JP2017061126A - インクジェット装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】キャリッジに整流スカートとセンサユニットの両方を搭載した実用的なインクジェット装置を実現する。
【解決手段】液体を吐出するヘッド2を搭載し往復移動するキャリッジ3と、前記キャリッジに取り付けられ、シートから情報を読み取るセンサユニット13と、前記キャリッジの下部に取り付けられ、シートと対向する整流面を備えた整流スカート5と、を有し、前記キャリッジの外側において、前記整流スカートの上に前記センサユニットが配置されている。
【選択図】図5

Description

本発明は、キャリッジにセンサユニットが搭載されたインクジェット装置に関する。
特許文献1および特許文献2には、シリアル方式のインクジェットプリント装置が開示されている。シリアル方式では、キャリッジを移動させながらヘッドからインクを吐出させる動作と、シートをステップ送りする動作を繰り返して画像を形成していく。
このようなシリアル方式のプリント装置においては、キャリッジの移動に伴ってプリントヘッドの周囲及びプリントヘッドとシートの間に乱気流が発生して、インクの着弾位置を乱す可能性がある。そこで特許文献1では、キャリッジの下部に整流スカートを設け、乱気流を整流して画像品位の低下を防ぐ構成を提案している。一方、特許文献2は、シートの情報を光学的に検出するために、キャリッジの脇にセンサユニットを取り付けた構成を提案している。
特開2002−361858号公報 特開2007−62222号公報
本願発明者らは、特許文献1のような整流スカートと、特許文献2のようなセンサユニットの両方をキャリッジに搭載することを検討した。その実現のためには、次のような解決すべき技術課題があることを見出した。
特許文献1と特許文献2とを単純に組み合わせると、キャリッジの外側にセンサユニットを支持し、さらにセンサユニットの外側に整流スカートを支持する形態となる。この場合、キャリッジとセンサユニットとの結合部において段差や隙間ができるので、整流スカートを設けたとしても、この段差や隙間において乱気流が発生して十分な整流効果が得られない。
また、インクジェットヘッドは、インクを吐出する際に意図しないインクミストが発生する。整流スカートを設けた形態では、整流スカートの下面に多くのインクミストが付着して汚れやすい。汚れがさらに進むとミストが液化してシートやプラテンに垂れ落ちる可能性がある。加えて、センサユニットを構成する部品、例えば発光素子や受光素子にインクミストが付着しやすい。このミスト汚れはセンサの検出精度の低下を引き起こす要因となる。
本発明は上記課題の認識に鑑みなされたものである。本発明の目的の一つは、キャリッジに整流スカートとセンサユニットの両方を搭載した実用的な装置を実現することである。本発明の別の目的は、キャリッジの下部に設けた整流スカートによる整流効果を従来以上に高めることである。本発明のさらに別の目的は、キャリッジに搭載されたセンサユニットの構成部品へのインクミストの付着を従来よりも効果的に抑制することである。
本発明の一つの形態のインクジェット装置は、液体を吐出するヘッドを搭載し、往復移動するキャリッジと、前記キャリッジに取り付けられ、シートから情報を読み取るセンサユニットと、前記キャリッジの下部に取り付けられ、シートと対向する整流面を備えた整流スカートと、を有し、前記キャリッジの外側において、前記整流スカートの上に前記センサユニットが配置されていることを特徴とする。
本発明によれば、キャリッジに整流スカートとセンサユニットの両方を搭載した実用的な装置が実現し、長期間に渡ってセンサの検出精度が高く維持される。
インクジェット装置の全体構成を示す斜視図 キャリッジの周辺の構成を示す拡大斜視図 キャリッジの正面断面図 キャリッジの下面図 気流の流れを示した正面断面図 センサユニットの構成を示す図 センサユニットをキャリッジに取り付けた状態を示すキャリッジ右側面図 別の実施形態の構成および気流の流れを示す正面断面図 図8の実施形形態の作用効果を説明するための説明図
本発明の実施形態として、二次元もしくは三次元のインクジェットプリント装置について説明する。なお、本発明はプリント装置に限らず、キャリッジに搭載された液体吐出ヘッドから吐出した液体により対象物の製造、加工、処理などを行う、種々のインクジェット装置(液体吐出装置)に適用可能である。
図1はプリント装置100の全体構成を示す斜視図である。プリント装置100は、インクジェット方式のプリントヘッド2、キャリッジ3、ガイド軸4、タイミングベルト7、フレキシブルケーブル9、インクチューブ18、インクタンク(不図示)、プラテン25およびセンサユニット13を備えている。プリント装置100はシリアルプリント方式のインクジェット装置である。
