JP4016894B2 - 鋼線材及び鋼線の製造方法 - Google Patents

鋼線材及び鋼線の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼線材及び鋼線の製造方法に関する。より詳しくは、例えば、自動車のラジアルタイヤや、各種産業用ベルトやホースの補強材として用いられるスチールコード、更には、ソーイングワイヤなどの用途に好適な鋼線の素材となる鋼線材及び前記の鋼線材を素材とする鋼線の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車のラジアルタイヤや、各種のベルト、ホースの補強材として用いられるスチールコード用鋼線、あるいは、ソーイングワイヤ用の鋼線は、一般に、熱間圧延後調整冷却した線径(直径)が5〜6mmの鋼線材(以下、「鋼線材を」単に「線材」という)を、1次伸線加工して直径を3〜4mmにし、次いで、中間パテンティング処理を行い、更に2次伸線加工して1〜2mmの直径にする。なお、コスト削減のため中間パテンティング処理を省略して1〜2mmの直径にする場合も多い。上記1〜2mmの直径に伸線した鋼線に、この後、最終パテンティング処理を行い、次いで、ブラスメッキを施し、更に最終湿式伸線加工を施して直径0.15〜0.40mmにする。このようにして得られた極細鋼線を、更に撚り加工で複数本撚り合わせて撚鋼線とすることでスチールコードが製造される。
【0003】
一般に、線材を鋼線に加工する際や鋼線を撚り加工する際に断線が生ずると、生産性と歩留りが大きく低下してしまう。したがって、上記技術分野に属する線材やその線材から加工した鋼線は、伸線加工時や撚り加工時に断線しないことが強く要求される。そして、伸線加工のうちでも特に前記の最終湿式伸線加工は、1次伸線加工及び2次伸線加工に較べて線径が細くなるため素材である線材中の欠陥に対して鋭敏になり、しかも、単位質量あたりの伸線長さが長くなる。このため、断線の発生頻度が高い。
【0004】
近年、種々の目的からスチールコードなどを軽量化する動きが高まってきた。このため、前記の各種製品に対して高強度が要求されるようになり、合金元素の添加、最終湿式伸線加工量の増加などの手法によって所望の強度を得ている。しかし、上述の高強度化手法を用いた場合には、最終湿式伸線加工での断線の発生頻度が高くなりやすく、より強度の高いスチールコードの量産化はあまり進展していない。そのため、最終湿式伸線加工での断線を防止できるような伸線加工性に優れた線材に対する要求が極めて大きくなっている。
【0005】
上記した近年の産業界からの要望に対して、不純物元素の低減、介在物の制御、初析セメンタイトの生成抑制や熱間圧延条件の管理などの手法によって、線材及び鋼線の伸線加工性を高める技術が提案されている。
【0006】
例えば、特許文献1には、質量%で、C:0.6〜1.1%、Si:0.1〜1.5%、Mn:0.2〜1%、P:0.025%以下、S:0.025%以下、Al:0.003%以下を含み、必要に応じて更に、Ni、Co、Cu、Cr、Vを含有するとともに、全酸素量、非金属介在物の平均組成及びTi含有量について規定した「伸線性および撚線性に優れた高炭素鋼線材」が開示されている。しかし、この特許文献1で提案された技術は、全酸素量が10〜30ppmと多いため、酸化物系介在物量の低減が十分ではない。また、熱間圧延ままでの硬度分布や初析セメンタイトについて、なんら考慮されていない。したがって、高強度化を図るために最終湿式伸線加工での加工量、つまり真歪み量を増やした場合には、断線の発生頻度が高くなりやすく、工業的に安定して鋼線を製造することが困難であった。
【0007】
特許文献2には、鋼の化学成分を質量%で、C:0.90%を超えて1.10%以下、Si:0.4%以下、Mn:0.5%以下、Cr:0.10〜0.30%、不純物元素としてのAlを0.003%以下とし、必要に応じて更に、初析フェライト及び初析セメンタイトの面積率などを規定した「高強度高延性鋼線材および高強度高延性極細鋼線の製造方法」が開示されている。しかし、この特許文献2で提案された技術は、不純物元素であるAlの低減が十分でないし、不純物元素と考えられるTi及びO(酸素)については、なんら配慮されていない。また、初析セメンタイトについては、その面積率については考慮されているものの、その形態については配慮されていない。更に、熱間圧延ままでの硬度分布についても、なんら考慮されていない。したがって、高強度化を図るために最終湿式伸線加工での加工量(真歪み量)を増やした場合には、断線の発生頻度が高くなりやすく、前記特許文献1で技術と同様に、工業的に安定して鋼線を製造することが困難であった。
【0008】
特許文献3には、鋼の化学成分を質量%で、C:0.90%以上1.10%以下、Si:0.4%以下、Mn:0.5%以下、Cr:0.10%以上0.30%以下、Cu:0.2%以上0.8%以下、Al:0.003%以下とし、更に最終パテンティング後の強度、初析フェライト及び初析セメンタイトの面積率などと、必要に応じて更に、引き抜き加工でのダイスのアプローチ角度について規定した「高強度高延性極細鋼線およびその製造方法」が開示されている。しかし、この特許文献3で提案された技術も、上記特許文献2で提案された技術と同様に、不純物元素であるAlの低減が十分でないし、不純物元素と考えられるTi及びOについては、なんら配慮されていない。初析セメンタイトについても、その面積率については配慮されているが、その形態については配慮されていない。更に、熱間圧延ままでの硬度分布についても、なんら考慮されていない。そのため、引き抜き加工でのダイスのアプローチ角度について配慮した場合でも、高強度化を図るために最終湿式伸線加工での加工量(真歪み量)を増やした場合には、断線の発生頻度が高くなりやすく、鋼線を工業的に安定して製造することは困難であった。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−330239号公報
【特許文献2】
特開平2−263951号公報
【特許文献3】
