JP2017069280A - 発光装置および発光システム - Google Patents

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博史 中野
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礼隆 遠藤
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Abstract

【課題】発光装置及び発光システムの提供。【解決手段】発光層と、前記発光層に対して電荷を注入する一対の電極と、を備え、前記発光層は、少なくともダブレット材料からなる第1の分子と、発光性を有する第2の分子と、を含む、発光装置。前記第1の分子の発光スペクトルと前記第2の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なることが好ましい。前記発光層は、第3の分子をさらに含み、前記第1の分子の発光スペクトルと前記第3の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なり、前記第3の分子の発光スペクトルと前記第2の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なることが好ましい。【選択図】なし

Description

本発明は、発光装置および発光システムに関する。
液晶ディスプレイが切り開いた薄型ディスプレイは、目覚ましい進化を遂げ、スマートフォンやタブレットパソコンに代表される新しい市場を切り開いた。有機EL(Electro−Luminescence,OrganicLight Emitting Diode,以下「有機EL」という。)は、次世代ディスプレイの主流と言われている。
有機EL素子(OLED)は、陽極/発光体層/陰極の構成を基本とし、これに正孔輸送層、電子輸送層を適宜設けたもの、例えば陽極/正孔輸送層/発光体層/陰極、陽極/正孔輸送層/発光体層/電子輸送層/陰極等の構成のものが知られている。正孔輸送層は、陽極より注入された正孔を発光体層に伝達する機能を有している。また、電子輸送層は陰極より注入された電子を発光体層に伝達する機能を有している。
そして、該正孔輸送層を発光体層と陽極との間に介在させることによって、より低い電界で多くの正孔が発光体層に注入される。さらに、発光体層に陰極又は電子輸送層より注入された電子は、正孔輸送層が電子を輸送しないので、正孔輸送層と発光体層との界面に蓄積され発光効率が上がることが知られている。
このような有機EL素子を多色発光素子とするには、例えば、(1)青色発光を蛍光変換により緑色又は赤色に変換し、多色発光とする色変換法(例えば、特許文献1、2参照)、(2)白色発光をカラーフィルタにより、赤、緑、青色に変換して多色発光とする白色カラーフィルタ法、(3)赤、緑、青色に発光する画素を実現させて多色発光とする三色塗り分け方式等が知られている。
研究例は非常に少ないが、発光材料として基底状態で二重項の状態を取る分子(ダブレット材料)を用いた有機EL素子(ダブレット材料を発光材料としたOLED)が検討されている(非特許文献1参照)。例えば、非特許文献1ではCe錯体を発光材料として用いている。Ce錯体からの発光は、紫外領域の波長しか出さず、ディスプレイに応用するには短波長すぎると言う問題がある。また、非特許文献1の電力効率は、現在、燐光材料や熱活性型遅延蛍光材料を発光材料として可視光発光する有機EL素子と比較して、数桁低く、実用的なレベルには達していない。
また、非特許文献2のように、ビラジカル(二つのラジカル)を1分子内に持つ分子を発光材料として利用した例(ビラジカル材料を発光材料としたOLED)も存在する。しかし、原理的に75%の励起子からしか発光させることができない。また200nmを超える非常にブロードな発光スペクトルを持つため、OLEDとしては利用できない。
Ir錯体に代表される燐光材料や、近年研究が盛んな熱活性型遅延蛍光座量は、EL量子収率は高いものの発光スペクトルの半値幅が100nm程度以上あるため、色純度の高いOLEDを実現することができない。またカラーフィルタなどを用いて色純度を上げたとしても、余分な波長の光を吸収することになるので電力効率が下がる(例えば、非特許文献3、4参照)。
また蛍光材料を発光材料としたOLEDも存在する。蛍光材料は、発光スペクトルの半値幅を狭くして色純度を向上させやすい反面、原理的に25%の励起子からしか発光を得ることができない(例えば、非特許文献5参照)。
特開平3−152897号公報 特開平5−255860号公報
Solid−State Electronics 51(2007),pp894−899 J.Am.Chem.Soc.,129(2007),pp9032−9036 Nature Photonics 8(2014),pp326−332 Appl.Phys.Lett.75(1999),pp4−6 Appl.Phys.Lett.89(2006),p.063504
前述の通りOLEDの発光層に用いる材料は、様々検討されているが、どれも励起子を100%利用でき、且つ蛍光材料に見られるような狭い半値幅の発光を実現できていない。
本発明は係る状況を鑑みてなされたものであり、OLEDにおいて、励起子を100%利用でき、かつ蛍光材料に見られるような狭い半値幅の発光を実現する発光装置及び発光システムを提供することを課題とする。
本発明の一つの態様の発光装置は、発光層と、前記発光層に対して電荷を注入する一対の電極と、を備え、前記発光層は、少なくともダブレット材料からなる第1の分子と、発光性を有する第2の分子と、を含む。
本発明の一つの態様の発光装置において、前記第1の分子の発光スペクトルと前記第2の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なっていてもよい。
本発明の一つの態様の発光装置において、前記発光層は、第3の分子をさらに含み、前記第1の分子の発光スペクトルと前記第3の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なり、前記第3の分子の発光スペクトルと前記第2の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なっていてもよい。
本発明の一つの態様の発光装置において、前記発光層は第4の分子をさらに含んでいてもよい。
本発明の一つの態様の発光装置において、前記発光層は、第3の分子をさらに含み、前記第1の分子の発光スペクトルと前記第3の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なり、前記第3の分子の発光スペクトルと前記第2の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なっていてもよい。
本発明の一つの態様の発光装置において、前記第1の分子の発光スペクトルの半値幅は、前記第2の分子の発光スペクトルの半値幅よりも広くてもよい。
本発明の一つの態様の発光装置において、前記第1の分子は、遷移金属原子を含んでいてもよい。
本発明の一つの態様の発光装置において、前記第1の分子は、希土類原子を含んでいてもよい。
本発明の一つの態様の発光装置において、前記希土類原子は、セリウム原子であってもよい。
本発明の一つの態様の発光装置において、前記第1の分子は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子の一部もしくは全部から構成されていてもよい。
本発明の一つの態様の発光装置において、前記発光層を備える発光基板と、前記発光基板から発せられた第1の光を吸収し、前記第1の光の波長と異なる波長を有する第2の光を射出する波長変換基板と、を備えていてもよい。
本発明の一つの態様は、前記発光装置を備える、発光システムである。
本発明によれば、OLEDにおいて、励起子を100%利用でき、かつ蛍光材料に見られるような狭い半値幅の発光を実現する発光装置及び発光システムを提供することができる。
本発明の一実施形態に用いることができる発光素子の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に用いることができるEL基板の概略図である。 本発明の一実施形態に用いることができるEL基板の概略図である。 本発明の一実施形態に用いることができるEL基板の概略図である。 本発明の一実施形態に用いることができるEL基板の概略図である。 本発明の一実施形態に用いることができるEL基板の概略図である。 本発明の一実施形態に用いることができるEL基板の概略図である。 本発明の一実施形態に用いることができるEL基板の概略図である。 本発明の一実施形態に用いることができる波長変換基板を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に用いることができる波長変換基板を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に用いることができる波長変換基板を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に用いることができる波長変換基板を模式的に示す断面図である。 本発明の一実施形態に用いることができる波長変換基板の上面図である。 実施例5で作製したタブレットパソコンの模式図である。 実施例6で作製したテレビの模式図である。 実施例7で作製した時計の模式図である。 実施例8で作製した電子ペーパーの模式図である。 実施例9で作製したスピードメーターの模式図である。 実施例10で作製した電子書籍の模式図である。 実施例11で作製したデジタルカメラの模式図である。 実施例12で作製したホームシアターシステムの模式図である。 実施例13で作製したデジタルサイネージの模式図である。 ダブレット材料の電子挙動を説明する模式図である。 ダブレット材料の電子挙動を説明する模式図である。 ダブレット材料に好適に用いることができるセリウム(III)錯体の具体例である。 ダブレット材料に好適に用いることができる典型元素からなる安定ラジカル分子の具体例である。
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
<第一実施形態>
本実施形態に係る発光装置は、主要な部分として発光素子D1を含む。発光素子を用いた発光装置としては、例えば、スマートフォトン、タブレットパソコン、車載スピードメーター、電子書籍、電子アルバム、電子教科書、電子辞書、電子ペーパー、カメラなどが挙げられ、これに限られるものではない。
また、本実施形態に係る発光装置を備える発光システムは、表示装置および無線または有線の回線で相互に接続されたスピーカー、カメラ、を有していてもよいし、複数の表示装置を有していてもよい。発光システムとしては、例えばホームシアターシステム、デジタルサイネージなどである。
≪発光素子D1≫
本実施形態に用いる発光素子D1を図1に示す。図1に示す発光素子D1は、EL基板E1と波長変換基板C1とを封止剤F1で接着した構造を持つ。なおEL基板と波長変換基板は、それぞれ図1の上側が光取出し方向となるように配置する。
また、図1に示すように波長変換基板C1とEL基板E1との貼り合せにおいて形成される内部空間に、表示素子を低消費電力化させる目的や、長寿命化させる目的から充填剤F2を備えていてもよい。
≪EL基板≫
以下、本発明の第一実施形態に用いるEL基板(反射膜/透明陽極/有機層/半透明陰極;トップエミッション)について、図2を用いて詳細に説明する。図2は、本実施形態に用いるEL基板の概略断面図である。
図2中、EL基板E1は、基板E11、TFT回路E12、絶縁膜E13、反射膜E14、陽極E15、エッジカバーE16、有機層E20、陰極E21、封止膜E22を備えている。
EL基板E1は、陰極E21側から光を取り出し、陽極E15からの正孔注入のオンとオフをTFT回路E12によって制御することで、各画素の発光の有無および発光の強度を切り替える。
また、反射膜E14は有機層E20から来た光を反射し、E21も有機層E20から来た光の一部を反射する構造を持つ。これによりマイクロキャビティ効果を持つことが望ましい。
次に、本実施形態に係るEL基板E1の構成要素について、それぞれ説明する。
(基板)
基板E11としては、例えば、ガラス、石英等からなる無機材料基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、ポリイミド等を含むプラスチック基板、アルミナ等を含むセラミックス基板等の絶縁性基板、若しくは、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)等を含む金属基板、又は、基板上に酸化シリコン(SiO)、有機絶縁材料等を含む絶縁物を表面にコーティングした基板、Al等を含む金属基板の表面を陽極酸化等の方法で絶縁化処理を施した基板等を挙げることができる。
しかし、基板E11の材料はこれらに限定されるものではない。ここで、ストレスなく、湾曲部、折り曲げ部を形成するには、プラスチック基板又は金属基板が好ましい。プラスチック基板に無機材料をコートした基板、金属基板に無機絶縁材料をコートした基板がさらに好ましい。
有機ELは、特に低量の水分に対しても劣化が起こることが知られているが、上述した無機絶縁材料をコートした基板を用いることにより、プラスチック基板を有機EL基板として用いた場合の最大の問題となる水分の透過による有機EL素子の劣化を解消することが可能となる。
また、上述した無機絶縁材料をコートした基板を用いることにより、金属基板を有機ELの基板として用いた場合の最大の問題となる金属基板の突起によるリーク(ショート)を解消することが可能となる。有機ELの膜厚は、100〜200nm程度と非常に薄いため、突起による画素部での電流にリーク(ショート)が、顕著に起こることが知られている。
また、TFT回路E12を形成する場合には、500℃以下の温度で融解せず、歪みも生じない基板が好ましい。一般的な金属基板は、ガラスと熱膨張率が異なるため、従来の生産装置で金属基板上にTFTを形成することが困難であるが、線膨張係数が1×10−5/℃以下の鉄−ニッケル系合金である金属基板を用いて、線膨張係数をガラスに合わせ込むことで、金属基板上にTFTを従来の生産装置を用いて安価に形成する事が可能となる。
また、プラスチック基板の場合には、耐熱温度が非常に低いため、ガラス基板上にTFT回路E12を形成した後、プラスチック基板にTFT回路E12を転写することで、プラスチック基板上にTFT回路を転写形成することが可能である。
また、基板E11の材料としてはガラスであってもよい。基板E11の材料をガラスとすることで高温プロセスによっても変形が起こらず、水分を透過させない。そのため、有機EL素子の劣化を防ぐことが可能である。
しかしながら、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。
(TFT回路)
TFT回路E12は、基板E11上に備えられている。
TFT回路E12は、有機層E20が形成される前に、予め基板E11上に形成され、スイッチング用及び駆動用として機能する。本発明に用いる有機EL素子がTFT回路E12を備える場合、TFT回路E12の構成としては、公知のTFT回路が挙げられる。また、本発明では、TFT回路E12の代わりに金属−絶縁体−金属(MIM)ダイオードとすることもできる。
本実施形態に用いるEL基板E1を採用したアクティブ駆動型有機ELディスプレイ、有機EL表示装置に搭載可能なTFT回路E12は、公知の材料、構造及び形成方法を用いて形成することができる。
TFT回路E12の活性層の材料としては、例えば、非晶質シリコン(アモルファスシリコン)、多結晶シリコン(ポリシリコン)、微結晶シリコン、セレン化カドミウム等の無機半導体材料、酸化亜鉛、酸化インジウム−酸化ガリウム−酸化亜鉛等の酸化物半導体材料又は、ポリチオフェン誘導体、チオフエンオリゴマー、ポリ(p−フェリレンビニレン)誘導体、ナフタセン、ペンタセン等の有機半導体材料が挙げられる。また、TFT回路の構造としては、例えば、スタガ型、逆スタガ型、トップゲート型、コプレーナ型が挙げられる。
TFT回路E12を構成する活性層の形成方法としては、以下に示す方法が挙げられる。
(1)プラズマ誘起化学気相成長(PECVD)法により成膜したアモルファスシリコンに不純物をイオンドーピングする方法。
(2)シラン(SiH)ガスを用いた減圧化学気相成長(LPCVD)法によりアモルファスシリコンを形成し、固相成長法によりアモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオン打ち込み法によりイオンドーピングする方法。
(3)Siガスを用いたLPCVD法又はSiHガスを用いたPECVD法によりアモルファスシリコンを形成し、エキシマレーザー等のレーザーによりアニールし、アモルファスシリコンを結晶化してポリシリコンを得た後、イオンドーピングを行なう方法(低温プロセス)。
(4)LPCVD法又はPECVD法によりポリシリコン層を形成し、1000℃以上で熱酸化することによりゲート絶縁膜を形成し、その上に、n+ポリシリコンのゲート電極を形成し、その後、イオンドーピングを行なう方法(高温プロセス)。
(5)有機半導体材料をインクジェット法等により形成する方法。
(6)有機半導体材料の単結晶膜を得る方法。
TFT回路E12のゲート絶縁膜は、公知の材料を用いて形成することができる。例えば、PECVD法、LPCVD法等により形成されたSiO又はポリシリコン膜を熱酸化して得られるSiO等が挙げられる。また、本発明で用いられるTFT回路の信号電極線、走査電極線、共通電極線、第一駆動電極及び第二駆動電極は、公知の材料によって形成することができる。
例えば、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)等が挙げられる。本発明に用いる有機ELパネルのTFT回路E12は、上記のような構成で形成することができるが、これらの材料、構造及び形成方法に限定されるものではない。
(絶縁膜)
絶縁膜E13は、TFT回路E12と反射膜E14との間に配置されている。
絶縁膜E13は、公知の材料によって形成することができ、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN、又は、Si)、酸化タンタル(TaO、又は、Ta)等の無機材料、又は、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等が挙げられる。
また、その形成方法としては、化学気相成長(CVD)法、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート法等のウェットプロセスが挙げられる。また、必要に応じてフォトリソグラフィー法等によりパターニングすることもできる。
本実施形態では、有機層E20から発光した光を基板E11の逆側(陰極E21側)から取り出す構成となっている。そのため、外光が基板E11上に形成されたTFT回路E12に入射して、TFT特性に変化が生じることを防ぐ目的で、絶縁膜E13が遮光性を兼ね備えていることが好ましい。
また、絶縁膜E13と、遮光性絶縁膜と、を組み合わせてもよい。遮光性絶縁膜としては、フタロシアニン、キナクロドン等の顔料又は染料をポリイミド等の高分子樹脂に分散したもの、カラーレジスト、ブラックマトリクス材料、NixZnyFe等の無機絶縁材料等が挙げられる。しかしながら、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。
また、基板E11上にTFT回路E12等を形成した場合には、その表面に凸凹が形成され、この凸凹によって有機EL素子の欠陥、(例えば反射膜E14、陽極E15の欠損、有機層E20の欠損、陰極E21の断線、第1電極E14または陽極E15と陰極E21の短絡、耐圧の低下等)等が発生するおそれがある。これらの欠陥を防止するために、絶縁膜E13上に平坦化膜(不図示)を設けてもよい。
平坦化膜は、公知の材料を用いて形成することができ、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタル等の無機材料、ポリイミド、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等が挙げられる。
平坦化膜の形成方法としては、CVD法、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート法等のウェットプロセスが挙げられるが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。また、平坦化膜は、単層構造でも多層構造でもよい。
(有機層)
有機層E20は、陽極E15と陰極E21との間に位置する。
有機層E20は、正孔輸送層E17、発光層E18、電子輸送層E19が順次積層して構成されている。発光層E18は、青色の光(第1の波長の光)を発光している。
本実施形態に係る発光装置が備える有機層E20は、本実施形態の構成に限定されず、発光層E18の単層構造でも、発光層E18と正孔輸送層E17、電子輸送層E19の多層構造でもよく、例えば、下記の(1)〜(9)の構成が挙げられるが、本発明はこれらにより限定されるものではない。なお、下記の(1)〜(9)のうち、左に記載されている層ほど陽極E15に近く、右に記載されている層ほど陰極E21に近い。
(1)発光体層
(2)正孔輸送層/発光体層
(3)発光体層/電子輸送層
(4)正孔輸送層/発光体層/電子輸送層
(5)正孔注入層/正孔輸送層/発光体層/電子輸送層
(6)正孔注入層/正孔輸送層/発光体層/電子輸送層/電子注入層
