JP2003053420A - 鋼線の製造方法、線材の中間加工設備列及び機械構造部品 - Google Patents

鋼線の製造方法、線材の中間加工設備列及び機械構造部品

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JP2003053420A
JP2003053420A JP2001243798A JP2001243798A JP2003053420A JP 2003053420 A JP2003053420 A JP 2003053420A JP 2001243798 A JP2001243798 A JP 2001243798A JP 2001243798 A JP2001243798 A JP 2001243798A JP 2003053420 A JP2003053420 A JP 2003053420A
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steel wire
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Norimasa Ono
訓正 小野
Hiroharu Yamaguchi
弘治 山口
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Sumitomo Metals Kokura Ltd
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Sumitomo Metals Kokura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】歩留りよく表面性状の良好な鋼線を製造する方
法を提供する。 【解決手段】線材の中間加工設備列中の中間加工装置の
前に設けた探傷器で線材の表面疵を検出し、次にその検
出した表面疵の除去を行い、続いて中間加工装置を用い
て中間加工を行った後、前記中間加工装置の後ろに設け
た探傷器で線材の表面疵を検出して、更にその表面疵の
除去を行い、その後仕上げ加工を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼線の製造方法、
線材の中間加工設備列及び機械構造部品に関し、詳しく
は、耐摩耗性や耐疲労特性に優れた軸受、各種のOA機
器用シャフト、精密ばね、スポークやアンテナなど美麗
な表面性状が要求される機械構造部品とそれらの機械構
造部品の素材となる表面性状の良好な鋼線の製造方法及
び、前記鋼線を製造する際の線材を中間加工する設備列
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、良好な表面性状が要求される鋼線
は、熱間圧延ままの線材や熱間圧延後に球状化焼鈍や軟
化焼鈍の熱処理を施した線材を酸洗や機械的な方法で脱
スケール処理し、潤滑処理を行って伸線加工や延伸加工
による中間加工を行い、次いで、ライン中に設けた探傷
器で中間加工した鋼線の表面疵の検出を行うとともにそ
の表面疵を手入れし、その後、熱処理することなく直接
に伸線加工や延伸加工による仕上げ加工を行って所定サ
イズの鋼線に仕上げる方法、又は、上記表面疵を手入れ
した鋼線に更に球状化焼鈍や軟化焼鈍の熱処理を行い、
脱スケールと潤滑の処理を施してから伸線加工や延伸加
工による仕上げ加工を行って所定サイズの鋼線に仕上げ
る方法で製造されていた。ここで、「伸線加工」とは穴
ダイスを用いた伸線加工を指す。又、「延伸加工」と
は、ローラダイスを用いた引き抜き加工、所謂「2ロー
ル圧延機」、「3ロール圧延機」や「4ロール圧延機」
を用いた圧延加工を指し、通常の穴ダイスを用いた伸線
加工を除いたものをいう。
【0003】しかしながら、上記した従来の製造方法
は、図1に概要を示すように、線材を伸線加工や延伸加
工による中間加工によって鋼線にした後、インラインで
探傷器による表面疵の検出を行い、次いで検出した疵の
手入れを行うものである。このため、表面疵が素材であ
る線材の場合に比べて進展する場合があった。例えば、
直径5.5mmの線材における長さ1mmの表面疵は、
