JP2017061589A - 蛍光体の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】青色光で励起された際に効率良く赤色発光する蛍光体の製造方法に関する。一般式:A2MF6:Mnで表される蛍光体を、内部量子効率をあるレベルに維持した状態で蛍光体の粒径を制御しながら安定して製造することができる。【解決手段】一般式A2MF6:Mnで表される蛍光体を製造する蛍光体の製造方法である。元素Aはアルカリ金属元素であり、元素Mは一種以上の四価の金属元素である。フッ化水素酸に元素A、元素M及びMnを溶解させたフッ化水素酸溶液を製造する溶液製造工程と、溶液に、A2MF6:Mn粒子、A2MF6粒子の少なくとも一方を種結晶として添加して懸濁液を製造する懸濁液製造工程と、当該懸濁液にフッ化水素酸と相溶する相溶液を混合して当該種結晶の表面に一般式A2MF6:Mnを析出させる析出工程を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、青色光で励起された際に効率良く赤色発光する蛍光体の製造方法に関する。
特許文献1には、赤色蛍光体として、A[MF]:Mn4+(元素Aは、Li、Na、K、Rb、Cs、NHなど、元素MはGe、Si、Sn、Ti、Zrなど)の式で表される蛍光体が開示されている。
同特許文献1には、当該蛍光体の製造方法として、蛍光体の母体となるA[MF]結晶と、発光中心となるMnを含むKMnF結晶を、フッ化水素酸中に溶解して製造し、製造された蛍光体に付着した溶液を蒸発させ、その後乾燥させる製造方法が開示されている。
当該製造方法にあっては、フッ化水素酸を蒸発させるため、耐熱性・耐食性に優れた反応装置と、蒸発に伴って発生する有害なフッ化水素ガスを除外する設備が必要であった。
特許文献2に、危険性の高いフッ化水素酸の蒸発を必要としないAMF:Mn蛍光体を製造する方法の一つとしての貧溶媒法が開示されている。しかしながら、当該製造方法では、製造された蛍光体の粒度の均一性が低いと共に、所望の粒度を得るための、制御が難しいという課題がある。
特許文献3乃至5の蛍光体の製造方法にあっては、製造される蛍光体は十分な発光特性を有した状態で粒子径制御が困難であった。
特表2009−528429号公報 米国特許第3576756号公報 特開2010−209311号公報 特開2012−224536号公報 特開2015−044971号公報
本発明者らは、一般式:AMF:Mnで表される蛍光体を製造する製造方法において、蛍光体析出反応の前に予め結晶成長の起点となる粒子を添加し、それらを選択的に成長させることにより、良好な蛍光特性を維持した状態で、幅広い範囲での粒度制御が可能な製造方法を見出し、本発明の完成に至った。
本発明は、一般式AMF:Mnで表される蛍光体を製造する蛍光体の製造方法であって、元素Aはアルカリ金属元素であり、元素MはSi、Ge、Sn、Ti、Zr及びHfから選ばれる一種以上の四価の金属元素であり、フッ化水素酸に元素A、元素M及びMnを溶解させたフッ化水素酸溶液を製造する溶液製造工程と、当該溶液に、AMF:Mn粒子、AMF粒子の少なくとも一方を種結晶として添加して懸濁液を製造する懸濁液製造工程と、当該懸濁液にフッ化水素酸と相溶する相溶液を混合して当該種結晶の表面に一般式AMF:Mnを析出させる析出工程を有する蛍光体の製造方法である。
前記析出工程での相溶液としては、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びアセトンから選ばれる一種以上の液体が好ましい。
