JP2017053760A - 薬品分散評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリマーと電子密度が近い薬品でも、ポリマー内における薬品の分散状態を評価できる薬品分散評価方法を提供する。【解決手段】溶媒抽出前後の高分子材料にX線散乱測定又は中性子散乱測定を実施し、溶媒抽出前の散乱強度曲線から溶媒抽出後の散乱強度曲線を減算することにより、高分子材料に含まれる抽出溶媒に可溶な薬品の分散状態を評価する薬品分散評価方法。【選択図】なし

Description

本発明は、高分子材料に含まれる抽出溶媒に可溶な薬品の分散状態を評価する薬品分散評価方法に関する。
ゴム材料などの高分子材料において、エネルギーロス、耐チッピング性能、耐摩耗性能等の各種物性は、製品の様々な特性に影響を及ぼす重要な物理量であり、例えば、ゴム製品のタイヤでは、エネルギーロスは燃費性能やグリップ性能に、耐チッピング性能や耐摩耗性能はタイヤ寿命に密接に関係している。
ゴム製品の各種物性は、一般にゴム中に含まれる薬品の分散状態が影響すると考えられているため、薬品の分散状態を評価する種々の方法が検討されている。例えば、特許文献1には、X線散乱測定や中性子散乱測定を用いて、充填剤の分散状態から高分子材料のエネルギーロスを評価する方法が開示されている。
これは、ゴム等のポリマーの電子密度と、シリカ、カーボンブラック等の充填剤の電子密度に有意差が存在し(電子密度差Δρ>0.5g/cm)、ポリマー由来の散乱を無視できるため、評価可能となる方法である。
一方、ポリマーとの電子密度差が小さい(0<Δρ≦0.5g/cm)薬品の分散状態については、薬品由来の散乱とポリマー由来の散乱を区別できないため、同様の手法での評価は難しい。従って、ポリマーと電子密度が近い薬品の分散状態を評価する方法の提供が望まれている。
国際公開第2013/065405号
本発明は、前記課題を解決し、電子密度がポリマーに近い薬品でも、ポリマー内の薬品の分散状態の評価が可能な薬品分散評価方法を提供することを目的とする。
本発明は、溶媒抽出前後の高分子材料にX線散乱測定又は中性子散乱測定を実施し、溶媒抽出前の散乱強度曲線から溶媒抽出後の散乱強度曲線を減算することにより、高分子材料に含まれる抽出溶媒に可溶な薬品の分散状態を評価する薬品分散評価方法に関する。
前記抽出溶媒に可溶な薬品は、有機化合物であることが好ましい。
前記抽出溶媒に可溶な薬品は、加硫促進剤及び/又は加工助剤であることが好ましい。
本発明によれば、溶媒抽出前後の高分子材料にX線散乱測定又は中性子散乱測定を実施し、溶媒抽出前の散乱強度曲線から溶媒抽出後の散乱強度曲線を減算することにより、高分子材料に含まれる抽出溶媒に可溶な薬品の分散状態を評価する薬品分散評価方法であるため、電子密度がポリマーに近い薬品でも、ポリマー内の薬品の分散状態の評価が可能である。
SAXS測定により得られた溶媒抽出前の散乱強度曲線の一例。 SAXS測定により得られた溶媒抽出後の散乱強度曲線の一例。 図1の散乱強度曲線から図2の散乱強度曲線を減算して得られた薬品の散乱強度曲線の一例。 減算して得られた散乱強度曲線をカーブフィッティングした図の一例。
本発明は、溶媒抽出前後の高分子材料にX線散乱測定又は中性子散乱測定を実施し、溶媒抽出前の散乱強度曲線から溶媒抽出後の散乱強度曲線を減算することにより、高分子材料に含まれる抽出溶媒に可溶な薬品の分散状態を評価する薬品分散評価方法である。
ゴム等のポリマー、充填剤や他の添加剤等の薬品を含む高分子材料内の薬品の分散状態に関し、本発明では、先ず、溶媒抽出前の高分子材料のX線散乱測定や中性子散乱測定を行って溶媒抽出前の散乱強度曲線を得ると共に、該高分子材料に溶媒抽出を施し、該溶媒に可溶な薬品を溶出・除去した溶媒抽出後の高分子材料も同様に測定して溶媒抽出後の散乱強度曲線を得る。次いで、得られた溶媒抽出前の散乱強度曲線から溶媒抽出後の散乱強度曲線を減算する(差し引く)ことで、溶媒抽出により溶出・除去された抽出溶媒に可溶な薬品由来の散乱強度曲線が得られる。そして、得られた曲線に基づいて、抽出溶媒に可溶な薬品の高分子材料内の分散状態を評価できる。従って、従来の単なる高分子材料のX線散乱測定や中性子散乱測定では、ポリマー由来、薬品由来の両方の情報を含む情報が得られ、いずれかを選択的に取得できないが、本発明により、薬品由来の情報(散乱)のみを得ることが可能になる。
また、抽出溶媒に可溶な薬品の高分子材料内の分散状態に基づいて、例えば、該薬品が凝集して形成されたクラスターの慣性半径Rgを算出することで、引張弾性率、エネルギーロス、破断時伸び、破断時強度等の特性を評価することも可能である。
本発明の評価方法では、先ず、溶媒抽出前の高分子材料、溶媒抽出後の高分子材料のそれぞれについて、X線散乱測定又は中性子散乱測定が行われる。これにより、溶媒抽出前の散乱強度曲線、溶媒抽出後の散乱強度曲線が得られる。
