JP2016037329A - ガラスフィルムの剥離方法および電子デバイスの製造方法 - Google Patents

ガラスフィルムの剥離方法および電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラスフィルムを支持ガラスから剥離するときの、ガラスフィルムの曲率変化を抑えて、剥離時におけるガラスフィルムおよび電子デバイスの破損を防止する。
【解決手段】ガラスフィルム1と支持体たる支持ガラス2を有するガラスフィルム積層体3からガラスフィルム1を剥離するガラスフィルム1の剥離方法であって、支持ガラス2から剥離した後のガラスフィルム1を、支持ガラス2から離反する方向に向けて湾曲させることで第一湾曲部W1を形成し、第一湾曲部W1の曲率(1/R1)を、一定に保持しながら支持ガラス2からガラスフィルム1を剥離する。
【選択図】図3

Description

本発明は、ガラスフィルムの剥離方法および電子デバイスの製造方法の技術に関する。
近年、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等のフラットパネルディスプレイが普及している。これらのフラットパネルディスプレイにおいては、さらなる薄型化へのニーズが存在している。
フラットパネルディスプレイの薄型化を推進するためには、それに使用するガラス基板の薄型化を図る必要がある。薄板化されたガラス基板としては、以下の特許文献1に記載された厚み200μm以下のガラスフィルムが提案されている。
特許文献1に記載された超薄板のガラスフィルムは可撓性に富むため、デバイス製造関連処理を行う際のハンドリングが行い難いという問題がある。
このため、以下の特許文献2に記載されているように、ガラスフィルムを支持ガラス上に積層してガラスフィルム積層体を形成し、ガラスフィルム積層体の状態でガラスフィルムに対してデバイス製造関連処理を行うことが提案されている。
そして、ガラスフィルム積層体の状態でガラスフィルムに対するデバイス製造関連処理を行った場合には、当該処理後において、支持ガラスからガラスフィルムを剥離する必要がある。
支持ガラスからガラスフィルムを剥離するための方法としては、特許文献3に記載された剥離装置を用いた方法が提案されている。
特許文献3に記載されている剥離装置は、ガラスフィルムの幅方向と長さ方向にそれぞれ列置された複数の吸着パッドでガラスフィルムを吸着し、当該吸着パッドでガラスフィルムを引き剥がすことで、支持ガラスからガラスフィルムを順次離反させる構成としている。
特開2010−132531号公報 特開2011−183792号公報 特開2013−56774号公報
特許文献3に記載された剥離装置を用いてガラスフィルムの剥離を行った場合、支持ガラスからガラスフィルムを離反させるためには、ガラスフィルムに対して比較的大きな応力を付与する必要がある。支持ガラスからガラスフィルムが離反した瞬間に、ガラスフィルムに付与した応力が開放されることで、ガラスフィルムの曲率が瞬時に大きく変化することとなるが、このようなガラスフィルムの曲率の大きな変化は、ガラスフィルムが破損する原因となり得る。このため、このような剥離装置を用いた場合には、剥離時にガラスフィルムを破損する可能性が高くなっていた。
加えて、吸着パッドで引っ張ってガラスフィルムを剥離させる場合には、ガラスフィルムの幅方向に列置された各吸着パッド間で剥離のタイミングに差が生じることがある。
そして、各吸着パッド間で剥離のタイミングに差が生じると、ガラスフィルムの曲率が幅方向において変化することとなり、剥離時にガラスフィルムがねじれることでより破損する可能性が高まることとなっていた。
本発明は、斯かる現状の課題を鑑みてなされたものであり、ガラスフィルムを支持ガラスから剥離するときの、ガラスフィルムの曲率変化を抑えて、剥離時におけるガラスフィルムおよび電子デバイスの破損を防止するガラスフィルムの剥離方法および電子デバイスの製造方法を提供することを目的としている。
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
即ち、請求項1に係る発明は、ガラスフィルムと支持体を有するガラスフィルム積層体から前記ガラスフィルムを剥離するガラスフィルムの剥離方法であって、前記支持体から剥離した後の前記ガラスフィルムを、前記支持体から離反する方向に向けて湾曲させることで第一の湾曲部を形成し、前記第一の湾曲部の曲率を、一定に保持しながら前記支持体から前記ガラスフィルムを剥離することを特徴とする。
請求項2に係る発明は、前記ガラスフィルムの剥離方向における前記第一の湾曲部の上手側端部からさらに上手側の前記ガラスフィルムを、前記支持体に近接する方向に向けて湾曲させることで第二の湾曲部を形成し、前記第二の湾曲部の曲率を、一定に保持しながらガラスフィルムを剥離することを特徴とする。
請求項3に係る発明は、前記第一の湾曲部の曲率と前記第二の湾曲部の曲率を、略同一の曲率とすることを特徴とする。
請求項4に係る発明は、前記第一の湾曲部において、剥離した後の前記ガラスフィルムを第一の曲率保持部材に沿わせることで、前記第一の湾曲部の曲率を、一定に保持することを特徴とする。
請求項5に係る発明は、前記第一の曲率保持部材を、回転可能なローラ部材で構成することを特徴とする。
請求項6に係る発明は、前記第一の曲率保持部材を、回転可能なローラ状の吸着体で構成し、前記吸着体によって、前記ガラスフィルムを吸着することで、前記第一の湾曲部における前記ガラスフィルムを前記吸着体に沿わせることを特徴とする。
請求項7に係る発明は、前記第二の湾曲部における前記ガラスフィルムに第二の曲率保持部材を当接させて、前記第一の湾曲部と前記第二の湾曲部の境界位置を決定することを特徴とする。