前記懸濁液製造工程で製造された懸濁液中の種結晶濃度は、0.01mol/kg以上0.2mol/kg以下が好ましい。
前記懸濁液製造工程で添加される種結晶の平均粒径は、8μm以上35μm以下が好ましい。
本発明の蛍光体の製造方法によれば、一般式:AMF:Mnで表される蛍光体を、内部量子効率をあるレベルに維持した状態で蛍光体の粒径を制御しながら安定して製造することができる。より具体的には、AMF:Mnで表される蛍光体を溶液中で析出させる際に、結晶成長の核となる種結晶を添加するプロセスにおいて、種結晶の添加量とサイズを調整し、平均粒径が10〜40μmの蛍光体を得るものである。
本発明の概略を示すフロー図。 参考例で得た蛍光体のX線回折パターンを示す図。 参考例で得た蛍光体の走査型電子顕微鏡写真を示す図。 参考例で得た蛍光体の励起・蛍光スペクトルを示す図。 実施例1〜4で得た蛍光体の走査型電子顕微鏡写真を示す図。
本発明は、一般式:AMF:Mnで表される蛍光体の製造方法である。
一般式における元素Aは、アルカリ金属元素であり、好ましくはNa(ナトリウム)、K(カリウム)、Rb(ルビジウム)から選ばれる一種以上の元素である。
一般式における元素Mは、Si(ケイ素)、Ge(ゲルマニウム)、Sn(スズ)、Ti(チタン)、Zr(ジルコニウム)及びHf(ハフニウム)から選ばれる一種以上の金属元素であり、蛍光特性と化学的安定性からSi、Ge、Tiが好ましい。本発明に係る蛍光体の蛍光特性は、元素Mの種類に影響される。
Fはフッ素である。Mnは、マンガンであり、蛍光体の発光中心物質である。
本発明の蛍光体の製造方法は、図1に示すように、原料である元素A、元素M及びMnをフッ化水素酸に溶融させた溶液を製造する溶液製造工程と、当該溶液にAMF:Mn粒子、AMF粒子の少なくとも一方を種結晶として添加して混合して懸濁液を製造する懸濁液製造工程と、当該懸濁液から蛍光体を析出させる析出工程とを有する。当該析出工程後、後処理工程として、析出工程後の蛍光体に洗浄工程、固形分分離工程、乾燥工程を施すことができる。
<溶液製造工程>
溶液製造工程は、フッ化水素酸に元素A、元素M及びMnを溶解させたフッ化水素酸溶液を製造する溶液製造工程であり、元素Aはアルカリ金属元素であり、元素MはSi、Ge、Sn、Ti、Zr及びHfから選ばれる一種以上の四価の金属元素である。
溶液製造工程でのフッ化水素酸のフッ化水素濃度は、高いほど原料元素を高濃度で溶解させ、高い生産性で蛍光体を析出することができるが、高すぎると蒸気圧が高くなって取扱いの危険性が大きくなる。フッ化水素濃度が低すぎると原料元素の溶解量が低くなり、収量が低下する。そのため、フッ化水素濃度は40質量%以上70質量%以下が好ましい。
原料としての元素A、元素MとMnは、蛍光体と同じ化合物(Mnを含まないものを含む。)、又は、フッ化水素酸に溶解されて相互に反応して蛍光体になり得る複数の化合物がある。
後者の化合物としては、元素Aのフッ化物、フッ化水素塩、硝酸塩、炭酸塩、酢酸塩、塩化物などと元素Mの酸化物、フッ化水素化合物がある。
Mnの原料としては、フッ化水素酸に溶解し蛍光体中にMn4+として存在させるため、KMnFが好ましい。
原料の元素の組成は、得ようとする蛍光体の組成比に応じて選定され、実際には、構成元素の種類によって溶液からの析出しやすさが異なるため、仕込み組成と合成粉組成の差異が生じる。
例えば、原料として、KSiF粉末とKMnF粉末をフッ化水素酸に溶解し貧溶媒を混合して析出させた生成物でのMn/Si比は、原料のMn/Siよりも小さくなる。この場合、合成粉で目的とするMn量を得るためには原料KMnF粉末を過剰に添加する。
原料組成は、目的組成に応じて適宜組成範囲を調整しなければならない。
