JP2017069349A - コイル部品 - Google Patents

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Abstract

【課題】自動巻線機を用いて導線をコアに対して容易に巻回させることが可能なコイル部品を提供する。【解決手段】コイル部品10は、巻芯部21と、この巻芯部21の一端側に設けられている第1鍔部22と、巻芯部21の他端側に設けられている第2鍔部23と、を備える第1コア20と、導線W1を巻回することで形成されると共に、巻芯部21の一方側に位置する状態で配置されている第1コイル40と、上述の導線W1とは異なる導線W1を巻回することで形成されると共に、巻芯部21の他方側に位置しつつ第1コイル40とはスペースSを有する状態で配置されている第2コイル50と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、コイル部品に関する。
近年、USB(Universal Serial Bus)を始めとする高周波の差動伝送方式が電子機器等で多用されている。このような電子機器においては、高速のノーマルモードの信号を通しつつ、大地面と電気機器(配線)の間に存在する浮遊容量によって生じたコモンモードノイズを除去するために、コモンモードチョークコイルが一般的に用いられている。かかるコモンモードノイズを除去するためには、たとえば特許文献1に記載のようなコモンモードチョークコイルが用いられている。
特許文献1においては、閉磁路を構成するロ字形状(O字形状)のコアが設けられている。コアには、一対の巻芯部が設けられていて、それぞれの巻芯部に導線を巻回することで、一対の巻線部が形成されている。
特開2005−72038号公報
ところで、特許文献1に開示の構成においては、ロ字形状(O字形状)のコアに対して導線の巻回が行い難いという問題がある。したがって、自動巻線機を用いて導線を巻回させる場合、その工程が複雑になってしまい、導線を巻回する際のスピードが著しく落ちてしまう。また、自動巻線機を使わずに人手によって導線を巻回することも考えられる。しかしながら、人手による巻回では、上述と同様に巻回の際のスピードが落ちてしまう。また、人手による巻回では、品質面でバラつきが生じ易いという問題もある。
本発明は、かかる問題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、自動巻線機を用いて導線をコアに対して容易に巻回させることが可能なコイル部品を提供しよう、とするものである。
上記課題を解決するために、本発明は、巻芯部と、この巻芯部の一端側に設けられている第1鍔部と、当該巻芯部の他端側に設けられている第2鍔部と、を備える第1コアと、導線を巻回することで形成されると共に、巻芯部の一方側に位置する状態で配置されている第1コイルと、上述の導線とは異なる導線を巻回することで形成されると共に、巻芯部の他方側に位置しつつ第1コイルとはスペースを有する状態で配置されている第2コイルと、を備えることを特徴としている。
また、本発明のコイル端末の接続構造の他の側面は、上述の発明に加えて更に、第1鍔部には、一対の端子部材が取り付けられていて、第1コイルのそれぞれの端末は、一対の端子部材にそれぞれ電気的に接続されると共に、第2鍔部には、一対の端子部材が取り付けられていて、第2コイルのそれぞれの端末は、一対の端子部材にそれぞれ電気的に接続される、ことが好ましい。
さらに、本発明のコイル端末の接続構造の他の側面は、上述の発明に加えて更に、第2コアを備え、この第2コアは、一対の側壁部と、これら一対の側壁部を連結するように設けられている底板部とを備えていて、一対の側壁部と底板部とで囲まれた巻枠部に第1鍔部と第2鍔部が位置する状態で、第1コアと第2コアとが取り付けられている、ことが好ましい。
また、本発明のコイル端末の接続構造の他の側面は、上述の発明に加えて更に、端子部材には、実装部と、係止部とが設けられていて、実装部は、第1鍔部または第2鍔部のうち外部の実装基板と対向する側に位置し、かつその実装基板の接続部位に実装される部位であり、係止部は、第1鍔部または第2鍔部のうち実装部が位置する面側とは反対側の面側に位置していて、底板部には、切欠部が設けられていて、この切欠部には係止部が入り込んでいる、ことが好ましい。
さらに、本発明のコイル端末の接続構造の他の側面は、上述の発明に加えて更に、端子部材には、側壁腕部と、絡げ部とが設けられていて、側壁腕部は、実装部から係止部側に向かい第1鍔部または第2鍔部の壁面に沿うように延伸していて、絡げ部は、側壁腕部の延伸方向における端部において第1鍔部または第2鍔部の壁面から離間する方向に向かうように折り曲げられている、ことが好ましい。
本発明によると、コイル部品において、自動巻線機を用いて導線をコアに対して容易に巻回させることが可能となる。
