JP2002361318A - 鋼線の製造方法、線材の中間加工設備列及び機械構造部品 - Google Patents

鋼線の製造方法、線材の中間加工設備列及び機械構造部品

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JP2002361318A
JP2002361318A JP2001173596A JP2001173596A JP2002361318A JP 2002361318 A JP2002361318 A JP 2002361318A JP 2001173596 A JP2001173596 A JP 2001173596A JP 2001173596 A JP2001173596 A JP 2001173596A JP 2002361318 A JP2002361318 A JP 2002361318A
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flaws
steel wire
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JP2001173596A
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Norimasa Ono
訓正 小野
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Sumitomo Metals Kokura Ltd
Original Assignee
Sumitomo Metals Kokura Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】歩留りよく表面性状の良好な鋼線を製造する方
法を提供する。 【解決手段】線材の中間加工設備列中の中間加工装置の
前に設けた探傷器で線材の表面疵を検出し、前記検出し
た表面疵の除去と疵除去部の表面粗さを中心線表面粗さ
Raで13.0μm以下とする処理を行い、続いて中間
加工装置を用いて中間加工と仕上げ加工を行う。中間加
工装置を用いて中間加工を行い、その後仕上げ加工装置
を用いて仕上げ加工を施してもよい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼線の製造方法、
線材の中間加工設備列及び機械構造部品に関し、詳しく
は、耐摩耗性や耐疲労特性に優れた軸受、各種のOA機
器用シャフト、精密ばね、スポークやアンテナなど美麗
な表面性状が要求される機械構造部品とそれらの機械構
造部品の素材となる表面性状の良好な鋼線の製造方法及
び、前記鋼線を製造する際の線材を中間加工する設備列
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、良好な表面性状が要求される鋼線
は、熱間圧延ままの線材や熱間圧延後に球状化焼鈍や軟
化焼鈍の熱処理を施した線材を酸洗や機械的な方法で脱
スケール処理し、潤滑処理を行って伸線加工や延伸加工
による中間加工を行い、次いで、ライン中に設けた探傷
器で中間加工した鋼線の表面疵の検出を行うとともにそ
の表面疵を手入れし、その後、熱処理することなく直接
に伸線加工や延伸加工による仕上げ加工を行って所定サ
イズの鋼線に仕上げる方法、又は、上記表面疵を手入れ
した鋼線に更に球状化焼鈍や軟化焼鈍の熱処理を行い、
脱スケールと潤滑の処理を施してから伸線加工や延伸加
工による仕上げ加工を行って所定サイズの鋼線に仕上げ
る方法で製造されていた。ここで、「伸線加工」とは穴
ダイスを用いた伸線加工を指す。又、「延伸加工」と
は、ローラダイスを用いた引き抜き加工、所謂「2ロー
ル圧延機」、「3ロール圧延機」や「4ロール圧延機」
を用いた圧延加工を指し、通常の穴ダイスを用いた伸線
加工を除いたものをいう。
【0003】しかしながら、上記した従来の製造方法