<懸濁液製造工程>
懸濁液製造工程は、フッ化水素酸にA、MとMnとを溶解させたフッ化水素酸溶液に、AMF:Mn粒子、AMF粒子の少なくとも一方を種結晶として添加して懸濁液を製造する工程である。
前記種結晶は、溶液に添加すると飽和状態になるまで溶解され、溶解しなかった残りが製造対象の蛍光体の核となる。
<種結晶>
MF:Mn粒子、AMF粒子の少なくとも一方を種結晶として添加したのは、次の理由による。
蛍光体の溶液からの析出は、添加した種結晶の表面になされると共に溶液からの結晶核生成によって生じる。種結晶が大きいと大きい蛍光体を得る傾向にあり、種結晶が小さいと小さい蛍光体を得る傾向にある。種結晶の個数が多いと、析出物が数多くの種結晶に割り当てられるために、小さい蛍光体を得る傾向にある。種結晶の個数が少ないと、単位種結晶当たりの析出量が増え、大きい蛍光体を得る傾向にある。
蛍光体の粒度制御は、種結晶の大きさと個数の調整により、可能である。蛍光体の粒度は、白色LEDに適用される場合、平均粒径で10μm以上40μm以下であり、この範囲の蛍光体を得るためには、種結晶の平均粒径は8μm以上35μm以下が好ましい。
種結晶の添加量は、少なすぎると析出工程で種結晶以外に結晶核生成が起こって粒度制御が困難になる傾向にあり、多すぎると蛍光体中の析出量/種結晶比率が著しく低くなって生産性が低くなる傾向にある。前記フッ化水素酸溶液中の種結晶濃度は、0.01mol/kg以上0.2mol/kg以下になる様に種結晶添加量を調整することが好ましい。上記種結晶濃度とは、懸濁液単位質量当たりの種結晶のモル数である。
前記フッ化水素酸溶液が飽和溶液の場合は、種結晶として添加した粉末の粒度、量がそのまま懸濁液中の種結晶のサイズと個数に対応するが、未飽和の場合には一部が溶解するために、その溶解分を考慮する必要がある。フッ化水素酸溶液の溶質濃度が低い場合、種結晶として添加した粉末の溶解量が著しく多くなって制御し難くなるので、フッ化水素酸溶液の溶質濃度を高くするのが好ましい。
種結晶の形状は、単粒子と、この単粒子同士が凝集した凝集粒子があり、凝集粒子より単粒子が好ましい。凝集粒子が好ましくないのは、フッ化水素酸溶液へ添加された凝集粒子はその凝集が崩れ、添加した種結晶の粒径と実際にフッ化水素酸溶液に分散している種結晶粒子の粒径との間に乖離が生じ、粒度制御の困難化が生じるためである。凝集粒子が好ましくないのは、粒成長させると、各々の粒子の成長による複雑な形状化があるためでもある。
種結晶でのAMF:Mn粒子、AMF粒子の元素A及びMは、蛍光体の設計上、前記フッ化水素酸溶液での元素と同一でなくても構わない。
<析出工程>
析出工程は、懸濁液製造工程によって製造された懸濁液にフッ化水素酸と相溶する液体を混合することによって前記種結晶上に一般式AMF:Mnを析出させる工程である。
析出工程は、液体の混合により、溶媒に対するAMF:Mnの飽和溶解度を低下させて、蛍光体を析出させる工程である。混合する液体は、溶媒に対するAMF:Mnの飽和溶解度を低下させる機能を有する液体であり、具体的には、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びアセトンから選ばれる一種の液体若しくは二種以上を混合した液体がり、取扱い易さや安全性から、水が好ましい。
<後処理工程>
析出工程で得られた蛍光体としてのAMF:Mnは、後処理工程として、析出工程後の蛍光体に洗浄工程、固形分分離工程、乾燥工程を設けることができる。
洗浄工程は、析出工程後の液体と蛍光体を、ろ過、遠心分離、デカンテーションなどの方法によって液体と蛍光体に分離した後、メタノール、エタノール、アセトン等の有機溶剤で洗浄する工程である。
