JP2017069453A - 圧電素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】必要なエージング処理のみを行うことができる圧電素子の製造方法を提供する。
【解決手段】第1電極と、第2電極と、これらの間に設けられた圧電体層と、を備え、中間電位を中心として当該中間電位と同極性の電位で上下するユニポーラパルスからなる駆動波形によって駆動される圧電素子の製造方法であって、圧電素子のヒステリシス特性において、最大分極値を1として規格化した前記圧電素子の分極値を規格化分極値として測定しS2、中間電位と同じ電圧における前記圧電素子の規格化分極値が0.7より小さい場合にはS3、規格化分極値が0.7以上になるまで圧電素子に直流電圧を印加してエージング処理を行うS4。
【選択図】図13

Description

本発明は、圧電素子の製造方法に関する。
現在、圧電素子は、液体噴射ヘッドや超音波センサーなど、様々なデバイスに応用されている。このような圧電素子としては、例えば、一対の電極とこれらの電極間に挟持される圧電体層とからなるものが知られている。
圧電素子の特性は、長期駆動による分極のピニングやファティーグによって変化することがある。そのため、生産工程において、いわゆるエージング処理を行うことにより、特性を安定化させる手法がとられることがある(特許文献1参照)。
特開2010−241022号公報
しかしながら、特許文献1では、必ずエージングを行うことを前提としている。よって、不要なエージング処理によって生産工程に無駄が生じてしまう可能性がある。また、特許文献1では、どの程度までエージングを行うべきかについては検討されていない。エージング処理は、素子に高い負荷をかけて安定化を図る技術である。よって、過度なエージング処理は、製品の歩留まりの低下を招く恐れがある。
また、特許文献1には、液体噴射ヘッド用の圧電素子を対象としたエージング処理が紹介されているが、超音波センサー用の圧電素子を対象としたエージング処理については検討されていない。
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、特に、超音波センサー用の圧電素子を対象として、必要なエージング処理のみを行うことができる圧電素子の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の態様は、第1電極と、第2電極と、これらの間に設けられた圧電体層と、を備え、中間電位を中心として当該中間電位と同極性の電位で上下するユニポーラパルスからなる駆動波形によって駆動される圧電素子の製造方法であって、前記圧電素子のヒステリシス特性において、最大分極値を1として規格化した前記圧電素子の分極値を規格化分極値として測定し、前記中間電位と同じ電圧における前記圧電素子の前記規格化分極値が0.7より小さい場合には、前記規格化分極値が0.7以上になるまで前記圧電素子に直流電圧を印加してエージング処理を行うことを特徴とする圧電素子の製造方法にある。
かかる態様では、圧電素子の規格化分極値を測定してエージング処理の要否を判断できるため、不要なエージング処理を行う必要がなく、また、エージング処理を行う場合でも、圧電素子に高い負荷をかけることがないため、歩留まりを低下させることがない。
ここで、前記中間電位と同じ電圧における前記圧電素子の規格化分極値が0.7より大きい場合には、前記エージング処理を行わないことが好ましい。これによれば、無駄なエージング処理を排除することができる。
また、前記エージング処理は、前記駆動波形の最大電位より大きい電圧を印加して行うことが好ましい。これによれば、エージング処理を効率的に行うことができる。
