JP7268350B2 - 充填システムおよび充填方法 - Google Patents

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Description

本発明は、殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムおよび充填方法に関し、特に、容器成形から内容液の充填・密封までを一貫して行うインラインブロー式の充填システムおよび充填方法に関する。
従来、同一工場内において、ブロー成形による容器成形から、内容液の充填・密封までを一貫して行うインラインブロー式の充填システムが知られており(例えば、特許文献1を参照)、このような充填システムでは、無菌環境に維持された充填ユニットに容器を搬送する前に、容器を充分に殺菌する必要がある。
容器の殺菌方法としては、様々なものが知られており、例えば、過酸化水素等の殺菌剤を容器内に塗布して容器を殺菌することが知られているが、容器内に過酸化水素等の殺菌剤を用いた場合、容器内に残留した殺菌剤が内容液の風味等を落とす懸念があるため、容器に充填する内容液の種類によっては、過酸化水素等の殺菌剤を用いることを避けたい場合もある。
そのため、上述した容器内における殺菌剤の残留を回避する殺菌方法として、容器内に過酸化水素等の殺菌剤を用いることなく、容器成形ユニットのブロー成形ターレットと充填ユニットの充填部との間に設けられた容器搬送路において、約85℃程度の温水を容器の内面に噴出することで、容器内のカビや酵母菌を殺菌することも知られている。
特開2014-231356号公報
ところが、上述したような温水を用いた殺菌方法では、容器内のカビや酵母菌を殺菌することはできるものの、芽胞菌については、温水による洗浄効果は期待できるものの、殺菌することができないため、温水を用いて殺菌された容器は、成分に含まれるカテキンによって芽胞菌を静菌できる緑茶や、芽胞菌の繁殖が無い水にしか使用することができないという問題があった。
また、上述したような温水を用いた殺菌方法では、高温に耐えうる耐熱性を容器に付与する必要があるため、容器の肉厚を厚くしなければならず、また、追加設備が必要になり、材料コストや製造コストが増加するという問題や、熱による容器へのダメージを軽減するために、温水を用いた殺菌処理を施した後に容器に冷却する工程を設けなければならないため、生産コストが増加する等の問題があった。
そこで、本発明は、これらの問題点を解決するものであり、簡素な構成で、容器に充填し得る内容液の種類を増加させるとともに、材料コストや製造コストや生産コストの低減を実現する充填システムおよび充填方法を提供することを目的とするものである。
本発明の充填システムは、殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムであって、ブロー成形ターレットを有した容器成形ユニットと、前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニットと、前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間の容器搬送路に設置された容器搬送機と、殺菌処理機構とを備え、前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットよりも上流側においてプリフォームにキセノンランプの光照射による殺菌処理を施すキセノンランプ殺菌処理器を備えるとともに、前記プリフォームを加熱する加熱部と前記ブロー成形ターレットとの間に設けられた転送部に配置され、前記キセノンランプ殺菌処理器は、前記キセノンランプを前記プリフォームの内側に挿入して、プリフォームに殺菌処理を施すように構成され、前記容器搬送機は、前記容器搬送路において容器に温水による殺菌処理を施すことなく、容器を搬送するように構成されていることにより、前記課題を解決するものである。
本発明の充填方法は、殺菌済みの容器に内容液を充填する充填方法であって、ブロー成形ターレットよりも上流側であって、プリフォームを加熱する加熱部とブロー成形ターレットとの間に設けられた転送部においてプリフォームにキセノンランプの光照射による殺菌処理を施し、前記キセノンランプの光照射による殺菌処理は、前記キセノンランプを前記プリフォームの内側に挿入して施し、前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間に設置された容器搬送路において、容器に温水による殺菌処理を施すことなく、容器を搬送することにより、前記課題を解決するものである。
本請求項1、7に係る発明によれば、光照射によって殺菌を行うキセノンランプを設置することによって、芽胞菌を殺菌することが可能であるため、充填システムの使用範囲を緑茶や水以外の内容液にも広げることができるばかりでなく、キセノンランプの光照射によって、カビや酵母菌についても殺菌することが可能であるため、容器搬送路において温水による殺菌処理を施す必要が無く、これにより、容器の薄肉化を実現して、材料コストや製造コストを低減できるとともに、温水殺菌処理後の冷却工程が不要になり、生産コストを低減することができ、また、容器搬送路に温水による殺菌処理を施す温水殺菌器を設置する必要がないため、装置構成を簡素化することができるとともに、容器搬送路における容器の搬送を迅速に行うことができる。
また、キセノンランプをプリフォームの内側に挿入して施されることにより、キセノンランプの光を外部に漏らすことなく、殺菌照射面(プリフォーム内面)とランプ間距離を極めて短くすることができるため、キセノンランプから発される光の大部分を殺菌処理に利用することが可能であるため、キセノンランプの出力を抑えることができる等、効率的な殺菌処理を実現することができる。
また、殺菌処理機構での殺菌後のプリフォームが加熱部や転送部においてブロー加工前に汚濁されることを防止できる。
本請求項2に係る発明によれば、殺菌処理機構でプリフォームが汚濁されることをさらに防止でき、より効率的な殺菌処理を実現することができる。
本請求項4に係る発明によれば、殺菌処理機構が、キセノンランプのプリフォームへの挿入時にキセノンランプ及びプリフォームの少なくとも何れか一方を回転させる回転手段を有することにより、プリフォームの内面に対するキセノンランプの光照射の均一性を確保することができる。
本請求項5に係る発明によれば、殺菌処理機構が、ブロー成形ターレットよりも上流側においてプリフォームの外面に殺菌流体を噴出する殺菌流体噴出器を備えていることにより、ブロー成形後の容器の外面に対して殺菌処理を施す必要を無くすことができる、または、容器の外面に対する殺菌レベルの要求を下げることができる。