洗浄工程において、蛍光体を水で洗浄すると蛍光体の一部が加水分解し茶色のマンガン化合物が生成するために蛍光体の特性が低下する。有機溶剤を用いるのは、これを発生させないためである。
洗浄工程において、有機溶剤での洗浄前にフッ化水素酸で数回洗浄を行うと、微量生成していた不純物を、より効果的に溶解除去することができる。この場合のフッ化水素酸の濃度は、フッ化物蛍光体の加水分解抑制の観点から、5質量%以上が好ましい。
固形分分離工程は、洗浄工程後の蛍光体と、前記洗浄液を分離する工程であり、例えばろ過により行われる。
乾燥工程は、蛍光体に残存して付着している洗浄液を完全に蒸発させる工程である。
乾燥工程後、蛍光体の粒度の均一化と最大粒径を調整するために、蛍光体の分級を行うことが好ましい。分級工程は、具体的には、篩を通過したものと、通過しなかったものに分ける方法がある。
実施例を、参考例と比較しつつ、表と図を用いて、詳細に説明する。表1は、実施例と参考例の製造条件と製造された蛍光体の評価結果であり、表2は、実施例で用いた種結晶の特性値を示した表である。種結晶No1乃至No4は全て電気化学工業株式会社製試作品である。


(参考例)
参考例としての一般式AMF:Mnの蛍光体の製造方法を説明する。この蛍光体は、元素AとしてK、元素MとしてSiを採用した。参考例及び実施例の製造方法は、特に温度を言及した工程以外、全て環境温度23℃で行った。
参考例の蛍光体の製造方法は、従来の製造方法であり、蛍光体の原料は、KSiF(森田化学株式会社製、純度98%以上)及びKMnFを採用した。いずれも粉末状である。KMnFの製造工程について説明する。
<KMnFの製造工程>
容量1リットルのテフロン(登録商標)製のビーカーに濃度40質量%フッ化水素酸800mlを入れ、粉末状のKHF(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)260g及び過マンガン酸カリウム粉末(和光純薬工業株式会社製、試薬1級)12gを溶解させた。
このフッ化水素酸反応液をマグネティックスターラーで撹拌しながら、30%過酸化水素水(和光純薬工業株式会社製、特級試薬)8mlを少しずつ滴下した。
過酸化水素水の滴下量が一定量を超えると黄色粒子が析出し始め、反応液の色が紫色から変化し始めた。過酸化水素水を一定量滴下後、しばらく撹拌を続けた後、撹拌を止め、析出粒子を沈殿させた。
<KMnFの洗浄工程>
沈殿後、上澄み液を除去し、メタノールを加え、撹拌・静置し、上澄み液を除去し、更にメタノールを加えるという操作を、液が中性になるまで繰り返した。
その後、ろ過で析出粒子を回収し、更に乾燥を行い、メタノールを完全に蒸発除去し、粉末状のKMnFを19g得た。
<蛍光体の製造工程>
容量3000mlのテフロン(登録商標)製のビーカーに濃度55質量%フッ化水素酸1000mlを入れ、粉末状のKSiF(森田化学株式会社製、純度98%以上)30gと前述のKMnFを5g加え、十分に撹拌して溶解した。
このフッ化水素酸水溶液を撹拌しながら、蒸留水1500mlをビーカーにより約1分間で注ぎ入れた。蒸留水の投入により、反応液中に黄色粉末が生成していることを目視にて確認した。
<蛍光体の洗浄工程>
蒸留水全量を入れた後、更に、20分間撹拌し、その後、静置して固形分を沈殿させた。沈殿確認後、上澄み液を除去し、20質量%のフッ化水素酸及びメタノールでの洗浄を行い、濾過により固形部を分離回収し、更に乾燥処理により、残存メタノールを蒸発除去し、蛍光体粉末を得た。
乾燥処理後の蛍光体に対し、目開き75μmのナイロン製篩を通過させたものに限定した。
以上の工程により、蛍光体としてのKSiF:Mnを得た。
