JP2017047755A - 車載電気負荷の給電制御装置及びその制御方法 - Google Patents

車載電気負荷の給電制御装置及びその制御方法 Download PDF

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Abstract

【課題】診断回路のコストアップを抑制することができると共に、多くの異常の種別を識別できる車載電気負荷の給電制御装置及びその制御方法を提供する。【解決手段】第1電気負荷40aに直列接続された上流側及び下流側開閉素子120a、140と、開閉素子を制御する制御回路部190と、を備え、第1電気負荷40aの上流及び下流の電位に応動して変化する電圧監視信号MNTと、下流側抵抗401の両端電圧に応じて変化する電流監視信号MN0とに基づいて、回路の異常の種別を判定する車載電気負荷の給電制御装置100及びその制御方法。【選択図】図5

Description

この発明は、電気負荷の上流側に直列接続された上流側開閉素子と、下流側に直列接続された下流側開閉素子と、上流側開閉素子及び下流側開閉素子を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置、及びその制御方法に関するものである。
車載バッテリの正極配線と電気負荷の正側配線との間に上流側開閉素子を設け、負極配線となる車体グランド回路と電気負荷の負側配線との間に下流側開閉素子を設けて、(1)正側配線が正極配線と混触する正線天絡異常(又は、当該正線天絡異常及び上流側開閉素子の内部短絡異常を含む上流天絡異常)、(2)正側配線が負極配線と混触する正線地絡異常、(3)負側配線が正極配線と混触する負線天絡異常、(4)負側配線が負極配線と混触する負線地絡異常(又は、当該負線地絡異常及び下流側開閉素子の内部短絡異常を含む下流地絡異常)、(5)電気負荷の断線又は短絡異常(又は、正側配線や負側配線の断線又は相互短絡を含む外部の断線又は短絡異常)、(6)上流側開閉素子や下流側開閉素子の素子内部断線などの異常状態、の少なくとも一部を検出して、意図しない連続給電状態の発生や、過電流異常の発生を防止し、異常報知する技術が知られている。しかし、その電気負荷に求められる信頼度と、許されるコストアップとのバランスによって様々な実施態様のものがある。
下記の特許文献1の「負荷駆動装置」によれば、上流側開閉素子となるスイッチ手段22(特許文献1の図11参照)と、下流側開閉素子となるスイッチ手段23(特許文献1の図12参照)とは、それぞれが低電圧電源32、42、電圧モニタ回路33、43、及び電流モニタ回路33、44を有するダイアグ回路35、45と、シリアル通信回路36、46とを備えている。そして、特許文献1の図4又は図5に示されているとおり、(1)正線天絡異常(ハイサイドバッテリショート)と、(2)負線天絡異常(ローサイドバッテリショート)と、(3)正線地絡異常(ローサイドグランドショート)と、(4)負線地絡異常(ローサイドグランドショート)と、(5)正線又は負線断線異常(ハイ/ローオープン)と、(6)正負配線短絡異常(端子間ショート)との6種類の故障モードを個別に検出することができるようになっている。(特許文献1の段落「0103」参照)
特開2012−182949号公報
(1)従来技術の課題の説明
前述の特許文献1によれば、電気負荷に対する配線異常については全ての故障モードが識別判定されるようになっているが、(1)正線天絡異常(ハイサイドバッテリショート)と、上流側開閉素子の内部短絡異常とが区分されておらず、(2)負線地絡異常(ローサイドグランドショート)と、下流側開閉素子の内部短絡異常とが区分されておらず、(3)(4)負荷断線異常と、上流側開閉素子又は下流側開閉素子の内部断線異常とが区分されておらず、異常発生原因が電子制御装置20の外部にあるのか内部にあるのかの判定がなされていない。例えば、上流側開閉素子に開路指令を与えたにも関わらず開路されない場合に、正線天絡異常が原因であるのか、それとも上流側開閉素子の内部短絡異常が原因であるかを識別することができない。或いは、上流側開閉素子に閉路指令を与えたにも
関わらず閉路されない場合に、電気負荷或いは電気負荷の配線の断線が原因であるのか、それとも上流側開閉素子の内部断線が原因であるかを識別することができない。下流側開閉素子についても同様である。このように判定できる異常種別が制限されるにもかかわらず、上流側及び下流側のスイッチング手段のそれぞれは、低電圧電源、電圧モニタ回路、及び電流モニタ回路を有するダイアグ回路35、45と、マイコン21と交信するためのシリアル通信回路36、46と、を備え、複雑で高価な部品が用いられている。
(2)発明の目的
この発明の目的は、複数の開閉素子を用いるために生じる診断回路のコストアップを抑制することができると共に、多くの異常の種別を識別できる車載電気負荷の給電制御装置及びその制御方法を提供することにある。
本発明に係る第一の車載電気負荷の給電制御装置は、第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置であって、前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じて変化する下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、前記第1電気負荷の正側端子の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、前記マイクロプロセッサは、前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御を実行し、前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号に設定した開路指令又は閉路指令の設定開閉パターンと、に基づいて、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行し、判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行するものである。
また、本発明に係る第二の車載電気負荷の給電制御装置は、第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置であって、前記上流側開閉素子に直列接続された上流側電流制限抵抗と、前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じた下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、前記第1電気負荷の正側端子及び負側端子、又は前記第1電気負荷の正側端子に接続され、当該正側端子の対グランド電位及び当該負側端子の対グランド電位、又は当該正側端子の対グランド電位に応動して対グランド電位が変化する監視用接続点を有し、当該監視用接続点の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、前記マイクロプロセッサは、前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御を実行し、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令にする上下流閉パターン、前記上流側指令信号を閉路指令にすると共に前記下流側指令信号を開路指令にする上流閉パターン、前記上流側指令信号を開路指令にすると共に前記下
流側指令信号を閉路指令にする下流閉パターン、及び前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令にする上下流開パターンの4種類の開閉パターンのいずれかで検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行し、判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行するものである。
また、本発明に係る第一の車載電気負荷の給電制御装置の制御方法は、第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置の制御方法であって、前記給電制御装置は、前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じて変化する下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、前記第1電気負荷の正側端子の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、前記マイクロプロセッサは、前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御ステップと、前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号に設定した開路指令又は閉路指令の設定開閉パターンとに基づいて、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定ステップと、判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御ステップと、を実行するものである。
また、本発明に係る第二の車載電気負荷の給電制御装置の制御方法は、第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置の制御方法であって、前記給電制御装置は、前記上流側開閉素子に直列接続された上流側電流制限抵抗と、前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じた下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、前記第1電気負荷の正側端子及び負側端子、又は前記第1電気負荷の正側端子に接続され、当該正側端子の対グランド電位及び当該負側端子の対グランド電位、又は当該正側端子の対グランド電位に応動して対グランド電位が変化する監視用接続点を有し、当該監視用接続点の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、前記マイクロプロセッサは、前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御ステップと、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令にする上下流閉パターン、前記上流側指令信号を閉路指令にすると共に前記下流側指令信号を開路指令にする上流閉パターン、前記上流側指令信号を開路指令にすると共に前記下流側指令信号を閉路指令にする下流閉パターン、及び前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令にする上下流開パターンの4種類の開閉パターンのいずれかで検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定ステップと、判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御ステップと、を実行するものである。
本発明に係る第一の車載電気負荷の給電制御装置及びその制御方法によれば、2つの監視信号により、第1電気負荷の正側端子の対グランド電位、及び下流側電流制限抵抗の両端電圧をモニタするように構成されている。第1電気負荷の正側端子の対グランド電位は、第1電気負荷の上流側の回路の状態及び下流側の回路の状態に応じて変化する。また、下流側電流制限抵抗の両端電圧は、当該抵抗の上流側の回路を流れる電流に応じて変化する。そのため、第1電気負荷の正側端子の対グランド電位及び下流側電流制限抵抗の両端電圧は、開閉パターン、及び回路の正常状態又は異常の種別に応じて変化する。よって、負荷電圧監視信号及び下流電流監視信号の一方又は双方の検出値と、上流側指令信号及び下流側指令信号の設定開閉パターンとに基づいて、多くの異常の種別を判定することができると共に、過電流の発生を防止する等のため、上流側指令信号及び下流側指令信号の一方又は双方の閉路指令の設定を適切に禁止することができる。従って、従来技術のように、上流側開閉素子及び下流側開閉素子のそれぞれの両端電圧を個別に検出する装置に比べて、2つの監視信号を検出するだけであるので、装置構成を大幅に簡略化できると共に、多くの異常の種別を識別できる。
本発明に係る第二の車載電気負荷の給電制御装置及びその制御方法によれば、2つの監視信号により、負荷電圧監視回路の監視用接続点の対グランド電位、及び下流側電流制限抵抗の両端電圧をモニタするように構成されている。負荷電圧監視回路の監視用接続点は、第1電気負荷の正側端子及び負側端子に接続されているため、監視用接続点の対グランド電位は、第1電気負荷の正側端子の対グランド電位及び負側端子の対グランド電位の双方に応動して変化する。よって、監視用接続点の対グランド電位には、第1電気負荷の上流側及び下流側の回路の状態が詳細に反映される。そのため、4種類の開閉パターン、及び正常状態又は異常の種別によって、監視用接続点の対グランド電位が複雑に変化する。また、下流側電流制限抵抗の両端電圧には、当該抵抗の上流側の回路を流れる電流の状態が反映される。よって、監視用接続点の対グランド電位及び下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じて変化する負荷電圧監視信号及び下流電流監視信号の検出値と、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについての予測値と、を対比することにより、多くの異常の種別を詳細に判定することができると共に、過電流の発生を防止する等のため、上流側指令信号及び下流側指令信号の一方又は双方の閉路指令の設定を適切に禁止することができる。従って、従来技術のように、上流側開閉素子及び下流側開閉素子のそれぞれの両端電圧を個別に検出する装置に比べて、2つの監視信号を検出するだけであるので、装置構成を大幅に簡略化できると共に、多くの異常の種別を識別できる。
本発明の実施の形態1に係る給電制御装置の全体回路図である。 本発明の実施の形態1に係る開閉パターンと異常種別と監視信号との関係をまとめた図である。 本発明の実施の形態1に係る再始動制御における異常判定の処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係るファン駆動制御の処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態2に係る給電制御装置の全体回路図である。 本発明の実施の形態2に係る開閉パターンと異常種別と電圧比率等との関係をまとめた図である。 本発明の実施の形態2に係る電流監視状態のまとめ図である。 本発明の実施の形態2に係る二重異常の態様のまとめ図である。 本発明の実施の形態2に係る細分化方法による正常・異常・実測データテーブルを表すまとめ図である。 図9の一覧を整列変更したまとめ図である。 本発明の実施の形態2に係る簡略方法による正常・異常・実測データテーブルを表すまとめ図である。 図11の一覧表を整列変更したまとめ図である。 本発明の実施の形態2に係る監視制御の処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係る給電制御装置の部分回路図である。 本発明の実施の形態3に係る第1電気負荷側の監視制御の処理を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係る第2電気負荷側の監視制御の処理を示すフローチャートである。
1.実施の形態1
(1)構成の詳細な説明
実施の形態1に係る車載電気負荷の給電制御装置100(以下、単に給電制御装置100と称す)について図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る車載電気負荷、給電制御装置100、及びその周辺回路の全体回路図である。
給電制御装置100は、車両に搭載された複数の電気負荷への電力の供給(給電)を制御する制御装置であり、車両に搭載される。制御対象の複数の電気負荷には、図示している第1電気負荷40a及び第2電気負荷40b等と、図示していない各種の電気負荷群が含まれる。詳細は後述するが、給電制御装置100は、第1電気負荷40a及び第2電気負荷40bに、同時には電力を供給しないように給電制御を行うように構成されている。給電制御装置100は、図示しない各種の入力センサ群からの入力情報に応じて、複数の電気負荷への電力の供給を制御する制御回路部190を主体として構成されている。
<電源供給>
給電制御装置100は、車載バッテリ10の電力が供給されて作動する。詳細には、運転者の操作により車両の電源スイッチ11が閉路されると、車載バッテリ10の電源電圧Vbbが、電源投入指令端子IGSを介して給電制御装置100の内部の電源保持回路111に供給される。電源保持回路111は、電源電圧Vbbが供給されると、電源リレー駆動端子DR0を介して、電気負荷の一つである電源リレー20の電磁コイルに電力を供給させ、電源リレー20の開閉接点を閉路させる。電源リレー20の開閉接点が閉路されると、給電制御装置100に、電源供給端子Vbbtを介して、車載バッテリ10の電源電圧Vbbが供給される。その結果、給電制御装置100内の電源ユニット110に電源電圧Vbbが供給される。電源ユニット110は、供給された電源電圧Vbbから予め定められた電圧レベル(例えばDC5V)の安定化電圧である制御電圧Vccを発生し、制御電圧Vccを制御回路部190に供給する。制御電圧Vccの供給により、制御回路部190内のマイクロプロセッサCPUが制御動作を開始すると、制御回路部190は、電源保持回路111に自己保持指令信号SFSを出力する。その結果、電源保持回路111は、自己保持状態となり、電源スイッチ11が開路されても、その後、マイクロプロセッサCPUが退避処理を行って自己停止するまでは、電源リレー20に電力を供給させ、電源電圧Vbbを電源ユニット110に供給させる。車載バッテリ10の負極は、車体(グランドGND)に接続されており、給電制御装置100及び各種の電気負荷は、車体(グランドGND)を介して車載バッテリ10の負極に接続されている。
<第1電気負荷40a>
給電制御装置100は、第1電気負荷40aへの電力の供給を制御する。本実施の形態では、第1電気負荷40aは、エンジン(不図示)の始動用の電動機であるスタータ30bへの電力供給路を開閉する電動スタータリレー40aとされている。詳細には、電動スタータリレー40aは、スタータ30bへの電力供給路を開閉する開閉接点と、当該開閉接点を開閉駆動する電磁コイルと、を有しており、第1電気負荷40aは、電動スタータリレー40aの電磁コイルとされている。第1電気負荷40a(電動スタータリレー40aの電磁コイル)に電力が供給されると、電磁コイルの電磁力により開閉接点が閉じて、スタータ30bに車載バッテリ10の電力が供給され、エンジンが始動する。一方、第1電気負荷40a(電動スタータリレー40aの電磁コイル)に電力が供給されていないと、ばね等の機械的付勢力により開閉接点が開き、スタータ30bに車載バッテリ10の電力が供給されない。
給電制御装置100は、アイドリングストップ等により、エンジンが停止した後、エンジンを再始動させる際に、電動スタータリレー40aに電力を供給するように構成されている。すなわち、電動スタータリレー40aは、エンジンの再始動用のスタータリレーである。また、車両には、運手者の手動操作により、スタータ30bに車載バッテリ10の電力を供給するための手動スタータリレー30aも備えられている。すなわち、スタータ30bに車載バッテリ10の電力を供給する電力供給路が、手動スタータリレー30aを介した電力供給路と電動スタータリレー40aを介した電力供給路とにより、並列的に設けられている。
なお、エンジンに加えて車輪駆動用の電動モータを備えるハイブリッド車両の場合は、給電制御装置100は、エンジンを停止して電動モータの駆動力で走行する電動走行モード中に、車載バッテリ10の充電量が低下した場合や、アクセルペダルの踏込量が増加した場合等に、エンジンを始動させるために、電動スタータリレー40aに電力を供給するように構成されてもよい。或いは、手動スタータリレー30aが備えられていない場合は、給電制御装置100は、最初のエンジンの始動の際にも、プッシュボタン等による運転者の始動要求に応じて、電動スタータリレー40aに電力を供給するように構成されてもよい。
運転者の手動操作により始動スイッチ12が閉路すると共に、変速機がニュートラル又はパーキング位置であることを検出するNP判定スイッチ35が閉路している場合に、手動スタータリレー30aの電磁コイルに車載バッテリ10の電力が供給されて、手動スタータリレー30aの開閉接点が閉じ、スタータ30bに電力が供給される。
電動スタータリレー40a又は手動スタータリレー30aの作動によりスタータ30bに供給された電力は、スタータ30bのロータ31である電機子と吸引コイル34との直列回路、及び電圧コイル33に供給される。その結果、図示しないピニオンのシフトレバーが駆動されて噛合スイッチ32が閉路すると、ロータ31である電機子には車載バッテリ10から直接給電される。電動スタータリレー40a又は手動スタータリレー30aの作動によるスタータ30bへの給電が停止すると、スタータ30bの逆起電力により、吸引コイル34と電圧コイル33とが差動励磁されることによってピニオンのシフトレバーが復帰して噛合スイッチ32が開路し、スタータ30bへの給電が停止する。
<第2電気負荷40b>
給電制御装置100は、第1電気負荷40aに加えて、第2電気負荷40bへの電力の供給を制御するように構成されている。本実施の形態では、第2電気負荷40bは、エンジンの冷却水及び車室空調用の冷媒を冷却する第2ファンモータ70への電力供給路を開閉する第2ファンリレー40bとされている。詳細には、第2ファンリレー40bは、第2ファンモータ70への電力供給路を開閉する開閉接点と、当該開閉接点を開閉駆動する電磁コイルと、を有しており、第2電気負荷40bは、第2ファンリレー40bの電磁コイルとされている。第2電気負荷40b(第2ファンリレー40bの電磁コイル)に電力が供給されていると、電磁コイルの電磁力により開閉接点が閉じて、第2ファンモータ70に車載バッテリ10の電力が供給され、冷却水及び冷媒を冷却する。一方、第2電気負荷40b(第2ファンリレー40bの電磁コイル)に電力が供給されていないと、ばね等の機械的付勢力により開閉接点が開き、第2ファンモータ70に車載バッテリ10の電力が供給されない。
給電制御装置100は、第3電気負荷60への電力の供給を制御するように構成されている。本実施の形態では、第3電気負荷60は、エンジンの冷却水及び車室空調用の冷媒を冷却する第1ファンモータ50への電力供給路を開閉する第1ファンリレー60とされている。詳細には、第1ファンリレー60は、第1ファンモータ50への電力供給路を開閉する開閉接点と、当該開閉接点を開閉駆動する電磁コイルと、を有しており、第3電気負荷60は、第1ファンリレー60の電磁コイルとされている。第3電気負荷60(第1ファンリレー60の電磁コイル)に電力が供給されていると、電磁コイルの電磁力により開閉接点が閉じて、第1ファンモータ50に車載バッテリ10の電力が供給され、冷却水及び冷媒を冷却する。一方、第3電気負荷60(第1ファンリレー60の電磁コイル)に電力が供給されていないと、ばね等の機械的付勢力により開閉接点が開き、第1ファンモータ50に車載バッテリ10の電力が供給されない。
第2ファンモータ70は、第1ファンモータ50だけでは冷却能力が不足するときに、第1ファンモータ50を補助するファンモータとされている。そのため、第2ファンリレー40bの電磁コイルの正側端子は、第1ファンリレー60の開閉接点を介して車載バッテリ10の正極に接続されている。よって、第1ファンリレー60の開閉接点が開路されており、第1ファンモータ50に電力が供給されていない場合は、第2ファンリレー40bの電磁コイルに電力を供給できないように構成されており、第2ファンリレー40bの開閉接点を閉路できず、第2ファンモータ70に電力を供給できない。なお、詳細は後述するが、第2上流側開閉素子120bが閉路されると、第1ファンリレー60の電磁コイルに電力が供給されて、第1ファンリレー60の開閉接点が閉路され、更に、下流側開閉素子140が閉路されると、第2ファンリレー40bの電磁コイルに電力が供給されて、第2ファンリレー40bの開閉接点が閉路され、第2ファンモータ70に電力が供給される。
<給電制御装置100>
給電制御装置100は、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の開閉状態等を制御するマイクロプロセッサCPUを有する制御回路部190を備えている。制御回路部190は、演算処理装置(コンピュータ)としてのマイクロプロセッサCPU、マイクロプロセッサCPUとデータのやり取りする記憶装置、マイクロプロセッサCPUに外部の信号を入力する入力回路、マイクロプロセッサCPUから外部に信号を出力する出力回路、及び外部機器とマイクロプロセッサCPUとの間でデータ通信を行う通信装置等を備えている。記憶装置として、プログラムが記憶された不揮発性のプログラムメモリPMEM、揮発性のデータメモリRMEM、及び不揮発性のデータメモリDMEM等が備えられている。なお、揮発性のデータメモリRMEMの記憶内容は電源リレー20が開路されても、車載バッテリ10から直接給電されている図示しないバックアップ電圧によって停電保持されるように構成されている。ただし、データメモリRMEMに書き込まれた重要データは、電源スイッチ11が開路されてから、電源リレー20が開路されるまでの延長給電期間において不揮発性のデータメモリDMEMに転送保存されるように構成されている。入力回路は、各種のセンサやスイッチが接続され、これらセンサやスイッチの出力信号をマイクロプロセッサCPUに入力する多チャンネルAD変換器ADC及び入力ポート等を備えている。出力回路は、各種の電気負荷が接続され、これら電気負荷にマイクロプロセッサCPUから制御信号を出力する出力ポート及び駆動回路等を備えている。通信装置として、外部機器(例えば、後述する表示装置90等)とシリアル通信を行うシリアル通信用インタフェース回路SIFが備えられている。そして、マイクロプロセッサCPUが実現する開閉制御、異常判定、及びフェール制御等の各機能は、マイクロプロセッサCPUが、プログラムメモリPMEMに記憶されたソフトウェア(プログラム)を実行し、記憶装置、入力回路、出力回路、及び通信装置等の制御回路部190の他のハードウエア、並びに給電制御装置100が備えた各種の開閉素子及び抵抗等の制御回路部190の周辺回路等と協働することにより実現される。なお、マイクロプロセッサCPUが用いるデータテーブル、判定値、係数等の設定データは、ソフトウェア(プログラム)の一部として、プログラムメモリPMEMに予め記憶されている。
給電制御装置100は、各電気負荷への電力供給路を開閉する、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140等の複数の開閉素子を備えている。各開閉素子には、マイクロプロセッサCPUから出力ポートを介して出力された各開閉素子を開閉させる指令信号が入力される。上流側開閉素子120aは、マイクロプロセッサCPUが出力する上流側指令信号DRaの論理レベルが「H」のときに、反転論理回路であるゲート回路121を介して閉路駆動される、例えばPチャネル型の電界効果型トランジスタとされる。下流側開閉素子140は、マイクロプロセッサCPUが出力する下流側指令信号DRcの論理レベルが「H」のときに、閉路駆動される、例えばNチャネル型の電界効果型トランジスタとされる。第2上流側開閉素子120bは、マイクロプロセッサCPUが出力する第2上流側指令信号DRbの論理レベルが「H」のときに、閉路駆動される例えばNチャネル型の電界効果型トランジスタとされる。
給電制御装置100は、第1電気負荷40aの正側端子と車載バッテリ10の正極とを接続する上流側接続路145中に直列接続されて当該上流側接続路145を開閉する上流側開閉素子120aと、第1電気負荷40aの負側端子と車載バッテリ10の負極とを接続する下流側接続路146中に直列接続されて当該下流側接続路146を開閉する下流側開閉素子140と、を備えている。すなわち、第1電気負荷40aの上流側及び下流側の電力供給路に、それぞれ、上流側開閉素子120aと下流側開閉素子140とが直列接続されている。マイクロプロセッサCPUにより、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140が閉路にされると、第1電気負荷40aに車載バッテリ10の電力が供給され、一方、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の一方又は双方が開路にされると、第1電気負荷40aに車載バッテリ10の電力が供給されない。
なお、本発明において、「上流側」、「上流」は、電流の流れの上流側、上流を意味し、正側又は正極側、正又は正極と同義であり、「下流側」、「下流」は、電流の流れの下流側、下流を意味し、負側又は負極側、負又は負極と同義である。
また、給電制御装置100は、上流側開閉素子120aに直列接続された上流側電流制限抵抗402aと、下流側開閉素子140に直列接続された下流側電流制限抵抗401と、を備えている。給電制御装置100は、第1電気負荷40aと下流側開閉素子140との接続路中に直列接続され、電流の逆流を防止する第1逆流防止素子141を備えている。
本実施の形態では、負荷上流端子STHと電源供給端子Vbbtとを接続する上流側接続路145中に、上流側(電源供給端子Vbbt側)から順番に、上流側電流制限抵抗402a、及び上流側開閉素子120aが直列接続されている。ここで、負荷上流端子STHは、第1電気負荷40aの正側端子(正側配線)が接続される給電制御装置100の接続端子であり、電源供給端子Vbbtは、車載バッテリ10の正極が電源リレー20を介して接続され、電源電圧Vbbが供給される給電制御装置100の接続端子である。また、負荷下流端子STLとグランド端子GNDtとを接続する下流側接続路146中に、下流側(グランド端子GNDt側)から順番に、下流側電流制限抵抗401、下流側開閉素子140、及び第1逆流防止素子141が直列接続されている。ここで、負荷下流端子STLは、第1電気負荷40aの負側端子(負側配線)が接続される給電制御装置100の接続端子であり、グランド端子GNDtは、上記のように、車体(グランドGND)を介して車載バッテリ10の負極に接続される給電制御装置100の接続端子である。
給電制御装置100は、第2電気負荷40bの正側端子と車載バッテリ10の正極とを接続する第2上流側接続路147を開閉する第2上流側開閉素子120bを備えている。また、給電制御装置100は、第2電気負荷40bの負側端子を、下流側接続路146における第1逆流防止素子141と下流側開閉素子140との接続路に接続する第2下流側接続路148を備えている。給電制御装置100は、第2下流側接続路148中に直列接続され、電流の逆流を防止する第2逆流防止素子142を備えている。なお、下流側接続路146と第2下流側接続路148との接続点を、下流側合流接続点Sと称す。
よって、第1電気負荷40aを車載バッテリ10の負極に接続する第1接続路と、第2電気負荷40bを車載バッテリ10の負極に接続する第2接続路とが、下流側の部分で共通化されており、この共通化された共通接続路部分中に、下流側開閉素子140及び下流側電流制限抵抗401が直列接続されている。よって、第1電気負荷40aを負極に接続する第1接続路と、第2電気負荷40bを負極に接続する第2接続路と、を共通の下流側開閉素子140により開閉するように構成されている。マイクロプロセッサCPUにより、第2上流側開閉素子120b及び下流側開閉素子140が閉路にされると、第2電気負荷40bに車載バッテリ10の電力が供給され、一方、第2上流側開閉素子120b及び下流側開閉素子140の一方又は双方が開路にされると、第2電気負荷40bに車載バッテリ10の電力が供給されない。
また、第1逆流防止素子141及び第2逆流防止素子142は、第1接続路及び第2接続路における非共通の接続路部分にそれぞれ、並列的に接続されている。第1電気負荷40a側を流れる電流が、第2逆流防止素子142により第2電気負荷40b側に流れないように阻止され、第2電気負荷40b側を流れる電流が、第2逆流防止素子142により第1電気負荷40a側に流れないように阻止される。
本実施の形態では、第2下流端子FR2と下流側合流接続点Sとを接続する第2下流側接続路148中に第2逆流防止素子142が直列接続されている。ここで、第2下流端子FR2は、第2電気負荷40bの負側端子(負側配線)が接続される給電制御装置100の接続端子である。第2電気負荷40bの正側端子は、第1ファンリレー60の開閉接点を介して、車載バッテリ10の正極に接続されている。第2上流側開閉素子120bは、第1ファンリレー60の電磁コイルへの電力供給路を開閉する開閉素子とされている。詳細には、第2上流側開閉素子120bは、第1ファンリレー60の電磁コイルの負側端子に接続される給電制御装置100のコイル駆動端子FR1と、グランド端子GNDtとを接続する接続路中に直列接続されている。なお、第1ファンリレー60の電磁コイルの正側端子は、電源リレー20を介して、車載バッテリ10の正極に接続されている。よって、第2上流側開閉素子120bは、第1ファンリレー60の電磁コイルへの電力供給路を開閉することにより、第1ファンリレー60の開閉接点を開閉させ、第2電気負荷40bの第2上流側接続路147を開閉させるように構成されている。
