JP7268350B2 - 充填システムおよび充填方法 - Google Patents
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Description
本発明の充填方法は、殺菌済みの容器に内容液を充填する充填方法であって、ブロー成形ターレットよりも上流側であって、プリフォームを加熱する加熱部とブロー成形ターレットとの間に設けられた転送部においてプリフォームにキセノンランプの光照射による殺菌処理を施し、前記キセノンランプの光照射による殺菌処理は、前記キセノンランプを前記プリフォームの内側に挿入して施し、前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間に設置された容器搬送路において、容器に温水による殺菌処理を施すことなく、容器を搬送することにより、前記課題を解決するものである。
また、キセノンランプをプリフォームの内側に挿入して施されることにより、キセノンランプの光を外部に漏らすことなく、殺菌照射面(プリフォーム内面)とランプ間距離を極めて短くすることができるため、キセノンランプから発される光の大部分を殺菌処理に利用することが可能であるため、キセノンランプの出力を抑えることができる等、効率的な殺菌処理を実現することができる。
また、殺菌処理機構での殺菌後のプリフォームが加熱部や転送部においてブロー加工前に汚濁されることを防止できる。
本請求項4に係る発明によれば、殺菌処理機構が、キセノンランプのプリフォームへの挿入時にキセノンランプ及びプリフォームの少なくとも何れか一方を回転させる回転手段を有することにより、プリフォームの内面に対するキセノンランプの光照射の均一性を確保することができる。
本請求項5に係る発明によれば、殺菌処理機構が、ブロー成形ターレットよりも上流側においてプリフォームの外面に殺菌流体を噴出する殺菌流体噴出器を備えていることにより、ブロー成形後の容器の外面に対して殺菌処理を施す必要を無くすことができる、または、容器の外面に対する殺菌レベルの要求を下げることができる。
本請求項6に係る発明によれば、キセノンランプ殺菌処理器が、その一部がプリフォームの内側に挿入されるキセノンランプと、キセノンランプから照射された光を反射させてプリフォームの首部の外面に誘導する反射部材とを有することにより、簡素な構成で、プリフォームの内面および首部の外面に対してキセノンランプの光照射による殺菌処理を良好に施すことができる。
本請求項8~11に係る発明によれば、キセノンランプの光照射によってプリフォームの内面をさらに良好に殺菌することができる。
なお、容器成形ユニット20のボックス26内は、HEPAフィルタを通した無菌エアーをFFU(Fan Filter Unit)により上部から吹き込むことにより、陽圧に保たれている。
また、搬送部24において、ブロー成形後の容器を、当該容器の内部の無菌保持を目的に、容器口部側から容器底部側に向かってエアーを吹き出した中を、通過させるように搬送してもよい。
なお、容器転送ユニット40のボックス44内は、陽圧に保たれるが、容器転送ユニット40のボックス44内の圧力は、充填ユニット30のボックス36内の気圧や容器成形ユニット20のボックス26の気圧よりも低く維持されている。
また、低酸性モード選択時には、図2に示すように、除塵器51とキセノンランプ殺菌処理器52と第1殺菌流体噴出器53と第2殺菌流体噴出器54と第3殺菌流体噴出器55と容器洗浄器57とが、稼働するように構成されている。
除塵器51の具体的態様としては、プリフォームPFの少なくとも内面にエアー等の気体を噴出することで除塵するものや、プリフォームPFの少なくとも内面に温水(または常温水)を噴出することで除塵するものが挙げられる。
このような除塵処理をキセノンランプ殺菌処理器52による処理の前に行うことにより、塵埃の裏側等に隠れた芽胞菌・カビ・酵母菌等にキセノンランプ52aの光が当たらないといった事態を回避することもできる。
本実施形態では、キセノンランプ殺菌処理器52は、図3に示すように、プリフォームPFの内側にキセノンランプ52aを挿入して、プリフォームPFの内面に殺菌処理を施すように構成されている。
すなわち、本実施形態では、殺菌処理機構50が、プリフォームPFの軸方向に沿ってキセノンランプ52a及びプリフォームPFの少なくとも何れか一方を移動させる移動手段を有し、これにより、キセノンランプ殺菌処理器52による殺菌処理時に、プリフォームPFの内側にキセノンランプ52aを挿入するように構成されている。