特開平4−280944号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑みてなされたもので、その目的は、スチールコードやソーイングワイヤなどの用途に好適な伸線加工性などの冷間加工性に優れた線材を得るとともに、前記の線材を素材とする鋼線を高い生産性の下に歩留り良く廉価に提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明の要旨は、下記(1)〜(4)に示す線材及び(5)〜(7)に示す鋼線の製造方法にある。
【0012】
(1)質量%で、C:0.8〜1.1%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0%、Al:0.0008%以下、Ti:0.0005%以下、N:0.005%以下、P:0.012%以下、S:0.01%以下及びO(酸素):0.0010%以下であり、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有する線材であって、そのL断面において、個々の初析セメンタイトの平均面積が0.3μm2 以下であるとともに、C断面において、200〜300μmの間隔でビッカース硬さを測定したときの隣接地点間の硬さの差が平均で15以下であることを特徴とする線材。
【0013】
(2)Feの一部に代えて、質量%で、Cr:0.6%以下を含有する上記(1)に記載の線材。
【0014】
(3)Feの一部に代えて、質量%で、B:0.005%以下を含有する上記(1)又は(2)に記載の線材。
【0015】
(4)各ダイスのアプローチ角度が7〜11°であるダイス群を用いて、各ダイスでの減面率が13〜30%で、且つ、全ダイスの80%以上におけるダイスでの各減面率が順次小さくなるパススケジュールで中間伸線加工することを特徴とする上記(1)から(3)までのいずれかに記載の線材を素材とする鋼線の製造方法。
【0016】
(5)上記(1)から(3)までのいずれかに記載の線材を冷間加工後に、最終熱処理、メッキ処理、湿式伸線加工をこの順に施す鋼線の製造方法。
【0017】
(6)線材の冷間加工方法が上記(4)に記載の中間伸線加工である上記(5)に記載の鋼線の製造方法。
【0018】
ここで、「線材」とは、「棒状に熱間圧延された鋼で、コイル状に巻かれた鋼材」を指し、いわゆる「バーインコイル」を含む。
【0019】
「L断面」とは、線材の長さ方向(圧延方向)に平行な切断面を、また、「C断面」とは、線材の長さ方向に垂直な切断面を指す。
【0020】
「初析セメンタイト」とは旧オーステナイト粒界に沿うセメンタイトのことを指す。また、「個々の初析セメンタイトの平均面積」は、前記「L断面」を被検面とし、走査型電子顕微鏡(以下、SEMという)などを用いて、任意の箇所を倍率3000倍で、1視野当たり1.1×10-3mm2 の面積で15視野撮影し、各視野において観察された個々の初析セメンタイトの面積を通常の画像解析法によって測定したものの平均をいう。なお、以下の説明においては、「個々の初析セメンタイトの平均面積」を単に「初析セメンタイトの平均面積」という。
【0021】
「C断面」における「隣接地点間のビッカース硬さの差」は、前述の「C断面」を被検面とし、200〜300μmの間隔、つまり、「隣り合うくぼみの中心間の距離」を200〜300μmとして、合計20組について1.961〜4.903Nの試験力でビッカース硬さを測定した場合の、各組における「ビッカース硬さの差」をいう。そして、「隣接地点間のビッカース硬さの差が平均で15以下」とは、上記20組の「隣接地点間のビッカース硬さの差」を算術平均した値が15以下であることをいう。
【0022】
また、「鋼線」とは、線材を冷間加工してコイル状に巻いたものをいう。
【0023】
「中間伸線加工」とは、「1次伸線加工」や「2次伸線加工」といった「最終湿式伸線加工」の前に行われる伸線加工をいう。
【0024】
「最終熱処理」とは、「最終湿式伸線加工」前に行われる「最終のパテンティング処理」を指す。
【0025】
線材を鋼線に加工するための「冷間加工」には、通常の穴ダイスを用いた伸線加工だけでなく、ローラダイスを用いた伸線加工、所謂「2ロール圧延機」、「3ロール圧延機」や「4ロール圧延機」を用いた冷間圧延加工を含む。
【0026】
また、「メッキ処理」は、ブラスメッキ、Cuメッキ、Niメッキなどのように、次の湿式伸線の過程における引き抜き抵抗の低減や、スチールコード用途の場合におけるようなゴムとの密着性を高めることなどを目的に施されるものをいう。
【0027】
以下、上記の(1)〜(6)に記載のものをそれぞれ(1)〜(6)の発明という。
【0028】
本発明者らは、線材の化学成分、ミクロ組織及び機械的性質が、伸線加工性に及ぼす影響について調査・研究を重ね、その結果、下記の知見を得た。
【0029】
(a)1次伸線加工、2次伸線加工といった、いわゆる「中間伸線加工」後の鋼線の断面をSEMなどを用いて観察すると、ボイドが生成している場合が多い。
【0030】
(b)上記のボイドの個数が多い場合、最終湿式伸線加工での断線発生頻度は高い。
【0031】
(c)ボイドは隣接する領域との変形能の差が大きいと生成しやすく、マトリックス(素地)であるパーライト組織の硬度差が大きい場合にボイドの生成が顕著になる。特に、線材は熱間での仕上げ圧延後に連続冷却されるため、たとえ隣接した領域であってもオーステナイトからパーライトに変態する温度がバラツキやすい。このため、圧延ままの線材はパテンティング材に較べて隣接した領域の硬度バラツキが大きくなる傾向があり、その後の伸線加工においてボイドが生成しやすい。更に、C、Mn、Crなどのミクロ偏析があると、その傾向が助長され、更にボイドが生成しやすくなる。そして、一旦ボイドが生成すると、消失させることは困難なため、それを起点とした断線が発生しやすい。
【0032】
(d)伸線加工中のボイドの生成は、鋼線中(したがって、素材となる線材中)に硬質の粒子があると助長される。そのため、断線発生頻度を低下させて伸線加工性を高めるには、アルミナ(Al23)などの酸化物系介在物、TiNや初析セメンタイトなど硬質の粒子を低減する必要がある。
【0033】