(7)正孔注入層/正孔輸送層/発光体層/正孔防止層/電子輸送層
(8)正孔注入層/正孔輸送層/発光体層/正孔防止層/電子輸送層/電子注入層
(9)正孔注入層/正孔輸送層/電子防止層/発光体層/正孔防止層/電子輸送層/電子注入層
ここで、発光層E18、正孔注入層、正孔輸送層E17、正孔防止層、電子防止層、電子輸送層E19及び電子注入層の各層は、単層構造でも多層構造でもよい。
(マイクロキャビティ)
有機層E20は、マイクロキャビティ効果を発現する構造であることが好ましい。マイクロキャビティ効果を発現する構造としては、例えば、その厚さを増強したい光の波長に合致するように、設定することにより形成することがより望ましい。反射膜E14を鏡面の全反射素材とし、陽極E15と有機層E20を挟んで反対側にある陰極E21を誘電体ミラーの半透過素材とする。さらに、有機層E20と陽極E15を足した厚みを、RGB各光で増強したい光の波長に合わせそれぞれ異なる厚みに形成する。これにより、有機層E20で発光した光のうち、波長のずれた光成分は二つの層(反射膜E14及び陰極E21)間で多重反射を繰り返し、共振することで、所望の波長に増強されて出力する。
反射膜E14上には陽極E15が積層されており、TFT回路E12から来た電荷は、反射膜E14を通って陽極E15に入る。
これにより、有機層E20の発光を正面方向に集光する(指向性を持たせる)ことが可能となり、周囲に逃げる発光ロスを低減することが可能となり、正面での発光効率を高めることが可能となる。これにより、より効率良く発光を波長変換基板C1へ輸送することが可能となり、また、正面輝度を高めることが可能となる。
また、干渉効果により発光スペクトルの調整が可能となる。
また、所望の発光ピーク波長、半値幅に調整することにより、発光スペクトルの調整が可能となる。また、赤色、緑色蛍光体をより効果的に励起することが可能なスペクトルに制御できると共に、青色画素の色純度を向上させることが可能となる。
(発光層)
発光層E18は、陽極E15と陰極E21から来た電荷から励起子を生成し、その励起子のエネルギーを使って発光する。特に青色発光をする材料を持つことが望ましい。発光層E18の詳細は、本発明の主要部分のため後述する。
(輸送層、注入層)
電荷は、正孔と電子とを含む。正孔、電子の電極からの注入と発光層E18への輸送(注入)とをより効率よく行なう目的で、正孔注入層、正孔輸送層E17、電子輸送層E19、電子注入層が用いられる。これらの層は、以下に例示する電荷注入輸送材料のみから構成されていてもよく、任意に添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよい。また、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。
電荷輸送材料としては、有機EL用、有機光導電体用の公知のものを使用することができる。このような電荷輸送材料は、正孔注入輸送材料及び電子注入輸送材料に分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
(正孔注入層、正孔輸送層)
正孔注入層、正孔輸送層E17の材料としては、例えば、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の酸化物、無機p型半導体材料、ポルフィリン化合物、N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス(フェニル)−ベンジジン(TPD)、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン(NPD)等の芳香族第三級アミン化合物、ヒドラゾン化合物、キナクリドン化合物、スチリルアミン化合物等の低分子材料、ポリアニリン(PANI)、ポリアニリン−樟脳スルホン酸(PANI−CSA)、3,4−ポリエチレンジオキシチオフェン/ポリスチレンサルフォネイト(PEDOT/PSS)、ポリ(トリフェニルアミン)誘導体(Poly−TPD)、ポリビニルカルバゾール(PVCz)、ポリ(p−フェニレンビニレン)(PPV)、ポリ(p−ナフタレンビニレン)(PNV)等の高分子材料等が挙げられる。
また、陽極からの正孔の注入及び輸送をより効率よく行なうという観点から、正孔注入層の材料としては、正孔輸送層E17の材料より、最高被占分子軌道(HOMO)のエネルギー準位が低い材料であることが好ましい。また、正孔輸送層E17の材料としては、正孔注入層の材料より正孔の移動度が、高い材料であることが好ましい。
また、より正孔の注入・輸送性を向上させるため、アクセプターをドープすることが好ましい。アクセプターとしては、有機EL用の公知のアクセプター材料を使用することができる。これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
アクセプター材料としては、Au、Pt、W,Ir、POCl、AsF、Cl、Br、I、酸化バナジウム(V)、酸化モリブデン(MoO)等の無機材料、TCNQ(7,7,8,8,−テトラシアノキノジメタン)、TCNQF(テトラフルオロテトラシアノキノジメタン)、TCNE(テトラシアノエチレン)、HCNB(ヘキサシアノブタジエン)、DDQ(ジシクロジシアノベンゾキノン)等のシアノ基を有する化合物、TNF(トリニトロフルオレノン)、DNF(ジニトロフルオレノン)等のニトロ基を有する化合物、フルオラニル、クロラニル、ブロマニル等の有機材料が挙げられる。このうち、TCNQ、TCNQF、TCNE、HCNB、DDQ等のシアノ基を有する化合物がよりキャリア濃度を効果的に増加させることが可能であるためより好ましい。
(電子注入層及び電子輸送層)
電子注入層及び電子輸送層E19の材料としては、例えば、n型半導体である無機材料、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体、ベンゾジフラン誘導体等の低分子材料;ポリ(オキサジアゾール)(Poly−OXZ)、ポリスチレン誘導体(PSS)等の高分子材料等が使用される。特に、電子注入層には、特にフッ化リチウム(LiF)、フッ化バリウム(BaF)等のフッ化物、酸化リチウム(LiO)等の酸化物等が使用されることが好ましい。
電子の陰極(陰極E21)からの注入・輸送をより効率よく行なうという観点から、電子注入層の材料としては、電子輸送層E19の材料より、最低空分子軌道(LUMO)のエネルギー準位が高い材料が好ましく、電子輸送層E19の材料としては、電子注入層の材料より電子移動度が高い材料が好ましい。
また、より電子の注入効率及び電子の輸送性を向上させるため、電子注入層及び電子輸送層E19の材料に、ドナーをドープすることが好ましい。ドナーとしては、有機EL用の公知のドナー材料を使用することができる。これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。
ドナー材料としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、希土類元素、Al、Ag、Cu、In等の無機材料、アニリン類、フェニレンジアミン類、ベンジジン類(N,N,N’,N’−テトラフェニルベンジジン、N,N’−ビス−(3−メチルフェニル)−N,N’−ビス−(フェニル)−ベンジジン、N,N’−ジ(ナフタレン−1−イル)−N,N’−ジフェニル−ベンジジン等)、トリフェニルアミン類(トリフェニルアミン、4,4’,4’’−トリス(N,N−ジフェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’, 4”−トリス(N−3−メチルフェニル−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン、4,4’, 4”−トリス(N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ)−トリフェニルアミン等)、トリフェニルジアミン類(N,N’−ジ−(4−メチル−フェニル)−N,N’−ジフェニル−1,4−フェニレンジアミン)等の芳香族3級アミンを骨格にもつ化合物、フェナントレン、ピレン、ペリレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン等の縮合多環化合物(ただし、縮合多環化合物は置換基を有してもよい)、TTF(テトラチアフルバレン)類、ジベンゾフラン、フェノチアジン、カルバゾール等の有機材料がある。このうち、芳香族3級アミンを骨格にもつ化合物、縮合多環化合物、アルカリ金属がよりキャリア濃度を効果的に増加させることが可能であるためより好ましい。
≪作製方法≫
正孔注入層、正孔輸送層E17、発光層18、電子輸送層E19、電子注入層等の有機層E20は、上述したこられの各層の材料を溶剤に溶解、分散させた発光層形成用塗液を用いて、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウェットプロセス、上記の材料を抵抗加熱蒸着法、電子線(EB)蒸着法、分子線エピタキシー(MBE)法、スパッタリング法、有機気相蒸着(OVPD)法等の公知のドライプロセス、又は、レーザー転写法等により形成することができる。
なお、ウェットプロセスにより有機層E20を形成する場合には、発光層形成用塗液は、レベリング剤、粘度調整剤等の塗液の物性を調整するための添加剤を含んでいてもよい。
各層の膜厚は、例えば1〜1000nm程度であるが、10〜200nmが好ましい。膜厚が10nm未満であると、本来必要とされる、電荷の注入特性、輸送特性、閉じ込め特性などが得なれない。また、ゴミ等の異物による画素欠陥が生じるおそれがある。また、膜厚が200nmを超えると有機層E20の抵抗成分により駆動電圧の上昇が生じ、消費電力の上昇に繋がる。
(反射膜)
反射膜E14は、TFT回路E12上に、絶縁膜E13を介して形成され、有機層E20から来た光を反射する機能と、TFT回路E12からの電荷を陽極E15に輸送する機能を持つ。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。反射膜E14を形成する材料としては公知の光反射性材料を使用することができる。
反射膜E14を形成する電極材料としては、光を反射し導電性を持つアルミニウム(Al)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、等の金属、又は、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。
反射膜E14は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザー剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。その膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。
(陽極)
陽極E15は、反射膜E14から輸送された電荷を有機層E20に注入する。またマイクロキャビティ効果を発現するために透明電極であることが望ましい。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。陽極E15を形成する電極材料としては公知の電極材料を使用することができる。
陽極E15を形成する材料としては、インジウム(In)及び錫(Sn)を含む酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)、インジウム(In)及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IZO)等が望ましい。また、有機層E20への正孔の注入をより効率よく行なう観点から、仕事関数が4.5eV以上の金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)等の金属を用いてもよい。
陽極E15は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザー剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。その膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。
(陰極)
陰極E21は、有機層E20上に形成されている。陰極E21は陽極E15とともに、有機層E20を挟持している。
発光を取り出す側の陰極E21は、有機層E20から発光される光の少なくとも一部を透過させる透過電極層でなければならない。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。陰極E21を形成する電極材料としては公知の電極材料を使用することができる。
陰極E21を形成する電極材料としては、有機層E20への電子の注入をより効率よく行なう観点から、仕事関数が4.5eV以下のリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属、又は、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。
陰極E21は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザー剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。
色純度の向上、発光効率の向上、正面輝度の向上等の目的でマイクロキャビティ効果を発現する構成を採用する場合には、陰極E21を半透明電極とすることが好ましい。半透明電極の材料として、金属の半透明電極単体、又は、金属の半透明電極及び透明電極材料の組み合わせとすることが可能であり、中でも、金属の半透明電極の材料は、反射率・透過率の観点から、銀が好ましい。また透明電極の材料は、インジウム(In)及び錫(Sn)を含む酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)、インジウム(In)及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IZO)が望ましい。
半透明電極層の膜厚は、5〜30nmが好ましい。膜厚が5nm未満の場合には、光の反射が十分行なえず、干渉の効果を十分得ることができない。また、膜厚が30nmを超える場合には、光の透過率が急激に低下することから輝度、効率が低下するおそれがある。
(エッジカバー)
エッジカバーE16は、反射膜E14の端部を封止している。
EL基板E1において、基板E11側に形成された陽極E15のエッジ部で、陽極E15と陰極E21との間でリークを起こすことを防止する目的でエッジカバーE16を有することが好ましい。ここで、エッジカバーE16は、絶縁材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができ、公知のドライ及びウエット法のフォトリソグラフィー法によりパターン化をすることができる。
なお、本発明に係る有機EL素子がエッジカバーE16を備える場合、その形成方法はこれらの形成方法に限定されるものではない。
また、絶縁材料は、公知の材料を使用することができ、本発明では特に限定されないが、光を透過する必要があり、例えば、SiO、SiON、SiN、SiOC、SiC、HfSiON、ZrO、HfO、LaO等が挙げられる。また、膜厚としては、100〜2000nmが好ましい。膜厚が100nm以上であると、十分な絶縁性を有するため、反射膜E14と陰極E21との間でリークが起こり難く、消費電力の削減、発光効率が良好となる。また、膜厚が2000nm以下であると、エッジカバーE16での陰極E21の断線といった不具合を生じず、短時間で成膜でき、生産性が向上する。
(封止膜)
封止膜E22は、陰極E21の上部に積層している。本発明に係る発光装置を用いたディスプレイ、表示装置及び有機EL照明には、封止膜E22を設けることが好ましい。封止膜E22は、公知の封止材料及び封止方法により形成することができる。例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスをガラス、金属等で封止する方法が挙げられる。さらに、封入した不活性ガス中に酸化バリウム等の吸湿剤等を混入する方がより水分による有機ELの劣化を効果的に低減できるため好ましい。
さらに、陰極E21上に樹脂をスピンコート法、ODF、ラミレート法を用いて塗布する、又は、貼り合わせることによって封止膜E22とすることもできる。さらに、陰極E21上に、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、スパッタ法等により、SiO、SiON、SiN等の無機膜を形成した後、樹脂をスピンコート法、ODF、ラミレート法を用いて塗布する、又は、貼り合わせることによって封止膜E22とすることもできる。
この封止膜E22により、外部からの素子内への酸素又は水分の混入を防止することができ、有機EL素子の寿命が向上する。
また、本発明は、これらの部材又は形成方法に限定されるものではない。
(波長変換基板)
図9は、本実施形態で用いる波長変換基板C1を模式的に示す断面図である。前記波長変換基板C1は、励起光の波長を他の波長に変換する機能を有する基板であり、少なくとも波長変換層C2を備える。波長変換層C2は、赤色変換層C142及び緑色変換層C152とからなる。
前記波長変換層C2の外部から到達した励起光により波長変換層C2が励起され、発光する形態のものである。また本実施形態では、青色光を励起光とし前記青色光を波長変換層C2により赤色光および緑色光に変換し、また青色光は波長変換することなく利用することによりRGB画素としてフルカラー表示を行う、表示素子に好適な波長変換基板C1の例を挙げて説明する。
なお、以下に示す実施形態は、発明の趣旨をよりよく理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
また、以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴を分かり易くするために、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図9に示す波長変換基板C1は、基板C11上に遮光層C12を介して隔壁C13が立設され、この隔壁C13によって互いに区画された赤色画素C14、緑色画素C15及び青色画素C16を備えたものである。隔壁C13で区画された基板C11上の所定の領域は、それぞれサブピクセルを構成している。
本実施形態では、波長変換層C2を赤色画素C14と緑色画素C15に配置する。赤色画素C14における波長変換層C2を赤色変換層C142、緑色画素C15の波長変換層C2を緑色変換層C152と呼ぶ。また本実施形態では、青色画素C16には、波長変換層C2を配置しない代わりに励起光散乱層C163を配置する。
赤色画素C14は、基板C11上に赤色カラーフィルタC141及び赤色変換層C142がこの順に積層されて構成されている。緑色画素C15は、基板C11上に緑色カラーフィルタC151及び緑色変換層C152がこの順に積層されて構成されている。そして、青色画素C16は、基板C11上に青色カラーフィルタC161、及び励起光を散乱させるための励起光散乱層C163がこの順に積層されて構成されている。
図13は、図9に示す波長変換基板C1の上面図である。破線で囲まれた各カラーフィルタ8R、8G及び8Bは、y軸に沿ってストライプ状に延長され、x軸に沿って各カラーフィルタ8R、8G及び8Bがこの順に配置された、2次元的なストライプ配列とされている。
なお、図13では、各RGB画素(各カラーフィルタ8R、8G及び8B)がストライプ配列された例を示しているが、本発明はこれに限定されず、各RGB画素の配列はモザイク配列、デルタ配列等、ペンタイル配列、ダイアゴナル配列など公知のパターンが適宜選定されてよい。
(波長変換基板に用いる基板)
本実施形態において、波長変換基板に用いる基板C11は、波長変換層C2をはじめとする各部材を形成するための支持体として設置する。
波長変換基板に用いる基板に要求される特性としては、波長変換層C2からの発光を高効率で外部に取出すことができる高い透明性を有すること、基板上に各部材を形成するにあたって適切な耐熱性や耐溶媒性等のプロセス耐性を備えること、寸法安定性に優れていること、平滑性が高いことなどが挙げられる。
基板C11を形成する材料としては、上記の要求を満たすものであれば特に制限されるものではないが、例えば、ガラスや石英等からなる無機材料基板、ポリエチレンテレフタレート、トリアセチルセルロース、ポリカーボネート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルホンポリイミド等からなるプラスチック基板、前記プラスチック基板の表面を無機材料でコーティングした基板、アルミナ等からなるセラミックス基板等が挙げられる。
(遮光層)
本実施形態においては、視認性の向上や、あるいは隣接画素へ進入しようとする励起光の吸収を目的に、図9に示すように波長変換基板に遮光層C12を設ける。
遮光層C12の材料としては、カーボンブラック等の着色剤を感光性樹脂に分散させた材料や、Cr(クロム)やCr/酸化Crの多層膜等の金属、液晶用ブラックマトリックス材料等が用いられる。
遮光層C12の形成方法としては、フォトリソグラフィー法や印刷法、ドライプロセスで製膜後にエッチング処理を行うなどの公知の方法が適用できる。
遮光層C12の膜厚としては、10nmから3μm程度が好ましい。10nm未満の場合には、十分な遮光性が得られない場合があり、3μmを超えると励起光や波長変換層C2からの発光が吸収されてしまって高い光取出し効率を得られない場合があるからである。
