JP2017057785A - 燃料噴射装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】高精度に燃料噴射量を制御する燃料噴射装置を提供する。【解決手段】エンジンの燃焼室の燃料噴射量を制御する燃料噴射装置において、ハウジング10と、第2噴孔122の開閉を行い、少なくとも1つの連通孔381を有するアウタニードル38と、第1噴孔121の開閉を行うインナニードル37を備える。インナニードル37は、外側面372から突出するインナニードル鍔部371を有する。また、ハウジング10は、内側面102から突出するハウジング鍔部101を有する。インナニードル鍔部371及びハウジング鍔部101は、インナニードル37とアウタニードル38との摺動によって、連通孔381の入口孔流路383及び出口孔流路385の流路面積を変更する。これにより、燃料噴射量を連続に増加させることができる。したがって、燃料噴射量を高精度に制御でき、熱サイクルの定圧加熱過程の圧力低下を抑制することができる。【選択図】図3

Description

本発明は、ディーゼルエンジン等のエンジンシステムに燃料を供給する燃料噴射装置に関する。
従来、ハウジング内に同軸に収容されたアウタニードル及びインナニードルのリフト量を調整して燃料の噴射制御を行うツインニードルタイプの燃料噴射装置が知られている。
一方、定圧加熱過程をもつディーゼルサイクルやサバテサイクルは、中速、高速のディーゼルエンジン等の圧縮着火機関に用いられる熱サイクルであり、優れた熱効率を有する。このため、ディーゼルサイクルやサバテサイクルは、少ない燃料で多くの運動エネルギーを取り出せるため、二酸化炭素排出量が少なく、環境にやさしい。したがって、ディーゼルサイクルやサバテサイクルによる良好な燃焼状態を作り出すため、燃料噴射量を高精度に制御することが求められる。
特開2009−062920
特許文献1の構成のツインニードルタイプの燃料噴射装置では、インナニードルとアウタニードルの背面側の圧力を調整することで、燃料噴射量を制御している。このため、燃料噴射量は、インナニードルとアウタニードルとの二段階で変更することができる。しかし、この構成の燃料噴射装置の燃料噴射量は、第1噴孔の最小流路面積と第2噴孔の最小流路面積とで決定されるため、一定量に収束してしまう。一定の燃料噴射量が投入されるとき、ディーゼルサイクルやサバテサイクルが有する定圧加熱過程において、燃焼が促進されない。このため、エンジンの燃焼室のピストンが後退するとき、すなわち、体積が膨張するとき、定圧加熱過程にもかかわらず圧力が低下し、良好な燃焼状態にならないといった問題がある。
本発明は、上述の問題に鑑みて創作されたものであり、その目的は、定圧加熱過程を有する熱サイクルを用いるエンジンにおいて、燃料噴射量を高精度に制御し、定圧加熱過程の圧力低下を抑制する燃料噴射装置を提供することにある。
本発明は、エンジンシステムのエンジンの燃焼室の燃料噴射量を制御する燃料噴射装置であって、ハウジング(10)、アウタニードル(38)及びインナニードル(37)を備える。
ハウジングは、有底筒状の先端部に、燃料が噴射される第1噴孔(121)、前記第1噴孔よりも後端側に位置し燃料が噴射される第2噴孔(122)及びハウジング鍔部(101)を有する。
ハウジング鍔部は、ハウジングの内側面(102)から径内方向の内側に突出する。
アウタニードルは、ハウジングに摺動可能に収容され、軸方向の摺動に伴って第2噴孔の開閉可能であり、側壁に、側壁の内側面(391)と側壁の外側面(392)とを連通する少なくとも1つの連通孔を有する。
連通孔は、アウタニードルの外周側の入口面(382)とアウタニードルの内周側の出口面(384)とを含み、入口面と出口面とを連通する。また、連通孔は、アウタニードルが閉弁時、ハウジング鍔部よりも先端側に形成される。
インナニードルは、アウタニードルに摺動可能に収容され、軸方向の摺動に伴って第1噴孔の開閉可能であり、インナニードル鍔部(371)を有する。
インナニードル鍔部は、インナニードルの外側面(372)から径内方向の外側に突出する。また、インナニードル鍔部は、インナニードルが閉弁時、連通孔の出口面と重なる。
インナニードル又はアウタニードルが摺動するとき、ハウジング、アウタニードル及びインナニードルで構成される流路である第1流路(27)、第2流路(28)、第3流路(29)、出口孔流路(385)、入口孔流路(383)が形成される。
第1流路は、インナニードルの外側面とアウタニードルの内側面との間に形成される流路であり、第2流路は、ハウジングの内側面とアウタニードルの外側面との間に形成される流路である。第3流路は、インナニードルの外側面とハウジングの内側面との間に形成される流路である。
出口孔流路は、インナニードル鍔部と連通孔の出口面とで形成される流路である。入口孔流路は、ハウジング鍔部と連通孔の入口面とで形成される流路である。インナニードル及びアウタニードルが閉弁時、第1流路は、出口孔流路と入口孔流路と連通する。
インナニードル鍔部は、インナニードル又はアウタニードルが摺動するとき、すなわち、インナニードル又はアウタニードルが開閉弁するとき、連通孔の出口面に沿って通過し、出口孔流路を閉塞及び開放する。このとき、出口孔流路の流路面積を変化させる。
また、インナニードル鍔部は、インナニードルが摺動するとき、出口孔流路の流路面積の変化率が、第1流路の流路面積の変化率よりも小さくなるように形成される。このため、ハウジング、インナニードル、インナニードル鍔部、アウタニードル、連通孔の径が設定される。
出口孔流路は、前記インナニードルと前記アウタニードルとが閉弁時、出口孔流路の流路面積は第1噴孔の流路面積よりも小さくなるように形成される。これは、第1噴孔の流路面積よりも大きいとき、第1噴孔の流路面積で、燃料噴射量が決定されるからである。
ハウジング鍔部は、アウタニードルが摺動するとき、連通孔の入口面に沿って通過し、入口孔流路を閉塞及び開放する。このとき、入口孔流路の流路面積を変化させる。
また、ハウジング鍔部は、アウタニードルが摺動するとき、入口孔流路の流路面積の変化率が、第2流路の流路面積の変化率よりも小さくなるように形成される。このため、ハウジング、ハウジング鍔部、インナニードル、アウタニードル、連通孔の径が設定される。
本発明では、インナニードル鍔部及びハウジング鍔部は、インナニードルとアウタニードルとの摺動によって、連通孔の入口孔流路及び出口孔流路の流路面積を変更する。これにより、流路構成が増加し、流路面積の制御性が高まる。燃料噴射量は流路面積により変化するため、燃料噴射量を連続に増加させることができる。したがって、燃料噴射量を高精度に制御することができ、熱サイクルの定圧加熱過程の圧力低下を抑制できる。
第1実施形態によるインジェクタを示す断面図。 (a)第1実施形態によるインジェクタの開弁時のII部拡大図、(b)図2(a)のIIb−IIb線断面図。 (a)第1実施形態によるインジェクタの閉弁時のIII部拡大図、(b)図3(a)のIIIb−IIIb線断面図。 第1実施形態によるインジェクタの開弁時のIV部拡大図。 第1実施形態によるインジェクタの閉弁時のV部拡大図。 第1実施形態によるインジェクタのインナニードル鍔部が連通孔の出口面を通過開始のVI部拡大図。 第1実施形態によるインジェクタのインナニードル鍔部が連通孔の出口面を通過するときのVII部拡大図。 第1実施形態によるインジェクタのインナニードル鍔部が連通孔の出口面を通過するときのVIII部拡大図。 第1実施形態によるインジェクタのインナニードル鍔部が連通孔の出口面を通過後のIX部拡大図。 第1実施形態によるインジェクタのハウジング鍔部が連通孔の入口面を通過するときのX部拡大図。 第1実施形態によるインジェクタのハウジング鍔部が連通孔の入口面を通過するときのXI部拡大図。 第1実施形態によるインジェクタのハウジング鍔部が連通孔の入口面を通過後のXII部拡大図。 第1実施形態によるインジェクタの流路面積の変化。 定圧加熱過程を有するサバテサイクルの熱サイクル図。 (a)第1実施形態によるインジェクタの燃料噴射量(b)第1実施形態のインジェクタによるXV部拡大図の定圧加熱過程。 第2実施形態によるインジェクタを示す断面図。 