JP2017057433A - 金属基材の硫化防止方法、硫化防止性評価方法、及び実装回路基板 - Google Patents

金属基材の硫化防止方法、硫化防止性評価方法、及び実装回路基板 Download PDF

Info

Publication number
JP2017057433A
JP2017057433A JP2015180698A JP2015180698A JP2017057433A JP 2017057433 A JP2017057433 A JP 2017057433A JP 2015180698 A JP2015180698 A JP 2015180698A JP 2015180698 A JP2015180698 A JP 2015180698A JP 2017057433 A JP2017057433 A JP 2017057433A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
mass
metal substrate
parts
groups
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015180698A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6418115B2 (ja
Inventor
晃嗣 藤原
Akitsugu Fujiwara
晃嗣 藤原
坂本 隆文
Takafumi Sakamoto
隆文 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP2015180698A priority Critical patent/JP6418115B2/ja
Publication of JP2017057433A publication Critical patent/JP2017057433A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6418115B2 publication Critical patent/JP6418115B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
  • Non-Metallic Protective Coatings For Printed Circuits (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Paints Or Removers (AREA)
  • Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)

Abstract

【課題】硫黄性腐食ガスに対して、金属基材の硫化を容易にかつ有効に防止する方法、及び該硫化防止方法における硫化防止性の評価方法、並びに硫化防止性を有する実装回路基板を提供する。【解決手段】(A)分子内に2個以上のシラノール基及び/又は加水分解性シリル基を有するオルガノポリシロキサン、(B)ケイ素原子結合加水分解性基を1分子中に平均2個以上有する(C)成分以外の加水分解性オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物、(C)1分子中に窒素原子を3個以上有するアミノ基含有加水分解性オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を、金属基材の表面に塗布/硬化して、該組成物の硬化物からなるシリコーンコーティング被膜を該金属基材の表面に形成する工程を含む硫黄性腐食ガスに対する金属基材の硫化防止方法。【選択図】なし

