JP2017057363A - 変性オレフィン重合体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
下記(a)〜(g)を満たす変性オレフィン重合体。
(a)テトラリン溶媒中135℃にて測定した極限粘度[η]が0.01〜2.5dL/gである。
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が観測されないかあるいは0〜100℃である。
(c)示差走査型熱量計(DSC)で測定される半結晶化時間が3分以上、または示差走査型熱量計(DSC)で測定される結晶化ピークが観測されない。
(d)重量平均分子量(Mw)が1,000〜500,000である。
(e)アルコキシシリル基濃度が0.01〜50質量%である。
(f)1分子あたりの末端不飽和基数が0.4個以上である。
(g)重合体を構成するオレフィンモノマーの50モル%以上が炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーである。
【選択図】なし
Description
例えば、タイヤの転がり抵抗の低減を図る場合、カーボンブラックの充填量の減量、あるいは大粒径のカーボンブラックの使用などが行なわれてきたが、補強性、耐摩耗性、ウェットグリップ性能の低下などの問題があり、それらの解決のために、シリカを使用することが知られている。しかし、シリカは凝集しやすく、ゴム中へのシリカ粒子の分散が不充分となり、ゴム組成物のムーニー粘度が高くなるなどの問題が生じる。そこで、シランカップリング剤の使用などシリカの分散性を向上させるための種々の方法が提案されている。
シランカップリング剤は、シリカ表面のシラノール基と結合してシリカ同士の凝集を防ぎ、非凝集のシリカとジエン系ゴムがシランカップリング剤を介して結びつくことにより、転がり抵抗を低減すると考えられている。
すなわち、シリカはシランカップリング剤によってジエン系ゴムに直接結合しているが、シランカップリング剤自体は低分子量化合物であるため、ゴム組成物中では、運動性の低いセグメントとなり、転がり抵抗の低減に寄与するが、ブレーキ性能を低下させてしまう。
すなわち本発明は、以下の変性オレフィン重合体およびその製造方法を提供するものである。
(a)テトラリン溶媒中135℃にて測定した極限粘度[η]が0.01〜2.5dL/gである。
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が観測されないかあるいは0〜100℃である。
(c)示差走査型熱量計(DSC)で測定される半結晶化時間が3分以上、または示差走査型熱量計(DSC)で測定される結晶化ピークが観測されない。
(d)重量平均分子量(Mw)が1,000〜500,000である。
(e)アルコキシシリル基濃度が0.01〜50質量%である。
(f)1分子あたりの末端不飽和基数が0.4個以上である。
(g)重合体を構成するオレフィンモノマーの50モル%以上が炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーである。
(2)固体の時の動的粘弾性の0℃におけるTanδが0.1より大きく、60℃におけるTanδが0.1より小さい上記(1)の変性オレフィン重合体。
(3)重量平均分子量(Mw)が1,000〜60,000である上記(1)または(2)の変性オレフィン重合体。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの変性オレフィン重合体、ジエン系ゴムポリマー、シリカ及び硫黄を含むタイヤ用ゴム組成物。
(5)メタロセン系触媒を使用して製造したα−オレフィン系重合体をラジカル開始剤、並びにシラン基及びエチレン性不飽和基を有するモノマーで変性処理を行うことを特徴とする、上記(1)〜(3)のいずれかに記載の変性オレフィン重合体の製造方法。
(6)メタロセン系触媒が(i)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物、並びに
(ii)(ii−1)該(i)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(ii−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含む上記(5)の変性オレフィン重合体の製造方法。
〔式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、E1及びE2はそれぞれ置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基、ヘテロシクロペンタジエニル基、置換ヘテロシクロペンタジエニル基、アミド基、ホスフィド基、炭化水素基及び珪素含有基の中から選ばれた配位子であって、A1及びA2を介して架橋構造を形成しており、又それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX、E1、E2又はYと架橋していてもよい。Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のY,E1、E2又はXと架橋していてもよく、A1及びA2は二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO2−、−Se−、−NR1−、−PR1−、−P(O)R1−、−BR1−又は−AlR1−を示し、R1は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。〕
本発明の変性オレフィン重合体は、アルコキシシリル基と末端不飽和基を有し、下記(a)〜(g)を満たす。
(a)テトラリン溶媒中135℃にて測定した極限粘度[η]が0.01〜2.5dL/gである。
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が観測されないかあるいは0〜100℃である。
(c)示差走査型熱量計(DSC)で測定される半結晶化時間が3分以上、または示差走査型熱量計(DSC)で測定される結晶化ピークが観測されない。
(d)重量平均分子量(Mw)が1,000〜500,000である。
(e)アルコキシシリル基濃度が0.01〜50質量%である。