請求項8に係る発明は、ガラスフィルムと支持ガラスとを積層してガラスフィルム積層体を作製する第一の工程と、前記ガラスフィルム積層体における前記ガラスフィルムに電子デバイス製造関連処理を行う第二の工程と、前記電子デバイス製造関連処理後の前記ガラスフィルム積層体から、前記ガラスフィルムに電子デバイス製造関連処理を施して得た電子デバイスを剥離する第三の工程と、を有する電子デバイスの製造方法であって、前記第三の工程において、前記支持ガラスから剥離した前記電子デバイスが一定の曲率に保持されるように、支持ガラスから電子デバイスを剥離することを特徴とする。
請求項1〜請求項7に係る発明によれば、支持体から剥離したガラスフィルムの曲率を一定に保持することができる。これにより、支持体から剥離する際にガラスフィルムが破損することを防止できる。
また、請求項8に係る発明によれば、支持ガラスから剥離した電子デバイスの曲率を一定に保持することができる。これにより、支持ガラスから剥離する際に電子デバイスが破損することを防止でき、ひいては、電子デバイスの品質および歩留まりの向上を図ることができる。
本発明の一実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法の適用対象たるガラスフィルム積層体の構成を示す斜視模式図。 ガラスフィルムと支持ガラスの接合メカニズムを説明するための模式図、(a)水酸基同士の水素結合の状況を示す図、(b)水分子を介在する水素結合の状況を示す図、(c)加熱に伴う脱水反応による共有結合の増強状況を示す図。 本発明に係るガラスフィルムの剥離方法を示す模式図、(a)第一の実施形態を示す模式図、(b)第二の実施形態を示す模式図。 本発明に係るガラスフィルムの剥離方法を示す模式図、(a)第三の実施形態を示す模式図、(b)第四の実施形態を示す模式図。 本発明に係るガラスフィルムの剥離方法を示す模式図、(a)第五の実施形態を示す模式図、(b)第六の実施形態を示す模式図。 本発明の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法を示す側面視模式図。 電子デバイスを構成するガラスフィルムの作製方法(オーバーフローダウンドロー法)を示す側面視断面模式図。 支持ガラス付電子デバイスを示す側面視模式図。 本発明に係る電子デバイスの製造方法における電子デバイスの剥離状況を示す側面視模式図。
以下、本発明に係るガラスフィルムの剥離方法および電子デバイスの製造方法の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
ここではまず、本発明の一実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法の適用対象たるガラスフィルム積層体について、説明をする。
本発明の一実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法は、ガラスフィルム積層体からガラスフィルムを剥離するための方法である。
ガラスフィルム積層体とは、ガラスフィルムのハンドリング性向上を目的として、支持体の上にガラスフィルムを積層して製造される板状の部材である。そして、ガラスフィルム積層体の状態で、ガラスフィルムに対してデバイス製造関連処理を行い、その後、支持体とガラスフィルムを分離することによって、ガラスフィルムのハンドリング性向上を図りつつ、ガラスフィルムに対する処理を精度良く行うことが実現される。
本発明の一実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法の適用対象たるガラスフィルム積層体は、厚み200μm以下程度の超薄板ガラスであるガラスフィルムと、ガラスフィルムよりも厚みが大きい薄板ガラスである支持体によって構成される。
尚、ガラスフィルム積層体を構成する支持体は、薄板ガラスのみで構成されるものに限定されず、ガラスフィルムが積層される側の面に、樹脂層や無機薄膜を備えていてもよい。樹脂層を構成する素材としては、例えば、アクリル樹脂やシリコーン樹脂等を採用することができ、無機薄膜の素材としては、例えば、ITO、ZrO、カーボン等を採用することができる。
支持体が薄板ガラスと樹脂層で構成される場合には、ガラスフィルムと支持ガラスは樹脂層を介して接着され、支持体が薄板ガラスと無機薄膜で構成される場合には、ガラスフィルムと支持ガラスは無機薄膜を介して接着される。
本実施形態では、図1に示すような、ガラスフィルム1と支持ガラス2を直接積層して製造されるガラスフィルム積層体3から、ガラスフィルム1を剥離する場合の剥離方法を例示して説明をする。
ガラスフィルム積層体3では、ガラスフィルム1と支持ガラス2は直接接触した状態で積層される。本実施形態で示すガラスフィルム積層体3は、ガラスフィルム1と支持ガラス2の接触面における各表面粗さRaが2.0nm以下のものを使用することが好ましく、これにより接着剤等を用いずに、ガラスフィルム1と支持ガラス2を強固に接着することができる。
図2には、ガラスフィルム1と支持ガラス2が、接着剤を用いずに強固に接着されるメカニズムを示している。ガラスフィルム1と支持ガラス2は、図2(a)に示すように、ガラスフィルム1の表面(接触面1a)と支持ガラス2の表面(接触面2a)に形成された水酸基同士の水素結合により引き付けあうと考えられる。あるいは、図2(b)のように、ガラスフィルム1の表面の水酸基と支持ガラス2の表面の水酸基とが、ガラスフィルム1と支持ガラス2の界面4に存在する水分子が介在した状態で、水素結合により結合することにより、ガラスフィルム1と支持ガラス2とが互いに固着することもあると考えられている。
また、このような状態下で、ガラスフィルム積層体3が加熱されると、図2(c)に示す通り、ガラスフィルム1と支持ガラス2の界面4において、
