JP2017064866A - 眼鏡レンズ加工装置および加工軌跡算出プログラム - Google Patents

眼鏡レンズ加工装置および加工軌跡算出プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】レンズの周縁加工における加工方法の自由度、および加工可能な形状の自由度の少なくともいずれかを向上させることが可能な眼鏡レンズ加工装置および加工軌跡算出プログラムを提供する。
【解決手段】眼鏡レンズ加工装置のCPUは、加工予定面を特定する面情報を取得する(S1)。面情報は、加工具による加工によってレンズの周縁に形成する予定の加工予定面を特定する情報である。CPUは、加工予定面上を通過する複数単位のラインを特定する(S2)。CPUは、レンズに対する加工具の相対的な軌跡である加工軌跡を、複数単位のラインに基づいて算出する。CPUは、加工予定面よりもレンズの内側に加工具を接触させることなく、ライン上に加工具の表面を接触させる加工軌跡を、複数単位のラインの各々について算出する。
【選択図】図5

Description

本開示は、眼鏡レンズの周縁を加工するための眼鏡レンズ加工装置、および加工軌跡算出プログラムに関する。
従来、眼鏡レンズの周縁を加工するための種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1が開示するレンズ研削加工装置では、面取り量が、被加工レンズの各動径角毎に求められる。各動径角毎の面取り量に基づいて、円錐面の面取り砥石の動作が制御されることで、被加工レンズの面取りが行われる。
特許第3774529号
従来の眼鏡レンズ加工装置では、レンズの周縁加工の自由度を向上させることは困難であった。一例として、従来の眼鏡レンズ加工装置では、周縁部の面取り等を行うために使用する加工具の形状が、特定の形状(例えば、円錐面または円筒面を有する形状)に制限される場合がある。また、従来の眼鏡レンズ加工装置では、形成することが可能な形状(例えば、加工面の断面形状、加工面の角度、加工面の形成位置等の少なくともいずれか)が制限される場合もある。
本開示の典型的な目的は、レンズの周縁加工における加工方法の自由度、および加工可能な形状の自由度の少なくともいずれかを向上させることが可能な眼鏡レンズ加工装置および加工軌跡算出プログラムを提供することである。
本開示における典型的な実施形態が提供する眼鏡レンズ加工装置は、レンズに接触することで前記レンズを加工する加工具と、前記レンズの周縁との相対的な位置を移動させることで、前記レンズの周縁を加工する眼鏡レンズ加工装置であって、前記加工具による加工によって前記レンズの周縁に形成する予定の加工予定面を特定する面情報を取得する面情報取得手段と、完全には互いに重複しない複数単位のラインであり、且つ全ての前記ラインを通過する面が前記加工予定面に一致する前記複数単位のラインを、前記面情報に基づいて特定するライン特定手段と、前記レンズの周縁に前記加工予定面を形成する際の、前記レンズに対する前記加工具の相対的な軌跡を、前記複数単位のラインに基づいて算出する加工軌跡算出手段と、を備え、前記加工軌跡算出手段は、前記加工予定面を超えることなく前記ライン上に前記加工具の表面を接触させる前記軌跡を、前記複数単位のラインの各々について算出する。
本開示における典型的な実施形態が提供する加工軌跡算出プログラムは、レンズに接触することで前記レンズを加工する加工具と、前記レンズの周縁との相対的な移動の軌跡を算出する算出装置によって実行される加工軌跡算出プログラムであって、前記算出装置のプロセッサによって実行されることで、前記加工具による加工によって前記レンズの周縁に形成する予定の加工予定面を特定する面情報を取得する面情報取得ステップと、前記加工予定面上を通過する複数単位のラインを、前記面情報に基づいて特定するライン特定ステップと、前記レンズの周縁に前記加工予定面を形成する際の、前記レンズに対する前記加工具の相対的な軌跡を、前記複数単位のラインに基づいて算出する加工軌跡算出ステップと、を前記算出装置に実行させ、前記加工軌跡算出ステップでは、前記加工予定面を超えることなく前記ライン上に前記加工具の表面を接触させる前記軌跡が、前記複数単位のラインの各々について算出される。
本開示に係る眼鏡レンズ加工装置および加工軌跡算出プログラムによると、レンズの周縁加工における加工方法の自由度、および加工可能な形状の自由度の少なくともいずれかが向上する。
眼鏡レンズ加工装置1の加工機構の概略構成図である。 第2レンズ加工ユニット40の正面図である。 第2加工具回転軸43を含む断面で見た場合の第2加工具44の断面図である。 眼鏡レンズ加工装置1の電気的構成を示すブロック図である。 眼鏡レンズ加工装置1が実行する加工制御処理のフローチャートである。 加工制御処理において実行される加工軌跡算出処理のフローチャートである。 加工される予定のレンズLEの側面図である。 レンズLEの加工予定面上で特定される複数単位のラインL1〜L5の一例の示す図である。 加工予定面が適切に加工される場合の、レンズLEと溝掘り加工具442の相対的な位置関係の一例を示す図である。 加工予定面が適切に加工されない場合の、レンズLEと溝掘り加工具442の相対的な位置関係の一例を示す図である。
