JP2017053018A - 硫化銅鉱の浸出方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ヨウ素イオンと、鉄(III)イオンとを含有する硫酸溶液を浸出液とする銅の浸出方法において、ヨウ素を分離回収し、使用される鉄(III)イオンを、鉱石を積層したヒープにより再生し、効率良く硫化銅鉱を浸出する方法を提供すること。
【解決手段】本発明は、ヨウ化物イオンと、鉄(III)イオンとを含有する硫酸溶液を浸出液として用いて硫化銅鉱から銅を浸出させる銅浸出工程と、前記銅浸出工程後に得られる溶液中のヨウ素を分離し、溶液中のヨウ素濃度を低減するヨウ素分離処理工程と、ヨウ素分離処理後の溶液を酸化する鉄酸化工程とを有し、鉄酸化工程で得られた溶液とヨウ素を含む水溶液とを用いて硫化銅鉱を浸出する硫化銅鉱の浸出方法であって、前記鉄酸化工程は、前記ヨウ素分離処理後の溶液を、鉱石を積層した積層物に散布することにより、当該ヨウ素処理後の溶液中で存在する、銅浸出により生じた鉄(II)イオンを酸化することを特徴とする硫化銅鉱の浸出方法である。
【選択図】図1

Description

本発明は、ヨウ化物イオンと、ヨウ化物イオンに対して過剰量の鉄(III)イオンとを含有する硫酸溶液を浸出液として用いて硫化銅鉱から銅を浸出させる硫化銅鉱の浸出方法に関し、より詳細には、前記浸出液が、前段の銅浸出後に得られる溶液からヨウ素を分離し、溶液中のヨウ素濃度を低減した後、ヨウ素分離後の溶液を酸化し、さらに当該酸化後の溶液にヨウ素を含む水溶液を添加して再生されたものである硫化銅鉱の浸出方法に関する。
一般に湿式製錬による硫化銅鉱の浸出形態としては、硫酸または塩酸を用いた回分攪拌反応による浸出形態、積層体を形成しその頂部から硫酸または塩酸を供給して重力により滴り落ちる液を回収する浸出形態(ヒープリーチング法)などが知られている。また、鉄酸化微生物などのバクテリアの力を借りて銅を効率よく浸出し、回収する方法(バイオリーチング)も知られている。
硫化銅鉱の湿式製錬は、輝銅鉱、銅藍等の二次硫化銅鉱に対してはバイオリーチング法などが実用化されている。しかしながら、黄銅鉱などの一次硫化銅鉱は鉱酸への溶解度が極めて低いため、常温で浸出を行うと浸出速度が非常に遅いという問題がある。
上述の問題に対して、特許第4565025号公報(特許文献1)および特許第4950257号公報(特許文献2)には、ヨウ化物イオンおよび酸化剤としての鉄(III)イオン共存下、常温において黄銅鉱や硫砒銅鉱を主体とする硫化銅鉱の浸出が促進されるという例が報告されている。この際、酸化剤として使用する鉄(III)イオンについては、浸出反応の結果得られる鉄(II)イオンを酸化して再供給できれば経済的に望ましい。また、浸出後液についても廃棄することなく浸出液として繰り返し利用することが経済的にも環境的にも望ましい。この鉄(II)イオンから鉄(III)イオンを再生する方法は種々あるが、マイルドな条件で行うことができ、かつ、コスト面で優れた鉄酸化微生物を用いる方法が好適である。しかしながら、この銅の浸出後液に含まれるヨウ素は鉄酸化微生物などに対して強い殺菌性を有するため、上述のヨウ素による銅浸出後液において、鉄酸化微生物を用いて鉄(III)イオンを再生することは困難という問題があった。
そこで、特許第5571416号公報(特許文献3)では、ヨウ化物イオンと、ヨウ化物イオンに対して過剰量の鉄(III)イオンとを含有する硫酸溶液を浸出液として硫化銅鉱から銅を浸出させる際、銅浸出工程後に得られる溶液を、活性炭処理によりヨウ素濃度を1mg/L未満まで低減させ、その後、銅を回収後の溶液中の鉄(II)イオンを鉄酸化微生物により鉄(III)イオンに酸化した後、鉄酸化後液とヨウ素を含む水溶液を混合し、硫化銅鉱の浸出液として利用することを特徴とする硫化銅鉱の浸出方法が提案されている。しかしながら、鉄酸化工程において、例えば特許第5296126号公報(特許文献4)に記載されたような鉄酸化微生物の増殖のために特別な培養装置が必要であったり、鉄酸化微生物の生育に影響のないように、殺菌性のあるヨウ素濃度を1mg/Lまで低下させなければならなかったりする問題があった。
特許第4565025号公報 特許第4950257号公報 特許第5571416号公報 特許第5296126号公報