給電制御装置100は、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0に応じて変化する下流電流監視信号MN0を制御回路部190に入力する下流電流監視回路155を備えている。下流電流監視信号MN0は、下流側電流制限抵抗401を流れる電流に応じて変化する。給電制御装置100は、下流電流監視信号MN0により、下流側電流制限抵抗401よりも上流側の回路を流れる電流を判定することができる。
本実施の形態では、下流電流監視回路155は、下流側電流制限抵抗401の正側端子とグランド端子GNDtとの間に、下流側電流制限抵抗401と並列的に、正側端子側から順番に直列接続された第1電流監視分圧抵抗151a及び第2電流監視分圧抵抗151bと、第1電流監視分圧抵抗151aと第2電流監視分圧抵抗151bとの接続点の対グランド電位Vmn0を下流電流監視信号MN0として制御回路部190に入力する下流電流監視信号入力線157と、を備えている。
下流電流監視信号MN0の信号電圧Vmn0は、下流側電流制限抵抗401の正側端子の対グランド電位V0が、第1電流監視分圧抵抗151a及び第2電流監視分圧抵抗151bによって分圧された電圧となる。第1電流監視分圧抵抗151aの抵抗値をR151aとし、第2電流監視分圧抵抗151bの抵抗値をR151bとすると、第1電流監視分圧抵抗151aと第2電流監視分圧抵抗151bとの分圧率G0は、式(1)に示すようになる。
G0=R151a/(R151a+R151b) ・・・(1)
下流電流監視信号MN0の信号電圧Vmn0は、式(2)に示すようになる。
Vmn0=G0×V0 ・・・(2)
多チャンネルAD変換器ADCは、入力された下流電流監視信号MN0の信号電圧Vmn0をデジタル変換してマイクロプロセッサCPUに入力する。多チャンネルAD変換器ADCの基準電圧は、制御電圧Vccとされている。そのため、下流電流監視信号MN0の信号電圧Vmn0が、基準電圧Vcc以下の範囲で変化するように、分圧抵抗の分圧率G0が設定される。分圧率G0は、電源電圧Vbbの変動範囲の最大値Vbmaxに対する制御電圧Vccの電圧比以下の一定値になるように(G0≦Vcc/Vbmax)、抵抗値R151a及び抵抗値R151bが予め設定されている。
給電制御装置100は、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位Vxに応じて変化する負荷電圧監視信号MNTを制御回路部190に入力する負荷電圧監視回路156を備えている。
本実施の形態では、負荷電圧監視回路156は、車載バッテリ10の正極(本例では、電源供給端子Vbbt)と第1電気負荷40aの正側端子(本例では、負荷上流端子STH)との間に、上流側開閉素子120a及び上流側電流制限抵抗402aに対して並列接続された上流分圧抵抗413と、第1電気負荷40aの正側端子(本例では、負荷上流端子STH)と車載バッテリ10の負極(本例では、グランド端子GNDt)との間に直列接続された第1下流分圧抵抗414a及び第2下流分圧抵抗414bと、第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとの接続点の対グランド電位Vmntを負荷電圧監視信号MNTとして制御回路部190に入力する負荷電圧監視信号入力線158と、を備えている。
別の見方をすると、負荷電圧監視回路156は、車載バッテリ10の正極(電源供給端子Vbbt)と負極(グランド端子GNDt)との間に正極側から順番に直列接続された上流分圧抵抗413、第1下流分圧抵抗414a、及び第2下流分圧抵抗414bと、上流分圧抵抗413と第1下流分圧抵抗414aとの間の接続点である監視用接続点Pを第1電気負荷40aの正側端子(負荷上流端子STH)に接続する上流側監視接続路159と、第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとの接続点の対グランド電位Vmntを負荷電圧監視信号MNTとして制御回路部190に入力する負荷電圧監視信号入力線158と、を備えている。
負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntは、第1電気負荷40aの正側端子(監視用接続点P)の対グランド電位Vxが、第1下流分圧抵抗414a及び第2下流分圧抵抗414bによって分圧された電圧となる。第1下流分圧抵抗414aの抵抗値をR414aとし、第2下流分圧抵抗414bの抵抗値をR414bとすると、第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとの分圧率Gtは、式(3)に示すようになる。
Gt=R414a/(R414a+R414b) ・・・(3)
負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntは、式(4)に示すようになる。
Vmnt=Gt×Vx ・・・(4)
多チャンネルAD変換器ADCは、入力された負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntをデジタル変換してマイクロプロセッサCPUに入力する。負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntが、基準電圧Vcc以下の範囲で変化するように、分圧抵抗の分圧率Gtが設定される。分圧率Gtは、式(5)に示すように、電源電圧Vbbの変動範囲の最大値Vbmaxに対する制御電圧Vccの電圧比以下の一定値になるように、抵抗値R414a及び抵抗値R414bが予め設定されている。
Gt≦Vcc/Vbmax ・・・(5)
また、下流側電流制限抵抗401及び上流側電流制限抵抗402aの抵抗値を同じR0とし、第1電気負荷40aの抵抗値をR40とし、上流分圧抵抗413の抵抗値をR413すると、式(6)の関係となるように、各抵抗値が予め設定されている。
R0≪R40≪R413、R414a+R414b ・・・(6)
本実施の形態では、負荷電圧監視回路156の監視用接続点Pは、後述する実施の形態2及び3とは異なり、第1電気負荷40aの正側端子のみに接続されている。上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の双方が開路である場合は、監視用接続点P(第1電気負荷40aの正側端子)の対グランド電位Vxは、上流分圧抵抗413と第1下流分圧抵抗414a及び第2下流分圧抵抗414bにより、電源電圧Vbbを分圧して得られる中間電位となる。上流側開閉素子120aが閉路であり、下流側開閉素子140が開路である場合は、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは最大電位となる。上流側開閉素子120aが開路であり、下流側開閉素子140が閉路である場合は、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは、第1逆流防止素子141の順方向電圧降下に相当した低電位状態となる。従って、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の開閉状態に応動して変化し、負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntも、それに応じて変化する。
なお、監視用接続点Pを第1電気負荷40aの正側端子(負荷上流端子STH)に接続する上流側監視接続路159中に、図1に点線で示すように、上流側並列抵抗412aが直列接続されるように構成されてもよい。この場合であっても、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の開閉状態に応動して、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは変化する。
(2)作用・動作の詳細な説明
次に、図1に示すように構成された給電制御装置100の制御処理及び制御方法について、その作用・動作を詳細に説明する。
上述したように、電源スイッチ11が閉路されると、電源保持回路111により電源リレー20の開閉接点が閉路され、給電制御装置100に電源電圧Vbbが供給され、電源ユニット110が制御電圧Vccを発生する。制御電圧Vccの供給により、制御回路部190が動作を開始すると、マイクロプロセッサCPUは、プログラムメモリPMEMに記憶されたプログラムを読み出して、プログラムに基づく処理を開始し、図示しない入力センサ群からの入力情報等に応じて、第1電気負荷40a及び第2電気負荷40bを含む各種の電気負荷群を駆動制御する。
マイクロプロセッサCPUは、上流側開閉素子120aを開閉させる上流側指令信号DRaを開路指令又は閉路指令に設定すると共に、下流側開閉素子140を開閉させる下流側指令信号DRcを開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御を実行する。
本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40a及び第2電気負荷40bに、同時に電力を供給しないように制御する。具体的には、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへ電力を供給する場合は、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令にすると共に、第2上流側開閉素子120bを開閉させる第2上流側指令信号DRbを開路指令として第2電気負荷40bに電力が供給されないようにする。一方、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bに電力を供給する場合は、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcを閉路指令にすると共に、上流側指令信号DRaを開路指令として第1電気負荷40aに電力が供給されないようにする。
本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、アイドリングストップ等によりエンジンが停止した後、エンジンの再始動を行うと判定した場合に、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令にして、電動スタータリレー40aの電磁コイルとされた第1電気負荷40aに電力を供給させ、電動スタータリレー40aの開閉接点を閉路させ、スタータ30bに電力を供給させ、エンジンを再始動させるように構成されている。この際、マイクロプロセッサCPUは、第2上流側指令信号DRbを開路指令にして、第2ファンリレー40bの電磁コイルとされた第2電気負荷40bに電力を供給させず、第2ファンモータ70に電力を供給させないように構成されている。
一方、マイクロプロセッサCPUは、エンジンの再始動を行うと判定していない場合は、エンジンの冷却水の温度等に応じて、第2ファンモータ70に電力を供給するか否かを判定し、第2ファンモータ70に電力を供給すると判定した場合は、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcを閉路指令にして、第2ファンリレー40bの電磁コイルとされた第2電気負荷40bに電力を供給させ、第2ファンリレー40bの開閉接点を閉路させ、第2ファンモータ70に電力を供給させるように構成されている。この際、マイクロプロセッサCPUは、上流側指令信号DRaを開路指令にして、電動スタータリレー40aの電磁コイルとされた第1電気負荷40aに電力を供給させず、スタータに電力を供給させないように構成されている。
以下では、上流側開閉素子120aを開閉素子Xと略称し、下流側開閉素子140を開閉素子Yと略称することがある。
図2に示すように、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcのそれぞれを開路指令又は閉路指令にする組み合わせ(開閉パターン)には以下の4種類がある。すなわち、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを開路指令にする上下流開パターン(X=OFF、Y=OFF)、上流側指令信号DRaを閉路指令にすると共に下流側指令信号DRcを開路指令にする上流閉パターン(X=ON、Y=OFF)、上流側指令信号DRaを開路指令にすると共に下流側指令信号DRcを閉路指令にする下流閉パターン(X=OFF、Y=ON)、及び上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令にする上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)がある。
図2に示すように、開閉パターンに応じて、監視用接続点P(第1電気負荷40aの正側端子)の対グランド電位Vx、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0が変化する。それに応じて、監視用接続点Pの対グランド電位Vxに分圧率Gtを乗算した電圧となる、負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntも変化し、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0に分圧率G0を乗算した電圧となる下流電流監視信号MN0の信号電圧Vmn0も変化する。なお、図2に示す各開閉パターンにおいて、第2上流側指令信号DRbは開路指令に設定されている。
<正常状態のVx、V0>
まず、回路が正常状態である場合について説明する。上下流開パターン(X=OFF、Y=OFF)の場合は、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは、電源電圧Vbbを上流分圧抵抗413と第1及び第2下流分圧抵抗414a、414bとによって分圧した電圧(以下、上下流分圧電圧と称す)となる。上流分圧抵抗413を備えることにより、電源電圧Vbbを分圧した電圧が得られる。下流側電流制限抵抗401に電流は流れないので、両端電圧V0は略0Vとなる。
上流閉パターン(X=ON、Y=OFF)の場合は、上流分圧抵抗413が、低抵抗の上流側電流制限抵抗402aによって電源電圧Vbbに短絡されるため、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは略電源電圧Vbbとなり、下流側電流制限抵抗401に電流は流れないので、両端電圧V0は略0Vとなる。
下流閉パターン(X=OFF、Y=ON)の場合は、第1及び第2下流分圧抵抗414a、414bが、低抵抗の第1電気負荷40a及び下流側電流制限抵抗401によってグランドGNDに短絡されるため、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは略0Vになり、下流側電流制限抵抗401に電流は流れないので、両端電圧V0は略0Vとなる。
上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)の場合は、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは、上流側電流制限抵抗402a、第1電気負荷40a、及び下流側電流制限抵抗401等の抵抗値に応じた、正常な印加電圧(本例では、略電源電圧Vbb)となり、両端電圧V0は、下流側電流制限抵抗401を流れる定格電流に対応する定格電流電圧となる。
<天絡異常(上流天絡異常、負線天絡異常)のVx、V0>
次に、回路に天絡異常が発生した場合について説明する。天絡異常には、上流天絡異常及び負線天絡異常が含まれる。上流天絡異常には、上流側開閉素子120aの内部短絡異常、及び第1電気負荷40aの正側配線が車載バッテリ10の正極配線に混触する正線天絡異常が含まれる。上流天絡異常が発生すると、上流側開閉素子120aの内部短絡異常によって上流分圧抵抗413が低抵抗の上流側電流制限抵抗402aによって電源電圧Vbbに短絡されるか、又は正線天絡異常によって上流分圧抵抗413が電源電圧Vbbに直接短絡される。その結果、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは略電源電圧Vbbとなる。上流天絡異常が発生すると、上流側開閉素子120aが閉路されている状態と同等の状態になる。
負線天絡異常は、第1電気負荷40aの負側配線が車載バッテリ10の正極配線に混触する異常である。負線天絡異常が発生すると、上流分圧抵抗413は電源電圧Vbbに直接短絡される。その結果、上記の上流天絡異常と同様に、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは略電源電圧Vbbとなる。負線天絡異常が発生した場合に、下流側指令信号DRcを閉路指令にすると、下流側開閉素子140を流れる電流が定格電流よりも過大になる過電流異常が引き起こされる。よって、負線天絡異常が発生すると、下流側開閉素子140の焼損を防止するため、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定するべきではない。
上下流開パターン(X=OFF、Y=OFF)及び上流閉パターン(X=ON、Y=OFF)の場合であって、上流天絡異常又は負線天絡異常の天絡異常の場合は、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは、略電源電圧Vbbとなり、下流側電流制限抵抗401に電流は流れないので、両端電圧V0は略0Vとなる。
下流閉パターン(X=OFF、Y=ON)及び上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)の場合であって、上流天絡異常の場合は、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは略電源電圧Vbbとなり、下流側電流制限抵抗401には定格電流が流れるため、両端電圧V0は定格電流電圧となる。一方、負線天絡異常の場合は、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは略電源電圧Vbbとなり、下流側電流制限抵抗401には過電流が流れるため、両端電圧V0は略電源電圧Vbbとなる。
<地絡異常(正線地絡異常、下流地絡異常)のVx、V0>
回路に地絡異常が発生した場合について説明する。地絡異常には、正線地絡異常及び下流地絡異常が含まれる。正線地絡異常は、第1電気負荷40aの正側配線が車載バッテリ10の負極配線に混触する異常である。正線地絡異常が発生すると、第1及び第2下流分圧抵抗414a、414bがグランドGNDに直接短絡される。その結果、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは略0Vとなる。正線地絡異常が発生した場合に、上流側指令信号DRaを閉路指令にすると、上流側開閉素子120aを流れる電流が定格電流よりも過大になる過電流異常が引き起こされる。よって、正線地絡異常が発生すると、上流側開閉素子120aの焼損を防止するため、上流側指令信号DRaを閉路指令に設定するべきではない。
下流地絡異常は、下流側開閉素子140の内部短絡異常、及び第1電気負荷40aの負側配線が車載バッテリ10の負極配線に混触する負線地絡異常が含まれる。下流地絡異常が発生すると、下流側開閉素子140の内部短絡異常によって、第1及び第2下流分圧抵抗414a、414bが、低抵抗の下流側電流制限抵抗401によってグランドGNDに短絡されるか、又は負線地絡異常によって第1及び第2下流分圧抵抗414a、414bがグランドGNDに直接短絡される。その結果、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは略0Vになる。下流地絡異常が発生すると、下流側開閉素子140が閉路されている状態と同等の状態になる。
上下流開パターン(X=OFF、Y=OFF)及び下流閉パターン(X=OFF、Y=ON)の場合であって、正線地絡異常又は下流地絡異常の地絡異常の場合は、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは略0Vとなり、下流側電流制限抵抗401に電流は流れないので、両端電圧V0は略0Vとなる。
上流閉パターン(X=ON、Y=OFF)及び上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)の場合であって、正線地絡異常の場合は、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは略0Vとなり、上流側開閉素子120aには過電流が流れるが、上流側開閉素子120aをバイパスして流れるため、両端電圧V0は略0Vとなる。一方、下流地絡異常の場合は、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは略0Vとなり、下流側電流制限抵抗401には定格電流が流れるため、両端電圧V0は定格電流電圧となる。
<負荷短絡異常のVx、V0>
回路に負荷短絡異常が発生した場合について説明する。負荷短絡異常には、第1電気負荷40aが内部短絡する内部短絡異常及び第1電気負荷40aの正側配線と負側配線とが混触する配線短絡異常が含まれる。負荷短絡が発生した状態で、上下流閉パターン(X=
ON、Y=ON)に設定すると、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140を流れる電流が過大になる過電流異常が引き起こされる。よって、正線地絡異常が発生すると、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の焼損を防止するため、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの双方を閉路指令に設定するべきではない。
通電する上下流閉パターン以外の上下流開パターン、上流閉パターン、及び下流閉パターンでは、監視用接続点Pの対グランド電位Vx及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0は、正常状態と同じとなる。一方、上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)では、監視用接続点Pの対グランド電位Vx及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0は、電源電圧Vbbを、上流側電流制限抵抗402a及び下流側電流制限抵抗401で分圧した負荷短絡電圧になる。本実施の形態では、上流側電流制限抵抗402a及び下流側電流制限抵抗401の抵抗値が同じにされており、負荷短絡電圧は、0.5×電源電圧Vbbとなる。
<負荷断線異常のVx、V0>
回路に負荷短絡異常が発生した場合について説明する。負荷断線異常は、第1電気負荷40aが内部断線する又は第1電気負荷40aの正側配線及び負側配線が断線する異常である。上下流開パターン、及び上流閉パターンでは、監視用接続点Pの対グランド電位Vx及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0は、正常状態と同じとなる。下流閉パターンでは、下流側開閉素子140が閉路されても、負荷断線異常により、対グランド電位Vx及び両端電圧V0は、上下流開パターンと同じとなる。上下流閉パターンでは、下流側開閉素子140が閉路されても、負荷断線異常により、対グランド電位Vx及び両端電圧V0は、上流開パターンと同じとなる。
<負線地絡異常のVx、V0>
回路に負線地絡異常が発生した場合について説明する。負線地絡異常は、第1電気負荷40aの負側配線が車載バッテリ10の負極配線に混触する異常である。負線地絡異常が発生すると、下流側開閉素子140が閉路されている状態と同等の状態になるが、下流側電流制限抵抗401を電流が流れなくなるため、両端電圧V0は略0Vとなる。上流側開閉素子120aが閉路される上下流開パターン、及び下流閉パターンでは、監視用接続点Pの対グランド電位Vx及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0は、正常状態と同じとなる。上流閉パターンでは、正常状態と異なり、第1電気負荷40aに定格電流が流れるが、下流側電流制限抵抗401には電流が流れないため、両端電圧V0は正常状態と同様に略0Vとなる。上下流閉パターンでは、正常状態と同様に、第1電気負荷40aに定格電流が流れるが、下流側電流制限抵抗401には電流が流れないため、両端電圧V0は正常状態とは異なり略0Vとなる。
なお、車載バッテリ10の正極配線には、車載バッテリ10の正極に直接接続される電気配線、電源リレー20の開閉接点を介して車載バッテリ10の正極に接続される電気配線、及びその他の開閉素子を介して車載バッテリ10の正極に接続される電気配線が含まれる。また、車載バッテリ10の負極配線には、車載バッテリ10の負極に接続された車体(グランドGND)に接続された全ての電気配線が含まれる。
以上のまとめを図2に示すように、上下流開パターン、上流閉パターン、下流閉パターン及び上下流閉パターンのそれぞれにおける下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値について、正常状態の検出値と異なる検出値となる異常状態が存在することがわかる。よって、下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値Vmntと、開閉パターンとに基づいて、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定できる。
そこで、図2に示すような関係を利用して、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcに設定した開路指令又は閉路指令の設定開閉パターンとに基づいて、第1電気負荷40a及び第1電気負荷40aに電力を供給する回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行するように構成されている。
そして、マイクロプロセッサCPUは、判定した異常の種別に応じて、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行するように構成されている。
マイクロプロセッサCPUは、異常内容、及び異常により給電が禁止された電気負荷の一方又は双方を報知装置に報知させる報知信号ERRを生成するように構成されている。本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、シリアル通信用インタフェース回路SIFを介して、報知装置としての表示装置90に報知信号ERRを伝達し、表示装置90に、異常内容及び給電が禁止された電気負荷を表示させる。或いは、マイクロプロセッサCPUは、報知装置としてスピーカを用い、音声により異常内容及び給電が禁止された電気負荷を報知させてもよい。
マイクロプロセッサCPUが判定可能な異常の種別には、以上で説明したように、上流天絡異常又は負線天絡異常の天絡異常、正線地絡異常又は下流地絡異常の地絡異常、負荷短絡異常、負荷断線異常、負線地絡異常が含まれる。
マイクロプロセッサCPUは、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、監視用接続点P(第1電気負荷40aの正側端子)の対グランド電位Vxが、電源電圧Vbbに対して予め設定された近接範囲内にあるか、0Vに対して予め設定された近接範囲内にあるか、上下流分圧電圧に対して予め設定された近接範囲内にあるか、負荷短絡電圧に対して予め設定された近接範囲内にあるか、を判定する。また、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0に基づいて、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0が、定格電流に対応する定格電流電圧に対して予め設定された近接範囲内にあるか、電流ゼロに対応する0Vに対して予め設定された近接範囲内にあるか、過電流に対応する電源電圧Vbbに対して予め設定された近接範囲内にあるか、負荷短絡電圧に対して予め設定された近接範囲内にあるか、を判定する。なお、負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntは、監視用接続点Pの対グランド電位Vxに分圧率Gtを乗算した電圧となる。下流電流監視信号MN0の信号電圧Vmn0は、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0に分圧率G0を乗算した電圧となる。
マイクロプロセッサCPUは、上下流開パターン(X=OFF、Y=OFF)に設定している場合の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが電源電圧Vbbに対して近接範囲にあると判定した場合は、上流天絡異常又は負線天絡異常の天絡異常が生じていると判定する。そして、マイクロプロセッサCPUは、負線天絡異常による過電流の発生を防止するため、少なくとも下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止する。
また、マイクロプロセッサCPUは、上下流開パターン(X=OFF、Y=OFF)に設定している場合の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが0Vに対して近接範囲にあると判定した場合は、正線地絡異常又は下流地絡異常の地絡異常の天絡異常が生じていると判定する。そして、マイクロプロセッサCPUは、正線地絡異常による過電流の発生を防止するため、少なくとも上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止する。
マイクロプロセッサCPUは、上流閉パターン(X=ON、Y=OFF)に設定している場合の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが0Vに対して近接範囲にあると判定した場合は、正線地絡異常が生じていると判定する。そして、マイクロプロセッサCPUは、過電流の発生を防止するため、少なくとも上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止する。
マイクロプロセッサCPUは、上流閉パターン(X=ON、Y=OFF)に設定している場合の、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0に基づいて、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0が定格電流電圧に対して近接範囲にあると判定した場合は、下流地絡異常が生じていると判定する。そして、マイクロプロセッサCPUは、地絡異常の検出により上流側指令信号DRaの閉路指令の設定を禁止している場合は、当該設定禁止を解除する。
マイクロプロセッサCPUは、下流閉パターン(X=OFF、Y=ON)に設定している場合の、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0に基づいて、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0が定格電流電圧に対して近接範囲にあると判定した場合は、上流天絡異常が生じていると判定する。そして、マイクロプロセッサCPUは、天絡異常の検出により下流側指令信号DRcの閉路指令の設定を禁止している場合は、当該設定禁止を解除する。
マイクロプロセッサCPUは、下流閉パターン(X=OFF、Y=ON)に設定している場合の、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0に基づいて、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0が電源電圧Vbbに対して近接範囲にあると判定した場合は、負線天絡異常が生じていると判定する。そして、マイクロプロセッサCPUは、過電流の発生を防止するため、少なくとも下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止する。
マイクロプロセッサCPUは、下流閉パターン(X=OFF、Y=ON)に設定している場合の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが上下流分圧電圧に対して近接範囲にあると判定した場合は、負荷断線異常が生じていると判定する。
マイクロプロセッサCPUは、上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)に設定している場合の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが電源電圧Vbbに対して近接範囲にあると判定し、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0に基づいて、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0が電源電圧Vbbに対して近接範囲にあると判定した場合は、負線天絡異常が生じていると判定する。そして、マイクロプロセッサCPUは、過電流の発生を防止するため、少なくとも下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止する。
