JPWO2019216200A1 - 色変換組成物、色変換シート、光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置 - Google Patents

色変換組成物、色変換シート、光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置 Download PDF

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Abstract

本発明の一態様である色変換組成物は、入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換するものであって、m種類の有機発光材料(mは自然数)である(A)成分と、n種類の繰り返し単位(nは自然数)を有するバインダー樹脂である(B)成分と、を含む。m種類の有機発光材料について、最高被占軌道のエネルギー準位をEAh(H)[eV]とし、最低空軌道のエネルギー準位をEAh(L)[eV]とし、n種類の繰り返し単位について、最高被占軌道のエネルギー準位をEBi(H)[eV]とし、最低空軌道のエネルギー準位をEBi(L)[eV]とする時、前記(A)成分および前記(B)成分について、EAh(H)、EAh(L)、EBi(H)、EBi(L)が(式−1)を満たす。EBi(H)≦EAh(H)≦EAh(L)≦EBi(L) (式−1)

Description

本発明は、色変換組成物、色変換シート、光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置に関する。
色変換方式によるマルチカラー化技術を、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ、照明装置等へ応用することが盛んに検討されている。色変換とは、発光体からの発光をより長波長な光へと変換することであり、例えば青色発光を緑色や赤色発光へと変換することを表す。
この色変換機能を有する組成物(以下、「色変換組成物」という)をシート化し、例えば青色光源と組み合わせることにより、青色光源から、青、緑、赤色の3原色を取り出すこと、すなわち白色光を取り出すことが可能となる。このような青色光源と色変換機能を有するシート(以下、「色変換シート」という)とを組み合わせた白色光源のユニットをバックライトユニットとし、このバックライトユニットと、液晶駆動部分と、カラーフィルターとを組み合わせることで、フルカラーディスプレイの作製が可能になる。また、液晶駆動部分が無ければ、そのまま白色光源として用いることができ、例えばLED照明等の白色光源として応用できる。
色変換方式を利用する液晶ディスプレイの課題として、色再現性の向上が挙げられる。色再現性の向上には、バックライトユニットの青、緑、赤の各発光スペクトルの半値幅を狭くし、青、緑、赤各色の色純度を高めることが有効である。
これを解決する手段として、無機半導体微粒子による量子ドットを色変換組成物の成分として用いる技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、量子ドットの代わりに有機物の発光材料を色変換組成物の成分として用いる技術も提案されている。有機発光材料を色変換組成物の成分として用いる技術の例としては、クマリン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献2参照)、ローダミン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献3参照)、ピロメテン誘導体を用いたもの(例えば、特許文献4参照)が開示されている。また、有機発光材料の劣化を防ぎ、耐久性を向上させるため、光安定化剤を添加する技術も開示されている(例えば、特許文献5参照)。
特開2012−22028号公報 特開2007−273440号公報 特開2001−164245号公報 特開2011−241160号公報 国際公開第2011/149028号
近年、4Kや8Kといった高精細化、ハイダイナミックレンジ(HDR)、およびローカルディミングによる高コントラスト化に伴い、液晶ディスプレイのバックライトユニットに求められる照度が高まっている。このため、色変換組成物の高い耐久性に加えて、色変換組成物の発光効率が高いことが必要となっている。
特許文献1に記載の量子ドットを用いる技術は、確かに、緑色、赤色の発光スペクトルの半値幅が狭く、色再現性は向上する。その反面、量子ドットは、熱、空気中の水分や酸素に弱く、耐久性が十分でなかった。また、カドミウムを含む等の課題もある。
また、有機発光材料を使用する場合、有機発光材料の選定や改良、特定の光安定化剤の添加などの既存の技術だけでは、耐久性の向上効果はあるものの、色変換組成物の発光効率が未だ不十分であった。すなわち、特許文献2〜5に記載の有機発光材料を用いた色変換組成物において、高い耐久性と高い発光効率とを両立させる技術は、未だ不十分であった。
本発明が解決しようとする課題は、液晶ディスプレイ等のディスプレイやLED照明等の照明装置に用いられる色変換組成物において、高い耐久性と高い発光効率とを両立させることであり、特に、高色純度の発光を示す有機発光材料を用いた色変換組成物において、高い耐久性と高い発光効率とを両立させることである。すなわち、本発明は、耐久性の向上と発光効率の向上とを両立させた色変換組成物および色変換シートの提供を目的とし、さらには、これを用いた光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置の提供を目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、色変換組成物において、発光材料の最高被占軌道(以下、「HOMO」と適宜いう)および最低空軌道(以下、「LUMO」と適宜いう)のエネルギー準位とバインダー樹脂の繰り返し単位のHOMOおよびLUMOのエネルギー準位との間で、所定の関係が満たされる場合、高い輝度および高い耐久性の両立が達成できることを見出した。
すなわち、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る色変換組成物は、入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換組成物であって、m種類の有機発光材料(mは自然数)である(A)成分と、n種類の繰り返し単位(nは自然数)を有するバインダー樹脂である(B)成分と、を含み、前記m種類の有機発光材料について、最高被占軌道のエネルギー準位をEAh(H)[eV]とし、最低空軌道のエネルギー準位をEAh(L)[eV]とし、前記n種類の繰り返し単位について、最高被占軌道のエネルギー準位をEBi(H)[eV]とし、最低空軌道のエネルギー準位をEBi(L)[eV]とする時、前記(A)成分および前記(B)成分について、EAh(H)、EAh(L)、EBi(H)、EBi(L)が(式−1)を満たす、ことを特徴とする。
Bi(H)≦EAh(H)≦EAh(L)≦EBi(L) (式−1)
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(A)成分および前記(B)成分について、EAh(H)、EBi(H)が(式−2)を満たす、ことを特徴とする。
Bi(H)≦EAh(H)−0.05 (式−2)
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(A)成分および前記(B)成分について、EAh(L)、EBi(L)が(式−3)を満たす、ことを特徴とする。
Ah(L)+0.05≦EBi(L) (式−3)
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(A)成分について、EAh(H)が(式−4)または(式−5)のいずれか一方を満たす、ことを特徴とする。
Ah(H)≦−5.00 (式−4)
Ah(H)≧−4.50 (式−5)
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記m種類の有機発光材料のうち少なくとも一つが(式−6)を満たす、ことを特徴とする。
Ah(H)≦−5.00 (式−6)
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(B)成分が、アクリル樹脂、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル部位を含む共重合樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかである、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(B)成分が熱可塑性樹脂である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(A)成分および前記(B)成分以外に、q種類の有機化合物(qは自然数)である(C)成分を含み、前記q種類の有機化合物について、最高被占軌道のエネルギー準位をECj(H)[eV]とし、最低空軌道のエネルギー準位をECj(L)[eV]とする時、前記(A)成分および前記(C)成分について、EAh(H)、EAh(L)、ECj(H)、ECj(L)が(式−7)を満たす、ことを特徴とする。
Cj(H)≦EAh(H)≦EAh(L)≦ECj(L) (式−7)
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記(A)成分が、少なくとも一般式(1)で表される化合物を含有する、ことを特徴とする。
Figure 2019216200
(Xは、C−RまたはNである。R〜Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。)
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記一般式(1)におけるXが、C−Rであり、前記Rが、一般式(2)で表される基である、ことを特徴とする。
Figure 2019216200
(rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基からなる群より選ばれる。kは、1〜3の整数である。kが2以上である場合、rは、それぞれ同じでも異なってもよい。)
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記一般式(1)におけるR、R、RおよびRが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記一般式(1)におけるR、R、RおよびRが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記一般式(1)におけるRおよびRのうち少なくとも一方が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、電子求引基である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、前記一般式(1)におけるRおよびRが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、フッ素またはシアノ基である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換組成物は、上記の発明において、下記の発光材料(a)および発光材料(b)を含有する、ことを特徴とする。
発光材料(a):波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料
発光材料(b):波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光と波長500nm以上580nm以下の範囲の励起光とのうち少なくとも一方によって励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料
また、本発明に係る色変換シートは、上記の発明のいずれか一つに記載の色変換組成物の硬化層からなる色変換層を含む、ことを特徴とする。
また、本発明に係る色変換シートは、2層以上の色変換層を含み、前記2層以上の色変換層のうち少なくとも1層が、上記の発明のいずれか一つに記載の色変換組成物の硬化層からなる色変換層である、ことを特徴とする。
また、本発明に係る光源ユニットは、光源と、上記の発明のいずれか一つに記載の色変換組成物、あるいは上記の発明のいずれか一つに記載の色変換シートと、を備えることを特徴とする。
また、本発明に係る光源ユニットは、上記の発明において、前記光源が、波長400nm以上500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードである、ことを特徴とする。
また、本発明に係るディスプレイは、上記の発明のいずれか一つに記載の光源ユニットを備える、ことを特徴とする。
また、本発明に係る照明装置は、上記の発明のいずれか一つに記載の光源ユニットを備える、ことを特徴とする。
本発明に係る色変換組成物およびこれを用いた色変換シートは、高い耐久性と高い発光効率とを両立させることが可能となるという効果を奏する。本発明に係る光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置は、このような色変換組成物または色変換シートを用いるため、高い耐久性と高い輝度とを両立させることが可能となるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第1の例を示す模式断面図である。 図2は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第2の例を示す模式断面図である。 図3は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第3の例を示す模式断面図である。 図4は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第4の例を示す模式断面図である。 図5は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第5の例を示す模式断面図である。 図6は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第6の例を示す模式断面図である。 図7は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第7の例を示す模式断面図である。 図8は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第8の例を示す模式断面図である。 図9は、本発明の実施例における合成例1の化合物の吸収スペクトルを例示する図である。 図10は、本発明の実施例における合成例1の化合物の発光スペクトルを例示する図である。 図11は、本発明の実施例における合成例2の化合物の吸収スペクトルを例示する図である。 図12は、本発明の実施例における合成例2の化合物の発光スペクトルを例示する図である。
以下、本発明に係る色変換組成物、色変換シート、光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、目的や用途に応じて種々に変更して実施することができる。
<色変換組成物>
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換組成物であって、以下の(A)成分と(B)成分とを含むものである。(A)成分は、m種類の有機発光材料D、・・・、D(mは自然数)である。(B)成分は、n種類の繰り返し単位P、・・・、P(nは自然数)を有するバインダー樹脂である。
また、本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、含有する(A)成分および(B)成分について、以下の条件を満たすものである。詳細には、(A)成分であるm種類の有機発光材料D、・・・、Dについて、最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位をEAh(H)[eV]とし、最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位をEAh(L)[eV]とする。(B)成分であるバインダー樹脂のn種類の繰り返し単位P、・・・、Pについて、最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位をEBi(H)[eV]とし、最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位をEBi(L)[eV]とする。このとき、(A)成分および(B)成分について、EAh(H)、EAh(L)、EBi(H)、EBi(L)は、(式−1)を満たす。すなわち、m種類の有機発光材料D、・・・、Dの中から任意に選ばれる任意の有機発光材料D(hは1以上m以下の自然数)と、n種類の繰り返し単位P、・・・、Pの中から任意に選ばれる任意の繰り返し単位P(iは1以上n以下の自然数)との取り得る全組み合わせについて、EAh(H)、EAh(L)、EBi(H)、EBi(L)は、(式−1)を満たす。