なお、キセノンランプ殺菌処理器52の具体的態様は、上記のプリフォーム挿入型に限定されず、プリフォームPFの外側に1つまたは複数のキセノンランプ52aを配置して、プリフォームPFの内面(または、内面および外面)に殺菌処理を施すように構成されていてもよく、また、キセノンランプ52aをプリフォームPF内に挿入するとともに、プリフォームPFの外側にキセノンランプ52aを配置して、プリフォームPFの内面および外面に殺菌処理を施すように構成されていてもよい(言い替えると、プリフォームの内面を殺菌するキセノンランプ殺菌処理器52-1と、プリフォームの外面を殺菌するキセノンランプ殺菌処理器52-2とを設けてもよい)。
また、キセノンランプ殺菌処理器52の変形例として、図8に示すように、キセノンランプ52aによって照射される光を反射させる反射部材52bを設けてもよい。図8の例を具体的に説明すると、キセノンランプ殺菌処理器52は、プリフォームPFの内側にその一部が挿入されるキセノンランプ52aと、当該キセノンランプ52aから照射された光を反射させてプリフォームPFの首部PFNの外面に誘導する反射部材52bとを有している。
反射部材52bは、キセノンランプ52aから照射された光を反射させる凹状かつ湾曲面状の反射面をその内面に有しており、主に、キセノンランプ52aのうちプリフォームPFの外側に位置する部分から照射された光を首部PFNの外面に誘導するように形成されている。
なお、図8に示す例では、反射部材52bが、キセノンランプ52aを挿入させる挿入孔を有し、キセノンランプ52aが、反射部材52bの挿入孔に挿入された状態で反射部材52bに固定されているが、キセノンランプ52aと反射部材52bとを固定しなくてもよい。
なお、第2殺菌流体噴出器54の配置を入れ替えてもよく、すなわち、第2殺菌流体噴出器54の下流側に第1殺菌流体噴出器53を設置してもよい。
容器搬送機は、容器搬送路60において容器に温水による殺菌処理(すなわち、容器の内面や外面に50℃~90℃等の高温の温水を噴出することによる温水殺菌処理)を施すことなく、容器を搬送するように構成され、言い換えると、容器搬送路60には、容器に温水による殺菌処理を施す温水殺菌器が設置されていない。
なお、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理は、キセノンランプ52aをプリフォームPFの内側に挿入した状態で、キセノンランプ52aを1回あるいは複数回パルス発光させることで行われるのが好ましい。
また、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理は、図3に示すように、プリフォームPFの開口部からプリフォームPFの軸方向Aに1mm~2.5mmの範囲Bにおいて、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離Cを1mm以上に設定した状態で、キセノンランプ52aを発光させることで行われるのが好ましい。
すなわち、プリフォームPFの開口径に応じて、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離が1mm以上となるように、キセノンランプ52aの外径を設定するのが好ましい。
これにより、プリフォームPFの内側に対してキセノンランプ52aを円滑に挿入することができる。
また、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理は、プリフォームPFの中心軸線A上における、プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離Dを、プリフォームPFの全長すなわち開口からプリフォームPFの内面の最底面までの長さに応じて、1mm~100mmの範囲に設定した状態で、キセノンランプ52aを発光させることで行われるのが好ましい。
具体的には、2L用のプリフォームPFの場合、開口からの長さ127mmであり、その場合、底からの長さが100mm以下であれば良好な殺菌が得られ、500mL用のプリフォームPFの場合、開口からの長さ90mmであり、その場合、底からの長さが50mm以下であれば良好な殺菌が得られる。
なお、本実施形態では、プリフォームPFの中心軸線Aとキセノンランプ52aの中心軸とが一致するように、プリフォームPF内にキセノンランプ52aを挿入するが、プリフォームPFの中心軸線Aとキセノンランプ52aの中心軸とが多少ずれていても何ら構わない。
また、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理は、プリフォームPFの内面(の全ての箇所)における積算照度が10mJ/cm2~1000mJ/cm2になるように、キセノンランプ52aを発光させることで行われるのが好ましい。
