JP2017064794A - 線材用銅 - Google Patents

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啓之 小林
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和弘 南条
清高 宇都宮
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清高 宇都宮
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Abstract

【課題】表面近傍に粗大な酸化銅粒子が少なく、銅線表面に欠落やクラックなどの欠陥が発生することを低減できる線材用銅を提供する。【解決手段】銅鋳塊を連続圧延して製造された線材用銅であって、任意の3箇所の断面を観察したとき、表面から100μm以内の領域に存在する最大径10μm以上の酸化銅粒子が平均15個以下である線材用銅。【選択図】図1

Description

本発明は線材用銅及びその製造方法に関する。特に、表面近傍に粗大な酸化銅粒子が少なく、銅線の表面に欠落やクラックなどの欠陥が発生することを低減できる線材用銅に関する。
モータコイルやマグネットコイルなどに利用される巻線用銅線には、例えば銅線にエナメル被覆を施したエナメル被覆銅線といった被覆線が用いられている。
このような被覆線に用いられる銅線は、一般的に、連続鋳造により製造されたタフピッチ銅の鋳塊を圧延加工、伸線加工することにより製造されている。具体的には、連続鋳造機から製出される銅鋳塊を多段圧延機に供給し、この銅鋳塊を所定の線径となるように複数の圧延ロールで連続的に圧延し、銅荒引き線(線材用銅)に加工する。そして、この線材用銅を巻取機(コイラー)により巻き取り、最終的に、この線材用銅を伸線機に供給し、伸線ダイスに挿通することで、銅線を製造している。通常、連続鋳造工程と圧延工程とは連続して行われている。
ところで、被覆線の被覆に疵や膨れなどの欠陥があると、そこから被覆が剥がれ易く、被覆線(銅線)に電流を流した際に漏電(リーク)や短絡(ショート)が発生する可能性が高く、非常に危険である。
被覆線の被覆にこのような欠陥が発生する要因の一つに、銅線の表面に存在する欠落やクラックなどの欠陥が挙げられる。被覆線の被覆は非常に薄いため、銅線の表面に欠落やクラックなどの欠陥が存在すると、その影響を受けて、被覆に欠陥が生じ易くなる。例えばエナメル被覆銅線の場合、銅線表面にエナメル樹脂を塗布した後、焼付けてエナメルを被覆するが、銅線表面に欠落部分が存在すると、樹脂と銅線表面との間に隙間ができることがあり、樹脂を焼付ける際に隙間内のガスが膨張し、被覆に膨れが発生することがある。そこで、被覆線の製造には、欠落やクラックなどの欠陥の少ない表面性状に優れた銅線を用いることが望まれる。
また、銅線表面にこのような欠陥が発生する要因の一つに、伸線加工前の線材用銅において、銅鋳塊を連続圧延する際に内部(表面近傍)に押し込まれた酸化銅粒子の存在が挙げられる。例えば特許文献1には、銅鋳塊を連続圧延する際に表面近傍に押し込まれた酸化銅粒子を除去する技術が開示されている。特許文献1では、仕上圧延工程の前に、圧延研磨ロールにて棒状素材を圧延しつつ研磨する圧延研磨工程を実施すること、さらに、圧延研磨工程よりも前に配置されている圧延ロールの少なくとも1つに対して、圧延油を高圧で吹き付けて圧延ロール表面を洗浄することを提案している。
特開2007−50440号公報
しかし、従来技術では、線材用銅の表面近傍に存在する粗大な酸化銅粒子を十分に低減することが難しい。また、最近では、銅線表面の欠落やクラックなどの欠陥をより一層低減することが求められている。
本発明者らが鋭意検討を行なった結果、線材用銅の表面近傍に粗大な酸化銅粒子、具体的には最大径10μm以上の酸化銅粒子が多数存在すると、線材用銅を伸線加工した際にこの酸化銅粒子が周囲の組織ごと脱落して銅粉を発生することがあり、伸線加工後の銅線表面に欠落やクラックなどの欠陥が発生し易くなる傾向が認められた。