以下、本開示における典型的な実施形態の1つについて、図面を参照して説明する。図1に示すように、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置(レンズエッジャー)1は、レンズ保持部10、レンズ形状測定ユニット20、第1レンズ加工ユニット30、および第2レンズ加工ユニット40を備える。眼鏡レンズ加工装置1は、レンズ保持部10が有する2つのレンズチャック軸16L,16RでレンズLEを挟持する。眼鏡レンズ加工装置1は、第1レンズ加工ユニット30および第2レンズ加工ユニット40と、レンズチャック軸16L,16Rで挟持したレンズLEとの相対的な位置関係を変化させることで、レンズLEを加工する。
以下の説明では、レンズチャック軸16L,16Rが延びる方向を、X方向とする。レンズチャック軸16L,16Rと、加工具の回転軸との軸間距離が変動する方向を、Y方向とする。レンズチャック軸16L,16Rの軸周りにレンズLEが回転すると、レンズLEと加工具のZ方向における位置関係が変化する。図1の右斜め下側、左斜め上側、右斜め上側、左斜め下側を、それぞれ眼鏡レンズ加工装置1の前側、後側、右側、左側とする。
<レンズ保持部>
本実施形態のレンズ保持部10は、シャフト11,12、X軸移動支基13、およびキャリッジ15を備える。シャフト11は、眼鏡レンズ加工装置1におけるベース2の前後方向中央部に固定されている。シャフト12は、ベース2の前端左側に固定されている。2つのシャフト11,12は、共にX軸方向(つまり、レンズチャック軸16L,16Rと平行な方向)に延びる。X軸移動支基13は、2つのシャフト11,12によって、X軸方向に移動可能に支持されている。キャリッジ15は、X軸移動支基13に搭載されている。
キャリッジ15は、左側に左腕15Lを備え、且つ、右側に右腕15Rを備える。左腕15Lは、レンズチャック軸16Lを回転可能に保持する。右腕15Rは、レンズチャック軸16Rを回転可能に保持する。2つのレンズチャック軸16L,16Rは同軸上に位置する。右側のレンズチャック軸16Rは、右腕15Rに装着された挟持用モータ161によってX軸方向に移動する。眼鏡レンズ加工装置1は、右側のレンズチャック軸16Rを左方に移動させることで、2つのレンズチャック軸16L,16Rの間にレンズLEを挟持する。右腕15Rには、2つのレンズチャック軸16L,16Rを回転させるレンズ回転用モータ162が設けられている。レンズ回転用モータ162が回転すると、2つのレンズチャック軸16L,16Rは同期して軸周りに回転する。
シャフト11の左端部近傍には、X軸移動用モータ171が装着されている。X軸移動支基13の後部には、シャフト11と平行にX軸方向に延びるボールネジ(図示せず)が設けられている。X軸移動用モータ171が回転すると、ボールネジが回転する。その結果、X軸移動支基13およびキャリッジ15はX軸方向に直線移動する。X軸移動用モータ171にはエンコーダ172が設けられている。エンコーダ172は、X軸移動用モータ171の回転を検出することで、キャリッジ15のX方向の移動を検出する。
X軸移動支基13とキャリッジ15の左腕15Lとの間には、ガイドシャフト18およびボールネジ19が平行に設けられている。X軸移動支基13の前端部近傍には、Y軸移動用モータ191が設けられている。Y軸移動用モータ191が回転すると、ボールネジ19が回転する。その結果、キャリッジ15はシャフト11を中心として回転する。眼鏡レンズ加工装置1は、キャリッジ15を回転させることで、第1レンズ加工ユニット30および第2レンズ加工ユニット40と、レンズチャック軸16L,16Rで挟持したレンズLEとの相対的な位置関係を変化させる。つまり、眼鏡レンズ加工装置1は、Y軸移動モータ191を駆動することで、第1レンズ加工ユニット30および第2レンズ加工ユニット40をレンズLEに対してY方向に相対的に移動させる。なお、眼鏡レンズ加工装置1は、第1レンズ加工ユニット30および第2レンズ加工ユニット40を移動させて加工を行ってもよい。つまり、眼鏡レンズ加工装置1は、レンズLEに対して第1レンズ加工ユニット30および第2レンズ加工ユニット40を相対的に移動させる構成を備えていればよい。Y軸移動用モータ191にはエンコーダ192が設けられている。エンコーダ192は、Y軸移動用モータ191の回転を検出することで、キャリッジ15のY方向の移動を検出する。
<レンズ形状測定ユニット>
本実施形態のレンズ形状測定ユニット20は、キャリッジ15の後方に設けられている。レンズ形状測定ユニット20は、レンズLEの前面に接触させる測定子21と、レンズLEの後面に接触させる測定子22とを備える。測定子21,22は、X方向に移動可能なアーム23によって保持されている。レンズ形状測定ユニット20は、X方向におけるアームの位置を検出するセンサ231(図4参照)を備える。眼鏡レンズ加工装置1は、レンズ形状を測定する場合、レンズチャック軸16L,16Rを回転させると共に、玉型に基づいてレンズチャック軸16L,16RのY方向の移動を制御する。その結果、玉型に対応したレンズ前面および後面のX方向の位置が、センサ231によって検出される。
<第1レンズ加工ユニット>
本実施形態の第1レンズ加工ユニット30は、キャリッジ15の前方に設けられている。第1レンズ加工ユニット30は、第1加工具31、第1加工具回転軸32、および第1加工具回転モータ321を備える。一例として、第1加工具31は、ガラス用粗砥石311、仕上げ用砥石312、平鏡面仕上げ用砥石313、およびプラスチック用粗砥石314等を備える。仕上げ用砥石312には、レンズLEにヤゲンを形成するV溝(ヤゲン溝)VGおよび平坦加工面が形成されている。第1加工具回転軸32はX軸方向に延びており、第1加工具31が備える略円盤状または略円柱状の複数の砥石を同軸上に固定する。第1加工具回転モータ321は、第1加工具回転軸32の右端部に接続する。第1加工具回転モータ321が回転すると、第1加工具回転軸32および第1加工具31が軸周りに回転する。眼鏡レンズ加工装置1は、レンズLEを第1加工具31に接触させることで、レンズLEの周縁を加工する。