高分子材料を構成する高分子(ポリマー)としては、1種類以上の共役ジエン系化合物を用いて得られるゴム、該ゴムと1種類以上の樹脂とが複合された複合材料が挙げられる。共役ジエン系化合物としては特に限定されず、イソプレン、ブタジエンなどの公知の化合物が挙げられる。
ゴムとしては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム(X−IIR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)などの二重結合を有するポリマーが挙げられる。樹脂としては特に限定されず、例えば、ゴム工業分野で汎用されているものが挙げられ、例えば、C5系脂肪族石油樹脂、シクロペンタジエン系石油樹脂などの石油樹脂が挙げられる。なお、ゴム、複合材料などのポリマーは、水酸基、アミノ基などの変性基を1つ以上含むものでもよい。
本発明では、高分子材料として、抽出に用いる溶媒に可溶な薬品を含むものが使用される。
抽出溶媒に可溶な薬品としては、加硫促進剤、加工助剤等の有機化合物が挙げられる。なお、本発明において、溶媒に可溶な薬品とは、溶解度(25℃で、溶媒100gに溶ける薬品の質量(g))が0.001(g/100g)以上の化合物である。
加硫促進剤としては、例えば、スルフェンアミド系、チアゾール系、チウラム系、チオウレア系、グアニジン系、ジチオカルバミン酸系、アルデヒド−アミン系若しくはアルデヒド−アンモニア系、イミダゾリン系、キサンテート系加硫促進剤が挙げられる。
スルフェンアミド系加硫促進剤としては、CBS(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)、TBBS(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)、N−オキシエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N’−ジイソプロピル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N,N−ジシクロヘキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド等が挙げられる。チアゾール系加硫促進剤としては、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアゾリルジスルフィド等が挙げられる。チウラム系加硫促進剤としては、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド等が挙げられる。グアニジン系加硫促進剤としては、ジフェニルグアニジン(DPG)、ジオルトトリルグアニジン、オルトトリルビグアニジン等が挙げられる。
加工助剤としては、例えば、脂肪酸金属塩、脂肪酸アミド、アミドエステル、シリカ表面活性剤、脂肪酸エステル、脂肪酸金属塩とアミドエステルとの混合物、脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。
脂肪酸金属塩を構成する脂肪酸としては、特に限定されないが、飽和又は不飽和脂肪酸(好ましくは炭素数6〜28の飽和又は不飽和脂肪酸)が挙げられ、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、ネルボン酸等が挙げられる。一方、脂肪酸金属塩を構成する金属としては、例えば、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属、マグネシウム、カルシウム、バリウム等のアルカリ土類金属、亜鉛、ニッケル、モリブデン等が挙げられる。
脂肪酸アミドとしては、飽和脂肪酸アミドでも不飽和脂肪酸アミドでもよい。飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、N−(1−オキソオクタデシル)サルコシン、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド等が挙げられる。不飽和脂肪酸アミドとしては、例えば、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド等が挙げられる。
脂肪酸金属塩と脂肪酸アミドとの混合物の具体例としては、脂肪酸カルシウムと脂肪酸アミドとの混合物等が挙げられる。
高分子材料は、抽出溶媒に可溶な薬品以外の他の薬品を含んでもよい。
他の薬品としては、充填剤、シランカップリング剤、酸化亜鉛、ステアリン酸、各種老化防止剤、オイル、ワックス、加硫剤(硫黄等)、架橋剤(パーオキサイド等)などが挙げられる。