マイクロプロセッサCPUは、上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)に設定している場合の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが0Vに対して近接範囲にあると判定し、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0に基づいて、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0が0Vに対して近接範囲にあると判定した場合は、正線地絡異常が生じていると判定する。そして、マイクロプロセッサCPUは、過電流の発生を防止するため、少なくとも上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止する。
マイクロプロセッサCPUは、上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)に設定している場合の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが負荷短絡電圧(本例では、0.5×電源電圧Vbb)に対して近接範囲にあると判定する、又は下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0に基づいて、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0が負荷短絡電圧(本例では、0.5×電源電圧Vbb)に対して近接範囲にあると判定した場合は、負荷短絡異常が生じていると判定する。そして、マイクロプロセッサCPUは、過電流の発生を防止するため、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する。
マイクロプロセッサCPUは、上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)に設定している場合の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが電源電圧Vbbに対して近接範囲にあると判定し、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0に基づいて、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0が0Vに対して近接範囲にあると判定した場合は、負荷断線異常又は負線地絡異常が生じていると判定する。
本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへの給電が要求されていない場合に、上下流開パターン(X=OFF、Y=OFF)に設定し、上下流開パターンに設定した時の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntが、電源電圧Vbbに対応して予め設定された高電圧判定値以上である場合に、第1電気負荷40aの上流天絡異常及び負線天絡異常を含む天絡異常が生じたと判定し、少なくとも下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止するように構成されている。また、マイクロプロセッサCPUは、上下流開パターンに設定した時の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntが、グランド電圧に対応して予め設定された低電圧判定値以下である場合に、第1電気負荷40aの正線地絡異常及び下流地絡異常を含む地絡異常が生じたと判定し、少なくとも上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止する。
マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへの電力供給が要求されている場合であって、上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止していない場合は、上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)に設定し、上下流閉パターンに設定した後、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、下流側電流制限抵抗401に過電流が流れる場合の両端電圧V0(ここでは、負荷短絡電圧)に対応して予め設定された過電流判定値以上となった場合に、第1電気負荷40aの負荷短絡異常が生じたと判定し、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する。また、マイクロプロセッサCPUは、上下流閉パターンに設定した後、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、下流側電流制限抵抗401に正常電流が流れない場合の両端電圧V0に対応して予め設定された低電流判定値以下となった場合に、第1電気負荷40aの負荷断線異常又は負線地絡異常が生じたと判定する。
<フローチャート>
以上で説明した、本実施の形態に係る開閉制御、異常判定、及びフェール制御の処理(給電制御装置100の制御方法)を、図3及び図4に示すフローチャートのように構成することができる。図3及び図4のフローチャートの処理は、マイクロプロセッサCPUがプログラムメモリPMEMに記憶されたプログラムを実行することにより、例えば一定の演算周期毎に繰り返し実行される。図3のフローチャートは、エンジンの再始動に係る処理であり、図4のフローチャートは、ファンモータの駆動に係る処理である。
まず、図3について説明する。まず、ステップ200において、マイクロプロセッサCPUは、エンジンの再始動制御に係る一連の処理を開始する。続くステップ201で、マイクロプロセッサCPUは、上下流開パターン(X=OFF、Y=OFF)に設定し、第1電気負荷40aに電力を供給させない状態にする。この際、マイクロプロセッサCPUは、第2上流側指令信号DRbを閉路指令に設定してもよいし、開路指令に設定してもよい。後述するように、第2電気負荷40b側の負荷電流は、第1逆流防止素子141により阻止され、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに影響しないためである。そして、ステップ202aで、マイクロプロセッサCPUは、多チャンネルAD変換器ADCを介して検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntが、電源電圧Vbbに対応して予め設定された高電圧判定値以上であるか否かを判定する。高電圧判定値は、電源電圧Vbbの変動範囲の最小値Vbminに負荷電圧監視回路156の分圧率Gtを乗算した値(Gt×Vbmin)に相当する値に設定される。よって、マイクロプロセッサCPUは、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが、予め設定された電源電圧Vbbの変動範囲の最小値Vbmin以上であるか否かを判定する。
負荷電圧監視回路156の分圧率Gtは、上述したように、電源電圧Vbbの変動範囲の最大値Vbmaxに対する制御電圧Vccの電圧比以下の一定値に設定されている。そのため、信号電圧Vmntの検出値が高電圧判定値以上と判定した場合は、信号電圧Vmntの検出値が制御電圧Vccに近接した値となる。マイクロプロセッサCPUは、信号電圧Vmntの検出値が高電圧判定値以上であればYesの判定を行って、ステップ202bへ移行し、高電圧判定値未満であればNoの判定を行ってステップ203aへ移行する。
ステップ202bでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aの上流側回路が天絡する上流天絡異常及び第1電気負荷40aの負側配線が天絡する負線天絡異常を含む天絡異常が発生していると判定し、上流天絡異常及び負線天絡異常を含む天絡異常が発生したと記憶する。
上流天絡異常には、上記したように、上流側開閉素子120aの内部短絡異常、及び第1電気負荷40aの正線天絡異常が含まれる。上流天絡異常が発生すると、第2電気負荷40bに電力を供給し、第1電気負荷40aに電力を供給しないために、下流側指令信号DRcを閉路指令にし、上流側指令信号DRaを開路指令にしたときに、第1電気負荷40aに誤って電力が供給される状態が引き起こされる。よって、上流天絡異常が発生すると、第1電気負荷40aに誤って電力が供給されるのを防止するため、第2電気負荷40bに電力を供給するために下流側指令信号DRcを閉路指令に設定できない状態となる。
負線天絡異常が発生すると、第1電気負荷40a又は第2電気負荷40bに電力を供給するために、下流側指令信号DRcを閉路指令にすると、下流側開閉素子140を流れる電流が過大になる過電流異常が引き起こされる。過電流の状態が継続すると、開閉素子が焼損するおそれがある。そこで、マイクロプロセッサCPUは、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止する。
マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに電力を供給できない状態であること、第2電気負荷40bに電力を供給できない状態であること、の一方又は双方を報知装置に報知させる報知信号ERRを発生する。本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bである第2ファンリレー40b(又は第2ファンモータ70)に電力を供給できない状態であることを、表示装置90に表示させるように構成されている。
ステップ203aでは、マイクロプロセッサCPUは、上下流開パターンに設定されている状態で、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntが、グランド電圧(0V)に対応して予め設定された低電圧判定値以下であるか否かを判定する。ここで、低電圧判定値は、第1逆流防止素子141の順方向電圧降下の値に負荷電圧監視回路156の分圧率Gtを乗算した値に相当する値に設定される。よって、マイクロプロセッサCPUは、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが、第1逆流防止素子141の順方向電圧降下の値以下であるか否かを判定する。マイクロプロセッサCPUは、信号電圧Vmntの検出値が低電圧判定値以下であればYesの判定を行って、ステップ203bへ移行し、低電圧判定値より大きければNoの判定を行ってステップ204aへ移行する。
ステップ203bでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aの正側配線が地絡する正線地絡異常及び第1電気負荷40aの下流側回路が地絡する下流地絡異常を含む地絡異常が発生していると判定し、正線地絡異常及び下流地絡異常を含む地絡異常が発生したと記憶する。
正線地絡異常が発生すると、第1電気負荷40aに電力を供給するために、上流側指令信号DRaを閉路指令にすると、上流側開閉素子120aを流れる電流が過大になる過電流異常が引き起こされる。下流地絡異常は、上記のように、下流側開閉素子140の内部短絡異常、及び第1電気負荷40aの負側配線が車載バッテリ10の負極配線に混触する負線地絡異常が含まれる。下流地絡異常が発生すると、上流側指令信号DRaを閉路指令にすると、第1電気負荷40aに電力が供給され、第2上流側指令信号DRbを閉路指令にすると、第2電気負荷40bに電力が供給される状態となる。そこで、マイクロプロセッサCPUは、上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止する。
マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに電力を供給できない状態であることを報知装置に報知させる報知信号ERRを発生する。本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aである電動スタータリレー40aに電力を供給できない状態であることを表示装置90に表示させるように構成されている。
ステップ204aでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへの電力供給が要求されている条件として、エンジンを再始動する条件が成立しているか否かを判定し、再始動の条件が成立していればYESの判定を行ってステップ204bへ移行し、成立していなければNOの判定を行ってステップ205bへ移行する。マイクロプロセッサCPUは、エンジンを再始動する条件が成立している場合は、後述する図4のフローチャートのステップ301bで、第2上流側指令信号DRbを開路指令に設定する。これにより、第2電気負荷40bの負荷電流により、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が影響を受けないようにできる。
ステップ204bでは、マイクロプロセッサCPUは、ステップ202b又はステップ203bによって、下流側指令信号DRc又は上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止しているか否かを判定し、いずれかを閉路指令にすることを禁止していればYESの判定を行ってステップ205bへ移行し、いずれも閉路指令にすることを禁止していなければNOの判定を行ってステップ205aへ移行する。
ステップ205aでは、マイクロプロセッサCPUは、上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)に設定し、第1電気負荷40aに電力を供給させる。そして、ステップ207aで、マイクロプロセッサCPUは、多チャンネルAD変換器ADCを介して検出した下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、負荷短絡電圧(本例では、0.5×電源電圧Vbb)に対応して予め設定された過電流判定値以上であるか否かを判定する。ここで、過電流判定値は、負荷短絡電圧に下流電流監視回路155の分圧率G0を乗算した電圧と、定格電流通電時の信号電圧Vmn0との間の電圧に設定される。
下流電流監視回路155の分圧率G0は、上述したように、電源電圧Vbbの変動範囲の最大値Vbmaxに対する制御電圧Vccの電圧比以下の一定値に設定されている。そのため、検出値Vmn0が過電流判定値以上と判定した場合は、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0は、0.5×制御電圧Vccに近接した値となる。マイクロプロセッサCPUは、検出値Vmn0が過電流判定値以上であれば、過電流異常が発生したとして、Yesの判定を行って、ステップ207bへ移行し、過電流判定値未満であればNoの判定を行ってステップ208aへ移行する。
ステップ207bでは、ステップ202bとステップ203bにおいて天絡異常や地絡異常が検出されていないが、ステップ207aで過電流異常が検出されたことから、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aの負荷短絡異常が発生していると判定し、第1電気負荷40aの負荷短絡異常が発生したと記憶する。負荷短絡異常には、上記したように、第1電気負荷40aの内部短絡異常及び第1電気負荷40aの配線短絡異常が含まれる。
第1電気負荷40aの負荷短絡異常が発生した状態で、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令に設定した状態を継続すると、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140が焼損するおそれがある。そのため、マイクロプロセッサCPUは、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令から強制的に開路指令に変更する。また、マイクロプロセッサCPUは、上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止する。
マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに電力を供給できない状態であること、及び第1電気負荷40aの負荷短絡異常が発生したことを報知装置に報知させる報知信号ERRを発生してステップ205bへ移行する。本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aである電動スタータリレー40a(又はスタータ30b)に電力を供給できない状態であること、及び電動スタータリレー40aの負荷短絡異常が発生したことを表示装置90に表示させるように構成されている。
一方、ステップ208aでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、下流側電流制限抵抗401に定格電流が流れない場合の両端電圧V0に対応して予め設定された低電流判定値以下であるか否かを判定する。ここで、低電流判定値は、定格電流通電時の信号電圧Vmn0と0Vとの間の電圧に設定される。定格電流通電時の信号電圧Vmn0は、第1電気負荷40aの正常負荷電流と下流側電流制限抵抗401の抵抗値との乗算値に、下流電流監視回路155の分圧率G0を乗算した値に相当する。マイクロプロセッサCPUは、検出値Vmn0が低電流判定値以下であれば、低電流異常が発生したとして、Yesの判定を行って、ステップ208bへ移行し、低電流判定値より大きければNoの判定を行ってステップ209へ移行する。
ステップ208bでは、マイクロプロセッサCPUは、ステップ202bとステップ203bにおいて天絡異常や地絡異常が検出されていないが、ステップ208aで低電流異常が検出されたことから、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aの負荷断線異常又は第1電気負荷40aの負側配線が地絡する負線地絡異常が発生していると判定し、第1電気負荷40aの負荷断線異常又は第1電気負荷40aの負線地絡異常が発生したと記憶する。そして、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aの負荷断線異常又は負線地絡異常が発生したことを報知装置に報知させる報知信号ERRを発生してステップ205bへ移行する。
一方、ステップ209では、マイクロプロセッサCPUは、図示しないエンジンの回転速度センサの出力信号により検出したエンジンの回転速度に基づいて、エンジンの始動が完了したか否かを判定し、完了していればYESの判定を行って、ステップ205bへ移行し、未完了であればNOの判定を行ってステップ204bへ戻る。ステップ205bでは、マイクロプロセッサCPUは、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令から開路指令に変更した後、ステップ210に移行し、エンジンの再始動制御の処
理を終了する。
なお、ステップ202bでは、マイクロプロセッサCPUは、天絡異常が生じたと判定した後、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止しているが、以下のように構成されてもよい。すなわち、マイクロプロセッサCPUは、天絡異常が生じたと判定した後、予め設定されたモニタ期間だけ下流閉パターン(X=OFF、Y=ON)に設定し、モニタ期間で検出した下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、下流側電流制限抵抗401に過電流が流れる場合の両端電圧V0(ここでは、電源電圧Vbb)に対応して設定された過電流判定値以下であるか否かを判定する。なお、この際、マイクロプロセッサCPUは、第2上流側指令信号DRbを開路指令に設定し、第2電気負荷40bの負荷電流により、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が影響を受けないようにする。モニタ期間は、過電流が流れても焼損を生じない程度の短い期間に設定される。マイクロプロセッサCPUは、検出値Vmn0が過電流判定値以下であると判定した場合は、天絡異常として上流天絡異常が発生していると判定し、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定禁止を解除する。一方、マイクロプロセッサCPUは、検出値Vmn0が過電流判定値より大きいと判定した場合は、天絡異常として負線天絡異常が発生していると判定し、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定禁止を継続する。
また、ステップ203bでは、マイクロプロセッサCPUは、地絡異常が生じたと判定した後、上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止しているが、以下のように構成されてもよい。すなわち、マイクロプロセッサCPUは、地絡異常が生じたと判定した後、予め設定されたモニタ期間だけ上流閉パターン(X=ON、Y=OFF)に設定し、モニタ期間で検出した下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、低電流判定値以上であるか否かを判定する。なお、この際、マイクロプロセッサCPUは、第2上流側指令信号DRbを開路指令に設定し、第2電気負荷40bの負荷電流により、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が影響を受けないようにする。マイクロプロセッサCPUは、検出値Vmn0が低電流判定値以上であると判定した場合は、地絡異常として下流地絡異常が発生していると判定し、上流側指令信号DRaの閉路指令の設定禁止を解除する。一方、マイクロプロセッサCPUは、検出値Vmn0が低電流判定値より大きいと判定した場合は、地絡異常として正線地絡異常が発生していると判定し、上流側指令信号DRaの閉路指令の設定禁止を継続する。
或いは、マイクロプロセッサCPUは、ステップ202bにおいて天絡異常の検出により、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止している場合であっても、第1電気負荷40aへの電力供給が要求されている場合は、ステップ204bでNOの判定を行い、ステップ205aで、上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)に設定するように構成されてもよい。そして、マイクロプロセッサCPUは、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定した後、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、下流側電流制限抵抗401に過電流が流れる場合の両端電圧V0(ここでは、電源電圧Vbb)に対応して設定された過電流判定値以上になった場合には、天絡異常として負線天絡異常が発生していると判定し、下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定を禁止するように構成されてもよい。
また、マイクロプロセッサCPUは、ステップ203bにおいて地絡異常の検出により、上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止している場合であっても、第1電気負荷40aへの電力供給が要求されている場合は、ステップ204bでNOの判定を行い、ステップ205aで、上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)に設定するように構成されてもよい。そして、マイクロプロセッサCPUは、上流側指令信号DRaを閉路指令に設定した後、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、低電流判定値以上になった場合には、地絡異常として下流地絡異常が発生していると判定し、上流側指令信号DRaを強制的に開路指令に設定すると共に、上流側指令信号DRaの閉路指令の設定を禁止するように構成されてもよい。
以上のとおり、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntは、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140が共に開路であれば、電源電圧Vbbを上流分圧抵抗413と第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとによって分圧した電圧となる。一方、上流側開閉素子120aのみが閉路されると、上流分圧抵抗413が短絡されて、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntは、電源電圧Vbbを第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bだけで分圧した電圧となり、下流側開閉素子140のみが閉路されると、第1下流分圧抵抗414a及び第2下流分圧抵抗414bの直列回路が、低抵抗の第1電気負荷40aと下流側電流制限抵抗401との直列回路によって短絡されて、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntはゼロ状態となる。また、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140が共に閉路であれば、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntは、電源電圧Vbbを第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bだけで分圧した電圧となる。
また、上述のように、異常内容及び開閉パターンによって、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntが変化する。このように、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntにより、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の両方の開閉状態と異常内容とを合成して検出することができ、従来技術のように、上流側開閉素子及び下流側開閉素子のそれぞれの両端電圧を個別に検出するものに比べて、装置構成を大幅に簡略化することができると共に、負荷電圧監視信号MNTの検出もマイクロプロセッサCPUのAD変換器によって高精度に行うことができる。
また、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140を流れる第1電気負荷40aの負荷電流は、下流側開閉素子140側で代表して、AD変換器を用いた下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0により高精度に測定することができる構成となっている。更に、第2電気負荷40bが下流側開閉素子140に接続されている場合には、第2電気負荷40bに流れる電流も同じ下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0によって測定することができる構成となっている。なお、第2電気負荷40bが接続されていても、第2電気負荷40bの給電状態によって負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntは変化しないように構成されている。例えば、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140が開路され、第2上流側開閉素子120bが閉路されて、第1ファンモータ50に電流が流れても、第1ファンモータ50に流れる負荷電流は、第1逆流防止素子141によって阻止されて、第1電気負荷40a及び第1及び第2下流分圧抵抗414a、414bに流入する電流が発生しないため、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntには影響しない。また、例えば、上流側開閉素子120aが開路され、下流側開閉素子140及び第2上流側開閉素子120bが閉路され、第1ファンモータ50及び第2電気負荷40bに電流が流れても、第1ファンモータ50及び第2電気負荷40bに流れる負荷電流は、第1逆流防止素子141によって阻止されて、第1電気負荷40a及び第1及び第2下流分圧抵抗414a、414bに流入する電流が発生しないため、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntには影響しない。
次に、ファンモータの駆動処理に係る図4のフローチャートについて説明する。まず、ステップ300において、マイクロプロセッサCPUは、第1ファンモータ50及び第2ファンモータ70の駆動制御に係る一連の処理を開始する。続くステップ301aで、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに電力を供給するために、上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)に設定しており、エンジンの再始動中であるか否かを判定し、再始動中であればYESの判定を行ってステップ301bへ移行し、再始動中でなければNOの判定を行ってステップ302aへ移行する。
ステップ301bでは、マイクロプロセッサCPUは、第1ファンリレー60に対する駆動指令となる第2上流側指令信号DRbを開路指令に設定する。これにより、第1ファンリレー60の開閉接点が開路駆動され、第1ファンモータ50及び第2電気負荷40bに電力が供給されない。なお、エンジンの再始動を行うために、上述したステップ205aで、下流側指令信号DRcが閉路指令に設定され、共用されている下流側開閉素子140が閉路されているが、上記のように第1ファンリレー60の開閉接点が開路されているので、第2電気負荷40bに電力が供給されない。よって、第2ファンリレー40bの開閉接点が開路され、第2ファンモータ70に電力が供給されない。そして、ステップ309に移行し、ファンモータの駆動制御の処理を終了する。
ステップ302aでは、マイクロプロセッサCPUは、温度センサの出力信号により検出される冷却水又は冷媒(本例では冷媒)の温度が、予め設定された第1温度T1以上であるか否かを判定し、第1温度T1未満であればNOの判定を行ってステップ302bへ移行し、第1温度T1以上であればYESの判定を行ってステップ303aへ移行する。ステップ302bでは、マイクロプロセッサCPUは、第1ファンリレー60に対する駆動指令となる第2上流側指令信号DRbを開路指令に設定して、第1ファンモータ50への電力供給を停止状態にした後、ステップ302cへ移行する。ステップ302cでは、マイクロプロセッサCPUは、下流側指令信号DRcを開路指令に設定し、共用されている下流側開閉素子140を開路して、第2電気負荷40bである第2ファンリレー40bの電磁コイルへの電力供給を停止状態にした後、ステップ309に移行する。
一方、ステップ303aでは、マイクロプロセッサCPUは、冷媒の温度が、第1温度T1よりも高い温度に予め設定された第2温度T2以上であるか否かを判定し、第2温度T2未満であればNOの判定を行ってステップ303bへ移行し、第2温度T2以上であればYESの判定を行ってステップ304aへ移行する。ステップ303bでは、マイクロプロセッサCPUは、第1ファンリレー60に対する駆動指令となる第2上流側指令信号DRbを閉路指令に設定して、第1ファンモータ50に電力を供給させた後、ステップ303cへ移行する。ステップ303cでは、マイクロプロセッサCPUは、下流側指令信号DRcを開路指令に設定し、第2電気負荷40bである第2ファンリレー40bの電磁コイルへの電力供給を停止状態にし、第2ファンモータ70への電力供給を停止状態にした後、ステップ309へ移行する。
ステップ304aでは、マイクロプロセッサCPUは、図3のステップ202b等において、天絡異常の発生等により下流側指令信号DRcの閉路指令の設定を禁止しているか否かを判定し、禁止していればYESの判定を行ってステップ305aへ移行し、禁止していなければNOの判定を行ってステップ304bへ移行する。ステップ304bでは、マイクロプロセッサCPUは、第1ファンリレー60に対する駆動指令となる第2上流側指令信号DRbを閉路指令に設定し、第1ファンモータ50に電力を供給させた後、ステップ304cへ移行する。ステップ304cでは、マイクロプロセッサCPUは、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定し、第2電気負荷40bである第2ファンリレー40bの電磁コイルへ電力を供給させ、第2ファンモータ70へ電力を供給させた後、ステップ309へ移行する。