(e)硬質の粒子及び硬度が大幅に高い領域を低減することによって、最終湿式伸線加工での断線発生頻度を低下させることができるが、中間伸線加工で適正なダイスアプローチ角度のダイスを用いるとともに、各パスでの減面率を制御すれば、最終湿式伸線加工での断線発生頻度を一層低下させることができる。
【0034】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものである。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の各要件について詳しく説明する。なお、各元素の含有量の「%」表示は「質量%」を意味する。
【0036】
(A)化学組成
C:0.8〜1.1%
Cは、線材の強度を高めるのに有効な元素である。しかし、その含有量が0.8%未満の場合には、伸線加工性を向上させて最終湿式伸線加工での加工量を増加させても、例えばTS(引張強さ)で4200MPaといった高い強度を安定して最終製品に付与させることが困難である。一方、Cの含有量が多すぎると鋼材が硬質化して伸線加工性の低下を招く。特に、Cの含有量が1.1%を超えると、初析セメンタイトの生成を工業的に安定して抑制することが困難になって、伸線加工性が著しく低下する。したがって、Cの含有量を0.8〜1.1%とした。なお、高強度の最終製品を安定して得るためにはCの含有量を高めることが有効であり、最終製品に安定して4500MPa以上のTSを確保させるためには、Cを0.95%以上含有させることが好ましく、また、4600MPa以上のTSを安定して確保させるためには、Cの含有量を1.0%以上とすることが好ましい。
【0037】
Si:0.1〜1.0%
Siは、強度を高めるのに有効な元素である。更に、脱酸剤として必要な元素でもある。しかし、その含有量が0.1%未満では添加効果に乏しい。一方、1.0%を超えると伸線加工での限界加工度が低下する。したがって、Siの含有量を0.1〜1.0%とした。
【0038】
Mn:0.1〜1.0%
Mnは、強度を高める作用に加えて、鋼中のSをMnSとして固定して熱間脆性を防止する作用を有する。しかし、その含有量が0.1%未満では前記の効果が得難い。一方、Mnは偏析しやすい元素であり、1.0%を超えると特に線材の中心部に偏析し、その偏析部にはマルテンサイトやベイナイトが生成するので、伸線加工性が低下してしまう。したがって、Mnの含有量を0.1〜1.0%とした。
【0039】
本発明においては、Al、Ti、N、P、S及びO(酸素)の含有量を下記のとおりに制限する。これらの元素はいずれも不純物として含まれるものである。
【0040】
Al:0.0008%以下
Alは、Al23を主成分とする酸化物系介在物を形成する。この酸化物系介在物は硬質なため、中間伸線加工中にボイドが生成しやすくなり、生成したボイドが最終湿式伸線加工中の断線起点となって、伸線加工性が低下してしまう。特に、その含有量が0.0008%を超えると、最終湿式伸線加工中の断線が多発し、伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、Alの含有量を0.0008%以下とした。
【0041】
Ti:0.0005%以下
Tiは、Nと結合してTiNを形成する。このTiNは硬質なため、中間伸線加工中にTiN周辺にボイドが生成しやすく、最終湿式伸線加工中の断線起点となって、伸線加工性の低下を招く。特に、その含有量が0.0005%を超えると、最終湿式伸線加工中の断線が多発し、伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、Tiの含有量を0.0005%以下とした。
【0042】
N:0.005%以下
Nは、冷間での伸線加工中に転位に固着して鋼線の強度を上昇させる反面で、伸線加工性を低下させてしまう。特に、その含有量が0.005%を超えると伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、Nの含有量を0.005%以下とした。
【0043】
P:0.012%以下
Pは、粒界に偏析して伸線加工性を低下させてしまう。特に、その含有量が0.012%を超えると伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、Pの含有量を0.012%以下とした。
【0044】
S:0.01%以下
Sは、伸線加工性を低下させてしまう。特に、その含有量が0.01%を超えると伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、Sの含有量を0.01%以下とした。
【0045】
O(酸素):0.0010%以下
Oは、酸化物系介在物を形成しやすい。この酸化物系介在物は硬質なものが多いため、中間伸線加工中にボイドが生成しやすく、最終湿式伸線加工中の断線起点となって、伸線加工性の低下を招く。特に、その含有量が0.0010%を超えると、最終湿式伸線加工中の断線が多発し、伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、Oの含有量を0.0010%以下とした。より伸線加工性を向上させるためには、Oの含有量を0.0009%以下とすることが好ましい。
【0046】
前記(1)の発明に係る線材の化学組成は、上記のCからOまでの元素と、残部がFe及び不純物からなるものである。
【0047】
前記(2)の発明に係る線材の化学組成は、パーライトのラメラ間隔を小さくして最終製品の強度を一層高めることを目的として、上記(1)の発明の鋼のFeの一部に代えて、Cr:0.6%以下を含むものである。
【0048】
Cr:0.6%以下
Crは、添加すれば、パーライトのラメラ間隔を小さくして最終製品の強度を高める作用を有する。この効果を確実に得るには、Crは0.1%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、その含有量が0.6%を超えると、伸線加工性が低下する。したがって、Crを添加する場合には、その含有量は0.6%以下とするのがよい。Crのより好ましい含有量は0.1〜0.6%である。
【0049】