Bi(H)≦EAh(H)≦EAh(L)≦EBi(L) (式−1)
(A)成分において、mは、上述したように自然数である。この自然数mは、2以上であっても良い。すなわち、(A)成分としての有機発光材料は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。自然数mの上限に関しては、特に限定されるものではないが、製造コストの観点から、自然数mは10以下であることが好ましい。より好ましくは、自然数mは3以下であり、さらに好ましくは、自然数mは1または2である。
(B)成分において、nは、上述したように自然数である。この自然数nは、2以上であっても良い。すなわち、(B)成分としてのバインダー樹脂の繰り返し単位は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。自然数nの上限に関しては、特に限定されるものではないが、製造の容易さの観点から、自然数nは20以下であることが好ましい。より好ましくは、自然数nは10以下である。
また、(B)成分において、繰り返し単位P、・・・、Pは、バインダー樹脂の高分子鎖中で、任意の配列をとってよい。例えば、繰り返し単位P、・・・、Pは、同じ繰り返し単位が連続するブロック構造をとってもよいし、ランダムに配列されても良い。
ここで、本発明において、発光材料のHOMOおよびLUMOのエネルギー準位とバインダー樹脂の繰り返し単位のHOMOおよびLUMOのエネルギー準位は、密度凡関数(DFT)法によって算出したものである。本発明においては、分子軌道計算用ソフトウェアとして、BIOVIA社製のBIOVIA Materials Studio 2016を用い、構造最適化および最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)のエネルギー計算を行った。ここでいう発光材料は、本発明の実施の形態に係る色変換組成物に含有される発光材料である。このような発光材料として、例えば、(A)成分であるm種類の有機発光材料が挙げられる。
有機発光材料のHOMOのエネルギー準位とバインダー樹脂の繰り返し単位のHOMOのエネルギー準位とが(式−1)の関係を満たさない、つまり、有機発光材料のHOMOのエネルギー準位がバインダー樹脂の繰り返し単位のHOMOのエネルギー準位よりも低い場合、有機発光材料が励起光により励起されて電子が遷移した際に生じる当該有機発光材料のHOMOの空位にバインダー樹脂の繰り返し単位のHOMOから電子が移動することで、発光過程が阻害される。この電子の移動は、エネルギーの高い準位から低い準位への移動であり、系の安定化を駆動力として起こる。この電子移動によって発光過程が阻害されると、励起によって高いエネルギー準位に遷移した電子は、無放射遷移により、励起光の吸収で得たエネルギーを失う。このため、色変換組成物における有機発光材料の発光効率は、低くなってしまう。さらに、有機発光材料は、エネルギーが高く、寿命の長い無放射遷移過程を経由するため、周囲の成分と様々な反応を起こして変質や分解する確率が高くなる。この結果として、色変換組成物の耐久性も悪くなる。
一方、有機発光材料のHOMOのエネルギー準位とバインダー樹脂の繰り返し単位のHOMOのエネルギー準位とが(式−1)の関係を満たす、つまり、有機発光材料のHOMOのエネルギー準位がバインダー樹脂の繰り返し単位のHOMOのエネルギー準位以上である場合、バインダー樹脂の繰り返し単位のHOMOから有機発光材料のHOMOへの電子移動は、系を不安定化する方向の移動であるため、起こりにくい。故に、発光過程が阻害されにくい。この結果、色変換組成物における有機発光材料の発光効率は、低くならない。さらに、有機発光材料は、寿命の長い高エネルギー状態を経由しないため、周囲の成分との反応も抑制される。この結果、色変換組成物の耐久性も低下しない。
有機発光材料のHOMOのエネルギー準位とバインダー樹脂の繰り返し単位繰り返し単位のHOMOのエネルギー準位とが極めて近い場合、通常時に(式−1)の関係を満たしていても、熱などの要因により、エネルギー準位の関係が一時的に変動し、バインダー樹脂の繰り返し単位のHOMOから有機発光材料のHOMOへの電子移動が生じる可能性がある。そのため、有機発光材料のHOMOのエネルギー準位とバインダー樹脂の繰り返し単位のHOMOのエネルギー準位との間には、ある程度の差異があることが好ましい。このエネルギー準位の差異の大きさは、0.05eV以上であることが好ましい。すなわち、(A)成分および(B)成分について、上述したEAh(H)、EBi(H)は、(式−2)を満たすことが好ましい。
Bi(H)≦EAh(H)−0.05 (式−2)
上述したエネルギー準位の差異の大きさは、より大きい方が好ましい。例えば、上述したエネルギー準位の差異の大きさは、0.07eV以上であることがより好ましく、0.10eV以上であることがさらに好ましい。
有機発光材料のLUMOのエネルギー準位とバインダー樹脂の繰り返し単位のLUMOのエネルギー準位とが(式−1)の関係を満たさない、つまり、有機発光材料のLUMOのエネルギー準位がバインダー樹脂の繰り返し単位のLUMOのエネルギー準位よりも高い場合、有機発光材料が励起光により励起されて電子が遷移した際に、有機発光材料の励起準位からバインダー樹脂の繰り返し単位のLUMOに電子が移動する。この場合、発光過程ではなく無放射遷移により、励起光の吸収で得たエネルギーが失われる。このため、色変換組成物における有機発光材料の発光効率は、低くなってしまう。さらに、有機発光材料は、エネルギーが高く、寿命の長い無放射遷移過程を経由するため、周囲の成分と様々な反応を起こして変性や分解する確率が高くなる。この結果として、色変換組成物の耐久性も悪くなる。
一方、有機発光材料のLUMOのエネルギー準位とバインダー樹脂の繰り返し単位のLUMOのエネルギー準位とが(式−1)の関係を満たす、つまり、有機発光材料のLUMOのエネルギー準位がバインダー樹脂の繰り返し単位のLUMOのエネルギー準位以下である場合、有機発光材料の励起準位からバインダー樹脂の繰り返し単位のLUMOへの電子移動は、系を不安定化する方向の移動であるため、起こりにくい。故に、発光過程が阻害されにくい。この結果、色変換組成物における有機発光材料の発光効率は、低くならない。さらに、有機発光材料は、寿命の長い高エネルギー状態を経由しないため、周囲の成分との反応も抑制される。この結果、色変換組成物の耐久性も低下しない。
有機発光材料のLUMOのエネルギー準位とバインダー樹脂の繰り返し単位のLUMOのエネルギー準位とが極めて近い場合、通常時に(式−1)の関係を満たしていても、熱などの要因により、エネルギー準位の関係が一時的に変動し、有機発光材料の励起準位からバインダー樹脂の繰り返し単位のLUMOへの電子移動が生じる可能性がある。そのため、有機発光材料のLUMOのエネルギー準位とバインダー樹脂の繰り返し単位のLUMOのエネルギー準位との間には、ある程度の差異があることが好ましい。このエネルギー準位の差異の大きさは、0.05eV以上であることが好ましい。すなわち、(A)成分および(B)成分について、上述したEAh(L)、EBi(L)は、(式−3)を満たすことが好ましい。
Ah(L)+0.05≦EBi(L) (式−3)
さらに、発明者らは、(A)成分であるm種類の有機発光材料D、・・・、DのHOMOのエネルギー準位に関し、所定の条件を満たすことにより、色変換組成物が高い耐久性を示すことを見出した。詳細には、(A)成分について、有機発光材料のHOMOのエネルギー準位(すなわち上述したEAh(H))が(式−4)または(式−5)のいずれか一方を満たす場合、有機発光材料の酸素(特に一重項酸素)による酸化劣化が抑制され、これにより、当該有機発光材料の変質や分解が抑制される。この結果、色変換組成物の高い耐久性を得ることができる。
Ah(H)≦−5.00 (式−4)
Ah(H)≧−4.50 (式−5)
(A)成分において、有機発光材料のHOMOのエネルギー準位が(式−4)を満たす場合、このエネルギー準位は、より低い方が好ましい。例えば、このエネルギー準位として、より好ましくは−5.20eV以下であり、さらに好ましくは−5.40eV以下であり、特に好ましくは−5.60eV以下である。
また、(A)成分において、有機発光材料のHOMOのエネルギー準位が(式−5)を満たす場合、このエネルギー準位は、より高い方が好ましい。例えば、このエネルギー準位として、より好ましくは−4.40eV以上であり、さらに好ましくは−4.30eV以上である。
また、(A)成分においては、色変換組成物の耐久性を向上させるという観点から、m種類の有機発光材料D、・・・、Dのうち少なくとも一つが(式−6)を満たすことが好ましい。
Ah(H)≦−5.00 (式−6)
また、本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、上述した(A)成分および(B)成分以外に、以下の(C)成分を含むことが好ましい。(C)成分は、q種類の有機化合物Q、・・・、Qq(qは自然数)である。また、本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、(C)成分を含む場合、以下の条件を満たすことが好ましい。詳細には、(C)成分であるq種類の有機化合物Q、・・・、Qqについて、最高被占軌道(HOMO)のエネルギー準位をECj(H)[eV]とし、最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位をECj(L)[eV]とする時、(A)成分および(C)成分について、EAh(H)、EAh(L)、ECj(H)、ECj(L)は、(式−7)を満たすことが好ましい。色変換組成物において、(A)成分としての有機発光材料のHOMOおよびLUMOのエネルギー準位と(C)成分としての有機化合物のHOMOおよびLUMOのエネルギー準位との間で、(式−7)の関係が満たされる場合、当該色変換組成物の高い輝度および高い耐久性の両立を達成することができる。
Cj(H)≦EAh(H)≦EAh(L)≦ECj(L) (式−7)
有機発光材料のHOMOのエネルギー準位と有機化合物のHOMOのエネルギー準位とが(式−7)の関係を満たさない、つまり、有機発光材料のHOMOのエネルギー準位が有機化合物のHOMOのエネルギー準位よりも低い場合、有機発光材料が励起光により励起されて電子が遷移した際に生じる当該有機発光材料のHOMOの空位に有機化合物のHOMOから電子が移動することで、発光過程が阻害される。この電子の移動は、エネルギーの高い準位から低い準位への移動であり、系の安定化を駆動力として起こる。この電子移動によって発光過程が阻害されると、励起によって高いエネルギー準位に遷移した電子は、無放射遷移により、励起光の吸収で得たエネルギーを失う。このため、色変換組成物における有機発光材料の発光効率は、低くなってしまう。さらに、有機発光材料は、エネルギーが高く、寿命の長い無放射遷移過程を経由するため、周囲の成分と様々な反応を起こして変質や分解する確率が高くなる。この結果として、色変換組成物の耐久性も悪くなる。
一方、有機発光材料のHOMOのエネルギー準位と有機化合物のHOMOのエネルギー準位とが(式−7)の関係を満たす、つまり、有機発光材料のHOMOのエネルギー準位が有機化合物のHOMOのエネルギー準位以上である場合、有機化合物のHOMOから有機発光材料のHOMOへの電子移動は、系を不安定化する方向の移動であるため、起こりにくい。故に、発光過程が阻害されにくい。この結果、色変換組成物における有機発光材料の発光効率は、低くならない。さらに、有機発光材料は、寿命の長い高エネルギー状態を経由しないため、周囲の成分との反応も抑制される。この結果、色変換組成物の耐久性も低下しない。
有機発光材料のLUMOのエネルギー準位と有機化合物のLUMOのエネルギー準位とが(式−7)の関係を満たさない、つまり、有機発光材料のLUMOのエネルギー準位が有機化合物のLUMOのエネルギー準位よりも高い場合、有機発光材料が励起光により励起されて電子が遷移した際に、有機発光材料の励起準位から有機化合物のLUMOに電子が移動する。この場合、発光過程ではなく無放射遷移により、励起光の吸収で得たエネルギーが失われる。このため、色変換組成物における有機発光材料の発光効率は、低くなってしまう。さらに、有機発光材料は、エネルギーが高く、寿命の長い無放射遷移過程を経由するため、周囲の成分と様々な反応を起こして変性や分解する確率が高くなる。この結果として、色変換組成物の耐久性も悪くなる。
一方、有機発光材料のLUMOのエネルギー準位と有機化合物のLUMOのエネルギー準位とが(式−7)の関係を満たす、つまり、有機発光材料のLUMOのエネルギー準位が有機化合物のLUMOのエネルギー準位以下である場合、有機発光材料の励起準位から有機化合物のLUMOへの電子移動は、系を不安定化する方向の移動であるため、起こりにくい。故に、発光過程が阻害されにくい。この結果、色変換組成物における有機発光材料の発光効率は、低くならない。さらに、有機発光材料は、寿命の長い高エネルギー状態を経由しないため、周囲の成分との反応も抑制される。この結果、色変換組成物の耐久性も低下しない。
(C)成分において、qは、上述したように自然数である。この自然数qは、2以上であっても良い。すなわち、(C)成分としての有機化合物は、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。自然数qの上限に関しては、特に限定されるものではないが、製造の容易さの観点から、自然数qは20以下であることが好ましい。より好ましくは、自然数qは10以下である。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物を硬化することで、この色変換組成物の硬化層からなる色変換層を形成することができる。このような色変換層を含む色変換シートは、本発明の実施の形態に係る色変換シートの一例であり、高い耐久性と高い発光効率とを両立させている。このため、当該色変換シートを光源ユニット、ディスプレイ(例えば液晶ディスプレイ)および照明装置(例えばLED照明)に用いた場合に、これらの高い耐久性と高い輝度とを両立させることが可能となる。
また、本発明の実施の形態に係る色変換シートが2層以上の色変換層を含む場合、これら2層以上の色変換層のうち少なくとも1層が、本発明の実施の形態に係る色変換組成物の硬化層からなる色変換層であることが好ましい。この場合の色変換シートにおいては、これら2層以上の色変換層の全ての層が、本発明の実施の形態に係る色変換組成物の硬化層からなる色変換層であることがより好ましい。
<(A)成分:有機発光材料>
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、(A)成分として、m種類の有機発光材料D、・・・、D(mは自然数)を含む。ここで、本発明における発光材料とは、何らかの光が照射されたときに、その光とは異なる波長の光を発する材料のことをいう。有機発光材料は、有機物の発光材料である。
高効率な色変換を達成するためには、発光材料が発光量子収率の高い発光特性を示す材料であることが好ましい。一般に、発光材料としては、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料、量子ドット等の公知の発光材料が挙げられるが、分散の均一性、使用量の低減、環境負荷の低減の観点から、有機発光材料が好ましい。
有機発光材料としては、以下に示すもの等が挙げられる。例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナンスレン、ピレン、クリセン、ナフタセン、トリフェニレン、ペリレン、フルオランテン、フルオレン、インデン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、フラン、ピロール、チオフェン、シロール、9−シラフルオレン、9,9’−スピロビシラフルオレン、ベンゾチオフェン、ベンゾフラン、インドール、ジベンゾチオフェン、ジベンゾフラン、イミダゾピリジン、フェナントロリン、ピリジン、ピラジン、ナフチリジン、キノキサリン、ピロロピリジン等のヘテロアリール環を有する化合物やその誘導体、ボラン誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。
また、1,4−ジスチリルベンゼン、4,4’−ビス(2−(4−ジフェニルアミノフェニル)エテニル)ビフェニル、4,4’−ビス(N−(スチルベン−4−イル)−N−フェニルアミノ)スチルベン等のスチルベン誘導体、芳香族アセチレン誘導体、テトラフェニルブタジエン誘導体、アルダジン誘導体、ピロメテン誘導体、ジケトピロロ[3,4−c]ピロール誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、クマリン6、クマリン7、クマリン153等のクマリン誘導体、イミダゾール、チアゾール、チアジアゾール、カルバゾール、オキサゾール、オキサジアゾール、トリアゾール等のアゾール誘導体およびその金属錯体、インドシアニングリーン等のシアニン系化合物、フルオレセイン、エオシン、ローダミン等のキサンテン系化合物やチオキサンテン系化合物等が、好適な有機発光材料として挙げられる。
