<第1実施形態>
(動作の概要)
図1(a)〜図1(d)は、第1実施形態の画像通信装置1の動作の概要を説明するための模式図である。
図1(a)に示すように、画像通信装置1は、例えば、FAX又は複合機であり、有線又は無線を介して画像データGDを受信する。
画像データGDは、1つの送信元から1纏りのデータとして送信されたものであり、また、割り付け印刷などが行われずに普通に印刷されれば複数枚(図示の例では4枚)に亘るものである。例えば、画像データGDは、送信元がFAXであれば、1回の操作によって複数枚の原稿が連続読み取りされて形成されたものである。
なお、以下では、便宜上、この複数枚のそれぞれについて、画像データかメディア(例えば紙)かを問わずに、P1〜P4の符号を付す。また、便宜上、画像データ、画像、原稿及びメディア等を特に区別せずに言及することがある。
図1(b)に示すように、画像通信装置1は、画像データGDを受信すると、複数枚に亘る画像データGDのうち、予め定められている枚数(一部の枚数。図示の例では1枚)について自動的に印刷を行い、また、受信した画像データGDを記憶部3に記憶させる。印刷される一部(1枚)の画像データP1は、例えば、複数枚に亘る画像データGDが普通に印刷されれば、最初に印刷されるものである。別の観点では、送信元がFAXであれば、一般に、最初に読み込まれた原稿である。特に図示しないが、上記と同様に、他の画像データGDが受信されれば、その画像データGDについても、一部が印刷され、また、記憶部3に記憶される。
ユーザは、印刷された一部のメディアの画像P1を見て、残りの画像データP2〜P4の印刷の要否を判断する。そして、要と判断したときは、図1(c)に示すように、そのメディアP1を原稿として、画像通信装置1の読取部5に読み取らせる。
図1(d)に示すように、メディアの画像P1を読み取った画像通信装置1は、画像P1と一致する画像データP1を含む画像データGDを記憶部3から抽出する。そして、残りの画像データP2〜P4について、印刷を行う。なお、この際、印刷された画像データGDは記憶部3から消去されることが望ましい。
このように、画像通信装置1においては、複数枚に亘る画像データが受信されると、一部の枚数について印刷がなされる。そして、その一部の枚数の印刷物が原稿として画像通信装置1に読み取られると、その原稿に対応する残りの枚数の画像データの印刷がなされる。これにより、印刷すべき画像データの選別がなされる。
以下、上記のような動作を実現するための画像通信装置1等の構成の詳細について述べる。
(画像通信装置を含む通信システム)
図2は、画像通信装置1を含む通信システム51の信号処理系の構成を示すブロック図である。
通信システム51は、ネットワーク7と、ネットワーク7に接続された1又は複数の画像通信装置1(図2では1つのみ図示)及び複数の通信端末9(図2では1つのみ図示)とを有している。通信端末9は、画像データを送信し、その画像データは、ネットワーク7を介して画像通信装置1によって受信される。
通信端末9は、例えば、少なくとも、画像データを送信する画像送信機能を有している。通信端末9は、例えば、FAX又は複合機であり、原稿を読み取って画像データを生成し、その画像データを送信する。また、通信端末9は、例えば、パーソナルコンピュータ(PC)又は画像データを送信可能な携帯電話機であってもよい。この場合、通信端末9は、例えば、自己に接続されたスキャナによって原稿を読み取って画像データを生成したり、自己にインストールされた文書作成ソフトウェア又は画像作成ソフトウェアによってユーザの入力操作に応じて画像データを生成したり、又は、他の通信端末から画像データを受信したりし、その画像データを送信する。以下では、主として、FAX又は複合機を想定して説明する。
画像通信装置1は、例えば、少なくとも、画像データを受信する画像受信機能と、受信した画像データに基づく画像を印刷する画像印刷機能と、原稿から画像を読み取る画像読取機能とを有している。画像通信装置1は、例えば、FAX、複合機、PCにスキャナ及びプリンタが接続されたもの、又は、スキャナが接続されたネットワークプリンタである。なお、通信端末9は、本実施形態の画像通信装置1とされてもよい。以下では、主として、FAX又は複合機を想定して説明する。
ネットワーク7は、画像通信装置1と通信端末9との間で画像データに基づく信号を伝送する。上記の画像通信装置1及び通信端末9の例示から理解されるように、ネットワーク7は、例えば、電話回線、インターネット回線又はこれらの組み合わせから構成され、また、例えば、有線回線、無線回線又はこれらの組み合わせから構成されている。
通信端末9から画像通信装置1への画像データの送信方法は、公知の種々のものと同様とされてよい。
例えば、通信端末9は、画像通信装置1のFAX番号に基づいて、電話回線を介して、複数の画像通信装置1のいずれかと選択的に通信を確立し、画像データを送信する。
また、例えば、通信端末9は、画像通信装置1のIPアドレスに基づいて、インターネット回線を介して、複数の画像通信装置1のいずれかと選択的に通信を確立し、画像データを送信する。なお、IPアドレスは、例えば、固定かつグローバルのIPアドレスである。また、固定かつグローバルのIPアドレスにプロトコル及びポート番号を加えたもの(静的IPマスカレードに利用される情報)もここではIPアドレスであるものとする。
また、例えば、通信端末9は、メールアドレスの情報と画像データとを含むメールをメールサーバに送信する。メールサーバは、メールアドレスの情報と、FAX番号又はIPアドレスの情報とを対応付けたテーブルを保持しており、受信したメールに含まれるメールアドレスの情報に対応するFAX番号又はIPアドレスの情報を取得する。そして、上述したFAX番号又はIPアドレスに基づく送信方法と同様に、取得したFAX番号又はIPアドレスに基づいて、受信した画像データ(メール本文も含んでよい)を送信する。この際、メールサーバは、必要に応じて画像データの形式を変換してもよい。
(画像通信装置の構成)