第2実施形態によるインジェクタのインナニードル鍔部が連通孔の出口面を通過開始のXVII部拡大図。 第2実施形態によるインジェクタのインナニードル鍔部が連通孔の出口面を通過するときのXVIII部拡大図。 第2実施形態によるインジェクタのインナニードル鍔部が連通孔の出口面を通過後のXIX部拡大図。 第2実施形態によるインジェクタのハウジング鍔部が連通孔の入口面を通過開始のXX部拡大図。 第2実施形態によるインジェクタのハウジング鍔部が連通孔の入口面を通過するときのXXI部拡大図。 第2実施形態によるインジェクタのハウジング鍔部が連通孔の入口面を通過するときのXXII部拡大図。 第2実施形態によるインジェクタのハウジング鍔部が連通孔の入口面を通過後のXXIII部拡大図。 第2実施形態によるインジェクタの流路面積の変化図。 第3実施形態によるインジェクタの流路面積の変化図。 第3実施形態によるインジェクタの燃料噴射量の変化図。 (a)その他実施形態によるインジェクタの先端側拡大図、(b)図27(a)のXXVIIb−XXVIIb線断面図。 (a)その他実施形態によるインジェクタの先端側拡大図、(b)図28(a)のXXVIIIb−XXVIIIb線断面図。 (a)その他実施形態によるインジェクタの先端側拡大図、(b)図29(a)のXXIXb−XXIXb線断面図。 (a)その他実施形態によるインジェクタの先端側拡大図、(b)図30(a)のXXXb−XXXb線断面図、(c)図30(a)のXXXc−XXXc線断面図、(d)図30(a)のXXXd−XXXd線断面図。 その他実施形態によるインジェクタの先端側拡大図。 その他実施形態によるインジェクタの先端側拡大図。 その他実施形態によるインジェクタの先端側拡大図。
本発明の実施形態による燃料噴射装置を図面に基づいて説明する。複数の実施形態の説明において、第1実施形態と実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明をする。この燃料噴射装置は、ハウジング内に同軸に収容されたアウタニードルとインナニードルを有し、アウタニードルとインナニードルのリフト量を調整して燃料の噴射制御を実施する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による燃料噴射装置(以下、燃料噴射装置を「インジェクタ」という。)について図1から図15を参照する。構成について図1から図3を参照して説明する。図の断面図に対して、折れ線は省略する。
本実施例のインジェクタ1は、ディーゼルエンジンの各気筒に取り付けられ、コモンレール8に高圧状態で蓄えられた燃料を各気筒に噴射する。
図1に示すように、インジェクタ1は、ハウジング10、アウタニードル38、インナニードル37、駆動部90を備えている。
ハウジング10は、例えば、炭素鋼等の金属材料によって有底筒状に形成される。ハウジング10は、後端側に燃料通路17、23、24、25、251、第1背圧室21、第2背圧室22を有する。
またハウジング10は、先端側にノズル室11、弁座13、第1噴孔121、第2噴孔122、ハウジング鍔部101を有する。
燃料通路24は、燃料通路17、燃料通路25及び燃料通路251に連通される。燃料通路23と燃料通路25とは、第1背圧室21に連通される。燃料通路251は、第2背圧室22に連通される
ノズル室11は、燃料通路17に連通される。弁座13は、底部の円錐状の内壁面に形成されている。
第1噴孔121は、第2噴孔122よりも先端側、すなわち、ハウジング10の軸中心側に形成されている。第1噴孔121及び第2噴孔122は、ハウジング10の周方向に所定の間隔で複数形成されている。
図2に示すように、ハウジング鍔部101は、径内方向に拡大し、ハウジング10の内側面102から突出する。後述のアウタニードル38の外側面392と当接する。また、ハウジング鍔部101は、アウタニードル38が閉弁時、アウタニードル38の連通孔381よりも後端側に配置される。さらにハウジング鍔部101は、アウタニードル38が摺動するとき、連通孔381の入口面382を通過する。
アウタニードル38は、筒状に形成され、ハウジングの内部に軸方向へ往復摺動可能に収容されている。ハウジング10の摺接部15と所定のクリアランスを有して摺動する。
アウタニードル38は、後端側にアウタニードルスプリング93を有する。またアウタニードル38は、先端側にシート部19、突出部389及び連通孔381を有する。
アウタニードルスプリング93は、第2背圧室22内で、アウタニードル38の後端側の端部である頭部98とハウジング10とに当接して、アウタニードル38を先端側へ付勢する。
シート部19は、アウタニードル38の先端側の端部に形成されている。シート部19は、アウタニードル38により、弁座13に離座及び着座することで、第2噴孔122を開閉する。
突出部389は、連通孔381よりも後端側に配置され、アウタニードル38の径内方向に拡大し、アウタニードル38の内側面391から突出する。
図2、3に示すように、連通孔381は、アウタニードル38の外側面392に配置される入口面382とアウタニードル38の内側面391に配置される出口面384とを含み、入口面382と出口面384とを連通する。また、連通孔381は、等間隔にハウジング鍔部101と同数の4つ形成される。
さらに、連通孔381は、アウタニードル38が閉弁時、ハウジング鍔部101よりも先端側に配置されるように形成される。連通孔の孔径は一定であり、径方向の断面は長方形である。連通孔の加工方法は、ドリル等の工具による機械加工、放電加工等、何でもよい。
インナニードル37は、円柱状に形成され、アウタニードル38の径内方向に、アウタニードル38と同軸に軸方向へ往復摺動可能に収容されている。インナニードル37は、アウタニードル38の径内方向の内壁と液密に摺接し、第1背圧室21の燃料の流れを規制する。インナニードル37の外側面378は、連通孔381よりも後端側の一部から先端側に至るまで窪められている。
インナニードル37は、後端側にインナニードルスプリング92を有する。またインナニードル37は、先端側にシート部18とインナニードル鍔部371とを有する。
インナニードルスプリング92は、第1背圧室21内で、インナニードル37の後端側の端部である頭部97とハウジング10とに当接して、インナニードル37を先端側へ付勢する。
シート部18は、インナニードル37の先端側の端部に形成されている。シート部18は、インナニードル37により、弁座13に離座及び着座することで、第1噴孔121を開閉する。
図3に示すように、インナニードル鍔部371は、ハウジング鍔部101と同様に、連通孔と同数形成され、径外方向に拡大し、外側面378から突出する。インナニードル鍔部371は、アウタニードル38の内側面391に当接する。
インナニードル鍔部371は、インナニードル37が閉弁時、連通孔381の出口面384を塞ぐ。
また、インナニードル鍔部371は、インナニードル37が摺動するとき、インナニードル鍔部371の上端面376とアウタニードル38の突出部389の下端面386とが当接する。さらに、インナニードル鍔部371は、インナニードル37が摺動するとき、連通孔381の出口面384を通過する。
駆動部90は、第1背圧室21の燃料通路23を開閉し、電子制御ユニット(ECU)を含む。ECUの指令により通電をうけて磁気吸引力を発生し、燃料通路23を開方向に変位させるソレノイドコイルにより構成される。
次に、第1実施形態のインジェクタ1の作動について説明する。
ハウジング10のノズル室11には、コモンレール8から燃料通路24、17を経由して、高圧燃料が供給されている。ノズル室11の高圧燃料は、アウタニードル38の連通孔381を介して供給される。供給された燃料は、インナニードル37の第1鍔部371の受圧面372に作用し、インナニードル37を開弁方向へ付勢する。ここで、受圧面を別に設けてもよい。例えば、ハウジング鍔部101よりも後端側に、アウタニードル38を貫通する燃料通路孔を設ける。ノズル室11の高圧燃料は、燃料通路孔を介して供給され、供給された燃料は、受圧面としてインナニードルの窪められた面に作用する。
