JP2017062427A - 光走査装置、光学モジュール、照明装置及び投射装置 - Google Patents

光走査装置、光学モジュール、照明装置及び投射装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低コストで、かつ耐久性および信頼性に優れ、さらに設計自由度が高いことで、照射する光の照射範囲及び出力を柔軟に設定することができる光走査装置を提供する。【解決手段】実施の形態に係る光走査装置1は、回転軸71を回転駆動する駆動部72と、回転軸71に設けられた反射面74を有する反射部材73とを備える。反射面74に、回転軸71の軸方向に沿って隆起し、回転軸71の中心軸線から径方向の外側に離れた点を中心として当該点を取り囲む複数の周状隆起部81A,81Bが形成される。周状隆起部81A,81Bは、放射状に並び且つ互いに交差しない状態に配置され、回転軸71の径方向に沿う基準面に対して凸となる凸状反射部74Aと、凹となる凹状反射部74Bとを形成する。凹状反射部74Bと当該凹状反射部74Bの両側に隣接する凸状反射部74Aとは、周状隆起部が隆起する方向に向けて拡がるように接続される。【選択図】図3

Description

本発明は、照射した光が所望領域上を走査するように当該光の進行方向を変化させる光走査装置、それを備える光学モジュール、照明装置及び投射装置に関する。
例えばレーザー光源を利用する投射装置では、レーザー光によって特有に生じるスペックルノイズが画質を低下させる場合がある。スペックルノイズを目立たなくさせるためには、偏光、位相、角度および時間などのパラメータを多重化し、スペックルのモードを増やすことが有効である。
これを実現する装置として、例えば特許文献1には、光拡散素子上をレーザー光が走査するように当該レーザー光の進行方向を変化させる光走査装置を有する照明装置および投射装置が開示されている。この特許文献1において、照明装置は光拡散素子からの出射光を照明光として利用し、投射装置は光拡散素子からの出射光に基づき投射する画像を形成する。
特開2012−123381号公報
ところで、走査のためにレーザー光の進行方向を変化させるための手段として、ガルバノスキャナやMEMSスキャナ等が従来から知られている。
しかしながら、ガルバノスキャナは、大きな角度範囲での走査には適しているが、小さな角度範囲での走査には向いていない。また、ガルバノスキャナは、機構部材への負荷が大きいため、製品寿命が短いという問題がある。逆に、MEMSスキャナは、サイズが小さくミラー部分を大型化することが困難である。そのため、ビーム径の大きい光源からのレーザー光や高出力のレーザー光の進行方向を変化させるのには向いていない。
本発明は、上記実情を考慮してなされたものであり、低コストで、かつ耐久性および信頼性に優れ、さらに設計自由度が高いことで、照射する光の照射範囲及び出力を柔軟に設定することができる光走査装置、並びにこの光走査装置を備えた光学モジュール、照明装置及び投射装置を提供することを目的とする。
本発明は、回転軸を回転駆動する駆動部と、前記回転軸に設けられ、照射された光を反射させる反射面を有する反射部材と、を備え、前記反射面には、前記回転軸の軸方向に沿って隆起し、前記回転軸の軸方向視で、前記回転軸の中心軸線から径方向の外側に離れた点を中心として当該点を取り囲む複数の周状隆起部が形成され、複数の前記周状隆起部は、放射状に並び且つ互いに交差しない状態に配置され、複数の前記周状隆起部は、前記回転軸の径方向に沿う基準面に対して凸となる凸状反射部と、前記基準面に対して凹となる凹状反射部とを形成し、複数の前記周状隆起部のうちの最も内側に位置する前記周状隆起部の中心を通り且つ前記回転軸の軸方向に沿う断面視で、前記凹状反射部と当該凹状反射部の両側に隣接する前記凸状反射部とが、前記周状隆起部の各々が隆起する方向に向けて拡がるように接続されている、光走査装置、である。
本発明による光走査装置において、複数の前記周状隆起部の各中心は、同一の位置に位置付けられていてもよい。
本発明による光走査装置において、複数の前記周状隆起部の各々は円形又は円弧であり、同心円状に並んでいてもよい。
本発明による光走査装置において、複数の前記周状隆起部は、等間隔に並んでいてもよい。
本発明による光走査装置においては、複数の前記周状隆起部のうちの最も内側に位置する前記周状隆起部の中心を通り且つ前記回転軸の軸方向に沿う断面視で、前記凸状反射部の側面と前記凹状反射部の側面とが滑らかに連続して接続されていてもよい。
本発明による光走査装置においては、前記凸状反射部の側面と前記凹状反射部の側面とが曲線状をなすように接続されていてもよい。