上述したようにヨウ化物イオンを用いた硫化銅鉱から効率よく銅を浸出するには、ヨウ化物イオンと鉄(III)イオンを循環して利用することが望ましいが、鉄酸化工程において、鉄酸化微生物の増殖のために特別な装置が必要であったり、特別な鉄酸化微生物の生育に影響のないように、殺菌性のあるヨウ素濃度を1mg/Lまで低下させなければならなかったりする問題があった。
従って、本発明の課題は、上記のような事情に鑑み、ヨウ化物イオンを用いた浸出において実操業レベルで汎用性ある条件で、効率よくかつ簡便に鉄(III)イオンを再生しつつ硫化銅鉱から銅を浸出する方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、黄銅鉱や硫砒銅鉱を主体とする硫化銅鉱のヨウ素浸出における鉄(III)イオンの再生に際して、活性炭を用いてヨウ素を回収した後、銅鉱石を積層した銅浸出工程とは別に、鉱石を積層した積層物、例えばヒープもしくはダンプに通液することによって鉄(III)イオンの産生を可能になることを見出した。本発明はかかる知見により完成されたものである。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
(1)ヨウ化物イオンと、鉄(III)イオンとを含有する硫酸溶液を浸出液として用いて硫化銅鉱から銅を浸出させる銅浸出工程と、前記銅浸出工程後に得られる溶液中のヨウ素を分離し、溶液中のヨウ素濃度を低減するヨウ素分離処理工程と、ヨウ素分離処理後の溶液を酸化する鉄酸化工程とを有し、
鉄酸化工程で得られた溶液とヨウ素を含む水溶液とを用いて硫化銅鉱を浸出する硫化銅鉱の浸出方法であって、
前記鉄酸化工程は、前記ヨウ素分離処理後の溶液を、鉱石を積層した積層物に散布することにより、当該ヨウ素処理後の溶液中で存在する、銅浸出により生じた鉄(II)イオンを酸化することを特徴とする硫化銅鉱の浸出方法。
(2)前記ヨウ素分離処理後の溶液を酸化させる前に新規に鉄(II)イオンを添加する(1)に記載の硫化銅鉱の浸出方法。
(3)前記ヨウ素分離処理後の溶液を酸化するために散布する、鉱石を積層した積層物が、銅鉱石の浸出残渣を積層してなることを特徴とする(1)または(2)に記載の硫化銅鉱の浸出方法。
(4)前記ヨウ素分離処理後の溶液を酸化するために散布する、鉱石を積層した積層物に用いる鉱石の主成分がケイ酸塩鉱物であることを特徴とする(1)または(2)に記載の硫化銅鉱の浸出方法。
(5)前記ヨウ素分離処理後の溶液を散布する、鉱石を積層した積層物に用いる鉱石の80%通過粒子径が1cm以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の硫化銅鉱の浸出方法。
(6)前記ヨウ素分離処理後の溶液を散布する、鉱石を積層した積層物に、あらかじめもしくは散布中に、微生物を添加しないことを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の硫化銅鉱の浸出方法。
(7)前記ヨウ素分離処理後の溶液を散布する、鉱石を積層した積層物の体積を鉱石の80%通過粒子径で除した値aが、前記銅浸出工程において、硫化銅鉱鉱石を積層した積層物の体積を硫化銅鉱鉱石80%通過粒子径で除した値のbの0.1倍以上(a/b≧0.1)であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の硫化銅鉱の浸出方法。
本発明の方法によれば、
(1)黄銅鉱や硫砒銅鉱を含む硫化銅鉱から銅を常温にて効率よく浸出することができる。
(2)本発明の方法は、浸出液中にヨウ化物イオンと、ヨウ化物イオンと鉄(III)イオンとを含有する硫酸溶液を浸出液として用いる銅の浸出方法において、銅浸出のためのヨウ素の酸化に必要な酸化剤である鉄(III)イオンを特許文献3、4に記載されたような特別な培養装置等を使用することなく産生し、ヨウ素を含有する溶液と混合、もしくは別々に散布することによって、銅浸出工程において、硫化銅鉱溶解反応の触媒となるヨウ素(I2)または三ヨウ素イオン(I3 -)が再生されて常に供給される反応系となる。
(3)鉄酸化工程に銅浸出後の残渣や一般的な長石を主体とする鉱石を利用することで、鉄酸化のために特別な物質を使用する必要がないため、安価かつ簡便に鉄(III)イオンを産生できる。
(4)ヨウ素分離処理後液中のヨウ素濃度を10mg/L程度まで下げれば十分であり、従来のような厳密なヨウ素濃度管理が不要となる。
