JP2017058013A - 転がり軸受 - Google Patents

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智彦 小畑
Tomohiko Obata
智彦 小畑
藤原 宏樹
Hiroki Fujiwara
宏樹 藤原
光生 川村
Mitsuo Kawamura
光生 川村
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Abstract

【課題】油潤滑の転がり軸受として回転トルクを低減しつつ、潤滑油の再供給なしでも長寿命である転がり軸受を提供する。【解決手段】転がり軸受1は、軌道輪である内輪2および外輪3と、この内・外輪間に介在する複数の転動体4と、この転動体4を保持する保持器5とを備えてなり、内輪2、外輪3、および保持器5から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の転動体4との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維材または多孔質材からなる油保持体である植毛部6が接着固定されており、油保持体に潤滑油が放出可能な状態で保持または含浸されている。【選択図】図1

Description

本発明は、転がり軸受に関し、特に潤滑油で潤滑される転がり軸受に関する。
転がり軸受は、一般的に内輪、外輪、転動体、および保持器で構成されている。外部からの異物の侵入を防ぐためや、内部に封入した潤滑剤の流出を防ぐために、開口端部にシール部材が設けられる場合がある。軸受内部の潤滑剤には、グリースが用いられることが多い。グリースは、取り扱いが容易で密封装置の設計も簡素化できる。グリースは再供給する必要がなく、メンテナンス性が優れている。しかし、軸受に密封したグリースの攪拌抵抗により、摩擦トルクの増加やそれに伴う熱が発生することが知られている。摩擦トルクなどを低減する技術として、特許文献1〜3のような技術が提案されている。
特許文献1には、潤滑剤や潤滑条件を変更することによる潤滑特性向上技術であり、耐剥離性、グリース漏れ性に優れ、かつ外輪回転軸受で使用しても早期焼付きを抑制できる軸受用グリース組成物として、所定のエステル油とジウレア化合物とを所定配合量で含むものが記載されている(特許文献1参照)。
特許文献2には、保持器の形状変更などにより、軸受の回転トルクの低減を図るものとして、鋼板プレスにより形成された2枚の環状保持板で構成され、多角形状のポケット部などが形成された保持器を備えた深溝玉軸受が記載されている(特許文献2参照)。また、特許文献3には、固形グリースを利用することによる潤滑特性向上技術として、超高分子量ポリエチレンと潤滑グリースとの混合物を加熱融解させた後、冷却して固形化した軸受用潤滑組成物が記載されている(特許文献3参照)。
特許第3330755号公報 特開2007−292195号公報 特公昭63−23209号公報
しかしながら、特許文献1は封入グリースの改良により、潤滑特性を改善するものであるが、グリースのような半固体状潤滑剤を使用した場合は、潤滑剤に起因する攪拌抵抗のためにトルクが大きくなる。近年における自動車や産業用機器などに用いる転がり軸受では、省エネルギー化を図るため、十分な潤滑寿命を確保しつつ、トルクを低減することは重要な課題である。
この課題に対して、特許文献2のような特殊形状の保持器を用いることでトルクの低減を図り得る。また、グリース種を最適化することや、グリース封入量自体を減らすことでもトルクの低減を図り得る。しかし、これらは製造コストの増加や軸受寿命の低下にも繋がる。
特許文献3は、熱固化型グリースを用いることで回転トルクの低減を図っている。しかし、高温条件では油分の流出が多くなり低寿命という欠点がある。また、フルパック仕様においては、冷却固化時に該組成物が収縮して転動体を抱きこんでしまい、トルクが増加するおそれがある。
また、グリースを使用せずに油潤滑とすることで、グリースによるトルク増加などの問題は解消できる。しかしながら、基油を増ちょう剤成分から徐放できるグリース潤滑と比較して油潤滑は潤滑寿命が短い。長寿命化を図るためには、潤滑油の再供給が必須となる。このため、油潤滑でメンテンスフリーな軸受の開発が望まれている。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、油潤滑の転がり軸受として回転トルクを低減しつつ、潤滑油の再供給なしでも長寿命である転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器とを備えてなる転がり軸受であって、上記内輪、上記外輪、および上記保持器から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の上記転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維材または多孔質材からなる油保持体が接着固定されており、上記油保持体に潤滑油が予め保持または含浸されていることを特徴とする。なお、油保持体を接着固定する箇所(表面)が、転動体との接触表面以外であり、そこに形成した油保持体の一部が転動体と接触してもよい。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、上記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けられたシール部材とを備えてなる転がり軸受であって、上記内輪、上記外輪、上記保持器、および上記シール部材から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の上記転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維材または多孔質材からなる油保持体が接着固定されており、上記油保持体に潤滑油が予め保持または含浸されていることを特徴とする。
