(システムの概略構成)
図1は、本発明の実施形態に係るプリントシステム1の要部の構成を模式的に示す図である。
プリントシステム1は、例えば、それぞれネットワーク3に接続された、送信側通信端末5A、プリントサーバ7、プリンタ9及びプリンタ側通信端末5Bを有している。なお、以下では、送信側通信端末5A及びプリンタ側通信端末5Bを区別せずに、単に「通信端末5」ということがある。
プリントシステム1は、複数の送信側通信端末5A、複数のプリンタ9及び複数のプリンタ側通信端末5Bを有することが可能である。図1では、それぞれ一つのみ例示している。なお、プリントサーバ7も複数設けられ、分業がなされてもよい。
ネットワーク3は、例えば、複数のコンピュータネットワークを相互に接続するインターネット11と、複数の電話機を相互に接続するとともにインターネット11と不図示のゲートウェイを介して接続された電話網13とを含んでいる。なお、ネットワーク3の一部又は全部は、有線であってもよいし、無線であってもよい。
送信側通信端末5Aは、例えば、プリントシステム1によって実現されるサービスを受けるユーザが所有する。送信側通信端末5Aは、ネットワーク3を介して電子メールを送信可能なものであれば、どのような機器であってもよい。なお、通常、電子メールを送信可能な機器は、電子メールを受信可能である。通信端末5は、例えば、スマートフォン等の携帯電話機、又は、ノートパソコン等のパーソナルコンピュータである。通信端末5が携帯電話機である場合(図示の例)、通信端末5は、例えば、電話網13及び不図示のゲートウェイを介してインターネット11に接続されている。また、通信端末5がパーソナルコンピュータである場合、特に図示しないが、通信端末5は、モデム等の適宜なインターフェースを介してインターネット11に接続されている。
プリントサーバ7は、例えば、プリントシステム1によって実現されるサービスを提供する事業者(サービス提供者)が所有する。プリントサーバ7は、例えば、コンピュータにより構成されており、インターネット11に接続されている。プリントサーバ7を構成するコンピュータは、LAN(Local Area Network)等のネットワークを介して接続された複数のハードウェアからなるものであってもよい。
プリンタ9は、例えば、送信側通信端末5Aの所有者(ユーザ)、プリントサーバ7の所有者(サービス提供者)、又は、これらの者とは異なるユーザ若しくは事業者によって所有されている。プリンタ9は、ネットワーク3を介した通信が可能であれば、その形式は問わない。例えば、プリンタ9は、カラー印刷が可能なものであってもよいし、不可能なものであってもよい。また、プリンタ9は、インクジェットプリンタであってもよいし、サーマルプリンタであってもよい。また、プリンタ9は、狭義のプリンタだけでなく、いわゆる複合機であってもよい。
プリンタ9は、例えば、適宜なインターフェース15を介してインターネット11に接続されている。インターフェース15は、例えば、電話回線とプリンタ9とを接続するモデム、又は、光回線とプリンタ9とを接続する光回線終端装置である。インターフェース15とプリンタ9との間に更に不図示のルータ等が介在してもよいし、そのルータからプリンタ9側に構築されたLAN内にプリンタ9が組み込まれていてもよい。
プリンタ側通信端末5Bは、例えば、プリンタ9の所有者が所有する。なお、前述のように、送信側通信端末5Aの所有者と、プリンタ9の所有者とは同一であってもよい。この場合において、送信側通信端末5Aがプリンタ側通信端末5Bに兼用されてもよい。プリンタ側通信端末5Bは、ネットワーク3を介して電子メールを受信可能なものであれば、どのような機器であってもよい。なお、通常、電子メールを受信可能な機器は、電子メールを送信可能である。通信端末5の具体例については、送信側通信端末5Aの説明で述べたとおりである。
(動作の概要)
図2は、プリントシステム1の動作の概要を示すフローチャートである。なお、同図の説明では、プリントシステム1の動作の概要を分かり易く説明するために、後に図6等を参照して説明するフローチャートと細部に関して異なる態様で説明することがある。
まず、送信側通信端末5Aは、印刷したい情報を含む電子メール(印刷情報)を所定の印刷用メールアドレス宛に送信する(ステップST1)。この電子メールには、印刷日時を指定する情報が含まれている。
プリントサーバ7は、この電子メールを受信すると、電子メールで指定されている印刷日時と、現在時刻とを比較する(ステップST2)。そして、プリントサーバ7は、指定された印刷日時が現在時刻よりも後の場合は、受信した電子メールの内容等を不揮発性のメモリ等に一旦保存して待機する。その後、指定された印刷日時が到来すると、プリントサーバ7は、プリンタ9に印刷を指示するための動作を開始する。
例えば、まず、プリントサーバ7は、プリンタ9との通信を確立しようとする(ステップST3)。また、プリントサーバ7は、プリンタ9との通信が確立できたか否かなどに基づいて、プリンタ9が印刷可能な状態か否か判定する(ステップST4)。そして、プリントサーバ7は、印刷可能な状態と判定したときは、保存しておいた電子メールの内容に基づく印刷データをプリンタ9に送信し(ステップST5)、印刷不可能な状態と判定したときは、所定の報知情報を送信側通信端末5A及びプリンタ側通信端末5Bに送信する(ステップST6及びST7)。
プリンタ9は、プリントサーバ7から印刷データを受信すると、その印刷データに基づく印刷を行う(ステップST8)。また、送信側通信端末5A及びプリンタ側通信端末5Bは、プリントサーバ7から報知情報を受信すると、その報知情報を表示等するための報知動作を行う(ステップST9及びST10)。
このように、プリントシステム1では、プリントサーバ7が印刷内容の情報を保持し、また、印刷日時が到来したか否か判定する。すなわち、プリンタ9は、通常通り、印刷内容の情報(印刷ジョブ)を受信したときに当該情報に基づく印刷を実行すればよい。従って、プリンタ9の負担が軽減される。また、印刷できないときにその旨が通信端末5に報知され、利便性が高い。
印刷日時を指定できることから、例えば、送信側通信端末5Aのユーザは、予め電子メールを送信しておくことにより、他のユーザの誕生日に当該他のユーザが所有するプリンタ9に印刷を行わせ、他のユーザに写真及び/又はメッセージを送ることができる。また、例えば、送信側通信端末5Aのユーザは、予め電子メールを送信しておくことにより、他のユーザの結婚式の日に、結婚式会場の事業者が所有するプリンタ9に印刷を行わせ、他のユーザに写真及び/又はメッセージを送ることができる。また、例えば、送信側通信端末5Aのユーザとしての会社員(別の観点では会社)は、機密性が高い文書を自己の会社の他の事業所のプリンタ9に印刷させる際に、当該プリンタ9の前に自己又は他の会社員がいるであろう日時に印刷を行い、セキュリティを確保することができる。
(信号処理系の構成)
図3は、図2の動作を実現するためのプリントシステム1の信号処理系の構成を示すブロック図である。
通信端末5、プリントサーバ7及びプリンタ9それぞれは、特に図示しないが、例えば、CPU、ROM、RAM及び外部記憶装置等を有しており、CPUがROM及び/又は外部記憶装置に記憶されているプログラムを読み出して実行することにより、図3にブロック(矩形)で示された各部が構成される。