本発明の一実施の形態に係るコイル部品の全体を示す斜視図である。 図1のコイル部品の構成を示す分解斜視図である。 図1のコイル部品の蓋コアの構成を示す斜視図である。 図1のコイル部品の端子部材60の構成を示す斜視図である。 本発明の変形例に係るドラムコアの巻芯部の断面形状を示す図である。 本発明の別の変形例に係るドラムコアの巻芯部の断面形状を示す図である。 本発明のさらに別の変形例に係るドラムコアの巻芯部の断面形状を示す図である。 本発明のさらに別の変形例に係るドラムコアの構成を示す側面図である。
以下、本発明の一実施の形態に係るコイル部品10について、図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を用いて説明することがある。そのうち、X方向は巻芯部21の長手方向とし、X1側は第1鍔部22が位置する側(図1において右側かつ手前側)とし、X2側は第2鍔部23が位置する側(図1において左側かつ奥側)とする。また、Z方向は端子部材60の高さ方向とし、Z1側は係止部63が位置する側(図1において奥側;上側)とし、Z2側は実装部62が位置する側(図1において手前側;下側)とする。また、Y方向はドラムコア20および蓋コア30の幅方向とし、Y1側は図1における右側かつ奥側とし、Y2側は図1における左側かつ手前側とする。
<コイル部品の構成について>
図1は、コイル部品10の全体を示す斜視図である。図2は、コイル部品10の構成を示す分解斜視図である。図1および図2に示すように、コイル部品10は、ドラムコア20と、蓋コア30と、第1コイル40と、第2コイル50と、端子部材60とを有している。このコイル部品10は、たとえばコモンモードチョークコイルとして用いられるものである。以下、構成の詳細について説明する。
ドラムコア20は、第1コアに対応している。このドラムコア20は、巻芯部21と、第1鍔部22と、第2鍔部23と、を有していて、これら巻芯部21、第1鍔部22および第2鍔部23で囲まれる部分が、第1コイル40および第2コイル50が配置される巻枠部24となっている。
巻芯部21は、その形状が円柱状に設けられている。この巻芯部21には、第1コイル40および第2コイル50が取り付けられるため、その取り付けに対応した長さを有している。
また、第1鍔部22および第2鍔部23は、巻芯部21の長手方向(X方向)の両端側に取り付けられている。なお、第1鍔部22と第2鍔部23とはコイル部品10の長手方向(X方向)における中心を挟んで対称形状に設けられている。以下の説明では、第1鍔部22と第2鍔部23とを区別する必要がない場合は、単に鍔部22,23と称呼する場合がある。これら第1鍔部22および第2鍔部23は、図1および図2に示す構成では、巻芯部21の直径よりも一辺の長さが長い四角柱形状に設けられているが、X方向における長さは、巻芯部21よりも短く設けられている。なお、第1鍔部22および第2鍔部23のX方向における長さは、巻芯部21が磁気飽和しない状態では磁気飽和し難いのは勿論であるが、後述する端子部材60を取り付けし易い程度の長さともなっている。
なお、本実施の形態では、第1鍔部22および第2鍔部23を正面視した形状が略正方形状となっているが、その他の形状であっても良い。また、本実施の形態では、巻芯部21の軸心は、第1鍔部22および第2鍔部23の中心位置と概ね一致しているが、一致していなくても良い。たとえば、巻芯部21の軸心は、第1鍔部22および第2鍔部23の中心位置に対して、上方側(Z1側)へ偏芯させることができる。このようにすることにより、第1コイル40と第2コイル50が実装基板から離れる構成とすることができるので、電気ショートを防止することができる。
ここで、図2に示すように、巻芯部21の鍔部22,23に対する付け根部分では、湾曲部分21aが設けられていて、巻芯部21と鍔部22,23との境界部分に応力集中が生じるのを防いでいる。なお、この湾曲部分21aの半径は、導線W1の半径と同等とする場合がある。上述のように同等する場合には、最も鍔部22,23側に位置する導線W1を、これら鍔部22,23に接触させることができ、応力集中を防止しながらも巻数を増やすことができる。しかしながら、湾曲部分21aの半径は、導線W1の半径以下とすることも可能であり、導線W1の半径よりも大きいものとすることも可能である。
図1および図2に示すように、蓋コア30は、ドラムコア20に嵌合して取り付けられる部分であり、第1コイル40および第2コイル50の上側(Z1側)を覆う部分である。この蓋コア30は、第2コアに対応している。図3は、蓋コア30の構成を示す斜視図である。図3に示すように、蓋コア30は、底板部31と、一対の側壁部32とを有している。底板部31は、図3に示すように、所定の厚みを有する板状のコア部分である。この厚みは、磁気飽和が生じ難く、かつ生産の際や取付後に、欠け等が生じない程度の強度を有していれば、いかなる厚みでも良い。