直径が3.0mmの鋼線では計算上長さが約3mmの表
面疵に拡大されてしまう。又、線材の熱間での圧延疵に
代表される線状の表面疵は、中間加工で長く延ばされる
のでその深さは浅くなり、探傷器で検出され難くなる。
このため、探傷器の検出能限界に近い疵は見逃され、こ
うした疵が残ったまま仕上げ加工されて、所定サイズに
仕上げられた鋼線に有害な疵が残存することもあった。
更に、ヘゲ疵や、搬送時に生ずる所謂「ハンドリング
疵」のような周方向に幅を有する疵の場合、疵が大きけ
ればその疵が更に進展することもある。こうした疵の場
合には、中間加工後に探傷器で発見しやすくなるもの
の、疵を手入れする割合が増えたり、疵の手入れを中間
加工後に行うため仕上げ加工後に所定のサイズが確保で
きない所謂「径不足」が生じたり、手入れ残りをきた
し、所望の表面品質が得られないことがある。又、手入
れができないほど大きな欠陥に進展し、製品歩留りの低
下を生じることもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みなされたもので、その目的は、 (1)歩留りよく表面
性状の良好な鋼線を製造する方法、 (2)その製造に用い
る線材の中間加工設備列、 (3)当該方法で製造された鋼
線を素材とする耐摩耗性や耐疲労特性に優れた軸受、各
種のOA機器用シャフト、精密ばね、スポークやアンテ
ナなど美麗な表面性状が要求される機械構造部品、を提
供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)に示す鋼線の製造方法、(2)及び(3)に示す
線材の中間加工設備列及び(4)に示す機械構造部品に
ある。
【0006】(1)線材の中間加工設備列中の中間加工
装置の前に設けた探傷器で線材の表面疵を検出し、次に
その検出した表面疵の除去を行い、続いて中間加工装置
を用いて中間加工を行った後、前記中間加工装置の後ろ
に設けた探傷器で線材の表面疵を検出して更にその表面
疵の除去を行い、その後仕上げ加工を行う鋼線の製造方
法。
【0007】(2)上記(1)に記載の鋼線の製造方法
に用いる線材の中間加工設備列であって、少なくとも中
間加工装置と2つの探傷器とを有し、前記の中間加工装
置と探傷器が、探傷器、中間加工装置及び探傷器の順で
配置されている線材の中間加工設備列。
【0008】(3)上記(1)に記載の鋼線の製造方法
に用いる線材の中間加工設備列であって、少なくとも中
間加工装置、2つの探傷器及び2つの疵除去を行う装置
を有し、前記の中間加工装置、探傷器及び疵除去を行う
装置が、探傷器、疵除去を行う装置、中間加工装置、探
傷器及び疵除去を行う装置の順で配置されている線材の
中間加工設備列。
【0009】(4)上記(1)に記載の方法で製造され
た鋼線を素材とする機械構造部品。
【0010】なお、「線材」とは、棒状に熱間圧延され
た鋼で、コイル状に巻かれた鋼材を指し、所謂「バーイ
ンコイル」を含むものである。
【0011】「線材の中間加工」とは、所定の寸法の鋼
線とするために最終工程で行う仕上げ加工の前に行う加
工で、既に述べた「伸線加工」や「延伸加工」など線材
を中間段階の鋼線にする加工をいい、「中間加工装置」
とはそのための「伸線加工装置」や「延伸加工装置」を
指す。「線材中間加工設備列」とは上記の「中間加工」
を行うための設備列で、少なくとも探傷器と中間加工装
置を含むものであり、疵除去を行う装置を含んでいても
よい。上記のものに加えて更に、脱スケール処理や潤滑
処理を行う設備を含んでいてもよい。
【0012】本発明者らは、歩留りよく表面性状の良好
な鋼線を得るための加工方法について調査・研究を重ね
た。その結果、下記(a)〜(c)の知見を得た。
【0013】(a)表面疵には大きく分けて2種類のも
のがある。すなわち、図2に示す圧延疵やダイス疵のよ
うな長手方向に欠陥を持つ線状疵と、図3に示すヘゲ疵
や、搬送時に生ずる所謂「ハンドリング疵」のような周
方向に幅を持った疵との2種類である。上記のいずれの
疵も、中間加工して鋼線にしてから探傷器で表面疵の検
出を行う場合には、探傷器の検出能限界に近い疵は見逃
され、次に仕上げ加工で所定サイズに加工された鋼線に