送信側通信端末5Aは、例えば、電子メールを送受信するためのメールクライアント部21Aと、ウェブページを閲覧するためのウェブクライアント部23Aと、ユーザインターフェースとしての表示部25A及び操作部27Aとを有している。
同様に、プリンタ側通信端末5Bは、例えば、電子メールを送受信するためのメールクライアント部21Bと、ウェブページを閲覧するためのウェブクライアント部23Bと、ユーザインターフェースとしての表示部25B及び操作部27Bとを有している。
なお、以下では、送信側通信端末5A及びプリンタ側通信端末5Bの各部について、「A」及び「B」を省略し、いずれの通信端末5に属するものであるか区別しないことがある。
特に図示しないが、通信端末5は、上記の他、例えば、プリントサーバ7によるサービスを受けるための専用のアプリケーションがインストールされ、これによりプリントクライアント部を有していてもよい。ただし、本実施形態の説明では、主として、そのような専用のアプリケーションが不要な態様を例にとって説明する。
メールクライアント部21は、携帯電話機等の通信端末において一般的なもの(一般的なメールクライアントソフトウェアの実行によって構築されるもの)と同様のものでよい。メールクライアント部21は、例えば、電子メールの作成、送信、受信、閲覧及び管理を行う。
ウェブクライアント部23は、携帯電話機等の通信端末において一般的なもの(一般的なウェブクライアントソフトウェアの実行によって構築されるもの)と同様のものでよい。ウェブクライアント部23は、例えば、ネットワーク3を介して不図示のウェブサーバにアクセスし、ウェブブラウザによりウェブページを表示する。
なお、電子メールは、いわゆるウェブメールであってもよい。この場合、メールクライアント部21は不要である。また、この場合であっても、ウェブクライアント部23等が電子メールを構成するための情報をウェブサーバに送信しているから、通信端末5が電子メール(印刷情報)を実質的に送信しているといえる。
表示部25は、例えば、液晶表示装置又は有機EL表示装置である。操作部27は、例えば、複数の物理的なキーを有するものであってもよいし、タッチパネルのように表示部25のGUI(graphical user interface)と組み合わされたものであってもよい。
プリントサーバ7は、例えば、電子メールを受信するためのメール受信部29と、ウェブページの情報を取得するためのウェブクライアント部31と、受信した電子メールに基づく印刷に係る主たる処理を行うためのメイン処理部33と、通信端末5の情報、プリンタ9の情報及び電子メール(印刷情報)等を保持するための記憶部35とを有している。
メール受信部29は、例えば、一般的なメールサーバと同様に、他のメールサーバのMTA(Mail Transfer Agent)から送信され、宛先メールアドレスのドメイン名が自己のIPアドレス(Internet Protocol address)と対応した電子メールを受信する。すなわち、メール受信部29は、所定(一定)のドメイン名と、種々のローカルパートとからなる種々の宛先メールアドレスの電子メールを受信する。例えば、ドメイン名が「@ab**.co.jp」である、「cd**@ab**.co.jp」、「ef**@ab**.co.jp」等を宛先メールアドレスとする電子メールを受信する。ただし、メール受信部29においては、メールサーバとは異なり、受信したメールを転送する機能(MTA)及び受信したメールをメールクライアントに配送する機能(MDA:Mail Delivery Agent)は不要である。
なお、メール受信部29は、メールクライアントのメール受信部と同様に構成され、所定のドメイン名を宛先メールアドレスに含む種々の電子メールをメールサーバのMDAから受信してもよい。すなわち、擬似的にメールサーバのように動作してもよい。ただし、この場合、送信側通信端末5Aから電子メールが送信されたときに直ちにメール受信部29にて受信できるように、メールサーバからメール受信部29への電子メールの配送はプッシュ型であることが好ましい。
ウェブクライアント部31は、例えば、一般的なウェブクライアント部と同様に、URLによって特定されるウェブページの情報をウェブサーバから取得する。ただし、ウェブクライアント部31は、その情報を表示部に表示するためのブラウザは有していなくてもよい。
メイン処理部33は、例えば、記憶部35に記録される登録情報(後述)を管理する登録管理部37と、送信側通信端末5Aからの印刷情報の受信に係る処理(ステップST1)を行う受信処理部39と、印刷すべき時刻が到来したときにプリンタ9に印刷を行わせる処理等(ステップST2〜ST7)を行う時限処理部41とを有している。
記憶部35は、例えば、不揮発性のメモリによって構成されており、後述する登録管理データベース及び印刷ジョブデータベース等のデータベースを記憶している。
プリンタ9は、例えば、受信した印刷データを印刷するための制御を行う印刷実行部43と、プリントシステム1によるサービスを受けるための処理を実行するネットワーク用処理部45と、ユーザインターフェースとしての表示部47及び操作部49とを有している。
印刷実行部43は、例えば、一般的なプリンタにおいて構築されているものと同様でよい。印刷実行部43は、例えば、印刷データ(印刷ジョブ)を受信すると、当該情報に基づいて、プリントヘッドのアクチュエータ及び紙送り機構のアクチュエータに対して適宜なタイミング及び適宜な大きさで電圧を印加する。
ネットワーク用処理部45は、例えば、プリントシステム1にインストールされた専用のアプリケーションが実行されることによって構築される。このアプリケーションは、例えば、プリントサーバ7の提供者と同一又は提携しているプリンタ9の製造者によってプリンタ9の出荷前にインストールされてもよいし、プリンタ9の所有者によってインストールされてもよい。このアプリケーションの実行は、例えば、プリンタ9に電源が投入されたときに開始される。
ネットワーク用処理部45は、例えば、プリンタ9のIPアドレスをプリントサーバ7に通知するためのアドレス通知部51と、プリンタ9の状態をプリントサーバ7に通知するための状態通知部53とを有している。
プリンタ9のIPアドレスは、プロバイダーのDHCPサーバ(Dynamic Host Configuration Protocol server、不図示)によって動的に割り当てられるものであることがある。すなわち、プリンタ9のIPアドレスは変化する。そこで、アドレス通知部51は、適宜な時期にプリントサーバ7にプリンタ9のIPアドレス等を通知する。これにより、例えば、図2のステップST5などにおいて、プリントサーバ7からネットワーク3を介してプリンタ9へ接続することができる。なお、プリントサーバ7のIPアドレスは、例えば、静的に割り当てられている(固定IPアドレスである)。
具体的には、例えば、プリンタ9にグローバルIPアドレスが割り当てられる態様においては、アドレス通知部51は、適宜な情報(例えばプリントシステム1のサービスを受けるためのアカウント情報)をデータ部に含むIPパケットをプリントサーバ7へ送信すればよい。IPパケットには、送信元のIPアドレスが含まれているから、これにより、プリントサーバ7は、プリンタ9のIPアドレスを把握できる。なお、IPパケットが含まれるイーサネットフレームには、送信元のMACアドレス(Media Access Control address)が含まれているから、プリントサーバ7は、アドレス通知部51からの通知によってプリンタ9のMACアドレスも取得できる。
