JP2017069204A - 二次電池用添加剤、それを含む二次電池用電解液及びそれを含む二次電池 - Google Patents

二次電池用添加剤、それを含む二次電池用電解液及びそれを含む二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池内部の温度が上昇した場合でも電解液の漏洩が無く、安全性の高い、高エネルギー密度の二次電池にできる、二次電池用添加剤及び二次電池用電解液の提供。【解決手段】式(1)で表される単位を有する(メタ)アクリルアミド化合物(A)と2〜4個のカルボキシル基を有する結晶性ポリカルボン酸(B)を含む二次電池用添加剤。【選択図】なし

Description

本発明は、二次電池用添加剤及びそれを用いた二次電池の過昇温防止方法に関する。より詳細には、リチウム二次電池の電解液に混合することでリチウムイオン二次電池の過昇温を防止する添加剤とそれを用いたリチウムイオン二次電池の過昇温を防止する方法に関する。
近年、リチウム二次電池がその高いエネルギー密度を有するという特徴を生かして電気自動車(PEV)やハイブリット車(HEV)の車載電源用として開発が進められ、実用化されている。
しかしながら、リチウム二次電池は、電解液として有機溶媒を用いるため、充電装置の故障等によって過充電等の状態になった場合に電池内部の温度が上昇し、電池の内圧が高くなった場合に電解液が漏洩する場合があった。
リチウム二次電池の電池内部の温度が上昇した場合の安全性を向上させる方法として、電池内部の温度が上昇した場合に所定の温度で難燃剤を電解液中に放出する熱可塑性樹脂を用いる方法(例えば特許文献1参照)及びゲル状電解質を利用して電解液の漏洩を防止する方法(例えば特許文献2参照)等が知られている。
特開2015−53211号公報 特開2012−117010号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は電解液の漏洩を防止できず、特許文献2に記載の方法は電池特性が悪いという課題がある。
本発明は上記事案に鑑み、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち本発明は、下記一般式(1)で表される構造単位を有するアミド化合物(A)と2〜4個のカルボキシル基を有する結晶性ポリカルボン酸(B)とを含む二次電池用添加剤;前記の二次電池用添加剤を含む二次電池用電解液;前記の二次電池用電解液を含む二次電池である。
[一般式中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、nは10〜4,000の整数である。]
本発明によれば、電池内部の温度が上昇した場合でも電解液の漏洩が無く、安全性の高い、高エネルギー密度の二次電池を提供することが出来る。
本発明の二次電池用添加剤は、前記一般式(1)で表される構造単位を有するアミド化合物(A)と2〜4個のカルボキシル基を有する結晶性ポリカルボン酸(B)とを含む。
なお本発明において、結晶性とは、JIS K 7121に準拠し、示差走査熱量計を用いて測定した場合に、昇温時に結晶融点(以下、融点という)を有し、0.1J/g以上の融解熱量を有する性質を示し、二次電池とは、電解質を含む電解液を用いた充放電が可能な電気化学デバイスを意味し、リチウムイオン二次電池及びリチウムイオンキャパシタ等のリチウムイオンを含む。
一般式(1)中、R1〜R4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基である。
炭素数1〜4のアルキル基としては、炭素数1〜4の直鎖アルキル基(メチル基、エチル基、n−プロピル基及びn−ブチル基等)及び炭素数3又は4の分岐アルキル基(iso−プロピル基及びsec−又はtert−ブチル基等)が挙げられる。
なかでも電解液の漏洩防止等の観点から、メチル基、エチル基、iso−プロピル基及びtert−ブチル基が好ましく、メチル基が更に好ましい。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、炭素数1〜4の直鎖アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、n−プロピルオキシ基及びn−ブチルオキシ基等)及び炭素数3又は4の分岐アルコキシ基(iso−プロピルオキシ基及びsec−又はtert−ブチルオキシ基等)が挙げられる。
なかでも電解液の安全性等の観点から、n−プロピルオキシ基、n−ブチルオキシ基及びtert−ブチルオキシ基が好ましく、n−ブチルオキシ基が更に好ましい。
一般式(1)において、R1〜R4としては電解液の漏洩防止等の観点から、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、iso−プロピル基及びtert−ブチル基が更に好ましく、メチル基及びエチル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。
一般式(1)で表される構造単位を有するアミド化合物(A)は、(メタ)アクリルアミド又はアクリルアミドが有する水素原子の一部又は全部を、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基に置換した(メタ)アクリルアミド[以下、置換(メタ)アクリルアミドと記載する]を必須成分とする単量体組成物を公知の重合開始剤[2、2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等]を用いて、公知の方法(特開2013−253154号公報に記載の溶液重合等)で重合することにより得ることができる。
なお、上記及び以下において、「アクリレート」と「メタクリレート」の双方又はいずれかを指す場合「(メタ)アクリレート」と記載することがあり、「アクリル」と「メタクリル」の双方又はいずれかを指す場合「(メタ)アクリル」と記載することがある。
前記の置換(メタ)アクリルアミドとしては、炭素数4〜19の置換(メタ)アクリルアミド単量体(a11)が挙げられ、好ましい置換(メタ)アクリルアミド単量体(a11)としてはN−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド及びN,N−ジエチル(メタ)アクリルアミドが挙げられる。
前記のアミド化合物(A)は、(メタ)アクリルアミド又は前記アクリルアミド単量体(a11)のホモポリマーであっても、他の単量体との共重合体であってもよい。