は、図1に概要を示すように、線材を伸線加工や延伸加
工による中間加工によって鋼線にした後、インラインで
探傷器による表面疵の検出を行い、次いで検出した疵の
手入れを行うものである。このため、表面疵が素材であ
る線材の場合に比べて進展する場合がある。例えば、直
径5.5mmの線材における長さ1mmの表面疵は、直
径が3.0mmの鋼線では計算上長さが3.36mmの
表面疵に拡大されてしまう。又、線材の熱間での圧延疵
に代表される線状の表面疵は、中間加工で長く延ばされ
るのでその深さは浅くなり、探傷器で検出され難くな
る。このため、探傷器の検出能限界に近い疵は見逃さ
れ、こうした疵が残ったまま仕上げ加工されて、所定サ
イズに仕上げられた鋼線に有害な疵が残存することもあ
った。更に、ヘゲ疵や、搬送時に生ずる所謂「ハンドリ
ング疵」のような周方向に幅を有する疵の場合、疵が大
きければその疵が更に進展することもある。こうした疵
の場合には、中間加工後に探傷器で発見しやすくなるも
のの、疵を手入れする割合が増えたり、疵の手入れを中
間加工後に行うため仕上げ加工後に所定のサイズが確保
できない所謂「径不足」が生じたり、手入れ残りをきた
し、所望の表面品質が得られないことがある。又、手入
れができないほど大きな欠陥に進展し、製品歩留りの低
下を生じることもある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みなされたもので、その目的は、歩留りよく表面性状
の良好な鋼線を製造する方法、その製造に用いる線材の
中間加工設備列及び、当該方法で製造された鋼線を素材
とする耐摩耗性や耐疲労特性に優れた軸受、各種のOA
機器用シャフト、精密ばね、スポークやアンテナなど美
麗な表面性状が要求される機械構造部品を提供すること
にある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、下記
(1)と(2)に示す鋼線の製造方法、(3)に示す線
材の中間加工設備列及び(4)に示す機械構造部品にあ
る。
【0006】(1)線材の中間加工設備列中の中間加工
装置の前に設けた探傷器で線材の表面疵を検出し、前記
検出した表面疵の除去と疵除去部の表面粗さを中心線表
面粗さRaで13.0μm以下とする処理を行い、続い
て中間加工装置を用いて中間加工と仕上げ加工を行うこ
とを特徴とする鋼線の製造方法。
【0007】(2)線材の中間加工設備列中の中間加工
装置の前に設けた探傷器で線材の表面疵を検出し、前記
検出した表面疵の除去と疵除去部の表面粗さを中心線表
面粗さRaで13.0μm以下とする処理を行い、続い
て中間加工装置を用いて中間加工を行い、その後仕上げ
加工装置を用いて仕上げ加工を施すことを特徴とする鋼
線の製造方法。
【0008】(3)探傷器、疵除去と疵除去部の表面加
工を行う装置、中間加工装置がこの順で配置されている
線材の中間加工設備列。
【0009】(4)上記(1)又は(2)に記載の方法
で製造された鋼線を素材とする機械構造部品。
【0010】なお、「線材」とは、棒状に熱間圧延され
た鋼で、コイル状に巻かれた鋼材を指し、所謂「バーイ
ンコイル」を含むものである。
【0011】「線材の中間加工」とは、下記の仕上げ加
工の前に行う加工で、既に述べた「伸線加工」や「延伸
加工」など線材を中間段階の鋼線にする加工をいい、
「中間加工装置」とはそのための「伸線加工装置」や
「延伸加工装置」を指す。「線材中間加工設備列」とは
上記の「中間加工」を行うための設備列で、少なくとも
探傷器、疵除去と疵除去部の表面加工を行う装置、中間
加工装置を含むものであり、脱スケール処理や潤滑処理
を行う設備を含んでいてもよい。なお、「疵除去と疵除
去部の表面加工を行う装置」とは、疵の除去と疵を除去
した部位の表面を所定の粗さに加工する装置をいい、疵
除去装置と疵除去部の表面加工装置とがそれぞれ別の装
置であってもよいし、疵除去と疵除去部の表面加工を複
