JP2011145556A - 投写型表示装置 - Google Patents

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潤 近藤
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Abstract

【課題】効率良くシンチレーションを低減し、良好な画質を表示することができる投写型表示装置を得ること。
【解決手段】光源から出射されたコヒーレントな光を所定の光路内へ伝播させてスクリーン33側へ導く照明光学系4と、照明光学系4が導いてくる光を変調して画像形成領域2aに画像を形成し、形成した画像の画像光を出射する光変調素子2と、画像形成領域2aから出射された画像光をスクリーン33上に拡大投写する投写光学系3と、を備え、照明光学系4には、画像形成領域2aとの共役位置近傍に配置されて光源からの光を拡散させる拡散素子5と、拡散素子5の位置を変化させることにより拡散素子5による拡散角を変化させ、光変調素子2の隣接する画素での出射光の位相差を変化幅が1波長分以上になるように変化させる駆動部51と、が配置された。
【選択図】図3

Description

本発明は、スクリーン上に画像を投写表示する投写型表示装置に関するものである。
投写型表示装置の光源としては、超高圧水銀ランプやメタルハライドランプ等が用いられてきた。このようなランプを光源とした場合には、光源の寿命が短く、ランプ交換等のメンテナンス作業が頻繁に発生するという問題点があった。さらに、ランプの白色光から赤色、緑色および青色を取り出すための光学系が必要となり、装置構成が複雑になるとともに光利用効率が低下するという問題があった。
これらの問題を解決するために、半導体レーザ等のレーザ光源を採用する試みがなされている。レーザ光源は、ランプ光源に比べて寿命が長く、メンテナンス作業が長期間不要となる。また、レーザ光源は、表示画像に応じてレーザ光源を直接変調することができるので、装置が簡易な構成となり光利用効率が向上する。さらに、レーザ光源を採用することによって、色再現範囲を広くすることができる。
ところが、レーザ光源は高いコヒーレンス(可干渉性)を有しているので、レーザ光源を投写型表示装置の光源に用いた場合、透過型スクリーン内の光拡散材と光が干渉し、表示する画像がぎらつく現象(スペックルノイズもしくはシンチレーション)を発生させ、その結果、画質を劣化させてしまうという問題点があった。このため、投写型表示装置にレーザ光源を採用する場合、このシンチレーションやスペックルノイズを低減することが重要となる。シンチレーションやスペックルノイズを低減させる方法として、光学系内ですりガラスなどの拡散素子を回転する方法が提案されている(特許文献1参照)。
特開平6−208089号公報
しかしながら、上記従来の技術では、ガラス中に散乱部材として微粒子をランダムに混入させたすりガラスを拡散素子として用いており、散乱特性の調整が難しく、光学系に適した散乱特性を得ることが困難であった。また、シンチレーションを低減するために、すりガラスが持つべき散乱特性の具体的な提案がなされていなかったので、すりガラスによる光損失に対し、それに見合うだけの高いシンチレーション低減効果が得られないという問題があった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、効率良くシンチレーションを低減し、良好な画質を表示することができる投写型表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る投写型表示装置は、コヒーレントな光を出射する少なくとも1つの光源と、前記光源から出射された光束を所定の光路内へ伝播させてスクリーン側へ導く照明光学系と、前記照明光学系が導いてくる前記光源からの光を変調して画像形成領域に画像を形成し、形成した画像の画像光を出射する光変調素子と、前記画像形成領域から出射された前記画像光を前記スクリーン上に拡大投写する投写光学系と、を備え、前記照明光学系には、前記画像形成領域との共役位置近傍に配置されて前記光源からの光を拡散させる拡散素子と、前記拡散素子の位置を変化させることにより前記拡散素子による拡散角を変化させ、前記光変調素子の隣接する画素での出射光の位相差を変化幅が1波長分以上になるように変化させる駆動部と、が配置されたものである。
本発明によれば、効率良くシンチレーションを低減し、良好な画質を表示することができるという効果を奏する。