Si−OH + HO−Si → Si−O−Si + H
の脱水反応が起こり、共有結合が増えることでガラスフィルム1と支持ガラス2の固着力が強くなると考えられる。
次に、本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法について、説明をする。
本実施形態では、図1に示したガラスフィルム積層体3から、ガラスフィルム1を剥離する場合の剥離方法を例示して説明をする。尚、ガラスフィルム1を剥離するときには、ガラスフィルム積層体3は、図示しない剥離装置の基台上に配置されており、当該基台により支持ガラス2を吸着することによって固定されている。
本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法では、図3(a)に示すように、ガラスフィルム1と支持ガラス2の界面4に剥離手段10を割り込ませて、矢印Xの方向に向けて剥離を進行させる(以下、剥離方向Xと呼ぶ)ことにより行う。
そして、剥離後のガラスフィルム1を、吸着パッド20で吸着し、剥離高さを所定の高さHに保持することで、剥離後のガラスフィルム1において略S字状の湾曲部Wを形成する構成としている。
本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法で使用する剥離手段10は、図3(a)に示す態様に限定されないが、ウォータージェットやエアー噴射等のガラスフィルム1との間で物理的接触が生じない流体等の剥離媒体を使用する構成を採用することが好ましく、フィルム状や剃刀状の剥離治具を使用してもよい。また、剃刀状の剥離治具の先端部から液体や気体が噴出する等、適宜流体等の剥離媒体と剥離治具を組み合わせて剥離手段10を構成してもよい。
尚、本実施形態で用いる剥離手段10は、図3(a)(b)に示す略剃刀状の剥離治具であり、図示はしていないが、刃先の先端から空気等の流体が噴出される。
湾曲部Wの範囲は、剥離始点Sから剥離高さが所定の高さHに至るまでの範囲である。
そして、湾曲部Wのうち、剥離始点SからS字状に湾曲するガラスフィルム1の当該湾曲形状の変曲点Cまでの範囲を第一の湾曲部W1(以下、第一湾曲部W1と呼ぶ)と規定し、残りの部分を第二の湾曲部W2(以下、第二湾曲部W2と呼ぶ)と規定する。
また、所定の高さHは、各湾曲部W1・W2に適切な曲率を付与することができる高さを選択する。
図3(a)に示す如く、ガラスフィルム1の剥離が始まると、支持ガラス2から剥離したガラスフィルム1は捲り上がり、支持ガラス2から離間する方向に向けて湾曲して第一湾曲部W1が形成される。
そして、本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法では、剥離したガラスフィルム1の第一湾曲部W1に対して、第一の曲率保持部材30(以下、第一曲率保持部材30と呼ぶ)を押圧して沿わせた状態で、ガラスフィルム1の剥離を進行する構成としている。
第一曲率保持部材30は、半径R1のローラ状部材であり、周側面31において一定の曲率(1/R1)を有する。
尚以下では、第一曲率保持部材30が周側面において有する曲率を第一の湾曲部の曲率(1/R1)と呼ぶ。第一の湾曲部の曲率(1/R1)は、ガラスフィルム1に破損が生じることがない曲率を選択する。
ガラスフィルム1に破損が生じることがない曲率は、ガラスフィルム1の厚みやガラスフィルム1の端面の状況(傷の有無等)に応じて変化するため、これらを考慮して第一の湾曲部の曲率を選択する。具体的には、厚み5〜200μmのガラスフィルム1を使用する場合においては、第一の湾曲部の曲率(1/R1)は、1/500〜1/15であることが好ましく、1/350〜1/150であることがより好ましく、1/350〜1/250であることがさらに好ましい。これにより剥離時にガラスフィルム1が破損することを効果的に防止することができる。尚、第一の湾曲部の曲率(1/R1)が大きいと、剥離の為の設備も大きくなるため、設備をコンパクトにするという観点からも、第一の湾曲部の曲率(1/R1)を小さくすることが好ましい。
ガラスフィルム1は、第一湾曲部W1に第一曲率保持部材30を沿わせることで、第一湾曲部W1における曲率が、第一の湾曲部の曲率(1/R1)で一定に保持される。換言すれば、本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法では、ガラスフィルム1は、第一湾曲部W1の曲率変動が抑制されるため、第一湾曲部W1における曲率が、第一の湾曲部の曲率(1/R1)を超えることがない。
本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法では、第一曲率保持部材30は、ガラスフィルム1の剥離方向Xに直交する向きに対して平行な軸である回転軸32を軸心として回転可能に構成することが好ましく、図3(a)に示すように、ガラスフィルム1の剥離に伴って、矢印Aの方向に回転させることが好ましい。第一曲率保持部材30が矢印Aの方向に回転することによって、第一曲率保持部材30とガラスフィルム1の接する面における摩擦抵抗が軽減され、ガラスフィルム1の傷つきが防止できる。
尚、第一曲率保持部材30は、回転軸32の軸心位置が剥離始点Sの直上となるように、配置している。
そして、本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法では、第一湾曲部W1の曲率変動を抑制して、第一の湾曲部の曲率(1/R1)を保持しながら剥離を行うことで、ガラスフィルムの破損を防止することができる。