Description

本発明は、室温で硬化してシリコーンコーティング膜を与える特定組成の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を金属基材の表面に塗布/硬化して、該組成物の硬化物からなるシリコーンコーティング被膜を該金属基材の表面に形成する工程を含むことを特徴とする硫黄性腐食ガスに対する金属基材の硫化防止方法、該硫化防止方法において硫黄粉末又は硫化水素を用いる硫化防止性の評価方法、及び該シリコーンコーティング被膜を形成してなる実装回路基板に関するものであり、特に電気・電子部品を搭載した回路基板や液晶表示素子用の金属基板等の金属基材の硫化防止方法等に関するものである。
湿気による縮合反応により架橋構造を形成して硬化する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物(いわゆるRTVシリコーンゴム)は、その取り扱いが容易な上、耐候性や電気特性に優れているため、建材用のシーリング材、電気電子分野での接着剤など様々な分野で使用されている。特に電気・電子分野では、使用される被着体(樹脂系)に対する接着・コーティング適性から、脱アルコールタイプのRTVシリコーンゴムが使用される傾向にある。また、近年急速に需要が伸びてきている液晶周辺や電源回路基板のコーティング材としても同様であり、脱アルコールタイプのRTVシリコーンゴムが使用されている。しかし、シリコーンゴム系コーティング材は、その主目的である、電気・電子回路の絶縁、防湿と言った性能は満足しているが、電子部品関連分野において頻繁に使用される銀や銅などの金属に対する腐食防止機能は殆どない。これらの室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物(RTVシリコーンゴム)は、一般的に気体透過性が高いため、硫黄性腐食ガス、具体的には硫化水素や二酸化硫黄のような分子量の小さいガスを容易に透過させてしまい、該シリコーンゴムコーティング被膜が被覆している下地の金属基板(金属基材)と硫黄性腐食ガスが反応して金属硫化物を形成してしまう。これらの金属硫化物が形成されると、電気的な接続が遮断されてしまい、電気電子製品としての特性を失うこととなる。
オルガノポリシロキサン組成物に硫化防止性を付与させたものとしては、過去以下が例示されている。
特許第4114037号公報(特許文献1)には、オルガノポリシロキサン組成物中に硫黄含有ガスによって硫化されやすい金属粉を0.5〜90質量%添加した電気・電子部品封止又はシール用シリコーンゴム組成物が提案されており、硫黄含有ガスによって硫化されやすい金属粉を添加することが電気・電子部品の硫化防止に対して有用であることが示されているが、電気電子部品のコーティング用途としての記載はなく、また、実質的にヒドロシリル化付加反応により硬化する加熱硬化性シリコーンゴム組成物しか記載されておらず、室温で縮合反応により硬化する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物については記載されていない。
特許第4186071号公報(特許文献2)には、オルガノポリシロキサン組成物に、硫黄及び/又は硫黄ガスによって硫化される金属粉、好ましくは銅粉及び/又は真鍮粉を0.1質量%以上20質量%未満添加した室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物が開示されている。これらの金属は硫黄及び/又は硫黄ガスとの反応性が高く、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物に微量添加することで、硫化防止性を発現させることが可能である。
しかし、これは自動車部品のシール材や電気電子用途の接着剤等に使用されるような、無機系充填剤が配合された室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には好適であるが、コーティング用途のような低粘度の材料では金属粉が沈降するため適さない。また金属粉により材料が着色されるため、透明性が要求されるコーティング材料とすることが難しい。
特開2014−084384号公報(特許文献3)には、硫化防止性に優れ、かつ光学用に使用した時に発光効率の高い硬化物を与える付加硬化型シリコーン組成物、及び該組成物からなる光学素子封止材、更には該光学素子封止材を用いた半導体装置が開示されている。ベースとなるオルガノポリシロキサン成分が、その主骨格が短く、またシロキサン側鎖のアリール基含有率が高いため、原料コストが高くなる。また電気電子部品のコーティング用途としての記載はなく、また、実質的に付加硬化性シリコーンゴム組成物しか記載されていない。
更に特許第3975329号公報(特許文献4)には、実装回路板保護用コーティング剤、実装回路板における硫化防止方法、及び実装回路板が開示されている。本特許では、加水分解性シリル基を有するアクリル系樹脂を主成分とするコーティング材が例示されているが、アクリル系樹脂のためポリシロキサン組成物と比較して耐熱性が低く、またコストが高くなるなどの問題があった。
特許第4114037号公報 特許第4186071号公報 特開2014−084384号公報 特許第3975329号公報
本発明は、室温(20℃±15℃)で硬化してシリコーンコーティング膜を与える特定組成の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を用いることによって、該組成物を金属基材の表面に塗布/硬化して、該組成物の硬化物からなるシリコーンコーティング被膜を該金属基材の表面に形成させることにより、硫黄性腐食ガスに対して、金属基材、特には、電気・電子部品を搭載した回路基板や液晶表示素子用の金属基板等の金属基材の硫化を容易にかつ有効に防止する方法、及び該硫化防止方法における硫化防止性の評価方法、並びに硫化防止性を有する実装回路基板等を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、後述する特定組成の室温硬化性オルガノポリシロキサンを用いて金属基材の表面に塗布(コーティング)/硬化し、該組成物の硬化物からなるシリコーンコーティング被膜を該金属基材の表面に形成させることによって上記課題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
従って、本発明は下記に示す金属基材の硫化防止方法、硫化防止性評価方法、及び実装回路基板を提供するものである。
〔1〕
(A)分子内に少なくとも2個のシラノール基及び/又は加水分解性シリル基を有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
(B)ケイ素原子に結合した加水分解性基を1分子中に平均2個以上有する(C)成分以外の加水分解性オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物 0.5〜10質量部、及び
(C)1分子中に窒素原子を3個以上有するアミノ基含有加水分解性オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物 0.8〜3.0質量部
を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を、金属基材の表面に塗布/硬化して、該組成物の硬化物からなるシリコーンコーティング被膜を該金属基材の表面に形成する工程を含むことを特徴とする硫黄性腐食ガスに対する金属基材の硫化防止方法。
〔2〕
(C)成分が、下記一般式(3)又は一般式(3)’で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物である〔1〕記載の硫黄性腐食ガスに対する金属基材の硫化防止方法。
Y=N−Z−SiR3 (3)
Y−NH−Z−SiR3 (3)’
(ここで、Yは、その構造中に窒素原子を2個以上含有する炭素数1〜15の1価又は2価炭化水素基を示し、Zは、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の非置換又は置換の2価炭化水素基を示す。Rは、炭素数1〜6の加水分解性基及び炭素数1〜6の1価炭化水素基から選ばれる1種又は2種以上の1価の基であるが、ケイ素原子に結合する3個のRのうち、少なくとも2個は加水分解性基である。)
〔3〕
Yが、1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン、又はN−置換もしくは非置換のグアニジル基である〔2〕記載の硫黄性腐食ガスに対する金属基材の硫化防止方法。
〔4〕