また、ポリフェニレン系化合物、ナフタルイミド誘導体、フタロシアニン誘導体およびその金属錯体、ポルフィリン誘導体およびその金属錯体、ナイルレッドやナイルブルー等のオキサジン系化合物、ヘリセン系化合物、N,N’−ジフェニル−N,N’−ジ(3−メチルフェニル)−4,4’−ジフェニル−1,1’−ジアミン等の芳香族アミン誘導体等が、好適な有機発光材料として挙げられる。また、イリジウム(Ir)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、オスミウム(Os)、及びレニウム(Re)等の有機金属錯体化合物等が、好適な有機発光材料として挙げられる。しかし、本発明における有機発光材料は、上述したものに限定されない。
有機発光材料は、蛍光発光材料であっても、リン光発光材料であってもよいが、高い色純度を達成するためには、蛍光発光材料が好ましい。これらの中でも、熱的安定性および光安定性が高いことから、縮合アリール環を有する化合物やその誘導体が好ましい。
また、有機発光材料としては、溶解性や分子構造の多様性の観点から、配位結合を有する化合物が好ましい。半値幅が小さく、高効率な発光が可能である点で、フッ化ホウ素錯体等のホウ素を含有する化合物も好ましい。
これらの化合物の中でも、高い発光量子収率を与え、耐久性が良好である点で、ピロメテン誘導体を好適に用いることができる。より好ましくは、一般式(1)で表される化合物である。本発明の実施の形態に係る色変換組成物において、(A)成分は、少なくとも一般式(1)で表される化合物を含有することが好ましい。
Figure 2019216200
一般式(1)において、Xは、C−RまたはNである。R〜Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。
上記の全ての基において、水素は重水素であってもよい。このことは、以下に説明する化合物またはその部分構造においても同様である。また、以下の説明において、例えば、炭素数6〜40の置換もしくは無置換のアリール基とは、アリール基に置換した置換基に含まれる炭素数も含めて全ての炭素数が6〜40となるアリール基である。炭素数を規定している他の置換基も、これと同様である。
また、上記の全ての基において、置換される場合における置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基が好ましく、さらには、各置換基の説明において好ましいとする具体的な置換基が好ましい。また、これらの置換基は、さらに上述の置換基により置換されていてもよい。
「置換もしくは無置換の」という場合における「無置換」とは、水素原子または重水素原子が置換したことを意味する。以下に説明する化合物またはその部分構造において、「置換もしくは無置換の」という場合についても、上記と同様である。
上記の全ての基のうち、アルキル基とは、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等の飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。置換されている場合の追加の置換基には特に制限は無く、例えば、アルキル基、ハロゲン、アリール基、ヘテロアリール基等を挙げることができ、この点は、以下の記載にも共通する。また、アルキル基の炭素数は、特に限定されないが、入手の容易性やコストの点から、好ましくは1以上20以下、より好ましくは1以上8以下の範囲である。
シクロアルキル基とは、例えば、シクロプロピル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等の飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキル基部分の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、3以上20以下の範囲である。
複素環基とは、例えば、ピラン環、ピペリジン環、環状アミド等の炭素以外の原子を環内に有する脂肪族環を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。複素環基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルケニル基とは、例えば、ビニル基、アリル基、ブタジエニル基等の二重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルケニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
シクロアルケニル基とは、例えば、シクロペンテニル基、シクロペンタジエニル基、シクロヘキセニル基等の二重結合を含む不飽和脂環式炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。
アルキニル基とは、例えば、エチニル基等の三重結合を含む不飽和脂肪族炭化水素基を示し、これは、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキニル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上20以下の範囲である。
アルコキシ基とは、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のエーテル結合を介して脂肪族炭化水素基が結合した官能基を示し、この脂肪族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルコキシ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アルキルチオ基とは、アルコキシ基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アルキルチオ基の炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アルキルチオ基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上20以下の範囲である。
アリールエーテル基とは、例えば、フェノキシ基等、エーテル結合を介した芳香族炭化水素基が結合した官能基を示し、芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリールチオエーテル基とは、アリールエーテル基のエーテル結合の酸素原子が硫黄原子に置換されたものである。アリールチオエーテル基における芳香族炭化水素基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリールチオエーテル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、6以上40以下の範囲である。
アリール基とは、例えば、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、ベンゾフルオレニル基、ジベンゾフルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ベンゾフェナントリル基、ベンゾアントラセニル基、クリセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基、ベンゾフルオランテニル基、ジベンゾアントラセニル基、ペリレニル基、ヘリセニル基等の芳香族炭化水素基を示す。中でも、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基、ピレニル基、フルオランテニル基、トリフェニレニル基が好ましい。アリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。アリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは6以上40以下、より好ましくは6以上30以下の範囲である。
〜Rが置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基であり、フェニル基が特に好ましい。
それぞれの置換基がさらにアリール基で置換される場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましく、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基がより好ましい。特に好ましくは、フェニル基である。
ヘテロアリール基とは、例えば、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、イソキノリニル基、ピラジニル基、ピリミジル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、ナフチリジニル基、シンノリニル基、フタラジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾカルバゾリル基、カルボリニル基、インドロカルバゾリル基、ベンゾフロカルバゾリル基、ベンゾチエノカルバゾリル基、ジヒドロインデノカルバゾリル基、ベンゾキノリニル基、アクリジニル基、ジベンゾアクリジニル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基等の、炭素以外の原子を一個または複数個環内に有する環状芳香族基を示す。ただし、ナフチリジニル基とは、1,5−ナフチリジニル基、1,6−ナフチリジニル基、1,7−ナフチリジニル基、1,8−ナフチリジニル基、2,6−ナフチリジニル基、2,7−ナフチリジニル基のいずれかを示す。ヘテロアリール基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ヘテロアリール基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上40以下、より好ましくは2以上30以下の範囲である。
1〜R9が置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
それぞれの置換基がさらにヘテロアリール基で置換される場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基、ピリミジル基、トリアジニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、インドリル基、ジベンゾフラニル基、ジベンゾチエニル基、カルバゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、イミダゾピリジル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアゾリル基、フェナントロリニル基が好ましく、ピリジル基、フラニル基、チエニル基、キノリニル基がより好ましい。特に好ましくは、ピリジル基である。
ハロゲンとは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素から選ばれる原子を示す。また、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基は、置換基を有していても有していなくてもよい。ここで、置換基としては、例えばアルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基等が挙げられ、これら置換基は、さらに置換されてもよい。
アミノ基とは、置換もしくは無置換のアミノ基である。アミノ基は、置換基を有していても有していなくてもよく、置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基等が挙げられる。アリール基、ヘテロアリール基としては、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、キノリニル基が好ましい。これら置換基は、さらに置換されてもよい。炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、2以上50以下、より好ましくは6以上40以下、特に好ましくは6以上30以下の範囲である。
シリル基とは、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、プロピルジメチルシリル基、ビニルジメチルシリル基等のアルキルシリル基や、フェニルジメチルシリル基、tert−ブチルジフェニルシリル基、トリフェニルシリル基、トリナフチルシリル基等のアリールシリル基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。シリル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは、1以上30以下の範囲である。
シロキサニル基とは、例えば、トリメチルシロキサニル基等のエーテル結合を介したケイ素化合物基を示す。ケイ素上の置換基は、さらに置換されてもよい。また、ボリル基とは、置換もしくは無置換のボリル基である。ボリル基は、置換基を有していても有していなくてもよく、置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基、ヒドロキシル基等が挙げられる。中でも、アリール基、アリールエーテル基が好ましい。また、スルホ基とは、置換もしくは無置換のスルホ基である。スルホン基は、置換基を有していても有していなくてもよく、置換する場合の置換基としては、例えば、アリール基、ヘテロアリール基、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、アリールエーテル基、アルコキシ基等が挙げられる。中でも、直鎖アルキル基、アリール基が好ましい。また、ホスフィンオキシド基とは、−P(=O)R1011で表される基である。R1011は、R〜Rと同様の群から選ばれる。
隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環とは、任意の隣接する2置換基(例えば一般式(1)のRとR)が互いに結合して、共役または非共役の環状骨格を形成することをいう。このような縮合環および脂肪族環の構成元素としては、炭素以外にも、窒素、酸素、硫黄、リンおよびケイ素から選ばれる元素を含んでいてもよい。また、これらの縮合環および脂肪族環は、さらに別の環と縮合してもよい。
一般式(1)で表される化合物は、高い発光量子収率を示し、かつ、発光スペクトルの半値幅が小さいため、効率的な色変換と高い色純度との双方を達成することができる。さらに、一般式(1)で表される化合物は、適切な置換基を適切な位置に導入することで、発光効率、色純度、熱的安定性、光安定性および分散性等の様々な特性や物性を調整することができる。例えば、R、R、RおよびRが全て水素である場合に比べ、R、R、RおよびRのうち少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基や置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合の方が、より良い熱的安定性および光安定性を示す。
、R、RおよびRのうち少なくとも1つが置換もしくは無置換のアルキル基である場合、アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基といった炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。さらに、このアルキル基としては、熱的安定性に優れるという観点から、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が好ましい。また、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させるという観点では、このアルキル基として、立体的にかさ高いtert−ブチル基がより好ましい。また、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、このアルキル基として、メチル基も好ましく用いられる。
、R、RおよびRのうち少なくとも1つが置換もしくは無置換のアリール基である場合、アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基が好ましく、さらに好ましくは、フェニル基、ビフェニル基である。特に好ましくは、フェニル基である。
、R、RおよびRのうち少なくとも1つが置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、ヘテロアリール基としては、ピリジル基、キノリニル基、チエニル基が好ましく、さらに好ましくは、ピリジル基、キノリニル基である。特に好ましくは、ピリジル基である。
、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である場合、バインダー樹脂や溶媒への溶解性が良好なため、好ましい。この場合、アルキル基としては、合成の容易さ、原料入手の容易さという観点から、メチル基が好ましい。