また、本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法では、ガラスフィルム1の剥離方向Xにおける第一湾曲部W1よりも上手側において、支持ガラス2に近接する方向に向けて湾曲する部位である第二湾曲部W2が形成させる構成としている。
そして、本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法では、吸着パッド20によって、ガラスフィルム1の剥離高さを所定の高さHに規制することにより、変曲点Cの位置を決定し、これにより、第二湾曲部W2におけるガラスフィルムの曲率を、曲率(1/R2)で一定に保持する構成としている。
尚以下では、第二湾曲部W2に付与される曲率を第二の湾曲部の曲率(1/R2)と呼ぶ。第二の湾曲部の曲率(1/R2)は、ガラスフィルム1に破損が生じることがない曲率を選択する。
第二の湾曲部の曲率についても、第一の湾曲部の曲率と同様に、ガラスフィルム1の厚みやガラスフィルム1の端面の状況(傷の有無等)等を考慮して、ガラスフィルム1に破損が生じることがない曲率を選択する。具体的には、厚み5〜200μmのガラスフィルム1を使用する場合においては、第二の湾曲部の曲率(1/R2)は、1/500〜1/15であることが好ましく、1/350〜1/150であることがより好ましく、1/350〜1/250であることがさらに好ましい。これにより剥離時にガラスフィルム1が破損することを効果的に防止することができる。尚、設備をコンパクトにするという観点からも、第二の湾曲部の曲率(1/R2)を小さくすることが好ましい。
第二湾曲部W2におけるガラスフィルム1の第二の湾曲部の曲率(1/R2)は、第一湾曲部W1におけるガラスフィルム1の第一の湾曲部の曲率(1/R1)と、略一致させることが好ましい。ここでいう「略一致」とは、第一および第二の湾曲部の曲率の差が、各曲率に対して±10%以内の値に収まっている状態を言い、好ましくは±5%以内、より好ましくは±1%以内の状態のことを言う。
本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法では、図3(b)に示すように、第二湾曲部W2に対して第二の曲率保持部材40(以下、第二曲率保持部材40と呼ぶ)を接触させることで、略S字状の湾曲部Wにおける変曲点Cの位置を確実に決定する構成とすることが、より好ましい。第二曲率保持部材40を備える構成とすることによって、第二湾曲部W2におけるガラスフィルム1の曲率(1/R2)を、より確実に一定に保持することが可能になる。第二曲率保持部材40は、第二の湾曲部の曲率(1/R2)にガラスフィルム1の厚みを加算した曲率で曲げ成形された部材を使用することが好ましい。これにより、ガラスフィルム1を適切に一定に保持することが可能となる。第二曲率保持部材40は、ガラスフィルム1との摩擦を低減するため、従動可能なベルトコンベア式とすることが好ましく、ガラスフィルム1との接触面側にエア等の流体を噴出させる孔を設けることで、ガラスフィルム1との摩擦抵抗を低減させても良い。さらに第二曲率保持部材40は、第一曲率保持部材30にできるだけ近づけて配置することが好ましい。
そして、本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法では、第一湾曲部W1の曲率変動を抑制して、第一湾曲部W1を第一の湾曲部の曲率(1/R1)に保持しつつ、さらに、第二湾曲部W2の曲率変動を抑制して、第二湾曲部W2を第二の湾曲部の曲率(1/R2)に保持することで、ガラスフィルム1の破損をより確実に防止することができる。
また、本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法において、第一曲率保持部材30は、半径R1のローラ部材で構成する場合に限定されず、例えば、図4(a)に示すように、半径R1よりも小径の複数のローラ部材33・33・・・で構成し、各ローラ部材33・33・・・が、半径R1の円弧に内接するように配置して構成してもよい。
さらに、本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法において、第二曲率保持部材40は、板状部材からなるガイド板状の構成に限定されず、例えば、図4(b)に示すように、ローラ部材41で構成し、ローラ部材41を、ガラスフィルム1の第二湾曲部W2に接する位置に配置して構成してもよい。
即ち、本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法では、第一の湾曲部W1に対して、第一曲率保持部材30を押圧することにより、第一の湾曲部W1におけるガラスフィルム1を第一曲率保持部材30に沿わせるものであり、また、第一曲率保持部材30を、回転可能なローラ部材で構成する。
このような構成により、ガラスフィルム1の剥離時に、ガラスフィルム1が破損することが防止できる。
次に、本発明の第二の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法について、説明をする。
本発明の第二の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法では、第一の実施形態と同様に、図1に示したガラスフィルム積層体3から、ガラスフィルム1を剥離する場合の剥離方法を例示して説明をする。
本発明の第二の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法では、図5(a)に示すように、剥離手段10を吸着体11により構成し、吸着体11によって支持ガラス2からガラスフィルム1を引き剥がすことによって、ガラスフィルム1の剥離を行う。
