JP2017053477A - トルクコンバータ - Google Patents

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Abstract

【課題】溶接によらず油室を封止して、溶接熱による歪みや溶接スパッタの混入を防止できるトルクコンバータを提供する。【解決手段】フロントカバー(2)には、第1ネジ部(2a)が形成され、インペラシェル(3)には、第2ネジ部(3a)が形成され、第1ネジ部(2a)と第2ネジ部(3a)とが螺合されることでフロントカバー(2)とインペラシェル(3)とが連結され、第1ネジ部(2a)と第2ネジ部(3a)とが螺合された状態で、フロントカバー(2)とインペラシェル(3)との相対位置を固定するピン(20)が嵌装される。【選択図】図2

Description

本発明は、トルクコンバータの構造に関する。
トルクコンバータは、フロントカバーとインペラシェルとが接合されて形成される油室に、インペラブレード、タービンランナ及びステータからなる3種の羽根により、回転を伝達するものである。
従来、フロントカバーとインペラシェルとは、溶接により接合することが一般的であった。しかしながら、トルクコンバータの全周に渡って溶接を行なうと、溶接時の熱による歪みが発生し、これを後加工で修正することが困難であるという問題があり、特に軸方向の寸法精度が低下するという問題があった。さらに、溶接時のスパッタがトルクコンバータ内に混入することにより、トルクコンバータの品質が低下するという問題があった。
このような問題に対して、フロントカバーとインペラシェルとを螺合構造とした上で、これらを部分的に溶接するトルクコンバータ(引用文献1参照)が開示されている。
特開平05−203015号公報
特許文献1に記載の技術では、フロントカバーとインペラシェルとを螺合し、部分的に溶接が行なわれているが、溶接熱による歪み発生や、作動油の熱や作動油の油圧によるフロントカバーとインペラシェルとの膨張によって、螺合部分の隙間が拡大し作動油が漏れ出す可能性があるという問題がある。これに対して、シール等を設けて油室を封止する構成も考えられるが、溶接時の熱によりシールが損傷する可能性があり、油室を完全に封鎖することが難しいという問題があった。
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたものであり、溶接によらず油室を封止して、溶接熱による歪みや溶接スパッタの混入を防止できるトルクコンバータを提供することを特徴とする。
本発明の一実施態様によると、駆動力源の回転が入力されるフロントカバーと、フロントカバーに固定され、フロントカバーとで油室を形成するインペラシェルと、を備えるトルクコンバータであって、フロントカバーには、第1ネジ部が形成され、インペラシェルには、第2ネジ部が形成され、第1ネジ部と第2ネジ部とが螺合されることでフロントカバーとインペラシェルとが連結され、第1ネジ部と第2ネジ部とが螺合された状態で、フロントカバーとインペラシェルとの相対位置を固定するピンが嵌装される、ことを特徴とする。
上記態様によると、フロントカバーとインペラシェルとが螺合された状態でピンによりフロントカバーとインペラシェルとの相対位置を固定するので、溶接を行なうことなく、溶接の熱による歪みを発生させることがないので、油室を封止することができる。
本発明の実施形態のトルクコンバータの説明図である。 本発明の実施形態のトルクコンバータの接合部分の説明図である。 本発明の実施形態のトルクコンバータの接合部分の説明図である。 本発明の実施形態のトルクコンバータの接合部分の説明図である。 本発明の実施形態のトルクコンバータの接合部分の説明図である。 本発明の実施形態のトルクコンバータの接合部分の説明図である。
以下に、本発明の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態のトルクコンバータ1の説明図である。
トルクコンバータ1は、フロントカバー2及びインペラシェル3とからなる油室4と、インペラブレード5と、タービンランナ6と、ステータ7とを備える。
トルクコンバータ1は、フロントカバー2とインペラシェル3とが連結されて構成される油室4から構成される。油室4は、円筒状かつ軸方向に膨出した形状を有し、内部に作動油が満たされる。
フロントカバー2は複数のボス12を備える。ボス12には図示しないエンジン等の駆動源の駆動軸が連結され、回転が伝達される。インペラシェル3は、フロントカバー2に連結されてフロントカバー2と一体に回転する。インペラシェル3の内周にはインペラブレード5が備えられる。