一方、ステップ305aでは、マイクロプロセッサCPUは、冷媒の温度が第2温度T2を越えているにも関わらず、第2ファンモータ70を駆動できない状態であることを報知装置に報知させる報知信号ERRを発生すると共に、多気筒エンジンが有する複数の燃焼室に対して順番に行う燃料噴射を間欠停止してエンジンの出力を抑制する。続く、ステップ305bでは、マイクロプロセッサCPUは、第1ファンリレー60に対する駆動指令となる第2上流側指令信号DRbを閉路指令に設定し、第1ファンモータ50に電力を供給させた後、ステップ305cへ移行する。ステップ305cでは、マイクロプロセッサCPUは、下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定し、第2電気負荷40bである第2ファンリレー40bの電磁コイルへの電力供給を停止状態にし、第2ファンモータ70への電力供給を強制停止状態にした後、ステップ309へ移行する。
(3)実施の形態1の要点と特徴
以上の説明で明らかなとおり、この実施の形態1による車載電気負荷の給電制御装置100は、第1電気負荷40aの正側端子と車載バッテリ10の正極とを接続する上流側接続路145中に直列接続されて当該上流側接続路145を開閉する上流側開閉素子120aと、第1電気負荷40aの負側端子と車載バッテリ10の負極とを接続する下流側接続路146中に直列接続されて当該下流側接続路146を開閉する下流側開閉素子140と、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の開閉状態を制御するマイクロプロセッサCPUを有する制御回路部190と、を備えている。給電制御装置100は、下流側開閉素子140に直列接続された下流側電流制限抵抗401と、当該下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0に応じて変化する下流電流監視信号MN0を制御回路部190に入力する下流電流監視回路155と、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位Vxに応じて変化する負荷電圧監視信号MNTを制御回路部190に入力する負荷電圧監視回路156と、を備えている。マイクロプロセッサCPUは、上流側開閉素子120aを開閉させる上流側指令信号DRaを開路指令又は閉路指令に設定すると共に、下流側開閉素子140を開閉させる下流側指令信号DRcを開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御を実行する。マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcに設定した開路指令又は閉路指令の設定開閉パターンとに基づいて、第1電気負荷40a及び第1電気負荷40aに電力を供給する回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行する。そして、マイクロプロセッサCPUは、判定した異常の種別に応じて、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行する。
この構成によれば、2つの監視信号MNT、MN0により、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位Vx、及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0をモニタするように構成されている。第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位Vxは、第1電気負荷40aの上流側の回路の状態、及び下流側の回路の状態に応じて変化する。また、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0は、当該抵抗の上流側の回路を流れる電流に応じて変化する。そのため、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位Vx及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0は、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの開閉パターン、及び回路の正常状態又は異常の種別に応じて変化する。よって、負荷電圧監視信号MNT及び下流電流監視信号MN0の一方又は双方の検出値と、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの設定開閉パターンとに基づいて、多くの異常の種別を判定することができる共に、過電流の発生を防止する等のため、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方の閉路指令の設定を適切に禁止することができる。従って、従来技術のように、上流側開閉素子及び下流側開閉素子のそれぞれの両端電圧を個別に検出するものに比べて、2つの監視信号を検出するだけであるので、装置構成を大幅に簡略化することができると共に、多くの異常の種別を識別できる。
また、負荷電圧監視回路156は、車載バッテリ10の正極と第1電気負荷40aの正側端子との間に、上流側開閉素子120aに対して並列接続された上流分圧抵抗413と、第1電気負荷40aの正側端子と車載バッテリ10の負極との間に直列接続された第1下流分圧抵抗414a及び第2下流分圧抵抗414bと、第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとの接続点の対グランド電位Vmntを負荷電圧監視信号MNTとして制御回路部190に入力する負荷電圧監視信号入力線158と、を備えている。下流電流監視回路155は、下流側開閉素子140と下流側電流制限抵抗401との接続点と車載バッテリ10の負極との間に直列接続された第1電流監視分圧抵抗151a及び第2電流監視分圧抵抗151bと、第1電流監視分圧抵抗151aと第2電流監視分圧抵抗151bとの接続点の対グランド電位Vmn0を下流電流監視信号MN0として制御回路部190に入力する下流電流監視信号入力線157と、を備えている。
この構成によれば、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位Vx及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0を、それぞれ負荷電圧監視信号MNT及び下流電流監視信号MN0として制御回路部190に入力することができる。ここで、上流分圧抵抗413が、上流側開閉素子120aに対して並列接続されているので、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140が開路されている場合に、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位Vxを、電源電圧Vbbを上流分圧抵抗413と第1及び第2下流分圧抵抗414a、414bとによって分圧した電圧とすることができ、この場合を精度よく判定することが可能になる。また、電源電圧Vbbになった対グランド電位Vxを、第1下流分圧抵抗414a及び第2下流分圧抵抗414bにより、AD変換器が変換可能な電圧まで分圧低下させて、給電制御装置100のAD変換器により精度よく検出することができる。同様に、電源電圧Vbbになった両端電圧V0を、第1電流監視分圧抵抗151a及び第2電流監視分圧抵抗151bにより、AD変換器が変換可能な電圧まで分圧低下させて、給電制御装置100のAD変換器により精度よく検出することができる。
マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへの給電が要求されていない場合に、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを開路指令に設定し、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを開路指令に設定した時の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntが、車載バッテリ10の電源電圧Vbbに対応して予め設定された高電圧判定値以上である場合に、第1電気負荷40aの上流側回路が天絡する上流天絡異常及び第1電気負荷40aの負側配線が天絡する負線天絡異常を含む天絡異常が生じたと判定し、少なくとも下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止する。また、マイクロプロセッサCPUは、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを開路指令に設定した時の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntが、グランド電圧に対応して予め設定された低電圧判定値以下である場合に、第1電気負荷40aの正側配線が地絡する正線地絡異常及び第1電気負荷40aの下流側回路が地絡する下流地絡異常を含む地絡異常が生じたと判定し、少なくとも上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止する。マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへの電力供給が要求されている場合であって、上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止していない場合は、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令に設定し、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令に設定した後、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、下流側電流制限抵抗401に過電流が流れる場合の両端電圧V0に対応して予め設定された過電流判定値以上となった場合に、第1電気負荷40aの負荷短絡異常が生じたと判定し、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する。マイクロプロセッサCPUは、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令に設定した後、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、下流側電流制限抵抗401に定格電流が流れない場合の両端電圧V0に対応して予め設定された低電流判定値以下となった場合に、第1電気負荷40aの負荷断線異常又は第1電気負荷40aの負側配線が地絡する負線地絡異常が生じたと判定する。
この構成によれば、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを開路指令に設定している時の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntに基づいて、第1電気負荷40aの上流天絡異常及び負線天絡異常を含む天絡異常が生じているか否かを判定し、天絡異常が生じていると判定した場合に、少なくとも下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止して、負線天絡異常により過電流が発生することを未然に防止することができ、下流側開閉素子140の焼損を防止できる。また、第1電気負荷40aの正線地絡異常及び下流地絡異常を含む地絡異常が生じているか否かを判定し、地絡異常が生じていると判定した場合に、少なくとも上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止して、正線地絡異常により過電流が発生することを未然に防止することができ、上流側開閉素子120aの焼損を防止できる。
第1電気負荷40aへの電力供給が要求されている場合であって、上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することが禁止されていない場合は、天絡異常又は地絡異常による過電流発生のおそれがないため、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令に設定し、第1電気負荷40aへの電力供給を行う。その後、天絡異常及び地絡異常が発生していないと判定されている状態で、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が過電流判定値以上になった場合は、第1電気負荷40aの負荷短絡異常が発生していると判定することができ、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を強制的に開路指令に設定して、負荷短絡異常による過電流が継続することを防止し、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の焼損を防止することができる。また、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が低電流判定値以下になった場合は、第1電気負荷40aの負荷断線異常又は第1電気負荷40aの負線地絡異常が発生していると判定することができる。
マイクロプロセッサCPUは、天絡異常が生じたと判定した後、予め設定されたモニタ期間だけ下流側指令信号DRcを閉路指令に設定すると共に上流側指令信号DRaを開路指令に設定し、モニタ期間で検出した下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、過電流判定値以下である場合に、天絡異常が上流天絡異常であると判定し、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定禁止を解除する。マイクロプロセッサCPUは、地絡異常が生じたと判定した後、予め設定されたモニタ期間だけ上流側指令信号DRaを閉路指令に設定すると共に下流側指令信号DRcを開路指令に設定し、モニタ期間で検出した下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、低電流判定値以上である場合に、地絡異常が下流地絡異常であると判定し、上流側指令信号DRaの閉路指令の設定禁止を解除する。
この構成によれば、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定し、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0をモニタすることにより、天絡異常として上流天絡異常及び負線天絡異常のいずれが発生したかを判定することができる。そして、天絡異常が上流天絡異常であると判定した場合は、過電流が発生するおそれがないため、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定禁止を解除し、天絡異常が負線天絡異常であると判定した場合は、過電流が発生するおそれがあるため、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定禁止を継続する。
また、上流側指令信号DRaを閉路指令に設定し、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0をモニタすることにより、地絡異常として正線地絡異常及び下流地絡異常のいずれが発生したかを判定することができる。そして、地絡異常が下流地絡異常であると判定した場合は、過電流が発生するおそれがないため、上流側指令信号DRaの閉路指令の設定禁止を解除し、天絡異常が正線地絡異常であると判定した場合は、過電流が発生するおそれがあるため、上流側指令信号DRaの閉路指令の設定禁止を継続する。
また、負線天絡異常又は正線地絡異常が発生している場合は、下流側指令信号DRc又は上流側指令信号DRaを閉路指令に設定しているモニタ期間の間、過電流が流れるが、モニタ期間を短く設定することで、焼損が生じることを防止できる。
マイクロプロセッサCPUは、天絡異常の検出により、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止している場合であっても、第1電気負荷40aへの電力供給が要求されている場合は、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令に設定する。そして、マイクロプロセッサCPUは、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定した後、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、過電流判定値以上になった場合には、天絡異常が負線天絡異常であると判定し、下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定する。
この構成によれば、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令に設定し、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0をモニタすることにより、天絡異常として上流天絡異常及び負線天絡異常のいずれが発生したかを判定することができる。そして、天絡異常が上流天絡異常であると判定した場合は、過電流が発生するおそれがないため、引き続き上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令に設定し、第1電気負荷40aに電力を供給する。第1電気負荷40aへの電力供給が要求されているので、第1電気負荷40aに電力が供給されても問題ない。一方、天絡異常が負線天絡異常であると判定した場合は、過電流が発生しているので、下流側指令信号DRcの強制的に開路指令に設定し、過電流の継続により、下流側開閉素子140の焼損が生じることを防止することができる。
給電制御装置100は、第1電気負荷40aと下流側開閉素子140との接続路中に直列接続され、電流の逆流を防止する第1逆流防止素子141と、第2電気負荷40bの負側端子を、第1逆流防止素子141と下流側開閉素子140との接続路に接続する第2下流側接続路148と、第2下流側接続路148中に直列接続され、電流の逆流を防止する第2逆流防止素子142と、第2電気負荷40bの正側端子と車載バッテリ10の正極とを接続する第2上流側接続路147を開閉する第2上流側開閉素子120bと、を備えている。マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへ電力を供給する場合は、上流側開閉素子120aを開閉させる上流側指令信号DRa及び下流側開閉素子140を開閉させる下流側指令信号DRcを閉路指令にすると共に、第2上流側開閉素子120bを開閉させる第2上流側指令信号DRbを開路指令として第2電気負荷40bに電力が供給されないようにし、第2電気負荷40bに電力を供給する場合は、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcを閉路指令にすると共に、上流側指令信号DRaを開路指令として第1電気負荷40aに電力が供給されないようにする。
この構成によれば、第1電気負荷40aを車載バッテリ10の負極に接続する第1接続路と、第2電気負荷40bを車載バッテリ10の負極に接続する第2接続路とが、下流側の部分で共通化されており、この共通化された共通接続路部分中に、下流側開閉素子140及び下流側電流制限抵抗401が直列接続されている。よって、第1電気負荷40aを負極に接続する第1接続路と、第2電気負荷40bを負極に接続する第2接続路と、を共通の下流側開閉素子140により開閉することができる。よって、2つの電気負荷への給電制御を行う場合であっても、下流側開閉素子を共通化することにより、開閉素子のコスト低減を図ることができる。
下流側開閉素子を共通化しているが、第1逆流防止素子141及び第2逆流防止素子142は、第1接続路及び第2接続路における非共通の接続路部分にそれぞれ、並列的に接続されている。第1電気負荷40a側を流れる電流が、第2逆流防止素子142により第2電気負荷40b側に流れないように阻止され、第2電気負荷40b側を流れる電流が、第2逆流防止素子142により第1電気負荷40a側に流れないように阻止される。また、第1電気負荷40aと第2電気負荷40bとに同時に電力が供給されないように構成されている。従って、第1電気負荷40a及び第1電気負荷40aに電力を供給する回路の異常判定を行う際に、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmnt及び下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0に、第2電気負荷40b側の回路による影響が生じないようにできる。よって、第1電気負荷40aに加えて、第2電気負荷40bへの給電制御を行うように構成されても、第1電気負荷40aの異常判定の精度を維持できる。また、第1及び第2逆流防止素子141、142は、車載バッテリ10の接続極性を誤ったときの第1及び第2電気負荷40a、40bの誤作動を防止する逆接異常防止手段ともなる。
マイクロプロセッサCPUは、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを開路指令に設定した時の、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmntが、車載バッテリ10の電源電圧Vbbに対応して予め設定された高電圧判定値以上である場合に、第1電気負荷40aの上流側回路が天絡する上流天絡異常及び第1電気負荷40aの負側配線が天絡する負線天絡異常を含む天絡異常が生じたと判定し、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止すると共に、第2電気負荷40bに電力を供給できない状態であることを報知装置に報知させる報知信号ERRを生成する。
この構成によれば、負線天絡異常が発生した状態で、下流側指令信号DRcを閉路指令にすると、下流側開閉素子140の過電流が生じる。また、上流天絡異常が発生した状態で、第2電気負荷40bに電力を供給するために、下流側指令信号DRcを閉路指令にすると、上流側指令信号DRaを開路指令にしていても、第1電気負荷40aに誤って電力が供給される状態が引き起こされる。よって、上流天絡異常及び負線天絡異常を含む天絡異常が生じたと判定された場合は、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定禁止により、過電流の防止、及び第1電気負荷40aへの電力の誤供給の防止を行うことができる。そして、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定禁止により、第2電気負荷40bに電力を供給できない状態であることを報知装置により報知させることができる。よって、速やかに保守点検を促すことができる。
第1電気負荷40aは、エンジンの始動用の電動機であるスタータ30bへの電力供給路を開閉する開閉接点と当該開閉接点を開閉駆動する電磁コイルとを有する電動スタータリレー40aにおける電磁コイルである。第2上流側開閉素子120bは、エンジンの冷却水及び車室空調用の冷媒を冷却する第1ファンモータ50への電力供給路を開閉する開閉接点と当該開閉接点を開閉駆動する電磁コイルとを有する第1ファンリレー60における電磁コイルへの電力供給路を開閉する開閉素子である。第2電気負荷40bは、冷却水及び冷媒を冷却する第2ファンモータ70への電力供給路を開閉する開閉接点と当該開閉接点を開閉駆動する電磁コイルとを有する第2ファンリレー40bにおける電磁コイルである。当該第2電気負荷40bの正側端子は、第1ファンリレー60の開閉接点を介して車載バッテリ10の正極に接続されている。第2上流側開閉素子120bは、第1ファンリレー60の電磁コイルへの電力供給路を開閉することにより、第1ファンリレー60の開閉接点を開閉させ、第2上流側接続路147を開閉させる。
この構成によれば、第1電気負荷40aである電動スタータリレー40aへの給電制御により、スタータ30bへの電力供給を制御し、エンジンの再始動を行うことができる。また、第2上流側開閉素子120bの開閉制御により、第1ファンリレー60の開閉接点を開閉させて、第1ファンモータ50への電力供給を制御すると共に、第2電気負荷40bである第2ファンリレー40bの電磁コイルの上流側接続路を開閉させることができる。そして、第2上流側開閉素子120bを閉路させて、第1ファンモータ50に電力を供給している状態で、下流側開閉素子140を開閉させることで、第2ファンモータ70への電力供給を制御することができ、第2ファンモータ70を第1ファンモータ50の補助モータとして機能させることができる。また、異常の検出により、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定が禁止され、第2ファンモータ70に電力を供給できなくなっても、第2上流側開閉素子120bの開閉制御により、第1ファンモータ50への電力供給を制御することができるため、エンジン及び空調機の冷却を行うことができ、過負荷運転を行わなければ、当面の退避運転には支障が発生しないようにできる。
マイクロプロセッサCPUは、冷却水又は冷媒の温度が予め設定された第1温度T1以下である場合は、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcを開路指令にする。マイクロプロセッサCPUは、冷却水又は冷媒の温度が第1温度T1より大きく、且つ第1温度T1よりも高い温度に予め設定された第2温度T2未満である場合は、第2上流側指令信号DRbを閉路指令にすると共に下流側指令信号DRcを開路指令にする。マイクロプロセッサCPUは、冷却水又は冷媒の温度が第2温度T2以上であって、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定を禁止していない場合は、第2上流側指令信号DRb及びに下流側指令信号DRcを閉路指令にし、冷却水又は冷媒の温度が第2温度T2以上であって、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定を禁止している場合は、第2上流側指令信号DRbを閉路指令にすると共に下流側指令信号DRcを強制的に開路指令にし、エンジンが有する複数の燃焼室に対して順番に行う燃料噴射を間欠停止してエンジンの出力を抑制する。
この構成によれば、下流側指令信号DRcの閉路指令の設定が禁止されている場合は、第2電気負荷40bに電力を供給できないため、第2ファンモータ70に電力を供給できないが、第2上流側指令信号DRbを閉路指令に設定することにより第1ファンモータ50に電力を供給できる。そのため、冷却水又は冷媒の温度が第2温度T2以上の高温になった場合に、第2ファンモータ70に電力を供給することができないため、冷却能力が不足するおそれがある。そこで、温度が第2温度T2以上になった場合に、エンジンの燃料噴射を間欠停止して、エンジンの発生熱量を減少させることにより、冷却能力が不足していても、冷却水及び冷媒の温度上昇を抑制することができる。
また、この実施の形態1による車載電気負荷の給電制御装置100の制御方法は、第1電気負荷40aの正側端子と車載バッテリ10の正極とを接続する上流側接続路145中に直列接続されて当該上流側接続路145を開閉する上流側開閉素子120aと、第1電気負荷40aの負側端子と車載バッテリ10の負極とを接続する下流側接続路146中に直列接続されて当該下流側接続路146を開閉する下流側開閉素子140と、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の開閉状態を制御するマイクロプロセッサCPUを有する制御回路部190と、を備えた給電制御装置100の制御方法である。給電制御装置100は、下流側開閉素子140に直列接続された下流側電流制限抵抗401と、当該下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0に応じて変化する下流電流監視信号MN0を制御回路部190に入力する下流電流監視回路155と、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号MNTを制御回路部190に入力する負荷電圧監視回路156と、を備えている。マイクロプロセッサCPUは、上流側開閉素子120aを開閉させる上流側指令信号DRaを開路指令又は閉路指令に設定すると共に、下流側開閉素子140を開閉させる下流側指令信号DRcを開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御ステップを実行する。マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcに設定した開路指令又は閉路指令の設定開閉パターンとに基づいて、第1電気負荷40a及び第1電気負荷40aに電力を供給する回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定ステップを実行する。そして、マイクロプロセッサCPUは、判定した異常の種別に応じて、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御ステップを実行する。車載電気負荷の給電制御装置100の制御方法は、車載電気負荷の給電制御装置100と同様の作用効果を奏する。
2.実施の形態2
(1)構成の詳細な説明
以下、実施の形態2に係る給電制御装置100について図面を参照して説明する。図5は、本実施の形態に係る車載電気負荷、給電制御装置100、及びその周辺回路の全体回路図である。以下、図1の給電制御装置100との相違点を中心にして、詳細に説明する。なお、各図において、同一符号は同一又は相当部分を示しており、図5における外部負荷80Bは、図1における電源リレー20、手動スタータリレー30a、スタータ30b、電動スタータリレー40a、第2ファンリレー40b、第1ファンモータ50、第1ファンリレー60、第2ファンモータ70、表示装置90を総称したものとなっている。但し、給電制御装置100は、単独の電気負荷への給電制御を行うものにおいても有効であり、この場合には第1逆流防止素子141は削除短絡してもよい。
実施の形態1との主たる相違点の第一として、負荷電圧監視回路156は、第1電気負荷40aの正側端子及び負側端子に接続され、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位及び第1電気負荷40aの負側端子の対グランド電位に応動して対グランド電位Vxが変化する監視用接続点Pを有し、当該監視用接続点Pの対グランド電位Vxに応じて変化する負荷電圧監視信号MNTを制御回路部190に入力するように構成されている。
負荷電圧監視回路156は、車載バッテリ10の正極(本例では、電源供給端子Vbbt)と負極(本例では、グランド端子GNDt)との間に正極側から順番に直列接続された上流分圧抵抗413、第1下流分圧抵抗414a、及び第2下流分圧抵抗414bを備えている。負荷電圧監視回路156は、上流分圧抵抗413と第1下流分圧抵抗414aとの間の接続点である監視用接続点Pを第1電気負荷40aの正側端子(本例では、負荷上流端子STH)に接続する上流側監視接続路159と、上流側監視接続路159中に直列接続された上流側並列抵抗412aと、監視用接続点Pを第1電気負荷40aの負側端子(本例では、負荷下流端子STL)に接続する下流側監視接続路165と、下流側監視接続路165中に直列接続された下流側並列抵抗411と、第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとの接続点の対グランド電位Vmntを負荷電圧監視信号MNTとして制御回路部190に入力する負荷電圧監視信号入力線158と、を備えている。
実施の形態1と同様に、負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntは、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとによって分圧された電圧である。第1下流分圧抵抗414aの抵抗値をR414aとし、第2下流分圧抵抗414bの抵抗値をR414bとすると、第1下流分圧抵抗414a及び第2下流分圧抵抗414bの分圧率Gtは、上記の式(3)と同様に、Gt=R414a/(R414a+R414b)となる。監視用接続点Pの対グランド電位をVxとすると、負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntは、上記の式(4)と同様に、Vmnt=Gt×Vxとなる。
実施の形態1との主たる相違点の第二として、給電制御装置100は、車載バッテリ10の電源電圧Vbbに応じて変化する電源電圧監視信号MNBを制御回路部190に入力する電源電圧監視回路168を備えている。電源電圧監視回路168は、車載バッテリ10の正極(電源供給端子Vbbt)と負極(グランド端子GNDt)との間に正極側から順番に第1基準分圧抵抗424a及び第2基準分圧抵抗424bと、第1基準分圧抵抗424aと第2基準分圧抵抗424bとの接続点の対グランド電位Vbmを電源電圧監視信号MNBとして制御回路部190に入力する電源電圧監視信号入力線166と、を備えている。