合して行う単独の装置であってもよい。
【0012】「仕上げ加工」とは、所定の寸法の鋼線と
するために最終工程で行う加工のことで、伸線加工と延
伸加工の両者を含み、「仕上げ加工装置」とはそのため
の「伸線加工装置」や「延伸加工装置」を指す。なお、
前記「中間加工装置」と「仕上げ加工装置」とを分離す
る必要のない場合には、「中間加工装置」を用いて「中
間加工」と「仕上げ加工」を行えばよいので、「中間加
工装置」が「仕上げ加工装置」にもなる。
【0013】本発明者らは、歩留りよく表面性状の良好
な鋼線を得るための加工方法について調査・研究を重ね
た。その結果、下記(a)〜(c)の知見を得た。
【0014】(a)表面疵には大きく分けて2種類のも
のがある。すなわち、図2に示す圧延疵やダイス疵のよ
うな長手方向に欠陥を持つ線状疵と、図3に示すヘゲ疵
や、搬送時に生ずる所謂「ハンドリング疵」のような周
方向に幅を持った疵との2種類である。 (b)上記いずれの疵も、中間加工して鋼線にしてから
探傷器で表面疵の検出を行う場合には、探傷器の検出能
限界に近い疵は見逃され所定サイズに仕上げられた鋼線
に有害な疵が残存してしまう。これに対して、中間加工
前の線材の段階で表面疵の検出を行っておけば、たとえ
探傷器の検出能限界に近くて見逃された疵が残ったとし
ても、上記の疵は次の中間加工、更には最終の仕上げ加
工を受けるため、所定サイズに仕上げられた鋼線に残っ
た疵を無害化できる。
【0015】(c)線材の段階で表面疵を検出し、前記
検出した疵の除去と疵除去部の表面粗さを特定の状態に
する処理を行い、次いで中間加工と仕上げ加工を行うこ
とで、表面性状の良好な鋼線が得られる。
【0016】本発明は、上記の知見に基づいて完成され
たものである。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の各要件について詳
しく説明する。 (A)線材の表面疵の検出 線材の段階で表面疵を検出しこれを除去することが、表
面性状の良好な鋼線の歩留りのよい製造のために必要で
ある。なお、検出して除去する表面疵は、深さが下記の
(1)式で表されるt (mm)以上、幅が0.1mm
以上、長さが下記の (2)式で表されるL(mm)以上
の疵とすればよい。 t =t(d /0.82d)・・・(1)、 L=L(d /d) ・・・(2)、 ここで、d は素材である線材のmm単位での直径、
dは仕上げ加工した鋼線のmm単位での直径である。
又、tとL はそれぞれ仕上げ加工した鋼線における産業
界から要求されるmm単位での疵保証深さと疵保証長さ
であり、通常の場合には、tは0.03〜0.05m
m、L は1〜5mmであることが多い。
【0018】上記のt 、Lに達しない表面疵は、線
材の段階で除去しなくてもよい。こうしたサイズの表面
疵は、所定サイズに仕上げられた鋼線では無害である。
なお、線材の表面疵の探傷器は表面疵をインラインで動
的に検出できるものであればその種類を問わないが、現
在の探傷技術の水準からすれば、渦流探傷型の探傷器を
使用するのがよい。 (B)表面疵の除去と疵除去部の表面粗さの調整処理 前記した線材の段階での表面疵は、例えば、自動疵取り
機を探傷器の出側に設置することで自動的に除去しても
よいし、探傷器による疵の検出によって製造ラインを停
止し、ハンドグラインダーを用いることで手動で除去し
てもよい。前記の表面疵を除去した後は、疵除去部の表
面粗さを中心線平均粗さ(Ra)で13.0μm以下に
する必要がある。Raが13.0μmを超える場合に
は、たとえ前記した疵を除去しても、表面性状の良好な
鋼線が得られない場合がある。なお、疵除去部の表面粗
さを中心線平均粗さ(Ra)で13.0μm以下にする
には、例えば、砥粒の番号が80以上である目の細かい
ペーパー砥石の付いたハンドグラインダーを用いればよ
い。
【0019】表面疵の除去と疵除去部の表面粗さの調整