<第2レンズ加工ユニット>
本実施形態の第2レンズ加工ユニット40は、キャリッジ15の後方に設けられている。本実施形態の第2レンズ加工ユニット40は、レンズ形状測定ユニット20の移動範囲外において、レンズ形状測定ユニット20と並べて配置されている。
図2に示すように、本実施形態の第2レンズ加工ユニット40は、支基ブロック41、保持部材42、第2加工具回転軸43、第2加工具44、および第2加工具回転モータ431を備える。支基ブロック41は、ベース2(図1参照)から上方に延びる。保持部材42は、支基ブロック41の上端部に接続しており、第2加工具回転軸43を回転可能に保持する。第2加工具44は、レンズ後面用の面取り加工具(一例として、面取り砥石)441、溝掘り加工具(円環状加工具)442、およびレンズ前面用の面取り加工具443を備える。本実施形態では、面取り加工具441,443と溝掘り加工具442は一体的に形成されているが、別々に形成されていてもよい。
図2および図3に示すように、面取り加工具441,443の最大径は、溝掘り加工具442の径よりも小径である。面取り加工具441,443の形状は、溝掘り加工具442から遠ざかる程径が小さくなるテーパー形状である。眼鏡レンズ加工装置1は、レンズLEのコバ角部に、面取り加工具441,443のテーパー状の加工面を接触させることで、レンズLEの面取りを行うことができる。つまり、面取り加工具441,443は、レンズLEのコバ面に対して傾斜した加工面を、レンズLEの周縁(コバ角部)に接触させることで、レンズLEの前面側縁部および後面側縁部の面取りを行うことができる。
溝掘り加工具442のうちレンズLEに接触する部分の形状は、円環状である。従って、眼鏡レンズ加工装置1は、第2加工具回転軸43を中心として溝掘り加工具442を回転させながら、レンズLEに接触させることで、レンズLEの周縁を加工することができる。一例として、溝掘り加工具442は、レンズLEの周縁に溝を形成する場合に使用される。また、本実施形態の溝掘り加工具442は、レンズLEの周縁の面取り等を行う場合にも使用され得る。本実施形態では、溝掘り加工具442として砥石が用いられる。しかし、溝掘り加工具442の構成を変更してもよい。例えば、外周に歯を備えた外形略円盤状または略円環状のカッターを、溝掘り加工具442として使用してもよい。
図3に示すように、第2加工具回転軸43を含む断面で見た場合の溝掘り加工具の形状のうち、レンズLEに接触し得る部分の一部(本実施形態では外周端部445)における表面形状は、曲線状である。従って、溝掘り加工具442の外周端部の断面形状が湾曲していない場合に比べて、種々の形状の加工面が形成され易い。一例として、本実施形態では、第2加工具回転軸43を含む断面で見た場合に、溝掘り加工具442の外周端部445の形状は半円弧状に湾曲している。なお、本実施形態では、溝掘り加工具442のうち、曲線状に湾曲した外周端部445の両端から回転軸に近づく方向に延びる面は、平面となっている。
本実施形態では、第2加工具回転軸43の軸線方向は、角度変更モータ432(図4参照)によって変更される。つまり、図1に示すように、第2加工具回転軸43の軸線S1と、レンズチャック軸16L,16Rの軸線S2の相対的な角度は、角度変更モータ432によって変更される。レンズLEと第2加工具44(溝掘り加工具442および面取り加工具441,443)の相対角度(つまり、レンズLEと第2加工具44が成す角度)は、2つの軸線方向S1,S2の角度によって定まる。例えば、円環状である溝掘り加工具442の加工部位が属する平面と、略板状であるレンズLEの平面との相対角度は、2つの軸線S1,S2の角度と一致する。
<電気的構成>
図4を参照して、眼鏡レンズ加工装置1の電気的構成について説明する。眼鏡レンズ加工装置1は、眼鏡レンズ加工装置1の制御を司るCPU(プロセッサ)5を備える。CPU5には、RAM6、ROM7、不揮発性メモリ8、操作部50、ディスプレイ55、および外部通信I/F59が、バスを介して接続されている。さらに、CPU5には、前述したモータ等の各種デバイス(挟持用モータ161、レンズ回転用モータ162、X軸移動用モータ171、Y軸移動用モータ191、第1加工具回転モータ321、第2加工具回転モータ431、角度変更モータ432、エンコーダ172、エンコーダ192、およびセンサ231)が、バスを介して接続されている。
RAM6は、各種情報を一時的に記憶する。ROM7には、各種プログラム、初期値等が記憶されている。不揮発性メモリ8は、電源の供給が遮断されても記憶内容を保持できる非一過性の記憶媒体(例えば、フラッシュROM,ハードディスクドライブ等)である。不揮発性メモリ8には、眼鏡レンズ加工装置1の動作を制御するための制御プログラム(例えば、図5に示す加工制御処理を実行するための加工制御プログラム(加工軌跡算出プログラムを含む)等)が記憶されていてもよい。操作部50は、作業者からの各種指示の入力を受け付ける。例えば、ディスプレイ55の表面に設けられたタッチパネル、または操作ボタン等を操作部50として用いてもよい。ディスプレイ55は、レンズLEの形状、フレームの形状等の各種情報を表示することができる。外部通信I/F59は、眼鏡レンズ加工装置1を外部機器に接続する。
