JP2017057785A - 燃料噴射装置 - Google Patents
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Abstract
Description
一方、定圧加熱過程をもつディーゼルサイクルやサバテサイクルは、中速、高速のディーゼルエンジン等の圧縮着火機関に用いられる熱サイクルであり、優れた熱効率を有する。このため、ディーゼルサイクルやサバテサイクルは、少ない燃料で多くの運動エネルギーを取り出せるため、二酸化炭素排出量が少なく、環境にやさしい。したがって、ディーゼルサイクルやサバテサイクルによる良好な燃焼状態を作り出すため、燃料噴射量を高精度に制御することが求められる。
ハウジングは、有底筒状の先端部に、燃料が噴射される第1噴孔(121)、前記第1噴孔よりも後端側に位置し燃料が噴射される第2噴孔(122)及びハウジング鍔部(101)を有する。
ハウジング鍔部は、ハウジングの内側面(102)から径内方向の内側に突出する。
連通孔は、アウタニードルの外周側の入口面(382)とアウタニードルの内周側の出口面(384)とを含み、入口面と出口面とを連通する。また、連通孔は、アウタニードルが閉弁時、ハウジング鍔部よりも先端側に形成される。
インナニードル鍔部は、インナニードルの外側面(372)から径内方向の外側に突出する。また、インナニードル鍔部は、インナニードルが閉弁時、連通孔の出口面と重なる。
第1流路は、インナニードルの外側面とアウタニードルの内側面との間に形成される流路であり、第2流路は、ハウジングの内側面とアウタニードルの外側面との間に形成される流路である。第3流路は、インナニードルの外側面とハウジングの内側面との間に形成される流路である。
また、インナニードル鍔部は、インナニードルが摺動するとき、出口孔流路の流路面積の変化率が、第1流路の流路面積の変化率よりも小さくなるように形成される。このため、ハウジング、インナニードル、インナニードル鍔部、アウタニードル、連通孔の径が設定される。
また、ハウジング鍔部は、アウタニードルが摺動するとき、入口孔流路の流路面積の変化率が、第2流路の流路面積の変化率よりも小さくなるように形成される。このため、ハウジング、ハウジング鍔部、インナニードル、アウタニードル、連通孔の径が設定される。
(第1実施形態)
図1に示すように、インジェクタ1は、ハウジング10、アウタニードル38、インナニードル37、駆動部90を備えている。
またハウジング10は、先端側にノズル室11、弁座13、第1噴孔121、第2噴孔122、ハウジング鍔部101を有する。
第1噴孔121は、第2噴孔122よりも先端側、すなわち、ハウジング10の軸中心側に形成されている。第1噴孔121及び第2噴孔122は、ハウジング10の周方向に所定の間隔で複数形成されている。
アウタニードル38は、後端側にアウタニードルスプリング93を有する。またアウタニードル38は、先端側にシート部19、突出部389及び連通孔381を有する。
シート部19は、アウタニードル38の先端側の端部に形成されている。シート部19は、アウタニードル38により、弁座13に離座及び着座することで、第2噴孔122を開閉する。
突出部389は、連通孔381よりも後端側に配置され、アウタニードル38の径内方向に拡大し、アウタニードル38の内側面391から突出する。
インナニードルスプリング92は、第1背圧室21内で、インナニードル37の後端側の端部である頭部97とハウジング10とに当接して、インナニードル37を先端側へ付勢する。
シート部18は、インナニードル37の先端側の端部に形成されている。シート部18は、インナニードル37により、弁座13に離座及び着座することで、第1噴孔121を開閉する。
また、インナニードル鍔部371は、インナニードル37が摺動するとき、インナニードル鍔部371の上端面376とアウタニードル38の突出部389の下端面386とが当接する。さらに、インナニードル鍔部371は、インナニードル37が摺動するとき、連通孔381の出口面384を通過する。