本発明において活性炭および鉱石を積層したヒープ(ダンプ)を使用した場合の処理フローを示す。 実施例1におけるフローを示す。 実施例1および比較例における銅浸出率推移を示す。 実施例1における残渣カラム前液の全Feイオン濃度、および残渣カラム前後液の鉄(III)イオン濃度推移を示す。 実施例2におけるフローを示す。 実施例2における浸出前後液中の全鉄中の鉄(III)イオン割合、銅イオン濃度、および鉄酸化ヒープ後液中の全鉄中の鉄(III)イオン割合を示す。 比較例における浸出後液中の全鉄中の鉄(III)イオン割合、および鉄酸化ヒープ後液中の全鉄中の鉄(III)イオン割合を示す。 鉄酸化処理工程におけるヨウ素イオン濃度と、鉄酸化比率との関係を示すグラフである。
本発明の硫化銅鉱からの銅の浸出方法は、ヨウ化物イオンと、鉄(III)イオンとを含有する硫酸溶液を浸出液として用いて硫化銅鉱から銅を浸出させる銅浸出工程と、前記銅浸出工程後に得られる溶液中のヨウ素を分離し、溶液中のヨウ素濃度を低減するヨウ素分離処理工程と、ヨウ素分離処理後の溶液を酸化する鉄酸化工程とを有し、
鉄酸化工程で得られた溶液とヨウ素を含む水溶液とを用いて硫化銅鉱を浸出する硫化銅鉱の浸出方法であって、
前記鉄酸化工程は、前記ヨウ素分離処理後の溶液を、鉱石を積層した積層物に散布することにより、当該ヨウ素処理後の溶液中で存在する、銅浸出により生じた鉄(II)イオンを酸化することを特徴とする。
本発明の方法の対象鉱である黄銅鉱または硫砒銅鉱を含有する硫化銅鉱は、黄銅鉱または硫砒銅鉱を主体とする硫化銅鉱であっても、黄銅鉱または硫砒銅鉱を一部に含有する硫化銅鉱であってもいずれでも良く、その含量は特に限定はされないが、本発明の方法による銅浸出効果が十分に得られる点で、黄銅鉱や硫砒銅鉱を主成分とする硫化銅鉱であることが好ましい。
本発明の方法は、硫酸溶液を浸出液とする銅の湿式製錬であれば、いずれの浸出形態にも用いることができ、例えば、回分攪拌浸出のみならず、鉱石を堆積させた積層物、例えばヒープ、ダンプなどの上から硫酸を散布して、銅を硫酸中に浸出させるヒープリーチング、ダンプリーチングのいずれであってもよい。
また、浸出の温度は特に規定しないが、特に加熱などは必要とせず、常温での浸出が可能である。
本発明の方法による硫化銅鉱の溶解・浸出は、下記(式1)と(式2)に示す一連のヨウ素による触媒反応によって進行すると考えられる。
2I-+2Fe3+→I2+2Fe2+ (式1)
CuFeS2+I2+2Fe3+→Cu2++3Fe2++2S+2I- (式2)
上記(式1)と(式2)の両辺の和をとりヨウ素成分を消去すると下記(式3)となり、従来提唱されている硫化銅鉱に対する鉄(III)イオンを酸化剤とした浸出反応であることがわかる。
CuFeS2+4Fe3+→Cu2++5Fe2++2S (式3)
上記(式2)のとおり、硫化銅鉱からの銅の浸出はヨウ素(I2)を触媒とする反応により行われるが、ヨウ素は水に対する溶解度が低い。よって、浸出液中で容易に溶解してヨウ化物イオン(I-)に解離するヨウ化物を浸出液に添加する。ここで、ヨウ化物としては、水に可溶でヨウ化物イオンを発生するものであればよく、例えば、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化カリウム、ヨウ化アンモニウム、ヨウ化水素等が使用可能である。また、浸出後液から陰イオン交換樹脂、酸化剤による酸化後曝気(ブローアウト)もしくは溶媒抽出する方法などにより回収したヨウ素を、上記各種ヨウ化物の形態もしくはその他形態のヨウ素を含む溶液の状態で再利用することも可能である。
まず、式(1)の反応において、浸出液に添加したヨウ化物イオン(I-)が鉄(III)イオン(Fe3+)により酸化されてヨウ素(I2)が生成される。また、この反応で生じた単体ヨウ素(I2)が残存するヨウ化物イオン(I-)と反応することによって三ヨウ化物イオン(I3 -)もまた浸出液内に生成する。このとき浸出液中の総ヨウ素濃度は反応形態や対象となる硫化銅鉱の種類・形状・銅品位などにより適宜決めることができるが、特許第4565025号公報に示されているような100mg/Lから300mg/Lもしくは特許第4950257号公報に示されているような8mg/Lから100mg/Lが好ましい。