表1に示す蛍光体の結晶相評価、粒度分布測定、走査型電子顕微鏡観察、蛍光特性(励起・蛍光スペクトル、量子効率)評価の方法について説明する。
<結晶相>
蛍光体の結晶相は、X線回折装置(リガク株式会社製Ultima IV)を用いて、X線回折パターンで測定した。その測定には、CuKα管球を使用した。参考例の製造方法で得た蛍光体のX線回折パターンを図2に示す。X線回折パターンより、KSiF結晶と単一であった。
<粒度分布>
蛍光体の粒度分布は、レーザー回折散乱式の粒度分布測定装置(ベックマン・コールター社製LC13 320)により測定した。測定溶媒には、エタノールを使用した。得られた累積粒度分布曲線から、10体積%径(D10)、50体積%径(D50)、90体積%径(D90)を求めた。参考例の製造方法で得た蛍光体の平均粒径は、30.3μmであった。平均粒径は、この場合、D50を意味する。
前記蛍光体の平均粒径(D50)の合格値は10〜40μmであり、参考例の蛍光体は、30.3μmであった。
<蛍光体の粒子形態>
蛍光体の粒子形態は、表1には示さなかったが、走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製JSM−7001F SHL)により測定した。参考例の蛍光体の走査型電子顕微鏡写真を図3に示す。
<励起・蛍光スペクトル>
図4に、分光蛍光光度計(株式会社日立ハイテクノロジーズ製 F−7000)で測定した参考例の蛍光体の励起・蛍光スペクトルを示す。
この測定における蛍光スペクトルの励起波長は455nm、励起スペクトルのモニター蛍光波長は632nmである。この蛍光体は、ピーク波長350nm近傍の紫外光とピーク波長450nm近傍の青色光の二つの励起帯を有し、600nm以上700nm以下の赤色域に複数の狭帯発光を有する蛍光体であった。
<蛍光測定>
表1に示す蛍光測定は、次の方法により、常温下で評価した。
積分球(φ60mm)の側面開口部(φ10mm)に反射率が99%の標準反射板(Labsphere社製、スペクトラロン)をセットした。この積分球に、発光光源(Xeランプ)から455nmの波長に分光した単色光を光ファイバーにより導入し、反射光のスペクトルを分光光度計(大塚電子株式会社製、MCPD−7000)により測定した。その際、450〜465nmの波長範囲のスペクトルから励起光フォトン数(Qex)を算出した。次に、凹型のセルに表面が平滑になるように蛍光体を充填したものを積分球の開口部にセットし、波長455nmの単色光を照射し、励起の反射光及び蛍光のスペクトルを分光光度計により測定した。
得られたスペクトルデータから励起反射光フォトン数(Qref)及び蛍光フォトン数(Qem)を算出した。
励起反射光フォトン数は、励起光フォトン数と同じ波長範囲で、蛍光フォトン数は、465〜800nmの範囲で算出した。
得られた三種類のフォトン数から外部量子効率(=Qem/Qex×100)、吸収率(=(Qex−Qref)×100)、内部量子効率(=Qem/(Qex−Qref)×100)を求めた。
参考例の蛍光体の吸収率、内部量子効率、外部量子効率は、それぞれ76.5%、80.1%、61.2%であった。
内部部量子効率での合格値は75%以上である。
参考例の蛍光体をセットして測定したスペクトルについてJIS Z 8724(色の測定方法−光源色−)に準じた方法で、JIS Z 8701に規定されるXYZ表色系における算出法により、CIE1931等色関数を用いて色度座標(x,y)を算出した。色度座標算出に用いる波長範囲は465〜780nmとした。参考例の色度座標(x,y)は、(0.693,0.306)であった。