アミド化合物(A)が他の単量体との共重合体である場合、(メタ)アクリルアミド又は前記アクリルアミド単量体(a11)と共重合する単量体としては特に制限はなく、炭素数4〜35の(メタ)アクリレート単量体(a12)、炭素数6〜35の芳香族ビニル単量体(a13)、炭素数3〜20のビニルエーテル単量体(a14)及びその他の重合性単量体(a15)が挙げられる。
炭素数4〜35の(メタ)アクリレート単量体(a12)としては、エチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロへキシル(メタ)アクリレート、ボルニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、4−ブロモブチル(メタ)アクリレート、シアノエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピレンモノアクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、アルコキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシルカルビトール(メタ)アクリレート、アルコキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2,2,2−テトラフルオロエチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H−パーフルオロデシル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、4−クロロフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジロキシブチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノビニルエーテルモノアクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメトキシシリルプロピル(メタ)アクリレート、トリメチルシリルプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキサイドモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキサイド(メタ)アクリレート、オリゴエチレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、オリゴプロピレンオキサイドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸、2−メタクリロイロキシヘキサヒドロフタル酸、2−メタクリロイロキシエチル−2−ヒドロキシプロピルフタレート、ブトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、トリフロロエチル(メタ)アクリレート、パーフロロオクチルエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性(以降、EO変性と略記する)フェノール(メタ)アクリレート、EO変性クレゾール(メタ)アクリレート、EO変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性(以降、PO変性と略記する)ノニルフェノール(メタ)アクリレート及びEO変性−2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
炭素数6〜35の芳香族ビニル単量体(a13)としては、ビニルチオフェン、ビニルフラン、ビニルピリジン、スチレン、メチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、クロルメチルスチレン、メトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ビニル安息香酸メチルエステル、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、3−エチルスチレン、4−エチルスチレン、3−プロピルスチレン、4−プロピルスチレン、3−ブチルスチレン、4−ブチルスチレン、3−ヘキシルスチレン、4−ヘキシルスチレン、3−オクチルスチレン、4−オクチルスチレン、3−(2−エチルヘキシル)スチレン、4−(2−エチルヘキシル)スチレン、アリルスチレン、イソプロペニルスチレン、ブテニルスチレン、オクテニルスチレン、4−t−ブトキシカルボニルスチレン、4−メトキシスチレン及び4−t−ブトキシスチレン等が挙げられる。
炭素数3〜35のビニルエーテル単量体(a14)としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、シクロヘキシルメチルビニルエーテル、4−メチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、ジシクロペンテニルビニルエーテル、2−ジシクロペンテノキシエチルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、ブトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、エトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、テトラヒドロフリフリルビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、4−ヒドロキシメチルシクロヘキシルメチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールビニルエーテル、クロルエチルビニルエーテル、クロルブチルビニルエーテル、クロルエトキシエチルビニルエーテル、フェニルエチルビニルエーテル及びフェノキシポリエチレングリコールビニルエーテルが挙げられる。
その他の重合性単量体(a15)としては、アクリロニトリル、ビニルエステル化合物(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びバーサチック酸ビニル等)、アリルエステル化合物(酢酸アリル等)、ハロゲン含有単量体(塩化ビニリデン及び塩化ビニル等)及びオレフィン化合物(エチレン及びプロピレン等)等が挙げられる。
