JP2017056877A - シートベルト装置 - Google Patents

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JP2017056877A JP2015184843A JP2015184843A JP2017056877A JP 2017056877 A JP2017056877 A JP 2017056877A JP 2015184843 A JP2015184843 A JP 2015184843A JP 2015184843 A JP2015184843 A JP 2015184843A JP 2017056877 A JP2017056877 A JP 2017056877A
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Abstract

【課題】赤外線を照射するための発光素子を用いることなく、シートベルトの着用状態を確実に検知することのできるシートベルト装置を提供する。
【解決手段】シートベルト装置100は、乗員Mを座席STに固定するシートベルトBTと、シートベルトBTの表面上に形成されており、遠赤外線に対するその放射率がシートベルトBTの表面の放射率とは異なっているマーカー130と、座席STに着座した乗員Mが含まれる熱画像を生成する熱画像カメラ120と、熱画像に基づいてシートベルトBTの着用状態を判定する判定部111と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、車両に備えられるシートベルト装置に関する。
車両には、安全装置の一つとしてシートベルト装置が備えられる。シートベルト装置は、シートベルトで乗員の身体を座席に固定することにより、衝突が生じた際において乗員が座席から投げ出されてしまうことを防ぐものである。
シートベルトが着用されていない状態で車両の走行が行われることを防止するために、シートベルト装置には、シートベルトの着用状態を検知する機能が備えられることが一般的となっている。シートベルトの着用状態は、例えば、バックルの内部に設けられたセンサによって検知される。
また、下記特許文献1に記載されているシートベルト装置は、発光素子からベルトに向けて赤外光を照射し、ベルトで反射された赤外光を受光素子で受光することにより、ベルトの着用状態を検知する構成となっている。反射された赤外光に基づいてベルトの着用状態が検知されるよう、ベルトには、照射される赤外光を吸収する所定形状のマーカーが設けられている。このようなシートベルト装置によれば、各座席のバックル等にセンサを設けることなく、シートベルトの着用状態を検知することが可能となる。
特許第4856506号公報
上記特許文献1に記載されているシートベルト装置は、発光素子から照射される赤外光に基づいてマーカーの検知を行うものである。従って、照射される赤外光はその波長が1.5μm以下の近赤外線であると考えられる。このような近赤外線を照射する発光素子は、ベルトの着用状態を検知する以外の用途には用いられない専用のものである。
しかしながら、ベルトの着用状態を検知するための専用の発光素子を設けることは、車両全体の部品点数の増加につながるため好ましくない。
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、赤外線を照射するための発光素子を用いることなく、シートベルトの着用状態を確実に検知することのできるシートベルト装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るシートベルト装置(100)は、乗員(M)を座席(ST)に固定するシートベルト(BT)と、シートベルトの表面上に形成されており、遠赤外線に対するその放射率がシートベルトの表面の放射率とは異なっているマーカー(130)と、座席に着座した乗員が含まれる熱画像を生成する熱画像生成部(120)と、熱画像に基づいてシートベルトの着用状態を判定する判定部(111)と、を備える。
このようなシートベルト装置では、熱画像生成部で生成された熱画像に基づいて、シートベルトの着用状態が判定される。熱画像は、シートベルト等の表面から放射される赤外線の強度分布、すなわち、その波長が8〜14μmの遠赤外線の強度分布に基づいて作成される画像である。このため、熱画像を生成するにあたり、赤外線を照射するための発光素子が設けられる必要はない。