画像通信装置1は、図1に示した記憶部3及び読取部5の他に、ネットワーク7を介して画像データを受信する受信部11と、画像を印刷する印刷部13と、受信部11及び読取部5からの信号に基づいて印刷部13及び記憶部3を制御する制御部15とを有している。また、画像通信装置1は、ユーザーインターフェースとしての操作部17及び表示部19とを有している。なお、画像通信装置1は、読取部5で読み取った画像を送信する機能等を有していてよいが、これについては図示及び説明を省略する。
上述の各部の構成は、記憶部3の記憶内容、及び、制御部15の制御内容を除いては、公知の画像通信装置の各部の構成と同様とされてよい。公知の構成と同様でよい構成については、適宜に説明を省略することがある。
記憶部3は、例えば、不揮発性の記憶装置によって構成されている。例えば、記憶部3は、画像通信装置1に含まれるコンピュータの外部記憶装置(ハードディスク)によって構成されている。USBメモリやCDなどの画像通信装置1の本体に着脱される記憶媒体(リムーバブルメディア)によって構成されていてもよい。
読取部5は、例えば、原稿の画像を画像データに変換する。具体的には、例えば、読取部5は、不図示の撮像素子に対して原稿を移動させたり、又は、原稿が載置された原稿台に沿って撮像素子を移動させたりして、原稿の画像をスキャニングして画像データを生成する。すなわち、読取部5は、光電変換によって画像データを生成している。読取部5は、複数の原稿を連続的に読み取り可能であってもよいし、1枚の原稿のみを読み取り可能であってもよい。なお、読取部5は、スキャナのようなものでなく、PCに接続された撮像装置のようなものであってもよい。
受信部11は、例えば、ネットワーク7を介して画像データに係る信号を受信し、受信した信号に対して検波(復調)などを行って画像データに変換する。
印刷部13は、インクジェットプリンタやレーザープリンタなどの適宜な形式のプリンタによって構成されており、制御部15からの制御信号に基づいてメディア(例えば紙)に画像を印刷する。
制御部15は、例えば、特に図示しないが、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置を含んで構成されており、CPUがROM及び/又は外部記憶装置に記憶されているプログラムを実行することにより、各種の制御動作を実行する制御部として構築される。
具体的には、例えば、制御部15には、図1(a)及び図1(b)を参照して説明した処理を行うための受信時処理部21、図1(c)及び図1(d)を参照して説明した処理を行うための読取時処理部23、適宜な時期に記憶部3の画像データを消去する時限データ消去部25、及び操作部17に対するユーザの操作に応じて記憶部3の画像データを消去する操作データ消去部27が構築される。
操作部17は、例えば、複数の押圧式又は接触式のスイッチ(タッチパネルによって構成されてもよい)を含んで構成されており、ユーザの操作を受け付け、その操作に応じた信号を制御部15に出力する。
表示部19は、例えば、液晶表示装置又は有機EL表示装置によって構成されており、制御部15からの制御信号に基づいて適宜な画像を表示する。なお、表示部19は、タッチパネルによって構成され、操作部17に兼用されていてもよい。
(データ内容)
図3は、記憶部3に記憶されているデータベース29の内容を概念的に示す図である。
データベース29は、例えば、複数の受信データ31を保持可能である。受信データ31は、画像データの受信毎に生成され、データベース29に蓄積される。また、受信データ31は、例えば、ネットワーク7を介して受信した画像データ、当該画像データの受信日時の情報、当該画像データの送信元の情報、及び、当該画像データについて図1(b)の一部の枚数の印刷を行った印刷日時の情報を対応付けて含んでいる。
なお、図3は、あくまで概念図であり、実際に図3のようなテーブルが構成されている必要はない。例えば、実際には、送信元の情報が保存されている記憶領域のアドレスと、画像データGDが記憶されている記憶領域のアドレスとが対応付けられるなどしていてもよい。また、例えば、同一の送信元毎に、他の情報と画像データとを対応付けたテーブルが構成されるなどしてもよい。
画像データGDは、通信端末9からの画像信号を復調して得られるものである。画像データGDのデータ形式は、例えば、TIFF(Tagged Image File Format)形式又はPDF(Portable Document Format)形式等の、ページ区切り及びページの順序を指定する情報(当該情報に相当するとみなしてよい情報を含む)を含むものである。なお、通信端末9が送信した画像データの形式と、データベース29に記憶される画像データの形式とは異なっていてもよい。すなわち、制御部15は、受信した画像データを異なる形式のものに変換してデータベース29に記憶させてもよい。画像通信装置1においては、基本的に、その画像データGDに含まれるページ区切り及びページの順番に従って印刷が行われる。
受信日時の情報は、画像通信装置1が画像データGDを受信したときの日時である。また、送信元の情報は、例えば、画像通信装置1と通信端末9との通信方式に応じた適宜なものとされてよい。例えば、送信元の情報は、図3において例示するように、FAX番号、メールアドレス、又はIPアドレスである。受信日時及び送信元の情報の取得は、公知の画像通信装置1と同様になされてよい。
印刷日時は、例えば、図1(b)の一部の枚数についての印刷を行ったときに、制御部15が計数している時刻が取得される。なお、画像データが受信されると、自動的に図1(b)の印刷が行われるから、基本的には、印刷日時は、受信日時と概ね同じである。ただし、画像通信装置1の動作態様によっては、印刷日時が受信日時とずれることもある。
例えば、画像通信装置1は、用紙が無いなどの理由によって、図1(b)の一部の枚数の印刷ができない場合、一旦、画像データGDを保存する。そして、後から用紙が補給されるなど、印刷できない理由が解消されたときに、図1(b)の一部の印刷を行う。この場合、印刷日時は、受信日時からずれたものとなる。
