JP2017061063A - 多層成形レンズの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】微細凹凸の転写性を確保しつつ生産性を向上することができる多層成形レンズの製造方法を提供する。【解決手段】容積が相互に異なる複数の金型キャビティ12a,12bのうち最小容積の金型キャビティ12aで成形した第1層としての中間成形品を容積のより大きい金型キャビティへ移送して第2層を積層成形し、以後中間成形品を第N層までの各金型キャビティへ順次移送して積層成形することにより三層以上(N層)の多層成形レンズ1,18,35を製造する方法であって、多層成形レンズ1,18,35の表面は、第1層用又は第N層用の金型キャビティ12a,12bに刻設された微細凹凸Uを転写して形成される。【選択図】図2
Description
本発明は、多層成形により成形するレンズの製造方法に関する。
近年需要が増大しつつあるLED照明等のプロジェクタレンズは、所定配光パターン中の明暗境界線近傍の色にじみを改善したりぼかし効果を付与したりするため、レンズ面に微細凹凸を有することがある。
例えば、特許文献1には、車両前後方向に延びる光軸上に配置された投影レンズと、投影レンズの後側焦点面よりも後方側に配置された光源ユニットと、を備えたプロジェクタ型前照灯であって、投影レンズは、光軸上に配置された二枚の樹脂レンズで構成されており、二枚の樹脂レンズのうち光源ユニット寄りに配置された樹脂レンズの反光源側のレンズ面には、回折格子が設けられており、回折格子は、二枚の樹脂レンズを介して前方へ照射される光源ユニットからの光の色収差を打ち消すように設計されたプロジェクタ型前照灯が開示されている。
しかしながら、特許文献1の技術においては、回折格子(微細凹凸)は多層ではなく一層として成形されたレンズ表面に設けられているので、多層の各層よりも比較的厚い肉厚を有するレンズの成形時に、溶融樹脂の固化に伴う収縮が大きくなり、金型キャビティ面からの微細凹凸の転写が精確に実行されないばかりか、微細凹凸形状の転写性を確保しようとすれば成形時間が長くなって生産性が低下するという問題がある。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、微細凹凸の転写性を確保しつつ生産性を向上することができる多層成形レンズの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するためになされた請求項1に記載の発明は、容積が相互に異なる複数の金型キャビティのうち最小容積の金型キャビティで成形した第1層としての中間成形品を容積のより大きい金型キャビティへ移送して第2層を積層成形し、以後中間成形品を第N層までの各金型キャビティへ順次移送して積層成形することにより三層以上(N層)の多層成形レンズを製造する方法であって、ゲート痕をレンズ外表面に露出させる第N層成形工程を除く他の各層の成形工程は、そのゲート痕を次層以降の積層成形でレンズ表面に現れないように溶融する工程を含み、前記第1層又は前記第N層の中間成形品を成形するための第1層成形工程又は第N層成形工程は、微細凹凸が刻設された第1層用の金型キャビティ又は第N層用の金型キャビティを用いて、前記第1層の中間成形品の表面又は前記第N層の最終成形品の表面に前記微細凹凸を転写形成する工程を含むことを特徴とする。
この製造方法によれば、ゲート痕をレンズ外表面に露出させる第N層成形工程を除く他の各層の成形工程は、そのゲート痕を次層以降の積層成形でレンズ表面に現れないように溶融する工程を含み、第1層又は第N層の中間成形品を成形するための第1層成形工程又は第N層成形工程は、微細凹凸が刻設された第1層用の金型キャビティ又は第N層用の金型キャビティを用いて、第1層の中間成形品の表面又は第N層の最終成形品の表面に微細凹凸を転写形成する工程を含んでいる。よって、第1層又は第N層が三層以上の多層成形のうちの一層でありその最大肉厚は多層成形ではない場合と比較して可也薄いことから、第1層又は第N層の溶融樹脂の固化に伴う収縮が僅かなものとなり、第1層又は第N層の金型キャビティの凹部に刻設された微細凹凸の形状からの変形が抑制されるので光学特性に優れた転写が精確に実行されるとともに成形時間が短縮されて生産性が向上するという優れた効果を奏する。
請求項2に記載の発明は、微細凹凸が、第N層用の金型キャビティに刻設されることを特徴とする。