、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基または置換もしくは無置換のヘテロアリール基である場合、より良い熱的安定性および光安定性を示すため、好ましい。この場合、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基であることがより好ましい。
複数の性質を向上させる置換基もあるが、全てにおいて十分な性能を示す置換基は限られている。特に、高発光効率と高色純度との両立が難しい。そのため、一般式(1)で表される化合物に対して複数種類の置換基を導入することで、発光特性や色純度等にバランスの取れた化合物を得ることが可能である。
特に、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基の場合、例えば、R≠R、R≠R、R≠RまたはR≠R等のように、複数種類の置換基を導入することが好ましい。ここで「≠」は、異なる構造の基であることを示す。例えば、R≠Rは、R1とR4とが異なる構造の基であることを示す。上記のように複数種類の置換基を導入することにより、色純度に影響を与えるアリール基と発光効率に影響を与えるアリール基とを同時に導入することができるため、細やかな調節が可能となる。
中でも、R≠RまたはR≠Rであることが、発光効率と色純度をバランスよく向上させるという観点から、好ましい。この場合、一般式(1)で表される化合物に対して、色純度に影響を与えるアリール基を両側のピロール環にそれぞれ1つ以上導入し、それ以外の位置に発光効率に影響を与えるアリール基を導入することができるため、これら両方の性質を最大限に向上させることができる。また、R≠RまたはR≠Rである場合、耐熱性と色純度との双方を向上させるという観点から、R=RおよびR=Rであることがより好ましい。
主に色純度に影響を与えるアリール基としては、電子供与性基で置換されたアリール基が好ましい。電子供与性基とは、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団に、電子を供与する原子団である。電子供与性基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、負の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II−380頁)から引用することができる。
電子供与性基の具体例としては、例えば、アルキル基(メチル基のσp:−0.17)やアルコキシ基(メトキシ基のσp:−0.27)、アミノ基(−NHのσp:−0.66)等が挙げられる。特に、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数1〜8のアルコキシ基が好ましく、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシ基がより好ましい。分散性の観点からは、tert−ブチル基、メトキシ基が特に好ましく、これらを上記の電子供与性基とした場合、一般式(1)で表される化合物において、分子同士の凝集による消光を防ぐことができる。置換基の置換位置は、特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物の光安定性を高めるには結合のねじれを抑える必要があるため、ピロメテン骨格との結合位置に対してメタ位またはパラ位に結合させることが好ましい。一方、主に発光効率に影響を与えるアリール基としては、tert−ブチル基、アダマンチル基、メトキシ基等のかさ高い置換基を有するアリール基が好ましい。
、R、RおよびRが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアリール基である場合、R、R、RおよびRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基であることが好ましい。このとき、R、R、RおよびRは、それぞれ以下のAr−1〜Ar−6から選ばれることがより好ましい。
Figure 2019216200
また、一般式(1)において、Xは、C−Rであることが、光安定性の観点から好ましい。XがC−Rであるとき、一般式(1)で表される化合物の耐久性、すなわち、この化合物の発光強度の経時的な低下には、置換基Rが大きく影響する。具体的には、Rが水素である場合、この部位の反応性が高いため、この部位と空気中の水分や酸素とが容易に反応してしまう。このことは、一般式(1)で表される化合物の分解を引き起こす。また、Rが例えばアルキル基のような分子鎖の運動の自由度が大きい置換基である場合は、確かに反応性は低下するが、色変換組成物中または色変換シート中で化合物同士が経時的に凝集し、結果的に濃度消光による発光強度の低下を招く。したがって、Rは、剛直で、かつ運動の自由度が小さく凝集を引き起こしにくい基であることが好ましく、具体的には、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロアリール基のいずれかであることが好ましい。
より高い発光量子収率を与え、より熱分解しづらい点、また光安定性の観点から、XがC−Rであり、Rが置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。アリール基としては、発光波長を損なわないという観点から、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基、フルオレニル基、フェナントリル基、アントラセニル基が好ましい。
さらに、一般式(1)で表される化合物の光安定性を高めるには、Rとピロメテン骨格の炭素−炭素結合のねじれを適度に抑える必要がある。何故ならば、過度にねじれが大きいと、励起光に対する反応性が高まる等、光安定性が低下するからである。このような観点から、Rとしては、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基、置換もしくは無置換のナフチル基が好ましく、置換もしくは無置換のフェニル基、置換もしくは無置換のビフェニル基、置換もしくは無置換のターフェニル基がより好ましい。特に好ましくは、置換もしくは無置換のフェニル基である。
また、Rは、適度にかさ高い置換基であることが好ましい。Rが、ある程度のかさ高さを有することで分子の凝集を防ぐことができる。この結果、一般式(1)で表される化合物の発光効率や耐久性がより向上する。
このようなかさ高い置換基のさらに好ましい例としては、下記一般式(2)で表されるRの構造が挙げられる。すなわち、Rは、一般式(2)で表される基であることが好ましい。
Figure 2019216200
一般式(2)において、rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基からなる群より選ばれる。kは、1〜3の整数である。kが2以上である場合、rは、それぞれ同じでも異なっても良い。
より高い発光量子収率を与えることができるという観点から、rは、置換もしくは無置換のアリール基であることが好ましい。このアリール基の中でも、特に、フェニル基、ナフチル基が好ましい例として挙げられる。rがアリール基である場合、一般式(2)のkは、1もしくは2であることが好ましく、中でも、分子の凝集をより防ぐという観点から2であることがより好ましい。さらに、kが2以上である場合、複数のrのうち少なくとも1つは、アルキル基で置換されていることが好ましい。この場合のアルキル基としては、熱的安定性の観点から、メチル基、エチル基およびtert−ブチル基が特に好ましい例として挙げられる。
また、蛍光波長や吸収波長を制御したり、溶媒との相溶性を高めたりするという観点から、rは、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルコキシ基またはハロゲンであることが好ましく、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、メトキシ基であることがより好ましい。分散性の観点からは、rとして、tert−ブチル基、メトキシ基が特に好ましい。rがtert−ブチル基またはメトキシ基であることは、分子同士の凝集による消光を防ぐことについて、より有効である。
また、一般式(1)で表される化合物の別の態様として、R〜Rのうち少なくとも1つが電子求引基であることが好ましい。特に、(1)R〜Rのうち少なくとも1つが電子求引基であること、(2)Rが電子求引基であること、または(3)R〜Rのうち少なくとも1つが電子求引基であり、かつ、Rが電子求引基であること、が好ましい。このように上記化合物のピロメテン骨格に電子求引基を導入することで、ピロメテン骨格の電子密度を大幅に下げることができる。これにより、上記化合物の酸素に対する安定性がより向上し、その結果、上記化合物の耐久性をより向上させることができる。
電子求引基とは、電子受容性基とも呼称し、有機電子論において、誘起効果や共鳴効果により、置換した原子団から、電子を引き付ける原子団である。電子求引基としては、ハメット則の置換基定数(σp(パラ))として、正の値をとるものが挙げられる。ハメット則の置換基定数(σp(パラ))は、化学便覧基礎編改訂5版(II−380頁)から引用することができる。なお、フェニル基も、上記のような正の値をとる例もあるが、本発明において、電子求引基にフェニル基は含まれない。
電子求引基の例として、例えば、−F(σp:+0.06)、−Cl(σp:+0.23)、−Br(σp:+0.23)、−I(σp:+0.18)、−CO12(σp:R12がエチル基の時+0.45)、−CONH(σp:+0.38)、−COR12(σp:R12がメチル基の時+0.49)、−CF(σp:+0.50)、−SO12(σp:R12がメチル基の時+0.69)、−NO(σp:+0.81)等が挙げられる。R12は、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは無置換の環形成炭素数6〜30の芳香族炭化水素基、置換もしくは無置換の環形成原子数5〜30の複素環基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、置換もしくは無置換の炭素数1〜30のシクロアルキル基を表す。これら各基の具体例としては、上記と同様の例が挙げられる。
好ましい電子求引基としては、フッ素、含フッ素アリール基、含フッ素ヘテロアリール基、含フッ素アルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のエステル基、置換もしくは無置換のアミド基、置換もしくは無置換のスルホニル基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、化学的に分解しにくいからである。
より好ましい電子求引基としては、含フッ素アルキル基、置換もしくは無置換のアシル基、置換もしくは無置換のエステル基またはシアノ基が挙げられる。何故なら、これらは、濃度消光を防ぎ、発光量子収率を向上させる効果につながるからである。特に好ましい電子求引基は、置換もしくは無置換のエステル基である。
また、一般式(1)において、RおよびRは、熱的安定性の観点から、水素、アルキル基、アリール基のいずれかであることが好ましい。中でも、発光スペクトルにおいて狭い半値幅を得やすいという観点から、水素がより好ましい。
また、耐久性を向上させるという観点から、RおよびRのうち少なくとも一方が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、電子求引基であることも好ましい。中でも、RおよびRのうち少なくとも一方が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であることが、色純度を落とすことなく、耐久性を向上させることができるため、好ましい。特に、RおよびRが共に、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であることが、耐久性の向上の観点から、特に好ましい。
およびRは、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、フッ素、含フッ素アルキル基、含フッ素ヘテロアリール基または含フッ素アリール基、シアノ基であることが好ましい。特に、励起光に対して安定であって、より高い発光量子収率が得られることから、RおよびRは、フッ素、含フッ素アリール基またはシアノ基であることがより好ましい。
ここで、含フッ素アリール基とは、フッ素を含むアリール基であり、例えば、フルオロフェニル基、トリフルオロメチルフェニル基およびペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。含フッ素ヘテロアリール基とは、フッ素を含むヘテロアリール基であり、例えば、フルオロピリジル基、トリフルオロメチルピリジル基およびトリフルオロピリジル基等が挙げられる。含フッ素アルキル基とは、フッ素を含むアルキル基であり、例えば、トリフルオロメチル基やペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
一般式(1)で表される化合物におけるホウ素原子上の電子密度を下げることにより、この化合物の酸素に対する安定性がより向上し、その結果、この化合物の耐久性をより向上させることができる。このため、RおよびRは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、フッ素またはシアノ基であることがより好ましい。
およびRのうち少なくとも一方がシアノ基である場合、ホウ素原子上の電子密度がより下がるため、好ましい。RおよびRは、共にシアノ基であることが特に好ましい。また、高い発光量子収率が得られるという観点から、RおよびRのうち少なくとも一方は、フッ素であることも好ましい。合成の容易さの観点から、RおよびRは、共にフッ素であることがより好ましい。
一般式(1)で表される化合物の好ましい第1の例として、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基であって、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rが置換もしくは無置換のフェニル基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物の好ましい第2の例として、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、上述のAr−1〜Ar−6から選ばれ、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rがtert−ブチル基またはメトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることがより好ましく、rがメトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物の好ましい第3の例として、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基であって、かつ、RおよびRがそれぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であり、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rが置換もしくは無置換のフェニル基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
また、一般式(1)で表される化合物の好ましい第4の例として、R、R、RおよびRが全て、それぞれ同じでも異なっていてもよく、上述のAr−1〜Ar−6から選ばれ、かつ、RおよびRがそれぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のエステル基であり、さらに、XがC−Rであり、Rが、一般式(2)で表される基である場合が挙げられる。この場合、Rは、rがtert−ブチル基またはメトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることがより好ましく、rがメトキシ基として含まれる一般式(2)で表される基であることが特に好ましい。
以下に、一般式(1)で表される化合物の一例を示すが、この化合物は、これらに限定されるものではない。
Figure 2019216200
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一般式(1)で表される化合物は、例えば、特表平8−509471号公報や特開2000−208262号公報に記載の方法で合成することができる。すなわち、ピロメテン化合物と金属塩とを塩基共存下で反応させることにより、目的とするピロメテン系金属錯体が得られる。
また、ピロメテン−フッ化ホウ素錯体の合成については、J.Org.Chem.,vol.64,No.21,pp.7813−7819(1999)、Angew.Chem.,Int.Ed.Engl.,vol.36,pp.1333−1335(1997)等に記載されている方法を参考にして、一般式(1)で表される化合物を合成することができる。例えば、下記一般式(3)で表される化合物と一般式(4)で表される化合物とをオキシ塩化リン存在下、1,2−ジクロロエタン中で加熱した後、下記一般式(5)で表される化合物をトリエチルアミン存在下、1,2−ジクロロエタン中で反応させ、これにより、一般式(1)で表される化合物を得る方法が挙げられる。しかし、本発明は、これに限定されるものではない。ここで、R〜Rは、上記説明と同様である。Jは、ハロゲンを表す。