実施形態1に係る超音波デバイスの構成例を示す断面図。 実施形態1に係る超音波センサーの構成例を示す分解斜視図。 超音波素子アレイの構成例を示す拡大斜視図。 実施形態1に係る超音波素子の概略構成を示す平面図。 実施形態1に係る超音波素子の断面図。 実施形態1に係る超音波素子の断面図。 入力波形の例を示す図。 エージング波形の一例を示す図。 ヒステリシス特性を示す図。 図9の一部拡大図。 図9の一部拡大図。 図9の一部拡大図。 実施形態の製造方法を示すフローチャート。 超音波診断装置の一例を示す斜視図。 超音波プローブの一例を示す斜視図。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下の説明は、本発明の一態様を示すものであって、本発明の範囲内で任意に変更可能である。各図において、同じ符号を付したものは、同一の部材を示しており、適宜説明が省略されている。
(実施形態1)
(超音波デバイス)
図1は、本発明の実施形態1に係る超音波センサーを搭載した超音波デバイスの構成例を示す断面図である。図示するように、超音波プローブIは、CAV面型の超音波センサー1と、超音波センサー1に接続されたフレキシブルプリント基板(FPC基板2)と、装置端末(図示せず)から引き出されたケーブル3と、FPC基板2及びケーブル3を中継ぎする中継基板4と、超音波センサー1、FPC基板2及び中継基板4を保護する筐体5と、筐体5及び超音波センサー1の間に充填された耐水性樹脂6とを具備して構成されている。
超音波センサー1からは、超音波が送信される。また、測定対象物から反射された超音波が、超音波センサー1によって受信される。これらの超音波の波形信号に基づき、超音波プローブIの装置端末において、測定対象物に関する情報(位置や形状等)が検出される。
超音波センサー1によれば、後述のように、高い信頼性を確保できる。従って、超音波センサー1を搭載することで、各種特性に優れた超音波デバイスとなる。本発明は、超音波の送信に最適化された送信専用型と、超音波の受信に最適化された受信専用型と、超音波の送信及び受信に最適化された送受信一体型等の何れの超音波センサー1にも適用できる。超音波センサー1を搭載可能な超音波デバイスは超音波プローブIに限定されない。
(超音波センサー)
図2は、超音波センサーの分解斜視図であり、図3は、超音波素子アレイの構成例を示す拡大斜視図である。図4は、本発明の実施形態1に係る超音波素子の概略構成を示す平面図、図5はそのA−A′線断面図、図6はB−B′線断面図である。
超音波センサー1は、超音波素子10と、音響整合層30と、レンズ部材31と、包囲板40と、を含んで構成されている。超音波素子10は、基板11と、振動板50と、圧電素子17と、を含んで構成されている。図2において、包囲板40と支持部材41とが別体に示されているが、実際には両者は一体的に構成されている。
互いに直交する2つの軸をX軸及びY軸とし、X軸及びY軸によって形成される平面をXY平面としたとき、基板11は、XY平面に沿っている。以降、X軸を第1の方向Xと称し、Y軸を第2の方向Yと称し、第1の方向X及び第2の方向Yの何れにも直交するZ軸を第3の方向Zと称する。
基板11には、複数の隔壁19が形成されている。複数の隔壁19により、第1の方向X及び第2の方向Yに沿って、複数の空間20が区画されている。空間20は、第3の方向Zに基板11を貫通するように形成されている。空間20は、二次元状、すなわち、第1の方向Xに複数且つ第2の方向Yに複数形成されている。空間20の配列や形状は、種々に変形が可能である。例えば、空間20は、一次元状、すなわち、第1の方向X及び第2の方向Yの何れか一方の方向に沿って複数形成されてもよい。また、空間20は、第3の方向Zから見たときに長方形状(第1の方向Xと第2の方向Yとの長さの比が1:1以外)であってもよい。
振動板50は、空間20を塞ぐように基板11上に設けられている。以降、振動板50の基板11側の面を第1面50aと称し、第1面50aに対向する面を第2面50bと称する。振動板50は、基板11上に形成された弾性膜12と、弾性膜12上に形成された絶縁体膜13と、によって構成されている。この場合、弾性膜12によって第1面50aが構成され、絶縁体膜13によって第2面50bが構成される。