図1は、本発明の実施の形態に係る投写型表示装置の構成を概略的に示す図である。 図2は、実施の形態に係る拡散素子の拡散面の形状を示す図である。 図3は、照明光学系の光伝播の概念を説明するための図である。 図4−1は、被照明面に対して垂直に光を入射させた場合の波面と光の進行方向を示す図である。 図4−2は、被照明面の隣接する画素の間で1波長分の位相差を与えた場合の、波面と光の進行方向を示す図である。 図5は、拡散素子の拡散面がシリンドリカル構造である場合の拡散面の形状を示す図である。
以下に、本発明の実施の形態に係る投写型表示装置を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態
図1は、本発明の実施の形態に係る投写型表示装置の構成を概略的に示す図である。投写型表示装置101は、ライトバルブを用いてスクリーン上に画像を投写する背面投写型の画像表示装置である。
図1に示すように、実施の形態に係る投写型表示装置101は、集光光学系1と、照明光学系4と、映像表示素子としての反射型光変調素子(反射型ライトバルブ)2と、照明光学系4により照明された反射型光変調素子2の被照明面(画像形成領域)2aの画像をスクリーン33(図3に図示)に投写する投写光学系3とを有している。投写光学系3は、反射型光変調素子2によって変調された画像光(被照明面2aから出射された画像光)をスクリーン33に拡大投写する。
集光光学系1は、コヒーレントな光である複数色(図1においてはR、G、Bなどの3色)のレーザ光を出射するレーザ光源11と、レーザ光源11から出射された光束を1〜複数枚のレンズやミラーで集光する複数(図1においては3枚)の集光光学素子(集光レンズ12)と、集光レンズ12から出射された光束を照明光学系4に導く複数(図1においては、3本)の光ファイバ13とから構成されている。
集光光学系1では、1つのレーザ光源11に、1つの集光レンズ12と1つの光ファイバ13を対応させている。したがって、各レーザ光源11から出射された光束は、それぞれのレーザ光源11に対応する集光レンズ12と光ファイバ13を介して照明光学系4に導かれる。
照明光学系4は、レーザ光源11から出射された光束を所定の光路内へ伝播させてスクリーン側へ導く。照明光学系4は、集光光学系1(光ファイバ13)から出射された光束の強度分布を均一化する光強度均一化素子41と、拡散素子5と、レンズ42a,42bから構成されるリレーレンズ群42と、第1ミラー43aおよび第2ミラー43bから構成されるミラー群43と、を有している。照明光学系4は、リレーレンズ群42とミラー群43によって、光強度均一化素子41から出射した光束を反射型光変調素子2に導いている。
光強度均一化素子41は、集光光学系1が出射した光束の光強度を均一化する機能(照度ムラを低減する機能など)を有している。光強度均一化素子41は、光の入射口である入射面(入射端面)41aが光ファイバ13側を向き、光の出射口である出射面(出射端面)41bがリレーレンズ群42側を向くよう照明光学系4内に配設されている。
光強度均一化素子41は、例えばガラス又は樹脂等の透明材料で作られる素子である。光強度均一化素子41は、側壁内側が全反射面となるように構成された多角形柱状のロッド(断面形状が多角形の柱状部材)、または反射面を内側にして筒状に組み合わされた断面形状が多角形のパイプ(管状部材)などを含んで構成されている。
光強度均一化素子41が多角柱状のロッドである場合には、透明材料と空気界面との全反射作用を利用して光を複数回反射させた後に出射面41bから光を出射させる。また、光強度均一化素子41が多角形のパイプである場合には、内側を向く表面鏡の反射作用を利用して光を複数回反射させた後に出射面41bから光を出射させる。
光強度均一化素子41は、光束の進行方向に適当な長さを確保すれば、内部で複数回反射した光が光強度均一化素子41の出射面41bの近傍に重畳照射され、光強度均一化素子41の出射面41bの近傍では略均一な強度分布が得られる。この略均一な強度分布を有する出射面41bからの出射光は、リレーレンズ群42及びミラー群43によって反射型光変調素子2へと導かれ、反射型光変調素子2の被照明面2aを照明する。
拡散素子5は、光強度均一化素子41を介して伝播してくる光を拡散させてリレーレンズ群42へ向かわせることによってスペックルを低減させる素子である。図2は、実施の形態に係る拡散素子の拡散面の形状を示す図である。
拡散素子5における光の拡散面55Aは、図2に示すような複数のレンズ素子を2次元的に配列したレンズアレイ(マイクロレンズアレイ構造)を有している。拡散面55Aは、レーザ光源11からの光が入射する拡散素子5の入射面と入射光を拡散させて出射する拡散素子5の出射面の少なくとも一方の面に配置される。