特許文献1では、酸化銅粒子を除去する一手段として、仕上圧延工程の前に、圧延研磨工程を実施することを提案している。しかし、本発明者らが検討したところ、次のようなことが分かった。
棒状素材を圧延した場合、素材表面の酸化皮膜が圧延により破壊されて新生面が露出し、新生面と圧延ロールとが接触することで、圧延ロール表面に銅が付着して焼付くことがある。そして、圧延ロール表面に焼付いた銅は酸化して酸化銅となり、連続圧延中に圧延ロール表面から剥離した粗大な酸化銅粒子が、棒状素材の表面近傍に押し込まれる。そのため、圧延研磨工程のみでは、線材用銅の表面近傍に存在する粗大な酸化銅粒子を低減する効果が十分でない。また、別の手段として、圧延ロールの少なくとも1つに対して、圧延油を高圧で吹き付けて圧延ロール表面を洗浄することを提案している。これは、棒状素材の表面から剥離して圧延ロール表面に付着した酸化皮膜を除去することにより、この酸化銅が圧延工程において棒状素材に押し込まれることを防止しようとするものである。通常、ノズルは、圧延ロール1つに対し、圧延ロールの周方向に1つ設けられている(特許文献1の図1を参照)。しかし、1つのノズルから圧延油を高圧で吹き付けたとしても、圧延ロール表面全体に付着した銅を完全に除去することは困難であり、一部の銅が圧延ロール表面に焼付くことがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、表面近傍に粗大な酸化銅粒子が少なく、銅線表面に欠落やクラックなどの欠陥が発生することを低減できる線材用銅を提供することにある。また、本発明の別の目的は、線材用銅の表面近傍に存在する粗大な酸化銅粒子を低減できる線材用銅の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、連続圧延中の圧延ロールと、圧延ロールにより圧延された圧延材について観察を行い、線材用銅の表面近傍に存在する粗大な酸化銅粒子の発生メカニズムについて詳細な検討を行なった。その結果、圧延ロールに対して、ノズルから潤滑剤を高圧で吹き付けたとしても、圧延ロール表面に付着した銅の一部がそのまま焼付くことがあり、圧延ロールへの焼付き防止効果が十分ではないことが分かった。
ところが、本発明者らが、圧延ロールに対して、潤滑剤を高圧で吹き付けるのではなく、潤滑剤の流量を増やして、圧延ロールの表面温度を下げるように制御したところ、圧延ロールの表面に銅が付着し難くなり、圧延ロールへの焼付きを防止することができ、ひいては線材用銅の表面近傍に存在する粗大な酸化銅粒子を低減できることが分かった。また、本発明者らが、圧延ロールの噛み込み部分における表面温度を観測したところ、潤滑剤の流量を増やす前では80℃程度であったのに対し、潤滑剤の流量を増やした後では45〜50℃程度であった。
本発明は以上の知見に基づいてなされたものである。以下、本発明について詳しく説明する。
本発明の線材用銅は、銅鋳塊を連続圧延して製造された線材用銅であって、任意の3箇所の断面を観察したとき、表面から100μm以内の領域に存在する最大径10μm以上の酸化銅粒子が平均15個以下であることを特徴とする。
本発明の線材用銅によれば、表面近傍に粗大な酸化銅粒子が少なく、線材用銅を伸線加工した際に銅粉の発生を抑えることができるので、銅線表面に欠落やクラックなどの欠陥が発生することを低減できる。ここで、表面から100μm以内の領域に存在する最大径10μm以上の酸化銅粒子の平均個数は、10個以下、特に5個以下であることが好ましい。なお、本発明でいう酸化銅粒子の最大径とは、断面を観察したときに、酸化銅粒子全体を包含できる最小の円(最小包含円)の直径である。また、本発明における断面の観察は、線材用銅の全周に亘って観察を行なう。
本発明の線材用銅は、任意の3箇所のうち、表面から100μm以内の領域に存在する最大径10μm以上の酸化銅粒子が最も多い箇所において、最大径10μm以上の酸化銅粒子が最大20個以下であることが好ましい。