本請求項6に係る発明によれば、キセノンランプ殺菌処理器が、その一部がプリフォームの内側に挿入されるキセノンランプと、キセノンランプから照射された光を反射させてプリフォームの首部の外面に誘導する反射部材とを有することにより、簡素な構成で、プリフォームの内面および首部の外面に対してキセノンランプの光照射による殺菌処理を良好に施すことができる。
本請求項8~11に係る発明によれば、キセノンランプの光照射によってプリフォームの内面をさらに良好に殺菌することができる。
本発明の一実施形態に係る充填システムを示す説明図。 充填システムの処理フローを概略的に示す説明図。 キセノンランプ殺菌処理器による殺菌処理の態様を概略的に示す説明図。 実験例Aの実験結果。 実験例Bの実験結果。 実験例Cの第1の実験結果。 実験例Cの第2の実験結果。 キセノンランプ殺菌処理器の変形例を示す説明図。 転送部の第1変形例を示す説明図。 転送部の第2変形例を示す説明図。
以下に、本発明の一実施形態に係る充填システム10について、図面に基づいて説明する。
まず、充填システム10は、殺菌済みの容器に殺菌された内容液を無菌充填するものである。充填システム10は、ミネラルウォーター等の水や緑茶やニアウォーター(フレーバー付きの水)等の充填用のNS(NON STERILANT)モードと、ミルク入り低酸性飲料等の低酸性飲料や麦茶等の充填用の低酸性モードの2つのモードを選択可能に構成されている。
充填システム10は、図1に示すように、ブロー成形ターレット23を有した容器成形ユニット20と、容器成形ユニット20の下流側に配置された充填ユニット30と、ブロー成形ターレット23および充填ユニット30の充填部33の間に設置された容器搬送路60と、容器成形ユニット20と充填ユニット30との間に設置された容器転送ユニット40と、容器またはプリフォームPFに殺菌処理を施す殺菌処理機構50とを備えている。
以下に、充填システム10の各構成要素について、図1~図3に基づいて説明する。
まず、容器成形ユニット20は、図1に示すように、プリフォームPFを投入する入口部21と、入口部21の下流側に配置されプリフォームPFを加熱する加熱部22と、加熱部22の下流側に配置され、プリフォームPF内に無菌エアーを吹き込むことで容器をブロー成形するブロー機(図示しない)が設置されたブロー成形ターレット23と、ブロー成形ターレット23の下流側に配置され容器を搬送する複数のターレットから成る搬送部24と、搬送部24の下流側に配置された出口部25と、容器成形ユニット20全体を覆うボックス26と、加熱部22およびブロー成形ターレット23の間に配置され、加熱部22から排出されたプリフォームPFをブロー成形ターレット23に転送する1つまたは複数のターレットから成る転送部27とを備えている。
なお、容器成形ユニット20のボックス26内は、HEPAフィルタを通した無菌エアーをFFU(Fan Filter Unit)により上部から吹き込むことにより、陽圧に保たれている。
また、搬送部24において、ブロー成形後の容器を、当該容器の内部の無菌保持を目的に、容器口部側から容器底部側に向かってエアーを吹き出した中を、通過させるように搬送してもよい。
また、充填ユニット30は、図1に示すように、容器を投入する入口部31と、入口部31の下流側に配置され容器を搬送する複数のターレットから成る搬送部32と、搬送部32の下流側に配置され容器内に内容液を充填する充填部33と、充填部33の下流側に配置され容器の口部に殺菌済みのキャップを装着するキャッピング部34と、キャッピング部34の下流側に配置されキャップを装着した容器を搬出する出口部35と、充填ユニット30全体を覆うボックス36とを備えている。
充填ユニット30における各工程は、その内部を無菌状態に維持されたボックス36内で行われる。このボックス36では、充填部33付近において外部から無菌エアーを導入し、入口部31付近および出口部35付近において無菌エアーを回収(排気)することにより、ボックス36内が陽圧に保たれる。
容器転送ユニット40は、無菌状態を保持した状態で容器を搬送するものであり、図1に示すように、複数(本実施形態では2つ)のターレット41と、容器成形ユニット20の出口部25に接続された入口部42と、充填ユニット30の入口部31に接続された出口部43と、容器転送ユニット40全体を覆うボックス44とを備えている。
各ターレット41には、容器の首部を把持する複数のグリッパー(図示しない)が備え付けられている。
なお、容器転送ユニット40のボックス44内は、陽圧に保たれるが、容器転送ユニット40のボックス44内の圧力は、充填ユニット30のボックス36内の気圧や容器成形ユニット20のボックス26の気圧よりも低く維持されている。
殺菌処理機構50は、図1や図2に示すように、除塵器51と、キセノンランプ殺菌処理器52と、第1殺菌流体噴出器53と、第2殺菌流体噴出器54と、第3殺菌流体噴出器55と、容器洗浄器57とを備えている。
NSモード選択時には、図2に示すように、除塵器51とキセノンランプ殺菌処理器52と第2殺菌流体噴出器54とが、稼働するように構成されている。
また、低酸性モード選択時には、図2に示すように、除塵器51とキセノンランプ殺菌処理器52と第1殺菌流体噴出器53と第2殺菌流体噴出器54と第3殺菌流体噴出器55と容器洗浄器57とが、稼働するように構成されている。
除塵器51は、ブロー成形ターレット23よりも上流側(更に具体的には、加熱部22よりも上流側)に設置され、プリフォームPFの少なくとも内面に付着した塵埃を除去するものである。
除塵器51の具体的態様としては、プリフォームPFの少なくとも内面にエアー等の気体を噴出することで除塵するものや、プリフォームPFの少なくとも内面に温水(または常温水)を噴出することで除塵するものが挙げられる。
このような除塵処理をキセノンランプ殺菌処理器52による処理の前に行うことにより、塵埃の裏側等に隠れた芽胞菌・カビ・酵母菌等にキセノンランプ52aの光が当たらないといった事態を回避することもできる。
キセノンランプ殺菌処理器52は、ブロー成形ターレット23よりも上流側(更に具体的には、加熱部22よりも上流側)において、除塵器51の下流側に設置され、プリフォームPFにキセノンランプ52aの光照射による殺菌処理を施すものである。
本実施形態では、キセノンランプ殺菌処理器52は、図3に示すように、プリフォームPFの内側にキセノンランプ52aを挿入して、プリフォームPFの内面に殺菌処理を施すように構成されている。
すなわち、本実施形態では、殺菌処理機構50が、プリフォームPFの軸方向に沿ってキセノンランプ52a及びプリフォームPFの少なくとも何れか一方を移動させる移動手段を有し、これにより、キセノンランプ殺菌処理器52による殺菌処理時に、プリフォームPFの内側にキセノンランプ52aを挿入するように構成されている。