上記油保持体が、上記保持器の内径面および/または外径面、および、上記軌道輪の肩部表面から選ばれる少なくとも1つに接着固定されていることを特徴とする。また、シール部材を備える構成において、上記油保持体が、該シール部材の軸受内空間側表面に接着固定されていることを特徴とする。
上記保持器は、環状の保持器本体上に、軸方向一方側に開口して上記転動体を保持するポケットと、隣接する上記ポケット間で該ポケットの開口側に形成されるポケット間溝部とを有する冠形保持器であり、上記ポケット間溝部内の少なくとも一部に、上記油保持体が接着固定されていることを特徴とする。また、同様の構成の冠形保持器において、上記保持器本体の上記ポケットの反開口側の面に形成されるポケット反開口側溝部を有し、上記ポケット反開口側溝部内の少なくとも一部に、上記油保持体が接着固定されていることを特徴とする。
上記油保持体が、上記繊維材である合成樹脂の短繊維を植毛してなることを特徴とする。また、冠形保持器におけるポケット間溝部とポケット反開口側溝部の場合以外において、上記油保持体の繊維先端が、上記転動体の表面に接触することを特徴とする。
上記潤滑油が、添加剤を含んだ状態で上記油保持体に保持または含浸されていることを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器とを備えてなり、内輪、外輪、および保持器から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維材または多孔質材からなる油保持体が接着固定されており、油保持体に潤滑油が予め保持または含浸されているので、軸受内部に潤滑油を留めておくことができ、潤滑油の再供給なしで長時間連続運転できる。また、グリースを軸受内空間に封入しないので、低トルクとなる。
油保持体を軸受内部の複数個所に組み合わせて配置することで、多くの潤滑油を軸受内部に保持でき、長寿命化が図れる。
植毛部の繊維が合成樹脂繊維であるので、油による膨潤や溶解などが生じにくく化学的に安定である。また、油保持体の繊維先端が、転動体の表面に接触するので、常に潤滑油を転動体と軌道輪に供給でき、長寿命化が図れる。
本発明の一実施例に係る転がり軸受の一部概略断面図である。 本発明の他の実施例に係る転がり軸受の一部概略断面図である。 実施例の保持器の写真である。 高温高速寿命試験の結果を示す図である。 本発明の他の実施例に係る転がり軸受の保持器の一部拡大斜視図である。 本発明の他の実施例に係る転がり軸受の保持器の一部拡大斜視図である。
本発明の転がり軸受は、転動体以外の軸受構成部材(内輪、外輪、保持器、シール部材)において、該部材の転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維材または多孔質材からなり、潤滑油が放出可能な状態で予め保持または含浸されている油保持体が接着固定されている。繊維材の場合は、潤滑油が繊維間に保持され、多孔質材の場合は、潤滑油が連通孔内に含浸される。表面に非連通の独立気泡中等に取り込まれた潤滑油は放出可能といえないが、その場合でも表面連通孔に含まれる分の潤滑油は放出可能である。よって、潤滑油が完全に取り込まれる、または、完全に固形化している等の場合を除き、繊維材の繊維間に保持する場合や多孔質材の連通孔内に含浸する場合は、潤滑油が放出可能な状態で保持または含浸されているといえる。
油保持体に潤滑油を保持することで、軸受内部に潤滑油を留めておくことができる。運転時には、油保持体より潤滑油が徐放され、また、過剰な潤滑油は再度、油保持体に保持される。これにより、潤滑油が無駄なく効率的に利用され、外部からの潤滑油の再供給なしでも連続運転が可能となる。本発明の転がり軸受は、この油保持体に含まれるもの以外には初期にグリースや潤滑油が封入されておらず、また、この油保持体以外からは軸受内空間にグリースや潤滑油が供給されない形態とできる。
油保持体は、繊維材または多孔質材からなる。これらを用いることで表面積が増加して油保持性が向上する。繊維材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンテフタレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ビニロンなどの合成樹脂繊維、カーボン繊維、グラスファイバーなどの無機繊維、レーヨン、アセテートなどの再生繊維や、綿、絹、麻、羊毛などの天然繊維が挙げられる。また、多孔質材としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィン、フェノール、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、スチレンブタジエンゴムなどのゴムを発泡して得られるフォームが挙げられる。