充填剤としては、カーボンブラック、シリカ;mM・xSiO・zHO(式中、Mはアルミニウム、カルシウム、マグネシウム、チタン及びジルコニウムよりなる群より選択された少なくとも1種の金属、又は該金属の酸化物、水酸化物、水和物若しくは炭酸塩を示し、mは1〜5、xは0〜10、yは2〜5、zは0〜10の範囲の数値を示す。)、などが挙げられる。
上記mM・xSiO・zHOで表される充填剤の具体例としては、水酸化アルミニウム(Al(OH))、アルミナ(Al、Al・3HO(水和物))、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・HO)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO、Al(SiO・5HOなど)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiO)、水酸化カルシウム(Ca(OH))、酸化カルシウム(CaO)、ケイ酸カルシウム(CaSiO)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))、酸化マグネシウム(MgO)、タルク(MgO・4SiO・HO)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、チタン白(TiO)、チタン黒(Ti2n−1)などが挙げられる。
高分子材料は、公知の混練方法などを用いて製造できる。高分子材料としては、例えば、タイヤ用ゴム材料等が挙げられる。
本発明では、溶媒抽出を行う前の前述の高分子材料について、X線散乱測定又は中性子散乱測定が行われる。
X線散乱測定として、高分子材料にX線を照射し散乱強度を測定するSAXS(Small−Angle X−ray Scattering小角X線散乱(散乱角:通常10度以下))測定を好適に採用できる。なお、小角X線散乱では、X線を物質に照射して散乱するX線のうち散乱角が小さいものを測定して物質の構造情報が得られ、高分子材料のミクロ相分離構造など、数ナノメートルレベルでの規則構造を分析できる。
SAXS測定から詳細な分子構造情報を得るためには、高いS/N比のX線散乱プロファイルを測定できることが望ましい。そのため、シンクロトロンから放射されるX線は、少なくとも1010(photons/s/mrad/mm/0.1%bw)以上の輝度を有することが好ましい。尚、bwはシンクロトロンから放射されるX線のband widthを示す。このようなシンクロトロンの例として、財団法人高輝度光科学研究センター所有の大型放射光施設SPring−8のビームラインBL40B2が挙げられる。
上記X線の輝度(photons/s/mrad/mm/0.1%bw)は、好ましくは1010以上、より好ましくは1012以上である。上限は特に限定されないが、放射線ダメージがない程度以下のX線強度を用いることが好ましい。
また、上記X線の光子数(photons/s)は、好ましくは10以上、より好ましくは10以上である。上限は特に限定されないが、放射線ダメージがない程度以下のX線強度を用いることが好ましい。
中性子散乱測定として、高分子材料に中性子線を照射し散乱強度を測定するSANS(Small−Angle Neutron Scattering 小角中性子散乱(散乱角:通常10度以下))測定を好適に採用できる。なお、小角中性子散乱では、中性子線を物質に照射して散乱する中性子線のうち、散乱角が小さいものを測定することで物質の構造情報が得られ、高分子材料のミクロ相分離構造など、数ナノメートルレベルでの規則構造を分析できる。
SANS測定では、公知の磁気構造や重水素化法を利用した方法を用いることができる。重水素化法を採用する場合、例えば、高分子材料を重水素化溶媒により膨潤化し、重水素溶媒中で平衡状態にある高分子材料に中性子線を照射し、散乱強度を測定することができる。ここで、高分子材料を膨潤させる重水素化溶媒としては、重水、重水素化ヘキサン、重水素化トルエン、重水素化クロロホルム、重水素化メタノール、重DMSO((DC)S=O)、重水素化テトラヒドロフラン、重水素化アセトニトリル、重水素化ジクロロメタン、重水素化ベンゼン、重水素化N,N−ジメチルホルムアミドなどが挙げられる。
SANSなどの中性子散乱測定に使用される中性子線は、独立行政法人日本原子力研究開発機構所有のJRR−3研究炉のビームラインSANS−J、KOREAN ATOMIC ENERGY RESEARCH INSTITUTE (KAERI)のHANARO 40m SANSなどを使用して得られる。
SAXS測定と同様に、高いS/N比の中性子散乱プロファイルが得られるという点から、上記中性子線の中性子束強度(neutrons/cm/s)は、好ましくは10以上、より好ましくは10以上である。上限は特に限定されないが、放射線ダメージがない程度以下の中性子束強度を用いることが好ましい。
