JP2017065939A - ガラスフィルムの製造方法及び製造装置、並びにガラスフィルムを含む電子デバイスの製造方法 - Google Patents

ガラスフィルムの製造方法及び製造装置、並びにガラスフィルムを含む電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラスフィルム又は支持体の破損を防止して、安全に支持体からガラスフィルムを剥離する。
【解決手段】本発明に係るガラスフィルム2の製造方法は、支持体1からガラスフィルム2を剥離する剥離工程S3を備えるもので、剥離工程S3は、ガラスフィルム2と支持体1のうち何れか一方のワーク1を保持部材11で保持すると共に、他方のワーク2を吸着部材12で吸着する吸着保持工程S31と、吸着部材12に可撓性を有する長尺体13を取付けた状態で、長尺体13を巻上げ装置14で巻取ることで、吸着部材12を巻上げる巻上げ工程S32とを有する。
【選択図】図9

Description

本発明は、ガラスフィルムの製造方法及び製造装置、並びにガラスフィルムを含む電子デバイスの製造方法に関し、特にガラスフィルムを支持体から剥離するための技術に関する。
近年、省スペース化の観点から、従来普及していたCRT型ディスプレイに替わり、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等のフラットパネルディスプレイが普及している。そして、これらのフラットパネルディスプレイにおいては、更なる薄型化が求められている。
特に、有機ELディスプレイや有機EL照明には、その厚み寸法が非常に小さい(薄い)ことを利用して、折り畳んだり、巻き取ったりできるといった機能を持たせ得る。これにより、持ち運びが容易になるだけでなく、従来の平面状態に加えて曲面状態での使用が可能になるため、様々な用途への活用が期待されている。このことから、上記電子デバイスに使用されるガラス基板やカバーガラスには、更なる可撓性の向上が求められている。
ガラス基板に可撓性を付与するには、ガラス基板を薄肉化するのが有効である。ここで、例えば特許文献1には、厚み寸法200μm以下のガラスフィルムが提案されており、これにより、曲面状態で使用できる程度の優れた可撓性をガラス基板に付与可能としている。
一方、フラットパネルディスプレイや太陽電池等の電子デバイスに使用されるガラス基板には、二次加工や洗浄など、様々な電子デバイス製造関連の処理が施される。ところが、これら電子デバイスに使用されるガラス基板を薄肉化すると、ガラスが脆性材料であるため、多少の応力変化によっても破損に至る場合が生じ、電子デバイス製造関連処理を行う際に、取扱いが非常に困難になるといった問題がある。加えて、厚み寸法200μm以下のガラスフィルムは可撓性に富むため、各種製造関連処理を施す際に位置決めを行うことが難しい(例えばパターニング時にずれが生じる)といった問題もある。
上記問題に関し、例えば特許文献2には、ガラスフィルムと、このガラスフィルムを支持する支持ガラスとを積層して互いに固定してなる積層体が提案されている。このようにガラスフィルムを積層体にした状態で、この積層体に対して各種製造関連処理を施すようにすれば、単体では強度や剛性に乏しいガラスフィルムを用いた場合であっても、支持ガラスが補強材として作用するため、各処理の際に積層体として位置決めを容易に行うことができる。また、処理終了後に、支持ガラスからガラスフィルムを剥離することにより、所要の処理が施されたガラスフィルムのみを最終的に取得することが可能となる。さらにいえば、ガラスフィルムを含む積層体の厚み寸法を、従来(既存)のガラス基板の厚み寸法と同一にすることで、従来のガラス基板用の製造ラインを電子デバイス用製造ラインとして使用(共用)できるメリットが期待できる。
ここで、支持ガラスからガラスフィルムを剥離するための方法として、従来、支持ガラスとガラスフィルムの少なくとも何れか一方を、支持ガラスとガラスフィルムとの界面に直交する向き(法線方向)に引っ張ることで、支持ガラスに対してガラスフィルムを引き離す方法が知られている。しかしながら、この方法は、基本的に、支持ガラス又はガラスフィルムにたわみ変形を強いるものであるから、界面以外の領域に不要な曲げモーメントが作用して、割れ等の破損を生じる問題がある。
上記問題を解決するために、例えば特許文献3には、略水平に載置された積層体の下側の表面(基板の下面)を支持すると共に、積層体の上側の表面(補強板の上面)を可撓性板で吸着した状態で、可撓性板の上側に所定の間隔で固定された複数の可動体を順次上昇させることにより、補強板から基板を剥離する方法が提案されている。また、この際、剥離前線(界面の端部)に近い可動体を基板に向けて押圧し、補強板のうち既に基板から剥離した領域を基板に近づけることで、界面の端部に作用する鉛直上向きの力(界面総剥離力)を抑制して、剥離時に補強板又は基板が大きくたわむ事態を防止可能とする旨が開示されている。
また、上記問題を解決するため、例えば特許文献4には、ステージに固定された基板から可撓性板に固定した補強板を引き離して剥離を行うための方法として、可撓性板の端部に対して界面と平行な向きの力を例えばサーボシリンダにより付与することで、可撓性板及び可撓性板に吸着保持されている補強板をたわみ変形させ、剥離を行う方法が提案されている。
特開2010−132531号公報 国際公開2011/048979号 特開2014−141344号公報 特開2014−159337号公報
しかしながら、特許文献3に記載の方法は、可撓性板の一方の面側に固定された複数の可動体を上昇させて、可撓性板の他方の面側に吸着された補強板に対して基板から引き離す向きの力を直接的に付与する構造を採るものである。これでは、可動体の一部を下降させて(基板に向けて補強板を押圧して)界面の端部に作用する鉛直上向きの力(界面総剥離力)を抑制したとしても、可撓性板に固定された補強板が、可動体の昇降動作に追従して強制的にたわみ変形を生じる点は従来と大きく変わらない。そのため、たとえ各々の可動体の昇降動作を精密に制御できたとしても、剥離に必要な力を界面の端部のみに作用させることは難しく、補強板(又は基板)のうち既に剥離した領域に不要なたわみ変形が生じる事態、ひいては割れ等の破損が生じる事態を防止することは依然として困難である。
また、特許文献4に記載のように、可撓性板の端部に対して界面と平行な向きの力を付与する場合であっても、可撓性板に固定された補強板が、サーボシリンダ等の駆動手段による駆動方向(例えば収縮方向)に追従して強制的にたわみ変形を生じる点は従来と大きく変わらない。そのため、例えばサーボシリンダ等を精密に制御したとしても、剥離に必要な力を界面の端部のみに作用させることは難しく、補強板(又は基板)のうち既に剥離した領域に不要なたわみ変形、ひいては割れ等の破損が生じる事態を防止することは依然として困難である。
以上の事情に鑑み、本明細書では、ガラスフィルム又は支持体の破損を防止して、安全に支持体からガラスフィルムを剥離することを、本発明により解決すべき第一の技術的課題とする。
また、以上の事情に鑑み、本明細書では、ガラスフィルム又は支持体の破損を防止して、安全に支持体からガラスフィルムを含む電子デバイスを剥離することを、本発明により解決すべき第二の技術的課題とする。