この底板部31は、矩形状の四隅を切り欠いた形状に形成されている。なお、かかる切り欠いた部分は、側壁部32の間に位置している。以下の説明では、この切り欠いた部分を切欠部31aと称呼する。この切欠部31aは、後述する係止部63が入り込む部分となっている。
また、側壁部32は、底板部31の幅方向(Y方向)の縁部に連なる部分であり、その縁部からZ2側に向かうように立設されている部分である。この側壁部32を設けることにより、蓋コア30をドラムコア20に取り付ける場合、ドラムコア20の鍔部22,23を2つの側壁部32の間に嵌めることで、蓋コア30の幅方向(Y方向)での位置が正確に決められる。よって、蓋コア30を簡単に取り付けることができる。ただし、図2に示すように、側壁部32のZ方向における寸法は、鍔部22,23のZ方向における寸法よりも小さく設けられている。したがって、側壁部32の高さは、鍔部22,23の高さ方向の中途部分までの高さとなっている。なお、側壁部32の高さは、ドラムコア20の幅方向(Y方向)の位置決めを行えれば、どのような高さであっても良い。
この側壁部32においては、X1側の端部位置およびX2側の端部位置が、底板部31のX1側の端部位置およびX2側の端部位置と略一致するように設けられている。したがって、ドラムコア20の鍔部22,23に対する接触面積を大きく確保することが可能となっている。また、上述のように端部位置を略一致させることにより、蓋コア30を形成する場合に、削り出しや金型を用いたプレス加工によって形成する場合でも、切削工数を少なくしたり、金型内部の加工を少なくすることが可能となる。
なお、側壁部32の厚みは、底板部31の厚みよりも薄く設けられている。これは、第1コイル40と第2コイル50とで発生した磁束は、主として、巻芯部21、鍔部22,23および底板部31を結ぶ閉ループを通るためであり、側壁部32は、磁束が通る部分としては補助的な部分であるためである。また、側壁部32の厚みを底板部31よりも薄く形成することにより、コイル部品10の幅方向(Y方向)の寸法を抑えることができる。
また、図1に示すように、側壁部32の上下方向(Z方向)の寸法は、鍔部22,23の上下方向(Z方向)の寸法の半分よりも小さくなっている。このため、側壁部32の下面(Z2側の面)と絡げ部65の間には、絡げ部65に導線W1を絡げ、半田付け等を行うためのスペースを確保し易くなっている。
なお、側壁部32の上下方向(Z方向)の寸法は、鍔部22,23の上下方向(Z方向)の寸法の1/3程度か、または1/3から1/2の間か、または1/4から1/3の間であることが好ましい。側壁部32の上下方向(Z方向)の寸法が、鍔部22,23の上下方向(Z方向)の寸法の1/3から1/2である場合には、巻芯部21から上方側(Z1側)または斜め上方側に向かうような磁束漏れを良好に低減可能となる。また、側壁部32の上下方向(Z方向の寸法を比較的大きくすることができるので、底板部31において磁気飽和が生じ難い構成とすることができる。また、側壁部32の上下方向(Z方向)の寸法が、鍔部22,23の上下方向(Z方向)の寸法の1/4から1/3である場合には、当該寸法が1/3から1/2である場合と比べて、側壁部32の強度を高くすることができ、側壁部32が比較的欠け難い構成とすることができる。
なお、側壁部32の上下方向(Z方向)の寸法は、次のようにして定めても良い。すなわち、第1コイル40と第2コイル50の最も外周側に位置する導線W1を絡げ部65に向けて引き出した場合に、引き出された導線W1に触れない程度の高さとしても良い。引き出された導線W1が側壁部32に触れてしまうと、導線W1の絶縁被膜に損傷等が生じる場合があるためである。なお、引き出された導線W1が側壁部32に触れないことにより、導線W1が絡げ部65の下面、すなわちZ2側の面と接触するように設けられている。
また、本実施の形態では、図1に示すように、蓋コア30のX方向における寸法と、ドラムコア20のX方向における寸法とが、略一致するように設けられている。したがって、ドラムコア20と蓋コア30のうちのいずれか一方が他方に対して突出せず、ドラムコア20や蓋コア30に外部衝撃が加わった際に欠け等が生じるのを防止可能となる。ただし、ドラムコア20と蓋コア30のうちのいずれか一方が、他方に対して突出する構成を採用しても良い。たとえば、蓋コア30がドラムコア20よりも突出する構成を採用する場合、端子部材60がX方向の外側に突出しないように、蓋コア30の長さを設定することもできる。