また、本発明は、前記光走査装置と、前記光走査装置で反射されたコヒーレント光を所定の領域内の全域に対して拡散可能な光学素子と、を備える光学モジュール、である。
また、本発明は、各位置に入射されたコヒーレント光を、所定の領域内の全域に対して拡散可能な光学素子と、コヒーレント光が前記光学素子の表面を走査するように、前記光学素子に前記コヒーレント光を照射する照射装置と、を備える照明装置であって、前記照射装置は、コヒーレント光を発光する光源と、前記光源にて発光された前記コヒーレント光が前記光学素子の表面上を走査するように当該コヒーレント光の進行方向を変化させる前記光走査装置と、を備える、照明装置、である。
また、本発明は、前記照明装置と、前記所定の領域と重なる位置に配置され、前記照明装置によって照明されて、光変調画像を生成する空間光変調器と、前記光変調画像を投射部材上に投射する投射光学系と、を備える、投射装置、である。
本発明によれば、低コストで、かつ耐久性および信頼性に優れ、さらに設計自由度が高いことで、照射する光の照射範囲及び出力を柔軟に設定することができる光走査装置、並びにこの光走査装置を備えた光学モジュール、照明装置及び投射装置を提供できる。
本発明の一実施の形態による投写型映像表示装置の概略構成を示す図である。 図1の投写型映像表示装置に設けられる光走査装置の側面図である。 図2の光走査装置の正面図である。 図3のIVA−IVA線に沿う断面図である。 図3のIVB−IVB線に沿う断面図である。 (A)は、反射面の所定位置に光を照射された図2の光走査装置の正面図であり、(B)は、(A)のVB−VB線に沿う断面図であり、(C)は、(A)のVC−VC線に沿う断面図である。 (A)は、図5に示す状態から光走査装置を駆動して反射する光の進行方向を変化させる様子を説明する光走査装置の正面図であり、(B)は、(A)のVIB−VIB線に沿う断面図であり、(C)は、(A)のVIC−VIC線に沿う断面図である。 図5に示す状態から光走査装置を駆動して反射する光の進行方向を変化させる様子を説明する光走査装置の側面図である。 図5に示す状態から光走査装置を駆動して進行方向を変化された光を光学素子上で走査させる様子を示した図である。 図1の投写型映像表示装置に設けられる光学素子、空間光変調器及び投射光学系の概略構成を示す図である。 (A)は、図5とは異なる位置に光を照射された光走査装置の正面図であり、(B)は、(A)に示す位置で反射される光が光学素子を走査する様子を示した図である。 (A)は、図5及び図10(A)とは異なる位置に光を照射された光走査装置の正面図であり、(B)は、(A)に示す位置で反射される光が光学素子を走査する様子を示した図である。 (A)は、反射面の広範囲に面で光を照射された図2の光走査装置の側面図であり、(B)は、(A)に示す光走査装置の正面図である。 (A)は、反射面の広範囲における複数の位置で光を照射された図2の光走査装置の側面図であり、(B)は、(A)に示す光走査装置の正面図である。 (A)は、変形例にかかる光走査装置の側面図であって、反射面の広範囲における複数の位置で光を照射された光走査装置を示す図であり、(B)は、(A)に示す変形例にかかる光走査装置の正面図であり、(C)は、(B)とは異なる照射態様で光を照射された変形例にかかる光走査装置の正面図である。 (A)は、他の変形例にかかる光走査装置の側面図であって、反射面の広範囲における複数の位置で光を照射された光走査装置を示す図であり、(B)は、(A)に示す変形例にかかる光走査装置の正面図である。
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
また、本件明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1は本発明の一実施の形態による投写型映像表示装置10の概略構成を示す図である。
図1に示す投射型映像表示装置10は、スクリーン15と、映像光を投射する投射装置20と、を有している。投射装置20は、仮想面上に位置する被照明領域LZを照明する照明装置40と、被照明領域LZと重なる位置に配置され照明装置40によって照明される空間光変調器30と、空間光変調器30からのコヒーレント光をスクリーン15に投射する投射光学系25と、を有している。すなわち、本実施の形態による照明装置40は、空間光変調器30を照明するための照明装置として、投射装置20に組み込まれている。照明装置40は、コヒーレント光によって被照明領域LZを照明し、且つ、照明装置40には、スペックルを目立たなくさせる工夫がなされている。