は有害な疵が残存してしまう。
【0014】(b)中間加工前の線材の段階で表面疵の
検出を行えば、一般に素材となる線材に存在する圧延
疵、ヘゲ疵やハンドリング疵などの表面疵はサイズ面か
ら中間加工後の疵よりも容易に検出されるため除去する
ことが容易である。しかも、たとえ線材の段階で探傷器
の検出能限界に近くて見逃された疵が残ったとしても、
上記の疵は次の中間加工及び中間加工後に更に仕上げ加
工も受けるので、所定サイズの鋼線に仕上げられた際に
は線材の段階で残った疵は無害化される。
【0015】(c)上記中間加工前の線材の段階に加え
て、中間加工後の鋼線の段階で表面疵の検出を行えば、
伸線加工や延伸加工の中間加工によって発生したダイス
疵や圧延疵などの加工疵を除去することができ、最終仕
上げ加工後に表面性状の優れた鋼線が得られる。
【0016】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各要件について詳
しく説明する。
【0018】(A)線材及び中間加工した鋼線の表面疵
の検出と除去 中間加工前の線材の段階で表面疵を検出してこれを除去
するとともに、中間加工後の鋼線の段階でも表面疵の検
出を行ってその疵を除去することで、表面性状の良好な
鋼線が歩留りよく得られる。なお、上記の線材と中間加
工した鋼線の表面疵の探傷器は、表面疵をインラインで
動的に検出できるものであればその種類を問わないが、
現在の探傷技術の水準からすれば、渦流探傷型の探傷器
を使用するのがよい。
【0019】前記した線材の段階や、中間加工後の鋼線
の段階での表面疵は、例えば、自動疵取り機を探傷器の
後ろ(出側)に設置することで自動的に除去してもよい
し、探傷器による疵の検出によって製造ラインを停止
し、ハンドグラインダーを用いることで手動で除去して
もよい。なお、表面疵の除去は、線材の素材鋼が所謂
「炭素鋼」や「低合金鋼」などのように、通常の急冷処
理によってオーステナイトからマルテンサイトやベイナ
イトに変態する鋼である場合には、素材鋼のAc変態
点以下の温度で行うのがよい。又、表面疵を除去した後
は、例えば、目の細かいペーパー砥石の付いたハンドグ
ラインダーを用いて表面粗さを小さくしておくのがよ
い。更に、中間加工として伸線加工を施す場合には、表
面粗さを小さくした疵除去部に速乾性の潤滑剤を塗布
し、その後伸線加工を行うのがよい。
【0020】(B)中間加工装置による中間加工 表面疵を検出しこれを除去した線材を、中間加工装置を
用いて中間サイズの鋼線に加工する。この中間加工は伸
線加工又は延伸加工のいずれか一方で行ってもよいし、
伸線加工と延伸加工を組合せて行ってもよい。なお、中
間加工が伸線加工の場合、中間加工装置は伸線ダイス
(穴ダイス)を1枚以上組み合わせたものを用いればよ
い。この場合のダイススタンドは1台としてもよいし、
複数台としてもよい。中間加工が延伸加工の場合、中間
加工装置にはローラダイスを用いた引き抜き加工装置、
所謂「2ロール圧延機」、「3ロール圧延機」や「4ロ
ール圧延機」を用いた圧延加工装置をそれぞれ単独、又
はこれらを組み合わせて用いればよい。なお、上記の伸
線加工装置と延伸加工装置を組合せてもよい。
【0021】上記中間加工装置を用いた中間加工時の全
減面率は、特に規定するものではない。しかし、次の仕
上げ加工後の鋼線の表面性状を良好なものとするために
は、中間加工における全減面率は5%以上とすることが
望ましい。なお、この中間加工における全減面率は、被
加工材の加工限界を超えることによる割れや破断を防止
するために、95%以下とすることが望ましい。
【0022】(C)仕上げ加工装置による仕上げ加工 前記(B)の中間加工装置による中間加工及びそれに続
いて、(A)の中間加工後の表面疵の検出とその疵の除
去を施された鋼線は、必要に応じて熱処理を施された
後、次に仕上げ加工装置を用いた仕上げ加工で所定のサ
イズの鋼線に仕上げられる。
【0023】この仕上げ加工は伸線加工又は延伸加工の
いずれか一方で行ってもよいし、伸線加工と延伸加工を
組合せて行ってもよい。なお、仕上げ加工が伸線加工の
場合、仕上げ加工装置は伸線ダイス(穴ダイス)を1枚