なお、ドラムコア20と蓋コア30の材質は、磁性材であるが、かかる磁性材としては、例えば、ニッケル系のフェライトまたはマンガン系のフェライト等の種々のフェライト、パーマロイ、センダスト等のような軟磁性材料や、アモルファス合金等、各種の磁性材料および各種の磁性材料の混合物を用いることが可能である。その中でも、ニッケル系のフェライトは、マンガン系のフェライト等と比較して導電性に劣るため、別途絶縁のためのコーティングが不要であり、好ましい。また、ドラムコア20と蓋コア30の材質は同一でも良く、異なっていても良い。また、磁性材に樹脂等の別途の部材を混合しても良い。
次に、第1コイル40および第2コイル50について説明する。第1コイル40および第2コイル50は、共に、巻芯部21に取り付けられている。ただし、2つのコイル40,50の間には、スペースSが設けられている(図1参照)。すなわち、第1コイル40は、巻芯部21のうちX1側に位置するように配置されると共に、第2コイル50は、巻芯部21のうちX2側に位置するように配置されている。
なお、第1コイル40の巻回部分におけるX1側の端部は、第1鍔部22に接触するように配置されると共に、第2コイル50の巻回部分におけるX2側の端部は、第2鍔部23に接触するように配置されている。また、本実施の形態では、コイル部品10は、コモンモードチョークコイルとして用いられるものである。したがって、第1コイル40と第2コイル50にコモンモード電流が流れた場合に、互いに磁束を強め合うような向きに、導線W1が巻回されている。そのような向きとしては、たとえば、第1コイル40における導線W1の巻回方向に対して第2コイル50における導線W1の巻回方向は、逆方向となっている場合がある。ただし、コモンモード電流が入力される向きによっては、第1コイル40における導線W1の巻回方向に対して第2コイル50における導線W1の巻回方向が、同じ方向となっても良い。
また、上述のように第1コイル40と第2コイル50の間に存在するスペースSは、導線W1を巻芯部21に巻回する際に、治具等を設置することにより形成される。なお、導線W1は、導体部分がエナメル線等のような絶縁被膜で覆われた構成となっている。
次に、端子部材60について説明する。図1および図2に示すように、端子部材60は、ドラムコア20の第1鍔部22および第2鍔部23にそれぞれ取り付けられている。本実施の形態では、コイル部品10は、たとえば単相のコモンモードチョークコイルとして用いられるので、端子部材60は4つ設けられていて、第1鍔部22と第2鍔部23にそれぞれ2つずつ取り付けられている。
図4は、端子部材60の構成を示す斜視図である。図4に示すように、端子部材60は、上下端子部61と、実装部62と、係止部63と、側壁腕部64と、絡げ部65とを有している。上下端子部61は、端子部材60のうち第1鍔部22および第2鍔部23の外壁面(巻芯部21が接続される壁面とは反対側の面)に接触する部分である。したがって、上下端子部61は、端子部材60の中では長さが最も長く設けられている。また、実装部62は、第1鍔部22および第2鍔部23の下面側(Z2側の面)に位置する部分である。そのため、実装部62は、上下端子部61に対して略90度をなすように折り曲げられている。実装部62は、実装基板のランド等の接続部位に電気的に接続される部分である。
また、係止部63は、鍔部22,23の上面側(Z1側の面)に位置する部分である。かかる係止部63も実装部62に対して略90度をなすように折り曲げられている。それにより、実装部62と係止部63とで鍔部22,23を挟み込むことで、端子部材60を鍔部22,23に係止している。ここで、図1および図2に示すように、係止部63は、底板部31の切欠部31aに入り込む部分である。そのため、上下端子部61は、上下端子部61等を始めとする端子部材60の他の部分に比べて幅が狭く設けられている。
また、図4に示すように、実装部62には側壁腕部64が接続されている。この側壁腕部64は、鍔部22,23の側壁に接触する部分であり、実装部62の幅方向(Y方向)の縁部から、当該実装部62に対して略90度をなすように折り曲げられている。
また、絡げ部65は、側壁腕部64の上端に連結されている部分であり、鍔部22,23から離れる向きに向かうように折り曲げられている。このような折り曲げの向きとしては、側壁腕部64に対して略90度をなすように折り曲げる場合が挙げられるが、それ以外の角度で折り曲げても良い。この絡げ部65には、導線W1の端末が絡げられる。また、絡げ部65と導線W1の端末とは、たとえば半田付け、抵抗溶接やレーザ溶接によって固定されるので、これらが電気的に導通する状態となる。ここで、絡げ部65には、側縁から凹んだ凹部65aが設けられていて、絡げる際の導線W1の位置決めや半田付け等の際の半田を流し込むことを可能としている。なお、導線W1が絡げ部65の下面(Z2側の面)に接触することが好ましい。