なお、画像通信装置1は、用紙が無いなどの理由によって、図1(b)の一部の枚数の印刷ができない場合、送信元にエラーを報知し、図1(b)以降の処理を行わないように動作してもよい。このような態様においては、受信時に印刷ができたことが受信データ31の生成の条件となるから、印刷日時は、常に概ね受信日時と同じ日時である。この態様では、受信日時及び印刷日時の一方は省略され、他方と同一視されてもよい。双方が記録されている場合においても、同一視されてよい。
(画像通信装置の動作手順)
以下、画像通信装置の動作手順(制御部15が実行する処理の手順の一例)を説明する。
(メイン処理)
図4は、制御部15が実行するメイン処理の手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、画像通信装置1に電源が投入されてから電源が落とされるまで継続的に実行される。
まず、ステップS1では、制御部15は、ネットワーク7から画像データGDの受信要求を受信したか否か判定する。そして、制御部15は、受信要求を受信したと判定したときは、ステップS2に進み、受信していないと判定したときは、ステップS2をスキップする。
ステップS2では、制御部15は、図1(b)を参照して説明した受信時処理を行う。当該処理については後述する。
ステップS3では、制御部15は、図1(c)を参照して説明した、残りの印刷を行うための読取りが読取部5にて行われたか否か判定する。そして、制御部15は、読取りが行われたと判定したときは、ステップS4に進み、読取りが行われていないと判定したときは、ステップS4をスキップする。
なお、画像通信装置1が画像を読み取って送信する機能を有している場合、画像通信装置1は、例えば、画像を送信するための読取りのときの操作方法とは異なる操作方法で、残りの印刷のための原稿の読取りを受け付けてよい。当該操作は、例えば、宛先を指定せずに、読取り開始用のスイッチを押したり、又は、送信時の読取り開始用のスイッチとは異なるスイッチを押したりする操作である。そして、制御部15は、残りの印刷のための原稿の読取りの操作を受け付け、かつステップS3の肯定判定をしたときにステップS4に進む。
ステップS4では、制御部15は、図1(d)を参照して説明した受信時処理を行う。当該処理については後述する。
ステップS5では、制御部15は、記憶部3のデータベース29の整理を行う時期が到来したか否か判定する。そして、制御部15は、時期が到来したと判定したときはステップS6に進み、時期が到来していないと判定したときは、ステップS6をスキップする。
データベース29の整理を行う時期は、画像通信装置1の製造者によって設定されていてもよいし、画像通信装置1のユーザによって設定可能であってもよい。また、データベース29の整理を行う時期は、予め定められた時刻であってもよいし、所定の事象が生じた時刻(変動する時刻)から一定の時間が経過したときであってもよい。
ステップS6では、制御部15は、時限データ消去処理を行う。当該処理については後述する。
ステップS7では、制御部15は、データベース29に記憶されている受信データ31を消去するための操作が操作部17に対してなされたか否か判定する。そして、制御部15は、操作がなされたと判定したときはステップS8に進み、操作がなされていないと判定したときはステップS8をスキップする。
ステップS8では、制御部15は、操作部17に対する操作内容に応じて受信データ31を消去する。例えば、制御部15は、全ての受信データ31の一括消去を指示する操作がなされたときは、全ての受信データ31を消去する。また、例えば、制御部15は、受信データ31を選択的に消去する操作がなされたときは、その選択された受信データ31を消去する。なお、画像通信装置1は、一括消去及び選択消去のいずれか一方のみが可能に構成されてもよい。
(受信時処理)
図5は、制御部15が図4のメイン処理のステップS2で実行する受信時処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS11では、制御部15は、送信元の通信端末9(又はネットワーク7上のサーバ)との通信を確立して画像データGDを受信する。この画像データGDは、例えば、RAMに保持される。
ステップS12では、制御部15は、受信した画像データを普通に印刷したと仮定したときの枚数(受信枚数)が、所定の閾値を超えているか否か判定する。そして、制御部15は、閾値を超えていると判定したときは、ステップS13に進み、閾値を超えていないと判定したときは、ステップS15に進む。
受信枚数は、例えば、画像データに含まれる情報に基づいて特定される。例えば、制御部15は、画像データに含まれるページ区切りの情報をカウントして受信枚数を特定する。なお、枚数自体の情報が画像データに含まれていてもよい。
閾値は、図1(b)の印刷における一部の枚数以上の枚数で適宜に設定されている。当該閾値は、画像通信装置1の製造者によって設定されていてもよいし、画像通信装置1のユーザによって設定可能であってもよい。また、閾値は、図1(b)の一部の枚数と同一であってもよいし、それよりも多くてもよい。また、閾値は、図1(b)の一部の枚数が変更可能である場合に、一部の枚数の変更に連動して自動的に変更されるものであってもよいし、一部の枚数の変更に無関係であってもよい。
ステップS13では、制御部15は、図1(b)を参照して説明したように、受信した複数枚に亘る画像データGDのうち、一部の枚数の画像データの印刷を行う。なお、一部の枚数は、画像通信装置1の製造者によって設定されていてもよいし、画像通信装置1のユーザによって設定可能であってもよい。
ステップS14では、制御部15は、図1(b)及び図3を参照して説明したように、受信日時、送信元、印刷日時及び画像データGDを含む受信データ31を生成してデータベース29に記憶させる(データベース29を更新する)。なお、本実施形態では、制御部15は、ステップS13で印刷していない残りの枚数についての画像データだけでなく、ステップS13で印刷した一部の枚数についての画像データもデータベース29に保持させる。