第1背圧室21は、コモンレール8から燃料通路25を経由して、ノズル室11と同じ圧力の高圧燃料が供給されている。第1背圧室21の高圧燃料は、インナニードル37の頭部97に作用し、インナニードル37を閉弁方向へ付勢する。
第1背圧室21の燃料圧力が頭部97に作用する付勢力をF1とし、インナニードルスプリング92の付勢力をFs1とする。またノズル室11の燃料圧力が受圧面372に作用する付勢力をFiとする。付勢力F1とFs1とは、インナニードル37を閉弁方向へ付勢する力であり、付勢力Fiは、インナニードル37を開弁方向へ付勢する力である。
駆動部90のソレノイドコイルが非通電時、すなわち、弁体が閉方向に変位するとき、以下の関係式(1)が満たされる。
F1+Fs1>Fi ・・・(1)
このため、インナニードル37のシート部18は、弁座13に着座し、第1噴孔121を閉塞する。
第2背圧室22の燃料圧力が頭部98に作用する付勢力をF2とし、アウタニードルスプリング93の付勢力をFs2とする。付勢力F2とFs2とは、アウタニードル38を閉弁方向へ付勢する力である。アウタニードル38は、付勢力F2とFs2とで付勢される。このため、アウタニードル38のシート部19は、弁座13に着座し、第2噴孔122を閉塞する。
ECUの指令により、駆動部90のソレノイドコイルが通電時、第1背圧室21から燃料が流出して、第1背圧室21の燃料圧力が低下する。このとき、以下の関係式(2)が満たされる。
F1+Fs1<Fi ・・・(2)
このため、インナニードル37は開弁方向へ摺動する。インナニードル37のシート部18が弁座13から離座すると、ノズル室11と第1噴孔121が連通し、第1噴孔121から燃料が噴射される。
ソレノイドコイルを継続して通電するとき、インナニードル37の第1鍔部371の上端面376とアウタニードル38の突出部389の下端面386とが当接する。インナニードル37とアウタニードル38とが当接し、インナニードル37がアウタニードル38に作用する付勢力をFioとする。付勢力Fioは、アウタニードル38を開弁方向へ付勢する力である。このとき、以下の関係式(3)が満たされる。
F2+Fs2<Fio ・・・(3)
このため、アウタニードル38は、インナニードル37とともに開弁方向へ摺動する。アウタニードル38のシート部19が弁座13から離座すると第1噴孔121と第2噴孔122から燃料が噴射される。
ECUの指令により、ソレノイドコイルの通電が停止されるとき、第1背圧室21へ燃料通路25を経由して燃料が流入され、第1背圧室21の燃料圧力が上昇する。これにより、また関係式(1)が満たされる。このため、インナニードル37は閉弁方向へ摺動する。このとき、付勢力Foはゼロとなるため、付勢力F2とFs2により、アウタニードル38も閉弁方向へ摺動する、すなわち、インナニードル37とアウタニードル38とはともに閉弁方向へ摺動する。インナニードル37のシート部18が弁座13へ着座すると、第1噴孔121の燃料噴射が停止する。同様に、アウタニードル38のシート部19が弁座13へ着座すると、第2噴孔122の燃料噴射が停止する。
次に、ハウジング10、アウタニードル38及びインナニードル37で構成される流路について説明する。構成される流路は、第1流路27、第2流路28、第3流路29、入口孔流路383、出口孔流路385である。
図4に示すように、第1流路27は、インナニードル37の外側面378とアウタニードル38の内側面391との間に形成される流路である。第1流路の流路面積をA1とする。流路面積A1は、インナニードル37の外側面378とアウタニードル38の内側面391との最短距離αを斜辺とする円錐台の側面の面積である。
図5に示すように、第2流路28は、ハウジング10の内側面102との間に形成される流路である。第2流路28の流路面積をA2とする。流路面積A2は、アウタニードル38の外周面392とハウジング10の内周面102とアウタニードル38の外周面392との最短距離βを斜辺とする円錐台の側面の面積である。
第3流路29は、インナニードル37の外側面378とハウジング10の内側面102との間に形成される流路である。第3流路の流路面積をA3とする。流路面積A3は、インナニードル37の外側面378とハウジング10の内側面102との最短距離γを斜辺とする円錐台の側面の面積である。
入口孔流路383は、ハウジング鍔部101と連通孔381の入口面382とで形成される流路である。入口孔流路383の流路面積をAiとする。流路面積Aiは、アウタニードル38が閉弁時、最大である。ハウジング鍔部101は、アウタニードル38が閉弁時、連通孔381よりも後端側にあり、連通孔381の入口面382を閉塞しない。
出口孔流路385は、インナニードル鍔部371と連通孔381の出口面384とで形成される流路である。出口孔流路385の流路面積をAoとする。また、インナニードル弁37が閉弁時の流路面積AoをAo0とする。また、第1流路27は出口孔流路385と連通する、すなわち、流路面積Ao0>0 となっている。
図4、図5の破線で示すように、ノズル室11から供給された高圧燃料は、インナニードル37が開弁方向へ摺動するとき、出口孔流路385と第1流路27とを経由して、第1噴孔121から噴射される。また一点破線で示すように、高圧燃料は、アウタニードル38が開弁方向へ摺動するとき、第2流路28を経由して、第2噴孔122から噴射される。
インナニードル37が開弁方向へ摺動するときの流路面積A1の時間に対する変化率をΔA1とし、アウタニードル38が開弁方向へ摺動するときの流路面積A2の時間に対する変化率をΔA2とする。また、インナニードル37が開弁方向へ摺動するときの流路面積A3の時間に対する変化率をΔA3とする。
また、ハウジング鍔部101が、連通孔381の入口面382を通過するときの時間に対する流路面積Aiの変化率をΔAiとする。インナニードル鍔部371が、連通孔381の出口面384を通過するときの時間に対する流路面積Aoの変化率をΔAoとする。ここで、変化率は、インナニードル37及びアウタニードル38の摺動量、すなわち、リフト量に対する流路面積の変化率としてもよい。
以下の関係式(4.1)〜(4.3)が満たされるように、ハウジング10、ハウジング鍔部101、インナニードル37、インナニードル鍔部371、アウタニードル38、連通孔381の径は、設定される。
Ao0>0 ・・・(4.1)
ΔA1>ΔAo ・・・(4.2)
ΔA2>|ΔAi| ・・・(4.3)
変化率ΔAiは負の値をもつため、関係式(4.3)は、絶対値を用いる。ハウジング鍔部101は、アウタニードル38が摺動するとき、入口孔流路383を閉塞と開放とをするためである。
第1噴孔121の流路面積をAh1とし、第2噴孔122の流路面積をAh2とする。流路面積Aoの最大値を、Max(Ao)とする。また、流路面積A2の最大値をMax(A2)とし、以下の関係式(5.1)、(5.2)が満たされるように、第1噴孔121の径と第2噴孔122の径は、設定される。
Max(Ao)≧Ah1>Ao0 ・・・(5.1)
Max(A2)≧Ah2 ・・・(5.2)
続いて、第1実施形態によるインジェクタ1の燃料噴射量について説明する。
ベルヌイの法則によるオリフィスの式から、燃料噴射量は、以下の関係式(6)で表される。
Q=C×Amin×√(2ΔP/ρ) ・・・(6)
ここで、Qは燃料噴射量、Cは流量係数、Aminは最小流路面積、ΔPは圧力差、ρは密度を表す。流量係数Cは、構造に起因する係数で定数である。圧力差ΔPは、供給される燃料圧力は一定のため定数である。また、燃料は非圧縮性で、密度ρも定数である。したがって、燃料噴射量は、燃料が噴射される経路の最小流路面積Aminで決定される。以下、燃料噴射量について、最小流路面積Aminで説明する。
第1流路27を経由して、第1噴孔121から燃料が噴射される経路の最小流路面積Amin1とする。第1実施形態において、第3流路29は、流路面積A3が大きいため、用いない。また第2流路28を経由して、第2噴孔122から燃料が噴射される経路の最小流路面積をAmin2とする。第1実施形態の燃料噴射量に関わる最小流路面積AminはAmin1とAmin2との和である。