プリントヘッド2には複数のノズルが設けられており、矢印Z方向(吐出方向)にノズルから吐出されたインクはシート1の表面に付与される。インクを吐出させるエネルギ発生素子としては、発熱素子、ピエゾ素子、静電素子、MEMS素子など如何なる素子を用いたものであってもよい。
キャリッジ3は、ガイド軸4によって摺動可能に支持されており、シート1の面に沿ってX方向(主走査方向)の往復移動が案内される。キャリッジモータからの駆動力をタイミングベルト7などの駆動力伝達機構がキャリッジ3に伝達することによって、キャリッジ3は移動可能となる。キャリッジ3の移動範囲の一方の端部にはキャリッジモータに接続されたプーリが配置され、他方の端部にはアイドルプーリ6が配置されている。プーリおよびアイドルプーリ6の間にはタイミングベルト7が張架されており、タイミングベルト7にキャリッジ3が連結されている。ガイド軸4を中心としてキャリッジ3が回転することを防止するために、プリント装置100にはガイド軸4に対して平行に延在するサポート部材が設置されている。キャリッジ3はこのサポート部材によっても摺動可能に支持されている。
キャリッジ3には、プリントヘッド2が着脱可能に搭載されている。プリント装置100内に搭載されたインクタンク(不図示)の内部にはインクが収容されている。このインクがプリント装置100内とキャリッジ3の上に引き回されたインクチューブ18を介してプリントヘッド2に供給される。インクチューブ18は2系統に分けられ、キャリッジの左右側面に沿って引き回されている。これら2系統のインクチューブ18は、共通するチューブジョイント19を介してプリントヘッド2に接続されており、プリントヘッド2の着脱の際はチューブジョイント19がプリントヘッド2に対して接続・離間する。なお、プリントヘッド2とインクタンクとが別個に構成されている場合について説明するが、プリントヘッド2とインクタンクとが一体的にインクカートリッジとして構成された状態でキャリッジ3に搭載される形態でもよい。
キャリッジ3には、光学式のセンサユニット13が搭載されている。センサユニット13は複数の計測機能を有するマルチセンサであり、シート1からの情報を光学的に取得する。センサユニット13は、後述する発光素子22および受光素子23などの光学部品(センサ構成部品)を含んで構成されている。
キャリッジ3は、フレキシブルケーブル9を介して、プリント装置100の制御部を構成する電気基板と接続されており、これによって、プリントヘッド2の各ノズルからのインクの吐出やセンサユニット13による測定などを制御する。
インク付与の対象物であるシート1(シート)は、搬送モータによって、主走査方向(矢印X方向)と交差する副走査方向(矢印Y方向)へプラテン25上を搬送される。プリント動作時においては、搬送ローラによって所定の位置まで搬送されたシート1に対して、プリントヘッド2がプリント動作を行う。キャリッジ3のX方向への移動にともなって、キャリッジ3に搭載されたプリントヘッド2がプリントデータに応じた適切なタイミングにてシート1に向けてインクを吐出する。このプリント走査が終了すると、シート1をY方向へ所定量搬送し、次のプリント走査を行う。このように、プリント走査の動作とシートのステップ送りの動作とを交互に繰り返すシリアルプリント方式により、シート1の上に画像もしくは三次元の立体物が形成される。
図2は、図1に示すキャリッジ3の周辺の構成を示す拡大斜視図である。キャリッジ3にはプリントヘッド2およびセンサユニット13が搭載されている。センサユニット13は、キャリッジ3の移動方向(X方向)における先頭または後尾となるキャリッジ3の左右側面に取り付けられている。センサユニット13は、キャリッジ3の移動に伴い移動し、シート1にプリントされたパッチの濃度測定、シート1のエッジ位置の検出、シート1にプリントされたパターンの検出などに用いられる。センサユニット13はプリント動作中、プリント非動作中のいずれにもいてもセンシングを行うことができる。
センサユニット13には、キャリッジ走行の際に空気を取り込む開口である吸気口61が設けられている。さらにキャリッジ3の下部には、2つの整流スカート5(整流部材)が取り付けられている。この整流スカート5について、図3、図4を用いてさらに詳しく説明する。
図3はキャリッジを正面(Y方向)から見た正面断面図であり、図3(a)はプリントヘッド2が非搭載の状態、図3(b)はプリントヘッド2が搭載された状態をそれぞれ示す。図4はキャリッジを下(Z方向)から見た下面図である。
整流スカート5は、キャリッジ3が移動する際にプリントヘッド2とシート1間に発生する乱気流を抑制し、乱気流によるインク滴の着弾ズレを軽減する作用を果たす。2つの整流スカート5は、X方向においてプリントヘッド2のノズル部を両側から挟むようにして、キャリッジの下面に支持されている。
