JP2017070970A - プラグの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】プラグ本体に対する皮膜の密着性を向上させることができるプラグの製造方法を提供する。
【解決手段】プラグ(10)の製造方法は、鉄及び鉄酸化物を含有する皮膜(12)が表面上に形成されたプラグ本体(11)を準備する工程と、皮膜(12)が形成されたプラグ本体(11)を700〜1250℃で10分以上保持して、皮膜(12)とプラグ本体(11)との間で相互拡散を生じさせる工程とを備える。
【選択図】図1

Description

本開示は、プラグに関し、より詳しくは、ビレットの穿孔に用いられるプラグの製造方法に関する。
マンネスマン製管法は、継目無管の製造方法として広く採用されている。マンネスマン製管法では、所定温度に加熱されたビレットを穿孔機で穿孔圧延する。穿孔機は、一対の傾斜ロールと、プラグとを備える。プラグは、一対の傾斜ロールの間であって、パスライン上に配置される。穿孔機は、傾斜ロールによってビレットを周方向に回転させながらプラグに押し込み、ビレットを穿孔圧延して中空素管にする。
従来のプラグは、ビレットの穿孔圧延に際し、予め母材の表面に酸化スケールの皮膜が形成される。酸化スケールの皮膜は、プラグに熱処理を施すことによって形成される。これにより、プラグの表面の遮熱性、潤滑性、及び耐焼き付き性を確保することができる。
酸化スケールの皮膜は、繰り返しの穿孔圧延によって次第に摩耗する。皮膜は、穿孔圧延を行う毎(パス毎)に摩耗する。皮膜が完全に摩耗して失われると、プラグの母材が露出する。この場合、母材の露出部分での溶損や、プラグと相手材であるビレットとの焼き付き等が生じ、プラグが寿命に至る。
特に、ステンレス鋼からなるビレットを穿孔する場合、酸化スケールの皮膜の摩耗が顕著であるため、プラグの寿命は非常に短い。ステンレス鋼からなるビレットを穿孔する場合、通常、数パスで皮膜が摩耗してしまう。皮膜が摩耗するたびに、プラグの母材の表面に酸化スケールを生成するための熱処理が必要となる。熱処理は、一般に、数時間から数10時間を要する。よって、酸化スケールの皮膜の形成能率は低い。
これに対し、特許文献1及び2では、鉄及び酸化物からなる皮膜をアーク溶射によってプラグの母材の表面に形成する技術が提案されている。アーク溶射の場合、皮膜の原料は鉄線材のみであり、皮膜の形成に要する時間は数分から数10分程度と短い。よって、低コスト且つ高能率で、母材の表面に皮膜を形成することができる。また、溶射皮膜は、酸化スケールの皮膜と比較して、母材との密着性及び耐摩耗性が高い。このため、プラグの寿命を長くすることができる。
溶射皮膜は、プラグの母材との密着性及び耐摩耗性に優れている。しかしながら、例えば、高合金からなる高強度のビレットを穿孔する場合や、ビレットの穿孔長が非常に長い場合等には、穿孔中に母材の表面から溶射皮膜が剥離することがある。溶射皮膜の剥離によって母材が露出すると、露出部分を起点として、プラグの溶損やプラグに対するビレットの焼き付きが生じる。
特許文献3には、溶射皮膜を剥離しにくくするために、溶射皮膜が形成されたプラグ本体に熱処理を施すことが開示されている。特許文献3には、熱処理温度を400〜550℃とすることにより、溶射皮膜中の鉄比率及びマグネタイト比率が高くなり、プラグ本体に対する溶射皮膜の密着性が高まると記載されている。
特許文献4には、プラグ本体と溶射皮膜との接着層としてNi−Cr層を形成し、プラグ本体に対する溶射皮膜の密着性を高めることが開示されている。特許文献3では、Ni−Cr層及び溶射皮膜が形成されたプラグ本体に熱処理を施すことにより、プラグ本体に対する溶射皮膜の密着性をさらに向上させている。
特許文献5〜7には、ビレットの穿孔用のプラグに適用されるものではないが、熱処理によって基材に対する皮膜の密着性を向上させる技術が開示されている。
特許第4279350号公報 特許第5169982号公報 特開2013−248619号公報 国際公開第2014/013963号 特開昭64−11956号公報 特開平3−277764号公報 国際公開第2011/151929号