以上組み合わせたものを用いればよい。この場合のダイ
ススタンドは1台としてもよいし、複数台としてもよ
い。仕上げ加工が延伸加工の場合、仕上げ加工装置には
引き抜き加工装置及び各種の圧延加工装置をそれぞれ単
独、又はそれらを組み合わせて用いればよい。なお、上
記の伸線加工装置と延伸加工装置を組合せてもよい。
【0024】本発明が対象とする鋼線は、例えば、引張
強度、疲労強度などの機械的性質や耐食性が確保できる
ように調整された化学組成を有する鋼を通常の方法で溶
製して鋼片に加工した後、通常の方法で熱間圧延して線
材に加工し、この線材に、(A)項の線材の表面疵の検
出と除去、(B)項の中間加工装置による中間加工、
(A)項の中間加工した鋼線の表面疵の検出と除去、
(C)項の仕上げ加工装置による仕上げ加工を施した
り、前記熱間圧延した線材に軟化焼鈍や球状化焼鈍を施
した後、(A)項の線材の表面疵の検出と除去、(B)
項の中間加工装置による中間加工、(A)項の中間加工
した鋼線の表面疵の検出と除去、(C)項の仕上げ加工
装置による仕上げ加工を施して製造される。
【0025】上記の本発明が対象とする鋼線を、探傷
器、中間加工装置、探傷器がこの順で配置されている線
材の中間加工設備列を用いてインライン処理すれば、製
造効率を高めることができる。又、探傷器の後ろ(出
側)に自動で疵除去が行える装置を備えて、本発明が対
象とする鋼線を、探傷器、疵除去を行う装置、中間加工
装置、探傷器、疵除去を行う装置がこの順で配置されて
いる線材の中間加工設備列を用いてインライン処理すれ
ば、一層製造効率を高めることができる。
【0026】上記のようにして製造された鋼線は、所定
の形状への加工が施され、最終工程としての焼入れ焼戻
しなどの熱処理が行われ、所望の特性を有する機械構造
部品に仕上げられる。
【0027】以下、実施例により本発明を詳しく説明す
る。
【0028】
【実施例】(実施例1)表1に示す化学組成を有する試
験炉溶製したSUJ2(JIS G 4805(1990))相当鋼を供
試鋼として、通常の方法で直径が5.5mmの線材を熱
間圧延した。
【0029】
【表1】
【0030】次いで、上記の線材に通常の方法で球状化
焼鈍を施し、更に、酸洗によるデスケーリングと潤滑処
理を行ってから線材コイルを2等分した。
【0031】上記2等分した線材コイルの一方に、線材
コイルから切り出し、周方向に幅を持った疵の例として
ハンドリング疵を意図的に設けた短尺サンプルと、同じ
く線材コイルから切り出し、放電加工機を用いて深さと
長さを変化させた線状疵を設けた短尺サンプルとを、通
常の方法で溶接して接合した。
【0032】上記の各疵は、溶接による接合の前にその
寸法を測定した。すなわち、線状疵とハンドリング疵の
長さはデジタルノギスを用いて測定した。線状疵の深さ
は、株式会社ニコン製の測定顕微鏡MM−40/L3T
又は、レーザー顕微鏡を用いた被写体深度から求めた。
一方、ハンドリング疵については、ハンドグラインダー
を用いて常温で手入れして疵を除去し、疵除去前後の直
径の最大差を疵の深さとした。続いて、線状疵をハンド
グラインダーを用いて常温で除去した。
【0033】次いで、上記の疵除去を行った部位に通常
の方法で速乾性の潤滑剤を塗布し、前記短尺サンプルを
接合した線材コイルを、表2に示すパススケジュール
(表2における総減面率は直径5.5mmからの総減面
率を指す)に従って室温で伸線加工して直径が3.00
mmの中間加工鋼線(中間線)を得た。なお、上記直径
が3.00mmの中間線における疵の状況をチェックし
たが、疵は残っていなかった。次いで、直径が3.00
mmの伸線加工した中間線に、人為的に長さが15mm
で深さが0.04mmの疵を設けた。上記の疵の長さと
深さは、疵をつけた後でデジタルノギスと測定顕微鏡を
用いて測定したものである。上記の人為的に設けた疵を
ハンドグラインダーを用いて常温で除去し、更に、疵除
去を行った部位に通常の方法で速乾性の潤滑剤を塗布し
てから、室温で仕上げ伸線加工して直径が2.65mm
の鋼線に仕上げた。表2には、仕上げ伸線加工の条件も
併せて示した。
【0034】
【表2】