マイクロレンズアレイ構造は、レンズ56の曲率やピッチ間隔を変化させることによって、所望の拡散特性を高効率に得ることができる。また、拡散素子5の近傍に搭載されている駆動部51(図3に図示)にモータを用いることによって、低コストでありながら
拡散素子5に安定性の高い回転運動を与えることができる。拡散素子5は、光強度均一化素子41の出射面41bの近傍(出射面41b近傍の光の伝播路上)に配置される。
反射型光変調素子2は、照明光学系4が導いてくるレーザ光源11からの光を変調して被照明面2aに画像を形成し、形成した画像の画像光を出射する素子である。反射型光変調素子2は、例えばDMD(Digital Micro-mirror Device)(登録商標)素子などの反射型の光変調素子である。反射型光変調素子2は、各画素に対応する可動式のマイクロミラーを多数(例えば、数十万個)平面的に配列したものであり、画素情報に応じて各マイクロミラーの傾角(チルト)を変化させるように構成されている。
反射型光変調素子2は、マイクロミラーの配列された面(マイクロミラーが形成された基板の表面)を基準面とした場合に、この基準面に対してマイクロミラーを一定の方向に所定の角度(例えば、12度)だけ傾けることによって、入射光束を投写光学系3に向けて反射する。投写光学系3に入射した光束はスクリーン上の画像投写に利用される。
また、反射型光変調素子2は、基準面に対してマイクロミラーを一定の方向に所定の角度(例えば、マイナス12度)だけ傾けることによって、入射光束を光吸収板(図示せず)に向けて反射する。光吸収板に入射した光束はスクリーン上の画像投写に利用されない。
なお、本実施の形態ではリレーレンズ群42をレンズ42a,42bの2枚のレンズで構成した場合を示したが、リレーレンズ群42を構成するレンズは2枚に限定されるものではなく、1枚または3枚以上で構成してもよい。また、ミラー群43を第1ミラー43a、第2ミラー43bの2枚のミラー構成した場合を示したが、ミラー群43を構成するミラーは2枚に限定されるものではなく、1枚または3枚以上で構成してもよい。
また、反射型光変調素子2は、入力画像信号に応じて入射光を変調して変調光(画像光)を出射できる素子であれば、DMD(登録商標)素子以外の素子(例えば、液晶素子(反射型液晶表示素子)など)であってもよい。入射光を変調して透過させる透過型光変調素子でもよい。
ここで照明光学系4内の光路における光伝播について説明する。図3は、照明光学系の光伝播の概念を説明するための図である。図3では、実施の形態の照明光学系4の作用を概念的に示している。なお、図3ではリレーレンズ群42とミラー群43を各々1つのレンズ素子により表現している。図3は、拡散素子5における拡散角、反射型光変調素子2への照明光の入射角と反射角を概念的に示すものであり、照明光および反射光の光軸が反射型光変調素子2に対して垂直であるように表現している。実際には、反射型光変調素子2と光軸は垂直ではない角度をなすが、その角度を考慮した光学系にしているので、垂直とした場合の解析結果は、垂直でない光学系にも適用できる。
光強度均一化素子41の出射面41bと反射型光変調素子2の被照明面2aとが光学的に共役な関係になるよう照明光学系4を構成している。また、照明光学系4には、光強度均一化素子41の出射面41bに隣接した位置(被照明面2aとの共役位置近傍)に拡散素子5が設置されており、照明光学系4は、反射型光変調素子2の被照明面2aと投写光学系3のスクリーン33とが光学的に共役な関係になるよう構成されている。
また、照明光学系4のうち、投写光学系3の入射側開口部と共役な関係となる位置が照明光学系4の絞り位置44である。この照明光学系4の絞り位置44は、光強度均一化素子41から出射された主光線が略集光する位置であり、投写光学系3の入射側開口部と共役であるとともに、光強度均一化素子41の入射面41aと共役な関係となっている。このため、絞り位置44は、絞り位置44で例えば光束の一部をカットした場合であっても、画像の一部が欠けるといった不具合が発生しにくい位置である。例えば、リレーレンズ群42とミラー群43の間に照明光学系4の絞り位置44が存在するよう照明光学系4を構成しておく。また、投写光学系3内の投写レンズ群31aと投写レンズ群31bの間に投写光学系3の投写レンズの瞳32が存在するよう投写光学系3を構成しておく。
このような構成をとることにより、シンチレーションに大きく影響するスクリーン33への入射角度と、拡散素子5の出射角度とが略相似な関係となる。これにより、拡散素子5によるスクリーン33への入射角度、および反射型光変調素子2からの出射角度の制御性を高め、かつシンチレーション低減効果を大きくすることができる。