Figure 2019216200
さらに、アリール基やヘテロアリール基の導入の際は、ハロゲン化誘導体とボロン酸あるいはボロン酸エステル化誘導体とのカップリング反応を用いて炭素−炭素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。同様に、アミノ基やカルバゾリル基の導入の際にも、例えば、パラジウム等の金属触媒下でのハロゲン化誘導体とアミンあるいはカルバゾール誘導体とのカップリング反応を用いて炭素−窒素結合を生成する方法が挙げられるが、本発明は、これに限定されるものではない。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、一般式(1)で表される化合物以外に、必要に応じてその他の化合物を含有することができる。例えば、励起光から一般式(1)で表される化合物へのエネルギー移動効率を更に高めるために、ルブレン等のアシストドーパントを含有してもよい。また、一般式(1)で表される化合物の発光色以外の発光色を加味したい場合は、所望の有機発光材料、例えば、クマリン系色素、ローダミン系色素等の有機発光材料を添加することができる。その他、これらの有機発光材料以外でも、無機蛍光体、蛍光顔料、蛍光染料、量子ドット等の公知の発光材料を組み合わせて添加することも可能である。
以下に、一般式(1)で表される化合物以外の有機発光材料の一例を示すが、本発明は、特にこれらに限定されるものではない。
Figure 2019216200
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料(以下、「発光材料(a)」という)を含むことが好ましい。以後、ピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光は、「緑色の発光」という。
また、本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光と波長500nm以上580nm以下の範囲の励起光とのうち少なくとも一方によって励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料(以下、「発光材料(b)」という)を含むことが好ましい。以後、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光は、「赤色の発光」という。
一般に、励起光は、そのエネルギーが大きいほど、材料の分解を引き起こしやすい。しかし、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光は、比較的小さい励起エネルギーのものである。このため、色変換組成物中の発光材料の分解を引き起こすことなく、色純度の良好な発光が得られる。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、上記発光材料(a)および発光材料(b)のうち、いずれか一方を含有してもよいし、これらの両方を含有してもよい。また、上記発光材料(a)は、1種類だけ単独で使用してもよいし、複数併用してもよい。同様に、上記発光材料(b)は、1種類だけ単独で使用してもよいし、複数併用してもよい。
波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光の一部は、本発明の実施の形態に係る色変換組成物を一部透過するため、それ自体を青色の発光として利用することができる。そのため、本発明の実施の形態に係る色変換組成物が緑色の発光を示す発光材料(a)と赤色の発光を示す発光材料(b)とを含み、青色光の光源として発光ピークが鋭い青色LEDを使用した場合、青、緑、赤の各色において鋭い形状の発光スペクトルを示し、色純度の良い白色光を得ることができる。その結果、特にディスプレイにおいては、色彩が一層鮮やかであり且つより大きな色域を効率的に作ることができる。また、照明用途においては、現在主流となっている青色LEDと黄色蛍光体とを組み合わせた白色LEDに比べ、特に緑色領域および赤色領域の発光特性が改善されるため、演色性が向上した好ましい白色光源を得ることができる。
発光材料(a)としては、クマリン6、クマリン7、クマリン153等のクマリン誘導体、インドシアニングリーン等のシアニン誘導体、フルオレセイン、フルオレセインイソチオシアネート、カルボキシフルオレセインジアセテート等のフルオレセイン誘導体、フタロシアニングリーン等のフタロシアニン誘導体、ジイソブチル−4,10−ジシアノペリレン−3,9−ジカルボキシレート等のペリレン誘導体、他にピロメテン誘導体、スチルベン誘導体、オキサジン誘導体、ナフタルイミド誘導体、ピラジン誘導体、ベンゾイミダゾール誘導体、ベンゾオキサゾール誘導体、ベンゾチアゾール誘導体、イミダゾピリジン誘導体、アゾール誘導体、アントラセン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、芳香族アミン誘導体、有機金属錯体化合物等が好適なものとして挙げられる。しかし、発光材料(a)は、特にこれらに限定されるものではない。これらの化合物の中でも、ピロメテン誘導体は、高い発光量子収率を与え、耐久性が良好なので、特に好適な化合物である。ピロメテン誘導体としては、例えば、上述した一般式(1)で表される化合物が、色純度の高い発光を示すことから、好ましい。
発光材料(b)としては、4−ジシアノメチレン−2−メチル−6−(p−ジメチルアミノスチリル)−4H−ピラン等のシアニン誘導体、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン101、スルホローダミン101等のローダミン誘導体、1−エチル−2−(4−(p−ジメチルアミノフェニル)−1,3−ブタジエニル)−ピリジニウム−パークロレート等のピリジン誘導体、N,N’−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)−1,6,7,12−テトラフェノキシペリレン−3,4:9,10−ビスジカルボイミド等のペリレン誘導体、他にポルフィリン誘導体、ピロメテン誘導体、オキサジン誘導体、ピラジン誘導体、ナフタセンやジベンゾジインデノペリレン等の縮合アリール環を有する化合物やその誘導体、有機金属錯体化合物等が好適なものとして挙げられる。しかし、発光材料(b)は、特にこれらに限定されるものではない。これらの化合物の中でも、ピロメテン誘導体は、高い発光量子収率を与え、耐久性が良好なので、特に好適な化合物である。ピロメテン誘導体としては、例えば、上述した一般式(1)で表される化合物が、色純度の高い発光を示すことから、好ましい。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物における(A)成分の含有量は、化合物のモル吸光係数、発光量子収率および励起波長における吸収強度、ならびに作製する色変換シートの厚みや透過率にもよるが、通常は(B)成分の100重量部に対して、1.0×10−4重量部〜30重量部である。中でも、この(A)成分の含有量は、(B)成分の100重量部に対して、1.0×10−3重量部〜10重量部であることがさらに好ましく、5.0×10−3重量部〜5重量部であることが特に好ましい。
また、色変換組成物に、緑色の発光を呈する発光材料(a)と、赤色の発光を呈する発光材料(b)とを両方含有する場合、緑色の発光の一部が赤色の発光に変換されることから、上記の発光材料(a)の含有量wと、発光材料(b)の含有量wとは、w≧wの関係であることが好ましい。また、これらの含有量waと含有量wbとの比率は、wa:wb=1000:1〜1:1であることが好ましく、500:1〜2:1であることがさらに好ましく、200:1〜3:1であることが特に好ましい。ただし、含有量waおよび含有量wbは、(B)成分の重量に対する重量パーセントである。
<(B)成分:バインダー樹脂>
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、(B)成分として、バインダー樹脂を含有する。このバインダー樹脂は、上述したように、n種類の繰り返し単位P、・・・、P(nは自然数)を有するバインダー樹脂である。このバインダー樹脂として、成形加工性、透明性、耐熱性等に優れる材料が好適に用いられる。例えば、このバインダー樹脂の具体例としては、アクリル酸系、メタクリル酸系、ポリケイ皮酸ビニル系、環ゴム系等の反応性ビニル基を有する光硬化型レジスト材料、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂(シリコーンゴム、シリコーンゲル等のオルガノポリシロキサン硬化物(架橋物)を含む)、ウレア樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ポリビニル樹脂、ポリアミド樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、セルロース樹脂、脂肪族エステル樹脂、芳香族エステル樹脂、脂肪族ポリオレフィン樹脂、芳香族ポリオレフィン樹脂等の公知のものが挙げられる。また、このバインダー樹脂としては、これらの樹脂の混合物や共重合体を用いても構わない。これらの樹脂を適宜設計することで、本発明の実施の形態に係る色変換組成物に有用なバインダー樹脂が得られる。
これらの樹脂の中でも、透明性、耐熱性等の観点から、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂またはこれらの共重合体や混合物を好適に用いることができる。また、高い透明性を示し、かつ、有機発光材料の分散性に優れるため、(B)成分としてのバインダー樹脂は、アクリル樹脂、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル部位を含む共重合樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかであることが好ましい。これらの中でも、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル部位のみからなるアクリル樹脂およびポリエステル樹脂が、有機発光材料の分散性に優れるため、濃度消光が抑制され、十分な輝度が得られるという点で、好ましい。
本発明において、(B)成分としてのバインダー樹脂は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等の硬化性樹脂のいずれでも良いが、成分中の各エネルギー準位の制御が容易なので、熱可塑性樹脂であることが好ましい。バインダー樹脂が熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂等の硬化性樹脂である場合、バインダー樹脂に硬化前後での部分構造変化が起こり得る。その場合、バインダー樹脂の硬化後も、(B)成分は、(A)成分との間で、上述した(式−1)、(式−2)の関係を満たすことが好ましい。
また、本発明において、繰り返し単位P(iは1以上n以下の自然数)は、(B)成分であるバインダー樹脂が有するn種類の繰り返し単位P、・・・、Pの中から任意に選ばれる繰り返し単位(任意の繰り返し単位)を表す。繰り返し単位Pの構造は、特に限定なく、上記に例として挙げた樹脂に含まれる繰り返し単位の構造が挙げられる。また、(A)成分との組み合わせによっても変わるが、(式−1)を満たす上で、好ましい繰り返し単位Pの構造としては、環構成炭素数が18以上の芳香族環構造や環構成炭素数が18以上の芳香族複素環構造を含まない構造が挙げられる。より好ましくは、環構成炭素数が16以上の芳香族環構造や環構成炭素数が16以上の芳香族複素環構造を含まない構造が挙げられる。特に好ましくは、環構成炭素数が14以上の芳香族環構造や環構成炭素数が14以上の芳香族複素環構造を含まない構造が挙げられる。
また、(B)成分であるバインダー樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に限定されるものではないが、30℃以上180℃以下であることが好ましい。Tgが30℃以上である場合、光源からの入射光による熱や機器の駆動熱によって起こり得るバインダー樹脂の分子運動が抑制される。これにより、バインダー樹脂中における有機発光材料((A)成分)の分散状態の変化が抑制されることから、色変換組成物の耐久性の悪化を防ぐことができる。また、Tgが180℃以下である場合、色変換組成物を色変換シート等に成形した場合の可撓性が確保できる。バインダー樹脂のTgは、より好ましくは50℃以上160℃以下であり、さらに好ましくは70℃以上150℃以下であり、特に好ましくは90℃以上140℃以下である。
(B)成分であるバインダー樹脂の分子量は、樹脂の種類によって様々であり、特に限定されるものではないが、3000以上1500000以下であることが好ましい。この分子量が3000よりも小さい場合、バインダー樹脂が脆くなり、この結果、色変換組成物を色変換シート等に成形した場合の可撓性が低くなる。また、この分子量が1500000よりも大きい場合、色変換組成物の成形時におけるバインダー樹脂の粘度が過度に大きくなることや、バインダー樹脂自体の化学的安定性が低下するといった問題がある。(B)成分であるバインダー樹脂の分子量は、より好ましくは5000以上1200000以下であり、さらに好ましくは7000以上1000000以下であり、特に好ましくは10000以上800000以下である。
<(C)成分:その他の有機成分>
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、上述した(A)成分および(B)成分以外に、その他の有機成分として、(C)成分を含むことができる。(C)成分は、上述したように、q種類の有機化合物Q、・・・、Qq(qは自然数)である。(C)成分としては、例えば、酸化防止剤、加工および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤、塗布膜安定化のための分散剤やレベリング剤、可塑剤、エポキシ化合物等の架橋剤、アミン、酸無水物、イミダゾール等の硬化剤、シート表面の改質剤としてシランカップリング剤等の接着補助剤、その他の添加剤を挙げることができる。ただし、色変換組成物がこれらの添加剤を含む場合、(A)成分である有機発光材料のHOMOおよびLUMOのエネルギー準位と(C)成分である添加剤のHOMOおよびLUMOのエネルギー準位との間で、上述した(式−7)の関係が満たされることが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤を挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。また、酸化防止剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
加工および熱安定化剤としては、例えば、リン系安定化剤を挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。また、安定化剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
耐光性安定化剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール類を挙げることができるが、特にこれに限定されるものではない。また、耐光性安定化剤は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
これらの添加剤は、光源からの光や発光材料の発光を阻害しないという観点から、可視域での吸光係数が小さいことが好ましい。具体的には、波長400nm以上800nm以下の波長域全域で、これらの添加剤のモル吸光係数εは、200以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましい。さらに好ましくは80以下であり、50以下であることが特に好ましい。
また、耐光性安定化剤としては、一重項酸素クエンチャーとしての役割を持つ化合物も好適に用いることができる。一重項酸素クエンチャーは、酸素分子が光のエネルギーにより活性化してできた一重項酸素をトラップして不活性化する材料である。色変換組成物または色変換シート中に一重項酸素クエンチャーが共存することで、発光材料が一重項酸素により劣化することを防ぐことができる。
一重項酸素クエンチャーとしての役割を持つ化合物としては、例えば、特定の、3級アミンおよび金属塩を挙げることができるが、特にこれらに限定されるものではない。また、これらの化合物(耐光性安定化剤)は、単独で使用してもよく、複数併用してもよい。
また、耐光性安定化剤としては、ラジカルクエンチャーとしての役割を持つ化合物も好適に用いることができる。中でも、ヒンダードアミン系化合物が好適な例として挙げられる。