また、例えば、プリンタ9にローカルIPアドレス(プライベートIPアドレス)が割り当てられる態様においては、アドレス通知部51は、ローカルIPアドレスをプリンタ9に割り当てたDHCPサーバ(例えばLANのルータ。プロバイダーのサーバであることもある)のグローバルIPアドレスと、プロトコルと、ポート番号とを含むIPパケットをプリントサーバ7へ送信すればよい(これらの一部又は全部の情報の付与はDHCPサーバが行ってもよい。)。すなわち、プリンタ9は、いわゆるポート開放を行えばよい。これにより、プリントサーバ7は、静的IPマスカレードを利用してプリンタ9へ接続することができる。なお、本実施形態の説明では、グローバルIPアドレス、プロトコル及びポート番号の組み合わせについても、アドレス乃至はIPアドレスということがある。
アドレス通知部51がアドレスを通知する時期は、例えば、プリンタ9がインターネット11に接続するなどしてプリンタ9にIPアドレスが割り当てられたときである。プリンタ9にグローバルIPアドレスが割り当てられている場合においては、その後、プリンタ9の接続が切れて、割り当てられたグローバルIPアドレスが回収されるまでは、プリントサーバ7はプリンタ9に対して接続できる。また、例えば、LANのルータによってプライベートIPアドレスがプリンタ9に割り当てられている場合、ルータの電源が落とされてルータに割り当てられたグローバルIPアドレスが回収されるまでは、プリントサーバ7はプリンタ9に対して接続できる。なお、通常、ルータは、電源を入れたままとされるから、長期に亘ってプリントサーバ7はプリンタ9に接続可能である。その他、例えば、ネットワーク用処理部45の起動よりもIPアドレスの割り当てが早いことが確実であれば、アドレスを通知する時期は、ネットワーク用処理部45の起動時とされてもよい。
なお、プリンタ9のIPアドレスが静的なものであれば、アドレス通知部51は省略されてもよい。この場合、例えば、プリントシステム1によるサービスを受けるための所定の登録手続きにおいて、プリンタ9のMACアドレス及びIPアドレス等のアドレスがプリントサーバ7に通知されればよい。この登録手続きにおける通知は、ネットワーク用処理部45(プリンタ9)によってなされてもよいし、プリンタ側通信端末5Bによってなされてもよいし、これらとは異なる端末からなされてもよいし、サービス提供者によってプリントサーバ7に対して直接的に行われてもよい。
状態通知部53は、例えば、プリントサーバ7からの問い合わせ(ステップST3)に応じてプリンタ9の状態を示す状態情報をプリントサーバ7に送信する。ここでいうプリンタ9の状態は、印刷の可否乃至は品質に関わるものであり、例えば、以下の項目についての状態である。
・プリンタ9の電源のON・OFF
・プリンタ9における用紙の有無
・プリンタ9におけるインクの有無
なお、本実施形態の説明では、スリープ状態(省電力モード)は、例えば、印刷を即座に行うことができる状態(狭義の電源ON状態、待ち状態、レディ状態)よりも電力を節約しており、また、信号入力によって狭義の電源ON状態に復帰できる状態である。電力の節約は、例えば、印刷のための予熱の停止及び/又は揮発性メモリへの電力供給の停止などによりなされる。本実施形態でいうスリープ状態は、スタンバイ状態や休止状態といわれるものも含み、また、広義のON状態に含まれるものとする。
プリンタ9は、一般に、電源の状態、用紙の有無及びインクの有無等を検出する状態検出部を有している。従って、状態通知部53は、例えば、その既存の状態検出部とプリントサーバ7との仲介をするだけでよい。
表示部47及び操作部49の説明は、通信端末5の表示部25及び操作部27の説明と同様であり、省略する。
(データベース等)
図4(a)は、送信側通信端末5Aからプリントサーバ7へ送信される印刷情報101(本実施形態では電子メール)の内容を示す模式図である。
印刷情報101(電子メール)は、送信元の情報と、送信先(印刷先)の情報と、印刷内容の情報と、印刷日時の情報とを含んでいる。
送信元の情報は、例えば、送信側通信端末5Aに割り当てられた、又は送信側通信端末5Aのユーザのアカウントに割り当てられたメールアドレスである。なお、メールアドレスは、送信側通信端末5Aが印刷情報101に含ませてもよいし、メールサーバ若しくはウェブサーバが送信側通信端末5Aからの情報(例えばIPアドレス又はアカウント情報)に基づいて印刷情報101に含ませてもよい。後者について言い換えると、送信元の情報は、送信側通信端末5Aから送信されたときと、プリントサーバ7に受信されたときとで、仲介するサーバによって別の形式の情報に変換されていてもよい。
送信先の情報は、例えば、送信側通信端末5Aから電子メールを送信する際に、電子メールの宛先として指定されたメールアドレスである。この宛先のメールアドレスとして、プリントサーバ7において予めプリンタ9に割り当てられた印刷用メールアドレス(後述)が指定されることにより、電子メールがプリントサーバ7に送信される。なお、送信側通信端末5Aの画面上において複数の送信先が指定されたとき、複数の送信先の情報を含む一の印刷情報101が生成及び送信されてもよいし、送信先の情報を1つずつ含む複数の印刷情報101が生成及び送信されてもよい。
印刷内容の情報は、プリンタ9によって印刷される画像(文字も含む)の情報である。プリンタ9によって印刷される画像は、例えば、以下の少なくとも1つである。
・電子メールの本文
・電子メールに添付されたファイルの内容
・電子メールの本文に記入されたURL(Uniform Resource Locator)により特定されるウェブページの内容
なお、電子メールの本文又は添付ファイルが印刷対象の場合は、これらの情報そのものが印刷情報101に含まれる「印刷内容の情報」である。ウェブページの内容が印刷対象の場合は、URLが印刷情報101に含まれる「印刷内容の情報」である。すなわち、印刷内容の情報は、印刷内容自体の情報であってもよいし、印刷内容を指定する情報であってもよい。以下の説明では、便宜上、基本的に、印刷内容の情報は印刷内容自体の情報であるものとする。
上記に例示した印刷内容(電子メール本文、添付ファイル及びウェブページ)のいずれが印刷対象とされるかは、例えば、予めプリントサーバ7において決定されていてもよいし、いずれを対象とするかを特定する情報を電子メールに含ませることなどにより、送信側通信端末5Aにおいて指定可能であってもよい。いずれを対象とするかを特定する情報は、電子メールのタイトルに含ませることなどにより、電子メールのデータフォーマットを変えずに電子メールに含ませてもよいし、電子メールのデータフォーマットをプリントシステム1の独自のものとして電子メールに含ませてもよい。
印刷日時の情報は、上記の印刷内容をプリンタ9において印刷する時刻を指定する情報であり、例えば、送信側通信端末5Aにおいて操作部27Aに対する操作によって設定される。