アミド化合物(A)が、(メタ)アクリルアミド又は前記アクリルアミド単量体(a11)と他の単量体との共重合体である場合、共重合する単量体としては電解液の保存性等の観点から炭素数4〜35の(メタ)アクリレート化合物(a12)が好ましく、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
アミド化合物(A)が、他の単量体との共重合体である場合、前記の単量体組成物中に含まれる(メタ)アクリルアミド及び(メタ)アクリルアミド単量体(a11)の合計モル数は、単量体組成物に含まれる全ての単量体の合計モル数に基づいて70〜99モル%であることが好ましく、80〜90モル%であることが更に好ましい。
一般式(1)中、nは10〜4,000の整数である。
アミド化合物(A)の数平均分子量(以下、Mnと略記する)は1,000〜400,000であることが好ましく、更に好ましくは30,000〜100,000である。この範囲であると電解液の吸収量および吸収速度等が更に良好となり好ましい。
アミド化合物(A)のMnは、前記の単量体組成物の重合を行うときに用いる重合開始剤の種類と量を調整することで好ましい範囲にすることが出来る。
例えば、重合開始剤として2、2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を用いた場合には、単量体組成物の合計重量に基づいて1〜7重量%の重合開始剤を用いることでアミド化合物(A)のMnを好ましい範囲にすることができる。
なお、アミド化合物(A)のMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、GPCと略記)を用いて以下の条件で測定することができる。
・装置:「HLC−8120GPC」[東ソー(株)製]
・カラム:「TSKgel GMHXL」(2本)、「TSKgel Multipore HXL−Mを各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:10μL
・流量:0.6mL/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリスチレン[東ソー(株)製]
本発明における2〜4個のカルボキシル基を有する結晶性ポリカルボン酸(B)としては、下記一般式(2)で表される結晶性ジカルボン酸(B1)、結晶性トリカルボン酸(B2)(1,2,3−プロパントリカルボン酸、クエン酸及びトリメリット酸等)、結晶性テトラカルボン酸(B3)(3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸等)及びこれらのポリカルボン酸の酸無水物等が挙げられ、なかでも下記一般式(2)で表される結晶性ジカルボン酸(B1)が好ましい。なお、前記の結晶性ポリカルボン酸(B)としてはこれらを単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一般式(2)中、R5は炭素数6〜18であるアリーレン基、炭素数1〜20のアルキレン基又は一般式(3)で表される2価の基である。
炭素数6〜18であるアリーレン基としては、フェニレン基、トリレン基、エチルフェニレン基、プロピルフェニレン基、エチレノキシフェニレン基、プロピレノキシフェニレン基、メチレノキシベンジレン基、エチレノキシベンジレン基、プロピレノキシベンジレン基、ナフチレン基、ビフェニレン基、ベンゾフェニレン基及びアントラセニレン基等が挙げられる。
炭素数1〜20のアルキレン基としては、炭素数1〜20の直鎖アルキレン基及び炭素数2〜20の分岐アルキレン基が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、ノナメチレン基、デカメチレン基、ウンデカメチレン基、ドデカメチレン基、トリデカメチレン基、テトラデカメチレン基、ペンタデカメチレン基、ヘキサデカメチレン基、ヘプタデカメチレン基、オクタデカメチレン基、ノナデカメチレン基及びイコサメチレン基等が挙げられる。
炭素数2〜20の分岐アルキレン基としては、メチルメチレン基、エチルメチレン基、1−メチルエチレン基、1−又は2−メチルトリメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基、iso−プロピルメチレン基、3−メチルテトラメチレン基、1,1−又は2,2−ジメチルトリメチレン基及び3−メチルペンタメチレン基等が挙げられる。
一般式(3)中、R6及びR7はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基である。
炭素数1〜4のアルキレン基としては、炭素数1〜4の直鎖アルキレン基及び炭素数2〜4の分岐アルキレン基が挙げられる。
炭素数1〜20の直鎖アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
炭素数2〜20の分岐アルキレン基としては、メチルメチレン基、エチルメチレン基、1−メチルエチレン基及び1−又は2−メチルトリメチレン基等が挙げられる。
一般式(3)中、mは1〜4の整数である。
一般式(2)中のR5を変えることにより結晶性ポリカルボン酸(B)の融点を調整することができる。R5としては、結晶性ポリカルボン酸(B)の融点が好ましい範囲となり、アミド化合物(A)との反応が良好になる等の観点から、炭素数1〜20のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜20の直鎖アルキレン基が更に好ましく、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基及びペンタメチレン基が特に好ましく、テトラメチレン基が最も好ましい。
結晶性ポリカルボン酸(B)としては、温度の制御等の観点から、融点が90℃〜300℃であることが好ましく、更に好ましいのは、100℃〜200℃である。
なお、本発明において結晶性ポリカルボン酸(B)の融点はJIS K7121−1987 プラスチックの転移温度測定法に記載の示差走査熱量測定により測定される。
結晶性ポリカルボン酸(B)としては化学式量又はMnが90〜300である結晶性ポリカルボン酸が更に好しい。
