイクッション
L0 断面線長
L1 断面線長
P0 内部設定点
X 不変形部分
13 インナーダイクッション
L0 断面線長
L1 断面線長
P0 内部設定点
X 不変形部分
Claims (6)
- 板材をプレス成形で最終パネル形状に成形するパネル部品の製造方法であって、
板材を予成形形状に成形する予成形工程と、その予成形形状から最終パネル形状にプレス成形する本成形工程とを有し、
上記最終パネル形状における複数の断面箇所について、同一断面位置における、上記最終パネル形状での断面線長に対する上記予成形形状での断面線長の比率が、それぞれ0.8倍以上1.0倍以下の範囲に収まるように、上記予成形形状を決定し、
上記本成形工程では、予成形形状から最終パネル形状にプレス成形の際に形状変化がない材料部分の少なくとも一箇所を先に押さえてから、上記最終パネル形状にプレス成形することを特徴とするパネル部品の製造方法。 - 上記形状変化がない材料部分の少なくとも一箇所を、クッションを有する金型部分で先に押さえてから、上記最終パネル形状にプレス成形することを特徴とする請求項1に記載したパネル部品の製造方法。
- 上記複数の断面箇所を、プレス方向からみてn×m(n,mは2以上の整数)の格子状となるように設定したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したパネル部品の製造方法。
- 上記最終パネル形状の成形領域内に内部設定点を設定し、その内部設定点を通り且つ互いに異なる方向に延在する複数の線を設定し、その設定した複数の線の位置に上記複数の箇所断面を設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したパネル部品の製造方法。
- 上記内部設定点を、プレス方向から最終パネル形状を見た際の図心の位置に設定することを特徴とした請求項4に記載したパネル部品の製造方法。
- 上記最終パネル形状の上に設定した一点と最終パネル形状の外周上に設定した複数点を結ぶ複数の断面線の長さを予め設定した割合で分割する点を結んで得られる複数の閉曲線の位置を、上記複数の断面箇所とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載したパネル部品の製造方法。
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