前記(3)の発明に係る線材の化学組成は、伸線加工性を一層高めることを目的として、上記(1)又は(2)の発明の鋼のFeの一部に代えて、B:0.005%以下を含むものである。
【0050】
B:0.005%以下
Bは、添加すれば、鋼中に固溶したNと結合してBNを形成し、固溶Nを低減して、伸線加工性を向上させる作用を有する。この効果を確実に得るには、Bは0.0003%以上の含有量とすることが好ましい。しかし、Bは偏析しやすい元素であり、多量に添加するとBの偏析が顕著になって、Bが偏析した部位の融点が下がるため、熱間加工性の低下をきたす。特に、Bの含有量が0.005%を超えると、熱間加工性の低下が著しくなって、熱間鍛造や熱間圧延で割れの発生が多くなる。したがって、Bを添加する場合には、その含有量は0.005%以下とするのがよい。Bのより好ましい含有量は0.0003〜0.005%である。
【0051】
なお、不純物元素としてのAl、Ti、N、P、S及びOの前記の含有量への低減は、多くの場合、(A−▲1▼)耐火物の溶損によって上記の元素が混入することのないような耐火物の徹底した管理、(A−▲2▼)製鋼原料の精選、なかでもTiの含有量が少ない製鋼原料の精選、(A−▲3▼)溶銑の低P・低S化及び溶銑予備処理での脱S・脱Pの十分な実施、及び、(A−▲4▼)溶鋼段階での介在物浮上と除去の徹底、によって行うことができる。
【0052】
(B)初析セメンタイトの平均面積
初析セメンタイトは硬質なため、その平均面積が大きい場合には、セメンタイトの周囲との変形能の差からボイドを形成して断線起点となりやすく、伸線加工性を低下させてしまう。特に、初析セメンタイトの平均面積が0.3μm2 を超えると、断線が生じて伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、初析セメンタイトの平均面積を0.3μm2 以下とした。
【0053】
以下、本発明者らが表1に示す鋼Eを用いて検討した結果を一例として、上記の初析セメンタイトの平均面積に関する規定について詳しく説明する。
【0054】
【表1】
Figure 0004016894
【0055】
先ず、表1に示す鋼Eを70トン転炉で溶製した。次いで、その鋼塊から通常の方法による熱間鍛造で140mm角のビレットを加工し、1250℃で8時間のソーキング(均熱処理)を施した。このソーキングを施したビレットを素材として、下記の条件で熱間圧延・冷却して直径が5.5mmの熱間圧延線材を得た。
【0056】
ビレット加熱温度:1250℃及び1050℃、
圧延仕上げ温度:900℃及び850℃、
圧延仕上げ温度から700℃までの平均冷却速度:40℃/秒、25℃/秒、15℃/秒、10℃/秒及び7℃/秒、
700℃から550℃までの平均冷却速度:5℃/秒。
【0057】
次いで、各条件で製造した熱間圧延線材について、そのL断面を鏡面研磨した後、ナイタールで腐食し、SEMを用いて、倍率3000倍で任意の箇所を15視野撮影し、各視野において観察された個々の初析セメンタイトの面積を通常の画像解析処理によって求め、これを平均して初析セメンタイトの平均面積を算出した。なお、1視野あたりの面積は1.1×10-3mm2 である。「初析セメンタイト」が旧オーステナイト粒界に沿うセメンタイトを指すことは既に述べたとおりである。
【0058】
また、各条件で製造した線材について、通常の方法で常温での引張強さ(TS)と絞り(RA)を測定した。
【0059】
一方、上記のようにして得た各熱間圧延線材を通常の方法で酸洗し、リン酸塩皮膜処理を施した後、各ダイスのアプローチ角度が9°であるダイス群を用いて、表2に示すパススケジュールで、各200kgについて、直径1.6mmまで乾式で伸線加工を行った。この際、2回断線したものについてはその時点で伸線作業を中止した。なお、直径で5.5mmから1.6mmまで伸線したときの真歪量は2.47である。このため、本発明の目標は、伸線開始時の直径が5.0mm以上の場合に、安定して真歪量で2.4以上の伸線加工ができることとした。
【0060】
ここで、真歪(ε)とは、伸線前の線材や鋼線の直径(d0 )と伸線後の鋼線の直径(d)を用いて下記の(i)式で表されるものである。
【0061】
ε=2loge(d0/d)・・・(i)。
【0062】
【表2】
Figure 0004016894
【0063】
次に、200kg、あるいはそれより少量であっても直径1.6mmまで伸線できた鋼線について、そのL断面を鏡面研磨した後、SEMを用いて、倍率2000倍で任意の箇所を総面積で1.0×10-2mm2 観察してボイドの数を計測した。
【0064】
また、直径1.6mmまで200kg伸線し、断線回数が1回以下であった鋼線については、流動層パテンティング装置を用いてパテンティング処理を行い、その後、各100kgについて、各ダイスのアプローチ角度が8°であるダイス群を用いて、各ダイスでの減面率が15〜17%となるパススケジュールで、直径0.20mmまで湿式伸線加工を行った。この際、2回断線したものについてはその時点で伸線作業を中止した。なお、直径で1.6mmから0.20mmまで伸線したときの真歪量は4.16である。このため、本発明の目標は、伸線開始時の直径が2.0mm以下の場合に、安定して真歪量で4.1以上の伸線加工ができることとした。
【0065】
なお、パテンティング処理した直径1.6mmの鋼線については、通常の方法で常温での引張強さ(TS)と絞り(RA)を測定し、直径1.6mmから0.20mmまで100kg伸線して、断線回数が1回以下であった直径0.20mmの鋼線については、通常の方法で常温での引張強さ(TS)を測定した。
【0066】
以上の試験条件及び試験結果を表3に整理して示す。
【0067】
また、図1に、直径5.5mmの線材において観察された初析セメンタイトの平均面積と直径1.6mmの鋼線におけるボイド数との関係を整理して示す。図1から、初析セメンタイトの平均面積が大きくなるほどボイドの個数が増えることがわかる。
【0068】
図2に、直径5.5mmの線材において観察された初析セメンタイトの平均面積と直径1.6mmから0.20mmまで湿式伸線したときの断線回数との関係を整理して示す。図2から、初析セメンタイトの平均面積が0.3μm2 を超えると断線が2回生じていることがわかる。また、図1及び図2から、ボイドの生成を抑制すれば伸線加工性が向上することがわかる。