上述したように、プラグ本体から皮膜が剥離した場合、プラグの溶損やプラグに対するビレットの焼き付きが発生する。このような事態を防止するため、プラグ本体に対する皮膜の密着性は、極力高いことが好ましい。
本開示は、プラグ本体に対する皮膜の密着性を向上させることができるプラグの製造方法を提供することを目的とする。
本開示は、ビレットの穿孔に用いられるプラグの製造方法に関する。プラグの製造方法は、鉄及び鉄酸化物を含有する皮膜が表面上に形成されたプラグ本体を準備する工程と、皮膜が形成されたプラグ本体を700〜1250℃で10分以上保持して、皮膜とプラグ本体との間で相互拡散を生じさせる工程とを備える。
本開示に係るプラグの製造方法によれば、プラグ本体に対する皮膜の密着性を向上させることができる。
図1は、実施形態に係るプラグの部分断面図である。 図2は、実施形態に係るプラグの製造方法の一工程を説明するための図である。 図3Aは、実施形態による効果を説明するための図である。 図3Bは、実施形態による効果を説明するための図である。 図4は、上記実施形態の変形例に係るプラグの部分断面図である。 図5は、上記実施形態の他の変形例に係るプラグの部分断面図である。 図6は、実施例1及び比較例1に係る各試験片の皮膜部分の断面のミクロ観察画像である。 図7は、実施例1及び比較例1に係る各試験片について、皮膜と基材とのせん断密着力を示すグラフである。
実施形態に係るプラグの製造方法は、鉄及び鉄酸化物を含有する皮膜が表面上に形成されたプラグ本体を準備する工程と、皮膜が形成されたプラグ本体を700〜1250℃で10分以上保持して、皮膜とプラグ本体との間で相互拡散を生じさせる工程とを備える(第1の構成)。
第1の構成によれば、皮膜が形成されたプラグ本体に対し、700〜1250℃で10分以上保持する熱処理を施す。これにより、皮膜とプラグ本体との界面において、皮膜に含まれる原子とプラグ本体に含まれる原子との相互拡散が生じる。よって、プラグ本体に対する皮膜の密着性を向上させることができる。
皮膜のうちプラグ本体の先端部上に配置されている部分は、1300μm以上の厚みを有していてもよい(第2の構成)。
プラグ本体の先端部では、穿孔時における負荷が大きいため、皮膜の厚みが大きいことが好ましい。しかしながら、一般に、皮膜の厚みを大きくした場合、プラグ本体から皮膜が剥離しやすくなる。第2の構成によれば、プラグ本体の先端部上の皮膜の厚みが1300μm以上と大きいが、プラグ本体と皮膜との間の相互拡散によってプラグ本体に対する皮膜の密着性が高くなっている。このため、皮膜によってプラグ本体の先端部を効果的に保護しつつ、プラグ本体から皮膜が剥離するのを抑制することができる。
上記準備する工程は、鉄線材を用いたアーク溶射を行ってプラグ本体の表面上に皮膜を形成する工程を含んでいてもよい(第3の構成)。
第3の構成によれば、密着性及び耐摩耗性に優れた皮膜を、プラグ本体の表面上に容易に形成することができる。
以下、実施形態について図面を参照しつつ説明する。図中同一及び相当する構成については同一の符号を付し、同じ説明を繰り返さない。説明の便宜上、各図において、構成を簡略化又は模式化して示したり、一部の構成を省略して示したりする場合がある。
[プラグの構造]
まず、プラグの構造について説明する。図1は、実施形態に係るプラグ10の縦断面図である。図1に示すように、プラグ10は、プラグ本体11と、皮膜12とを備える。
プラグ本体11は、横断形状が円形状であり、その外径は、プラグ本体11の先端から後端に向かって大きくなる。要するに、プラグ本体11の形状は、略砲弾形状である。プラグ本体11は、例えば、鉄基合金で構成される。
皮膜12は、プラグ本体11の表面上に形成される。皮膜12は、プラグ本体11の後端面を除き、プラグ本体11の表面の全体を覆っている。皮膜12の厚みは、全体にわたって一定でなくてもよい。本実施形態に係る皮膜12において、プラグ本体11の先端部11a上に配置されている部分の厚みは、プラグ本体11の胴部11b上に配置されている部分の厚みよりも大きくなっている。