室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を空気中の湿分によって硬化させるものである〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の金属基材の硫化防止方法。
〔5〕
金属基材が、電気・電子部品を搭載した回路基板である〔1〕〜〔4〕のいずれかに記載の金属基材の硫化防止方法。
〔6〕
〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の金属基材の硫化防止方法において、シリコーンコーティング被膜を形成した金属基材と硫黄粉末又は硫化水素とを共存させ、該硫黄粉末又は硫化水素による金属基材の腐食の有無を確認することを特徴とするシリコーンコーティング被膜を形成した金属基材の硫化防止性を評価する硫化防止性評価方法。
〔7〕
電気・電子部品を搭載した回路基板上に、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物からなるシリコーンコーティング被膜を形成してなる実装回路基板。
本発明によれば、硫黄性腐食ガスに対して、金属基材、特には、電気・電子部品を搭載した回路基板や液晶表示素子用の金属基板等の金属基材の硫化を容易にかつ有効に防止することができる。
以下、本発明について詳しく説明する。
[(A)成分]
本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の(A)成分は、主剤(ベースポリマー)として作用するものであって、通常、下記一般式(1)で示される分子鎖両末端シラノール基(ケイ素原子に結合した水酸基)封鎖の直鎖状ジオルガノポリシロキサン、又は下記一般式(2)で示される分子鎖両末端がそれぞれ2個又は3個の加水分解性基(R2O−基、R2は炭素数1〜6の1価炭化水素基)を有する加水分解性シリル基で封鎖された直鎖状ジオルガノポリシロキサン等の直鎖状ジオルガノポリシロキサンを好適に使用することができる。
Figure 2017057433
上記式(1)中、R1は独立に炭素数1〜10の非置換又は置換の1価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基;ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基;及びこれらの基の水素原子が部分的にハロゲン原子で置換された基、例えば3,3,3−トリフルオロプロピル基などである。これらの中では、特にメチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が好ましい。R1は同一の基であっても異種の基であってもよい。
またmは10以上(通常、10〜2,000)、好ましくは50〜1,000、より好ましくは100〜500程度の整数であり、また、該ジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度が25〜500,000mPa・sの範囲、好ましくは500〜100,000mPa・sの範囲となる整数であることが好ましい。
なお、本発明において、ジオルガノシロキサン単位の繰り返し数を示すm値(重合度)又は分子量は、通常、トルエン等を展開溶媒としてゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析におけるポリスチレン換算の数平均重合度(又は数平均分子量)等として求めることができる(以下、同じ)。また、粘度は、回転粘度(例えば、BL型、BH型、BS型、コーンプレート型、レオメータ等)によって測定することができる(以下、同じ)。
(A)成分は、また、下記一般式(2)で示される分子鎖両末端加水分解性シリル基封鎖の直鎖状ジオルガノポリシロキサンであってもよい。
Figure 2017057433
上記式(2)中、R1、mはそれぞれ上記式(1)と同じであり、R1としては、特にメチル基、フェニル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等が好ましい。R2は炭素数1〜6、特には炭素数1〜4の1価炭化水素基であり、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等の環状アルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基などが挙げられるが、特にメチル基、エチル基が好ましい。R1、R2はそれぞれ同一の基であっても異種の基であってもよく、またmは10以上(通常、10〜2,000)、好ましくは50〜1,000、より好ましくは100〜500程度の整数であり、また、該ジオルガノポリシロキサンの25℃における粘度が25〜500,000mPa・sの範囲、好ましくは500〜100,000mPa・sの範囲となる整数であることが好ましい。aは独立に0又は1である。
また、(A)成分は、上記一般式(1)、(2)に示されるような直鎖状のオルガノポリシロキサンの他に、以下に示すような、少なくとも2個のシラノール基を含有する分岐状又は三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンであってもよい。
この少なくとも2個のシラノール基を含有する分岐状又は三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサンとしては、例えば、R3 3SiO1/2単位、R3 2SiO2/2単位、R3SiO3/2単位(式中、各R3は独立に炭素数1〜6の非置換又は置換の1価炭化水素基を表す)及びSiO4/2単位から本質的になり、R3 3SiO1/2単位とSiO4/2単位とを必須に含有する分岐状又は三次元網状(樹脂状)構造のオルガノポリシロキサン(いわゆる、シリコーンレジン又はMQレジン)等が好適に挙げられ、この場合、R3 3SiO1/2単位とSiO4/2単位とを必須に含有する限りにおいて、これら各構成単位のmol比は特に制限されないが、特には、SiO4/2単位に対するR3 3SiO1/2単位のmol比が0.5〜1.5であり、SiO4/2単位に対するR3 2SiO2/2単位及びR3SiO3/2単位のmol比がいずれも0〜1.0であることが好ましい。また、少なくとも2個のシラノール基に相当するシラノール基含有量としては、通常、2.0質量%未満(好ましくは0.01〜1.9質量%、特には0.05〜1.5質量%程度)であり、分子量が4,000〜10,000程度の分岐状又は三次元網状構造のオルガノポリシロキサンコポリマー(レジン)であることが好ましい。
前記R3は炭素数1〜6の非置換又は置換の1価炭化水素基を示し、R3としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、n−ヘキシル基等のアルキル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基が挙げられ、またこれらの基の水素原子の一部又は全部をハロゲン原子等で置換したクロロメチル基等が挙げられる。これらR3としては、メチル基、エチル基、プロピル基、フェニル基が好ましく、メチル基、フェニル基が特に好ましい。
SiO4/2単位に対するR3 3SiO1/2単位のmol比が0.5〜1.5の範囲であり、好ましくは0.6〜1.3、特に好ましくは0.7〜1.2である。このmol比が0.5より小さいと組成物より得られる硬化物の補強性が不十分となり、1.5を超えると組成物の硬化物硬度が不十分となる。上記オルガノポリシロキサンは、R3 3SiO1/2単位とSiO4/2単位のみからなることが好ましいが、SiO4/2単位に対するR3 2SiO2/2単位及びR3SiO3/2単位のmol比がいずれも0〜1.0の範囲で含有してもよく、より望ましくは該mol比が0.8以下である。
3 3SiO1/2単位、R3 2SiO2/2単位、R3SiO3/2単位及びSiO4/2単位から本質的になるオルガノポリシロキサンは、1個の加水分解性基を有する1官能性トリオルガノシランを、4個の加水分解性基で置換された4官能性シランと共に、有機溶媒中で共加水分解して縮合させることによって得られ、実質的に揮発成分を含まないものであり、公知の材料である。ここで、共加水分解反応に用いられる有機溶媒としては、オルガノポリシロキサンを溶解させることが必要であり、典型的な有機溶媒としては、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶媒、シクロヘキサンやエチルシクロヘキサン、イソパラフィン等の炭化水素系溶媒が挙げられる。
[(B)成分]