また式(3)に示すとおり、黄銅鉱等の硫化銅鉱浸出にはそれに対応する量の酸化剤としての鉄(III)イオンの供給が必要であり、連続的な硫化銅鉱の浸出のためには、連続的な酸化剤としての鉄(III)イオンの供給が必要となる。また、添加したヨウ素についても廃棄することなく、回収して再利用することが望ましい。鉄酸化工程前にヨウ素を回収せず循環すると、揮発によりヨウ素の損失が大きくなったり、鉄酸化速度が低下したりする問題があった。
本発明はこのようにヨウ素を含む銅浸出工程後に得られる溶液からヨウ素を回収、再利用可能とするとともに、鉱石を積層した積層物、例えばヒープもしくはダンプにヨウ素回収後液を通液することによって、鉄(III)イオンの産生を可能とするものである。なお、この鉄の酸化に際して、従来でも用いられている鉄酸化微生物などの微生物を添加することは妨げないが、特に添加しなくても鉄酸化は起こる。
本発明では、銅浸出工程後に得られる溶液からヨウ素を分離することが必要であり、そのためのヨウ素を分離するための材料は、疎水性相互作用によりヨウ素を吸着する能力を有する材料が好適に使用される。なお、ヨウ素濃度を低減する程度であるが、例えば特許文献3に代表される従来技術においては1mg/Lまで下げる必要があったところ、本発明においては10mg/L程度まで下げれば十分である。また、ここで分離して得られたヨウ素は再利用することができる。
そのため、活性炭以外の疎水性表面を有する固体、例えばコークスや疎水性樹脂などの利用も可能であるが、ヨウ素を効率よく回収するには、比表面積が高く、ヨウ素除去能が高い特徴を持つ活性炭が特に優れている。
本発明に用いる活性炭の種類・原料等は特に規定しないが、表面積が大きく、かつ液相中での利用に適し、かつ安定性に優れたものが好ましく、形状としては粒状もしくは球状のものが好ましい。例えば太平化学産業製ヤシコールMc、日本エンバイロケミカルズ製白鷺X7000Hなどが使用可能である。
また活性炭は充填して固定床としてもよく、また流動床として利用してもよい。また、活性炭に吸着したヨウ素は薬液・加熱・燃焼処理などにより回収して再利用する。また使用した活性炭も薬液・加熱処理により再利用することも可能である。
また、銅浸出工程後の溶液から銅を回収する際には、一般に銅を選択的に抽出する抽出剤を用いる溶媒抽出法、まれにセメンテーション法が用いられる。これら方法については本発明における活性炭処理・微生物処理の前段・後段等どの段階でも実施可能である。
溶媒抽出工程も含めた本発明のプロセスフローの一例を図1に示す。プロセスは図1、図2に示すような直列的なフローに限る必要はなく、銅抽出工程もしくはヨウ素回収・鉄酸化工程をバイパスさせて並列的に設置することも可能である。
実際には、ヨウ素の抽出剤への毒性や抽出剤の微生物毒性などの影響を考慮し、最適なプロセスフローを適用すればよい。
図1では、溶媒抽出により銅を分離、回収する一実施形態のフローチャートが示されている。
ステップS11では、銅浸出が行われ、例えば硫化銅鉱をヨウ素イオン、鉄イオンの存在下で浸出処理が行われる(上記式1、式2参照)。ステップS12は、ステップS11からの浸出後液のヨウ素濃度を低減する処理、例えば活性炭にヨウ素を吸着させて、ヨウ素濃度を低減する。なお、このステップS12として、ヨウ素分離工程がヨウ素を活性炭に吸着させる活性炭処理工程である例が示されているが、活性炭に接触させる以外の方法でヨウ素を分離する態様であってもよい。
なお、ステップS12のヨウ素分離工程で分離、回収された分離後のヨウ素含有水溶液は、必要に応じてヨウ化物イオン溶液、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等の水溶液を補充し、ヨウ素含有水溶液として、ステップS11の銅浸出工程に供される。
さらに、ステップS13では、ステップS12でヨウ素濃度が低減された処理後液から銅を溶媒抽出により分離する。なお、この分離した銅はステップS15にて、電解などの通常の手法を用いて回収される。
ステップS14では、ステップS13にて銅が分離された後の抽出残渣の溶液を、鉱石を積層した積層物、例えばヒープもしくはダンプに通液して、二価の鉄(Fe2+)を酸化する。このとき、後工程でステップS14の処理後液をステップS11の銅浸出工程に再利用することを考慮し、銅浸出に際して最適な鉄(III)イオン濃度となるよう、鉄酸化処理前に、二価の鉄イオン(鉄(II)イオン)、例えばFeSO4などを必要に応じて補充してもよい。
なお、ステップS14にて鉄酸化処理された処理後液は、鉄(III)イオン含有酸性溶液として、ステップS11の銅浸出工程の浸出液として供される。