整流スカート5の底は平らな整流面5bを持つ。整流スカート5の内側端部はプリントヘッド2のノズル面2a近傍の突当部2bに当接し、且つ、整流面5bは、突当部2bの下からキャリッジ3の外側までX方向において延在している。2つの整流スカートのうち、センサユニット13の側の整流スカート5は、センサユニット13の下を覆い、さらにその外側の範囲まで伸びている。X方向において、整流スカート5の最外端(プリントヘッドから最も離れた端部)は、上向き(シートから離れる向き)に折り曲げられた斜面部5aとなっている。これはキャリッジが走行する際に、浮き上がったシート1に引っかかりにくくするためである。
この構成により、各部品のつなぎ目のすべて整流スカート5で覆われて、ノズル面2aの近傍からキャリッジの3の外側までが連続した平面として整流面5bが形成される。とくにキャリッジ3とセンサユニット13の間には大きな隙間や段差があって乱気流を起しやすいが、そこが整流面5bで覆われているので効果的に整流がなされる。
ただし、センサユニット13の下に整流スカートが存在するので、センシングの妨げとならないように、発光素子22および受光素子23の光軸が通る2箇所には、整流スカート5にセンシングための貫通孔である小さな開口5cを形成している(図4参照)。
整流スカート5の整流面5bとプリントヘッド2のノズル面2aとの間では、Z方向における段差を極力少なくすることが望ましい。そこで、整流スカート5の内側端部を、プリントヘッド2の一部分(突当部)に当接させて、プリントヘッド2を基準にして整流スカート5のZ方向を位置決めする構造をとっている。具体的には、整流スカート5は、キャリッジ3の底部に対して、回動軸8aを中心として小さな角度範囲で回動可能に取り付けられており、回動によりわずかに姿勢変化することを許容する。プリントヘッド2の底部には、角部を切り欠いて突当部2bが形成されている。図3(a)のように、プリントヘッド2をキャリッジ3に装着すると、突当部2bが整流スカート5の端部に当接して押し下げて整流スカート5が回動し、整流面はプラテン(シート)と平行な水平姿勢に固定される。回動軸8aには、整流スカート5をプリントヘッド2に突き当てる付勢力を与えるために、ねじりコイルバネ8bが取り付けられている。この付勢力により、キャリッジの走行中にも、整流スカート5の端部とプリントヘッド2の突当部2bとは常に密着した状態が維持される。
このように、図3(a)のようにプリントヘッド2を装着した状態では、プリントヘッド2のノズル面2aと、整流面5bは略同一の高さ(シートまでの距離が略同一)となる。このため、ノズル面2aとそれを両側から挟む2つ整流面5bは全体として、実質的には一つの平面と見做すことができる。したがって、キャリッジ3の底部全体がフラットな面となり、乱気流の発生を効果的に抑制することができる。
図3の(a)のように、キャリッジ3にプリントヘッド2が搭載されていない状態では、ねじりコイルバネ8bの付勢力により、整流スカート5がキャリッジ3に底面に設けられた突起からなる規制部33に当接して、これ以上の回動(姿勢変化)が規制される。プリントヘッド2がキャリッジ3に搭載されていない状態(例えば工場から出荷されたプリント装置の物流時)にプリント装置に大きな衝撃が加わっても、整流スカート5がプラテン25に接触して破損することが防がれる。
プリントギャップ(ノズル面とシートの間の距離)を変えるため、キャリッジ3はプラテン25に対して高さ方向(Z方向)に移動して機構を有している。この例では、プリントギャップの調整範囲は1〜3mmである。プリントギャップが最も小さい場合(1mm)でも、整流スカート5の最下部(斜面部5aと整流面5bの境界)がプラテンに接触しないことが求められる。これを満たす整流スカート5の回動範囲となるように、規制部33の位置及び突起高さ、回動軸8a、整流スカート5の寸法関係が決められている。すなわち、最小のプリントギャップにおいて、整流スカート5の姿勢が変化しても、整流スカート5がプラテン25の表面に接触しないようになっている。
次に、整流スカート5の更なる詳細について説明する。プリントヘッドからインクを吐出するのに伴ってインクミストが発生する。整流スカート5はこのインクミストを大量に含む空気をミスト発生直後に整流するので、整流面5bにはインクミストが多く付着する。連続して長時間プリントを実行すると、整流面5bに大量に付着したインクミストが液化して、シートまたはプラテンに垂れ落ち、印刷物を汚す可能性がある。このように、整流スカート5の整流面には多くのインクミストが付着して汚れやすく、汚れがさらに進むとミストが液化して垂れ落ちる印刷不良を引き起こす原因となる。加えて、発生したインクミストは、センサユニットを構成する部品、例えば発光素子や受光素子にも付着しやすい。このミスト汚れはセンサの検出精度の低下を引き起こす要因となる。