(B)成分は、ケイ素原子に結合した加水分解性基(即ち、ケイ素原子に結合してSi−O−C結合を形成し得る基)を1分子中に平均2個以上、好ましくは3個又は4個有する加水分解性(オルガノ)シラン及び/又はその部分加水分解縮合物(即ち、残存する加水分解性基を1分子中に平均2個以上有するオルガノシロキサンオリゴマー)から選ばれる少なくとも1種の(オルガノ)シラン化合物であり、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化剤(架橋剤)として作用するものである。
ケイ素原子に結合する加水分解性基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、ビニロキシ基、アリロキシ基、プロペノキシ基、イソプロペノキシ基等のアルケニルオキシ基、ジメチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基等のケトオキシム基、アセトキシ基等のアシルオキシ基などの、通常、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4程度の1価の基が挙げられる。
また、分子中でケイ素原子に結合する加水分解性基以外の有機基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、へプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基などの炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜8の1価炭化水素基が挙げられる。
(B)成分としては、例えば、メチルトリス(ジメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、エチルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(メチルイソブチルケトオキシム)シラン、ビニルトリス(メチルエチルケトオキシム)シラン等のケトオキシムシラン;メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン;メチルトリイソプロペノキシシラン、ビニルトリイソプロペノキシシラン、フェニルトリイソプロペノキシシラン等のアルケノキシシラン;メチルトリアセトキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン等のアセトキシシランなどの各種加水分解性シランや、これらの部分加水分解縮合物から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
なお、(B)成分は、後述する(C)成分である1分子中に窒素原子を3個以上有するアミノ基含有加水分解性オルガノシラン及びその部分加水分解縮合物を含まない。
(B)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.5〜10質量部であり、1〜7質量部が特に好ましい。0.5質量部未満では、目的とするゴム弾性を有する硬化物となり難い。10質量部を超えるとコスト的に不利となり、またタックフリータイムの遅延等の作業性が低下する可能性がある。
[(C)成分]
(C)成分は、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物被膜に硫化防止性を発現させるための重要な成分であり、具体的には、1分子中に窒素原子を3個以上、好ましくは3〜6個、より好ましくは3〜5個含むアミノ基含有加水分解性オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物であり、特には、下記一般式(3)又は一般式(3)’で示される、触媒機能を発現する1価又は2価の塩基性部位(Y)を有するアミノ基含有加水分解性オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物である。
Y=N−Z−SiR3 (3)
Y−NH−Z−SiR3 (3)’
この場合、一般式(3)又は一般式(3)’において、触媒機能を発現し得る1価又は2価の塩基性部位Yは、その構造中に窒素原子を2個以上、好ましくは2〜5個、より好ましくは2〜4個含む炭素数1〜15の1価又は2価炭化水素基を示し、塩基性部位Yのうち、1価の基としては、例えば、下記式(4)で示される1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エンなど、2価の基としては、例えば、下記式(5)で示されるN−置換又は非置換のグアニジル基等の強塩基性を示すものなどが挙げられる。なお、下記式において、波線部は、窒素原子との結合部位である。
Figure 2017057433
Figure 2017057433
式(5)中のR4〜R7はそれぞれ、水素原子又は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基を示し、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;シクロヘキシル基等の環状アルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基等のアリール基などが挙げられる。これらの中では、メチル基、エチル基、フェニル基が好ましく、特にメチル基が好ましい。また、R4〜R7は同じものであっても、異なっていてもよい。
また、上記式(3)又は(3)’において、Rは、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等のアルコキシ基、ビニロキシ基、アリロキシ基、プロペノキシ基、イソプロペノキシ基等のアルケニルオキシ基、ジメチルケトオキシム基、ジエチルケトオキシム基、メチルエチルケトオキシム基等のケトオキシム基、アセトキシ基等のアシルオキシ基などの炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の加水分解性基(即ち、ケイ素原子に結合してSi−O−C結合を形成し得る基)、あるいは、メチル基、エチル基等のアルキル基、ビニル基等のアルケニル基、フェニル基等のアリール基などの炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4の1価炭化水素基から選ばれる1種又は2種以上の1価の基であるが、ケイ素原子に結合する3個のRのうち、少なくとも2個、好ましくは3個のRは加水分解性基である。
また、加水分解性シリル基(−SiR3)としては、例えば、トリメトキシシリル基、メチルジメトキシシリル基、ビニルジメトキシシリル基、フェニルジメトキシシリル基、トリエトキシシリル基等のアルコキシシリル基;トリイソプロペノキシシリル基、メチルジイソプロペノキシシリル基、エチルジイソプロペノキシシリル基、ビニルジイソプロペノキシシリル基、フェニルジイソプロペノキシシリル基等のイソプロペノキシシリル基;トリス(ジメチルケトオキシム)シリル基、トリス(ジエチルケトオキシム)シリル基、トリス(エチルメチルケトオキシム)シリル基等のケトオキシムシリル基などが挙げられる。
上記式(3)又は(3)’において、Zは、酸素原子、窒素原子等のヘテロ原子を含んでもよい、炭素数1〜10、特には炭素数3〜6の、直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基等又はこれらが組み合わされた基などの非置換又は置換の2価炭化水素基を示す。例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、2−メチルプロピレン基等のアルキレン基;フェニレン基等のアリーレン基、これらアルキレン基とアリーレン基が結合した基、ケトン、エステル、アミド等が介在した上記アルキレン基などが挙げられるが、好ましくはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、アミド結合を介したプロピレン基等であり、特に好ましくはプロピレン基である。
一般式(3)又は一般式(3)’で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシランの具体例としては、下記一般式(6)〜(11)に示されるもの等を挙げることができる。なお、Me、Et、Phはそれぞれ、メチル基、エチル基、フェニル基を示す。
Figure 2017057433
Figure 2017057433
Figure 2017057433
Figure 2017057433
Figure 2017057433
Figure 2017057433
