JP2017065694A - 殺菌方法及び殺菌装置 - Google Patents

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【課題】無菌充填システムにおいて殺菌時間の短縮を図ることができる殺菌方法及び無菌充填システムに備えられ殺菌時間の短縮を図ることができる殺菌装置を提供する。【解決手段】搬送経路に沿ってボトルを搬送するボトルコンベアと、搬送経路上に、飲料充填前の空のボトルを滅菌するボトル滅菌機、滅菌されたボトルを洗浄水により洗浄するリンサ装置、洗浄されたボトルに飲料を充填するフィラー及び飲料が充填されたボトルを密封するキャッパとを備え、各装置を稼働させて飲料入りボトルを製造するボトリングシステムにおける殺菌方法であって、ボトル入り飲料の製造中に、リンサ装置の稼働を再稼働容易な状態を維持したまま停止する計画停止ステップS9と、計画停止ステップS9により停止中のリンサ装置を高温処理により殺菌する高温処理ステップS10とを備える。【選択図】図3

Description

本発明は、搬送経路に沿って容器を搬送する搬送装置と、前記搬送経路上に、液体充填前の空の容器を滅菌する容器滅菌装置、滅菌された前記容器を洗浄水により洗浄する洗浄装置、洗浄された前記容器に液体を充填する充填装置及び液体が充填された前記容器を密封する密封装置とを備え、前記各装置を稼働させて容器入り液体製品を製造する無菌充填システムにおける殺菌方法及び前記無菌充填システムに備えられる殺菌装置に関する。
無菌充填システムの一例として、ボトル入り飲料を製造するボトリングシステムは、ランダムに投入された空のボトルを所定の間隔に整列し、コンベア上に一列で供給するスクリューコンベア、ボトルを高温水で滅菌するボトル滅菌機、ボトルの内外を洗浄水により洗浄するリンサ装置、ボトルに飲料を充填するフィラー、キャップを取り付けて閉めるキャッパ、ラベルを貼り付けるラベラー、ボトルの内外を検査するボトル検査機、ボトルをケースの中に収納するケーサなどの装置によって構成されている。各装置にはボトルグリッパが配され、ボトルが各装置間を自動搬送されるように構成されている。
ボトリングシステムは、製造の1ロット毎、例えば10日毎に各装置の稼動を一斉に停止して、薬液や高温水を散布する一斉殺菌や、各装置の一斉メンテナンスを行っている。
ボトリングシステムは、このような一斉殺菌のスパン、すなわち10日毎の間に、例えば最低5日おきに、少なくともボトル滅菌機、リンサ装置、フィラー及びキャッパの稼動を停止して、薬液や高温水の散布による中間殺菌を行っている。
なお、本発明における従来技術となる上述したボトリングシステムにおける殺菌方法及び殺菌装置に関して、適当な先行技術文献が発見できなかったため、特許文献等の先行技術文献は示さない。
しかし、中間殺菌であってもボトル滅菌機、リンサ装置、フィラー及びキャッパの殺菌を行っていたため数時間を要していた。ボトリングシステム全体の製造効率の向上のために、殺菌時間の短縮の点で殺菌方法及び殺菌装置に改良の余地があった。
本発明は上述した実情に鑑みてなされたものであって、無菌充填システムにおいて殺菌時間の短縮を図ることができる殺菌方法及び無菌充填システムに備えられ殺菌時間の短縮を図ることができる殺菌装置を提供することを目的とする。
本発明に係る殺菌方法の特徴は、搬送経路に沿って容器を搬送する搬送装置と、前記搬送経路上に、液体充填前の空の容器を滅菌する容器滅菌装置、滅菌された前記容器を洗浄水により洗浄する洗浄装置、洗浄された前記容器に液体を充填する充填装置及び液体が充填された前記容器を密封する密封装置とを備え、前記各装置を稼働させて容器入り液体製品を製造する無菌充填システムにおける殺菌方法であって、容器入り液体製品の製造中に、前記容器滅菌装置、前記洗浄装置、前記充填装置及び前記密封装置のうち少なくとも殺菌対象である殺菌対象装置の稼働を、再稼働容易な状態を維持したまま停止する計画停止ステップと、前記計画停止ステップにより停止中の前記殺菌対象装置を高温処理により殺菌する高温処理ステップとを備える点にある。