シートベルトの表面にはマーカーが形成されている。遠赤外線に対するマーカーの放射率は、遠赤外線に対するシートベルトの表面の放射率とは異なっている。従って、例えば、マーカーの形状に対応する形状が熱画像に含まれているときに、シートベルトが着用されていると判定することができる。
熱画像は、所定領域における物体の温度分布を示すものである。従って、熱画像は、上記のようにシートベルトの着用状態を判定するために用いられるほか、他の用途にも用いられることができる。
「他の用途」の例としては、熱画像に基づいて座席における乗員の有無を検知することが挙げられる。また、空調の制御を適切に行うために、熱画像に基づいて乗員の着衣の表面温度を検知することも挙げられる。換言すれば、空調等のために設けられている既存の熱画像カメラを、本発明に係るシートベルト装置の熱画像生成部として用いることも可能である。
本発明によれば、赤外線を照射するための発光素子を用いることなく、シートベルトの着用状態を確実に検知することのできるシートベルト装置が提供される。
本発明の実施形態に係るシートベルト装置の全体構成を示す図である。 乗員にシートベルトが着用されている状態を前方側から見て描いた図である。 シートベルト装置により実行される処理の流れを示す図である。 シートベルトに形成されたマーカーの変形例を示す図である。 シートベルトに形成されたマーカーの変形例を示す図である。
以下、添付図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1を参照しながら、本発明の実施形態に係るシートベルト装置100について説明する。図1には、シートベルト装置100が搭載された車両の車室RMのうち、運転席の近傍の部分のみが模式的に示されている。尚、図1における左側が車両の前方側であり、右側が車両の後方側である。
シートベルト装置100は、車両の運転席である座席STに設けられた安全装置である。シートベルト装置100は、シートベルトBTと、制御装置110と、熱画像カメラ120と、マーカー130と、を備えている。
シートベルトBTは、乗員Mの身体を座席STに固定するために、座席STに設けられた帯状のベルトである。図1及び図2に示されるように、乗員MがシートベルトBTを着用し運転を行っているときには、シートベルトBTは乗員Mの身体の前方側部分、具体的には右肩から胸部、左腹部に亘る部分を覆っている。シートベルトBTのうち乗員Mとは反対側の面上、すなわち前方側に向いている方の面である表面上には、後述のマーカー130が複数形成されている。
制御装置110は、CPU、ROM、RAM等を備えたコンピュータシステムとして構成された装置である。制御装置110は、後述の熱画像カメラ120により生成された熱画像に基づいて、シートベルトBTの着用状態の判定を行う。ここでいう「着用状態の判定」とは、シートベルトBTが着用されているかどうか、についての判定のことである。車両の走行中においてシートベルトBTが着用されていない、と判定された際には、制御装置110は、フロントパネルに設けられた警告ランプ300を点灯させる。これにより、シートベルトBTが未着用である旨を乗員Mに対して報知し、シートベルトBTの着用を促す。
制御装置110は、車両に備えられた空調装置200の動作をも制御する。つまり、本実施形態における制御装置110は、シートベルトBTの着用状態を判定するための装置であることに加えて、空調装置200の動作を制御するための装置ともなっている。空調装置200は、不図示の冷凍サイクルによって温度調整された空気を車室RM内に供給することにより、車室RM内を快適に保つための装置である。
制御装置110は、機能的な制御ブロックとして、判定部111と、空調制御部112とを有している。判定部111は、熱画像カメラ120で生成された熱画像に基づいて、シートベルトBTの着用状態を判定する部分である。当該判定のために行われる具体的な処理については後に説明する。空調制御部112は、空調装置200の動作を制御する部分である。空調制御部112により、空調装置200から車室RM内に供給される空気の温度及び流量が調整される。
車両には車室RM内の気温を測定するための不図示のセンサが設けられている。当該センサで測定された気温は、制御装置110に入力されている。
熱画像カメラ120は、物体から放射又は反射されて到達した遠赤外線を検知し、当該遠赤外線の強度分布を示す熱画像を生成する装置である。熱画像カメラ120は、マトリックス状に配置された複数の赤外線撮像素子をその内部に備えている。これら赤外線撮像素子により、撮影範囲の各部から到達する遠赤外線の強度分布を計測し、熱画像として出力することが可能となっている。熱画像カメラ120により検知される遠赤外線の波長の範囲は、8μmから14μmとなっている。