繊維材からなる油保持体(植毛部)は、これら繊維を植毛して形成される。固定は接着剤によりなされる。植毛方法としては、吹き付けや静電植毛を採用できる。エッジ部などにおいても、多量の繊維を短時間で密に植毛できることから、静電植毛を採用することが好ましい。静電植毛方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、静電植毛する範囲に接着剤を塗布し、繊維を帯電させて静電気力により上記接着剤塗布面に略垂直に植毛した後、乾燥工程・仕上げ工程などを行なう方法が挙げられる。また、静電吹き付け(ファイバーコート)も採用できる。また、多孔質材からなる油保持体は、予め所定形状に形成・加工したものを接着剤などにより接着固定して設けられる。
油保持体の接着固定に用いる接着剤としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを主成分とする接着剤が挙げられる。例えば、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、エポキシ樹脂溶剤系接着剤、酢酸ビニル樹脂溶剤系接着剤、アクリル樹脂系エマルジョン接着剤、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン接着剤、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤、ウレタン樹脂系エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系エマルジョン接着剤、ポリエステル系エマルジョン接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記の繊維材の中でも、油による膨潤や溶解などが生じにくく化学的に安定であり、均質な繊維を多量に生産することができ、安価に入手することができるため、合成樹脂の短繊維を用いることが好ましい。また、保持器として樹脂製保持器を用い、この表面に油保持体を形成する場合では、合成樹脂の中でも樹脂製保持器の材料として広く使用されているポリアミド樹脂を使用することで、軸受の使用条件を落とすことなく該軸受を使用することが可能である。
繊維(短繊維)の形状としては、油保持体の形成箇所において、軸受機能に悪影響を与えるような他部材との干渉がない形状であれば特に限定されない。具体的な形状としては、例えば、長さ0.5〜2.0mm、太さ0.5〜50デシテックスのものが好ましく、保持体である植毛部の繊維の密度としては、植毛した面積あたりに繊維の占める割合が1〜40%が好ましい。また、短繊維の形状としては、ストレートとベンド(繊維の先端が曲がっている)タイプのものがあり、また、断面形状は円状と多角断面状のものがある。ベンドタイプの繊維はストレートに比べ、潤滑油を保持する能力が高い。また、多角断面形状の繊維は、円状断面に比べ、表面積が大きいことか、潤滑油を保持する能力が高い。
繊維材からなる油保持体(植毛部)を形成する箇所を図1に基づいて説明する。図1(a)〜(c)は、転がり軸受の一部概略断面図である。この形態の転がり軸受1は、軌道輪である内輪2および外輪3と、この内・外輪間に介在する複数の転動体4と、この転動体4を保持する保持器5とを備えている。また、転がり軸受1は、内・外輪の軸方向両端開口部に設けられる環状のシール部材(図1(c)のみ図示:符号7)を備え、軌道面や転動面には、油保持体である植毛部6から浸み出した潤滑油が供給され、潤滑がなされる。植毛部6の材質や形成方法は上述のとおりである。
図1(a)は、軌道輪肩部の軌道面付近に植毛部6を形成しており、植毛部6に保持された潤滑油が、内輪2および外輪3の軌道面に主に供給されている。図1(b)は、保持器5の内径面、外径面、および幅面に植毛部6を形成しており、植毛部6に保持された潤滑油が、転動体4の転動面に主に供給されている。図1(c)は、シール部材7の軸受内空間側表面(転動体側端面)に植毛部6を形成しており、植毛部6に保持された潤滑油がシール部材7の植毛部形成面を伝って内輪2と外輪3の軌道面に供給されている。
繊維材からなる油保持体(植毛部)を形成する他の箇所を図2に基づいて説明する。図2(a)および(b)は、転がり軸受の一部概略断面図であり、転動体と繊維先端が接触するような場合である。この形態の転がり軸受1は、図1の場合と同様に、軌道輪である内輪2および外輪3と、この内・外輪間に介在する複数の転動体4と、この転動体4を保持する保持器5とを備えている。図2(a)では、植毛部6が、軌道輪(内輪2および外輪3)の軌道面(転走面)に隣接する肩部に形成され、植毛部6の繊維先端が転動体4に接触している。図2(b)では、植毛部6が保持器5のポケットのエッジ部に形成され、植毛部6の繊維先端が転動体4に接触している。図2に示すように、転動体と繊維を軽接触させることで、常に潤滑油を転動体と軌道輪に供給でき、油膜形成を助け、長寿命化が図れる。
図1(a)〜(c)と図2(a)、(b)の植毛部の形態は、それぞれを個別に採用しても、任意に組み合わせて採用してもよい。