本実施形態においては、図11に示すように、視認性の向上や、あるいは隣接画素へ進入しようとする励起光の吸収の効果を高めるために、隔壁C13の下部にも遮光層C12を設けてもよい。
なお、図9〜図11では一例として隔壁C13上部に遮光層C12を設けた構成を示したが、遮光層C12は隔壁C13を下部のみに設けてもよいし、遮光層C12を隔壁C13上部にも下部にも設けない構成でもよい。
(隔壁)
隔壁C13は、光源からの励起光や波長変換層C2からの発光が隣接画素へ伝播して混色が起こることを抑制するために、波長変換層C2の周囲を囲むように副画素間に設置することが望ましい。
隔壁に要求される特性としては、隣接画素への光漏れがないように可視光の光透過率が低いこと、高効率な光取出しを実現するために可視光反射率あるいは散乱率が高いこと、が挙げられる。また、高精細が要求される場合には、高精細に対応可能な材料やプロセスを適用することが必要である。
隔壁C13を構成する材料としては、上記の特性を満たすような材料であれば特に制限されない。例えば、樹脂などから成る基材に光反射性や光散乱性を有する材料を分散して隔壁C13を形成した形態でもよいし、隔壁C13全体を光反射性や光散乱性を有する材料で形成した形態でもよいし、樹脂などの基材より形成した隔壁C13の表面に光反射性や光散乱性を有する材料からなる薄膜を形成した形態でもよい。
光反射性や光散乱性を有する材料は、無機材料でもよいし、有機材料でもよいし、無機材料と有機材料を組み合わせたものでもよい。
前記光反射性や光散乱性を有する無機材料としては、金、銀、銅、ニッケル、アルミニウム、スズ、クロム、チタン等の金属およびそれらの合金や、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、バリウムおよびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素を有する酸化物、窒化物、硫酸塩、塩酸塩、硝酸塩などが挙げられる。
また、前記光反射性や光散乱性を有する有機材料としては、ポリメチルメタクリレート、アクリル樹脂、アクリル−スチレン共重合体、メラミン樹脂、高屈折率メラミン樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹脂などからなる微粒子が挙げられる。
隔壁C13の基材となる樹脂には、公知の樹脂を用いることができる。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、メラミン樹脂、ナイロン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリメタクリル酸メチル、ポリMBS、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、テトラフルオロエチレン、ポリ三フッ化塩化エチレン、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げられる。また、前記樹脂に感光性材料を用いることによって、フォトリソグラフィー法でパターニングを行うことも可能となる。
なお、隔壁C13の構成として、樹脂などから成る基材に光反射性や光散乱性を有する材料を樹脂に分散する場合には、分散された材料の光反射性や光散乱性を発揮させる目的から、可視光領域で透明であることが好ましい。また、目的に合わせて各種添加剤等を添加してもよい。
隔壁C13の形成方法としては、特に限定されず、公知の方法が用いられる。
光反射性や光散乱性を有する材料を基材樹脂中に分散させる形態においては、例えば、前記樹脂および前記光反射性や光散乱性を有する材料を、溶媒に溶解または分散させてなる隔壁形成用組成物を得た後に、スピンコーティング法、ディッピング法、ドクターブレード法、吐出コート法、スプレーコート法等の塗布法、または、インクジェット法、凸版印刷法、凹版印刷法、スクリーン印刷法、マイクログラビアコート法等の印刷法等による公知のウェットプロセスによって塗布することができる。また、前記樹脂に感光性材料を用いることによって、フォトリソグラフィー法でパターニングを行うことも可能となる。この形態において効果的に反射や散乱を起こすためには、低屈折率の基材樹脂中に基材よりも高屈折率の微粒子を分散するような系であることが好ましい。また、光散乱強度は一般的に光散乱粒子の粒径が波長の1/2程度の時に最も大きくなるので、光反射粒子あるいは光散乱粒子の粒径としては数百nmオーダーであることが好ましい。さらに、複数種の光反射性粒子や光散乱粒子を用いてもよく、例えば、第1の散乱粒子と、第1の散乱粒子よりも粒径が小さく、屈折率の大きい第2の散乱粒子を用いると、より効果的に高い光散乱を実現可能である。前記光反射性や光散乱性を有する材料の含有量は、特に限定されず、目的とする光学特性に応じて適宜調節される。
隔壁C13全体を光反射性や光散乱性を有する材料で形成した形態においては、例えば化学気相成長(CVD)法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法等の真空蒸着法、レーザーアブレーション法、等のドライプロセス法や、前述のウェットプロセスに加えて、金属であれば、めっき法や無電解めっき法によって形成することができる。また、光反射性や光散乱性を有する材料からなる膜のパターニング方法としては、例えば、メタルマスクを用いてもよいし、フォトエッチング法によって不要部を除去してもよい。
樹脂などの基材より形成した隔壁C13の表面に光反射性や光散乱性を有する材料からなる薄膜を形成した形態においては、前記樹脂と溶媒からなる隔壁C13形成用組成物を得た後に、前述のウェットプロセスを用いて成膜することができる。前記樹脂に感光性材料を用いて、フォトリソグラフィー法でパターニングを行うことが好ましい。このように形成した基材樹脂からなる隔壁C13の表面に、光反射性や光散乱性を有する材料からなる薄膜を前述のドライプロセスやウェットプロセスにより形成することができる。この時の光反射性や光散乱性を有する材料からなる膜厚は、特に限定されるものではないが、具体的には、20nmから5μmの範囲内、中でも50nmから3μmの範囲内、特に100nmから1μm程度であることが好ましい。反射膜の膜厚が上記下限値以上であると十分な反射率が得られ、反射膜の膜厚が上記上限値以下であると、短時間で製膜でき、コストが削減できる。
隔壁C13の膜厚は、波長変換層C2の発光を有効に基板外に取出すために、波長変換層C2の膜厚よりも大きいことが好ましい。具体的には、0.1μmから100μm程度であることが好ましく、特には、1μmから10μmの範囲であることが好ましい。
隔壁C13の好適なアスペクト比(高さ/断面横幅)は、0.5から10であることが好ましい。0.5以上だと、高精細化、高開口率のメリットが得られ、10以下であると隔壁C13と基板C11の密着性や隔壁C13の安定性が良好となる。
また、隔壁C13の形状としては、隣接画素への光漏れがないよう隔壁の周囲を覆うものであればどのような形状でもよいが、特に、光取出し側の基板に近い側で断面形状が小さくなっており、光源に近い側で断面形状が大きくなっている(即ち、光取出し側の基板に近い側で副画素の開口面積が大きくなっており、光源に近い側で副画素の開口面積が小さくなっている)ような、逆テーパ形状であることが、光取出し効率を向上させられる点でより好ましい。
さらに、隔壁C13の表面を粗面とすることによってより効果的に光散乱性を付与してもよい。例えば、隔壁の表面に平均周期数百nmオーダーの凹凸を設けることができる。凹凸の平均周期が1μm以上の場合には、波長変換層C2にて変換された光の波長よりも大きいので光散乱性が低下するおそれがあり、100nm未満の場合には、隔壁C13内部へ光が入り込んで光取出し効率が低下することが懸念される。
ここでは主に波長変換層C2に先んじて隔壁C13を形成する場合を想定して記載したが、これに制限されることなく、波長変換層C2を形成した後に隔壁を形成してもよい。
(カラーフィルタ)
本実施形態においては、図9に示すように、赤色変換層C142、緑色変換層C152、または励起光散乱層C162から射出した発光スペクトルより不必要な波長域を減光し、良好な色再現性を実現するために、波長変換層赤色変換層C142、緑色変換層C152、または励起光散乱層C162の出力側にカラーフィルタ層を形成してもよい。
カラーフィルタ層C141、C151、C161に要求される特性としては、所望の色純度の光のみを外部に取出すために所望外の波長域の光吸収率が高いこと、光取出し効率を向上させて低消費電力駆動を可能にするために所望の波長域で透過率が高いこと、後工程のプロセスに耐えうる耐熱性、耐光性、耐溶剤性などを備えていることが挙げられる。
カラーフィルタ層C141、C151、C161を形成する材料は特に制限されるものではないが、例えば、所望とする各色の着色剤(染料または顔料)と透明樹脂から構成される。液晶など各種ディスプレイ用の市販カラーフィルタ材料が使用できる。
カラーフィルタ層C141、C151、C161の形成方法としては、フォトリソグラフィー法や印刷法などの公知の方法を用いることができる。フォトリソグラフィー法により形成する場合、例えば、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有する電子線または紫外線硬化性樹脂を使用することができる。紫外線硬化性樹脂を使用する場合には、バインダー樹脂に光重合開始剤が単独または複数組み合わせて使用される。また必要に応じて、増感剤、塗布性改良剤、現像改良剤、架橋剤、重合禁止剤、可塑剤、難燃剤等を含有してもよい。
本実施形態においては、カラーフィルタ層C141、C151、C161は、光の3原色である赤色、緑色、青色からなることが好ましい。赤色カラーフィルタ層C141、C151、C161により赤色副画素部が設定され、緑色カラーフィルタ層により緑色副画素部が設定され、青色カラーフィルタ層により青色副画素部が設定されることになる。
なお、カラーフィルタは、赤色と緑色の2色のみの構成としてもよいし、3色以上の多色構成としてもよい。例えば、黄色や白色を加えた4色構成としてもよいし、黄色とシアンとマゼンダを加えた6色構成としてもよい。カラーフィルタ層C141、C151、C161の膜厚は、小さ過ぎると所望外の波長域の光を十分に吸収できないおそれがあり、また大き過ぎると所望の波長域での光透過率が低下してしまうおそれがあることから、100nmから5μm程度であることが好ましい。
(波長変換層)
本実施形態において波長変換層C2は、前記波長変換層C2の外部から到達した励起光の特定波長成分を吸収し、励起され、吸収した波長とは異なる波長の光を放出(発光)する、波長変換機能を有する。
前記波長変換層C2は、少なくとも蛍光材料を含む。前記波長変換層C2は、蛍光材料のみから構成されていてもよいが、成膜性の向上や波長変換効率を高める目的から、前記蛍光材料が、樹脂や前記蛍光体材料には該当しない低分子材料からなるバインダー材料に分散されている形態が好ましい。
前記蛍光材料は、蛍光性物質及び燐光性物質のいずれでもよいが、励起光の波長帯域における吸収率が高く、励起光の波長を他の波長に変換する発光量子収率が高い材料が好ましい。また、所望の色(赤色、緑色)に対応した発光を示す、いわゆる色純度の高い材料であることが好ましい。波長変換層における蛍光材料は一種のみでもよいし、二種以上でもよく、二種以上である場合、その組み合わせ及び比率は任意に設定できる。
前記蛍光材料は、有機蛍光材料または、無機蛍光材料から任意に選択することができる。有機蛍光体材料は、一般的に発光量子収率が高いため好ましく、無機蛍光材料は耐久性が高いため好ましい。有機蛍光材料としては、多環芳香族炭化水素(PAH)系、ポリメチン系、ヘテロ環式芳香族系、錯体系などの低分子系材料や、これら化学構造を主鎖や側鎖として含む高分子系材料が挙げられる。PAH系としては、アントラセン、ルブレン、ペリレンや、その誘導体が挙げられる。ポリメチン系としては、シアニンなどの直線型や、ボロンピロメテン(BODIPY)、ローダミン、フルオロセインなどの環式ポリメチンや、それらの誘導体が挙げられる。ヘテロ環式芳香族系としては、クマリン、オキサジアゾール、イミダゾールおよびその誘導体が挙げられる。錯体系としては、Eu等の希土類やIrを中心金属とし、π共役系分子を配位子とした錯体が挙げられる。これら低分子系蛍光材料は、前記バインダー材料に分散させることで、蛍光体材料の濃度消光を抑制することが可能で発光量子収率を高めることができる。また、高分子系蛍光材料であれば、バインダーを兼ねる事が可能であり成膜性がよいため好ましい。
一方で、無機蛍光材料であれば、発光中心型や量子ドットが挙げられる。発光中心型としては、β−サイアロンやCaAlSiN:Eu2+が挙げられ、Eu2+やCe3+を発光中心金属が、シリコンやアルミニウムの酸化物、窒化物、酸窒化物、硫化物を母体結晶中に分散されている材料が挙げられる。量子ドットとしては、CdSeなどのII−VI族、InPなどのIII−V族が挙げられる。量子ドットは、低分子蛍光材料と同様に、前記バインダー材料に分散させることで、蛍光材料の濃度消光を抑制することが可能で発光量子収率を高めることができ、さらに変換された光の色純度を高めることができるため好ましい。
前記赤色変換層C142として用いる場合には、蛍光材料の発光波長ピークが595nm〜800nmであることが好ましく、さらに、色純度の観点から、発光波長ピークが610nm〜750nmであることが好ましい。その具体例として、有機蛍光体であれば、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)−4H−ピラン(DCM)、DCM−2、DCJTB、1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウム−パークロレート(ピリジン1)、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、ベーシックバイオレット11、スルホローダミン101、ベーシックバイオレット11、ベーシックレッド2、ルモゲンオレンジ、ルモゲンピンク、ルモゲンレッド、ソルベントオレンジ55、3−(ベンゾチアゾール−2−イル)−7−(ジエチルアミノ)−2−オキソ−2H−1−ベンゾピラン−4−カルボニトリルが挙げられる。また無機蛍光体であれば、CaAlSiN:Eu2+、SrSi:Eu2+、SrSi:Yb3+、Ca α−sialon:Pr3+や、粒径4〜8nmのCdSe、粒径3.5〜9nmのCdTe、粒径2〜4nmのInPなどが挙げられる。
前記緑色変換層C152として用いる場合には、蛍光材料の発光波長ピークが490nm〜595nmであることが好ましく、さらに、色純度の観点から、発光波長ピークが500nm〜560nmであることが好ましい。その具体例として、有機蛍光体であれば、2,3,5,6−1H、4H−テトラヒドロ−8−トリフロメチルキノリジン(9,9a、1−gh)クマリン(クマリン153)、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、10−(ベンゾチアゾール−2−イル)−2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H,11H−[1]ベンゾピラノ[6,7,8‐ij]キノリジン−11−オン(クマリン545)、クマリン6、クマリン545T、クマリン545P、7−ジエチルアミノ−3−(5−クロロベンゾオキサゾール−2−イル)クマリン、ベーシックイエロー51、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー98、ソルベントイエロー116、ソルベントイエロー43、ソルベントイエロー44、ルモゲンイエロー、ルモゲングリーン、ソルベントグリーン5などが挙げられる。また無機蛍光体であれば、SrSi:Eu2+、SrSi13Al21:Eu2+や、粒径2.3〜4nmのCdSe、粒径3〜3.5nm程度のCdTeなどが挙げられる。
蛍光材料を分散させるバインダーとしては、蛍光材料の発光特性を低下させることなく、波長変換層C2の成膜性を高める材料であることが好ましい。蛍光材料の発光特性を低下させない観点から、バインダー材料は、変換された光の波長域で透明であることが好ましく、また、蛍光材料をこれらバインダーに0.01から10重量%の範囲で分散させることが好ましい。濃度が低い場合には、励起光を十分に吸収できず、また濃度が高い場合には、濃度消光により波長変換効率が低下する可能性があるからである。成膜性を高める材料である観点から、バインダー材料は樹脂であることが好ましい。さらには、感光性を有した樹脂を用いることで、後述するように高精細な波長変換層C2のパターニングが可能となる。
また、蛍光材料やバインダー材料の他にも、波長変換層C2の吸収率や発光量子効率を向上させる目的から、エネルギー移動材料が含まれていてもよい。前記エネルギー移動材料は、励起光を吸収し、蛍光材料へエネルギー移動させ、蛍光材料を励起状態にする機能を有する。したがって、励起光の波長域に吸収があり、前記エネルギー移動材料の励起状態のエネルギー準位が、蛍光材料の励起状態のエネルギー準位よりも高いことが好ましい。前記エネルギー移動材料は、前記蛍光材料や前記バインダーが兼ねていてもよい。
波長変換層C2の形成方法としては、前記蛍光材料または、前記蛍光材料を分散させたバインダー材料を、従来のスピンコート法や、蒸着法や、インクジェット法などの印刷法や、レーザー熱転写法を用いて成膜することができる。インクジェット法などの印刷法や、レーザー熱転写法を用いた場合には、波長変換層C2の形成と同時にパターニングをすることができる。その一方で、スピンコート法や蒸着法などの手法を用いた場合など、波長変換層C2をパターニングが必要な場合には、以下の手法を用いることが好ましい。(i)前記蛍光材料を、前記バインダー材料を兼ねる感光性樹脂に分散させてフォトリソグラフィーを利用する手法、(ii)前記蛍光材料を前記バインダーに分散させて成膜した後に、感光性樹脂をフォトリソグラフィーによりパターン形成し、不要な波長変換層C2の領域をエッチングする手法、(iii)波長変換層C2として不要な領域に光照射し、蛍光材料を退色する手法が挙げられる。(i)、(ii)については、パターン形成に実績のある感光性樹脂を用いることができるため、確実にパターン形成が可能であり、パターン精細度は感光性樹脂に依存するため、高精細パターンが可能な感光性樹脂を用いることで容易に高精細化が可能である。特に(i)は、パターニングの工程数が少ないため好ましい。一方で、(iii)については、バインダー材料の選択肢が広いため、発光特性を低下させることなく、成膜性の高いバインダー材料を用いる事が可能である。
前記手法(i)における感光性材料としては、露光により硬化するネガ型もしくは、露光により現像液へ可溶化するポジ型とが挙げられ、いずれのタイプを用いてもよい。ネガ型は、形成された波長変換層C2の溶解性を著しく低下させることができるため、波長変換層C2形成後のウェットプロセスなどの工程に対する耐久性が高い。一方でポジ型は、波長変換層形成時に光が照射されないため、蛍光材料の劣化を抑制することが可能であり蛍光材料が本来有する発光特性を維持することができる。
具体的なネガ型の感光性材料としては、(i)(メタ)アクリレート基のようなラジカル重合性基を多く有するモノマーまたはオリゴマーと、光ラジカル重合開始剤とを有する形態や、(ii)環状エーテルのようなカチオン重合性基を多く有するモノマーまたはオリゴマーと、光酸発生剤とを有する形態や、(iii)環状エーテル等のようなアニオン重合性基や、塩基との架橋反応が起こる基を多く有するモノマーまたはオリゴマーと、光塩基発生剤とを有する形態や、(iv)クマリンやシンナメートのような光二量化反応を起こす基を有するモノマーおよびオリゴマーを有する形態が挙げられる。
具体的なポジ型の感光性材料としては、(i)ノボラック樹脂やポリイミドなどの高分子材料とジアゾナフトキノン誘導体とを有する形態や、(ii)ターシャリーブチル基のようなカルボキシ基や水酸基の保護基を有する高分子材料と光酸発生剤とを有する形態や、(iii)シクロブタンジイミドやニトロベンジル基のような光開裂基を有する高分子材料を有する形態が挙げられる。これら感光性材料は蛍光材料の発光量子収率や色純度を低下させることなく、パターン精度が優れた材料を任意に選択することができる。
波長変換層C2の形状は、波長変換層C2における励起光が入射される面、変換された光が射出される面、基板に対して略垂直方向の面については、励起光を波長変換層C2内部に効率的に取り入れ、変換された光を外部へ効率的に取出す観点から、平面、もしくは曲面およびこれらを組合せ、任意に選択することができる。また、波長変換層C2の膜厚は、0.1μmから100μm程度であることが好ましく、特には、1μmから10μmの範囲であることが好ましい。膜厚が薄い場合には、励起光の吸収率が低下し、また厚い場合には材料を無駄に消費するだけに留まる。
(励起光散乱層)
赤色変換層C142と緑色変換層C152の青色に対応する部分には、有機EL素子から放出される光を散乱させて視野角を改善する目的で励起光散乱層C163を設ける。また、青色画素に限らず、別の色の画素においても同様に視野角改善の目的で励起光散乱層C163を設けてもよい。図10に赤色画素14と緑色画素15両方にそれぞれ励起光散乱層C143とC153を設けた構造を示す。
励起光散乱層C163に要求される特性としては、励起光を広視野角に拡散させて外部に出射させることができる高い光散乱性と、高い光取出し効率が実現できるような励起光の波長域の光に対する高い光透過性が挙げられる。
励起光散乱層C163を構成する材料としては、上記特性を実現可能な材料であれば特に制限はないが、例えば透明バインダー樹脂と、透明バインダー樹脂に分散された透明光散乱粒子とから構成される。