本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、フレーム形状測定装置60(例えば、特開平4−93164号公報に開示されたもの等)に接続される。フレーム形状測定装置60は、フレームの形状を測定する。眼鏡レンズ加工装置1は、フレームの形状を示すデータをフレーム形状測定装置60から取得してもよい。なお、眼鏡レンズ加工装置1は、フレームの形状データを他の方法で取得してもよい。例えば、眼鏡レンズ加工装置1は、フレームの形状を測定するフレーム形状測定部を内部に備えてもよい。また、眼鏡レンズ加工装置1は、インターネット等のネットワークを介してフレーム形状データを取得してもよい。パーソナルコンピュータ(以下、「PC」という)等からフレーム形状データが取得されてもよい。操作部50をユーザに操作させて、フレームの形状をユーザに入力させることで、フレーム形状データが取得されてもよい。
<加工制御処理>
図5から図10を参照して、眼鏡レンズ加工装置1のCPU5が実行する加工制御処理について説明する。図5から図10に例示する加工制御処理では、加工予定面上で複数単位のラインが特定され、それぞれのラインに基づいて、レンズLEに対する加工具(本実施形態では溝掘り加工具442)の相対的な軌跡が算出される。算出された軌跡に基づいて加工動作が制御される。図5から図10に例示する加工制御処理によると、レンズLEの周縁加工の自由度が適切に向上し得る。
なお、図5および図6に例示する加工制御処理によると、レンズLEの周縁に種々の加工を行うことができる。以下では、一例として、レンズLEの周縁部とレンズ面の境界である稜部に面取り加工を行う場合について説明を行う。しかし、図5および図6に例示する加工制御処理では、面取り以外の加工(例えば、ヤゲンを形成する加工、溝を形成する加工、段差を形成する加工、レンズLEのコバ面の表面を所定の面(例えば曲面等)に形成する加工等)を行うことも可能である。
前述したように、不揮発性メモリ8には、図5に示す加工制御処理を実行するための加工制御プログラムが記憶されている。CPU5は、特定の加工動作を実行させる指示が操作部50等を介して入力されると、加工制御プログラムに従って、図5に示す加工制御処理を実行する。
まず、CPU5は、加工予定面を特定するための面情報を取得する(S1)。加工予定面とは、図5および図6に例示する加工制御処理によってレンズLEの周縁に形成する予定の面である。前述したように、今回の説明では、レンズLEの周縁に面取り加工を行う場合について例示する。この場合、面取り加工によって形成される予定の面取り面を特定する面情報が、S1において取得される。
面情報のデータ態様は適宜選択できる。図7に示すように、本実施形態では、レンズLEの光軸OAを中心とする周方向(Z方向)の複数位置の各々において、光軸OAを含む断面と加工予定面(図7では面取り面70)の表面の交差線71が特定される。各々の交差線71上に位置する複数点の座標情報が、面情報として取得される。しかし、面情報のデータ態様を変更することも可能である。例えば、加工予定面を示す式が面情報として取得されてもよい。
例えば、S1では、フレーム形状測定装置60(図4参照)によって測定されたフレームのリムの形状から、レンズLEの玉型データが取得される。玉型データに基づいてレンズ形状測定ユニット20(図1参照)が駆動されることで、レンズLEのコバ位置が取得される。レンズLEのコバ位置と、形成する予定の面取り面のパラメータ(例えば、面取り面の幅等のパラメータ)に基づいて、加工予定面の面情報が取得される。
図7に示す例では、前側レンズ面61のコバ位置62の情報と、後側レンズ面64のコバ位置65の情報が、レンズ形状測定ユニット20によって取得されている。また、コバ面67と後側レンズ面64の境界である後側稜部に面取り加工が行われることで、面取り面70が形成される。S1では、面取り面70を特定する情報が、加工予定面の面情報として取得される。
なお、図7に示す例では、後側稜部に曲面の面取り面70が形成される。つまり、レンズLEの光軸OAを含む断面で見た場合の、加工予定面である面取り面70の表面形状に、曲線部分が含まれる。ただし、本実施形態で例示する技術を用いる場合、加工予定面の形状は適宜変更できる。例えば、加工予定面は、角度が異なる複数の面によって形成されていてもよい。つまり、光軸OAを含む断面で見た場合の加工予定面の表面形状に、屈曲部分が含まれていてもよい。また、当然ながら、表面の断面形状が直線状となる単純な加工予定面の面情報を取得してもよい。また、図7に示す例では、レンズLEの全周に亘って面取り面70が形成される。しかし、加工予定面は、レンズLEの外周の一部において特定されてもよい。レンズの外周に複数の加工予定面が特定されてもよい。
次いで、CPU5は、面情報によって特定される加工予定面上を通過する複数単位のラインを特定する(S2)。複数単位のラインの各々は、完全には互いに重複しないように特定される。また、全てのラインを通過する面が加工予定面に一致するように、複数単位のラインが特定される。