電源電圧監視信号MNBの信号電圧Vbmは、電源電圧Vbbが、負荷電圧監視回路156の分圧率Gtと同じ分圧率となる第1基準分圧抵抗424aと第2基準分圧抵抗424bとによって分圧された電圧であり、車載バッテリ10の電源電圧をVbbとすると、電源電圧監視信号MNBの信号電圧Vbmは、式(7)に示すようになる。
Vbm=Gt×Vbb ・・・(7)
すなわち、第1基準分圧抵抗424aの抵抗値をR424aとし、第2基準分圧抵抗424bの抵抗値をR424bとすると、第1基準分圧抵抗424a及び第2基準分圧抵抗424bの分圧率Gmは、式(8)に示すようになり、負荷電圧監視回路156の分圧率Gtと同じ値となるように各抵抗値R424a、R424bが予め設定されている。
Gm=R424a/(R424a+R424b)=Gt ・・・(8)
なお、この電源電圧監視信号MNBの検出値Vbmによる電源電圧Vbbの検出値は、マイクロプロセッサCPUにおいて様々な制御を行ううえで必要となる基礎情報となる。
図5において、制御回路部190を主体とする給電制御装置100は、実施の形態1の給電制御装置100と同様に構成されているが、負荷電圧監視回路156を構成する各抵抗の抵抗値を参考記載する。下流側並列抵抗411の抵抗値である第1抵抗R1は33KΩであり、上流側並列抵抗412aの抵抗値である第2抵抗R2は10KΩであり、上流分圧抵抗413の抵抗値である第3抵抗R3は33KΩであり、第1下流分圧抵抗414a及び第2下流分圧抵抗414bを合計した下流分圧抵抗414の抵抗値である第4抵抗R4は34KΩであり、第1下流分圧抵抗414aの抵抗値R414aが22KΩであり、第2下流分圧抵抗414bの抵抗値R414bが12KΩである。これに対して第1電気負荷40aの抵抗値である負荷抵抗R40は、例えば100Ωであり、下流側電流制限抵抗401及び上流側電流制限抵抗402aの抵抗値である電流制限抵抗R0は2.2Ωであり、上記の式(6)の関係を満たしている。
なお、以下において各抵抗は、単に、抵抗R0、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、抵抗R4、抵抗R40と略称することがある。抵抗R0、抵抗R1、抵抗R2、抵抗R3、及び抵抗R4は、いずれも±1%精度の抵抗であるのに対し、抵抗R40は第1電気負荷40aの温度によって±25%の変動がある。また、以下では上流側開閉素子120aを開閉素子Xと略称し、下流側開閉素子140を開閉素子Yと略称することがあり、図5ではトランジスタの記号に代わって開閉接点の記号で代替表示している。
電源電圧監視信号MNBの信号電圧Vbmに対する負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntの比である電圧比率Gは、式(4)及び式(7)から式(9)のようになる。
G=Vmnt/Vbm=Gt×Vx/Gt×Vbb=Vx/Vbb ・・・(9)
監視用接続点Pの対グランド電位Vxは、電源電圧Vbbの変動に比例して変化するため、負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntも、電源電圧Vbbの変動に比例して変動する。しかし、電圧比率Gは、電源電圧Vbbの変動の影響を受けず、負荷電圧監視回路156の回路構成によって決定される。例えば、上下流開パターンとなる開閉素子X及びYが共に開路しているときの電圧比率G(以下、電圧比率Gaとする)は、Ga=R4/(R3+R4)=0.51となる。上流閉パターンとなる開閉素子Xのみが閉路しているときの電圧比率G(以下、電圧比率Gbとする)は、Gb=R4/(R1//R2//R3+R4)=0.85となる。ここで、R1//R2//R3は、抵抗R1、R2、R3の並列合成抵抗を表している。下流閉パターンとなる開閉素子Yのみが閉路しているときの電圧比率G(以下、電圧比率Gcとする)は、Gc=(R1//R2//R4)/(R3+R1//R2//R4)=0.16となる。ここで、R1//R2//R4は、抵抗R1、R2、R4の並列合成抵抗を表している。上下流閉パターンとなる開閉素子X及びYが共に閉路しているときの電圧比率G(以下、電圧比率Gdとする)は、Gd=(R1//R4)/(R2//R3+R1//R4)=0.69となる。ここで、R1//R4は抵抗R1、R4の並列合成抵抗を表しており、R2//R3は抵抗R2、R3の並列合成抵抗を表している。
なお、図5の点線で示すように、負荷電圧監視回路156は、上流分圧抵抗413と下流分圧抵抗414との間に、分圧中間抵抗415を設けていてもよい。分圧中間抵抗415を設けることにより、電圧比率Gの調整要素が増加して、以下に述べる様々な電圧比率Gの相互の偏差量を調整することができる。
本実施の形態において判定対象とする異常の種別には、図5に短絡経路を点線で示す短絡異常E1〜E6が含まれる。負線天絡異常E1は、第1電気負荷40aの負側配線が車載バッテリ10の正極配線に混触する天絡異常である。正線地絡異常E2は、第1電気負荷40aの正側配線が車載バッテリ10の負極配線に混触する地絡異常である。正線天絡異常E3は、第1電気負荷40aの正側配線が車載バッテリ10の正極配線に混触する天絡異常である。負荷短絡異常E4は、第1電気負荷40aが内部短絡する内部短絡異常又は第1電気負荷40aの正側配線と負側配線とが混触する配線短絡異常である。負線地絡異常E5は、第1電気負荷40aの負側配線が車載バッテリ10の負極配線に混触する地絡異常である。負荷断線異常E6は、第1電気負荷40aが内部断線する又は第1電気負荷40aの正側配線及び負側配線が断線する異常である。また、本実施の形態において判定対象とする異常の種別には、上流側開閉素子120aの内部短絡異常(上流素子短絡異常とも称す)、上流側開閉素子120aの内部断線異常(上流素子断線異常とも称す)、下流側開閉素子140の内部短絡異常(下流素子短絡異常とも称す)、下流側開閉素子140の内部断線異常(下流素子断線異常とも称す)が更に含まれる。
次に、図6に、図5に示す給電制御装置100の回路構成の場合における、上下流開パターン(X=OFF、Y=OFF)、上流閉パターン(X=ON、Y=OFF)、下流閉パターン(X=OFF、Y=ON)及び上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)のそれぞれにおける電圧比率Ga、Gb、Gc、Gdについて、正常状態における値、及び各異常の種別における値の計算例の一覧表を示す。図6において、図表の列は、4種類の開閉パターンのそれぞれに区分されていて、図表の行は、正常状態、異常の種別毎に区分されている。即ち、第1行目には、各開閉パターンに従って開閉素子X、Yが開閉し、他に異常がない正常状態の場合の電圧比率Ga〜Gdが示されている。第2行目には、下流側開閉素子140の内部短絡異常又は正線天絡異常E3の上流天絡異常が発生している場合の電圧比率Ga〜Gdが示されている。同様に、第3行目には上流側開閉素子120aの内部断線異常、第4行目には下流側開閉素子140の内部短絡異常、第5行目には下流側開閉素子140の内部断線異常、第6行目には正線地絡異常E2、第7行目には負荷断線異常E6、第8行目には負荷短絡異常E4、第9行には負線天絡異常E1、第10行目には負線地絡異常E5が発生している場合の、電圧比率Ga〜Gdが示されている。
次に、電流監視状態の一覧表である図7について説明する。負線天絡異常E1が生じている場合には、下流側指令信号DRcを閉路指令にする(Y=ON)と過電流が流れ、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0によって検出できることと、この場合には即時に下流側指令信号DRcを開路指令にして、下流側開閉素子140の焼損を防止する必要があることを示している。正線地絡異常E2が生じている場合には、上流側指令信号DRaを閉路指令にする(X=ON)と過電流が流れるが、これは下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0によって検出できないので、図6に示すように、上流閉パターン時の電圧比率Gb=0.19となっていることによって検出し、この場合には即時に上流側指令信号DRaを開路指令にして、上流側開閉素子120aの焼損を防止する必要があることを示している。
正線天絡異常E3が生じている場合には、下流側指令信号DRcを閉路指令にする(Y=ON)と定格電流が流れるが、これは下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0によって検出するか、図6に示すように下流閉パターン時の電圧比率Gc=0.69となっていることによって検出し、この場合には下流側指令信号DRcを開路指令にして、定常的に閉路の状態にしてはならないことを示している。負荷短絡異常E4が生じている場合には、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを共に閉路指令にする(X=ON、Y=ON)と過電流が流れ、これは下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0によって検出できることと、この場合には即時に上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの少なくとも一方を開路指令にして、開閉素子の焼損を防止する必要があることを示している。
負線地絡異常E5が生じている場合には、上流側指令信号DRaを閉路指令にする(X=ON)と定格電流が流れるが、これは下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0によって検出できないので、図6に示すように上下流閉パターン時の電圧比率Gd=0.22となっていることによって検出し、異常報知するのが望ましいことを示している。負荷断線異常E6の場合には負荷電流は流れず、図5に示すように下流閉パターン時の電圧比率Gc=0.34となっていることによって検出し、異常を報知することが望ましいことを示している。
なお、これらの異常の種別を容易に判定する方法は、図9及び図10を用いて後述する。また、以上の説明では複数の異常が同時に発生した場合のことは想定されていないが、二重異常が発生した場合の、電圧比率G及び下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0についても図9及び図10を用いて後述する。
次に、回路の2個所で同時に異常が発生する二重異常の態様の一覧表である図8について説明する。図8において、二重異常のモード1は、第1電気負荷40aの正線天絡異常と正線地絡異常が同時に発生するか、第1電気負荷40aの負線天絡異常と負線地絡異常が同時に発生して電源短絡が発生する場合である。この場合には、電源ヒューズが溶断して電源遮断されることになる。モード2は、上流側開閉素子120aの内部短絡異常と第1電気負荷40aの正線地絡異常が同時に発生するか、下流側開閉素子140の内部短絡異常と第1電気負荷40aの負線天絡異常が同時に発生して過電流異常が発生する場合である。この場合には、通常は内部短絡した開閉素子が溶断して電源遮断されることになる。従って、モード1とモード2は給電制御装置100では対処できない異常モードとなっている。モード3は、第1電気負荷40aの上流天絡異常(正線天絡異常又は上流側開閉素子120aの内部短絡異常)と下流地絡異常(負線地絡異常又は下流側開閉素子140の内部短絡異常)とが同時に発生した場合である。この場合は、第1電気負荷40aが連続通電状態となり、上下流開パターン時の電圧比率Ga=0.1(図9参照)となっていることによって検出し、異常報知は行えるが給電制御装置100による遮断は行えない状態である。
モード4は、上流天絡異常(正線天絡異常又は上流側開閉素子120aの内部短絡異常)と負荷短絡異常E4とが同時に発生した場合である。この場合は、負線天絡異常E1と同様に下流側開閉素子140を閉路すると過電流が流れるので、速やかに下流側開閉素子140を開路する必要がある。モード5は、負荷短絡異常E4と下流地絡異常(負線地絡異常又は下流側開閉素子140の内部短絡異常)とが同時に発生した場合である。正線地絡異常E2と同様に上流側開閉素子120aを閉路すると過電流が流れるので、速やかに上流側開閉素子120aを開路する必要がある。モード6は、上流側開閉素子120aの断線異常と負荷断線異常E6が同時に発生した場合である。モード7は、負荷断線異常E6と下流側開閉素子140の断線異常が同時に発生した場合である。モード8は、上流側開閉素子120aの断線異常と下流側開閉素子140の断線異常が同時に発生した場合である。モード6〜8は、いずれも第1電気負荷40aには通電されず、異常報知を行うことができるモードである。なお、図8の備考欄で記載された電圧比率Ga〜Gcは、図9及び図10において説明する。
次に、本実施の形態における細分化方法による正常・異常・実測データテーブルの一覧表である図9と、図9の一覧表を整列変更した一覧表である図10について説明する。図9及び図10には、上下流開パターン(X=OFF、Y=OFF)、上流閉パターン(X=ON、Y=OFF)、下流閉パターン(X=OFF、Y=ON)及び上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)のそれぞれにおける電圧比率Ga、Gb、Gc、Gdについて、正常状態における値、及び各異常の種別における値の一覧表を示している。図9及び図10において、図表の列は、4種類の開閉パターンのそれぞれに区分されていて、図表の行は、正常状態、異常の種別毎に区分されている。すなわち、4種類の開閉パターンと、正常状態及び異常の種別との組み合わせに対応する電圧比率Ga〜Gdの値が示されている。但し、図9の場合には、データテーブル1800で示した正常状態と、データテーブル1810で示した各種の異常状態と、データテーブル1820で示した二重異常と、データテーブル1830で示した実測データの欄が設けられており、判定指標値として各行の電圧比率Ga、Gb、Gcの値を単純加算した一次結合データが付加されている。また、参考情報として下流電流監視信号MN0の状態が併記されている。
図10は、図9の内容を一次結合データの数値の昇順に整列変更したものとなっている。図10において、一次結合データが1.52の場合と2.39の場合に限り、複数の異常状態が存在し、このままではこれを識別区分することができない。しかし、一次結合データが1.52となる正常状態と負荷短絡異常E4については、上下流閉パターン時の電圧比率Gdの値が相違しており、これを参照して識別するか、予め二次結合データとして電圧比率Ga、Gb、Gc、Gdの加算値データを準備しておけば、二次結合データによって差別化区分することができるようになっている。しかしながら、一次結合データが2.39となる上流側開閉素子120aの内部短絡異常と正線天絡異常E3とは、これを識別判定するための差別化情報が存在しておらず、上流天絡異常として一括区分されている。
但し、図5に点線で示すように、負荷上流端子STHに対し、分圧率Gtの電圧監視分圧抵抗152を設け、上流負荷電圧監視信号MN1としてマイクロプロセッサCPUに入力するように構成しておくと、上流負荷電圧監視信号MN1の信号電圧Vmn1、電源電圧監視信号MNBの信号電圧Vbm、及び下流電流監視信号MN0の信号電圧Vmn0に基づき、式(10)により算出する判定係数Kによって区分が可能となる。なお、分圧率Gt、G0、Gmは等しい値に設定されている。
K=(Vbm−Vmn1)/Vmn0 ・・・(10)
具体的な判定方法は、上下流閉パターンに設定したときに、判定係数K=0であれば正線天絡異常であると判定し、判定係数K=1であれば上流側開閉素子120aの内部短絡異常であると判定するものである。なお、式(10)における(Vbm−Vmn1)は、上流側電流制限抵抗402aの両端電圧に比例した値であるのに対し、下流電流監視信号MN0の信号電圧Vmn0は下流側電流制限抵抗401の両端電圧に比例した値である。(Vbm−Vmn1)とVmn0の両者が等しく、K=1のときには正側配線の天絡異常は発生していない。正側配線の天絡異常が発生していると上流側電流制限抵抗402aには負荷電流は流れず、その両端電圧はゼロとなってK=0となる。
また、本実施の形態における各部の抵抗値は単なる一例であり、図10における上下の一次結合データの数値が接近しすぎている部分は、抵抗値を変更して改善の余地がある。なお、昇順番号5、6の一次結合データは、1.17と1.18であり、僅差であるためその判別が困難であるが、上下流開パターン時の電圧比率Gaが大きく相違しているので、これを用いて識別することができる。同様に、昇順番号8〜10の一次結合データが僅差であるためその判別が困難であるが、電圧比率Gc、Gdを参照して識別することができる。このような個別比較を行うかわりに、式(11)のように、電圧比率Ga、Gb、Gcのそれぞれに予め定められた係数K1、K2、K3を乗算して算出した一次結合データを用いることもできる。
一次結合データ=K1×Ga+K2×Gb+K3×Gc ・・・・・(11)
式(11)において、例えば、K1=2、K2=1、K3=2とすると、識別能力は大幅に向上する。しかし、通常は想定しない二重異常を含む昇順番号12と13や、16と17の一次結合データは僅差であり、電気配線の断線・短絡が、抵抗値を残存した不完全なものであった場合を想定した判定許容誤差を配慮すると識別困難である。
次に、本実施の形態に係る異常判定方法は、給電制御装置100が、図1に示す実施の形態1に係る負荷電圧監視回路156を備える場合にも用いることができる。すなわち、実施の形態1と同様に、負荷電圧監視回路156の監視用接続点Pは、第1電気負荷40aの正側端子に接続され、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは、第1電気負荷40aの正側端子に応動して変化するように構成されてもよい。具体的には、負荷電圧監視回路156は、車載バッテリ10の正極と負極との間に正極側から順番に直列接続された上流分圧抵抗413、第1下流分圧抵抗414a、及び第2下流分圧抵抗414bと、上流分圧抵抗413と第1下流分圧抵抗414aとの間の接続点である監視用接続点Pを第1電気負荷40aの正側端子に接続する上流側監視接続路159と、第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとの接続点の対グランド電位Vmntを負荷電圧監視信号MNTとして制御回路部190に入力する負荷電圧監視信号入力線158と、を備えるように構成されてもよい。
図11に、このような簡易的な負荷電圧監視回路156を備えた場合における、正常・異常・実測データテーブルの一覧表を示し、図12に、図11の一覧表を整列変更した一覧表を示す。図11及び図12には、図9及び図10と同様に、4種類の開閉パターンのそれぞれにおける電圧比率Ga、Gb、Gc、Gdについて、正常状態における値、及び各異常の種別における値の一覧表を示している。図11に示す負荷電圧監視回路156の場合は、図5に示す負荷電圧監視回路156において抵抗R2=0、抵抗R1=∞にした場合に相当している。
図12は、図11の内容を一次結合データの数値の昇順に整列変更したものとなっている。図12において、一次結合データで区分できる異常種別は大幅に減少しているが、少なくとも、電圧比率GaからGcの一次結合データに加えて、電圧比率Gdを参照することによって正常状態の特定ができ、異常の発生の有無を判定できる。
(2)作用・動作の詳細な説明
次に、図5に示すように構成された給電制御装置100の制御処理及び制御方法について、その作用・動作を詳細に説明する。
なお、図5には、第2電気負荷40bに係る構成の図示を省略しているが、実施の形態1と同様に、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bに対して、第1電気負荷40aと同時には電力を供給しないように制御する。
マイクロプロセッサCPUは、上流側開閉素子120aを開閉させる上流側指令信号DRaを開路指令又は閉路指令に設定すると共に、下流側開閉素子140を開閉させる下流側指令信号DRcを開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御を実行する。
マイクロプロセッサCPUは、上下流閉パターン、上流閉パターン、下流閉パターン、及び上下流開パターンの4種類の開閉パターンのいずれかで検出した下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、第1電気負荷40a及び第1電気負荷40aに電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行する。
そして、マイクロプロセッサCPUは、判定した異常の種類に応じて、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行するように構成されている。
また、マイクロプロセッサCPUは、異常内容、及び異常により給電が禁止された電気負荷の一方又は双方を報知装置に報知させる報知信号ERRを生成するように構成されている。
本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、負荷電圧監視信号MNTの検出値及び予測値として、上記の式(9)により算出される、電源電圧監視信号MNBの信号電圧Vbmに対する負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntの比である電圧比率Gを用いるように構成されている。
本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値及び予測値として、式(12)のように、電源電圧監視信号MNBの信号電圧Vbmに対する下流電流監視信号MN0の信号電圧Vmn0の比である判定比率Hを用いるように構成されている。判定比率Hは、電圧比率Gと同様に、電源電圧Vbbの変動の影響を受けず、回路の接続路と抵抗値の回路構成によって決定されるため、判定精度を向上させることができる。例えば、定格電流が流れている場合は、判定比率H=R0/(R40+2×R0)となる。
H=Vmn0/Vbm ・・・(12)
負荷電圧監視信号MNTの予測値(本例では、電圧比率G)は、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、4種類の開閉パターン毎に、図6、図9、図10に示すようなデータテーブルに予め設定され、記憶されている。マイクロプロセッサCPUは、負荷電圧監視信号MNTを検出した時の開閉パターンに対応する、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれの負荷電圧監視信号MNTの予測値を読み出し、負荷電圧監視信号MNTの検出値と対比し、異常判定を実行する。
例えば、マイクロプロセッサCPUは、検出時の開閉パターンに対応する正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれの負荷電圧監視信号MNTの予測値の内、負荷電圧監視信号MNTの検出値との誤差が、予め定めた許容誤差範囲内である(又は最小である)予測値を抽出し、抽出した予測値に対応する正常状態又は特定異常状態を、判定結果とする。
マイクロプロセッサCPUは、4種類の開閉パターンの複数において検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値と、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、4種類の開閉パターンの複数において予め設定された負荷電圧監視信号MNTの予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する。
また、マイクロプロセッサCPUは、4種類の開閉パターンの複数において検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値の一次結合データと、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、4種類の開閉パターンの複数において予め設定された負荷電圧監視信号MNTの予測値の一次結合データと、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定するように構成されている。一次結合データは、複数の検出値又は予測値を積算した値、又は式(11)に示すように、複数の検出値又は予測値のそれぞれに予め設定された係数を乗算した値を積算した値である。
本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、上下流開パターン、上流閉パターン、及び下流閉パターンの3種類のそれぞれで検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値の一次結合データと、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、上下流開パターン、上流閉パターン、及び下流閉パターンの3種類のそれぞれにおいて予め設定された負荷電圧監視信号MNTの予測値の一次結合データと、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定するように構成されている。更には、マイクロプロセッサCPUは、4種類の開閉パターンのそれぞれで検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値の一次結合データと、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、4種類の開閉パターンのそれぞれにおいて予め設定された負荷電圧監視信号MNTの予測値の一次結合データと、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定するように構成されている。
図2に示すような、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、4種類の開閉パターン毎に下流電流監視信号MN0の予測値が設定されたデータテーブルから、異常を識別することができる特徴的な予測値のデータが、図7、図9、及び図10のように、予め取り出されて設定されており、異常判定に用いられるように構成されている。例えば、マイクロプロセッサCPUは、実施の形態1のように、下流電流監視信号MN0の検出値と、過電流判定値又は低電流判定値等の判定値と比較して、過電流異常又は低電流異常が生じたか否かを判定し、過電流異常又は低電流異常が生じたと判定したときの開閉パターンに基づいて、異常の種別を判定するように構成することができる。
或いは、下流電流監視信号MN0の予測値は、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、4種類の開閉パターン毎に、図2に示すようなデータテーブルに予め設定され、記憶されていてもよい。マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0を検出した時の開閉パターンに対応する、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれの下流電流監視信号MN0の予測値を読み出し、下流電流監視信号MN0の検出値と対比し、異常判定を実行するように構成されてもよい。
複数の特定異常状態には、図6に示すように、第1電気負荷40aの負側配線が車載バッテリ10の正極配線と混触する負線天絡異常E1、第1電気負荷40aの正側配線が車載バッテリ10の負極配線と混触する正線地絡異常E2、第1電気負荷40aが内部短絡する又は第1電気負荷40aの正側配線と負側配線とが混触する負荷短絡異常E4、上流側開閉素子120aの内部短絡異常又は第1電気負荷40aの正側配線が車載バッテリ10の正極配線と混触する正線天絡異常E3の上流天絡異常、第1電気負荷40aの負側配線が車載バッテリ10の負極配線に混触する負線地絡異常E5、負荷断線異常E6、上流側開閉素子120aの断線異常、下流側開閉素子140の断線異常、及び下流側開閉素子140の内部短絡異常の全部又は一部(本例では全部)が含まれる。
ここで、図7に示すように、負線天絡異常E1、正線地絡異常E2、又は負荷短絡異常E4が生じると、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定した場合に、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の一方又は双方を流れる電流が定格電流よりも過大になる過電流異常が生じる状態となる。そのため、マイクロプロセッサCPUは、上記のように、過電流異常を検出した時の、開閉パターンに基づいて、異常の種別を判定する。マイクロプロセッサCPUは、負線天絡異常E1が発生したと判定した場合は、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止する。マイクロプロセッサCPUは、正線地絡異常E2が発生したと判定した場合は、上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止する。マイクロプロセッサCPUは、負荷短絡異常E4が発生したと判定した場合は、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する。
なお、上流天絡異常、負線地絡異常E5、負荷断線異常E6、上流側開閉素子120aの断線異常、下流側開閉素子140の断線異常、又は下流側開閉素子140の内部短絡異常が生じると、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcにより第1電気負荷40aに予定された給電を行えない不適正通電状態となる。
図6に示すように、上流天絡異常である上流側開閉素子120aの内部短絡異常及び正線天絡異常E3は、互いに負荷電圧監視信号MNTの予測値Ga〜Gdが同じ値になるため、負荷電圧監視信号MNTの予測値だけでは両者の識別ができない。そこで、マイクロプロセッサCPUは、上記したように、式(10)を用い、上流負荷電圧監視信号MN1の検出値Vmn1、電源電圧監視信号MNBの検出値Vbm、及び下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0に基づいて判定係数Kを算出し、上下流閉パターンに設定した時の判
定係数Kがゼロであれば、上流天絡異常が正線天絡異常であると判定し、判定係数Kが1であれば、上流天絡異常が上流側開閉素子120aの内部短絡異常であると判定するように構成されている。
複数の特定異常状態には、回路の2個所で同時に異常が発生する二重異常が含まれるように構成されている。判定対象とされた二重異常には、図8のモード3に示すように、正線天絡異常又は上流側開閉素子120aの内部短絡異常と、負線地絡異常又は下流側開閉素子140の内部短絡異常とが同時に発生する上下流通電の二重異常M3が含まれる。マイクロプロセッサCPUは、上下流通電の二重異常M3が発生したと判定した場合には、第1電気負荷40aへの給電を遮断できない状態であることを報知装置に報知させる報知信号ERRを生成する。
また、判定対象とされた二重異常には、図8のモード4に示すように、上流天絡異常(正線天絡異常又は上流側開閉素子120aの内部短絡異常)と負荷短絡異常E4とが同時に発生した二重異常M4が含まれる。マイクロプロセッサCPUは、モード4の二重異常M4が発生したと判定した場合は、過電流の発生を防止するため、下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止する。
判定対象とされた二重異常には、図8のモード5に示すように、負荷短絡異常E4と下流地絡異常(負線地絡異常又は下流側開閉素子140の内部短絡異常)とが同時に発生した二重異常M5が含まれる。マイクロプロセッサCPUは、モード5の二重異常M5が発生したと判定した場合は、過電流の発生を防止するため、上流側指令信号DRaを閉路指令に設定することを禁止する。
判定対象とされた二重異常には、図8のモード6に示すように、上流側開閉素子120aの断線異常と負荷断線異常E6が同時に発生した二重異常M6が含まれ、図8のモード7に示すように、負荷断線異常E6と下流側開閉素子140の断線異常が同時に発生した二重異常M7が含まれ、図8のモード8に示すように、上流側開閉素子120aの断線異常と下流側開閉素子140の断線異常が同時に発生した二重異常M8が含まれる。マイクロプロセッサCPUは、モード6〜8の二重異常M6〜M8が発生したと判定した場合は、第1電気負荷40aに通電できない状態であることを報知装置に報知させる報知信号ERRを生成する。