透明バインダー樹脂としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系の反応性ビニル基を有する光硬化型樹脂、熱硬化型樹脂を使用することができる。上記透明樹脂としては、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
透明光散乱粒子は、無機材料により構成されていてもよいし、有機材料により構成されていてもよいし、無機材料と有機材料の組み合わせによって構成されていてもよい。
無機材料の場合には、例えば、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、およびアンチモンからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物を主成分とした粒子(微粒子)等を用いることができる。具体的には、シリカビーズ、アルミナビーズ、酸化チタンビーズ、酸化ジルコニアビーズ、酸化亜鉛ビーズ、チタン酸バリウム等が挙げられる。
また有機材料の場合には、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリルビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、高屈折率メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ、シリコーンビーズ等を主成分とした粒子(微粒子)等が挙げられる。
励起光散乱層C163中の散乱粒子の含有量は、特に限定されず、目的とする視野角等に応じて適宜調節される。
励起光が励起光散乱層C163によって効果的に拡散するためには、低屈折率のバインダー樹脂中にバインダー樹脂よりも高屈折率の光散乱粒子を分散するような系であることが好ましい。また、光散乱強度は一般的に光散乱粒子の粒径が波長の1/2程度の時に最も大きくなるので、光散乱粒子の粒径としては数百nmオーダーであることが好ましい。
また、複数の光散乱粒子を用いてもよい。例えば、第1の散乱粒子と、第1の散乱粒子よりも粒径が小さく、屈折率の大きい第2の散乱粒子を用いると、より効果的に高い光散乱を実現可能である。
励起光散乱層C163の形成方法としては、特に限定されず、公知の方法が用いられる。例えば、バインダー樹脂および光散乱粒子を、溶媒に溶解または分散させてなる散乱層形成用組成物を用いてフォトリソグラフィー法や各種印刷法等が挙げられる。
励起光散乱層C163の膜厚は、1μmから15μm程度であることが好ましい。1μmよりも薄膜になると、十分な散乱特性が得られず、結果として、広視野角特性を実現することができない。また、15μmよりも厚膜になると、十分な透過特性が得られず、また材料を無駄に消費して材料コストの増加に繋がる。励起光散乱層C163は十分な透過性能を保持できる範囲で薄膜であることが好ましい。
(平坦化層)
本実施形態においては、図11に示すように波長変換層C2上に平坦化層C18が形成されていてもよい。平坦化層C18は、波長変換層C2を保護する役割を有すると共に、波長変換層C2や隔壁C13を形成した面の段差を緩和して平坦化を図るものである。
平坦化層C18に要求される特性としては、励起光を効率良く波長変換層に入射させるために励起光の波長に対する光透過率が高いこと、表面平滑性が高いこと、耐久性が高いことなどが挙げられる。
平坦化層C18を構成する材料としては、上記特性を実現可能な材料であれば特に制限はないが、例えば、有機高分子材料や無機材料などを用いることができる。また、適宜添加剤などを添加してもよい。
有機高分子材料としては、例えば、アクリレート系、メタクリレート系等の反応性ビニル基を有する光硬化型透明樹脂、熱硬化型透明樹脂を使用することができる。上記透明樹脂としては、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリ塩化ビニル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸樹脂、ポリアミド樹脂等が挙げられる。
無機材料としては、例えば酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタル等の酸化物や窒化物を使用することができる。
平坦化層C18の形成方法としては公知の方法を用いることができる。塗布液から形成する場合には、ディッピング法、スピナー法、スプレー法、ロールコート法、フレキソ印刷などの方法で塗布できる。光硬化型樹脂や熱硬化型樹脂を用いる場合には、製膜後に必要に応じて光または硬化させればよい。
また無機材料などは、CVD法、真空蒸着法等のドライプロセスによって形成することもできる。
平坦化層C18は、単層構造でもよいし、多層構造でもよい。また膜厚については特に限定されるものではないが、大き過ぎると励起光源から波長変換層C2に光が入射する際に、所望外の画素へ入射するクロストーク現象や、励起光源からの光が波長変換層C2に十分に入射しないことによる光取出し効率の低下を招くので、画素間を隔てる隔壁の幅よりも小さいことが望ましい。
(ガスバリア層)
本実施形態においては、図11に示すように波長変換層C2または平坦化層C18上にガスバリア層C19が形成されていてもよい。ガスバリア層C19は、波長変換層C2やカラーフィルタ層C141、C151、C161、平坦化層C18から有機EL素子への水蒸気、酸素、脱離ガスなどの拡散を防止してダークスポットの発生を抑制するために設けられるものである。また、ガスバリア層C19は平坦化層C18を兼ねていてもよい。
ガスバリア層C19に要求される特性としては、励起光を効率良く波長変換層に入射させるために励起光の波長に対する光透過率が高いこと、水蒸気、酸素、脱離ガスなどに対して高いガスバリア性を発現すること、耐久性が高いことなどが挙げられる。
ガスバリア層C19を構成する材料としては、上記特性を実現可能な材料であれば特に制限はないが、ガスバリア性が高い点から、透明無機材料が好ましい。例えば酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム等の酸化物や窒化ケイ素等の窒化物、酸窒化ケイ素等の酸窒化物などが用いられる。中でも、ピンホールや突起が生じにくくガスバリア性が高いことから、酸窒化ケイ素が好適である。
ガスバリア層C19の形成方法としては公知の方法を用いることができる。ガスバリア層C19が透明無機膜である場合、スパッタリング法、化学気相成長(CVD)法、イオンプレーティング法、電子ビーム(EB)蒸着法や抵抗加熱法等の真空蒸着法、レーザーアブレーション法などの真空状態で形成できる膜の形成方法が好適である。
ガスバリア層C19は、単層構造でもよいし、多層構造でもよい。多層構造である場合は、ガスバリア性をより高めることができる。また膜厚については特に限定されるものではないが、ガスバリア層の膜厚が小さ過ぎるとガスバリア性が不十分となる可能性があり、ガスバリア層C19の膜厚が大き過ぎると膜応力によるクラック等の現象が生じやすいことから、50nmから2μm程度の厚さが好ましい。
(封止剤、充填剤)
以上のように作製した波長変換基板C1とEL基板E1を接着し、外部の水分や酸素から保護するために封止を行う必要がある。
接着、封止は、波長変換基板C1とEL基板E1のギャップが一定に保たれ、機械的に十分な強度を有し、水分や酸素が外部から内部へ侵入しないような構成であれば、どのような構成で行ってもよい。このような構成は、例えば、図1に示すように、波長変換基板C1の外周部に封止剤F1として既存の光または熱硬化性封止剤を塗布してEL基板E1とを貼り合せ、接着する。
封止剤F1の材料としては、低透湿性で、接着力が高く、硬化時にガスの発生がないような材料が望ましい。このような材料としては、アクリル樹脂やエポキシ樹脂など公知の光または熱硬化樹脂を用いることができる。更に両基板間のギャップを一定に保持するためにガラスビーズやシリカビーズなどのスペーサーを含有してもよい。
また、図1に示すように波長変換基板C1とEL基板E1との貼り合せにおいて形成される内部空間に、表示素子を低消費電力化させる目的や、長寿命化させる目的から充填剤F2を備えていてもよい。
充填剤F2の材料は、EL基板E1からの発光の内部空間界面における反射を抑制し、波長変換層C1への光取入れ効率を向上させる観点から接触する他の部材と屈折率が近く、また可視光に対して十分な透明性のあるものが好ましい。例えばSiN、SiO、のような無機材料、アクリル樹脂、シリコンゲルのような有機材料を用いることができる。上記以外にも、マッチングオイル等の屈折率が制御された液体やであっても構わない。また、長寿命化させる目的から、窒素ガスやアルゴンガスのような波長変換基板C1やEL基板E1の構成部材に対して不活性な気体を充填しておいても構わない。
封止剤F1、充填剤F2の形成方法としては、まず波長変換基板C1、並びにEL基板E1表面に吸着している水分等を除去するために、加熱処理を行うことが望ましい。続いて、ディスペンサーなどの任意の手段を用いて封止剤F1や充填剤F2を波長変換基板C1またはEL基板E1上に塗布する。また、この後に露光処理や熱処理を行うことによって硬化を行う。尚、光硬化性封止剤であれば、波長変換基板C1およびEL基板E1の画素領域を遮光した上で露光することが好ましい。また、封止剤F1を形成後に充填剤F2を封入しても良く、この場合には、封止剤F1の一部に設けられた注入口を通して、充填剤F2を封入することによって実現することができる。これら一連の接着、封止工程は酸素や水分濃度が極低濃度に管理された環境下で行われることが好ましい。
(発光層)
発光層については、本発明の主要部分であるため、ここで詳細に記述する。
図2に示す発光層E18は、陽極E15と陰極E21から注入された電荷から励起子を生成し、その励起子のエネルギーを使って発光する。特に青色発光をする材料を持つことが望ましい。
本実施形態において発光層は、少なくともダブレット材料からなる第1の分子と、発光性を有する第2の分子と、を含む。
本実施形態において、「ダブレット材料」とは、電気的中性の状態で分子中の電子数の総和が奇数である分子のことを言う。また、電気的中性の状態で分子中の電子数の総和が奇数である分子をモノマーとして2個以上連結された分子もダブレット材料に含む。
本実施形態に用いる発光層E18は、例えば、発光材料をドーパントに持ち、ダブレット材料をホスト材料に持つ構成でもよい。このときホスト材料の質量%またはモル%がドーパントである発光材料の質量%またはモル%よりも大きいことが望ましい。
また、駆動電圧の低減の観点から、電荷輸送性の高いホスト材料に発光材料とダブレット材料をドープした構成であることが望ましい。ホスト材料によって低電圧の電荷輸送を実現しながら二種類のドーパントによって発光を行うことができるからである。
電荷輸送性を確保するため、ホスト材料の含有率(単位;質量%またはモル%)がドーパントであるダブレット材料の含有率(単位;質量%またはモル%)よりも大きいことが望ましい。
具体的には、ホスト材料と発光材料とダブレット材料との合計100質量%に対し、ホスト材料の含有率が55質量%以上90質量%以下であることが好ましく、65質量%以上90質量%以下がより好ましく、70質量%以上90質量%以下であることが特に好ましい。
さらにダブレット材料の含有率(単位;質量%またはモル%)が発光材料の含有率(単位;質量%またはモル%)よりも大きいことが望ましい。励起子はホスト材料またはダブレット材料で生成されると原理的に100%発光に利用可能であるため、発光材料で生成される確率を低くするためである。本発明は、少なくともダブレット材料と、前記ダブレット材料と異なる発光材料とを発光層E18に用いていることが特徴である。
なお、本発明において、有機層E20は、青色光を発光することが望ましい。
図23にダブレット材料の電子状態の挙動を示す。図23において上向き矢印はスピン上向きの電子、下向き矢印とスピン下向きの電子を表す。エネルギーダイアグラムP101に示す通り、ダブレット材料は、分子中の電子数の総和が奇数であるので、基底状態において、上下スピンの電子が2つ占有する軌道の中で最もエネルギーが高いHOMO(Highest Occupied Molecular Orbital)と全く電子が占有していないLUMO(Lowest Unoccupied Molecular Orbital)の間に1つだけ電子に占有されているSOMO(Singly Occupied Molecular Orbital)が存在する。
ダブレット材料の電子状態が最安定励起状態に励起された時、その材料によって2通りの励起が起こる。1つは図23ダイアグラムP102に示す通り、SOMOからLUMOへ遷移が起こる場合、もう1つは図23ダイアグラムP103に示す通り、HOMOの電子の1つがSOMOに励起する場合である。
P102の場合、SOMOの電子が上向きスピンの電子とすると、最安定励起状態では、スピン反転を伴わない遷移によって励起された場合(図23中の(i))ではLUMOに上向きスピンの電子が、スピン反転を伴う遷移によって励起された場合(図23中の(ii))では、LUMOに下向きスピンの電子が存在することになる。
しかし、SOMOには電子が無いため、LUMOにある電子は上向きスピンであっても下向きスピンであってもスピン許容遷移(図23中の(iii))によって基底状態に戻ることができる。
すなわち、このダブレット材料は、励起子生成においてスピン反転の有無にかかわらずスピン許容遷移が可能になる。したがってこのダブレット材料から発光材料へのフェルスター共鳴エネルギー移動が可能になる。発光材料は、フェルスター共鳴エネルギー移動によって励起された場合、スピン反転を伴わない励起をするので、蛍光材料を用いてスピン許容遷移をすることができる。
また、P103に示した通り、HOMOの電子の1つがSOMOに励起する場合も、再安定励起状態への遷移時にスピン反転を伴う・伴わないに関わらず、スピン許容遷移(図23中の(iii))によって基底状態に戻ることができる。
したがってP102と同様にこのダブレット材料から発光材料へのフェルスター共鳴エネルギー移動が可能になる。発光材料は、フェルスター共鳴エネルギー移動によって励起された場合、スピン反転を伴わない励起をするので、蛍光材料を用いてスピン許容遷移をすることができる。
すなわち、P102・P103どちらの遷移を行うにしてもダブレット材料は、スピン許容遷移によって最安定励起状態から基底状態に戻ることができる。
また量子力学的な観点から考えれば、P102とP103の両励起状態が示す「電子配置」が混ざることも考えられる。つまり、換言すれば、HOMOの電子の1つがSOMOに励起する「電子配置」とSOMOの電子の1つがLUMOに励起する「電子配置」の両方が確率的に両方起こり得るようなダブレット材料も存在する。しかし、どちらの電子配置でもスピン許容遷移によって基底状態に戻ることができることには変わりがない。
ダブレット材料をホスト材料に用いた場合は、図23に示したように直接ダブレット材料で励起子が作られるが、ホスト材料を別に用いた場合は、図24に示すメカニズムで発光に至る。図24中、「HM」はホスト材料を、「DM」はダブレット材料を、「LM」は発光材料を示す。
ホスト材料を別に用いた場合は、ホスト材料が他のドーパントよりも質量%またはモル%で大きい組成となっていることが望ましく、そのような組成になっている場合について説明する。ホスト材料の割合が大きい場合、まず高い確率でホスト材料に励起子が生成される。この場合ホスト材料は、25%で一重項・75%で三重項の励起状態となる。
次に、一重項励起状態からはフェルスター共鳴エネルギー移動(図24中の(y))またはデクスターエネルギー移動(図24中の(x))で、スピン反転を伴わずに、ダブレット材料にエネルギー移動を起こす。ダブレット材料は、図23のP102またはP103に示したスピン反転を伴わない励起を起こす。また、ホスト材料が三重項状態の場合、デクスターエネルギー移動により、ダブレット材料がP102またはP103スピン反転を伴う励起を起こす。すると、図23に示した通り、ダブレット材料がスピンの反転を伴う・伴わない励起どちらであっても、発光材料にスピン反転を伴わないエネルギー移動(図24中の(z))が可能となる。
本実施形態に用いる発光層E18は、少なくとも以下に例示するダブレット材料からなる第1の分子と、発光性を有する第2の分子とを含む。エネルギー移動効率を高める観点から、前記第1の分子の発光スペクトルと前記第2の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なることが好ましい。
本実施形態では、第1の分子をダブレット材料、第2の分子を発光材料、第3の分子をアシストドーパント、第4の分子をホスト材料として記載する。
(第1の分子)
・ダブレット材料
ダブレット材料は例えば、無機蛍光体が好ましく、遷移金属原子を含む分子が好ましく、遷移金属原子のなかでも希土類原子を含む分子が好ましく、希土類原子のなかでもセリウム原子を含む分子が特に好ましい。
ダブレット材料としては、セリウム原子を含む分子又は図26に示す典型元素からなる安定ラジカル分子が好ましい。
セリウム原子を含む分子としては、図25に示すセリウム(III)錯体が好ましい。
特にセリウム(III)錯体は、ラジカルとなる電子がセリウムイオンの4f軌道と言う非常に局在性の高い軌道であり、このラジカルの安定性が高い。したがって、電荷の流れなどで分解されにくいセリウム(III)錯体を用いることが望ましい。
また、第1の分子は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子からなる群より選択される1種又は2種以上から構成されることが好ましい。
(第2の分子)
・発光性を有する材料
発光性を有する材料として発光材料又はホスト材料について、具体的な化合物を以下に例示するが、これらの化合物に限定されるものではない。
低分子のホスト材料または発光材料としては、例えば、ジフェニルアントラセン,4,4’−ビス(2,2’−ジフェニルビニル)−ビフェニル(DPVBi)等の芳香族ジメチリデン化合物;5−メチル−2−[2−[4−(5−メチル−2−ベンゾオキサゾリル)フェニル]ビニル]ベンゾオキサゾール等のオキサジアゾール化合物;3−(4−ビフェニル)−4−フェニル−5−t−ブチルフェニル−1,2,4−トリアゾール(TAZ)等のトリアゾール誘導体;1,4−ビス(2−メチルスチリル)ベンゼン等のスチリルベンゼン化合物;チオピラジンジオキシド誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体等の蛍光性有機材料;アゾメチン亜鉛錯体、(8−ヒドロキシキノリナト)アルミニウム錯体(Alq)等の蛍光発光有機金属錯体;BeBq(ビス(ベンゾキノリノラト)ベリリウム錯体);4,4’−ビス−(2,2−ジ−p−トリル−ビニル)−ビフェニル(DTVBi);トリス(1,3−ジフェニル−1,3−プロパンジオノ)(モノフェナントロリン)Eu(III)(Eu(DBM)(Phen));ジフェニルエチレン誘導体;トリス[4−(9−フェニルフルオレン−9−イル)フェニル]アミン(TFTPA)等のトリフェニルアミン誘導体;ジアミノカルバゾール誘導体;ビススチリル誘導体;芳香族ジアミン誘導体;キナクリドン系化合物;ペリレン系化合物;クマリン系化合物;ジスチリルアリーレン誘導体(DPVBi);オリゴチオフェン誘導体(BMA−3T);4,4’−ジ(トリフェニルシリル)−ビフェニル(BSB)、ジフェニル−ジ(o−トリル)シラン(UGH1)、1,4−ビストリフェニルシリルベンゼン(UGH2)、1,3−ビス(トリフェニルシリル)ベンゼン(UGH3)、トリフェニル−(4−(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)フェニル)シラン(TPSi−F)等のシラン誘導体;9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(CPF)、3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール(mCP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)ビフェニル(CBP)、4,4’−ビス(カルバゾール−9−イル)−2,2’−ジメチルビフェニル(CDBP)、N,N−ジカルバゾリル−3,5−ベンゼン(m−CP)、3−(ジフェニルホスホリル)−9−フェニル−9H−カルバゾール(PPO1)、3,6−ジ(9−カルバゾリル)−9−(2−エチルヘキシル)カルバゾール(TCz1)、9,9’−(5−(トリフェニルシリル)−1,3−フェニレン)ビス(9H−カルバゾール)(SimCP)、ビス(3,5−ジ(9H−カルバゾール−9−イル)フェニル)ジフェニルシラン(SimCP2)、3−(ジフェニルホスホリル)−9−(4−ジフェニルホスホリル)フェニル)−9H−カルバゾール(PPO21)、2,2−ビス(4−カルバゾリルフェニル)−1,1−ビフェニル(4CzPBP)、3,6−ビス(ジフェニルホスホリル)−9−フェニル−9H−カルバゾール(PPO2)、9−(4−tert−ブチルフェニル)−3,6−ビス(トリフェニルシリル)−9H−カルバゾール(CzSi)、3,6−ビス[(3,5−ジフェニル)フェニル]−9−フェニル−カルバゾール(CzTP)、9−(4−tert−ブチルフェニル)−3,6−ジトリチル−9H−カルバゾール(CzC)、9−(4−tert−ブチルフェニル)−3,6−ビス(9−(4−メトキシフェニル)−9H−フルオレン−9−イル)−9H−カルバゾール(DFC)、2,2’−ビス(4−カルバゾール−9−イル)フェニル)−ビフェニル(BCBP)、9,9’−((2,6−ジフェニルベンゾ[1,2−b:4,5−b’]ジフラン−3,7−ジイル)ビス(4,1−フェニレン))ビス(9H−カルバゾール)(CZBDF)等のカルバゾール誘導体;4−(ジフェニルフォスフォイル)−N,N−ジフェニルアニリン(HM−A1)等のアニリン誘導体;1,3−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(mDPFB)、1,4−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(pDPFB)、2,7−ビス(カルバゾール−9−イル)−9,9−ジメチルフルオレン(DMFL−CBP)、2−[9,9−ジ(4−メチルフェニル)−フルオレン−2−イル]−9,9−ジ(4−メチルフェニル)フルオレン(BDAF)、2−(9,9−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9−スピロビフルオレン(BSBF)、9,9−ビス[4−(ピレニル)フェニル]−9H−フルオレン(BPPF)、2,2’−ジピレニル−9,9−スピロビフルオレン(Spiro−Pye)、2,7−ジピレニル−9,9−スピロビフルオレン(2,2’−Spiro−Pye)、2,7−ビス[9,9−ジ(4−メチルフェニル)−フルオレン−2−イル]−9,9−ジ(4−メチルフェニル)フルオレン(TDAF)、2,7−ビス(9,9−スピロビフルオレン−2−イル)−9,9−スピロビフルオレン(TSBF)、9,9−スピロビフルオレン−2−イル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(SPPO1)等のフルオレン誘導体;1,3−ジ(ピレン−1−イル)ベンゼン(m−Bpye)等のピレン誘導体;プロパン−2,2’−ジイルビス(4,1−フェニレン)ジベンゾエート(MMA1)等のベンゾエート誘導体;4,4’−ビス(ジフェニルフォスフィンオキサイド)ビフェニル(PO1)、2,8−ビス(ジフェニルフォスフォリル)ジベンゾ[b,d]チオフェン(PPT)等のフォスフィンオキサイド誘導体;4,4”−ジ(トリフェニルシリル)−p−ターフェニル(BST)等のターフェニル誘導体;2,4−ビス(フェノキシ)−6−(3−メチルジフェニルアミノ)−1,3,5−トリアジン(BPMT)等トリアジン誘導体等が挙げられる。