なお、上下端子部61の側縁部にも凹部61aが設けられ、さらに上下端子部61の上端側のうち係止部63の付け根部分にも凹部61bが設けられている。かかる凹部61a,61bに接着剤が入り込んで硬化すると、端子部材60は鍔部22,23に対する位置ずれが一層生じ難くなり、端子部材60の鍔部22,23に対する取り付けが強固となる。
<コイル部品10の製造方法について>
以上のような構成のコイル部品10を製造する場合、ドラムコア20と蓋コア30とを作製する。ドラムコア20と蓋コア30とは、磁性材を金型の内部に充填してプレス成型することで形成できる。しかしながら、金型等を用いて形成された大まかなコア形状を切削する等によって形成しても良い。
次に、ドラムコア20に対して、巻線機を用いて導線W1を巻回する。このとき、巻芯部21の一方側(X1側)には第1コイル40が位置する状態とし、巻芯部21の他方側(X2側)には第2コイル50が位置する状態とする。このとき、スペースSに対応する位置には、不図示の治具を取り受け、その状態で、導線W1をたとえば2層巻回する。また、本実施の形態では、コイル部品10は、コモンモードチョークコイルであるので、導線W1の巻回に際しては、第1コイル40における導線W1の巻回方向に対して第2コイル50における導線W1の巻回方向は、逆方向となっている。しかしながら、コモンモード電流が入力される向きによっては、第1コイル40における導線W1の巻回方向に対して第2コイル50における導線W1の巻回方向が、同じ方向となっても良い。また、導線W1は、2層巻回する場合には限られず、何層巻回しても良い。
以上のような導線W1の巻回によって第1コイル40と第2コイル50とが形成されるが、それら第1コイル40と第2コイル50の間には、スペースSが形成される。
また、巻芯部21への導線W1の巻回の前または後に、端子部材60をドラムコア20に取り付ける。その取り付けに先立ち、金属板をプレス加工する等により、端子部材60を形成するが、その際に、第1鍔部22と第2鍔部23とにそれぞれ取り付けられる一対の端子部材60は、互いを連結する連結部分が存在する状態としておく。なお、第1鍔部22と第2鍔部23のそれぞれに、一対の端子部材60が取り付けられるため、端子部材60は、合計4つ存在することになる。そして、その状態で、一対の端子部材60の所定部位または鍔部22,23に接着剤を塗布し、この接着剤を介して一対の端子部材60を鍔部22,23にそれぞれ接着する。
ここで、上述の接着に先立って、一対の端子部材60の各部位を形成するように折り曲げる。このように、接着に先立って一対の端子部材60の各部位を形成すると、一対の端子部材60の鍔部22,23に対する取付位置の位置決めが行えるので、一対の端子部材60の取り付けが容易となり、好ましい。たとえば側壁腕部64や実装部62等は、そのような位置決めに特に効果的である。また、側壁腕部64を折り曲げる前に絡げ部65を折り曲げ等で形成しておくと、絡げ部65を形成するための折り曲げに要する工数が、接着後に絡げ部65を形成するために折り曲げる場合よりも少なくて済む、という利点もある。しかしながら、各部位を形成するための折り曲げは、一対の端子部材60を鍔部22,23に接着した後に行うようにしても良い。また、各部位を形成するための折り曲げは、一対の端子部材60の鍔部22,23に対する位置決めに効果的な一部のみを行うようにし、位置決めに対して効果的でない部分については、接着した後に行うようにしても良い。
また、一対の端子部材60を鍔部22,23にそれぞれ接着すると、互いを連結する連結部分は、たとえば鍔部22,23の上面に位置している。そのため、この連結部分を切断する。このように、接着を行った後に、連結部分を切断することにより、一対の端子部材60の間の間隔を、正確に定めることができ、これらの間の位置決めを、より正確に行うことができる。
また、一対の端子部材60が鍔部22,23に取り付けられ、一対の端子部材60の各部位が形成され、さらに上述のように巻芯部21に第1コイル40および第2コイル50が形成された後に、導線W1のそれぞれの端末を、絡げ部65に絡げる。このとき、導線W1のそれぞれの端末は、たとえば数ターン程度絡げ部65に巻回する。その後に、たとえば半田付け等によって導線W1と絡げ部65とを固着させると共に、電気的に導通する状態とする。なお、絡げ部65へ導線W1の端末を絡げ、その端末が電気的に導通する状態で固着させるのは、後述するような蓋コア30がドラムコア20に取り付けられた後としても良い。
次に、蓋コア30をドラムコア20に取り付ける。このとき、たとえば蓋コア30のうち、鍔部22,23に接触する部分に接着剤を塗布し、その後に鍔部22,23へ蓋コア30を接着する。蓋コア30において接着剤を塗布する部位としては、底板部31のうち一対の切欠部31aの間に位置する部位があり、また側壁部32のうち鍔部22,23の側壁と接触(または対向)する部位が挙げられる。