(f)1分子あたりの末端不飽和基数が0.4個以上である。
(g)重合体を構成するオレフィンモノマーの50モル%以上が炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーである。
(h)メソペンタッド分率[mmmm]が20モル%以上80モル%未満、もしくはメソダイアッド分率[m]が45モル%以上、90モル%未満である。
(i)ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]が2.5モル%を超える。
(j)[mm]×[rr]/[mr]2が2.0以下である。
(k)[rrrr]/(1−[mmmm])が0.1以下である。
本発明の変性オレフィン重合体は、テトラリン中、135℃において測定した極限粘度[η]が0.01〜2.5dl/gであり、好ましくは0.1〜2.0dl/gであり、より好ましくは0.1〜1.5dl/gであり、更に好ましくは0.1〜1.0dl/g、更に好ましくは0.1〜0.8dl/gである。変性オレフィン重合体の極限粘度が高くなると、ゴムとの混合性が悪くなり、その結果、ゴム中のシリカの分散性が悪くなるため、ゴム組成物の低転がり抵抗とブレーキ性能のバランスが悪化する。
ηSP/c=[η]+K[η]2c
ηSP/c(dl/g):還元粘度
[η](dl/g):極限粘度
c(g/dl):ポリマー粘度
K=0.35(ハギンス定数)
変性オレフィン重合体の融点(Tm−D)は、変性オレフィン重合体のゴム組成物中の分散性を向上させる観点から、観測されないか又は0〜100℃である。融点が観測される場合には、同様の観点から、好ましくは50〜100℃、より好ましくは55〜90℃、更に好ましくは57〜80℃である。
なお、本発明では、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、商品名:「DSC−7」)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップを融点(Tm−D)として定義する。
融点(Tm−D)は、モノマー濃度や反応圧力を適宜調整することで制御可能である。
変性オレフィン重合体の示差走査型熱量計(DSC)で測定される半結晶化時間は、遅い結晶化速度の観点から、3分以上であるか又は示差走査型熱量計(DSC)で測定される結晶化ピークが観測されない。好ましくは10分以上、より好ましくは30分以上である。半結晶化時間が60分を超えるような結晶化速度が遅い場合、明確な結晶化ピークが観測されない場合がある。
半結晶化時間が上記を満たすことにより、タイヤの冷却固化時に先にワックス成分が固まるため、変性オレフィン重合体の結晶化によるワックス成分のブリードアウトを防ぐことができる。
なお、本発明における「半結晶化時間」とは、以下に示す測定方法により測定されるものを示す。
示差走査型熱量計(DSC)(パーキン・エルマー社製、商品名:「DSC−7」)を用い、下記方法にて測定する。
(1)試料10mgを25℃で5分間保持し、320℃/秒で220℃に昇温し5分間保持する。320℃/秒で25℃に冷却し、300分間保持することにより、等温結晶化過程における、発熱量の時間変化を測定する。
(2)等温結晶化開始時から結晶化完了時までの発熱量の積分値を100%とした時、等温結晶化開始時から発熱量の積分値が50%となるまでの時間を半結晶化時間として定義する。
メソペンタッド分率[mmmm]は、オレフィン系重合体の立体規則性を表す指標であり、メソペンタッド分率[mmmm]が大きくなると立体規則性が高くなる。
本発明において、変性される前のオレフィン重合体が単独重合体である場合、変性オレフィン重合体のメソペンタッド分率[mmmm]は、好ましくは20〜80モル%、より好ましくは30〜80モル%、更に好ましくは40〜75モル%である。メソペンタッド分率[mmmm]が当該範囲内であると、低結晶性であり、また、結晶化速度が比較的遅く、成形時に固化するまでの時間が長くなる。低結晶性であることで、変性オレフィン重合体の結晶化によるシリカやワックス成分から分離するのを抑制できる。
メソダイアッド分率[m]は、オレフィン系重合体の立体規則性を表す指標であり、メソダイアッド分率[m]が大きくなると立体規則性が高くなる。
本発明において、変性される前のオレフィン重合体がエチレンモノマーを含む共重合体である場合、変性オレフィン重合体のメソダイアッド分率[m]は、好ましくは45モル%以上、90モル%未満、より好ましくは50〜85モル%、更に好ましくは60〜80モル%である。メソダイアッド分率[m]が当該範囲内であると、低結晶性であり、また、結晶化速度が比較的遅く、成形時に固化するまでの時間が長くなる。
変性される前のオレフィン系重合体がポリプロピレンを主成分(プロピレン90質量%以上)とするポリオレフィンである場合、以下の方法によりメソペンタッド分率[mmmm]を測定することができる。
方法:プロトン完全デカップリング法
濃度:220mg/ml
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼンと重ベンゼンの90:10(容量比)混合溶媒
温度:130℃
パルス幅:45°
パルス繰り返し時間:4秒
積算:10000回
M=(m/S)×100
R=(γ/S)×100
S=Pββ+Pαβ+Pαγ
S:全プロピレン単位の側鎖メチル炭素原子のシグナル強度
Pββ:19.8〜22.5ppm
Pαβ:18.0〜17.5ppm
Pαγ:17.5〜17.1ppm
γ:ラセミペンタッド連鎖:20.7〜20.3ppm
m:メソペンタッド連鎖:21.7〜22.5ppm
すなわち、13C核磁気共鳴スペクトルを用いてメチレン基、メチン基のシグナルを測定することで、ポリ(1−ブテン)分子中のメソペンタッド分率を求めることができる。
13C核磁気共鳴スペクトルの測定は、上記装置及び条件にて行うことができる。
13C核磁気共鳴スペクトルの測定は、上記装置及び条件にて行うことができる。
ラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は、オレフィン系重合体の立体規則性のランダム性を表す指標であり、値が大きいほどオレフィン系重合体のランダム性が増加する。
