JP2018169029A - 転がり軸受 - Google Patents
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【課題】軸受構成部材に植毛体を設けた転がり軸受において、潤滑条件が厳しくなる場合であっても焼き付きを防止して長寿命とできる転がり軸受を提供する。
【解決手段】転がり軸受1’’は、軌道輪である内輪2および外輪3と、内輪2および外輪3間に介在する複数の転動体4と、転動体4を保持する保持器5と、転動体4の周囲に封入される潤滑剤とを有し、転動体4がセラミックス製であり、内輪2、外輪3、および保持器5から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の潤滑剤と接触する表面に、繊維材または多孔質材からなる潤滑剤保持部材6が接着固定されている。
【選択図】図4
【解決手段】転がり軸受1’’は、軌道輪である内輪2および外輪3と、内輪2および外輪3間に介在する複数の転動体4と、転動体4を保持する保持器5と、転動体4の周囲に封入される潤滑剤とを有し、転動体4がセラミックス製であり、内輪2、外輪3、および保持器5から選ばれる少なくとも1つの部材において、該部材の潤滑剤と接触する表面に、繊維材または多孔質材からなる潤滑剤保持部材6が接着固定されている。
【選択図】図4
Description
本発明は、潤滑油またはグリースで潤滑される転がり軸受に関する。
転がり軸受は、一般的に内輪、外輪、転動体、および保持器で構成されている。外部からの異物の侵入を防ぐためや、内部に封入した潤滑剤の流出を防ぐために、開口端部にシール部材が設けられる場合がある。軸受内部の潤滑は、油やグリースなどの潤滑剤により行われており、軸受の潤滑特性向上(長寿命化、低トルク化など)のために種々の工夫がなされている。
例えば、潤滑剤保持性の向上や軸受の回転トルクの低減を図る技術として、特許文献1が提案されている。特許文献1では、転がり軸受内の所定部位に、繊維を植毛してなる部材(植毛体)を設けることで、グリースや潤滑油を潤滑部位に保持し、また、グリースの撹拌やせん断を抑制して、低トルクかつ長寿命を実現している(特許文献1参照)。
特許文献1の技術では、グリース種やグリース封入量を既存品から大きく変更せずに、潤滑寿命やトルクの低減などを図り得る。しかし、希薄潤滑条件や長期使用のように潤滑条件が厳しくなる場合、植毛体を設けるとしても、潤滑油やグリースの絶対量が少なくなり、油膜切れを起こし焼き付くなどのおそれがある。
本発明はこのような問題に対処するためになされたものであり、軸受構成部材に植毛体を設けた転がり軸受において、潤滑条件が厳しくなる場合であっても焼き付きを防止して長寿命とできる転がり軸受を提供することを目的とする。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、軸受内空間に供給または封入される潤滑剤とを備えてなる転がり軸受であって、上記転動体がセラミックス製であり、上記内輪、上記外輪、および上記保持器から選ばれる少なくとも1つの軸受構成部材において、該部材の上記潤滑剤と接触する表面に、繊維材または多孔質材からなる潤滑剤保持部材が接着固定されていることを特徴とする。
上記潤滑剤保持部材が、複数の繊維からなる植毛体であり、該繊維の先端部が上記転動体の表面に接触していることを特徴とする。
上記潤滑剤保持部材が、上記保持器の内径面および外径面から選ばれる少なくとも一方の面に固定されていることを特徴とする。特に、上記潤滑剤保持部材は、上記保持器の内径面および外径面から選ばれる少なくとも一方の面において、上記軌道輪の非軌道部と対向する領域を除いた部分に固定されていることを特徴とする。
上記潤滑剤保持部材が、上記軌道輪の軌道面に隣接する肩部に設けられていることを特徴とする。
本発明の転がり軸受は、軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、軸受内空間に供給または封入される潤滑剤とを備え、転動体がセラミックス製であり、内輪、外輪、および保持器から選ばれる少なくとも1つの軸受構成部材において、該部材の潤滑剤と接触する表面に、繊維材または多孔質材からなる潤滑剤保持部材が接着固定されているので、潤滑剤保持部材により低トルクを実現しつつ、潤滑条件が厳しくなる場合であっても焼き付きを防止して長寿命となる。
また、潤滑剤保持部材を複数の繊維からなる植毛体とすることで、グリースや潤滑油を保持しやすく、また、転動体との接触時にトルクを増加させにくい。特に、このような潤滑剤保持部材を保持器の内外径面に設けて転動体に一部接触させつつ、軌道輪の非軌道部と対向する領域には設けないことで、油を転動体に安定して供給して希薄潤滑条件下でも油膜切れを防止でき、トルクの増加も抑えることができる。