本実施形態では、インナニードル37は、インナニードル37の外側面に径内方向の外側に突出するインナニードル鍔部371を有する。また、ハウジング10は、ハウジング10の内側面に径内方向の内側に突出するハウジング鍔部101を有する。さらに、アウタニードル38は、少なくとも1つの連通孔381を有する。
インナニードル鍔部371は、インナニードル37が開弁方向へ摺動するとき、アウタニードル38の連通孔381の出口面384を通過するように形成される。また、ハウジング鍔部101は、アウタニードル38が開弁方向へ摺動するとき、アウタニードル弁38の連通孔381の入口面381を通過するように形成される。これにより、燃料の供給される流路の流路面積を変更することができ、高精度に燃料噴射量を制御することができる。
第1実施形態のインナニードル鍔部371、ハウジング鍔部101及びアウタニードル38の連通孔381が流路面積を変更する作用について、図6から図12を参照して説明する。
図6のように、ソレノイドコイルが非通電時、インナニードル鍔部371は、連通孔381の出口面385と重なっている。また出口孔流路385は開口されており、第1流路27と連通する、すなわち、Ao0>0 となっている。流路面積Aoは、流路面積Aiよりも小さい、すなわち、Ai>Ao の関係になっている。インナニードル37とアウタニードル38とが閉弁しているため、流路面積A1はゼロであり、流路面積A2はゼロである。したがって、このときの最小流路面積Amin1はゼロであり、最小流路面積Amin2はゼロである。
図7のように、ECUの指令により、ソレノイドコイルが通電するとき、インナニードル37が開弁方向へ摺動する。インナニードル37は、第1流路27を開放し、インナニードル鍔部371は出口孔流路385を開放する。関係式(4.1)より、このとき以下の関係式(7.1)〜(7.4)が満たされる。
Ao>A1 ・・・(7.1)
Amin1=A1 ・・・(7.2)
Amin2=0 ・・・(7.3)
Amin =A1 ・・・(7.4)
したがって、このときの燃料噴射量は流路面積A1で決定される。
インナニードル37が開弁方向へ摺動するに伴い、第1流路27が開放され、距離αが増加し、流路面積A1は増加する。また、インナニードル鍔部371が出口孔流路385を開放するため、流路面積Aoが増加する。
図8のように、インナニードル鍔部371が連通孔381の出口面384を通過するときに、関係式(4.2)より、以下の関係式(8.1)〜(8.4)が満たされる。
A1>Ao ・・・(8.1)
Amin1=Ao ・・・(8.2)
Amin2=0 ・・・(8.3)
Amin =Ao ・・・(8.4)
したがって、このときの燃料噴射量は流路面積Aoで決定される。
図9のように、インナニードル鍔部371は、閉塞していた出口孔流路385を開放し、流路面積Aoは最大である、すなわち、このときの流路面積Aoは、Max(Ao)である。また流路面積Aoは流路面積Aiと等しくなる、すなわち、Ao=Aiである。関係式(5.1)より、以下の関係式(9.1)〜(9.3)が満たされる。
Amin1=Ah1 ・・・(9.1)
Amin2=0 ・・・(9.2)
Amin =Ah1 ・・・(9.3)
したがって、このときの燃料噴射量は流路面積Ah1で決定される。
さらに、インナニードル37が開弁方向へ摺動するとき、インナニードル鍔部371の上端面376とアウタニードル38の突出部389の下端面386とが当接する。つまり、インナニードル37とアウタニードル38とがともに開弁方向へ摺動する。
図10のように、アウタニードル38は第2流路28を開放し、ハウジング鍔部101は入口孔流路383を閉塞する。このとき、以下の関係式(10.1)〜(10.4)が満たされる。
Ao>Ai ・・・(10.1)
Amin1=Ai ・・・(10.2)
Amin2=A2 ・・・(10.3)
Amin =Ai+A2 ・・・(10.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積AiとA2との和で決定される。
また、アウタニードル38が摺動するに伴い、第2流路28が開放され、距離βが増加し、流路面積A2が増加する。
図11のように、ハウジング鍔部101の端面が連通孔381の入口面382に含まれるとき、入口孔流路383の面積は変化しない。したがって、変化率ΔAiはゼロとなり、流路面積Aiは一定になる。このときの流路面積は、関係式(10.1)〜(10.4)と同様に、以下関係式(11.1)〜(11.4)が満たされる。
Ao>Ai ・・・(11.1)
Amin1=Ai ・・・(11.2)
Amin2=A2 ・・・(11.3)
Amin =Ai+A2 ・・・(11.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積AiとA2との和で決定される。
さらに、ハウジング鍔部101が入口面382を通過するとき、ハウジング鍔部101は入口孔流路385を開放する。このとき、変化率ΔAiは正の値となり、流路面積Aiは増加する。
図12のように、ハウジング鍔部101は入口孔流路383を全開放する。関係式(5.1)、(5.2)より、以下関係式(12.1)〜(12.4)が満たされる。
Ao=Ai ・・・(12.1)
Amin1=Ah1 ・・・(12.2)
Amin2=Ah2 ・・・(12.3)
Amin =Ah1+Ah2 ・・・(12.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積Ah1とAh2との和で決定される。
図13を参照して、第1実施形態の時間に対する最小流路面積Amin1及びAmin2の変化について説明する。ここで、最小流路面積Amin1の時間に対する変化率をΔAmin1とし、最小流路面積Amin2の時間に対する変化率をΔAmin2とする。
時間T0からT1は、図6と図7に対応し、インナニードル鍔部371が出口面384を通過開始から通過する時間である。時間T0は、ECUの指令により、ソレノイドコイルが通電を受ける時間である。時間T1は、流路面積A1が流路面積Aoと等しくなる時である。関係式(7.2)、(7.3)より、時間T0からT1の変化率ΔAmin1及びΔAmin2は以下式(7.5)、(7.6)で表される。
ΔAmin1=ΔA1 ・・・(7.5)
ΔAmin2=0 ・・・(7.6)
時間T1からT2は、同様に、図8に対応する時間である。関係式(8.2)、(8.3)より、時間T1からT2の変化率ΔAmin1及びΔAmin2は以下式(8.5)、(8.6)で表される。
ΔAmin1=ΔAo ・・・(8.5)
ΔAmin2=0 ・・・(8.6)
関係式(5.2)より、時間T1から変化率ΔAmin1、すなわち、最小流路面積Amin1の傾きは減少する。また時間T2は、インナニードル鍔部371が出口孔流路385を全開放する時間である。
時間T2からT3は、図9に対応する時間である。関係式(9.1)、(9.2)より、時間T2からT3の変化率ΔAmin1及びΔAmin2は以下式(9.4)、(9.5)で表される。
ΔAmin1=0 ・・・(9.4)
ΔAmin2=0 ・・・(9.5)
時間T2からT3の変化率ΔAmin1は、最小流路面積Amin1が流路面積Ah1であるためゼロである。また、時間T0からT3の変化率ΔAmin2は、アウタニードル弁が閉弁しているためゼロである。
時間T3は、インナニードル鍔部371の上端面376とアウタニードル38の突出部389の下端面386とが当接する時間である。
時間T3からT4は、図10に対応する時間である。関係式(10.2)と(10.3)より、時間T3からT4の変化率ΔAmin1及びΔAmin2は以下式(10.5)、(10.6)で表される。
ΔAmin1=ΔAi ・・・(10.5)
ΔAmin2=ΔA2 ・・・(10.6)
時間T3からT4において、ハウジング鍔部101が入口孔流路383を閉塞するため、変化率ΔAiは負の値をもつ。このため、最小流路面積Amin1は減少する。関係式(4.3)より、変化率ΔAmin1とΔAmin2との和は増加する。したがって、時間T3からT4においても、燃料噴射量は増加する。
時間T4は、ハウジング鍔部101の端面が連通孔381の入口面382に含まれる時間である。