以上のようにして、コイル部品10が形成される。
<効果について>
以上のような構成のコイル部品10によると、ドラムコア20(第1コア)は、巻芯部21と、この巻芯部21の一端側(X1側)に設けられている第1鍔部22と、巻芯部21の他端側(X2側)に設けられている第2鍔部23と、を備えている。また、第1コイル40は、巻芯部21の一方側(X1側)に位置する状態で配置されていて、第2コイル50は、巻芯部21の他方側(X2側)に位置しつつ第1コイル40とはスペースSを有する状態で配置されている。
このため、自動巻線機を用いて導線W1を巻芯部21に対して容易に巻回させることが可能となる。すなわち、特許文献1に記載のコモンモードチョークコイルや、一般的なコモンモードチョークコイルでは、環状のコアを備えていて、その環状のコアに導線を巻回することで、コイルを形成している。しかしながら、このような環状のコアに対しては、環状の内周側の孔部分に導線を通す必要があるので、自動巻線機を用いて、導線W1を巻回させ難い状態となっている。
これに対して、本実施の形態では、環状の内周側の孔部分が存在しないので、巻芯部21の外周側から自動巻線機を用いて導線W1を容易に巻回させることができる。したがって、工程が簡素化され、第1コイル40と第2コイル50とを容易に形成することが可能となる。また、自動巻線機を用いることにより、第1コイル40と第2コイル50を形成する際のスピードを向上させることができる。したがって、製造に要する時間を短縮することができ、コストを低減することが可能となる。
また、人手によらずに自動巻線機を用いて第1コイル40と第2コイル50を形成することで、これら第1コイル40と第2コイル50を形成する際に、巻線する際のバラつきを低減することができる。したがって、製品毎の特性のバラつきを低減することができ、品質を均一に維持することができる。
また、本実施の形態では、第1鍔部22には、一対の端子部材60が取り付けられていて、第1コイル40を構成する導線W1のそれぞれの端末は、一対の端子部材60にそれぞれ電気的に接続されている。また、第2鍔部23には、一対の端子部材60が取り付けられていて、第2コイル50を構成する導線W1のそれぞれの端末は、一対の端子部材60にそれぞれ電気的に接続されている。このため、第1鍔部22や第2鍔部23を利用して、一対の端子部材60を取り付けることができる。
また、第1コイル40を構成する導線W1の両端が、第1鍔部22に取り付けられている一対の端子部材60にそれぞれ接続されるので、導線W1の巻線を行い易くなっている。同様に、第2コイル50を構成する導線W1の両端が、第2鍔部23に取り付けられている一対の端子部材60にそれぞれ接続されるので、導線W1の巻線を行い易くなっている。また、このような導線W1の両端の接続手法を採用する場合、コイル部品10は、長手方向(X方向)において対称形状とすることが可能となり、コイル部品10の向きを、長手方向(X方向)において逆転させて用いることができる。
また、コイル部品10が長手方向(X方向)において対称形状となることにより、コモンモードチョークコイルとして性能のバランスが良好となる。すなわち、コイル部品が長手方向(X方向)において非対称形状の場合には、その非対称形状の部分を起因として、特定のコモンモード電流を容易に通過させる等の不具合が生じ、性能のバランスが崩れてしまう場合がある。しかしながら、上述のように、コイル部品10が対称形状となる場合には、そのような不具合を低減させることができる。
さらに、本実施の形態では、コイル部品10は蓋コア30(第2コア)を備えていて、この蓋コア30は、一対の側壁部32と、これら一対の側壁部32を連結するように設けられている底板部31とを備えている。また、一対の側壁部32と底板部31とで囲まれた巻枠部24に第1鍔部22と第2鍔部23が位置する状態で、ドラムコア20と蓋コア30とが取り付けられている。
このため、ドラムコア20のみを用いる場合と比較して、コイル部品10の磁気的な特性が良好になる。特に、本実施の形態では、蓋コア30は、ドラムコア20に対して、その鍔部22,23の上面側と、鍔部22,23の側面の上方側とをカバーするような態様で取り付けられる。そのため、閉磁路を構成するロ字形状(O字形状)のコアを、たとえば同一形状のU型コアを突き合わせて形成する場合と比較して、コイル部品10の磁気的な特性が良好になる。
また、ドラムコア20や、第1コイル40および第2コイル50の上方側(Z1側)が蓋コア30で覆われることで、磁束が外部へ漏れるのを低減することができる。したがって、ノーマルモード電流が流れた場合でも、漏れ磁束によるインピーダンスが高周波領域において増加するのを抑えることができる。さらに、巻枠部24に第1鍔部22と第2鍔部23とが位置するので、ドラムコア20に対する蓋コア30の位置決めを正確に行うことができる。したがって、両者の間の位置ずれがなく、品質が安定したコイル部品10を作製することが可能となる。