本発明に用いられる変性オレフィン重合体のラセミメソラセミメソペンタッド分率[rmrm]は好ましくは2.5モル%を超え、より好ましくは2.6モル%以上、更に好ましくは2.7モル%以上である。その上限は、通常、好ましくは10モル%程度であり、より好ましくは7モル%、更に好ましくは5モル%、特に好ましくは4モル%である。値が当該範囲内であると、ランダム性が増加して変性オレフィン重合体の結晶性を低下させ、ゴム組成物中での分散性が向上するができる。
[mm]×[rr]/[mr]2の値は、オレフィン系重合体のランダム性の指標を示し、1に近いほどランダム性が高くなる。
本発明に用いられる変性オレフィン重合体は、[mm]×[rr]/[mr]2が好ましくは2.0以下、より好ましくは0.5〜1.8、更に好ましくは0.5〜1.5である。値が当該範囲内であると、変性オレフィン重合体の結晶性を低下させ、ゴム組成物中での分散性が向上する。なお、上記における[mm]、[rr]及び[mr]の単位は、モル%である。
[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、メソペンタッド分率[mmmm]及びラセミペンタッド分率[rrrr]から求められ、オレフィン系重合体の規則性分布の均一さを示す指標である。変性される前のオレフィン系重合体が単独重合体である場合、変性オレフィン重合体の[rrrr]/(1−[mmmm])の値は、好ましくは0.1以下であり、より好ましくは0.001〜0.05、更に好ましくは0.001〜0.04、特に好ましくは0.01〜0.04である。値が当該範囲内であると、高結晶性分が少なくなり、ゴム組成物中での分散性が向上する。
本発明の変性オレフィン重合体の重量平均分子量(Mw)は、低温特性、ゴム組成物中での分散性向上の観点から、1,000〜500,000であり、より好ましくは1,000〜400,000、更に好ましくは1,000〜300,000、更に好ましくは1,000〜200,000、更に好ましくは1,000〜200,000、更に好ましくは1,000〜60,000である。
本発明の変性オレフィン重合体は、ゴム組成物中での分散性向上の観点から、分子量分布(Mw/Mn)が、好ましくは4.0以下、より好ましくは3.5以下、更に好ましくは3.2以下、更に好ましくは3.0以下である。当該分子量分布は、好ましくは1.0以上であり、より好ましくは1.2以上である。
カラム:東ソー(株)製「TOSO GMHHR−H(S)HT」
検出器:液体クロマトグラム用RI検出 ウォーターズ・コーポレーション製「WATERS 150C」
<測定条件>
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
測定温度:145℃
流速:1.0ml/分
試料濃度:2.2mg/ml
注入量:160μl
検量線:Universal Calibration
解析プログラム:HT−GPC(Ver.1.0)
本発明の変性オレフィン重合体はアルコキシシリル基を有する。
アルコキシシリル基は、特に限定されないが好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基を有するトリアルコキシシリル基、より好ましくは炭素数1〜10のアルコキシ基を有するトリアルコキシシリル基である。また、アルコキシ基は直鎖状であっても分岐状であってもよい。
アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリプロピルオキシシリル基等が挙げられ、好ましくはトリメトキシシリル基、又はトリエトキシシリル基である。
まず、シリル元素濃度を次の方法で測定する。
シリル元素濃度は、試料0.1gを電気炉で一晩加熱(550℃)後、灰分のアルカリ融解にてサンプル溶液を調製し、ICP発光分光分析(アジレント・テクノロジー株式会社、720−ES)にてSi元素の濃度を測定する。
測定したシリル元素濃度の値をa質量%とする。当該数値を用いて下記の式により換算する。
トリエトキシシリル基換算アルコキシシリル基濃度=a×163.3/28.1(質量%)
なお、変性オレフィン重合体中に、アルコキシシリル基が存在することは、1H−NMRを用いて3.7〜4.1ppm付近に出現するアルコキシシリル基の酸素原子の隣の炭素原子上の水素原子由来のピーク(炭素数2以上のアルコキシ基を有するシリル基)、あるいは3.6ppm付近に出現するシングレットのピーク(トリメトキシシリル基の場合)の在否により確認できる。
本発明における末端不飽和基数は、ビニル基及びビニリデン基の総量の数を意味する。ビニル基のみ存在する場合は、ビニル基のみの濃度及び数を意味し、ビニル基及びビニリデン基両方含む場合は、両方の和の濃度及び数を意味する。
なお、末端不飽和基としては、ビニル基、ビニリデン基、トランス(ビニレン)基等が挙げられるが、本明細書で定義する末端不飽和基とは、ビニル基及びビニリデン基を意味する。ビニル基及びビニリデン基はラジカル重合性、各種反応の適用範囲が広く、多様な要求に対応できる。
本発明の変性オレフィン重合体は、1分子当りの末端不飽和基の数が0.4個以上である。0.4個未満である場合には、天然ゴムやスチレン/ブタジエン系ゴム存在下での加硫反応時に架橋反応が十分に進行しないため好ましくない。この観点から、0.5個以上が好ましく、0.6個以上がより好ましい。また、シリカの分散性に繋がる変性オレフィン重合体のゴム中の分散性を向上させる観点から2.0個以下が好ましく、1.5個以下がより好ましい。
1H−NMR測定より得られるδ4.8〜4.6(2H)に出現する末端ビニリデン基、δ5.9〜5.7(1H)に出現する末端ビニル基及びδ1.05〜0.60(3H)に出現するメチル基に基づいて、末端不飽和基濃度(C)(モル%)を算出した。
ビニリデン基のCH2(4.8〜4.6ppm)・・・(i)
ビニル基のCH(5.9〜5.7ppm)・・・(ii)
側鎖末端のCH3(1.05〜0.60ppm)・・・(iii)
ビニリデン基量=[(i)/2]/[(iii)/3]×100モル%
ビニル基量=(ii)/[(iii)/3]×100モル%
末端不飽和基濃度(C)=[ビニリデン基量]+[ビニル基量]
1分子当りの末端不飽和基の数(個)=(Mn/M)×(C/100)
本発明の変性オレフィン重合体は、固体時の動的粘弾性が、0℃におけるTanδが0.1より大きく、60℃におけるTanδが0.1より小さい。