前記第一の技術的課題の解決は、本発明に係るガラスフィルムの製造方法により達成される。すなわち、この製造方法は、ガラスフィルムと、ガラスフィルムを支持する支持体とを積層して、ガラスフィルムを含む積層体を形成する積層体形成工程と、積層体に製造関連処理を施す製造関連処理工程と、製造関連処理工程の後、支持体からガラスフィルムを剥離する剥離工程とを備えたガラスフィルムの製造方法において、剥離工程は、ガラスフィルムと支持体のうち何れか一方のワークを保持部材で保持すると共に、他方のワークを吸着部材で吸着する吸着保持工程と、吸着部材に可撓性を有する長尺体を取付けた状態でこの長尺体を巻上げ装置で巻取ることで、吸着部材を巻上げる巻上げ工程とを有する点をもって特徴付けられる。なお、ここでいう「製造関連処理」には、ガラスフィルムに直接何らかの加工を施す処理はもちろん、他部材の取付けや、ガラスフィルム表面の洗浄、あるいは次工程への搬送など、間接的にガラスフィルム又はガラスフィルムを含むデバイスを最終製品(出荷可能な状態の製品)に近づけるための処理を広く含むものとする。
このように、本発明では、可撓性を有する長尺体を巻上げ装置と吸着部材との間に介在させた状態で、ガラスフィルムと支持体のうち何れか一方のワークを吸着した状態の吸着部材を巻上げるようにしたので、巻上げ動作に伴い、可撓性を有する長尺体がガラスフィルム又は支持体の変形に追従して変位又は変形する。言い換えると、可撓性を有する巻取り可能な長尺体を介して、剥離に必要な力をガラスフィルム又は支持体に伝達する構成を採ることで、ガラスフィルム又は支持体のうち既に剥離した領域に作用する曲げモーメント又は応力がなるべく小さくなるように、ガラスフィルム又は支持体の変形が許容される。これにより、巻上げ装置による巻上げ力をガラスフィルムと支持体との界面に付与しつつも、吸着側のワークのうち既に剥離した領域に強制的なたわみ変形が生じる事態を可及的に回避して、安全に剥離を行うことが可能となる。
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法は、長尺体のうち巻上げ装置に近い側が積層体の平面中央側、吸着部材に近い側が積層体の平面端部側となるように、長尺体を積層体の法線方向に対して傾けた状態で、吸着部材の巻上げ動作を開始するものであってもよい。
本発明に係る巻上げ装置は、ガラスフィルムと支持体のうち何れか一方のワークに吸着させた吸着部材を巻上げるものであるから、積層体や吸着部材よりも上方(ここでいう上方とは、積層体の吸着側の表面が界面から遠ざかる向きをいうものとする。本明細書において、以下同じ。)に位置する必要がある。ここで、例えば巻上げ装置を積層体の端部上方に配置して吸着部材を巻上げた場合、長尺体が積層体の法線方向に沿った姿勢で巻上げ動作が開始される。そして、剥離が進展するにつれて、吸着部材が上方かつ積層体の平面中央側に移行することで、吸着部材を介して積層体に付与される巻上げ力のうち界面に直交する向きの成分が小さくなっていく。これに対し、上述のように、長尺体のうち巻上げ装置に近い側が積層体の平面中央側、吸着部材に近い側が積層体の平面端部側となるように、長尺体を傾けた状態で、巻上げ動作を開始することで、剥離がある程度まで進展した時点においても、積層体に付与される巻上げ力のうち界面に直交する向きの成分を確保することができる。よって、ガラスフィルムが剥離の進展に伴い変形する場合であっても剥離に必要な力を安定して付与し続けることが可能となる。
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法は、巻上げ装置が、吸着部材の巻上げ動作に伴って、積層体の平面端部側から平面中央側に向けて移動できるようにしたものであってもよい。
このように巻上げ装置を移動可能に構成することで、ガラスフィルム又は支持体の変形に追従して巻上げ装置を移動させることができる。これにより、剥離動作時、特に、剥離開始直後だけでなく剥離の進展時、ガラスフィルム又は支持体に強制的なたわみ変形を生じる事態を確実に回避して(ガラスフィルム又は支持体のうち既に剥離した領域に生じる応力をさらに低減して)、割れ等の破損なく安全に剥離動作を行うことが可能となる。なお、この際、巻上げ装置の移動手段としては、例えばフリーローラ、MLガイドレール等のスライド機構(ガイド機能を兼ね備えたものでもよい)を採用することが可能である。
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法は、巻上げ装置による吸着部材の巻上げ高さが、一方のワークの対角線寸法の10%以上でかつ30%以下に設定されるものであってもよい。なお、ここでいう巻上げ高さとは、ガラスフィルム又は支持体に吸着した状態の吸着部材の巻上げ動作の開始時の位置と、巻上げ動作の間において最も上方にある時の位置との間の鉛直方向距離を意味するものとする。
このように、巻上げ装置による吸着部材の巻上げ高さを、剥離対象となる吸着側のワークの対角線寸法を基準にして上述の範囲に設定することで、剥離動作時、可撓性を有する長尺体を、ガラスフィルム又は支持体の変形に追従して安定的に変位又は変形させることができる。巻上げ装置が積層体の平面に沿った向きに移動可能な場合には、巻上げ装置もガラスフィルム又は支持体の変形に追従して積層体の平面に沿った向きに移動させることができる。これにより、ガラスフィルム又は支持体に強制的なたわみ変形を生じる事態を確実に回避して、割れ等の破損なく安全に剥離動作を行うことが可能となる。
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法は、巻上げ装置による吸着部材の巻上げ速度が、0.05mm/秒以上でかつ5.0mm/秒以下に設定されるものであってもよく、好ましくは0.1mm/秒以上でかつ2.0mm/秒以下に設定されるものであってもよい。
このように、巻上げ装置による吸着部材の巻上げ速度を上述の範囲に設定することによっても、剥離動作時、可撓性を有する長尺体を、ガラスフィルム又は支持体の変形に追従して安定的に変位又は変形させることができる。すなわち、あまりに巻上げ速度を大きくした(5.0mm/秒よりも大きくした)のでは、長尺体又は吸着部材の巻上げ動作に追従してガラスフィルム又は支持体が強制的にたわみ変形を生じるおそれが高まるからである。また、あまりに巻上げ速度を小さくした(0.05mm/秒未満とした)のでは、剥離に要する時間が大幅に増加し、作業効率の悪化につながるおそれがあるからである。以上の理由より、巻上げ速度を上述の範囲に設定することで、ガラスフィルム又は支持体に強制的なたわみ変形を生じる事態を確実に回避して、割れ等の破損なく安全にかつ効率よく剥離動作を行うことが可能となる。
また、本発明に係るガラスフィルムの製造方法は、一方のワークのコーナー部を吸着部材で吸着して、吸着部材を巻上げ装置で巻上げるものであってもよい。