拡散素子5は、拡散素子5の位置を変化させることによってレーザ光源11からの光と拡散素子との位置関係を変化させる駆動部51に接続されている。駆動部51は、例えばモータなどを備えた回転機構によって拡散素子5を回転させる機能(回転駆動部)を有している。駆動部51は、モータによって拡散素子5を回転させ、拡散素子5における散乱角ひいては反射型光変調素子2の構成画素からの出射角度(構成画素内における光の位相関係)を時間的に変化させる。これにより、スクリーン33上に発生する干渉パターンを観測者の目において時間的に平均化させ、シンチレーションを低減させることができる。
なお、スクリーン33上に発生する干渉パターンは、画像形成の最小分解能である反射型光変調素子2の構成画素内における位相差に大きく依存する。このため、時間的に変化させる位相差の領域が小さいと、発生する干渉パターン変化も少なく、時間的な平均効果が小さくなる。したがって、発生する干渉パターンの変化を大きくするためには、反射型光変調素子2内の2点間(後述の構成画素21間)に、1波長分以上の変化幅で位相差の変化が発生するようにすると効果的である。
次に、反射型光変調素子2内の2点間で1波長分以上の変化幅で位相差の変化を得るために必要な拡散素子5の拡散角の算出方法について説明する。なお、拡散素子5は、正方向と負方向に最大で同じ角度で拡散できるので、正方向に最大の角度で拡散した場合と、負方向で最大の角度で拡大した場合との間で1波長分の変化幅で位相差の変化を得るには、拡散しない場合の位相差が0なので、正方向および負方向の最大の角度で拡散した場合の位相差が正および負で2分の1波長分であるようにすればよい。
図3では、拡散素子5による拡散角を拡散角の最大値θaで示している。拡散角の最大値θaとは、拡散されなければ角度0であった光が拡散素子5により最大に拡散されてθaへの方向への光になることを意味する。また、このときの反射型光変調素子2における構成画素への入射角度をθbで示し、反射型光変調素子2における構成画素からの出射角度をθで示している。光強度均一化素子41の出射面41bと反射型光変調素子2の被照明面2aとの間の結像倍率をβとすると、以下の式(1)が成り立つ。
sinθa=βsinθb ・・・(1)
さらに、反射型光変調素子2の各構成画素はミラーで構成されているので、θbとθは等しい。したがって、以下に示す式(2)が成立する。
sinθa=βsinθ ・・・(2)
図4−1、図4−2は、反射型光変調素子での光の位相状態と光の進行方向との関係を説明するための図である。図4−1、図4−2では、反射型光変調素子2内で構成画素21のピッチ間隔P(構成画素21の距離)だけ離れた2点における、光の位相差と光の進行方向との関係を概略的に示している。図4−1は、被照明面2aに対して垂直に光を入射させた場合(2点間の位相差がゼロの場合)の波面Bと光の進行方向Aを示しており、図4−2は、被照明面2aのピッチ間隔Pだけ離れた2点で2分の1波長分の位相差を与えた場合の、波面Dと光の進行方向Cを示している。
図4−2では、ピッチ間隔Pだけ離れた2点において2分の1波長分の位相差を与えた場合の光の出射角をθwで示している。反射型光変調素子2へ照射される光の波長をλとすると、θwは、以下に示す式(3)で表される。
θw=sin-1(λ/2P) ・・・(3)
したがって、拡散素子5で拡散されることにより、拡散されなければ反射型光変調素子2に垂直に入射する光が拡散されて斜めに入射することにより、反射型光変調素子2から出射する光も垂直でない方向に出射する。出射する光の角度の最大値(最大出射光角)を変数θmで表す。反射型光変調素子2内の1画素のピッチ間隔Pだけ離れた2点(構成画素21間)の位相差の拡散しない場合からの変化の変化幅が、2分の1波長分以上であるためには、反射型光変調素子2からの最大出射光角θmは、以下の式(4)を満たす必要がある。
θm≧sin-1(λ/2P) ・・・(4)
式(4)を満たすように、反射型光変調素子2での拡散特性を制御することによって、反射型光変調素子2の構成画素間において、変化幅が最大で1波長分以上の変化の位相差を与えることができる。つまり、式(2)、式(4)より、以下の式(5)を満たす拡散素子5の拡散角の最大値θaが必要となる。
θa≧sin-1(βλ/2P) ・・・(5)