この構成によれば、第1層用の金型キャビティ面に微細凹凸を刻設する場合は微細凹凸を刻設した金型キャビティ面がN個必要となるのに対し、第N層用金型キャビティの凹部に微細凹凸を刻設する場合は、微細凹凸を刻設した第N層用の金型キャビティ面は一個で済むことになり、微細凹凸の刻設に要するコストが大幅に削減できる。
請求項3に記載の発明は、微細凹凸が、多層成形レンズの両表面のうちでその曲率を一方より大きくする方の金型キャビティに刻設されることを特徴とする。
この構成によれば、微細凹凸が光の出射面に設けられるので、放射光の散乱が極めて効果的に行われるレンズを製造することができるという優れた効果を奏する。
以下、本発明を具体化した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、本明細書中の全図において相互に対応する部分又は同様な機能を有する部分には同一符号を付し、重複部分においては後述での説明を適宜省略する。
図1に示す多層成形レンズ1は、図2に示す第1実施形態に係る金型装置7又は図3に示す第2実施形態に係る金型装置17により成形して製造される。金型装置7,17は、互いに型合わせして金型キャビティ12a,12bを形成する第一キャビティブロック8及び第二キャビティブロック9の対、並びに、第一キャビティブロック8を固着する第一型板10及び第二キャビティブロック9を固着する第二型板11の対から構成される。一対の第一キャビティブロック8と第二キャビティブロック9に、図2,3に示すように、複数の金型キャビティ12a,12bを設けることが経済性や作業性を向上させる点で有効となる。しかしながら、一対の第一キャビティブロック及び第二キャビティブロックに一の金型キャビティを設けるようにしてもよい。このとき、第一型板及び第二型板は、求める多層成形レンズの層数(N)と同数の第一キャビティブロック及び第二キャビティブロックをそれぞれの所定位置に固着することになる。また、一又は複数の金型キャビティを有する第一キャビティブロック及び第二キャビティブロックの一又は複数対を一又は複数対の第一型板及び第二型板にそれぞれ固着するようにしてもよい。さらに、第一型板及び第二型板が複数対の場合、第一型板及び第二型板の全ての対を同一の型締装置に取付けるか又は、第一型板及び第二型板の一部の対を他の型締装置に分散して取付けるようにしてもよい。
第1実施形態に係る金型装置7では、図2に示すように、金型キャビティ12a,12bは、第一キャビティブロック8に形成される一方側と第二キャビティブロック9に形成される他方側とが、第一キャビティブロック8と第二キャビティブロック9との型合わせで一体化することにより形成される。金型キャビティの数は、金型装置7で成形する多層成形レンズの層数(N)と同数である。第一キャビティブロック8における各金型キャビティ12a,12bの一方側を形成する凹部53は、全て同一形状で且つ同一寸法を有している。第二キャビティブロック9における金型キャビティ12a,12bの他方側を形成する凹部の深さ寸法は、各凹部毎に異なる。それら凹部の中で最大の深さ寸法を有する凹部14bの深さ寸法は、第一キャビティブロック8における各金型キャビティの一方側を形成する凹部53の深さ寸法より大きくなるように設定されている。すなわち、第二キャビティブロック9の凹部の中で最大の深さ寸法を有する凹部14bの曲率は凹部53の曲率より大きいのである。このようにして形成される各金型キャビティは、金型キャビティの容積が一方向に順次変化し円周上に等間隔となるよう配設される。そして、各金型キャビティの容積は、第1層成形用の金型キャビティ12aから第N層成形用の金型キャビティ12bに向けて順次大きくなるのである。図2では、説明の便宜上、第1層成形の金型キャビティ12a及び第N層成形の金型キャビティ12bのみを記載し、他の層の金型キャビティの記載を省略している。尚、金型キャビティの配設は、円周上ではなく、直線上に行ってもよい。さらに、複数の金型キャビティを事前に配設するのではなく、一の金型キャビティにおいて第二キャビティブロックを手動又は自動で交換するように構成してもよい。