上述したように、ガラスフィルムと支持体のうち何れか一方のワークを吸着部材で吸着すると共に、吸着部材に可撓性を有する長尺体を取付けた状態で、この長尺体を巻上げ装置で巻取ることで吸着部材を巻上げる形態を採る場合、ガラスフィルムと支持体のうち吸着側となる一方のワークのコーナー部を吸着部材で吸着して、この吸着部材を巻上げる形態を採ることが望ましい。このように吸着部材の吸着位置を設定することで、互いに固定されているガラスフィルムと支持体との界面をその端部から容易に剥離することができる。また、剥離の進展に伴い単位時間当たりの剥離面積が増加するので、これによっても無理なくガラスフィルムを支持体から剥離することが可能となる。
また、この場合、本発明に係るガラスフィルムの製造方法は、一方のワークの全てのコーナー部を、全てのコーナー部に対応する数の吸着部材で吸着して、各々の吸着部材を巻上げ装置で巻上げるものであってもよい。
このように、吸着側となる一方のワークのコーナー部を吸着部材で吸着する場合、当該ワークの全てのコーナー部(例えば矩形状をなすワークの場合、その四隅となる四つのコーナー部)を吸着部材で吸着して、各々の吸着部材(この場合であれば合計で四つ)を巻上げることで、ガラスフィルム又は支持体の四隅から同時に剥離を開始することができる。この方法によれば、一つの吸着部材当たりの巻上げ動作による剥離の進展距離を短くすることができる。よって、その分、各々の巻上げ動作を正確に行いつつも、全体として短時間に剥離工程を完了させることが可能となる。
また、前記第一の技術的課題の解決は、本発明に係るガラスフィルムの製造装置によっても達成される。すなわち、この製造装置は、ガラスフィルムと、ガラスフィルムを支持する支持体とを積層してなる積層体の支持体からガラスフィルムを剥離するための剥離装置を備えたガラスフィルムの製造装置において、剥離装置は、ガラスフィルムと支持体のうち何れか一方のワークを保持する保持部材と、他方のワークを吸着する吸着部材と、可撓性を有し、吸着部材に取付けられる長尺体と、長尺体を巻取ることで、吸着部材を巻上げる巻上げ装置とを有する点をもって特徴付けられる。
このように、本発明に係るガラスフィルムの製造装置では、本発明に係るガラスフィルムの製造方法と同様、支持体からガラスフィルムを剥離するに際して、ガラスフィルムと支持体のうち何れか一方のワークを保持部材で保持すると共に、他方のワークを吸着部材で吸着し、吸着部材に可撓性を有する長尺体を取付けた状態で、この長尺体を巻上げ装置で巻取ることにより、吸着部材を巻上げ可能とした。このように、可撓性を有する長尺体を巻上げ装置と吸着部材との間に介在させた状態で、ガラスフィルムと支持体のうち何れか一方のワークを吸着した状態の吸着部材を巻上げるようにしたので、巻上げ動作に伴い、可撓性を有する長尺体がガラスフィルム又は支持体の変形に追従して変位又は変形する。言い換えると、可撓性を有する長尺体を介して剥離に必要な力をガラスフィルム又は支持体に伝達する構成を採ることで、ガラスフィルム又は支持体のうち既に剥離した領域に作用する曲げモーメント又は応力がなるべく小さくなるように、ガラスフィルム又は支持体の変形が許容される。これにより、巻上げ装置による巻上げ力をガラスフィルムと支持体との界面に付与しつつも、吸着側のワークのうち既に剥離した領域に強制的なたわみ変形が生じる事態を可及的に回避して、安全に剥離を行うことが可能となる。
また、前記第二の技術的課題の解決は、本発明に係る電子デバイスの製造方法によって達成される。すなわち、この製造方法は、ガラスフィルムと、ガラスフィルムを支持する支持体とを積層して、ガラスフィルムを含む積層体を形成する積層体形成工程と、積層体のガラスフィルムに電子デバイス要素を取付けて支持体付き電子デバイスを形成する取付け工程と、取付け工程の後、支持体付き電子デバイスの支持体からガラスフィルムを含む電子デバイスを剥離する剥離工程とを備えた電子デバイスの製造方法において、剥離工程は、電子デバイスと支持体のうち何れか一方のワークを保持部材で保持すると共に、他方のワークを吸着部材で吸着する吸着保持工程と、吸着部材に可撓性を有する長尺体を取付けた状態で、長尺体を巻上げ装置で巻取ることで、吸着部材を巻上げる巻上げ工程とを有する点をもって特徴付けられる。
このように、支持体付き電子デバイスの支持体からガラスフィルムを含む電子デバイスを剥離するに際しても、本発明では、支持体からガラスフィルムを剥離するに際して、ガラスフィルムと支持体のうち何れか一方のワークを保持部材で保持すると共に、他方のワークを吸着部材で吸着し、吸着部材に可撓性を有する長尺体を取付けた状態で、この長尺体を巻上げ装置で巻取ることにより、吸着部材を巻上げるようにした。この方法によれば、巻上げ動作に伴い、可撓性を有する長尺体がガラスフィルム又は支持体の変形に追従して変位又は変形する。言い換えると、可撓性を有する長尺体を介して剥離に必要な力をガラスフィルム又は支持体に伝達する構成を採ることで、ガラスフィルム又は支持体のうち既に剥離した領域に作用する曲げモーメント又は応力がなるべく小さくなるように、ガラスフィルム又は支持体の変形が許容される。これにより、巻上げ装置による巻上げ力をガラスフィルムと支持体との界面に付与しつつも、吸着側のワークのうち既に剥離した領域に強制的なたわみ変形が生じる事態を可及的に回避して、安全に剥離を行うことが可能となる。従って、本発明によれば、ガラスフィルム等に割れ等の破損が生じる事態を防止して、ガラスフィルムを含む電子デバイスと支持体とを安全に分離することが可能となる。
以上に述べたように、本発明によれば、ガラスフィルム又は支持体の破損を防止して、安全に支持体からガラスフィルムを剥離することが可能となる。
また、以上に述べたように、本発明によれば、ガラスフィルム又は支持体の破損を防止して、安全に支持体からガラスフィルムを含む電子デバイスを剥離することが可能となる。
本発明の第一実施形態に係るガラスフィルムを含む電子デバイスの製造方法の手順を示すフローチャートである。 図1に示す剥離工程の詳細を示すフローチャートである。 ガラスフィルムを含む積層体の断面図である。 図3に示す積層体の平面図である。 図3に示す積層体に電子デバイス要素としての有機EL素子を取付けてなる支持体付き有機ELパネルの断面図である。 本発明の第一実施形態に係るガラスフィルムの剥離装置の平面図である。 図6に示す剥離装置を用いた剥離動作の一例を説明するための要部断面図であって、吸着部材でガラスフィルムを吸着した状態を示す図である。 図6に示す剥離装置を用いた剥離動作の一例を説明するための要部断面図であって、巻上げ装置で吸着部材を巻上げて、支持体からのガラスフィルムの剥離動作を開始した直後の状態を示す図である。 図6に示す剥離装置を用いた剥離動作の一例を説明するための要部断面図であって、図8に示す状態から吸着部材をさらに巻上げて、支持体からのガラスフィルムの剥離を進展させた状態を示す図である。 本発明の第二実施形態に係るガラスフィルムの剥離装置の平面図である。 図10に示す剥離装置を用いた剥離動作の一例を説明するための要部断面図であって、吸着部材でガラスフィルムを吸着した状態を示す図である。 図10に示す剥離装置を用いた剥離動作の一例を説明するための要部断面図であって、巻上げ装置で吸着部材を巻上げて、支持体からのガラスフィルムの剥離動作を開始した直後の状態を示す図である。 図10に示す剥離装置を用いた剥離動作の一例を説明するための要部断面図であって、図12に示す状態から吸着部材をさらに巻上げて、支持体からのガラスフィルムの剥離を進展させた状態を示す図である。 本発明の第三実施形態に係る剥離装置の平面図である。 本発明の適用対象である電子デバイスとして液晶パネルを製造する際の支持体付き液晶パネルの断面図である。