また、キセノンランプ52aの光照射による殺菌処理は、キセノンランプ52aをプリフォームPFの内側に挿入した状態で0.1秒~5秒発光させることで行われるのが好ましい。
また、キセノンランプ52aのプリフォームPFへの挿入時(挿入した時)に、プリフォームPFの中心軸線Aを中心としてキセノンランプ52a及びプリフォームPFの少なくとも何れか一方を回転させる回転手段を殺菌処理機構50に設け、キセノンランプ52aのプリフォームPFへの挿入時に、キセノンランプ52a及びプリフォームPFの少なくとも何れか一方を回転させるのが好ましい。これにより、プリフォームPFの内面に対するキセノンランプ52aの光照射の均一性を確保することができる。
また、キセノンランプ殺菌処理器52の上流側においてプリフォームPFの表面の付着菌数を一定値(10CFU未満)以下に抑えるための手段としては、上述した除塵器51による処理や、除塵器51による処理に加えて(または代えて)プリフォームPFに対して施される蒸気(や過熱水蒸気)や常温水や温水等による洗浄やエアパージ等が挙げられる。また、これら手段を組み合わせてもよい。また、上記手段を施すタイミングや場所については、キセノンランプ殺菌処理器52の上流側であれば如何なるものでもよく、例えば、容器成形ユニット20の上流側(外側)であってもよい。
このように、キセノンランプ殺菌処理器52に導入されるプリフォームPFの表面(特に内面)の付着菌数を一定値(10CFU未満)以下に抑えることにより、後工程での殺菌処理のレベルを低く設定することができ、また、成形される容器の最終的な付着菌数を低く抑えることができる。
なお、キセノンランプ52aの光照射に関する諸条件は、上述したNSモード時の条件と同様である。
次に、殺菌処理機構50による殺菌効果を確認するために行った実験例Aについて、図4に基づいて説明する。
除塵器51:加熱部22の上流側において、各プリフォームPFの内面に対して、コンプレッサ-エア流量:50NL/minで1秒、圧力:0.15MPaの条件で、除塵エアーを吹き付けた。除塵器51による処理有り、無しの両方のパターンで実験を行った。
キセノンランプ殺菌処理器52:加熱部22の上流側かつ除塵器51の下流側において、キセノンランプ52aの先端を、プリフォームPFの内径が一定範囲のうちの最奥部(プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離は10mmに設定、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離は5mmに設定)まで挿入し、そこで発光させて、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離は5mmでプリフォームPFの内周面の積算照度を4000mJ/cm2とし、プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離は10mmでプリフォームPFの内底面の積算照度1000mJ/cm2を基準にプリフォームPFの内底面の各積算照度を所定の設定値になるように照射した。照度計は紫外線強度計:UM-10(コニカミノルタ社製)にセンサーUM-250を用いた。
加熱部22:プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持した状態で、加熱部22内でプリフォームPFを搬送し、プリフォームPFの表面温度が100~130℃になるまでプリフォームPFを加熱した。
第2殺菌流体噴出器54:35%過酸化水素を130℃加熱板に500ml/h滴下し、ホットエアー100Nl/minと混合させた過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に向けて110~150℃で噴射させた。具体的には、プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持し、中心軸Aを中心としてプリフォームPFを1回転させながら、過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に吹き付けた。プリフォームPFの外面への過酸化水素ガスの吹き付けは、キセノンランプ殺菌処理器52の下流側であって、加熱部22の上流側において行った。
供試菌:芽胞菌 Bacillus atrophaeus ATCC9372 芽胞
カビ Aspergillus niger ATCC6275 分生子