この構成によれば、粗大な酸化銅粒子が最大20個以下であり、銅線全長に亘って、銅線表面に欠陥が発生することを低減できる。
更に、本発明の線材用銅は、任意の3箇所全てにおいて、最大径10μm以上の酸化銅粒子が15個以下であることが好ましい。
この構成によれば、銅線全長に亘って、銅線表面に欠陥が発生することをより低減できる。ここで、表面から100μm以内の領域に存在する最大径10μm以上の酸化銅粒子の最大個数は、10個以下、特に5個以下であることが好ましい。
第一の本発明の線材用銅の製造方法は、銅鋳塊を連続圧延する製造方法であって、銅鋳塊が供給される上流側から圧延ロールのスタンドを多段に配列する。そして、少なくとも1つのスタンドにおいて、圧延ロールの噛み込み部分におけるロール表面温度を60℃以下にして圧延することを特徴とする。
この製造方法によれば、圧延ロールの表面温度を下げることで、この圧延ロールに銅が付着し難くなり、圧延ロールへの焼付きを防止することができるので、線材用銅の表面近傍に存在する粗大な酸化銅粒子を低減できる。通常、連続鋳造機から製出される銅鋳塊の温度は900℃程度であり、最も上流側に位置するスタンドの圧延ロールは、この銅鋳塊と接触するため表面温度が上がり易く、銅が付着し易い。そこで、第一の製造方法では、最も上流側に位置するスタンドにおいて、圧延ロールの表面温度を60℃以下とすることが好ましい。なお、本発明でいう圧延ロールの噛み込み部分とは、圧延ロールにおける上流側に面する部分であって、流れてくる銅鋳塊(圧延材)と接触を開始する直前の箇所である。具体的には、図2又は図3中、圧延ロール2の右上から左下への斜線で示す箇所である。また、第一の製造方法において、圧延ロールの噛み込み部分におけるロール表面温度は50℃以下とすることが好ましい。
上記第一の製造方法において、圧延ロールの周方向に複数のノズルを配置し、圧延ロールにおけるロール表面温度の調節は、圧延ロールに複数のノズルから潤滑剤を吹き付けることにより行なうことが好ましい。
複数のノズルを圧延ロールの周方向に配置し、複数のノズルから潤滑剤を圧延ロールに吹き付けることで、圧延ロールに対する冷却効果を十分に確保することができる。
更に、複数のノズルのうち少なくとも1つは、圧延ロールの出口部分に潤滑剤を吹き付けるように設置し、潤滑剤の流量を64L/min超とすることが好ましい。
従来、ノズルから圧延ロールに吹き付ける潤滑剤の流量は60L/min程度である。したがって、潤滑剤の流量を64L/minより大きくすることで、圧延ロールに対する冷却効果を高めることができる。また、圧延ロールの出口部分は、後述するように銅鋳塊(圧延材)との接触が終わった直後の箇所であり、表面温度が最も高くなる。そこで、流量の大きいノズルを圧延ロールの出口部分に設けることで、圧延ロールの出口部分を効果的に冷却し、圧延ロールの表面温度を全体的に下げることができるので、高い冷却効果を得ることができる。なお、本発明でいう圧延ロールの出口部分とは、圧延ロールにおける下流側に面する部分であって、通過した銅鋳塊(圧延材)との接触が終了した直後の箇所である。具体的には、図2又は図3中、圧延ロール2の左上から右下への斜線で示す箇所である。
第二の本発明の線材用銅の製造方法は、銅鋳塊を連続圧延する製造方法であって、銅鋳塊が供給される上流側から圧延ロールのスタンドを多段に配列する。そして、スタンド間の少なくとも1箇所にディスケーラを配置し、ディスケーラが上流側の圧延ロールにより圧延された圧延材の表面に潤滑剤を高圧で吹き付けて、圧延材表面の酸化銅の除去を行なうことを特徴とする。
この製造方法によれば、スタンド間に配置したディスケーラにより圧延材表面の酸化銅を除去することで、結果的に線材用銅の表面近傍に存在する粗大な酸化銅粒子を低減できる。ディスケーラから吹き付ける潤滑剤の圧力は、特に制限されないが、10MPa以上14MPa以下とすることが好ましい。また、ディスケーラは、圧延材に潤滑剤を直接吹き付けるため、全てのスタンド間に配置した場合、圧延材の温度を過度に下げてしまう虞があり、下流側での圧延加工が行い難くなる可能性がある。そこで、ディスケーラは、圧延機の能力を考慮して、上流側よりも下流側のスタンド間に配置することが好ましい。