なお、キセノンランプ殺菌処理器52の具体的態様は、上記のプリフォーム挿入型に限定されず、プリフォームPFの外側に1つまたは複数のキセノンランプ52aを配置して、プリフォームPFの内面(または、内面および外面)に殺菌処理を施すように構成されていてもよく、また、キセノンランプ52aをプリフォームPF内に挿入するとともに、プリフォームPFの外側にキセノンランプ52aを配置して、プリフォームPFの内面および外面に殺菌処理を施すように構成されていてもよい(言い替えると、プリフォームの内面を殺菌するキセノンランプ殺菌処理器52-1と、プリフォームの外面を殺菌するキセノンランプ殺菌処理器52-2とを設けてもよい)。
また、キセノンランプ殺菌処理器52の変形例として、図8に示すように、キセノンランプ52aによって照射される光を反射させる反射部材52bを設けてもよい。図8の例を具体的に説明すると、キセノンランプ殺菌処理器52は、プリフォームPFの内側にその一部が挿入されるキセノンランプ52aと、当該キセノンランプ52aから照射された光を反射させてプリフォームPFの首部PFNの外面に誘導する反射部材52bとを有している。
反射部材52bは、キセノンランプ52aから照射された光を反射させる凹状かつ湾曲面状の反射面をその内面に有しており、主に、キセノンランプ52aのうちプリフォームPFの外側に位置する部分から照射された光を首部PFNの外面に誘導するように形成されている。
なお、図8に示す例では、反射部材52bが、キセノンランプ52aを挿入させる挿入孔を有し、キセノンランプ52aが、反射部材52bの挿入孔に挿入された状態で反射部材52bに固定されているが、キセノンランプ52aと反射部材52bとを固定しなくてもよい。
第1殺菌流体噴出器53は、ブロー成形ターレット23よりも上流側(更に具体的には、加熱部22よりも上流側)において、キセノンランプ殺菌処理器52の下流側に設置され、プリフォームPFの内面に過酸化水素等の殺菌剤を加熱して気化させガス化した殺菌流体を噴出して殺菌処理を施すものである。
第2殺菌流体噴出器54は、ブロー成形ターレット23よりも上流側(更に具体的には、加熱部22よりも上流側)において、第1殺菌流体噴出器53の下流側に設置され、プリフォームPFの外面に過酸化水素等の殺菌剤を加熱して気化させガス化した殺菌流体を噴出して殺菌処理を施すものである。
なお、第2殺菌流体噴出器54の配置を入れ替えてもよく、すなわち、第2殺菌流体噴出器54の下流側に第1殺菌流体噴出器53を設置してもよい。
第3殺菌流体噴出器55は、容器搬送路60(すなわち、ブロー成形ターレット23よりも下流側かつ充填部33の上流側)に設置され、容器の内面に過酸化水素等の殺菌流体を噴出して殺菌処理を施すものである。
容器洗浄器57は、容器搬送路60(すなわち、ブロー成形ターレット23よりも下流側かつ充填部33の上流側)において、第3殺菌流体噴出器55の下流側に設置されている。容器洗浄器57は、容器の少なくとも内面(本実施形態では、内面および外面)に常温の無菌水又は無菌の加熱エアーを噴出して、容器の少なくとも内面(本実施形態では、内面および外面)に洗浄処理を施すものである。
容器搬送路60には、図1に示すように、ブロー成形ターレット23および充填ユニット30の充填部33の間に設置され、容器を搬送する容器搬送機が設置されている。本実施形態では、容器搬送機は、搬送部24を構成するターレットと、ターレット41と、搬送部32を構成するターレットとから構成されている。
容器搬送機は、容器搬送路60において容器に温水による殺菌処理(すなわち、容器の内面や外面に50℃~90℃等の高温の温水を噴出することによる温水殺菌処理)を施すことなく、容器を搬送するように構成され、言い換えると、容器搬送路60には、容器に温水による殺菌処理を施す温水殺菌器が設置されていない。
次に、NSモード選択時における殺菌処理フローを図2に基づいて以下に説明する。
まず、容器成形ユニット20の入口部21から投入されたプリフォームPFには、除塵器51によって、プリフォームPFの少なくとも内面に付着した塵埃を除去する処理が施される。
次に、プリフォームPFには、キセノンランプ殺菌処理器52によって、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理が施される。この時、図3に示すように、キセノンランプ殺菌処理器52は、プリフォームPF内にキセノンランプ52aを挿入し、プリフォームPFの内面に殺菌処理が施される。
なお、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理は、キセノンランプ52aをプリフォームPFの内側に挿入した状態で、キセノンランプ52aを1回あるいは複数回パルス発光させることで行われるのが好ましい。
また、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理は、図3に示すように、プリフォームPFの開口部からプリフォームPFの軸方向Aに1mm~2.5mmの範囲Bにおいて、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離Cを1mm以上に設定した状態で、キセノンランプ52aを発光させることで行われるのが好ましい。
すなわち、プリフォームPFの開口径に応じて、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離が1mm以上となるように、キセノンランプ52aの外径を設定するのが好ましい。
これにより、プリフォームPFの内側に対してキセノンランプ52aを円滑に挿入することができる。
また、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理は、プリフォームPFの中心軸線A上における、プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離Dを、プリフォームPFの全長すなわち開口からプリフォームPFの内面の最底面までの長さに応じて、1mm~100mmの範囲に設定した状態で、キセノンランプ52aを発光させることで行われるのが好ましい。
具体的には、2L用のプリフォームPFの場合、開口からの長さ127mmであり、その場合、底からの長さが100mm以下であれば良好な殺菌が得られ、500mL用のプリフォームPFの場合、開口からの長さ90mmであり、その場合、底からの長さが50mm以下であれば良好な殺菌が得られる。
なお、本実施形態では、プリフォームPFの中心軸線Aとキセノンランプ52aの中心軸とが一致するように、プリフォームPF内にキセノンランプ52aを挿入するが、プリフォームPFの中心軸線Aとキセノンランプ52aの中心軸とが多少ずれていても何ら構わない。
また、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理は、プリフォームPFの内面(の全ての箇所)における積算照度が10mJ/cm~1000mJ/cmになるように、キセノンランプ52aを発光させることで行われるのが好ましい。