時間T4からT5は、図11に対応する時間である。関係式(11.2)と(11.3)より、時間T4からT5の変化率ΔAmin1とΔAmin2は以下関係式(11.5)、(11.6)で表される。
ΔAmin1=0 ・・・(11.5)
ΔAmin2=ΔA2 ・・・(11.6)
時間T5は、流路面積A2が流路面積Ah2を超えた時間であり、且つ、ハウジング鍔部101が入口孔流路383を開放する時間である。
時間T5からT6は、図12に対応する時間である。関係式(12.2)と(12.3)より、時間T5からT6の変化率ΔAmin1とΔAmin2は以下関係式(12.5)、(12.6)で表される。
ΔAmin1=ΔAi ・・・(12.5)
ΔAmin2=0 ・・・(12.6)
時間T6は、ハウジング鍔部101が入口孔流路383を開放した時間である。したがって、時間T6からT7において、最小流路面積Amin1は流路面積Ah1であり、最小流路面積Amin2は流路面積Ah2である。時間T6からT7の変化率ΔAmin1及びΔAmin2は、流路面積Ah1及び流路面積Ah2は変化しないので、ともにゼロである。
このように、インナニードル鍔部371、ハウジング鍔部101及びアウタニードル38の連通孔381により流路面積を変更することができる。したがって、流路面積の変更に応じて、燃料噴射量を変化させることができる。
(効果)
まず、図14を参照して、定圧加熱過程を有するサバテサイクルについて説明する。
サバテサイクルは、S1からS2の断熱圧縮過程、S2からS3の定容加熱過程、S3からS4の定圧加熱過程、S4からS5の断熱膨張過程、S5からS1の定容冷却過程の5つからなる。燃料噴射に関する過程は、S3からS4の定圧加熱過程である。定圧加熱過程では、インジェクタ1から燃料を高圧で高温高圧の圧縮空気中へ直接噴射すると燃料が自然に着火燃焼し、この熱エネルギーを一定圧力下で燃焼室へ投入する過程である。
図15を参照し、比較例として、例えば、特許文献1に記載されるインナニードル鍔部、ハウジング鍔部及びアウタニードルの連通孔に相当するものを有しない燃料噴射装置の時間に対する燃料噴射量との関係を破線で示す。比較例の燃料噴射量は、二段階の一定量に収束する。これは、流路構成が、第1流路、第2流路、第1噴孔、第2噴孔に相当する流路のみであるからである。また、一段階目の一定量は、第1噴孔の最小流路面積は決定される。さらに、二段階目の一定量は、第1噴孔の最小流路面積と第2噴孔の最小流路面積とで決定されるため、二段階の一定量に収束する。
それに対し、本実施形態では、インナニードル鍔部371、ハウジング鍔部101及びアウタニードルの連通孔381を有する。インナニードル鍔部371及びハウジング鍔部101は、インナニードル37とアウタニードル38との摺動によって、アウタニードル38の連通孔381の入口孔流路383及び出口孔流路385の流路面積を変更する。これにより、流路構成が増加し、流路面積の制御性が高まる。
図15(a)に示すように、燃料噴射量は流路面積により変化するため、燃料噴射量を連続に増加させるように変化させることができる。
図15(b)に示すように、比較例のサバテサイクルにおいて、定圧加熱過程における圧力は低下するが、本実施形態においては、定圧加熱過程における圧力は一定になる。比較例では、サバテサイクルの定圧加熱過程において、燃料噴射量が一定のため、体積が増加する際に、筒内圧が維持できず、圧力が低下する。
本実施形態では、燃料噴射量を連続に増加させることで、燃焼が促進される。つまり、連続に爆発力が高まることで、体積が増加する際に、筒内圧が維持でき、圧力を一定に保持される。したがって、燃料噴射量を高精度にすることができ、サバテサイクルの定圧加熱過程における圧力低下を抑制し、良好な燃焼状態にすることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態のインジェクタ2について、図16〜図24を参照して説明する。第1実施形態と同様の構成で、第2実施形態では、アウタニードル38がインナニードル37に先行して開弁する。以下、ハウジング10、アウタニードル38、インナニードル37、駆動部90の構成の変更点を説明する。
ハウジング10は、封止弁105と燃料通路23に替わり燃料通路231とをさらに有する。
封止弁105は、ハウジング鍔部101よりも後端側に、形成される。また、アウタニードル38の外側面392と密接し、ノズル室11から供給される高圧燃料を封止する。このため、封止弁105より先端側のノズル室11へ高圧燃料は供給されない。
燃料通路231は、第2背圧室22と連通し、駆動部90に接続されている。
アウタニードル38は、燃料通路17よりも先端側で窪められており、ニードル間流路26、受圧面393及び燃料通路孔394を有する。また、アウタニードル38の突出部389の配置が変更される。
ニードル間流路26は、インナニードル37の外側面378とアウタニードル38の内側面391とで形成され、連通孔381よりも後端側に位置する流路である。また、ニードル間流路26は、アウタニードル38が閉弁時、出口孔流路385と入口孔流路383とを経由して第2流路28と連通する。
受圧面393は、燃料通路17とノズル室11との間に形成され、燃料通路17を介して、コモンレール8から供給される高圧燃料の圧力を受けるように窪められている。
燃料通路孔394は、封止弁105よりも後端側に配置され、アウタニードル38の内側面391と外側面392を貫通する。燃料通路孔394は、燃料通路17とノズル室11とを介してコモンレールから供給される高圧燃料をニードル間流路26へ供給する。
突出部389は、連通孔381よりも先端側に配置される。また、アウタニードル38が開弁方向へ摺動するとき、突出部389の上端面390が、インナニードル鍔部37の下端面377と当接する。
インナニードル37は、インナニードル37が閉弁時、ハウジング10と当接し、第3流路を有する。第3流路は、インナニードル37とハウジング10とで形成される流路である。
駆動部90は、第2背圧室22の燃料通路231を開閉する弁体で、第1実施形態と同様にソレノイドコイルにより構成される。
第2実施形態の作動について説明する。
燃料通路17を介して供給される高圧燃料は、アウタニードル38の受圧面393に作用する。ノズル室11の高圧燃料は、アウタニードル38の燃料通路孔394とニードル間流路26とを介して、第3流路29に供給される。
燃料圧力がアウタニードル38の受圧面393に作用する付勢力Foとする。付勢力Foは、アウタニードル38を開弁方向へ付勢する力である。
駆動部90のソレノイドコイルが非通電時、以下の関係式(13)が満たされる。
F2+Fs2>Fo ・・・(13)
このため、アウタニードル38のシート部19は、弁座13に着座し、第2噴孔122を閉塞する。第2実施形態において、インナニードル37は、付勢力Fiはゼロであり、付勢力F1とFs1とで付勢される。このため、インナニードル37のシート部18は、弁座13に着座し、第1噴孔121を閉塞する。
ECUの指令により、駆動部90のソレノイドコイルが通電時、第2背圧室22から燃料が流出して、第2背圧室22の燃料圧力が低下する。このとき、以下の関係式(14)が満たされる。
F2+Fs2<Fo ・・・(14)
このため、アウタニードル38は開弁方向へ摺動する。アウタニードル38のシート部19が弁座13から離座すると、ニードル間流路26、第2流路28及び第2噴孔122が連通し、第2噴孔122から燃料が噴射される。
ソレノイドコイルを継続して通電するとき、アウタニードル38の突出部389の上端面390とインナニードル37のインナニードル鍔部371の下端面377とが当接する。アウタニードル38がインナニードル37に作用する付勢力をFoiとする。付勢力Foiは、インナニードル37を開弁方向へ付勢する力である。このとき、以下の関係式(15)が満たされる。
F1+Fs1<Foi ・・・(15)
このため、インナニードル37は、アウタニードル38とともに開弁方向へ摺動する。インナニードル37のシート部18が弁座13から離座すると第1噴孔121と第2噴孔122とから燃料が噴射される。