上記第一及び第二の製造方法における、少なくとも1つのスタンドにおいて、圧延ロールの表面がショットブラスト処理されていることが好ましい。
圧延ロール表面にショットブラスト処理を施すことで圧延ロール表面に凹凸が形成され、この凹凸に潤滑剤が保持されることにより、圧延ロールに銅が付着し難くなる。また、ショットブラスト処理に使用する投射材は、特に制限されないが、粒径が0.45mm以上2mm以下のものを用いることが好ましい。投射材の粒径が0.45mm未満の場合、圧延ロール表面の凹凸がへたり易く、2mm超の場合、圧延ロール表面にクラックが生じることがある。
また、本発明における潤滑剤としては、市販のソリブル油を使用することができる。ソリブル油には、鉱物油や合成油を基油としたものがあるが、冷却能の点で合成油を基油としたソリブル油を使用することが好ましい。
本発明の線材用銅は、表面近傍に粗大な酸化銅粒子が少なく、銅線表面に欠落やクラックなどの欠陥が発生することを低減できる。また、本発明の線材用銅の製造方法は、線材用銅の表面近傍に存在する粗大な酸化銅粒子を低減できる。
本発明の実施の形態に用いた多段圧延機を説明するための図である。 圧延ロールの周方向に複数のノズルを配置した状態を示す図であり、各ノズルのノズル軸が圧延ロール表面の法線方向に一致している。 圧延ロールの周方向に複数のノズルを配置した状態を示す図であり、各ノズルのノズル軸が圧延ロール表面の接線方向に一致している。 圧延ロールに対し、一つのノズルを配置した状態を示す図である。 捻回試験を説明するための図である。
(実施例1)
多段圧延機を用い、ディスケーラの配置の有無、ショットブラスト処理の有無、ノズルからの潤滑剤の流量などの製造条件を変更して、種々の線材用銅を製造した。また、製造した線材用銅それぞれについて評価を行なった。
<線材用銅の製造>
図1〜4は、本発明の実施の形態に用いた多段圧延機を説明するための図である。多段圧延機Mは、カバー3内に、一対の圧延ロール2を有する複数のスタンド1を備える。また、この多段圧延機Mには、連続鋳造機(図示せず)から製出される銅鋳塊Cを供給する供給口31と、この銅鋳塊Cを圧延ロール2により連続的に圧延して得られた線材用銅Wを送出する送出口32とがあり、送出口32から送出された線材用銅Wは、巻取機(図示せず)により巻き取られるようになっている。
スタンド1a〜1nは、供給口31が位置する上流側から送出口32が位置する下流側に向かって多段に配列されている。また、スタンド1a〜1nに設けられた各圧延ロール2a〜2nは、上流側から下流側に向かって銅鋳塊C又は圧延ロールにより圧延された圧延材を連続的に圧延し、最終的に線材用銅Wが所定の線径φ(ここでは、φ=8mm)となるように調整されている。ここで、圧延ロール2a〜2nのうち、圧延ロール2a、2c、2e、2g、2i、2k、及び2mは垂直方向に圧延する垂直圧延ロールであり、圧延ロール2b、2d、2f、2h、2j、2l、及び2nは水平方向に圧延する水平圧延ロールである。なお、図1中、矢印は各圧延ロールの回転方向を示す。
また、各圧延ロール2には、図2、3又は4に示すように、潤滑剤を圧延ロール2に吹き付けるノズルNが配置されている。図2及び3は、圧延ロール2の周方向に複数のノズルN1〜N3を配置した状態を示し、図4は、圧延ロール2に対し、一つのノズルNを配置した状態を示す。各ノズルNには潤滑剤供給管から潤滑剤が供給されるようになっており、各ノズルNから圧延ロール2に吹き付ける潤滑剤の流量は、潤滑剤供給管に取り付けられた圧力調節バルブ(ここでは、圧力:0.5MPa一定)と各ノズルNの噴射口の径により決定される。ここでは、複数のノズルを配置する場合、分岐管を介して各ノズルNを潤滑剤供給管に接続した。また、図2では、各ノズルNのノズル軸が圧延ロール表面の法線方向に一致しており、図3及び4では、各ノズルNのノズル軸が圧延ロール表面の接線方向に一致している。なお、潤滑剤には、合成油を基油としたソリブル油を使用した。