処理は、線材の素材鋼が、所謂「炭素鋼」や「低合金
鋼」などのように、通常の急冷処理によってオーステナ
イトからマルテンサイトやベイナイトに変態する鋼であ
る場合には、素材鋼のAc変態点以下の温度で行えば
よい。前記処理温度が線材の素材鋼のAc 変態点を
超える場合には、加工部は処理後に急冷されることにな
るため、そこにマルテンサイトやベイナイトの低温変態
生成物が生成し、次に中間加工を行うと、表面に加工限
界を超えることによる割れ(つまり、加工割れ)に起因
した疵が生じたり、断線してしまう場合があるからであ
る。線材の素材鋼が、オーステナイト系ステンレス鋼や
フェライト系ステンレス鋼である場合には、通常、加工
部にマルテンサイトやベイナイトの低温変態生成物が生
成することがないので、表面疵の除去と疵除去部の表面
粗さの調整処理を行う温度域には特に制限はない。
【0020】ここで、連続する加工工程で前記の表面疵
を除去した部位の表面粗さRaを測定するには、例え
ば、ハンディータイプの粗さ測定器や高精度レーザー変
位計を設置すればよい。 (C)中間加工装置による中間加工 本発明においては、上記(B)の処理を行った線材を、
中間加工装置を用いて中間サイズの鋼線に加工する。こ
の中間加工は伸線加工又は延伸加工のいずれか一方で行
ってもよいし、伸線加工と延伸加工を組合せて行っても
よい。なお、中間加工が伸線加工の場合、中間加工装置
は伸線ダイス(穴ダイス)を1枚以上組み合わせたもの
を用いればよい。この場合のダイススタンドは1台とし
てもよいし、複数台としてもよい。中間加工が延伸加工
の場合、中間加工装置にはローラダイスを用いた引き抜
き加工装置、所謂「2ロール圧延機」、「3ロール圧延
機」や「4ロール圧延機」を用いた圧延加工装置をそれ
ぞれ単独、又はこれらを組み合わせて用いればよい。な
お、上記の伸線加工装置と延伸加工装置を組合せてもよ
い。上記の中間加工装置による中間加工時の全減面率
は、特に規定するものではない。しかし、次の仕上げ加
工後の鋼線の表面性状、特に上記(B)の処理を行った
部分の表面性状を良好なものとするためには、中間加工
における全減面率は5%以上とすることが望ましい。な
お、この中間加工における全減面率は、被加工材の加工
限界を超えることによる割れや破断を防止するために、
95%以下とすることが望ましい。 (D)仕上げ加工装置による仕上げ加工 前記(C)の中間加工装置による中間加工を受けた鋼線
は、仕上げ加工装置を用いた仕上げ加工で所定のサイズ
の鋼線に仕上げられる。なお、「中間加工装置」と「仕
上げ加工装置」とを分離する必要のない場合には、「中
間加工装置」を用いて「中間加工」と「仕上げ加工」を
行うことで所定のサイズの鋼線が得られる。中間加工の
後、軟化又は球状化のための熱処理を施し、その後仕上
げ加工を行ってもよい。この仕上げ加工は伸線加工又は
延伸加工のいずれか一方で行ってもよいし、伸線加工と
延伸加工を組合せて行ってもよい。なお、仕上げ加工が
伸線加工の場合、仕上げ加工装置は伸線ダイス(穴ダイ
ス)を1枚以上組み合わせたものを用いればよい。この
場合のダイススタンドは1台としてもよいし、複数台と
してもよい。仕上げ加工が延伸加工の場合、仕上げ加工
装置には引き抜き加工装置及び各種の圧延加工装置をそ
れぞれ単独、又はそれらを組み合わせて用いればよい。
なお、上記の伸線加工装置と延伸加工装置を組合せても
よい。本発明が対象とする鋼線は、例えば、引張強度、
疲労強度などの機械的性質や耐食性が確保できるように
調整された化学組成を有する鋼を通常の方法で溶製して
鋼片に加工した後、通常の方法で熱間圧延して線材に加
工し、この線材に、(A)項の線材の表面疵の検出、
(B)項の表面疵の除去と疵除去部の表面粗さの調整処
理、(C)項の中間加工装置による中間加工、(D)項
の仕上げ加工装置による仕上げ加工を施したり、前記熱
間圧延した線材に軟化焼鈍や球状化焼鈍を施した後、