図2では、溶媒抽出により銅を分離、回収する他の実施形態のフローチャートが示されている。図2では、図1に示した処理をスモールスケールで行った例が示される。
ステップS21では、銅浸出を粗鉱カラム(1m×6本直結)にて行う。この粗鉱カラムは、銅鉱石が破砕されて充填されたものであり、例えば1m長のカラムを6本連結し、カラム長を全長6mとしたものである。
ステップS22は、図1のステップS12と同様に、ステップS21からの浸出後液のヨウ素濃度を低減する処理、例えば活性炭処理を行う。なお、図2においても、活性炭処理工程が具体的に図示されているが、活性炭に浸出後液を接触させる以外の方法でヨウ素を分離する態様であってもよい。
なお、ステップS22で分離、回収された分離後のヨウ素含有水溶液は、必要に応じてヨウ化物イオン溶液、例えばヨウ化カリウム、ヨウ化ナトリウム等の水溶液を補充し、ヨウ素含有水溶液として、ステップS21の銅浸出工程に供される。
ステップS23では、ステップS22でヨウ素濃度が低減された処理後液に鉄を添加して、銅を沈殿させるセメンテーション処理を行う。ここで銅は沈殿銅として回収される。
ステップS24では、ステップS23のセメンテーションでの処理後液を、銅浸出残渣カラムに通液し、二価の鉄(Fe2+)を酸化する。なお、この銅浸出残渣カラムは例えばカラム長1mのものを用いて、ステップS21で生じた銅浸出残渣を必要に応じて破砕して、充填しておく。また、この銅浸出残渣カラムとして、鉱石を必要に応じて破砕して充填したカラムを用いてもよい。
なお、ステップS24にて酸化処理された処理後液は、鉄(III)イオン含有酸性溶液として、必要に応じて、鉄(III)イオン、例えばFe2(SO43などを補充して、ステップS21の銅浸出工程の浸出液として供される。
なお、図1、図2において、鉄イオンを補充するタイミングであるが、図1のように鉄酸化処理(ステップS14)の前に二価の鉄イオンを補充し、鉄酸化処理工程にて、ステップS13の抽出残渣に含まれる二価の鉄イオンとともに、補充した鉄イオンも酸化してもよく、また図2のように鉄酸化処理後液に、三価の鉄イオンを補充してもよい。なお、二価の鉄イオンの方が、三価の鉄イオンよりも安価であることから、鉄イオンの補充にあっては鉄酸化処理工程の前に二価の鉄イオンとして補充することが好ましい。
本発明においてヨウ素除去後の溶液を用いた鉄(II)イオンからの鉄(III)イオン再生に用いるヒープもしくはダンプに積層する鉱石としては、特に限定しないが、液中の硫酸や鉄分等、銅浸出に必要な成分を消費しない鉱石が望ましい。具体的には、銅浸出後の銅鉱石の浸出残渣や、長石を主体とする鉱石等が望ましい。
また、鉄酸化に用いる鉱石の粒度についても特に規定しないが、80%通過粒子径が1cm以上のものが安定した流速を確保する上で望ましい。
活性炭処理後の溶液の鉄酸化に用いる鉱石を積層したヒープもしくはダンプにおける鉄(III)イオンの再生速度は、そのヒープもしくはダンプでの液散布部の鉱石の表面積に比例する。また、ヒープもしくはダンプの鉱石表面積は、概ね液散布部の体積(液散布表面積×高さ)に比例し、鉱物粒径に反比例する。銅浸出時の鉱石の浸出に必要な鉄(III)イオン量は、概ね銅浸出工程での鉱石を積層したヒープもしくはダンプでの液散布部の鉱石表面積に比例することから、活性炭処理後の溶液を散布する、鉱石を積層したヒープもしくはダンプの体積を鉱石の80%通過粒子径で除した値aが、銅浸出工程において、硫化銅鉱鉱石を積層したヒープもしくはダンプの体積を硫化銅鉱鉱石の80%通過粒子径で除した値のbの比率a/bについて鋭意検討した結果、その比率が0.1倍以上(a/b≧0.1)となることが望ましいことがわかった。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。但し、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
試験に用いた銅鉱石はチリ国産の一次硫化鉱(黄銅鉱)を主体とする粗鉱を用いた。全銅品位は0.43%、銅鉱物組成はシーケンシャルアッセイ(Sequential Assay)により算出し、酸化銅鉱が5%、二次硫化銅鉱が45%、一次硫化銅鉱が50%であった。また、一次硫化銅鉱の主な銅鉱物は鉱物分析装置(MLA)により、黄銅鉱(CuFeS2)であることを確認した。