また、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理は、キセノンランプ52aをプリフォームPFの内側に挿入した状態で0.1秒~5秒発光させることで行われるのが好ましい。
また、キセノンランプ52aのプリフォームPFへの挿入時(挿入した時)に、プリフォームPFの中心軸線Aを中心としてキセノンランプ52a及びプリフォームPFの少なくとも何れか一方を回転させる回転手段を殺菌処理機構50に設け、キセノンランプ52aのプリフォームPFへの挿入時に、キセノンランプ52a及びプリフォームPFの少なくとも何れか一方を回転させるのが好ましい。これにより、プリフォームPFの内面に対するキセノンランプ52aの光照射の均一性を確保することができる。
ここで、キセノンランプ殺菌処理器52に対しては、その表面(特に内面)の付着菌数を一定値以下(芽胞菌:10CFU未満、カビ:10CFU未満、酵母菌:10CFU未満に抑えたプリフォームPFを導入することが望ましい。
また、キセノンランプ殺菌処理器52の上流側においてプリフォームPFの表面の付着菌数を一定値(10CFU未満)以下に抑えるための手段としては、上述した除塵器51による処理や、除塵器51による処理に加えて(または代えて)プリフォームPFに対して施される蒸気(や過熱水蒸気)や常温水や温水等による洗浄やエアパージ等が挙げられる。また、これら手段を組み合わせてもよい。また、上記手段を施すタイミングや場所については、キセノンランプ殺菌処理器52の上流側であれば如何なるものでもよく、例えば、容器成形ユニット20の上流側(外側)であってもよい。
このように、キセノンランプ殺菌処理器52に導入されるプリフォームPFの表面(特に内面)の付着菌数を一定値(10CFU未満)以下に抑えることにより、後工程での殺菌処理のレベルを低く設定することができ、また、成形される容器の最終的な付着菌数を低く抑えることができる。
次に、プリフォームPFには、第2殺菌流体噴出器54によって、プリフォームPFの外面に過酸化水素等の殺菌流体が噴出されて殺菌処理が施される。
次に、プリフォームPFに対して加熱部22による加熱処理およびブロー成形ターレット23によるブロー成形処理が施された後の容器は、容器搬送路60に設置された容器搬送機によって、温水による殺菌処理を施されることなく、充填ユニット30の充填部33に搬送される。
次に、低酸性モード選択時における殺菌処理フローを図2に基づいて以下に説明する。
まず、容器成形ユニット20の入口部21から投入されたプリフォームPFには、除塵器51によって、プリフォームPFの少なくとも内面に付着した塵埃を除去する処理が施される。
次に、プリフォームPFには、キセノンランプ殺菌処理器52によって、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理が施される。この時、図3に示すように、キセノンランプ殺菌処理器52は、プリフォームPF内にキセノンランプ52aを挿入し、プリフォームPFの内面に殺菌処理を施す。
なお、キセノンランプ52aの光照射に関する諸条件は、上述したNSモード時の条件と同様である。
次に、プリフォームPFには、第1殺菌流体噴出器53によって、プリフォームPFの内面に過酸化水素等の殺菌流体が噴出されて殺菌処理が施される。
次に、プリフォームPFには、第2殺菌流体噴出器54によって、プリフォームPFの外面に過酸化水素等の殺菌流体が噴出されて殺菌処理が施される。
次に、プリフォームPFに対して加熱部22による加熱処理およびブロー成形ターレット23によるブロー成形処理が施された後の容器には、第3殺菌流体噴出器55によって、容器の内面に過酸化水素等の殺菌流体が噴出されて殺菌処理が施される。
次に、プリフォームPFには、容器洗浄器57によって、容器の少なくとも内面に常温の無菌水が噴出されて洗浄処理が施される。
次に、容器洗浄器57によって洗浄処理が施された容器は、充填ユニット30の充填部33に搬送される。
なお、本実施形態では、低酸性モード選択時において、容器(またはプリフォームPF)の内面に関するキセノンランプ殺菌処理器52および第1殺菌流体噴出器53による殺菌効果(殺菌能力)は、容器(またはプリフォームPF)の内面に関する第3殺菌流体噴出器55による殺菌効果(殺菌能力)よりも高く設定されている。
[実験例A]
次に、殺菌処理機構50による殺菌効果を確認するために行った実験例Aについて、図4に基づいて説明する。
まず、実験例Aでは、プリフォームPFに対して、除塵器51、キセノンランプ殺菌処理器52、加熱部22、第2殺菌流体噴出器54による各種処理を施した時の殺菌効果を確認した。
具体的な実験条件については、以下の通りである。
殺菌対象のプリフォーム(容器):容量500mlのPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトル用のプリフォーム、プリフォーム口部内面の内径:約20mm、プリフォーム天面から内底面の距離:約90mm。
除塵器51:加熱部22の上流側において、各プリフォームPFの内面に対して、コンプレッサ-エア流量:50NL/minで1秒、圧力:0.15MPaの条件で、除塵エアーを吹き付けた。除塵器51による処理有り、無しの両方のパターンで実験を行った。
キセノンランプ殺菌処理器52:加熱部22の上流側かつ除塵器51の下流側において、キセノンランプ52aの先端を、プリフォームPFの内径が一定範囲のうちの最奥部(プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離は10mmに設定、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離は5mmに設定)まで挿入し、そこで発光させて、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離は5mmでプリフォームPFの内周面の積算照度を4000mJ/cmとし、プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離は10mmでプリフォームPFの内底面の積算照度1000mJ/cmを基準にプリフォームPFの内底面の各積算照度を所定の設定値になるように照射した。照度計は紫外線強度計:UM-10(コニカミノルタ社製)にセンサーUM-250を用いた。
加熱部22:プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持した状態で、加熱部22内でプリフォームPFを搬送し、プリフォームPFの表面温度が100~130℃になるまでプリフォームPFを加熱した。