ECUの指令により、ソレノイドコイルの通電が停止されると、第2背圧室22へ燃料通路251を経由して燃料が流入され、第2背圧室の燃料圧力が上昇する。これにより、また関係式(13)が満たされる。このため、第1実施形態と同様に、アウタニードル38とインナニードルとはともに閉弁方向へ摺動し、第1噴孔121及び第2噴孔122の燃料噴射が停止する。
第2実施形態の流路の構成について説明する。流路の構成は、第1実施形態と同様で、第1流路27が第3流路29に代替される。
図17の破線で示すように、ノズル室11から供給された高圧燃料は、アウタニードル38が開弁方向へ摺動するとき、ニードル間流路26、出口孔流路385及び第2流路28を経由して、第2噴孔122から噴射される。また、一点破線で示すように、高圧燃料は、インナニードル37が開弁方向へ摺動するとき、ニードル間流路26と第3流路29を経由して、第1噴孔121から噴射される。
関係式(4.1)と以下の関係式(16.1)が満たされるように、ハウジング10、ハウジング鍔部101、インナニードル37、インナニードル鍔部371、アウタニードル38、連通孔381の径は、設定される。
ΔA2>ΔAo ・・・(16.1)
ΔA3>|ΔAi| ・・・(16.2)
第1実施形態と同様に、絶対値を用いる。
さらに、以下の関係式(17.1)、(17.2)が満たされるように、第1噴孔121の径と第2噴孔122の径は、設定される。
Max(Ao)≧Ah2>Ao0 ・・・(17.1)
Max(A3)≧Ah1 ・・・(17.2)
第3経路29を経由して、第1噴孔121から燃料が噴射される経路の最小流路面積をAmin3とする。第2実施形態の燃料噴射量に関わる最小流路面積AminはAmin2とAmin3との和である。
第2実施形態のインナニードル鍔部371、ハウジング鍔部101及びアウタニードル38の連通孔381が流路面積を変更する作用について、図17から図24を参照して説明する。
図17のように、ソレノイドコイルの非通電時、インナニードル鍔部371は、第1実施形態と同様に、連通孔381の出口面385と重なる。また出口孔流路385は開口されており、第2流路28と連通する。流路面積Aoは、流路面積Aiよりも小さい、すなわち、Ai>Aoの関係になっている。
図18のように、ECUの指令により、ソレノイドコイルが通電するとき、アウタニードル38が開弁方向へ摺動する。アウタニードル38は、第2流路28を開放し、インナニードル鍔部371は出口孔流路385を開放する。関係式(4.1)より、このとき以下の関係式(18.1)〜(18.4)が満たされる。
Ao>A2 ・・・(18.1)
Amin2=A2 ・・・(18.2)
Amin3=0 ・・・(18.3)
Amin =A2 ・・・(18.4)
したがって、このときの燃料噴射量は流路面積A2で決定される。
アウタニードル38が開弁方向へ摺動するに伴い、第2流路28が開放され、距離βが増加し、流路面積A2が増加する。また、インナニードル鍔部371が出口孔流路385を開放するため、流路面積Aoが増加する。
図19のように、インナニードル鍔部371が連通孔381の出口面384を通過するときに、関係式(16.1)より、以下の関係式(19.1)〜(19.4)が満たされる。
A2>Ao ・・・(19.1)
Amin2=Ao ・・・(19.2)
Amin3=0 ・・・(19.3)
Amin =Ao ・・・(19.4)
したがって、このときの燃料噴射量はAoで決定される。
図20のように、インナニードル鍔部371は、閉塞していた出口孔流路385を開放し、流路面積Aoは最大となる。関係式(16.1)から、以下の関係式(20.1)〜(20.3)が満たされる。
Amin2=Ah2 ・・・(20.1)
Amin3=0 ・・・(20.2)
Amin =Ah2 ・・・(20.3)
したがって、このときの燃料噴射量はAh2で決定される。
さらに、アウタニードル38が開弁方向へ摺動するとき、アウタニードル38の突出部389の上端面390とインナニードル鍔部371の下端面377とが当接する。つまり、アウタニードル38とインナニードル37とがともに開弁方向へ摺動する。
図21のように、インナニードル27は第3流路29を開放し、ハウジング鍔部101は入口孔流路383を閉塞する。このとき、以下の関係式(21.1)〜(21.4)が満たされる。
Ao>Ai ・・・(21.1)
Amin2=Ai ・・・(21.2)
Amin3=A3 ・・・(21.3)
Amin =Ai+A3 ・・・(21.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積AiとA3との和で決定される。
また、インナニードル37が摺動するに伴い、第3流路29が開放され、距離γが増加し、流路面積A3が増加する。
図22のように、ハウジング鍔部101の端面が連通孔381の入口面382に含まれるとき、入口孔流路383の面積は変化しない。したがって、変化率ΔAiはゼロとなり、流路面積Aiは一定になる。このときの流路面積は、関係式(21.1)〜(21.4)と同様に、関係式(22.1)〜(22.4)が満たされる。
Ao>Ai ・・・(22.1)
Amin2=Ai ・・・(22.2)
Amin3=A3 ・・・(22.3)
Amin =Ai+A3 ・・・(22.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積AiとA3との和で決定される。
図23のように、ハウジング鍔部101は入口孔流路383を全開放する。関係式(17.1)、(17.2)より、以下関係式(23.1)〜(23.4)が満たされる。
Ao=Ai ・・・(23.1)
Amin2=Ah2 ・・・(23.2)
Amin3=Ah1 ・・・(23.3)
Amin =Ah2+Ah1 ・・・(23.4)
したがって、このときの燃料噴射量は、流路面積Ah2とAh1との和で決定される。
図24を参照して、第2実施形態の時間に対する最小流路面積Amin2とAmin3の変化について説明する。ここで、最小流路面積Amin3の時間に対する変化率をΔAmin3とする。
時間T0からT1は、図17と図18に対応し、インナニードル鍔部371が出口面384を通過開始から通過する時間である。時間T0は、ECUの指令により、ソレノイドコイルが通電を受ける時間である。時間T1は、流路面積A2が流路面積Aoと等しくなる時である。関係式(18.2)、(18.3)より、時間T0からT1の変化率ΔAmin2とΔAmin3は以下式(18.5)、(18.6)で表される。
ΔAmin2=ΔA2 ・・・(18.5)
ΔAmin3=0 ・・・(18.6)
時間T1からT2は、同様に、図19に対応する時間である。関係式(19.2)、(19.3)より、時間T1からT2の変化率ΔAmin2とΔAmin3は以下式(19.5)、(19.6)で表される。
ΔAmin2=ΔAo ・・・(19.5)
ΔAmin3=0 ・・・(19.6)
関係式(16.1)より、時間T1から変化率ΔAmin2、すなわち、最小流路面積Amin2の傾きは減少する。また時間T2は、第1実施形態同様である。
時間T2からT3は、図20に対応する時間である。関係式(20.1)、(20.2)より、時間T2からT3の変化率ΔAmin2とΔAmin3は以下式(20.4)、(20.5)で表される。
ΔAmin2=0 ・・・(20.4)
ΔAmin3=0 ・・・(20.5)
時間T2からT3の変化率ΔAmin2は、最小流路面積Amin2が流路面積Ah2であるためゼロである。また時間T0からT3の変化率ΔAmin3は、インナニードル37が閉弁しているためゼロである。
時間T3は、アウタニードル38の突出部389の上端面390とインナニードル鍔部371の下端面377とが当接する時間である。
時間T3からT4は、図21に対応する時間である。関係式(21.2)と(21.3)より、時間T3からT4の変化率ΔAmin2及びΔAmin3は以下関係式(21.5)、(21.6)で表される。
ΔAmin2=ΔAi ・・・(21.5)
ΔAmin3=ΔA3 ・・・(21.6)
時間T3からT4において、第1実施形態と同様にハウジング鍔部101が入口孔流路383を閉塞する。関係式(16.2)より、最小流路面積の変化率ΔAmin2とΔAmin3との和は増加する。したがって、時間T3からT4においても、第1実施形態と同様に、燃料噴射量は増加する。