吸着体11は、例えば、多孔性部材をローラ状に成形したローラ状部材によって構成される。吸着体11には図示しない真空排気設備が接続されており、周側面12に形成された孔から外気を吸引可能に構成することで、周側面12に接した物品(ガラスフィルム1)を吸着することができるように構成される。また、吸着体11は、回転軸13を中心に回転可能に構成され、吸着したガラスフィルム1を支持ガラス2から引き剥がすのと同時に図5(a)に示す矢印Aの方向に回転させるように構成している。
このような構成により、支持ガラス2から剥離した直後のガラスフィルム1が、第一湾曲部W1において吸着体11に吸着されて剥離され、かつ、ガラスフィルム1が該吸着体11に沿うように変形し、第一の湾曲部の曲率(1/R1)で湾曲される。
即ち、本発明の第二の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法では、剥離手段10たる吸着体11によって、先述した第一曲率保持部材30を兼ねる構成とする点に特徴を有している。
また吸着体11としては、ローラ表面に複数のスロットを等間隔で形成した態様のもの等を採用することも可能である。この場合、複数のスロットは、回転軸13に対して平行に形成する。複数のスロットの回転方向の孔幅は、2〜20mmが好ましく、3〜10mmがより好ましく、4〜10mmがさらに好ましい。これにより、ガラスフィルム1を適切に吸着体11の表面に沿わせることができる。
そして、本発明の第二の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法では、剥離したガラスフィルム1を、吸着パッド20で吸着し、剥離高さを所定の高さHに保持することで、ガラスフィルム1に略S字状の湾曲部Wを形成する構成としており、この点は、本発明の第一の実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法と共通している。
第一曲率保持部材30を兼ねる吸着体11は、半径R1のローラ状部材であり、周側面12において第一の湾曲部の曲率(1/R1)を有する。
吸着体11の第一の湾曲部の曲率(1/R1)は、ガラスフィルム1に破損が生じることがない曲率を選択する。
ガラスフィルム1に破損が生じることがない曲率は、ガラスフィルム1の厚みやガラスフィルム1の端面の状況(傷の有無等)に応じて変化するため、これらを考慮して第一の湾曲部の曲率を選択する。具体的には、厚み5〜200μmのガラスフィルム1を使用する場合においては、吸着体11による第一の湾曲部の曲率(1/R1)は、1/500〜1/50であることが好ましく、1/350〜1/150であることがより好ましく、1/350〜1/250であることがさらに好ましい。これにより剥離時にガラスフィルム1が破損することを効果的に防止することができる。尚、第一の湾曲部の曲率(1/R1)が大きいと、剥離の為の設備も大きくなるため、設備をコンパクトにするという観点からも、第一の湾曲部の曲率(1/R1)を小さくすることが好ましい。
ガラスフィルム1は、第一湾曲部W1を吸着体11で吸着することで、吸着体11が第一湾曲部W1に対して沿うように構成され、これにより、第一湾曲部W1の曲率(1/R1)が一定に保持される。
尚、図5(a)には図示していないが、本発明の第二の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法においては、剃刀状の剥離手段10を別途用いて、吸着体11と併用して、ガラスフィルム1を剥離する構成としてもよい。
即ち、本発明の第二の実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法では、第一曲率保持部材30を、回転可能なローラ状の吸着体11で構成し、吸着体11によって、ガラスフィルム1を吸着することで、第一湾曲部W1におけるガラスフィルム1を吸着体11に沿わせるものである。
また、図5(b)に示す如く、本発明の第二の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法では、第二湾曲部W2に対して、第二曲率保持部材40を接触させて、第二湾曲部W2におけるガラスフィルム1の曲率を第二の湾曲部の曲率(1/R2)に保持することが好ましい。
尚、本発明の第二の実施形態に係るガラスフィルムの剥離方法における第二曲率保持部材40の態様は、図5(b)に示す態様に限定されず、例えば、図4(b)に示す態様であってもよく、種々の態様の第二曲率保持部材40を採用し得る。
即ち、本発明の一実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法は、ガラスフィルム1と支持体たる支持ガラス2を有するガラスフィルム積層体3からガラスフィルム1を剥離する方法であって、支持ガラス2から剥離した後のガラスフィルム1を、支持ガラス2から離反する方向に向けて湾曲させることで第一湾曲部W1を形成し、第一湾曲部W1の曲率を、第一の湾曲部の曲率(1/R1)に保持しながら支持ガラス2からガラスフィルム1を剥離するものである。
また、本発明の一実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法は、第一湾曲部W1において、剥離した後のガラスフィルム1を第一曲率保持部材30に沿わせることで、第一湾曲部W1の曲率(1/R1)を、一定に保持するものである。
また、本発明の一実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法は、ガラスフィルムの剥離方向Xにおける第一湾曲部W1の上手側端部からさらに上手側のガラスフィルム1を、支持ガラス2に近接する方向に向けて湾曲させることで第二湾曲部W2を形成し、第二湾曲部W2の曲率(1/R2)を、一定に保持しながらガラスフィルム1を剥離するものである。