タービンランナ6には、作動油を介してインペラブレード5の回転トルクが伝達される。ステータ7は、タービンランナ6からの流れをインペラブレード5の入口に導くと共に、タービンランナ6から受ける反力に応じてトルク増幅作用を発生させる。タービンランナ6の回転は、図示しない出力軸に伝達される。
フロントカバー2は、鉄又は鉄を主体とした合金により形成される。インペラシェル3は、アルミニウム又はアルミニウムを主体とした合金により形成される。
フロントカバー2は、駆動源の回転を受けるボス12が例えば溶接により固定されるため、強度が高い材質を用いることが好適である。一方で、インペラシェル3は、インペラブレード5を支える強度さえあればよく、後述するように、加工性がよく、フロントカバー2よりも大きな膨張率を有する材質を用いることが好適である。
このように構成されたトルクコンバータ1において、次に、フロントカバー2とインペラシェル3との固定構造を説明する。
図2は、本実施形態のフロントカバー2とインペラシェル3との固定部分の説明図であり、図1の要部Aの拡大図である。
フロントカバー2とインペラシェル3とにはそれぞれ雌ネジ部2a(第1ネジ部)と雄ネジ部3a(第2ネジ部)が形成されており、フロントカバー2とインペラシェル3とは、雌ネジ部2aと雄ネジ部3aとが螺合されて連結される。
フロントカバー2の端部には、雌ネジ部2aよりも端部側に突き当たり部2bが形成される。インペラシェル3の端部には、雄ネジ部3aよりも端部側に溝部3bが形成され、雄ネジ部3aよりも手前側に受け部3cが形成される。
フロントカバー2とインペラシェル3とは、雌ネジ部2aに雄ネジ部3aがねじ込まれ、フロントカバー2の突き当たり部2bと受け部3cとが当接することにより、フロントカバー2とインペラシェル3との位置関係が決定される。
溝部3bには、油室4内の作動油の漏出を防止するための作動油封止部材であるOリング3dが嵌装される。Oリング3dは、油室4内部の作動油を密閉する。
フロントカバー2とインペラシェル3とは、前述のように異なる材質で形成される。特にインペラシェル3の材質をフロントカバー2よりも熱膨張率が大きい材質とすることで、油室4内の作動油の温度上昇により、インペラシェル3の雄ネジ部3aが外側のフロントカバー2の雌ネジ部2aに対して径方向外側に膨張するので、フロントカバー2とインペラシェル3との螺合部分での隙間を縮小ないし密着させることができ、作動油の漏れを防止することができる。
さらに、インペラシェル3は、前述のように材質をアルミニウム合金とすることで熱膨張率をフロントカバー2よりも大きくできるだけでなく、例えば鋳造やダイカスト等により形成することでその外形や肉厚の自由度が高まる。これにより、溝部3b等の外形構造を容易に形成することができる。
フロントカバー2とインペラシェル3との間には、周方向に複数のピン20が挿入される。
図3は、本実施形態のフロントカバー2とインペラシェル3との固定部分の説明図であり、ピン20の説明図である。
ピン20は、フロントカバー2の周方向に複数設けられたピン孔部21と、ピン孔部21に対応する位置でインペラシェル3に複数設けられたピン凹部22とに挿入される。
ピン20は、円筒形状を有し、軸方向の端部において端部に向かって徐々に縮径された形状を有する。
ピン20は、フロントカバー2のピン孔部21を貫通してインペラシェル3のピン凹部22へと嵌装される。ピン20がフロントカバー2とインペラシェル3とに嵌装されることで、フロントカバー2とインペラシェル3との相対位置が固定され、フロントカバー2とインペラシェル3との螺合方向の位置関係が変位して螺合が緩むこと、及び、熱膨張によりフロントカバー2とインペラシェル3との軸方向の位置関係が変位することが防止される。
ピン20をピン孔部21及びピン凹部22に嵌装した後に、フロントカバー2のピン孔部21付近で、かしめ等の方法により、ピン孔部21の開口部分を塑性変形させてピン孔部21の径を縮め、ピン20を抜け止めする。かしめの一例として、ピン孔部21の開口部分の近隣箇所にポンチやタガネ等で打ち込み跡21bを形成する。打ち込み跡21bはピン孔部21に対して一カ所ないし複数カ所であってもよいし、ピン孔部21の開口部分を一周に亘って形成してもよい。
ピン20、ピン孔部21及びピン凹部22は、フロントカバー2とインペラシェル3との周方向に1カ所ないし複数カ所設けられる。例えば周方向に等間隔で3カ所のピン20を備えるが、これよりも多い数のピン20を備えてもよい。