高分子材料のより微細な分子構造を測定する必要があるという点から、上記X線又は中性子線を用いて、下記(式1−1)で表されるqが10nm−1以下の領域で測定することが好ましい。前記q(nm−1)の領域は、数値が大きくなるほどより小さな情報が得られる点から望ましいので、該qの領域は、20nm−1以下であることがより好ましい。
Figure 2017053760
SAXS測定において散乱するX線は、X線検出装置によって検出され、該X線検出装置からのX線検出データを用いて画像処理装置などによって画像が生成される。
X線検出装置としては、例えば、2次元検出器(X線フィルム、原子核乾板、X線撮像管、X線蛍光増倍管、X線イメージインテンシファイア、X線用イメージングプレート、X線用CCD、X線用非晶質体など)、ラインセンサー1次元検出器を使用できる。分析対象となる高分子材料の種類や状態などにより、適宜X線検出装置を選択すればよい。
画像処理装置としては、X線検出装置によるX線検出データに基づき、通常のX線散乱画像を生成できるものを適宜使用できる。
SANS測定でもSAXS測定と同様の原理により測定可能であり、散乱する中性子線を中性子線検出装置により検出し、該中性子線検出装置からの中性子線検出データを用いて画像処理装置などによって画像が生成される。ここで、前記と同様、中性子線検出装置としては、公知の2次元検出器や1次元検出器、画像処理装置としては、公知の中性子線散乱画像を生成できるものを使用でき、適宜選択すればよい。前述の測定により、溶媒抽出前の散乱強度曲線が得られる。
図1は高分子材料(溶媒抽出前)の具体的なSAXS測定結果を示したものであり、下記配合の溶媒抽出前の加硫ゴム材料(試料)について、SAXS測定を実施し、得られた散乱強度曲線を示している。試料の製法、SAXSの評価方法は、以下のとおりである。
(配合)
ポリマー :100質量部(IR2200、日本ゼオン製)
架橋剤 :2質量部(5%油入り硫黄、軽井沢硫黄製)
加硫促進剤 :2質量部(サンセラーCZ(N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド)、三新化学工業製)
〔試料の製造方法〕
上記配合処方にしたがい、バンバリー混練機及びロール混練機にて混練し、次いで、混練した材料を170℃で20分間プレス成型して加硫ゴム材料(試料)を得た。
〔SAXS測定〕
厚み約1mmのプレート状試料(成型品)をサンプルホルダーに取り付け、室温にて試料にX線を照射し、SAXS測定による散乱強度曲線I(q)を得た。
(SAXS装置)
SAXS:財団法人高輝度光科学研究センター所有の大型放射光施設SPring−8のビームラインBL40B2付属のSAXS測定装置
(測定条件)
X線の輝度:5×1012photons/s/mrad/mm/0.1%bw
X線の光子数:2×10photons/s
X線のエネルギー:8keV
試料から検出器までの距離:3m
(検出器)
イメージング・インテンシファイアー及びCCDカメラ
本発明では、前述の溶媒抽出前の高分子材料の測定に加え、溶媒抽出後の高分子材料のX線散乱測定又は中性子散乱測定が行われる。
溶媒抽出としては、公知の方法を実施でき、例えば、ソックスレー抽出器等の抽出器具を用いて溶媒抽出を実施する方法(ソックスレー抽出など)が挙げられる。
ソックスレー抽出としては、JISK6229に準じたソックスレー抽出法による抽出操作などを実施できる。例えば、ソックスレー抽出器の最下部に設けた抽出フラスコに溶媒(溶剤)を満たし、中間部分に設けた紙又は焼結ガラス製容器内に、適当な大きさの試験片に調製した所定量の高分子材料を入れ、最上部に冷却管を結合することにより、実施できる。
ソックスレー抽出などの抽出時間は、抽出溶媒に可溶な薬品を溶出させ、ポリマーの化学状態を変化させない時間であれば特に限定されず、本発明に適用する高分子材料の構成成分などに応じて適宜設定すればよい。例えば、ソックスレー抽出の抽出時間を8〜72時間とすることができる。
抽出溶媒としては、ポリマーに浸透し、かつポリマーそのものの内部構造を変化させないもので、抽出される薬品の溶出が可能なものを適宜選択すればよく、各種有機溶媒等を好適に使用できる。
有機溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等の1価アルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等の多価アルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等の鎖状及び環状エーテル類;ポリエチレングリコール等のポリエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、石油エーテル等の炭化水素類;ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素類;N,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)等が挙げられる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