本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへの給電が要求されていない場合に、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcに、上下流開パターン、上流閉パターン、及び下流閉パターンの3種類の開閉パターンを順番に設定して、下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTを検出する。そして、マイクロプロセッサCPUは、3種類の開閉パターン毎に検出した下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、3種類の開閉パターン毎に予め設定された下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定し、判定した異常種別に応じて上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する一次異常判定を実行する。
マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへの給電が要求されており、一次異常判定により上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止していない場合に、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを上下流閉パターンに設定して、下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTを検出する。そして、マイクロプロセッサCPUは、更に、上下流閉パターンで検出した下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定し、判定した異常種別に応じて上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する二次異常判定を実行する。
マイクロプロセッサCPUは、一次異常判定において、3種類の開閉パターンにおいて検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値の一次結合データと、予め設定された回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、3種類の開閉パターン毎に予め設定された負荷電圧監視信号MNTの予測値の一次結合データと、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常種別とを判定するように構成されている。また、マイクロプロセッサCPUは、二次異常判定において、4種類の開閉パターンにおいて検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値の一次結合データと、予め設定された回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、4種類の開閉パターン毎に予め設定された負荷電圧監視信号MNTの予測値の一次結合データとを対比して、異常発生の有無と、発生した異常種別とを判定する。或いは、マイクロプロセッサCPUは、二次異常判定において、一次結合データだけでは区別できない特定の異常の種別について上下流閉パターンで検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値と予測値とを対比して、異常発生の有無と、発生した異常種別とを判定するように構成されている。
<フローチャート>
以上で説明した、本実施の形態に係る開閉制御、異常判定、及びフェール制御(監視制御とも称す)の処理(給電制御装置100の制御方法)を、図13に示すフローチャートのように構成することができる。図13のフローチャートの処理は、マイクロプロセッサCPUがプログラムメモリPMEMに記憶されたプログラムを実行することにより、例えば一定の演算周期毎に繰り返し実行される。
まず、ステップ1200において、監視制御に係る一連の処理を開始する。続くステップ1201で、マイクロプロセッサCPUは、監視時期であるか否かを判定し、例えば、一定の周期で定期的に1回だけYESの判定を行ってステップ1202aへ移行し、それ以外の時期ではNOの判定を行ってステップ1207aへ移行する。ステップ1202aでは、上下流開パターン(X=OFF、Y=OFF)に設定する。続くステップ1203aでは、マイクロプロセッサCPUは、多チャンネルAD変換器ADCを介して検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmnt及び電源電圧監視信号MNBの検出値Vbmを読み出して、上下流開パターン時の電圧比率Ga=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1204aへ移行する。
ステップ1204aでは、マイクロプロセッサCPUは、多チャンネルAD変換器ADCを介して検出した下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、予め設定された低電流判定値より大きいか否かを判定し、低電流判定値よりも大きければ、電流が流れていると判定し、YESの判定を行ってステップ1205aへ移行し、低電流判定値以下であれば、電流が流れていないと判定し、NOの判定を行ってステップブロック1211へ移行する。ステップ1205aでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0及び電源電圧監視信号MNBの検出値Vbmを読み出して、上下流開パターン時の判定比率Ha=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Haが、予め設定された過電流判定比率以上であるか否かを判定し、過電流判定比率以上であれば過電流異常が発生したと判定し、閉路指令に設定している上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップブロック1211へ移行する。ステップ1202aからステップ1205aによってステップブロック1210が構成されている。
続くステップブロック1211は、ステップブロック1210のステップ1202aからステップ1205aと同様のフロー構成のステップ1202b〜ステップ1205bにより構成される。ステップ1202bでは、マイクロプロセッサCPUは、上流閉パターン(X=ON、Y=OFF)に設定する。続くステップ1203bでは、マイクロプロセッサCPUは、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmnt及び電源電圧監視信号MNBの検出値Vbmを読み出して、上流閉パターン時の電圧比率Gb=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1204bへ移行する。ステップ1204bでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が低電流判定値よりも大きければYESの判定を行ってステップ1205bへ移行し、低電流判定値以下であればNOの判定を行ってステップブロック1212へ移行する。ステップ1205bでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0及び電源電圧監視信号MNBの検出値Vbmを読み出して、上流閉パターン時の判定比率Hb=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Hbが、予め設定された過電流判定比率以上であれば過電流異常が判定したと判定し、閉路指令に設定している上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップブロック1212へ移行する。
続くステップブロック1212は、ステップブロック1210のステップ1202aからステップ1205aと同様のフロー構成のステップ1202c〜ステップ1205cにより構成される。ステップ1202cでは、マイクロプロセッサCPUは、下流閉パターン(X=OFF、Y=ON)に設定する。続くステップ1203cでは、マイクロプロセッサCPUは、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmnt及び電源電圧監視信号MNBの検出値Vbmを読み出して、下流閉パターン時の電圧比率Gc=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1204cへ移行する。ステップ1204cでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が低電流判定値よりも大きければYESの判定を行ってステップ1205cへ移行し、低電流判定値以下であればNOの判定を行ってステップ1206へ移行する。ステップ1205cでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0及び電源電圧監視信号MNBの検出値Vbmを読み出して、下流閉パターン時の判定比率Hc=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Hcが、予め設定された過電流判定比率以上であれば過電流異常が判定したと判定し、閉路指令に設定している上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップ1206へ移行する。
続くステップ1206では、マイクロプロセッサCPUは、ステップ1203a・1203b・1203cで記憶された電圧比率Ga、Gb、Gcの値を単純加算した一次結合データを算出する。そして、マイクロプロセッサCPUは、算出した一次結合データと、図9又は図10に示すデータテーブルのように、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め記憶された負荷電圧監視信号MNTの予測値の一次結合データのいずれに一致又は近似しているかを判定し、一致又は近似している予測値の一次結合データに対応する正常状態又は特定異常状態を判定結果とする。ただし、一次結合データだけでは識別できない複数の異常状態については、マイクロプロセッサCPUは、個別の電圧比率Ga、Gb、Gcや、ステップ1205a・1205b・1205cで記憶された判定比率Ha、Hb、Hcを参照して細分化判定するように構成されている。そして、動作終了ステップ1209に移行し、監視制御の処理を終了する。
一方、ステップ1207aでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへの給電が要求されているか否かを判定し、給電が要求されていればYESの判定を行ってステップ1207bへ移行し、給電が要求されていなければNOの判定を行って動作終了ステップ1209へ移行する。ステップ1207bでは、マイクロプロセッサCPUは、ステップ1206で記憶された異常発生モードに対応して、上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止しているか否かを判定し、禁止していればYESの判定を行って動作終了ステップ1209へ移行し、禁止していなければNOの判定を行ってステップブロック1213へ移行する。
続くステップブロック1213は、ステップブロック1210のステップ1202aからステップ1205aと同様のフロー構成のステップ1202d〜ステップ1205dにより構成される。ステップ1202dでは、マイクロプロセッサCPUは、上下流閉パターン(X=ON、Y=ON)に設定する。続くステップ1203dでは、マイクロプロセッサCPUは、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmnt及び電源電圧監視信号MNBの検出値Vbmを読み出して、上下流閉パターン時の電圧比率Gd=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1204dへ移行する。ステップ1204dでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が低電流判定値よりも大きければYESの判定を行ってステップ1205dへ移行し、低電流判定値以下であればNOの判定を行ってステップ1208へ移行する。ステップ1205dでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0及び電源電圧監視信号MNBの検出値Vbmを読み出して、上下流閉パターン時の判定比率Hd=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Hcが、過電流判定比率以上であれば過電流異常が判定したと判定し、閉路指令に設定している上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップ1208へ移行する。
続くステップ1208では、マイクロプロセッサCPUは、ステップ1206による判定結果と、ステップブロック1213で算出した、上下流閉パターン時の電圧比率Gd及び判定比率Hdを勘案して、更に細分化した異常モードの判定を行った後、動作終了ステップ1209へ移行する。
(3)実施の形態2の要点と特徴
以上の説明で明らかなとおり、この実施の形態2による車載電気負荷の給電制御装置100は、第1電気負荷40aの正側端子と車載バッテリ10の正極とを接続する上流側接続路145中に直列接続されて当該上流側接続路145を開閉する上流側開閉素子120aと、第1電気負荷40aの負側端子と車載バッテリ10の負極とを接続する下流側接続路146中に直列接続されて当該下流側接続路146を開閉する下流側開閉素子140と、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の開閉状態を制御するマイクロプロセッサCPUを有する制御回路部190と、を備えている。給電制御装置100は、上流側開閉素子120aに直列接続された上流側電流制限抵抗402aと、下流側開閉素子140に直列接続された下流側電流制限抵抗401と、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0に応じた下流電流監視信号MN0を制御回路部190に入力する下流電流監視回路155と、第1電気負荷40aの正側端子及び負側端子に接続され、当該正側端子の対グランド電位及び当該負側端子の対グランド電位に応動して対グランド電位Vxが変化する監視用接続点Pを有し、当該監視用接続点Pの対グランド電位Vxに応じて変化する負荷電圧監視信号MNTを制御回路部190に入力する負荷電圧監視回路156と、を備えている。マイクロプロセッサCPUは、上流側開閉素子120aを開閉させる上流側指令信号DRaを開路指令又は閉路指令に設定すると共に、下流側開閉素子140を開閉させる下流側指令信号DRcを開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御を実行する。マイクロプロセッサCPUは、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令にする上下流閉パターン、上流側指令信号DRaを閉路指令にすると共に下流側指令信号DRcを開路指令にする上流閉パターン、上流側指令信号DRaを開路指令にすると共に下流側指令信号DRcを閉路指令にする下流閉パターン、及び上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを開路指令にする上下流開パターンの4種類の開閉パターンのいずれかで検出した下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、第1電気負荷40a及び第1電気負荷40aに電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行する。そして、マイクロプロセッサCPUは、判定した異常の種別に応じて、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行する。
この構成によれば、2つの監視信号MNT、MN0により、負荷電圧監視回路156の監視用接続点Pの対グランド電位Vx、及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0をモニタするように構成されている。負荷電圧監視回路156の監視用接続点Pは、第1電気負荷40aの正側端子及び負側端子に接続されているため、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位及び負側端子の対グランド電位の双方に応動して変化する。よって、監視用接続点Pの対グランド電位Vxには、第1電気負荷40aの上流側及び下流側の回路の状態が詳細に反映される。そのため、4種類の開閉パターン、及び正常状態又は異常の種別によって、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが複雑に変化する。また、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0には、当該抵抗の上流側の回路を流れる電流の状態が反映される。よって、監視用接続点Pの対グランド電位Vx及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0に応じて変化する負荷電圧監視信号MNT及び下流電流監視信号MN0の検出値と、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについての予測値とを対比することにより、多くの異常の種別を詳細に判定することができると共に、過電流の発生を防止する等のため、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方の閉路指令の設定を適切に禁止することができる。従って、従来技術のように、上流側開閉素子及び下流側開閉素子のそれぞれの両端電圧を個別に検出するものに比べて、2つの監視信号を検出するだけであるので、装置構成を大幅に簡略化するできることができると共に、多くの異常の種別を識別できる。
また、負荷電圧監視回路156は、車載バッテリ10の正極と負極との間に正極側から順番に直列接続された上流分圧抵抗413、第1下流分圧抵抗414a、及び第2下流分圧抵抗414bと、上流分圧抵抗413と第1下流分圧抵抗414aとの間の接続点である監視用接続点Pを第1電気負荷40aの正側端子に接続する上流側監視接続路159と、上流側監視接続路159中に直列接続された上流側並列抵抗412aと、監視用接続点Pを第1電気負荷40aの負側端子に接続する下流側監視接続路165と、下流側監視接続路165中に直列接続された下流側並列抵抗411と、第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとの接続点の対グランド電位Vmntを負荷電圧監視信号MNTとして制御回路部190に入力する負荷電圧監視信号入力線158と、を備えている。下流電流監視回路155は、下流側開閉素子140と下流側電流制限抵抗401との接続点と車載バッテリ10の負極との間に直列接続された第1電流監視分圧抵抗151a及び第2電流監視分圧抵抗151bと、第1電流監視分圧抵抗151aと第2電流監視分圧抵抗151bとの接続点の対グランド電位Vmn0を下流電流監視信号MN0として制御回路部190に入力する下流電流監視信号入力線157と、を備えている。
この構成によれば、監視用接続点Pの対グランド電位Vx及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0を、それぞれ負荷電圧監視信号MNT及び下流電流監視信号MN0として制御回路部190に入力することができる。負荷電圧監視回路156には、監視用接続点Pと、第1電気負荷40aの正側端子、負側端子、車載バッテリ10の正極、及び負極とを接続する各接続路に抵抗が設けられているため、開閉パターン及び異常種別の変化による回路の接続パターンの変化(各抵抗、電源電圧Vbb、及びグランドGNDを接続する回路の接続パターンの変化)により、複数の抵抗の合成抵抗値が複雑に変化し、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが複雑に変化する。よって、回路の状態を詳細にモニタすることができる。また、電源電圧Vbbになった対グランド電位Vxを、第1下流分圧抵抗414a及び第2下流分圧抵抗414bにより、AD変換器が変換可能な電圧まで分圧低下させて、給電制御装置100のAD変換器により精度よく検出することができる。同様に、電源電圧Vbbになった両端電圧V0を、第1電流監視分圧抵抗151a及び第2電流監視分圧抵抗151bにより、AD変換器が変換可能な電圧まで分圧低下させて、給電制御装置100のAD変換器により精度よく検出することができる。
また、マイクロプロセッサCPUは、4種類の開閉パターンの複数において検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値と、正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、4種類の開閉パターンの複数において予め設定された負荷電圧監視信号MNTの予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する。
この構成によれば、同じ異常の種別でも、開閉パターンを変化させると負荷電圧監視信号MNTが変化する。また、異常の種別が異なると、開閉パターンの変化に対する負荷電圧監視信号MNTの変化の傾向が異なる。よって、各開閉パターンの負荷電圧監視信号MNTの検出値及び予測値を、複数の開閉パターン分用いることにより、異常の状態をより詳細に反映した情報を得ることができ、より多くの異常の種別を、より正確に判定することができる。
また、複数の特定異常状態には、第1電気負荷40aの負側配線が車載バッテリ10の正極配線と混触する負線天絡異常E1、第1電気負荷40aの正側配線が車載バッテリ10の負極配線と混触する正線地絡異常E2、第1電気負荷40aが内部短絡する又は第1電気負荷40aの正側配線と負側配線とが混触する負荷短絡異常E4、上流側開閉素子120aの内部短絡異常又は第1電気負荷40aの正側配線が車載バッテリ10の正極配線と混触する正線天絡異常E3の上流天絡異常、第1電気負荷40aの負側配線が車載バッテリ10の負極配線に混触する負線地絡異常E5、負荷断線異常E6、上流側開閉素子120aの断線異常、下流側開閉素子140の断線異常、及び下流側開閉素子140の内部短絡異常の全部又は一部が含まれる。負線天絡異常E1、正線地絡異常E2、又は負荷短絡異常E4が生じると、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定した場合に、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の一方又は双方を流れる電流が定格電流よりも過大になる過電流異常が生じる状態となる。上流天絡異常、負線地絡異常E5、負荷断線異常E6、上流側開閉素子120aの断線異常、下流側開閉素子140の断線異常、又は下流側開閉素子140の内部短絡異常が生じると、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcにより第1電気負荷40aに予定された給電を行えない不適正通電状態となる。
この構成によれば、第1電気負荷40aの上流側及び下流側の回路の状態が詳細に反映される監視用接続点Pの対グランド電位Vxと、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0とを用いるので、主要な回路である、第1電気負荷40a、上流側開閉素子120a、及び下流側開閉素子140の異常に係る多くの異常の種別を判定することができる。また、判定が必須となる過電流異常が生じる各異常の種別の判定に加えて、不適正通電状態となる異常の種別を判定することができる。従って、開閉素子又は配線の焼損を防止できると共に、多様な異常の種別に対応して保守点検を容易に行うことができる。
また、複数の特定異常状態には、回路の2個所で同時に異常が発生する二重異常であって、正線天絡異常又は上流側開閉素子120aの内部短絡異常と、負線地絡異常又は下流側開閉素子140の内部短絡異常とが同時に発生する上下流通電二重異常が含まれる。マイクロプロセッサCPUは、上下流通電二重異常が発生したと判定した場合には、第1電気負荷40aへの給電を遮断できない状態であることを報知装置に報知させる報知信号ERRを生成する。
この構成によれば、第1電気負荷40aの上流側及び下流側の回路の状態が詳細に反映される監視用接続点Pの対グランド電位Vxと、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0とを用いるので、二重異常が生じた場合も判定することができる。確率的にはまれな二重異常の中で、特に、上下流通電二重異常は、第1電気負荷40aへの給電を遮断できない重大な異常であり、この異常をユーザに報知し、保守点検を促すことができる。
また、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへの給電が要求されていない場合に、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcに、上下流開パターン、上流閉パターン、及び下流閉パターンの3種類の開閉パターンを順番に設定して、下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTを検出する。そして、マイクロプロセッサCPUは、3種類の開閉パターン毎に検出した下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、3種類の開閉パターン毎に予め設定された下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定し、判定した異常種別に応じて上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する一次異常判定を実行する。また、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへの給電が要求されており、一次異常判定により上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止していない場合に、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを上下流閉パターンに設定して、下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTを検出する。そして、マイクロプロセッサCPUは、更に、上下流閉パターンで検出した下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定し、判定した異常種別に応じて上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する二次異常判定を実行する。
この構成によれば、一次異常判定として、第1電気負荷40aへ給電していない状態で、上下流開パターン、上流閉パターン、及び下流閉パターンの3種類の開閉パターンを順番に設定し、下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTを検出し、異常判定を行うことができる。例えば、第1電気負荷40aへ給電すると、過電流が生じる異常が生じていることを事前に判定し、過電流の発生を未然に防止することができ、開閉素子の焼損を防止できる。また、3種類の開閉パターンを能動的に設定してモニタするので、異常の状態をより詳細に反映した情報を得ることができ、より多くの異常の種別を、より正確に判定することができる。また、異常判定を目的として、第1電気負荷40aに妄りに給電されることもない。一次異常判定は、例えば、マイクロプロセッサCPUの運転開始時、運転停止時、又は運転中の定期間隔で適時に行うことができる。一方、一次異常判定で判定できない異常の種別は、第1電気負荷40aへ給電している状態で行う二次異常判定により判定することできる。二次異常判定では、更に、上下流閉パターンで検出した情報を用いるので、一次異常判定で判定できなかった異常の種別も判定できるようになる。
また、マイクロプロセッサCPUは、一次異常判定において、3種類の開閉パターンにおいて検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値の一次結合データと、予め設定された回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、3種類の開閉パターン毎に予め設定された負荷電圧監視信号MNTの予測値の一次結合データと、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常種別とを判定する。マイクロプロセッサCPUは、二次異常判定において、4種類の開閉パターンにおいて検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値の一次結合データと、予め設定された回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて、4種類の開閉パターン毎に予め設定された負荷電圧監視信号MNTの予測値の一次結合データとを対比する、又は一次結合データだけでは区別できない特定の異常の種別について上下流閉パターンで検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値と予測値とを対比することにより、異常発生の有無と、発生した異常種別とを判定する。ここで、一次結合データは、複数の検出値又は予測値を積算した値、又は複数の検出値又は予測値のそれぞれに予め設定された係数を乗算した値を積算した値である。
この構成によれば、3種類又は4種類の開閉パターンで検出した負荷電圧監視信号MNTの検出値の一次結合データを用いて対比するので、各開閉パターンの検出値を個別に対比する場合よりも、異常の種別の判定方法を容易化することができる。また、一次結合データだけでは区別できない特定の異常の種別について上下流閉パターン時の検出値に基づいて判定するので、個別に判定精度を向上させることができる。
また、給電制御装置100は、車載バッテリ10の電源電圧Vbbから予め定められた電圧レベルの安定化電圧である制御電圧Vccを生成する電源ユニット110と、車載バッテリ10の電源電圧Vbbに応じて変化する電源電圧監視信号MNBを制御回路部190に入力する電源電圧監視回路168と、を備えている。制御回路部190は、入力された信号の信号電圧をデジタル変換してマイクロプロセッサCPUに入力する多チャンネルAD変換器ADCを備え、多チャンネルAD変換器ADCの基準電圧は、制御電圧Vccとされている。負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntは、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとによって分圧された電圧であり、第1下流分圧抵抗414aの抵抗値をR414aとし、第2下流分圧抵抗414bの抵抗値をR414bとすると、第1下流分圧抵抗414a及び第2下流分圧抵抗414bの分圧率Gtは、Gt=R414a/(R414a+R414b)となり、監視用接続点Pの対グランド電位をVxとすると、負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntは、Vmnt=Gt×Vxとなる。電源電圧監視信号MNBの信号電圧Vbmは、電源電圧Vbbが、分圧率Gtと同じ分圧率となる第1基準分圧抵抗424aと第2基準分圧抵抗424bとによって分圧された電圧であり、車載バッテリ10の電源電圧をVbbとすると、電源電圧監視信号MNBの信号電圧Vbmは、Vbm=Gt×Vbbとなる。そして、マイクロプロセッサCPUは、負荷電圧監視信号MNTの検出値及び予測値として、電源電圧監視信号MNBの信号電圧Vbmに対する負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntの比である電圧比率Gを用いる。
この構成によれば、多チャンネルAD変換器ADCにより検出した負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntは、電源電圧Vbbの変動と比例して変動する。一方、電源電圧監視信号MNBの信号電圧Vbmに対する負荷電圧監視信号MNTの信号電圧Vmntの比である電圧比率Gは、電源電圧Vbbの変動の影響を受けず、負荷電圧監視回路156の回路構成及び各抵抗の抵抗値によって決定される値となる。よって、負荷電圧監視信号MNTの検出値及び予測値として電圧比率Gを用いることにより、電源電圧Vbbの変動に対して、判定精度を向上させることができる。
3.実施の形態3
(1)構成の詳細な説明
以下、実施の形態3に係る給電制御装置100について図面を参照して説明する。図14は、本実施の形態に係る車載電気負荷及び給電制御装置100の部分回路図である。以下、図5の給電制御装置100との相違点を中心にして、詳細に説明する。なお、各図において、同一符号は同一又は相当部分を示している。しかし、本実施の形態では、図14の外部負荷80Cにおいて、第1電気負荷40aは、方向指示器の左折ランプとされ、第2電気負荷40bは、方向指示器の右折ランプとされている。給電制御装置100は、実施の形態1と同様に、第1電気負荷40a及び第2電気負荷40bに、同時には電力を供給しないように制御する。