図4は、本実施形態のフロントカバー2とインペラシェル3との固定部分の別の例の説明図である。
図3においてフロントカバー2とインペラシェル3とをピン20により固定した。これに対して図4では、ピン20の代わりに小ネジ30により固定する例を示す。
図4において、小ネジ30は、フロントカバー2に設けられたピン孔部21に挿入され、ピン孔部21に対応する位置でインペラシェル3に設けられたネジ穴部23に螺合される。小ネジ30をピン孔部21及びネジ穴部23に嵌装した後に、フロントカバー2のピン孔部21付近を叩き、かしめ等の方法によりピン孔部21の開口部分を塑性変形させてピン孔部21の径を縮め、小ネジ30の抜け止めを行なう。
このように、小ネジ30によってフロントカバー2とインペラシェル3とを固定することで、フロントカバー2とインペラシェル3との間をより密着させることができる。
図5は、本実施形態のフロントカバー2とインペラシェル3との固定部分のさらに別の例の説明図である。
図3においてフロントカバー2とインペラシェル3とをピン20により固定した。これに対して図5では、ピン20の代わりにスプリングピン40により固定する例を示す。
スプリングピン40は、断面形状が略「C」形状であり、その径を拡大する方向に弾力を有する。スプリングピン40は、フロントカバー2に設けられたピン孔部21との間に径隙間を有し、これを貫通し、ピン孔部21に対応する位置でインペラシェル3に設けられたピン凹部22に圧入される。これによりスプリングピン40の弾力によりスプリングピン40がピン凹部22の内壁を押圧してピン凹部22に密着し、フロントカバー2とインペラシェル3とを固定する。
スプリングピン40をピン孔部21及びピン凹部22に嵌装した後に、フロントカバー2のピン孔部21付近を叩き、かしめ等の方法によりピン孔部21の開口部分を塑性変形させてピン孔部21の径を縮め、スプリングピン40の抜け止めを行なう。
このように、弾力を有するスプリングピン40がピン凹部22へと圧入されることで、スプリングピン40とピン凹部22の内壁とが隙間無く密着し、振動等によりスプリングピン40が摺動することがなくなり、スプリングピン40とピン凹部22との間が摩耗することが防止される。
さらに、油室4内部の作動油の圧力、又は、フロントカバー2とインペラシェル3との熱膨張差により、スプリングピン40の中心軸がピン孔部21の中心軸に対して斜めに変位する場合がある。この場合、スプリングピン40とピン孔部21との間に適切な径隙間が設けられていることで、スプリングピン40とピン孔部21との圧接が回避され、摩耗、損傷が防止できる。
図6は、本実施形態のフロントカバー2とインペラシェル3との固定部分の別の例の説明図である。
図6に示す例では、インペラシェル3の溝部3eがインペラシェル3の受け部3cに形成されている点で図2に示す例とは相違する。
このように、Oリング3dの位置を螺合部分より手前または後ろとすることで、油室4の構成に応じて、作動油の漏れをより効率的に防止することができる。
以上説明したように、本発明の実施形態は、駆動力源の回転が入力されるフロントカバー2と、フロントカバー2に固定され、フロントカバー2とで油室4を形成するインペラシェル3と、を備えるトルクコンバータ1であって、フロントカバー2には、第1ネジ部としての雌ネジ部2aが形成され、インペラシェル3には、第2ネジ部としての雄ネジ部3aが形成され、雌ネジ部2aと雄ネジ部3aとが螺合されることでフロントカバー2とインペラシェル3とが連結され、雌ネジ部2aと雄ネジ部3aとが螺合された状態で、フロントカバー2とインペラシェル3との相対位置を固定するピン(ピン20、小ネジ30又はスプリングピン40)が嵌装される。
本発明の実施形態は、このような構成により、フロントカバー2とインペラシェル3とを螺合により連結し、相対位置を固定するピンが嵌装されるので、溶接を行なうことなくフロントカバー2とインペラシェル3とを固定できるので、溶接の熱による歪みや溶接スパッタの混入を防止できる。これにより、溶接を行なうことなく、作動油が油室4から漏れることを防止できる。この効果は請求項1に対応する。
また、本発明の実施形態では、フロントカバー2とインペラシェル3との間に、作動油封止部材であるOリング3dが介装されるので、作動油が油室4から漏れることを防止できる。本実施形態では溶接を行なわないので、Oリング3dが熱による損傷をすることがない。この効果は請求項2に対応する。