計画停止ステップは、容器入り液体製品の製造中の、特に1ロット中に生じる、各装置の可動部への潤滑油の供給等のメンテナンスや清掃等のために実行される。殺菌対象装置は、計画停止ステップによって、すぐに再稼働できるように待機稼動状態に制御される。
製造の1ロット毎、例えば10日毎に実施される各装置の一斉殺菌や、例えば5日おきに実施される中間殺菌のような大掛かりな殺菌ステップとは異なり、計画停止ステップ中に、殺菌対象装置のみを高温処理ステップにより殺菌することで、殺菌時間の短縮を図ることができる。
容器入り液体製品の製造中に発生する計画的な停止時間を利用して、殺菌対象装置の殺菌を行うことで、該装置の殺菌のためだけに無菌充填システム全ての殺菌時間を確保する必要がなく、大幅な時間短縮を図ることができる。また、殺菌対象装置はすぐに再稼動できるような待機稼動状態のまま殺菌が行われるので、殺菌後の立ち上げ時間も短くて済む。
計画停止ステップ毎に、同じ装置を高温処理してもよいし、高温処理の対象となる装置を順次変えてもよい。
従来の薬液を用いる殺菌は、薬液が接触する装置の表面は殺菌できるものの、装置の隙間(ボルト止め等された金属接触面を含む)には薬液が十分に届きにくく、殺菌が不十分である虞があった。これに対して、高温処理ステップによる殺菌は、高温水による直接的な殺菌の他、殺菌対象装置自体を加熱し、その伝熱を利用することで、薬液のように直接の接触が困難な装置の隙間も殺菌できる点で殺菌効果が高い。
さらに、前記高温処理ステップは、前記殺菌対象装置への前記容器の搬入を停止するとともに、前記殺菌対象装置内から前記容器が搬出された状態で実行されると好適である。
殺菌対象装置内に容器が無い状態で高温処理ステップが実行されるため、容器が高温処理によって悪影響を受ける虞がなくなる。
さらに、少なくとも前記殺菌対象装置はチャンバに配設され、前記高温処理ステップは、前記チャンバに高温水を散布すると好適である。
散布された高温水の熱によってチャンバの内部空間や殺菌対象装置自体が所定の殺菌温度に高められるので、殺菌対象装置の隙間のような高温水が直接届きにくいところであっても殺菌をすることができる。なお、所定の殺菌温度とは、殺菌対象である病原性や有害性を有する糸状菌、細菌、ウイルスなどの微生物を殺すことができる温度である。なお、高温水は、液体の殺菌剤、固体の殺菌剤が溶けた溶液及び水蒸気を含む。
さらに、前記高温処理ステップは、高温水を循環使用すると好適である。
高温水の節水やチャンバの内部空間をより早く昇温することができる。計画停止が長引いたときであっても、内部空間の温度を効率的に滅菌温度以上に保温することができる。
さらに、前記高温処理ステップは、前記チャンバが陽圧に維持された状態で実行されると好適である。
チャンバを陽圧に維持することにより、チャンバの外部空間から内部空間への殺菌対象である微生物の侵入の虞を減らすことができる。
さらに、前記チャンバには前記チャンバが有する開口部を殺菌剤で封止するための液封装置が配設され、前記高温処理ステップの実行中に、前記液封装置内の殺菌剤濃度を一定に保つために、殺菌剤を前記液封装置に供給する液封維持ステップをさらに備えていると好適である。
無菌充填システムではチャンバの無菌状態を維持するために、チャンバの内部空間と外部空間の境界である開口部に、例えば液体の殺菌剤、固体の殺菌剤を溶かした溶液(以下、単に殺菌液という。)を用いて液封する構造を持つ。高温処理ステップにおいて高温水を散布することにより殺菌液の濃度が下がったり、蒸発などにより殺菌液の量が減ったりすることがある。そのようなときには無菌状態を維持するために最低限必要な殺菌液の有効濃度や有効液量を維持するために、殺菌液をオーバーフローさせる、若しくは置換させる、又は殺菌液の液量が少なくなれば規定量となるまで殺菌液を追加する。なお、殺菌液は、次亜塩素酸ソーダと塩酸とを水で希釈混合して生成されるハセッパー水等が例示できる。