先端部11a上における皮膜12の厚みTは、1300μm以上であることが好ましい。厚みTは、好ましくは3000μm以下である。厚みTは、先端部11aの最先端における膜厚で評価する。
皮膜12は、鉄及び鉄酸化物を含有する。皮膜12は、主として鉄及び鉄酸化物で構成されているが、鉄及び鉄酸化物以外の元素及び/又は化合物をわずかに含む場合もある。皮膜12では、プラグ本体11側から表層側に向かうにつれて鉄の含有率が低く、鉄酸化物の含有率が高くなっていることが好ましい。
図示を省略するが、プラグ本体11と皮膜12との界面には、拡散層が形成されている。拡散層は、後述する拡散熱処理により、プラグ本体11と皮膜12との間で原子が相互に移動して形成される層である。
[プラグの製造方法]
次に、プラグ10の製造方法について説明する。
まず、表面上に皮膜12が形成されたプラグ本体11を準備する。皮膜12は、アーク溶射によってプラグ本体11の表面上に形成することができる。ただし、アーク溶射以外の方法で、プラグ本体11の表面上に皮膜12を形成してもよい。
アーク溶射は、例えば、図2に示すアーク溶射装置4を用いて行うことができる。アーク溶射装置4は、溶射ガン41と、回転台42とを備える。溶射ガン41は、溶射用の線材をアークによって溶融させ、圧縮空気によってノズルから噴霧する。本実施形態では、溶射用の線材として、鉄線材を使用する。鉄線材は、鉄(Fe)を主成分とする炭素鋼(普通鋼)の線材である。典型的には、Feを主成分とし、炭素(C)、シリコン(Si)、マンガン(Mn)及び不純物からなる、いわゆる普通鋼であるが、タングステン(W)等の元素を含有していてもよい。
皮膜12の形成に際し、プラグ本体11をアーク溶射装置4の回転台42に配置する。そして、回転台42によってプラグ本体11を軸周りに回転させながら、このプラグ本体11に対して鉄線材のアーク溶射を行う。これにより、鉄及び鉄酸化物を含有する皮膜12がプラグ本体11の表面上に形成される。皮膜12の形成は、所望の厚みの材料がプラグ本体11の表面上に堆積された時点で終了する。プラグ本体11の先端部11a上には、1300μm以上の厚みの材料が堆積されることが好ましい。先端部11a上に堆積された材料の厚みは、3000μm以下であることが好ましい。
皮膜12は、溶射距離を徐々に長くしながら形成されることが好ましい。溶射距離とは、溶射ガン41のノズルの先端から溶射対象物の表面までの最短距離を指す。皮膜12は、プラグ本体11から所定の距離に溶射ガン41を配置してアーク溶射を開始し、溶射ガン41をプラグ本体11から徐々に遠ざけながらアーク溶射を継続することで形成することができる。
溶射距離が長くなれば皮膜12における溶射材料の酸化物の含有率は高くなる。よって、溶射距離を徐々に長くしながら皮膜12を形成すれば、皮膜12において、プラグ本体11側から表層側に向かうにつれて、鉄の含有率が低く、鉄酸化物の含有率が高くなる。これにより、プラグ本体11と皮膜12との密着性が向上する一方で、皮膜12のうち表層側の熱伝導率が低くなって遮熱性が向上し、プラグ10に対するビレットの焼き付きが抑制される。ただし、皮膜12の形成中、溶射距離を一定に保つこともできる。
次に、皮膜12が形成されたプラグ本体11に対し、拡散熱処理を施す。拡散熱処理は、公知の熱処理炉を用いて実施することができる。具体的には、皮膜12が形成されたプラグ本体11を熱処理炉内に配置し、700〜1250℃で10分以上保持する。拡散熱処理において、より好ましい保持温度(処理温度)は1000〜1200℃、より好ましい保持時間(処理時間)は1〜6時間である。
拡散熱処理は、皮膜12の酸化が進行しにくい雰囲気で行ってもよい。例えば、アルゴンガスや窒素ガス等の不活性ガス雰囲気で、拡散熱処理を行うこともできる。
拡散熱処理は、大気雰囲気(大気中)で行ってもよい。拡散熱処理を大気雰囲気で行う場合、処理時間は20分以下であることが好ましい。