式(5)によって、反射型光変調素子2の2点において、1波長分以上の変化幅で位相差の変化をもたらす拡散素子5の拡散角の最大値θaが算出された。なお、拡散角が時間的に一定である場合、スクリーン上で作り出される干渉パターン(シンチレーション)は一定のままであり、シンチレーションの低減効果は非常に小さい。そのため、本実施の形態では、拡散角を正負にその振幅がθaで時間的に変化させることによって、スクリーン上の干渉パターンも時間的に変化させ、観測者の目の平均化効果によってシンチレーションを低減する。次に、拡散素子5における拡散角の時間的変化について説明する。
拡散素子5の拡散角は、拡散素子5の近傍に配置されている駆動部51のモータによって拡散素子5が移動することにより、同じ画素に入射する光に関して、時間的に変化する。換言すると、駆動部51は、反射型光変調素子2内の構成画素21間に1波長分以上の変化幅で位相差の変化を与えるよう拡散素子5を回転させる。回転する円軌道の直径は、レンズ56のピッチよりも十分に大きくしておく。これにより、少なくとも構成画素21からの出射角θは、式(4)の条件を満たす最大出射角θmを用いて、‐θmからθmまでの範囲を周期的に変化させることができる。したがって、スクリーン33上で各位相差に応じた種々の干渉パターンが平均化され、シンチレーションは低減される。
人間は、約1/20秒以下で点滅するものを見た場合に、脳内において残像が形成されて変化していないように見えるような時間的な視感度特性を持っている。このため、シンチレーションパターンも、約1/20秒以下の周期であれば人間の視覚で認識されることなく、目において平均化される。したがって、構成画素21からの出射角θを‐θmからθmまでの範囲を変化させる際に、−θmからθmまでの範囲を1/20秒以下の周期で周期的に時間変化させることによって、シンチレーションを大きく低減することが可能となる。
このように、反射型光変調素子2で適切な散乱特性を得られるよう、拡散素子5を回転させて反射型光変調素子2からの最大出射角を‐θmからθmまでの範囲を周期的に変化させるので、光源からの光の利用効率の低減を抑制しつつ、高いシンチレーション低減効果が得られ、高画質の画像を表示することができる。
また、拡散素子5がマイクロレンズアレイ構造であるので、レンズ56の曲率やピッチ間隔を変化させることによって、所望の拡散特性を高効率に得ることができる。また、拡散素子5を、モータを用いた駆動部51によって回転運動させるので、低コストでありながら安定性の高い回転運動を得ることができる。したがって、低コストで安定性の高い良質な画像を表示することができる。
なお、拡散素子5は、図2に示した構成の拡散面55Aに限らない。例えば、拡散素子5の拡散面をシリンドリカル構造としてもよい。図5は、拡散素子の拡散面がシリンドリカル構造である場合の拡散面の形状を示す図である。図5に示すように、拡散素子5の拡散面55Bがシリンドリカル構造の場合、拡散面55Bは、断面が半円形状であるシリンドリカル構造をもつ微細光学素子57を備えて構成される。具体的には、拡散面55Bでは、拡散素子5の入射面側を向く微細光学素子57の軸方向(長手方向)と、拡散素子5の出射面側を向く微細光学素子57の軸方向(長手方向)と、が互いに垂直方向になるよう微細光学素子57が配列されている。
なお、拡散面55Bは、レーザ光源11からの光を入射する拡散素子5の入射面とレーザ光源11からの光を拡散させて出射する拡散素子5の出射面の何れか一方の面にのみ配置してもよい。換言すると、拡散面55Bは、拡散素子5の入射面と出射面の少なくとも一方の面に配置すればよい。また、本実施の形態では、拡散素子5と駆動部51とを異なる構成としたが、拡散素子5が駆動部51を備える構成としてもよい。
このように、拡散面55Bをシリンドリカル構造にすることによって、シリンドリカル構造の曲率、ピッチ間隔、厚みを調整することが可能となるので、拡散素子5の拡散特性を任意に制御できる。このため、光の利用効率の低減を抑制しつつ、効率良くシンチレーションを低減し、高画質の画像を表示することができる。
また、拡散素子5を、ホログラムを用いたホログラム拡散素子(ホログラフィック拡散素子)としてもよい。ホログラム拡散素子は、ホログラム技術を利用することによって、入射光に対して、所望の拡散作用(拡散角度)を得ることができる拡散素子である。このように、拡散素子5を、ホログラム拡散素子とすることによって、光の利用効率の低減を抑制しつつ、効率良くシンチレーションを低減し、高画質の画像を表示することができる。
また、本実施の形態では、拡散素子5を駆動部51によって回転させる場合について説明したが、拡散素子5を、駆動部51によって往復運動させてもよい。これにより、拡散素子5自体を小型にでき、投写型表示装置101を小型化することが可能となる。