さらに、前記殺菌対象装置が、前記洗浄装置であると好適である。
洗浄装置は洗浄水を用いてボトルの洗浄を行う構成であり、稼働中は湿潤状態であるため、微生物が増殖しやすい環境となっている。従って、計画停止ステップ中に、洗浄装置を殺菌することが有効である。
さらに、前記各装置の稼働を停止し、薬液又は高温処理により殺菌する一斉殺菌ステップを備え、前記計画停止ステップ及び前記高温処理ステップは、前記一斉殺菌ステップとは異なるタイミングで実行されると好適である。
一斉殺菌ステップは、製造の1ロット毎に、各装置の稼動が停止されている間に実行されることが好ましい。一斉殺菌ステップによって全装置を殺菌することができ、計画停止ステップ中の高温処理ステップによって殺菌対象装置を個別に殺菌することができる。
本発明に係る殺菌装置の特徴は、搬送経路に沿って容器を搬送する搬送装置と、前記搬送経路上に、液体充填前の空の容器を滅菌する容器滅菌装置、滅菌された前記容器を洗浄水により洗浄する洗浄装置、洗浄された前記容器に液体を充填する充填装置及び液体が充填された前記容器を密封する密封装置とを備え、前記各装置を稼働させて容器入り液体製品を製造する無菌充填システムに備えられる殺菌装置であって、前記容器滅菌装置、前記洗浄装置、前記充填装置及び前記密封装置の稼動及び停止を各別に制御可能な制御装置と、前記容器滅菌装置、前記洗浄装置、前記充填装置及び前記密封装置のうち少なくとも殺菌対象である殺菌対象装置に備えられた高温処理装置とを備え、前記制御装置は、前記殺菌対象装置の稼働を、再稼働容易な状態を維持したまま停止した状態で、前記高温処理装置を作動可能に構成されている点にある。
制御装置は、容器入り液体製品の製造中に、各装置の可動部への潤滑油の供給等のメンテナンスや清掃等のために容器滅菌装置、洗浄装置、充填装置及び密封装置のうち殺菌対象である殺菌対象装置の稼動を計画的に停止することができる。この計画的な停止においては、停止された殺菌対象装置はすぐに再稼働できるように待機稼動状態に制御される。このときに、制御装置は、殺菌対象装置を待機稼動状態としたまま高温処理装置を作動させることで、殺菌対象装置を個別に殺菌することができる。
上述のように計画的な停止時間を利用して、殺菌対象装置の殺菌を行うことで、殺菌対象装置の殺菌のためだけに特別に殺菌時間を確保する必要がなく、大幅な時間短縮を図ることができる。制御装置は、各装置を計画的に停止する毎に、同じ装置を高温処理してもよいし、高温処理の対象となる装置を順次変えてもよい。
なお、殺菌対象装置の殺菌は、殺菌対象装置への容器の搬入を停止するとともに、殺菌対象装置内から前記容器が搬出された状態で実行されると好適である。殺菌対象装置内に容器が無い状態で高温処理することで、容器が悪影響を受ける虞がなくなる。
なお、制御装置は、製造の1ロット毎に、各装置の稼動を停止して、全装置を一斉殺菌することもできる。
さらに、前記高温処理装置は、前記殺菌対象装置を覆うチャンバに配設されていると好適である。
チャンバに配設された高温処理装置が散布した高温水の熱によってチャンバの内部空間や殺菌対象装置自体を所定の殺菌温度に高めることができる。これにより殺菌対象装置の隙間のように高温水が直接届きにくいところであっても殺菌をすることができる。なお、高温処理装置は、チャンバの内部空間を陽圧に維持した状態で作動すると、チャンバの外部空間から内部空間への殺菌対象である微生物の侵入の虞を減らすことができる点で好適である。
さらに、前記高温処理装置は、高温水を散布する散布装置と、散布された高温水を前記散布装置に循環する循環装置を備えていると好適である。