熱画像カメラ120は、乗員Mの上半身部分を含む熱画像を前方側から撮影できるよう、車室RM内において乗員Mよりも前方側且つ上方側となる位置に取り付けられている。図1においては、熱画像カメラ120で熱画像を撮影することのできる範囲が矢印RGで示されている。当該範囲には、乗員Mの上半身に加えて、シートベルトBTに形成されたマーカー130及びその周辺部分が含まれる。尚、熱画像カメラ120により熱画像として撮影される範囲は、概ね図2に示される範囲と一致する。
マーカー130は、円形のアルミニウムからなるシートを、シートベルトBTの表面上に貼り付けることにより形成されたものである。マーカー130は、シートベルトBTに対して反射率の高い物質を編み込んだり、メッキしたりすることにより形成されてもよい。図2に示されるように、マーカー130は、シートベルトBTの長手方向に沿って等間隔に並ぶように複数形成されている。また、それぞれのマーカー130の形状は互いに同一となっている。
マーカー130の材料としては、8μmから14μmの波長の遠赤外線に対する放射率が、シートベルトBTの表面における放射率とは異なっているものであればよく、アルミニウム以外の材料が用いられてもよい。
尚、シートベルトBTの材料としては、遠赤外線に対する放射率が1に近い材料が用いられることが多い。従って、マーカー130の材料としては、遠赤外線に対する放射率が0又はその近傍であるような材料、すなわち、アルミニウムのように反射率が1に近い材料が用いられることが望ましい。
これとは逆に、シートベルトBTのうち少なくとも表面部分を、放射率が0に近い材料で形成してもよい。この場合、それぞれのマーカー130を、放射率が1に近い材料で形成することとなる。
マーカー130の表面には微細な凹凸が形成されている。このため、マーカー130に入射した遠赤外線は、その入射方向によることなく、図1の矢印AR2で示されるようにあらゆる方向に向けて略均等に拡散反射される。
尚、マーカー130の表面は前方側を向いているので、マーカー130により反射される遠赤外線は、その大部分が前方側からマーカー130に入射したものである。図1では、このような前方側からの遠赤外線が矢印AR1で示されている。前方側からの遠赤外線には、例えば前方側にあるダッシュボード等の構造物から放射された遠赤外線や、フロントガラスを通じて車室RM内に入り込んだ遠赤外線が含まれる。
制御装置110により行われる処理のうち、空調装置200の動作を制御するために行われる処理について簡単に説明する。制御装置110は、熱画像カメラ120により生成された熱画像に基づいて、乗員Mの着衣CL(図2を参照)の表面温度を算出する。
制御装置110の空調制御部112は、算出された着衣CLの表面温度に基づいて、空調装置200の動作を調整する。例えば、車室RM内の気温よりも着衣CLの表面温度の方が高いような場合には、気温が適温であったとしても、吹き出し温度を1度下げる、というような制御を行う。
また、例えば、車室RM内の気温と、着衣CLの表面温度との組み合わせ毎に、空調装置200の制御パラメータ(例えば吹き出し温度や風量)がマップとして記憶されているような態様としてもよい。
このように、車室RM内の気温や着衣CLの表面温度、のそれぞれを計測し、これらを総合的に考慮した制御を行うことにより、乗員Mが感じる温熱感をより快適なものとすることが可能となっている。尚、着衣CLの表面温度等を考慮した制御の具体的な方法としては、従来において行われていた種々の方法を採用し得る。
制御装置110により行われる処理のうち、シートベルトBTの着用状態を判定するために行われる処理について、図3を参照しながら説明する。図3に示される一連の処理は、所定の周期が経過する毎に、制御装置110の判定部111で繰り返し実行される。
最初のステップS01では、制御装置110が起動された直後か否かが判定される。制御装置110が起動された直後である場合、すなわち、ステップS01の処理が最初に実行された場合には、ステップS02に移行する。ステップS01の処理が実行されるのが2回目以降である場合には、ステップS02を経ることなくステップS03に移行する。
ステップS02では、タイマーのリセットが行われる。ここでいうタイマーとは、経過時間を計測するためのものとして制御装置110に設けられた内部カウンタのことである。制御装置110は、タイマーの値を参照することにより、タイマーがリセットされた時点から現時点までの経過時間を測定することが可能となっている。ステップS02の処理が行われた後はステップS03に移行する。ステップS03では、熱画像カメラ120による熱画像の生成が行われ、当該熱画像が判定部111により取得される。