(A)項の線材の表面疵の検出、(B)項の表面疵の除
去と疵除去部の表面粗さの調整処理、(C)項の中間加
工装置による中間加工、(D)項の仕上げ加工装置によ
る仕上げ加工を施して製造される。
【0021】上記の本発明が対象とする鋼線を、探傷
器、疵除去と疵除去部の表面加工を行う装置、中間加工
装置がこの順で配置されている線材の中間加工設備列を
用いてインライン処理すれば、製造効率を高めることが
できる。更に、上記のようにして製造された鋼線は、所
定の形状への加工が施され、最終工程としての焼入れ焼
戻しなどの熱処理が行われ、所望の特性を有する機械構
造部品に仕上げられる。
【0022】なお、本発明によれば中間加工後の探傷を
省略できるものの、製造コストが高くなることよりも、
表面欠陥(表面疵)が無いことを優先して求められる場
合には、中間加工の後、又は仕上げ加工の後で探傷器に
よる探傷や軽微な手入れを行うこともできる。以下、実
施例により本発明を詳しく説明する。
【0023】
【実施例】(実施例1)表1に示す化学組成を有する試
験炉溶製したSUJ2(JIS G 4805(1990))相当鋼を供
試鋼として、通常の方法で直径が5.5mmの線材を熱
間圧延した。なお、表1には素材鋼のAc 変態点も
併記した。
【0024】
【表1】 次いで、上記の線材に通常の方法で球状化焼鈍を施し、
更に、酸洗によるデスケーリングと潤滑処理を行ってか
ら線材コイルを2等分した。
【0025】上記2等分した線材コイルの一方に、線材
コイルから切り出し、周方向に幅を持った疵の例として
ハンドリング疵を意図的に設けた短尺サンプルと、同じ
く線材コイルから切り出し、放電加工機を用いて深さと
長さを変化させた線状疵を設けた短尺サンプルとを、通
常の方法で溶接して接合した。
【0026】上記の各疵は、溶接による接合の前にその
寸法を測定した。すなわち、線状疵とハンドリング疵の
長さはデジタルノギスを用いて測定した。線状疵の深さ
は、株式会社ニコン製の測定顕微鏡MM−40/L3T
又は、レーザー顕微鏡を用いた被写体深度から求めた。
一方、ハンドリング疵については、ハンドグラインダー
を用いて常温で手入れして疵を除去し、欠陥除去前後の
直径の最大差を疵の深さとした。続いて、線状疵をハン
ドグラインダーを用いて常温で除去し、更に、ハンドリ
ング疵及び線状疵を除去した部位の表面粗さを常温で砥
粒の番号が100のペーパー砥石付きのハンドグライン
ダーを用いて調整した。各部位の表面粗さはハンディー
タイプの粗さ測定器を用いて長手方向に測定した結果、
中心線平均粗さ(Ra)で1.6〜6.3μmであっ
た。次いで、上記の疵除去と表面粗さを調整した部位に
通常の方法で潤滑処理を施し、前記短尺サンプルを接合
した線材コイルを、室温で通常の方法によって伸線加工
した。表2に、伸線加工における中間加工と仕上げ加工
のパススケジュールの詳細を示す。ここで、表2に示し
た総減面率は直径5.5mmからの総減面率を指す。な
お、表2の伸線加工の場合には、中間加工と仕上げ加工
は連続して行った。
【0027】
【表2】 表3に、上記のようにして直径2.75mmに仕上げ加
工した鋼線の表面状態を調査した結果を示す。なお、直
径がそれぞれ3.00mmの鋼線(中間線)及び2.7
5mmの鋼線(製品)における疵の状況をチェックした
が、疵は残っていなかった。これを表3では、直径が
3.00mm及び2.75mmの鋼線における疵の状況
として「−」で示した。なお、表3における直径2.7
5mmの鋼線(製品)の表面状態の「◎」は、疵を処理
した部位に疵の残りがなく、疵の発生していない部位と
全く同様の状態を、「○」は、疵を処理した部位に疵の
残りはないものの、疵を処理した痕跡がわずかに残って
いる状態を、「△」は、疵は残っているものの偏肉(つ
まり、偏径差)が0.03mm未満である状態を、
「×」は、有害な疵が残っているか、又は、断面に0.