循環装置によって、散布装置が散布した高温水を再利用することができるので、高温水の節水やチャンバの内部空間をより早く昇温することができる。計画停止が長引いたときであっても、チャンバの内部空間の温度を効率的に滅菌温度以上に保温することができる。
さらに、前記殺菌対象装置が、前記洗浄装置であると好適である。
殺菌装置によって、微生物が増殖しやすい環境となっている洗浄装置を個別に殺菌することができる。
ボトリングシステムの概略図 ボトリングシステムの概略図 ボトリングシステムによるボトル入り飲料の製造フローチャート
以下に本発明による無菌充填システムを図面に基づいて説明する。各図面において同一の構成には同一符号を付してある。
図1には、液体の一例としての飲料を、容器の一例としてのボトルに充填し、キャップを閉めるまでの作業を自動で行う無菌充填システムの一例としてのボトリングシステム1が示されている。
ボトリングシステム1は、ランダムに投入された複数の空のボトルを所定の間隔に整列し、ボトルコンベア10上に一列で供給するスクリューコンベア、ボトルを高温水で滅菌するボトル滅菌機11、ボトルの内外を洗浄水により洗浄するリンサ装置12、ボトルに飲料を充填するフィラー13、キャップを取り付けて閉めるキャッパ14、ラベルを貼り付けるラベラー、ボトルの内外を検査するボトル検査機、ボトルをケースの中に収納するケーサなどの各装置を備えている。
各装置11,12,13,14等には、ボトルコンベア10により搬送されるボトルを各装置11,12,13,14等への搬入し、各装置11,12,13,14等から搬出するボトルグリッパが備えられ、ボトルは、各装置11,12,13,14等を上流から下流へと順次自動搬送されるように構成されている。
なお、上流側のボトルグリッパがボトルの各装置11,12,13,14等への搬入を停止中に、下流側のボトルグリッパが稼働し続けることで、各装置11,12,13,14等内のボトルは全て排出される。
制御装置は、各装置10,11,12,13,14等を所定のプログラムに従って自動的に、又は作業員の操作に基づいて稼動、停止及び再稼働容易な状態を維持したままの停止を各別に制御するように構成されている。
ボトルコンベア10及びボトルグリッパが、搬送経路に沿ってボトルを搬送する搬送装置である。ボトル滅菌機11が、液体充填前の空のボトルを滅菌する容器滅菌装置である。リンサ装置12が、滅菌されたボトルを洗浄水により洗浄する洗浄装置である。フィラー13が、洗浄されたボトルに液体を充填する充填装置である。キャッパ14が、液体が充填されたボトルを密封する密封装置である。
ボトルに充填される飲料が、水やお茶や乳飲料などの低酸性飲料の場合は、安全に中身を充填するため、ボトル滅菌機11、リンサ装置12、フィラー13、キャッパ14は、無菌環境を実現するチャンバ21,22,23,24に夫々配設され無菌充填が実現される。
各チャンバ21,22,23,24には、夫々加圧装置31,32,33,34が接続されている。各加圧装置31,32,33,34は、例えばブロワを備えて構成されている。各チャンバ21,22,23,24には、各加圧装置31,32,33,34によって、不活性ガス又はフィルタにより濾過された無菌エアが供給され、各チャンバ21,22,23,24は、その内部空間が所定の陽圧に維持される。各加圧装置31,32,33,34は、ボトル滅菌機11、リンサ装置12、フィラー13、キャッパ14の稼働中及び停止中に稼働可能に構成されている。
各チャンバ21,22,23,24には、ボトルコンベア10の搬入側と搬出側に、ボトルよりわずかに大きい開口部が備えられ、ボトルは前記開口部を介して各チャンバ21,22,23,24を出入りする。各チャンバ21,22,23,24内の各装置11,12,13,14は、各チャンバ21,22,23,24との取り合い部を殺菌剤で封止するための液封装置が配設されている。前記液封装置は、各チャンバ21,22,23,24の無菌状態を維持するために、チャンバの内部空間と外部空間の境界に、例えば液体の殺菌剤、固体の殺菌剤を溶かした溶液(以下、単に殺菌液という。)を用いて液封する。