これに対処するため、図4に示すように、整流面5bに多数の微細な溝5dを等間隔の配列ピッチで形成している。これにより整流面5bの実質的な表面積が増大する。整流面5bにおいてミストが液化しても、溝に沿って液体が広がり、且つ、大きな表面積の表面張力で液体が保持されるので、液滴が落下しにくくなる。
これらの溝5dは、インクを吐出するノズル列と交差する方向に延びるように配されている。本例では、キャリッジの移動方向(X方向)が長手方向となるように配列して、相対的に気流が流れる方向と溝の方向と同じにしている。これにより溝の段差が気流を乱す確率が小さくなる。また、仮にシートが浮き上がって整流スカート5と接触しても、溝5dがキャリッジの移動方向と平行であれば引っかかり難くシートのダメージが抑えられる。以上の作用効果を顕著に奏するための、溝5dの配列ピッチ(隣り合う溝同士の間隔)は、5mm以下、より好ましくは1mm以下である。
このように、整流面に形成されている複数の溝により高い整流効果が得られるとともに、整流面に付着したミストが液化しても、溝に沿って液体が広がり且つ大きな表面張力で液体が保持されるのでるので、整流面から液体が垂れ落ちにくくなる。
図5を用いて、整流スカート周辺の気流の流れについて説明する。同図は、整流スカートにおける気流の流れを示した正面断面図である。同図は、キャリッジ3が矢印11の向き(所定方向)に移動しているときの状態を示す。
キャリッジ3の上部には空気取込口12が設けられており、キャリッジが矢印11の向きに移動する際に、空気取込口12から空気17aが自然流入する。空気取込口12はキャリッジ内のダクト15へと通じており、ダクト15は整流スカート5の上面へと繋がっている。なお、ダクト15は必ずしも気密な流路として設けたものなくてもよい。要は、空気取込口12から流入した空気が整流スカート5に向けて下方に流れるような、キャリッジ3内の空間が存在すればよい。
ここで、2つの整流スカートのうち、センサユニット側の整流スカート5には、ダクト15に向かい合う所定の位置に、複数の貫通孔16が形成されている。センサユニットが無い側の整流スカートには、不要なので孔は設けられていない。
キャリッジが矢印11の向きに走行すると、キャリッジの走行に伴って空気取込口12から自然流入した空気は、流入の勢いでダクト15に沿って流れ、整流スカート5の上に到達する。そして、貫通孔16を通り抜けてシートに向けて下方に排出される。
ここで、空気取込口12は、ミスト発生源であるプリントヘッド2のノズルから、プリントヘッドやキャリッジ構造体などの遮蔽物を挟んで十分離れている。さらに、空気取込口12には、走行するキャリッジの上流側のインクミストが少ないフレッシュな空気17aが取り込まれる。そのため、ダクト15を伝って貫通孔16から下方に向けてフレッシュな空気17bが噴き出る。
一方、貫通孔16の上流からは、プリントヘッド2のノズルからインク吐出17eに伴って発生したインクミストを含む汚れた空気の気流17dが、相対的にセンサユニットの下の空間に流れてくる。先に説明したとおり、2つの整流スカート5の整流面とノズル面は実質的に一体化された一つの平面であり、シートとキャリッジの間の空間の気流17dは、全体として乱気流の発生が少ない。
ここで、貫通孔16から供給されたフレッシュな空気17bは、大きく乱されること無く下流に向かい。乱れの少ない層流となって気流17cが形成される。すなわち、貫通孔16から噴き出た空気は、ミストで汚れた空気の気流17dの上方で且つ整流面5aの直下で気流17cとなる。この気流17cは、その下の気流17dの汚れた空気が整流面5aに触れにくくするシールドの役割を果たし、整流面5bに付着するインクミスト量が大きく軽減される。さらに、整流面5aの貫通孔16の下流には、センサユニット13のセンシングための開口5cが設けられているが、フレッシュな気流17cがシールドの役割を果たして、気流17dの汚れた空気が開口5cからセンサユニット13の中に流れ込むことも阻止する。このように、整流スカート5に貫通孔16を設けることで、整流面5bとセンサユニット13へのインクミストの付着を大きく抑制することができる。
なお、図5の矢印11とは逆の向きにキャリッジが走行する際には、走行の下流側にセンサユニットが存在しないので、センサユニットのミスト汚れは問題とはならない。センサユニットが無い側の整流スカート5の整流面のミスト汚れを軽減することを意図するのであれば、センサユニットが無い側にも、空気取込口を持ったダクトを設け、整流スカートに貫通孔を形成すればよい。なおこの例では、貫通孔16はセンサユニット13の光軸が通過するための開口5cとは別に設けているが、貫通孔16と開口5cと兼用してもよい。
図5においては、センサユニット13の中にも気流17fが生じている。この詳細について以下説明する。