なお、本実施の形態において、コヒーレント光とは、一般的にコヒーレントな光として見做される光のことを意味する。本実施の形態における照明装置40は後述するようにレーザー光源62を有するが、本実施の形態では、レーザー光源62から照射されるレーザー光をコヒーレント光として扱うものとする。
以下、投写型映像表示装置10の各構成について説明する。まず、照明装置40について説明する。図1に示すように、照明装置40は、光の進行方向を被照明領域LZへ向ける光学素子50と、光学素子50にコヒーレント光を照射する照射装置60と、を有している。照射装置60は、コヒーレント光を光学素子50上で走査させる。したがって、ある瞬間に、照射装置60によってコヒーレント光を照射されている光学素子50上の領域は、光学素子50の表面の一部分となる。
照射装置60は、特定波長帯域のコヒーレント光を射出する光源装置61と、光源装置61からの光の進行方向を光学素子50に向ける光走査装置70と、を有している。光源装置61は、コヒーレント光を生成する光源62、例えばレーザー光源62を有している。光走査装置70は、平行光束をなす光線の光路をたどるようにして、光源装置61の光源62で生成されたコヒーレント光を反射させて光学素子50へ照射するようになっている。
光走査装置70は、回転軸71を有し当該回転軸71を回転駆動する駆動部72と、回転軸71に設けられ、回転軸71の径方向に沿って延びて照射された光を反射させる反射面74を有する反射部材73と、駆動部72に接続された制御器75と、を有している。駆動部72は例えばモータからなり、回転軸71をその中心軸線Raを中心に回転駆動する。回転軸71が回転することにより、反射部材73も回転軸71と一体に回転するようになっている。制御器75は、駆動部72の回転数を制御することが可能となっている。制御器75は、例えば、回転数等を光学的に検出する光センサ、磁気的に検出するホールセンサ、機械的に検出するエンコーダなどの検出信号に基づいて、回転軸71の回転数を制御してもよい。なお、駆動部72がモータである場合には、回転速度および信頼性の観点からブラシレスモータが採用されることが好ましい。
図2は光走査装置70の側面図を示し、同図に示すように、本実施の形態における反射部材73は、回転軸71の先端部に固定された円板状の支持板部73Aと、支持板部73A上に設けられた反射層73Bと、を有しており、反射層73Bの表面に上述の反射面74が形成されている。なお、反射層73Bは、例えばアルミニウムや銀や誘電多層膜等から形成され得る。また、支持板部73Aは、ガラスや金属や樹脂から形成され得るが、質量が軽いほど好ましい。また、支持板部73Aと回転軸71との間には、固定強度を高めるための部材が設けられてもよい。
図3は光走査装置70の正面図を示しており、図4Aは図3のIVA−IVA線に沿う断面を示し、図4Bは図3のIVB−IVB線に沿う断面を示している。図3、図4A及び図4Bに示すように、本実施の形態に係る光走査装置70では、反射面74に、回転軸71の軸方向に沿って隆起し、回転軸71の軸方向視(正面視)で、回転軸71の中心軸線Raから径方向の外側に離れた点を中心として当該点を取り囲む複数の周状隆起部81(81A,81B)が形成されている。これら複数の周状隆起部81は、放射状に並び且つ互いに交差しない状態に配置されている。一例として、本実施の形態では、2つの周状隆起部81が形成されている。以下では、2つの周状隆起部81のうちの内側に位置するものを第1周状隆起部81Aと呼び、外側に位置するものを第2周状隆起部81Bと呼ぶ。なお、図3において、太線の実線は各周状隆起部81A,81Bの頂部を示し、細線の実線は各周状隆起部81A,81Bの最下部(起点)を示している。
本実施の形態における各周状隆起部81A,81Bの各中心は、同一の位置(図3に示す基準点P1)に位置付けられている。そして、各周状隆起部81A,81Bは円形であり、同心円状に等間隔に並んでいる。なお、本実施の形態における各周状隆起部81A,81Bの各中心は、同一の位置に位置付けられているが、ずれていてもよい。また、各周状隆起部81A,81Bは円形又は円弧(本例では、第2周状隆起部81Bが円形の一部を構成する円弧となっている。)であり、同心円状に等間隔に並んでいるが、非等間隔に並んでいてもよいし、周状隆起部81A,81Bの形状は、円形に限られるものではなく、例えば楕円や矩形等であってもよい。なお、本実施の形態の第2周状隆起部81のように、本発明でいう周状隆起部は、必ずしも閉じた輪状に形成されていなくてもよい。