各チャンバ21,22,23,24には、各装置11,12,13,14を殺菌するために、薬液を散布する薬液ノズル41,42,43,44や、高温水を散布するスプレーノズル51,52,53,54及びスピンボール61,62,63,64や、プレリンス及びファイナルリンスをするために、洗浄水を散布する洗浄ノズル71,72,73,74が備えられている。スプレーノズル51,52,53,54及びスピンボール61,62,63,64は、散布した高温水により各チャンバ21,22,23,24の内部空間の温度を、効果的に所定の殺菌温度以上に高めることができるように数、位置、角度が適宜設定される。
前記制御装置は、薬液や、高温水の貯留タンクに接続された供給ポンプを稼働することで、薬液ノズル41,42,43,44や、スプレーノズル51,52,53,54及びスピンボール61,62,63,64や、洗浄ノズル71,72,73,74から、薬液や高温水の散布を制御可能に構成されている。その際、前記制御装置は、薬液ノズル41,42,43,44、スプレーノズル51,52,53,54、スピンボール61,62,63,64、洗浄ノズル71,72,73,74からの薬液や高温水の散布順、散布時間を所定のプログラムに沿って、又は作業員の操作に基づいて、制御可能に構成されている。
各薬液ノズル41,42,43,44は、各チャンバ21,22,23,24内に配設されている各装置11,12,13,14の表面に満遍なく薬液を散布できる適当な位置に配設されている。洗浄ノズル71,72,73,74は、各チャンバ21,22,23,24内に配設されている各装置11,12,13,14の表面に満遍なく洗浄水を散布できる適当な位置に配設されている。
スプレーノズル51,52,53,54及びスピンボール61,62,63,64が、高温水を散布する散布装置である。各チャンバ21,22,23,24は、前記散布装置から散布された高温水を散布装置に循環する循環装置を備えている。前記循環装置によって、前記散布装置が散布した高温水を再利用することができるので、高温水の節水や各チャンバ21,22,23,24の内部空間をより早く昇温することができる。計画停止が長引いたときであっても、各チャンバ21,22,23,24の内部空間の温度を効率的に滅菌温度以上に保温することができる。なお、前記散布装置と前記循環装置が高温処理装置を構成し、前記高温処理装置と前記制御装置が殺菌装置を構成する。
前記制御装置は、容器入り液体製品の製造の1ロット毎、例えば10日毎に各装置11,12,13,14の稼動を停止する。この間にボトリングシステム1の各装置11,12,13,14等の一斉殺菌やメンテナンスが実施される。
一斉殺菌は、例えば、各装置11,12,13,14を停止したあと、各装置11,12,13,14を上流側から順番にプレリンスするプレリンスステップを二回繰り返し、その後各装置11,12,13,14を上流側から順番に薬液ないし高温水により殺菌する殺菌ステップを二回繰り返し、その後各装置11,12,13,14を上流側から順番にファイナルリンスするファイナルリンスステップを二回繰り返すように構成されている。なお、図2は、一斉殺菌の対象である各装置11,12,13,14に網掛けがされている。
ところで、前記制御装置は、1ロットの製造中であっても、例えば72時間毎から96時間毎に、各装置11,12,13,14の稼働を計画的に30分から1時間程度停止する。この間にボトリングシステム1以外の生産設備可動部への潤滑油の供給等のメンテナンス、ボトルコンベアの清掃等が実施される。
この計画的な停止において、各装置11,12,13,14は、再稼働容易な状態を維持したまま停止された待機稼動状態となっている。