また、本発明の一実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法では、第二湾曲部W2におけるガラスフィルム1に第二曲率保持部材40を当接させて、第一湾曲部W1と第二湾曲部W2の境界位置(即ち、変曲点C)を決定するものであり、さらに、第一の湾曲部の曲率(1/R1)と第二の湾曲部の曲率(1/R2)を、略同一の曲率とするものである。
そして、本発明の一実施形態に係るガラスフィルム1の剥離方法では、このような構成により、支持ガラス2から剥離したガラスフィルム1の曲率を、第一および第二の各曲率で一定に保持することで、剥離の際にガラスフィルム1が破損することを防止できる。
次に、本発明の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法について、説明をする。
電子デバイス50は、図6に示すように、ガラスフィルム1上に素子51を形成することによって製造されるものである。
ガラスフィルム1は、極めて薄い部材であり、可撓性に富むものであるため、ガラスフィルム1を単体で搬送し、ガラスフィルム1上に精度良く素子51を配置することは困難である。
このため、電子デバイス50は、ガラスフィルム1と支持体たる支持ガラス2を積層し、ガラスフィルム積層体3を形成した後、ガラスフィルム積層体3の状態でガラスフィルム1を搬送するとともに、ガラスフィルム1に対して素子51を形成して電子デバイス50を作成し、その後、電子デバイス50を支持ガラス2から剥離することで、電子デバイス50を製造する構成としている。
本発明の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法は、図6に示すように、ガラスフィルム1と支持ガラス2とを積層してガラスフィルム積層体3を作製する第一の工程と、ガラスフィルム1への加熱を伴う電子デバイス製造関連処理を行うことでガラスフィルム積層体3のガラスフィルム1上に素子51を形成し、カバーガラス52で素子51を封止することで支持ガラス付電子デバイス53を作製する第二の工程と、支持ガラス付電子デバイス53のガラスフィルム1と支持ガラス2との界面4に剥離手段10を挿入することで支持ガラス2から電子デバイス50を剥離する第三の工程と、を備えている。
また、本発明の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法では、ガラスフィルム積層体3を構成するガラスフィルム1と支持ガラス2の相互に接触する側の表面粗さRaを夫々2.0nm以下としている。
本発明に使用されるガラスフィルム1および支持ガラス2は、ダウンドロー法によって成形されていることが好ましく、オーバーフローダウンドロー法によって成形されていることがより好ましい。
特に、図7に示すオーバーフローダウンドロー法は、成形時にガラス板の両面が、成形部材と接触しない成形法であり、得られたガラス板の両面(透光面)には傷が生じ難く、研磨しなくても高い表面品位を得ることができる。無論、本発明に使用されるガラスフィルム1および支持ガラス2は、フロート法やスロットダウンドロー法、ロールアウト法、アップドロー法、リドロー法等によって成形されたものであってもよい。
図7に示すオーバーフローダウンドロー法において、断面が楔型の成形体60の下端部61から流下した直後のガラスリボンGは、冷却ローラ62によって幅方向の収縮が規制されながら下方へ引き伸ばされて所定の厚みまで薄くなる。次に、前記所定厚みに達したガラスリボンGを図示しない徐冷炉(アニーラ)で徐々に冷却し、ガラスリボンGの熱歪を除き、ガラスリボンGを所定寸法に切断することにより、ガラスフィルム1および支持ガラス2が夫々成形される。
本発明の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法では、ガラスフィルム1として、シリカガラス、ケイ酸塩ガラスが用いられ、好ましくはホウケイ酸ガラスが用いられ、最も好ましくは無アルカリガラスが用いられる。
尚、ここでいう無アルカリガラスとは、アルカリ成分(アルカリ金属酸化物)が実質的に含まれていないガラスのことであって、具体的には、アルカリ成分が3000ppm以下のガラスのことである。
本発明の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法で用いる無アルカリガラスのアルカリ成分の含有量は、好ましくは1000ppm以下であり、より好ましくは500ppm以下であり、さらに好ましくは300ppm以下である。
ガラスフィルム1の厚みは、好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜100μmである。
このようにガラスフィルム1の厚みをより薄くすることで、適切な可撓性を付与することができる。
厚みをより薄くしたガラスフィルム1は、ハンドリング性が困難で、かつ、位置決めミスやパターニング時の撓み等の問題が生じやすいが、支持ガラス2を使用することで、第二の工程で電子デバイス製造関連処理等を容易に行うことができる。
尚、ガラスフィルム1の厚みが5μm未満であると、ガラスフィルム1の強度が不足がちになり、支持ガラス2からガラスフィルム1を剥離し難くなるおそれがある。
支持ガラス2は、ガラスフィルム1と同様、ケイ酸塩ガラス、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が用いられる。
支持ガラス2については、ガラスフィルム1との30〜380℃における熱膨張係数の差が、5×10−7/℃以内のガラスを使用することが好ましい。
これにより、電子デバイス製造関連処理の際に熱処理を伴ったとしても、膨張率の差による熱反りやガラスフィルム1の割れ等を生じ難くすることができ、ガラスフィルム積層体3の安定した積層状態を維持することが可能になる。