第2殺菌流体噴出器54:35%過酸化水素を130℃加熱板に500ml/h滴下し、ホットエアー100Nl/minと混合させた過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に向けて110~150℃で噴射させた。具体的には、プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持し、中心軸Aを中心としてプリフォームPFを1回転させながら、過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に吹き付けた。プリフォームPFの外面への過酸化水素ガスの吹き付けは、キセノンランプ殺菌処理器52の下流側であって、加熱部22の上流側において行った。
また、殺菌価の計測方法(殺菌サンプル作製→殺菌処理→サンプル生残菌数測定→殺菌効果計測)については、以下の通りである。
供試菌:芽胞菌 Bacillus atrophaeus ATCC9372 芽胞
カビ Aspergillus niger ATCC6275 分生子
酵母 Saccharomyces cerevisiae NBRC0217 胞子
方法:供試菌懸濁液は菌懸濁液0.1mlあたり樹脂粉末1mgを混合したものを用いた。プリフォームPFの内面に供試菌懸濁液を0.1ml噴霧して、10cfu(コロニー形成単位)/プリフォームとなるように懸濁液を付着させた後、一昼夜クリーンルーム内で乾燥させ、供試プリフォームとして用いた。プリフォームPFは上記所定の条件で各機器51、52、22、54を通過させた後、ブロー成形ターレット23によってブロー成形を行い、殺菌処理済みボトルをサンプリングし、直ちに無菌キャップを密封した。密封したサンプルボトルはクリーンベンチ内でボトル内面に滅菌済み処理水を入れ、生残菌を回収し、メンブランフィルターによる菌計測を芽胞菌は標準寒天培地を用いて、カビ・酵母はポテトデキストロース寒天培地を用いて、30℃で1週間培養することにより計測した。初期菌数は殺菌前のプリフォームPFから同様な方法により菌数を計測した。計測した値(n=3)から殺菌価=Log(初期菌数/生残菌数)にて殺菌条件毎に殺菌効果を求めた。判定基準は×:全ての殺菌価が0、△:いずれかの殺菌価が1以上、○:全ての殺菌価が2以上、△以上を有効とする。なお、本内面の菌計測を実施する前提として、ボトル口部を含む外面に対して、拭き取り検査にて菌の付着有無を確認したところ、ボトル外面から菌の検出(n=100)はなかった。
実験例Aによる実験結果を図4に示す。
図4に示す実験結果から、キセノンランプ殺菌処理器52による処理の前に、除塵器51による除塵処理をプリフォームPFに施すことにより、プリフォームPF(容器)の内面において、芽胞菌、カビ、酵母菌のいずれにおいても殺菌効果が向上することが分かった。
[実験例B]
次に、殺菌処理機構50による殺菌効果を確認するために行った実験例Bについて、図5に基づいて説明する。
まず、実験例Bでは、プリフォームPFに対して、キセノンランプ殺菌処理器52、第2殺菌流体噴出器54、加熱部22による各種処理を施した時の殺菌効果を確認した。なお、実験例Bでは、除塵器51による除塵処理は施していない。
具体的な実験条件については、以下の通りである。
殺菌対象のプリフォーム(容器):容量2000mlのPETボトル用のプリフォーム、プリフォーム口部内面の内径:約20mm、プリフォーム天面から内底面の距離:約130mm。
キセノンランプ殺菌処理器52:加熱部22の上流側かつ除塵器51の下流側において、キセノンランプ52aの先端をプリフォームPFに挿入し、そこで発光させて、各積算照度を所定の設定値になるように照射した。照度計は紫外線強度計:UM-10(コニカミノルタ社製)にセンサーUM-250を用いた。プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離Cは1mm、5mmであり、プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離Dは10mm、50mm、100mmである。なお、プリフォームPFの内面(内周面および内定面を含む内面)の積算照度は、距離Cが5mmの場合に4,000mJ/cm、距離Dが100mmの場合に10mJ/cmである。
第2殺菌流体噴出器54:35%過酸化水素を130℃加熱板に500ml/h滴下し、ホットエアー100Nl/minと混合させた過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に向けて130~170℃で噴射させた。具体的には、プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持し、中心軸Aを中心としてプリフォームPFを1回転させながら、過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に吹き付けた。プリフォームPFの外面への過酸化水素ガスの吹き付けは、キセノンランプ殺菌処理器52の下流側かつ加熱部22の上流側において行った。
加熱部22:プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持した状態で、加熱部22内でプリフォームPFを搬送し、プリフォームPFの表面温度が100~130℃になるまでプリフォームPFを加熱した。
また、殺菌価の計測方法(殺菌サンプル作製→殺菌処理→サンプル生残菌数測定→殺菌効果計測)については、以下の通りである。
供試菌:芽胞菌 Bacillus atrophaeus ATCC9372 芽胞
カビ Aspergillus niger ATCC6275 分生子
酵母 Saccharomyces cerevisiae NBRC0217 胞子
方法:プリフォームPFの内面に供試菌懸濁液を0.1ml噴霧して、10cfu(コロニー形成単位)/プリフォームとなるように懸濁液を付着させた後、一昼夜クリーンルーム内で乾燥させ、供試プリフォームとして用いた。プリフォームPFは上記所定の条件で各機器52、54、22を通過させた後、ブロー成形ターレット23によってブロー成形を行い、殺菌処理済みボトルをサンプリングし、直ちに無菌キャップを密封した。密封したサンプルボトルはクリーンベンチ内でボトル内面に滅菌済み処理水を入れ、生残菌を回収し、メンブランフィルターによる菌計測を芽胞菌は標準寒天培地を用いて、カビ・酵母はポテトデキストロース寒天培地を用いて、30℃で1週間培養することにより計測した。初期菌数は殺菌前のプリフォームPFから同様な方法により菌数を計測した。計測した値(n=3)から殺菌価=Log(初期菌数/生残菌数)にて殺菌条件毎に殺菌効果を求めた。判定基準は×:全ての殺菌価が0、△:いずれかの殺菌価が1以上、○:全ての殺菌価が2以上、△以上を有効とする。なお、本内面の菌計測を実施する前提として、ボトル口部を含む外面に対して、拭き取り検査にて菌の付着有無を確認したところ、ボトル外面から菌の検出(n=100)はなかった。
実験例Bによる実験結果を図5に示す。