ところで、シートベルトBTが着用されているときには、シートベルトBTの表面及びマーカー130の表面が熱画像に含まれているはずである。シートベルトBTの放射率は1に近いので、シートベルトBTの表面から熱画像カメラ120に到達する遠赤外線の強度は、シートベルトBTの表面温度に対応したものとなる。
一方、マーカー130の放射率は0に近いので、マーカー130の表面から熱画像カメラ120に到達する遠赤外線の強度は、例えば車両の前方側に配置されたダッシュボード等の表面温度に対応したものとなる。殆どの場合において、両者は互いに異なっている。従って、シートベルトBTが着用されているのであれば、熱画像には、マーカー130の形状に対応する形状が含まれる。
ステップS03に続くステップS04では、取得された熱画像に対してラプラシアンフィルタを用いたエッジ検出の処理が行われる。当該処理により、熱画像のうち温度が概ね一定となっている領域のエッジ(すなわち輪郭)が検出される。
ステップS04に続くステップS05では、熱画像において検出されたエッジの中に、マーカー130の形状に対応する形状(本実施形態では円形状)が所定数以上含まれているか否かが判定される。当該判定を行うための方法としては、Hough変換やテンプレーマッチング等の既知の方法を採用することができる。本実施形態では、上記の所定数として「2」が設定されている。所定数として1、又は3以上の数値が設定されていてもよい。
マーカー130の形状に対応する形状が熱画像に所定数以上含まれていた場合には、ステップS06に移行する。ステップS06に移行したということは、シートベルトBTの表面にあるマーカー130が前方側を向いている、すなわち、シートベルトBTが着用されているということである。従って、ステップS06では、シートベルトBTが着用されているとの判定がなされる。
ステップS06に続くステップS07では、ステップS02と同様にタイマーのリセットが行われる。ステップS07に続くステップS08では、判定部111が警告ランプ300を消灯させる。既に警告ランプ300が消灯していた場合には、当該状態をそのまま継続させる。ステップS08の処理が終わると、図3に示される一連の処理を終了する。
ステップS05において、マーカー130の形状に対応する形状が所定数未満しか存在しなかった場合には、ステップS09に移行する。この場合、シートベルトBTが着用されておらず、マーカー130からの遠赤外線が熱画像カメラ120は到達していないことが考えられる。また、シートベルトBTは着用されているのであるが、マーカー130の向きの変動等により、マーカー130からの遠赤外線が熱画像カメラ120に一時的に到達しなくなっていることも考えられる。
更に、シートベルトBTは着用されているのであるが、シートベルトBTの表面温度と、マーカー130からの遠赤外線に対応する温度とがたまたま一致してしまうことにより、マーカー130の形状に対応する形状が熱画像の中に現れなかったという可能性も考えられる。このため、ステップS09に移行した場合でも、シートベルトBTが着用されていないとの判定は直ちには行われない。
ステップS09では、判定部111から空調制御部112に信号が送信される。空調制御部は、判定部111からの信号に基づいて、空調装置200からシートベルトBTに向かう風量を一時的に増加させる。その結果、シートベルトBT及びマーカー130のそれぞれの温度は低下する。
このとき、シートベルトBTの放射率は1に近いので、熱画像に示されるシートベルトBTの温度は低下する。一方、マーカー130の放射率は0に近いので、熱画像に示されるマーカー130の温度は、マーカー130の実際の温度に拘らず殆ど変化しない。その結果、シートベルトBTの温度とマーカー130の温度とは、実際には互いに概ね一致していたとしても、熱画像においては両者が乖離することとなる。
このため、シートベルトBTが着用されているのであれば、ステップS05の処理が次回に行われたときに、マーカー130の形状に対応する形状が熱画像の中に現れることとなる。つまり、シートベルトBTが着用されていることが正しく判定されることとなる。
尚、ステップS09においては、空調装置200から吹き出される空気がマーカー130に直接当たるように、風向を一時的に変更する制御が行われてもよい。また、吹き出される空気の温度を一時的に低くする制御が行われてもよい。