このように実施の形態によれば、反射型光変調素子2でピッチ間隔Pだけ離れた位置に1波長分以上の変化幅で位相差の変化を与えるよう、反射型光変調素子2からの最大出射角を周期的に変化させるので、効率良くシンチレーションを低減し、良好な画質を表示することが可能となる。
以上のように、本発明に係る投写型表示装置は、スクリーン上への画像の投写表示に適している。
1 集光光学系
2 反射型光変調素子
2a 被照明面(画像形成領域)
3 投写光学系
4 照明光学系
5 拡散素子
11 レーザ光源
12 集光レンズ
13 光ファイバ
21 構成画素
32 投写レンズの瞳
33 スクリーン
41 光強度均一化素子
41a 入射面
41b 出射面
44 絞り位置
51 駆動部
55A、55B 拡散面
101 投写型表示装置
P ピッチ間隔
θ 出射角
θa 拡散角
λ 入射光波長

Claims (8)

  1. コヒーレントな光を出射する少なくとも1つの光源と、
    前記光源から出射された光束を所定の光路内へ伝播させてスクリーン側へ導く照明光学系と、
    前記照明光学系が導いてくる前記光源からの光を変調して画像形成領域に画像を形成し、形成した画像の画像光を出射する光変調素子と、
    前記画像形成領域から出射された前記画像光を前記スクリーン上に拡大投写する投写光学系と、
    を備え、
    前記照明光学系には、前記画像形成領域との共役位置近傍に配置されて前記光源からの光を拡散させる拡散素子と、前記拡散素子の位置を変化させることにより前記拡散素子による拡散角を変化させ、前記光変調素子の隣接する画素での出射光の位相差を変化幅が1波長分以上になるように変化させる駆動部と、が配置された投写型表示装置。
  2. コヒーレントな光を出射する少なくとも1つの光源と、
    前記光源から出射された光束を所定の光路内へ伝播させてスクリーン側へ導く照明光学系と、
    前記照明光学系が導いてくる前記光源からの光を変調して画像形成領域に画像を形成し、形成した画像の画像光を出射する光変調素子と、
    前記画像形成領域から出射された前記画像光を前記スクリーン上に拡大投写する投写光学系と、
    を備え、
    前記照明光学系には、前記画像形成領域との共役位置近傍に配置されて前記光源からの光を拡散させる拡散素子と、前記拡散素子の位置を変化させることにより前記拡散素子による拡散角を変化させる駆動部と、が配置され、
    前記光源からの光の波長をλとし、前記光変調素子を構成する画素のピッチをPとし、前記照明光学系の結像倍率をβとし、前記拡散素子による拡散角の最大値θaが、
    θa≧sin−1(βλ/2P)の関係にあり、
    前記駆動部が、前記拡散素子による前記拡散角が−θaからθaまでの範囲で変化するように前記拡散素子の位置を変化させることを特徴とする投写型表示装置。
  3. 前記駆動部は、前記拡散素子の位置を1/20秒以下の周期で周期的に変化させることを特徴とする請求項1または2に記載の投写型表示装置。
  4. 前記拡散素子は、前記光源からの光が入射する入射面および前記光源からの入射光を拡散させて出射する出射面の少なくとも一方の面に複数のレンズ素子を2次元的に配列したレンズアレイを有していることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の投写型表示装置。
  5. 前記拡散素子は、前記光源からの光が入射する入射面および前記光源からの入射光を拡散させて出射する出射面の少なくとも一方の面にシリンドリカル形状の光学素子が配列された素子であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の投写型表示装置。
  6. 前記拡散素子は、ホログラフィック拡散素子であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1つに記載の投写型表示装置。
  7. 前記駆動部は、前記拡散素子を回転運動させるモータを有していることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の投写型表示装置。
  8. 前記駆動部は、前記拡散素子を往復運動させることを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1つに記載の投写型表示装置。
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