また、潤滑剤保持部材を軌道輪の軌道面(転走面)に隣接する肩部に設けることで、潤滑剤保持部材から滲み出したグリースや潤滑油が肩部を通じて軌道面に一部供給されるので、軌道面における潤滑状態に優れ、より油膜切れを防止できる。
本発明の転がり軸受の一例を図1および図2に基づき説明する。図1は、本発明の転がり軸受として、冠形保持器を組み込んだ深溝玉軸受の一部断面図であり、図2はこの冠形保持器の一部斜視図である。図1に示すように、転がり軸受1は、外周面に軌道面2aを有する内輪2と、内周面に軌道面3aを有する外輪3とが同心に配置される。内輪2の軌道面2aと外輪3の軌道面3aとの間に複数個の転動体4が介在して配置される。この複数個の転動体4が、冠形の保持器5により保持される。また、転がり軸受1は、内・外輪の軸方向両端開口部に設けられた環状のシール部材11を備え、内輪2と外輪3と保持器5とシール部材11とで構成される軸受内空間に封入されたグリース12によって潤滑される。この実施形態では、保持器5の内径面および外径面に潤滑剤保持部材6が接着固定されている。
ここで、転がり軸受1では、転動体4がセラミックス製であることを特徴としている。セラミックスの材質としては、窒化珪素、炭化珪素、酸化アルミニウム(アルミナ)、酸化ジルコニウム(ジルコニア)、サイアロンなどが挙げられる。これらのうち、転動疲労寿命の観点からは窒化珪素が最も好ましい。セラミックス転動体はHIP(熱間等方圧縮処理)やガス圧焼結などの成形方法で得られた素球を研磨することにより製造できる。なお、本発明では転動体に加えて、内輪や外輪もセラミックスとする構成としてもよい。転動体をセラミックスとする場合、潤滑条件を少し補強することで大幅な長寿命化が図れる。よって、潤滑条件が厳しくなる場合において、潤滑剤保持部材により僅かでも潤滑条件を改善させることで、相乗的に大幅な焼き付き寿命等の延長が図れる。
図2に示すように、冠形の保持器5は、環状の本体7上面に周方向に一定ピッチをおいて対向一対の保持爪8を形成し、その対向する各保持爪8を相互に接近する方向にわん曲させるとともに、その保持爪8間に転動体である玉を保持するポケット9を形成したものである。隣接するポケット9の縁に形成された相互に隣接する保持爪8の背面相互間に、保持爪8の立ち上がり基準面となる平坦部10が形成される。該図に示すように、潤滑剤保持部材6は、保持器5の外径面5aと、保持器5の内径面5bに接着固定されている。
例えば、潤滑剤保持部材6が繊維材からなる植毛体である場合、ポケット9のエッジ部(本体および保持爪の内外径面とポケットとの境界部)に繊維先端部が僅かにはみ出す形で設けることが好ましい。これにより、潤滑剤保持部材6の繊維先端部がポケット9内の転動体と接触し、潤滑剤保持部材から転動体に離油した油が安定して供給され続け、軌道面などにおける油膜切れを防止できる。
潤滑剤保持部材6は、繊維材からなる植毛体、または、多孔質材からなる多孔質体である。これらは、軸受内に封入されたグリースや潤滑油の一部を保持している。潤滑剤保持部材は、その保持したグリース等から潤滑油(基油)を供給可能なものである。グリースや潤滑油の保持態様としては、軸受使用時において軸受内に封入されたグリース等が付着することで保持される他、軸受使用前においてグリース全体またはその基油を予め保持(付着)や含浸させておくことができる。
潤滑剤保持部材は、上記のとおり繊維材または多孔質材からなる。これらを用いることで表面積が増加してグリースや潤滑油の保持性が向上する。繊維材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ナイロンなどのポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンテフタレートなどのポリエステル樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、ビニロンなどの合成樹脂繊維、カーボン繊維、グラスファイバーなどの無機繊維、レーヨン、アセテートなどの再生繊維や、綿、絹、麻、羊毛などの天然繊維が挙げられる。また、多孔質材としては、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリオレフィン、フェノール、ポリ塩化ビニルなどの合成樹脂や、天然ゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム、スチレンブタジエンゴムなどのゴムを発泡して得られるフォームが挙げられる。