第2実施形態に係る金型装置17では、図3に示すように、金型キャビティ12a,12bは、第一キャビティブロック8に形成される一方側と第二キャビティブロック9に形成される他方側とが、第一キャビティブロック8と第二キャビティブロック9との型合わせで一体化することにより形成される。金型キャビティの数は、金型装置17で成形する多層成形レンズの層数(N)と同数である。第一キャビティブロック8における各金型キャビティ12a,12bの一方側を形成する凹部53は、全て同一形状で且つ同一寸法を有している。第二キャビティブロック9における金型キャビティ12a,12bの他方側を形成する凸部又は凹部の高さ寸法又は深さ寸法は、各凸部又は凹部毎に異なる。最大容積となる金型キャビティ12bを形成する凹部14bの曲率は凹部53の曲率より小さくなっている。このようにして形成される各金型キャビティは、金型キャビティの容積が一方向に順次変化し円周上に等間隔となるよう配設される。そして、各金型キャビティの容積は、第1層成形用の金型キャビティ12aから第N層成形用の金型キャビティ12bに向けて順次大きくなるのである。図3では、説明の便宜上、第1層成形の金型キャビティ12a及び第N層成形の金型キャビティ12bのみを記載し、他の層の金型キャビティの記載を省略している。尚、金型キャビティの配設は、円周上ではなく、直線上に行ってもよい。さらに、複数の金型キャビティを事前に配設するのではなく、一の金型キャビティにおいて第二キャビティブロックを手動又は自動で交換するように構成してもよい。
第1層成形用金型キャビティ12aの凹部53及び第N層成形用金型キャビティ12bの凹部14bのいずれか一方又は双方の表面には、微細凹凸Uが刻設されている。微細凹凸Uは、図4及び図5に示すように、例えば断面視で半波整流波形状又は正弦波形状からなる数マイクロメートルから数ミリメートル程度の凹凸で構成されたようなものである。尚、微細凹凸Uは、一般にテクスチャと称されることもある。微細凹凸Uは、凹部53及び凹部14bのいずれか一方の全面又はその一部分に設けられる。微細凹凸Uは、N個必要とする第1層成形用金型キャビティの凹部53に設けるのではなく、1個のみの第N層成形用金型キャビティの凹部14bに設けることが好ましい。その理由は次に述べる通りである。微細凹凸Uを有する金型キャビティは、1個のキャビティに数百万円以上の加工費用を要するものである。したがって、1個のみの第N層成形用の凹部14bに対して、N個必要とする第1層成形用金型キャビティの凹部53に微細凹凸を施工する場合には、数百万円のN倍のコストが掛ることになる。
第1層成形用の凹部53又は第N層成形用の凹部14bに設けられた微細凹凸Uは、その表面を流動する溶融樹脂に転写されて表面2及び表面3のいずれか一方又は双方に微細凹凸を形成させる。このとき、多層成形レンズ1は多層で形成されているので、第1層又は第N層の最大肉厚は比較的薄いものとなる。そのため、転写後に生ずる第1層又は第N層としての溶融樹脂の固化に伴う収縮は僅かなものとなるので、微細凹凸Uからの形状変形が少なくなり転写を精確に実行することができる。この効果は、Nが三以上の場合に顕著となる。
また、微細凹凸Uは、多層成形レンズ1の表面曲率が表面2より大きくなるように形成されている表面3に設けることが好ましい。その一理由は次の通りである。車両等の前照灯に多層成形レンズ1を適用した場合、光源のLED等は表面2側に配置されるので、表面3は光の出射面となる。光の散乱形態を進展させるには、出射面で散乱を実行させることが効果的である。
図2,3における上側に示す金型キャビティのように、金型キャビティの容積が最小の金型キャビティ12aでは、第1層としての中間成形品が成形される。その中間成形品は、図示しない型締装置による第一型板10の型開き時に第一型板10を回転させる等の手段により、金型キャビティの容積がより大きい併設の金型キャビティに移送される。この金型キャビティでは、第1層の中間成形品の第二キャビティブロック側の面によって実質的な金型キャビティが形成され、図示しない射出装置から溶融樹脂が射出され次層としての第2層が成形される。このように第1層から第(N−1)層の各層で成形された中間成形品は、より大きい金型キャビティ容積の金型キャビティへ順次移送される。図2,3における下側に示す金型キャビティ12bのように、金型キャビティの容積が最大の金型キャビティ12bでは、Nを八とした場合の最終層となる第8層が成形され、多層成形レンズ1が完成する。その後、多層成形レンズ1は、金型キャビティ12bから離型されて取出される。
図1に示す多層成形レンズ1は、図2に示す金型装置7で成形されたものであり、凹部53で転写成形され小曲率又は平面状を有する表面2及び、凹部14bで転写成形され表面2の曲率より大きい曲率を有する表面3からなる主要部52、並びに、主要部52の外周に鍔状に突出し表面2と同じ成形層である第1層としての円環部4及び主要部52の外周に鍔状に突出し表面3と同じ成形層である第N層としての円環部5の二層からなる鍔部6により構成されている。鍔部6は帽子の鍔のように円環状のものとして図示するが、野球帽の鍔のように一部分が一又は複数で張り出すようなものであってもよい。鍔部6の円環部5端面には、ゲート13bによって形成されたゲート痕34が露出している。また、鍔部6の円環部4端面にはゲート痕が露出しない。尚、多層成形レンズ1が図3に示す金型装置17で成形されたものであるときは、ゲート13dによって形成されたゲート痕51は鍔部6の円環部4端面に露出する。