固体時の動的粘弾性が、上記を満たすとき後述するタイヤ用ゴム組成物に変性オレフィン重合体を添加した時に、ブレーキ性能に影響する10,000Hz付近のエネルギー吸収が大きく、転がり抵抗の低減に貢献する100Hz付近のエネルギー吸収が低くなり、タイヤの省エネルギー(低燃費)及びブレーキ性能のバランスに優れるタイヤ用ゴム組成物が得られることが期待できる。上記の観点から、0℃におけるTanδが好ましくは0.14より大きく、さらに好ましくは、0.16より大きい。また、60℃におけるTanδが好ましくは0.08より小さく、さらに好ましくは0.05より小さい。
<測定条件>
測定モード:引張モード
測定温度:−150℃〜230℃のうち、−50℃、25℃及び150℃の3点を観測した。
昇温速度:5℃/min
測定周波数:1Hz
試料サイズ:長さ10mm、幅4mm、厚さ1mm(プレス成形品)
本発明の変性オレフィン重合体の原料であるオレフィン重合体を構成するオレフィンモノマーは、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーであり、炭素数3〜28のα−オレフィンが50モル%以上である。炭素数3〜28のα−オレフィンとしては、例えば、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノナデセン及び1−イコセン等が挙げられる。α−オレフィンモノマーとしては好ましくは炭素数3〜24のα−オレフィン、より好ましくは炭素数3〜12のα−オレフィン、特に好ましくは炭素数3又は4のα−オレフィン(すなわちプロピレンモノマー、1−ブテンモノマー)、炭素数6〜12のα−オレフィンである。
本発明の変性オレフィン重合体におけるオレフィン構成単位の50モル%以上は炭素数3又は4のα−オレフィン(すなわちプロピレンモノマー、1−ブテンモノマー)から選択される少なくとも一種のモノマーであることが好ましく、より好ましくは65モル%以上、更に好ましくは75モル%以上、更に好ましくは80モル%以上である。
なお、本発明の変性オレフィン重合体は、本発明の効果を阻害しない範囲でオレフィン以外のモノマーを含んでもよい。
本発明に用いられる変性オレフィン重合体は、オレフィン重合体をシラン変性することで製造することができる。
オレフィン重合体は、エチレン及び炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーを重合して得られ、炭素数3〜28のα−オレフィンが50モル%以上であって、特に好ましいα−オレフィンは炭素数3又は4のα−オレフィン、炭素数6〜12のα−オレフィンであることは上述のとおりである。
更にメタロセン系触媒に下記成分(iii)を加えてもよい。
(i)シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基、置換インデニル基を有する周期律表第3族〜10族の金属元素を含む遷移金属化合物
(ii)(ii−1)該(i)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(ii−2)アルミノキサンから選ばれる成分
(iii)有機アルミニウム化合物
具体的には、WO2008/047860に開示の方法により製造できる。
E1及びE2はそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基(−N<),ホスフィン基(−P<),炭化水素基(>CR−,>C<)及びケイ素含有基(>SiR−,>Si<)(但し、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基あるいはヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A1及びA2を介して架橋構造を形成している。E1及びE2は互いに同一でも異なっていてもよい。このE1及びE2としては、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基及び置換インデニル基が好ましく、E1及びE2のうちの少なくとも一つは、シクロペンタジエニル基、置換シクロペンタジエニル基、インデニル基又は置換インデニル基である。
前記置換シクロペンタジエニル基、置換インデニル基、置換へテロシクロペンタジエニル基の置換基としては、炭素数1〜20(好ましくは炭素数1〜10、より好ましくは炭素数1〜6)の炭化水素基、ケイ素含有基又はヘテロ原子含有基等の置換基を示す。
Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E1,E2又はYと架橋していてもよい。このXの具体例としては、ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアミド基,炭素数1〜20のケイ素含有基,炭素数1〜40のホスフィド基,炭素数1〜20のスルフィド基,炭素数1〜20のアシル基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、塩素原子、フッ素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。炭素数1〜20の炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基等のアルキル基;ビニル基、プロペニル基、シクロヘキセニル基等のアルケニル基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアリールアルキル基;フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、メチルナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基等のアリール基等が挙げられる。なかでもメチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基やフェニル基等のアリール基が好ましい。