<製造条件>
製造条件は、表1に記載する各種条件とした。以下、各種条件について詳しく説明する。
(ディスケーラの配置の有無)
ディスケーラは、スタンド間に配置され、上流側の圧延ロールにより圧延された圧延材R(図2〜4を参照)の表面に潤滑剤を高圧で吹き付けて、圧延材表面の酸化銅を除去する装置である。ここで、ディスケーラは、圧延材に潤滑剤を吹き付けるものであり、圧延ロールに潤滑剤を吹き付ける上述のノズルとは異なる。表1中、『ディスケーラの配置』の欄おいて、「位置(st)」の欄は、ディスケーラの配置の有無とその位置、「圧力(MPa)」の欄は、ディスケーラから吹き付ける潤滑剤の圧力をそれぞれ表す。「位置(st)」の”a‐c”の欄に○印がある場合、スタンド1aと1b、1bと1c、及び1cと1dの間の計3箇所にディスケーラを配置したことを示す。他方、「位置(st)」の”f‐l”の欄に○印がある場合、スタンド1fと1g、1gと1h、1hと1i、1iと1j、1jと1k、1kと1l、及び1lと1mの間の計7箇所にディスケーラを配置したことを示す。なお、「位置(st)」の欄が空欄の場合、ディスケーラを配置しなかったことを示す。また、「圧力(MPa)」の欄の○印は、その圧力値で潤滑剤を吹き付けたことを示す。
(ショットブラスト処理の有無)
ショットブラスト処理は、圧延ロール2の表面に投射材を衝突させ、圧延ロール表面に凹凸を形成する処理である。表1中、『ショットブラスト処理の有無』の欄において、「位置(st)」の欄は、圧延ロール表面のショットブラスト処理の有無とその位置、「粒径(mm)」の欄は、ショットブラスト処理する際に使用した投射材の粒径をそれぞれ表す。「位置(st)」の”a‐h”の欄に○印がある場合、圧延ロール2a〜2hのみ表面にショットブラスト処理を施したことを示す。次に、「位置(st)」の”a‐l”の欄に○印がある場合、圧延ロール2a〜2lのみ表面にショットブラスト処理を施したことを示す。次に、「位置(st)」の”a‐n”の欄に○印がある場合、圧延ロール2a〜2n、つまり圧延ロール2の全ての表面にショットブラスト処理を施したことを示す。なお、「位置(st)」の欄が空欄の場合、いずれの圧延ロールも表面にショットブラスト処理が施されていないことを示す。また、「粒径(mm)」の欄の○印は、その粒径の投射材を使用したことを示す。なお、ここでは投射材にスチールショットを利用した。
(ノズルからの潤滑剤の流量)
条件No.1を除いて、圧延ロール2の周方向に複数のノズルN1〜N3を配置した。表1中、『ノズルからの潤滑剤の流量』の欄において、「ノズル軸の角度(°)」の欄は、圧延ロール表面に対する各ノズルの向き、「出口部分における流量(L/min)」の欄は、複数のノズルのうち、圧延ロールの出口部分に潤滑剤を吹き付けるように設けられたノズルにおける潤滑剤の流量をそれぞれ表す。「ノズル軸の角度(°)」の”90”の欄に○印がある場合、各ノズルを、ノズル軸が圧延ロール表面の接線方向に一致するように設置したことを示す(図3を参照)。このとき、各ノズルN1〜N3の噴射口の径は圧延ロール毎に異なるがいずれも3.4〜5.2mmで同じであり、各ノズルN1〜N3における潤滑剤の流量はいずれも約32〜50L/minであった。また、ノズル軸が圧延ロール表面の接線方向に一致するように設けたことで、圧延ロール表面に付着した銅を削ぎ落とし易く、圧延ロールに対する洗浄効果の向上が期待できる。