このような各周状隆起部81によって、反射面74には、図4A及び図4Bに示すように、回転軸71の径方向に沿う二点鎖線で示す基準面SPに対して凸となる凸状反射部74Aと、基準面SPに対して凹となる凹状反射部74Bとが形成される。そして、この反射面74においては、図4Aに示すように、2つの周状隆起部81A,81Bのうちの最も内側に位置する第1周状隆起部81Aの中心を通り且つ回転軸71の軸方向に沿う断面視で、凹状反射部74Bと当該凹状反射部74Bの両側に隣接する凸状反射部74Aとが、隆起部81が隆起する方向に向けて拡がるように接続される形状に形成されている。
なお、本実施の形態では、第1周状隆起部81Aと第2周状隆起部81Bとの高さは同一となっている。上述の基準面SPは、各周状隆起部81A,81Bの最下部と頂部との間において径方向に沿って延びる面であり、本実施の形態においては、基準面SPが、各周状隆起部81A,81Bの最下部と頂部の回転軸71の軸方向における中間点を通る面となっている。また、図4A及び図4Bに示すように、本実施の形態においては、凸状反射部74Aの側面と凹状反射部74Bの側面とが滑らかに連続して接続されており、具体的に本例では、凸状反射部74Aの側面と凹状反射部74Bの側面とが曲線状をなすように接続されている。
このような反射面74を有する光走査装置70を用いた場合、駆動部72が回転軸71を回転させることで、光源62から照射された光が光学素子50上を走査するように当該光の進行方向を変化させることが可能となる。すなわち、反射面74においては、反射面74が回転軸71の中心軸線Raを中心として回転すると、凸状反射部74A及び凹状反射部74Bの側面によって、その向きが二次元的に順次変化する領域が生じる。このような領域は、回転軸71の回転が定速であれば、周期的に向きを変化させることになる。これにより、光源62から照射された光が光学素子50上を走査するように当該光の進行方向を変化させることが可能となる。なお、光の進行方向を変化させる軌道は、凸状反射部74Aの側面と凹状反射部74Bの側面とが連続する傾斜形状によって、円形軌道や、往復軌道などを決定することができる。
図5乃至図8を用いて、反射される光の進行方向の変化および当該光による走査の様子を具体的に説明する。図5(A)は、反射面74の所定位置DP1にコヒーレント光Lc1を照射された光走査装置70の正面図であり、図5(B)は図5(A)のVB−VB線に沿う断面図であり、図5(C)は図5(A)のVC−VC線に沿う断面図である。図5においては、所定位置DP1に、主として凸状反射部74Aが位置している。この図5に示す状態から所定角度だけ紙面時計回り(図5(A)における紙面時計回り)に回転軸71が回転すると、図6(A)に示すように、所定位置DP1には、主として凸状反射部74Aと凹状反射部74Bとの境界が位置する状態となる。この場合、所定位置DP1に照射されるコヒーレント光Lc1を反射させる反射面74上の領域の向きは、凸状反射部74Aから凹状反射部74Bへの移行によって順次変化する。これにより、図7の矢印に示すように、反射されるコヒーレント光Lc1の進行方向が変化される。その結果、図8の矢印に示すように、コヒーレント光Lc1が光学素子50上を走査するように当該コヒーレント光Lc1の進行方向を変化させることが可能となる。
また、図10(A)は、図5とは異なる所定位置DP2にコヒーレント光Lc2を照射された光走査装置70の正面図であり、(B)は、図10(A)に示す所定位置DP2で反射されるコヒーレント光Lc2が光学素子50を走査する様子を示した図である。図11(A)は、図5及び図10(A)とは異なる所定位置DP3にコヒーレント光Lc3を照射された光走査装置70の正面図であり、(B)は、図11(A)に示す所定位置DP3で反射されるコヒーレント光Lc3が光学素子50を走査する様子を示した図である。これらの図に示すように、反射面74においては、光学素子50上をコヒーレント光が走査するように任意の位置に照射されたコヒーレント光の進行方向を変化させることができる。
また、図12(A)は、反射面74の広範囲に面でコヒーレント光を照射した場合の光走査装置70の側面図であり、図12(B)は正面図である。また、図13(A)は、反射面74の広範囲における複数の位置でコヒーレント光を照射した場合の光走査装置70の側面図であり、図13(B)は正面図である。反射面74に照射する光のパターンは任意に設定可能である。