炭素数1〜20のケイ素含有基としては、メチルシリル基、フェニルシリル基等のモノ炭化水素置換シリル基;ジメチルシリル基、ジフェニルシリル基等のジ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリシクロヘキシルシリル基、トリフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基、メチルジフェニルシリル基、トリトリルシリル基、トリナフチルシリル基等のトリ炭化水素置換シリル基;トリメチルシリルエーテル基等の炭化水素置換シリルエーテル基;トリメチルシリルメチル基等のケイ素置換アルキル基;トリメチルシリルフェニル基等のケイ素置換アリール基等が挙げられる。なかでもトリメチルシリルメチル基、フェニルジメチルシリルエチル基等が好ましい。
炭素数1〜20のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、パルミトイル基、ステアロイル基、オレオイル基等のアルキルアシル基、ベンゾイル基、トルオイル基、サリチロイル基、シンナモイル基、ナフトイル基、フタロイル基等のアリールアシル基、シュウ酸、マロン酸、コハク酸等のジカルボン酸からそれぞれ誘導されるオキサリル基、マロニル基、スクシニル基等が挙げられる。
このような架橋基のうち、少なくとも一つは炭素数1以上の炭化水素基からなる架橋基もしくは、ケイ素含有基であることが好ましい。このような架橋基としては、例えば下記一般式(a)で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH2=C=),ジメチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基,ジメチルゲルミレン基,ジメチルスタニレン基,テトラメチルジシリレン基,ジフェニルジシリレン基等を挙げることができる。これらの中で、エチレン基,イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。
(Dは周期律表第14族元素であり、例えば炭素,ケイ素,ゲルマニウム及びスズが挙げられる。R2及びR3はそれぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基で、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、また互いに結合して環構造を形成していてもよい。eは1〜4の整数を示す。)
上記(ii)(ii−2)成分のアルミノキサンとしては、公知の鎖状アルミノキサンや環状アルミノキサンが挙げられる。
(iii)成分の有機アルミニウム化合物としては、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルへキシルアルミニウム、トリノルマルオクチルアルミニウム、ジメチルアルミニウムクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、メチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、ジメチルアルミニウムフルオリド、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムヒドリド及びエチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。これらの有機アルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのうち、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウム、トリイソプロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルへキシルアルミニウム及びトリノルマルオクチルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウムが好ましく、トリイソブチルアルミニウム、トリノルマルへキシルアルミニウム及びトリノルマルオクチルアルミニウムがより好ましい。
(ii)(ii−1)成分を用いた場合の、(i)成分と(ii−1)成分との使用割合(i)/(ii−1)は、モル比で好ましくは10/1〜1/100、より好ましくは2/1〜1/10である。(i)/(ii−1)が10/1〜1/100の範囲にあると、触媒としての効果が得られると共に、単位質量ポリマー当たりの触媒コストを抑えることができる。また、目的とするオレフィン重合体中にホウ素が多量に存在するおそれがない。
(ii)(ii−2)成分を用いた場合の、(i)成分と(ii−2)成分との使用割合(i)/(ii−2)は、モル比で好ましくは1/1〜1/1000000、より好ましくは1/10〜1/10000の範囲が望ましい。この範囲を逸脱する場合は単位重量ポリマー当りの触媒コストが高くなり、実用的でない。
また、触媒成分(ii)としては(ii−1),(ii−2)を単独又は二種以上組み合わせて用いることもできる。
(iii)成分を用いる場合の(i)成分と(iii)成分との使用割合(i)/(iii)は、モル比で好ましくは1/1〜1/10000、より好ましくは1/5〜1/2000、更に好ましくは1/10〜1/1000である。(iii)成分を用いることにより、遷移金属当たりの重合活性を向上させることができる。(i)/(iii)が1/1〜1/10000の範囲にあると、(iii)成分の添加効果と経済性のバランスが良好であり、また、目的とするオレフィン重合体中にアルミニウムが多量に存在するおそれがない。
オレフィン重合体の製造方法においては、上述した(i)成分及び(ii)成分、あるいは(i)成分、(ii)成分及び(iii)成分を用いて予備接触を行うこともできる。予備接触は、(i)成分に、例えば(ii)成分を接触させることにより行うことができるが、その方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。このような予備接触により触媒活性の向上や、助触媒である(ii)成分の使用割合の低減等、触媒コストの低減に効果的である。
重合法としては、連続式、バッチ式、溶液重合、バルク重合等、いずれも適用できるが、本発明においては、モノマー濃度を低く制御し、末端不飽和基を生成しやすい、モノマーを連続的に供給する溶媒を用いた連続式やセミバッチ式が好ましい。
ラジカル開始剤の使用量としては特に制限はないが、使用するα−オレフィン系重合体100質量部に対し、好ましくは0.01〜10質量部、より好ましくは0.01〜5質量部の範囲で用いられる。