他方、「ノズル軸の角度(°)」の”0”の欄に○印がある場合、各ノズルを、ノズル軸が圧延ロール表面の法線方向に一致するように設置したことを示す(図2を参照)。このとき、図2に示すように、圧延ロール2の出口部分に設けられたノズルN1の噴射口の径はその他のノズルN2,N3と比較して大きい。具体的には、ノズルN1の噴射口の径は7.2mm、ノズルN2,N3の噴射口の径は3.4〜4.8mmであり、ノズルN1における潤滑剤の流量は約70L/minであった。また、ノズル軸が圧延ロール表面の法線方向に一致するように設けると共に、ノズルN1の流量を大きくすることで、圧延ロールの出口部分を効果的に冷却でき、圧延ロールに対する冷却効果の向上が期待できる。
「流量(L/min)」の”<64”の欄に○印がある場合、ノズルN1における潤滑剤の流量が64L/min未満であることを示し、”>64”の欄に○印がある場合、ノズルN1における潤滑剤の流量が64L/min超であることを示す。
なお、条件No.1では、圧延ロール2の周方向に一つのノズルNを配置し、ノズル軸が圧延ロール表面の接線方向に一致するように設置した(図4を参照)。このとき、図4に示すように、ノズルNは圧延ロール2の出口部分に潤滑剤を直接吹き付けるように設置されていない。また、ノズルNにおける潤滑剤の流量は約60L/minであった。
また、本発明者らが、線材用銅の製造中、多段圧延機Mのカバー3の一部を取り外して、圧延ロール2の表面を目視にて観察したところ、圧延ロール2の周方向に複数のノズルN1〜N3を配置した条件No.2〜No.10では、圧延ロールの表面に銅が付着しておらず、圧延ロールへの焼付きが防止されていた。また、条件No.2〜No.10では、圧延ロールの噛み込み部分における表面温度が手で触れる程度に下がっており、いずれも60℃以下であった。特に、条件No.9及びNo.10では、条件No.2〜No.8の場合と比較して、圧延ロールに対する冷却効果が高く、圧延ロールの噛み込み部分における表面温度が50℃程度であった。これに対し、圧延ロール2の周方向に一つのノズルNを配置した条件No.1では、圧延ロールの表面に銅が付着して、圧延ロールへの焼付きが見られた。また、条件No.1では、圧延ロールの噛み込み部分における表面温度が手で触れないほど熱く、80℃超であった。
Figure 2017064794
<線材用銅の評価>
表1に記載のNo.1〜No.10の各条件で線材用銅を5ton(5000kg)製造し、各条件にて製造した線材用銅をそれぞれ試料No.1-1〜No.1-10とした。そして、各試料No.1-1〜No.1-10について、任意の3箇所の断面を観察し、表面近傍に存在する粗大な酸化銅粒子を計測した。
具体的には、試料を端部から1mおきに切断して計3箇所の断面を観察した。断面の観察は、表面から100μm以内の円環状の領域について行い、領域内に存在する最大径10μm以上の酸化銅粒子の個数を計測した。また、断面の観察には、走査型電子顕微鏡(SEM)又は光学顕微鏡を使用した。3箇所の断面を観察したときの、最大径10μm以上の酸化銅粒子の個数の平均(以下、平均個数と呼ぶ)と、3箇所のうち、最大径10μm以上の酸化銅粒子が最も多い箇所における、最大径10μm以上の酸化銅粒子の個数(以下、最大個数と呼ぶ)とを表2に示す。
Figure 2017064794
表2の結果から明らかなように、試料No.1-2〜No.1-10は、最大径10μm以上の酸化銅粒子が試料No.1-1と比較して少なく、最大径10μm以上の酸化銅粒子の平均個数が15個以下であった。
(実施例2)
実施例1と同様にして、表1に記載のNo.1、No.2、No.9の各条件で線材用銅を製造し、各条件にて製造した線材用銅をそれぞれ試料No.2-1〜No.2-4とした。但し、No.2-1及びNo.2-2は、同じ条件(No.1)とした。また、実施例1と同様にして、各試料No.2-1〜No.2-4について、任意の3箇所の断面を観察し、表面近傍に存在する最大径10μm以上の酸化銅粒子の平均個数及び最大個数を計測した。その結果を表3に示す。
<捻回試験>
次に、各試料No.2-1〜No.2-4について、捻回試験を実施し、捻回試験により発生した銅粉の発生量を測定した。