図8を参照して、加工予定面上で複数単位のラインを特定する方法の一例について説明する。本実施形態では、ライン間の距離Dが一定となるように、複数単位のラインが加工予定面上で特定される。本実施形態では、ライン間の距離Dを約0.05mmに設定することで、加工される面取り面70の表面形状が滑らかとなる。しかし、ライン間の距離Dは、加工具の形状等に応じて適宜変更してもよい。また、図8では、5単位のラインL1〜L5が設定されている場合が例示されている。しかし、特定されるラインの数が適宜変更できることは言うまでもない。また、ライン同士の間隔は一定である必要は無い。
また、図8に示す例では、特定されるラインL1〜L5の各々は、レンズLEの周方向に延びる。詳細には、図8に示す例では、加工予定面である面取り面70の前側の縁部と後側の縁部の距離が一定となっている。特定されるラインL1〜L5の各々は、面取り面70の前後の縁部と平行となっている。なお、周方向とは、本実施形態のように、レンズLEの光軸OAを中心とした厳密な周方向である必要は無い。例えば、周方向に延びるラインは、光軸OAを中心とする真円に沿う必要は無いし、光軸OAを含む1つの断面上に位置する必要も無い。
次いで、CPU5は加工軌跡算出処理を実行する(S3)。加工軌跡算出処理では、レンズLEの周縁に加工予定面を形成する際の、レンズLEに対する加工具の相対的な軌跡が、複数単位のラインL1〜L5に基づいて算出される。詳細には、加工予定面よりもレンズLEの内側に加工具を接触させることなく(つまり、加工予定面を超えることなく)、ライン上に加工具の表面を接触させる軌跡が、複数単位のラインの各々について算出される。
図6、図9、および図10を参照して、加工軌跡算出処理について詳細に説明する。本実施形態では、CPU5は、溝掘り加工具442のうちレンズLEに接触し得る部分の形状を用いて加工軌跡を算出する。本実施形態では、図9および図10に示すように、溝掘り加工具442の外周端部445の表面形状は、加工具の回転軸を含む断面で見た場合に、半径をrとする半円弧状に湾曲している。従って、CPU5は、溝掘り加工具442の外周端部445の位置および形状を特定するために、半円弧状の外周端部445に一致する円の中心点を加工基準点447として各種演算を行う。以下では、加工基準点447のX座標を「a」、Y座標を「b」、Z座標を「c」とする。
図6に示すように、CPU5は、加工基準点447および加工予定面のZ座標「c」を仮想的に固定する(S11)。その結果、図9および図10に示すように、Z座標が固定されたXY平面上で、溝掘り加工具442と加工予定面の相対的な位置を比較できる状態となる。次いで、CPU5は、加工基準端447のX座標「a」を仮想的に固定する(S12)。
次いで、CPU5は、n番目のライン上の点に溝掘り加工具442の表面が接触するか否かを探索する(S13)。例えば、図9に示す例では、Z座標を「c」に固定した状態で、1番目のラインL1上の点P1、2番目のラインL2上の点P2、3番目のラインL3上の点P3、4番目のラインL4上の点P4、5番目のラインL5上の点P5が特定される。図9に示す例では、X座標が「a」に固定された加工基準点447をY方向に移動させても、点P1,P2には溝掘り加工具442は接触しない。一方で、X座標が「a」に固定された加工基準点447をY方向に移動させると、点P3,P4,P5の各々に溝掘り加工具442の表面が接触し得る。S13の処理では、n番目のライン上の点に溝掘り加工具442の表面が接触するか否かが判断されると共に、接触する場合のY座標が特定される。
本実施形態におけるS13の処理の一例について、詳細に説明する。Z座標を「c」に固定したXY平面上において、溝掘り加工具442の外周端部445を含む円は、以下の(数1)で表される。前述したように、「a」は加工基準点447のX座標(固定)、「b」は加工基準点447のY座標(可変)、「r」は円の半径である。
(数1)を変形すると、以下の(数2)となる。CPU5は、n番目のライン上の点のXY座標(x‘、y’)を以下の(数2)に代入する。次いで、CPU5は、(数2)を満たす「b」が存在するか否かによって、n番目のライン上の点に溝掘り加工具442の表面が接触するか否かを判断する。(数2)を満たす場合の「b」は、n番目のライン上の点に溝掘り加工具442の表面が接触する場合の、加工基準点447のY座標となる。なお、(数2)における「±」のいずれを採用すべきかは、座標の設定方法に応じて変化する。
図6の説明に戻る。n番目のライン上の点に溝掘り加工具442の表面が接触しない場合には(S15:NO)、処理はそのままS19へ移行する。接触する場合には(S15:YES)、CPU5は、n番目以外のライン上の点が溝掘り加工具442に干渉するか否かを判断する(S16)。
例えば、図9に示す例では、溝掘り加工具442の表面は、3番目のラインL3上の点P3に接触している。さらに、溝掘り加工具442は、3番目以外のライン上の点P1,P2,P4,P5のいずれにも干渉していない。この場合、眼鏡レンズ加工装置1は、溝掘り加工具442の加工基準点447を(a,b,c)に位置させることで、加工予定面よりもレンズLEの内側に溝掘り加工具442を接触させることなく(つまり、加工予定面を超えることなく)、ラインL3上の点P3に溝掘り加工具442の表面を接触させることができる。
一方で、図10に示す例では、溝掘り加工具442の表面は、4番目のラインL4上の点P4に接触している。しかし、溝掘り加工具442は、3番目のラインL3上の点P3に干渉している(点P3よりもレンズLEの内側に接触している)。この場合、溝掘り加工具442の加工基準点447を(a,b,c)に位置させると、加工予定面よりもレンズLEの内側まで加工されてしまう。従って、図10に示す加工基準点447の位置は不適切である。