加硫促進剤、加工助剤等の抽出溶媒可溶性の薬品が溶出・除去された溶媒抽出後の高分子材料のX線散乱測定、中性子散乱測定は、前記と同様に実施でき、それにより、溶媒抽出後の散乱強度曲線が得られる。
図2は高分子材料(溶媒抽出後)の具体的なSAXS測定結果を示したものであり、上記配合の溶媒抽出後の加硫ゴム材料(試料)について、SAXS測定を実施し、得られた散乱強度曲線を示している。試料の製法、SAXSの評価方法は、前記と同様である。
本発明では、次に、得られた溶媒抽出前の散乱強度曲線から溶媒抽出後の散乱強度曲線を減算する。具体的には、下記式により算出する。
(抽出溶媒に可溶な薬品由来の散乱)
=(抽出前の高分子材料の散乱)−(抽出後の高分子材料の散乱)
図3は溶媒抽出前後の散乱強度曲線を減算した具体的なSAXS測定結果を示したものであり、図1の溶媒抽出前の散乱強度曲線から、図2の溶媒抽出後の散乱強度曲線を減算することにより(差し引くことにより)、得られた抽出溶媒に可溶な薬品(溶媒抽出により溶出・除去された薬品)の散乱強度曲線を示している。この場合、硫黄は架橋に使用されてなくなるため、加硫促進剤の分散状態のみを選択的に観察できる。
本発明では、前述のようにして得られた抽出溶媒に可溶な薬品の散乱強度曲線を用いて、高分子材料(未処理:溶媒抽出前)中に含まれる、抽出溶媒に可溶な薬品の分散状態が評価される。
詳細には、先ず、溶媒抽出前の高分子材料に小角散乱測定等を行うことで、測定に供した高分子材料(高分子材料中の薬品とポリマーのそのもの)の構造のサイズと量の情報が得られる。次に、この高分子材料を前記抽出溶媒で抽出操作することで、該溶媒に可溶な薬品が除去され、更に、該薬品を除去した後の高分子材料に小角散乱測定等を行うことで、ポリマーそのもの(抽出溶媒に可溶な薬品を除去した高分子材料)の構造の情報のみを得ることができる。そして、上記式により、抽出溶媒に可溶な薬品由来のサイズと量のみが得られ、これに基づいて、高分子材料内の抽出溶媒に可溶な薬品の分散状態を評価できる。
なお、図1〜3では、SAXS測定の例を示しているが、SANS測定でも同様に評価可能である。
また、カーボンブラック、シリカ、酸化亜鉛等の無機物、すなわち、抽出溶媒に不要な薬品は、本発明の方法では分散状態を評価できないが、電子密度差がポリマーに対して十分な有意差を有しているため(Δρ>0.5g/cm)、高分子材料のX線散乱測定や中性子散乱測定により、分散評価が可能である。従って、この測定や本発明の方法により、高分子材料内の無機物や抽出溶媒に可溶な有機化合物の分散状態を評価することが可能となる。
更に本発明では、抽出溶媒に可溶な薬品の散乱強度曲線や、それに基づいて得られた高分子材料(未処理:溶媒抽出前)中に含まれる抽出溶媒に可溶な薬品の分散状態を用いて、引張弾性率、エネルギーロス、破断時伸び、破断時強度等の特性を評価することも可能である。
例えば、SAXS測定やSANS測定を用い、溶媒抽出前後の散乱強度曲線を減算して得られた抽出溶媒に可溶な薬品の散乱強度曲線を以下の方法で解析し、慣性半径(Rg1)を求めることができる。
図3の散乱強度曲線I(q)に対して、下記(式1−2)及び(式1−3)を用いてカーブフィッティングを行い、フィッティングパラメーターを最小2乗法で求める。
Figure 2017053760
図4は、減算して得られた散乱強度曲線にカーブフィッティングを行った図を示している。求められたフィッティングパラメーターのうち、Rg1が数nm〜数十nmのサイズの分子構造の慣性半径であり、前記薬品が凝集して形成されたクラスター(散乱体)の慣性半径がRg1に相当すると推定される。そして、慣性半径Rg1と、引張弾性率、エネルギーロス、破断時伸び、破断時強度に相関性があるため、これらの特性を評価することも可能となる。

Claims (3)

  1. 溶媒抽出前後の高分子材料にX線散乱測定又は中性子散乱測定を実施し、溶媒抽出前の散乱強度曲線から溶媒抽出後の散乱強度曲線を減算することにより、高分子材料に含まれる抽出溶媒に可溶な薬品の分散状態を評価する薬品分散評価方法。
  2. 前記抽出溶媒に可溶な薬品が有機化合物である請求項1記載の薬品分散評価方法。
  3. 前記抽出溶媒に可溶な薬品が加硫促進剤及び/又は加工助剤である請求項1又は2記載の薬品分散評価方法。
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