捻回試験では、図5に示すように、試料を切断して得た長さ300mm以上の試験片Sを用意し、試験片Sにおいて、300mmの間隔をあけて2箇所を把持すると共に、把持した状態で20回捻った後、元の状態に戻すことを行なった。そして、捻回試験後に試験片Sの表面を布で拭き取った後、捻回試験前と捻回試験後の試験片Sの重量差から捻回試験による銅粉発生量を求めた。その結果を表3に示す。
Figure 2017064794
表3の結果から明らかなように、最大径10μm以上の酸化銅粒子の平均個数が15個を超える試料No.2-1及びNo.2-2は、銅粉発生量が15mg以上であり、銅粉が発生し易い。これに対し、最大径10μm以上の酸化銅粒子の平均個数が15個以下の試料No.2-3及びNo.2-4は、試料No.2-1及びNo.2-2と比較して銅粉発生量が少なく、銅粉が発生し難いことが分かる。したがって、最大径10μm以上の酸化銅粒子が少ない線材用銅は、伸線加工した際に発生する銅粉を抑えることができると考えられる。
以上の結果から、表面近傍に粗大な酸化銅粒子が少ない本発明の線材用銅は、伸線加工した際に銅粉の発生を抑えることができるので、銅線の表面に欠落やクラックなどの欠陥が発生することを低減できることが分かる。
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、圧延ロールの周方向に配置するノズルの本数を増やしたり、潤滑剤の流量を適宜変更してもよい。
本発明の線材用銅及びその製造方法は、被覆線の銅線に利用される線材用銅に好適に利用できる。
M 多段圧延機
1,1a〜1n スタンド 2,2a〜2n 圧延ロール
3 カバー 31 供給口 32 送出口
N,N1〜N3 ノズル
C 銅鋳塊 R 圧延材 W 線材用銅 S 試験片
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、圧延ロールの周方向に配置するノズルの本数を増やしたり、潤滑剤の流量を適宜変更してもよい。
[付記]
線材用銅として、以下の構成が挙げられる。
[付記1]
銅鋳塊を連続圧延して製造された線材用銅であって、任意の3箇所の断面を観察したとき、表面から100μm以内の領域に存在する最大径10μm以上の酸化銅粒子が平均15個以下である線材用銅。
[付記2]
任意の3箇所のうち、前記最大径10μm以上の酸化銅粒子が最も多い箇所において、最大径10μm以上の酸化銅粒子が最大20個以下である付記1に記載の線材用銅。
[付記3]
任意の3箇所全てにおいて、前記最大径10μm以上の酸化銅粒子が15個以下である付記1に記載の線材用銅。
[付記4]
前記線材用銅は、捻回試験による銅粉発生量が15mg以下(但し15mgを除く)である付記1から付記3のいずれか1つに記載の線材用銅。
[付記5]
前記線材用銅は、エナメル被覆銅線に用いられる付記1から付記4のいずれか1つに記載の線材用銅。

Claims (5)

  1. 銅鋳塊を連続圧延して製造された線材用銅であって、任意の3箇所の断面を観察したとき、表面から100μm以内の領域に存在する最大径10μm以上の酸化銅粒子が平均15個以下である線材用銅。
  2. 任意の3箇所のうち、前記最大径10μm以上の酸化銅粒子が最も多い箇所において、最大径10μm以上の酸化銅粒子が最大20個以下である請求項1に記載の線材用銅。
  3. 任意の3箇所全てにおいて、前記最大径10μm以上の酸化銅粒子が15個以下である請求項1に記載の線材用銅。
  4. 前記線材用銅は、捻回試験による銅粉発生量が15mg以下(但し15mgを除く)である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の線材用銅。
  5. 前記線材用銅は、エナメル被覆銅線に用いられる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の線材用銅。
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