【0069】
また、後述する(B−▲1▼)〜(B−▲3▼)に記載の方法により、初析セメンタイトの平均面積を0.3μm2 以下となるように製造した場合、単独で伸線性に影響する(断線起点となる)ような大きな初析セメンタイトは見つからなかった。そのため、初析セメンタイトは平均面積で評価することとした。
【0070】
【表3】
Figure 0004016894
【0071】
なお、初析セメンタイトの大きさ、つまり初析セメンタイトの平均面積は、鋼の化学組成、特に、Cの含有量に影響され、また、熱間で線材に加工する際の加熱温度、加工温度及び冷却速度にも影響されるものではあるが、多くの場合、
(B−▲1▼)鋼のC含有量が1.0〜1.1%の場合には、ビレットの段階で1200〜1250℃で6時間以上のソーキングを行い、且つ、熱間圧延における加熱温度を1250〜1150℃、圧延仕上げ温度を950〜850℃とし、更に、圧延仕上げ温度から700℃までの平均冷却速度を15℃/秒以上として線材に加工すること、
(B−▲2▼)鋼のC含有量が0.9%以上1.0%未満の場合には、ビレットの段階で1200〜1250℃で6時間以上のソーキングを行い、且つ、熱間圧延における加熱温度を1250〜1050℃、圧延仕上げ温度を950〜800℃とし、更に、圧延仕上げ温度から700℃までの平均冷却速度を12℃/秒以上として線材に加工すること、
(B−▲3▼)鋼のC含有量が0.8%以上0.9%未満の場合には、ビレットの段階で1200〜1250℃で6時間以上のソーキングを行い、且つ、熱間圧延における加熱温度を1250〜1050℃、圧延仕上げ温度を950〜800℃とし、更に、圧延仕上げ温度から700℃までの平均冷却速度を10℃/秒以上として線材に加工すること、
によって、初析セメンタイトの平均面積を規定の0.3μm2 以下にすることができる。
【0072】
(C)線材のビッカース硬さ試験
熱間圧延した線材の隣接した領域に大きな硬度差がある場合には、その変形能の差からボイドを形成して断線起点となりやすく、伸線加工性を低下させてしまう。特に、前記した「隣り合うくぼみの中心間の距離」及び「試験力」でビッカース硬さを測定した場合の隣接地点間の硬さの差が平均で15を超えると、断線が多発し、伸線加工性の低下が著しくなる。したがって、本発明においては、前述の条件でビッカース硬さを測定した場合の隣接地点間の硬さの差を平均で15以下とした。
【0073】
以下、本発明者らが前記の表1に示す鋼Eを用いて検討した結果を一例として、隣接地点間のビッカース硬さの差の平均に関する規定について詳しく説明する。
【0074】
すなわち、表1に示す鋼Eを70トン転炉で溶製し、次いで、その鋼塊から通常の方法による熱間鍛造で140mm角のビレットを加工し、1250℃で8時間のソーキングを施した。このソーキングを施したビレットを素材として、次の条件で熱間圧延・冷却して直径が5.5mmの熱間圧延線材を得た。
【0075】
ビレット加熱温度:1250℃及び1050℃、
圧延仕上げ温度:900℃、850℃及び820℃、
圧延仕上げ温度から700℃までの平均冷却速度:40℃/秒、
700℃から550℃までの平均冷却速度:15℃/秒、10℃/秒及び5℃/秒。
【0076】
次いで、各条件で製造した熱間圧延線材について、そのC断面を鏡面研磨した後、任意の位置で、2.942Nの試験力で、くぼみの中心間の距離が250μmになるように2点のビッカース硬さを測定した。このような2点の測定を1組として、計20組のビッカース硬さ測定を行い、各組のビッカース硬さの差を算術平均して隣接地点間のビッカース硬さの差の平均を求めた。なお、脱炭層の影響を除くため、表層から500μmの範囲は測定しなかった。また、通常の方法で常温での引張強さ(TS)と絞り(RA)を測定した。
【0077】
一方、上記のようにして得た各熱間圧延線材を通常の方法で酸洗し、リン酸塩皮膜処理を施した後、各ダイスのアプローチ角度が9°であるダイス群を用いて、前記表2に示すパススケジュールで、各200kgについて、直径1.6mmまで乾式で伸線加工を行った。この際、2回断線したものについてはその時点で伸線作業を中止した。
【0078】
次に、200kg、あるいはそれより少量であっても直径1.6mmまで伸線できた鋼線について、そのL断面を鏡面研磨した後、SEMを用いて、倍率2000倍で任意の箇所を総面積で1.0×10-2(mm2 )観察してボイドの数を計測した。
【0079】
また、直径1.6mmまで200kg伸線して断線回数が1回以下であった鋼線については、流動層パテンティング装置を用いてパテンティング処理を行い、その後、各100kgについて、各ダイスのアプローチ角度が8°であるダイス群を用いて、各ダイスでの減面率が15〜17%となるパススケジュールで、直径0.20mmまで湿式伸線加工を行った。この際、2回断線したものについてはその時点で伸線作業を中止した。
【0080】
なお、パテンティング処理した直径1.6mmの鋼線については、通常の方法で常温での引張強さ(TS)と絞り(RA)を測定し、直径1.6mmから0.20mmまで100kg伸線して、断線回数が1回以下であった直径0.20mmの鋼線については、通常の方法で常温での引張強さ(TS)を測定した。
【0081】
以上の試験条件及び試験結果を表4に整理して示す。なお、表4では、20組の隣接地点間の硬さの差を算術平均して求めた値を、「ビッカース硬さ試験における平均硬度差」として示した。
【0082】
図3に、直径5.5mmの線材における隣接地点間の硬さの差の平均と直径1.6mmの鋼線におけるボイド数との関係を整理して示す。なお、図3では、前記20組の隣接地点間の硬さの差を算術平均して求めた値を、「平均硬度差」として示した。図3から、隣接地点間のビッカース硬さの差の平均が大きくなると、ボイドの個数が増えることがわかる。
【0083】