(RO)3−Si−Y ・・・(i)
(式中、Yは、エチレン性不飽和基であり、Rはアルキル基であり、3つのRは互いに同一でも異なっていてもよい。)
上記エチレン性不飽和基はα−オレフィン系重合体中に発生した遊離ラジカル部位との反応性を有する。エチレン性不飽和基の例としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、シクロヘキセニル基、シクロペンタジエニル基、(メタ)アクリロキシアルキル基等が挙られ、好ましくは、ビニル基、メタクリロキシアルキル基、及びアクリロキシアルキル基から選ばれる少なくとも一種である。
上記アルキル基としては、直鎖状であっても分岐状であってもよく、炭素数1〜20のものが好ましく、炭素数1〜10のものがより好ましい。アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、各種ノニル基、各種デカニル基等が挙げられ、これらの中でも、好ましくはメチル基及びエチル基から選ばれる少なくとも1種である。
上記シラン変性モノマーの具体例としては、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
アルコキシシリル基濃度を所定の範囲とするためには、ラジカルやシラン変性モノマーの濃度を高める観点から、無溶剤条件下にて、120〜200℃程度の高温下で反応させることが好ましい。
シリカとしては、特に限定されず、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)等が挙げられるが、中でも乾式シリカが好ましい。シリカのコロイダル特性は特に限定しないが、BET法による窒素吸着比表面積(BET)150〜250m2/gであるものが好ましく用いられ、より好ましくは180〜230m2/gである。なお、シリカのBETはISO 5794に記載のBET法に準拠し測定される。
他のフィラーとしては、例えば、カーボンブラック、酸化チタン、ケイ酸アルミニウム、クレー、又は、タルクなどの各種無機充填剤を用いることができ、これらはそれぞれ単独で又は2種以上組み合わせて用いることができる。これらの中でも、カーボンブラックが好ましく用いられる。
有機金属類としては、例えばジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテート、オクテン酸錫等の有機錫金属化合物や、オクテン酸鉛、ナフテン酸鉛等を挙げることができる。
3級アミン類としては、N−トリエチルアミン、N−メチルモルホリンビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N,N’−トリメチルアミノエチル−エタノールアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N−メチル−N’−ジメチルアミノエチルピペラジン、イミダゾール環の第2級アミン官能基をシアノエチル基で置換したイミダゾール化合物等を挙げることができる。
これらは、1種のみを単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。上記触媒の中で特に好ましいのはジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジオクテートである。
本発明のタイヤ用ゴム組成物における硬化促進触媒の含有量は、本発明のタイヤ用ゴム組成物中、好ましくは0.005〜2.0質量%であり、より好ましくは0.01〜0.5質量%である。
本発明のタイヤ用ゴム組成物における上記シランカップリング剤の含有量は、本発明のタイヤ用ゴム組成物中含まれる全シリカ量に対して15質量%以下である。
シリコーン系接着剤、変性シリコーン系接着剤は、イソシアネート基やアルコキシシラン基の水分との反応により湿気硬化し、接着剤としての機能を発現する。本発明の変性オレフィン重合体も湿気硬化成分(アルコキシシラン基)を含む構造であり、分子量も接着剤成分に比べて低いので、接着剤の粘度調整剤として好適に使用できる。
粘弾性測定装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、商品名:DMS 6100(EXSTAR6000))を用いて、窒素雰囲気下で以下の条件で測定を行った。
<測定条件>
測定モード:引張モード
測定温度:−150℃〜230℃のうち、−50℃、25℃及び150℃の3点を観測した。
昇温速度:5℃/min
測定周波数:1Hz
試料サイズ:長さ10mm、幅4mm、厚さ1mm(プレス成形品)
示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下、−10℃で5分間保持した後、−10℃まで、5℃/分で降温させ、10℃/分で昇温させることにより得られる融解吸熱量(ΔH−D)カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップの融点(Tm−D)を測定した。
窒素気流下、200ミリリットルのシュレンク瓶に(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデン)2.5g(7.2ミリモル)とエーテル100ミリリットルを加えた。
−78℃に冷却しn−ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.6モル/リットル)を9.0ミリリットル(14.8ミリモル)加えた後、室温で12時間攪拌した。
溶媒を留去し、得られた固体をヘキサン20ミリリットルで洗浄し減圧乾燥することによりリチウム塩を白色固体として定量的に得た。
シュレンク瓶中、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(インデン)のリチウム塩(6.97ミリモル)をTHF(テトラヒドロフラン)50ミリリットルに溶解し、室温でヨードメチルトリメチルシラン2.1ミリリットル(14.2ミリモル)をゆっくりと滴下し12時間攪拌した。
溶媒を留去し、エーテル50ミリリットル加えて飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。