高分子発光材料としては、ポリ(2−デシルオキシ−1ポリ(2−デシルオキシ−1,4−フェニレン)(DO−PPP)、ポリ[2,5−ビス−[2−(N,N,N−トリエチルアンモニウム)エトキシ]−1,4−フェニル−アルト−1,4−フェニルレン]ジブロマイド(PPP−NEt3+)、ポリ[2−(2’−エチルヘキシルオキシ)−5−メトキシ−1,4−フェニレンビニレン](MEH−PPV)、ポリ[5−メトキシ−(2−プロパノキシサルフォニド)−1,4−フェニレンビニレン](MPS−PPV)、ポリ[2,5−ビス−(ヘキシルオキシ)−1,4−フェニレン−(1−シアノビニレン)](CN−PPV)等のポリフェニレンビニレン誘導体;ポリ(9,9−ジオクチルフルオレン)(PDAF)等のポリスピロ誘導体;ポリ(N−ビニルカルバゾール)(PVK)等のカルバゾール誘導体等が挙げられる。
これらの発光材料のうち発光スペクトルの半値幅が100nmより狭い材料が望ましく、より望ましくは、発光スペクトルの半値幅が50nmより狭い材料が望ましい。更に発光スペクトルの半値幅が20nmより狭い材料が望ましい。20nmより狭い発光スペクトルを実現する材料は、ユーロピウムなどの希土類錯体を用いて実現できる。
有機発光材料としては、有機EL用の公知の発光材料を挙げることができる。このような発光材料は、低分子発光材料、高分子発光材料等に分類され、これらの具体的な化合物を以下に例示するが、本発明はこれらの材料に限定されるものではない。また、画質向上の観点から半値幅の狭い蛍光材料であることが好ましい。また発光材料として用いる材料は、蛍光材料で無くてもよいが、その場合は、発光スペクトルの半値幅が狭く色純度が高い発光材料を用いることが望ましい。
波長変換基板C1は青色光をそのまま透過、緑色に変換、及び赤色に変換する機能を有するので本実施形態に係るEL基板E1〜E4は、各画素から青色光を出すことが望ましい。
したがって、発光材料としては、青色発光するジフェニルアントラセン,スチリル誘導体等の蛍光発光材料;ビス[(4,6−ジフルオロフェニル)−ピリジナト−N,C2’]ピコリネート イリジウム(III)(FIrpic)、ビス(4’,6’−ジフルオロフェニルポリジナト)テトラキス(1−ピラゾイル)ボレート イリジウム(III)(FIr6)等の燐光発光有機金属錯体等が望ましい。
(第3の分子)
第3の分子を含む場合には、アシストドーパントとして前記第3の分子を混在させることにより、エネルギー移動効率を高める観点から、前記第3の分子の発光スペクトルと前記第2の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なることが好ましい。
(第4の分子)
任意に第4の分子として正孔輸送材料、電子輸送材料、添加剤(ドナー、アクセプター等)等を含んでいてもよい。また、これらの材料が高分子材料(結着用樹脂)又は無機材料中に分散された構成であってもよい。発光層自体をバイポーラ(両キャリア輸送性)とし、発光層内の再結合確率を高め発光効率を向上させることができ、発光効率及び寿命の観点からは、ホスト材料中に発光性のドーパントが分散されたものが好ましい。
第4の成分としてのホスト材料としては、有機EL用の公知のホスト材料を挙げるができる。このようなホスト材料としては、上述した低分子発光材料、高分子発光材料、4,4‘−ビス(カルバゾール)ビフェニル、9,9−ジ(4−ジカルバゾール−ベンジル)フルオレン(CPF)、3,6−ビス(トリフェニルシリル)カルバゾール(mCP)、(PCF)等のカルバゾール誘導体、4−(ジフェニルフォスフォイル)−N,N−ジフェニルアニリン(HM−A1)等のアニリン誘導体、1,3−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(mDPFB)、1,4−ビス(9−フェニル−9H−フルオレン−9−イル)ベンゼン(pDPFB)等のフルオレン誘導体等が挙げられる。
ダブレット材料をホスト材料にして発光材料をドーパントにした場合、発光材料とダブレット材料をドーパントにして他のホスト材料を用いた場合のいずれの場合であっても、ダブレット材料が存在することで発光材料からのスピン許容遷移による発光が可能となる。これは発光材料が光励起されたときと同じ発光効率を有することを示す。例えば発光材料として、ジフェニルアントラセンを用いれば、蛍光材料特有の半値幅の狭い発光スペクトルを有する発光を原理的に100%の励起子から発光させることができる。
従来、蛍光材料は、半値幅を狭くすることができるものの励起子のうち25%しか利用できないことが問題だったが、ダブレット材料を用いることで100%の励起子からの発光を得ることができる。
確かに、燐光材料や熱活性型遅延蛍光材料は、100%の励起子からの発光を得ることができる分子内の電荷移動遷移を利用していることから、半値幅を狭くすることが原理的に難しいが、本発明を用いることで狭い半値幅と100%の励起子からの発光を両立できる。
またダブレット材料を発光材料として用いた例も存在するが、燐光材料や熱活性型遅延蛍光材料以上に、広い半値幅の発光スペクトルしか得られていない。
したがって、ダブレット材料と狭い半値幅の発光材料を用いることで(換言すれば第1の分子の発光スペクトルの半値幅は、前記第2の分子の発光スペクトルの半値幅よりも広い)、初めて高画質・低消費電力のOLEDを得ることができる。
以上、本発明の第一実施形態について添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。各実施形態の構成を適宜組み合わせてもよい。
<第二実施形態>
第二実施形態に係る発光装置は、主要な部分として発光素子D2を含む。発光装置は、発光素子D2を用いた装置、例えば、スマートフォトン、タブレットパソコン、車載スピードメーター、電子書籍、電子アルバム、電子教科書、電子辞書、電子ペーパー、カメラなどであるが、これに限られるものではない。
また、本実施形態に係る発光システムは、発光装置および無線または有線の回線で相互に接続されたスピーカー、カメラ、を有していてもよいし、複数の発光装置を有していてもよい。発光システムは、例えばホームシアターシステム、デジタルサイネージなどである。
≪発光素子D2≫
本実施形態に用いる発光素子(表示素子)D2は、前記第一の実施形態のEL基板E1をEL基板E2に替えた構成を持つ。以下の説明では第一の実施形態のEL基板E1とEL基板E2が異なる点のみを説明する。
(EL基板)
以下、本実施形態に用いるEL基板(反射陽極/有機層/半透明陰極;トップエミッション)は、図3に示すEL基板E2のような構成を持つ。図3を用いて詳細に説明する。図3は、本実施形態に係るEL基板E2(発光素子)の概略断面図である。
EL基板E2は、基板E11、TFT回路E12、絶縁膜E13、陽極E215、エッジカバーE16、有機層E20、陰極E21、封止膜E22を備えている。
EL基板E2は、陰極E21側から光を取り出し、陽極E215からの正孔注入のオンとオフをTFT回路E12によって制御することで、各画素の発光の有無および発光の強度を切り替える。
また、陽極E215は有機層E20から来た光を反射し、E21も有機層E20から来た光の一部を反射する構造を持つ。これによりマイクロキャビティ効果を持つことが望ましい。
次に、EL基板E2の構成要素について、それぞれ説明する。
ここで、EL基板E2はEL基板E1の反射膜E14と陽極E15を陽極E215で置き換えた構成を持ち、他の部分は前記第一実施形態で説明したEL基板E1と同じなので説明を省略する。
(陽極)
陽極E215は、TFT回路E12上に、絶縁膜E13を介して形成され、陽極E215はTFT回路E12からの電荷を有機層E20に輸送する機能と有機層E20から来た光を反射する機能を持つ。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。陽極E215を形成する材料としては公知の光反射性材料を使用することができる。
陽極E215を形成する電極材料としては、光を反射し導電性を持つアルミニウム(Al)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、等の金属、又は、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。特に、有機層E20への正孔の注入をより効率よく行なう観点から、仕事関数が4.5eV以上の金(Au)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属が望ましい。
陽極E215は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザー剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。その膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。
本実施形態に用いる発光素子D2は、第一の実施形態に用いた発光素子D1と同様に、蛍光材料特有の半値幅の狭い発光スペクトルを有する発光を原理的に100%の励起子から発光させることができる。したがって、ダブレット材料と狭い半値幅の発光材料を用いることで、初めて高画質・低消費電力のOLEDを得ることができる。
<第三実施形態>
本実施形態に係る発光装置は、主要な部分として発光素子D3を含む。発光装置としては、発光素子D3を用いた装置、例えば、スマートフォトン、タブレットパソコン、車載スピードメーター、電子書籍、電子アルバム、電子教科書、電子辞書、電子ペーパー、カメラなどであるが、これに限られるものではない。
また、本実施形態に係る発光システムは、発光装置および無線または有線の回線で相互に接続されたスピーカー、カメラ、を有していてもよいし、複数の発光装置を有していてもよい。発光システムは、例えばホームシアターシステム、デジタルサイネージなどである。
≪発光素子D3≫
本実施形態に用いる発光素子(表示素子)D3は、第一の実施形態のEL基板E1をEL基板E3に替えた構成を持つ。以下の説明では第一の実施形態のEL基板E1とEL基板E3が異なる点のみを説明する。
(EL基板)
以下、本実施形態に用いるEL基板(反射陰極/有機層/半透明陽極;トップエミッション)は、図4に示すEL基板E3のような構成を持つ。図4を用いて詳細に説明する。図4は、本実施形態に係るEL基板E3(発光素子)の概略断面図である。
(EL基板)
EL基板E3は、基板E11、TFT回路E12、絶縁膜E13、陽極E315、エッジカバーE16、有機層E320、陰極E321、封止膜E22を備えている。
EL基板E3はEL基板E1とは逆に、陰極E321がTFT回路E21に近い側、陽極E315が光取出し側に配置されている。陽極E315側から光を取り出し、陰極E21からの正孔注入のオンとオフをTFT回路E12によって制御することで、各画素の発光の有無および発光の強度を切り替える。
発光を取り出す側の陽極E315は、有機層E320から発光される光の少なくとも一部を透過させる透過電極層でなければならない。
次に、EL基板E3の構成要素について、それぞれ説明する。
ここで、EL基板E3はEL基板E2の陰極E21・有機層E20・陽極E215の積層順を逆にした構成を持ち、他の部分はEL基板E1と同じなので説明を省略する。
(陽極)
陽極E315は、有機層E320上に形成されている。陽極E215は陰極E321とともに、有機層E320を挟持している。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。陽極E315を形成する材料としては公知の光反射性材料を使用することができる。
陽極E315を形成する電極材料としては、光を反射し導電性を持つアルミニウム(Al)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、等の金属、又は、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。特に、有機層E20への正孔の注入をより効率よく行なう観点から、仕事関数が4.5eV以上の金(Au)、銀(Ag)、白金(Pt)、ニッケル(Ni)等の金属が望ましい。
陽極E315は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
色純度の向上、発光効率の向上、正面輝度の向上等の目的でマイクロキャビティ効果を発現する構成を採用する場合には、陰極E321を半透明電極とすることが好ましい。半透明電極の材料として、金属の半透明電極単体、又は、金属の半透明電極及び透明電極材料の組み合わせとすることが可能であり、中でも、金属の半透明電極の材料は、反射率・透過率の観点から、銀が好ましい。また透明電極の材料は、インジウム(In)及び錫(Sn)を含む酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)、インジウム(In)及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IZO)が望ましい。
半透明電極層の膜厚は、5〜30nmが好ましい。膜厚が5nm未満の場合には、光の反射が十分行なえず、干渉の効果を十分得ることができない。また、膜厚が30nmを超える場合には、光の透過率が急激に低下することから輝度、効率が低下するおそれがある。
(有機層)
有機層E320はEL基板E1に係る有機層E20の積層順を上下逆にした構成を持ち、積層順以外の材料や各層の製造方法は同じである。
(陰極)
陰極E321は、TFT回路E12上に、絶縁膜E13を介して形成され、有機層E20から来た光を反射する機能と、TFT回路E12からの電荷を有機層E20に輸送する機能を持つ。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。陰極E321を形成する電極材料としては公知の電極材料を使用することができる。
陰極E321を形成する電極材料としては、有機層E20への電子の注入をより効率よく行なう観点から、仕事関数が4.5eV以下のリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属、又は、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。
陰極321は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザー剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。その膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。
本実施形態に用いる発光素子D2は、第一の実施形態D1に用いた発光素子D1と同様に、蛍光材料特有の半値幅の狭い発光スペクトルを有する発光を原理的に100%の励起子から発光させることができる。したがって、ダブレット材料と狭い半値幅の発光材料を用いることで、初めて高画質・低消費電力のOLEDを得ることができる。
<第四実施形態>
本実施形態に係る発光装置は、主要な部分として発光素子D4を含む。発光装置は、発光素子D4を用いた装置、例えば、スマートフォトン、タブレットパソコン、車載スピードメーター、電子書籍、電子アルバム、電子教科書、電子辞書、電子ペーパー、カメラなどであるが、これに限られるものではない。
また、本実施形態に係る発光システムは、発光装置および無線または有線の回線で相互に接続されたスピーカー、カメラ、を有していてもよいし、複数の発光装置を有していてもよい。発光システムは、例えばホームシアターシステム、デジタルサイネージなどである。
≪発光素子D4≫
本実施形態に用いる発光素子(表示素子)D4は、第一の実施形態のEL基板E1をEL基板E4に替えた構成を持つ。以下の説明では第一の実施形態のEL基板E1とEL基板E4が異なる点のみを説明する。
(EL基板E4)
以下、本実施形態に係るEL基板(半透明膜/透明陽極/有機層/反射陰極;ボトムエミッション)は、図5に示すEL基板E4のような構成を持つ。図5を用いて詳細に説明する。図5は、本実施形態に係るEL基板E4(発光素子)の概略断面図である。
(EL基板)
EL基板E4は、基板E411、TFT回路E12、絶縁膜E413、半透明膜E414、陽極E415、エッジカバーE16、有機層E20、陰極E421、封止膜E422を備えている。
EL基板E4は、EL基板E1と異なり、陽極E415側から光を取り出す。
また、陽極E415は有機層E20から来た光の一部を反射する半透明材料である。また陰極E421は有機層E20から来た光を反射する構造を持つ。これによりマイクロキャビティ効果を持つことが望ましい。
次に、EL基板E4の構成要素について、それぞれ説明する。
ここで、EL基板E4は、基板E411、絶縁膜E413、半透明膜E414、陽極E415、陰極E421、封止膜E422以外は、EL基板E1と同じなので説明を省略する。
(半透明膜)
半透明膜E414は、TFT回路E12上に、絶縁膜E413を介して形成されている。
半透明膜E414はTFT回路E12からの電荷を陽極E15に輸送する機能と、有機層E20から来た光の一部を反射する機能とを持つ。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。半透明膜E414を形成する材料としては公知の材料を使用することができる。
半透明膜E414を構成する材料としては、導電性を持つアルミニウム(Al)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、等の金属、又は、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。
半透明膜E414は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザー剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。
色純度の向上、発光効率の向上、正面輝度の向上等の目的でマイクロキャビティ効果を発現する構成を採用する場合には、半透明膜E414の材料として、金属の半透明膜単体、又は、金属の半透明膜及び透明電極材料の組み合わせとすることが可能であり、中でも、金属の半透明膜の材料は、反射率・透過率の観点から、銀が好ましい。また透明電極の材料は、インジウム(In)及び錫(Sn)を含む酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)、インジウム(In)及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IZO)が望ましい。
半透明膜の膜厚は、5〜30nmが好ましい。膜厚が5nm以上の場合には、光の反射が十分であり、干渉の効果を十分得ることができる。また、膜厚が30nm以下の場合には、光の透過率が急激に低下することなく輝度、効率を維持できる。
(陽極)
陽極E415は、半透明膜E414から輸送された電荷を有機層E20に注入する。また陽極E415は半透明膜E414まで光透過させる必要があることから透明電極であることが望ましい。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。陽極E15を形成する電極材料としては公知の電極材料を使用することができる。