印刷日時の情報は、例えば、電子メールのタイトル又は本文に含まれてよい。すなわち、印刷日時の情報は、電子メールのフォーマットを変えずに電子メールに含まれてよい。この場合、例えば、印刷日時の記載形式のルールを規定したり、及び/又は、印刷日時に所定の定型文を添えることを必須としたりすることにより、印刷日時と他の日時とが誤認されないようにしてもよい。また、例えば、タイトルには印刷日時のみを記載するルールが規定されてもよい。また、プリントシステム1の独自のデータフォーマットの電子メールを用いることとし、タイトル及び本文とは別に、電子メールに印刷日時の情報を含ませてもよい。
印刷日時の情報は、プリントシステム1において電子メールに含まれることが必須とされてもよいし、必須とされなくてもよい。例えば、送信側通信端末5Aのユーザがプリンタ9での即時の印刷を希望する場合においては、印刷日時の情報は設定されなくてもよい。この場合において、印刷情報101は、印刷日時の情報を保持するデータ部自体を有していなくてもよいし、印刷日時の情報を保持するためのデータ部に、印刷日時が設定されていないことに対応する情報を保持してもよい。
1つの印刷情報101に複数の送信先の情報が含まれる場合、印刷日時の情報は、複数の送信先に共通に1つのみ設定可能であってもよいし、送信先毎に設定可能であってもよい。
図4(b)は、記憶部35に記憶されている登録管理データベース103の内容を示す模式図である。
登録管理データベース103は、例えば、印刷用メールアドレス、プリンタ9のアドレス、プリンタ9のデータ形式の情報、及び、プリンタ側通信用メールアドレスを互いに対応付けて保持可能である。なお、以下の説明では、図示のデータテーブルの各行を登録データ105ということがある。この登録管理データベース103の更新(管理)は、例えば、登録管理部37によって行われる。
登録管理データベース103において、このような対応付けがなされた情報が保持されていることから、例えば、プリントサーバ7は、電子メールを受信したときに、その送信先のメールアドレスに基づいて、その電子メールを印刷すべきプリンタ9等を特定することができる。各情報は、具体的には、例えば、以下のとおりである。
印刷用メールアドレスは、送信側通信端末5Aのユーザが、印刷先のプリンタ9を指定するときに用いる情報である。すなわち、送信側通信端末5Aのユーザが、印刷を希望する電子メールをプリントサーバ7に送信するときに、その宛先とすべきメールアドレスである。この印刷用メールアドレスのドメイン名は、例えば、プリントサーバ7に割り当てられているものである。印刷用メールアドレスのローカルパートは、例えば、プリントシステム1のサービスを受ける前の所定の登録手続きにおいて設定される。当該設定は、プリンタ9、プリンタ側通信端末5B又は他の通信端末からの信号に基づいてプリントサーバ7によって自動的に行われてもよいし、サービス提供者によるプリントサーバ7に対する入力操作によって行われてもよい。
プリンタ9のアドレスは、例えば、MACアドレス及びIPアドレスである。これらの情報は、既に述べたように、例えば、プリントシステム1のサービスを受ける前の所定の登録手続きにおいてプリントサーバ7に入力され、登録管理データベース103に記録されてもよいし、アドレス通知部51からの通知に基づいて適宜に更新されてもよい。更新は、IPアドレスのみについて行われてもよい。
プリンタ9のデータ形式を示す情報は、プリンタ9により使用可能な印刷データの形式を示す情報である。印刷データの形式は、例えば、パーソナルコンピュータからプリンタへ印刷を指示するときにパーソナルコンピュータ(ドライバ)からプリンタへ送信される印刷データの形式と同一であり、一般にラスター形式のものである。データ形式を示す情報は、例えば、プリントシステム1のサービスを受ける前の所定の登録手続きにおいてプリントサーバ7に入力され、登録管理データベース103に記録される。なお、入力は、プリンタ9、プリンタ側通信端末5B又は他の通信端末によってなされてもよいし、サービス提供者によってプリントサーバ7に対して直接的になされてもよい。なお、プリンタ9のデータ形式の情報の入力に代えて、プリンタ9の機種の情報が入力され、機種の情報とデータ形式とを対応付けたデータベースが参照されてデータ形式の情報が登録管理データベース103に記憶されてもよい。
プリンタ側通信用メールアドレスは、プリンタ側通信端末5Bに割り当てられた、又はプリンタ側通信端末5Bのユーザのアカウントに割り当てられたメールアドレスである。このメールアドレスは、例えば、プリントシステム1のサービスを受ける前の所定の登録手続きにおいてプリントサーバ7に入力され、登録管理データベース103に記録される。なお、入力は、例えば、プリンタ側通信端末5B又は他の通信端末によってなされてもよいし、サービス提供者によってプリントサーバ7に対して直接的になされてもよい。また、プリンタ側通信用メールアドレスは、サービスを受けるために必須でない情報(任意の情報)とされてよく、また、サービスを受け始めた後に登録されてもよい。
なお、図4(b)に示す登録管理データベース103は、あくまで概念図であり、記憶部35においては、実際に図示のデータテーブルが構成される必要はない。例えば、図4(b)に示す登録管理データベース103において、データ形式を示す情報に代えてプリンタ9の機種を示す情報が登録され、これとは別に、プリンタ9の機種を示す情報とデータ形式を示す情報とを対応付けたデータベースが用意されてもよい。これでも、実質的に、印刷用メールアドレス等と、データ形式を示す情報とが対応付けられているといえる。また、この場合において、機種を示す情報とデータ形式を示す情報とを対応付けたデータベースは、登録管理データベース103とは別の記憶装置に記憶されていてもよい。換言すれば、記憶部35を構成する記憶装置(ハードウェア)は、一つであってもよいし、ネットワークを介して接続された複数であってもよい。また、印刷用メールアドレスは、ローカルパートのみが登録データ105に含まれていてもよい。
図5は、記憶部35に記憶されている印刷ジョブデータベース107の内容を示す模式図である。
印刷ジョブデータベース107は、例えば、上述した印刷情報101が蓄積されて構成されている。すなわち、印刷ジョブデータベース107は、印刷情報101の送信元の情報、印刷情報101の送信先の情報、印刷内容の情報及び印刷日時の情報を対応付けて保持可能である。
このように印刷情報101が蓄積された印刷ジョブデータベース107が構築されることにより、印刷情報101の受信時ではなく、受信した後の適宜な時期に印刷情報101を抽出して印刷情報101に基づく印刷を行うことが可能となる。
なお、印刷情報101は、印刷ジョブデータベース107に記録される際に、情報の取捨選択乃至は形式の変換がなされてもよい。例えば、印刷内容(自体)の情報は、送信先として指定されたプリンタ9のデータ形式に変換された状態で保存されていてもよい。
図4(b)と同様に、図5はあくまで概念図であり、記憶部35においては、実際に図示のデータテーブルが構成される必要はない。例えば、印刷内容の情報は、印刷内容の情報が記憶された記憶領域が送信元等の情報と対応付けられていてもよい。
(動作手順の例:メイン処理)
以下、プリントサーバ7が実行する処理の手順の一例について説明する。なお、実施形態の説明では、種々の変形例にも随時言及しているが、その全てについて手順を述べると説明が煩雑になる。以下では、基本的な手順について説明し、その説明から類推可能な細部及び/又は変形例の手順については説明を省略する。