また、本発明の実施形態では、第1ネジ部は雌ネジであり第2ネジ部は雄ネジであり、インペラシェル3は、フロントカバー2よりも熱膨張率が大きい材質(例えばアルミニウム合金)で形成されるので、油室4内の作動油の熱により、インペラシェル3がフロントカバー2より膨張することで、雄ネジ部3aが雌ネジ部2aの内周により密着するので、溶接を行なうことなく、作動油が油室4から漏れることを防止できる。この効果は請求項3に対応する。
また、本発明の実施形態では、ピン20は、フロントカバー2をかしめることによってピン凹部22及びピン孔部21内に閉じ込められるので、遠心力によりピン20が外れることが防止される。この効果は請求項4に対応する。
また、本発明の実施形態では、ピン(小ネジ30)はネジ構造を有し、インペラシェル3に螺合されて固定されるので、遠心力により小ネジ30が外れることが防止される。この効果は請求項5に対応する。
また、本発明の実施形態では、ピンはスプリングピン40であり、インペラシェル3に圧入されて固定されるので、遠心力によりスプリングピン40が外れることが防止される。この効果は請求項6に対応する。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一つを示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
本発明の実施形態では、溶接を行なわないことにより熱による歪みの影響を排除できることが特徴である。従って、雌ネジ部2aと雄ネジ部3aとの噛合い精度を高くして作動油の漏れを防止する螺合構造とすることができれば、Oリング3dを備えない構成であってもよいし、フロントカバー2とインペラシェル3とを同一の材質とする構成であってもよい。
本発明の実施形態では、フロントカバー2が雌ネジ部2aを有し、インペラシェル3が雄ネジ部3aを有し、インペラシェル3がフロントカバー2よりも熱膨張率が大きな材質により構成された例を示したが、これに限られない。フロントカバー2を雄ネジとし、インペラシェル3を雌ネジとした上で、フロントカバー2がインペラシェル3よりも熱膨張率が大きな材質としてもよい。
1 トルクコンバータ
2 フロントカバー
2a 雌ネジ部
2b 突き当たり部
3 インペラシェル
3a 雄ネジ部
3b 溝部
3c 受け部
3d Oリング
3e 溝部
4 油室
5 インペラブレード
6 タービンランナ
7 ステータ
12 ボス
20 ピン
21 ピン孔部
21b 打ち込み跡
22 ピン凹部
23 ネジ穴部
30 小ネジ
40 スプリングピン

Claims (6)

  1. 駆動力源の回転が入力されるフロントカバーと、前記フロントカバーに固定され、前記フロントカバーとで油室を形成するインペラシェルと、を備えるトルクコンバータであって、
    前記フロントカバーには、第1ネジ部が形成され、
    前記インペラシェルには、第2ネジ部が形成され、
    前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とが螺合されることで前記フロントカバーと前記インペラシェルとが連結され、
    前記第1ネジ部と前記第2ネジ部とが螺合された状態で、前記フロントカバーと前記インペラシェルとの相対位置を固定するピンが嵌装される、ことを特徴とするトルクコンバータ。
  2. 請求項1に記載のトルクコンバータであって、
    前記フロントカバーと前記インペラシェルとの間に、作動油封止部材が介装されることを特徴とするトルクコンバータ。
  3. 請求項1又は2に記載のトルクコンバータであって、
    前記第1ネジ部は雌ネジであり、前記第2ネジ部は雄ネジであり、
    前記インペラシェルは、前記フロントカバーよりも熱膨張率が大きい材質で形成されることを特徴とするトルクコンバータ。
  4. 請求項1から3のいずれか一つに記載のトルクコンバータにおいて、
    前記ピンは、前記フロントカバー又は前記インペラシェルをかしめることによって固定されることを特徴とするトルクコンバータ。
  5. 請求項1から4のいずれか一つに記載のトルクコンバータにおいて、
    前記ピンはネジ構造を有し、前記フロントカバー又は前記インペラシェルに螺合されて固定されることを特徴とするトルクコンバータ。
  6. 請求項1から4のいずれか一つに記載のトルクコンバータにおいて、
    前記ピンはスプリングピンであり、前記フロントカバー又は前記インペラシェルに圧入されて固定されることを特徴とするトルクコンバータ。
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