以下、本発明に係るガラスフィルムを含む電子デバイスの製造方法の第一実施形態を、図1〜図9を参照して説明する。なお、本実施形態では、電子デバイスとしての有機ELパネルを製造する際に、支持体が付いた状態の有機ELパネルを、ガラスフィルムと支持体との剥離により、有機ELパネルと支持体とに分離する場合を例にとって、以下に詳細を説明する。
本発明の第一実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、図1に示すように、ガラスフィルムを含む積層体を形成する積層体形成工程S1と、ガラスフィルムへの加熱を伴ってガラスフィルムに電子デバイス要素を取付けて支持体付き電子デバイスを形成する取付け工程S2と、支持体付き電子デバイスの支持体からガラスフィルムを含む電子デバイスを剥離する剥離工程S3とを備える。
また、剥離工程S3は、図2に示すように、ガラスフィルムを含む電子デバイスと支持体の一方を保持部材で保持すると共に、他方を吸着部材で吸着する吸着保持工程S31と、吸着部材に取付けた長尺体を巻上げ装置で巻取ることで、吸着部材を巻上げる巻上げ工程S32とを有する。以下、各工程を詳細に説明する。
(S1)積層体形成工程
まず、図3に示すように、支持体1上にガラスフィルム2を積層して積層体3を形成する。
ここで、ガラスフィルム2は、例えばケイ酸塩ガラス、シリカガラスなどで形成され、好ましくはホウ珪酸ガラスで形成され、より好ましくは無アルカリガラスで形成される。ガラスフィルム2にアルカリ成分が含まれていると、表面において陽イオンの脱落が発生し、いわゆるソーダ吹きの現象が起こり得る。その場合、ガラスフィルム2に構造的に粗となる部分が生じるため、このガラスフィルム2を湾曲(凹状変形を含む)させた状態で使用していると、経年劣化により粗となった部分を起点として破損を招くおそれがある。以上の理由より、非平坦状態でガラスフィルム2を使用する可能性がある場合、無アルカリガラスでガラスフィルム2を形成するのが好適である。
なお、ここでいう無アルカリガラスとは、アルカリ成分(アルカリ金属酸化物)が実質的に含まれていないガラスを指し、具体的には、アルカリ成分が3000ppm以下のガラスを指す。もちろん、上述した理由による経年劣化を少しでも防止又は軽減する観点からは、1000ppm以下のガラスが好ましく、500ppm以下のガラスがより好ましく、300ppm以下のガラスがさらに好ましい。
ガラスフィルム2の厚み寸法は、300μm以下に設定され、好ましくは200μm以下に設定され、より好ましくは100μm以下に設定される。厚み寸法の下限値については特段の制約なく設定可能であるが、成形後の取り扱い性(支持体1との積層時、あるいは剥離時など)などを考慮すると、1μm以上、好ましくは5μm以上に設定されるのがよい。
支持体1は、本実施形態では板状ガラスであって、ガラスフィルム2と同様、ケイ酸塩ガラス、シリカガラス、ホウ珪酸ガラス、無アルカリガラス等、公知のガラスで形成される。ただし、加熱を伴う電子デバイスの製造関連処理(本実施形態では取付け工程S2)において、熱膨張の差に起因するガラスフィルム2の不要な変形や破損を可及的に防止する観点から、30℃〜380℃の間における支持体1とガラスフィルム2との線膨張係数の差が最大で、5×10-7/℃以内となるよう、ガラスの種類を選択するのがよい。この場合、同一種類のガラスで支持体1とガラスフィルム2を形成することが好ましい。
支持体1の厚み寸法は、ガラスフィルム2の取り扱い性を向上させ得る限りにおいて特に制限はなく、ガラスフィルム2の厚み寸法と同一レベル又はそれ以上に設定される。具体的には、支持体1の厚み寸法は、300μm以上に設定され、好ましくは400μm以上に設定される。厚み寸法の上限値については特段の制約なく設定可能であるが、後述する支持体1の曲げ(凹状変形)に耐え得る程度の厚み寸法に留めておくのが好ましい。具体的には1000μm以下に設定されるのがよく、好ましくは700μm以下に設定されるのがよい。あるいは500μm以下に設定されるものでもよい。
また、これら支持体1とガラスフィルム2は、ダウンドロー法など公知の成形方法で成形され、好ましくはオーバーフローダウンドロー法で成形される。また、フロート法やスロットダウンドロー法、ロールアウト法、アップドロー法などによって成形することも可能である。なお、必要に応じて二次加工を施して(リドローによりガラス一次成形体を引き伸ばして)、100μm未満の厚み寸法に設定することも可能である。
積層体3を構成した状態において、支持体1とガラスフィルム2とは相互に、剥離可能な程度に固定されている。固定手段としては任意の手段が採用可能であり、本実施形態では、支持体1としての板状ガラスとガラスフィルム2とを、接着剤などを介在させることなく直接密着させることにより、相互固定を実現している。
この際、ガラスフィルム2の支持体1の側の表面2a(図3でいえば下側の表面)の表面粗さRaと、支持体1のガラスフィルム2の側の表面1a(図3でいえば上側の表面)の表面粗さRaは共に2.0nm以下に設定される。各表面1a,2aの表面粗さRaを上述した範囲に設定することで、支持体1とガラスフィルム2とを位置ずれなく相互に固定して積層する(積層体3を形成する)ことが可能となる。もちろん、密着性向上の観点からは、1.0nm以下とするのが好ましく、0.2nm以下とするのがより好ましい。
一方、ガラスフィルム2の支持体1とは反対側の表面2bの表面粗さRaの大きさは特に限定されないが、後述する取付け工程S2において、成膜等の電子デバイス関連処理を施す対象面となることから、その表面粗さRaは2.0nm以下であることが好ましく、1.0nm以下であることがより好ましく、0.2nm以下であることがさらに好ましい。
また、ガラスフィルム2の端部を保護する観点から、ガラスフィルム2と支持体1とを積層した状態において、支持体1がガラスフィルム2から食み出している(図3)。この場合、支持体1のガラスフィルム2からの食み出し量は、例えば0.5mm以上でかつ10mm以下に設定され、好ましくは0.5mm以上でかつ3.0mm以下に設定される。上述のように支持体1の食み出し量を小さく(最大でも10mm程度に)することで、相対的に大面積のガラスフィルム2を全面で効率よく支持することができる。
本実施形態では、図4に示すように、支持体1とガラスフィルム2は共に矩形状をなしている。また、この支持体1上にガラスフィルム2を積層してなる積層体3の全周縁において、支持体1がガラスフィルム2から食み出ている。すなわち、ガラスフィルム2の何れのコーナー部4からも支持体1が食み出した状態となっている。なお、本実施形態では積層体3の四辺縁全てにおいて、支持体1がガラスフィルム2から食み出ている形態を例示したが、もちろん、三辺縁ないし一辺縁で支持体1がガラスフィルム2から食み出ている形態を採ることも可能である。この場合、食み出ていない側の辺縁では、ガラスフィルム2の端面と支持体1の端面とが一致していることが望ましい。