図6は、図2の動作を実現するためにプリントサーバ7が実行するメイン処理の手順の一例を示すフローチャートである。この処理は、例えば、プリントサーバ7が正常に動作している限り、継続的に実行される。
ステップST21では、プリントサーバ7は、所定の登録手続きを要求する信号を受信したか否か判定する。なお、当該信号は、例えば、プリンタ9、プリンタ側通信端末5B、他の通信端末、又はプリントサーバ7に接続された入力装置から送信される。そして、プリントサーバ7は、入力されたと判定したときは、ステップST22に進み登録処理を開始し、入力されていないと判定したときは、ステップST22をスキップする。
特に図示しないが、ステップST22で開始される登録処理は、新たな登録データ105を生成して登録管理データベース103に保持させることができれば、適宜な手順で行われてよい。一例を述べると、プリンタ9のネットワーク用処理部45は、操作部49に対する所定の操作に応じて、登録処理を要求する信号をプリントサーバ7に送信する。プリントサーバ7は、受信した信号からプリンタ9のアドレス及び機種(データ形式)の情報を取得し、印刷用メールアドレスを割り当て、これらの情報を含む新たな登録データ105を登録管理データベース103に追加する。その後、プリントサーバ7は、プリンタ9に、割り当てた印刷用メールアドレス及び所定のウェブページへのアクセスに必要な情報を印刷させる。プリンタ9の所有者は、印刷された情報に基づいてウェブページにアクセスして、プリンタ側通信端末5B又は自己のアカウントに割り当てられたメールアドレスの情報を入力する。プリントサーバ7は、そのウェブページに対する入力に基づいて、登録データ105にプリンタ側通信用メールアドレスを含ませる。
ステップST23では、プリントサーバ7は、自己のドメイン名に対応するメールアドレスを宛先とする電子メールを受信したか否か判定する。そして、プリントサーバ7は、受信したと判定したときは、ステップST24に進み、受信処理を開始し、受信していないと判定したときはステップST24をスキップする。ステップST24で開始される受信処理では、印刷情報101の印刷ジョブデータベース107への追加等が行われる。
ステップST25では、プリントサーバ7は、現在時刻と、印刷ジョブデータベース107に蓄積している印刷情報101で指定された時刻とを比較して、当該指定された時刻の所定時間前になったか否か判定する。そして、プリントサーバ7は、所定時間前になったと判定したときは、ステップST26に進み、時限処理を開始し、所定時間前になっていない判定したときはステップST26をスキップする。
ステップST26で開始される時限処理では、印刷情報101に基づく印刷を行うための処理が行われる。なお、図2のフローチャートでは、理解を容易にするために、プリントサーバ7は、指定された時刻が到来するまで待機するものとして説明した。一方、このフローチャートでは、指定された時刻が到来するよりも所定時間前に動作(準備)を開始する。これにより、指定された時刻に遅れずに印刷を行うことができる。
なお、所定時間は、例えば、指定された時刻までに印刷の準備が整うように、サービス提供者によって適宜に設定されてよく、例えば、10秒〜5分である。印刷先のプリンタ9の機種毎に異なる所定時間が設定されてもよい。また、所定の登録手続き又は登録内容の変更手続きにおいて、プリンタ9の所有者が所定時間を設定可能であってもよいし、送信側通信端末5Aのユーザにおいて、印刷情報101内に所定時間の情報を含ませることが可能であってもよい。
現在時刻は、例えば、プリントサーバ7が計数しているものを用いる。プリントサーバ7は、公知のように、適宜な時期にネットワーク3等を介してより正確な時刻を取得して、自己が計数している現在時刻を修正してもよい。他のステップにおける現在時刻についても同様である。
ステップST25の判定は、印刷ジョブデータベース107に蓄積されている全ての印刷情報101について順次行うよりも、印刷ジョブデータベース107に蓄積されている印刷情報101のうち、指定された時刻が最も早いものについてのみ判定を行うことが処理負担の観点から好ましい。この場合、例えば、プリントサーバ7は、ステップST26で時限処理が開始される際に、その時限処理が開始される印刷情報101を除いて、印刷ジョブデータベース107から、最も早く到来する印刷日時の情報を取得(例えばRAMに保持)したり、印刷ジョブデータベース107が更新されるタイミングで、最も早く到来する印刷日時の情報を取得したりすればよい。印刷ジョブデータベース107の全部又はその一部が印刷日時の順でソートされていたり、印刷ジョブデータベース107と対応付けられたタイムテーブルが利用されたりしてもよい。
また、印刷日時がプリンタ9の所有者の誕生日であったり、元日の0時であったりすると、同一の印刷日時の複数の印刷情報101が競合する可能性がある。このような場合、プリントサーバ7は、適宜に優先順位を設定して、時限処理の開始及び実行を行ってよい。例えば、受信した順番が早い印刷情報101について優先的に時限処理を開始してよい。
(受信処理)
図7は、図6のステップST24で開始される受信処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップST31では、プリントサーバ7は、受信した電子メールの宛先のメールアドレス(ローカルパートのみでもよい)をキーとして登録管理データベース103を検索し、該当する登録データ105が有るか否か判定する。すなわち、プリントサーバ7は、電子メールによる印刷先の指定が適切であるか否か判定する。そして、プリントサーバ7は、有ると判定したときはステップST32に進み、無いと判定したときはステップST35に進む。
ステップST32では、プリントサーバ7は、印刷日時の設定の有無があるか否かを判定する。例えば、印刷日時が電子メールのタイトル又は本文に含まれる態様においては、プリントサーバ7は、所定の記載形式で、及び/又は、所定の定型文を添えて、印刷日時がタイトル及び/又は本文に含まれているか否か判定する。そして、プリントサーバ7は、印刷日時が設定されていると判定したときはステップST33に進み、設定されていないと判定したときは、ステップST36に進む。
ステップST33では、プリントサーバ7は、受信した電子メールによって指定された印刷日時が現在時刻よりも後か否か判定する。すなわち、プリントサーバ7は、印刷日時の指定が適切であるか否か判定する。そして、プリントサーバ7は、現在時刻よりも後であると判定したときはステップST34に進み、後でないと判定したときはステップST35に進む。
なお、本実施形態では、ステップST25との整合性を図るために、印刷日時が、現在時刻よりも、ステップST25の所定時間以上の長さで後か否か判定してもよい。また、この場合、印刷日時が現在時刻よりも後ではあるものの、ステップST25の所定時間以上の長さで後ではない場合、ステップST35に進むこととしてもよいし、ステップST36に進むこととしてもよい。
ステップST34では、プリントサーバ7は、受信した電子メール(印刷情報101)を印刷ジョブデータベース107に追加する(印刷ジョブデータベース107を更新する。)。この際、プリントサーバ7は、上述した、ステップST25の判定に用いる最も早くに到来する印刷日時を必要に応じて更新したり、又は、タイムテーブルを更新したりしてもよい。