これらの中では、式(6)、式(7)又は式(8)で示される、特には、式(8)で示される、N−メチル置換のグアニジル基含有トリメトキシシラン(例えば、γ-(N,N’-ジメチルグアニジル)プロピルトリメトキシシラン)等の、N−メチル置換グアニジル基含有トリアルコキシシランが好ましい。
(C)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して、通常、0.8〜3.0質量部であり、0.9〜2.0質量部が好ましく、1.0〜1.8質量部がより好ましい。0.8質量部未満では、目的とする硫化防止性が得られない。3.0質量部を超えると、硫化防止性は有利に働くが、コスト的に不利となるため好ましくない。
[その他の成分]
また、本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物には、上記成分以外に、コーティング材料としての性状を損なわない範囲で、以下充填剤や添加剤などを配合しても差し支えない。
充填剤としては、粉砕シリカ、煙霧状シリカ、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、水酸化アルミニウム、水酸化酸化アルミニウム、アルミナ、酸化マグネシウム、湿式シリカなどが挙げられる。
添加剤としては、例えば、ウェッターやチキソトロピー向上剤としてのポリエーテル、可塑剤としての非反応性ジメチルシリコーンオイル(例えば、分子鎖両末端トリメチルシリル基封鎖ジメチルポリシロキサン)などが挙げられる。
必要に応じて、顔料、染料等の着色剤、蛍光増白剤、防かび剤、抗菌剤、ブリードオイルとしての非反応性フェニルシリコーンオイル、フルオロシリコーンオイル、シリコーンと非相溶の有機液体等の表面改質剤、粘度調節を目的としたトルエン、キシレン、溶剤揮発油、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、低沸点イソパラフィン等の溶剤も添加してよい。粘度調節を目的とした化合物を添加する場合、25℃の粘度が0.1〜50mm2/s程度のものを使用することが効果的である。
更に、必要に応じて硬化性を促進させる硬化触媒を添加してよい。本成分は同一であっても異種のものであってもよく、また、1種を単独で使用しても2種以上の混合物として使用してもよい。具体例としては、テトライソプロポキシチタン、テトラ−n−ブトキシチタン、テトラキス(2−エチルヘキソキシ)チタン、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン、チタニウムイソプロポキシオクチレングリコール等のチタン酸エステル又はチタンキレート化合物;アルミニウムイソプロピレート、アルミニウムsec−ブチレート、アルミニウムエチレート、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルキルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウムアルコレート又はアルミニウムキレート化合物;オクチル酸鉛やその他の酸性触媒もしくは塩基性触媒等の従来公知の触媒が例示される。特にチタンキレート化合物が好ましく、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタンが特に好ましい。
本発明に係る室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、常法に従い上記各成分を混合することによって製造し、湿分を避けた雰囲気で保存することができ、これを室温に放置することにより、空気中の水分(湿分)存在下で通常5分〜1週間で硬化する。
本発明の硫化防止方法は、電気・電子部品を搭載した回路基板等に常用される銀、銅などの硫黄性腐食ガスと反応しやすい金属基材に対して、上記した室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を該金属基材の表面に、常法により所定の厚さ(例えば、通常、10〜2,000μm、特には10〜1,000μm程度の範囲)に塗布(コーティング)し、該コーティング被膜を室温(20℃±15℃)にて大気中の湿気により縮合硬化させて、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物からなる所定の厚さのシリコーンコーティング被膜を該金属基材の表面に形成することによって行うことができる。
また、この様にしてシリコーンコーティング被膜を形成した金属基材の硫化防止性については、下記の様な評価方法によって評価することができる。
[硫化防止性試験方法]
本発明に記載のコーティング材料(室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物)は、以下の方法にて硫化防止性試験を実施することができるが、これに限定されるものではない。
1)硫黄性腐食ガスと反応しやすい金属(銀や銅など)上に、本発明に係るコーティング材料を塗布し硬化させてなる試験体を作製する。
2) 1)で作製した試験体を密封可能な容器に入れる。
3) 2)の容器内に硫黄粉末を配置、あるいは硫化水素や二酸化硫黄ガスを封入して密閉し、コーティング材料が塗布された金属面の腐食を目視にて確認する。試験温度は常温(20℃±5℃)〜90℃の範囲、また試験期間は1〜60日の範囲から任意に選択できる。
塗布されるコーティング材料の厚みは特に限定はされないが、好ましくは10〜2,000μm、特に好ましくは10〜1,000μmの範囲である。2,000μmを超える場合は、1回で塗工するのが難しく、作業性あるいはタクトタイムが悪化してしまう。また10μm未満では、良好な防湿性等が発現できない場合がある。
以下、本発明を具体的に説明する実施例及び比較例を示すが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
なお、粘度は25℃において回転粘度計により測定したものであり、分子量はトルエンを展開溶媒としたGPC分析によるポリスチレン換算の数平均分子量を示す。また、Meはメチル基を示し、以下の室温は25℃を意味する。
[実施例1]
(A)成分として分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された25℃における粘度が700mPa・sのポリジメチルシロキサン100質量部と、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された300mPa・sのポリジメチルシロキサン20質量部を室温で10分混合させた。次に、(B)成分としてビニルトリアセトキシシラン6質量部と、(C)成分として下記式(12)で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシラン1.3質量部((A)成分100質量部当り1.3質量部に相当する量)を添加し、室温で10分混合させ組成物1を得た。
Figure 2017057433
[実施例2]
(A)成分として分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された25℃における粘度が700mPa・sのポリジメチルシロキサン100質量部と、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された300mPa・sのポリジメチルシロキサン20質量部を室温で10分混合させた。次に、(B)成分としてビニルトリアセトキシシラン6質量部と、(C)成分として上記式(12)で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシラン1.1質量部((A)成分100質量部当り1.1質量部に相当する量)を添加し、室温で10分混合させ組成物2を得た。
[実施例3]
(A)成分としてMe3SiO1/2単位及びSiO4/2単位からなり、分子量が約5,000でかつ、シラノール基含有量が0.04mol/100g(0.61質量%)であり、固形分が60質量%になるようにイソパラフィンCで溶解させた三次元網状構造のシロキサンコポリマー92質量部と、(B)成分としてビニルトリアセトキシシラン4質量部と、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.8質量部を室温で10分混合させた。(A)成分として分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された25℃における粘度が700mPa・sであるポリジメチルポリシロキサン30質量部を室温で15分混合させた後、(C)成分として上記式(12)で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシラン1.4質量部((A)成分100質量部当り1.6質量部に相当する量)を添加し、室温で10分混合させ組成物3を得た。