03mm以上の偏肉がある状態をそれぞれ意味する。
【0028】
【表3】 表3に示すように、本発明で規定する条件で中間加工の
前に処理しておけば所定の直径2.75mmに仕上げた
鋼線に疵はなく、しかも、疵を処理した痕跡も認められ
ない良好な表面状態を有することが明らかである。 (実施例2)前記の実施例1で2等分した酸洗・潤滑処
理後の直径が5.5mmである線材コイルの残りの一方
に、実施例1の場合と同様に、線材コイルから切り出
し、周方向に幅を持った疵の例としてハンドリング疵を
意図的に設けた短尺サンプルと、同じく線材コイルから
切り出し、放電加工機を用いて深さと長さを変化させた
線状疵を設けた短尺サンプルとを、通常の方法で溶接し
て接合した。
【0029】上記の各疵は、溶接による接合の前にその
寸法を測定した。すなわち、線状疵とハンドリング疵の
長さはデジタルノギスを用いて測定した。線状疵の深さ
は、株式会社ニコン製の測定顕微鏡MM−40/L3T
又は、レーザー顕微鏡を用いた被写体深度から求めた。
なお、ハンドリング疵の深さは測定しなかった。次い
で、前記短尺サンプルを接合した線材コイルを、室温で
通常の方法によって伸線加工して直径3.00mmの鋼
線にした後、設定探傷基準を深さ0.05mmとして、
渦流探傷装置を用いて探傷し、更に、上記の各疵の寸法
を測定した。すなわち、線状疵とハンドリング疵の長さ
は、上記5.5mmの線材の場合と同様デジタルノギス
を用いて測定した。一方、線状疵の深さは、5.5mm
の線材段階での深さが0.11mmであったものを除
き、ハンドグラインダーを用いて常温で手入れして疵を
除去し、欠陥除去前後の直径の最大差を疵の深さとし
た。同様に、ハンドリング疵の深さも、ハンドグライン
ダーを用いて常温で手入れして疵を除去し、欠陥除去前
後の直径の最大差を疵の深さとした。5.5mmの線材
段階での深さが0.11mmであった線状疵の深さは測
定しなかった。次いで、ハンドリング疵及び線状疵を除
去した部位の表面粗さを常温で砥粒の番号が100のペ
ーパー砥石付きのハンドグラインダーを用いて中心線平
均粗さ(Ra)で1.6〜6.3μmとなるように調整
した。なお、上記の疵を除去した部位の表面粗さはハン
ディータイプの粗さ測定器を用いて長手方向に測定して
確認したものである。
【0030】次に、上記直径3.00mmの鋼線に常温
で1パスの仕上げ伸線加工を行って、直径2.75mm
の鋼線に仕上げた。
【0031】表4に、伸線加工における中間加工と仕上
げ加工のパススケジュールの詳細を示す。なお、表4に
示した総減面率は直径5.5mmからの総減面率を指
す。
【0032】
【表4】 上記のようにして直径2.75mmに仕上げ加工した鋼
線の表面状態を調査した結果を表5に示す。なお、表5
には素材である直径5.5mmの線材及び、直径3.0
0mmの鋼線(中間線)における疵の状況も併せて示し
た。ここで、表5における直径2.75mmの鋼線(製
品)の表面状態の「◎」、「○」、「△」及び「×」の
各記号の意味は実施例1における表3と同じである。
【0033】
【表5】 表5に示すように、中間加工によって鋼線にした後、探
傷器による表面疵の検出を行い、次いで検出した疵の手
入れを行う場合、探傷器の検出能限界に近い疵は見逃さ
れ、こうした疵が残ったまま仕上げ加工されて、所定サ
イズに仕上げられた鋼線に疵が残存したり、仕上げ加工
後に所定のサイズが確保できない所謂「径不足」が生じ
たりする場合のあることが明らかである。 (実施例3)表6に示す化学組成を有する試験炉溶製し
たSUS304(JIS G 4308)相当鋼を供試鋼として、
通常の方法で直径6.4mmの線材を熱間圧延した。
【0034】
【表6】 次いで、上記の線材に通常のフッ硝酸での酸洗によるデ
スケーリングを行い、その後渦流探傷器を用いて探傷
し、検出した各疵をハンドグラインダーを用いて常温で
除去し、更に、疵を除去した部位の表面粗さを常温で砥
粒の番号が100のペーパー砥石付きのハンドグライン
ダーを用いて中心線平均粗さ(Ra)で1.6〜6.3
μmとなるように調整した。なお、上記の疵を除去した
部位の表面粗さはハンディータイプの粗さ測定器を用い
て長手方向に測定して確認したものである。次いで、上
記線材に通常の方法で潤滑処理を施し、室温で伸線加工
して中間加工と仕上げ加工を行い、直径4.24mmの