図示するように、本実施形態の超音波素子10は、例えば、シリコン基板からなる基板11の一面に設けられた二酸化シリコン膜からなる弾性膜12と、酸化ジルコニウムからなる絶縁体膜13上に形成され、第1電極14と、圧電体層15と、第2電極16とからなる圧電素子17から構成される。基板11の圧電素子17に対応する領域には開口部18が形成され、開口部18は隔壁19により区切られている。
基板11は例えばシリコン単結晶基板を用いることができるが、これに限定されるものではない。本実施形態では、二酸化シリコン等からなる弾性膜12と、酸化ジルコニウム等からなる絶縁体膜13とで振動板50を構成するが、これに限定されるものではなく、何れか一方でもよく、又は他の膜としてもよい。
絶縁体膜13上には、必要に応じて密着層を介して第1電極14と、厚さが3μm以下、好ましくは0.3〜1.5μmの薄膜である圧電体層15と、第2電極16と、からなる圧電素子17が形成されている。ここで、圧電素子17は、第1電極14、圧電体層15及び第2電極16を含む部分をいう。
一般的には、圧電素子17を駆動する場合、何れか一方の電極を共通電極とし、他方の電極を個別電極とするが、超音波素子10では、複数の超音波素子10毎に駆動し、スキャンすることが行われるので、何れか一方が共通電極で他方が個別電極という区別は現実的ではない。何れにしても、超音波素子10を一次元的又は二次元的に並列させた態様とする場合には、第1電極14を一方向に亘るように設け、第2電極16を一方向に直交する方向に亘るように設け、適宜選択した第1電極14と第2電極16との間に電圧を印加することにより、所定の圧電素子17のみを駆動することができる。また、所定の圧電素子17を選択する際に、一列又は複数列を一つのグループとして選択して駆動することが一般的に行われる。本実施形態では、第1電極14は4列が束ねられて共通化されている。これを仮に1チャンネルと呼び、このチャンネルは第1の方向Xに亘って複数設けられている。また、第2電極16は、第1の方向Xに沿って一列に連続して設けられ、第2の方向Yに沿って複数列設けられている。
このような構成においては、第2電極16の全ての列を共通化して、1チャンネル内の全ての圧電素子17を同時に駆動し、順次各チャンネルを駆動すると、第1の方向Xに沿った1次元のデータが取得できる。
また、第2電極16を1列毎、又は複数列毎に共通化し、1チャンネル内の圧電素子17を第2電極16で共通化してグループ毎に順次駆動し、順次各チャンネルを駆動すると、XY方向の2次元データが取得できる。
また、ここでは圧電素子17と、当該圧電素子17の駆動により変位が生じる振動板50である弾性膜12及び絶縁体膜13と、を合わせてアクチュエーター装置と称する。上述した例では、弾性膜12及び絶縁体膜13と、必要に応じて設けられる密着層と、第1電極14と、が振動板50として作用するが、これに限定されるものではない。例えば、振動板50を設けず、圧電素子17自体が実質的に振動板としての機能を兼ねるようにしてもよい。
第1電極14や第2電極16は導電性を有するものであれば制限されず、例えば白金(Pt)、イリジウム(Ir)、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)、ステンレス鋼等の金属材料、酸化インジウムスズ(ITO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)等の酸化スズ系導電材料、酸化亜鉛系導電材料、ルテニウム酸ストロンチウム(SrRuO)、ニッケル酸ランタン(LaNiO)、元素ドープチタン酸ストロンチウム等の酸化物導電材料や、導電性ポリマー等を用いることができる。ただし、前記の材料に制限されない。
圧電体層15は、代表的にはチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)系のペロブスカイト構造の複合酸化物を用いることができる。これによれば、圧電素子17の変位量を確保しやすくなる。
また、圧電体層15は、鉛を含まないもの、例えば少なくともビスマス(Bi)、バリウム(Ba)、鉄(Fe)及びチタン(Ti)を含むペロブスカイト構造の複合酸化物を用いることもできる。これによれば、環境への負荷が少ない非鉛系材料を用いて超音波素子10を実現できる。