また、図5のものとの主たる相違点の第一として、図5には図示が省略されていたが、給電制御装置100は、第1電気負荷40aと下流側開閉素子140との接続路中に直列接続され、電流の逆流を防止する第1逆流防止素子141と、第2電気負荷40bの負側端子を、第1逆流防止素子141と下流側開閉素子140との接続路に接続する第2下流側接続路148と、第2下流側接続路148中に直列接続され、電流の逆流を防止する第2逆流防止素子142と、第2電気負荷40bの正側端子と車載バッテリ10の正極とを接続する第2上流側接続路147中に直列接続されて当該第2上流側接続路147を開閉する第2上流側開閉素子120bと、第2上流側開閉素子120bに直列接続された第2上流側電流制限抵抗402bと、を備えている。なお、下流側接続路146と第2下流側接続路148との接続点を、下流側合流接続点Sと称す。
また、図5のものとの主たる相違点の第二として、負荷電圧監視回路156において、監視用接続点Pが、第1電気負荷40aの正側端子、第2電気負荷40bの正側端子、及び第1電気負荷40aの負側端子と第2電気負荷40bの負側端子との接続点である下流側合流接続点Sに接続されている。すなわち、監視用接続点Pは、第1電気負荷40aの正側端子に加えて、第2電気負荷40bの正側端子にも接続されている。監視用接続点Pの対グランド電位Vxは、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位、第2電気負荷40bの正側端子の対グランド電位、及び下流側合流接続点Sの対グランド電位に応動して変化する。
本実施の形態では、負荷電圧監視回路156は、車載バッテリ10の正極と負極との間に車載バッテリ10の正極側から順番に直列接続された上流分圧抵抗413、第1下流分圧抵抗414a、及び第2下流分圧抵抗414bと、上流分圧抵抗413と第1下流分圧抵抗414aとの間の接続点である監視用接続点Pを第1電気負荷40aの正側端子に接続する上流側監視接続路159と、上流側監視接続路159中に直列接続された上流側並列抵抗412aと、監視用接続点Pを第2電気負荷40bの正側端子に接続する第2上流側監視接続路167と、第2上流側監視接続路167中に直列接続された第2上流側並列抵抗412bと、監視用接続点Pを下流側合流接続点Sに接続する下流側監視接続路165と、下流側監視接続路165中に直列接続された下流側並列抵抗411と、第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとの接続点の対グランド電位Vmntを負荷電圧監視信号MNTとして制御回路部190に入力する負荷電圧監視信号入力線158と、を備えている。
給電制御装置100は、実施の形態2と同様の、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0に応じた下流電流監視信号MN0を制御回路部190に入力する下流電流監視回路155と、車載バッテリ10の電源電圧Vbbに応じて変化する電源電圧監視信号MNBを制御回路部190に入力する電源電圧監視回路168と、を備えている。
実施の形態2と同様に、負荷電圧監視回路156の分圧率Gt、下流電流監視回路155の分圧率G0、及び電源電圧監視回路168の分圧率Gmが、等しくなるように各抵抗の抵抗値が設定されている。
図14において、負荷電圧監視回路156を構成する各抵抗について、下流側並列抵抗411の抵抗値を第1抵抗R1とし、上流側並列抵抗412aの抵抗値を第2抵抗R2aとし、第2上流側並列抵抗412bの抵抗値を第2抵抗R2bとし、上流分圧抵抗413の抵抗値を第3抵抗R3とし、下流分圧抵抗414の抵抗値を第4抵抗R4として示している。また、第1電気負荷40a及び第2電気負荷40bの抵抗値を同じ負荷抵抗R40とし、下流側電流制限抵抗401、上流側電流制限抵抗402a及び第2上流側電流制限抵抗402bの抵抗値を同じ電流制限抵抗R0とし、式(6)の関係となるように各抵抗値が設定されている。また、以下では上流側開閉素子120aを開閉素子Xaと略称し、第2上流側開閉素子120bを開閉素子Xbと略称し、下流側開閉素子140を開閉素子Yと略称することがあり、図14ではトランジスタの記号に代わって開閉接点の記号で代替表示している。
マイクロプロセッサCPUは、実施の形態2と同様に、下流電流監視信号MN0の検出値及び予測値として、上記の式(12)のように、電源電圧監視信号MNBの信号電圧Vbmに対する下流電流監視信号MN0の信号電圧Vmn0の比である判定比率Hを用いるように構成されている。判定比率Hは、電圧比率Gと同様に、電源電圧Vbbの変動の影響を受けず、回路の接続路と抵抗値によって決定されるため、判定精度を向上させることができる。
過電流が生じる場合の判定比率Hについて説明する。電気負荷の短絡異常時は、R40≒0となるため、判定比率H≒0.5となる。電気負荷の負線天絡異常の場合は、式(12)の分母の2×R0がR0となり、下流側開閉素子140を閉路すると判定比率H≒1.0となる。また、定格電流が流れている通常状態においては、判定比率H≒R0/R40となり、R0=2.2Ω、R40=100Ωであれば、判定比率H=0.022の微小値となる。しかし、多チャンネルAD変換器ADCの分解能が例えば10ビットであれば、判定比率Hの最小検出分解能が0.001となるので、判定比率Hにより、定格電流が流れている通常状態を検出可能である。
このことから、マイクロプロセッサCPUは、負荷短絡異常に対応する下流電流監視信号MN0の予測値(判定比率H)と、電気負荷の負線天絡異常に対応する下流電流監視信号MN0の予測値(判定比率H)とを変化させるように構成されている。また、過電流の発生を判定するための過電流判定値は、負荷短絡異常及び負線天絡異常の双方を判定するために、値が低くなる方の負荷短絡異常時の判定比率Hと、定格電流に対応する判定比率Hとの間の値に設定されるとよい。
実施の形態2の図5では、R1=33KΩ、R2=10KΩに設定され、図6、図9、図10のデータテーブルが作成されたが、実施の形態3の図14では、R1=15KΩ、R2a=R2b=33KΩに設定され、データテーブルが作成される。その理由は、図14において第2電気負荷40bが非給電状態であり、開閉素子Xbが開路しているときには、抵抗R2bと抵抗R1が並列接続されるため、その下流側並列抵抗R2b//R1の合成抵抗は、上流側並列抵抗R2aより必ず小さくなる。よって、判定が容易な予測値を得るため、最初から下流側並列抵抗R1を、上流側並列抵抗R2a、R2bよりも小さく設定しておいた方がよい。なお、図5ではR3≒R4にして、開閉素子XとYを開路しているときの電圧比率Ga=0.51とし、開閉素子XとYを共に閉路したときには、異なった電圧比率Gdが得られるように下流側並列抵抗R1=33KΩと上流側並列抵抗R2=10KΩにしていたが、これを逆転させて下流側並列抵抗R1=10KΩ、上流側並列抵抗R2=33KΩにしても、電圧比率Gaと電圧比率Gdを異ならせることができる。図14においてR1=15KΩ、R2a=R2b=33KΩとすると、どちらの電気負荷に給電しているときであっても、上流側並列抵抗は33KΩとなり、下流側並列抵抗は15KΩ//33KΩ=10.3KΩとなって、電圧比率Gaと電圧比率Gdとを異ならせることができる。以上の理由で、実施の形態3に係る負荷電圧監視信号MNTの予測値(電圧比率G)及びその一次結合データを記憶したデータテーブルの設定値は、実施の形態2の図6、図9、図10のデータテーブルの設定値とは異なる値となるが、原理的には図6、図9、図10の場合と同様に、異常種別を識別できるものとなる。
なお、図14において、例えば、開閉素子Xbを開路させて、第2電気負荷40bが非給電状態であり、開閉素子Xa及び開閉素子Yの開閉によって、第1電気負荷40aの給電状態を制御しているときに、開閉素子Xbの内部短絡異常、断線異常や、第2電気負荷40bの正線天絡異常、正線地絡異常、負線天絡異常、負線地絡異常が発生しても、監視用接続点Pの対グランド電位Vxには影響が生じず、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは、開閉素子Xa及び開閉素子Yの開閉パターン、並びに第1電気負荷40a、開閉素子Xa、及び開閉素子Yに係る異常の種別に応じて変化する。しかし、下流側電流制限抵抗401が共用されているので、開閉素子Xb及び第2電気負荷40bに係る異常の種別によっては、開閉素子Yを閉路したときの下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0に影響が生じる場合があり、実施の形態2とは、異常判定結果を変更する必要がある。例えば、第2電気負荷40bの負線天絡異常があると、判定比率H=1の過大値となり、異常判定結果としては第1電気負荷40a又は第2電気負荷40bの負線天絡異常となる。
また、本実施の形態では、開閉素子Xaを開路させて、第1電気負荷40aが非給電状態であり、開閉素子Xb及び開閉素子Yの開閉によって、第2電気負荷40bの給電状態を制御している場合に、第1電気負荷40a、開閉素子Xa、及び開閉素子Yに係る異常判定の場合と同様の方法で、第2電気負荷40b、開閉素子Xb、及び開閉素子Yに係る異常の発生の有無と、同様の異常種別の判定を行い、判定した異常の種別に応じて、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcの閉路指令の設定禁止を行うことができる。本実施の形態のように、第2抵抗R2b及び第2抵抗R2aが同じ抵抗値とされ、第1電気負荷40a及び第2電気負荷40bの抵抗値が同じ負荷抵抗R40とされている場合は、第2電気負荷40b、開閉素子Xb、及び開閉素子Yの異常判定を行う際に、第1電気負荷40aに係る異常判定を行う際に用いるデータテーブルと同じ値が設定されたデータテーブルを用いることができる。一方、第2抵抗R2b及び第2抵抗R2aが異なる抵抗値とされ、又は第1電気負荷40a及び第2電気負荷40bが異なる抵抗値とされる場合は、第1電気負荷40aに係る異常判定を行う際に用いるデータテーブルと、第2電気負荷40bに係る異常判定を行う際に用いるデータテーブルと、には異なる値が設定される。
(2)作用・動作の詳細な説明
次に、図14に示すように構成された給電制御装置100の制御処理及び制御方法について、その作用・動作を詳細に説明する。
マイクロプロセッサCPUは、上流側開閉素子120aを開閉させる上流側指令信号DRaを開路指令又は閉路指令に設定すると共に、下流側開閉素子140を開閉させる下流側指令信号DRcを開路指令又は閉路指令に設定すると共に、第2上流側開閉素子120bを開閉される第2上流側指令信号DRbを開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御を実行する。
マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへ電力を供給する場合は、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令にすると共に、第2上流側開閉素子120bを開閉させる第2上流側指令信号DRbを開路指令として第2電気負荷40bに電力が供給されないようにし、第2電気負荷40bに電力を供給する場合は、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcを閉路指令にすると共に、上流側指令信号DRaを開路指令として第1電気負荷40aに電力が供給されないようにする。
本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、左折信号を発生させる場合は、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを断続的に閉路指令にすると共に、第2上流側指令信号DRbを開路指令にし、右折信号を発生させる場合は、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcを断続的に閉路指令にすると共に、上流側指令信号DRaを開路指令にし、ハザード信号を発生させる場合は、下流側指令信号DRcを閉路指令にし、上流側指令信号DRa及び第2上流側指令信号DRbを交互に閉路指令にするように構成されている。
マイクロプロセッサCPUは、実施の形態2と同様に、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcに係る4種類の開閉パターンのいずれかで検出した下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、第1電気負荷40a及び第1電気負荷40aに電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行する。そして、マイクロプロセッサCPUは、判定した異常の種別に応じて、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行する。第1電気負荷40aに係る異常判定及びフェール制御は、実施の形態2と同様に構成することができるので、ここでは、詳細の説明は省略する。
本実施の形態では、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに係る異常判定と同様の方法で、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcに係る4種類の開閉パターンのいずれかで検出した下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、第2電気負荷40b及び第2電気負荷40bに電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別と、を判定する異常判定を実行する。そして、マイクロプロセッサCPUは、判定した異常の種別に応じて、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行する。第2電気負荷40bに係る異常判定及びフェール制御は、実施の形態2における第1電気負荷40aに係る異常判定及びフェール制御と同様に構成することができるので、ここでは、詳細の説明は省略する。
マイクロプロセッサCPUは、実施の形態1、2と同様に、異常内容、及び異常により給電が禁止された電気負荷の一方又は双方を報知装置に報知させる報知信号ERRを生成するように構成されている。
<フローチャート>
本実施の形態に係る開閉制御、異常判定、及びフェール制御(監視制御とも称す)の処理(給電制御装置100の制御方法)を、図15及び図16に示すフローチャートのように構成することができる。図15及び図16のフローチャートの処理は、マイクロプロセッサCPUがプログラムメモリPMEMに記憶されたプログラムを実行することにより、例えば一定の演算周期毎に繰り返し実行される。前半のフローチャートである図15は、第1電気負荷40aに係る開閉制御、異常判定、及びフェール制御の処理であり、後半のフローチャートである図16は、第2電気負荷40bに係る開閉制御、異常判定、及びフェール制御の処理である。
図15のフローチャートの処理、及び図16のフローチャートの処理は、図13のフローチャートの処理と同様に構成されており、ステップ番号の上位2桁は各図で変化しているが、下2桁が同一のステップは同一又は相当する処理を行う。以下で、図15及び図16のフローチャートについて説明する。なお、図13のフローチャートの説明と同様の部分は、説明を省略する場合がある。
まず、図15について説明する。まず、ステップ1400において、監視制御に係る一連の処理を開始する。続くステップ1401で、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aの監視を行う第1の監視時期であるか否かを判定し、例えば、一定の周期で定期的に1回だけYESの判定を行ってステップ1402aへ移行し、それ以外の時期ではNOの判定を行ってステップ1407aへ移行する。ステップ1402aでは、第1電気負荷40aの給電に係る上下流開パターン(Xa=OFF、Y=OFF)に設定する。続くステップ1403aでは、マイクロプロセッサCPUは、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmnt及び電源電圧監視信号MNBの検出値Vbmを読み出して、第1電気負荷40aの給電に係る上下流開パターン時の電圧比率Ga=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1404aへ移行する。
ステップ1404aでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、予め設定された低電流判定値よりも大きければ、電流が流れていると判定し、YESの判定を行ってステップ1405aへ移行し、低電流判定値以下であれば、電流が流れていないと判定し、NOの判定を行ってステップブロック1411へ移行する。ステップ1405aでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに係る上下流開パターン時の判定比率Ha=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Haが、予め設定された過電流判定比率以上であれば過電流異常が発生したと判定し、閉路指令に設定している上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップブロック1411へ移行する。ステップ1402aからステップ1405aによってステップブロック1410が構成されている。
ステップブロック1411のステップ1402bでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに係る上流閉パターン(Xa=ON、Y=OFF)に設定する。続くステップ1403bでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aの給電に係る上流閉パターン時の電圧比率Gb=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1404bへ移行する。ステップ1404bでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が低電流判定値よりも大きければYESの判定を行ってステップ1405bへ移行し、低電流判定値以下であればNOの判定を行ってステップブロック1412へ移行する。ステップ1405bでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに係る上流閉パターン時の判定比率Hb=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Hbが、予め設定された過電流判定比率以上であれば過電流異常が判定したと判定し、閉路指令に設定している上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップブロック1412へ移行する。
ステップブロック1412のステップ1402cでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに係る下流閉パターン(Xa=OFF、Y=ON)に設定する。続くステップ1403cでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに係る下流閉パターン時の電圧比率Gc=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1404cへ移行する。ステップ1404cでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が低電流判定値よりも大きければYESの判定を行ってステップ1405cへ移行し、低電流判定値以下であればNOの判定を行ってステップ1406へ移行する。ステップ1405cでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに係る下流閉パターン時の判定比率Hc=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Hcが、予め設定された過電流判定比率以上であれば過電流異常が判定したと判定し、閉路指令に設定している上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップ1406へ移行する。
続くステップ1406では、マイクロプロセッサCPUは、ステップ1403a・1403b・1403cで記憶された第1電気負荷40aに係る電圧比率Ga、Gb、Gcの値を単純加算した一次結合データを算出する。そして、マイクロプロセッサCPUは、算出した一次結合データと、図9又は図10に示すデータテーブルのように、第1電気負荷40aに係る正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め記憶された負荷電圧監視信号MNTの予測値の一次結合データのいずれに一致又は近似しているかを判定し、一致又は近似している予測値の一次結合データに対応する正常状態又は特定異常状態を判定結果とする。ただし、一次結合データだけでは識別できない複数の異常状態については、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに係る個別の電圧比率Ga、Gb、Gcや、ステップ1405a・1405b・1405cで記憶された判定比率Ha、Hb、Hcを参照して細分化判定するように構成されている。そして、図16のステップ1501に移行し、第1電気負荷40aに係る監視制御の処理を終了する。
一方、ステップ1407aでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへの給電が要求されていればYESの判定を行ってステップ1407bへ移行し、給電が要求されていなければNOの判定を行って図16のステップ1501へ移行する。ステップ1407bでは、マイクロプロセッサCPUは、ステップ1406又は後述するステップ1506で記憶された異常発生モードに対応して、上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止しているか否かを判定し、禁止していればYESの判定を行って図16のステップ1501へ移行し、禁止していなければNOの判定を行ってステップブロック1413へ移行する。
ステップブロック1413のステップ1402dでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに係る上下流閉パターン(Xa=ON、Y=ON)に設定する。続くステップ1403dでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに係る上下流閉パターン時の電圧比率Gd=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1404dへ移行する。ステップ1404dでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が低電流判定値よりも大きければYESの判定を行ってステップ1405dへ移行し、低電流判定値以下であればNOの判定を行ってステップ1408へ移行する。ステップ1405dでは、マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aに係る上下流閉パターン時の判定比率Hd=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Hdが過電流判定比率以上であれば過電流異常が判定したと判定し、閉路指令に設定している上流側指令信号DRa又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップ1408へ移行する。
続くステップ1408では、マイクロプロセッサCPUは、ステップ1406による判定結果と、ステップブロック1413で算出した、第1電気負荷40aに係る上下流閉パターン時の電圧比率Gd及び判定比率Hdを勘案して、更に細分化した異常モードの判定を行った後、図16のステップ1501へ移行する。
次に、図16について説明する。ステップ1501で、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bの監視を行う第2の監視時期であるか否かを判定し、例えば、一定の周期で定期的に1回だけYESの判定を行ってステップ1502aへ移行し、それ以外の時期ではNOの判定を行ってステップ1507aへ移行する。ステップ1502aでは、第2電気負荷40bの給電に係る上下流開パターン(Xb=OFF、Y=OFF)に設定する。続くステップ1503aでは、マイクロプロセッサCPUは、負荷電圧監視信号MNTの検出値Vmnt及び電源電圧監視信号MNBの検出値Vbmを読み出して、第2電気負荷40bの給電に係る上下流開パターン時の電圧比率Ga=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1504aへ移行する。
ステップ1504aでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が、予め設定された低電流判定値よりも大きければ、電流が流れていると判定し、YESの判定を行ってステップ1505aへ移行し、低電流判定値以下であれば、電流が流れていないと判定し、NOの判定を行ってステップブロック1511へ移行する。ステップ1505aでは、マイクロプロセッサCPUは、上下流開パターン時の判定比率Ha=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Haが、予め設定された過電流判定比率以上であれば過電流異常が発生したと判定し、閉路指令に設定している第2上流側指令信号DRb又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップブロック1511へ移行する。ステップ1502aからステップ1505aによってステップブロック1510が構成されている。
ステップブロック1511のステップ1502bでは、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bに係る上流閉パターン(Xb=ON、Y=OFF)に設定する。続くステップ1503bでは、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bの給電に係る上流閉パターン時の電圧比率Gb=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1504bへ移行する。ステップ1504bでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が低電流判定値よりも大きければYESの判定を行ってステップ1505bへ移行し、低電流判定値以下であればNOの判定を行ってステップブロック1512へ移行する。ステップ1505bでは、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bの給電に係る上流閉パターン時の判定比率Hb=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Hbが、予め設定された過電流判定比率以上であれば過電流異常が判定したと判定し、閉路指令に設定している第2上流側指令信号DRb又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップブロック1512へ移行する。
ステップブロック1512のステップ1502cでは、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bに係る下流閉パターン(Xb=OFF、Y=ON)に設定する。続くステップ1503cでは、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bに係る下流閉パターン時の電圧比率Gc=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1504cへ移行する。ステップ1504cでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が低電流判定値よりも大きければYESの判定を行ってステップ1505cへ移行し、低電流判定値以下であればNOの判定を行ってステップ1506へ移行する。ステップ1505cでは、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bに係る下流閉パターン時の判定比率Hc=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Hcが、予め設定された過電流判定比率以上であれば過電流異常が判定したと判定し、閉路指令に設定している第2上流側指令信号DRb又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップ1506へ移行する。
続くステップ1506では、マイクロプロセッサCPUは、ステップ1503a・1503b・1503cで記憶された第2電気負荷40bに係る電圧比率Ga、Gb、Gcの値を単純加算した一次結合データを算出する。そして、マイクロプロセッサCPUは、算出した一次結合データと、図9又は図10に示すデータテーブルのように、第2電気負荷40bに係る正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め記憶された負荷電圧監視信号MNTの予測値の一次結合データのいずれに一致又は近似しているかを判定し、一致又は近似している予測値の一次結合データに対応する正常状態又は特定異常状態を判定結果とする。ただし、一次結合データだけでは識別できない複数の異常状態については、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bに係る個別の電圧比率Ga、Gb、Gcや、ステップ1505a・1505b・1505cで記憶された判定比率Ha、Hb、Hcを参照して細分化判定するように構成されている。そして、動作終了ステップ1509に移行し、第2電気負荷40bに係る監視制御の処理を終了する。
一方、ステップ1507aでは、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bへの給電が要求されていればYESの判定を行ってステップ1507bへ移行し、給電が要求されていなければNOの判定を行って動作終了ステップ1509へ移行する。ステップ1507bでは、マイクロプロセッサCPUは、ステップ1506又は後述するステップ1506で記憶された異常発生モードに対応して、第2上流側指令信号DRb又は下流側指令信号DRcを閉路指令に設定することを禁止しているか否かを判定し、禁止していればYESの判定を行って動作終了ステップ1509へ移行し、禁止していなければNOの判定を行ってステップブロック1513へ移行する。
ステップブロック1513のステップ1502dでは、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bに係る上下流閉パターン(Xb=ON、Y=ON)に設定する。続くステップ1503dでは、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bに係る上下流閉パターン時の電圧比率Gd=Vmnt/Vbmを算出記憶してステップ1504dへ移行する。ステップ1504dでは、マイクロプロセッサCPUは、下流電流監視信号MN0の検出値Vmn0が低電流判定値よりも大きければYESの判定を行ってステップ1505dへ移行し、低電流判定値以下であればNOの判定を行ってステップ1508へ移行する。ステップ1505dでは、マイクロプロセッサCPUは、第2電気負荷40bに係る上下流閉パターン時の判定比率Hd=Vmn0/Vbmを算出記憶し、判定比率Hdが過電流判定比率以上であれば過電流異常が判定したと判定し、閉路指令に設定している第2上流側指令信号DRb又は下流側指令信号DRcを強制的に開路指令に設定すると共に、閉路指令に設定することを禁止した後、ステップ1508へ移行する。
続くステップ1508では、マイクロプロセッサCPUは、ステップ1506による判定結果と、ステップブロック1513で算出した、第2電気負荷40bに係る上下流閉パターン時の電圧比率Gd及び判定比率Hdを勘案して、更に細分化した異常モードの判定を行った後、動作終了ステップ1509へ移行する。
なお、第1電気負荷40aである左折ランプにより左折信号を発生させる場合は、ステップ1407aで、断続的にYesの判定がされて、ステップブロック1413で、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcが断続的に閉路指令に設定される。第2電気負荷40bである右折ランプにより右折信号を発生させる場合は、ステップ1507aで、断続的にYesの判定がされて、ステップブロック1513で、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcが断続的に閉路指令に設定される。左折ランプ及び右折ランプによりハザード信号を発生させる場合は、ステップ1407aとステップ1507aで交互にYESの判定がされて、ステップブロック1413とステップブロック1513で、上流側指令信号DRaと第2上流側指令信号DRbが交互に閉路指令に設定されると共に、下流側指令信号DRcが連続的に閉路指令に設定される。