また、本実施の形態では、端子部材60には、実装部62と、係止部63とが設けられていて、実装部62は、第1鍔部22または第2鍔部23のうち外部の実装基板と対向する側に位置しつつ、その実装基板の接続部位に実装される部位となっている。また、係止部63は、第1鍔部22または第2鍔部23のうち実装部62が位置する面側とは反対側の面側に位置している。しかも、蓋コア30の底板部31には、切欠部31aが設けられていて、この切欠部31aには係止部63が入り込んでいる。
このため、実装部62と係止部63とで、鍔部22,23を挟み込むことで、端子部材60を鍔部22,23に取り付けることができる。したがって、端子部材60を鍔部22,23に取り付ける際の位置ずれを防ぐことができ、たとえば接着剤等を用いて端子部材60を鍔部22,23に取り付けの際の安定性を向上させることができる。また、係止部63が切欠部31aに位置させることができるので、係止部63と蓋コア30(底板部31)との干渉を防ぐことができる。
さらに、本実施の形態では、端子部材60には、側壁腕部64と、絡げ部65とが設けられている。そして、側壁腕部64は、実装部62から係止部63側に向かい鍔部22,23の壁面に沿って延伸していて、絡げ部65は、側壁腕部64の延伸方向における端部において鍔部22,23の壁面から離間する方向に向かうように折り曲げられている。このため、第1コイル40および第2コイル50を構成する導線W1の端末を、絡げ部65に絡げて固定することができる。
また、第1コイル40と第2コイル50とは、巻芯部21の一方側(X1側)および他方側(X2側)に配置されていて、絡げ部65は、側壁腕部64の端部から折れ曲がるように延伸している。したがって、第1コイル40および第2コイル50のそれぞれから引き出される導線W1の端末においては、その空中配線を短くすることができ、導線W1の端末が断線してしまうのを防止することができる。
<他の実施の形態について>
次に、本発明の他の実施の形態について説明する。図5は、本発明の他の形態に係るドラムコア20Aの巻芯部21Aの断面形状を示す図である。また、図6は、本発明の他の形態に係ると共に、図5とは別のドラムコア20Bの巻芯部21Bの断面形状を示す図である。また、図7は、本発明の他の形態に係ると共に、図5および図6とは別のドラムコア20Cの巻芯部21Cの断面形状を示す図である。
図5に示す構成では、巻芯部21Aは、円形状ではなく、四角形状を構成する4つの直線のうちの1辺を曲線状に変更した形状に対応している。たとえば、図5に示す構成では、上方側(Z1側)の1辺を、曲線状にしているが、その他の1辺を曲線状に変更しても良い。なお、この図5に示す構成では、鋭利な角部形状が存在しないように、丸み面取りやC面取り等の面取り加工を行うようにしても良い。
また、図6に示す構成では、巻芯部21Bは、四角形状のうち上下方向(Z方向)で対向する2辺を曲線状に変更した形状に対応している。また、図7に示す構成では、巻芯部21Cは、四角形状のうち幅方向(Y方向)で対向する2辺を曲線状に変更した形状に対応している。
上述の図5から図7に示されている構成では、断面形状で直線状の辺が少なくとも2つは存在しているが、たとえば上下方向(Z方向)の寸法や、幅方向(Y方向)の寸法が定められている場合、断面形状で直線状の部分が存在すると、直線状の部分がなく全てが曲線状で囲まれている場合(たとえば円形状や楕円形状)と比較して、限られた断面積内で磁性材料を多く用いることができる。したがって、磁気飽和し難い構成となる、という点でメリットがある。
一方、たとえば断面形状が円形状のような、曲線状の部分が存在すると、たとえば上下方向(Z方向)の寸法や、幅方向(Y方向)の寸法が定められている場合には、巻数が相対的に多くなるか、または巻数が定められている場合には必要とされる線長が短くなる、というメリットがある。
また、図8は、本発明のさらに他の形態に係るドラムコア20Dの構成を示す側面図である。図8に示すように、ドラムコア20Dは、上述したドラムコア20と同様の巻芯部21、第1鍔部22および第2鍔部23を備えている。また、それぞれの鍔部22,23には、一対の端子部材60が取り付けられている。しかしながら、ドラムコア20Dの巻芯部21には、分離用治具70が取り付けられていて、製造後においても、分離用治具70が装着されたままの状態となっている。分離用治具70は、巻芯部21の長手方向(X方向)における中間に取り付けられており、その部位は、上述したスペースSに対応する部位となっている。
このような構成を採用する場合、導線W1の巻回が終了して第1コイル40と第2コイル50の形成が終了した後でも、その巻回部分において巻崩れが生じるのを確実に防止可能となる。したがって、コイル部品10の品質を一層向上させることが可能となる。