尚、Sequential Assayは次の手順で鉱石中の銅鉱物を溶出し、その分析結果により酸化銅鉱、二次硫化銅鉱並びに一次硫化銅鉱を算出する方法であり、試験・分析機関SGS Lakefield Research Chile社に分析依頼した。
(1)酸化銅鉱:一定粒度に粉砕したサンプルに硫酸を加え一定時間撹拌した。溶出した銅を定量した。
(2)二次硫化銅鉱:酸化銅鉱分析の固液分離で得られた固体部分にシアン化ソーダ液を加え一定時間撹拌した。溶出した銅を定量した。
(3)一次硫化銅鉱:二次硫化銅鉱の固液分離で得られた固体部分に硝酸及び過塩素酸を加え、ホットプレート上で乾固後、塩酸と蒸留水を加え、固体を溶解した。溶出した銅を定量した。
上記鉱石を、80%通過粒子径1/2インチ(1.27cm)以下に破砕後、直径10cm、高さ1mの透明塩化ビニル製筒(カラム)6本に各12kg(計72kg)充填し、同カラムを6本連結して合計での高さを6mとした。1番目のカラム上部から、希硫酸による洗浄、鉄(III)イオン5g/Lを含む硫酸酸性溶液による浸出後、56日目以降、鉄(III)イオン濃度6.7g/Lとなるように調製した硫酸酸性浸出前液Aとヨウ化物イオン濃度400mg/Lになるように調製した浸出前液Bをそれぞれ1.5L/日、および0.5L/日の速度で別々に散布した。塩化ビニル製筒の底部には濾布及び塩化ビニル製目皿を装着し、通過後液を次のカラムの上部に散布し、6本のカラムを通液後の浸出液を銅浸出工程の浸出後液とした。
上記銅浸出工程の浸出後液は、活性炭(コール)を高さ30cm、直径4cmのカラムに充填したカラムに通液して浸出液中ヨウ素を活性炭に吸着分離し、活性炭処理後液を得た(ヨウ素回収工程)。活性炭に吸着分離したヨウ素は亜硫酸水を用いて脱着し、ヨウ化物イオンとして再利用した。
上記活性炭処理後液はセメンテーション処理によって銅成分を回収した。具体的には、活性炭処理後液に鉄クギを添加して活性炭処理後液中の銅分を沈殿除去した(銅回収工程)。
上記銅回収工程後液を、上記チリ国産銅鉱石(80%通過粒子径1/2インチ以下)を通常の銅浸出処理した後の残渣12kgを充填したカラムに通液し(鉄酸化工程)、鉄酸化後液を得た。なお、本残渣には特に微生物等は添加していない。
上記鉄酸化後液に、鉄濃度が6.7g/Lとなるように適宜追加して硫酸第2鉄を追加し、浸出前液Aとした。また、活性炭から脱着したヨウ素回収液にヨウ素濃度が520mg/Lとなるようにヨウ化カリウムを適宜追加して浸出前液Bとした。試験フローを図2に示す。
図3に、浸出後液中銅濃度から算出した鉱石からの銅浸出率推移を示す。比較例として、ヨウ素を添加しない場合の同等の鉄濃度での銅浸出率推移を示す。また、図4には残渣カラム前後のFe3+濃度推移を示す。本実施例においては、銅回収工程において、セメンテーションのため鉄クギを添加しており、銅回収時に鉄クギから鉄分が溶出するとともに、液中の鉄(III)イオンの多くが鉄(II)イオンに変換され、実質的に、鉄酸化工程前に鉄(II)イオンが供給される形態となっているが、図3、4に示す通り、残渣を用いたカラムを通すことによって問題なく鉄(II)イオンが鉄(III)イオンに酸化され、硫化銅鉱石から銅分が効率よく浸出できた。また、残渣カラムの前液ヨウ素濃度は4mg/Lまで上昇しても、特に問題なく鉄(III)イオンは酸化できた。
ちなみに、本実施例において、活性炭処理後液を通液した残渣を用いたカラムの体積を鉱石の80%通過粒子径で除した値aと銅浸出工程のカラムの体積を同工程での鉱石の80%通過粒子径で除した値bの比a/bは、両カラムの鉱石の80%通過粒子径が等しいので、カラム体積比と同じ0.167倍である。
(実施例2)
試験に用いた銅鉱石はチリ国産の一次硫化鉱(黄銅鉱)を主体とする粗鉱を用いた。全銅品位は0.37%、銅鉱物組成はシーケンシャルアッセイ(Sequential Assay)により算出し、酸化銅鉱が3%、二次硫化銅鉱が8%、一次硫化銅鉱が89%であった。また、一次硫化銅鉱の銅鉱物は鉱物分析装置(MLA)により、黄銅鉱(CuFeS2)であることを確認した。また銅鉱石は粒度が80%通過粒子径0.5インチ以下となるように破砕して使用した。
