JP2017048711A - バルブ装置 - Google Patents

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健夫 藤原
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Abstract

【課題】排気ガス通路の内壁面における結露水の発生を抑制する。【解決手段】排気ガスを通過させる排気ガス通路8が形成されたハウジング1と、排気ガス通路8を開閉する弁体9と、弁体9に固定された弁軸5と、弁軸5を可動に支持する弁軸支持部材6とを備えたバルブ装置において、ハウジング1の排気ガス通路8の壁を二層構造13にしたので、ハウジング1外部からの熱伝導を抑え、排気ガス通路8の内壁面における結露水の発生を抑制することができる。【選択図】図1

Description

この発明は、排気ガスが通過する通路を開閉するバルブ装置に関するものである。
排気ガスが通過する通路を開閉する、排気ガス再循環バルブなどのバルブ装置において、ハウジングの排気ガス通路壁は一層構造で構成されていた(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−245625号公報
従来のバルブ装置は、ハウジングの排気ガス通路壁が一層構造で構成されているため、外部から熱の影響を受けやすく、ハウジング内外の温度差によって排気ガスが冷却されると、排気ガス通路の内壁面に結露水が発生するという課題があった。
この結露水は、排気ガス通路の内壁面の腐食を促進させる要因となっていた。また、結露水と混ざり合ったカーボンデポジット等が、排気ガスの流量を調整する弁体と弁座との隙間、または弁軸を可動に支持する弁軸支持部材と弁軸との隙間に付着すると、流量特性および弁体の着座位置の変動、ならびに弁軸支持部材と弁軸との固着等が発生する。これにより、バルブ装置の性能が劣化し、ひいては機能不全に陥るという問題があった。
ハウジングの排気ガス通路の内壁面に対する腐食対策としては表面処理の追加または材料の変更などが挙げられるが、排気ガス通路の内部環境を考慮すると、耐熱性、耐酸性および強度等を兼ね備えた性質が求められ、これらの性質を満たすような腐食対策を実施すると大幅にコストアップするのが実情である。また、カーボンデポジット等の排気ガス通路の内壁面への付着については、付着物の性状にも依存する事象であることから、対策の構築には困難を強いられてきた。従来、排気ガス中の水分含有量を抑制するべくエンジン側での燃焼状況を改善する等の対策を実施してきたが、排気ガス通路の内壁面の結露発生抑制の根本的な対策手段とはなっていない。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、排気ガス通路の内壁面における結露水の発生を抑制することを目的とする。
この発明に係るバルブ装置は、排気ガスを通過させる排気ガス通路が形成されたハウジングと、排気ガス通路を開閉する弁体と、弁体に固定された弁軸と、弁軸を可動に支持する弁軸支持部材とを備え、ハウジングは、排気ガス通路の壁が二層構造であって層と層の間に空間が設けられている。
この発明によれば、排気ガス通路の壁を二層構造にしたので、外部からの熱伝導を抑え、排気ガス通路の内壁面における結露水の発生を抑制することができる。
この発明の実施の形態1に係るバルブ装置の内部構造を示す部分断面図である。 図1のバルブ装置における二層構造を示す拡大図である。 実施の形態1に係るバルブ装置の理解を助けるための参考例であり、ハウジングが一層構造で構成されたバルブ装置の内部構造を示す部分断面図である。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1に係るバルブ装置の内部構造を示す部分断面図である。図2は、図1のバルブ装置における二層構造を示す拡大図である。実施の形態1に係るバルブ装置は、車両において排気ガスを流す配管に設置されて当該排気ガスの流量を調整するものである。例えば、このバルブ装置を排気ガス再循環バルブとして用いる場合、バルブ装置は、内燃機関の排気側からクーラを介して当該内燃機関の吸気側へ接続された配管においてクーラの下流に設置され、クーラで冷却された排気ガスを内燃機関の吸気側へ再循環させる流量を調整する。
バルブ装置が有するハウジング1には、排気ガスを通過させる排気ガス通路8が形成されている。排気ガス通路8の内壁面には、弁体9が当接する弁座7が形成され、この弁座7を境界にして入口側通路8aと出口側通路8bとになる。また、排気ガス通路8の内壁面には貫通穴が形成され、バネ3が設置されている空間4へと連通している。この貫通穴は、弁軸5を貫通させる穴であると共に、弁軸5を軸方向に可動に支持する弁軸支持部材6を収容する収容部2でもある。弁軸5の一端部には弁体9が固定されており、弁体9が弁座7に当接することによって排気ガス通路8を閉じ、この弁体9が弁座7から離れることによって排気ガス通路8を開く。図1および図2は、排気ガス通路8が閉じた状態を示す。
また、ハウジング1には、弁体9が弁座7から離れる開弁方向へ弁軸5を動作させるアクチュエータ11が固定されている。このアクチュエータ11のアクチュエータ軸12が軸方向に動作して弁軸5を開弁方向へ押す。一方、弁体9が弁座7に当接する閉弁方向へ弁軸5を動作させるバネ3が、アクチュエータ11と弁軸支持部材6との間の空間4に設置されている。さらにこの空間4には、弁軸5に固定された皿状部材10が配置され、バネ3の付勢力が皿状部材10を介して弁軸5に伝達されて弁体9が閉弁方向に動作する。
排気ガス流量は弁体9と弁座7との隙間の開口面積と相関関係にあり、弁体9と弁座7との隙間の開口面積は、弁体9のストローク量と相関関係にある。弁体9のストローク量は、アクチュエータ11およびバネ3により制御することが可能である。すなわち、排気ガス流量の調整は、弁体9のストローク量を制御することで実現する。
ここで、図3に、実施の形態1に係るバルブ装置の理解を助けるための参考例として、ハウジング1が一層構造で構成されたバルブ装置の部分断面図を示す。図3の参考例において、排気ガス通路8の壁は一層構造となっており、ハウジング1の外部から熱の影響を受けやすい。そのため、ハウジング1外部と排気ガス通路8内部の排気ガスとの温度差により排気ガスが冷却されて、排気ガス通路8の内壁面に結露水が発生する。この結露水は、排気ガス通路8の内壁面の腐食を促進させる要因となる。また、結露水と混ざり合ったカーボンデポジット等が、弁体9と弁座7の隙間または弁軸5と弁軸支持部材6の隙間に付着することで、流量特性および弁体9の着座位置の変動、ならびに弁軸5と弁軸支持部材6との固着等が発生する。これにより、バルブ装置の性能が劣化し、ひいては機能不全に陥る場合があった。