2〜4個のカルボキシル基を有する結晶性ポリカルボン酸(B)のうち、電解液漏洩防止の観点から好ましいのは、前記の一般式(2)で表されるジカルボン酸であり、更に好ましいのはマロン酸(化学式量:104、融点:135℃)コハク酸(化学式量:118、融点:185℃)、グルタル酸(化学式量:132、融点:95℃)、アジピン酸(化学式量:146、融点:152℃)及びジグリコール酸(化学式量:134、融点:144℃)である。 一般式(2)で表されるジカルボン酸以外にも、好ましい化学式量及び融点を有する結晶性ポリカルボン酸(B)として、酒石酸(化学式量:150、融点:170℃)、クエン酸一水和物(化学式量:210、融点:100℃)及び1,2,3−プロパントリカルボン酸(化学式量:176、融点:157℃)を用いることができる。
なお、これらの結晶性ポリカルボン酸は、和光純薬工業(株)及び東京化成工業(株)等から試薬として入手可能である。
前記の結晶性ポリカルボン酸(B)としては、アミド化合物(A)との反応が良好になる等の観点から、グルタル酸、コハク酸及びアジピン酸が更に好ましい。
本発明の二次電池用添加剤が含む前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)との重量比[(A):(B)]は、後述のアミド化合物(A)と結晶性ポリカルボン酸(B)との反応物の電解液吸液量を向上させる観点から、好ましくは10:1〜1:10、更に好ましくは2:1〜1:2である。
本発明の二次電池用添加剤は、前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)を含有する複合粒子を含むことが好ましい。
本発明の二次電池用添加剤は、前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)を含み、二次電池用添加剤の温度が前記結晶性ポリカルボン酸(B)の融点を超えて結晶性ポリカルボン酸(B)が溶融したときに前記アミド化合物(A)と溶融した前記結晶性ポリカルボン酸(B)とが反応し、本発明の二次電池用添加剤を含む電解液を固化又はゲル化し、電解液の漏洩を防止する。
前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)を含有する複合粒子を含む場合、前記アミド化合物(A)と溶融した前記結晶性ポリカルボン酸(B)との反応が容易となり、電解液を均一に固化又はゲル化し、漏洩効果が発現しやすくなるため好ましい。
本発明の二次電池用添加剤は、粉末状の前記アミド化合物(A)と粉末状の前記結晶性ポリカルボン酸(B)とを前記結晶性ポリカルボン酸(B)の融点以下で公知の粉体混合機中で混合する方法(単純混合法)、及び前記アミド化合物(A)が均一に溶解した溶液中に前記結晶性ポリカルボン酸(B)を溶解又は分散し、更に貧溶媒を添加して前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)を含有する複合粒子を析出させる方法(析出法)等で得ることができる。
なかでも、前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)との複合粒子を多く含み、前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)との反応が良好になる等の観点から、析出法が好ましい。
前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)を含有する複合粒子を含んでいることは、前記の方法で得られた粒子の溶融状態を目視観察すること、及び顕微鏡等で拡大観察することで確認することが出来る。
析出法により二次電池用添加剤を得る場合、良溶媒としてはケトン(アセトン、メチルエチルケトン及びメチルイソブチルケトン等)が好ましく、貧溶媒としては炭化水素(ヘキサン等)が好ましい。
本発明の二次電池用添加剤は、更に溶媒中に分散した形態とすることが出来る。
本発明の二次電池用添加剤が更に溶媒を含む場合、溶剤としては電解液に用いられている公知のもの等が使用できるが、好ましい溶媒としては、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物等が挙げられる。
これらの溶媒を用いると結晶性ポリカルボン酸(B)の融点より低い温度において、前記粉末状組成物を更に溶媒中に分散した形態とすることが容易となる。
なかでも溶媒としては、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から、環状エステル(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等)及び鎖状炭酸エステル(ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等)が更に好ましい。
本発明の二次電池用添加剤が更に溶媒を含む場合、二次電池用添加剤に含まれる前記結晶性ポリカルボン酸(B)と前記アミド化合物(A)との合計重量は電解液の吸収量等の観点から、二次電池用添加剤の重量を基準として、97〜100重量%であることが好ましい。
本発明の二次電池用添加剤は、ポリアミド化合物(A)と結晶性ポリカルボン酸(B)以外の成分として、二次電池の電解質溶液等に用いられる難燃剤(J)(トリメチルフォスフェート、トリエチルフォスフェート、トリフルオロエチルフォスフェート、トリフェニルフォスフェート、トリトリルフォスフェート等)を含有してもよい。
本発明の二次電池用添加剤が難燃剤を含む場合、二次電池用添加剤に含まれる難燃剤の重量は安全性及び電池容量等の観点から、二次電池用添加剤の重量を基準として、0.5〜3重量%であることが好ましい。
本発明の二次電池用添加剤が更に溶媒を含む場合、前記の二次電池用添加剤[好ましくは前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)を含有する複合粒子を含む二次電池用添加剤]と溶媒とを公知の方法で混合することで得ることができる。前記の粉末状組成物と溶媒との混合は公知の混合装置を用いて行うことができるが、結晶性ポリカルボン酸(B)の融点よりも低い温度で混合する必要があることから、冷却装置の付属した混合装置を用いることが好ましい。
混合時の温度は10〜40℃が好ましく、混合時間は1〜3時間が好ましい。