上記銅鉱石約3,000Tを用い、高さ6m、上部面積100m2の銅鉱石ヒープを建設した。その上部よりFe(III)イオン溶液およびヨウ化物イオン溶液について約50cm間隔でヒープ上部からそれぞれ溶液を別個かつ均一に散布できるよう配管したドリッパーを設置した。ヒープは希硫酸による洗浄後、1.5m3/Tの液量になるまで5.0g/LのFe(III)イオン溶液を散布した。その後、Fe(III)イオン濃度を5.6g/Lとなるよう調整し、21.6m3/日の速度で、ヨウ化物イオンについては1g/Lとなるように調製し、2.4m3/日の速度でそれぞれをヒープにドリッパーにより上部表面に滴下した。
散布したヨウ化物イオン溶液と鉄(III)イオン溶液は、下部の銅鉱石中(約900T)を通過する際に混合され、銅鉱物から銅を浸出しながらヒープ下部から銅を含む浸出後液として回収された。このヒープ下部から回収した浸出後液を、約400kgの活性炭を充填した充填塔を通過させて、浸出後液に含まれるヨウ素を回収した。活性炭に吸着して回収したヨウ素は一定期間ごとに亜硫酸水にて脱着し、ヨウ化物イオンとして浸出前液(ヨウ化物イオン溶液)として再利用した。浸出前液(ヨウ化物イオン溶液)のヨウ化物イオンが不足する場合はヨウ化カリウムを追加して補充した。
市販の銅抽出剤を使用した溶媒抽出装置により浸出液に含まれる銅分を回収した。溶媒に抽出した銅分は硫酸にて逆抽出後、電気分解にて銅カソードとして採取した。
溶媒抽出後の抽出後液(ラフィネート)は、80%通過粒子径0.5インチ以下に破砕した長石を上部面積93m2、高さ3m(液散布下部鉱石量450T)に積載したヒープに、50cm間隔に設置したドリッパーを通して、均等になるように散布した。ヒープ下部から浸出後液を回収し、不足する鉄(III)イオン分を硫酸第二鉄溶液にて追加して浸出前液(鉄(III)イオン溶液)とした。
なお、ここで用いた長石は、化学分析の結果が下記の表に示したとおりであり、またXRDにて分析したところ、曹長石(Albite:NaAlSi38)および石英(Quartz:SiO2)が主成分のものであった。
Figure 2017053018
本実施例における鉄酸化ヒープの体積を長石の80%通過粒子径で除した値aと銅浸出工程のヒープの体積を同工程での鉱石の80%通過粒子径で除した値bの比a/bは、両ヒープの鉱石の80%通過粒子径が等しいので、ヒープ体積比と同じ0.465倍である。
試験フローを図5に示す。
図5において、ステップS31では、銅鉱石ヒープに鉄(III)イオン溶液およびヨウ化物イオン溶液を散布して銅浸出を行った。続いて、ステップS32では、ステップS31の銅浸出後液を、活性炭充填塔に通して、ヨウ素を分離した。ステップS33では、活性炭充填塔から溶出した溶出後液から銅を公知の抽出剤、公知の方法にて溶媒抽出により分離した。なお、抽出された銅は電解採取され、回収される。
また、ステップS34では、ステップS33からの浸出残渣を鉄酸化ヒープ(長石)に散布して、浸出残渣中の鉄を酸化した。この鉄酸化して得られた鉄(III)イオン溶液は、必要に応じて、硫酸第二鉄を三価の鉄源として補充し、ステップS31の銅鉱石ヒープでの銅浸出の浸出液として使用することができる。
また、ステップS32では、ある程度ヨウ素が吸着されたところで、亜硫酸水を通液してヨウ素を回収し、この回収されたヨウ化物イオン溶液は、必要に応じてヨウ化カリウムを補充して、ステップS31の銅鉱石ヒープに散布することができる。
実施例2の一定期間における、浸出前後液および鉄酸化ヒープ後液の全鉄中の鉄(III)イオン割合、および浸出前後液中銅濃度推移を図6に示す。
図6に示す通り、浸出前液中の全鉄中の鉄(III)イオン割合はほぼ100%で推移している。一方、浸出後液中の全鉄中の鉄(III)イオン割合は、銅鉱石ヒープ中でのヨウ化物イオンおよび銅鉱物との反応により、80%前後まで低下した。しかし、活性炭充填塔、溶媒抽出によりヨウ素・銅を回収したのち、鉄酸化ヒープを通液することにより、鉄酸化ヒープ後液中の全鉄中の鉄(III)イオン割合はほぼ100%となり、浸出前液として再利用することができた。また、銅鉱石ヒープ後液の銅濃度は前液の銅濃度より上回っていた。このことから、本発明がヨウ化物イオンと鉄(III)イオンによる銅浸出促進効果を維持するのに有効であることが示された。
(比較例)
実施例2において、鉄酸化ヒープの長石の80%通過粒子径が2インチ、上部液散布表面積93m2、高さ2mとした以外は実施例2と同じ条件で同様の試験を実施した。本比較例における鉄酸化ヒープの体積を長石の80%通過粒子径で除した値aと銅浸出工程のヒープの体積を同工程での鉱石の80%通過粒子径で除した値bの比a/bは、カラム体積比(0.31)を80%通過粒子径比(4)から0.0775倍となる。この場合の鉄酸化ヒープ後液の鉄(III)イオン濃度と全鉄イオン濃度の割合は80%程度にとどまり(図7)、硫化銅鉱ヒープの浸出前液としては不十分であることがわかった。