なお、上記した積層体3の形成に際して、減圧下で積層作業を行うようにしてもよい。これにより、ガラスフィルム2を支持体1上に積層した際にガラスフィルム2と支持体1との間に生じる(残存する)気泡を低減もしくは消失させることが可能となる。
(S2)取付け工程
上述のようにガラスフィルム2を含む積層体3を形成した後、この積層体3に対して加熱を伴う電子デバイスの製造関連処理、具体的には、電子デバイス要素としての有機EL素子5の取付けを行う。これにより、図5に示すように、積層体3の一部をなすガラスフィルム2の支持体1とは反対側の表面2b上に有機EL素子5が形成される。そして、カバーガラス6を有機EL素子5上に載置して、カバーガラス6の周縁をガラスフィルム2に固定することで、有機EL素子5を封止する。これにより、電子デバイスとしての有機ELパネル7に支持体1が固定された状態の支持体付き有機ELパネル8が形成される。なお、図5では、カバーガラス6の端面とガラスフィルム2の端面とを一致させた状態で相互に固定しているものを例示しているが、例えばガラスフィルム2がカバーガラス6の周縁から食み出した状態で相互に固定することで、支持体付き有機ELパネル8を形成することも可能である。
ここで、カバーガラス6の厚み寸法は、例えば300μm以下に設定され、好ましくは200μm以下に設定され、より好ましくは100μm以下に設定される。このように、カバーガラス6の厚み寸法を設定することで、カバーガラス6に適当な可撓性をもたせることが可能となる。
また、ガラスフィルム2上への有機EL素子5の取付け態様は任意であり、例えばガラスフィルム2の支持体1とは反対側の表面2b上、CVD法やスパッタリング等の公知の成膜方法により、陽極層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、陰極層などを順に成膜形成することで有機EL素子5を形成するようにしてもよい(詳細な図示は省略)。また、カバーガラス6のガラスフィルム2への固定手段についても任意であり、例えば公知のレーザー封止技術を用いてカバーガラス6をガラスフィルム2に固定するようにしてもよい。この場合、CVD法やスパッタリング等による成膜処理が、加熱を伴う電子デバイス(有機ELパネル7)の製造関連処理に該当する。従って、上述のように有機EL素子5をガラスフィルム2の支持体1と反対側の表面2b上に形成することで、ガラスフィルム2が加熱される。また、この加熱に起因してガラスフィルム2と支持体1との間に新たな結合が形成され、積層時(積層体3を形成した際)に比べて、ガラスフィルム2と支持体1との固定力が高まる。
なお、図5に示す形態では、カバーガラス6とガラスフィルム2とを直接固定しているが、適宜公知のガラスフリットやスペーサ等(図示は省略)を利用してカバーガラス6をガラスフィルム2に接着固定してもよい。あるいは、カバーガラス6に対して支持体1を設けてもよく(図示は省略)、支持体1からカバーガラス6を剥離する際に、本発明を適用することも可能である。
(S3)剥離工程
このようにして、支持体付き有機ELパネル8を形成した後、支持体付き有機ELパネル8の支持体1からガラスフィルム2を含む有機ELパネル7を剥離する。図6は、上記剥離を行うための剥離装置10の平面図、図7は、図6に示す剥離装置10の要部断面図を示している。これらの図に示すように、剥離装置10は、ガラスフィルム2を含む有機ELパネル7と支持体1のうち何れか一方のワークを保持する保持部材11と、他方のワークを吸着する吸着部材12と、可撓性を有し、吸着部材12に取付けられる長尺体13と、長尺体13を巻取ることで、吸着部材12を巻上げる巻上げ装置14とを備える。以下、各要素の詳細を説明する。なお、図6以降においては、支持体付き有機ELパネル8に含まれる有機EL素子5及びカバーガラス6の図示を省略している。
保持部材11は平坦な載置面15を有するもので、積層体3を含む支持体付き有機ELパネル8を載置面15で支持可能とする。本実施形態では、支持体1のガラスフィルム2とは反対側の表面1bを載置面15に当接させた状態で、支持体付き有機ELパネル8が支持されるようになっている。
また、保持部材11の載置面15には所定形状の溝16が形成されると共に、この溝16に開口する吸引孔17が形成されている。この溝16は、載置面15上に載置される支持体付き有機ELパネル8の周縁部(本実施形態では支持体1の周縁部1c)に沿うように形成され、支持体付き有機ELパネル8を載置面15上に載置した状態では、溝16の全域が支持体1に覆われた状態となる(図6)。従って、吸引孔17に接続される吸引装置18(図7を参照)を駆動して、支持体1と溝16とで囲まれた空間を吸引(例えば真空引き)することで、載置面15に支持体1が吸着保持されるようになっている。
また、この際の吸着圧(真空圧)は、例えば支持体1を、剥離動作の間、破損させることなく確実に保持し続けることが可能な大きさに設定される。具体的には、支持体1の吸着圧は、0.03MPa以上でかつ0.15MPa以下に設定され、好ましくは0.05MPa以上でかつ0.10MPa以下に設定される。
吸着部材12は、例えば図7に示すように、パッド形状をなすもので、有機ELパネル7を構成するガラスフィルム2の支持体1と反対側の表面2b(実際には、図示を省略するカバーガラス6の表面)に吸着できるように構成されている。本実施形態では、吸着部材12は、ガラスフィルム2のコーナー部4を吸着可能な位置に配設されている。
また、吸着部材12によるガラスフィルム2の吸着圧は、例えば、0.1MPa以上でかつ1.0MPa以下に設定され、好ましくは0.2MPa以上でかつ0.8MPa以下に設定される。
長尺体13は、図7に示すように、その一端部13aを吸着部材12に取付けてなる。この長尺体13は、所定の可撓性を有するもので、例えば、縄、紐、綱、ロープ等の索状体、リボン、テープ等の帯状体、あるいは、チェーン等の鎖状体で構成される。また、長尺体13の長さは、後述する巻上げ装置14の位置、ガラスフィルム2のサイズ等に応じて、十分な巻上げ量を確保し得る範囲内で適当な大きさに設定される。
巻上げ装置14は、図7に示すように、支持体付き有機ELパネル8の上方に配置されるもので、長尺体13をその他端側13b(一端部13aとは反対の側)から巻取ることで、長尺体13の一端部13aに取付けられた吸着部材12を巻上げ可能としている。
本実施形態では、巻上げ装置14は、ハウジング19と、一又は複数の支持ローラ20と、巻取りローラ21、及び回転駆動部22とを有する。支持ローラ20、巻取りローラ21、及び回転駆動部22はハウジング19に収容される。このうち、支持ローラ20は長尺体13を掛け渡した状態で支持しており、巻取りローラ21は、長尺体13の他端側13bを巻取り可能な状態になっている。そして、回転駆動部22の回転軸(図示は省略)は巻取りローラ21の中心軸に連結されており、回転駆動部22の回転駆動に伴い、巻取りローラ21の外周に長尺体13がその他端側13bから巻き取られるようになっている。また、ハウジング19には、巻上げ時における長尺体13の傾動を許容するべく、所定の範囲にスリット23が設けられている。