本実施形態におけるS16の判断方法の一例について、詳細に説明する。前述したS13の処理において、n番目のライン上の点に溝掘り加工具442の表面が接触する場合の、加工基準点447のY座標「b」が特定されている。この「b」の値を(数1)に代入することで、n番目のライン上の点に溝掘り加工具442の表面が接触する場合の、外周端部445を含む円の位置が示される。以下の(数3)を満たすXY座標は、円の外周上、または円の外周よりも外側となる。
CPU5は、n番目以外のライン上の点のXY座標を(数3)に代入する。(数3)が満たされる場合には、点は溝掘り加工具442に干渉されない。(数3)が満たされない場合には、点よりもレンズLEの内側が溝掘り加工具442によって加工される。なお、CPU5は、溝掘り加工具442に干渉される点であるか否かを、n番目以外の全てのライン上の点について判断する必要は無い。例えば、CPU5は、n番目のラインに隣接するライン上(つまり、(n−1)番目と(n+1)番目のライン上)の点のみについて、溝掘り加工具442に干渉されるか否かを判断してもよい。
図6の説明に戻る。n番目以外のライン上の点が溝掘り加工具442に干渉する場合には(S16:YES)、処理はそのままS19の判断へ移行する。n番目以外のライン上の点が溝掘り加工具442に干渉しない場合には(S16:NO)、CPU5は、加工基準点447の座標(a,b,c)を、加工可能座標として登録(メモリに記憶)する(S17)。
次いで、CPU5は、全てのライン(図9および図10ではL1〜L5のライン)上の点に関する探索が完了したか否かを判断する(S19)。完了していない場合(S19:NO)、nに「1」が加算されて(S20)、次のライン上の点に関する探索が行われる(S13〜S17)。
全てのライン上の点に関する探索が完了すると(S19:YES)、CPU5は、X方向における全ての範囲において処理が完了したか否かを判断する(S22)。S22では、例えば、全てのライン上の点(図9および図10ではP1〜P5)を加工するための加工可能座標の登録が完了したか否かが判断されてもよい。X方向における処理が完了していなければ(S22:NO)、加工基準点447のX座標の値「a」が更新されて(S23)、S13〜S19の処理が行われる。S23で更新するXの値の大きさは、適宜設定できる。例えば、予め定められた一定の値が更新されてもよい。また、X方向におけるライン同士の間隔に基づいて、更新するXの値の大きさが定められてもよい。
X方向における処理が完了すると(S22:YES)、CPU5は、Z方向における全ての範囲において処理が完了したか否かを判断する(S25)。完了していなければ(S25:NO)、加工基準点447および加工予定面のZ座標の値「c」が更新されて(S26)、S13〜S22の処理が行われる。
Z方向における処理も完了すると(S25:YES)、CPU5は、それぞれのライン上を加工するための、レンズLEに対する加工基準点447の相対的な軌跡を、S17で登録した加工可能座標に基づいて算出する(S28)。例えば、CPU5は、1番目のラインL1上の複数の点を加工するために登録された、複数の加工可能座標の集合を、1番目のライン上を加工するための加工基準点447の軌跡として算出する。この処理が、全てのラインの各々について行われる。なお、加工軌跡算出処理の方法によっては、1つの点を加工するための加工可能座標が複数登録される場合もあり得る。この場合、CPU5は、複数の加工可能座標のうちの少なくとも1つを用いて軌跡を算出してもよい。
次いで、CPU5は、レンズLEに対する溝掘り加工具442の相対角度を考慮して、レンズLEに対する溝掘り加工具442の相対的な加工軌跡を、複数単位のラインの各々について算出する(S29)。一例として、本実施形態では、レンズLEに対する溝掘り加工具442の相対角度と、溝掘り加工具442の径によって、加工基準点447に対する溝掘り加工具442の中心の相対的な位置が一意に定まる。従って、CPU5は、溝掘り加工具442の相対角度と径を用いることで、加工基準点442の軌跡から、溝掘り加工具442の中心の加工軌跡を算出する。処理は加工制御処理(図5参照)へ戻る。
図5に示すように、加工軌跡算出処理(S3)が終了すると、加工制御データが作成される(S4)。加工制御データとは、眼鏡レンズ加工装置1の各部の駆動を制御するために参照されるデータである。CPU5は、加工軌跡算出処理(S3)によって算出された加工軌跡を溝掘り加工具442が通過するように、加工制御データを作成する。次いで、CPU5は、加工制御データに従って各部の駆動を制御することで、レンズLEの周縁を加工する(S5)。処理は終了する。
以上説明したように、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、面情報を取得する。面情報は、レンズLEの周縁に形成する予定の加工予定面を特定する情報である。眼鏡レンズ加工装置1は、加工予定面上を通過する複数単位のラインを面情報に基づいて特定する。複数単位のラインは、完全には互いに重複しない。また、複数単位のラインの全てを通過する面が加工予定面に一致するように、それぞれのラインが特定される。眼鏡レンズ加工装置1は、レンズLEの周縁に加工予定面を形成する際の、レンズLEに対する加工具の相対的な軌跡(加工軌跡)を、複数単位のラインに基づいて算出する。ここで、眼鏡レンズ加工装置1は、加工予定面よりもレンズLEの内側に加工具を接触させることなく(つまり、加工予定面を超えることなく)、各々のライン上に加工具の表面を接触させて相対移動させるように、加工軌跡を算出する。