そこで、実施の形態1に係るバルブ装置においては、ハウジング1の排気ガス通路8の壁を二層構造13にして、層と層との間に密閉された層間空間14a,14b,14cを設ける構成にした。ハウジング1の材料である鉄またはアルミニウム等の熱伝導率に比べ、層間空間14a,14b,14c内の空気の熱伝導率のほうが低いため、ハウジング1外部から排気ガス通路8への熱伝導を抑え、排気ガス通路8の内壁面における結露水の発生を抑制することが可能である。
排気ガス通路8の壁すべてを二層構造13にしてもよいし、図1および図2に示すように排気ガス通路8の壁の一部を二層構造13にして他の部分を一層構造15にしてもよい。排気ガス通路8の壁の一部を二層構造13にする場合、少なくとも、流量決定または部品保持等の重要な機能を持つ構造近傍の排気ガス通路8の壁を二層構造13にすることが望ましい。
図1および図2の例では、排気ガス通路8の内壁のうち、弁体9が当接する弁座7が形成された部分を二層構造13で構成することにより、弁座7近傍における結露水の発生を抑制することができ、弁座7と弁体9の隙間にカーボンデポジット等が付着することを防ぐことができる。また、排気ガス通路8の内壁のうち、弁軸支持部材6を収容する収容部2が形成された部分を二層構造13で構成することにより、弁軸支持部材6近傍における結露水の発生を抑制することができ、弁軸5と弁軸支持部材6の隙間にカーボンデポジット等が付着することを防ぐことができる。
さらに、図1および図2の例では、排気ガス通路8の入口側および出口側の壁をあえて一層構造15で構成することにより、一層構造15で構成された部分の内壁面に結露水の発生を集中させ、弁座7および弁軸支持部材6近傍での結露水の発生を抑制することができる。
ハウジング1の二層構造13は、一部品で構成されていてもよいし、二部品で構成されていてもよい。二層構造13を一部品で構成する場合、例えば、ハウジング1の鋳造時に層間空間14a,14b,14cとなる部分に可溶性中子を挿入し、鋳造後に可溶性中子を取り出して層間空間14a,14b,14cを形成する。または、例えば脱炭処理を利用してハウジング1の表面と内部とに融点差を設け、加熱により内部だけを溶出させて層間空間14a,14b,14cを形成する。これら以外の方法によって二層構造13を一部品で構成してもよい。
また、二層構造13の層間空間14a,14b,14cを密閉するだけでなく、層間空間14a,14b,14c内の圧力を大気圧より低くすることで、熱伝導率をさらに低下させることができ、結露水の発生を抑制するのに効果的である。
なお、二層構造13および層間空間14a,14b,14cの形状および位置は、図1および図2に示した例に限定されるものではなく、例えばハウジング1の外形またはバルブ装置を設置する内燃機関側のレイアウト等に合わせて変更してよい。また、層間空間14a,14b,14cのそれぞれが独立した3つの空間であってもよいし、互いに連通した1つの空間であってもよい。
以上より、実施の形態1によれば、排気ガスを通過させる排気ガス通路8が形成されたハウジング1と、排気ガス通路8を開閉する弁体9と、弁体9に固定された弁軸5と、弁軸5を可動に支持する弁軸支持部材6とを備えたバルブ装置において、ハウジング1の排気ガス通路8の壁を二層構造13にして層と層の間に層間空間14a,14b,14cを設けるようにしたので、ハウジング1外部からの熱伝導を抑え、排気ガス通路8の内壁面における結露水の発生を抑制することができる。これにより、排気ガス通路8の内壁面の腐食、流量特性および弁体9の着座位置の変動、ならびに弁軸5と弁軸支持部材6との固着等の発生を防止することができる。よって、バルブ装置の性能の劣化、ひいては機能不全を防止することができる。
また、実施の形態1によれば、二層構造13の層と層の間の層間空間14a,14b,14cを密閉し、当該層間空間14a,14b,14c内の圧力を大気圧より低くすることにより、ハウジング1外部からの熱伝導をさらに低下させ、結露水の発生をさらに抑制することができる。
また、実施の形態1によれば、排気ガス通路8の壁のうち、弁座7または収容部2の少なくとも一方が形成された部分に二層構造13を設け、他の部分を一層構造15にすることにより、一層構造15で構成された部分の内壁面に結露水の発生を集中させ、弁座7および弁軸支持部材6といった重要機能を有する部品近傍での結露水の発生を抑制することができる。
なお、実施の形態1では、内燃機関の排気側からクーラを通過した排気ガスを、当該内燃機関の吸気側へ再循環させる排気ガス再循環バルブとして用いる用途を例示したが、この用途に限定されるものではなく、車両において排気ガス流量を調整する用途全般に用いることができる。
排気ガス再循環バルブは、上述したようなクーラで冷却された摂氏100度〜200度程度の低温の排気ガスを内燃機関の吸気側へ再循環させるものと、クーラを介さず摂氏700度〜800度程度の高温の排気ガスを内燃機関の吸気側へ再循環させるものとがある。低温の排気ガスは高温の排気ガスに比べて結露水が発生しやすいため、低温の排気ガス用として実施の形態1に係るバルブ装置を用いることにより、効果的に結露水の発生を抑制することができる。一方、高温の排気ガスは、低温の排気ガスに比べて結露水が発生しにくいが、バルブ装置の構成部品の熱劣化を招くという問題がある。そこで、実施の形態1に係るバルブ装置を高温の排気ガス用として用いる場合には、二層構造13の層間空間14a,14b,14c内に冷却水等を流すことで、バルブ装置の構成部品を熱によるダメージから保護することが可能である。また、層間空間14a,14b,14c内に冷却水等を流すための出入口は、当該バルブ装置を設置する内燃機関側のレイアウトに合わせ任意の位置に形成することが可能である。さらに、層間空間14a,14b,14cを互いに連通させて、冷却水等を流しやすい構造にすることが望ましい。
また、実施の形態1では、弁軸5が軸方向に往復動作することによって排気ガス通路8を開閉する構造のバルブ装置を示したが、弁軸5が軸まわりに回転動作することによって排気ガス通路8を開閉する構造のバルブ装置であってもよい。また、アクチュエータ11は、モータまたはソレノイドなど、弁軸5を動作させる駆動力を発生するものであれば何でもよい。
上記以外にも、本発明はその発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、または実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
1 ハウジング、2 収容部、3 バネ、4 空間、5 弁軸、6 弁軸支持部材、7 弁座、8 排気ガス通路、8a 入口側通路、8b 出口側通路、9 弁体、10 皿状部材、11 アクチュエータ、12 アクチュエータ軸、13 二層構造、14a,14b,14c 層間空間、15 一層構造。