本発明の実施の形態に係る色変換組成物および色変換シートにおいて、これらの添加剤の含有量は、化合物のモル吸光係数、発光量子収率および励起波長における吸収強度、ならびに作製する色変換シートの厚みや透過率にもよるが、バインダー樹脂の100重量部に対して、1.0×10−2重量部以上であることが好ましく、1.0×10−1重量部以上であることがより好ましく、5.0×10−1重量部以上であることがさらに好ましい。また、これらの添加剤の含有量は、バインダー樹脂の100重量部に対して、30重量部以下であることが好ましく、15重量部以下であることがより好ましく、10重量部以下であることがさらに好ましい。
<溶媒>
本発明の実施の形態に係る色変換組成物は、溶媒を含んでいてもよい。溶媒は、流動状態の樹脂の粘度を調整でき、発光物質の発光および耐久性に過度な影響を与えないものであれば、特に限定されない。溶媒は、乾燥により、色変換組成物から除去することができる。このような溶媒として、例えば、水、2−プロパノール、エタノール、トルエン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、テルピネオール、テキサノール、1,2−ジメトキシエタン、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの溶媒を2種類以上混合して使用することも可能である。これらの溶媒の中で、特にトルエンは、一般式(1)で表される化合物の劣化に影響を与えないという観点から、好適に用いられる。また、メチルエチルケトンや酢酸メチル、酢酸エチル、テトラヒドロフランは、乾燥後の残存溶媒が少ないという観点から、好適に用いられる。
<色変換組成物の製造方法>
以下に、本発明の実施の形態に係る色変換組成物の製造方法の一例を説明する。この製造方法では、前述した有機発光材料((A)成分)、バインダー樹脂((B)成分)、および溶媒等の材料を所定量混合する。これらの材料を所定の組成になるよう混合した後、ホモジナイザー、自公転型攪拌機、3本ローラー、ボールミル、遊星式ボールミル、ビーズミル等の撹拌・混練機で均質に混合分散することで、色変換層作製用の組成物、すなわち、色変換組成物が作製される。混合分散後、もしくは混合分散の過程で、真空もしくは減圧条件下で脱泡することも好ましく行われる。また、ある特定の成分を事前に混合することや、エージング等の処理をしても構わない。エバポレーターによって溶媒を除去して所望の固形分濃度にすることも可能である。
<色変換シートの作製方法>
本発明の実施の形態に係る色変換シートは、色変換組成物の硬化層からなる色変換層を含んでいれば、その構成に限定はない。色変換シートの代表的な構造例として、例えば、以下に示す第1の例〜第3の例が挙げられる。
図1は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第1の例を示す模式断面図である。図1に示すように、第1の例の色変換シート1Aは、基材層10と色変換層11との積層体である。この色変換層11は、上述した色変換組成物の硬化層であり、色変換組成物を硬化することによって得られる。この色変換シート1Aの構造例では、色変換層11が、基材層10の上に積層されている。
図2は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第2の例を示す模式断面図である。図2に示すように、第2の例の色変換シート1Bは、複数の基材層10と、色変換層11との積層体である。この色変換シート1Bの構造例では、色変換層11が、複数の基材層10によって挟まれている。
図3は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第3の例を示す模式断面図である。図3に示すように、第3の例の色変換シート1Cは、複数の基材層10と、色変換層11と、複数のバリア層12との積層体である。この色変換シート1Cの構造例では、色変換層11が、複数のバリア層12によって挟まれ、さらに、これら色変換層11と複数のバリア層12との積層体が、複数の基材層10によって挟まれている。すなわち、色変換シート1Cには、色変換層11の酸素、水分や熱による劣化を防ぐために、図3に示すように、バリア層12を設けてもよい。
また、本発明の実施の形態に係る色変換シートは、2層以上の色変換層を含むことができる。この色変換シートにおいて、2層以上の色変換層のうち少なくとも1層は、本発明の実施の形態に係る色変換組成物の硬化層からなる色変換層である。この色変換シートの代表的な構造例として、例えば、以下に示す第4の例〜第6の例が挙げられる。
図4は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第4の例を示す模式断面図である。図4に示すように、第4の例の色変換シート1Dは、基材層10と、色変換層11Aおよび色変換層11Bとの積層体である。この色変換シート1Dの構造例では、色変換層11Aおよび色変換層11Bの積層体が、基材層10の上に、色変換層11A、色変換層11Bの順で積層されてなる。すなわち、色変換シート1Dは、基材層10を備え、この基材層10の上に、色変換層11B/色変換層11Aという積層構造の色変換層11Aおよび色変換層11Bを含有する。
図5は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第5の例を示す模式断面図である。図5に示すように、第5の例の色変換シート1Eは、色変換層11Aおよび色変換層11Bが複数の基材層10によって挟まれた構造の積層体である。この色変換シート1Eの構造例では、色変換層11Aおよび色変換層11Bの積層体が、基材層10の上に、色変換層11A、色変換層11Bの順で積層されてなり、さらに、この色変換層11Bの上に、もう1つの基材層10が積層されている。すなわち、色変換シート1Eは、複数の基材層10を備え、これら複数の基材層10の間に挟まれる態様で、色変換層11B/色変換層11Aという積層構造の色変換層11Aおよび色変換層11Bを含有する。
図6は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第6の例を示す模式断面図である。図6に示すように、第6の例の色変換シート1Fは、色変換層11Aおよび色変換層11Bの間に透明中間層13が挟まれ、これらの色変換層11A、色変換層11Bおよび透明中間層13が複数の基材層10によって挟まれた構造の積層体である。この色変換シート1Eの構造例では、色変換層11A、色変換層11Bおよび透明中間層13の積層体が、基材層10の上に、色変換層11A、透明中間層13、色変換層11Bの順で積層されてなり、さらに、この色変換層11Bの上に、もう1つの基材層10が積層されている。すなわち、色変換シート1Eは、複数の基材層10を備え、これら複数の基材層10の間に挟まれる態様で、色変換層11B/透明中間層13/色変換層11Aという積層構造の色変換層11A、色変換層11Bおよび透明中間層13を含有する。
図4〜6に例示した色変換シート1D〜1Fの各々において、2層の色変換層11Aおよび色変換層11Bのうち少なくとも1層は、本発明の実施の形態に係る色変換組成物を硬化してなる層である。また、色変換シート1D〜1Fに含まれる色変換層の層数は、上述した2層に限らず、3層以上であってもよい。
また、2層以上の色変換層を備える色変換シートの構造例としては、図4〜6に例示した構造例以外に、例えば、色変換層11A/色変換層11A/色変換層11Bや、色変換層11A/色変換層11B/色変換層11B、色変換層11A/色変換層11A/色変換層11B/色変換層11Bのように、同じ色変換層が連続する構成も挙げられる。
なお、これらは例示であって、本発明の実施の形態に係る色変換シートの具体的な構成は、これらに限られず、以下の説明から導かれる事項により適宜変更を加えた構成も本発明の範囲に含まれる。
(色変換層)
次に、本発明の実施の形態に係る色変換シートの色変換層の製造方法の一例を説明する。この色変換層の製造方法では、上述した方法で作製した色変換組成物を、基材層やバリア層等の下地上に塗布し、乾燥させる。塗布は、リバースロールコーター、ブレードコーター、スリットダイコーター、ダイレクトグラビアコーター、オフセットグラビアコーター、キスコーター、ナチュラルロールコーター、エアーナイフコーター、ロールブレードコーター、リバースロールブレードコーター、トゥーストリームコーター、ロッドコーター、ワイヤーバーコーター、アプリケーター、ディップコーター、カーテンコーター、スピンコーター、ナイフコーター等により、行うことができる。色変換層の膜厚均一性を得るためには、スリットダイコーターで塗布することが好ましい。
色変換層の乾燥は、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置を用いて行うことができる。色変換シートの加熱には、熱風乾燥機や赤外線乾燥機等の一般的な加熱装置が用いられる。この場合、加熱条件は、通常、40℃〜250℃で1分〜5時間、好ましくは60℃〜200℃で2分〜4時間である。また、ステップキュア等の段階的に加熱硬化することも可能である。
色変換層を作製した後、必要に応じて基材層を変更することも可能である。この場合、簡易的な方法としては、例えば、ホットプレートを用いて貼り替えを行なう方法や、真空ラミネーターやドライフィルムラミネーターを用いた方法等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の実施の形態に係る色変換シートが2層以上の色変換層を含む場合、これら2層以上の色変換層の各層を積層させる方法は、塗布やドライラミネート等、公知の方法を用いることができる。本発明において、当該各層の積層方法は特に限定されないが、例えば、第1の色変換層と第2の色変換層とを積層する場合、これらの積層方法として、以下に示す方法が挙げられる。詳細には、第1の色変換層の上に第2の色変換層を塗布および乾燥により形成する手法や、第2の色変換層の上に第1の色変換層を塗布および乾燥により形成する手法、別途成形した第2の色変換層用自立フィルムを第1の色変換層の上に貼り合わせる手法、別途成形した第1の色変換層用自立フィルムを第2の色変換層の上に貼り合わせる手法、「基材層/第1の色変換層」という積層構造の積層ユニットと「第2の色変換層/基材層」という積層構造の積層ユニットとを貼り合わせる等のように、個々に作製した積層ユニットを貼り合わせる手法が挙げられる。色変換シートの安定性を高めるためには、各層を積層した後に、さらに熱硬化工程や光硬化工程、熟成工程等を行うことも好ましい。
色変換層の厚みは、特に制限はないが、1μm以上1000μm以下であることが好ましく、10μm以上1000μm以下であることがより好ましい。色変換層の厚みが1μmより小さいと、色変換シートの強靭性が小さくなるという問題がある。色変換層の厚みが1000μmを超えると、クラックが生じやすくなり、色変換シートの成形が難しくなる。色変換層の厚みとして、より好ましくは5μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは10μm以上100μm以下であり、特に好ましくは15μm以上100μm以下である。
本発明における色変換シートの膜厚(層の厚み)は、JIS K7130(1999)プラスチック−フィルム及びシート−厚さ測定方法における機械的走査による厚さの測定方法A法に基づいて測定される膜厚(平均膜厚)のことをいう。
(基材層)
基材層(例えば図1〜6に示す基材層10等)としては、特に制限無く、公知の金属、フィルム、ガラス、セラミック、紙等を使用することができる。具体的には、基材層として、アルミニウム(アルミニウム合金も含む)、亜鉛、銅、鉄等の金属板や箔、セルロースアセテート、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール、アラミド、シリコーン、ポリオレフィン、熱可塑性フッ素樹脂、テトラフルオロエチレンとエチレンとの共重合体(ETFE)等のプラスチックのフィルム、α−ポリオレフィン樹脂、ポリカプロラクトン樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂およびこれらとエチレンとの共重合樹脂からなるプラスチックのフィルム、前記プラスチックがラミネートされた紙、または前記プラスチックによりコーティングされた紙、前記金属がラミネートまたは蒸着された紙、前記金属がラミネートまたは蒸着されたプラスチックフィルム等が挙げられる。また、基材層が金属板である場合、その表面にクロム系やニッケル系等のメッキ処理やセラミック処理が施されていてもよい。
これらの中でも、色変換シートの作製のし易さや色変換シートの成形のし易さから、ガラスや樹脂フィルムが好ましく用いられる。また、フィルム状の基材層を取り扱う際に破断等の恐れがないように、強度が高いフィルムが好ましい。それらの要求特性や経済性の面で樹脂フィルムが好ましく、これらの中でも、経済性、取り扱い性の面でPET、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、ポリプロピレンからなる群より選ばれるプラスチックフィルムが好ましい。また、色変換シートを乾燥させる場合や色変換シートを押し出し機により200℃以上の高温で圧着成形する場合は、耐熱性の面でポリイミドフィルムが好ましい。シートの剥離のし易さから、基材層は、予め表面が離型処理されていてもよい。同様に、層間の接着性の向上のため、基材層は、予め表面が易接着処理されていてもよい。
基材層の厚さは、特に制限はないが、下限としては12μm以上が好ましく、38μm以上がより好ましい。また、上限としては5000μm以下が好ましく、3000μm以下がより好ましい。
(バリア層)
本発明の実施の形態に係る色変換シートは、色変換層以外に、バリア層(例えば図3に示したバリア層12)を更に有していてもよい。バリア層は、色変換層に対して酸素、水分や熱による劣化を防ぐために適宜用いられる。このバリア層としては、例えば、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化イットリウム、酸化マグネシウム等の無機酸化物や、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、窒化チタン、炭化窒化ケイ素等の無機窒化物、またはこれらの混合物、またはこれらに他の元素を添加した金属酸化物薄膜や金属窒化物薄膜、あるいはポリ塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂、シリコン系樹脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、フッ素系樹脂、酢酸ビニルのケン化物等のポリビニルアルコール系樹脂等の各種樹脂から成る膜を挙げることができる。
本発明でバリア層に好適に用いられるバリア性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリフッ化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体等の樹脂およびこれらの樹脂の混合物が挙げられる。中でも、ポリ塩化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコールは酸素透過係数が非常に小さいため、バリア性樹脂は、これらの樹脂を含むことが好ましい。さらに、バリア性樹脂は、変色しにくさから、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体を含むことがより好ましく、環境負荷の小ささから、ポリビニルアルコールまたはエチレン−ビニルアルコール共重合体を含むことが特に好ましい。これらの樹脂は、単一で用いてもよいし、異なる樹脂と混合して用いてもよいが、層の均一性およびコストの観点から、単一樹脂からなるバリア層がより好ましい。
ポリビニルアルコールとしては、例えば、アセチル基を98モル%以上ケン化したポリ酢酸ビニルのケン化物を用いることができる。また、エチレン−ビニルアルコール共重合体としては、例えば、アセチル基を98モル%以上ケン化したエチレン含有率20%〜50%のエチレン−酢酸ビニル共重合体のケン化物を用いることができる。
また、バリア層としては、市販されている樹脂やフィルムを使用することも可能である。具体例としては、クラレ社製のポリビニルアルコール樹脂PVA117やクラレ社製のエチレン−ビニルアルコール共重合体(“EVAL”(登録商標))樹脂L171B、F171BやフィルムEF−XL等がある。
バリア層には、色変換層の発光および耐久性に過度な影響を与えない範囲で、必要に応じて、酸化防止剤、硬化剤、架橋剤、加工および熱安定化剤、紫外線吸収剤等の耐光性安定化剤等が添加されてもよい。
バリア層の厚みは、特に制限はないが、色変換シート全体の柔軟性やコストの観点から、100μm以下であることが好ましい。より好ましくは50μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。特に好ましくは、10μm以下であり、1μm以下であってもよい。ただし、層形成の容易さの観点から、バリア層の厚みは、0.01μm以上であることが好ましい。