時間T4は、ハウジング鍔部101の端面が連通孔381の入口面382に含まれる時間である。
時間T4からT5は、図22に対応する時間である。関係式(22.2)と(22.3)より、時間T4からT5の変化率ΔAmin2とΔAmin3は以下関係式(22.5)、(22.6)で表される。
ΔAmin2=0 ・・・(22.5)
ΔAmin3=ΔA3 ・・・(22.6)
時間T5は、流路面積A3が流路面積Ah1を超えた時間であり、且つ、ハウジング鍔部101が入口孔流路383を開放する時間である。
時間T5からT6は、図23に対応する時間である。関係式(23.2)と(23.3)より、時間T5からT6の変化率ΔAmin2とΔAmin3は以下関係式(23.5)、(23.6)で表される。
ΔAmin2=ΔA2 ・・・(23.5)
ΔAmin3=0 ・・・(23.6)
時間T6は、ハウジング鍔部101が、入口孔流路383を開放した時間である。したがって、時間T6からT7において、最小流路面積Amin2は流路面積Ah2であり、最小流路面積Amin3は流路面積Ah1である。時間T6からT7の変化率ΔAmin2及びΔAmin3は、流路面積Ah1及び流路面積Ah2は変化しないので、ともにゼロである。
(効果)
このように、第2実施形態は、第1実施形態と同様に、流路面積を変更することができ、流路面積の変更に応じて、燃料噴射量を変化させることができる。したがって、アウタニードル38がインナニードル37に先行して開弁する形態においても、燃料噴射量が連続に増加させることができ、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(第3実施形態)
第3実施形態のインジェクタ3について図25及び図26を参照して説明する。インジェクタ3は、第1実施形態と同様の構成で、駆動部90は、インナニードル37及びアウタニードル38の摺動速度を可変にする速度可変機構を有する。速度可変機構は、例えば、圧電素子であるピエゾアクチュエータと、ピエゾアクチュエータの伸縮によって容積が変化する圧力調整室を備える。
第3実施形態のインジェクタ3の作動について説明する。
ピエゾアクチュエータは、ECUが電圧Vsを印加し、伸長する。ピエゾアクチュエータが伸長すると、圧力調整室の容積が縮小し、第1背圧室21の燃料圧力は上昇する。電圧Vsは、関係式(1)が満たされるように調整され、インナニードル37は閉弁する。
ECUが電圧を降下し、ピエゾアクチュエータは収縮する。このとき、圧力調整室の容積が拡大し、第1背圧室21の燃料圧力が低下する。これにより、第1実施形態と同様に、関係式(2)が満たされるため、インナニードル37は開弁方向へ摺動する。
さらに、ECUが電圧を降下させ、ピエゾアクチュエータを収縮するとき、アウタニードル38はインナニードル37とともに開弁方向へ摺動する。
ECUが電圧Vsまで昇圧し、ピエゾアクチュエータは伸長し、同様に第1背圧室21の燃料圧力は上昇する。これにより、関係式(1)が満たされるため、インナニードル37とアウタニードル38とが閉弁方向へ摺動する。これにより、第1噴孔121及び第2噴孔122の燃料噴射が停止する。
ECUが、ピエゾアクチュエータの印加電圧を制御する。電圧降圧速度を変化することで、第1背圧室21の燃料圧力を精密に制御することができる。したがって、インナニードル37の開弁方向への摺動速度を変化させることができる、すなわち、インナニードル37及びアウタニードル38の摺動速度を可変にすることができる。これにより、インナニードル鍔部371とハウジング鍔部101による流路面積の変化を精密にすることができ、さらに高精度に燃料噴射量を制御することができる。
インナニードル37の摺動速度を変化させることで、変化率ΔA1、ΔAo、ΔA2、ΔAiを変化させることができる。また、インナニードル鍔部371が出口孔流路385を全開放する時間T2とインナニードル鍔部371の上端面376とアウタニードル38の突出部389の下端面386とが当接する時間T3を調整することができる。例えば、以下関係式(24.1)〜(24.3)が満たされるように、摺動速度を調整する。
ΔAo=|ΔAi| ・・・(24.1)
ΔA2=2|ΔAi| ・・・(24.2)
T2=T3 ・・・(24.3)
変化率ΔAiは、負の値をもつため、絶対値を用いる。
図25を参照して、第3実施形態による変化率ΔAmin1及びΔAmin2について説明する。
時間T0からT7の変化率ΔAmin1及びΔAmin2は、第1実施形態と同様であるが、第3実施形態においては、時間T1からT5の変化率ΔAmin1と時間T3からT5の変化率Amin2が変化する。
時間T1からT3の変化率ΔAmin1は、関係式(24.1)より、変化率ΔAoをΔAiで表すことができる。また、時間T2からT3では、関係式(24.3)より変化率Amin1はゼロとならないようにできる。さらに時間T4からT5において、ハウジング鍔部101の端面が連通孔381の入口面382に含まないように、摺動速度を調整する。
時間T3からT5の変化率ΔAmin2は、変化率ΔA2を変化率ΔAiで表すことができる。また、時間T4からT5で、ハウジング鍔部101が入口孔流路383を開放する時間と流路面積A2が流路面積Ah2を超える時間を一致するように調整することができる。
このように、第3実施形態では、変化率ΔAmin1及びΔAmin2は、変化率ΔAiで表すことができ、さらに、変化率ΔAmin1とΔAmin2との和は、時間T1から変化率ΔAiの絶対値で一定である。ΔAmin1とΔAmin2との和は、燃料噴射量に関わる最小流路面積Aminの変化率である。したがって、第3実施形態の最小流路面積Aminの変化率は一定である。
(効果)
図26を参照して、第3実施形態の燃料噴射量Qについて説明する。燃料噴射量Qは、第1実施形態と同様に、図25を参照して、最小流路面積Amin1とAmin2との和であるAminから算出され、第3実施形態は、第1実施形態と同様の効果を奏する。第3実施形態では、インナニードル37とアウタニードル38の開弁方向の摺動速度を制御することによって、燃料噴射量Qの時間に対する傾き、すなわち、燃料噴射量の変化率を一定にすることができる。このことは、燃料噴射量をより高精度に制御可能なことを意味する。
中でも、エンジンシステムにおいて、排気ガス規制が高まっており、燃焼室の燃焼状態を良好な燃焼状態を実現するために、特に高度な制御が要求される。よって、本実施形態により、燃料噴射量を高精度にするのは特に有効である。
(その他の実施形態)
(ア)第1実施形態において、インナニードル37のみ開弁し、第1噴孔121のみから燃料を噴射してもよい。また同様に、第2実施形態において、アウタニードル38のみ開弁し、第2噴孔122のみから燃料を噴射してもよい。上記実施形態と同様の効果を奏する。
インナニードル37及びアウタニードル38が摺動するとき、インナニードル鍔部371とアウタニードル38との摩擦が生じる。また同様のときに、ハウジング鍔部101とアウタニードル38との摩擦が生じる。摩擦によって、インナニードル鍔部37とハウジング鍔部101は摩耗する。摩耗により、インナニードル鍔部371とハウジング鍔部101とが開閉する入口孔流路383と出口孔流路385が変化し、流路面積Ao及びAiが変化してしまう。上述のように、燃料噴射量は、流路面積の影響を大きく受ける。
インナニードル37とアウタニードル38とは同軸に収容されており、互いに軸を保持する補助的な役割がある。このため、径方向の摺動位置精度が高い。したがって、インナニードル鍔部371、ハウジング鍔部101及びアウタニードル38の連通孔381が偏心せず、肩当たり接触がなくなり、摺動による摩耗の影響が小さくなる。したがって、インナニードル37とアウタニードル38との互いに軸を保持する補助的な役割は大きい。
(イ)図27(a)、(b)に示す形態のように、連通孔381の数を等間隔に8つにしてもよい。
(ウ)図28(a)(b)に示す形態のように、2つにしてもよい。
(エ)図29(a)、(b)に示す形態のように、4つの連通孔381の配置を等間隔でなくてもよい。