ハウジング10のノズル室11には、コモンレール8から燃料通路24、17を経由して、高圧燃料が供給されている。ノズル室11の高圧燃料は、アウタニードル38の連通孔381を介して供給される。供給された燃料は、インナニードル37の第1鍔部371の受圧面372に作用し、インナニードル37を開弁方向へ付勢する。ここで、受圧面を別に設けてもよい。例えば、ハウジング鍔部101よりも後端側に、アウタニードル38を貫通する燃料通路孔を設ける。ノズル室11の高圧燃料は、燃料通路孔を介して供給され、供給された燃料は、受圧面としてインナニードルの窪められた面に作用する。
F1+Fs1>Fi ・・・(1)
このため、インナニードル37のシート部18は、弁座13に着座し、第1噴孔121を閉塞する。
F1+Fs1<Fi ・・・(2)
このため、インナニードル37は開弁方向へ摺動する。インナニードル37のシート部18が弁座13から離座すると、ノズル室11と第1噴孔121が連通し、第1噴孔121から燃料が噴射される。
F2+Fs2<Fio ・・・(3)
このため、アウタニードル38は、インナニードル37とともに開弁方向へ摺動する。アウタニードル38のシート部19が弁座13から離座すると第1噴孔121と第2噴孔122から燃料が噴射される。
Ao0>0 ・・・(4.1)
ΔA1>ΔAo ・・・(4.2)
ΔA2>|ΔAi| ・・・(4.3)
変化率ΔAiは負の値をもつため、関係式(4.3)は、絶対値を用いる。ハウジング鍔部101は、アウタニードル38が摺動するとき、入口孔流路383を閉塞と開放とをするためである。
Max(Ao)≧Ah1>Ao0 ・・・(5.1)
Max(A2)≧Ah2 ・・・(5.2)
ベルヌイの法則によるオリフィスの式から、燃料噴射量は、以下の関係式(6)で表される。
Q=C×Amin×√(2ΔP/ρ) ・・・(6)
ここで、Qは燃料噴射量、Cは流量係数、Aminは最小流路面積、ΔPは圧力差、ρは密度を表す。流量係数Cは、構造に起因する係数で定数である。圧力差ΔPは、供給される燃料圧力は一定のため定数である。また、燃料は非圧縮性で、密度ρも定数である。したがって、燃料噴射量は、燃料が噴射される経路の最小流路面積Aminで決定される。以下、燃料噴射量について、最小流路面積Aminで説明する。
Ao>A1 ・・・(7.1)
Amin1=A1 ・・・(7.2)
Amin2=0 ・・・(7.3)
Amin =A1 ・・・(7.4)
したがって、このときの燃料噴射量は流路面積A1で決定される。
A1>Ao ・・・(8.1)
Amin1=Ao ・・・(8.2)
Amin2=0 ・・・(8.3)
Amin =Ao ・・・(8.4)
したがって、このときの燃料噴射量は流路面積Aoで決定される。
Amin1=Ah1 ・・・(9.1)
Amin2=0 ・・・(9.2)
Amin =Ah1 ・・・(9.3)
したがって、このときの燃料噴射量は流路面積Ah1で決定される。
さらに、インナニードル37が開弁方向へ摺動するとき、インナニードル鍔部371の上端面376とアウタニードル38の突出部389の下端面386とが当接する。つまり、インナニードル37とアウタニードル38とがともに開弁方向へ摺動する。
Ao>Ai ・・・(10.1)
Amin1=Ai ・・・(10.2)
Amin2=A2 ・・・(10.3)
Amin =Ai+A2 ・・・(10.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積AiとA2との和で決定される。
また、アウタニードル38が摺動するに伴い、第2流路28が開放され、距離βが増加し、流路面積A2が増加する。
Ao>Ai ・・・(11.1)
Amin1=Ai ・・・(11.2)
Amin2=A2 ・・・(11.3)
Amin =Ai+A2 ・・・(11.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積AiとA2との和で決定される。
さらに、ハウジング鍔部101が入口面382を通過するとき、ハウジング鍔部101は入口孔流路385を開放する。このとき、変化率ΔAiは正の値となり、流路面積Aiは増加する。
Ao=Ai ・・・(12.1)
Amin1=Ah1 ・・・(12.2)
Amin2=Ah2 ・・・(12.3)
Amin =Ah1+Ah2 ・・・(12.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積Ah1とAh2との和で決定される。
ΔAmin1=ΔA1 ・・・(7.5)
ΔAmin2=0 ・・・(7.6)
ΔAmin1=ΔAo ・・・(8.5)
ΔAmin2=0 ・・・(8.6)