この場合、例えば、加工具の形状に関わらず、レンズLEの周縁を加工するための加工軌跡が算出され得る。また、加工予定面の断面形状、角度、形成位置等が制限され難い。従って、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、レンズLEの周縁加工の自由度を向上させることができる。
本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、加工具の形状の情報を用いて加工軌跡を算出する。従って、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、加工具の形状に応じて適切にレンズLEの周縁を加工することができる。
本実施形態では、加工具は、回転軸を中心として回転しながらレンズLEと接触する。また、回転軸を含む断面で見た場合の加工具の表面形状(以下、「加工表面形状」という)は、曲線状である(つまり、湾曲している)。本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、加工予定面に対し、加工具の表面を各々のライン上で点接触させる加工軌跡を算出する。この場合、算出された軌跡に従って加工具とレンズLEの相対的な位置が移動されると、加工予定面よりもレンズLEの内側が加工されることなく、加工面が形成される。従って、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、加工表面形状が湾曲している加工具を用いて、適切にレンズLEの周縁を加工することができる。
本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、レンズLEと加工具の相対角度を用いて加工軌跡を算出する。従って、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、加工具の角度を踏まえて適切にレンズLEの周縁を加工することができる。
本実施形態で例示した加工制御処理で駆動制御される加工具は、溝掘り加工具442である。従って、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、加工予定面の加工と溝掘り加工の両方を、1つの加工具で兼用することができる。
本実施形態では、加工予定面上で特定される複数単位のラインは、レンズLEの周方向に延びる。従って、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、レンズLEの軸方向に延びるラインを特定する場合に比べて、容易且つ円滑にレンズLEの周辺を加工することができる。例えば、加工時間が短縮され得る。また、レンズLEの一部が欠ける可能性が低下し得る。
本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、面取りを行うことで形成される面の情報を、加工予定面の情報として取得する。従って、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、面取り加工の自由度を適切に向上させることができる。
本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1は、レンズLEの光軸OAを含む断面の形状に曲線部分または屈曲部分が含まれる加工面を、レンズLEの周縁に形成することができる。従って、本実施形態の眼鏡レンズ加工装置1によると、加工可能な形状の自由度が適切に向上する。
上記実施形態で開示された技術は一例に過ぎない。従って、上記実施形態で例示された技術を変更することも可能である。例えば、上記実施形態では、眼鏡レンズ加工装置1が加工軌跡を算出し、算出した加工軌跡に基づいてレンズLEを加工する。つまり、上記実施形態では、眼鏡レンズ加工装置1が、加工軌跡を算出する算出装置を兼ねる。しかし、眼鏡レンズ加工装置1とは異なる装置が算出装置として機能することも可能である。例えば、PCのCPUが、上記実施形態で例示した処理の少なくとも一部を実行し、加工軌跡を算出してもよい。この場合、眼鏡レンズ加工装置1は、PCによって算出された加工軌跡に基づいて各部の駆動を制御し、レンズLEを加工してもよい。また、複数の装置が算出装置として機能してもよい。
加工軌跡の具体的な算出方法を変更できることは言うまでもない。例えば、上記実施形態では、Z座標とX座標を仮想的に固定した状態で、ライン上の点を加工するための加工基準点447のY座標が特定される。しかし、例えば、Z座標とY座標を仮想的に固定した状態で、ライン上の点を加工するための加工基準点のX座標が特定されてもよい。また、上記実施形態では、加工具表面の断面形状に沿う円が考慮されることで、加工軌跡が算出される。しかし、例えば、加工具表面の数か所の点の位置が考慮されることで、加工軌跡が算出されてもよい。
上記実施形態では、レンズLEの周方向に延び、且つ互いに交差しない複数単位のラインが特定される。しかし、複数単位のラインの特定方法も適宜変更できる。例えば、複数単位のラインが、周方向でない方向(例えば、レンズLEの厚み方向、光軸方向等)に延びていてもよい。また、螺旋状のラインのように、複数単位のライン同士が繋がっていてもよい。複数単位のラインが互いに交差していてもよい。