酵母 Saccharomyces cerevisiae NBRC0217 胞子
方法:供試菌懸濁液は菌懸濁液0.1mlあたり樹脂粉末1mgを混合したものを用いた。プリフォームPFの内面に供試菌懸濁液を0.1ml噴霧して、106cfu(コロニー形成単位)/プリフォームとなるように懸濁液を付着させた後、一昼夜クリーンルーム内で乾燥させ、供試プリフォームとして用いた。プリフォームPFは上記所定の条件で各機器51、52、22、54を通過させた後、ブロー成形ターレット23によってブロー成形を行い、殺菌処理済みボトルをサンプリングし、直ちに無菌キャップを密封した。密封したサンプルボトルはクリーンベンチ内でボトル内面に滅菌済み処理水を入れ、生残菌を回収し、メンブランフィルターによる菌計測を芽胞菌は標準寒天培地を用いて、カビ・酵母はポテトデキストロース寒天培地を用いて、30℃で1週間培養することにより計測した。初期菌数は殺菌前のプリフォームPFから同様な方法により菌数を計測した。計測した値(n=3)から殺菌価=Log(初期菌数/生残菌数)にて殺菌条件毎に殺菌効果を求めた。判定基準は×:全ての殺菌価が0、△:いずれかの殺菌価が1以上、○:全ての殺菌価が2以上、△以上を有効とする。なお、本内面の菌計測を実施する前提として、ボトル口部を含む外面に対して、拭き取り検査にて菌の付着有無を確認したところ、ボトル外面から菌の検出(n=100)はなかった。
図4に示す実験結果から、キセノンランプ殺菌処理器52による処理の前に、除塵器51による除塵処理をプリフォームPFに施すことにより、プリフォームPF(容器)の内面において、芽胞菌、カビ、酵母菌のいずれにおいても殺菌効果が向上することが分かった。
次に、殺菌処理機構50による殺菌効果を確認するために行った実験例Bについて、図5に基づいて説明する。
キセノンランプ殺菌処理器52:加熱部22の上流側かつ除塵器51の下流側において、キセノンランプ52aの先端をプリフォームPFに挿入し、そこで発光させて、各積算照度を所定の設定値になるように照射した。照度計は紫外線強度計:UM-10(コニカミノルタ社製)にセンサーUM-250を用いた。プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離Cは1mm、5mmであり、プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離Dは10mm、50mm、100mmである。なお、プリフォームPFの内面(内周面および内定面を含む内面)の積算照度は、距離Cが5mmの場合に4,000mJ/cm2、距離Dが100mmの場合に10mJ/cm2である。
第2殺菌流体噴出器54:35%過酸化水素を130℃加熱板に500ml/h滴下し、ホットエアー100Nl/minと混合させた過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に向けて130~170℃で噴射させた。具体的には、プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持し、中心軸Aを中心としてプリフォームPFを1回転させながら、過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に吹き付けた。プリフォームPFの外面への過酸化水素ガスの吹き付けは、キセノンランプ殺菌処理器52の下流側かつ加熱部22の上流側において行った。
加熱部22:プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持した状態で、加熱部22内でプリフォームPFを搬送し、プリフォームPFの表面温度が100~130℃になるまでプリフォームPFを加熱した。
供試菌:芽胞菌 Bacillus atrophaeus ATCC9372 芽胞
カビ Aspergillus niger ATCC6275 分生子
酵母 Saccharomyces cerevisiae NBRC0217 胞子
方法:プリフォームPFの内面に供試菌懸濁液を0.1ml噴霧して、106cfu(コロニー形成単位)/プリフォームとなるように懸濁液を付着させた後、一昼夜クリーンルーム内で乾燥させ、供試プリフォームとして用いた。プリフォームPFは上記所定の条件で各機器52、54、22を通過させた後、ブロー成形ターレット23によってブロー成形を行い、殺菌処理済みボトルをサンプリングし、直ちに無菌キャップを密封した。密封したサンプルボトルはクリーンベンチ内でボトル内面に滅菌済み処理水を入れ、生残菌を回収し、メンブランフィルターによる菌計測を芽胞菌は標準寒天培地を用いて、カビ・酵母はポテトデキストロース寒天培地を用いて、30℃で1週間培養することにより計測した。初期菌数は殺菌前のプリフォームPFから同様な方法により菌数を計測した。計測した値(n=3)から殺菌価=Log(初期菌数/生残菌数)にて殺菌条件毎に殺菌効果を求めた。判定基準は×:全ての殺菌価が0、△:いずれかの殺菌価が1以上、○:全ての殺菌価が2以上、△以上を有効とする。なお、本内面の菌計測を実施する前提として、ボトル口部を含む外面に対して、拭き取り検査にて菌の付着有無を確認したところ、ボトル外面から菌の検出(n=100)はなかった。