図5に示す実験結果から、キセノンランプ殺菌処理器52による処理によって、距離Cが5mm以下、Dが100mm以下の場合(すなわち、プリフォームPFの内面の積算照度が10mJ/cm以上の場合)に、プリフォームPF(容器)の内面において、芽胞菌、カビ、酵母菌のいずれにおいても、殺菌効果が得られることが分かった。
[実験例C]
次に、殺菌処理機構50による殺菌効果を確認するために行った実験例Cについて、図6に基づいて説明する。
まず、実験例Cでは、プリフォームPFに対して、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器、キセノンランプ殺菌処理器52、第1殺菌流体噴出器53、第2殺菌流体噴出器54、加熱部22による各種処理を施した時の殺菌効果を確認した。
具体的な実験条件については、以下の通りである。
殺菌対象のプリフォーム(容器):容量500mlのPETボトル用のプリフォーム、プリフォーム口部内面の内径:約20mm、プリフォーム天面から内底面の距離:約90mm。
(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器:キセノンランプ殺菌処理器52の上流側において、温水をプリフォームPFの内面に噴射することで所定温度を1秒保持した。その後、無菌エアーを吹き付けて水滴を除去した。プリフォームPFの温度はプリフォームPF高さ中央の側面内面部にK熱電対を直接接着させ、レコーダーと接続させることで測定した。プリフォーム口部内周面温度:55℃、65℃、75℃、保持(噴射)時間:1秒、噴射媒体:温水。(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理有り、無しの両方のパターンで実験を行った。
キセノンランプ殺菌処理器52:(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器の下流側において、キセノンランプ52aの先端を、プリフォームPFの内径が一定範囲のうちの最奥部(プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離は10mmに設定、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離は5mmに設定)まで挿入し、そこで発光させて、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離は5mmでプリフォームPFの内周面の積算照度を4000mJ/cmとし、プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離は10mmでプリフォームPFの内底面の積算照度1000mJ/cmを基準にプリフォームPFの内底面の各積算照度が所定の設定値になるように照射した。照度計は紫外線強度計:UM-10(コニカミノルタ社製)にセンサーUM-250を用いた。
第1殺菌流体噴出器53:キセノンランプ殺菌処理器52の下流側かつ加熱部22の上流側において、プリフォームPF口部内面に向けて、プリフォームPF天面と対向する同じ高さでプリフォームPF内径を超えない噴射ノズル径で過酸化水素ガスを所定量噴射した。過酸化水素内面噴霧量は、0.1mg/PF(プリフォーム)、0.5mg/PF、1.0mg/PFである。プリフォームPFの口部をグリッパによって把持しながら、過酸化水素ガスをプリフォームPFの内面に吹き付けた。第1殺菌流体噴出器53による処理有り、無しの両方のパターンで実験を行った。
第2殺菌流体噴出器54:35%過酸化水素を130℃加熱板に500ml/h滴下し、ホットエアー100Nl/minと混合させた過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に向けて130~170℃で噴射させた。具体的には、プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持し、中心軸Aを中心としてプリフォームPFを1回転させながら、過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に吹き付けた。プリフォームPFの外面への過酸化水素ガスの吹き付けは、第1殺菌流体噴出器53の下流側かつ加熱部22の上流側において行った。
加熱部22:第2殺菌流体噴出器54の下流側において、プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持した状態で、加熱部22内でプリフォームPFを搬送し、プリフォームPFの表面温度が100~130℃になるまでプリフォームPFを加熱した。
また、殺菌価の計測方法(殺菌サンプル作製→殺菌処理→サンプル生残菌数測定→殺菌効果計測)については、以下の通りである。
供試菌:芽胞菌 Bacillus atrophaeus ATCC9372 芽胞
カビ Aspergillus niger ATCC6275 分生子
酵母 Saccharomyces cerevisiae NBRC0217 胞子
方法:プリフォームPFの内面に供試菌懸濁液を0.1ml噴霧して、10cfu(コロニー形成単位)/プリフォームとなるように懸濁液を付着させた後、一昼夜クリーンルーム内で乾燥させ、供試プリフォームとして用いた。プリフォームPFは上記所定の条件で各機器を通過させた後、ブロー成形ターレット23によってブロー成形を行い、殺菌処理済みボトルをサンプリングし、直ちに無菌キャップを密封した。密封したサンプルボトルはクリーンベンチ内でボトル内面に滅菌済み処理水を入れ、生残菌を回収し、メンブランフィルターによる菌計測を芽胞菌は標準寒天培地を用いて、カビ・酵母はポテトデキストロース寒天培地を用いて、30℃で1週間培養することにより計測した。初期菌数は殺菌前のプリフォームPFから同様な方法により菌数を計測した。計測した値(n=3)から殺菌価=Log(初期菌数/生残菌数)にて殺菌条件毎に殺菌効果を求めた。判定基準は×:全ての殺菌価が0、△:いずれかの殺菌価が1以上、○:全ての殺菌価が2以上、△以上を有効とする。なお、本内面の菌計測を実施する前提として、ボトル口部を含む外面に対して、拭き取り検査にて菌の付着有無を確認したところ、ボトル外面から菌の検出(n=100)はなかった。
実験例Cによる実験結果のうち、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理無しのパターンの実験結果を図6に示す。
図6に示す実験結果から、キセノンランプ殺菌処理器52による処理、および、第1殺菌流体噴出器53による処理を併せて施すことにより、プリフォームPF(容器)の内面において、芽胞菌、カビ、酵母菌のいずれにおいても、より高い殺菌効果が得られることが分かった。
また、キセノンランプ殺菌処理器52による処理、および、第1殺菌流体噴出器53による処理を併せて施すことにより、同レベルの殺菌効果を得るにあたって、より低いプリフォームPFの内面の積算照度、および、より低い過酸化水素の噴霧量で済むため、キセノンランプ殺菌処理器52による照射負荷、および、容器成形後の過酸化水素等の殺菌剤の残量を低減できることが分かった。