[実施例4]
(A)成分としてMe3SiO1/2単位及びSiO4/2単位からなり、分子量が約5,000でかつ、シラノール基含有量が0.04mol/100g(0.61質量%)であり、固形分が60質量%になるようにイソパラフィンCで溶解させた三次元網状構造のシロキサンコポリマー92質量部と、(B)成分としてビニルトリアセトキシシラン4質量部と、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.8質量部を室温で10分混合させた。(A)成分として分子鎖両末端がシラノール基で封鎖された25℃における粘度が700mPa・sであるポリジメチルポリシロキサン30質量部を室温で15分混合させた後、(C)成分として上記式(12)で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシラン1.1質量部((A)成分100質量部当り1.3質量部に相当する量)を添加し、室温で10分混合させ組成物4を得た。
[実施例5]
(A)成分として分子鎖両末端がトリメトキシシリル基で封鎖され、25℃における粘度が700mPa・sのポリジメチルシロキサン70質量部と、(A)成分として分子鎖両末端がトリメトキシシリル基で封鎖され、25℃における粘度が20,000mPa・sのポリジメチルシロキサン20質量部と、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された300mPa・sのポリジメチルシロキサン15質量部を室温で10分混合させた。次に、(B)成分としてn−デシルトリメトキシシラン4質量部と、(C)成分として上記式(12)で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシラン1.1質量部((A)成分100質量部当り1.2質量部に相当する量)と、テトラ−n−ブトキシチタン1質量部と、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン3質量部を添加し、室温で10分混合させ組成物5を得た。
[実施例6]
(A)成分として分子鎖両末端がトリメトキシシリル基で封鎖され、25℃における粘度が700mPa・sのポリジメチルシロキサン70質量部と、(A)成分として分子鎖両末端がトリメトキシシリル基で封鎖され、25℃における粘度が20,000mPa・sのポリジメチルシロキサン20質量部と、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された300mPa・sのポリジメチルシロキサン15質量部を室温で10分混合させた。次に、(B)成分としてn−デシルトリメトキシシラン4質量部と、(C)成分として上記式(12)で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシラン0.9質量部((A)成分100質量部当り1.0質量部に相当する量)と、テトラ−n−ブトキシチタン1質量部と、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン3質量部を添加し、室温で10分混合させ組成物6を得た。
[比較例1]
(A)成分として分子鎖両末端がシラノール基で封鎖され、25℃における粘度が700mPa・sのポリジメチルシロキサン100質量部と、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された300mPa・sのポリジメチルシロキサン20質量部を室温で10分混合させた。次に、(B)成分としてビニルトリアセトキシシラン6質量部と、(C)成分として上記式(12)で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシラン0.6質量部((A)成分100質量部当り0.6質量部に相当する量)を添加し、室温で10分混合させ組成物7を得た。
[比較例2]
(A)成分としてMe3SiO1/2単位、及びSiO4/2単位からなり、分子量が約5,000でかつ、シラノール基含有量が0.04mol/100g(0.61質量%)であり、固形分が60質量%になるようにイソパラフィンCで溶解させた三次元網状構造のシロキサンコポリマー92質量部と、(B)成分としてビニルトリアセトキシシラン4質量部と、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン0.8質量部を室温で10分混合させた。次に、(A)成分として分子鎖両末端がシラノール基で封鎖され、25℃における粘度が700mPa・sであるポリジメチルポリシロキサン30質量部を室温で15分混合させた後、(C)成分として上記式(12)で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシラン0.6質量部((A)成分100質量部当り0.7質量部に相当する量)を添加し、室温で10分混合させ組成物8を得た。
[比較例3]
(A)成分として分子鎖両末端がトリメトキシシリル基で封鎖され、25℃における粘度が700mPa・sのポリジメチルシロキサン70質量部と、(A)成分として分子鎖両末端がトリメトキシシリル基で封鎖され、25℃における粘度が20,000mPa・sのポリジメチルシロキサン20質量部と、分子鎖両末端がトリメチルシリル基で封鎖された300mPa・sのポリジメチルシロキサン15質量部を室温で10分混合させた。次に、(B)成分としてn−デシルトリメトキシシラン4質量部と、(C)成分として上記式(12)で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシラン0.5質量部((A)成分100質量部当り0.55質量部に相当する量)と、テトラ−n−ブトキシチタン1質量部と、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタン3質量部を添加し、室温で10分混合させ組成物9を得た。
上記で調製した組成物1〜9を用いて、以下の通り硫化防止性の評価を行った。組成物1〜9の試験結果を表1、2に示す。
・試験方法
1)組成物1〜9を、Ag鍍金Ni基板(50mm×100mm×1.5mm厚)上に1mm厚になるように塗布し、23℃/50%RH条件下で4日硬化させ、試験体を作製する。
2)密閉可能な140mlのガラス瓶の中に、硫黄粉末0.2gを入れ、その中に1)で調製した試験体を吊るし、密閉状態とする。
3)70℃の恒温槽に入れ、コーティングされたAg鍍金Ni基板上の黒変(腐食)の有無を経時で目視にて確認する。
・評価方法
コーティング材料が塗布されたAg鍍金Ni基板の面積に対して、Ag鍍金が腐食した面積を以下の指標にて評価した。
○:Ag鍍金が腐食した面積が、全体の30%未満、又は腐食せず
△:Ag鍍金が腐食した面積が、全体の30%以上60%未満
×:Ag鍍金が腐食した面積が、全体の60%以上
Figure 2017057433
Figure 2017057433
組成物1〜6の検討により、上記式(12)の含有量が多いほど、硫化防止性に効果があることを確認した。上記式(12)の含有量が本発明の範囲外の場合(組成物7〜9)は、硫化防止性が極端に低下することも確認した。
次いで、調製した組成物1〜9を用いて、硫化水素ガスを使用した硫化防止性の評価を行った。組成物1〜9の試験結果を表3、4に示す。
・試験方法
1)組成物1〜9を、Ag鍍金Ni基板(50mm×100mm×1.5mm厚)上に1mm厚になるように塗布し、23℃/50%RH条件下で4日硬化させ、試験体を作製する。
2)1)で作製した試験体を密封可能な容器に入れる。
3)2)の容器内を硫化水素濃度0.5ppmとなるように硫化水素ガスを封入して密閉し、40℃の環境下に置き、経時処理を行う。
4)コーティングされたAg鍍金Ni基板上の腐食の有無を経時で目視にて確認する。
・評価方法
コーティング材料が塗布されたAg鍍金Ni基板の面積に対して、Ag鍍金が腐食した面積を以下の指標にて評価した。
○:Ag鍍金が腐食した面積が、全体の30%未満、又は腐食せず
△:Ag鍍金が腐食した面積が、全体の30%以上60%未満
×:Ag鍍金が腐食した面積が、全体の60%以上
Figure 2017057433
Figure 2017057433
硫化水素ガスを使用した硫化防止性の評価においても、組成物1〜6の検討により、上記式(12)の含有量が多いほど、硫化防止性に効果があることを確認した。上記式(12)の含有量が本発明の範囲外の場合(組成物7〜9)は、硫化防止性が極端に低下することも確認した。