上記実施形態では、溝掘り加工具442を用いて面取り加工を行う場合を例示した。しかし、前述したように、面取り加工以外の加工を行う場合でも、上記実施形態で例示した技術の少なくとも一部を適用できる。また、溝掘り加工具442以外の加工具を用いる場合でも、上記実施形態で例示した技術の少なくとも一部を適用できる。例えば、回転軸の先端部に球状等の加工部位を有し、回転軸を中心として加工部位を回転させながら加工を行う加工具を用いることも可能である。この場合でも、CPU5は、上記実施形態と同様に、加工具の回転軸を含む断面で見た場合の加工具の表面形状の情報を用いて、加工軌跡を算出してもよい。
上記実施形態では、回転軸を含む断面で見た場合の、レンズLEに接触し得る部分の少なくとも一部における加工具の表面形状は、曲線状である。しかし、レンズLEに接触し得る部分の断面形状が直線状の加工具を用いることも可能である。また、上記実施形態では、レンズLEに対する加工具の相対角度が変更され得る。しかし、上記実施形態で例示した技術は、加工具の相対角度が固定されている場合にも適用できる。
1 眼鏡レンズ加工装置
5 CPU
61 前側レンズ面
64 後側レンズ面
67 コバ面
70 面取り面
442 溝掘り加工具

Claims (9)

  1. レンズに接触することで前記レンズを加工する加工具と、前記レンズの周縁との相対的な位置を移動させることで、前記レンズの周縁を加工する眼鏡レンズ加工装置であって、
    前記加工具による加工によって前記レンズの周縁に形成する予定の加工予定面を特定する面情報を取得する面情報取得手段と、
    完全には互いに重複しない複数単位のラインであり、且つ全ての前記ラインを通過する面が前記加工予定面に一致する前記複数単位のラインを、前記面情報に基づいて特定するライン特定手段と、
    前記レンズの周縁に前記加工予定面を形成する際の、前記レンズに対する前記加工具の相対的な軌跡を、前記複数単位のラインに基づいて算出する加工軌跡算出手段と、
    を備え、
    前記加工軌跡算出手段は、
    前記加工予定面を超えることなく前記ライン上に前記加工具の表面を接触させる前記軌跡を、前記複数単位のラインの各々について算出することを特徴とする眼鏡レンズ加工装置。
  2. 請求項1の眼鏡レンズ加工装置であって、
    前記加工軌跡算出手段は、
    前記加工具のうち少なくとも前記レンズに接触し得る部分の表面形状の情報を用いて、前記軌跡を算出することを特徴とする眼鏡レンズ加工装置。
  3. 請求項2の眼鏡レンズ加工装置であって、
    前記加工具は、回転軸を中心として回転しながら前記レンズに接触することで前記レンズを加工し、
    前記回転軸を含む断面で見た場合の、前記レンズに接触し得る部分の少なくとも一部における前記加工具の表面形状は曲線状であり、
    前記加工軌跡算出手段は、
    前記加工予定面に対して前記加工具の表面を前記ライン上で点接触させる前記軌跡を、前記加工具の表面形状の情報を用いて算出することを特徴とする眼鏡レンズ加工装置。
  4. 請求項1から3のいずれかの眼鏡レンズ加工装置であって、
    前記加工軌跡算出手段は、
    前記レンズと前記加工具の相対角度を用いて前記軌跡を算出することを特徴とする眼鏡レンズ加工装置。
  5. 請求項1から4のいずれかの眼鏡レンズ加工装置であって、
    前記加工具は、前記レンズに接触する部分の形状が円環状であり、前記レンズの周縁に溝を形成することが可能な溝掘り加工具であることを特徴とする眼鏡レンズ加工装置。
  6. 請求項1から5のいずれかの眼鏡レンズ加工装置であって、
    前記ライン特定手段が特定する前記複数単位のラインは、前記レンズの周方向に延びることを特徴とする眼鏡レンズ加工装置。
  7. 請求項1から6のいずれかの眼鏡レンズ加工装置であって、
    前記面情報取得手段は、
    前記レンズの周縁部とレンズ面の境界である稜部に面取りを行うことで形成される面の情報を、前記加工予定面の面情報として取得することを特徴とする眼鏡レンズ加工装置。
  8. 請求項1から7のいずれかの眼鏡レンズ加工装置であって、
    前記面情報取得手段は、
    前記レンズの光軸を含む断面の表面形状が、曲線部分および屈曲部分の少なくともいずれかを含む前記加工予定面の前記面情報を取得可能であることを特徴とする眼鏡レンズ加工装置。
  9. レンズに接触することで前記レンズを加工する加工具と、前記レンズの周縁との相対的な移動の軌跡を算出する算出装置によって実行される加工軌跡算出プログラムであって、
    前記算出装置のプロセッサによって実行されることで、
    前記加工具による加工によって前記レンズの周縁に形成する予定の加工予定面を特定する面情報を取得する面情報取得ステップと、
    前記加工予定面上を通過する複数単位のラインを、前記面情報に基づいて特定するライン特定ステップと、
    前記レンズの周縁に前記加工予定面を形成する際の、前記レンズに対する前記加工具の相対的な軌跡を、前記複数単位のラインに基づいて算出する加工軌跡算出ステップと、
    を前記算出装置に実行させ、
    前記加工軌跡算出ステップでは、
    前記加工予定面を超えることなく前記ライン上に前記加工具の表面を接触させる前記軌跡が、前記複数単位のラインの各々について算出されることを特徴とする加工軌跡算出プログラム。
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