前記制御装置は、このような待機稼動状態であるときに前記高温処理装置を作動させて殺菌対象装置の殺菌を行うことで、殺菌対象装置を個別に殺菌でき、殺菌後の再稼働時の装置の立ち上げ時間を最短化することができる。
ボトリングシステム1は、この1ロット中に生じる計画的な停止時間を利用して、各装置11,12,13,14を殺菌するように構成されている。各装置11,12,13,14の殺菌のためだけに特別に時間を確保する必要がなく、大幅な時間短縮を図ることができる。なお、殺菌対象装置の殺菌は、殺菌対象装置への容器の搬入を停止するとともに、殺菌対象装置内から前記容器が搬出された状態で実行されると好適である。殺菌対象装置内に容器が無い状態で高温処理することで、容器が悪影響を受ける虞がなくなる。
本実施形態では、計画的な停止中における殺菌処理はリンサ装置12にのみ実施されるように構成されている。つまり、リンサ装置12が殺菌対象装置である。この殺菌処理では、チャンバ22に備えられた、スプレーノズル52又はスピンボール62から、高温水をチャンバ22の内部空間の温度が所定の殺菌温度以上を所定の時間維持できる程度の時間、例えば30分間程度散布する。なお、図1は、殺菌対象であるリンサ装置12のみに網掛けがされている。
従来の、例えば、薬液による殺菌は薬液と微生物の接触により殺菌を行うため散布した薬液をリンサ装置12の表面に満遍なく散布する必要があった。これに対して、高温水による殺菌処理は熱により殺菌を行うためチャンバ22の内部空間や殺菌対象装置自体の温度が所定の殺菌温度以上に温まればよい。つまり、薬液のようにリンサ装置12の表面に満遍なく高温水を散布する必要はない。なお、所定の殺菌温度とは殺菌対象である病原性や有害性を有する糸状菌、細菌、ウイルスなどの微生物を殺すことができる温度である。
また、従来の、例えば一斉殺菌では各装置11,12,13,14を上流側から順番に高温処理する殺菌ステップを二回繰り返していたため、一回当たりの高温水の散布時間が10分であった場合、リンサ装置12は合計20分間の高温水の散布がされる。各装置11,12,13,14の殺菌ステップを二回繰り返す構成である場合、一回目の高温水の散布が終わったあと二回目の高温水の散布までに、各チャンバの内部空間の温度が所定の殺菌温度以下まで低下する虞があり合計散布時間の割に殺菌効率が良くないという問題がある。これに対してリンサ装置12のみに高温水を散布する構成は所定の待機時間中に最大限に高温水の散布することができる点で効率的である。
リンサ装置12の金属と金属の隙間やボルトとナットの嵌合部等通常薬液が直接届きにくいところであっても伝熱により効果的な殺菌が可能となる。スプレーノズル52より流量が多く出るスピンボール62を使ってチャンバ22の内部空間の温度を短時間で暖めることができる。
この高温水によるリンサ装置12の殺菌処理は、チャンバ22には加圧装置32によって不活性ガス又はフィルタにより濾過された無菌エアが供給され、チャンバ22の内部空間は所定の陽圧に維持される。これにより殺菌処理中であっても通常の稼働状態と同じようにチャンバ22の外部から内部空間への殺菌対象である微生物の虞を減らすことができる。
ボトル入り飲料の製造中の計画的な停止時間を利用して、特にリンサ装置12の殺菌を行うことで、該リンサ装置12の殺菌のためだけに特別に時間を確保する必要がなく大幅な時間短縮を図ることができる。
なお、高温処理のあとにファイナルリンスを実行してもよい。このファイナルリンスは、薬液の散布による殺菌後に薬液を洗い流す目的で散布される洗浄水とは異なり、チャンバ22の内部空間の温度を通常の稼動状態における温度範囲まで冷却することを目的に実行される。このファイナルリンスは、洗浄ノズル72から、例えば5分間、常温水を散布する。このような冷却を目的としたファイナルリンスによってリンサ装置12の再稼働可能までの時間が自然冷却の場合に比べて短縮できる。