(オ)図30(a)、(b)、(c)、(d)に示す形態のように、連通孔381の径方向の断面形状を円、平行四辺形及び楕円にしてもよい。さらに、連通孔381の径方向の断面形状は、菱形、正方形でもよい。
このように、連通孔の数、配置や形状に問わず、上記実施形態と同様の効果を奏する。
(カ)本実施形態が適用される熱サイクルは、サバテサイクルに限定されない。例えば、ディーゼルサイクル、エリクソンサイクル及びガスタービンサイクルといった定圧加熱過程を有する熱サイクルにおいて、同様の効果を奏する。
(キ)第3実施形態と同様に、インナニードル及びアウタニードルの速度を可変にする駆動部90の速度可変機構は、ソレノイドコイルを用いてもよい。例えば、ソレノイドの印加電圧制御を行い、磁気吸引力を調整し、第1背圧室21の燃料圧力を制御してもよい。さらに、駆動部90は、インナニードル37及びアウタニードル38を駆動部90に直接接続し作動させる直動アクチュエータとしてもよい。
(ク)図31のように、第1噴孔121よりも後端側で、第2噴孔122よりも先端側に配置されるアウタニードル38の先端部387に、弾性部材から形成される逆止弁388をさらに備えてもよい。弾性部材は、例えば、ステンレス鋼バネ板、ゴムである。弾性部材の弾性力を用いて、アウタニードル38の開閉時に逆止弁388が伸縮する。また逆止弁388は、アウタニードル38の閉弁時、第1噴孔121と第2噴孔122との間のハウジング10に当接して、第2流路を塞いでいる。
逆止弁388をさらに備えることで、インナニードル37とアウタニードル38とが開弁するとき、第1流路27を経由する流量が第2流路へ逆流を防ぐことができる。これにより、第1噴孔121及び第2噴孔122からの各噴射量の精度が向上する。
(ケ)図32のように、連通孔381の出口面384と接するインナニードル鍔部371の端面373に耐摩耗コーディング374を施してもよい。また連通孔381の入口面382と接するハウジング鍔部101の端面103に耐摩耗コーティング104を施してもよい。耐摩耗コーティングは、例えば、DLC(ダイヤモンドライクカーボン)やCNx(窒化炭素)を用いる。これらは、耐摩耗性に優れたコーティングとして知られている。また、スパッタ法やイオンビーム蒸着法といったPVD法及びRFプラズマ、表面波励起プラズマ(SWP)といったプラズマCVD法でコーティングされてもよい。さらに、耐摩耗コーディング374、104は、ハウジング10の内側面102と同時にコーディングされてもよい。
インナニードル37及びアウタニードル38が繰り返し摺動するとき、インナニードル鍔部371及びハウジング鍔部101の摩耗により、流路面積Ao及びAiが変化していく。耐摩耗性コーディング374、104によって、摺動が繰り返されることで生じるインナニードル鍔部371及びハウジング鍔部101の摩耗が抑制される。したがって、燃料噴射量の高精度な制御が維持できる。
(コ)図33に示すように、第1実施形態において、第1流路27に代替してインナニードル37が閉弁時、ハウジング10と当接させて第3流路29を用いてもよい。同様の効果を奏する。
以上、本発明はこのような実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の形態で実施することができる。
1 ・・・燃料噴射装置、
10 ・・・ハウジング、
101 ・・・ハウジング鍔部、
102 ・・・内側面(ハウジング)、
121 ・・・第1噴孔、
122 ・・・第2噴孔、
27 ・・・第1流路、
28 ・・・第2流路、
29 ・・・第3流路、
37 ・・・インナニードル、
371 ・・・インナニードル鍔部、
372 ・・・外側面(インナニードル)、
38 ・・・アウタニードル、
381 ・・・連通孔、
382 ・・・入口面、
383 ・・・入口孔流路、
384 ・・・出口面、
385 ・・・出口孔流路、
391 ・・・内側面(アウタニードル)、
392 ・・・外側面(アウタニードル)。

Claims (11)

  1. 有底筒状の先端部に、燃料が噴射される第1噴孔(121)、及び、前記第1噴孔よりも後端側に位置し燃料が噴射される第2噴孔(122)を有するハウジング(10)と、
    前記ハウジングの内側に摺動可能に収容され、軸方向の摺動に伴って前記第2噴孔を開閉可能であり、側壁に、前記側壁の内側面(391)と前記側壁の外側面(392)とを連通する少なくとも1つの連通孔(381)を有するアウタニードル(38)と、
    前記アウタニードルの内側に摺動可能に収容され、軸方向の摺動に伴って前記第1噴孔を開閉可能であるインナニードル(37)と、
    を備え、
    前記インナニードルは、前記インナニードルの外側面(372)から突出し、前記インナニードル又は前記アウタニードルが摺動するとき前記連通孔の出口面(384)に沿って通過するインナニードル鍔部(371)を有し、
    前記ハウジングは、前記ハウジングの内側面(102)から突出し、前記アウタニードルが摺動するとき前記連通孔の入口面(382)に沿って通過するハウジング鍔部(101)を有し、
    前記インナニードルと前記アウタニードルとの間に第1流路(27)が形成され、
    前記アウタニードルと前記ハウジングとの間に第2流路(28)が形成され、
    前記インナニードルと前記ハウジングとの間に第3流路(29)が形成され、
    前記インナニードル鍔部と前記連通孔の前記出口面とで出口孔流路(385)が形成され、
    前記ハウジング鍔部と前記連通孔の前記入口面とで入口孔流路(383)が形成される燃料噴射装置。
  2. 前記インナニードル鍔部は、前記インナニードルが摺動するとき、前記出口孔流路の流路面積(Ao)の変化率(ΔAo)が前記第1流路の流路面積(A1)の変化率(ΔA1)よりも小さくなるように形成される請求項1に記載の燃料噴射装置。
  3. 前記インナニードル鍔部は、前記アウタニードルが摺動するとき、前記出口孔流路の流路面積(Ao)の変化率(ΔAo)が前記第2流路の流路面積(A2)の変化率(ΔA2)よりも小さくなるように形成される請求項1に記載の燃料噴射装置。
  4. 前記インナニードル鍔部は、前記インナニードルが摺動するとき、前記出口孔流路の流路面積(Ao)の変化率(ΔAo)が前記第3流路の流路面積(A3)の変化率(ΔA3)よりも小さくなるように形成される請求項1に記載の燃料噴射装置。
  5. 前記ハウジング鍔部は、前記アウタニードルが摺動するとき、前記入口孔流路の流路面積(Ai)の変化率(ΔAi)が前記第2流路の流路面積(A2)の変化率(ΔA2)よりも小さくなるように形成される請求項1に記載の燃料噴射装置。
  6. 前記出口孔流路は、前記インナニードルと前記アウタニードルとが閉弁時の前記出口孔流路の流路面積(Ao0)が前記第1噴孔の流路面積(Ah1)よりも小さくなるように形成される請求項2または4に記載の燃料噴射装置。
  7. 前記出口孔流路は、前記インナニードルと前記アウタニードルとが閉弁時の前記出口孔流路の流路面積(Ao0)が前記第2噴孔の流路面積(Ah2)よりも小さくなるように形成される請求項3または5に記載の燃料噴射装置。
  8. 前記アウタニードルは、軸方向における同一高さに複数の前記連通孔を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  9. 複数の前記連通孔は、周方向に等間隔に配置されている請求項8に記載の燃料噴射装置。
  10. 前記アウタニードル及び前記インナニードルの摺動を制御する駆動部(90)をさらに有し、
    前記駆動部は、前記アウタニードルと前記インナニードルの摺動速度を可変にする速度可変機構を有する請求項1〜9のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
  11. 前記アウタニードルは、前記アウタニードルが閉弁時、前記第1噴孔よりも後端側で第2噴孔よりも先端側である前記アウタニードル弁の先端部(387)に、前記第1噴孔と前記第2噴孔との間の前記ハウジングに当接して前記第2流路を塞ぐ逆止弁(388)をさらに有する請求項1〜10のいずれか一項に記載の燃料噴射装置。
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