本発明において、バリア層は、図3に例示したバリア層12のように色変換層11の積層方向両側の各端面に設けられてもよいし、特に図示しないが、色変換層の積層方向両側のうち一端面に設けられてもよい。また、色変換シートが2層以上の色変換層を含む場合、上述したバリア層が適用された色変換シートの代表的な構造例として、例えば、以下に示すものが挙げられる。
図7は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第7の例を示す模式断面図である。図7に示すように、第7の例の色変換シート1Gは、複数の基材層10を備え、これら複数の基材層10の間に挟まれる態様で、色変換層11Aと、色変換層11Bと、複数(図7の例では2層)のバリア層12とを含有する。これら複数のバリア層12は、色変換層11Aおよび色変換層11Bの積層体を、その積層方向両側から挟むように形成される。この色変換シート1Gの構造例では、基材層10の上に、バリア層12と、色変換層11Aと、色変換層11Bと、もう1つのバリア層12とが、この順で積層される。これにより、バリア層12/色変換層11B/色変換層11A/バリア層12という積層構造の積層体が、この基材層10の上に形成されている。さらに、この積層体における積層方向上側のバリア層12の上には、図7に示すように、もう1つの基材層10が積層されている。
図8は、本発明の実施の形態に係る色変換シートの第8の例を示す模式断面図である。図8に示すように、第8の例の色変換シート1Hは、複数の基材層10を備え、これら複数の基材層10の間に挟まれる態様で、色変換層11Aと、色変換層11Bと、複数(図8の例では3層)のバリア層12とを含有する。これら複数のバリア層12は、色変換層11Aをその積層方向両側から挟み且つ色変換層11Bをその積層方向両側から挟むように、形成される。この色変換シート1Hの構造例では、基材層10の上に、バリア層12と、色変換層11Aと、もう1つのバリア層12と、色変換層11Bと、更にもう1つのバリア層12とが、この順で積層される。これにより、バリア層12/色変換層11B/バリア層12/色変換層11A/バリア層12という積層構造の積層体が、この基材層10の上に形成されている。さらに、この積層体における積層方向上端のバリア層12の上には、図8に示すように、もう1つの基材層10が積層されている。
2層以上の色変換層を含む色変換シートにおいて、バリア層は、図7に例示したバリア層12のように、色変換層11Aおよび色変換層11Bの積層体における積層方向両面に設けられてもよいし、特に図示しないが、この積層体における積層方向両側のうち一端面(片面)だけに設けられてもよい。また、バリア層は、図8に例示したバリア層12のように、色変換層11Aにおける積層方向両面と色変換層11Bにおける積層方向両面との両方に設けられてもよい。
(その他の機能性層)
本発明の実施の形態に係る色変換シートには、要求される機能に応じて、光拡散機能、反射防止機能、防眩機能、反射防止防眩機能、ハードコート機能(耐摩擦機能)、帯電防止機能、防汚機能、電磁波シールド機能、赤外線カット機能、紫外線カット機能、偏光機能、調色機能を有した補助層をさらに設けてもよい。
(接着層)
本発明の実施の形態に係る色変換シートにおいて、それぞれの層の間には、必要に応じて接着層を設けてもよい。接着層としては、色変換シートの発光および耐久性に過度な影響を与えないものであれば、特に制限無く、公知の材料を用いることができる。例えば、強固な接着が必要な場合、接着層としては、光硬化材料や熱硬化材料、嫌気性硬化材料、熱可塑性材料を好ましく用いることができる。中でも、熱硬化材料がより好ましく、特に、0℃〜150℃での硬化が可能である熱硬化材料が好ましい。
接着層の厚みは、特に制限はないが、0.01μm以上100μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.01μm以上25μm以下である。さらに好ましくは、0.05μm以上5μm以下であり、特に好ましくは、0.05μm以上1μm以下である。
<励起光>
励起光の種類は、本発明に用いられる有機発光材料が吸収可能な波長領域に発光を示すものであれば、いずれの励起光でも用いることができる。例えば、熱陰極管や冷陰極管、無機エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の蛍光性光源、有機EL素子光源、LED光源、白熱光源、あるいは太陽光等、いずれの光源からの励起光でも利用可能である。中でも、LED光源からの光が好適な励起光である。ディスプレイや照明用途では、青色光の色純度を高められる点で、400nm以上500nm以下の波長範囲の発光を有する青色LED光源からの光が、さらに好適な励起光である。
励起光の極大発光波長は、430nm以上500nm以下であることが、励起エネルギーがより小さくなり、有機発光材料の劣化を抑止できるため、より好ましく、440nm以上500nm以下であることがさらに好ましい。特に好ましくは450nm以上500nm以下である。また、励起光の極大発光波長は、励起光と緑色光との発光スペクトルの重なりを小さくし、色再現性を向上させることができるため、480nm以下であることがより好ましく、470nm以下であることがさらに好ましい。
励起光は、1種類の発光ピークを持つものでもよく、2種類以上の発光ピークを持つものでもよいが、色純度を高めるためには、1種類の発光ピークを持つものが好ましい。また、発光ピークの種類の異なる複数の励起光源を任意に組み合わせて使用することも可能である。
<光源ユニット>
本発明の実施の形態に係る光源ユニットは、少なくとも、上述の光源と、上述の色変換組成物または色変換シートとを備える。光源ユニットが色変換組成物を備える場合は、光源と色変換組成物との配置方法については特に限定されず、光源に色変換組成物を直接塗布した構成を取ってもよいし、光源とは離したフィルムやガラス等に色変換組成物を塗布した構成を取ってもよい。光源ユニットが色変換シートを備える場合は、光源と色変換シートとの配置方法については特に限定されず、光源と色変換シートとを密着させた構成を取ってもよいし、光源と色変換シートとを離したリモートフォスファー形式を取ってもよい。また、光源ユニットは、色純度を高める目的で、さらにカラーフィルターを備える構成を取ってもよい。
前述の通り、波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光は、比較的小さい励起エネルギーの光であり、一般式(1)で表される化合物等の発光物質の分解を防止できる。したがって、光源ユニットが備える光源は、波長400nm以上500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードであることが好ましい。さらに、この光源は、波長430nm以上480nm以下の範囲に極大発光を有することが好ましく、波長450nm以上470nm以下の範囲に極大発光を有することが、さらに好ましい。本発明における光源ユニットは、ディスプレイ、照明、インテリア、標識、看板等の用途に使用できるが、特にディスプレイや照明用途に好適に用いられる。
<ディスプレイ、照明装置>
本発明の実施の形態に係るディスプレイは、少なくとも、上述したように光源および色変換シート等を含む光源ユニットを備える。例えば、液晶ディスプレイ等のディスプレイには、バックライトユニットとして、上述の光源ユニットが用いられる。また、本発明の実施の形態に係る照明装置は、少なくとも、上述したように光源および色変換シート等を含む光源ユニットを備える。例えば、この照明装置は、光源ユニットとしての青色LED光源と、この青色LED光源からの青色光をこれよりも長波長の光に変換する色変換シートまたは色変換組成物とを組み合わせて、白色光を発光するように構成される。
以下、実施例をあげて本発明を説明するが、本発明は、下記の実施例によって限定されるものではない。下記の実施例および比較例において、化合物D−1〜D−6および化合物Q−1〜Q−4は、以下に示す化合物である。樹脂P−1〜P−4は、以下に示す樹脂である。
Figure 2019216200
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また、実施例および比較例における構造分析、色変換特性、光耐久性、エネルギー計算に関する評価方法は、以下に示す通りである。
H−NMRの測定>
化合物のH−NMRは、超伝導FTNMR EX−270(日本電子株式会社製)を用い、重クロロホルム溶液にて測定を行った。
<吸収スペクトルの測定>
化合物の吸収スペクトルは、U−3200形分光光度計(日立製作所社製)を用い、化合物をトルエンに1×10−6mol/Lの濃度で溶解させて測定を行った。
<蛍光スペクトルの測定>
化合物の蛍光スペクトルは、F−2500形分光蛍光光度計(日立製作所社製)を用い、化合物をトルエンに1×10−6mol/Lの濃度で溶解させ、波長460nmで励起させた際の蛍光スペクトルを測定した。
<色変換特性の測定>
色変換特性の測定では、青色LED素子(USHIO EPITEX社製;型番SMBB450H−1100、発光ピーク波長:450nm)を搭載した面状発光装置に各色変換シートおよびプリズムシートを載せた状態で、この面状発光装置に30mAの電流を流して、この青色LED素子を点灯させ、分光放射輝度計(CS−1000、コニカミノルタ社製)を用いて、発光スペクトル、ピーク波長における発光強度を測定した。
<光耐久性のテスト>
光耐久性のテストでは、青色LED素子(USHIO EPITEX社製;型番SMBB450H−1100、発光ピーク波長:450nm)を搭載した面状発光装置に各色変換シートおよびプリズムシートを載せた状態で、この面状発光装置に100mAの電流を流して、この青色LED素子を点灯させ、分光放射輝度計(CS−1000、コニカミノルタ社製)を用いて、色変換された発光のピーク波長における発光強度を測定した。その後、50℃、27%RHの環境下で青色LED素子からの光を連続照射し、ピーク強度が一定量低下するまでの時間を観測することで、光耐久性を評価した。ただし、発光強度の測定は、色変換シートおよび面状発光装置をオーブンの外に出し、室温まで降温させた状態で測定した。
<エネルギー計算>
本実施例においては、有機発光材料およびバインダー樹脂の繰り返し単位の最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)のエネルギー準位は、以下の計算方法で算出した。分子軌道計算用ソフトウェアとして、BIOVIA社製のBIOVIA Materials Studio 2016を用い、密度汎関数(DFT)法に基づく分子軌道計算を行った。構造最適化および最高被占軌道(HOMO)と最低空軌道(LUMO)のエネルギー計算は、DFT法のプログラムパッケージDmol3を用いて行った。その際、密度汎関数としてGGAのBLYPを使用し、基底関数としてDND(double−numeric quality basis set + d−polarization functions for heavy atoms)を使用した。計算結果であるoutmolファイルに出力されるEnergy of Highest Occupied Molecular Orbitalの値をHOMOのエネルギー準位とし、Energy of Lowest Unoccupied Molecular Orbitalの値をLUMOのエネルギー準位とした。
一例として、下記の実施例および比較例で用いた樹脂P−1〜P−4の繰り返し単位の計算結果を表1に示す。
Figure 2019216200
(合成例1)
合成例1の化合物D−3の合成方法について説明する。化合物D−3の合成方法では、3,5−ジブロモベンズアルデヒド(3.0g)、4−(メトキシカルボニル)フェニルボロン酸(5.4g)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(0.4g)、炭酸カリウム(2.0g)をフラスコに入れ、窒素置換した。これに、脱気したトルエン(30mL)および脱気した水(10mL)を加え、4時間還流した。得られた反応溶液を室温まで冷却し、有機層を、分液した後に飽和食塩水で洗浄した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、3,5−ビス[4−(メトキシカルボニル)フェニル]ベンズアルデヒド(3.5g)を白色固体として得た。
つぎに、3,5−ビス[4−(メトキシカルボニル)フェニル]ベンズアルデヒド(1.5g)と2,4−ジメチルピロール(0.7g)とを反応溶液に入れ、脱水ジクロロメタン(200mL)およびトリフルオロ酢酸(1滴)を加えて、窒素雰囲気下、4時間撹拌した。続いて、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(0.85g)の脱水ジクロロメタン溶液を加え、さらに1時間撹拌した。反応終了後、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(7.0mL)およびジイソプロピルエチルアミン(7.0mL)を加えて、4時間撹拌した後、さらに水(100mL)を加えて撹拌し、有機層を分液した。この有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を留去した。得られた反応生成物をシリカゲルクロマトグラフィーにより精製し、化合物(0.4g)を得た(収率18%)。この得られた化合物の1H−NMR分析結果は次の通りであり、これが化合物D−3であることが確認された。
H−NMR(CDCl,ppm):8.01(s,1H)、7.63−7.48(m,10H)、6.00(s,2H)、3.96(s,6H)
なお、この化合物D−3の吸収スペクトルは、図9に示す通りとなり、青色の励起光源(460nm)に光の吸収特性を示した。また、この化合物D−3の蛍光スペクトルは、図10に示す通りとなり、緑色領域に鋭い発光ピークを示した。発光量子収率は83%を示し、この化合物D−3は効率的な色変換が可能な化合物であった。
(合成例2)
合成例2の化合物D−5の合成方法について説明する。化合物D−5の合成方法では、4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ピロール(300mg)と、2−メトキシベンゾイルクロリド(201mg)と、トルエン(10mL)との混合溶液を窒素気流下、120℃で6時間加熱した。この加熱溶液を室温に冷却後、エバポレートした。続いて、エタノール(20mL)で洗浄し、真空乾燥した後、2−(2−メトキシベンゾイル)−3−(4−t−ブチルフェニル)−5−(4−メトキシフェニル)ピロール(260mg)を得た。
次に、2−(2−メトキシベンゾイル)−3−(4−t−ブチルフェニル)−5−(4−メトキシフェニル)ピロール(260mg)と、4−(4−t−ブチルフェニル)−2−(4−メトキシフェニル)ピロール(180mg)と、メタンスルホン酸無水物(206mg)と、脱気したトルエン(10mL)との混合溶液を窒素気流下、125℃で7時間加熱した。この加熱溶液を室温に冷却後、水(20mL)を注入し、ジクロロメタン(30mL)で有機層を抽出した。この有機層を水(20mL)で2回洗浄し、エバポレートし、真空乾燥して、ピロメテン体を得た。
次に、得られたピロメテン体とトルエン(10mL)との混合溶液を、窒素気流下、ジイソプロピルエチルアミン(305mg)および三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(670mg)を加えて室温で3時間、攪拌した。その後、水(20mL)を注入し、ジクロロメタン(30mL)で有機層を抽出した。この有機層を水(20mL)で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、エバポレートした。続いて、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、真空乾燥した後、赤紫色粉末(0.27g)を得た。得られた赤紫色粉末のH−NMR分析結果は次の通りであり、上記のようにして得られた赤紫色粉末が化合物D−5であることが確認された。
H−NMR(CDCl,ppm):1.19(s,18H)、3.42(s,3H)、3.85(s,6H)、5.72(d,1H)、6.20(t,1H)、6.42−6.97(m,16H)、7.89(d,4H)
なお、この化合物D−5の吸収スペクトルは、図11に示す通りとなり、青色および緑色の励起光源に光の吸収特性を示した。また、この化合物D−5の蛍光スペクトルは、図12に示す通りとなり、赤色領域に鋭い発光ピークを示した。発光量子収率は90%を示し、この化合物D−5は効率的な色変換が可能な化合物であった。
一方、化合物D−1、D−2、D−6は、上記合成例と同様に、公知の手法を用いて合成した。また、化合物D−4は、シグマアルドリッチ社製の純度98%品を使用した。
(実施例1)
本発明の実施例1では、(B)成分としてアクリル樹脂(樹脂P−1)を用い、この(B)成分の100重量部に対して、(A)成分として化合物D−1を0.3重量部、溶剤として酢酸エチルを300重量部、混合した。これらの混合物を、遊星式撹拌・脱泡装置“マゼルスター”(登録商標)KK−400(クラボウ社製)を用いて300rpmで30分間撹拌・脱泡し、これにより、実施例1の色変換組成物を得た。