【0035】表3に、上記のようにして直径2.65m
mに仕上げ加工した鋼線について、表面状態と疵の状況
を調査した結果を示す。なお、表3には素材である直径
が5.5mmの線材及び、直径が3.00mmの鋼線
(中間線)における疵の状況も併せて示した。この表3
では、直径が3.00mm及び2.65mmの鋼線にお
いて疵が残っていなかったことを「−」で示した。又、
直径2.65mmの鋼線(製品)の表面状態の「◎」
は、疵を処理した部位に疵の残りがなく、疵の発生して
いない部位と全く同様の状態であることを示す。
【0036】
【表3】
【0037】表3から、本発明で規定するように中間加
工の前後に処理しておけば、所定の直径2.65mmに
仕上げた鋼線に疵はなく、しかも、疵を処理した痕跡も
認められない良好な表面状態を有することが明らかであ
る。
【0038】(実施例2)前記の実施例1で2等分した
酸洗・潤滑処理後の直径が5.5mmである線材コイル
の残りの一方に、実施例1の場合と同様に、線材コイル
から切り出し、周方向に幅を持った疵の例としてハンド
リング疵を意図的に設けた短尺サンプルと、同じく線材
コイルから切り出し、放電加工機を用いて深さと長さを
変化させた線状疵を設けた短尺サンプルとを、通常の方
法で溶接して接合した。
【0039】上記の各疵は、溶接による接合の前にその
寸法を測定した。すなわち、線状疵とハンドリング疵の
長さはデジタルノギスを用いて測定した。線状疵の深さ
は、株式会社ニコン製の測定顕微鏡MM−40/L3T
又は、レーザー顕微鏡を用いた被写体深度から求めた。
なお、ハンドリング疵の深さは測定しなかった。
【0040】次いで、前記短尺サンプルを接合した線材
コイルを、室温で通常の方法によって伸線加工して直径
3.00mmの鋼線に中間加工した後、設定探傷基準を
深さ0.05mmとして、渦流探傷装置を用いて探傷
し、更に、上記の各疵の寸法を測定した。すなわち、線
状疵とハンドリング疵の長さは、上記5.5mmの線材
の場合と同様デジタルノギスを用いて測定した。一方、
線状疵の深さは、5.5mmの線材段階での深さが0.
09mmであったものを除き、ハンドグラインダーを用
いて常温で手入れして疵を除去し、欠陥除去前後の直径
の最大差を疵の深さとした。同様に、ハンドリング疵の
深さも、ハンドグラインダーを用いて常温で手入れして
疵を除去し、欠陥除去前後の直径の最大差を疵の深さと
した。5.5mmの線材段階で深さが0.09mmであ
った線状疵の場合、3.00mmの鋼線段階で疵取りの
手入れを行わなかったので、深さは測定できなかった。
【0041】次いで、ハンドリング疵及び線状疵を除去
した部位に通常の方法で速乾性の潤滑剤を塗布し、室温
で1パスの仕上げ伸線加工を行って、直径2.65mm
の鋼線に仕上げた。
【0042】表4に、伸線加工における中間加工と仕上
げ加工のパススケジュールの詳細を示す。なお、表4に
示した総減面率は直径5.5mmからの総減面率を指
す。
【0043】
【表4】
【0044】表5に、上記のようにして直径2.65m
mに仕上げ加工した鋼線の表面状態と疵の状況を調査し
た結果を示す。なお、表5には素材である直径5.5m
mの線材及び、直径3.00mmの鋼線(中間線)にお
ける疵の状況も併せて示した。
【0045】表5における「−」は、線材及び鋼線に疵
がないことを示す。又、表5における直径2.65mm
の鋼線(製品)の表面状態の「◎」は、疵を処理した部
位に疵の残りがなく疵の発生していない部位と全く同様
の状態を、「○」は、疵を処理した部位に疵の残りはな
いものの疵を処理した痕跡がわずかに残っている状態
を、「△」は、疵は残っているものの偏肉(つまり、偏
径差)が0.03mm未満である状態を、「×」は、有
害な疵が残っているか又は、断面に0.03mm以上の
偏肉がある状態をそれぞれ意味する。
【0046】
【表5】
【0047】表5に示すように、中間加工によって鋼線
にした後、探傷器による表面疵の検出を行い、次いで検
出した疵の手入れを行う場合、探傷器の検出能限界に近
い疵は見逃され、こうした疵が残ったまま仕上げ加工さ
れて、所定サイズに仕上げられた鋼線に疵が残存した