Claims (6)

  1. 排気ガスを通過させる排気ガス通路が形成されたハウジングと、
    前記排気ガス通路を開閉する弁体と、
    前記弁体に固定された弁軸と、
    前記弁軸を可動に支持する弁軸支持部材とを備え、
    前記ハウジングは、前記排気ガス通路の壁が二層構造であって層と層の間に空間が設けられていることを特徴とするバルブ装置。
  2. 前記二層構造は一部品で構成されていることを特徴とする請求項1記載のバルブ装置。
  3. 前記二層構造の層と層の間の前記空間は密閉されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載のバルブ装置。
  4. 前記二層構造の前記空間内の圧力は大気圧より低いことを特徴とする請求項3記載のバルブ装置。
  5. 前記排気ガス通路の壁には、前記弁体が当接する弁座と、前記弁軸支持部材を収容する収容部とが形成され、
    前記二層構造は、前記排気ガス通路の壁のうち、前記弁座または前記収容部の少なくとも一方が形成された部分に設けられ、他の部分は一層構造であることを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載のバルブ装置。
  6. 内燃機関の排気側からの排気ガスを、当該内燃機関の吸気側へ再循環させる排気ガス再循環バルブとして用いられることを特徴とする請求項1から請求項5のうちのいずれか1項記載のバルブ装置。
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