本発明の二次電池用電解液は、前記の二次電池用添加剤を含み、前記の二次電池用添加剤と二次電池用電解質及び非水溶媒とを含む二次電池用電解液であることが好ましい。また、更に公知の脱水剤及び公知の容量安定化剤等の添加剤を含有してもよい。
本発明の二次電池用電解液に用いる二次電池用電解質としては、リチウムイオン電池用電解液に用いられているものが使用でき、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF及びLiClO等の無機酸のリチウム塩、LiN(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO等の有機酸のリチウム塩が挙げられる。これらの内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのはLiPFである。
本発明の二次電池用電解液に含まれる二次電池用電解質は、二次電池用電解質及び非水溶媒の合計重量に基づいて5〜20重量%が好ましく、10〜15%重量が更に好ましい。
本発明の二次電池用電解液に用いる非水溶媒としては、電解液に用いられている公知のものが使用でき、なかでも、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から、環状エステル(プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等)及び鎖状炭酸エステル(ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル−n−プロピルカーボネート、エチル−n−プロピルカーボネート及びジ−n−プロピルカーボネート等)が好ましい。
脱水剤としては、ゼオライト、シリカゲル及び酸化カルシウム等が挙げられる。脱水剤の使用量は、二次電池用電解質及び非水溶媒の合計重量に基づいて、0〜5重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜3重量%である。
容量安定化剤としては、フルオロエチレンカーボネート、無水コハク酸、1−メチル−2−ピペリドン、ヘプタン及びフルオロベンゼン等が挙げられる。容量安定化剤の使用量は、二次電池用電解質及び非水溶媒の合計重量に基づいて、0〜5重量%であることが好ましく、更に好ましくは0.5〜3重量%である。
本発明の二次電池用電解液において、ポリアミド化合物(A)と結晶性ポリカルボン酸の合計重量の割合は、電解液の漏洩防止の観点から、二次電池用電解液の重量(ポリアミド化合物(A)、結晶性ポリカルボン酸(B)、二次電池用電解質、非水溶媒及び必要により用いられる添加剤の合計重量)に対して、好ましくは0.01〜20重量%、更に好ましくは5〜10重量%である。
本発明の二次電池用添加剤は、二次電池用添加剤の温度が前記結晶性ポリカルボン酸(B)の融点を超えて結晶性ポリカルボン酸(B)が溶融すると前記アミド化合物(A)と溶融した前記結晶性ポリカルボン酸(B)とが反応し、本発明の二次電池用添加剤を含む電解液を固化又はゲル化し、電解液の漏洩を防止する。
そのため、本発明の二次電池用電解液は二次電池用電解質と非水溶媒を含有する非水電解液中に、前記二次電池用添加剤が固体粒子として分散していることが好ましい。
固体粒子として分散することによって、前記結晶性ポリカルボン酸(B)の融点よりも低い温度では前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)との反応が起こらず、非水電解液の温度が前記結晶性ポリカルボン酸(B)の融点よりも高くなった場合に前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)との反応が起こる。
本発明の二次電池用電解液は、前記二次電池用添加剤、二次電池用電解質及び前記の溶媒を均一に混合することで得ることができる。
均一混合は公知の混合装置[撹拌装置の付属した混合容器等(羽根型撹拌装置付き混合容器及び振動式撹拌装置付き混合容器等)]等を用いて均一混合することで行うことができるが、結晶性ポリカルボン酸(B)の融点よりも低い温度で混合する必要があることから、冷却装置の付属した混合装置を用いることが好ましい。
混合時の温度は10〜40℃が好ましく、混合時間は1〜3時間が好ましい。
本発明の二次電池は、前記二次電池用電解液を含む二次電池である。
本発明の二次電池は、電極(正極及び負極)及びセパレータを収納した電池缶内に、電解液として本発明の二次電池用電解液を注入する方法により得ることが出来る。
本発明の二次電池に用いる電極は、活物質(D)及び結着剤(E)並びに必要により導電助剤(F)を溶媒に分散させてスラリーを得た後、スラリーを集電体上に塗工して有機溶媒を乾燥させる等の公知の方法で得ることができる。
本発明の二次電池に用いる負極を製造する際には、活物質(D)として、負極活物質(D1)を用いる。
負極活物質(D1)としては、黒鉛、アモルファス炭素、高分子化合物焼成体(フェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)、炭素繊維、導電性高分子(ポリアセチレン及びポリピロール等)、スズ、シリコン、及び金属合金(リチウム−スズ合金、リチウム−シリコン合金、リチウム−アルミニウム合金及びリチウム−アルミニウム−マンガン合金等)等が挙げられる。
本発明の二次電池に用いる正極を製造する際には、活物質(D)として、正極活物質(D2)を用いる。
正極活物質(D2)としてはリチウムと遷移金属との複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiMnO及びLiMn等)、遷移金属酸化物(MnO及びV等)、遷移金属硫化物(MoS及びTiS等)及び導電性高分子(ポリアニリン、ポリフッ化ビニリデン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン及びポリカルバゾール等)等が挙げられる。
結着剤(E)としては、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、ポリエチレン及びポリプロピレン等の高分子化合物が挙げられる。
任意成分である導電助剤(F)としては、カーボンブラック類(カーボンブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック及びサーマルブラック等)及び金属粉末(アルミニウム粉及びニッケル粉等)、導電性金属酸化物(酸化亜鉛及び酸化チタン等)等が挙げられる。