関係式(5.2)より、時間T1から変化率ΔAmin1、すなわち、最小流路面積Amin1の傾きは減少する。また時間T2は、インナニードル鍔部371が出口孔流路385を全開放する時間である。
ΔAmin1=0 ・・・(9.4)
ΔAmin2=0 ・・・(9.5)
時間T2からT3の変化率ΔAmin1は、最小流路面積Amin1が流路面積Ah1であるためゼロである。また、時間T0からT3の変化率ΔAmin2は、アウタニードル弁が閉弁しているためゼロである。
時間T3は、インナニードル鍔部371の上端面376とアウタニードル38の突出部389の下端面386とが当接する時間である。
ΔAmin1=ΔAi ・・・(10.5)
ΔAmin2=ΔA2 ・・・(10.6)
時間T4は、ハウジング鍔部101の端面が連通孔381の入口面382に含まれる時間である。
ΔAmin1=0 ・・・(11.5)
ΔAmin2=ΔA2 ・・・(11.6)
時間T5は、流路面積A2が流路面積Ah2を超えた時間であり、且つ、ハウジング鍔部101が入口孔流路383を開放する時間である。
ΔAmin1=ΔAi ・・・(12.5)
ΔAmin2=0 ・・・(12.6)
時間T6は、ハウジング鍔部101が入口孔流路383を開放した時間である。したがって、時間T6からT7において、最小流路面積Amin1は流路面積Ah1であり、最小流路面積Amin2は流路面積Ah2である。時間T6からT7の変化率ΔAmin1及びΔAmin2は、流路面積Ah1及び流路面積Ah2は変化しないので、ともにゼロである。
(効果)
サバテサイクルは、S1からS2の断熱圧縮過程、S2からS3の定容加熱過程、S3からS4の定圧加熱過程、S4からS5の断熱膨張過程、S5からS1の定容冷却過程の5つからなる。燃料噴射に関する過程は、S3からS4の定圧加熱過程である。定圧加熱過程では、インジェクタ1から燃料を高圧で高温高圧の圧縮空気中へ直接噴射すると燃料が自然に着火燃焼し、この熱エネルギーを一定圧力下で燃焼室へ投入する過程である。
図15(b)に示すように、比較例のサバテサイクルにおいて、定圧加熱過程における圧力は低下するが、本実施形態においては、定圧加熱過程における圧力は一定になる。比較例では、サバテサイクルの定圧加熱過程において、燃料噴射量が一定のため、体積が増加する際に、筒内圧が維持できず、圧力が低下する。
第2実施形態のインジェクタ2について、図16〜図24を参照して説明する。第1実施形態と同様の構成で、第2実施形態では、アウタニードル38がインナニードル37に先行して開弁する。以下、ハウジング10、アウタニードル38、インナニードル37、駆動部90の構成の変更点を説明する。
封止弁105は、ハウジング鍔部101よりも後端側に、形成される。また、アウタニードル38の外側面392と密接し、ノズル室11から供給される高圧燃料を封止する。このため、封止弁105より先端側のノズル室11へ高圧燃料は供給されない。
燃料通路231は、第2背圧室22と連通し、駆動部90に接続されている。
ニードル間流路26は、インナニードル37の外側面378とアウタニードル38の内側面391とで形成され、連通孔381よりも後端側に位置する流路である。また、ニードル間流路26は、アウタニードル38が閉弁時、出口孔流路385と入口孔流路383とを経由して第2流路28と連通する。
燃料通路孔394は、封止弁105よりも後端側に配置され、アウタニードル38の内側面391と外側面392を貫通する。燃料通路孔394は、燃料通路17とノズル室11とを介してコモンレールから供給される高圧燃料をニードル間流路26へ供給する。
突出部389は、連通孔381よりも先端側に配置される。また、アウタニードル38が開弁方向へ摺動するとき、突出部389の上端面390が、インナニードル鍔部37の下端面377と当接する。
駆動部90は、第2背圧室22の燃料通路231を開閉する弁体で、第1実施形態と同様にソレノイドコイルにより構成される。
燃料通路17を介して供給される高圧燃料は、アウタニードル38の受圧面393に作用する。ノズル室11の高圧燃料は、アウタニードル38の燃料通路孔394とニードル間流路26とを介して、第3流路29に供給される。
駆動部90のソレノイドコイルが非通電時、以下の関係式(13)が満たされる。
F2+Fs2>Fo ・・・(13)