次に、図6に示す第1実施形態に係る多層成形レンズ18の製造工程を図2、図6及び図8に基づいて説明する。多層成形レンズ18は、Nを八として、図2に示す第1実施形態に係る金型装置7により成形したものである。
(S1)第1層用の金型キャビティ12aにゲート痕27のゲート13aから溶融樹脂を射出充填させて第1層19を成形する。溶融樹脂は図示しない射出装置からスプル15とランナ16を介してゲート13aに供給される。(S2)移送された中間成形品としての第1層19を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕28のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕27を溶融しつつ第1層19の上に第2層20を積層成形する。(S3)移送された中間成形品としての第1層19及び第2層20を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕29のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕28を溶融しつつ第2層20の上に第3層21を積層成形する。(S4)移送された中間成形品としての第1層19乃至第3層21を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕30のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕29を溶融しつつ第3層21の上に第4層22を積層成形する。(S5)移送された中間成形品としての第1層19乃至第4層22を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕31のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕30を溶融しつつ第4層22の上に第5層23を積層成形する。(S6)移送された中間成形品としての第1層19乃至第5層23を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕32のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕31を溶融しつつ第5層23の上に第6層24を積層成形する。(S7)移送された中間成形品としての第1層19乃至第6層24を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕33のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕32を溶融しつつ第6層24の上に第7層25を積層成形する。(S8)移送された中間成形品としての第1層19乃至第7層25を擁する実質的な金型キャビティにゲート13b(このゲート痕34はレンズ外表面に露出する。)から溶融樹脂を射出充填しゲート痕33を溶融しつつ第7層25の上に第8層26を成形する。ここで、第8層用の金型キャビティ12bは、多層成形レンズの両表面のうちで曲率が大きい側を成形する凹部14bに微細凹凸Uが刻設されており、流動する溶融樹脂に微細凹凸が転写されて表面3に微細凹凸が形成される。
図6に示すように、多層成形レンズ18の外周端部である鍔部6は、第1層19の主要部52としての表面2外方の円環部4と、第8層(第N層26)の主要部52としての表面3外方の円環部5とから構成されている。円環部5には第8層を成形したゲート13bのゲート痕34が露出し、円環部4にはゲート痕が露出していない。このように、多層成形レンズ18はその鍔部6を除いた主要部52が八層でありながら、鍔部6が二層となり薄く形成可能なことから、機能的・外観的に優れたものとなる。また、主要部52の内部にある各層の界面及びゲート痕は積層成形時に溶融されるので、微小な凹凸や残留応力が消滅して表面2,3には現れず、界面及びゲート痕が光学特性に悪影響を及ぼすことはなく、多層成形レンズ18は光学特性の優れたものとなる。なお、第2層から第7層までの各層の端面が第1層と界面を形成するように例示したが、第2層から第7層までの各層の端面が第8層と界面を形成するように構成することも可能である。また、ゲート痕27乃至33の配設位置すなわちゲートの配設位置は、各層の中央部に設けるものとして例示したが、ゲートは各層の金型キャビティの面であれば何処に設けてもよい。特に、第2層から第7層までの各層の端面にゲートが設けられた場合、そのゲート痕は次層ではなく次層以降としての第8層成形で溶融されることになる。