ついで、スリットダイコーターを用いて、実施例1の色変換組成物を、基材層である“ルミラー”(登録商標)U34(東レ社製、厚さ75μm)上に塗布し、120℃で60分加熱、乾燥して、平均膜厚18μmの色変換層を形成した。最後に、拡散フィルム(東レ先端素材社製“Texcell”(登録商標)TDF127)をラミネーションした後、60℃で1時間熟成して、実施例1の色変換シートを得た。
この実施例1において、(A)成分のHOMOのエネルギー準位E(H)およびLUMOのエネルギー準位E(L)は、それぞれ、−5.51eVおよび−3.56eVであった。(B)成分の繰り返し単位のHOMOのエネルギー準位のうち、最も高いエネルギー準位E(H)maxは、−5.80eVであった。(B)成分の繰り返し単位のLUMOのエネルギー準位のうち、最も低いエネルギー準位E(L)minは、−0.61eVであった。すなわち、E(H)max<E(H)<E(L)<E(L)minであり、実施例1の(A)成分および(B)成分は、(式−1)の関係を満たした。
また、実施例1の色変換シートを用いて青色LED光を色変換させたところ、緑色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長527nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅33nmの高色純度緑色発光が得られた。この実施例1のピーク波長における発光強度を1.0として、この実施例1の発光強度を実施例2〜20および比較例1〜3と比較した。また、上記の方法にしたがい、50℃、27%RHの環境下で青色LED素子からの光を連続照射したところ、発光強度が10%低下するまでの時間は、250時間であった。実施例1の結果は、後述の表2に示す。
(実施例2〜11および比較例1〜3)
本発明の実施例2〜11および本発明に対する比較例1〜3では、(A)成分として表2に記載した化合物(化合物D−1〜D−4)を用い且つ(B)成分として表2に記載した樹脂(樹脂P−1〜P−4)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、色変換シートを作製して評価した。ただし、(A)成分の混合量は、実施例1の化合物D−1と同じ物質量になるように調整した。実施例2〜11および比較例1〜3の結果は、表2に示す。ただし、表2中の発光強度(相対値)は、実施例1における発光強度を1.00としたときの相対値である。
(実施例12)
本発明の実施例12では、(C)成分として表2に記載した化合物Q−1を用い、(B)成分の100重量部に対して、この化合物Q−1を1.0重量部、追加で混合したこと以外は実施例1と同様にして、色変換シートを作製して評価した。実施例12の結果は、表2に示す。ただし、表2中の発光強度(相対値)は、実施例1における発光強度を1.00としたときの相対値である。
この実施例12において、(A)成分のHOMOのエネルギー準位E(H)およびLUMOのエネルギー準位E(L)は、それぞれ、−5.51eVおよび−3.56eVであった。(B)成分の繰り返し単位のHOMOのエネルギー準位のうち、最も高いエネルギー準位E(H)maxは、−5.80eVであった。(B)成分の繰り返し単位のLUMOのエネルギー準位のうち、最も低いエネルギー準位E(L)minは、−0.61eVであった。また、(C)成分のHOMOのエネルギー準位E(H)およびLUMOのエネルギー準位E(L)は、それぞれ、−6.24eVおよび−2.61eVであった。すなわち、E(H)max<E(H)<E(L)<E(L)minであり、実施例12の(A)成分および(B)成分は、(式−1)の関係を満たした。さらに、E(H)<E(H)<E(L)<E(L)であり、実施例12の(A)成分および(C)成分は、(式−7)の関係を満たした。
(実施例13〜20)
本発明の実施例13〜20では、(A)成分として表2に記載した化合物(化合物D−1〜D−4)を用い、(B)成分として表2に記載した樹脂(樹脂P−1)を用い、(C)成分として表2に記載した化合物(化合物Q−1〜Q−3)を用いたこと以外は実施例12と同様にして、色変換シートを作製して評価した。ただし、(A)成分の混合量は、実施例1の化合物D−1と同じ物質量になるように調整した。実施例13〜20の結果は、表2に示す。ただし、表2中の発光強度(相対値)は、実施例1における発光強度を1.00としたときの相対値である。
(実施例21)
本発明の実施例21では、(A)成分として化合物D−5を用い、(B)成分の100重量部に対して、この化合物D−5を0.1重量部、混合したこと以外は実施例1と同様にして、実施例21の色変換シートを作製した。
実施例21の色変換シートを用いて青色LED光を色変換させたところ、赤色光の発光領域のみを抜粋すると、ピーク波長635nm、ピーク波長における発光スペクトルの半値幅49nmの高色純度赤色発光が得られた。この実施例21のピーク波長における発光強度を1.0として、この実施例21の発光強度を実施例22〜25と比較した。また、上記の方法にしたがい、50℃、27%RHの環境下で青色LED素子からの光を連続照射したところ、発光強度が10%低下するまでの時間は、250時間であった。実施例21の結果は、後述の表3に示す。
(実施例22〜25)
本発明の実施例22〜25では、(A)成分として表3に記載した化合物(化合物D−5、D−6)を用い、(B)成分として表3に記載した樹脂(樹脂P−1、P−2)を用い、(C)成分として表3に記載した化合物(化合物Q−3、Q−4)を適宜用いたこと以外は実施例21と同様にして、色変換シートを作製して評価した。ただし、(A)成分の混合量は、実施例21の化合物D−5と同じ物質量になるように調整した。実施例22〜25の結果は、表3に示す。ただし、表3中の発光強度(相対値)は、実施例21における発光強度を1.00としたときの相対値である。
Figure 2019216200
Figure 2019216200
上述した実施例1〜25および比較例1〜3のうち、(A)成分として同じ化合物D−1を用いた実施例1、2と比較例1、2とを比較すると、(式−1)の関係を満たす実施例1、2では、高い発光強度と高い光耐久性とが両立した。一方、(式−1)の関係を満たしていない比較例1、2では、発光強度が低く、光耐久性も低かった。
同様に、(A)成分として同じ化合物D−2を用いた実施例3〜5と比較例3とを比較すると、(式−1)の関係を満たす実施例3〜5のみにおいて、高い発光強度と高い光耐久性とが両立した。
一方、実施例7、8、10と比較例1〜3とを比較すると、比較例1〜3のように(A)成分が化合物D−1または化合物D−2である場合に発光強度および光耐久性が低下したときの(B)成分(樹脂P−2または樹脂P−4)を実施例7、8、10の(B)成分として用いた場合であっても、実施例7、8、10では、(A)成分として化合物D−3や化合物D−4を用いた場合、(式−1)の関係を満たすため、高い発光強度と高い光耐久性とが両立した。
実施例12と実施例13とを比較し、実施例14と実施例15と実施例16とを比較し、実施例17と実施例18とを比較し、実施例19と実施例20とを比較すると、(A)成分および(C)成分に関して、(式−7)の関係を満たす場合、高い発光強度と高い光耐久性とが両立した。一方、(式−7)の関係を満たさない場合、(式−7)の関係を満たす場合と比較して、発光強度および光耐久性が低下した。
(B)成分として同じ樹脂P−1を用いた実施例1、3と実施例6、9とを比較すると、(A)成分のHOMOのエネルギー準位E(H)が(式−4)を満たす実施例1、3において、より高い光耐久性が得られた。
(A)成分および(B)成分が(式−1)の関係を満たし、かつ、(A)成分のHOMOのエネルギー準位E(H)が(式−5)を満たす実施例21〜23に関しても、高い発光強度と高い光耐久性とが両立した。
実施例24と実施例25とを比較すると、(A)成分および(C)成分に関して、(式−7)の関係を満たす場合、高い発光強度と高い光耐久性とが両立した。一方、(式−7)の関係を満たさない場合、当該関係を満たす場合と比較して、発光強度および光耐久性が低下した。
(比較例4)
本発明に対する比較例4では、(B)成分として二液型熱硬化性エポキシ系アクリル樹脂(樹脂P−5)を用い、溶剤としてメチルエチルケトンを用い、(B)成分である樹脂P−5の100重量部に対して、このメチルエチルケトンを300重量部、混合したこと以外は実施例1と同様にして、色変換シートを作製して評価した。比較例4の結果は、表4に示す。ただし、表4中の発光強度(相対値)は、実施例1における発光強度を1.00としたときの相対値である。
Figure 2019216200
熱可塑性のアクリル樹脂(樹脂P−1)を用いた実施例1と二液型熱硬化性エポキシ系アクリル樹脂(樹脂P−5)を用いた比較例4とを比較すると、(式−1)の関係を満たす実施例1では、高い発光強度と高い光耐久性とが両立した。一方、(式−1)の関係を満たさない比較例4では、当該関係を満たす実施例1と比較して、発光強度と光耐久性とが低下した。
以上のように、本発明に係る色変換組成物、色変換シート、光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置は、高い耐久性と高い発光効率とを両立させることが可能となる色変換組成物、色変換シート、光源ユニット、ディスプレイおよび照明装置に適している。
1A、1B、1C、1D、1E、1F、1G、1H 色変換シート
10 基材層
11、11A、11B 色変換層
12 バリア層
13 透明中間層

Claims (21)

  1. 入射光を、その入射光よりも長波長の光に変換する色変換組成物であって、
    m種類の有機発光材料(mは自然数)である(A)成分と、
    n種類の繰り返し単位(nは自然数)を有するバインダー樹脂である(B)成分と、
    を含み、
    前記m種類の有機発光材料について、最高被占軌道のエネルギー準位をEAh(H)[eV]とし、最低空軌道のエネルギー準位をEAh(L)[eV]とし、前記n種類の繰り返し単位について、最高被占軌道のエネルギー準位をEBi(H)[eV]とし、最低空軌道のエネルギー準位をEBi(L)[eV]とする時、前記(A)成分および前記(B)成分について、EAh(H)、EAh(L)、EBi(H)、EBi(L)が(式−1)を満たす、
    ことを特徴とする色変換組成物。
    Bi(H)≦EAh(H)≦EAh(L)≦EBi(L) (式−1)
  2. 前記(A)成分および前記(B)成分について、EAh(H)、EBi(H)が(式−2)を満たす、
    ことを特徴とする請求項1に記載の色変換組成物。
    Bi(H)≦EAh(H)−0.05 (式−2)
  3. 前記(A)成分および前記(B)成分について、EAh(L)、EBi(L)が(式−3)を満たす、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載の色変換組成物。
    Ah(L)+0.05≦EBi(L) (式−3)
  4. 前記(A)成分について、EAh(H)が(式−4)または(式−5)のいずれか一方を満たす、
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の色変換組成物。
    Ah(H)≦−5.00 (式−4)
    Ah(H)≧−4.50 (式−5)
  5. 前記m種類の有機発光材料のうち少なくとも一つが(式−6)を満たす、
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の色変換組成物。
    Ah(H)≦−5.00 (式−6)
  6. 前記(B)成分が、アクリル樹脂、アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル部位を含む共重合樹脂、ポリエステル樹脂のいずれかである、
    ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の色変換組成物。
  7. 前記(B)成分が熱可塑性樹脂である、
    ことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の色変換組成物。
  8. 前記(A)成分および前記(B)成分以外に、q種類の有機化合物(qは自然数)である(C)成分を含み、
    前記q種類の有機化合物について、最高被占軌道のエネルギー準位をECj(H)[eV]とし、最低空軌道のエネルギー準位をECj(L)[eV]とする時、前記(A)成分および前記(C)成分について、EAh(H)、EAh(L)、ECj(H)、ECj(L)が(式−7)を満たす、
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の色変換組成物。
    Cj(H)≦EAh(H)≦EAh(L)≦ECj(L) (式−7)
  9. 前記(A)成分が、少なくとも一般式(1)で表される化合物を含有する、
    ことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一つに記載の色変換組成物。
    Figure 2019216200
    (Xは、C−RまたはNである。R〜Rは、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基、および隣接置換基との間に形成される縮合環および脂肪族環の中から選ばれる。)
  10. 前記一般式(1)におけるXが、C−Rであり、
    前記Rが、一般式(2)で表される基である、
    ことを特徴とする請求項9に記載の色変換組成物。
    Figure 2019216200
    (rは、水素、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基、水酸基、チオール基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アリール基、ヘテロアリール基、ハロゲン、シアノ基、アルデヒド基、カルボニル基、カルボキシル基、エステル基、カルバモイル基、アミノ基、ニトロ基、シリル基、シロキサニル基、ボリル基、スルホ基、ホスフィンオキシド基からなる群より選ばれる。kは、1〜3の整数である。kが2以上である場合、rは、それぞれ同じでも異なってもよい。)
  11. 前記一般式(1)におけるR、R、RおよびRが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のフェニル基である、
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の色変換組成物。
  12. 前記一般式(1)におけるR、R、RおよびRが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、置換もしくは無置換のアルキル基である、
    ことを特徴とする請求項9または10に記載の色変換組成物。
  13. 前記一般式(1)におけるRおよびRのうち少なくとも一方が、それぞれ同じでも異なっていてもよく、電子求引基である、
    ことを特徴とする請求項9〜12のいずれか一つに記載の色変換組成物。
  14. 前記一般式(1)におけるRおよびRが、それぞれ同じでも異なっていてもよく、フッ素またはシアノ基である、
    ことを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の色変換組成物。
  15. 下記の発光材料(a)および発光材料(b)を含有する、
    ことを特徴とする請求項1〜14のいずれか一つに記載の色変換組成物。
    発光材料(a):波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光を用いることによってピーク波長が500nm以上580nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料
    発光材料(b):波長400nm以上500nm以下の範囲の励起光と波長500nm以上580nm以下の範囲の励起光とのうち少なくとも一方によって励起されることにより、ピーク波長が580nm以上750nm以下の領域に観測される発光を呈する発光材料
  16. 請求項1〜15のいずれか一つに記載の色変換組成物の硬化層からなる色変換層を含む、
    ことを特徴とする色変換シート。
  17. 2層以上の色変換層を含み、
    前記2層以上の色変換層のうち少なくとも1層が、請求項1〜15のいずれか一つに記載の色変換組成物の硬化層からなる色変換層である、
    ことを特徴とする色変換シート。
  18. 光源と、
    請求項1〜15のいずれか一つに記載の色変換組成物、あるいは請求項16または17に記載の色変換シートと、
    を備えることを特徴とする光源ユニット。
  19. 前記光源が、波長400nm以上500nm以下の範囲に極大発光を有する発光ダイオードである、
    ことを特徴とする請求項18に記載の光源ユニット。
  20. 請求項18または19に記載の光源ユニットを備える、
    ことを特徴とするディスプレイ。
  21. 請求項18または19に記載の光源ユニットを備える、
    ことを特徴とする照明装置。
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