このため、アウタニードル38のシート部19は、弁座13に着座し、第2噴孔122を閉塞する。第2実施形態において、インナニードル37は、付勢力Fiはゼロであり、付勢力F1とFs1とで付勢される。このため、インナニードル37のシート部18は、弁座13に着座し、第1噴孔121を閉塞する。
F2+Fs2<Fo ・・・(14)
このため、アウタニードル38は開弁方向へ摺動する。アウタニードル38のシート部19が弁座13から離座すると、ニードル間流路26、第2流路28及び第2噴孔122が連通し、第2噴孔122から燃料が噴射される。
F1+Fs1<Foi ・・・(15)
このため、インナニードル37は、アウタニードル38とともに開弁方向へ摺動する。インナニードル37のシート部18が弁座13から離座すると第1噴孔121と第2噴孔122とから燃料が噴射される。
ΔA2>ΔAo ・・・(16.1)
ΔA3>|ΔAi| ・・・(16.2)
第1実施形態と同様に、絶対値を用いる。
Max(Ao)≧Ah2>Ao0 ・・・(17.1)
Max(A3)≧Ah1 ・・・(17.2)
Ao>A2 ・・・(18.1)
Amin2=A2 ・・・(18.2)
Amin3=0 ・・・(18.3)
Amin =A2 ・・・(18.4)
したがって、このときの燃料噴射量は流路面積A2で決定される。
A2>Ao ・・・(19.1)
Amin2=Ao ・・・(19.2)
Amin3=0 ・・・(19.3)
Amin =Ao ・・・(19.4)
したがって、このときの燃料噴射量はAoで決定される。
Amin2=Ah2 ・・・(20.1)
Amin3=0 ・・・(20.2)
Amin =Ah2 ・・・(20.3)
したがって、このときの燃料噴射量はAh2で決定される。
さらに、アウタニードル38が開弁方向へ摺動するとき、アウタニードル38の突出部389の上端面390とインナニードル鍔部371の下端面377とが当接する。つまり、アウタニードル38とインナニードル37とがともに開弁方向へ摺動する。
Ao>Ai ・・・(21.1)
Amin2=Ai ・・・(21.2)
Amin3=A3 ・・・(21.3)
Amin =Ai+A3 ・・・(21.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積AiとA3との和で決定される。
また、インナニードル37が摺動するに伴い、第3流路29が開放され、距離γが増加し、流路面積A3が増加する。
Ao>Ai ・・・(22.1)
Amin2=Ai ・・・(22.2)
Amin3=A3 ・・・(22.3)
Amin =Ai+A3 ・・・(22.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積AiとA3との和で決定される。
Ao=Ai ・・・(23.1)
Amin2=Ah2 ・・・(23.2)
Amin3=Ah1 ・・・(23.3)
Amin =Ah2+Ah1 ・・・(23.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積Ah2とAh1との和で決定される。
ΔAmin2=ΔA2 ・・・(18.5)
ΔAmin3=0 ・・・(18.6)
ΔAmin2=ΔAo ・・・(19.5)
ΔAmin3=0 ・・・(19.6)
関係式(16.1)より、時間T1から変化率ΔAmin2、すなわち、最小流路面積Amin2の傾きは減少する。また時間T2は、第1実施形態同様である。
ΔAmin2=0 ・・・(20.4)
ΔAmin3=0 ・・・(20.5)
時間T2からT3の変化率ΔAmin2は、最小流路面積Amin2が流路面積Ah2であるためゼロである。また時間T0からT3の変化率ΔAmin3は、インナニードル37が閉弁しているためゼロである。
時間T3は、アウタニードル38の突出部389の上端面390とインナニードル鍔部371の下端面377とが当接する時間である。
ΔAmin2=ΔAi ・・・(21.5)
ΔAmin3=ΔA3 ・・・(21.6)
時間T3からT4において、第1実施形態と同様にハウジング鍔部101が入口孔流路383を閉塞する。関係式(16.2)より、最小流路面積の変化率ΔAmin2とΔAmin3との和は増加する。したがって、時間T3からT4においても、第1実施形態と同様に、燃料噴射量は増加する。
時間T4は、ハウジング鍔部101の端面が連通孔381の入口面382に含まれる時間である。