<種結晶>
表2に、実施例で用いる種結晶としてのKSiF:Mnのデータを示す。Mn含有量はICP(Inductively Coupled Plasma)法により測定した値である。
実施例1の蛍光体の製造方法は、一般式AMF:Mnの製造方法であり、元素AはK、元素MはSiである。
<製造工程>
容量2000mlのテフロン(登録商標)製のビーカーに濃度55質量%フッ化水素酸500mlを入れ、KSiF粉末(森田化学株式会社製、純度98%以上)30g及び表1の種結晶1のKMnFを2.5g加え、十分に撹拌し、フッ化水素酸溶液を調整した。
このフッ化水素酸溶液に表2の種結晶No1のKSiF:Mnを20g添加(懸濁液中の種結晶濃度は、0.14mol/kg)して、しばらく撹拌を行い、実施例1の懸濁液を調製した。
この溶液を撹拌しながら、蒸留水750mlをビーカーにより約1分間で注ぎ入れた。蒸留水全量を入れたのち、30分撹拌し、その後、静置して固形分を沈殿させた。
<後処理工程>
沈殿確認後、上澄み液を除去し、20質量%のフッ化水素酸で洗浄した後、メタノールで洗浄し、ろ過により固形部を分離回収し、更に乾燥処理により、残存メタノールを蒸発除去した。
乾燥処理後の蛍光体に対し、目開き75μmのナイロン製篩を通過させたものだけに分級し、実施例1のKSiF:Mn蛍光体粉末を得た。得られた蛍光体の回収量は、38.4gであった。
実施例1の蛍光体に対して、X線回折測定を行ったところ、結晶相はKSiF単相であった。励起・蛍光スペクトルは図4に示した参考例と全く同じ形状であった。実施例1の蛍光体の走査電子顕微鏡写真を図5(A)に示す。
実施例2及び3は、種結晶を変更した以外、実施例1と同じ製造方法である。実施例2、3の蛍光体の走査電子顕微鏡写真を図5(B)、(C)に示す。
表1に示されているように、得られた蛍光体の粒径は、添加した種結晶の粒径に応じて変化した。図5の走査型電子顕微鏡写真から分かる様に、蛍光体粒子はほぼ単一粒子からなり、そのサイズ分布も小さいことから、添加した種結晶が核となり選択的に成長が進行していることが推察される。
実施例1〜3のいずれの蛍光体も内部量子効率は80%以上であり、種結晶の種類に関わらず、高い内部量子効率の蛍光体であった。
吸収率は、粒子サイズの増加に伴い、増大した。
色度は、蛍光スペクトル形状に違いが無いため、ほとんど同じであった。
種結晶の大きさにより、蛍光体の高い量子効率を維持したままで粒子の大きさを制御するができる。
<実施例4>
実施例4の蛍光体の製造方法は、実施例3で使用した種結晶を用いた。種結晶の添加量を5g(懸濁液中の種結晶濃度は0.036mol/kg)とした以外、実施例3と同じ製造方法である。
実施例4の蛍光体の製造方法で得られた蛍光体は23gであり、KSiF結晶単相であり、平均粒径は28.2μm、455nmの青色光励起での吸収率、内部量子効率、外部量子効率は、それぞれ73.8%、85.2%、62.9%であり、色度座標(x、y)は、(0.688、0.307)であった。励起・蛍光スペクトルは参考例(図4)と全く同じ形状であった。
実施例4の蛍光体の走査型電子顕微鏡写真を図5(D)に示す。実施例4の蛍光体粒子はほぼ単一粒子からなり、そのサイズ分布も小さいことから、添加した種結晶が核となり選択的に成長が進行していることが推察される。
種結晶の添加量の調整により、蛍光体の高い量子効率を維持したままで粒子の大きさを制御できた。
<実施例5>
実施例5の蛍光体の製造方法は、種結晶として実施例3で使用したものと同じ粒径でMnを含有しないKSiF粉末を使用した以外、実施例4と同じ製造方法である。