図4に、直径5.5mmの線材における隣接地点間の硬さの差の平均と直径1.6mmから0.20mmまで湿式伸線したときの断線回数との関係を整理して示す。なお、図4でも、前記20組の隣接地点間の硬さの差を算術平均して求めた値を、「平均硬度差」と表記した。図4から、隣接地点間のビッカース硬さの差が平均で15を超えると断線が2回生じていることがわかる。また、図3及び図4から、ボイドの生成を抑制すれば伸線加工性が向上することがわかる。
【0084】
また、後述する(C−▲1▼)〜(C−▲3▼)に記載の方法により、隣接地間のビッカース硬さの差の平均を15以下となるようにして製造した場合、個々のビッカース硬さの差は高々40程度であり、単独で伸線性に影響するほどの部分は見られなかった。そのため、隣接地間のビッカース硬さの差の平均値で評価することとした。
【0085】
なお、(A)項で述べた化学組成を有する線材の場合、そのマトリックスであるパーライト組織のビッカース硬さはおよそ300〜500の範囲である。この場合、試験力を1.961N以上とすれば、ビッカース硬さを精度良く測定するための好ましい「くぼみの対角線長さ」である25μm以上の値を確保することができる。一方、試験力が4.903Nを超えると、くぼみが大きくなりすぎて、隣接した領域のビッカース硬さを評価することが難しくなる。
【0086】
また、隣り合うくぼみの中心間の距離を200〜300μmとすれば、「くぼみの中心間の距離」を「くぼみの対角線長さの3倍以上」とするJIS Z 2244(1998)の規定を満足できるし、隣接地点間の硬さの差、したがって、その平均の値も容易に評価できる。
【0087】
【表4】
Figure 0004016894
【0088】
なお、熱間圧延線材のC断面における硬さ分布は、鋼の化学組成に影響されるし、熱間で線材に加工する際の加熱温度、加工温度及び冷却速度にも影響されるものではあるが、多くの場合、
(C−▲1▼)鋼のMn、Cr及びSiの含有量が、Mn(%)+Cr(%)+0.5×Si(%)で1.0〜1.3%以上を満たす場合には、ビレットの段階で1200〜1250℃で6時間以上のソーキングを行い、且つ、熱間圧延における圧延仕上げ温度を950〜850℃とし、更に、700℃から550℃までの平均冷却速度を7℃/秒以下として線材に加工すること、
(C−▲2▼)鋼のMn、Cr及びSiの含有量が、Mn(%)+Cr(%)+0.5×Si(%)で0.7%以上1.0%未満の場合には、ビレットの段階で1200〜1250℃で6時間以上のソーキングを行い、且つ、熱間圧延における圧延仕上げ温度を850〜800℃とし、更に、700℃から550℃までの平均冷却速度を10℃/秒以下として線材に加工すること、
(C−▲3▼)鋼のMn、Cr及びSiの含有量が、Mn(%)+Cr(%)+0.5×Si(%)で0.4%以上0.7%未満の場合には、ビレットの段階で1200〜1250℃で6時間以上のソーキングを行い、且つ、熱間圧延における圧延仕上げ温度を900〜800℃とし、更に、700℃から550℃までの平均冷却速度を15℃/秒以下として線材に加工すること、
によって、前述の「隣り合うくぼみの中心間の距離」及び「試験力」でビッカース硬さを測定した場合の、隣接地点間の硬さの差の平均を15以下にすることができる。
【0089】
なお熱間圧延線材の引張試験における絞り(RA)が高い方が、伸線加工性が良好であるため、RAが30%以上であることが好ましく、RAが30%以上の線材は、例えば、熱間圧延における圧延仕上げ温度を850〜800℃とし、更に700℃までの平均冷却速度を20℃/秒以上、700℃から500℃までの平均冷却速度を10〜5℃/秒とすることで容易に得られる。
【0090】
(D)鋼線の製造方法
これまで述べてきたように、中間伸線加工の際にボイドの生成を抑制することが最終湿式伸線加工での断線防止に有効である。このボイドの生成には伸線加工条件も影響を及ぼし、各ダイスのアプローチ角度が7〜11°であるダイス群を用いて、各ダイスでの減面率が13〜30%で、且つ、全ダイスの80%以上におけるダイスでの各減面率が順次小さくなるパススケジュールで中間伸線加工することによって、ボイドの生成を抑制することができて断線が生じ難くなり、伸線加工性が向上する。したがって、(4)の発明においては、(1)から(3)までのいずれかの発明の線材を鋼線にするに際して、各ダイスのアプローチ角度が7〜11°であるダイス群を用いて、各ダイスでの減面率が13〜30%で、且つ、全ダイスの80%以上におけるダイスでの各減面率が順次小さくなるパススケジュールで中間伸線加工することとした。
【0091】
以下、本発明者らが前記の表1に示す鋼Eを用いて検討した結果を一例として、中間伸線加工を行う際の各ダイスの「アプローチ角度」及び各ダイスでの「減面率」に関する規定について詳しく説明する。
【0092】
すなわち、表1に示す鋼Eを70トン転炉で溶製し、次いで、その鋼塊から通常の方法による熱間鍛造で140mm角のビレットを加工し、1250℃で8時間のソーキングを施した。このソーキングを施したビレットを素材として、次の条件で熱間圧延・冷却して直径が5.5mmの熱間圧延線材を得た。
【0093】
ビレット加熱温度:1250℃、
圧延仕上げ温度:900℃、
圧延仕上げ温度から700℃までの平均冷却速度:40℃/秒、
700℃から550℃までの平均冷却速度:5℃/秒。
【0094】
上記のようにして得た熱間圧延線材について、通常の方法で常温での引張強さ(TS)と絞り(RA)を測定した。
【0095】
更に、上記のようにして得た熱間圧延線材を通常の方法で酸洗し、リン酸塩皮膜処理を施した後、各ダイスのアプローチ角度が9°であるダイス群を用いて、表5のA〜Eに示すパススケジュールで、また、各ダイスのアプローチ角度がそれぞれ6°、7°、11°及び13°であるダイス群を用いて、表5のAに示すパススケジュールで、各200kgについて、直径1.6mmまで乾式で伸線加工を行った。この際、2回断線するものはなかった。
【0096】
なお、表5のA〜Eのパススケジュールにおける減面率の変化を分かりやすくするため、図5に各パスにおける減面率の関係を示した。
【0097】
【表5】
Figure 0004016894
【0098】