そして、膨張率の差を抑える観点から、支持ガラス2とガラスフィルム1とは、同一の組成を有するガラスを使用することが最も好ましい。
支持ガラス2の厚みは、400μm以上であることが好ましい。支持ガラス2の厚みが400μm未満であると、支持ガラス2を単体で取り扱う場合に、強度の面で問題が生じるおそれがある。支持ガラス2の厚みは、400〜700μmであることが好ましく、500〜700μmであることが最も好ましい。
これにより、支持ガラス2でガラスフィルム1を確実に支持することが可能となるとともに、支持ガラス2からガラスフィルム1を剥離する際に生じ得るガラスフィルム1の破損を効果的に抑制することが可能となる。
尚、電子デバイス製造関連処理時に、図示しないセッター上に、ガラスフィルム積層体3を載置する場合は、支持ガラス2の厚みは400μm未満(例えば300μm等、ガラスフィルム1と同一の厚み)でも良い。
図6に示す通り、本発明に係る電子デバイスの製造方法における第一の工程は、ガラスフィルム1と支持ガラス2とを積層してガラスフィルム積層体3を作製する工程である。
ガラスフィルム1の支持ガラス2との接触面1aと、支持ガラス2のガラスフィルム1との接触面2aの表面粗さRaが2.0nm以下であることが好ましく、これにより、ガラスフィルム1と支持ガラス2とを接着剤無しで強固に積層し易くなる。
ガラスフィルム1と支持ガラス2とを接着剤無しで強固に積層し易くするためには、本発明において使用するガラスフィルム1および支持ガラス2の夫々の接触面1a、2aの表面粗さRaは、夫々1.0nm以下であることが好ましく、0.5nm以下であることがより好ましく、0.2nm以下であることが最も好ましい。
一方、ガラスフィルム1の有効面1b(図1参照)の表面粗さは特には限定されないが、有効面1bには、後述する第二の工程において成膜等の電子デバイス製造関連処理を行うことから、表面粗さRaが2.0nm以下であることが好ましく、1.0nm以下がより好ましく、0.5nm以下がさらに好ましく、0.2nm以下が最も好ましい。支持ガラス2の搬送面2bの表面粗さは、特には限定されない。
また、支持ガラス2上にガラスフィルム1を積層する第一の工程は、減圧下で行っても良い。これにより、ガラスフィルム1と支持ガラス2とを積層させた際に生じる気泡を低減させることができる。
本発明の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法における第二の工程は、加熱を伴う電子デバイス製造関連処理を行うことで、図6に示す通り、第一の工程で作製されたガラスフィルム積層体3のガラスフィルム1の有効面1b上に素子51を形成し、封止基板でガラスフィルム1の有効面1b上に形成された素子51を封止することで支持ガラス付電子デバイス53を作製する工程である。
第二の工程における加熱を伴う電子デバイス製造関連処理としては、例えば、CVD法やスパッタリング等による成膜処理等が挙げられる。
ガラスフィルム1の有効面1b上に形成される素子としては、液晶素子、有機EL素子、タッチパネル素子、太陽電池素子、圧電素子、受光素子、リチウムイオン2次電池等の電池素子、MEMS素子、半導体素子等が挙げられる。
そして、素子51の封止に用いる封止基板としては、前述のガラスフィルム1と同様、ケイ酸塩ガラス、シリカガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等からなるカバーガラス52が用いられる。
カバーガラス52については、ガラスフィルム1との30〜380℃における熱膨張係数の差が、5×10−7/℃以内のガラスを使用することが好ましい。
これにより、作製された電子デバイス50の周辺環境の温度が変化したとしても、膨張率の差による熱反りやガラスフィルム1およびカバーガラス52の割れ等が生じ難く、破損し難い電子デバイス50とすることが可能となる。
そして、膨張率の差を抑える観点から、カバーガラス52とガラスフィルム1とは、同一の組成を有するガラスを使用することが最も好ましい。
カバーガラス52の厚みは、好ましくは5〜200μm、より好ましくは5〜100μmである。これによりカバーガラス52の厚みをより薄くして、適切な可撓性を付与することができる。カバーガラス52の厚みが5μm未満であると、カバーガラス52の強度が不足がちになるおそれがある。
第二の工程で作製される支持ガラス付電子デバイス53の一例として、図8に有機ELパネルを示す。
ガラスフィルム1の有効面1b上にCVD法やスパッタリング等の公知の成膜方法により、陽極層51a、正孔輸送層51b、発光層51c、電子輸送層51d、陰極層51eの順に積層して素子51の一例である有機EL素子の形成を行う。
その後に、公知のレーザー封止等を使用してカバーガラス52とガラスフィルム1とを接着することにより、素子51を封止し、支持ガラス付電子デバイス53(ここでは支持ガラス付有機ELパネル)を作製する。
尚、図8に示す形態では、カバーガラス52とガラスフィルム1とを直接接着しているが、適宜公知のガラスフリットやスペーサ等を使用してカバーガラス52とガラスフィルム1とを接着しても良い。
本発明の一実施形態に係る電子デバイスの製造方法における第三の工程は、図6に示す通り、電子デバイス50を支持ガラス2から剥離する工程である。
また、界面4に剥離手段10を挿入する場合は、剥離手段10の先端部から流体を噴出させながら行うようにしてもよい。
即ち、ガラスフィルム積層体3の一実施態様が支持ガラス付電子デバイス53であり、また、ガラスフィルム1の一実施態様が電子デバイス50であり、以下の説明におけるガラスフィルム積層体3と支持ガラス付電子デバイス53、および、以下の説明におけるガラスフィルム1と電子デバイス50は、それぞれ相互に読み替えることが可能である。