また、キセノンランプ殺菌処理器52による処理、および、第1殺菌流体噴出器53による処理を併せて施すことで、プリフォームPFの内面の積算照度が10mJ/cm以上の場合に、充分な殺菌効果が得られることが分かった。
また、キセノンランプ殺菌処理器52による処理、および、第1殺菌流体噴出器53による処理を併せて施すことで、プリフォームPFに対する過酸化水素の噴霧量が0.1mg/PF(プリフォーム)以上の場合に、充分な殺菌効果が得られることが分かった。
また、実験例Cにおいて、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理有りで、第1殺菌流体噴出器53による処理無しのパターンの実験結果を図7に示す。
図7に示す実験結果から、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理、および、キセノンランプ殺菌処理器52による処理を併せて施すことにより、プリフォームPF(容器)の内面において、芽胞菌、カビ、酵母菌のいずれにおいても、より高い殺菌効果が得られることが分かった。
また、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理、および、キセノンランプ殺菌処理器52による処理を併せて施すことにより、同レベルの殺菌効果を得るにあたって、より低いプリフォームPFの内面の積算照度で済むため、キセノンランプ殺菌処理器52による照射負荷を低減できることが分かった。
また、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理、および、キセノンランプ殺菌処理器52による処理を併せて施し、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理を65℃以上の温水(媒体)で施すことにより、充分な殺菌効果が得られることが分かった。
また、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理、および、キセノンランプ殺菌処理器52による処理を併せて施し、プリフォームPFの内面の積算照度が10mJ/cm以上の場合に、充分な殺菌効果が得られることが分かった。
以上の実験例Cの結果からすると、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器、キセノンランプ殺菌処理器52、第1殺菌流体噴出器53の全ての処理を行えば、より高い殺菌効果を得ることが期待できる。
以上、本発明の実施形態を詳述したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行なうことが可能である。
例えば、上述した実施形態では、充填システム10が、NSモードと低酸性モードの2つのモードを選択可能に構成されているものとして説明したが、低酸性モードを選択できないように充填システム10を構成してもよく、すなわち、低酸性モード専用の各機器(第1殺菌流体噴出器53、第3殺菌流体噴出器55、容器洗浄器57)については設けなくともよい。
また、上記の2つのモード(NSモード、低酸性モード)以外のモードを選択できるように、すなわち、稼働させる機器51~57の組み合わせを変えた(稼働させる機器51~57を任意に選択した)他のモードを選択できるように、充填システム10を構成してもよく、例えば、除塵器51とキセノンランプ殺菌処理器52と第2殺菌流体噴出器54のみを稼働させる他のモード(除塵モード)を選択できるように、充填システム10を構成してもよい。
また、上述した実施形態では、殺菌流体が過酸化水素であるものとして説明したが、殺菌流体の具体的態様は、殺菌剤の成分を有したものであれば、如何なるものでもよい。
また、上述した実施形態では、第1殺菌流体噴出器53や第2殺菌流体噴出器54が、加熱部22よりも上流側に設置されているものとして説明したが、第1殺菌流体噴出器53や第2殺菌流体噴出器54の具体的配置は上記に限定されず、例えば、キセノンランプ殺菌処理器52や第1殺菌流体噴出器53や第2殺菌流体噴出器54を加熱部22内に設置してもよい。
また、殺菌処理機構50の構成として、ブロー成形ターレット23よりも上流側または容器搬送路60に、容器に電子線(EB)を照射する照射器や、容器に紫外線(UV)を照射する照射器等(その他の殺菌処理器58)を設けてもよい。
また、キセノンランプ殺菌処理器52や第1殺菌流体噴出器53や第2殺菌流体噴出器54を、図9や図10に示すように、加熱部22とブロー成形ターレット23との間の転送部27に設置してもよい。図9や図10に示す例では、転送部27が複数の転送ターレット27aから成り、殺菌流体噴出器53、54は、隣接する複数(2つ)の転送ターレット27aによって転送途中のプリフォームPFに対して処理を施すように設置され、また、キセノンランプ殺菌処理器52は、殺菌流体噴出器53、54を設置した転送ターレット27aの下流側に隣接する転送ターレット27aによって搬送途中のプリフォームPFに対して処理を施すように設置されている。
また、別形態としては、殺菌流体噴出器54を使用せずに、殺菌流体噴出器53と、キセノンランプ殺菌処理器52として、プリフォームの内面を殺菌するキセノンランプ殺菌処理器52-1と、プリフォームの外面を殺菌するものとして、キセノンランプ殺菌処理器52-2又はその他の殺菌処理器58を配置することもできる。
また、さらに別形態としては、殺菌流体噴出器53を使用せずに、キセノンランプ殺菌処理器52-1と、殺菌流体噴出器54又はその他の殺菌処理器58のいずれか一方と、を配置することもできる。
上記のキセノンランプ殺菌処理器52、殺菌流体噴出器53、54の配置、殺菌流体噴出器53と、キセノンランプ殺菌処理器52-1、キセノンランプ殺菌処理器52-2又はその他の殺菌処理器58の配置、キセノンランプ殺菌処理器52-1、殺菌流体噴出器54又はその他の殺菌処理器58の配置は、複数のターレット27-aにおいて順不同に配置することができ、NSモード及び低酸性モードの各モードに応じて各殺菌処理を行うことができる。
以上のように、プリフォームの内外面の殺菌処理を転送部27内の複数のターレット27-aにおいて配置すれば、プリフォーム殺菌処理を、殺菌処理機構50内でコンパクトにまとめることが可能である。
また、上述した実施形態では、キセノンランプ殺菌処理器52の上流工程として、除塵器51による除塵処理をプリフォームPFに施すものとして説明した。しかしながら、当該除塵処理に代えてまたは当該除塵処理に加えて、プリフォームPFの少なくとも内面に対して蒸気噴出器によって蒸気(または過熱水蒸気)を吹き付けてもよい。