次に、光学素子50について説明する。図1に示す光学素子50は、各領域への入射光を当該領域の位置に応じた特定の方向に向ける光路制御機能を有している。ここで説明する光学素子50は、各領域への入射光の進行方向を補正して所定の領域LZに向ける。この領域が、被照明領域LZとなる。すなわち、光学素子50の入射面を平面分割してなる各領域に照射された照射装置60からの光は、光学素子50を経由した後に、少なくとも一部分において重なり合う領域を照明するようになる。
図9には光学素子50が示されている。図9に示す光学素子50は、照射装置60からの光の入射方向に対応して形成されたレンズアレイ51を有する。ここで「レンズアレイ」とは、単位レンズとも呼ばれる小さなレンズの集合体であり、屈折または反射によって光の進行方向を偏向させる素子として機能する。図示された例において、光学素子50は、各単位レンズに対応する各領域に入射する光を、それぞれ、少なくとも被照明領域LZの全域に入射するように拡散させる。すなわち、光学素子50は、各領域に照射装置60から入射する光を拡散させることによって、同一の被照明領域LZを照明する。
本実施の形態では、図9に示すように、光学素子50が、レンズアレイ51と、レンズアレイ51に対向して配置されたコンデンサレンズ52と、を有している。光学素子50においては、レンズアレイ51が、光学素子50の最入光側に配置されており、照射装置60からの光を受ける。レンズアレイ51をなす各単位レンズが、入射された光を、コンデンサレンズ52側に向けて拡散させる。そして、コンデンサレンズ52は、レンズアレイ51をなす各単位レンズからの光を、被照明領域LZに向ける。そして、本実施の形態におけるコンデンサレンズ52によれば、レンズアレイ51をなす各単位レンズからの光を、同一の被照明領域LZのみに向けることができ、各方向からの照明光を被照明領域LZに重畳させる。なお、本実施の形態では、光学素子50がレンズアレイ51とコンデンサレンズ52とで、光走査装置70から照射された光を同一の被照明領域LZのみに向けるように照射するが、このような光学素子50は例えばホログラム記録素子等によっても構成可能である。
次に、空間光変調器30について説明する。空間光変調器30は、図1に示すように被照明領域LZに重ねて配置される。そして、空間光変調器30は、照明装置40によって照明され、変調画像を形成する。照明装置40からの光は、上述したように被照明領域LZの全域のみを照明する。したがって、空間光変調器30の入射面は、照明装置40によって光を照射される被照明領域LZと同一の形状および大きさであることが好ましい。この場合、照明装置40からの光を、変調画像の形成に高い利用効率で利用することができるからである。
空間光変調器30は、特に制限されることなく、種々の公知の空間光変調器を利用することができる。例えば、偏光を利用することなく変調画像を形成する空間光変調器、例えばデジタルミラーデバイス(DMD)や、偏光を利用して変調画像を形成する透過型の液晶マイクロディスプレイや反射型のLCoS(Liquid Crystal On Silicon(登録商標))を、空間光変調器30として用いることができる。
図1に示された例のように、空間光変調器30が、透過型の液晶マイクロディスプレイである場合、照明装置40によって面状に照明される空間光変調器30が、画素毎にコヒーレント光を選択して透過させることにより、空間光変調器30をなすディスプレイの画面上に変調画像が形成されるようになる。こうして得られた変調画像は、最終的には、投射光学系25によって、等倍で或いは変倍されてスクリーン15へ投射される。これにより、観察者は、スクリーン15上に投射された当該画像を観察することができる。スクリーン15は、透過型スクリーンとして構成されていてもよいし、反射型スクリーンとして構成されていてもよい。
次に、以上の構成からなる照明装置40、投射装置20および投射型映像表示装置10の作用について説明する。
まず、照射装置60は、光学素子50上を走査するようにして、光学素子50へコヒーレント光を照射する。具体的には、光源装置61の光源62で一定方向に沿って進む特定波長帯域のコヒーレント光が生成され、このコヒーレント光が光走査装置70で進行方向を変えられる。光走査装置70は、周期的な動作を行っており、この結果、光学素子50上でのコヒーレント光の入射位置も、周期的に変化するようになる。
光学素子50の各領域に入射したコヒーレント光は、それぞれ、光学素子50での光路調整機能により、被照明領域LZに重畳されるようになる。すなわち、照射装置60から光学素子50の各領域に入射したコヒーレント光は、それぞれ、光学素子50で拡散ないしは拡げられて、被照明領域LZの全域に入射するようになる。このようにして、照射装置60は、被照明領域LZをコヒーレント光で照明することができる。