<変形例>
以上、本発明の一実施の形態について説明したが、本発明はこれ以外にも種々変形可能となっている。以下、それについて述べる。
上述の実施の形態では、コイル部品10は、コモンモード電流を抑制するコモンモードチョークコイルとして説明している。しかしながら、コイル部品10は、コモンモードチョークコイル以外の用途で用いても良い。たとえば、ノーマルモード電流を抑制するノーマルモードチョークコイル、トランス等として用いても良い。
また、上述の実施の形態では、コイル部品10は、蓋コア30を備える構成となっている。しかしながら、コイル部品10は蓋コア30を備えずに、代わりに下方側(Z2側)に位置するコア部材や、幅方向(Y方向)においてドラムコア20と並ぶコア部材を用いて閉磁路を形成しても良い。
また、本実施の形態では、ドラムコア20は一体的なものとなっている。しかしながら、ドラムコア20も、2つのコアを突き合わせて形成しても良い。このような構成としては、たとえば、2つのT字形状のコアを突き合わせて形成する場合や、T字形状のコアとI字形状のコアとを突き合わせて形成する場合が挙げられる。2つのコアを突き合わせて形成する場合、巻芯部21に対応する部分に、第1コイル40と第2コイル50のうちの少なくとも一方を挿入することができるので、コイル部品の生産効率を一層向上させることができる。
また、上述の実施の形態では、蓋コア30は一体的なものとしている。しかしながら、蓋コア30は、2つ以上のコアを突き合わせて形成しても良い。たとえば3つの板状のコアを接着する等により、蓋コア30を形成しても良い。
10…コイル部品、20,20A,20B,20C,20D…ドラムコア(第1コアに対応)、21,21A,21B,21C…巻芯部、22…第1鍔部、23…第2鍔部、24…巻枠部、30…蓋コア(第2コアに対応)、31…底板部、31a…切欠部、32…側壁部、40…第1コイル、50…第2コイル、60…端子部材、61…上下端子部、61a,61b,65a…凹部、62…実装部、63…係止部、64…側壁腕部、65…絡げ部、70…分離用治具、S…スペース、W1…導線

Claims (5)

  1. 巻芯部と、この巻芯部の一端側に設けられている第1鍔部と、当該巻芯部の他端側に設けられている第2鍔部と、を備える第1コアと、
    導線を巻回することで形成されると共に、前記巻芯部の一方側に位置する状態で配置されている第1コイルと、
    前記導線とは異なる導線を巻回することで形成されると共に、前記巻芯部の他方側に位置しつつ前記第1コイルとはスペースを有する状態で配置されている第2コイルと、
    を備えることを特徴とするコイル部品。
  2. 請求項1記載のコイル部品であって、
    前記第1鍔部には、一対の端子部材が取り付けられていて、
    前記第1コイルのそれぞれの端末は、一対の前記端子部材にそれぞれ電気的に接続されると共に、
    前記第2鍔部には、一対の端子部材が取り付けられていて、
    前記第2コイルのそれぞれの端末は、一対の前記端子部材にそれぞれ電気的に接続される、
    ことを特徴とするコイル部品。
  3. 請求項2記載のコイル部品であって、
    第2コアを備え、この第2コアは、一対の側壁部と、これら一対の側壁部を連結するように設けられている底板部とを備えていて、
    一対の前記側壁部と前記底板部とで囲まれた巻枠部に前記第1鍔部と前記第2鍔部が位置する状態で、前記第1コアと前記第2コアとが取り付けられている、
    ことを特徴とするコイル部品。
  4. 請求項3記載のコイル部品であって、
    前記端子部材には、実装部と、係止部とが設けられていて、
    前記実装部は、前記第1鍔部または前記第2鍔部のうち外部の実装基板と対向する側に位置し、かつその実装基板の接続部位に実装される部位であり、
    前記係止部は、前記第1鍔部または前記第2鍔部のうち前記実装部が位置する面側とは反対側の面側に位置していて、
    前記底板部には、切欠部が設けられていて、この切欠部には前記係止部が入り込んでいる、
    ことを特徴とするコイル部品。
  5. 請求項3または4記載のコイル部品であって、
    前記端子部材には、側壁腕部と、絡げ部とが設けられていて、
    前記側壁腕部は、前記実装部から前記係止部側に向かい前記第1鍔部または前記第2鍔部の壁面に沿うように延伸していて、
    前記絡げ部は、前記側壁腕部の延伸方向における端部において前記第1鍔部または前記第2鍔部の壁面から離間する方向に向かうように折り曲げられている、
    ことを特徴とするコイル部品。

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