表面凹凸が大きく、グリースや潤滑油を保持させやすいことから繊維材を用いることが好ましい。繊維材からなる潤滑剤保持部材である植毛体は、複数の繊維(短繊維)を植毛して形成される。固定は接着剤によりなされる。植毛方法としては、静電植毛や静電吹き付け植毛があり、公知の方法を採用できる。静電植毛は、接着剤を塗布した基材(軸受構成部材)を対電極とし、高電圧電極により静電界を作り、その静電吸引力で短繊維を飛翔させ接着剤を塗布した形成部に立毛させる方法である。静電吹き付け植毛は、この静電吸引力に加え、短繊維をエアーで強制的に飛ばしながら接着剤を塗布した形成部に植毛する方法である。いずれの植毛方法においても植毛後に乾燥工程・仕上げ工程などを行なう。なお、多孔質材からなる潤滑剤保持部材は、予め所定形状に形成・加工したものを接着剤などにより接着固定して設けられる。
潤滑剤保持部材の接着固定に用いる接着剤としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂などを主成分とする接着剤が挙げられる。例えば、ウレタン樹脂溶剤系接着剤、エポキシ樹脂溶剤系接着剤、酢酸ビニル樹脂溶剤系接着剤、アクリル樹脂系エマルジョン接着剤、アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体系エマルジョン接着剤、酢酸ビニル系エマルジョン接着剤、ウレタン樹脂系エマルジョン接着剤、エポキシ樹脂系エマルジョン接着剤、ポリエステル系エマルジョン接着剤、エチレン−酢酸ビニル共重合体系接着剤などが挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記の繊維材の中でも、油による膨潤や溶解などが生じにくく化学的に安定であり、均質な繊維を多量に生産することができ、安価に入手することができるため、合成樹脂の短繊維を用いることが好ましい。繊維(短繊維)の形状としては、潤滑剤保持部材の形成箇所において、軸受機能に悪影響を与えるような他部材との干渉がない形状であれば特に限定されない。例えば、長さ0.5〜2.0mm、太さ0.5〜50デシテックスのものが好ましく、植毛体の短繊維の密度としては、植毛した面積あたりに繊維の占める割合が1〜40%が好ましい。低トルク性を重視する場合には、上記割合が1〜5%程度がより好ましい。植毛方法として静電吹き付け植毛を採用することで、上記割合1〜5%程度を達成でき、転動体との接触時にトルクを増加させにくくなる。その他、短繊維の断面形状は、円形や多角形状がある。多角形状断面の短繊維を利用することで、円形断面の短繊維よりも大きな表面積とすることができ、グリースや潤滑油をより保持しやすくなる
また、密度の異なる部分を組み合わせた植毛体としてもよい。例えば、転動体との接触部となるエッジ部などにおいては、上記割合を小さく(1〜5%)し、それ以外の部分でなる保持器内外径面などにおいては、上記割合を大きく(10〜40%)することが挙げられる。これにより、グリースや潤滑油を多く保持して十分な油を転動体に安定供給しつつ、トルクの増加も抑えることができる。
図2に示す例は冠形保持器であるが、本発明の転がり軸受では、波形保持器、玉用保持器、ころ用保持器などの保持器に潤滑剤保持部材を形成する形態としてもよい。また、保持器の材質については、金属材料や樹脂材料など、任意の材料を採用できる。図2に示す冠形保持器などは樹脂製である。例えば、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリフェニレンスルフィド(PPS)樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ナイロン66樹脂、ナイロン46樹脂などのポリアミド樹脂を樹脂母材とし、炭素繊維、ガラス繊維などの強化繊維と、他の添加剤を配合した樹脂組成物を用いて、射出成形により製造される。
本発明の転がり軸受は、潤滑剤(潤滑油またはグリース)で潤滑される。これらの潤滑剤は内・外輪間の空間内に供給・封入され、転走面などに介在して潤滑がなされる。潤滑油としては、通常、転がり軸受に用いられるものであれば特に制限なく用いることができる。例えば、パラフィン系鉱油、ナフテン系鉱油などの鉱油、ポリブテン油、ポリ−α−オレフィン油、アルキルベンゼン油、アルキルナフタレン油などの炭化水素系合成油、または、天然油脂やポリオールエステル油、リン酸エステル油、ジエステル油、ポリグリコール油、シリコーン油、ポリフェニルエーテル油、アルキルジフェニルエーテル油、フッ素油などの非炭化水素系合成油などが挙げられる。これらの潤滑油は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