繊維材からなる油保持体(植毛部)を形成する他の箇所を図5および図6に基づいて説明する。図5および図6は、転がり軸受の冠形保持器の一部拡大斜視図である。図5に示すように、冠形の保持器5は、環状の保持器本体5b上に、軸方向一方側に開口して転動体を保持するポケット5dと、隣接するポケット間でポケット5dの開口側に形成されるポケット間溝部5aとを備える。より詳細には、環状の保持器本体5b上に周方向に一定ピッチをおいて対向一対の保持爪5cを形成し、その対向する各保持爪5cを相互に接近する方向にわん曲させるとともに、その保持爪5c間に転動体である玉を保持するポケット5dを形成したものである。隣接するポケット5dの縁に形成された相互に隣接する保持爪5cの背面相互間に、保持爪5cの立ち上がり基準面となる平坦部5eが形成され、これら保持爪5cと平坦部5eとでポケット間溝部5aが構成される。すなわち、保持爪5cの背面(ポケット反対側面)がポケット間溝部5aの内側面を、平坦部5eの表面がポケット間溝部5aの底面を、それぞれ構成する。
図5に示す形態では、該構造の冠形の保持器5において、ポケット間溝部5a内に植毛部6を接着固定している。図5に示す網掛け部分が油保持体である植毛部6の最大形成箇所である。軸受運転前に油を植毛部の繊維に保持させると、繊維の表面張力により運転中でも油を繊維に保持することができる。また、保持器自体は転動体と接触しているため、油を潤滑面に常に供給することができる。その結果、長寿命化が図れる。
また、図6に示す形態では、保持器5は、保持器本体5bのポケット5dの反開口側の面5fにポケット反開口側溝部5gを有する。ポケット反開口側溝部5gは、該保持器を射出成形する際の肉抜き部として、保持器本体5bのポケット5dの反開口側の面5fに形成されている。該構造の冠形の保持器5において、ポケット反開口側溝部5g内に植毛部6を接着固定している。図6に示す網掛け部分が油保持体である植毛部6の最大形成箇所である。この部位に植毛部6を形成し、潤滑油を保持させておくことで、図5の形態の場合と同様の効果が得られる。
図5と図6の植毛部の形態は、それぞれを個別に採用しても、組み合わせて採用してもよい。また、これらの形態と、図1(a)〜(c)と図2(a)、(b)の形態とを任意に組み合わせて採用してもよい。
本発明の転がり軸受は、油保持体に保持された潤滑油により潤滑される。ここで、油保持体に潤滑油を保持・含浸させる際に、グリース化した潤滑油を保持・含浸させてもよい。この場合は、グリースが油保持体から脱離しないように保持・含浸させる。潤滑油としては、通常、転がり軸受に用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などの鉱油、ポリブテン油、ポリ−α−オレフィン油、アルキルベンゼン油、アルキルナフタレン油などの炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、りん酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素化油などの非炭化水素系合成油などが挙げられる。これらの潤滑油は、単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。また、上述のようにグリース化する際の増ちょう剤は、通常、転がり軸受の潤滑剤に使用される増ちょう剤(金属石けん、ウレア化合物など)であれば特に制限なく用いることができる。
また、潤滑油には、必要に応じて公知の添加剤を添加できる。この場合、添加剤を含んだ状態の潤滑油を油保持体に保持・含浸させる。添加剤としては、例えば、有機亜鉛化合物、有機モリブデン化合物などの極圧剤、アミン系、フェノール系、イオウ系化合物などの酸化防止剤、イオウ系、リン系化合物などの摩耗抑制剤、多価アルコールエステルなどの防錆剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイトなどの固体潤滑剤、エステル、アルコールなどの油性剤などが挙げられる。特に、酸化防止剤を添加しておくことで、潤滑油の劣化を抑制し、長寿命化が図れる。
以上、各図などに基づき本発明の実施形態を説明したが、本発明の転がり軸受はこれらに限定されるものではない。例えば、軸受形式として、深溝玉軸受、アンギュラ玉軸受、スラスト玉軸受、円筒ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト針状ころ軸受、円すいころ軸受、スラスト円すいころ軸受、自動調心玉軸受、自動調心ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受などの任意の形式の転がり軸受に適用できる。また、これらの転がり軸受に対して、シール部材(シールド板)の有無は問わず適用できる。
実施例1〜実施例3、比較例