また、本実施形態では、図示しない床面から立設した(あるいは保持部材11に取り付けられ、立設した状態にある)支柱24にハウジング19が取り付けられている。これにより、巻上げ装置14が剥離対象となる支持体付き有機ELパネル8から所定の高さ位置に固定されている。
次に、上記構成の剥離装置10を用いた支持体1からの有機ELパネル7の剥離動作の一例を、その作用効果と共に、主に図7〜図9に基づき説明する。
(S31)吸着保持工程
まず、剥離対象となる支持体付き有機ELパネル8を保持部材11の上に載置する(図6)。そして、吸引装置18の駆動により、保持部材11の載置面15に支持体1を吸着保持する。また、支持体付き有機ELパネル8の上方に配置した吸着部材12を下降させて、ガラスフィルム2の支持体1とは反対側の表面2bに吸着させる(図7)。この時点では、支持体1及びガラスフィルム2は何れも平坦な状態にある。また、この時点では、長尺体13は、その他端側13bを、積層体3(ガラスフィルム2)の法線Nに沿った方向に対して角度θだけ積層体3の平面中央側に傾けた状態にある。
(S32)巻上げ工程
次に、巻上げ装置14により長尺体13を巻取ることで、長尺体13に取付けられた吸着部材12を巻上げる。詳述すると、図7に示す状態から、回転駆動部22を回転駆動させることにより、巻取りローラ21への長尺体13の巻取り動作をその他端側13bから開始する。この際の巻上げ速度は、例えば巻上げ開始時から終了時までの間、一定の大きさに設定され、具体的には、0.05mm/秒以上でかつ5.0mm/秒以下に設定され、好ましくは0.1mm/秒以上でかつ2.0mm/秒以下に設定される。これにより、長尺体13の一端部13aに取付けられた吸着部材12に対して長尺体13の長手方向に沿った向き(ここでは、図7に示す上向き)の巻上げ力Fが作用する。この際、吸着部材12はガラスフィルム2に吸着した状態にあるため、吸着部材12を介してこの巻上げ力Fがガラスフィルム2に作用する。一方、支持体1は保持部材11に所定の吸着力Gで吸着保持された状態にあるため、これら巻上げ力Fと吸着力Gとがガラスフィルム2と支持体1とを互いに引き離す向きの力として作用し、図8に示すように、支持体1からガラスフィルム2が剥離を開始する。本実施形態では、吸着部材12をガラスフィルム2のコーナー部4に吸着させた状態から巻上げ動作を開始するため、このコーナー部4を起点として、ガラスフィルム2が支持体1からの剥離を開始する。
このようにガラスフィルム2の剥離が開始された後、引き続き吸着部材12の巻上げ動作を行うことで、支持体1からのガラスフィルム2の剥離を進展させる。この際、図9に示すように、ある程度、ガラスフィルム2の剥離が進展するに従って、吸着部材12は上方に引き上げられ(巻上げられ)、これに伴って、吸着部材12に吸着された状態のガラスフィルム2もそのコーナー部4が引き上げられるように変形する。ここで、本発明に係る剥離装置10では、可撓性を有する長尺体13を巻上げ装置14と吸着部材12との間に介在させた状態で、ガラスフィルム2を吸着した状態の吸着部材12を巻上げるようにしたので、巻上げ動作に伴い、可撓性を有する長尺体13がガラスフィルム2の変形に追従して変位又は変形する。言い換えると、可撓性を有する長尺体13を介して剥離に必要な力をガラスフィルム2に伝達する構成を採ることで、ガラスフィルム2のうち既に剥離した領域2cに作用する曲げモーメント又は応力がなるべく小さくなるように、ガラスフィルム2の変形が許容される。図9でいえば、ガラスフィルム2が、剥離が進展するにつれて、その吸着部材12により吸着された領域(既に剥離した領域2cの端部側)を水平状態とし、かつこの領域よりも平面中央側がうねるように湾曲変形するのに伴って、長尺体13がガラスフィルム2の上記変形を許容するように支持ローラ20との接点を起点として傾動していく。これにより、巻上げ装置14による巻上げ力Fをガラスフィルム2と支持体1との界面に付与しつつも、ガラスフィルム2のうち既に剥離した領域2cに強制的なたわみ変形が生じる事態を可及的に回避して、安全に剥離が行われる。
以上のようにして、巻上げ動作を続行することで、ガラスフィルム2の剥離領域2cが増大し、剥離面積(剥離領域2c)が所定の大きさに至った時点で巻上げ動作を停止する。然る後、必要に応じて例えば作業者の手でガラスフィルム2を支持体1から完全に剥離させることで、ガラスフィルム2を含む有機ELパネル7と支持体1とが互いに分離し、ガラスフィルム2の剥離動作が完了する。もちろん、諸条件によっては、巻上げ動作のみで、ガラスフィルム2の剥離が自ずとその全域に拡大し、支持体1から完全に剥離させることも可能である。なお、巻上げ動作の間における吸着部材12の巻上げ高さh(図7に示す巻上げ開始時の位置から、図9中の二点鎖線で示す巻き上げ期間中での最大高さ位置までの鉛直方向距離)は、例えば、吸着対象となるガラスフィルム2の対角線寸法の10%以上でかつ30%以下に設定される。
以上、本発明に係るガラスフィルムを含む電子デバイスの製造方法の一実施形態(第一実施形態)を説明したが、この製造方法は、当然に本発明の範囲内において任意の形態を採ることができる。
図10は、本発明の第二実施形態に係る剥離装置25の平面図、図11は、図10に示す剥離装置25の要部断面図を示している。この剥離装置25は、主に、巻上げ装置14による吸着部材12の巻上げ動作に伴い、巻上げ装置14をスライド可能とするスライド機構26をさらに備える点で、第一実施形態に係る剥離装置10と相違する。
このスライド機構26は、レール部27と、レール部27に嵌り合ってレール部27の長手方向にスライド可能な嵌合部28とを有する。本実施形態では、レール部27は溝状をなし、この溝状のレール部27に嵌り合う嵌合部28は突条をなす(図11を参照)。従って、この嵌合部28をハウジング19と一体又は別体に形成して、嵌合部28をレール部27に嵌合することで、巻上げ装置14がレール部27上を水平方向(ここでは載置面15と平行な方向)に沿ってスライド自在に支持された状態となる。この際、長尺体13を支持及び巻取るための支持ローラ20、巻取りローラ21、及び回転駆動部22は何れもハウジング19に固定される。なお、これらレール部27と嵌合部28には、ハウジング19と同様、長尺体13の通過並びにその移動を許容するためのスリット29,30がそれぞれ設けられている。
次に、上記構成の剥離装置25を用いた支持体1からの有機ELパネル7の剥離動作の一例を、その作用効果と共に、主に図11〜図13に基づき説明する。
(S31)吸着保持工程
まず、剥離対象となる支持体付き有機ELパネル8を保持部材11の上に載置する(図10)。そして、吸引装置18の駆動により、保持部材11の載置面15に支持体1を吸着保持する。また、支持体付き有機ELパネル8の上方に配置した吸着部材12を下降させて、ガラスフィルム2の支持体1とは反対側の表面2bに吸着させる(図11)。この時点では、支持体1及びガラスフィルム2は何れも平坦な状態にある。
(S32)巻上げ工程