次に、センサユニット13の構成について説明する。図6は、図2に示したセンサユニット13の構成を説明するための図である。図6(a)は組立前のセンサユニットの構成部品を示す図、図6(b)は組み立てられたセンサユニットを示す斜視図である。図6(c)は同図(b)の矢印A方向から見た斜視図である。なお、図6(a)、(b)においては、カバー部材21の内部を透視した状態を示している。
図6(a)に示すように、ベース部材20は内部に空間を有しており、ベース部材20には、センサ構成部品である発光素子22と受光素子23が収容されている。ベース部材20には、貫通孔10aおよび貫通孔10bが設けられている。貫通孔10aは、発光素子22から照射される光を遮らないように、発光素子22の配置に対応する位置に設けられている。貫通孔10bは、反射された光の受光素子23による受光を遮らないように、受光素子23の配置に対応する位置に設けられている。
カバー部材21は、その内部にベース部材20を配置するための空間を有している。また、カバー部材21には、貫通孔14aおよび貫通孔14bが設けられている。カバー部材21とベース部材20とが組み合わせられたときに、ベース部材20の貫通孔10aと対応する位置に貫通孔14aが設けられており、ベース部材20の貫通孔10aと対応する位置に貫通孔14bが設けられている。
ベース部材20は略直方体の形状を有している。ここでは図中に示すZ方向上流側を上と定義する。ベース部材20のY方向下流側の側面20bには連通孔62が設けられている。カバー部材21も略直方体の形状を有している。カバー部材21のベース部材20の入口となる面21fは開放されている。ベース部材20の外形サイズよりもカバー部材21の内形サイズの方が大きく、カバー部材21の内部にベース部材20が部分的に収容される。ベース部材20とカバー部材21とを係合させる際には、ベース部材20の開放されている面である面20eとカバー部材21の開放されている面である面21fとを対向させ、カバー部材21にベース部材20を挿入する。
図6(b)に示すように、センサユニット13は、2つのハウジング部材であるベース部材20とカバー部材21の組み合わせにより、全体のセンサハウジングが構成されている。ベース部材20の一部がカバー部材21で覆われるように両者が結合される。貫通孔10a、14aの2つが重なることで、センサと外部との間に、光照射側の光路となるセンシング孔24aが形成される。また、貫通孔10b、14bの2つの重なることで受光側の光路となるセンシング孔24bが形成される。センシング孔24a、23はセンシングのためのスルーホールであり、光学センサの場合は光が遮られること無く通過する孔の役割を持つ。発光素子22から発せられた光30は、センシング孔24aを通ってシート1に照射され、シート1から散乱反射した光31がセンシング孔24bを通って受光素子23にて受光される。なお、図6(b)では先に説明した整流スカートは省略して描いている。
ここで、カバー部材21のY方向下流側の側面21bと、ベース部材20のY方向下流側の側面20bは、他の箇所よりも大きな間隔が設けられている。この間隔は、カバー部材21とベース部材20を組み合わせた際に、センサハウジングの開口の一つである吸気口61を形成する。この吸気口61の内側の空間は、連通孔62を介してベース部材20の内部空間と連通した一体の空間となり、全体として、センサハウジングの内部空間が形成される。吸気口61の開口の面積は、2つのセンシング孔24a、24bのいずれの孔面積よりも大きく、さらに2つのセンシング孔24a、24bを合計した孔面積よりも大きい。
キャリッジがある向きに移動する際に、吸気口61から取り込まれた空気がセンサハウジングの内部を気流17f(図5参照)として流れることで、発光素子22および受光素子23に付着するインクミストを抑えることができる。具体的には、キャリッジが往方向に移動する際に、移動を利用して吸気口61(第1の開口)に積極的に空気が取り入れられる。この流入した空気は連通孔62を経て、センサハウジングの内部空間を流れ、センシング孔24a、24b(第2の開口)から流出する。このキャリッジ3の走査移動を利用した積極的な気流生成に関して詳細については後述する。
図7を用いてセンサユニット13周辺の構成について説明する。図7はセンサユニット13がキャリッジ3に取り付けられた状態を示すキャリッジ右側面図である。キャリッジ3、センサユニット13、カバー部材21、およびベース部材20の内部を透視した状態を示している。
キャリッジ3のX方向上流側の側面である取付面3eにベース部材20の面20fを密着させ、キャリッジ3にセンサユニット13を取り付ける。これによって、キャリッジ3におけるプリントヘッド2の搭載位置よりもX方向上流側すなわち図中矢印X方向の後方側にセンサユニット13が取り付けられる。センサユニット13の下面(カバー部材21の下面)、すなわちセンシング孔24a、24bが形成された外面は、整流スカート5の直上に設けられている。