なお、キセノンランプ殺菌処理器52の上流工程として、プリフォームPFの少なくとも内面に温水または過熱水蒸気を噴出した場合、当該温水または過熱水蒸気の熱によってカビや酵母菌の殺菌効果を得ることができるため、後工程(第1殺菌流体噴出器53、第2殺菌流体噴出器54、第3殺菌流体噴出器55)での殺菌処理のレベルを低く設定することができる(殺菌剤の濃度を低く抑えることができる、温水の温度を低く抑えることができる)。
また、上述した実施形態では、NSモードが水や緑茶やニアウォーター等の充填用のモードであり、低酸性モードがミルク入り低酸性飲料等の低酸性飲料や麦茶等の充填用のモードであるものとして説明したが、各モードが対象とする内容液の種類は上記に限定されず、例えば、NSモードを選択した時に、低酸性飲料を容器に充填してもよい。
また、上述した実施形態では、充填ユニット30の各部(充填部33やキャッピング部34等)を纏めて、1つの無菌ボックスで覆うものとして説明したが、充填部33やキャッピング部34を別の無菌ボックスで覆うように構成してもよい。
10 ・・・ 充填システム
20 ・・・ 容器成形ユニット
21 ・・・ 入口部
22 ・・・ 加熱部
23 ・・・ ブロー成形ターレット
24 ・・・ 搬送部
25 ・・・ 出口部
26 ・・・ ボックス
27 ・・・ 転送部
30 ・・・ 充填ユニット
31 ・・・ 入口部
32 ・・・ 搬送部
33 ・・・ 充填部
34 ・・・ キャッピング部
35 ・・・ 出口部
36 ・・・ ボックス
40 ・・・ 容器転送ユニット
41 ・・・ ターレット(搬送機)
42 ・・・ 入口部
43 ・・・ 出口部
44 ・・・ ボックス
50 ・・・ 殺菌処理機構
51 ・・・ 除塵器
52 ・・・ キセノンランプ殺菌処理器
52a ・・・ キセノンランプ
52b ・・・ 反射部材
53 ・・・ 第1殺菌流体噴出器
54 ・・・ 第2殺菌流体噴出器(殺菌流体噴出器)
55 ・・・ 第3殺菌流体噴出器
57 ・・・ 容器洗浄器
58 ・・・ その他の殺菌処理器
60 ・・・ 容器搬送路
PF ・・・ プリフォーム
PFN ・・・ プリフォームの首部

Claims (11)

  1. 殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムであって、
    ブロー成形ターレットを有した容器成形ユニットと、前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニットと、前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間の容器搬送路に設置された容器搬送機と、殺菌処理機構とを備え、
    前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットよりも上流側においてプリフォームにキセノンランプの光照射による殺菌処理を施すキセノンランプ殺菌処理器を備えるとともに、前記プリフォームを加熱する加熱部と前記ブロー成形ターレットとの間に設けられた転送部に配置され
    前記キセノンランプ殺菌処理器は、前記キセノンランプを前記プリフォームの内側に挿入して、プリフォームに殺菌処理を施すように構成され、
    前記容器搬送機は、前記容器搬送路において容器に温水による殺菌処理を施すことなく、容器を搬送するように構成されていることを特徴とする充填システム。
  2. 前記殺菌処理機構は、除塵器を有することを特徴とする請求項1に記載の充填システム。
  3. 前記殺菌処理機構は、前記キセノンランプの前記プリフォームへの挿入時に前記キセノンランプ及び前記プリフォームの少なくとも何れか一方を相対的に前記プリフォームの軸方向に移動させる移動手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の充填システム。
  4. 前記殺菌処理機構は、前記キセノンランプの前記プリフォームへの挿入時に前記キセノンランプ及び前記プリフォームの少なくとも何れか一方を回転させる回転手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の充填システム。
  5. 前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットよりも上流側においてプリフォームの外面に殺菌流体を噴出する殺菌流体噴出器を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の充填システム。
  6. 前記キセノンランプ殺菌処理器は、その一部が前記プリフォームの内側に挿入される前記キセノンランプと、前記キセノンランプから照射された光を反射させて前記プリフォームの首部の外面に誘導する反射部材とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の充填システム。
  7. 殺菌済みの容器に内容液を充填する充填方法であって、
    ブロー成形ターレットよりも上流側であって、プリフォームを加熱する加熱部とブロー成形ターレットとの間に設けられた転送部においてプリフォームにキセノンランプの光照射による殺菌処理を施し、
    前記キセノンランプの光照射による殺菌処理は、前記キセノンランプを前記プリフォームの内側に挿入して施し、
    前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間に設置された容器搬送路において、容器に温水による殺菌処理を施すことなく、容器を搬送することを特徴とする充填方法。
  8. 前記キセノンランプの光照射による殺菌処理は、前記キセノンランプを前記プリフォームの内側に挿入した状態で、前記キセノンランプを1回あるいは複数回パルス発光させることで行われることを特徴とする請求項7に記載の充填方法。
  9. 前記キセノンランプの光照射による殺菌処理は、前記プリフォームの中心軸線上における、前記プリフォームの内底面と前記キセノンランプの底面表面との間の距離を1mm~100mmの範囲に設定した状態で、前記キセノンランプを発光させることで行われることを特徴とする請求項7又は8に記載の充填方法。
  10. 前記キセノンランプの光照射による殺菌処理は、前記キセノンランプを前記プリフォームの内側に挿入した状態で0.1秒~5秒発光させることで行われることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の充填方法。
  11. 前記キセノンランプの前記プリフォームへの挿入時に前記キセノンランプ及び前記プリフォームの少なくとも何れか一方を回転させることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の充填方法。
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