ステップS15では、制御部15は、全ての枚数について画像データGDを印刷する。このときの枚数は、ステップS12の閾値以下の枚数である。なお、ステップS12の閾値をステップS13の印刷における一部の枚数よりも多くすると、ユーザによっては利便性が向上する。例えば、受信枚数がステップS13の印刷における一部の枚数よりも1枚だけ多い場合、残りの枚数の印刷を保留したことによる用紙の節約の効果は低く、その一方で、残りの枚数の印刷を別途指示することは煩わしい。そこで、閾値を一部の枚数よりも少しだけ多くしておくことにより、このような不都合が解消される。
なお、特に図示しないが、制御部15は、ステップS13及びS15において、1枚印刷しようとする毎に、印刷可能か否か(用紙が有るか否かなど)を判定する。そして、制御部15は、印刷不可能と判定したときは、例えば、送信元にその旨を報知して、受信時処理を抜けてメイン処理に戻ってもよいし、一旦、その印刷を保留して、他の実行可能な処理を行い、印刷可能になったときに、続きを印刷してもよい。
(読取時処理)
図6は、制御部15が図4のメイン処理のステップS4で実行する読取時処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS21では、制御部15は、データベース29に受信データ31が有るか否か判定する。そして、制御部15は、受信データ31が有ると判定したときはステップS22に進み、無いと判定したときはステップS27に進む。
ステップS22では、制御部15は、データベース29から1つの受信データ31を抽出し、その受信データ31に含まれている画像データGDのうち、ステップS13で印刷されたはずの画像データと、読取部5によって得られた画像データとが一致するか否か判定する。そして、制御部15は、一致すると判定したときはステップS23に進み、一致しないと判定したときはステップS26に進む。
ここでいう画像の一致は、両画像の類似性が一定の基準を超えて高いことをいい、厳密な意味で完全に一致することは意味しない。また、画像の一致の判定には、公知の種々の方法が適用されてよい。例えば、一致の判定は、画像自体の比較によってなされてもよいし、特徴量の比較によってなされてもよい。一致すると判定するときの閾値も適宜に設定されてよい。また、両画像は、基本的には同じ大きさ及びオフセットのはずであるが、印刷又は読取りの際に生じるずれを考慮して、画像データの相対位置を少しずつ(例えば1画素ずつ)ずらしながら一致するか否かの判定がなされてもよい。
ステップS13で印刷される一部の枚数が2以上である場合、この一致の判定は、例えば、一部の枚数と同一の枚数の原稿の画像が読取部5で読み取られ、かつ一部の枚数の全ての画像について一致するときに肯定判定がなされるものであってもよいし、一部の枚数(例えば2枚)よりも少ない枚数(例えば1枚)の原稿の画像が読取部5で読み取られ、その原稿の画像と一致する画像が受信データ31の一部の枚数の画像に含まれるときに肯定判定がなされるものであってもよい。
ステップS23では、制御部15は、読取部5で得られた画像データと一致する画像データを含むと判定された受信データ31の画像データGDのうち、図1(b)で印刷されなかった残りの枚数の画像データの印刷を行う。
ステップS24では、制御部15は、ステップS23で残りの枚数の印刷が行われた受信データ31をデータベース29から消去する(データベース29を更新する)。
ステップS25では、制御部15は、ステップS23で残りの印刷を行った受信データ31と同一の送信元の受信データ31に関する処理である同一送信元処理を実行する。当該処理については後述する。
ステップS26では、制御部15は、全ての受信データ31についてステップS22の画像の一致の判定がなされたか否か判定する。そして、制御部15は、全ての受信データ31について判定済みでない判定したときは、ステップS22に戻り、まだ判定されていない受信データ31について判定を行い、全ての受信データ31について判定済みと判定したときは、ステップS27に進む。すなわち、ステップS22とS26との繰り返しにより、読取部5で読み取られた画像をキーとして、データベース29が検索される。
ステップS27では、制御部15は、エラー報知を表示部19などの報知部に行わせ、読取時処理を終了する。すなわち、残りの枚数の印刷を行うべく、読取部5に原稿を読み取らせても、受信データ31が存在しない場合(ステップS21の否定判定)、及び、読み取られた画像と一致する画像のデータを有する受信データ31が存在しない場合(ステップS26の肯定判定)、残りの枚数の印刷は行われない。
(同一送信元処理)
図7は、制御部15が図6の読取時処理のステップS25で実行する同一送信元処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS31では、制御部15は、ステップS22及びS26の繰り返しによって抽出した受信データ31から送信元の情報を取得し、その送信元の情報をキーとして、データベース29を検索する。すなわち、制御部15は、残りの枚数の印刷が指示された画像データと同一の送信元の画像データを検索する。そして、制御部15は、同一の送信元の画像データが1以上見つかれば、ステップS32に進み、見つからなければ、以降のステップをスキップして図7の処理を終える。
ステップS32では、制御部15は、同一の送信元の画像データの画像を印刷するか否かをユーザに問い合わせるための画像を表示部19に表示させる。この画像は、例えば、同一の送信元からの画像データが有ることを示しつつ、残りの印刷の要否を問う簡素なものであってもよいし、これに加えて、その画像データの受信日時及び残りの枚数等の情報を示すものであってもよい。
ステップS33では、制御部15は、操作部17に対して肯定操作及び否定操作のいずれがなされたか判断する。そして、制御部15は、肯定操作がなされたと判定したときはステップS34に進み、否定操作がなされたと判定したときは、以降のステップをスキップして図7の処理を終える。
ステップS34及びS35では、制御部15は、ステップS31で検索して得られた受信データ31について、ステップS23及びS24と同様に、残りの枚数について印刷部13に印刷を行わせるとともに、残りの枚数の印刷が終了した受信データ31をデータベース29から消去する。