分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去することにより(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.9ミリモル)を得た(収率84%)。
次に、窒素気流下においてシュレンク瓶に、上記で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.9ミリモル)とエーテル50ミリリットルを加えた。−78℃に冷却し、n− ブチルリチウム(n−BuLi)のヘキサン溶液(1.6モル/リットル)を7.4ミリリットル(11.8ミリモル)加えた後、室温で1 2 時間攪拌した。溶媒を留去し、得られた固体をヘキサン4 0 ミリリットルで洗浄することによりリチウム塩をエーテル付加体として3.06gを得た。
窒素気流下、上記で得られたリチウム塩3.06gをトルエン50ミリリットルに懸濁させた。これを−78℃に冷却し、ここへ予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1ミリモル)のトルエン(20ミリリットル)懸濁液を滴下した。滴下後、室温で6 時間攪拌した。この反応溶液の溶媒を留去後、得られた残渣をジクロロメタンにより再結晶化することにより(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの黄色微結晶0.9g(1.33ミリモル)を得た(収率26%)。
上記で得られた黄色微結晶の1H−NMRを求めたところ、次の結果が得られた。
1H−NMR(90MHz,CDCl3):δ0.0(s,―SiMe3−,18H),
1.02,1.12(s,−Me2Si−,12H),2.51(dd,−CH2−,4H),7.1−7.6(m,Ar−H,8H)
加熱乾燥した2リットルオートクレーブに、ヘプタン600ミリリットル、トリイソブチルアルミニウム0.6ミリモル、製造例1で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを5.0マイクロモル、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート15.0マイクロモルを加え、さらに水素0.02MPa導入した。重合温度70℃に昇温しながら、ブテン−1を全圧で0.20MPaまで昇圧し、消費されたブテン−1を連続的に供給することにより、全圧を0.20MPaに保ちながら60分間重合した。重合反応終了後、反応物を減圧下で乾燥させることにより、ポリブテン−1を160g得た。
得られたポリブテン−1の極限粘度[η]は0.17デシリットル/g、重量平均分子量(Mw)は16,800、分子量分布(Mw/Mn)は2.0、立体規則性(メソペンタッド分率:mmmm)は64.7モル%、融点(Tm−D)は65.4℃であった。
製造例2において重合温度を70℃に代えて、65℃に変更した以外は製造例2と同様に実施することにより、ポリブテン−1を65g得た。
得られたポリブテン−1の極限粘度[η]は0.41デシリットル/g、重量平均分子量(Mw)は53,000、分子量分布(Mw/Mn)は2.1、立体規則性(メソペンタッド分率:mmmm)は71.6モル%、融点(Tm−D)は70.11℃であった。
加熱乾燥した1リットルオートクレーブに、400ミリリットルのオクテン−1、トリイソブチルアルミニウム0.4ミリモル、製造例1で得られた(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドを5マイクロモル、ジメチルアニリニウムテトラキスペンタフルオロフェニルボレート15マイクロモルを加え、さらに水素0.05MPa導入した。85℃にて120分間重合した。重合反応終了後、エタノール5ミリリットル投入し、反応を止め、反応物を110℃、減圧下で乾燥させることにより、ポリオクテン−1を80g得た。
得られたポリオクテン−1の極限粘度[η]は0.17デシリットル/g、GPC法により測定したポリプロピレン換算重量平均分子量(Mw)は35,900、分子量分布(Mw/Mn)は2.3、立体規則性(メソペンタッド分率:mmmm)は43.1モル%、DSC測定による融点(Tm−D)は観測されなかった。
窒素導入管およびジムロート管、撹拌装置付の0.5リットルセパラフラスコに製造例2で得られたポリブテン−1を60g投入し、窒素雰囲気下で、バス温を用い、130℃に昇温し、昇温後、内容物が溶融後、撹拌を開始した。その後、トリメトキシビニルシラン(5.0g)、パーヘキサ25B(日本油脂社製)を0.6g投入し、150℃に昇温後、さらに160℃に昇温し30分撹拌した。降温後、得られた反応物を加熱減圧下で乾燥することにより目的物を得た。
得られたシラン変性重合体の極限粘度[η]は0.17デシリットル/g、重量平均分子量(Mw)は19,700、Mnは8,500、分子量分布(Mw/Mn)は2.3、立体規則性(メソペンタッド分率:mmmm)は64.7モル%、融点(Tm−D)は64.5℃、半結晶化時間は85分であった。アルコキシシリル基濃度は1.8質量%、一分子あたりの末端不飽和基数は0.65個であった。
また、得られた重合体の動的粘弾性を測定したところ、0℃のTanδが0.20、60℃のTanδが0.06であった。
実施例1において製造例2のポリブテン−1に代えて、製造例3のポリブテン−1に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
得られたシラン変性重合体の極限粘度[η]は0.33デシリットル/g、重量平均分子量(Mw)は37,900、Mnは、18,100、分子量分布(Mw/Mn)は2.1、立体規則性(メソペンタッド分率:mmmm)は71.5モル%、融点(Tm−D)は67.5℃、半結晶化時間は68分であった。アルコキシシリル基濃度は5.1質量%、一分子あたりの末端不飽和基数は0.40個であった。
また、得られた重合体の動的粘弾性を測定したところ、0℃のTanδが0.22、60℃のTanδが0.05であった。
実施例1において製造例2のポリブテン−1に代えて、製造例4のポリオクテン−1に変更した以外は実施例1と同様に実施した。
得られたシラン変性重合体の極限粘度[η]は0.17デシリットル/g、重量平均分子量(Mw)は45,400、Mnは18,600、分子量分布(Mw/Mn)は2.4、立体規則性(メソペンタッド分率:mmmm)は43.1モル%、融点(Tm−D)および半結晶化時間は観測されなかった。アルコキシシリル基濃度は2.7質量%、一分子あたりの末端不飽和基数は0.83個であった。