ステップS09に続くステップS10では、タイマーがリセットされた時点から現時点までの経過時間が、所定の閾時間T0以上であるかどうかが判定される。当該経過時間は、マーカー130の形状に対応する形状が熱画像に含まれていない時間、に等しい。経過時間が閾時間T0未満である場合には、シートベルトBTが着用されていないとの判定を行うことなく、図3に示される一連の処理を終了する。
このため、シートベルトBTは着用されているにも拘らず、マーカー130からの遠赤外線が熱画像カメラ120に一時的に到達しなくなっているような場合において、シートベルトBTの着用状態について誤判定されてしまうことが防止される。
ステップS10において、経過時間が閾時間T0以上である場合には、ステップS11に移行する。ステップS11に移行したということは、マーカー130の温度を変化させてもマーカー130が検出されず、更に、閾時間T0だけ待ってもマーカー130が検出されなかったということである。従って、ステップS11では、シートベルトBTが着用されていないとの判定がなされる。
ステップS11に続くステップS12では、判定部111から空調制御部112に信号が送信される。空調制御部は、判定部111からの信号に基づいて、空調装置200からシートベルトBTに向かう風量を減少させる。これにより、空調装置200の状態が、ステップS09よりも前における状態に戻される。
ステップS12に続くステップS13では、判定部111が警告ランプ300を点灯させる。既に警告ランプ300が点灯していた場合には、当該状態がそのまま継続される。ステップS12の処理が終わると、図3に示される一連の処理を終了する。
以上に説明したように、本実施形態に係るシートベルト装置100は、乗員Mを座席STに固定するシートベルトBTと、シートベルトBTの表面上に形成されており、遠赤外線に対するその放射率がシートベルトBTの表面の放射率とは異なっているマーカー130と、座席STに着座した乗員Mが含まれる熱画像を生成する熱画像カメラ120と、熱画像に基づいてシートベルトBTの着用状態を判定する判定部111と、を備えている。
判定部111による判定は、シートベルトBTの表面、及び、マーカー130の表面から到達する遠赤外線に基づいて行われる。このため、シートベルトBTの着用状態を判定することを目的として、赤外線をシートベルトBTに照射する赤外線素子を設ける必要が無い。
また、シートベルト装置100の熱画像カメラ120は、シートベルトBTの着用状態を検知するためのものであるが、着衣CLの表面温度を検知するためのものでもある。換言すれば、本実施形態に係るシートベルト装置100は、空調を適切に行うために車両に設けられている熱画像カメラ120を、シートベルトBTの着用状態を検知するためにも用いている、ということができる。このように、1台の熱画像カメラ120が様々な目的のために利用されている結果、車両全体の部品点数が抑制されている。
ところで、シートベルトBTが着用されていないときにおいて、乗員Mの腹部における円形の領域、すなわち、マーカー130の形状と略等しい領域の全体にたまたま直射日光が入射したような場合には、シートベルトBTが着用されているとの誤判定がなされる可能性がある。
そこで、判定部111は、マーカー130の形状に対応する形状が熱画像に所定数以上含まれているときにのみ、シートベルトBTが着用されていると判定する。シートベルト装置100では、上記の所定数として1よりも大きな数(本実施形態では「2」)が設定されている。
このため、マーカー130の形状に対応する形状が熱画像に1つだけ含まれていたとしても、シートベルトBTが着用されているとは判定されない。その結果、シートベルトBTが着用されていないときにおいて、上記のような誤判定が生じる可能性は極めて低くなっている。
尚、マーカー130は、上記のように複数個形成されていてもよいのであるが、1個だけ形成されている態様であってもよい。この場合、図3のステップS05においては、熱画像において検出されたエッジの中に、マーカー130の形状に対応する形状が1つ含まれているか否かが判定されることとなる。ただし、本実施形態のようにマーカー130が複数個形成されている方が、誤判定防止の観点から望ましい。
判定部111は、マーカー130の形状に対応する形状が熱画像に所定数以上含まれていない状態が、閾時間T0以上継続したときにのみ、シートベルトBTが着用されていないと判定する。このため、シートベルトBTは着用されているにも拘らず、マーカー130からの遠赤外線が熱画像カメラ120に一時的に到達しなくなっているような場合において、シートベルトBTが着用されていないと誤判定してしまうことが防止される。