潤滑剤としてグリースを使用する場合、グリースを構成する基油としては、上記の潤滑油が挙げられる。また、グリースを構成する増ちょう剤としては、例えば、アルミニウム石けん、リチウム石けん、ナトリウム石けん、複合リチウム石けん、複合カルシウム石けん、複合アルミニウム石けんなどの金属石けん系増ちょう剤、ジウレア化合物(脂肪族、脂環式、芳香族ジウレアなど)、ポリウレア化合物などのウレア系化合物、PTFE樹脂などのフッ素樹脂粉末が挙げられる。これらの増ちょう剤は、単独で用いられてもよく、2種類以上が併用されてもよい。
潤滑剤には必要に応じて公知の添加剤を添加できる。添加剤としては、例えば、有機亜鉛化合物、有機モリブデン化合物などの極圧剤、アミン系、フェノール系、イオウ系化合物などの酸化防止剤、イオウ系、リン系化合物などの摩耗抑制剤、多価アルコールエステルなどの防錆剤、ポリメタクリレート、ポリスチレンなどの粘度指数向上剤、二硫化モリブデン、グラファイトなどの固体潤滑材、エステル、アルコールなどの油性剤などが挙げられる。
上記の中で、特に基油としてフッ素油を用い、増ちょう剤としてフッ素樹脂粉末を用いたフッ素グリースの場合、転動体が通常の鋼であると発生するフッ素ガスにより転動体が侵食されやすい。これに対して、本発明の転がり軸受では、転動体をセラミックス製としているため、転動体がフッ素と反応することがなく、フッ素油本来の耐熱性や潤滑性を活用でき、長寿命となる。
本発明の転がり軸受の他の例を図3に基づき説明する。図3は、深溝玉軸受の一部断面図である。図3に示す例では、転がり軸受1’の内輪2の肩部2bおよび外輪3の肩部3bに、それぞれ潤滑剤保持部材6が形成されている。転動体4はセラミックス製である。ここで、潤滑剤保持部材6は、繊維材(合成樹脂の短繊維)を植毛してなる植毛体である。潤滑剤保持部材6は、その繊維の先端部のみを転動体4の表面に接触させることが好ましい。また、軌道面近傍の肩部に潤滑剤保持部材を設けることで、潤滑剤保持部材から滲み出したグリースが肩部を通じて軌道面に供給されやすくなる。
本発明の転がり軸受の他の例を図4に基づき説明する。図4は、冠形保持器とシール部材とを組み込んだ深溝玉軸受の一部断面図である。図4に示す例では、転がり軸受1’’は、内輪2の軌道面2aと外輪3の軌道面3aとの間に介在して配置された複数個の転動体4が、冠形の保持器5により保持されている。転動体4はセラミックス製である。また、転がり軸受1’’は、内・外輪の軸方向両端開口部に設けられた環状のシール部材11a、11bを備えている。冠形の保持器5のポケット開口側がシール部材11aであり、ポケット非開口側がシール部材11bである。内輪2と外輪3と保持器5とシール部材11a、11bとで軸受内空間(軸受内部)が構成され、該空間内に保持されたグリース(図示省略)により潤滑がなされる。
この実施形態では、保持器5の内外径面の一部とシール部材11aの軸受内空間側表面に、潤滑剤保持部材6が接着固定されている。これらの部位に潤滑剤保持部材6を設けることで、グリースを軸受内部に十分に保持できる。なお、シール部材の潤滑剤保持部材に保持された油は、外輪との接触部から表面張力により外輪肩部などを伝わり軌道面に供給される。また、潤滑剤保持部材6は、繊維材(合成樹脂の短繊維)を植毛してなる植毛体であり、保持器の内外径面のポケットのエッジ部に設けた植毛体において、その繊維の先端部を転動体4の表面に接触させている。
図4に示すように、冠形の保持器5では、ポケット開口側のシール部材11aとポケット非開口側のシール部材11bとの距離が異なり、ポケット非開口側のシール部材11bとの距離の方が近く、その隙間が小さい。軸受内部に保持されるグリース量を増加させるためには、両シール部材に一律に植毛体などの潤滑剤保持部材を設けることが好ましいと考えられる。しかし、上記のとおり、ポケット非開口側のシール部材と保持器との隙間が小さいことから、このシール部材にも潤滑剤保持部材を設けると、該シール部材の潤滑剤保持部材と保持器とが干渉・接触するなどのおそれがある。よって、この実施形態では、ポケット非開口側のシール部材については、あえて潤滑剤保持部材を設けない構成としている。なお、この実施形態では、潤滑剤保持部材6は、シール部材11aの径方向全範囲に設けられているが、径方向一部に設ける形態としてもよい。また、周方向についても同様に、周方向全範囲または一部範囲に設ける態様とできる。