ここで、センサユニット13の吸気口61が開口する向きは、X方向においてプリントヘッド2に向かう向き(図5では紙面の右向き、図7では紙面手前の向き)である。また、図7に示すように、吸気口61はキャリッジ3のYZ平面での断面領域(センサユニット13が取り付けられた取付部近傍でのYZ平面のキャリッジ断面)よりも外側に設けられている。キャリッジの移動方向(X方向)においてキャリッジ3を一方の向きから見たとき、センサユニット13はプリントヘッド2よりも後方(図7の紙面奥側)にあり、且つキャリッジ3およびプリントヘッド2の外側に吸気口61の少なくとも一部が露出して見える。そのように、プリントヘッド2、キャリッジ3、センサユニット13および吸気口61が位置づけられている。逆に、キャリッジ3を上記一方の向きとは逆の向きから見たとき、センサユニット13はプリントヘッド2およびキャリッジ3の手前側にあり、且つ吸気口61の対向側は塞がれているため吸気口61は見えない。
また、吸気口61は、キャリッジ3のセンサ取付部およびプリントヘッドのノズル面2a近傍よりも、シート搬送方向(Y方向)の下流側に飛び出すように設けられている。そしてその下には整流スカート5が存在する。シート搬送方向の下流側は、上流側よりも浮遊するインクミストが少ないので、よりインクミストの少ない下流側に空気導入のための吸気口61を設けている。加えて、吸気口61の下に存在する整流スカート5が、ミストが舞い上がって吸気口61に取り込まれることを防ぐシールドの役割を果たしている。
この構成において、キャリッジ3が往方向(図5の紙面右側、図7の紙面垂直方向の紙面手前に向かう方向)に移動するときに、キャリッジ移動により相対的に生じる風が、キャリッジ3自体で阻害されること無く、吸気口61の開口にダイレクトに吹き込む。すなわち、一方の向きから見てキャリッジ3が手前に向かって(往方向)移動するときに、吸気口61からセンサユニット13に空気が取り込まれて、センサユニットのセンシング孔から排出される気流17fが生じる。排出された空気の一部は整流スカート5の開口5cを通り抜けてシートに向かい、残りは整流スカート5の上面とセンサユニット13のハウジング下面の間の隙間に逃げる。同時に、先に説明したように空気取込口12からもダクト15に空気が取り込まて、整流スカート5の開口5cから下方に吹き出す気流17cとなる。この気流17cと気流17fの二重のシールド効果により、センサユニット13のセンシング孔からユニット内部にインクミストを多く含む汚れた空気が入り込むことが阻止され、センサ構成部品へのミスト付着量が大きく抑制される。
なお、キャリッジ3にセンサユニット13を取り付ける箇所は、キャリッジ移動方向における逆側であってもよいし、両側にそれぞれセンサユニット13を取り付けたものであってもよい。この場合も、それぞれのセンサユニットの吸気口61が開口する向きは、キャリッジ移動方向においてプリントヘッドに向かう側とする。
なお、センサユニット13は、インクミストの付着により性能が劣化する非光学式のセンサ構成部品(例えば、超音波センサや赤外線センサ)を用いたセンサであってもよい。この場合もセンシング孔がセンサハウジングの下面に必要なので、センサハウジングからユニット内部の空気を孔から下方に排出させる作用は、構成部品の汚れ防止に効果的である。
以上説明してきた実施形態によれば、キャリッジの移動を利用して、整流スカートの下にインクミストが少ないクリーンな空気を供給し、同時に、センサハウジング内にもクリーンな空気を流す。そのため、インクミストを多く含む汚れた空気がセンサハウジング内に入り込むことが防止され、センサユニットの構成部品にインクミストが付着しにくくなる。結果として、長期間に渡ってセンサの検出精度が高く維持される。また整流スカートの下面へのインクミストの付着も抑制されるので、長期間に渡って整流スカートのクリーニングのメンテナンス作業が不要である。
また、本実施形態によれば、ヘッドのノズル近傍からキャリッジの外側まで広い範囲に渡って整流面があるため、乱気流の発生が小さく高い整流効果が得られる。さらに、整流面に形成されている複数の溝により高い整流効果が得られるとともに、整流面に付着したミストが液化しても、溝に沿って液体が広がり且つ大きな表面張力で液体が保持されるのでるので、整流面から液体が垂れ落ちにくくなる。
<別の実施形態>
次に別の実施形態について説明する。キャリッジが移動すると走行の下流側にはウェイクと呼ばれる気流の巻き大きな上がりが発生する。図9(b)はこのウェイクの発生を説明する図である。キャリッジ3が図中の右方向に走行すると、キャリッジの後方側が低圧力となるので気流を巻き上がり、気流の乱れであるウェイクAが生じる。ウェイクAの中は矢印に描くような大小の渦が混在さいた乱流である。プリントヘッドとシートの間で発生したインクミストを含む気流は、センサユニット13の下方でウェイクにより乱されて、整流スカート5の整流面やセンサユニット13に付着する可能性がある。この現象は、キャリッジの移動がある方向から反対方向に反転する際に生じやすい。