なお、ステップS31で、同一の送信元からの複数の受信データ31が見つかったとき、ステップS32及びS33は、例えば、複数の受信データ31について一括して残りの枚数の印刷を指示したり、複数の受信データ31のいずれかを選択して残りの印刷を指示したりすることが可能な態様で実現されてよく、また、いずれか一方のみが可能であってもよい。複数の受信データ31の選別は、例えば、ステップS32及びS33で一時に行われ、その選別された全ての受信データ31についての印刷等がステップS34及びS35で行われる。複数の受信データ31についてステップS32〜S35を順次行うことによって、複数の受信データ31の選別及び印刷が行われてもよい。
(時限データ消去処理)
図8は、制御部15が図4のメイン処理のステップS6で実行する時限データ消去処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップS41では、制御部15は、データベース29に受信データ31が1以上有るか否か判定する。そして、制御部15は、有ると判定したときはステップS42に進み、無いと判定したときは、以降のステップをスキップして図8の処理を終える。
ステップS42では、制御部15は、データベース29から1つの受信データ31を抽出し、その抽出した受信データ31の受信日時又は印刷日時から所定時間が経過しているか否か、自己が計数している現在時刻に基づいて判定する。そして、制御部15は、所定時間が経過していると判定したときは、ステップS43に進み、経過していないと判定したときはステップS43をスキップしてステップS44に進む。
ステップS43では、制御部15は、ステップS42で所定時間が経過していると判定した受信データ31をデータベース29から消去する(データベース29を更新する。)。これにより、受信データ31は、残りの枚数についての印刷が行われたか否かに関わらず(別の観点では印刷が行われていなくても)、消去される。
なお、受信日時ではなく、印刷日時を基準とする場合においては、例えば、画像データの受信時に用紙が無いときに一部の枚数についての印刷を保留し、用紙が補給されたときに一部の印刷を行うような構成において、一部の枚数についての印刷が行われた直後に残りの枚数の画像データが消去されてしまうような不都合を避けることができる。
基準となる時刻(本実施形態では受信日時又は印刷日時)から受信データの消去が行われる(消去が許容される)までの所定時間は、例えば、製造者が設定しておいてもよいし、ユーザにおいて設定可能であってもよい。また、制御部15は、受信時処理(ステップS2)において、基準となる時刻を画像データGDと対応付けて記憶するのではなく、基準となる時刻に所定時間を足した消去すべき時刻を画像データGDと対応付けて記憶させ、ステップS42で、その消去すべき時刻と現在時刻とを比較してもよい。
ステップS44では、制御部15は、全ての受信データ31について、ステップS42の判定を行ったか否か判定する。そして、制御部15は、全ての受信データ31について判定済みでないと判定したときはステップS42に戻り、判定済みと判定したときは図8の処理を終了する。すなわち、ステップS44及びS42により、全ての受信データ31について、消去すべき時刻が到来したか否か判定される。
なお、図8の説明から理解されるように、図4のステップS5は省略可能である。ただし、消去までの所定時間(ステップS42)は、一般には、さほど短い時間には設定されないと考えられ、また、画像通信装置1も、一般には、絶えず画像データを受信しているわけではない。従って、ステップS5を挿入しても、ステップS5のデータ整理時期を適宜に設定すれば、記憶部3の記憶領域の解放の停滞はさほど生じず、むしろ、制御部15の負担が軽減され、好ましい。
以上のとおり、本実施形態では、画像通信装置1は、画像データを受信可能な受信部11と、画像データを記憶可能な記憶部3と、画像を印刷可能な印刷部13と、原稿の画像を読み取り可能な読取部5と、受信部11及び読取部5からの信号に基づいて記憶部3及び印刷部13を制御する制御部15と、を有している。制御部15は、受信時処理部21と、読取時処理部23とを有している。受信時処理部21は、受信部11が複数枚に亘る画像データGDを受信したときに、一部の枚数について画像データGDに基づく画像を印刷部13に印刷させ(ステップS13)、少なくとも残りの枚数について画像データGDを記憶部3に記憶させる(ステップS14)。読取時処理部23は、読取部5が原稿の画像を読み取ったときに、記憶部3に記憶されている残りの枚数についての画像データから、読み取られた画像を一部の枚数の画像とするものを特定し、特定した画像データに基づく画像を印刷部13に印刷させる(ステップS22及びS23)。
従って、印刷の要否の選択に関して利便性が向上する。例えば、一部の枚数については、受信時に自動的に印刷がなされるから、ユーザは受信の有無を簡便に把握できる。また、例えば、ユーザは、その印刷された一部の枚数の画像を見ることができるから、残りの枚数の印刷の要否の検討が容易である。また、例えば、その印刷された一部の枚数の画像を読取部5に読み取らせることによって、記憶部3に記憶されている複数種類の画像データGD(複数の受信データ31)から、残りの枚数の印刷を行う受信データ31を指定できるから、操作部17の操作に習熟する必要がない。
なお、ここでいう、受信部11が受信した「とき」、又は読取部5が読み取った「とき」は、受信又は読取りの進行と同時であってもよいし、受信又は読取りから多少のタイムラグがあってもよい。
また、本実施形態では、受信時処理部21は、一部の枚数についての画像データも記憶部3に記憶させる(ステップS14)。読取時処理部23は、読取部5が読み取った画像と、記憶部3に記憶されている一部の枚数についての画像データに基づく画像とが一致するか否か判定し(ステップS22)、一致すると判定した画像に対応する残りの枚数についての画像を印刷部13に印刷させる。
従って、例えば、印刷された一部の枚数の画像自体に基づいて、残りの枚数の画像データが選択されて印刷されるから、後述する第2実施形態のように、一部の枚数の画像に識別用のマークを付加するような処理は不要である。その結果、例えば、印刷された画像をそのまま観賞用に利用したいような場合に、不要なマークが画像に紛れる不都合が生じない。