なお、本材料は、常温で液状のため、本材料2gにジブチルチンジラウレートを0.04g投入して撹拌し、所定の金型を用いて25℃、湿度50%で24時間硬化させて成形した。
得られた成形物について動的粘弾性を測定したところ、0℃のTanδが0.14、60℃のTanδが0.05であった。
SBS(クレイトン社製 B1102JSZ)40.0g及びシリカ(Merck社製Silica gel 60)8.0g、実施例2で得られたシラン変性重合体3.24g、硫黄0.64g、プロセスオイル(出光興産株式会社製、PS−32)を、300mLのマヨネーズ瓶に投入し、オイルバス190℃にて溶融後、5分間スリーワンモーターおよび撹拌翼にて5分間撹拌し、樹脂組成物を得た。
製造例2において重合温度を70℃に代えて、50℃に、水素0.02MPaに変えて0.1MPaに変更した以外は製造例2と同様に実施することにより、ポリブテン−1を21g得た。
得られたポリブテン−1の極限粘度[η]は0.61デシリットル/g、重量平均分子量(Mw)は73,800、分子量分布(Mw/Mn)は2.1、立体規則性(メソペンタッド分率:mmmm)は72.8モル%、融点(Tm−D)は71.2℃であった。
窒素導入管およびジムロート管、撹拌装置付の0.5リットルセパラフラスコに比較製造例1で得られたポリブテン−1を17g投入し、窒素雰囲気下で、バス温を用い、130℃に昇温し、昇温後、内容物が溶融後、撹拌を開始した。その後、トリメトキシビニルシラン(1.4g)、パーヘキサ25B(日本油脂社製)を0.14g投入し、150℃に昇温後、さらに160℃に昇温し30分撹拌した。降温後、得られた反応物を加熱減圧下で乾燥することにより目的物を得た。
得られたシラン変性重合体の極限粘度[η]は0.62デシリットル/g、重量平均分子量(Mw)は74,700、Mnは32,200、分子量分布(Mw/Mn)は2.3、立体規則性(メソペンタッド分率:mmmm)は72.8モル%、融点(Tm−D)は71.0℃、半結晶化時間は80分であった。アルコキシシリル基濃度は5.1質量%、一分子あたりの末端不飽和基数は0.20個であった。
また、得られたシラン変性重合体の動的粘弾性を測定したところ、0℃のTanδが0.21、60℃のTanδが0.06であった。
実施例4において、実施例2で得られたシラン変性重合体に代えて、上記比較例1で得られたシラン変性重合体を用いた以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例4において、実施例2で得られたシラン変性重合体を用いない以外は、実施例4と同様にして樹脂組成物を得た。
実施例4及び比較例2、3で得られた樹脂組成物を用いて、溶融温度230℃でプレス機にて10mm×30mm×1mmのプレス板をそれぞれ作製した。得られたプレス板を縦横約1〜2mm四方、高さ約3mm以上の角柱に切り出し、液体窒素に15分以上浸漬後、試料を取り出しすぐにカミソリで凍結割断した。室温にて乾燥後、Osコーティングによる導電処理を行い、プレス板の凍結割断面を、走査型電子顕微鏡(SEM:日本電子株式会社製JSM−6480LA)を用いて加速電電圧15kV、反射電子組成像、100倍で観察し、プレス板の断面のシリカの分散状態を評価した(図1)。
図1から、不飽和基が少ないシランカップリング剤を用いた場合(b)やシランカップリング剤を入れなかった場合(c)に比べて、アルコキシシランおよび不飽和基を多く含有するシランカップリング剤を用いた場合(a)のシリカの分散性が、高いことがわかる(白色部分がシリカ)。
Claims (6)
- 下記(a)〜(g)を満たす変性オレフィン重合体。
(a)テトラリン溶媒中135℃にて測定した極限粘度[η]が0.01〜2.5dL/gである。
(b)示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下−10℃で5分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−D)が観測されないかあるいは0〜100℃である。
(c)示差走査型熱量計(DSC)で測定される半結晶化時間が3分以上、または示差走査型熱量計(DSC)で測定される結晶化ピークが観測されない。
(d)重量平均分子量(Mw)が1,000〜500,000である。
(e)アルコキシシリル基濃度が0.01〜50質量%である。
(f)1分子あたりの末端不飽和基数が0.4個以上である。
(g)重合体を構成するオレフィンモノマーの50モル%以上が炭素数3〜28のα−オレフィンから選ばれる1種以上のモノマーである。 - 固体の時の動的粘弾性の0℃におけるTanδが0.1より大きく、60℃におけるTanδが0.1より小さい請求項1に記載の変性オレフィン重合体。
- 重量平均分子量(Mw)が1,000〜60,000である請求項1または2に記載の変性オレフィン重合体。
- 請求項1〜3のいずれか一項に記載の変性オレフィン重合体、ジエン系ゴムポリマー、シリカ及び硫黄を含むタイヤ用ゴム組成物。
- メタロセン系触媒を使用して製造したα−オレフィン系重合体をラジカル開始剤、並びにシラン基及びエチレン性不飽和基を有するモノマーで変性処理を行うことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の変性オレフィン重合体の製造方法。
- メタロセン系触媒が(i)下記一般式(I)で表される遷移金属化合物、並びに
(ii)(ii−1)該(i)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(ii−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含む請求項5に記載の変性オレフィン重合体の製造方法。
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- 2015-09-18 JP JP2015185962A patent/JP6591244B2/ja active Active
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