陽極E415を形成する材料としては、インジウム(In)及び錫(Sn)を含む酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)、インジウム(In)及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IZO)等が望ましい。
陽極E415は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザー剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。その膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。
(陰極)
陰極E421は、有機層E20上に形成されている。陰極E421は陽極E415とともに、有機層E20を挟持している。
陰極E421は、有機層E20から発光される光を反射する反射電極層でなければならない。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。陰極E421を形成する電極材料としては公知の電極材料を使用することができる。
陰極E421を形成する電極材料としては、有機層E20への電子の注入をより効率よく行なう観点から、仕事関数が4.5eV以下のリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属、又は、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。
陰極E421は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザー剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。その膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。
(基板)
EL基板E4における基板E411は、光取り出し方向に位置することから透明であることが望ましい。例えば、ガラス、石英等からなる無機材料基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、ポリイミド等を含むプラスチック基板、又は、基板上に酸化シリコン(SiO)、有機絶縁材料等を含む絶縁物を表面にコーティングした基板等を挙げることができる。
しかし、基板E411はこれらに限定されるものではない。ここで、ストレスなく、湾曲部、折り曲げ部を形成するには、プラスチック基板が好ましい。プラスチック基板に無機材料をコートした基板がさらに好ましい。
有機ELは、特に低量の水分に対しても劣化が起こることが知られているが、上述した基板を用いることにより、プラスチック基板を有機EL基板として用いた場合の最大の問題となる水分の透過による有機EL素子の劣化を解消することが可能となる。
また、TFT回路E12を形成する場合には、500℃以下の温度で融解せず、歪みも生じない基板が好ましい。また、一般的な金属基板は、ガラスと熱膨張率が異なるため、従来の生産装置で金属基板上にTFTを形成することが困難であるが、線膨張係数が1×10−5/℃以下の鉄−ニッケル系合金である金属基板を用いて、線膨張係数をガラスに合わせ込むことで、金属基板上にTFTを従来の生産装置を用いて安価に形成する事が可能となる。
また、プラスチック基板の場合には、耐熱温度が非常に低いため、ガラス基板上にTFT回路E12を形成した後、プラスチック基板にTFT回路E12を転写することで、プラスチック基板上にTFT回路を転写形成することが可能である。
また、基板E411の材料としてはガラスであってもよい。基板E411の材料をガラスとすることで高温プロセスによっても変形が起こらず、水分を透過させない。そのため、有機EL素子の劣化を防ぐことが可能である。
(絶縁膜)
絶縁膜E413は、TFT回路E12と半透明膜E414との間に配置されている。
絶縁膜E413は、公知の材料によって形成することができ、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN、又は、Si)、酸化タンタル(TaO、又は、Ta)等の無機材料、又は、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等が挙げられる。
また、その形成方法としては、化学気相成長(CVD)法、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート法等のウエットプロセスが挙げられる。また、必要に応じてフォトリソグラフィー法等によりパターニングすることもできる。
EL基板E4では、有機層E20から発光した光を基板E411側から取り出す構成となっている。そのため、絶縁膜は光を当羽化する透明絶縁膜であることが好ましい。
また、基板E411上にTFT回路E12等を形成した場合には、その表面に凸凹が形成され、この凸凹によって有機EL素子の欠陥、(例えば半透明膜E414、陽極E415の欠損、有機層E20の欠損、陰極E421の断線、半透明膜E414または陽極E415と陰極E421の短絡、耐圧の低下等)等が発生するおそれがある。これらの欠陥を防止するために、絶縁膜E413上に平坦化膜E423を設けてもよい。
平坦化膜E423は、絶縁膜と同様に透明であることが好ましい。公知の材料を用いて形成することができ、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタル等の無機材料、ポリイミド、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等が挙げられる。
平坦化膜E423の形成方法としては、CVD法、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート法等のウェットプロセスが挙げられるが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。また、平坦化膜E423は、単層構造でも多層構造でもよい。
(封止層)
封止膜E422は、陰極E421の上部に積層している。本発明に係るディスプレイ、表示装置及び本発明に係る有機EL素子を採用した有機EL照明には、封止膜E422を設けることが好ましい。封止膜E422は、公知の封止材料及び封止方法により形成することができる。例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスをガラス、金属等で封止する方法が挙げられる。さらに、封入した不活性ガス中に酸化バリウム等の吸湿剤等を混入する方がより水分による有機ELの劣化を効果的に低減できるため好ましい。
さらに、陰極E421上に樹脂をスピンコート法、ODF、ラミレート法を用いて塗布する、又は、貼り合わせることによって封止膜E22とすることもできる。さらに、陰極E421上に、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、スパッタ法等により、SiO、SiON、SiN等の無機膜を形成した後、樹脂をスピンコート法、ODF、ラミレート法を用いて塗布する、又は、貼り合わせることによって封止膜E22とすることもできる。
この封止膜E422により、外部からの素子内への酸素又は水分の混入を防止することができ、有機EL素子の寿命が向上する。
EL基板E4では、有機層E20から発光した光を基板E411側から取り出す構成となっている。そのため、封止膜E422側から入った外光が、TFT特性に変化が生じることを防ぐ目的で、封止膜E422が遮光性を兼ね備えていることが好ましい。
また、封止膜E422と、遮光性封止膜と、を組み合わせてもよい。遮光性封止膜としては、フタロシアニン、キナクロドン等の顔料又は染料をポリイミド等の高分子樹脂に分散したもの、カラーレジスト、ブラックマトリクス材料、NixZnyFe等の無機絶縁材料等が挙げられる。
本実施形態に係る発光素子D4は、第一の実施形態D1に係る発光素子D1と同様に、蛍光材料特有の半値幅の狭い発光スペクトルを有する発光を原理的に100%の励起子から発光させることができる。したがって、ダブレット材料と狭い半値幅の発光材料を用いることで、初めて高画質・低消費電力のOLEDを得ることができる。
<第五実施形態>
本実施形態に係る発光装置は、主要な部分として発光素子D5を含む。発光装置は、発光素子D5を用いた装置、例えば、スマートフォトン、タブレットパソコン、車載スピードメーター、電子書籍、電子アルバム、電子教科書、電子辞書、電子ペーパー、カメラなどであるが、これに限られるものではない。
また、本実施形態に係る発光システムは、発光装置および無線または有線の回線で相互に接続されたスピーカー、カメラ、を有していてもよいし、複数の発光装置を有していてもよい。発光システムは、例えばホームシアターシステム、デジタルサイネージなどである。
≪発光素子D5≫
本実施形態に用いる発光素子(表示素子)D5は、図6に示すEL基板E5のみで構成される。EL基板E5からは青・緑・赤の画素に対応して三色の発光を示すため、前記第一実施形態で作成した波長変換基板は用いない。したがってEL基板E5をそのまま発光素子D5として用いることができる。ただし、EL基板E5の上に他の基板を第一の実施形態で説明したのと同様の方法やその他の方法で、他の基板を形成してもよい。
図7にEL基板E5をさらに示す。EL基板E5の発光層E18B、E18G、E18Rは、EL基板E1における有機層E20が、各色の画素によって、青色画素:有機層EL20B(正孔輸送層E17B/発光層E18B/電子輸送層E19B)、緑色画素:有機層EL20G(正孔輸送層E17G/発光層E18G/電子輸送層E19G)、赤色画素:有機層EL20R(正孔輸送層E17R/発光層E18R/電子輸送層E19R)に分かれている。
青色画素・緑色画素・赤色画素の各色の位置にパターンニングされたマスクを用いて蒸着することで各有機層E20R・E20G・E20Bをそれぞれ作製する。
有機層E20R・E20G・E20B以外の部分はEL基板E1と同様なので説明は省略する。
電子輸送層E19R・E19G・E19BにEL基板E1の電子輸送層E19と同じ材料を用いてもよいし、各色に適した既存の電子輸送材料を用いてもよい。
正孔輸送層E17R・E17G・E17Bも同様に、EL基板E1の電子輸送層E19と同じ材料を用いてもよいし、各色に適した既存の正孔輸送材料を用いてもよい。
発光層E18Bには、第一実施形態の発光層E18で説明した材料を用いる。
発光層E18Gには、発光材料として、緑色に発光する蛍光材料を用いることが望ましい。例えば、クマリン系色素:2,3,5,6−1H、4H−テトラヒドロ−8−トリフロメチルキノリジン(9,9a、1−gh)クマリン(クマリン153)、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、ナフタルイミド系色素:ベーシックイエロー51、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等が挙げられる。また発光材料として用いる材料は、蛍光材料で無くてもよく、その場合は、発光スペクトルの半値幅が狭く色純度が高い発光材料を用いることが望ましい。
またホスト材料・ダブレット材料については、第一実施形態の発光層E18で説明した材料を用いる。
発光層E18Rには、発光材料として、赤に発光する蛍光材料を用いることが望ましい。例えば、シアニン系色素:4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)−4H−ピラン、ピリジン系色素:1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウム−パークロレート、ローダミン系色素:ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、ベーシックバイオレット11、スルホローダミン101等が挙げられる。また発光材料として用いる材料は、蛍光材料で無くてもよく、その場合は、発光スペクトルの半値幅が狭く色純度が高い発光材料を用いることが望ましい。
またホスト材料・ダブレット材料については、第一実施形態の発光層E18で説明した材料を用いる。
(EL基板)
EL基板E5は、基板E11、TFT回路E12、絶縁膜E13、半透明膜E14、陽極E15、エッジカバーE16、有機層E20、陰極E21、封止膜E22を備えている。
EL基板E5は、EL基板E1と異なり、陽極E15側から光を取り出す。
また、陽極E15は有機層E20から来た光の一部を反射する半透明材料である。また陰極E21は有機層E20から来た光を反射する構造を持つ。これによりマイクロキャビティ効果を持つことが望ましい。
次に、EL基板E5の構成要素について、それぞれ説明する。
ここで、EL基板E5は、基板E11、絶縁膜E13、半透明膜E14、陽極E15、陰極421、封止膜E22以外は、EL基板E1と同じなので説明を省略する。
(半透明膜)
半透明膜E14は、TFT回路E12上に、絶縁膜E13を介して形成されている。
半透明膜E14はTFT回路E12からの電荷を陽極E15に輸送する機能と、有機層E20から来た光の一部を反射する機能とを持つ。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。半透明膜E414を形成する材料としては公知の材料を使用することができる。
半透明膜E414を構成する材料としては、導電性を持つアルミニウム(Al)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、金(Au)、白金(Pt)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)、等の金属、又は、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。
半透明膜E14は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、これらの形成方法に限定されるものではない。
また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザー剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。
色純度の向上、発光効率の向上、正面輝度の向上等の目的でマイクロキャビティ効果を発現する構成を採用する場合には、半透明膜E14の材料として、金属の半透明膜単体、又は、金属の半透明膜及び透明電極材料の組み合わせとすることが可能であり、中でも、金属の半透明膜の材料は、反射率・透過率の観点から、銀が好ましい。また透明電極の材料は、インジウム(In)及び錫(Sn)を含む酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)、インジウム(In)及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IZO)が望ましい。
半透明膜の膜厚は、5〜30nmが好ましい。膜厚が5nm以上の場合には、光の反射が十分であり、干渉の効果を十分得ることができる。また、膜厚が30nm以下の場合には、輝度を維持できる。
(陽極)
陽極E15は、半透明膜E14から輸送された電荷を有機層E20に注入する。また陽極E15は半透明膜E14まで光透過させる必要があることから透明電極であることが望ましい。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。陽極E15を形成する電極材料としては公知の電極材料を使用することができる。
陽極E15を形成する材料としては、インジウム(In)及び錫(Sn)を含む酸化物(ITO)、錫(Sn)の酸化物(SnO)、インジウム(In)及び亜鉛(Zn)を含む酸化物(IZO)等が望ましい。
陽極E15は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザー剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。その膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。
(陰極)
陰極E21は、有機層E20上に形成されている。陰極E21は陽極E15とともに、有機層E20を挟持している。
陰極E21は、有機層E20から発光される光を反射する反射電極層でなければならない。
以下に、具体的な化合物及び形成方法を例示するが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。陰極E21を形成する電極材料としては公知の電極材料を使用することができる。
陰極E21を形成する電極材料としては、有機層E20への電子の注入をより効率よく行なう観点から、仕事関数が4.5eV以下のリチウム(Li)、カルシウム(Ca)、セリウム(Ce)、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)等の金属、又は、これらの金属を含有するMg:Ag合金、Li:Al合金等の合金が挙げられる。
陰極E21は、上記の材料を用いてEB蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、抵抗加熱蒸着法等の公知の方法により形成することができるが、本発明はこれらの形成方法に限定されるものではない。
また、必要に応じて、フォトリソグラフフィー法、レーザー剥離法により、形成した電極をパターン化することもでき、シャドーマスクと組み合わせることで直接パターン化した電極を形成することもできる。その膜厚は、50nm以上が好ましい。膜厚が50nm未満の場合には、配線抵抗が高くなることから、駆動電圧の上昇が生じるおそれがある。
(基板)
EL基板E4における基板E11は、光取り出し方向に位置することから透明であることが望ましい。例えば、ガラス、石英等からなる無機材料基板、ポリエチレンテレフタレート、ポリカルバゾール、ポリイミド等を含むプラスチック基板、又は、基板上に酸化シリコン(SiO)、有機絶縁材料等を含む絶縁物を表面にコーティングした基板等を挙げることができる。
しかし、基板E411はこれらに限定されるものではない。ここで、ストレスなく、湾曲部、折り曲げ部を形成するには、プラスチック基板が好ましい。プラスチック基板に無機材料をコートした基板がさらに好ましい。
有機ELは、特に低量の水分に対しても劣化が起こることが知られているが、上述した基板を用いることにより、プラスチック基板を有機EL基板として用いた場合の最大の問題となる水分の透過による有機EL素子の劣化を解消することが可能となる。
また、TFT回路E12を形成する場合には、500℃以下の温度で融解せず、歪みも生じない基板が好ましい。また、一般的な金属基板は、ガラスと熱膨張率が異なるため、従来の生産装置で金属基板上にTFTを形成することが困難であるが、線膨張係数が1×10−5/℃以下の鉄−ニッケル系合金である金属基板を用いて、線膨張係数をガラスに合わせ込むことで、金属基板上にTFTを従来の生産装置を用いて安価に形成する事が可能となる。
また、プラスチック基板の場合には、耐熱温度が非常に低いため、ガラス基板上にTFT回路E12を形成した後、プラスチック基板にTFT回路E12を転写することで、プラスチック基板上にTFT回路を転写形成することが可能である。
また、基板E11の材料としてはガラスであってもよい。基板E411の材料をガラスとすることで高温プロセスによっても変形が起こらず、水分を透過させない。そのため、有機EL素子の劣化を防ぐことが可能である。
(絶縁膜)
絶縁膜E13は、TFT回路E12と半透明膜E14との間に配置されている。
絶縁膜E13は、公知の材料によって形成することができ、例えば、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN、又は、Si)、酸化タンタル(TaO、又は、Ta)等の無機材料、又は、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等が挙げられる。
また、その形成方法としては、化学気相成長(CVD)法、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート法等のウエットプロセスが挙げられる。また、必要に応じてフォトリソグラフィー法等によりパターニングすることもできる。
EL基板E5では、有機層E20から発光した光を基板E11側から取り出す構成となっている。そのため、絶縁膜は光を当羽化する透明絶縁膜であることが好ましい。
また、基板E11上にTFT回路E12等を形成した場合には、その表面に凸凹が形成され、この凸凹によって有機EL素子の欠陥、(例えば半透明膜E14、陽極E15の欠損、有機層E20の欠損、陰極E21の断線、半透明膜E14または陽極E15と陰極E21の短絡、耐圧の低下等)等が発生するおそれがある。これらの欠陥を防止するために、絶縁膜E13上に平坦化膜(不図示)を設けてもよい。
平坦化膜は、絶縁膜と同様に透明であることが好ましい。公知の材料を用いて形成することができ、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、酸化タンタル等の無機材料、ポリイミド、アクリル樹脂、レジスト材料等の有機材料等が挙げられる。
平坦化膜の形成方法としては、CVD法、真空蒸着法等のドライプロセス、スピンコート法等のウェットプロセスが挙げられるが、本発明はこれらの材料及び形成方法に限定されるものではない。また、平坦化膜Eは、単層構造でも多層構造でもよい。