Claims (7)

  1. (A)分子内に少なくとも2個のシラノール基及び/又は加水分解性シリル基を有するオルガノポリシロキサン 100質量部、
    (B)ケイ素原子に結合した加水分解性基を1分子中に平均2個以上有する(C)成分以外の加水分解性オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物 0.5〜10質量部、及び
    (C)1分子中に窒素原子を3個以上有するアミノ基含有加水分解性オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物 0.8〜3.0質量部
    を含有する室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を、金属基材の表面に塗布/硬化して、該組成物の硬化物からなるシリコーンコーティング被膜を該金属基材の表面に形成する工程を含むことを特徴とする硫黄性腐食ガスに対する金属基材の硫化防止方法。
  2. (C)成分が、下記一般式(3)又は一般式(3)’で示されるアミノ基含有加水分解性オルガノシラン及び/又はその部分加水分解縮合物である請求項1記載の硫黄性腐食ガスに対する金属基材の硫化防止方法。
    Y=N−Z−SiR3 (3)
    Y−NH−Z−SiR3 (3)’
    (ここで、Yは、その構造中に窒素原子を2個以上含有する炭素数1〜15の1価又は2価の炭化水素基を示し、Zは、ヘテロ原子を含んでもよい炭素数1〜10の非置換又は置換の2価炭化水素基を示す。Rは、炭素数1〜6の加水分解性基及び炭素数1〜6の1価炭化水素基から選ばれる1種又は2種以上の1価の基であるが、ケイ素原子に結合する3個のRのうち、少なくとも2個は加水分解性基である。)
  3. Yが、1,5,7−トリアザビシクロ[4,4,0]デカ−5−エン、又はN−置換もしくは非置換のグアニジル基である請求項2記載の硫黄性腐食ガスに対する金属基材の硫化防止方法。
  4. 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物を空気中の湿分によって硬化させるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の金属基材の硫化防止方法。
  5. 金属基材が、電気・電子部品を搭載した回路基板である請求項1〜4のいずれか1項記載の金属基材の硫化防止方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の金属基材の硫化防止方法において、シリコーンコーティング被膜を形成した金属基材と硫黄粉末又は硫化水素とを共存させ、該硫黄粉末又は硫化水素による金属基材の腐食の有無を確認することを特徴とするシリコーンコーティング被膜を形成した金属基材の硫化防止性を評価する硫化防止性評価方法。
  7. 電気・電子部品を搭載した回路基板上に、請求項1〜3のいずれか1項記載の室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物からなるシリコーンコーティング被膜を形成してなる実装回路基板。
JP2015180698A 2015-09-14 2015-09-14 金属基材の硫化防止方法、硫化防止性評価方法、及び実装回路基板 Active JP6418115B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015180698A JP6418115B2 (ja) 2015-09-14 2015-09-14 金属基材の硫化防止方法、硫化防止性評価方法、及び実装回路基板