ステップST35では、プリントサーバ7は、電子メールを送信した送信側通信端末5A又はそのユーザのアカウントへ、エラーが発生したことを知らせる報知処理を行う。例えば、プリントサーバ7は、電子メールに含まれる送信元のメールアドレスを宛先として、エラーが発生したことを知らせる電子メールを送信する。この際、エラーの内容に応じて、電子メールのタイトル及び/又は本文の内容を異ならせてもよい。
ステップST36では、受信した電子メールに基づく即時の印刷のための処理が行われる。具体的には、例えば、プリントサーバ7は、ステップST31で特定した登録データ105のデータ形式に基づいて、受信した電子メールの印刷内容の情報を送信先のプリンタ9で使用可能なデータ形式の印刷データに変換する。また、プリントサーバ7は、ステップST31で特定した登録データ105のプリンタ9のアドレスに基づいて、送信先のプリンタ9との通信を確立する。そして、プリントサーバ7は、通信を確立したプリンタ9へ、上記の変換した印刷データを送信する。
なお、後述する時限処理において印刷データの送信(ステップST45)の準備として行われる状態問い合わせ(ステップST42)及びこれに基づく処理(ステップST49〜ST55)が、ステップST36の前においても行われてよい。
このフローチャートでは、印刷日時が現在よりも後でない場合(ステップST33の否定判定)、エラーとして扱われるが(ステップST35)、これに代えて、即時の印刷が行われてもよい(ステップST36)。また、印刷日時が現在よりも後でない場合において、印刷日時が現在に近いときは即時の印刷が行われ、印刷日時が現在に近くないときはエラーとして扱われてもよい。
(時限処理)
図8は、図6のステップST26で開始される時限処理の手順の一例を示すフローチャートである。
ステップST41では、プリントサーバ7は、図6のステップST25において所定時間後に印刷日時が到来すると判定された印刷情報101を記憶部35の印刷ジョブデータベース107から抽出する。
ステップST42では、プリントサーバ7は、ステップST41で抽出した印刷情報101の送信先の情報によって指定されているプリンタ9に、当該プリンタ9の状態を問い合わせる。具体的には、例えば、プリントサーバ7は、印刷情報101の送信先の情報である印刷用メールアドレス(ローカルパートのみでよい)をキーとして、登録管理データベース103を検索し、送信先のプリンタ9のアドレスを特定する。そして、その特定したアドレスに基づいて、プリントサーバ7は、プリンタ9との通信を確立し、プリンタ9にプリンタ9の状態を示す情報を送信するように要求する要求信号を送信する。要求信号を受信したプリンタ9は、電源の状態、用紙の有無及び/又はインクの有無等の情報をプリントサーバ7に送信する。
ステップST43では、プリントサーバ7は、ステップST42で取得した情報に基づいて、印刷先のプリンタ9の電源の状態が狭義のオン状態(待ち状態、レディ状態)か否か判定する。そして、プリントサーバ7は、狭義のオン状態であると判定したときはステップST44に進み、狭義のオン状態でないと判定したときはステップST49に進む。
ステップST44では、プリントサーバ7は、ステップST41で抽出した印刷情報101の印刷日時の情報によって指定された時刻と現在時刻とを比較して、指定された時刻が到来したか否か判定する。そして、プリントサーバ7は、到来したと判定するまで待機し、到来したと判定したときはステップST45に進む。
ステップST45では、プリントサーバ7は、ステップST41で抽出した印刷情報101に基づく印刷データの送信を行う。この処理は、図7のステップST36における、受信した印刷情報101(電子メール)に基づく印刷データの送信と同様である。ただし、プリンタ9との通信の確立については、ステップST45で行うのではなく、ステップST42で確立された通信がステップST45まで維持されてもよい。
特に図示しないが、印刷データが送信されたプリンタ9は、受信した印刷データに基づく印刷を行う。そして、プリンタ9は、印刷が完了すると、その旨の情報を含む信号をプリントサーバ7に送信する。なお、プリンタ9は、印刷の途中で用紙が無くなったり、インクが無くなったりするなど、何らかのエラーが生じたときは、その旨の情報を含む信号をプリントサーバ7に送信してもよい。
ステップST46では、プリントサーバ7は、プリンタ9から印刷完了の情報を含む信号を受信したか否か判定する。そして、受信したと判定するまで待機し、受信したと判定したときは、プリンタ9との通信を終了して、ステップST47に進む。
なお、プリントサーバ7は、ステップST45とST46との間で、プリンタ9との通信を一旦終了してもよい。そして、プリンタ9側からの通信要求によって新たに通信が確立され、印刷完了の情報を含む信号がプリントサーバ7へ送信されてもよい。
また、プリントサーバ7は、ステップST46で待機している間において、所定の時間が経過しても印刷完了の情報を含む信号を受信できないとき、及び/又は、何らかのエラーが生じた旨の情報をプリンタ9から受信したときは、その旨を送信元に知らせる報知を行い、ステップST48に進んでもよい。当該報知は、例えば、ステップST41で抽出された印刷情報101から取得される送信元の情報(メールアドレス)に基づいて、電子メールによって行われてよい。
ステップST47では、プリントサーバ7は、プリンタ9での印刷が完了した旨の報知を送信元に行う。当該報知は、例えば、上記のエラー報知と同様に、ステップST41で抽出された印刷情報101から取得される送信元の情報(メールアドレス)に基づいて、電子メールによって行われてよい。
ステップST48では、プリントサーバ7は、ステップST41で抽出した印刷情報101を印刷ジョブデータベース107から削除する。なお、このステップは、ステップST41の後であれば、ステップST42の前など、適宜な時期に行われてよい。
ステップST49では、プリントサーバ7は、ステップST42で取得した情報に基づいて、プリンタ9がスリープ状態か否か判定する。そして、プリントサーバ7は、スリープ状態であると判定したときはステップST50に進み、スリープ状態でない(すなわちオフ状態)と判定したときはステップST52に進む。
なお、ステップST43の否定判定及びステップST49の否定判定は、例えば、ステップST42でプリンタ9との通信が確立できなかった場合においてもなされる。すなわち、プリントサーバ7は、プリンタ9との通信ができなかった場合、プリンタ9の電源の状態はオフ状態であると判定する。
ステップST50では、プリントサーバ7は、プリンタ9の電源の状態を狭義のオン状態に切り替えるようにプリンタ9に指示する切替信号を送信する。切替信号を受信したプリンタ9は、例えば、印刷に必要な予熱を行ったり、不揮発性メモリに電力を供給したりする。
ステップST51では、プリントサーバ7は、ステップST43(及びST42)と同様に、プリンタ9の電源がオン状態となったか否か判定する。そして、プリントサーバ7は、オン状態となったと判定したときはステップST44に進み、オン状態となっていないと判定したときはステップST52に進む。