このようなペロブスカイト型構造、すなわち、ABO型構造のAサイトは、酸素が12配位しており、また、Bサイトは酸素が6配位して8面体(オクタヘドロン)をつくっている。鉛を含まない上記の圧電体層15の例では、AサイトにBi、Ba及びLiが、BサイトにFe、Tiが位置している。
Bi、Ba、Fe及びTiを含むペロブスカイト構造を有する複合酸化物では、その組成式は(Bi、Ba)(Fe、Ti)Oとして表されるが、代表的な組成としては、鉄酸ビスマスとチタン酸バリウムとの混晶として表されるものである。かかる混晶は、X線回折パターンで、鉄酸ビスマスやチタン酸バリウムが単独では検出できないものをいう。混晶の組成から外れる組成も含むものである。
ここでのペロブスカイト構造の複合酸化物には、欠損・過剰により化学量論の組成からずれたものや、元素の一部が他の元素に置換されたものも含まれる。すなわち、ペロブスカイト構造を取り得る限りにおいて、格子不整合、酸素欠損等による不可避な組成のずれは勿論、元素の一部置換等も許容される。
そして、ペロブスカイト構造の複合酸化物の構成は前記の例に制限されず、他の元素を含んで構成してもよい。例えば圧電体層15は、マンガン(Mn)をさらに含むことが好ましい。これによれば、リーク電流を抑制しやすくなり、例えば非鉛系の材料として信頼性の高い超音波素子10を実現できる。
圧電体層15のAサイトのBiをリチウム(Li)、サマリウム(Sm)、セリウム(Ce)等で置換するようにしてもよく、BサイトのFeをアルミニウム(Al)、コバルト(Co)等で置換するようにしてもよい。これによれば、各種特性を向上させて構成や機能の多様化を図りやすくなる。これら他の元素を含む複合酸化物である場合も、ペロブスカイト構造を有するように構成されることが好ましい。
図3に示すように、超音波センサー1は、一般的に、超音波素子10を第1の方向X及びこれに直交する第2の方向Yに、二次元的に並設しており、第1の方向Xをスキャン方向、第2の方向Yをスライス方向とする。図3に示す構成例では、スライス方向である第2の方向Yに、16個の超音波素子10が並設され、スキャン方向である第1の方向Xには64個の超音波素子10が並設されているが、図3には、それぞれその一部のみを示している。このような超音波センサー1では、スキャン方向にスキャンしながら、スライス方向に延びる列毎に駆動、すなわち、超音波の送信及び受信を行うことにより、スライス方向のセンシング情報を、スキャン方向に連続して取得することができる。
図3の構成例において、第1電極14は、第2の方向Y、すなわち、スライス方向に延びる列毎に共通であり、本実施形態では、4列毎に共通化し、4列1チャンネル毎に駆動可能となっている。一方、第2電極16は、第1の方向X、すなわち、スキャン方向に延びる列毎に連続して設けられ、全ての列を共通化して接続している。
音響整合層30は、空間20内に設けられている。音響整合能を有する樹脂等が基板11の開口部18等内に充填されて音響整合層30が設けられることで、圧電素子17及び測定対象物の間で音響インピーダンスが急激に変化することを防止でき、その結果、超音波の伝播効率が低下することを防止できる。音響整合層30は、例えばシリコーンオイル、シリコーン樹脂又はシリコーンゴムから構成できるが、前記の例に限定されず、超音波センサー1の用途等に応じた材料を適宜選択して用いることができる。
レンズ部材31は、基板11の振動板50とは反対側に設けられている。レンズ部材31は、超音波を収束させる役割を有している。超音波を電子フォーカス法で収束させる場合等、レンズ部材31は省略可能である。ここでは、上記の音響整合層30が、レンズ部材31と基板11との接着機能も有している。レンズ部材31と基板11(隔壁19)との間に音響整合層30を介在させ、超音波センサー1が構成されている。