皮膜12が形成されたプラグ本体11を700〜1250℃で10分以上保持することにより、皮膜12とプラグ本体11との界面に拡散層が形成される。これにより、実施形態に係るプラグ10が完成する。
[効果]
本実施形態では、皮膜12が形成されたプラグ本体11に対し、拡散熱処理が施される。これにより、皮膜12とプラグ本体11との間で相互拡散が生じ、プラグ本体11に対する皮膜12の密着性を向上させることができる。この効果について、図3A及び図3Bを参照しつつ、より詳細に説明する。
図3Aは、拡散熱処理を行う前のプラグ本体11の表面付近の断面を模式的に示す図である。プラグ本体11の表面上には、皮膜12が形成されている。
皮膜12が形成されたプラグ本体11に対し、700〜1250℃で10分以上保持する拡散熱処理を施すことにより、図3Bに示すように、プラグ本体11と皮膜12との間で原子が相互に拡散し、プラグ本体11と皮膜12との界面に拡散層が形成される。よって、プラグ本体11と皮膜12との密着性が高くなり、皮膜12がプラグ本体11から剥離するのを抑制することができる。
本実施形態において、プラグ本体11の先端部11a上における皮膜12の厚みTは、好ましくは1300μm以上である。従来のプラグでは、先端部の皮膜の厚みを1300μm以上まで大きくした場合、皮膜が剥離しやすくなるという問題が生じていた。しかしながら、本実施形態では、相互拡散によってプラグ本体11に対する皮膜12の密着性を向上させているため、先端部11a上の皮膜12の厚みTを1300μm以上としても、プラグ本体11からの皮膜12の剥離が生じにくい。すなわち、プラグ本体11からの皮膜12の剥離を抑制しつつ、先端部11aを効果的に保護することができる。
先端部11a上の皮膜12の厚みTは、溶射中の皮膜12の内部への残留応力の蓄積に起因するクラックの発生や、皮膜12の剥離の発生等を抑制する観点から、3000μm以下であることが好ましい。
本実施形態において、拡散熱処理は、大気雰囲気で実施されてもよい。この場合、拡散熱処理の雰囲気を制御する必要がないため、拡散熱処理を行うための設備を簡素化することができる。また、拡散熱処理を大気雰囲気で実施する場合、処理時間を20分以下とすることが好ましい。これにより、拡散熱処理中に皮膜12が酸化するのを抑制することができる。
本実施形態において、皮膜12は、鉄線材を用いたアーク溶射を行ってプラグ本体11の表面上に形成されることが好ましい。アーク溶射は、鉄線材のみを原料とし、短時間で皮膜12を形成することができる。よって、低コスト且つ高能率でプラグ10を製造することができる。また、アーク溶射によって皮膜12を形成することにより、皮膜12の密着性及び耐摩耗性を高めることができる。
以上、実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態では、略砲弾形状のプラグ本体11を用いているが、他の形状を有するプラグ本体を用いることもできる。
図4に示すプラグ20は、先端突出形状のプラグ本体21を備える。プラグ本体21において、先端部21aは、図1に示すプラグ本体11と同様、胴部21bと連続する。ただし、プラグ本体11では先端部11aと胴部11bとが滑らかに連続しているのに対し、プラグ本体21では先端部21aと胴部21bとの間に比較的明確な境界が存在する。先端突出形状のプラグ本体21の先端部21aは、略砲弾状のプラグ本体11の先端部11aよりも円柱に近い形状となっている。
プラグ本体21の胴部21bの側面は、皮膜12によって覆われている。皮膜12は、プラグ本体21の先端部21a上にも配置されている。より詳細には、皮膜12は、先端部21aの先端面上に形成され、先端部21aの側面には形成されていない。このような皮膜12は、先端部21aの側面をマスキングしてアーク溶射を行うことにより形成することができる。
図5に示すプラグ30は、分割形状のプラグ本体31を備える。プラグ本体31において、先端部31aは、胴部31bに対して着脱自在に構成されている。