(参考例)
下記のようにして、鉄酸化処理工程におけるヨウ素イオン濃度と、鉄酸化比率との関係を調べた。
実施例1において用いた粗鉱カラムに、二価の鉄イオン(Fe2+)を5g/L含んだ液に、ヨウ化カリウムを任意の濃度(0〜83mg/Lの間)で添加した溶液を、1L/日の速度で、粗鉱カラムに散布して、カラム出口で採取した液の全鉄(Fe)濃度、およびFe2+濃度を分析した。
結果を、図8に示す。
図8によれば、ヨウ化カリウム濃度が高くなる、例えば47mg/L程度を超えると、鉄酸化比率が低くなり、鉄酸化処理工程における鉄酸化が良好に進まなくなることが示唆される結果となり、このことから、鉄酸化処理工程に供する鉄イオン含有溶液のヨウ素イオン濃度を低く、例えば10mg/Lとした方がよいことが分かった。
上記銅浸出工程の浸出後液は、活性炭を高さ30cm、直径4cmのカラムに充填したカラムに通液して浸出液中ヨウ素を活性炭に吸着分離し、活性炭処理後液を得た(ヨウ素回収工程)。活性炭に吸着分離したヨウ素は亜硫酸水を用いて脱着し、ヨウ化物イオンとして再利用した。
(比較例)
実施例2において、鉄酸化ヒープの長石の80%通過粒子径が2インチ、上部液散布表面積93m2、高さ2mとした以外は実施例2と同じ条件で同様の試験を実施した。本比較例における鉄酸化ヒープの体積を長石の80%通過粒子径で除した値aと銅浸出工程のヒープの体積を同工程での鉱石の80%通過粒子径で除した値bの比a/bは、カラム体積比(0.31)80%通過粒子径比(4)から0.0775倍となる。この場合の鉄酸化ヒープ後液の鉄(III)イオン濃度と全鉄イオン濃度の割合は80%程度にとどまり(図7)、硫化銅鉱ヒープの浸出前液としては不十分であることがわかった。

Claims (7)

  1. ヨウ化物イオンと、鉄(III)イオンとを含有する硫酸溶液を浸出液として用いて硫化銅鉱から銅を浸出させる銅浸出工程と、前記銅浸出工程後に得られる溶液中のヨウ素を分離し、溶液中のヨウ素濃度を低減するヨウ素分離処理工程と、ヨウ素分離処理後の溶液を酸化する鉄酸化工程とを有し、
    前記鉄酸化工程で得られた溶液とヨウ素を含む水溶液とを用いて硫化銅鉱を浸出する硫化銅鉱の浸出方法であって、
    前記鉄酸化工程は、前記ヨウ素分離処理後の溶液を、鉱石を積層した積層物に散布することにより、当該ヨウ素処理後の溶液中で存在する、銅浸出により生じた鉄(II)イオンを酸化することを特徴とする硫化銅鉱の浸出方法。
  2. 前記ヨウ素分離処理後の溶液を酸化させる前に新規に鉄(II)イオンを添加する請求項1に記載の硫化銅鉱の浸出方法。
  3. 前記ヨウ素分離処理後の溶液を酸化するために散布する、鉱石を積層した積層物が、銅鉱石の浸出残渣を積層してなることを特徴とする請求項1または2に記載の硫化銅鉱の浸出方法。
  4. 前記ヨウ素分離処理後の溶液を酸化するために散布する、鉱石を積層した積層物に用いる鉱石の主成分がケイ酸塩鉱物であることを特徴とする請求項1または2に記載の硫化銅鉱の浸出方法。
  5. 前記ヨウ素分離処理後の溶液を散布する、鉱石を積層した積層物に用いる鉱石の80%通過粒子径が1cm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の硫化銅鉱の浸出方法。
  6. 前記ヨウ素分離処理後の溶液を散布する、鉱石を積層した積層物に、あらかじめもしくは散布中に、微生物を添加しないことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の硫化銅鉱の浸出方法。
  7. 前記ヨウ素分離処理後の溶液を散布する、鉱石を積層した積層物の体積を鉱石の80%通過粒子径で除した値aが、前記銅浸出工程において、硫化銅鉱鉱石を積層した積層物の体積を硫化銅鉱鉱石80%通過粒子径で除した値のbの0.1倍以上(a/b≧0.1)であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の硫化銅鉱の浸出方法。
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