レンズ部材31を超音波素子10に実装する際や、レンズ部材31の実装後にレンズ部材31の密着性を確保する際に、レンズ部材31を音響整合層30側に押圧することがある。レンズ部材31を具備していない場合や、レンズ部材31の代わりに他の部材を設けた場合にも、各部の密着性を確保するため、音響整合層30側から振動板50に押圧力を付すこともある。超音波センサー1では、支持部材41を具備して構成されているため、上記の通り、所定の外圧が振動板50に加わったとしても、構造歪みが生じることを抑制でき、高い信頼性を確保できる。
包囲板40は、振動板50の第2面50b側に設けられている。包囲板40の中央には凹部(圧電素子保持部32)が形成され、この圧電素子保持部32の周囲は、包囲板40の縁部40a(図2等参照)とされている。圧電素子保持部32によって、圧電素子17の周囲の領域(圧電素子17の上面及び側面を含む領域)が覆われる。従って、圧電素子保持部32の底面に相当する面が、包囲板40の圧電素子17側の面40bとなる。
包囲板40は、縁部40aにおいて超音波素子10側に接合されている。包囲板40の接合は、接着剤(図示せず)を用いることができるが、前記の例に限定されない。圧電素子保持部32の深さ、すなわち第3の方向Zの長さは、約80μmであるが、前記の値に限定されない。圧電素子保持部32の深さは、圧電素子17の駆動を阻害しない程度のスペースが確保される値であればよい。また、圧電素子保持部32は、空気で満たされていてもよく、樹脂で満たされていてもよい。包囲板40の厚さは、約400μmであるが、前記の値に限定されない。
超音波センサー1には、包囲板40の圧電素子17側の面と振動板50の第2面50bとの間、且つ、圧電素子17と重ならない位置に、支持部材41が設けられている。これによれば、支持部材41により振動板50を支持できる。このため、例えば、レンズ部材31を実装する際や、レンズ部材31の実装後にレンズ部材31の密着性を確保する際、音響整合層30側から所定の圧力が振動板50に加わったとしても、振動板50が圧電素子保持部32内に大きく撓むことが防止される。よって、構造歪みが生じることを抑制でき、高い信頼性を確保できる。
支持部材41は、圧電素子17と重ならない位置に設けられている。このため、圧電素子17が支持部材41によって過度に拘束されることが回避される。よって、支持部材41を設けていない場合と比べ、超音波の送信効率や受信効率が過度に低下することも防止される。
圧電素子17と重ならない位置とは、第3の方向Zから見たとき、能動部(第1電極14と第2電極16とで挟まれた部分)に重ならない位置である。特に、超音波センサー1では、隔壁19よりも狭い幅を有している支持部材41が、隣り合う空間20間に設けられている。つまり、超音波センサー1では、第3の方向Zから見たとき、支持部材41が、可動部(振動板50の第2面50b側のうち空間20に対応する部)にすら重なっていない。このため、支持部材41を設けていない場合と比べ、超音波送信効率や受信効率が過度に低下することが確実に防止される。支持部材41は、接着剤(図示せず)により超音波素子10側に接合されているが、接合の手法は前の例に限定されない。
支持部材41は、第2の方向Yに沿って延びる梁形状を有している。これによれば、第2の方向Yに亘る広い範囲で振動板50を支持できる。梁形状の支持部材41は、第1の方向Xではなく、第1の方向Xに沿って延在していてもよい。梁形状の支持部材41は延在する片方の端部が、包囲板40の縁部40aから離れていてもよい。延在方向の少くとも片方の端部が包囲板40の縁部40aに接していれば、梁形状の支持部材41に挟まれる。
梁形状の支持部材41は、包囲板40をウエットエッチングすることで作製されたものである。このように、支持部材41は、包囲板40の構成材料を活かして作製されており、包囲板40と同一の構成を有している。ウエットエッチングは、例えばドライエッチングに比べ、加工精度は劣るものの、短時間で多くの領域を削ることができるため、梁形状の支持部材41を作製するのには好適な手法である。
圧電素子保持部32の中心部分は、包囲板40の縁部40aから比較的離れている。従って、振動板50において、圧電素子保持部32の中心部分に対応する中心箇所C(図2等参照)では、支持部材41がない場合に剛性が低くなりやすい。そこで、支持部材41は、そのような振動板50の中心箇所Cを支持するように設けられている。これにより、より高い信頼性を確保できる。