図1及び図9に示すように、投射装置20においては、照明装置40の被照明領域LZと重なる位置に空間光変調器30が配置されている。このため、空間光変調器30は、照明装置40によって面状に照明され、画素毎にコヒーレント光を選択して透過させることにより、映像(画像)を形成するようになる。この映像は、投射光学系25によってスクリーン15に投射される。スクリーン15に投射されたコヒーレント光は、拡散され、観察者に映像として認識されるようになる。
上述した照明装置40では、コヒーレント光が、光学素子50上を走査するようにして、光学素子50に照射される。また、照射装置60から光学素子50の各領域に入射したコヒーレント光は、それぞれ、同一の被照明領域LZの全域をコヒーレント光で照明するが、図9に示すように、当該被照明領域LZを照明するコヒーレント光の照明方向は互いに異なる。そして、コヒーレント光が入射する光学素子50上の領域が経時的に変化するため、被照明領域LZへのコヒーレント光の入射方向も経時的に変化する。
被照明領域LZを基準にして考えると、被照明領域LZ内の各領域には絶えずコヒーレント光が入射してくるが、その入射方向は、常に変化し続けることになる。結果として、空間光変調器30の透過光によって形成された映像の各画素をなす光が、図9の実線と一点鎖線で示すコヒーレント光のように、経時的に光路を変化させながら、スクリーン15の特定の位置に投射されるようになる。
以上のことから、上述した照明装置40を用いることによれば、映像を表示しているスクリーン15上の各位置において時間的にコヒーレント光の入射方向が変化していき、且つ、この変化は、人間の目で分解不可能な速さであり、結果として、人間の目には、相関の無いコヒーレント光の散乱パターンが多重化されて観察されることになる。したがって、各散乱パターンに対応して生成されたスペックルが重ねられ平均化されて、観察者に観察されることになる。これにより、スクリーン15に表示されている映像を観察する観察者に対して、スペックルを極めて効果的に目立たなくさせることができる。
なお、人間によって観察される従来のスペックルには、スクリーン15上でのコヒーレント光の散乱を原因とするスクリーン側でのスペックルだけでなく、スクリーンに投射される前におけるコヒーレント光の散乱を原因とする投射装置側でのスペックルも発生し得る。この投射装置側で発生したスペックルパターンは、空間光変調器30を介してスクリーン15上に投射されることによって、観察者に認識され得るようにもなる。しかしながら、本実施の形態によれば、コヒーレント光が光学素子50上を連続的に走査し、そして光学素子50の各領域に入射したコヒーレント光が、それぞれ、空間光変調器30が重ねられた被照明領域LZの全域を照明するようになる。すなわち、光学素子50が、スペックルパターンを形成していたそれまでの波面とは別途の新たな波面を形成し、複雑且つ均一に、被照明領域LZ、さらには、空間光変調器30を介してスクリーン15を照明するようになる。このような光学素子50での新たな波面の形成により、投射装置側で発生するスペックルパターンは不可視化されることになる。
そして、以上に説明した本実施の形態の光走査装置70によれば、駆動部72が回転軸71を回転させて反射面74を回転させることにより、反射面74に照射されたコヒーレント光が光学素子50上を走査するように当該コヒーレント光の進行方向が変化される。これにより、上述したように、スクリーン15に表示されている映像におけるスペックル(スペックルノイズ)を極めて効果的に目立たなくさせることができる。
そして、この光走査装置70では、反射面74に、回転軸71の中心軸線Raから径方向の外側に離れた点を中心として当該点を取り囲む複数の周状隆起部81(81A,81B)が形成され、複数の周状隆起部81A,81Bは、放射状に並び且つ互いに交差しない状態に配置されている。これにより、反射面74に、各々が周状に延び、その中心が回転軸71の中心軸線Raから偏心する凸状反射部74Aと凹状反射部74Bとが形成される。そして、これら凸状反射部74Aと凹状反射部74Bを形成することで、照射されたコヒーレント光が光学素子50上を走査するように当該コヒーレント光の進行方向を変化させて反射することができる。このような反射面74では、反射部材73が全体として平板状に形成された場合であっても、一つの軸を中心として回転させれば、照射されたコヒーレント光が光学素子50上を走査するように当該コヒーレント光の進行方向を変化させることができる。そのため、回転軸71及び駆動部72に過大な偏心荷重がかかることを防止できる。また、反射面74は、パターニングや型成形によって、種々のサイズに容易に製造することができ、且つ凸状反射部74Aおよび凹状反射部74Bの形状を柔軟に設定することができる。