図5に基づいてこの実施形態の保持器5を詳細に説明する。図5(a)はこの保持器の一部斜視図であり、図5(b)はこの保持器の展開図である。図5(a)に示すように、冠形の保持器5は、図2の保持器とほぼ同じ形状を有する。この実施形態において、保持器5は転動体案内形式であり、その内外径面は軌道輪(内輪と外輪)と接触しない面である。図4および図5に示すように、保持器5は、内輪2の軌道面2aまたは外輪3の軌道面3aに近接する領域5cと、内輪2の肩部2bまたは外輪3の肩部3bなどの非軌道部(非軌道面)に近接する領域5dとを有する。保持器5の内径面において、内輪の軌道面に近接する領域5cに潤滑剤保持部材6が形成され、軌道輪の非軌道部である内輪2の肩部2bに対向する領域5dには潤滑剤保持部材が形成されていない。また、保持器5の外径面においても同様に、外輪3の軌道面に近接する領域に潤滑剤保持部材6が形成され、外輪3の肩部3bに対向する領域には潤滑剤保持部材が形成されていない。
図5に示すように、内外輪肩部に対向する領域5dは、本体7のポケット9の非開口側に位置し、軸方向に一定範囲を占めて円周方向に連続した領域であり、ポケット9に一部かかる範囲の領域である。領域5dに潤滑剤保持部材を形成すると、この潤滑剤保持部材と内外輪肩部とが摺動する場合がある。この領域5dに潤滑剤保持部材を設けないことで、内外輪との接触によるトルクの増加などを防止できる。
以上のように、潤滑剤保持部材は、保持器、軌道輪、シール部材などの表面に設けることができる。また、1つの転がり軸受において、これを構成する複数の部材にそれぞれ潤滑剤保持部材を形成してもよい。
本発明の転がり軸受は、軸受構成部材に植毛体を設けた転がり軸受において、潤滑条件が厳しくなる場合であっても焼き付きを防止して長寿命とできるので、種々の用途における転がり軸受として広く利用できる。
1 転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 潤滑剤保持部材
7 保持器本体
8 保持爪
9 ポケット
10 平坦部
11、11a、11b シール部材
12 グリース
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 保持器
6 潤滑剤保持部材
7 保持器本体
8 保持爪
9 ポケット
10 平坦部
11、11a、11b シール部材
12 グリース
Claims (5)
- 軌道輪である内輪および外輪と、この内・外輪間に介在する複数の転動体と、この転動体を保持する保持器と、軸受内空間に供給または封入される潤滑剤とを備えてなる転がり軸受であって、
前記転動体がセラミックス製であり、
前記内輪、前記外輪、および前記保持器から選ばれる少なくとも1つの軸受構成部材において、該部材の前記潤滑剤と接触する表面に、繊維材または多孔質材からなる潤滑剤保持部材が接着固定されていることを特徴とする転がり軸受。 - 前記潤滑剤保持部材が、複数の繊維からなる植毛体であり、該繊維の先端部が前記転動体の表面に接触していることを特徴とする請求項1記載の転がり軸受。
- 前記潤滑剤保持部材が、前記保持器の内径面および外径面から選ばれる少なくとも一方の面に固定されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の転がり軸受。
- 前記潤滑剤保持部材が、前記保持器の内径面および外径面から選ばれる少なくとも一方の面において、前記軌道輪の非軌道部と対向する領域を除いた部分に固定されていることを特徴とする請求項3記載の転がり軸受。
- 前記潤滑剤保持部材が、前記軌道輪の軌道面に隣接する肩部に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の転がり軸受。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017068979A JP2018169029A (ja) | 2017-03-30 | 2017-03-30 | 転がり軸受 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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---|---|---|---|
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- 2017-03-30 JP JP2017068979A patent/JP2018169029A/ja active Pending
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