本発明において、支持部材の数、配置、形状等は種々に選択が可能である。例えば、支持部材41は複数であってもよい。その場合、支持部材41は、圧電素子保持部32内に等間隔に設けられることが好ましい。これによれば、振動板50をまんべんなく支持できる。従って、振動板50の数は、3つ以上の奇数であることが好ましい。これは、圧電素子保持部32内に支持部材41を等間隔に設けたとき、その真ん中の支持部材41が、振動板50の中心箇所Cの近傍に位置し得るためである。例えば、支持部材41の数は、3つ程度であるとバランスがよい。
支持部材41は、振動板50の中心箇所Cからずれた部分のみに設けられてもよい。支持部材41は、梁形状を有していなくてもよい。支持部材41は、延在方向に直線状でなくてもよい。支持部材41の作製手法によっては、支持部材41のXY平面の断面積が第3の方向Zに応じて異なる態様となる場合があるものの、かかる態様も、振動板50を支持できる限り、本発明の支持部材41に含まれる。
<試験例>
以下の実施例の超音波素子について、製造後の初期、及び耐久試験後において、反射受信電圧を測定した。
(実施例の超音波センサー)
基本的な構造は、上述した超音波センサー1と同様な構造であり、圧電体層15は、厚さ1200nmのPZTとし、開口部18は大きさが33μm×66μmでアスペクト比1:2の長方形であり、各開口部18毎に超音波素子10が形成されている。
また、超音波センサー1は、1チャンネル36セグメントであり、全64チャンネルを有する。
(測定方法)
水中において、超音波センサー1の1チャンネル36の超音波素子10に図7に示すパルスを入力して超音波を送信し、20mm先のSUS板から反射された超音波を受信し、オシロスコープで受信電圧を計測し、初期の素子と耐久後の素子の反射受信電圧を比較した。
図7に示す入力パルスAは、中間電位が10Vで、中間電位から20Vまで電圧を上昇させる第1工程と、20Vを保持する第1保持工程と、20Vから0Vまで電位を降下させる第1降下工程と、0Vを保持する第2保持工程と、0Vから20Vまで電位を上昇させる第2上昇工程と、20Vを保持する第3保持工程と、電位を20Vから10Vまで降下させる第2降下工程とからなる、モノポーラの波形であり、中間電位10V、±10V、周波数7.5MHzの1.5波の波形を10kHz間隔で繰り返す波形である。また、入力パルスBは、中間電位が15Vで、±15V、周波数7.5MHzの1.5波の波形を10kHz間隔で繰り返す波形である。
(耐久条件)
耐久後の素子とは、温度60℃、湿度90%RHの高温高湿槽内で、図8に示す耐久パルスを、500時間、180億ショット印加した素子である。なお、耐久パルスは、中間電位15V、±15Vのパルス周波数4MHzで1波の波形を10kHz間隔で繰り返す波形である。
表1に初期及び耐久試験後の素子について、図7の入力パルスA及びBをそれぞれ印加した際の反射受信電圧を示す。また、表1には、初期と耐久試験との反射受信電圧の変化率を示す。この結果より、入力波形Aを用いた場合には、初期と耐久試験後との比較で変化率が29%と大きかったが、入力波形Bの場合には、変化率は3%と小さく変動はほとんど見られなかった。
(ヒステリシス測定)
初期と耐久試験後の素子について、±30V、1kHzの三角波を用いてヒステリシス特性を測定し、結果を図9〜図11に示す。これらの図は、最大分極値Pmで規格化したものであり、図10及び図11は、図9の部分拡大図である。
これらの図に示すように、規格化分極値を観察すると、電圧10Vでは、初期の素子については0.6にも満たないが、耐久試験後には0.7になり、電圧15Vでは、初期においても耐久試験後の素子においても、0.7を超えていた。
Figure 2017069453
表1の反射受信電圧変化率と併せて判断すると、規格化分極値が0.7を超える電圧を中間電位とする波形を用いる駆動では、反射受信電圧が長期に亘って安定するが、初期の規格化分極値が0.7より小さい電圧を中間電位とする波形を用いる駆動では、長期に亘って駆動すると、反射受信電圧が大きく変化してしまうことがわかった。