したがって、この光走査装置70によれば、低コストで、かつ耐久性および信頼性に優れ、さらに設計自由度が高いことで、照射する光の照射範囲及び出力を柔軟に設定することができる。なお、反射部材73は、重心位置を回転軸71の中心軸線Ra上に位置させて回転軸71に固定されることが好ましい。この場合には、回転軸71及び駆動部72に過大な偏心荷重がかかることが効果的に防止される。
また、本実施の形態では、各周状隆起部81A,81Bの各中心は、同一の位置に位置付けられている。これにより、反射面74の形状が複雑化することを防止し、生産効率を向上できる。また、周状隆起部81A,81Bの各々は円形であり、同心円状に並んでおり、シンプルな形状であることで、生産効率を効果的に向上できる。
また、各周状隆起部81A,81Bは、等間隔に並んでいるため、反射面74によって反射されるコヒーレント光の軌道のばらつきを抑制できることで、走査対象の領域に照射されるコヒーレント光のムラを抑制できる。
また、内側に位置する第1周状隆起部81Aの中心を通り且つ回転軸71の軸方向に沿う断面視で、凸状反射部74Aの側面と凹状反射部74Bの側面とが滑らかに連続して接続されている。とりわけ、本実施の形態では、凸状反射部74Aの側面と凹状反射部74Bの側面とが曲線状をなすように接続されている。これにより、光学素子50上を走査するコヒーレント光の挙動を滑らかにすることができる。
以上、本発明の一実施の形態を説明したが、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明および以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
例えば、図14(A)は、回転軸71が反射部材73を貫通した状態で反射部材73を固定した変形例を示している。このような構成においては、回転軸71が反射部材73を安定した状態で保持するため、光走査装置の耐久性および信頼性を向上できる。このような構成においては、反射面74における回転軸71が露出した領域以外の領域にコヒーレント光を照射する必要が生じる。この変形例においては、例えば、コヒーレント光は、図14(B)のハッチングを付した領域に示されるように、回転軸71の周りの複数の領域に照射されてもよい。また、図14(C)のハッチングが付された領域に示すように、コヒーレント光は、回転軸71から外れた1つの領域に照射されてもよい。
また、図15(A)は、回転軸71が反射部材73を貫通した状態で反射部材73を固定し、且つ、回転軸71の先端に、円板状の支持板部83Aが設けられ、支持板部83A上に反射層83Bが設けられ、反射層83Bの表面に反射面84が形成された変形例を示している。図15(B)を参照し、この変形例では、回転軸71の軸方向に沿って隆起し、回転軸71の軸方向視(正面視)で、回転軸71の中心軸線Raから径方向の外側に離れた点を中心として当該点を取り囲む周状隆起部81(81A,81B)が、反射面74および反射面84に跨がって設けられる。そして、反射面74および反射面84においては、各周状隆起部81によって、凸状反射部74Aと、凹状反射部74Bとが跨がって形成される。このような変形例においては、コヒーレント光は、図15(B)のハッチングを付した領域に示されるように、回転軸71の周りの複数の領域に照射されるとともに、中央の反射面84に照射されてもよい。
また、上述した実施の形態において、光源装置61は、単一の光源62を有していた。しかしながら、この例に限られず、光源装置61は、複数の光源を含むようにしてもよい。一例として、光源装置61が、複数のレーザー光源を含むレーザーアレイとして構成されていてもよい。光源装置61に含まれる複数の光源は、互いに異なる波長帯域の光を生成するようにしてもよいし、同一波長帯域の光を生成するようにしてもよい。異なる波長帯域の光源を用いた場合、加法混色により、単一の光源では生成することができない色の光によって、被照明領域LZを照明することができる。また、上述の複数の光源が、赤色波長帯域の光、緑色波長帯域の光、青色波長帯域の光をそれぞれ生成する場合には、白色光にて被照明領域LZを照明することができる。