図5に示す実験結果から、キセノンランプ殺菌処理器52による処理によって、距離Cが5mm以下、Dが100mm以下の場合(すなわち、プリフォームPFの内面の積算照度が10mJ/cm2以上の場合)に、プリフォームPF(容器)の内面において、芽胞菌、カビ、酵母菌のいずれにおいても、殺菌効果が得られることが分かった。
次に、殺菌処理機構50による殺菌効果を確認するために行った実験例Cについて、図6に基づいて説明する。
(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器:キセノンランプ殺菌処理器52の上流側において、温水をプリフォームPFの内面に噴射することで所定温度を1秒保持した。その後、無菌エアーを吹き付けて水滴を除去した。プリフォームPFの温度はプリフォームPF高さ中央の側面内面部にK熱電対を直接接着させ、レコーダーと接続させることで測定した。プリフォーム口部内周面温度:55℃、65℃、75℃、保持(噴射)時間:1秒、噴射媒体:温水。(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理有り、無しの両方のパターンで実験を行った。
キセノンランプ殺菌処理器52:(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器の下流側において、キセノンランプ52aの先端を、プリフォームPFの内径が一定範囲のうちの最奥部(プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離は10mmに設定、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離は5mmに設定)まで挿入し、そこで発光させて、プリフォームPFの内周面とキセノンランプ52aの外周面との間の距離は5mmでプリフォームPFの内周面の積算照度を4000mJ/cm2とし、プリフォームPFの内底面とキセノンランプ52aの底面表面との間の距離は10mmでプリフォームPFの内底面の積算照度1000mJ/cm2を基準にプリフォームPFの内底面の各積算照度が所定の設定値になるように照射した。照度計は紫外線強度計:UM-10(コニカミノルタ社製)にセンサーUM-250を用いた。
第1殺菌流体噴出器53:キセノンランプ殺菌処理器52の下流側かつ加熱部22の上流側において、プリフォームPF口部内面に向けて、プリフォームPF天面と対向する同じ高さでプリフォームPF内径を超えない噴射ノズル径で過酸化水素ガスを所定量噴射した。過酸化水素内面噴霧量は、0.1mg/PF(プリフォーム)、0.5mg/PF、1.0mg/PFである。プリフォームPFの口部をグリッパによって把持しながら、過酸化水素ガスをプリフォームPFの内面に吹き付けた。第1殺菌流体噴出器53による処理有り、無しの両方のパターンで実験を行った。
第2殺菌流体噴出器54:35%過酸化水素を130℃加熱板に500ml/h滴下し、ホットエアー100Nl/minと混合させた過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に向けて130~170℃で噴射させた。具体的には、プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持し、中心軸Aを中心としてプリフォームPFを1回転させながら、過酸化水素ガスをプリフォームPFの外面に吹き付けた。プリフォームPFの外面への過酸化水素ガスの吹き付けは、第1殺菌流体噴出器53の下流側かつ加熱部22の上流側において行った。
加熱部22:第2殺菌流体噴出器54の下流側において、プリフォームPFの口部内面をスピンドルによって把持した状態で、加熱部22内でプリフォームPFを搬送し、プリフォームPFの表面温度が100~130℃になるまでプリフォームPFを加熱した。
供試菌:芽胞菌 Bacillus atrophaeus ATCC9372 芽胞
カビ Aspergillus niger ATCC6275 分生子