これより、駆動波形の中間電位における初期の規格化分極値を測定した結果、0.7以上の場合には、エージング処理をしなくても、長期に亘って安定した反射受信電圧を受信することができるが、0.7より小さい場合には、エージング処理を行い、エージング後の規格化分極値を、耐久試験後の素子と同様に0.7以上とすることにより、その後、長期に亘って安定して使用することができることがわかった。
(DCエージング処理)
エージング処理の手法は特に限定されないが、DC電圧を所定時間に印加した際の規格化分極値を測定することにより、規格化分極値が0.7以上とするためのエージング条件がどの程度が好ましいかを探った。
DC電圧は40Vと、入力パルスAの最大電位より10V大きな電位とし、これを10分間、30分間、60分間、120分間印加した際の10Vの規格化分極値を測定した。この結果を表2及び図12に示す。
Figure 2017069453
この結果、DC40Vを所定時間印加するエージング処理を行う場合には、印加時間と規格化分極値とはほぼ比例し、規格化分極値が0.7となるまでエージングを行う場合には、314分間の印加が必要であることがわかった。
なお、上述したパルス耐久試験後の10Vの規格化分極値は0.7であるから、入力パルスAを用いて駆動する場合には、パルス耐久試験と同様なエージング処理を行っても良いことはいうまでもない。
以上の試験例を踏まえ、実施形態の超音波センサーの製造方法の一例について、図13のフローチャートを参照しながら説明する。
常法に従い、超音波センサーを製造した後、まず、ステップS1で製造した超音波センサーについて、ヒステリシス特性を測定し(ステップS1)、駆動波形の中間電位に対応する電圧の規格化分極値を取得する(ステップS2)。ここで、規格化分極値が0.7以上の場合には(ステップS3;Yes)、エージング処理を行うことなく、そのまま製品とする。一方、駆動波形の中間電位に対応する電圧の規格化分極値が0.7より小さい場合には(ステップS3;No)、エージング処理を行い(ステップS4)、規格化分極値が0.7以上の素子とした後、製品とする。
これにより、駆動波形の中間電位に対応する電圧の規格化分極値が0.7より小さい場合についてのみ、エージング処理を行うので、無駄なエージング処理を行う必要が無く、プロセスの無駄を省くことができる。また、駆動波形の中間電位に対応する電圧の規格化分極値が0.7より小さい場合については、エージング処理を行い、駆動波形の中間電位に対応する電圧の規格化分極値が0.7以上の製品として出荷することができるので、長期に亘って安定して使用できる圧電素子をすることができる。また、エージング処理を行う際に、駆動波形の中間電位に対応する電圧の規格化分極値が0.7以上となる程度に行えばよいので、過度な負荷のエージング処理を行うことがなく、歩留まりを向上することができる。
(他の実施形態)
以上説明した各本実施形態では説明は省略したが、例えば、振動板50の圧電素子17とは反対側が、測定対象物に向けて発信される超音波や測定対象物から反射した超音波(エコー信号)の通過領域となる構成とすることができる。これによれば、振動板50の圧電素子17とは反対側の構成を簡素化させ、超音波等の良好な通過領域を確保できる。また、電極や配線等の電気的領域や各部材の接着固定領域を測定対象物から遠ざけて、これらと測定対象物との間での汚染や漏れ電流を防止しやすくなる。従って、汚染や漏れ電流を特に嫌う医療用の機器、例えば超音波診断装置、血圧計及び眼圧計にも好適に適用できる。
さらに、上述した実施形態では省略したが、圧電素子17を含む領域を封止する封止板を基板11に接合するのが好ましい。これによれば、圧電素子17を物理的に保護でき、また超音波センサー1の強度も増加するため、構造安定性を高めることができる。更に、圧電素子17が薄膜として構成される場合には、その圧電素子17を含む超音波センサー1のハンドリング性も向上させることができる。