本発明の二次電池に用いる活物質(D)の含有量は、電池容量の観点から、活物質(D)及び結着剤(E)の合計重量に基づいて、好ましくは70〜99.5重量%、更に好ましくは90〜99重量%である。
結着剤(E)の含有量は、電池容量の観点から、活物質(D)及び結着剤(E)の合計重量に基づいて、好ましくは0.5〜30重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
導電助剤(F)の含有量は、電池出力の観点から、活物質(D)及び結着剤(E)の合計重量に基づいて、好ましくは0〜29重量%、更に好ましくは1〜10重量%である。
セパレータとしては、ポリエチレン又はポリプロピレン製フィルムの微多孔膜、多孔性のポリエチレンフィルムとポリプロピレンとの多層フィルム、ポリエステル繊維、アラミド繊維及びガラス繊維等からなる不織布並びにこれらの表面にシリカ、アルミナ及びチタニア等のセラミック微粒子を付着させたものが挙げられる。
電池缶としては、ステンレススチール、鉄、アルミニウム及びニッケルメッキスチール等の金属材料を用いることができるが、電池用途に応じてプラスチック材料を用いることもできる。また電池缶は、用途に応じて円筒型、コイン型、角型又はその他任意の形状にすることができる。
本発明の二次電池の電解液漏洩防止方法は、結晶性ポリカルボン酸(B)の融点以上の温度において、アミド化合物(A)と結晶性ポリカルボン酸(B)とが反応することを特徴とする。
前記二次電池用電解液の温度が結晶性ポリカルボン酸(B)の融点を超えると、二次電池用電解液中に固体粒子として含まれている結晶性ポリカルボン酸(B)が溶融し、次いで二次電池用電解液中に溶解し、二次電池用電解液中に溶解していたアミド化合物(A)と結晶性ポリカルボン酸(B)が化学反応又はイオン結合することで電解液を固化又はゲル化して、電解液が漏洩することを抑える。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特に規定しない限り、%は重量%、部は重量部を示す。
<製造例1:ポリアミド化合物(A1)の製造> 攪拌機を取り付けた反応装置に、メチルエチルケトン(MEK)90部、N,N−ジメチルアクリルアミド9部[東京化成工業(株)製]、2−エチルヘキシルメタクリレート1部[東京化成工業(株)製]及び2、2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.137部[和光純薬(株)製、V−65]を添加して、60℃に加温して8時間重合を行ってポリアミド化合物(A1)を含む溶液を得た。その後室温まで冷却し、ヘキサン1,500部を攪拌子で撹拌しながら、上記溶液を徐々に加え、生じた白色の粉体析出物をろ別し、更にヘキサン溶液で洗浄し乾燥して白色粉末状のポリアミド化合物(A1)9.8部を得た(収率は98%)。得られたポリアミド化合物(A1)の分子量をGPCにて測定したところ、Mnが6,700であり、重合平均分子量(以下、Mwと略記する)は24,000であった。
なお、Mn及びMwは以下の条件のGPCで測定を行った。
・装置:「HLC−8120GPC」[東ソー(株)製]
・カラム:「TSKgel GMHXL」(2本)、「TSKgel Multipore HXL−Mを各1本連結したもの」[いずれも東ソー(株)製]
・試料溶液:0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
・溶液注入量:10μL
・流量:0.6mL/分
・測定温度:40℃
・検出装置:屈折率検出器
・基準物質:標準ポリスチレン[東ソー(株)製]
<製造例2〜11:ポリアミド化合物(A2)〜(A11)の製造>
製造例1において、N,N−ジメチルアクリルアミド9部、2−エチルヘキシルメタクリレート1重量部及び2、2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.137部をそれぞれ表1に記載の数量に変更したこと以外は、製造例1と同様にしてポリアミド化合物(A2)〜(A11)を得た。得られたポリアミド化合物(A2)〜(A11)のMn及びMwを製造例1で得られたポリアミド化合物(A1)の結果とともに表1に記載した。
表1において、DMAAはN,N−ジメチルアクリルアミドを表し、2EHMAは2−エチルヘキシルメタクリレートを表し、AAMはアクリルアミド、NIPAMはN-イソプロピルアクリルアミド、MAAMはメタクリルアミド、V−65は2、2'-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)を表す。
<比較製造例1:ポリウレタン樹脂(U−1)の製造>
攪拌機、コンデンサー、温度計を備えたフラスコに、N,N−ジメチルホルムアミド210部、ウレタン化触媒[日東化成(株)製「ネオスタンU−600」;ネオスタンは日東化成株式会社の登録商標である]0.03部と、ポリエーテルグリコール64.37部[Mn=600、東京化成工業(株)製]及び1,4−フェニレンジイソシアネート25.63部[東京化成工業(株)製]を一括で投入し、温度を80±5℃に保ちながら、24時間攪拌した。有機溶剤を80℃で減圧留去する事でポリウレタン樹脂(U−1)を得た。得られたポリウレタン樹脂(U−1)のMn及びMwを表2に記載した。
表2において、PEGはポリエチレングリコールを表し、PPDIは1,4−フェニレンジイソシアネートを表す。
<実施例1〜11>
製造例1〜11で得られたポリアミド化合物(A1)〜(A11)25部をそれぞれメチルエチルケトン50部に溶解し、さらにアジピン酸25部[東京化成工業(株)製]を室温で混合して混合液を得た。撹拌下のヘキサン1,500部に得られた混合液を入れ、白色析出物を得た後、ろ過して分離した白色析出物を更にヘキサンで洗浄した後乾燥し、本発明の二次電池用添加剤(P1)〜(P11)を得た。二次電池用添加剤(P1)〜(P11)は、ポリアミド化合物の周囲にアジピン酸が付着した複合粒子であった。
<実施例12〜15>
メチルエチルケトン50部に製造例1で得られたポリアミド化合物(A1)25部を溶解し、更にコハク酸[東京化成工業(株)製]、グルタル酸[東京化成工業(株)製]、ジグリコール酸[東京化成工業(株)製]、マロン酸[東京化成工業(株)製]それぞれ25部を室温で混合して分散液をそれぞれ得た。撹拌下のヘキサン1,500部に分散液を入れ、白色析出物を得た後、ろ過して分離した白色析出物を更にヘキサンで洗浄した後乾燥し、本発明の二次電池用添加剤(P12)〜(P15)を得た。二次電池用添加剤(P12)〜(P15)は、ポリアミド化合物の周囲にポリカルボン酸が付着した複合粒子であった。