実施例5の蛍光体の製造方法で得られた蛍光体は23gであり、KSiF結晶単相であり、平均粒径は28.6μm、455nmの青色光励起での吸収率、内部量子効率、外部量子効率は、それぞれ68.5%、83.8%、57.4%であり、色度座標(x、y)は、(0.690、0.306)であった。
原料として、Mnを含有しないKSiFであっても、蛍光体の粒子の大きさの制御用の種結晶として使用することができた。
<他の実施例>
表1には記載しなかった他の実施例について説明する。
実施例1での元素AとしてのKをNaとした場合、実施例1と同様な効果を発揮した。
実施例1での元素Aとしての原料を、元素Aのフッ化物、元素Aのフッ化水素塩、元素Aの硝酸塩、元素Aの炭酸塩、元素Aの酢酸塩、元素Aの塩化物液とした場合、実施例1と同様な効果を発揮した。
実施例1での元素Aを、Naとした場合、Rbとした場合、K及びNaとした場合、K及びRbとした場合、Na及びRbとした場合、K、Na及びRbとした場合、それぞれ実施例1とほぼ同様な効果を発揮した。
実施例1での元素Mを、Geとした場合、Snとした場合、Tiとした場合、Zrとした場合、Hfとした場合、Si及びGeとした場合、Si及びSnとした場合、Si及びTiとした場合、Si及びZrとした場合、Si及びHfとした場合、Ge及びSnとした場合、Ge及びTiとした場合、Ge及びZrとした場合、Ge及びHfとした場合、Sn及びTiとした場合、Sn及びZrとした場合、Sn及びHfとした場合、Ti及びZrとした場合、Ti及びHfとした場合、Zr及びHfとした場合、Si、Ge及びSnとした場合、Si、Ge及びTiとした場合、Si、Ge及びZrとした場合、Si、Ge及びHfとした場合、Si、Sn及びTiとした場合、Si、Sn及びZrとした場合、Si、Sn及びHfとした場合、Si、Ti及びZrとした場合、Si、Ti及びHfとした場合、Si、Zr及びHfとした場合、Si、Ge、Sn及びTiとした場合、Si、Ge、Sn及びZrとした場合、Si、Ge、Sn及びHfとした場合、Si、Ge、Ti及びZrとした場合、Si、Ge、Ti及びHfとした場合、Si、Ge、Zr及びHfとした場合、Si、Ge及びTiを用いた方が蛍光特性は優れたが、いずれも実施例として平均粒径を10〜40μmの範囲で制御可能であった。

Claims (4)

  1. 一般式AMF:Mnで表される蛍光体を製造する蛍光体の製造方法であって、元素Aはアルカリ金属元素であり、元素MはSi、Ge、Sn、Ti、Zr及びHfから選ばれる一種以上の四価の金属元素であり、Fはフッ素、Mnはマンガンであり、
    フッ化水素酸に元素A、元素M及びMnを溶解させたフッ化水素酸溶液を製造する溶液製造工程と、
    当該溶液に、AMF:Mn粒子、AMF粒子の少なくとも一方を種結晶として混合して懸濁液を製造する懸濁液製造工程と、
    当該懸濁液にフッ化水素酸と相溶する相溶液を混合して当該種結晶の表面に一般式AMF:Mnを析出させる析出工程を有する蛍光体の製造方法。
  2. 前記析出工程での相溶液が、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びアセトンから選ばれる一種以上の液体である請求項1記載の蛍光体の製造方法。
  3. 前記懸濁液製造工程で製造された懸濁液中の種結晶濃度が0.01mol/kg以上0.2mol/kg以下である請求項1又は2記載の蛍光体の製造方法。
  4. 前記懸濁液製造工程で添加される種結晶の平均粒径が8μm以上35μm以下である請求項1乃至3のいずれか一項記載の蛍光体の製造方法。
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