次に、図7に示す第2実施形態に係る多層成形レンズ35の製造工程を図3、図7及び図9に基づいて説明する。尚、上述した第1実施形態と同一の内容については適宜記載を省略する。多層成形レンズ35は、Nを八として、図3に示す第2実施形態に係る金型装置17により成形したものである。
(S11)金型キャビティ12aにゲート痕44のゲート13cから溶融樹脂を射出充填させて第1層36を成形する。ここで、第1層用の金型キャビティ12aは、多層成形レンズの両表面のうちで曲率が大きい側を成形する凹部53に微細凹凸Uが刻設されており、流動する溶融樹脂に微細凹凸が転写されて表面3に微細凹凸が形成される。溶融樹脂は図示しない射出装置からスプル15とランナ16を介してゲート13cに供給される。(S12)移送された中間成形品としての第1層36を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕45のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕44を溶融しつつ第1層36の上に第2層37を積層成形する。(S13)移送された中間成形品としての第1層36及び第2層37を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕46のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕45を溶融しつつ第2層37の上に第3層38を積層成形する。(S14)移送された中間成形品としての第1層36乃至第3層38を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕47のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕46を溶融しつつ第3層38の上に第4層39を積層成形する。(S15)移送された中間成形品としての第1層36乃至第4層39を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕48のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕47を溶融しつつ第4層39の上に第5層40を積層成形する。(S16)移送された中間成形品としての第1層36乃至第5層40を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕49のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕48を溶融しつつ第5層40の上に第6層41を積層成形する。(S17)移送された中間成形品としての第1層36乃至第6層41を擁する実質的な金型キャビティへゲート痕50のゲートから溶融樹脂を射出充填しゲート痕49を溶融しつつ第6層41の上に第7層42を積層成形する。(S18)移送された中間成形品としての第1層36乃至第7層42を擁する実質的な金型キャビティにゲート13d(このゲート痕51はレンズ外表面に露出する。)から溶融樹脂を射出充填しゲート痕50を溶融しつつ第7層42の上に第8層43を成形する。
図7に示すように、多層成形レンズ35の外周端部である鍔部6は、第1層36の主要部52としての表面3外方の円環部5と、第8層(第N層43)の主要部52としての表面2外方の円環部4とから構成されている。円環部4には第8層を成形したゲートのゲート痕51が露出し、円環部5にはゲート痕が露出していない。このように、多層成形レンズ35はその鍔部6を除いた主要部52が八層でありながら、鍔部6が二層となり薄く形成可能なことから、機能的・外観的に優れたものとなる。また、主要部52の内部にある各層の界面及びゲート痕は層成形時に溶融されるので、微小な凹凸や残留応力が消滅して表面2,3には現れず、界面及びゲート痕が光学特性に悪影響を及ぼすことはなく、多層成形レンズ35は光学特性の優れたものとなる。なお、第2層から第7層までの各層の端面が第8層と界面を形成するように例示したが、第2層から第7層までの各層の端面が第1層と界面を形成するように構成することも可能である。