本実施形態はこの現象を抑制することを目指す。基本的な考え方は、キャリッジが走行する際に、センサユニット13の上部から下向きに気流を吹き出すことにより、ウエィクの発生を弱めるものである。
以下、図8を用いて。この考え方を具現化した実施形態を説明する。同図は、装置構成と気流の流れを説明するものである。基本的な構成は先の実施形態と類似しており、同一または同等の部材には同一の符号を付し、重複の説明は省略する。
本実施形態の特徴は、センサユニット13の上部に、ウェイクを弱めるためのダクト43を設けたことである。ダクト43は、頭部には空気取込口41が、底部には吹出口42が設けられている。キャリッジが矢印11の方向に走行すると、空気取込口41からミストの少ないクリーンな空気が流入する。そしてダクト43内の空間にて気流17fとなって流れて、吹出口42から下方に向けて気流17iとなって抜ける。この例では、センサユニット13の頭部に向けて吹出口42から気流17が吹き出す。これは上述の空気取込口12から空気を取り込んで気流17bを生じさせるのと同じ原理である。
この例では、インクチューブ18のフラットな束を、ダクトの壁面の一部となるように利用しているが、FFC(フレキシブルフラットケーブル)を同様に壁面の一部として利用してもよい。また。キャリッジのハウジングや専用のダクトハウジングでダクトを構成するようにしてもよい。また、ダクト15と同様、ダクト43は必ずしも気密な流路として設けたものなくてもよい。要は、空気取込口41から流入した空気の少なくとも一部が吹出口42から気流17iとして下方に抜けるような、気流17hを生じる空間が存在すればよい。
図9(b)は、この実施形態におけるウェイクの発生を示すものである。ダクト43を経て気流17iが、吹出口42から下方に向けて吹き出す。この拭き出した気流17iは、キャリッジが逃げていくので斜め下に向かう気流17jとなり、シートの表面に向かう。そこでプリントヘッドの下から流れてきた気流17dと合流する。合流はキャリッジからかなり離れた下流側でなされる。
このように、吹出口42から下方に拭き出した気流17i、17jが、気流の巻き上げを抑え込むので、ウェイクの発生は、図9(a)に比べて少なくなる。そのため、プリントヘッドの下から流れてきたインクミストを多く含む汚れた気流17dが、ウェイクにより巻き上がるのが抑えられる。その結果、整流スカート5の整流面やセンサユニットへのミスト付着が効果的に抑制される。
このように、本実施形態では、キャリッジが所定方向に移動する際に、空気が取り込まれる空気取込口41が形成されており、ここから取り込まれた空気はダクト43を通って、吹出口42からセンサユニット13の上部から下方に向けて抜ける。これにより、ウェイクの発生を抑え込んで、整流スカートやセンサユニットのミスト汚れが抑制される。
さらに、本実施形他では先の実施形態と同様の構成も併せ持っており、それによる作用効果も得られる。結果として、長期間に渡ってセンサの検出精度が高く維持され、整流スカートのクリーニング頻度が少なくて済み、整流面から液体が垂れ落ちにくくなるという優れた作用効果を奏する。
2 プリントヘッド
3 キャリッジ
5 整流スカート
5b 整流面
16 貫通孔
13 センサユニット
22 発光素子
23 受光素子
24a、24b 貫通孔
61 吸気口

Claims (20)

  1. 液体を吐出するヘッドを搭載し、往復移動するキャリッジと、
    前記キャリッジに取り付けられ、シートから情報を読み取るセンサユニットと、
    前記キャリッジの下部に取り付けられ、シートと対向する整流面を備えた整流スカートと、を有し、
    前記キャリッジの外側において、前記整流スカートの上に前記センサユニットが配置されていることを特徴とするインクジェット装置。
  2. 前記整流スカートには、前記センサユニットのセンシングのための孔が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のインクジェット装置。
  3. 前記センサユニットには、吸気口とセンシング孔が設けられており、前記キャリッジが移動すると、前記吸気口から空気が取り込まれて前記センシング孔から抜ける気流が、前記センサユニットの中に生じることを特徴とする、請求項1または2に記載のインクジェット装置。