<実施例16>
製造例1で得られたポリアミド化合物(A1)12.5部をメチルエチルケトン50部に溶解し、更にアジピン酸25部[東京化成工業(株)製]と室温で混合して分散液を得た。撹拌下のヘキサン1,500部に分散液を入れ、白色析出物を得た後、ろ過して分離した白色析出物を更にヘキサンで洗浄した後乾燥し、本発明の二次電池用添加剤(P16)を得た。二次電池用添加剤(P16)は、ポリアミド化合物の周囲にポリカルボン酸が付着した複合粒子であった。
<実施例17>
製造例1で得られたポリアミド化合物(A1)50部をメチルエチルケトン50部に溶解し、更にアジピン酸25部[東京化成工業(株)製]と室温で混合して分散液を得た。撹拌下のヘキサン1,500部に分散液を入れ、白色析出物を得た後、ろ過して分離した白色析出物を更にヘキサンで洗浄した後乾燥し、本発明の二次電池用添加剤(P17)を得た。二次電池用添加剤(P17)は、ポリアミド化合物の周囲にポリカルボン酸が付着した複合粒子であった。
<実施例18>
製造例1で得られたポリアミド化合物(A1)45部をメチルエチルケトン50部に溶解し、更にアジピン酸4.5部[東京化成工業(株)製]と室温で混合して分散液を得た。撹拌下のヘキサン1,500部に分散液を入れ、白色析出物を得た後、ろ過して分離した白色析出物を更にヘキサンで洗浄した後乾燥し、本発明の二次電池用添加剤(P18)を得た。二次電池用添加剤(P18)は、ポリアミド化合物の周囲にポリカルボン酸が付着した複合粒子であった。
<実施例19>
製造例1で得られたポリアミド化合物(A1)4.5部をメチルエチルケトン50部に溶解し、更にアジピン酸45部[東京化成工業(株)製]と室温で混合して分散液を得た。撹拌下のヘキサン1,500部に分散液を入れ、白色析出物を得た後、ろ過して分離した白色析出物を更にヘキサンで洗浄した後乾燥し、本発明の二次電池用添加剤(P19)を得た。二次電池用添加剤(P19)は、ポリアミド化合物の周囲にポリカルボン酸が付着した複合粒子であった。
<実施例20〜38>
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートを体積比で1:1に混合した混合溶媒にLiPFを1mol/Lとなるように溶解し、更に実施例1〜19で得られた二次電池用添加剤(P1)〜(P19)を、最終の二次電池用電解液の合計重量に基づいて、それぞれ10重量%となるように添加し、本発明の二次電池用電解液(E1)〜(E19)を得た。得られた電解液(E1)〜(E19)をそれぞれ30℃に温調し、東亜電波工業株式会社製電導度計CM−40Sを用いて電導度(30℃)を測定し、結果を表3に記載した。
<実施例39>
二次電池用添加剤(P5)の添加量を、10重量%から、20重量%に変更した以外は実施例22と同様にし、二次電池用電解液(E20)を得た。電解液(E20)について実施例17と同様に電導度を測定し、結果を表3に記載した。
<実施例40>
二次電池用添加剤(P5)の添加量を、10重量%から、0.1重量%に変更した以外は実施例22と同様にし、二次電池用電解液(E21)を得た。電解液(E21)について実施例17と同様に電導度を測定し、結果を表3に記載した。
<比較例1>
ポリアミド化合物(A1)25部をヘキサメチレンジアミン25部に変更したこと以外は実施例1と同様にし、比較用の二次電池用添加剤(PH1)を得た。
更に二次電池用添加剤(P1)を比較用の二次電池用添加剤(PH1)に変更したこと以外は実施例20と同様にし、比較用の二次電池用電解液(EH1)を得た。電解液(EH1)について実施例20と同様に電導度を測定し、結果を表3に記載した。
<比較例2>
結晶性カルボン酸(B1)25部をメリト酸(東京化成工業)25部に変更したこと以外は実施例1と同様にし、比較用の二次電池用添加剤(PH2)を得た。
更に二次電池用添加剤(P1)を比較用の二次電池用添加剤(PH2)に変更したこと以外は実施例20と同様にし、比較用の二次電池用電解液(EH2)を得た。電解液(EH2)について実施例20と同様に電導度を測定し、結果を表3に記載した。
<電解液のゲル化試験>
得られた本発明の二次電池用電解液(E1)〜(E21)及び(EH1)〜(EH2)について、それぞれ80℃と110℃で加熱し、電解液の外観変化を目視で観察し、電解液がゲル化するまでの時間を観測し、その結果を表3に記載した。
なお110℃でのゲル化に要する時間が短いほど、電解液の温度が上昇した場合に、速やかに電解液のゲル化が生じ、電解液の漏洩防止の効果が高いことを示す。
<比較例3>
比較製造例1ポリウレタン樹脂(U−1)80部、LiPF(キシダ化学(株)製)20部及びN,N−ジメチルホルムアミド1000部を混合してゲル状のポリマー電解質組成物前駆溶液(PH3)を得た。
次いで、厚さ調節用のスペーサー(厚み1mm)を置いたガラス板上に、得られたポリマー電解質組成物前駆溶液(PH3)を塗工し、その後、110℃で3時間乾燥させた。その後、150℃まで温度を上げて、5時間静置した後、25℃で1時間おいて、ガラス板上にできた膜を剥離して厚さ1mmの比較用のポリマー電解質組成物(EH3)を得た。
ポリマー電解質組成物(EH3)について、横河ヒューレットパッカード社製インピーダンスアナライザー(形式:4192A)を用いて電導度を測定し、結果を表3に記載した。
表3において、DMAAはN,N−ジメチルアクリルアミドを表し、2EHMAは2−エチルヘキシルメタクリレートを表し、AAMはアクリルアミド、NIPAMはN-イソプロピルアクリルアミド、MAAMはメタクリルアミドをそれぞれ表す。
本発明の二次電池用電解液は比較例3のポリマー電解質組成物に比べて優れた電導度を示し、ポリカルボン酸の溶融温度以下である80℃では、実施例17〜34電解液のゲル化は起こらず、融点を超える110℃においてゲル化が起こった。この結果から、本発明の二次電池用電解液は二次電池用電解液の温度が上昇した場合にゲル化して電解液の漏洩を防止する能力と電気伝導性を両立するものであることがわかる。
一方、比較例1及び2では110℃にしてもゲル化が確認されなかった。
<実施例41:二次電池としての評価>