また、ゲート痕44乃至50の配設位置すなわちゲートの配設位置は、各層の中央部に設けるものとして例示したが、ゲートは各層の金型キャビティの面であれば何処に設けてもよい。特に、第2層から第7層までの各層の端面にゲートが設けられた場合、そのゲート痕は次層ではなく次層以降としての第8層成形で溶融されることになる。また、微細凹凸Uは、図2に示すように、多層成形レンズの両表面のうちでその曲率を一方より大きくする方の金型キャビティの凹部14bに刻設されるので、微細凹凸が光の出射面に設けられることになり、放射光の散乱が極めて効果的に行われるレンズを製造することができる。
以上詳述したことから明らかなように、第1実施形態の製造方法では、第N層成形工程を除く他の各層の成形工程は、そのゲート痕を次層以降の積層成形でレンズ外表面に現れないように溶融する工程を含むとともに、第N層(N=8)の最終成形品を成形するための第N層成形工程は、微細凹凸Uが刻設された第N層用の金型キャビティ12bを用いて、第N層の最終成形品の表面に微細凹凸を転写形成する工程を含んでいる。この方法によれば、第N層(N=8)が三層以上の多層成形のうちの一層でありその最大肉厚が比較的薄いことから、第N層の溶融樹脂の固化に伴う収縮が僅かなものとなり、金型キャビティ12bの凹部14bに刻設された微細凹凸Uの形状からの変形が抑制されるので光学特性に優れた転写が精確に実行されるとともに成形時間が短縮されて生産性が向上するという優れた効果を奏する。
また、第2実施形態の製造方法では、第N層成形工程を除く他の各層の成形工程は、そのゲート痕を次層以降の積層成形でレンズ外表面に現れないように溶融する工程を含むとともに、第1層の中間成形品を成形するための第1層成形工程は、微細凹凸Uが刻設された第1層用の金型キャビティ12aを用いて、第1層の中間成形品の表面に微細凹凸を転写形成する工程を含んでいる。この方法によれば、第1層が三層以上の多層成形のうちの一層でありその最大肉厚が比較的薄いことから、第1層の溶融樹脂の固化に伴う収縮が僅かなものとなり、金型キャビティ12aの凹部53に刻設された微細凹凸Uの形状からの変形が抑制されるので光学特性に優れた転写が精確に実行されるとともに成形時間が短縮されて生産性が向上するという優れた効果を奏する。
また、第1実施形態の製造方法において、微細凹凸Uは、第N層用の金型キャビティの凹部14bに刻設されるので、第1層用の微細凹凸Uを刻設した金型キャビティ面がN個必要となるのに対し、第N層用の微細凹凸Uを刻設した金型キャビティ面は一個で済むことになり、微細凹凸Uの刻設に要するコストが大幅に削減できる。
また、微細凹凸Uは、図3に示すように、多層成形レンズの両表面のうちでその曲率を一方より大きくする方の金型キャビティの凹部53に刻設されるので、微細凹凸が光の出射面に設けられることになり、放射光の散乱が極めて効果的に行われるレンズを製造することができる。
尚、本発明は、当業者の知識に基づいて様々な変更、修正、改良等を加えた態様において実施され得るものを含む。また、前記変更等を加えた実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限りいずれも本発明の範囲内に含まれるものであることは言うまでもない。
例えば、上記第1実施形態では、図2に示す第8層の金型キャビティ12bにおいて、曲率が大きい側の凹部14bに微細凹凸Uを刻設する例を示したが、これに代えて、第1層の金型キャビティ12aにおいて曲率が小さい側の凹部53に微細凹凸Uを刻設し、図8のS1の工程で、第1層19を形成しつつ凹部53で微細凹凸を転写形成する構成としてもよい。或いは、第8層の金型キャビティ12bにおける曲率が大きい側の凹部14bと、第1層の金型キャビティ12aにおける曲率が小さい側の凹部53との両方に微細凹凸Uを刻設し、図8のS1の工程で第1層19を形成しつつ凹部53で微細凹凸Uを転写形成し、S8の工程で、第8層43を積層形成しつつ凹部14bで微細凹凸を転写形成する構成としてもよい。
また、上記第2実施形態では、図3に示す第1層の金型キャビティ12aにおいて、曲率が大きい側の凹部53に微細凹凸Uを刻設する例を示したが、これに代えて、第8層の金型キャビティ12bにおいて曲率が小さい側の凹部14bに微細凹凸Uを刻設し、図9のS18の工程で、第8層43を積層形成しつつ凹部14bで微細凹凸を転写形成する構成としてもよい。或いは、第1層の金型キャビティ12aにおける曲率が大きい側の凹部53と、第8層の金型キャビティ12bにおける曲率が小さい側の凹部14bの両方に微細凹凸Uを刻設し、図9のS11の工程で第1層36を形成しつつ凹部53で微細凹凸を転写形成し、S18の工程で、第8層43を積層形成しつつ凹部14bで微細凹凸を転写形成する構成としてもよい。