  4. 前記往復移動の方向において、2つの前記整流スカートが前記ヘッドのノズル面を挟み込むように設けられており、2つのうち一方の前記整流スカートの上に前記センサユニットが配置されていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  5. 前記ヘッドのノズル面と前記整流面とは略同一の高さであることを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  6. 前記整流スカートの端部は前記ヘッドの突当部に当接し、且つ、前記整流面は、前記突当部の下から前記キャリッジの外側まで、前記往復移動の方向において延在していることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  7. 前記ヘッドが前記キャリッジに搭載されていない状態では、前記整流スカートの姿勢がわずかに変化することを許容するように、前記整流スカートは前記キャリッジに支持されていることを特徴とする、請求項6に記載のインクジェット装置。
  8. 前記整流面にはインクを吐出するノズル列と交差する方向に配された複数の溝が形成されていることを特徴とする、請求項1から7のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  9. 液体を吐出するヘッドを搭載し、往復移動するキャリッジと、
    前記キャリッジの下部に取り付けられ、シートと対向する整流面を備えた整流スカートと、を有し、
    前記整流面にはインクを吐出するノズル列と交差する方向に配された複数の溝が形成されていることを特徴とするインクジェット装置。
  10. 前記溝は前記キャリッジの往復移動の方向と同じ方向に配されていることを特徴とする、請求項9に記載のインクジェット装置。
  11. 複数の前記溝は5mm以下の配列ピッチで形成されていることを特徴とする、請求項8から10のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  12. 液体を吐出するヘッドを搭載し、往復移動するキャリッジと、
    前記キャリッジに取り付けられ、シートから情報を読み取るセンサユニットと、
    前記キャリッジの下部に取り付けられ、シートと対向する整流面を備えた整流スカートと、を有し、
    前記整流スカートには、前記往復移動の方向に関して、前記ヘッドと前記センサユニットとの間に孔が設けられていることを特徴とするインクジェット装置。
  13. 前記ヘッドよりも前記センサユニットが後方になる所定方向に前記キャリッジが移動する際に、空気が取り込まれる取込口が形成されており、
    前記取込口から取り込まれた空気の一部は前記孔からシートに向けて抜けることを特徴とする、請求項12に記載のインクジェット装置。
  14. 前記センサユニットには、吸気口とセンシング孔が設けられており、前記キャリッジが前記所定方向に移動すると、前記吸気口から空気が取り込まれて前記センシング孔から抜ける気流が、前記センサユニットの中に生じることを特徴とする、請求項13に記載のインクジェット装置。
  15. 前記整流スカートには、前記孔とは別に、前記センサユニットのセンシングのための孔が形成されていることを特徴とする、請求項12から14のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  16. 液体を吐出するヘッドを搭載し、往復移動するキャリッジと、
    前記キャリッジに取り付けられ、シートから情報を読み取るセンサユニットと、
    前記ヘッドよりも前記センサユニットが後方になる所定方向に前記キャリッジが移動する際に、空気が取り込まれる取込口が形成されており、
    前記取込口から取り込まれた空気は、前記センサユニットの上部の吹出口から下方に向けて抜けることを特徴とするインクジェット装置。
  17. 前記センサユニットの上部には、前記取込口と前記吹出口を持ったダクトが設けられており、前記キャリッジが移動する際に、前記吹出口から前記センサユニットの頭部に向けて気流が吹き出ることを特徴とする、請求項16に記載のインクジェット装置。
  18. 前記キャリッジの下部に取り付けられ、シートと対向する整流面を備えた整流スカートを有し、前記整流スカートには、前記往復移動の方向に関して、前記ヘッドと前記センサユニットとの間に孔が設けられており、前記所定方向に前記キャリッジが移動する際に、取り込まれた空気の一部は前記孔から下方に抜けることを特徴とする、請求項16または17に記載のインクジェット装置。
  19. 前記センサユニットには前記キャリッジが走行する際に空気を取り込む吸気口が設けられており、前記吸気口から取り込まれた空気はユニットの中を流れて、センシング孔から下方に排出されることを特徴とする、請求項1から18のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
  20. 前記ヘッドからインクを吐出してシートに画像をプリントすることを特徴とする、請求項1から19のいずれか1項に記載のインクジェット装置。
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