また、本実施形態では、受信時処理部21は、残りの枚数についての画像データと対応付けて所定の時刻(受信日時又は印刷日時)を記憶部3に記憶させる(ステップS14)。制御部15は、時限データ消去部25を有しており、時限データ消去部25は、記憶部3に記憶されている所定の時刻が現在時刻に対して所定の条件を満たすか否か(例えば所定の時刻から所定時間が経過しているか否か)判定し(ステップS42)、満たすと判定した所定時刻に対応付けられている残りの枚数についての画像データを記憶部3から消去する(ステップS43)。
従って、例えば、ユーザは、印刷不要な残りの枚数の画像データを記憶部3から消去するための操作を操作部17に対してわざわざ行う必要はない。すなわち、残りの印刷が不要なときは、一部の枚数の印刷物を原稿として読取部5に読み取らせずに、放置すればよい。その結果、利便性が向上する。
また、本実施形態では、画像通信装置1は、ユーザの操作を受け付ける操作部17を有している。制御部15は、操作データ消去部27を有しており、操作データ消去部27は、残りの枚数についての画像データに基づく画像の印刷の有無に関わらず、操作部17に対する所定の操作に応じて残りの枚数の画像データを記憶部3から消去する(ステップS8)。
従って、例えば、印刷が不要な大量の画像データを受信したときに、その画像データを記憶部3から削除して、記憶部3の記憶領域を解放できる。また、例えば、印刷が不要といえども、長期に記憶部3に残しておくことが好ましくない情報を任意の時期に削除できる。
また、本実施形態では、受信時処理部21は、残りの枚数の画像データに対応付けて、当該画像データの送信元の情報(図3)を記憶部3に記憶させる(ステップS14)。
読取時処理部23は、読取部5が読み取った画像を一部の枚数についての画像とする残りの枚数の画像データに対応付けられている送信元と、他の残りの枚数についての画像データに対応付けられている送信元とが一致するか否か判定し(ステップS31)、一致すると判定した他の残りの枚数についての画像データに基づく画像を印刷部13に印刷させる(ステップS34)。
従って、例えば、画像データの内容ではなく、送信元によって残りの枚数について印刷の要否が決まるような場合において、印刷が必要な送信元からの複数回に亘る受信について、受信毎に一部の枚数の画像を読取部5に読み取らせるような手間が省かれる。
また、本実施形態では、一部の枚数の画像(ステップS13)は、最初に印刷されるものとして複数枚に亘る画像データGDによって規定されている1枚の画像である。
通常、最初に印刷される1枚の画像には、送信元及び送信内容などの、残りの枚数の内容について予測可能な情報が含まれていることが多い。このような1枚のみを印刷することによって、不要な印刷を極力避けつつ、残りの印刷に必要な情報をユーザに極力提供することができる。
<第2実施形態>
(動作の概要)
図9(a)〜図9(d)は、第2実施形態の画像通信装置201の動作の概要を説明するための模式図である。
図9(a)に示すように、画像通信装置201は、複数枚(P1〜P4)に亘る画像データGDを受信すると、第1実施形態と同様に、一部の枚数(P1)について印刷を行い、また、画像データを記憶部3に保持する。
ただし、画像通信装置201は、第1実施形態とは異なり、一部の枚数の印刷において、画像P1にマーク107を付加する。また、画像通信装置201は、全ての枚数について画像データGDを記憶部3に保持するのではなく、残りの枚数についてのみ画像データを記憶部3に保持する。なお、画像通信装置201は、全ての枚数について画像データGDを記憶部3に保持してもよい。
図9(b)は、一部の枚数のメディアP1に印刷された画像103を示している。画像103は、メイン画像105と、マーク107とを含んでいる。メイン画像105は、画像通信装置201が受信した画像データGDに基づく画像であり、マーク107は、図9(a)において画像通信装置201が付加した画像である。マーク107は、例えば、受信毎に(画像データGD毎に)、異なる種類(図柄)のものが割り当てられる。マーク107の位置は適宜に設定されよく、例えば、メディアP1の右下など、四隅のいずれか1つである。
図9(c)に示すように、画像通信装置201では、第1実施形態と同様に、図9(a)で印刷された一部の枚数のメディアP1が原稿として読取部5に供給される。これにより、残りの枚数の印刷を行う画像データP2〜P4が指定されるとともに、当該画像データに基づく画像の印刷が指示される。
ただし、画像通信装置201は、第1実施形態とは異なり、メイン画像105ではなく、マーク107に基づいて、読取部5において読み取られたメディアP1に対応する残りの枚数についての画像データP2〜P4を特定し、抽出する。
そして、図9(d)に示すように、抽出された画像データに基づく画像P2〜P4が印刷される。この際、画像通信装置201は、一部の枚数の印刷において画像P1に付加したマーク107を、画像P2〜P4にも付加する。これにより、画像P1と画像P2〜P4との対応関係が明確になる。ただし、マーク107は、画像P2〜P4に付加されなくてもよい。
(画像通信装置等の構成)
第2実施形態に係る画像通信装置201及び当該画像通信装置201を含む通信システムは、その構造自体は第1実施形態のものと同様であり、図2を参照して説明したとおりである。なお、以下では、図2等の符号を第2実施形態のものとして参照することがある。画像通信装置201は、制御部15の制御及び記憶部3の記憶内容が第1実施形態と相違する。具体的には、例えば、以下のとおりである。
(データ内容)
図10(a)は、記憶部3に記憶されているデータベース229の内容を概念的に示す図である。
データベース229は、第1実施形態のデータベース29に対応するものであり、複数の受信データ231を保持可能である。受信データ231は、第1実施形態の受信データ31にマーク107の情報を付加したものである。なお、図10(a)では、受信データ31の受信日時及び印刷日時に係る情報の図示は省略している。