酵母 Saccharomyces cerevisiae NBRC0217 胞子
方法:プリフォームPFの内面に供試菌懸濁液を0.1ml噴霧して、106cfu(コロニー形成単位)/プリフォームとなるように懸濁液を付着させた後、一昼夜クリーンルーム内で乾燥させ、供試プリフォームとして用いた。プリフォームPFは上記所定の条件で各機器を通過させた後、ブロー成形ターレット23によってブロー成形を行い、殺菌処理済みボトルをサンプリングし、直ちに無菌キャップを密封した。密封したサンプルボトルはクリーンベンチ内でボトル内面に滅菌済み処理水を入れ、生残菌を回収し、メンブランフィルターによる菌計測を芽胞菌は標準寒天培地を用いて、カビ・酵母はポテトデキストロース寒天培地を用いて、30℃で1週間培養することにより計測した。初期菌数は殺菌前のプリフォームPFから同様な方法により菌数を計測した。計測した値(n=3)から殺菌価=Log(初期菌数/生残菌数)にて殺菌条件毎に殺菌効果を求めた。判定基準は×:全ての殺菌価が0、△:いずれかの殺菌価が1以上、○:全ての殺菌価が2以上、△以上を有効とする。なお、本内面の菌計測を実施する前提として、ボトル口部を含む外面に対して、拭き取り検査にて菌の付着有無を確認したところ、ボトル外面から菌の検出(n=100)はなかった。
図6に示す実験結果から、キセノンランプ殺菌処理器52による処理、および、第1殺菌流体噴出器53による処理を併せて施すことにより、プリフォームPF(容器)の内面において、芽胞菌、カビ、酵母菌のいずれにおいても、より高い殺菌効果が得られることが分かった。
また、キセノンランプ殺菌処理器52による処理、および、第1殺菌流体噴出器53による処理を併せて施すことにより、同レベルの殺菌効果を得るにあたって、より低いプリフォームPFの内面の積算照度、および、より低い過酸化水素の噴霧量で済むため、キセノンランプ殺菌処理器52による照射負荷、および、容器成形後の過酸化水素等の殺菌剤の残量を低減できることが分かった。
また、キセノンランプ殺菌処理器52による処理、および、第1殺菌流体噴出器53による処理を併せて施すことで、プリフォームPFの内面の積算照度が10mJ/cm2以上の場合に、充分な殺菌効果が得られることが分かった。
また、キセノンランプ殺菌処理器52による処理、および、第1殺菌流体噴出器53による処理を併せて施すことで、プリフォームPFに対する過酸化水素の噴霧量が0.1mg/PF(プリフォーム)以上の場合に、充分な殺菌効果が得られることが分かった。
図7に示す実験結果から、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理、および、キセノンランプ殺菌処理器52による処理を併せて施すことにより、プリフォームPF(容器)の内面において、芽胞菌、カビ、酵母菌のいずれにおいても、より高い殺菌効果が得られることが分かった。
また、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理、および、キセノンランプ殺菌処理器52による処理を併せて施すことにより、同レベルの殺菌効果を得るにあたって、より低いプリフォームPFの内面の積算照度で済むため、キセノンランプ殺菌処理器52による照射負荷を低減できることが分かった。
また、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理、および、キセノンランプ殺菌処理器52による処理を併せて施し、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理を65℃以上の温水(媒体)で施すことにより、充分な殺菌効果が得られることが分かった。
また、(除塵器51を兼ねた)温水殺菌器による処理、および、キセノンランプ殺菌処理器52による処理を併せて施し、プリフォームPFの内面の積算照度が10mJ/cm2以上の場合に、充分な殺菌効果が得られることが分かった。
また、上記の2つのモード(NSモード、低酸性モード)以外のモードを選択できるように、すなわち、稼働させる機器51~57の組み合わせを変えた(稼働させる機器51~57を任意に選択した)他のモードを選択できるように、充填システム10を構成してもよく、例えば、除塵器51とキセノンランプ殺菌処理器52と第2殺菌流体噴出器54のみを稼働させる他のモード(除塵モード)を選択できるように、充填システム10を構成してもよい。
また、上述した実施形態では、殺菌流体が過酸化水素であるものとして説明したが、殺菌流体の具体的態様は、殺菌剤の成分を有したものであれば、如何なるものでもよい。