直径1.6mmまで伸線した鋼線は、次に、流動層パテンティング装置を用いてパテンティング処理を行い、その後、各100kgについて、各ダイスのアプローチ角度が8°であるダイス群を用いて、各ダイスでの減面率が15〜17%となるパススケジュールで、直径0.20mmまで湿式伸線加工を行った。この際にも2回断線するものはなかった。
【0099】
なお、パテンティング処理した直径1.6mmの鋼線については、通常の方法で常温での引張強さ(TS)と絞り(RA)を測定し、直径0.20mmの鋼線については、通常の方法で常温での引張強さ(TS)を測定した。
【0100】
以上の各試験結果を伸線条件とともに表6に整理して示す。
【0101】
図6及び図7にそれぞれ、各ダイスのアプローチ角度が9°であるダイス群を用いて直径1.6mmまで中間伸線加工した場合の、伸線条件と直径1.6mmの鋼線におけるボイド数との関係及び、伸線条件と直径1.6mmから0.20mmまで湿式伸線したときの断線回数との関係を整理して示す。
【0102】
また、図8及び図9にそれぞれ、各ダイスのアプローチ角度がそれぞれ6°、7°、9°、11°及び13°であるダイス群を用いて、表5のAに示すパススケジュールで直径1.6mmまで中間伸線加工した場合の、ダイスアプローチ角度とボイド数との関係及び、ダイスアプローチ角度と直径1.6mmから0.20mmまで湿式伸線したときの断線回数との関係を整理して示す。
【0103】
表6及び図6〜9から、最終湿式伸線加工での伸線加工性は、各ダイスのアプローチ角度が7〜11°、各ダイスでの減面率が30%以下で、しかも、全ダイスの80%以上におけるダイスでの各減面率が順次小さくなるパススケジュールの場合に良好であることがわかる。なお、各ダイスでの減面率が13%を下回ると、ダイスの数(つまり、パス数)を増やす必要があるため、生産効率の低下が顕著になる。このため、各ダイスの減面率の下限は13%とするのがよい。
【0104】
【表6】
Figure 0004016894
【0105】
スチールコード用やソーイングワイヤ用の極細鋼線は、(5)の発明の方法で製造するのがよい。つまり、極細鋼線は、(1)から(3)までのいずれかの発明に係る線材(すなわち、(A)項で述べた化学組成、(B)項で述べた初析セメンタイトの平均面積及び(C)項に記した隣接地点間のビッカース硬さの差の平均を有する線材)に、穴ダイスを用いた伸線加工、ローラダイスを用いた伸線加工、いわゆる「2ロール圧延機」、「3ロール圧延機」や「4ロール圧延機」を用いた冷間圧延加工など通常の冷間加工を施した後、更に、通常の方法で、最終熱処理、めっき処理及び湿式伸線を施して製造することが好ましい。
【0106】
なお、(6)の発明の方法で極細鋼線を製造することで、一層良好な伸線加工性が得られる。
【0107】
上記のようにして得られた極細鋼線は、この後更に、所定の最終製品へと加工される。例えば、極細鋼線を更に撚り加工で複数本撚り合わせて撚鋼線とすることでスチールコードが成形される。
【0108】
以下、実施例により本発明を詳しく説明する。
【0109】
【実施例】
表7に示す化学組成を有する鋼A〜Rを70トン転炉で溶製した。表7における鋼B、鋼C、鋼E、鋼K〜M及び鋼Pは、化学組成が本発明で規定する含有量の範囲内にある本発明例である。一方、表7における鋼A、鋼D、鋼F〜J、鋼N、鋼O、鋼Q及び鋼Rは、成分のいずれかが本発明で規定する含有量の範囲から外れた比較例である。
【0110】
【表7】
Figure 0004016894
【0111】
次いで、これらの鋼を通常の方法で熱間鍛造して140mm角のビレットとし、1250℃で8時間のソーキングを施した。このソーキングを施したビレットを素材として、次の条件で熱間圧延・冷却して直径が5.5mmの熱間圧延線材を得た。
【0112】
ビレット加熱温度:1050〜1250℃、
圧延仕上げ温度:820〜900℃、
圧延仕上げ温度から700℃までの平均冷却速度:10〜40℃/秒、
700℃から550℃までの平均冷却速度:5〜15℃/秒。
【0113】
なお、鋼Qは熱間加工性が不足し、線材表面に多数の割れが発生した。
【0114】
次いで、線材表面に多数の割れが発生した鋼Qを除いて、各条件で製造した熱間圧延線材について、次の各試験を実施した。
【0115】
すなわち、上述の各線材について、L断面を鏡面研磨した後、ナイタールで腐食し、SEMを用いて、倍率3000倍で任意の箇所を15視野撮影し、各視野において観察された個々の初析セメンタイトの面積を通常の画像解析処理によって求め、これを平均して初析セメンタイトの平均面積を算出した。なお、既に述べたように、1視野あたりの面積は1.1×10-3mm2 である。
【0116】
更に、C断面を鏡面研磨した後、任意の位置で、2.942Nの試験力で、くぼみの中心間の距離が250μmになるように2点のビッカース硬さを測定し、このような2点の測定を1組として、計20組のビッカース硬さ測定を行い、各組のビッカース硬さの差を算術平均して隣接地点間のビッカース硬さの差の平均を求めた。なお、脱炭層の影響を除くため、表層から500μmの範囲は測定しなかった。
【0117】
また、引張試験数を各3として、通常の方法で常温での引張試験を行い、引張強さ(TS)と絞り(RA)を測定した。
【0118】
表8及び表9に、線材の製造条件及び線材に関する上記の各試験結果を整理して示す。なお、表8では、20組の隣接地点間の硬さの差を算術平均して求めた値を、「ビッカース硬さ試験における平均硬度差」として示した。
【0119】
【表8】
Figure 0004016894
【0120】
【表9】
Figure 0004016894
【0121】
次いで、鋼Qを素材とするものを除いた各線材を、通常の方法で酸洗し、リン酸塩皮膜処理を施した後、ダイスのアプローチ角度及びパススケジュールを種々変えて、各200kgについて、直径1.6mmまで乾式で伸線加工を行った。この際、2回断線したものについてはその時点で伸線作業を中止した。
【0122】
次に、200kg、あるいはそれより少量であっても直径1.6mmまで伸線できた鋼線について、そのL断面を鏡面研磨した後、SEMを用いて、倍率2000倍で任意の箇所を総面積で1.0×10-2mm2 観察してボイドの数を計測した。
【0123】