なお、図3と同様に、図10(a)は概念図である。従って、実際には、例えば、マーク107の画像データ自体が対応付けられるのではなく、マーク107の画像データが保存されている記憶領域のアドレスが対応付けられていてもよい。
マーク107の画像データは、ラスタ形式であってもよいし、ベクタ形式であってもよい。マーク107の具体的な図柄は適宜に設定されよく、例えば、図形のみから構成されてもよいし、記号又は文字を含んで構成されてもよい。
図10(a)の例では、マーク107は、送信元毎に互いに異なる図形が割り当てられるとともに、同一の送信元について受信毎に互いに異なる番号が割り当てられて構成されている。具体的には、図示の例では、上から1〜3行は、互いに送信元が異なっていることから、マーク107の図形が互いに異なっており、また、上から2行目及び下から1〜2行目は、送信元が同一であることから、マーク107の図形が互いに同一で、マーク107の番号が互いに異なっている。
なお、図10(a)はあくまで一例である。従って、例えば、マーク107は、図形のみから構成され、また、送信元が同じか否かに関わらず、受信毎に互いに異なる図形が割り当てられて構成されてもよい。また、例えば、マーク107は、全ての受信に共通の図形と、送信元が同じか否かに関わらず受信毎に割り当てられた番号との組み合わせによって構成されてもよい。番号に代えて、アルファベットなどの文字乃至は記号が用いられてもよい。
図10(b)は、制御部15による受信データ231へのマーク107の割り当てのために記憶部3に記憶されている割当用テーブル233の内容を示す概念図である。
割当用テーブル233は、複数の割当データ235を保持可能である。割当データ235は、例えば、マーク107の図形部分109と、その図形部分109が割り当てられた送信元の情報と、図形部分109と共にマーク107を構成する番号に係る情報とを対応付けて保持している。
送信元に割り当てられていない図形部分109は、送信元の情報が「NULL」とされている。送信元に対する図形部分109の割り当ては、例えば、後述するように制御部15が自動的に行う。ただし、ユーザが割当用テーブル233を更新して、送信元に対して任意の図形部分109を割り当ててもよい。また、図形部分109の画像データは、製造者において用意されているが、ユーザが追加可能であってもよい。番号は、例えば、その図形部分109に関して、前回の印刷で付加した番号又は次の印刷で付加すべき番号である。
(画像通信装置の動作手順)
画像通信装置201(制御部15)は、第1実施形態と同様に、メイン処理(図4)を実行する。メイン処理の各ステップにおける処理も、第1実施形態と概ね同様である。以下では、相違部分について述べる。
(受信時処理)
図11は、制御部15が実行する受信時処理の一部(図5との相違部分)の手順を示すフローチャートである。図示のステップは、例えば、図5のステップS12とS13との間(一部の枚数についての印刷の手前)に挿入される。
ステップS51では、制御部15は、ステップS11で受信した画像データの送信元の情報をキーとして、割当用テーブル233の送信元の情報を検索し、画像データの送信元に既にマーク107の図形部分109が割り当てられているか否か判定する。そして、制御部15は、割り当てられていないと判定したときはステップS52に進み、割り当てられていると判定したときはステップS52をスキップしてステップS53に進む。
ステップS52では、制御部15は、送信元が割り当てられていない(送信元が「NULL」とされている)図形部分109に対して、ステップS11で受信した画像データの送信元の情報を対応付けて割当用テーブル233に記憶させる(割当用テーブル233を更新する。)。すなわち、制御部15は、送信元に図形部分109(割当データ235)を割り当てる。また、制御部15は、その割り当てた割当データ235の番号に係る情報を初期値にする。
ステップS53及びS54では、制御部15は、ステップS51において特定した割当データ235、又はステップS52で送信元を割り当てた割当データ235から、図形部分109の画像データ及び番号に係る情報を取得する。取得後、制御部15は、その割当データ235の番号が1つ増加するように、割当用テーブル233を更新する。なお、番号が所定の閾値を超えるなどしたときは、番号を初期値に戻すように番号に係る情報を更新してもよい。
ステップS55では、制御部15は、ステップS53及びS54で取得した図形部分109の画像データ及び番号の情報に基づいて、ステップS13で印刷される一部の枚数の画像にマーク107が含まれるように、ステップS11で受信した画像データを修正する。
そして、ステップS13では、そのマーク107を含む画像が印刷される。また、ステップS14では、第1実施形態と同様に、少なくとも残りの枚数についての画像データを含む受信データ231が生成され、データベース229に記憶される。ただし、本実施形態では、ステップS14の記憶の際、一部の枚数についての画像に付加されたマーク107の画像データも、受信データ231の一部としてデータベース229に記憶される。
(読取時処理)
第2実施形態における読取時処理の手順は、図6に示したものと同様である。
ただし、ステップS22の画像の一致の判定においては、第1実施形態とは異なり、読み取られた画像に含まれるマーク107と、データベース229に記憶されているマーク107とが一致するか否かが判定される。
例えば、制御部15は、データベース229からマーク107を読み出し、その読み出したマーク107をテンプレートとして、読取部5で読み取った画像に対する位置を少しずつ(例えば1画素ずつ)ずらしながら一致するか否かの判定(テンプレートマッチング)を行う。なお、マーク107を付すのは制御部15であるから、制御部15は、マーク107が付されている位置を把握している。従って、テンプレートマッチングは、読取部5で読み取られた画像の全体に対して行われる必要はなく、一部の領域(隅部の一つなど)においてのみ行われてもよい。なお、画像の一致が厳密な意味で完全に一致することを意味しないこと、画像の一致の判定に公知の種々の方法が適用されてよいこと等は、第1実施形態と同様である。