ボトリングシステム1は、図3に示すように、各装置を稼働しボトル入り飲料を製造する(稼働ステップS1)。1ロットの製造が終了すると(確認ステップS2:Y)、各装置を停止し(停止ステップS3)、各装置の一斉洗浄が実施される。一斉洗浄は、少なくとも各装置11,12,13,14を上流側から順番に二巡プレリンスし(プレリンスステップS4)、その後各装置11,12,13,14を上流側から順番に二巡薬液ないし高温水により殺菌し(殺菌ステップS5)、その後各装置11,12,13,14を上流側から順番に二巡ファイナルリンスする(ファイナルリンスステップS6)ように構成されている。一斉洗浄が終わると、次ロットの製造のために(確認ステップS7:Y)、各装置は再び稼働させられる(稼働ステップS1)。
ボトリングシステム1は、1ロットの製造中の所定の計画停止タイミングになると(確認ステップS8:Y)、各装置の稼働が停止させられる(計画停止ステップS9)。なお、計画停止タイミングと、容器入り液体製品の製造中の、特に1ロット中に生じる、各装置の可動部への潤滑油の供給等のメンテナンス、ボトルコンベアの清掃等の計画的な停止タイミングをいう。
以上のように稼働されるボトリングシステム1において本発明による殺菌方法が実行される。
計画停止タイミングの停止においては、少なくともリンサ装置12へのボトルの搬入が停止されるとともに、該リンサ装置12内からボトルが搬出される。このときリンサ装置12は、再稼働容易な待機稼動状態のままである。この計画停止されたリンサ装置12が、高温処理により殺菌される(高温処理ステップS10)。この高温処理ステップS10では、リンサ装置12が配設されているチャンバ22の内部空間が陽圧に維持された状態で、チャンバ22内に高温水が散布される。なお、高温処理ステップS10の実行中に、前記液封装置内の殺菌剤濃度を一定に保つために、殺菌剤を前記液封装置に供給する液封維持ステップをさらに備えていると好適である。高温処理ステップS10において高温水を散布することにより殺菌液の濃度が下がったり、蒸発などにより殺菌液の量が減ったりすることがある。そのようなときには前記液封維持ステップによって、無菌状態を維持するために最低限必要な殺菌液の有効濃度や有効液量を維持するために、殺菌液をオーバーフローさせる、若しくは置換させる、又は殺菌液の液量が少なくなれば規定量となるまで殺菌液を追加する。なお、殺菌液は、次亜塩素酸ソーダと塩酸とを水で希釈混合して生成されるハセッパー水等が例示できる。リンサ装置12の高温処理が終わると、必要によりリンサ装置12は、ファイナルリンスがされ(ファイナルリンスステップS11)、計画停止が終了すると、各装置は再び稼働させられる(稼働ステップS1)。
なお、本発明による殺菌方法の殺菌対象装置は、リンサ装置12に限らない。各装置11,12,13,14を計画的に停止する毎に各装置11,12,13,14のうちいずれか同じ装置を高温処理してもよいし、高温処理の対象となる装置を順次変えてもよい。所定の待機時間中に各装置11,12,13,14の殺菌を行うことで、殺菌のためだけの時間を確保する必要がない点で、ボトリングシステム1の稼働時間を相対的に伸ばすことができる。
なお、液体は飲料に限らず薬品などであってもよい。また容器はボトルに限らず缶や袋であってもよい。
上述した実施形態は、いずれも本発明の一例であり、該記載により本発明が限定されるものではなく、各部の具体的構成は本発明の作用効果が奏される範囲で適宜変更設計可能である。
1 ボトリングシステム
10 ボトルコンベア
11 ボトル滅菌機
12 リンサ装置
13 フィラー
14 キャッパ
22 チャンバ
32 加圧装置
43 薬液ノズル
52 スプレーノズル
62 スピンボール
72 洗浄ノズル

Claims (12)