鋼線に仕上げた。表7にパススケジュールの詳細を示
す。この表7に示した総減面率は直径6.4mmからの
総減面率を指す。なお、表7の伸線加工の場合には、中
間加工と仕上げ加工は連続して行った。
【0035】
【表7】 上記のようにして直径4.24mmに仕上げ加工した鋼
線の表面状態を調査したところ、鋼線に疵はなく、しか
も、疵を処理した痕跡も認められない良好な表面状態を
有することが確認できた。 (実施例4)表8に示す化学組成を有する試験炉溶製し
たSCM435(JIS G 4105)相当鋼を供試鋼として、
通常の方法で直径8.0mmの線材を熱間圧延した。な
お、表8には素材鋼のAc 変態点も併記した。
【0036】
【表8】 次いで、上記の線材に通常の方法で球状化焼鈍を施し、
通常の酸洗によるデスケーリングを行った後、渦流探傷
器を用いて探傷し、検出した各疵をハンドグラインダー
を用いて常温で除去し、更に、疵を除去した部位の表面
粗さを常温で砥粒の番号が80のペーパー砥石付きのハ
ンドグラインダーを用いて中心線平均粗さ(Ra)で
3.5〜13μmとなるように調整した。なお、上記の
疵を除去した部位の表面粗さはハンディータイプの粗さ
測定器を用いて長手方向に測定して確認したものであ
る。次いで、上記線材に通常の方法で潤滑処理を施し、
室温で伸線加工して中間加工を行い、直径5.70mm
の鋼線(中間線)に仕上げた。なお、表9にパススケジ
ュールの詳細を示す。この表9に示した総減面率は直径
8.0mmからの総減面率を指す。
【0037】
【表9】 上記のようにして直径5.70mmに中間加工した鋼線
に球状化焼鈍を施し、次いで、酸洗による脱スケール処
理、及び潤滑処理を行い、室温で伸線加工して仕上げ加
工を行い、直径5.45mmの鋼線に仕上げた。なお、
表9に仕上げ伸線加工のパススケジュールの詳細を併せ
て示した。この仕上げ加工における総減面率も、前記し
たように、直径8.0mmからの総減面率を指す。
【0038】上記のようにして直径5.45mmに仕上
げ加工した鋼線の表面状態を調査したところ、鋼線に疵
はなく、しかも、疵を処理した痕跡も認められない良好
な表面状態を有することが確認できた。
【0039】
【発明の効果】本発明の方法によれば、歩留りよく表面
性状の良好な鋼線を製造することができる。本発明の機
械構造部品の素材となる鋼線は、本発明の線材の中間加
工設備列を用いた本発明の方法によって比較的容易に製
造できる。なお、本発明の方法によれば、従来の中間加
工後に疵除去を行う場合に所定のサイズが確保できない
所謂「径不足」が生じることもないので、製造歩留まり
を改善できるという効果も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中間加工後に疵除去を行う従来の鋼線の製造方
法を説明する図である。
【図2】圧延疵やダイス疵のような線状疵を説明する図
である。
【図3】ヘゲ疵や、搬送時に生ずる所謂「ハンドリング
疵」のような周方向に幅を持った疵を説明する図であ
る。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】線材の中間加工設備列中の中間加工装置の
    前に設けた探傷器で線材の表面疵を検出し、前記検出し
    た表面疵の除去と疵除去部の表面粗さを中心線表面粗さ
    Raで13.0μm以下とする処理を行い、続いて中間
    加工装置を用いて中間加工と仕上げ加工を行うことを特
    徴とする鋼線の製造方法。
  2. 【請求項2】線材の中間加工設備列中の中間加工装置の
    前に設けた探傷器で線材の表面疵を検出し、前記検出し
    た表面疵の除去と疵除去部の表面粗さを中心線表面粗さ
    Raで13.0μm以下とする処理を行い、続いて中間
    加工装置を用いて中間加工を行い、その後仕上げ加工装
    置を用いて仕上げ加工を施すことを特徴とする鋼線の製
    造方法。
  3. 【請求項3】探傷器、疵除去と疵除去部の表面加工を行
    う装置、中間加工装置がこの順で配置されている線材の
    中間加工設備列。
  4. 【請求項4】請求項1又は2に記載の方法で製造された
    鋼線を素材とする機械構造部品。
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