なお、当該判定は、ステップST50の送信から所定の待ち時間後になされてよい。また、ステップST51で肯定判定がなされるまで、所定の試行回数及び/又は試行時間を限度として、ステップST50が繰り返し試行されてもよい。
また、スリープ状態のプリンタ9に対して印刷情報101を送信することも可能である。例えば、ステップST43において、プリンタ9との通信が確立できれば(オン状態又はスリーブ状態であると判定したときは)ステップST44に進み、電源がオフ状態であると判定したときはステップST52に進み、ステップST49〜ST51が省略されてもよい。この場合、プリンタ9は、例えば、印刷データを受信した時点(ステップST45)において狭義のON状態になる。
ステップST52では、プリントサーバ7は、後述するステップST53を実行済みであるか否か判定し、まだ実行していないと判定したときは、ステップST53に進み、実行済みと判定したときは、ステップST53をスキップしてステップST54に進む。
ステップST53では、プリントサーバ7は、プリンタ9の所有者に所定の報知を行う。具体的には、例えば、プリントサーバ7は、ステップST41で取得した印刷情報101に含まれる送信先の情報をキーとして、登録管理データベース103を検索する(実際にはステップST42で実行した検索の結果が利用されてよい。)。そして、プリントサーバ7は、送信先に対応付けられているプリンタ側通信用メールアドレスを特定し、そのメールアドレスに電源を入れることを促す内容等がタイトル及び/又は本文に含まれた電子メールを送信する。
ステップST54では、プリントサーバ7は、ステップST41で抽出した印刷情報101の印刷日時の情報によって指定された時刻と現在時刻とを比較して、指定された時刻が到来したか否か判定する。そして、プリントサーバ7は、到来していないと判定したときは、ステップST43に戻る。従って、印刷日時が到来するまでにプリンタ9の電源の状態が広義のオン状態とされれば、処理はステップST44又はST50へ移行する。一方、印刷日時が到来したと判定したときは、プリントサーバ7は、ステップST55に進む。
なお、ステップST54では、印刷日時についてではなく、図6のステップST25の所定時間前よりも後、かつ印刷日時よりも前の、所定の時刻について、到来したか否か判定されてもよい。この場合の所定の時刻と印刷日時との時間差は、ステップST25の所定時間と同様に、プリンタ9の機種毎に異なっていてもよいし、サービス提供者、プリンタ9の所有者及び送信側通信端末5Aのユーザのいずれが設定可能であってもよい。
ステップST55では、プリントサーバ7は、プリンタ9の状態の問題(図示の例では電源の状態がオフ状態であること)によって印刷ができない旨の報知を送信元(送信側通信端末5A又はそのユーザのアカウント)に行う。当該報知は、例えば、ステップST41で抽出された印刷情報101から取得される送信元の情報(メールアドレス)に基づいて、電子メールによって行われてよい。その後、プリントサーバ7は、ステップST48に進む。
なお、ステップST43、ST49及びST52〜ST55では、電源の状態がオフ状態の場合について例示したが、ステップST42の問い合わせの結果、用紙が無い場合及び/又はインクが無い場合についても、同様の処理が行われてよい。
以上のとおり、本実施形態では、通信端末5及びプリンタ9とネットワーク3を介して通信可能なプリントサーバ7は、記憶部35と、受信処理部39と、時限処理部41とを有している。受信処理部39は、印刷内容、印刷先及び印刷日時の情報を含む印刷情報101(電子メール)を送信側通信端末5Aから受信して記憶部35に記憶させる(ステップST23及びST34)。時限処理部41は、記憶部35に記憶されている印刷情報101に含まれる印刷日時の情報によって指定された時刻が到来したときに、その指定された時刻が到来した印刷情報101に含まれる印刷先の情報によって指定されたプリンタ9へ、指定された時刻が到来した印刷情報101に含まれる印刷内容の情報に基づく印刷データをプリンタ9に送信する(ステップST44及びST45)。
従って、例えば、送信側通信端末5Aのユーザの希望する日時にプリンタ9において印刷を行うことができ、かつ印刷情報101の保存及び印刷日時到来の判断がプリントサーバ7において行われることから、プリンタ9の負担が軽減される。
また、本実施形態では、時限処理部41は、指定されたプリンタ9との通信に基づいて当該プリンタ9の状態が所定の条件を満たすか否か(例えば電源がオン状態か否か)判定し(ステップST43)、満たすと判定した場合に指定されたプリンタ9へ印刷データを送信する(ステップST45)。
従って、例えば、印刷情報101が送信されれば印刷が確実になされる場合又は印刷が即時に可能な場合等において印刷情報101が送信されることになり、印刷が不可能な場合又は即時に不可能な場合にまで印刷情報101が送信されることが抑制される。その結果、例えば、プリントサーバ7及び/又はネットワーク3の負担が軽減される。
また、本実施形態では、時限処理部41は、指定されたプリンタ9と通信ができないときに所定の条件が満たされないと判定する(例えばステップST43の否定判定及びST49の否定判定)。すなわち、通信ができないときに電源がオフ状態であると判定される。
従って、例えば、最低でもプリンタ9との通信が可能な場合に印刷情報101が送信されることになり、無駄にプリントサーバ7及び/又はネットワーク3の負担が増加するおそれが低減される。
また、本実施形態では、時限処理部41は、指定された時刻よりも所定時間前の時刻が到来したときに、所定の条件が満たされるか否か判定する(ステップST25の肯定判定を条件としてステップST43が行われる。)。
従って、例えば、印刷日時が到来してから所定の条件が満たされるか否かの判定を行う場合に比較して、印刷日時に遅れずに印刷情報101をプリンタ9に送信することができる。また、例えば、印刷日時までに所定の条件が満たされるようにするための処理(例えばステップST50)を実行することも可能となる。
また、本実施形態では、時限処理部41は、所定の条件が満たされないと判定した場合に、その所定の条件が満たされない状態のプリンタ9を指定した印刷情報101を送信した送信元(送信側通信端末5A又はそのユーザのアカウント)に所定の報知を行う(ステップST53)。
従って、例えば、送信側通信端末5Aのユーザは、印刷が行われなかったことを確実に知ることができる。また、例えば、図8のフローチャートでは、印刷日時が到来するのを待って送信側通信端末5Aのユーザに報知しているが(ステップST54及びST55)、(最初に)所定の条件が満たされないと判定して直ぐに(例えばステップST49の前又はステップST52の前に)、ユーザへの報知(ステップST55)を行えば、ユーザは、印刷日時前に印刷できないことを知ることができ、印刷日時までに適切な対応を取ることも可能である。
また、本実施形態では、時限処理部41は、所定の条件が満たされないと判定した場合に、その所定の条件が満たされない状態のプリンタ9を指定した印刷情報101を記憶部35から削除する(ステップST43の否定判定及びステップST49の否定判定を経由したステップST48)。