尚、マーカー130が1個だけ形成されている場合には、判定部111は、マーカー130の形状に対応する形状が熱画像に含まれていない状態が、閾時間T0以上継続したときに、シートベルトBTが着用されていないと判定することになる。
制御装置110は、車両の空調装置200を制御する空調制御部112を備えている。マーカー130の形状に対応する形状が熱画像に所定数以上含まれていないときには、空調制御部112が、マーカー130の温度を変化させるように空調装置200の動作を制御する。本実施形態では、上記の所定数として「2」が設定されている。所定数として1、又は3以上の数値が設定されていてもよい。
これにより、シートベルトBTの表面温度と、マーカー130からの遠赤外線に対応する温度とがたまたま一致してしまっているような場合であっても、マーカー130の形状に対応する形状を熱画像において生じさせることができる。その結果、シートベルトBTの着用状態の判定を正確に行うことができる。
尚、マーカー130が1個だけ形成されている場合には、マーカー130の形状に対応する形状が熱画像に含まれていないときに、空調制御部112が、マーカー130の温度を変化させるように空調装置200の動作を制御することになる。
本実施形態では、熱画像カメラ120による熱画像の生成、及び判定部111による判定、が繰り返し行われる。これにより、シートベルトBTの現時点における着用状態が、警告ランプ300により乗員Mに対してリアルタイムに報知される。
遠赤外線に対するマーカー130の放射率は、シートベルトBTの表面の放射率よりも低い。シートベルトBTの表面の放射率は概ね1であり、マーカー130の放射率はこれよりも小さな値となるので、熱画像におけるシートベルトBTとマーカー130とのコントラストをより明確なものとすることができる。その結果、図3のステップS04におけるエッジ検出をより確実に行うことができる。
マーカー130には、入射した遠赤外線を拡散反射させるための加工が施されている。このため、例えば特定のマーカー130の一部のみに直射日光が入射したような場合であっても、熱画像のうちマーカー130に対応する領域の温度は、当該領域の全体において均一なものとなる。その結果、図3のステップS04におけるエッジ検出、及びステップS04における判定を、いずれも確実に行うことができる。
シートベルトBTに形成された複数のマーカー130は、本実施形態のように互いに同一の形状であってもよいが、互いに異なる形状であってもよい。ただし、図3のステップS05における処理を簡略化するためには、本実施形態のようにマーカー130を互いに同一の形状とした方が望ましい。
マーカー130の形状は、本実施形態のように円形としてもよいのであるが、円形以外の形状としてもよい。図4には、それぞれのマーカー130aの形状を矩形とした場合の変形例が示されている。当該変形例におけるそれぞれのマーカー130aは、その長手方向が、シートベルトBTの長手方向に対して垂直となるように配置されている。また、マーカー130aは、シートベルトBTの長手方向に沿って等間隔に並ぶように配置されている。
また、マーカー130は、本実施形態のように1列に並ぶように配置されていてもよいのであるが、シートベルトBTの長手方向に沿って2列以上に並ぶように配置されていてもよい。図5には、それぞれのマーカー130bの形状を矩形とし、且つ2列に並ぶように配置した場合の変形例が示されている。当該変形例におけるそれぞれのマーカー130bは、その長手方向が、シートベルトBTの長手方向に対して平行となるように配置されている。また、各列においてマーカー130bは、シートベルトBTの長手方向に沿って等間隔に並ぶように配置されている。
このように2列以上に並べることにより、シートベルトBTに形成されるマーカー130bの個数を増やすことができる。その結果、例えば、図3のステップS05の処理において、シートベルトBTが着用されていると判定されるために必要なマーカー130bの個数、すなわち「所定数」を大きくすることができる。
以上においては、単一の座席STに設けられたシートベルトBTの着用状態を、熱画像カメラ120や制御装置110によって判定する方法について説明した。しかしながら、当該方法によれば、車両に設けられた複数の座席STについて、それぞれにおけるシートベルトBTの着用状態を同時に判定することができる。
つまり、1台の熱画像カメラ120、及び1台の制御装置110により、複数の座席STにおけるシートベルトBTの着用状態を同時に判定することができる。この場合、各座席STにおけるシートベルトBTの着用状態をそれぞれ区別して判定できるように、それぞれのシートベルトBTに形成されるマーカー130の形状を座席ST毎に異ならせることが望ましい。