ΔAmin2=0 ・・・(22.5)
ΔAmin3=ΔA3 ・・・(22.6)
時間T5は、流路面積A3が流路面積Ah1を超えた時間であり、且つ、ハウジング鍔部101が入口孔流路383を開放する時間である。
ΔAmin2=ΔA2 ・・・(23.5)
ΔAmin3=0 ・・・(23.6)
時間T6は、ハウジング鍔部101が、入口孔流路383を開放した時間である。したがって、時間T6からT7において、最小流路面積Amin2は流路面積Ah2であり、最小流路面積Amin3は流路面積Ah1である。時間T6からT7の変化率ΔAmin2及びΔAmin3は、流路面積Ah1及び流路面積Ah2は変化しないので、ともにゼロである。
(効果)
第3実施形態のインジェクタ3について図25及び図26を参照して説明する。インジェクタ3は、第1実施形態と同様の構成で、駆動部90は、インナニードル37及びアウタニードル38の摺動速度を可変にする速度可変機構を有する。速度可変機構は、例えば、圧電素子であるピエゾアクチュエータと、ピエゾアクチュエータの伸縮によって容積が変化する圧力調整室を備える。
ピエゾアクチュエータは、ECUが電圧Vsを印加し、伸長する。ピエゾアクチュエータが伸長すると、圧力調整室の容積が縮小し、第1背圧室21の燃料圧力は上昇する。電圧Vsは、関係式(1)が満たされるように調整され、インナニードル37は閉弁する。
さらに、ECUが電圧を降下させ、ピエゾアクチュエータを収縮するとき、アウタニードル38はインナニードル37とともに開弁方向へ摺動する。
ΔAo=|ΔAi| ・・・(24.1)
ΔA2=2|ΔAi| ・・・(24.2)
T2=T3 ・・・(24.3)
変化率ΔAiは、負の値をもつため、絶対値を用いる。
時間T0からT7の変化率ΔAmin1及びΔAmin2は、第1実施形態と同様であるが、第3実施形態においては、時間T1からT5の変化率ΔAmin1と時間T3からT5の変化率Amin2が変化する。
時間T3からT5の変化率ΔAmin2は、変化率ΔA2を変化率ΔAiで表すことができる。また、時間T4からT5で、ハウジング鍔部101が入口孔流路383を開放する時間と流路面積A2が流路面積Ah2を超える時間を一致するように調整することができる。
図26を参照して、第3実施形態の燃料噴射量Qについて説明する。燃料噴射量Qは、第1実施形態と同様に、図25を参照して、最小流路面積Amin1とAmin2との和であるAminから算出され、第3実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏する。第3実施形態では、インナニードル37とアウタニードル38の開弁方向の摺動速度を制御することによって、燃料噴射量Qの時間に対する傾き、すなわち、燃料噴射量の変化率を一定にすることができる。このことは、燃料噴射量をより高精度に制御可能なことを意味する。
(ア)第1実施形態において、インナニードル37のみ開弁し、第1噴孔121のみから燃料を噴射してもよい。また同様に、第2実施形態において、アウタニードル38のみ開弁し、第2噴孔122のみから燃料を噴射してもよい。上記実施形態と同様の効果を奏する。
(ウ)図28(a)(b)に示す形態のように、2つにしてもよい。
(エ)図29(a)、(b)に示す形態のように、4つの連通孔381の配置を等間隔でなくてもよい。
(オ)図30(a)、(b)、(c)、(d)に示す形態のように、連通孔381の径方向の断面形状を円、平行四辺形及び楕円にしてもよい。さらに、連通孔381の径方向の断面形状は、菱形、正方形でもよい。
このように、連通孔の数、配置や形状に問わず、上記実施形態と同様の効果を奏する。
逆止弁388をさらに備えることで、インナニードル37とアウタニードル38とが開弁するとき、第1流路27を経由する流量が第2流路へ逆流を防ぐことができる。これにより、第1噴孔121及び第2噴孔122からの各噴射量の精度が向上する。
10 ・・・ハウジング、
101 ・・・ハウジング鍔部、
102 ・・・内側面(ハウジング)、
121 ・・・第1噴孔、
122 ・・・第2噴孔、
27 ・・・第1流路、
28 ・・・第2流路、
29 ・・・第3流路、
37 ・・・インナニードル、
371 ・・・インナニードル鍔部、
372 ・・・外側面(インナニードル)、
38 ・・・アウタニードル、
381 ・・・連通孔、
382 ・・・入口面、