従って、例えば、セキュリティが高い情報が必要以上にプリントサーバ7に保存されることが抑制され、セキュリティが向上する。また、例えば、プリントサーバ7の記憶部35の記憶領域を解放してプリントサーバ7の負担を軽減することができる。
また、本実施形態では、記憶部35は、プリンタ9の識別情報(例えば印刷用メールアドレス)と、ネットワーク3上の宛先情報(例えばプリンタ側通信用メールアドレス)とを対応付けて記憶可能である(登録管理データベース103)。時限処理部41は、所定の条件が満たされないと判定した場合に、その所定の条件が満たされない状態のプリンタ9の識別情報と対応付けられて記憶部35に記憶されている宛先情報(プリンタ側通信用メールアドレス)によって特定される、印刷情報101を送信した送信元とは別の宛先に所定の報知を行う(ステップST53)。
従って、プリンタ9への印刷の要求があったことを契機として、プリンタ9の状態がプリンタ9の所有者に報知されることになり、プリンタ9の所有者の利便性が向上する。また、そのような報知が印刷日時の到来前になされる場合においては、印刷日時の到来までにプリンタ9の所有者が適切な対応を取る(電源を入れる、用紙を補給する、及び/又は、インクを補充するなど)ことによって、予定通りに印刷が実行されることが可能となる。
また、本実施形態では、時限処理部41は、指定されたプリンタ9との通信に基づいて指定されたプリンタ9の電源の状態がスリープ状態であるか否か判定し(ステップST49)、スリープ状態と判定した場合に、そのプリンタに電源の状態をオン状態に切り替える切替信号を送信し(ステップST50)、その後、指定されたプリンタ9へ印刷データを送信する(ステップST50を経由したステップST45)。
従って、例えば、スリープ状態のプリンタ9に印刷情報101が送信される場合に比較して、予期せぬエラーが生じるおそれが低減される。また、例えば、印刷日時までにプリンタ9を狭義のオン状態としておき、印刷日時が到来したときに即時にプリンタ9に印刷を行わせることができる。
また、本実施形態では、時限処理部は、指定された時刻が到来した印刷情報101に係る印刷完了の情報を、指定されたプリンタ9から受信したときに(ステップST46)、指定された時刻が到来した印刷情報101を送信した送信元(送信側通信端末5A又はそのユーザのアカウント)に所定の報知を行う。
従って、例えば、送信元のユーザは、印刷がなされたことを確実に知ることができ、利便性が向上する。
また、本実施形態では、受信処理部39は、印刷情報101を受信したときにその受信した印刷情報に含まれる印刷日時によって指定された時刻が既に過ぎている場合に(ステップST33の否定判定がなされた場合に)、受信した印刷情報101を送信した送信元(送信側通信端末5A又はそのユーザのアカウント)に所定の報知を行う(ステップST35)。
従って、例えば、送信元のユーザは、印刷日時の指定を誤ったときにそれを知ることができ、利便性が高い。また、例えば、印刷日時の指定の誤りをプリントサーバ7が判定することから、送信側通信端末5Aの負担が軽減される。また、例えば、送信側通信端末5Aが正確な現在時刻を計数していなくても、正確に判定がなされる。
本発明は、以上の実施形態に限定されず、種々の態様で実施されてよい。
実施形態では、不特定多数の送信元(送信側通信端末5A又はそのユーザのアカウント)から、プリントシステム1を利用可能な場合について説明した。しかし、プリントシステム1を利用可能な送信元は限定されてもよい。例えば、登録管理データベース103において、送信元と印刷用メールアドレスとを対応付けて保持し、これらの情報の双方について、プリントサーバ7で受信した電子メールと一致する登録データ105が存在するときのみ、その登録データ105に保持されているプリンタのアドレスへ、印刷情報が送信されてもよい。
また、例えば、プリントシステム1を利用可能な送信元(送信側通信端末5A又はそのユーザのアカウント)が限定される場合、送信元によって印刷先のプリンタが決定されてもよい。この場合、送信元の情報が実質的に印刷先(送信先)の情報であり、印刷用メールアドレスは、送信先(印刷先)のプリンタによらずに、一定であってもよい。ただし、送信元の情報と印刷先の情報とを別に利用できる方が、例えば、一のユーザが複数のプリンタから印刷先を選ぶことができ、好ましい。
印刷情報に含まれる印刷日時の情報自体から得られる時刻と、プリントサーバが印刷情報を送信する時刻とは異なっていてもよい。例えば、プリントサーバは、印刷情報に含まれる印刷日時よりも所定の余裕時間前に印刷情報を送信してもよい。これは単に印刷情報に含ませる情報自体と実際の送信時刻との関係をどうするかというユーザとサービス提供者との間の取り決めの問題に過ぎず、印刷情報に含まれる印刷日時の情報によって、印刷情報を送信すべき時刻が指定されていることに変わりはない。別の観点では、印刷日時の情報によって余裕時間前の時刻が指定されていると捉えることができる。
また、例えば、印刷日時の情報によって指定された時刻に、一定の処理を開始し、その処理が終わった後(その処理時間は種々の事情に応じて変動してよい)に印刷情報が送信されてもよい。この場合も、その処理が送信のための処理である限り、指定された時刻に送信を行うという概念に含まれる。
送信元からプリントサーバへの印刷情報の送信は、電子メールによるものに限定されない。例えば、送信側通信端末と、プリントサーバとしてのウェブサーバとの間でウェブページを介した通信によって印刷情報が送信されてもよい。この場合、送信先(印刷先)のプリンタを指定する情報は、印刷用メールアドレスに限定されず、例えば、プリンタのアドレス(例えばMAC及びIP)、又は、プリンタのアドレス(随時更新されてよい)に対応付けられてプリントサーバに記憶されている適宜な識別情報(プリンタ所有者の名前などの任意のものであってよい)とされてもよい。また、例えば、送信側通信端末としてのFAX(ファクシミリ)から、FAX番号に基づいて、プリントサーバ(少なくともFAXの受信機能を備える)に通信を要求し、印刷情報を送信してもよい。この場合、プリンタを指定する情報は、例えば、送信先のFAX番号及び/又は送信元のFAX番号であってよく、印刷日時は紙面上で指定され、OCR(optical character recognition)で読み取られてもよい。上記の説明から理解されるように、いわゆるインターネットFAXが利用されてもよい。
また、プリントサーバからプリンタへの印刷内容の情報(画像情報)の送信は、インターネットプロトコルを利用したものに限定されない。例えば、プリントサーバからプリンタとしてのFAXへFAX番号に基づいて通信が要求され、画像情報が送信されてもよい。また、当該説明から理解されるように、いわゆるインターネットFAXが利用されてもよい。
プリントサーバから(送信側又はプリンタ側)通信端末への報知は、電子メールによるものに限定されない。例えば、上記の説明から理解されるように、通信端末がFAXである場合においては、プリントサーバとしてのFAXからFAX番号に基づいて通信端末へ画像情報が送信されてもよい。また、通信端末にプリントシステム1を利用するための専用のアプリケーションをインストールして実行させ、実施形態のプリンタと同様に、通信端末から当該通信端末のIPアドレスをプリントサーバに通知させれば、プリントサーバが通信端末へ所定の画像表示や音響出力を指示することができる。