次いで、直径1.6mmまで200kg伸線して、断線回数が1回以下であった鋼線については、流動層パテンティング装置を用いてパテンティング処理を行い、その後、各100kgについて、各ダイスのアプローチ角度が8°であるダイス群を用いて、各ダイスでの減面率が15〜17%となるパススケジュールで、直径0.20mmまで湿式伸線加工を行った。この際、2回断線したものについてはその時点で伸線作業を中止した。
【0124】
なお、パテンティング処理した直径1.6mmの鋼線については、引張試験数を各3として、通常の方法で常温での引張試験を行い、引張強さ(TS)と絞り(RA)を測定した。また、直径1.6mmから0.20mmまで100kg伸線して、断線回数が1回以下であった直径0.20mmの鋼線については、引張試験数を各3として、通常の方法で常温での引張試験を行い、引張強さ(TS)を測定した。
【0125】
直径5.5mmの線材を1.6mmまで中間伸線加工した条件及び、上記の各試験結果を、表8及び表9に併せて示した。
【0126】
なお、スチールコードやソーイングワイヤなどの用途に好適な鋼線としての直径0.20mmにおける鋼線の引張強さ(TS)の目標は4200MPa以上とし、4200MPaに達しない場合、引張強さが不足と判断した。スチールコードやソーイングワイヤなどの用途に好適な直径0.20mmの鋼線のより望ましい引張強さは4500MPa以上である。
【0127】
表8及び表9から明らかなように、(1)から(3)までのいずれかの発明で規定する条件から外れた試験番号の場合には、直径5.5mmから1.6mmまで中間伸線した際に2回断線するか、又は、直径1.6mmから0.20mmまで最終伸線した際に2回断線して、伸線加工性に劣っている、若しくは、直径0.20mmの鋼線の引張強さが4200MPaに達しておらず、引張強さが低いのいずれかである。
【0128】
これに対して、(1)から(3)までのいずれかの発明で規定する条件を満たす試験番号の場合には、良好な伸線加工性を有しており、しかも、直径0.20mmの鋼線の引張強さは4200MPaで、引張強さも高いことが明らかである。
【0129】
更に、同じ熱間圧延材を用いて、中間伸線加工の条件のみ異なる試験番号23〜31の結果から、(4)の発明の方法で中間伸線加工した鋼線を最終湿式伸線加工した際の伸線加工性は、極めて良好であることがわかる。
【0130】
【発明の効果】
本発明の線材は伸線加工性などの冷間加工性に優れるので、この線材を素材としてスチールコードやソーイングワイヤなどを高い生産性の下に歩留まり良く提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】直径5.5mmの線材において観察された初析セメンタイトの平均面積と直径1.6mmの鋼線におけるボイド数との関係を示す図である。
【図2】直径5.5mmの線材において観察された初析セメンタイトの平均面積と直径1.6mmから0.20mmまで湿式伸線したときの断線回数との関係を示す図である。
【図3】試験力2.942N、くぼみの中心間の距離250μmでビッカース硬さを測定した場合の、直径5.5mmの線材における隣接地点間の硬さの差の平均(平均硬度差)と直径1.6mmの鋼線におけるボイド数との関係を示す図である。
【図4】試験力2.942N、くぼみの中心間の距離250μmでビッカース硬さを測定した場合の、直径5.5mmの線材における隣接地点間の硬さの差の平均(平均硬度差)と直径1.6mmから0.20mmまで湿式伸線したときの断線回数との関係を示す図である。
【図5】直径5.5mmから直径1.6mmまで伸線する表5に記載のA〜Eのパススケジュールにおける減面率の変化を示す図である。
【図6】直径5.5mmの線材を表5に記載のA〜Eのパススケジュールで直径1.6mmまで伸線したときの伸線条件(パススケジュール)と直径1.6mmの鋼線におけるボイド数との関係を示す図である。
【図7】直径5.5mmの線材を表5に記載のA〜Eのパススケジュールで直径1.6mmまで伸線したときの伸線条件(パススケジュール)と直径1.6mmから0.20mmまで湿式伸線したときの断線回数との関係を示す図である。
【図8】直径5.5mmの線材を表5に記載のAのパススケジュールで直径1.6mmまで伸線したときのダイスのアプローチ角度と直径1.6mmの鋼線におけるボイド数との関係を示す図である。
【図9】直径5.5mmの線材を表5に記載のAのパススケジュールで直径1.6mmまで伸線したときのダイスのアプローチ角度と直径1.6mmから0.20mmまで湿式伸線したときの断線回数との関係を示す図である。

Claims (6)

  1. 質量%で、C:0.8〜1.1%、Si:0.1〜1.0%、Mn:0.1〜1.0%、Al:0.0008%以下、Ti:0.0005%以下、N:0.005%以下、P:0.012%以下、S:0.01%以下及びO(酸素):0.0010%以下であり、残部はFe及び不純物からなる化学組成を有する鋼線材であって、そのL断面において、個々の初析セメンタイトの平均面積が0.3μm2 以下であるとともに、C断面において、200〜300μmの間隔でビッカース硬さを測定したときの隣接地点間の硬さの差が平均で15以下であることを特徴とする鋼線材。
  2. Feの一部に代えて、質量%で、Cr:0.6%以下を含有する請求項1に記載の鋼線材。
  3. Feの一部に代えて、質量%で、B:0.005%以下を含有する請求項1又は2に記載の鋼線材。
  4. 各ダイスのアプローチ角度が7〜11°であるダイス群を用いて、各ダイスでの減面率が13〜30%で、且つ、全ダイスの80%以上におけるダイスでの各減面率が順次小さくなるパススケジュールで中間伸線加工することを特徴とする請求項1から3までのいずれかに記載の鋼線材を素材とする鋼線の製造方法。
  5. 請求項1から3までのいずれかに記載の鋼線材を冷間加工後に、最終熱処理、メッキ処理、湿式伸線加工をこの順に施す鋼線の製造方法。
  6. 鋼線材の冷間加工方法が請求項4に記載の中間伸線加工である請求項5に記載の鋼線の製造方法。
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