次に、巻上げ装置14により長尺体13を巻取ることで、長尺体13に取付けられた吸着部材12を巻上げる。詳述すると、図11に示す状態から、回転駆動部22を回転駆動させることにより、巻取りローラ21への長尺体13の巻取り動作をその他端側13bから開始する。この際の巻上げ速度は、第一実施形態と同様の大きさに設定される。これにより、長尺体13の一端部13aに取付けられた吸着部材12に対して長尺体13の長手方向に沿った向き(ここでは、図11に示す上向き)の巻上げ力Fが作用する。この際、吸着部材12はガラスフィルム2に吸着した状態にあるため、吸着部材12を介してこの巻上げ力Fがガラスフィルム2に作用する。一方、支持体1は保持部材11に所定の吸着力Gで吸着保持された状態にあるため、これら巻上げ力Fと吸着力Gとがガラスフィルム2と支持体1とを互いに引き離す向きの力として作用し、図12に示すように、支持体1からガラスフィルム2が剥離を開始する。本実施形態では、吸着部材12をガラスフィルム2のコーナー部4に吸着させた状態から巻上げ動作を開始したので、このコーナー部4を起点として、ガラスフィルム2が支持体1からの剥離を開始する。この時点では、巻上げ装置14は、吸着部材12の略鉛直上方に位置している(図12)。
このようにガラスフィルム2の剥離が開始された後、引き続き吸着部材12の巻上げ動作を行うことで、支持体1からのガラスフィルム2の剥離を進展させる。この際、図13に示すように、ある程度、ガラスフィルム2の剥離が進展するに従い、吸着部材12は上方に引き上げられ(巻上げられ)、これに伴って、吸着部材12に吸着された状態のガラスフィルム2も引き上げられるように変形する。ここで、本発明に係る剥離装置25では、可撓性を有する長尺体13を巻上げ装置14と吸着部材12との間に介在させた状態で、ガラスフィルム2を吸着した状態の吸着部材12を巻上げるようにしたので、巻上げ動作に伴い、可撓性を有する長尺体13がガラスフィルム2の変形に追従して変位又は変形する。また、これに加えて、本実施形態に係る剥離装置25では、上記巻上げ動作に伴い、巻上げ装置14をスライドさせるスライド機構26を設けたので、ガラスフィルム2の変形に追従して巻上げ装置14を移動させることができる。これにより、剥離動作時、特に、剥離開始直後だけでなく剥離の進展時、ガラスフィルム2に強制的なたわみ変形を生じる事態を確実に回避して(ガラスフィルム2のうち既に剥離した領域2cに生じる応力をさらに低減して)、割れ等の破損なく安全に剥離動作が行われる。
以上のようにして、巻上げ動作を続行することで、ガラスフィルム2の剥離領域2cが増大し、剥離面積(剥離領域2c)が所定の大きさに至った時点で巻上げ動作を停止する。然る後、必要に応じて例えば作業者の手でガラスフィルム2を支持体1から完全に剥離させることで、ガラスフィルム2を含む有機ELパネル7と支持体1とが互いに分離し、ガラスフィルム2の剥離動作が完了する。あるいは、本実施形態のように、スライド機構26(レール部27)をガラスフィルム2の平面中央位置まで延長して設ける場合、ガラスフィルム2の剥離領域2cがその平面中央位置、すなわちガラスフィルム2の半分を超える状態になるまで、巻上げ装置14の移動を伴って巻上げ動作を続行することで、ガラスフィルム2の剥離が自ずとその全域にまで進展する(すなわちガラスフィルム2が完全に剥離する)形態をとることも可能である。
なお、本実施形態では、ガラスフィルム2の一つのコーナー部4に一個の吸着部材12を吸着させ、この吸着部材12の上方に配置した巻上げ装置14で吸着部材12を巻上げる場合を例示したが、もちろんこれに限定される必要はない。図14は、その他の形態(第三実施形態)に係る剥離装置31の平面図を示している。この剥離装置31は、吸着部材12と長尺体13、巻上げ装置14、及びスライド機構26をガラスフィルム2の全て(四つ)のコーナー部4に配設してなる。各スライド機構26は、ガラスフィルム2の平面中央に配設した連結部32によって相互に連結されている。
そして、例えば図示は省略するが、第二実施形態と同様の手順で、四つの吸着部材12をそれぞれ対応するガラスフィルム2のコーナー部4に吸着させると共に、保持部材11に支持体1を吸着保持する(吸着保持工程S31)。然る後、四つの巻上げ装置14により対応する吸着部材12を例えば同期して巻上げることにより、ガラスフィルム2をその四つのコーナー部4から剥離を開始させ、平面中央側に向けて剥離を進展させる(巻上げ工程S32)。これにより、ガラスフィルム2が支持体1から完全に剥離する。この場合、ガラスフィルム2が完全に剥離するまでに必要な吸着部材12の巻上げ量(巻上げ高さ)は、第二実施形態に係る剥離装置25を用いて剥離を行う場合よりも少なくて済む。よって、剥離作業に要する時間を短縮することが可能となる。
なお、必要に応じて、吸着すべきガラスフィルム2のコーナー部4の数を二つ又は三つにすることも可能であり、その場合、配設すべき吸着部材12、長尺体13、巻上げ装置14、及びスライド機構26の組数は二組又は三組でよい。もちろん、この際、スライド機構26を省略して、複数の吸着部材12、長尺体13、及び巻上げ装置14のみを配設することも可能である。
また、以上の説明では、吸着部材12の巻上げ態様として、巻上げ装置14による吸着部材12の巻上げ速度を所定の大きさに調整することで、すなわち変位制御によって、ガラスフィルム2の剥離を制御する場合を例示したが、もちろん、これ以外の制御態様を取ることも可能である。例えば回転駆動部22がトルク制御可能なモータである場合には、巻上げ動作時のトルクを所定の大きさに調整(例えば巻上げ動作の経過に伴って、比例的にトルクが増大するように設定)することで、ガラスフィルム2の剥離を制御するようにしてもかまわない。
また、以上の説明では、巻上げ装置14を所定の方向に沿って直線移動させるスライド機構26を設けた場合を例示したが、もちろん直線移動以外の態様で巻上げ装置14の移動を許容する構成を採ることも可能である。
また、以上の説明では、巻上げ装置14の全体を所定の方向に移動可能な構成をとる場合を例示したが、巻上げ装置14の一部(例えば支持ローラ20など)を所定の方向に移動させ得るような構成を採ることも可能である。
また、以上の説明では、支持体1を保持部材11で保持し、ガラスフィルム2を吸着部材12で吸着する場合を例示したが、もちろん本発明はこの形態には限られない。例えば図示は省略するが、支持体付き有機ELパネル8を図7等とは逆向きに保持部材11に載置し、ガラスフィルム2(あるいはカバーガラス6)を保持部材11で保持すると共に、支持体1を吸着部材12で吸着した後、巻上げ装置14の駆動により吸着部材12を巻上げて、支持体1を変形させながらガラスフィルム2から剥離させるようにしてもかまわない。
また、以上の説明では、保持部材11として、載置面15に設けた溝16及び溝16に開口形成した吸引孔17を用いて、載置面15上の部材(ここでは支持体1)を吸着保持するものを例示したが、もちろん吸着以外の手段(例えばクランプ機構など)で載置面15上の部材を保持する構成をとるようにしてもよい。
また、以上の説明では、支持体1がガラスフィルム2から食み出した状態の積層体3(支持体付き有機ELパネル8)に対して本発明を適用した場合を例示したが、もちろん支持体1とガラスフィルム2とが上記以外の位置関係を有する場合(例えば支持体1とガラスフィルム2とが食み出しなく完全に重ね合わさった形態をなす場合)にも、本発明を適用することは可能である。