先端部31aは、その後端面を除き、表面全体が皮膜12によって覆われている。胴部31bも、その後端面を除き、表面全体が皮膜12によって覆われている。拡散熱処理は、プラグ本体31の全体に施されていてもよいし、プラグ本体31の一部に施されていてもよい。例えば、穿孔中における負荷が大きい先端部31aにのみ拡散熱処理を施すことができる。つまり、皮膜12が形成された先端部31aを胴部31bから取り外し、先端部31bだけを700〜1250℃で10分以上保持することができる。
以下、実施例によって本開示をさらに詳しく説明する。ただし、本開示は、以下の実施例に限定されるものではない。
<1.基材と皮膜との密着性の評価>
板状鋼材の試験片(基材)を2つ準備し、表1に示す条件で鉄線材を用いたアーク溶射を行って各試験片に皮膜を形成した。一方の試験片について、皮膜形成の後処理として、アルゴン(Ar)雰囲気及び大気圧下、処理温度:1180℃、処理時間:3時間の拡散熱処理を施した(実施例1)。他方の試験片については、皮膜形成の後処理を実施しなかった(比較例1)。
実施例1及び比較例1に係る各試験片について、皮膜部分の断面のミクロ観察画像を取得した。各ミクロ観察画像を図6に示す。図6より、実施例1の試験片では、基材と皮膜との界面において相互拡散が生じていることがわかる。
図7は、実施例1及び比較例1における基材と皮膜とのせん断密着力を示すグラフである。せん断密着力は、基材に形成された皮膜に対してせん断方向に負荷をかけ、基材から剥離させたときの応力である。図7より、皮膜の形成後に拡散熱処理を実施した実施例1では、皮膜形成後に何ら処理を実施しなかった比較例1よりも、せん断密着力が大幅に上昇していることがわかる。
よって、基材に皮膜を形成した後に拡散熱処理を実施すれば、皮膜と基材とのせん断密着力が著しく向上することを確認できた。
<2.プラグの性能評価(1)>
実施例2、比較例2−1、比較例2−2、及び比較例2−3の各々について、図4に示す先端突出形状のプラグ本体(21)を準備した。各プラグ本体(21)の最大径は56.4mm、全長は129.2mm、材質はC:0.15質量%、W:3.5質量%を含有する鋼である。
実施例2において、鉄線材を用いたアーク溶射により、プラグ本体(21)の表面上に皮膜(12)を形成した。実施例2では、皮膜(12)の形成後、プラグ本体(21)に対し、アルゴン(Ar)雰囲気及び大気圧下、処理温度:1180℃、処理時間:3時間の拡散熱処理を実施した。実施例2では、先端部(21a)上における皮膜(12)の厚み(T)を1500μmとした。
比較例2−1〜2−3でも、鉄線材を用いたアーク溶射により、プラグ本体(21)の表面上に皮膜(12)を形成した。比較例2−1及び2−3では、皮膜(12)の形成後、プラグ本体(21)に対して特に処理を行わなかった。比較例2−2では、皮膜(12)の形成後、プラグ本体(21)に対し、アルゴン(Ar)雰囲気及び大気圧下、処理温度:500℃、処理時間:3時間の熱処理を実施した。比較例2−1及び2−2では、先端部(21a)上における皮膜(12)の厚み(T)を1200μmとしたが、比較例2−3では、実施例2と同様、厚み(T)を1500μmとした。
実施例2及び比較例2−1〜2−3に係るプラグの各々を用いて、1230℃に加熱した直径:70mm、長さ:400mmのSUS304製のビレットの穿孔圧延を繰り返し実施した。実施例2及び比較例2−1〜2−3の各々について、プラグが損傷するまでの穿孔回数(寿命パス数)と、皮膜の剥離状況とを確認した。その結果を表2に示す。
比較例2−1に係るプラグでは、2パス終了後、胴部(21b)において皮膜(12)が大きく剥離した。比較例2−2に係るプラグでも、3パス終了後、胴部(21b)において皮膜(12)の剥離が発生した。比較例2−3に係るプラグでは、1パス終了後、先端部(21a)において皮膜(12)の剥離が発生した。一方、実施例2に係るプラグでは、5パス終了後も、皮膜(12)の剥離は生じていなかった。よって、拡散熱処理によってプラグ本体(21)に対する皮膜(12)の密着性が向上し、皮膜(12)の剥離が抑制されることがわかる。