(封止層)
封止膜E22は、陰極E21の上部に積層している。本発明に係る発光装置を用いたディスプレイ、有機EL照明には、封止膜E22を設けることが好ましい。封止膜E22は、公知の封止材料及び封止方法により形成することができる。例えば、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスをガラス、金属等で封止する方法が挙げられる。さらに、封入した不活性ガス中に酸化バリウム等の吸湿剤等を混入する方がより水分による有機ELの劣化を効果的に低減できるため好ましい。
さらに、陰極E21上に樹脂をスピンコート法、ODF、ラミレート法を用いて塗布する、又は、貼り合わせることによって封止膜E22とすることもできる。さらに、陰極E21上に、プラズマCVD法、イオンプレーティング法、イオンビーム法、スパッタ法等により、SiO、SiON、SiN等の無機膜を形成した後、樹脂をスピンコート法、ODF、ラミレート法を用いて塗布する、又は、貼り合わせることによって封止膜E22とすることもできる。
この封止膜E22により、外部からの素子内への酸素又は水分の混入を防止することができ、有機EL素子の寿命が向上する。
EL基板E5では、有機層E20から発光した光を基板E11側から取り出す構成となっている。そのため、封止膜E22側から入った外光が、TFT特性に変化が生じることを防ぐ目的で、封止膜E22が遮光性を兼ね備えていることが好ましい。
また、封止膜E22と、遮光性封止膜と、を組み合わせてもよい。遮光性封止膜としては、フタロシアニン、キナクロドン等の顔料又は染料をポリイミド等の高分子樹脂に分散したもの、カラーレジスト、ブラックマトリクス材料、NixZnyFe等の無機絶縁材料等が挙げられる。
本実施形態に用いる発光素子D5は、第一の実施形態D1に係る発光素子D1と同様に、蛍光材料特有の半値幅の狭い発光スペクトルを有する発光を原理的に100%の励起子から発光させることができる。したがって、ダブレット材料と狭い半値幅の発光材料を用いることで、初めて高画質・低消費電力のOLEDを得ることができる。
<第六実施形態>
本実施形態に係る発光装置は、主要な部分として発光素子D6を含む。発光装置は、発光素子D6を用いた装置、例えば、スマートフォトン、タブレットパソコン、車載スピードメーター、電子書籍、電子アルバム、電子教科書、電子辞書、電子ペーパー、カメラなどであるが、これに限られるものではない。
また、本実施形態に係る発光システムは、発光装置および無線または有線の回線で相互に接続されたスピーカー、カメラ、を有していてもよいし、複数の発光装置を有していてもよい。発光システムは、例えばホームシアターシステム、デジタルサイネージなどである。
≪発光素子D6≫
本実施形態に用いる発光素子(表示素子)D6は、第一の実施形態に係るEL基板E1を図8に示すEL基板E6に、第一の実施形態に係る波長変換基板C1を図12に示す波長変換基板C6(本実施形態において「カラーフィルタ基板C6」とも呼ぶ。)に替えた構成を持つ。図1と同様にEL基板E6と波長変換基板C6(カラーフィルタ基板C6)を張り合わせる。
(EL基板)
EL基板E6は、EL基板と発光層のみが異なる。
EL基板E6に係る発光層E618には、発光材料として、EL基板E1で用いる青色発光材料の他に、緑色に発光する蛍光材料と赤色に発光する蛍光材料と混合して用いる。
緑色蛍光材料は、例えば、クマリン系色素:2,3,5,6−1H、4H−テトラヒドロ−8−トリフロメチルキノリジン(9,9a、1−gh)クマリン(クマリン153)、3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)、3−(2’−ベンゾイミダゾリル)−7−N,N−ジエチルアミノクマリン(クマリン7)、ナフタルイミド系色素:ベーシックイエロー51、ソルベントイエロー11、ソルベントイエロー116等が挙げられる。
赤色蛍光材料は、例えば、シアニン系色素:4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)−4H−ピラン、ピリジン系色素:1−エチル−2−[4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル]−ピリジニウム−パークロレート、ローダミン系色素:ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン3B、ローダミン101、ローダミン110、ベーシックバイオレット11、スルホローダミン101等が挙げられる。
また発光材料として用いる材料は、蛍光材料で無くてもよく、その場合は、発光スペクトルの半値幅が狭く色純度が高い発光材料を用いることが望ましい。
またホスト材料・ダブレット材料については、第一の実施形態の発光層E18で説明した材料を用いる。
(カラーフィルタ基板)
カラーフィルタ基板C6の構造を図12に示す。カラーフィルタ基板C6は図9に示した波長変換基板C1のうち隔壁C13、波長変換層C142、波長変換層C152、及び励起光散乱層C163を有しない構成であり、他の基板C11、遮光層C12、カラーフィルタC141、カラーフィルタC151、カラーフィルタC161は材料・構造ともに波長変換基板C1と同じ構成を持つ。
本実施形態に用いる発光素子D6は、第一の実施形態D6に係る発光素子D6と同様に、蛍光材料特有の半値幅の狭い発光スペクトルを有する発光を原理的に100%の励起子から発光させることができる。したがって、ダブレット材料と狭い半値幅の発光材料を用いることで、初めて高画質・低消費電力のOLEDを得ることができる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<実施例1:実施形態1>
(EL基板の作製)
厚さ0.7mmのガラス基板上に、スパッタリング法により、銀からなる膜厚100nmの反射膜を成膜し、その反射膜上に、スパッタリング法により、膜厚20nmの透明電極(IZO)を成膜することによって、陽極を形成した。
その後、従来のフォトリソグラフィー法により、陽極の幅が2mm幅の90本のストライプにパターニングした。
これを、水洗後、アルカリ性水溶液中にて超音波洗浄を30分行い、再び水洗後、超純水にて超音波洗浄を15分行い、110℃にて30分乾燥させた。その基板を、UVオゾンクリーナーを用いてUV−オゾン処理を大気雰囲気下で行った。
エポキシ系樹脂(屈折率:1.59)、アクリル系樹脂(屈折率:1.49)、ルチル型酸化チタン(屈折率:2.71、粒径250nm)、光重合開始剤および芳香族系溶剤からなる白色感光性組成物を攪拌混合して、白色隔壁材料のネガ型レジスト組成物を調製した。
上記の陽極(第一電極)の透明電極上に、スピンコーター法により、ネガ型レジスト組成物を塗布した。
その後、80℃にて10分間プリベークして、膜厚50μmの塗膜を形成した。
この塗膜に所望の画像パターンが形成できるようなマスク(画素ピッチ500μm、線幅50μm)を被せた後、塗膜にi線(300mJ/cm)を照射し、露光した。
次いで、露光後の基板をアルカリ現像液を用いて現像して、白色隔壁が形成された画素パターン状の構造物を得た。
次いで、熱風循環式乾燥炉を用い、140℃にて60分間ポストベークして、画素を仕切る白色隔壁を形成した。なお、白色隔壁の表面の反射率を測定したところ96.5%であった。
次に、陽極および白色隔壁を形成した基板を、インライン型抵抗加熱蒸着装置内の基板ホルダーに固定し、1×10−4Pa以下まで減圧し、有機発光層を含む有機層を構成する各層を形成した。
以下、有機層を構成する各層の形成方法を詳細に説明する。
まず、正孔注入材料として1,1−ビス−ジ−4−トリルアミノ−フェニル−シクロヘキサン(TAPC)を用い、抵抗加熱蒸着法により膜厚100nmの正孔注入層を形成した。
次いで、正孔輸送材料としてN,N’−di−l−ナフチル−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)を用い、抵抗加熱蒸着法により膜厚40nmの正孔輸送層を形成した。
次いで、正孔輸送層上の所望の画素位置に、青色の有機発光層(厚さ:30nm)を形成した。この青色の有機発光層は、83wt%の1,4−ビス−トリフェニルシリル−ベンゼン(UGH−2)(ホスト材料)と、11wt%の[dicyclohexano−18−crown−6ether]セリウム(III)(ダブレット材料)と、6wt%のジフェニルアントラセン(発光材料)を、それぞれ蒸着速度1.5Å/sec、0.2Å/sec、0.1Å/secで共蒸着することによって形成した。
次いで、有機発光層の上に、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を用いて、正孔防止層(厚さ:10nm)を形成した。
次いで、正孔防止層上に、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)を用いて電子輸送層(厚さ:30nm)を形成した。
次いで、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を用いて電子注入層(厚さ:0.5nm)を形成した。
以上の処理によって、有機層を構成する各層を形成した。
この後、陰極として半透明電極を形成した。
まず、基板を金属蒸着用チャンバーに固定し、半透明電極形成用のシャドーマスクと基板をアライメントした。なお、シャドーマスクとしては、第一電極のストライプと対向する向きに、2mm幅のストライプ状に半透明電極を形成できるように開口部が設けられたマスクを用いた。
次いで、電子注入層の表面に、真空蒸着法により、マグネシウムと銀とを、それぞれ蒸着速度0.1Å/sec、0.9Å/secで共蒸着することによって、マグネシウムと銀とを所望のパターンで形成(厚さ:1nm)した。
さらに、その上に、干渉効果を強調する目的、および、第二電極での配線抵抗による電圧降下を防止する目的で、銀を1Å/secの蒸着速度で所望のパターンで形成(厚さ:19nm)した。
以上の処理によって、半透明電極を形成した。
ここで、陽極と陰極の間では、マイクロキャビティ効果(干渉効果)が発現し、正面輝度を高めることが可能となる。これにより、有機層からの発光エネルギーを効率良く光取出部側に伝搬させることができる。
以上の処理によって、有機EL素子が形成された有機EL基板を得た。
(波長変換基板の形成)
上述のEL基板と同様にして作製した光取出基板の白色隔壁によって区画された領域に、赤色蛍光体層、緑色蛍光体層を形成した。
赤色蛍光体層の形成においては、まず、平均粒径4μmの赤色蛍光体CaS:Eu20gに、10wt%ポリビニルアルコール水溶液30gを加え、分散機により攪拌して赤色蛍光体形成用塗液を調製した。
次いで、ディスペンサー手法により、ブラックマトリクスで区画された領域に、赤色蛍光体形成用塗液をパターン塗布した。
次いで、真空オーブン(200℃、10mmHgの条件)で4時間加熱乾燥し、屈折率1.6の赤色蛍光体層を膜厚25μmでパターン形成した。
緑色蛍光体層の形成においては、まず、20gの平均粒径4μmの緑色蛍光体GaSrS:Euに、10wt%ポリビニルアルコール水溶液30gを加え、分散機により攪拌して緑色蛍光体形成用塗液を調製した。
次いで、ディスペンサー手法により、ブラックマトリクスで区画された領域に、緑色蛍光体形成用塗液をパターン塗布した。
次いで、真空オーブン(200℃、10mmHgの条件)で4時間加熱乾燥し、屈折率1.6の緑色蛍光体層を膜厚25μmでパターン形成した。
(EL基板と波長変換基板の組み立て)
以上のようにして作製したEL基板と波長変換基板とを、画素配置位置の外側に形成されている位置合わせマーカーにより位置合わせを行った。なお、予めEL基板および波長変換基板には、熱硬化樹脂を塗布した。
EL基板と波長変換基板を位置合わせした後、熱硬化樹脂(封止剤)を介して両基板を密着し、90℃にて2時間加熱することにより、熱硬化樹脂を硬化し、EL基板と波長変換基板を貼り合せた。なお、両基板を貼り合わせる工程は、有機層が水分により劣化することを防止するために、ドライエアー環境下(水分量:−80℃)で行った。
これにより、有機発光素子を作製した。
(光取り出し効率の測定)
実施例1の発光素子について、実際に外部に取り出された光の外部量子収率(10mA/cm時)を測定したところ、赤色蛍光体を用いた場合は5.0%、緑色蛍光体を用いた場合は8.8%であった。
<比較例1>
ダブレット材料を発光層にドープしなかった以外は実施例1と同様に作製したEL基板と、実施例1と同様に作成した波長変換基板とを実施例1と同様に貼り合せて、比較例1の発光素子を作製した。
比較例1の発光素子について、実際に外部に取り出された光の外部量子収率(10mA/cm時)を測定したところ、赤色蛍光体を用いた場合は3.0%、緑色蛍光体を用いた場合は5.3%であった。
その結果、実施例1の方が比較例1よりも、約1.6倍高い発光効率が得られることが確認された。
<実施例2:実施形態2>
(EL基板の作製)
厚さ0.7mmのガラス基板上に、スパッタリング法により、銀からなる膜厚100nmの反射膜を成膜した。実施例1と異なり実施例2では、この反射膜を陽極として用いた。
その後、従来のフォトリソグラフィー法により、陽極の幅が2mm幅の90本のストライプにパターニングした。
これを、水洗後、アルカリ性水溶液中にて超音波洗浄を30分行い、再び水洗後、超純水にて超音波洗浄を15分行い、110℃にて30分乾燥させた。その基板を、UVオゾンクリーナーを用いてUV−オゾン処理を大気雰囲気下で行った。
エポキシ系樹脂(屈折率:1.59)、アクリル系樹脂(屈折率:1.49)、ルチル型酸化チタン(屈折率:2.71、粒径250nm)、光重合開始剤および芳香族系溶剤からなる白色感光性組成物を攪拌混合して、白色隔壁材料のネガ型レジスト組成物を調製した。
上記の陽極上に、スピンコーター法により、ネガ型レジスト組成物を塗布した。
その後、80℃にて10分間プリベークして、膜厚50μmの塗膜を形成した。
この塗膜に所望の画像パターンが形成できるようなマスク(画素ピッチ500μm、線幅50μm)を被せた後、塗膜にi線(300mJ/cm)を照射し、露光した。
次いで、アルカリ現像液を用いて現像して、白色隔壁が形成された画素パターン状の構造物を得た。
次いで、熱風循環式乾燥炉を用い、140℃にて60分間ポストベークして、画素を仕切る白色隔壁を形成した。なお、白色隔壁の表面の反射率を測定したところ96.5%であった。
次に、陽極および白色隔壁を形成した基板を、インライン型抵抗加熱蒸着装置内の基板ホルダーに固定し、1×10−4Pa以下の真空まで減圧し、有機発光層を含む有機層を構成する各層を形成した。以下、有機層を構成する各層の形成方法を詳細に説明する。
まず、正孔注入材料として1,1−ビス−ジ−4−トリルアミノ−フェニル−シクロヘキサン(TAPC)を用い、抵抗加熱蒸着法により膜厚100nmの正孔注入層を形成した。
次いで、正孔輸送材料としてN,N’−di−l−ナフチル−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)を用い、抵抗加熱蒸着法により膜厚40nmの正孔輸送層を形成した。
次いで、正孔輸送層上の所望の画素位置に、青色の有機発光層(厚さ:30nm)を形成した。この青色の有機発光層は、83wt%の1,4−ビス−トリフェニルシリル−ベンゼン(UGH−2)(ホスト材料)と、11wt%の[dicyclohexano−18−crown−6ether]セリウム(III)(ダブレット材料)と、6wt%のジフェニルアントラセン(発光材料)を、それぞれ蒸着速度1.5Å/sec、0.2Å/sec、0.1Å/secで共蒸着することによって形成した。
次いで、有機発光層の上に、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を用いて、正孔防止層(厚さ:10nm)を形成した。
次いで、正孔防止層上に、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)を用いて電子輸送層(厚さ:30nm)を形成した。
次いで、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を用いて電子注入層(厚さ:0.5nm)を形成した。
以上の処理によって、有機層を構成する各層を形成した。
この後、第二電極として半透明電極を形成した。
まず、基板を金属蒸着用チャンバーに固定し、半透明電極形成用のシャドーマスクと基板をアライメントした。なお、シャドーマスクとしては、第一電極のストライプと対向する向きに、2mm幅のストライプ状に半透明電極を形成できるように開口部が設けられたマスクを用いた。
次いで、電子注入層の表面に、真空蒸着法により、マグネシウムと銀とを、それぞれ蒸着速度0.1Å/sec、0.9Å/secで共蒸着することによって、マグネシウム銀を所望のパターンで形成(厚さ:1nm)した。
さらに、その上に、干渉効果を強調する目的、および、第二電極での配線抵抗による電圧降下を防止する目的で、銀を1Å/secの蒸着速度で所望のパターンで形成(厚さ:19nm)した。
以上の処理によって、半透明電極を形成した。
ここで、陽極と陰極の間では、マイクロキャビティ効果(干渉効果)が発現し、正面輝度を高めることが可能となる。これにより、有機層からの発光エネルギーを効率良く光取出部側に伝搬させることができる。
以上の処理によって、有機EL素子が形成された有機EL基板を得た。
(波長変換基板の形成)
上述のEL基板と同様にして作製した光取出基板の白色隔壁によって区画された領域に、赤色蛍光体層、緑色蛍光体層を形成した。
赤色蛍光体層の形成においては、まず、平均粒径4μmの赤色蛍光体CaS:Eu20gに、10wt%ポリビニルアルコール水溶液30gを加え、分散機により攪拌して赤色蛍光体形成用塗液を調製した。
次いで、ディスペンサー手法により、ブラックマトリクスで区画された領域に、赤色蛍光体形成用塗液をパターン塗布した。
次いで、真空オーブン(200℃、10mmHgの条件)で4時間加熱乾燥し、屈折率1.6の赤色蛍光体層を膜厚25μmでパターン形成した。
緑色蛍光体層の形成においては、まず、20gの平均粒径4μmの緑色蛍光体GaSrS:Euに、10wt%ポリビニルアルコール水溶液30gを加え、分散機により攪拌して緑色蛍光体形成用塗液を調製した。
次いで、ディスペンサー手法により、ブラックマトリクスで区画された領域に、緑色蛍光体形成用塗液をパターン塗布した。
次いで、真空オーブン(200℃、10mmHgの条件)で4時間加熱乾燥し、屈折率1.6の緑色蛍光体層を膜厚25μmでパターン形成した。
(EL基板と波長変換基板の組み立て)
以上のようにして作製したEL基板と波長変換基板とを、画素配置位置の外側に形成されている位置合わせマーカーにより位置合わせを行った。なお、予めEL基板および波長変換基板には、熱硬化樹脂を塗布した。
EL基板と波長変換基板を位置合わせした後、熱硬化樹脂(封止剤)を介して両基板を密着し、90℃にて2時間加熱することにより、熱硬化樹脂を硬化し、EL基板と波長変換基板を貼り合せた。なお、両基板を貼り合わせる工程は、有機層が水分により劣化することを防止するために、ドライエアー環境下(水分量:−80℃)で行った。
これにより、有機発光素子を作製した。
(光取り出し効率の測定)
実施例2の発光素子について、実際に外部に取り出された光の外部量子収率(10mA/cm時)を測定したところ、赤色蛍光体を用いた場合は5.2%、緑色蛍光体を用いた場合は8.7%であった。
<比較例2>
ダブレット材料を発光層にドープしなかった以外は実施例2と同様に作製したEL基板と、実施例2と同様に作成した波長変換基板とを実施例2と同様に貼り合せて、比較例2の発光素子を作製した。
比較例2の発光素子について、実際に外部に取り出された光の外部量子収率(10mA/cm時)を測定したところ、赤色蛍光体を用いた場合は3.5%、緑色蛍光体を用いた場合は5.8%であった。
その結果、実施例2の方が比較例2よりも、約1.5倍以上高い発光効率が得られることが確認された。
<実施例3:実施形態3>
(EL基板の作製)
厚さ0.7mmのガラス基板上に、スパッタリング法により、アルミニウムからなる膜厚100nmの反射膜を成膜した。この反射膜を陰極として用いる。
その後、従来のフォトリソグラフィー法により、陰極の幅が2mm幅の90本のストライプにパターニングした。
これを、水洗後、アルカリ性水溶液中にて超音波洗浄を30分行い、再び水洗後、超純水にて超音波洗浄を15分行い、110℃にて30分乾燥させた。その基板を、UVオゾンクリーナーを用いてUV−オゾン処理を大気雰囲気下で行った。
エポキシ系樹脂(屈折率:1.59)、アクリル系樹脂(屈折率:1.49)、ルチル型酸化チタン(屈折率:2.71、粒径250nm)、光重合開始剤および芳香族系溶剤からなる白色感光性組成物を攪拌混合して、白色隔壁材料のネガ型レジスト組成物を調製した。
上記の陰極上に、スピンコーター法により、ネガ型レジスト組成物を塗布した。
その後、80℃にて10分間プリベークして、膜厚50μmの塗膜を形成した。
この塗膜に所望の画像パターンが形成できるようなマスク(画素ピッチ500μm、線幅50μm)を被せた後、塗膜にi線(300mJ/cm)を照射し、露光した。
次いで、露光後の基板をアルカリ現像液を用いて現像して、白色隔壁が形成された画素パターン状の構造物を得た。
次いで、熱風循環式乾燥炉を用い、140℃にて60分間ポストベークして、画素を仕切る白色隔壁を形成した。なお、白色隔壁の表面の反射率を測定したところ96.5%であった。
次に、陰極および白色隔壁を形成した基板を、インライン型抵抗加熱蒸着装置内の基板ホルダーに固定し、1×10−4Pa以下の真空まで減圧し、有機発光層を含む有機層を構成する各層を形成した。以下、有機層を構成する各層の形成方法を詳細に説明する。