また、以上の説明では、ガラスフィルム2が支持体1に対してその全面にわたって固定(直接密着)している状態の支持体付き有機ELパネル8に対して、本発明に係る吸着保持工程S31及び巻上げ工程S32を実施する場合を例示したが、例えば予めガラスフィルム2の端部(コーナー部4など)を支持体1に対して剥離することで、ガラスフィルム2をその全面にわたって剥離する際の起点となる剥離起点部を作製しておき(剥離起点部作製工程)、然る後、本発明に係る吸着保持工程S31及び巻上げ工程S32を実施するようにしてもよい。
また、上記実施形態では、支持体1として板状ガラスを採用し、かつこの支持体1とガラスフィルム2とを直接密着で相互に固定した場合を例示したが、もちろんこれ以外の手段でガラスフィルム2と支持体1とを固定してなる積層体3に対しても本発明を適用することは可能である。例えば、アクリル粘着層、シリコーン薄膜層、無機薄膜層(ITO、酸化物、金属、カーボン)など非ガラス材からなる層と板状ガラスとで支持体1を構成し、非ガラス材層とガラスフィルム2を密着させてなる積層体(図示は省略)に対しても本発明を適用することが可能である。
また、以上の説明では、電子デバイスとして有機ELパネル7を製造する場合を例示したが、もちろんこれ以外の電子デバイスの製造方法に対しても本発明を適用することが可能である。図15はその一例に係る支持体付き液晶パネル33の断面図を示している。このパネル33は、最終製品としての液晶パネル34の両側に一対の支持体1,1を固定してなるもので、例えば以下のようにして形成される。すなわち、まずそれぞれ支持体1とガラスフィルム2とを積層してなる一対の積層体3,3を形成する(積層体形成工程S1)。然る後、一方の積層体3のガラスフィルム2の表面2b上に、図示しない液晶を封入するための空間を区画形成するスペーサ35を形成し、このスペーサ35上に他方の積層体3のガラスフィルム2を固定する(取付け工程S2)。このようにして支持体付き液晶パネル33を形成した後、上述した剥離方法で支持体1を一枚ずつ剥離し(剥離工程S3)、1枚の支持体付き液晶パネル33を、2枚の支持体1,1と、1枚の液晶パネル34とに分離する。よって、液晶パネル34を製造する場合にあっても本発明を適用して、ガラスフィルム2を破損させることなく、安全かつ容易に支持体付き液晶パネル33を、支持体1と液晶パネル34とに分離させることが可能となる。
もちろん、ガラスフィルム2自体を最終製品として取得(製造)する場合においても、本発明に係るガラスフィルムの製造方法を適用することにより、ガラスフィルム2を破損させることなく、安全かつ容易に支持体1からガラスフィルム2を剥離することが可能となる。
1 支持体
2 ガラスフィルム
2c 剥離領域
3 積層体
4 コーナー部
5 有機EL素子
6 カバーガラス
7 有機ELパネル
8 支持体付き有機ELパネル
10,25,31 剥離装置
11 保持部材
12 吸着部材
13 長尺体
14 巻上げ装置
15 載置面
16 溝
17 吸引孔
18 吸引装置
19 ハウジング
20 支持ローラ
21 巻取りローラ
22 回転駆動部
23,29,30 スリット
24 支柱
26 スライド機構
27 レール部
28 嵌合部
32 連結部
33 支持体付き液晶パネル
34 液晶パネル
35 スペーサ
F 巻上げ力
G 吸着力
S1 積層体形成工程
S2 取付け工程
S3 剥離工程
S31 吸着保持工程
S32 巻上げ工程

Claims (9)

  1. ガラスフィルムと、前記ガラスフィルムを支持する支持体とを積層して、ガラスフィルムを含む積層体を形成する積層体形成工程と、
    前記積層体に製造関連処理を施す製造関連処理工程と、
    前記製造関連処理工程の後、前記支持体から前記ガラスフィルムを剥離する剥離工程とを備えたガラスフィルムの製造方法において、
    前記剥離工程は、
    前記ガラスフィルムと前記支持体のうち何れか一方のワークを保持部材で保持すると共に、他方のワークを吸着部材で吸着する吸着保持工程と、
    前記吸着部材に可撓性を有する長尺体を取付けた状態で、前記長尺体を巻上げ装置で巻取ることで、前記吸着部材を巻上げる巻上げ工程と
    を有することを特徴とするガラスフィルムの製造方法。
  2. 前記長尺体のうち前記巻上げ装置に近い側が前記積層体の平面中央側、前記吸着部材に近い側が前記積層体の平面端部側となるように、前記長尺体を前記積層体の法線方向に対して傾けた状態で、前記吸着部材の巻上げ動作を開始する請求項1に記載のガラスフィルムの製造方法。
  3. 前記巻上げ装置が、前記吸着部材の巻上げ動作に伴って、前記積層体の平面端部側から前記平面中央側に向けて移動できるようにした請求項1又は2に記載のガラスフィルムの製造方法。
  4. 前記巻上げ装置による前記吸着部材の巻上げ高さは、前記一方のワークの対角線寸法の10%以上でかつ30%以下に設定される請求項1〜3の何れかに記載のガラスフィルムの製造方法。
  5. 前記巻上げ装置による前記吸着部材の巻上げ速度は、0.05mm/秒以上でかつ5.0mm/秒以下に設定される請求項1〜4の何れかに記載のガラスフィルムの製造方法。
  6. 前記一方のワークのコーナー部を前記吸着部材で吸着して、前記吸着部材を前記巻上げ装置で巻上げる請求項1〜5の何れかに記載のガラスフィルムの製造方法。
  7. 前記一方のワークの全てのコーナー部を、前記全てのコーナー部に対応する数の前記吸着部材で吸着して、前記各々の吸着部材を前記巻上げ装置で巻上げる請求項6に記載のガラスフィルムの製造方法。
  8. 前記ガラスフィルムと、前記ガラスフィルムを支持する支持体とを積層してなる積層体の前記支持体から前記ガラスフィルムを剥離するための剥離装置を備えたガラスフィルムの製造装置において、
    前記剥離装置は、
    前記ガラスフィルムと前記支持体のうち何れか一方のワークを保持する保持部材と、
    他方のワークを吸着する吸着部材と、
    可撓性を有し、前記吸着部材に取付けられる長尺体と、
    前記長尺体を巻取ることで、前記吸着部材を巻上げる巻上げ装置と
    を有することを特徴とするガラスフィルムの製造装置。
  9. ガラスフィルムと、前記ガラスフィルムを支持する支持体とを積層して、前記ガラスフィルムを含む積層体を形成する積層体形成工程と、
    前記積層体の前記ガラスフィルムに電子デバイス要素を取付けて支持体付き電子デバイスを形成する取付け工程と、
    前記取付け工程の後、前記支持体付き電子デバイスの前記支持体から前記ガラスフィルムを含む電子デバイスを剥離する剥離工程とを備えた電子デバイスの製造方法において、
    前記剥離工程は、
    前記電子デバイスと前記支持体のうち何れか一方のワークを保持部材で保持すると共に、他方のワークを吸着部材で吸着する吸着保持工程と、
    前記吸着部材に可撓性を有する長尺体を取付けた状態で、前記長尺体を巻上げ装置で巻取ることで、前記吸着部材を巻上げる巻上げ工程と
    を有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
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