エチレンカーボネートとジエチルカーボネートの混合溶媒(体積比率1:1)90部と、電解質としてLiPF13.6部と、実施例1で得られた二次電池用添加剤(P1)10部とを混合し、本発明の二次電池用電解液を調製した。
[二次電池用正極の作製]
LiCoO2粉末90.0部、ケチェンブラック(シグマアルドリッチ社製)5部、ポリフッ化ビニリデン(シグマアルドリッチ社製]5部を乳鉢で充分に混合した後、1−メチル−2−ピロリドン(東京化成製)70.0部を添加し、更に乳鉢で充分に混合してスラリーを得た。得られたスラリーを、大気中でワイヤーバーを用いて厚さ20μmのアルミニウム電解箔上の片面に塗布し、80℃で1時間乾燥させた後、更に減圧下(1.3kPa)、80℃で2時間乾燥して、15.95mmφに打ち抜き、二次電池用正極を作製した。
[二次電池用負極の作製]
平均粒子径約8〜12μmの黒鉛粉末92.5部、ポリフッ化ビニリデン7.5部、1−メチル−2−ピロリドン200部を乳鉢で充分に混合しスラリーを得た。得られたスラリーを、大気中でワイヤーバーを用いて厚さ20μmの銅箔の片面に塗布し、80℃で1時間乾燥させた後、更に減圧下(1.3kPa)、80℃で2時間乾燥して、16.15mmφに打ち抜き、プレス機で厚さ3μmにして二次電池用黒鉛系負極を作製した。
[二次電池の作製]
2032型コインセル内の両端に、上記正極及び負極を、それぞれの塗布面が向き合うように配置して、電極間にセパレータ(ポリプロピレン製不織布)を挿入し、二次電池を作製した。
[充放電評価(サイクル特性)]
充放電測定装置「バッテリーアナライザー1470型」(東陽テクニカ製)を用いて、0.1Cの電流で電圧4.5Vまで充電し、10分間の休止後、0.1Cの電流で電圧3.0Vまで放電する、というサイクルを100回繰り返した。この時の初回放電時の電池容量と100サイクル目放電時の電池容量を測定し、下記式から充放電サイクル特性を算出した。数値が大きい程、サイクル特性が良好であることを示す。100サイクル後のサイクル特性は82%であり、良好な電気特性を示した。このことから本発明の二次電池用電解液を用いた二次電池(リチウムイオン電池)は二次電池として良好に機能することがわかった。
サイクル特性(%)=(100サイクル目放電時の電池容量/初回放電時の電池容量)×100
[漏洩評価]
実施例41で作製した二次電池を電池評価用恒温槽(日測エンジニアリング製)を用いて、温度110℃まで昇温し、60分保温し、30℃まで冷却した。冷却後の二次電池の外観を観察したが電解液の漏洩は生じていなかった。このことから本発明の二次電池用電解液を用いた二次電池は電解液の漏洩防止能力を有することがわかった。
<比較例4>
二次電池用添加剤(P1)10部を用いないこと以外は実施例41と同様に行い、比較用の二次電池を作成し、実施例41と同様に充放電評価と漏洩評価を行った。充放電評価においては良好な電気特性を示した。一方、漏洩評価後の二次電池を観察した結果、電解液の漏洩が生じていた。
本発明の二次電池用添加剤を含む二次電池用電解液は、その温度が上昇した場合にゲル化するため、電解液の漏洩が起こることなく、電池特性にも優れる。このため、本発明の二次電池用添加剤を含む二次電池用電解液を含む二次電池は、電池特性と安全性に優れ車載電源用等として有用である。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される構造単位を有するアミド化合物(A)と2〜4個のカルボキシル基を有する結晶性ポリカルボン酸(B)とを含む二次電池用添加剤。
    [一般式(1)中、R1、R2、R3及びR4はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数1〜4のアルコキシ基であり、nは10〜4,000の整数である。]
  2. 一般式(1)において、R1、R2、R3及びR4がそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキル基である請求項1に記載の二次電池用添加剤。
  3. 前記アミド化合物(A)が、数平均分子量が1,000〜400,000のアミド化合物である請求項1又は2に記載の二次電池用添加剤。
  4. 前記結晶性ポリカルボン酸(B)が、下記一般式(2)で表されるジカルボン酸である請求項1〜3のいずれかに記載の二次電池用添加剤。
    [一般式(2)中、R5は炭素数6〜18であるアリーレン基、炭素数1〜20のアルキレン基又は一般式(3)で表される2価の基である。]
    [一般式(3)中、R6及びR7はそれぞれ独立に炭素数1〜4のアルキレン基であり、mは1〜4の整数である。]
  5. 前記結晶性ポリカルボン酸(B)が、融点が90〜300℃であるポリカルボン酸である請求項1〜4のいずれかに記載の二次電池用添加剤。
  6. 前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)との重量比[(A):(B)]が10:1〜1:10である請求項1〜5のいずれかに記載の二次電池用添加剤。
  7. 前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)を含有する複合粒子を含む請求項1〜6のいずれかに記載の二次電池用添加剤。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の二次電池用添加剤を含む二次電池用電解液。
  9. 前記アミド化合物(A)と前記結晶性ポリカルボン酸(B)との合計重量の割合が、二次電池用電解液の重量に基づいて0.01〜20重量%である請求項8に記載の二次電池用電解液。
  10. 請求項8又は9に記載の二次電池用電解液を含む二次電池。
JP2016192460A 2015-09-30 2016-09-30 二次電池用添加剤、それを含む二次電池用電解液及びそれを含む二次電池 Pending JP2017069204A (ja)

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JP2017182973A (ja) * 2016-03-29 2017-10-05 株式会社Gsユアサ 二次電池用非水電解質、非水電解質二次電池、及び非水電解質二次電池の製造方法
KR20220107518A (ko) * 2021-01-25 2022-08-02 삼성에스디아이 주식회사 이차전지

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