また、上述した実施形態では、開口部18は、圧電素子17毎に形成した例を示したが、これに限定されず、複数の圧電素子17に対応して開口部18を形成してもよい。例えば、スキャン方向に亘って並設される圧電素子17の列に共通する開口部18を設けてもよく、又は全体に1つの開口部18としてもよい。なお、このような複数の圧電素子17に対して共通する開口部18を設けた場合には、圧電素子17の振動状態が異なるようになるが、振動板50の基板11とは反対側から、各圧電素子17の間を押さえ込む部材等を設けて、独立した開口部18を設けた場合と同様な振動を行うようにしてもよい。
ここで、上述した超音波センサーを用いた超音波診断装置の一例について説明する。図14は超音波診断装置の一例の概略構成を示す斜視図、図15は超音波プローブを示す側面図である。
これらの図に示すように、超音波診断装置101は、装置端末102と超音波プローブ(プローブ)103とを備える。装置端末102と超音波プローブ103とはケーブル104で接続される。装置端末102と超音波プローブ103とはケーブル104を通じて電気信号をやりとりする。装置端末102にはディスプレイパネル(表示装置)105が組み込まれる。ディスプレイパネル105の画面は、装置端末102の表面に露出する。装置端末102では、超音波プローブ103の超音波センサー1から送信され、検出された超音波に基づき画像が生成される。画像化された検出結果は、ディスプレイパネル105の画面に表示される。
超音波プローブ103は、筐体106を有する。筐体106内には、複数の超音波素子10が第1の方向X及び第2の方向Yの二次元に配列された超音波センサー1が収納される。超音波センサー1は、その表面が筐体106の表面に露出するように設けられる。超音波センサー1は、表面から超音波を出力すると共に、超音波の反射波を受信する。また、超音波プローブ103は、プローブ本体103aに着脱自在となるプローブヘッド103bを備えることができる。このとき、超音波センサー1はプローブヘッド103bの筐体106内に組み込まれることができる。なお、超音波センサー1は、超音波素子10が、第1の方向X及び第2の方向Yに二次元に配列されて構成される。
I…超音波プローブ、1…超音波センサー、2…FPC基板、3…ケーブル、4…中継基板、5…筐体、6…耐水性樹脂、10,10A…超音波素子、11…基板、12…弾性膜、13…絶縁体膜、14…第1電極、15…圧電体層、16…第2電極、17…圧電素子、18…開口部、19…隔壁、20…空間、30…音響整合層、31…レンズ部材、32…圧電素子保持部、40…包囲板、40a…包囲板の縁部、40b…包囲板の圧電素子側の面、41…支持部材、50…振動板、50a…第1面、50b…第2面、101…超音波診断装置、102…装置端末、103…超音波プローブ(プローブ)、103a…プローブ本体、103b…プローブヘッド、104…ケーブル、105…ディスプレイパネル、106…筐体

Claims (3)

  1. 第1電極と、第2電極と、これらの間に設けられた圧電体層と、を備え、中間電位を中心として当該中間電位と同極性の電位で上下するユニポーラパルスからなる駆動波形によって駆動される圧電素子の製造方法であって、
    前記圧電素子のヒステリシス特性において、最大分極値を1として規格化した前記圧電素子の分極値を規格化分極値として測定し、
    前記中間電位と同じ電圧における前記圧電素子の前記規格化分極値が0.7より小さい場合には、前記規格化分極値が0.7以上になるまで前記圧電素子に直流電圧を印加してエージング処理を行うことを特徴とする圧電素子の製造方法。
  2. 前記中間電位と同じ電圧における前記圧電素子の前記規格化分極値が0.7より大きい場合には、前記エージング処理を行わないことを特徴とする請求項1に記載の圧電素子の製造方法。
  3. 前記エージング処理は、前記駆動波形の最大電位より大きい電圧を印加して行うことを特徴とする請求項1に記載の圧電素子の製造方法。
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