尚、支持ガラス2とガラスフィルム1との界面4に、剥離手段10や図示しない樹脂シート等を挿入することで、ガラスフィルム1の1辺を支持ガラス2から浮かして、剥離の起点としても良い。
第三の工程における電子デバイス50の剥離状況を、図9に示している。
本発明の一実施形態に係る電子デバイス50の製造方法では、第三の工程において、図9に示す如く、剥離した電子デバイス50を回転ローラたる第一曲率保持部材30に沿わせることで、剥離後の電子デバイス50の第一湾曲部W1を、第一の湾曲部の曲率(1/R1)で一定に保持する構成としている。このような構成によって、剥離時における電子デバイス50の破損を防止することができる。
また、本発明の一実施形態に係る電子デバイス50の製造方法では、第三の工程において、図9に示すように、さらに、電子デバイス50の剥離高さを所定の高さH以下に規制するとともに、電子デバイス50の第二湾曲部W2を第二曲率保持部材40に当接させることで、S字状に湾曲する電子デバイス50の変曲点Cを決定して、第二湾曲部W2における電子デバイス50の曲率(1/R2)を一定に保持して、より確実に、電子デバイス50の剥離時における破損を防止する構成としている。尚、第三の工程では、適宜上述のガラスフィルム1の剥離方法の実施形態と同様の構成を採用することで、支持ガラス2から電子デバイス50を剥離することができる。
即ち、本発明の一実施形態に係る電子デバイス50の製造方法は、ガラスフィルム1と支持ガラスとを積層してガラスフィルム積層体3を作製する第一の工程と、ガラスフィルム積層体3におけるガラスフィルム1に電子デバイス製造関連処理を行う第二の工程と、電子デバイス製造関連処理後のガラスフィルム積層体3から、ガラスフィルム1に電子デバイス製造関連処理を施して得た電子デバイス50を剥離する第三の工程と、を有するものであって、第三の工程において、支持体たる支持ガラス2から剥離した電子デバイス50が一定の曲率に保持されるように、支持ガラス2から電子デバイス50を剥離するものである。
そして、本発明の一実施形態に係る電子デバイス50の製造方法では、支持ガラス2から剥離した電子デバイス50の曲率を、第一および第二の湾曲部の曲率で一定に保持することで、剥離の際に電子デバイス50が破損することを防止でき、ひいては、電子デバイス50の品質および歩留まりの向上を図ることができる。
1 ガラスフィルム
2 支持ガラス
3 ガラスフィルム積層体
10 剥離手段
30 第一曲率保持部材
40 第二曲率保持部材
50 電子デバイス
W1 第一湾曲部
W2 第二湾曲部

Claims (8)

  1. ガラスフィルムと支持体を有するガラスフィルム積層体から前記ガラスフィルムを剥離するガラスフィルムの剥離方法であって、
    前記支持体から剥離した後の前記ガラスフィルムを、前記支持体から離反する方向に向けて湾曲させることで第一の湾曲部を形成し、
    前記第一の湾曲部の曲率を、一定に保持しながら前記支持体から前記ガラスフィルムを剥離する、
    ことを特徴とするガラスフィルムの剥離方法。
  2. 前記ガラスフィルムの剥離方向における前記第一の湾曲部の上手側端部からさらに上手側の前記ガラスフィルムを、前記支持体に近接する方向に向けて湾曲させることで第二の湾曲部を形成し、
    前記第二の湾曲部の曲率を、一定に保持しながらガラスフィルムを剥離する、
    ことを特徴とする請求項1に記載のガラスフィルムの剥離方法。
  3. 前記第一の湾曲部の曲率と前記第二の湾曲部の曲率を、
    略同一の曲率とする、
    ことを特徴とする請求項2に記載のガラスフィルムの剥離方法。
  4. 前記第一の湾曲部において、
    剥離した後の前記ガラスフィルムを第一の曲率保持部材に沿わせることで、
    前記第一の湾曲部の曲率を、
    一定に保持する、
    ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか一項に記載のガラスフィルムの剥離方法。
  5. 前記第一の曲率保持部材を、
    回転可能なローラ部材で構成する、
    ことを特徴とする請求項4に記載のガラスフィルムの剥離方法。
  6. 前記第一の曲率保持部材を、
    回転可能なローラ状の吸着体で構成し、
    前記吸着体によって、
    前記ガラスフィルムを吸着することで、前記第一の湾曲部における前記ガラスフィルムを前記吸着体に沿わせる、
    ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載のガラスフィルムの剥離方法。
  7. 前記第二の湾曲部における前記ガラスフィルムに第二の曲率保持部材を当接させて、
    前記第一の湾曲部と前記第二の湾曲部の境界位置を決定する、
    ことを特徴とする請求項2〜請求項6のいずれか一項に記載のガラスフィルムの剥離方法。
  8. ガラスフィルムと支持体とを積層してガラスフィルム積層体を作製する第一の工程と、
    前記ガラスフィルム積層体における前記ガラスフィルムに電子デバイス製造関連処理を行う第二の工程と、
    前記電子デバイス製造関連処理後の前記ガラスフィルム積層体から、前記ガラスフィルムに電子デバイス製造関連処理を施して得た電子デバイスを剥離する第三の工程と、
    を有する電子デバイスの製造方法であって、
    前記第三の工程において、
    前記支持体から剥離した前記電子デバイスが一定の曲率に保持されるように、支持体から電子デバイスを剥離する、
    ことを特徴とする電子デバイスの製造方法。
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