383 ・・・入口孔流路、
384 ・・・出口面、
385 ・・・出口孔流路、
391 ・・・内側面(アウタニードル)、
392 ・・・外側面(アウタニードル)。
Claims (11)
- 有底筒状の先端部に、燃料が噴射される第1噴孔(121)、及び、前記第1噴孔よりも後端側に位置し燃料が噴射される第2噴孔(122)を有するハウジング(10)と、
前記ハウジングの内側に摺動可能に収容され、軸方向の摺動に伴って前記第2噴孔を開閉可能であり、側壁に、前記側壁の内側面(391)と前記側壁の外側面(392)とを連通する少なくとも1つの連通孔(381)を有するアウタニードル(38)と、
前記アウタニードルの内側に摺動可能に収容され、軸方向の摺動に伴って前記第1噴孔を開閉可能であるインナニードル(37)と、
を備え、
前記インナニードルは、前記インナニードルの外側面(372)から突出し、前記インナニードル又は前記アウタニードルが摺動するとき前記連通孔の出口面(384)に沿って通過するインナニードル鍔部(371)を有し、
前記ハウジングは、前記ハウジングの内側面(102)から突出し、前記アウタニードルが摺動するとき前記連通孔の入口面(382)に沿って通過するハウジング鍔部(101)を有し、
前記インナニードルと前記アウタニードルとの間に第1流路(27)が形成され、
前記アウタニードルと前記ハウジングとの間に第2流路(28)が形成され、
前記インナニードルと前記ハウジングとの間に第3流路(29)が形成され、
前記インナニードル鍔部と前記連通孔の前記出口面とで出口孔流路(385)が形成され、
前記ハウジング鍔部と前記連通孔の前記入口面とで入口孔流路(383)が形成される燃料噴射装置。 - 前記インナニードル鍔部は、前記インナニードルが摺動するとき、前記出口孔流路の流路面積(Ao)の変化率(ΔAo)が前記第1流路の流路面積(A1)の変化率(ΔA1)よりも小さくなるように形成される請求項1に記載の燃料噴射装置。
- 前記インナニードル鍔部は、前記アウタニードルが摺動するとき、前記出口孔流路の流路面積(Ao)の変化率(ΔAo)が前記第2流路の流路面積(A2)の変化率(ΔA2)よりも小さくなるように形成される請求項1に記載の燃料噴射装置。
- 前記インナニードル鍔部は、前記インナニードルが摺動するとき、前記出口孔流路の流路面積(Ao)の変化率(ΔAo)が前記第3流路の流路面積(A3)の変化率(ΔA3)よりも小さくなるように形成される請求項1に記載の燃料噴射装置。
- 前記ハウジング鍔部は、前記アウタニードルが摺動するとき、前記入口孔流路の流路面積(Ai)の変化率(ΔAi)が前記第2流路の流路面積(A2)の変化率(ΔA2)よりも小さくなるように形成される請求項1に記載の燃料噴射装置。
- 前記出口孔流路は、前記インナニードルと前記アウタニードルとが閉弁時の前記出口孔流路の流路面積(Ao0)が前記第1噴孔の流路面積(Ah1)よりも小さくなるように形成される請求項2または4に記載の燃料噴射装置。
- 前記出口孔流路は、前記インナニードルと前記アウタニードルとが閉弁時の前記出口孔流路の流路面積(Ao0)が前記第2噴孔の流路面積(Ah2)よりも小さくなるように形成される請求項3または5に記載の燃料噴射装置。
- 前記アウタニードルは、軸方向における同一高さに複数の前記連通孔を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
- 複数の前記連通孔は、周方向に等間隔に配置されている請求項8に記載の燃料噴射装置。
- 前記アウタニードル及び前記インナニードルの摺動を制御する駆動部(90)をさらに有し、
前記駆動部は、前記アウタニードルと前記インナニードルの摺動速度を可変にする速度可変機構を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。 - 前記アウタニードルは、前記アウタニードルが閉弁時、前記第1噴孔よりも後端側で第2噴孔よりも先端側である前記アウタニードル弁の先端部(387)に、前記第1噴孔と前記第2噴孔との間の前記ハウジングに当接して前記第2流路を塞ぐ逆止弁(388)をさらに有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
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