マーカー130は、シートベルトBTの片面のみならず、両面に形成されていてもよい。つまり、シートベルトBTの表面と裏面の両方にマーカー130が形成されていてもよい。このような構成においては、シートベルトBTが裏返った状態で着用されてしまった場合にも、シートベルトBTの着用状態を判定することができる。
以上、具体例を参照しつつ本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。すなわち、これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、前述した各具体例が備える各要素およびその配置、材料、条件、形状、サイズなどは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
100:シートベルト装置
110:制御装置
111:判定部
112:空調制御部
120:熱画像カメラ
130,130a,130b:マーカー
200:空調装置
BT:シートベルト
ST:座席

Claims (15)

  1. 車両に備えられるシートベルト装置(100)であって、
    乗員(M)を座席(ST)に固定するシートベルト(BT)と、
    前記シートベルトの表面上に形成されており、遠赤外線に対するその放射率が前記シートベルトの表面の放射率とは異なっているマーカー(130)と、
    前記座席に着座した乗員が含まれる熱画像を生成する熱画像生成部(120)と、
    前記熱画像に基づいて前記シートベルトの着用状態を判定する判定部(111)と、を備えたシートベルト装置。
  2. 前記判定部は、前記マーカーの形状に対応する形状が前記熱画像に含まれているか否かに基づいて、前記シートベルトの着用状態を判定する、請求項1に記載のシートベルト装置。
  3. 遠赤外線に対する前記マーカーの放射率は、前記シートベルトの表面の放射率よりも低い、請求項2に記載のシートベルト装置。
  4. 前記マーカーには、入射した遠赤外線を拡散反射させるための加工が施されている、請求項2に記載のシートベルト装置。
  5. 前記熱画像生成部による前記熱画像の生成、及び前記判定部による判定、を繰り返し行う、請求項2に記載のシートベルト装置。
  6. 前記判定部は、前記マーカーの形状に対応する形状が前記熱画像に含まれているときに、前記シートベルトが着用されていると判定する、請求項5に記載のシートベルト装置。
  7. 前記判定部は、前記マーカーの形状に対応する形状が前記熱画像に含まれていない状態が、所定時間(T0)以上継続したときに、前記シートベルトが着用されていないと判定する、請求項5に記載のシートベルト装置。
  8. 前記車両の空調装置(200)を制御する空調制御部(112)を更に備えており、
    前記マーカーの形状に対応する形状が前記熱画像に含まれていないときには、前記空調制御部が、前記マーカーの温度を変化させるように前記空調装置の動作を制御する、請求項5に記載のシートベルト装置。
  9. 前記マーカーが複数形成されている、請求項2に記載のシートベルト装置。
  10. それぞれの前記マーカーの形状は互いに同一である、請求項9に記載のシートベルト装置。
  11. 前記熱画像生成部による前記熱画像の生成、及び前記判定部による判定、を繰り返し行う、請求項9に記載のシートベルト装置。
  12. 前記判定部は、前記マーカーの形状に対応する形状が前記熱画像に所定数以上含まれているときに、前記シートベルトが着用されていると判定する、請求項11に記載のシートベルト装置。
  13. 前記判定部は、前記マーカーの形状に対応する形状が前記熱画像に所定数以上含まれていない状態が、所定時間以上継続したときに、前記シートベルトが着用されていないと判定する、請求項11に記載のシートベルト装置。
  14. 前記車両の空調装置を制御する空調制御部を更に備えており、
    前記マーカーの形状に対応する形状が前記熱画像に所定数以上含まれていないときには、前記空調制御部が、前記マーカーの温度を変化させるように前記空調装置の動作を制御する、請求項11に記載のシートベルト装置。
  15. 前記所定数は1よりも大きな数であることを特徴とする、請求項12乃至14のいずれか1項に記載のシートベルト装置。
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