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015180698A JP6418115B2 (ja) 2015-09-14 2015-09-14 金属基材の硫化防止方法、硫化防止性評価方法、及び実装回路基板

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017057433A true JP2017057433A (ja) 2017-03-23
JP6418115B2 JP6418115B2 (ja) 2018-11-07

Family

ID=58391059

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015180698A Active JP6418115B2 (ja) 2015-09-14 2015-09-14 金属基材の硫化防止方法、硫化防止性評価方法、及び実装回路基板

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6418115B2 (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2023068094A1 (ja) * 2021-10-19 2023-04-27 信越化学工業株式会社 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、接着剤、シール剤及びコーティング剤
JP7468399B2 (ja) 2020-03-17 2024-04-16 信越化学工業株式会社 シリコーンコーティング剤組成物及び物品

Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006316184A (ja) * 2005-05-13 2006-11-24 Shin Etsu Chem Co Ltd 電気・電子部品保護用室温硬化型シリコーンゴム組成物、並びに実装回路板、銀電極及び銀チップ抵抗器

Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006316184A (ja) * 2005-05-13 2006-11-24 Shin Etsu Chem Co Ltd 電気・電子部品保護用室温硬化型シリコーンゴム組成物、並びに実装回路板、銀電極及び銀チップ抵抗器

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7468399B2 (ja) 2020-03-17 2024-04-16 信越化学工業株式会社 シリコーンコーティング剤組成物及び物品
WO2023068094A1 (ja) * 2021-10-19 2023-04-27 信越化学工業株式会社 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、接着剤、シール剤及びコーティング剤

Also Published As

Publication number Publication date
JP6418115B2 (ja) 2018-11-07

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102207422B1 (ko) 다성분계 실온 경화성 오르가노폴리실록산 조성물, 해당 조성물의 경화물 및 해당 경화물을 포함하는 성형물
US20150315438A1 (en) Novel silicon-containing compound having alkoxysilyl-ethylene group at its terminal, room temperature-curable organopolysiloxane composition, and molded product obtained by curing the composition
US20200385527A1 (en) Moisture curable silicone polymer and uses thereof
JP6747507B2 (ja) 室温硬化性組成物、シーリング材並びに物品
WO2015194340A1 (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物及び該室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の硬化物である成形物
JP6039894B2 (ja) 多成分型室温硬化性シリコーンエラストマー組成物
TWI454532B (zh) Room temperature hardening polyorganosiloxane composition
JPWO2019069706A1 (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法、室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物及び物品
JP6418115B2 (ja) 金属基材の硫化防止方法、硫化防止性評価方法、及び実装回路基板
JP6760223B2 (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、およびこれを含有するシール剤、コーティング剤、接着剤、成形物
KR20230008080A (ko) 실온 경화성 오르가노폴리실록산 조성물 및 물품
JP2005272703A (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、自動車用部品
JPH11209621A (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物の製造方法
JP7444857B2 (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物および電気・電子部品の保護剤または接着剤組成物
WO2020026731A1 (ja) 室温硬化性ポリブタジエン樹脂組成物、その製造方法及び実装回路基板
US11274225B2 (en) Room temperature-vulcanizing silane-containing resin composition and mounting circuit substrate
JP4149030B2 (ja) 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物
JP2004269818A (ja) 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物
WO2023068094A1 (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物、接着剤、シール剤及びコーティング剤
JPH02206654A (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物
JPH09241509A (ja) 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物
JP3418262B2 (ja) 室温硬化性ポリオルガノシロキサン組成物
JP6217584B2 (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物
CN111662548A (zh) 二元型室温缩合固化性有机聚硅氧烷组合物
JP5258550B2 (ja) 室温硬化性オルガノポリシロキサン組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170824

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180615

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20180626

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180723

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180911

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180924

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6418115

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150