さらに上述した実施の形態では、照明装置40によって照明される被照明領域LZに空間光変調器30が配置されていたが、この例に限られない。例えば、被照明領域LZに均一化光学系の入射面が配置されていてもよい。この場合、均一化光学系に入射した光は、全反射を繰り返しながら均一化光学系内を伝搬して、均一化光学系から出射する。このような均一化光学系の出射面上の各位置での照度は、均一化されることになる。均一化光学系として、例えばインテグレーターロッドを用いることができる。空間光変調器30は、例えば均一化光学系の出射面に直面して配置することができる。
さらに、上述した実施の形態において、照明装置40が、投射装置20及び投射型映像表示装置10に組み込まれた例を示したが、これに限られず、スキャナ用の照明装置等、種々の用途に適用され得る。
なお、本発明の態様は、上述した個々の実施の形態に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形も含むものであり、本発明の効果も上述した内容に限定されない。すなわち、特許請求の範囲に規定された内容およびその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更および部分的削除が可能である。
10 投射型映像表示装置
15 スクリーン
20 投射装置
25 投射光学系
30 空間光変調器
40 照明装置
50 光学素子
51 レンズアレイ
52 コンデンサレンズ
60 照射装置
61 光源装置
62 光源
70 光走査装置
71 回転軸
72 駆動部
73 反射部材
73A 支持板部
73B 反射層
74 反射面
74A 凸状反射部
74B 凹状反射部
75 制御器
81 周状隆起部
81A 第1周状隆起部
81B 第2周状隆起部
Ra 中心軸線
LZ 被照明領域
SP 基準面

Claims (9)

  1. 回転軸を回転駆動する駆動部と、
    前記回転軸に設けられ、照射された光を反射させる反射面を有する反射部材と、を備え、
    前記反射面には、前記回転軸の軸方向に沿って隆起し、前記回転軸の軸方向視で、前記回転軸の中心軸線から径方向の外側に離れた点を中心として当該点を取り囲む複数の周状隆起部が形成され、
    複数の前記周状隆起部は、放射状に並び且つ互いに交差しない状態に配置され、
    複数の前記周状隆起部は、前記回転軸の径方向に沿う基準面に対して凸となる凸状反射部と、前記基準面に対して凹となる凹状反射部とを形成し、
    複数の前記周状隆起部のうちの最も内側に位置する前記周状隆起部の中心を通り且つ前記回転軸の軸方向に沿う断面視で、前記凹状反射部と当該凹状反射部の両側に隣接する前記凸状反射部とが、前記周状隆起部の各々が隆起する方向に向けて拡がるように接続されている、光走査装置。
  2. 複数の前記周状隆起部の各中心は、同一の位置に位置付けられている、請求項1に記載の光走査装置。
  3. 複数の前記周状隆起部の各々は円形又は円弧であり、同心円状に並んでいる、請求項2に記載の光走査装置。
  4. 複数の前記周状隆起部は、等間隔に並んでいる、請求項3に記載の光走査装置。
  5. 複数の前記周状隆起部のうちの最も内側に位置する前記周状隆起部の中心を通り且つ前記回転軸の軸方向に沿う断面視で、前記凸状反射部の側面と前記凹状反射部の側面とが滑らかに連続して接続されている、請求項1乃至4のいずれかに記載の光走査装置。
  6. 前記凸状反射部の側面と前記凹状反射部の側面とが曲線状をなすように接続されている、請求項5に記載の光走査装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかに記載の光走査装置と、
    前記光走査装置で反射されたコヒーレント光を所定の領域内の全域に対して拡散可能な光学素子と、を備える光学モジュール。
  8. 各位置に入射されたコヒーレント光を、所定の領域内の全域に対して拡散可能な光学素子と、
    コヒーレント光が前記光学素子の表面を走査するように、前記光学素子に前記コヒーレント光を照射する照射装置と、を備える照明装置であって、
    前記照射装置は、
    コヒーレント光を発光する光源と、
    前記光源にて発光された前記コヒーレント光が前記光学素子の表面上を走査するように当該コヒーレント光の進行方向を変化させる請求項1乃至6のいずれかに記載の光走査装置と、を備える、照明装置。
  9. 請求項8に記載の照明装置と、
    前記所定の領域と重なる位置に配置され、前記照明装置によって照明されて、光変調画像を生成する空間光変調器と、
    前記光変調画像を投射部材上に投射する投射光学系と、を備える、投射装置。
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