図3(a)と(b)に、それぞれ樹脂製冠形保持器(ポリアミド66樹脂(ガラス繊維25体積%配合))の内外径面とシールドの軸受内部側の面にポリアミド66樹脂の短繊維(繊維長0.8mm、太さ3.3デシテックス)からなる植毛部を形成した実施例を示す。実施例1は、保持器の内外径面に植毛部を設け、その繊維に油を保持させた軸受である(図3(a))。実施例2は、シールドに植毛部を設け、その繊維に油を保持させた軸受である(図3(b))。実施例3は、保持器とシールドに植毛部を設け、その繊維に油を保持させた軸受である(保持器とシールドのそれぞれに対する植毛部は図3(a)、図3(b)と同じ)。比較例は、標準軸受(繊維無)に油を試験前に封入した軸受である。試験には6204のシールド軸受を用いた。これらの軸受について、以下の高温高速寿命試験を行なった。
<高温高速寿命試験>
軸受外輪外径部温度150℃、ラジアル荷重67N、アキシアル荷重67Nの下で10000min−1の回転速度で運転し、焼き付きに至るまでの時間(h)を測定した。油は、エステル油を用い軸受運転前に封入後、再供給はなしとした。
図4に高温高速寿命試験の結果を示す。なお、図4において、横軸は油の封入量を縦軸は寿命時間(時間(h))をそれぞれ示す。図4に示すように、油を0.6〜0.7g封入時の寿命時間は、実施例1は220h、実施例2は150h、比較例は70hであった。実施例では植毛部が油を軸受内部に保持し、比較例と比べて2倍以上の寿命結果が得られた。実施例1で特に長寿命が得られたのは、保持器の植毛部の繊維から浸み出した油が玉に供給され、油膜形成を助けていたためである。実施例3は、保持器とシールドの2箇所の植毛部で油を保持しているため、軸受内部の油の保持量が増え、長寿命であった。
本発明の転がり軸受は、軸受形状として既存のものを用いながら、油潤滑の転がり軸受として回転トルクを低減しつつ、潤滑油の再供給なしでも長寿命であるので、種々の用途における転がり軸受として広く利用できる。
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 植毛部
7 シール部材

Claims (9)

  1. 軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器とを備えてなる転がり軸受であって、
    前記内輪、前記外輪、および前記保持器から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の前記転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維材または多孔質材からなる油保持体が接着固定されており、
    前記油保持体に潤滑油が予め保持または含浸されていることを特徴とする転がり軸受。
  2. 軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、前記内輪および外輪の軸方向両端開口部に設けられたシール部材とを備えてなる転がり軸受であって、
    前記内輪、前記外輪、前記保持器、および前記シール部材から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の前記転動体との接触表面以外の軸受内空間側表面に、繊維材または多孔質材からなる油保持体が接着固定されており、
    前記油保持体に潤滑油が予め保持または含浸されていることを特徴とする転がり軸受。
  3. 前記油保持体が、前記シール部材の軸受内空間側表面に接着固定されていることを特徴とする請求項2記載の転がり軸受。
  4. 前記油保持体が、前記保持器の内径面および/または外径面、および、前記軌道輪の肩部表面から選ばれる少なくとも1つに接着固定されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載の転がり軸受。
  5. 前記保持器は、環状の保持器本体上に、軸方向一方側に開口して前記転動体を保持するポケットと、隣接する前記ポケット間で該ポケットの開口側に形成されるポケット間溝部とを有し、
    前記ポケット間溝部内の少なくとも一部に、前記油保持体が接着固定されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の転がり軸受。
  6. 前記保持器は、環状の保持器本体上に、軸方向一方側に開口して前記転動体を保持するポケットと、前記保持器本体の前記ポケットの反開口側の面に形成されるポケット反開口側溝部を有し、
    前記ポケット反開口側溝部内の少なくとも一部に、前記油保持体が接着固定されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載の転がり軸受。
  7. 前記油保持体が、前記繊維材である合成樹脂の短繊維を植毛してなることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項記載の転がり軸受。
  8. 前記油保持体が、前記繊維材である合成樹脂の短繊維を植毛してなり、前記油保持体の繊維先端が、前記転動体の表面に接触することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載の転がり軸受。
  9. 前記潤滑油が、添加剤を含んだ状態で前記油保持体に保持または含浸されていることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項記載の転がり軸受。
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