り、仕上げ加工後に所定のサイズが確保できない所謂
「径不足」が生じたりする場合のあることが明らかであ
る。
【0048】(実施例3)表6に示す化学組成を有する
試験炉溶製したSCM435(JIS G 4105)相当鋼を供
試鋼として、通常の方法で直径8.0mmの線材を熱間
圧延した。
【0049】
【表6】
【0050】熱間圧延して得た上記の線材に通常の方法
で球状化焼鈍を施し、通常の酸洗によるデスケーリング
を行った後、渦流探傷器を用いて探傷し、検出した各疵
をハンドグラインダーを用いて常温で除去し、更に、疵
を除去した部位に通常の方法で速乾性の潤滑剤を塗布し
た。
【0051】次いで、上記線材に対して、室温で伸線加
工して中間加工を行い、直径5.70mmの鋼線(中間
線)に仕上げた。なお、表7にパススケジュールの詳細
を示す。この表7に示した総減面率は直径8.0mmか
らの総減面率を指す。
【0052】
【表7】
【0053】上記のようにして直径5.70mmに中間
加工した鋼線に球状化焼鈍を施し、次いで、酸洗による
脱スケール処理、及び潤滑処理を行い、渦流探傷器を用
いて探傷し、検出した各疵をハンドグラインダーを用い
て常温で除去し、更に、疵を除去した部位に通常の方法
で速乾性の潤滑剤を塗布した後、室温で伸線加工して仕
上げ加工を行い、直径5.45mmの鋼線に仕上げた。
なお、表7には仕上げ伸線加工のパススケジュールも併
せて示した。この仕上げ加工における総減面率も、前記
したように、直径8.0mmからの総減面率を指す。
【0054】上記のようにして直径5.45mmに仕上
げ加工した鋼線の表面状態を調査したところ、鋼線に疵
はなく、しかも、疵を処理した痕跡も認められない良好
な表面状態を有することが確認できた。
【0055】
【発明の効果】本発明の方法によれば、歩留りよく表面
性状の良好な鋼線を製造することができる。本発明の機
械構造部品の素材となる鋼線は、本発明の線材の中間加
工設備列を用いた本発明の方法によって比較的容易に製
造できる。なお、本発明の方法によれば、従来の中間加
工後に疵除去を行う場合に所定のサイズが確保できない
所謂「径不足」が生じることもないので、製造歩留まり
を改善できるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中間加工後に疵除去を行う従来の鋼線の製造方
法を説明する図である。
【図2】圧延疵やダイス疵のような線状疵を説明する図
である。
【図3】ヘゲ疵や、搬送時に生ずる所謂「ハンドリング
疵」のような周方向に幅を持った疵を説明する図であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】線材の中間加工設備列中の中間加工装置の
    前に設けた探傷器で線材の表面疵を検出し、次にその検
    出した表面疵の除去を行い、続いて中間加工装置を用い
    て中間加工を行った後、前記中間加工装置の後ろに設け
    た探傷器で線材の表面疵を検出して更にその表面疵の除
    去を行い、その後仕上げ加工を行うことを特徴とする鋼
    線の製造方法。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の鋼線の製造方法に用いる
    線材の中間加工設備列であって、少なくとも中間加工装
    置と2つの探傷器とを有し、前記の中間加工装置と探傷
    器が、探傷器、中間加工装置及び探傷器の順で配置され
    ている線材の中間加工設備列。
  3. 【請求項3】請求項1に記載の鋼線の製造方法に用いる
    線材の中間加工設備列であって、少なくとも中間加工装
    置、2つの探傷器及び2つの疵除去を行う装置を有し、
    前記の中間加工装置、探傷器及び疵除去を行う装置が、
    探傷器、疵除去を行う装置、中間加工装置、探傷器及び
    疵除去を行う装置の順で配置されている線材の中間加工
    設備列。
  4. 【請求項4】請求項1に記載の方法で製造された鋼線を
    素材とする機械構造部品。
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