  1. 搬送経路に沿って容器を搬送する搬送装置と、前記搬送経路上に、液体充填前の空の容器を滅菌する容器滅菌装置、滅菌された前記容器を洗浄水により洗浄する洗浄装置、洗浄された前記容器に液体を充填する充填装置及び液体が充填された前記容器を密封する密封装置とを備え、前記各装置を稼働させて容器入り液体製品を製造する無菌充填システムにおける殺菌方法であって、
    容器入り液体製品の製造中に、前記容器滅菌装置、前記洗浄装置、前記充填装置及び前記密封装置のうち少なくとも殺菌対象である殺菌対象装置の稼働を、再稼働容易な状態を維持したまま停止する計画停止ステップと、
    前記計画停止ステップにより停止中の前記殺菌対象装置を高温処理により殺菌する高温処理ステップとを備えることを特徴とする殺菌方法。
  2. 前記高温処理ステップは、前記殺菌対象装置への前記容器の搬入を停止するとともに、前記殺菌対象装置内から前記容器を搬出された状態で実行されることを特徴とする請求項1に記載の殺菌方法。
  3. 少なくとも前記殺菌対象装置はチャンバに配設され、
    前記高温処理ステップは、前記チャンバに高温水を散布することを特徴とする請求項1又は2に記載の殺菌方法。
  4. 前記高温処理ステップは、高温水を循環使用することを特徴とする請求項3に記載の殺菌方法。
  5. 前記高温処理ステップは、前記チャンバが陽圧に維持された状態で実行されることを特徴とする請求項3又は4に記載の殺菌方法。
  6. 前記チャンバには前記チャンバが有する開口部を殺菌剤で封止するための液封装置が配設され、
    前記高温処理ステップの実行中に、前記液封装置内の殺菌剤濃度を一定に保つために、殺菌剤を前記液封装置に供給する液封維持ステップをさらに備えていることを特徴とする請求項3から5のいずれか一項に記載の殺菌方法。
  7. 前記殺菌対象装置が、前記洗浄装置であることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の殺菌方法。
  8. 前記各装置の稼働を停止し、薬液又は高温処理により殺菌する一斉殺菌ステップを備え、
    前記計画停止ステップ及び前記高温処理ステップは、前記一斉殺菌ステップとは異なるタイミングで実行されることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の殺菌方法。
  9. 搬送経路に沿って容器を搬送する搬送装置と、前記搬送経路上に、液体充填前の空の容器を滅菌する容器滅菌装置、滅菌された前記容器を洗浄水により洗浄する洗浄装置、洗浄された前記容器に液体を充填する充填装置及び液体が充填された前記容器を密封する密封装置とを備え、前記各装置を稼働させて容器入り液体製品を製造する無菌充填システムに備えられる殺菌装置であって、
    前記容器滅菌装置、前記洗浄装置、前記充填装置及び前記密封装置の稼動及び停止を各別に制御可能な制御装置と、
    前記容器滅菌装置、前記洗浄装置、前記充填装置及び前記密封装置のうち少なくとも殺菌対象である殺菌対象装置に備えられた高温処理装置とを備え、
    前記制御装置は、前記殺菌対象装置の稼働を、再稼働容易な状態を維持したまま停止した状態で、前記高温処理装置を作動可能に構成されていることを特徴とする殺菌装置。
  10. 前記高温処理装置は、前記殺菌対象装置を覆うチャンバに配設されていることを特徴とする請求項9に記載の殺菌装置。
  11. 前記高温処理装置は、高温水を散布する散布装置と、散布された高温水を前記散布装置に循環する循環装置を備えていることを特徴とする請求項9又は10に記載の殺菌装置。
  12. 前記殺菌対象装置が、前記洗浄装置であることを特徴とする請求項9から11のいずれか一項に記載の殺菌装置。
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