1,18,35 多層成形レンズ
2,3 表面
7,17 金型装置
12a,12b 金型キャビティ
14b,53 凹部
U 微細凹凸
2,3 表面
7,17 金型装置
12a,12b 金型キャビティ
14b,53 凹部
U 微細凹凸
Claims (3)
- 容積が相互に異なる複数の金型キャビティのうち最小容積の金型キャビティで成形した第1層としての中間成形品を容積のより大きい金型キャビティへ移送して第2層を積層成形し、以後中間成形品を第N層までの各金型キャビティへ順次移送して積層成形することにより三層以上(N層)の多層成形レンズを製造する方法であって、
ゲート痕をレンズ外表面に露出させる第N層成形工程を除く他の各層の成形工程は、そのゲート痕を次層以降の積層成形でレンズ表面に現れないように溶融する工程を含み、
前記第1層又は前記第N層の中間成形品を成形するための第1層成形工程又は第N層成形工程は、微細凹凸が刻設された第1層用の金型キャビティ又は第N層用の金型キャビティを用いて、前記第1層の中間成形品の表面又は前記第N層の最終成形品の表面に前記微細凹凸を転写形成する工程を含むことを特徴とする多層成形レンズの製造方法。 - 前記微細凹凸は、前記第N層用の金型キャビティに刻設されることを特徴とする請求項1に記載の多層成形レンズの製造方法。
- 前記微細凹凸は、前記多層成形レンズの両表面のうちでその曲率を一方より大きくする方の前記金型キャビティに刻設されることを特徴とする請求項1又は2に記載の多層成形レンズの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015186908A JP2017061063A (ja) | 2015-09-24 | 2015-09-24 | 多層成形レンズの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2015186908A JP2017061063A (ja) | 2015-09-24 | 2015-09-24 | 多層成形レンズの製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2017061063A true JP2017061063A (ja) | 2017-03-30 |
Family
ID=58429779
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2015186908A Pending JP2017061063A (ja) | 2015-09-24 | 2015-09-24 | 多層成形レンズの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2017061063A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2018180135A1 (ja) | 2017-03-27 | 2018-10-04 | 株式会社神戸製鋼所 | 積層造形物の製造方法及び製造システム |
CN110091463A (zh) * | 2018-01-31 | 2019-08-06 | 住友重机械工业株式会社 | 注射成型方法及模具装置 |
US10995924B2 (en) | 2018-07-30 | 2021-05-04 | Nissan North America, Inc. | Headlight lens assembly |
-
2015
- 2015-09-24 JP JP2015186908A patent/JP2017061063A/ja active Pending
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WO2018180135A1 (ja) | 2017-03-27 | 2018-10-04 | 株式会社神戸製鋼所 | 積層造形物の製造方法及び製造システム |
CN110091463A (zh) * | 2018-01-31 | 2019-08-06 | 住友重机械工业株式会社 | 注射成型方法及模具装置 |
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