まず、電子注入層として、陰極上にフッ化リチウム(LiF)を用いて電子注入層(厚さ:0.5nm)を形成した。
次いで、電子注入層上にトリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)を用いて電子輸送層(厚さ:30nm)を形成した。
その次に、電子輸送層上に、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を用いて、正孔防止層(厚さ:10nm)を形成した。
次いで、正孔防止層上の所望の画素位置に、青色の有機発光層(厚さ:30nm)を形成した。この青色の有機発光層は、83wt%の1,4−ビス−トリフェニルシリル−ベンゼン(UGH−2)(ホスト材料)と、11wt%の[dicyclohexano−18−crown−6ether]セリウム(III)(ダブレット材料)と、6wt%のジフェニルアントラセン(発光材料)を、それぞれ蒸着速度1.5Å/sec、0.2Å/sec、0.1Å/secで共蒸着することによって形成した。
次いで、正孔輸送材料としてN,N’−di−l−ナフチル−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)を用い、抵抗加熱蒸着法により膜厚40nmの正孔輸送層を形成した。
次いで、正孔注入材料として1,1−ビス−ジ−4−トリルアミノ−フェニル−シクロヘキサン(TAPC)を用い、抵抗加熱蒸着法により膜厚100nmの正孔注入層を形成した。
以上の処理によって、有機層を構成する各層を形成した。
この後、陽極として半透明電極を形成した。
まず、基板を金属蒸着用チャンバーに固定し、半透明電極形成用のシャドーマスクと基板をアライメントした。なお、シャドーマスクとしては、第一電極のストライプと対向する向きに、2mm幅のストライプ状に半透明電極を形成できるように開口部が設けられたマスクを用いた。
次いで、正孔注入層の表面に、真空蒸着法により、銀を、0.9Å/secで蒸着することによって、銀を所望のパターンで形成(厚さ:1nm)した。
さらに、その上に、干渉効果を強調する目的、および、陽極での配線抵抗による電圧降下を防止する目的で、銀を1Å/secの蒸着速度で所望のパターンで形成(厚さ:19nm)した。
以上の処理によって、半透明電極を形成した。
ここで、陽極と陰極の間では、マイクロキャビティ効果(干渉効果)が発現し、正面輝度を高めることが可能となる。これにより、有機層からの発光エネルギーを効率良く光取出部側に伝搬させることができる。
以上の処理によって、有機EL素子が形成された有機EL基板を得た。
(波長変換基板の形成)
上述のEL基板と同様にして作製した光取出基板の白色隔壁によって区画された領域に、赤色蛍光体層、緑色蛍光体層を形成した。
赤色蛍光体層の形成においては、まず、平均粒径4μmの赤色蛍光体CaS:Eu20gに、10wt%ポリビニルアルコール水溶液30gを加え、分散機により攪拌して赤色蛍光体形成用塗液を調製した。
次いで、ディスペンサー手法により、ブラックマトリクスで区画された領域に、赤色蛍光体形成用塗液をパターン塗布した。
次いで、真空オーブン(200℃、10mmHgの条件)で4時間加熱乾燥し、屈折率1.6の赤色蛍光体層を膜厚25μmでパターン形成した。
緑色蛍光体層の形成においては、まず、20gの平均粒径4μmの緑色蛍光体GaSrS:Euに、10wt%ポリビニルアルコール水溶液30gを加え、分散機により攪拌して緑色蛍光体形成用塗液を調製した。
次いで、ディスペンサー手法により、ブラックマトリクスで区画された領域に、緑色蛍光体形成用塗液をパターン塗布した。
次いで、真空オーブン(200℃、10mmHgの条件)で4時間加熱乾燥し、屈折率1.6の緑色蛍光体層を膜厚25μmでパターン形成した。
(EL基板と波長変換基板の組み立て)
以上のようにして作製したEL基板と波長変換基板とを、画素配置位置の外側に形成されている位置合わせマーカーにより位置合わせを行った。なお、予めEL基板および波長変換基板には、熱硬化樹脂を塗布した。
EL基板と波長変換基板を位置合わせした後、熱硬化樹脂(封止剤)を介して両基板を密着し、90℃にて2時間加熱することにより、熱硬化樹脂を硬化し、EL基板と波長変換基板を貼り合せた。なお、両基板を貼り合わせる工程は、有機層が水分により劣化することを防止するために、ドライエアー環境下(水分量:−80℃)で行った。
これにより、有機発光素子を作製した。
(光取り出し効率の測定)
実施例3の発光素子について、実際に外部に取り出された光の外部量子収率(10mA/cm時)を測定したところ、赤色蛍光体を用いた場合は4.8%、緑色蛍光体を用いた場合は8.4%であった。
<比較例3>
ダブレット材料を発光層にドープしなかった以外は実施例3と同様に作製したEL基板と、実施例3と同様に作成した波長変換基板とを実施例3と同様に貼り合せて、比較例3の発光素子を作製した。
比較例3の発光素子について、実際に外部に取り出された光の外部量子収率(10mA/cm時)を測定したところ、赤色蛍光体を用いた場合は3.2%、緑色蛍光体を用いた場合は5.5%であった。
その結果、実施例3の方が比較例3よりも、約1.5倍高い発光効率が得られることが確認された。
<実施例4:実施形態5>
(EL基板の作製)
厚さ0.7mmのガラス基板上に、スパッタリング法により、銀からなる膜厚100nmの反射膜を成膜し、その反射膜上に、スパッタリング法により、膜厚20nmの透明電極(IZO)を成膜することによって、陽極を形成した。
その後、従来のフォトリソグラフィー法により、陽極の幅が2mm幅の90本のストライプにパターニングした。
これを、水洗後、アルカリ性水溶液中にて超音波洗浄を30分行い、再び水洗後、超純水にて超音波洗浄を15分行い、110℃にて30分乾燥させた。その基板を、UVオゾンクリーナーを用いてUV−オゾン処理を大気雰囲気下で行った。
エポキシ系樹脂(屈折率:1.59)、アクリル系樹脂(屈折率:1.49)、ルチル型酸化チタン(屈折率:2.71、粒径250nm)、光重合開始剤および芳香族系溶剤からなる白色感光性組成物を攪拌混合して、白色隔壁材料のネガ型レジスト組成物を調製した。
上記の陽極の透明電極上に、スピンコーター法により、ネガ型レジスト組成物を塗布した。
その後、80℃にて10分間プリベークして、膜厚50μmの塗膜を形成した。
この塗膜に所望の画像パターンが形成できるようなマスク(画素ピッチ500μm、線幅50μm)を被せた後、塗膜にi線(300mJ/cm)を照射し、露光した。
次いで、露光後の基板をアルカリ現像液を用いて現像して、白色隔壁が形成された画素パターン状の構造物を得た。
次いで、熱風循環式乾燥炉を用い、140℃にて60分間ポストベークして、画素を仕切る白色隔壁を形成した。なお、白色隔壁の表面の反射率を測定したところ96.5%であった。
次に、陽極および白色隔壁を形成した基板を、インライン型抵抗加熱蒸着装置内の基板ホルダーに固定し、1×10−4Pa以下の真空まで減圧し、有機発光層を含む有機層を構成する各層を形成した。以下、有機層を構成する各層の形成方法を詳細に説明する。
まず、正孔注入材料として1,1−ビス−ジ−4−トリルアミノ−フェニル−シクロヘキサン(TAPC)を用い、抵抗加熱蒸着法により膜厚100nmの正孔注入層を形成した。
次いで、正孔輸送材料としてN,N’−di−l−ナフチル−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)を用い、抵抗加熱蒸着法により膜厚40nmの正孔輸送層を形成した。
次いで、正孔輸送層上の所望の画素位置に、青色の有機発光層(厚さ:30nm)を形成した。この青色の有機発光層は、75wt%の1,4−ビス−トリフェニルシリル−ベンゼン(UGH−2)(ホスト材料)と、10wt%の[dicyclohexano−18−crown−6ether]セリウム(III)(ダブレット材料)と、5wt%のジフェニルアントラセン(青色発光材料)・5wt%の3−(2’−ベンゾチアゾリル)−7−ジエチルアミノクマリン(クマリン6)(緑色蛍光材料)・5wt%の4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチルリル)−4H−ピラン(赤色蛍光材料)を、それぞれ蒸着速度1.5Å/sec、0.2Å/sec、0.1Å/sec、0.1Å/sec、0.1Å/secで共蒸着することによって形成した。
次いで、有機発光層の上に、2,9−ジメチル−4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン(BCP)を用いて、正孔防止層(厚さ:10nm)を形成した。
次いで、正孔防止層上に、トリス(8−ヒドロキシキノリン)アルミニウム(Alq)を用いて電子輸送層(厚さ:30nm)を形成した。
次いで、電子輸送層上に、フッ化リチウム(LiF)を用いて電子注入層(厚さ:0.5nm)を形成した。
以上の処理によって、有機層を構成する各層を形成した。
この後、陰極として半透明電極を形成した。
まず、基板を金属蒸着用チャンバーに固定し、半透明電極形成用のシャドーマスクと基板をアライメントした。なお、シャドーマスクとしては、第一電極のストライプと対向する向きに、2mm幅のストライプ状に半透明電極を形成できるように開口部が設けられたマスクを用いた。
次いで、電子注入層の表面に、真空蒸着法により、マグネシウムと銀とを、それぞれ蒸着速度0.1Å/sec、0.9Å/secで共蒸着することによって、マグネシウム銀を所望のパターンで形成(厚さ:1nm)した。
さらに、その上に、干渉効果を強調する目的、および、第二電極での配線抵抗による電圧降下を防止する目的で、銀を1Å/secの蒸着速度で所望のパターンで形成(厚さ:19nm)した。
以上の処理によって、半透明電極を形成した。
ここで、陽極と陰極の間では、マイクロキャビティ効果(干渉効果)が発現し、正面輝度を高めることが可能となる。これにより、有機層からの発光エネルギーを効率良く光取出部側に伝搬させることができる。
以上の処理によって、有機EL素子が形成された有機EL基板を得た。
(カラーフィルタ基板)
既成の赤色カラーフィルタと緑色カラーフィルタをそれぞれ用い、それぞれ上記EL基板と同じサイズにカットした。
(EL基板とカラーフィルタ基板の組み立て)
以上のようにして作製したEL基板とカラーフィルタ基板とを、画素配置位置の外側に形成されている位置合わせマーカーにより位置合わせを行った。なお、予めEL基板およびカラーフィルタ基板には、熱硬化樹脂を塗布した。
EL基板とカラーフィルタ基板を位置合わせした後、熱硬化樹脂(封止剤)を介して両基板を密着し、90℃にて2時間加熱することにより、熱硬化樹脂を硬化し、EL基板とカラーフィルタ基板を貼り合せた。なお、両基板を貼り合わせる工程は、有機層が水分により劣化することを防止するために、ドライエアー環境下(水分量:−80℃)で行った。
これにより、有機発光素子を作製した。
(光取り出し効率の測定)
実施例4の発光素子について、実際に外部に取り出された光の外部量子収率(10mA/cm時)を測定したところ、赤色蛍光体を用いた場合は2.7%、緑色蛍光体を用いた場合は5.1%であった。
<比較例4>
ダブレット材料を発光層にドープしなかった以外は実施例4と同様に作製したEL基板と、実施例4と同様に作成した波長変換基板とを実施例4と同様に貼り合せて、比較例4の発光素子を作製した。
比較例4の発光素子について、実際に外部に取り出された光の外部量子収率(10mA/cm時)を測定したところ、赤色蛍光体を用いた場合は1.7%、緑色蛍光体を用いた場合は3.3%であった。
その結果、実施例4の方が比較例4よりも、約1.5倍高い発光効率が得られることが確認された。
<実施例5:発光装置 タブレットパソコンおよびスマートフォン>
<構成>
実施例5に係る発光装置M1について図14を用いて説明する。
図14中、発光装置M1は、タブレットパソコンであり、B5サイズの発光素子D1を用いて、発光装置M1を作製する。発光装置M1は、発光素子D1、タッチパネルM103、タッチパネル用配線M104、発光素子用配線M105、バッテリーM106、中央演算装置M107及び記録媒体M108を載せた基板M111、背面カバーM109、及び表面カバーM110と、を有する。
<作製方法>
図14に示したように、まず、バッテリーM106、中央演算装置M107、記録媒体M108など電子書籍の動作に必要なチップを載せた基板M111を、背面カバーM109に取りつける。さらにその上に、発光素子M101、タッチパネルM103の順に配置する。タッチパネル用配線M104とM105を基板M111に接続し、表面カバーM110を取りつける。
<特徴>
表示装置M1は従来例に係る発光素子を用いた場合に比べ、正面方向の輝度は略10%向上する。また同一輝度で視聴する場合、消費電力を略10%削減する。
<補足>
なお、発光装置MS1として、サイズをスマートフォンサイズにした発光装置MS1を作り、スピーカーとマイクロフォンを設置することで、発光装置としてスマートフォンを作製できる。既知の技術により、発光装置MS1は従来例に係る発光素子を用いた場合に比べ、正面方向の輝度は略10%向上する。また同一輝度で視聴する場合、消費電力を略10%削減する。
<実施例6:発光装置 テレビ>
<構成>
実施例6に係る発光装置M2について図15を用いて説明する。
図15中、発光装置M2は、テレビである。実施例6では、42インチの発光素子D1を用いて、発光装置M2を作製する。発光装置M2は、発光素子M201(表示装置M1と同一のもの)、筐体M202、及びテレビ用基板M203(図示せず)を含む。
<作製方法>
テレビ用基板M203と発光素子M201とを接続し、筐体M202の中に設置する。
<特徴>
発光装置M2は従来例に係る発光素子を用いた場合に比べ、正面方向の輝度は略10%向上する。また同一輝度で視聴する場合、消費電力を略10%削減する。
<実施例7:発光装置 時計>
<構成>
実施例7に係る発光装置M3について図16を用いて説明する。
図16中、発光装置M3は、時計(スマートウォッチ)である。1インチの発光素子D1を用いて、発光装置M3を作製する。発光装置M3は、発光素子M301(発光装置M1と同一のもの)、筐体M302、及び時計用基板M203(図示せず)を含む。
<作製方法>
時計用基板M303と発光素子M301とを接続し、筐体M303の中に設置する。
<特徴>
発光装置M3は従来例に係る発光素子を用いた場合に比べ、正面方向の輝度は略10%向上する。また同一輝度で視聴する場合、消費電力を略10%削減する。
<実施例8:発光装置 電子ペーパー>
<構成>
実施例8に係る発光装置M4について図17を用いて説明する。
図17中、発光装置M4は、電子ペーパーである。A4サイズの発光素子D1を用いて、発光装置M4を作製する。発光装置M4は、発光素子M401(発光装置M1と同一のもの)、筐体M402、及び電子ペーパー用基板M403(図示せず)を含む。
<作製方法>
電子ペーパー用基板M403と発光素子M401とを接続し、筐体M403の中に設置する。
<特徴>
発光装置M4は従来例に係る発光素子を用いた場合に比べ、正面方向の輝度は略10%向上する。また同一輝度で視聴する場合、消費電力を略10%削減する。
<実施例9:発光装置 車載スピードメーター>
<構成>
本実施例に係る発光装置M5について図18を用いて説明する。
図18中、発光装置M5は、車載スピードメーターである。半径20センチメートル円形の発光素子D1を用いて、発光装置M5を作製する。発光装置M5は、発光素子M501(発光装置M1と同一のもの)、筐体M502、及び車載スピードメーター用基板M503(図示せず)を含む。
<作製方法>
車載スピードメーター用基板M403と発光素子M401とを接続し、筐体M403の中に設置する。
<特徴>
発光装置M5は従来例に係る発光素子を用いた場合に比べ、正面方向の輝度は略10%向上する。また同一輝度で視聴する場合、消費電力を略10%削減する。
<実施例10:発光装置 電子書籍>
<構成>
実施例10に係る発光装置M6について図19を用いて説明する。
図19中、発光装置M6は、電子書籍である。A5サイズの発光素子D1を二つ用いて、発光装置M6を作製する。発光装置M6は、発光素子M601(発光装置M1と同一のもの)、筐体M602、及び電子書籍用基板M603(図示せず)を含む。
<作製方法>
電子書籍用基板M603と発光素子M601とを接続し、筐体M603の中に設置する。
<特徴>
発光装置M6は従来例に係る発光素子を用いた場合に比べ、正面方向の輝度は略10%向上する。また同一輝度で視聴する場合、消費電力を略10%削減する。
<実施例11:発光装置 デジタルカメラ>
<構成>
本実施例に係る発光装置M7について図20を用いて説明する。
図20中、発光装置M7は、デジタルカメラである。4インチサイズの発光素子D1を二つ用いて、発光装置M7を作製する。発光装置M7は、ファインダーとしての役割を果たす。発光装置M7は発光素子M701(発光装置M1と同一のもの)、筐体M702、レンズM703、及びデジタルカメラ用基板M704(図示せず)を含む。
<作製方法>
デジタルカメラ用基板M704と発光素子M701とを接続し、筐体M702の中に設置する。また筐体M702の発光素子M701と反対側の面にレンズM703を設置する。
<特徴>
発光装置M7は従来例に係る発光素子を用いた場合に比べ、正面方向の輝度は略10%向上する。また同一輝度で視聴する場合、消費電力を略10%削減する。
<実施例12:発光システム ホームシアターシステム>
<構成>
実施例12に係る発光システムS1について図21を用いて説明する。
図21中、発光システムS1は、ホームシアターシステムであり、発光装置M2とスピーカーS101とで構成される。発光装置M2は、発光素子M201(発光装置M1と同一のもの)、筐体M202、及びテレビ用基板M203(図示せず)を含む。
<作製方法>
発光装置M2とスピーカーS101を二つ用意して、無線LAN(Local Area Network)によって接続し、発光装置M2の映像と連動してS101から音がでるようにする。
<特徴>
発光システムS1は従来例に係る発光素子を用いた場合に比べ、正面方向の輝度は略10%向上する。
また同一輝度で視聴する場合、消費電力を略10%削減する。
<実施例13:発光システム デジタルサイネージ>
<構成>
本実施例に係る発光システムS2について図23を用いて説明する。
図23中、発光システムS2は、デジタルサイネージであり、発光装置M4を側面に有する柱S201を複数持ち、複数の発光装置M4が互いに無線LANで連携する。
<作製方法>
発光装置M4を複数の柱S201の側面にそれぞれ貼り付け、発光装置M4どうしを無線LANによって接続する。複数の発光装置M4を連動して映像を表示できる。
<特徴>
発光システムS2は従来例に係る発光素子を用いた場合に比べ、正面方向の輝度は略10%向上する。また同一輝度で視聴する場合、消費電力を略10%削減する。
D1…発光素子、E1…EL基板、C1…波長変換基板、F1…封止剤、F2…充填剤、E11…基板、E12…TFT回路、E13…絶縁膜、E14…反射膜、E15…陽極、E16…エッジカバー、E20…有機層、E21…陰極、E22…封止膜、E17…正孔注入層、E18…発光層、E19…電子輸送層、C1…波長変換基板、C2…波長変換層、C142…赤色変換層、C152…緑色変換層

Claims (12)

  1. 発光層と、
    前記発光層に対して電荷を注入する一対の電極と、を備え、
    前記発光層は、少なくともダブレット材料からなる第1の分子と、発光性を有する第2の分子と、を含む、発光装置。
  2. 前記第1の分子の発光スペクトルと前記第2の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なる、請求項1に記載の発光装置。
  3. 前記発光層は、第3の分子をさらに含み、前記第1の分子の発光スペクトルと前記第3の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なり、前記第3の分子の発光スペクトルと前記第2の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なる請求項1に記載の発光装置。
  4. 前記発光層は、第4の分子をさらに含む、請求項1に記載の発光装置。
  5. 前記発光層は、第3の分子をさらに含み、前記第1の分子の発光スペクトルと前記第3の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なり、前記第3の分子の発光スペクトルと前記第2の分子の吸収スペクトルとは、少なくとも一部重なる請求項4に記載の発光装置。
  6. 前記第1の分子の発光スペクトルの半値幅は、前記第2の分子の発光スペクトルの半値幅よりも広い、請求項1に記載の発光装置。
  7. 前記第1の分子は、遷移金属原子を含む、請求項1に記載の発光装置。
  8. 前記第1の分子は、希土類原子を含む、請求項1に記載の発光装置。
  9. 前記希土類原子は、セリウム原子である、請求項6に記載の発光装置。
  10. 前記第1の分子は、水素原子、炭素原子、窒素原子、酸素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子の一部もしくは全部から構成される、請求項1に記載の発光装置。
  11. 前記発光層を備える発光基板と、
    前記発光基板から発せられた第1の光を吸収し、前記第1の光の波長と異なる波長を有する第2の光を射出する波長変換基板と、を備える、請求項1に記載の発光装置。
  12. 請求項1に記載の発光装置を備える、発光システム。
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