また、第2実施形態では、ステップS23の残りの枚数の印刷において、ステップS55を経由したステップS13の一部の枚数についての印刷と同様に、マーク107が付加されるように修正された画像データに基づいて印刷が行われる。なお、画像データの修正は、ステップS23の直前に行われてもよいし、ステップS55において、一部の枚数についての画像データの修正とともに行われてもよい。
特に図示しないが、第2実施形態では、上記の他、制御部15は、割当用テーブル233の図形部分109に対する割り当ての解除も行う。例えば、制御部15は、所定の時期(ステップS5の時期と同じでもよい)が到来すると、割当用テーブル233から送信元の情報を順次読み出し、その読み出した送信元の情報をキーとしてデータベース229を検索する。その結果、該当する受信データ231がヒットしなかった割当データ235については、送信元の情報をNULLにする。
以上のとおり、本実施形態においても、受信時処理部21は、受信部11が複数枚に亘る画像データGDを受信したときに、一部の枚数について画像データGDに基づく画像を印刷部13に印刷させ(ステップS13)、少なくとも残りの枚数について画像データGDを記憶部3に記憶させる(ステップS14)。読取時処理部23は、読取部5が原稿の画像を読み取ったときに、記憶部3に記憶されている残りの枚数についての画像データから、読み取られた画像を一部の枚数の画像とするものを特定し、特定した画像データに基づく画像を印刷部13に印刷させる(ステップS22及びS23)。従って、第1実施形態と同様に、印刷の要否の選択に関する利便性が向上する。
また、本実施形態では、受信時処理部21は、一部の枚数についての画像に、受信毎に割り当てたマーク107を付加して印刷部に印刷させ(ステップS55及びS13、図9(b))、残りの枚数についての画像データに対応付けてマーク107の情報を記憶部3に記憶させる(ステップS14)。読取時処理部23は、読取部5が原稿から読み取った画像に含まれているマーク107と、記憶部3にて残りの枚数についての画像データと対応付けられているマーク107とが一致するか否か判定し(ステップS22、図9(c))、一致すると判定したマーク107と対応付けられている残りの枚数についての画像データを印刷部13に印刷させる。
従って、例えば、受信した画像自体を比較する第1実施形態に比較して、一致するか否かの判定に供される画像データを、簡素なもの及び/又はデータ量が小さいものにできる。その結果、例えば、制御部15の負担が軽減され、また、誤認識のおそれも低減される。
また、本実施形態では、読取時処理部23は、残りの枚数についての画像に、当該画像の画像データに対応付けられているマーク107を付加して印刷部13に印刷させる(ステップS23、図9(d))。
従って、例えば、一部の枚数の画像と、残りの枚数の画像との対応関係が明確化され、便利である。また、例えば、一部の枚数の画像を複数組について連続的に読取部5に読み取らせ、残りの枚数の画像を複数組について一括して印刷したような場合にも、一部の枚数の画像と、残りの枚数の画像との対応関係を後から把握することができる。
<第3実施形態>
図12は、第3実施形態に係る画像通信装置301の動作を説明するための模式図である。
第1及び第2実施形態では、画像通信装置は、画像データGDを受信すると、一部の枚数についてのみ印刷を行った。これに対して、画像通信装置301は、一部の枚数(P1)の印刷とともに、残りの枚数(P2〜P5)の割り付け印刷を行う。割り付けの数及び配置は、製造者において設定されていてもよいし、ユーザによって設定可能であってもよい。また、一部の枚数の印刷と、残りの枚数の印刷とはいずれが先になされてもよい。好適には、前者の後に後者がなされる。
上記の残りの枚数についての割り付け印刷以外は、画像通信装置301は、第1又は第2実施形態と同様である。例えば、少なくとも残りの枚数についての画像データは記憶部3に記憶される。そして、一部の枚数の画像が印刷されたメディアP1が原稿として読取部5に供給されることにより、記憶部3から、対応する残りの枚数の画像P2〜P5が選択され、印刷がなされる。
このように、受信時処理部21が、一部の枚数についての印刷とともに、残りの枚数についての割り付け印刷を印刷部13に行わせることによって、メディア(用紙)を節約しつつ、残りの印刷の要否の検討に必要な情報を、より多くユーザに提供することができる。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
一部の枚数の画像は、最初に印刷されるものとして画像データによって規定されている1枚の画像に限定されない。例えば、一部の枚数は、2枚以上であってもよいし、一部の枚数の画像は、中途又は最後に印刷される画像であってもよい。
受信時に印刷される枚数と、残りの枚数の画像データを特定するために用いられる枚数とは、同一でなくてもよい。例えば、複数枚(t枚)に亘る画像について、残りの枚数の画像データを特定するために用いられる枚数(a枚)を「一部の枚数」と規定したとき、受信時に印刷される枚数(b枚)は、これよりも多くてもよい(b>a)。また、この場合、読取部処理部によって印刷される「残りの枚数」は、一部の枚数(a枚)を除く「残りの『全ての』枚数」(t−a)を意味せず、「残りの『他の一部』の枚数」(例えばt−b)であってよい。
読み取った画像に基づいて、記憶部に記憶されている残りの枚数についての画像データから、読み取られた画像に対応する画像データを特定する方法は、実施形態に例示したものに限定されない。例えば、第2実施形態のマークに代えて、1次元バーコード又は2次元バーコードが付加されて印刷されてもよい。この場合、バーコードに、受信した画像データを蓄積したデータベースを検索するキーとなる情報を含ませてよい。当該情報は、例えば、受信日時及び送信元の組み合わせ、又は、受信した画像データに対応付けられて記憶された任意の番号などである。また、マークに代えて、上記のようなキーとなる情報を文字で付加し、その文字をOCR(optical character recognition)で読み取ってもよい。