また、上述した実施形態では、第1殺菌流体噴出器53や第2殺菌流体噴出器54が、加熱部22よりも上流側に設置されているものとして説明したが、第1殺菌流体噴出器53や第2殺菌流体噴出器54の具体的配置は上記に限定されず、例えば、キセノンランプ殺菌処理器52や第1殺菌流体噴出器53や第2殺菌流体噴出器54を加熱部22内に設置してもよい。
また、殺菌処理機構50の構成として、ブロー成形ターレット23よりも上流側または容器搬送路60に、容器に電子線(EB)を照射する照射器や、容器に紫外線(UV)を照射する照射器等(その他の殺菌処理器58)を設けてもよい。
また、キセノンランプ殺菌処理器52や第1殺菌流体噴出器53や第2殺菌流体噴出器54を、図9や図10に示すように、加熱部22とブロー成形ターレット23との間の転送部27に設置してもよい。図9や図10に示す例では、転送部27が複数の転送ターレット27aから成り、殺菌流体噴出器53、54は、隣接する複数(2つ)の転送ターレット27aによって転送途中のプリフォームPFに対して処理を施すように設置され、また、キセノンランプ殺菌処理器52は、殺菌流体噴出器53、54を設置した転送ターレット27aの下流側に隣接する転送ターレット27aによって搬送途中のプリフォームPFに対して処理を施すように設置されている。
また、別形態としては、殺菌流体噴出器54を使用せずに、殺菌流体噴出器53と、キセノンランプ殺菌処理器52として、プリフォームの内面を殺菌するキセノンランプ殺菌処理器52-1と、プリフォームの外面を殺菌するものとして、キセノンランプ殺菌処理器52-2又はその他の殺菌処理器58を配置することもできる。
また、さらに別形態としては、殺菌流体噴出器53を使用せずに、キセノンランプ殺菌処理器52-1と、殺菌流体噴出器54又はその他の殺菌処理器58のいずれか一方と、を配置することもできる。
上記のキセノンランプ殺菌処理器52、殺菌流体噴出器53、54の配置、殺菌流体噴出器53と、キセノンランプ殺菌処理器52-1、キセノンランプ殺菌処理器52-2又はその他の殺菌処理器58の配置、キセノンランプ殺菌処理器52-1、殺菌流体噴出器54又はその他の殺菌処理器58の配置は、複数のターレット27-aにおいて順不同に配置することができ、NSモード及び低酸性モードの各モードに応じて各殺菌処理を行うことができる。
以上のように、プリフォームの内外面の殺菌処理を転送部27内の複数のターレット27-aにおいて配置すれば、プリフォーム殺菌処理を、殺菌処理機構50内でコンパクトにまとめることが可能である。
また、上述した実施形態では、キセノンランプ殺菌処理器52の上流工程として、除塵器51による除塵処理をプリフォームPFに施すものとして説明した。しかしながら、当該除塵処理に代えてまたは当該除塵処理に加えて、プリフォームPFの少なくとも内面に対して蒸気噴出器によって蒸気(または過熱水蒸気)を吹き付けてもよい。
なお、キセノンランプ殺菌処理器52の上流工程として、プリフォームPFの少なくとも内面に温水または過熱水蒸気を噴出した場合、当該温水または過熱水蒸気の熱によってカビや酵母菌の殺菌効果を得ることができるため、後工程(第1殺菌流体噴出器53、第2殺菌流体噴出器54、第3殺菌流体噴出器55)での殺菌処理のレベルを低く設定することができる(殺菌剤の濃度を低く抑えることができる、温水の温度を低く抑えることができる)。
また、上述した実施形態では、NSモードが水や緑茶やニアウォーター等の充填用のモードであり、低酸性モードがミルク入り低酸性飲料等の低酸性飲料や麦茶等の充填用のモードであるものとして説明したが、各モードが対象とする内容液の種類は上記に限定されず、例えば、NSモードを選択した時に、低酸性飲料を容器に充填してもよい。
また、上述した実施形態では、充填ユニット30の各部(充填部33やキャッピング部34等)を纏めて、1つの無菌ボックスで覆うものとして説明したが、充填部33やキャッピング部34を別の無菌ボックスで覆うように構成してもよい。
20 ・・・ 容器成形ユニット
21 ・・・ 入口部
22 ・・・ 加熱部
23 ・・・ ブロー成形ターレット
24 ・・・ 搬送部
25 ・・・ 出口部
26 ・・・ ボックス
27 ・・・ 転送部
30 ・・・ 充填ユニット
31 ・・・ 入口部
32 ・・・ 搬送部
33 ・・・ 充填部
34 ・・・ キャッピング部
35 ・・・ 出口部
36 ・・・ ボックス
40 ・・・ 容器転送ユニット
41 ・・・ ターレット(搬送機)
42 ・・・ 入口部
43 ・・・ 出口部
44 ・・・ ボックス
50 ・・・ 殺菌処理機構
51 ・・・ 除塵器