先端部(21a)における皮膜(12)の厚み(T)が1300μm未満の比較例2−1及び2−2では、先端部(21a)における皮膜(12)の剥離は発生しなかったが、厚み(T)が1300μm以上の比較例2−3では、先端部(21a)における皮膜(12)の剥離が発生した。比較例2−3では、先端部(21a)の変形も発生した。この変形は、先端部(21a)において皮膜(12)が剥離した結果、遮熱性が失われ、先端部(21a)が熱によるダメージを受けて溶損したために生じたものと考えられる。このように、拡散熱処理が施されていない従来のプラグでは、厚み(T)を1300μm以上にすることは難しい。
一方、実施例2では、厚み(T)が1300μm以上であるにもかかわらず、先端部(21a)における皮膜(12)の剥離が発生しなかった。よって、皮膜(12)の形成後に拡散熱処理を実施すれば、先端部(21a)における皮膜(12)の厚み(T)を1300μm以上とすることができ、且つ先端部(21a)における皮膜(12)の剥離を抑制することができる。
<3.プラグの性能評価(2)>
実施例3及び比較例3の各々について、図5に示す分割形状のプラグ本体(31)を準備した。各プラグ本体(31)の最大径は76.9mm、全長は229.4mmである。各プラグ本体(31)の材質は、先端部(31a)がNi基合金、胴部(31b)がC:0.15質量%、W:3.5質量%を含有する鋼である。
実施例3及び比較例3の各々において、鉄線材を用いたアーク溶射により、プラグ本体(31)の表面上に皮膜(12)を形成した。実施例3及び比較例3のいずれも、先端部(31a)における皮膜(12)の厚み(T)は1500μmである。実施例3では、皮膜(12)の形成後、プラグ本体(31)に対し、アルゴン(Ar)雰囲気及び大気圧下、処理温度:1180℃、処理時間:3時間の拡散熱処理を実施した。比較例3では、皮膜(12)の形成後、プラグ本体(31)に対して特に処理を行わなかった。
実施例3及び比較例3に係るプラグの各々を用いて、1200℃に加熱した、直径:65mm、長さ:600mmであって25質量%のCr及び35質量%のNiを含有するビレットの穿孔圧延を繰り返し実施した。実施例3及び比較例3の各々について、プラグが損傷するまでの穿孔回数(寿命パス数)と、皮膜の剥離状況とを確認した。その結果を表3に示す。
比較例3に係るプラグでは、1パス終了後、胴部(31b)上で先端部(31a)寄りの部分、すなわち皮膜(12)の不連続部分において剥離が発生した。一方、実施例3に係るプラグでは、2パス終了後に先端部(31a)が変形したため、3パス目の継続穿孔は不可と判断したが、先端部(31a)及び胴部(31b)の双方において皮膜(12)の剥離は生じていなかった。この結果からも、拡散熱処理によってプラグ本体(31)に対する皮膜(12)の密着性が向上し、皮膜(12)の剥離を抑制できることがわかる。
10,20,30:プラグ
11,21,31:プラグ本体
11a,21a,31a:先端部
12:皮膜

Claims (3)

  1. ビレットの穿孔に用いられるプラグの製造方法であって、
    鉄及び鉄酸化物を含有する皮膜が表面上に形成されたプラグ本体を準備する工程と、
    前記皮膜が形成されたプラグ本体を700〜1250℃で10分以上保持して、前記皮膜と前記プラグ本体との間で相互拡散を生じさせる工程と、
    を備える、プラグの製造方法。
  2. 請求項1に記載のプラグの製造方法であって、
    前記皮膜のうち前記プラグ本体の先端部上に配置されている部分は、1300μm以上の厚みを有する、プラグの製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載のプラグの製造方法であって、
    前記準備する工程は、鉄線材を用いたアーク溶射を行って前記プラグ本体の表面上に前記皮膜を形成する工程を含む、プラグの製造方法。
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