52 ・・・ キセノンランプ殺菌処理器
52a ・・・ キセノンランプ
52b ・・・ 反射部材
53 ・・・ 第1殺菌流体噴出器
54 ・・・ 第2殺菌流体噴出器(殺菌流体噴出器)
55 ・・・ 第3殺菌流体噴出器
57 ・・・ 容器洗浄器
58 ・・・ その他の殺菌処理器
60 ・・・ 容器搬送路
PF ・・・ プリフォーム
PFN ・・・ プリフォームの首部
Claims (11)
- 殺菌済みの容器に内容液を充填する充填システムであって、
ブロー成形ターレットを有した容器成形ユニットと、前記容器成形ユニットの下流側に配置され容器に内容液を充填する充填部を有した充填ユニットと、前記ブロー成形ターレットおよび前記充填部の間の容器搬送路に設置された容器搬送機と、殺菌処理機構とを備え、
前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットよりも上流側においてプリフォームにキセノンランプの光照射による殺菌処理を施すキセノンランプ殺菌処理器を備えるとともに、前記プリフォームを加熱する加熱部と前記ブロー成形ターレットとの間に設けられた転送部に配置され、
前記キセノンランプ殺菌処理器は、前記キセノンランプを前記プリフォームの内側に挿入して、プリフォームに殺菌処理を施すように構成され、
前記容器搬送機は、前記容器搬送路において容器に温水による殺菌処理を施すことなく、容器を搬送するように構成されていることを特徴とする充填システム。 - 前記殺菌処理機構は、除塵器を有することを特徴とする請求項1に記載の充填システム。
- 前記殺菌処理機構は、前記キセノンランプの前記プリフォームへの挿入時に前記キセノンランプ及び前記プリフォームの少なくとも何れか一方を相対的に前記プリフォームの軸方向に移動させる移動手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の充填システム。
- 前記殺菌処理機構は、前記キセノンランプの前記プリフォームへの挿入時に前記キセノンランプ及び前記プリフォームの少なくとも何れか一方を回転させる回転手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の充填システム。
- 前記殺菌処理機構は、前記ブロー成形ターレットよりも上流側においてプリフォームの外面に殺菌流体を噴出する殺菌流体噴出器を備えていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の充填システム。
- 前記キセノンランプ殺菌処理器は、その一部が前記プリフォームの内側に挿入される前記キセノンランプと、前記キセノンランプから照射された光を反射させて前記プリフォームの首部の外面に誘導する反射部材とを有することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の充填システム。
- 殺菌済みの容器に内容液を充填する充填方法であって、
ブロー成形ターレットよりも上流側であって、プリフォームを加熱する加熱部とブロー成形ターレットとの間に設けられた転送部においてプリフォームにキセノンランプの光照射による殺菌処理を施し、
前記キセノンランプの光照射による殺菌処理は、前記キセノンランプを前記プリフォームの内側に挿入して施し、
前記ブロー成形ターレットおよび充填部の間に設置された容器搬送路において、容器に温水による殺菌処理を施すことなく、容器を搬送することを特徴とする充填方法。 - 前記キセノンランプの光照射による殺菌処理は、前記キセノンランプを前記プリフォームの内側に挿入した状態で、前記キセノンランプを1回あるいは複数回パルス発光させることで行われることを特徴とする請求項7に記載の充填方法。
- 前記キセノンランプの光照射による殺菌処理は、前記プリフォームの中心軸線上における、前記プリフォームの内底面と前記キセノンランプの底面表面との間の距離を1mm~100mmの範囲に設定した状態で、前記キセノンランプを発光させることで行われることを特徴とする請求項7又は8に記載の充填方法。
- 前記キセノンランプの光照射による殺菌処理は、前記キセノンランプを前記プリフォームの内側に挿入した状態で0.1秒~5秒発光させることで行われることを特徴とする請求項7乃至請求項9のいずれかに記載の充填方法。
- 前記キセノンランプの前記プリフォームへの挿入時に前記キセノンランプ及び前記プリフォームの少なくとも何れか一方を回転させることを特徴とする請求項7乃至請求項10のいずれかに記載の充填方法。
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