(3)実施の形態3の要点と特徴
以上の説明で明らかなとおり、この実施の形態3による車載電気負荷の給電制御装置100は、第1電気負荷40aの正側端子と車載バッテリ10の正極とを接続する上流側接続路145中に直列接続されて当該上流側接続路145を開閉する上流側開閉素子120aと、第1電気負荷40aの負側端子と車載バッテリ10の負極とを接続する下流側接続路146中に直列接続されて当該下流側接続路146を開閉する下流側開閉素子140と、上流側開閉素子120a及び下流側開閉素子140の開閉状態を制御するマイクロプロセッサCPUを有する制御回路部190と、を備えている。給電制御装置100は、上流側開閉素子120aに直列接続された上流側電流制限抵抗402aと、下流側開閉素子140に直列接続された下流側電流制限抵抗401と、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0に応じた下流電流監視信号MN0を制御回路部190に入力する下流電流監視回路155と、第1電気負荷40aと下流側開閉素子140との接続路中に直列接続され、電流の逆流を防止する第1逆流防止素子141と、第2電気負荷40bの負側端子を、第1逆流防止素子141と下流側開閉素子140との接続路に接続する第2下流側接続路148と、第2下流側接続路148中に直列接続され、電流の逆流を防止する第2逆流防止素子142と、第2電気負荷40bの正側端子と車載バッテリ10の正極とを接続する第2上流側接続路147中に直列接続されて当該第2上流側接続路147を開閉する第2上流側開閉素子120bと、第2上流側開閉素子120bに直列接続された第2上流側電流制限抵抗402bと、第1電気負荷40aの正側端子、第2電気負荷40bの正側端子、及び第1電気負荷40aの負側端子と第2電気負荷40bの負側端子との接続点である下流側合流接続点Sに接続され、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位、第2電気負荷40bの正側端子の対グランド電位、及び下流側合流接続点Sの対グランド電位に応動して対グランド電位Vxが変化する監視用接続点Pを有し、当該監視用接続点Pの対グランド電位Vxに応じて変化する負荷電圧監視信号MNTを制御回路部190に入力する負荷電圧監視回路156と、を備えている。マイクロプロセッサCPUは、第1電気負荷40aへ電力を供給する場合は、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを閉路指令にすると共に、第2上流側開閉素子120bを開閉させる第2上流側指令信号DRbを開路指令として第2電気負荷40bに電力が供給されないようにし、第2電気負荷40bに電力を供給する場合は、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcを閉路指令にすると共に、上流側指令信号DRaを開路指令として第1電気負荷40aに電力が供給されないようにする。マイクロプロセッサCPUは、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcに係る4種類の開閉パターンのいずれかで検出した下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、第1電気負荷40a及び第1電気負荷40aに電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行する。そして、マイクロプロセッサCPUは、判定した異常の種別に応じて、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行する。また、マイクロプロセッサCPUは、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcに係る4種類の開閉パターンのいずれかで検出した下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の検出値と、第2電気負荷40b及び第2電気負荷40bに電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された下流電流監視信号MN0及び負荷電圧監視信号MNTの一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行する。そして、マイクロプロセッサCPUは、判定した異常の種別に応じて、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcの一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行する。
この構成によれば、負荷電圧監視回路156の監視用接続点Pは、第1電気負荷40aの正側端子、第2電気負荷40bの正側端子、及び第1電気負荷40aの負側端子と第2電気負荷40bの負側端子との下流側合流接続点Sに接続されているため、監視用接続点Pの対グランド電位Vxは、第1電気負荷40aの正側端子の対グランド電位及び負側端子の対グランド電位、並びに第2電気負荷40bの正側端子の対グランド電位及び負側端子の対グランド電位に応動して変化する。よって、監視用接続点Pの対グランド電位Vxには、第1電気負荷40aの上流側及び下流側の回路の状態、並びに第2電気負荷40bの上流側及び下流側の回路の状態が詳細に反映される。また、下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0により、上流側に並列接続された第1電気負荷40a及び第2電気負荷40bを流れる電流を共通してモニタすることができる。また、第1電気負荷40aと第2電気負荷40bとには同時に電力が供給されないので、共通の監視用接続点Pの対グランド電位Vx及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0により、それぞれを分離してモニタできる。また、第1電気負荷40a及び第2電気負荷40bの下流側に並列的に設けられた第1逆流防止素子141及び第2逆流防止素子142により、第1電気負荷40aの負荷電流による第2電気負荷40b側への影響を阻止することができると共に第2電気負荷40bの負荷電流による第1電気負荷40a側への影響を阻止することができ、相互干渉が生じないようにできる。従って、共通の監視用接続点Pの対グランド電位Vx及び下流側電流制限抵抗401の両端電圧V0をモニタすることにより、第1電気負荷40a及びその電力供給回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを詳細に判定することができると共に、第2電気負荷40b及びその電力供給回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを詳細に判定することができる。そして、判定した異常の種別に応じて、過電流の発生を防止する等のため、上流側指令信号DRa、第2上流側指令信号DRb、及び下流側指令信号DRcの閉路指令の設定を適切に禁止することができる。また、第1及び第2逆流防止素子141、142は、車載バッテリ10の接続極性を誤ったときの第1及び第2電気負荷40a、40bの誤作動を防止する逆接異常防止手段ともなる。従って、2つの電気負荷への給電制御を行う場合であっても、電気負荷間で共通化された2つの監視信号を検出するだけであるので、従来技術のように、各電気負荷の上流側開閉素子及び下流側開閉素子のそれぞれの両端電圧を個別に検出するものに比べて、装置構成を大幅に簡略化するできることができると共に、多くの異常の種別を識別できる。
また、負荷電圧監視回路156は、車載バッテリ10の正極と負極との間に車載バッテリ10の正極側から順番に直列接続された上流分圧抵抗413、第1下流分圧抵抗414a、及び第2下流分圧抵抗414bと、上流分圧抵抗413と第1下流分圧抵抗414aとの間の接続点である監視用接続点Pを第1電気負荷40aの正側端子に接続する上流側監視接続路159と、上流側監視接続路159中に直列接続された上流側並列抵抗412aと、監視用接続点Pを第2電気負荷40bの正側端子に接続する第2上流側監視接続路167と、第2上流側監視接続路167中に直列接続された第2上流側並列抵抗412bと、監視用接続点Pを下流側合流接続点Sに接続する下流側監視接続路165と、下流側監視接続路165中に直列接続された下流側並列抵抗411と、第1下流分圧抵抗414aと第2下流分圧抵抗414bとの接続点の対グランド電位Vmntを負荷電圧監視信号MNTとして制御回路部190に入力する負荷電圧監視信号入力線158と、を備えている。
この構成によれば、負荷電圧監視回路156には、監視用接続点Pと、第1電気負荷40aの正側端子、第2電気負荷40bの正側端子、第1電気負荷40aの負側端子と第2電気負荷40bの負側端子との下流側合流接続点S、車載バッテリ10の正極、及び負極とを接続する各接続路に抵抗が設けられているため、開閉パターン及び異常種別の変化による回路の接続パターンの変化により、複数の抵抗の合成抵抗値が複雑に変化し、監視用接続点Pの対グランド電位Vxが複雑に変化する。よって、第1電気負荷40a側及び第2電気負荷40b側の双方の回路の状態を詳細にモニタすることができる。また、電源電圧Vbbになった対グランド電位Vxを、第1下流分圧抵抗414a及び第2下流分圧抵抗414bにより、AD変換器が変換可能な電圧まで分圧低下させて、給電制御装置100のAD変換器により精度よく検出することができる。
また、第1電気負荷40aは、方向指示器の左折ランプであり、第2電気負荷40bは、方向指示器の右折ランプである。マイクロプロセッサCPUは、左折信号を発生させる場合は、上流側指令信号DRa及び下流側指令信号DRcを断続的に閉路指令にすると共に、第2上流側指令信号DRbを開路指令にし、右折信号を発生させる場合は、第2上流側指令信号DRb及び下流側指令信号DRcを断続的に閉路指令にすると共に、上流側指令信号DRaを開路指令にし、ハザード信号を発生させる場合は、下流側指令信号DRcを閉路指令にし、上流側指令信号DRa及び第2上流側指令信号DRbを交互に閉路指令にする。
この構成によれば、方向指示器の左折ランプ及び右折ランプが、第1電気負荷40a及び第2電気負荷40bとされた場合でも、左折ランプの回路及び右折ランプの回路の双方の異常判定を適切に行い、異常を判定した場合に、回路の遮断を行うことができる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
この発明は、電気負荷の上流側に直列接続された上流側開閉素子と、下流側に直列接続された下流側開閉素子と、上流側開閉素子及び下流側開閉素子を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置、及びその制御方法に好適に利用することができる。
10 車載バッテリ、11 電源スイッチ、12 始動スイッチ、20 電源リレー、30a 手動スタータリレー、30b スタータ、40a 第1電気負荷、40b 第2電気負荷、50 第1ファンモータ、60 第1ファンリレー、70 第2ファンモータ、90 表示装置、100 給電制御装置、110 電源ユニット、120a 上流側開閉素子、120b 第2上流側開閉素子、140 下流側開閉素子、141 第1逆流防止素子、142 第2逆流防止素子、145 上流側接続路、146 下流側接続路、147 第2上流側接続路、148 第2下流側接続路、151 電流監視分圧抵抗、151a 第1電流監視分圧抵抗、151b 第2電流監視分圧抵抗、152 電圧監視分圧抵抗、155 下流電流監視回路、156 負荷電圧監視回路、157 下流電流監視信号入力線、158 負荷電圧監視信号入力線、159 上流側監視接続路、165 下流側監視接続路、166 電源電圧監視信号入力線、167 第2上流側監視接続路、168
電源電圧監視回路、190 制御回路部、401 下流側電流制限抵抗、402a 上流側電流制限抵抗、402b 第2上流側電流制限抵抗、411 下流側並列抵抗、412a 上流側並列抵抗、412b 第2上流側並列抵抗、413 上流分圧抵抗、414 下流分圧抵抗、414a 第1下流分圧抵抗、414b 第2下流分圧抵抗、424a 第1基準分圧抵抗、424b 第2基準分圧抵抗、ADC 多チャンネルAD変換器、CPU マイクロプロセッサ、DRa 上流側指令信号、DRb 第2上流側指令信号、DRc 下流側指令信号、ERR 報知信号、E1 負線天絡異常、E2 正線地絡異常、E3 正線天絡異常、E4 負荷短絡異常、E5 負線地絡異常、E6 負荷断線異常、G 電圧比率、Ga 上下流開パターン時の電圧比率、Gb 上流閉パターン時の電圧比率、Gc 下流閉パターン時の電圧比率、Gd 上下流閉パターン時の電圧比率、G0 下流電流監視回路の分圧率、Gm 電源電圧監視回路の分圧率、Gt 負荷電圧監視回路の分圧率、H 判定比率、Ha 上下流開パターン時の判定比率、Hb 上流閉パターン時の判定比率、Hc 下流閉パターン時の判定比率、Hd 上下流閉パターン時の判定比率、K 判定係数、MN0 下流電流監視信号、MN1 上流負荷電圧監視信号、MNB 電源電圧監視信号、MNT 負荷電圧監視信号、P 監視用接続点、S 下流側合流接続点、T1 第1温度、T2 第2温度、X 上流側開閉素子、Y 下流側開閉素子、Xa 上流側開閉素子、Xb 第2上流側開閉素子、Vbb 電源電圧、Vcc 制御電圧、Vbm 電源電圧監視信号の信号電圧、Vmn0 下流電流監視信号の信号電圧、Vmn1 上流負荷電圧監視信号の信号電圧、Vmnt 負荷電圧監視信号の信号電圧、V0 下流側電流制限抵抗の両端電圧、Vx 監視用接続点の対グランド電位
本発明に係る第一の車載電気負荷の給電制御装置は、第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置であって、前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じて変化する下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、前記第1電気負荷の正側端子の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、前記マイクロプロセッサは、前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御を実行し、前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号に設定した開路指令又は閉路指令の設定開閉パターンと、に基づいて、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行し、判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行し、前記第1電気負荷への給電が要求されていない場合に、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令に設定し、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令に設定した時の、前記負荷電圧監視信号の検出値が、前記車載バッテリの電源電圧に対応して予め設定された高電圧判定値以上である場合に、前記第1電気負荷の上流側回路が天絡する上流天絡異常及び前記第1電気負荷の負側配線が天絡する負線天絡異常を含む天絡異常が生じたと判定し、少なくとも前記下流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止し、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令に設定した時の、前記負荷電圧監視信号の検出値が、グランド電圧に対応して予め設定された低電圧判定値以下である場合に、前記第1電気負荷の正側配線が地絡する正線地絡異常及び前記第1電気負荷の下流側回路が地絡する下流地絡異常を含む地絡異常が生じたと判定し、少なくとも前記上流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止し、前記第1電気負荷への電力供給が要求されている場合であって、前記上流側指令信号又は前記下流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止していない場合は、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令に設定し、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令に設定した後、前記下流電流監視信号の検出値が、前記下流側電流制限抵抗に過電流が流れる場合の前記両端電圧に対応して予め設定された過電流判定値以上となった場合に、前記第1電気負荷の負荷短絡異常が生じたと判定し、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止し、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令に設定した後、前記下流電流監視信号の検出値が、前記下流側電流制限抵抗に正常電流が流れない場合の前記両端電圧に対応して予め設定された低電流判定値以下となった場合に、前記第1電気負荷の負荷断線異常又は前記第1電気負荷の負側配線が地絡する負線地絡異常が生じたと判定するものである。
また、本発明に係る第二の車載電気負荷の給電制御装置は、第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置であって、前記上流側開閉素子に直列接続された上流側電流制限抵抗と、前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じた下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、前記第1電気負荷の正側端子及び負側端子に接続され、当該正側端子の対グランド電位及び当該負側端子の対グランド電位に応動して対グランド電位が変化する監視用接続点を有し、当該監視用接続点の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、前記マイクロプロセッサは、前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御を実行し、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令にする上下流閉パターン、前記上流側指令信号を閉路指令にすると共に前記下流側指令信号を開路指令にする上流閉パターン、前記上流側指令信号を開路指令にすると共に前記下流側指令信号を閉路指令にする下流閉パターン、及び前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令にする上下流開パターンの4種類の開閉パターンのいずれかで検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行し、判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行し、前記第1電気負荷への給電が要求されていない場合に、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号に、前記上下流開パターン、前記上流閉パターン、及び前記下流閉パターンの3種類の開閉パターンを順番に設定して、前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号を検出し、前記3種類の開閉パターン毎に検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、回路の前記正常状態及び前記複数の特定異常状態のそれぞれについて、前記3種類の開閉パターン毎に予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定し、判定した異常種別に応じて前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する一次異常判定を実行し、前記第1電気負荷への給電が要求されており、前記一次異常判定により前記上流側指令信号又は前記下流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止していない場合に、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を前記上下流閉パターンに設定して、前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号を検出し、更に、前記上下流閉パターンで検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、回路の前記正常状態及び前記複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定し、判定した異常種別に応じて前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する二次異常判定を実行するものである。
また、本発明に係る第一の車載電気負荷の給電制御装置の制御方法は、第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置の制御方法であって、前記給電制御装置は、前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じて変化する下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、前記第1電気負荷の正側端子の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、前記マイクロプロセッサは、前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御ステップと、前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号に設定した開路指令又は閉路指令の設定開閉パターンとに基づいて、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定ステップと、判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御ステップと、を実行し、前記開閉制御ステップにおいて、前記第1電気負荷への給電が要求されていない場合に、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令に設定し、前記異常判定ステップにおいて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令に設定した時の、前記負荷電圧監視信号の検出値が、前記車載バッテリの電源電圧に対応して予め設定された高電圧判定値以上である場合に、前記第1電気負荷の上流側回路が天絡する上流天絡異常及び前記第1電気負荷の負側配線が天絡する負線天絡異常を含む天絡異常が生じたと判定し、少なくとも前記下流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止し、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令に設定した時の、前記負荷電圧監視信号の検出値が、グランド電圧に対応して予め設定された低電圧判定値以下である場合に、前記第1電気負荷の正側配線が地絡する正線地絡異常及び前記第1電気負荷の下流側回路が地絡する下流地絡異常を含む地絡異常が生じたと判定し、少なくとも前記上流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止し、前記開閉制御ステップにおいて、前記第1電気負荷への電力供給が要求されている場合であって、前記上流側指令信号又は前記下流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止していない場合は、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令に設定し、前記異常判定ステップにおいて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令に設定した後、前記下流電流監視信号の検出値が、前記下流側電流制限抵抗に過電流が流れる場合の前記両端電圧に対応して予め設定された過電流判定値以上となった場合に、前記第1電気負荷の負荷短絡異常が生じたと判定し、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止し、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令に設定した後、前記下流電流監視信号の検出値が、前記下流側電流制限抵抗に正常電流が流れない場合の前記両端電圧に対応して予め設定された低電流判定値以下となった場合に、前記第1電気負荷の負荷断線異常又は前記第1電気負荷の負側配線が地絡する負線地絡異常が生じたと判定するものである。
また、本発明に係る第二の車載電気負荷の給電制御装置の制御方法は、第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置の制御方法であって、前記給電制御装置は、前記上流側開閉素子に直列接続された上流側電流制限抵抗と、前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じた下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、前記第1電気負荷の正側端子及び負側端子に接続され、当該正側端子の対グランド電位及び当該負側端子の対グランド電位に応動して対グランド電位が変化する監視用接続点を有し、当該監視用接続点の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、前記マイクロプロセッサは、前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御ステップと、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令にする上下流閉パターン、前記上流側指令信号を閉路指令にすると共に前記下流側指令信号を開路指令にする上流閉パターン、前記上流側指令信号を開路指令にすると共に前記下流側指令信号を閉路指令にする下流閉パターン、及び前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令にする上下流開パターンの4種類の開閉パターンのいずれかで検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定ステップと、判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御ステップと、を実行し、前記開閉制御ステップにおいて、前記第1電気負荷への給電が要求されていない場合に、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号に、前記上下流開パターン、前記上流閉パターン、及び前記下流閉パターンの3種類の開閉パターンを順番に設定して、前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号を検出し、前記異常判定ステップにおいて、前記3種類の開閉パターン毎に検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、回路の前記正常状態及び前記複数の特定異常状態のそれぞれについて、前記3種類の開閉パターン毎に予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定し、判定した異常種別に応じて前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する一次異常判定を実行し、前記開閉制御ステップにおいて、前記第1電気負荷への給電が要求されており、前記一次異常判定により前記上流側指令信号又は前記下流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止していない場合に、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を前記上下流閉パターンに設定して、前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号を検出し、前記異常判定ステップにおいて、更に、前記上下流閉パターンで検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、回路の前記正常状態及び前記複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定し、判定した異常種別に応じて前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する二次異常判定を実行するものである。

Claims (22)

  1. 第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置であって、
    前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、
    前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じて変化する下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、
    前記第1電気負荷の正側端子の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、
    前記マイクロプロセッサは、前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御を実行し、
    前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号に設定した開路指令又は閉路指令の設定開閉パターンとに基づいて、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行し、
    判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行する車載電気負荷の給電制御装置。
  2. 前記負荷電圧監視回路は、前記車載バッテリの正極と前記第1電気負荷の正側端子との間に、前記上流側開閉素子に対して並列接続された上流分圧抵抗と、前記第1電気負荷の正側端子と前記車載バッテリの負極との間に直列接続された第1下流分圧抵抗及び第2下流分圧抵抗と、前記第1下流分圧抵抗と前記第2下流分圧抵抗との接続点の対グランド電位を前記負荷電圧監視信号として前記制御回路部に入力する電圧監視信号入力線と、を備え、
    前記下流電流監視回路は、前記下流側開閉素子と前記下流側電流制限抵抗との接続点と前記車載バッテリの負極との間に直列接続された第1電流監視分圧抵抗及び第2電流監視分圧抵抗と、第1電流監視分圧抵抗と第2電流監視分圧抵抗との接続点の対グランド電位を前記下流電流監視信号として前記制御回路部に入力する電流監視信号入力線と、を備えた請求項1に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  3. 前記マイクロプロセッサは、前記第1電気負荷への給電が要求されていない場合に、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令に設定し、
    前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令に設定した時の、前記負荷電圧監視信号の検出値が、前記車載バッテリの電源電圧に対応して予め設定された高電圧判定値以上である場合に、前記第1電気負荷の上流側回路が天絡する上流天絡異常及び前記第1電気負荷の負側配線が天絡する負線天絡異常を含む天絡異常が生じたと判定し、少なくとも前記下流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止し、
    前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令に設定した時の、前記負荷電圧監視信号の検出値が、グランド電圧に対応して予め設定された低電圧判定値以下である場合に、前記第1電気負荷の正側配線が地絡する正線地絡異常及び前記第1電気負荷の下流側回路が地絡する下流地絡異常を含む地絡異常が生じたと判定し、少なくとも前記上流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止し、
    前記第1電気負荷への電力供給が要求されている場合であって、前記上流側指令信号又は前記下流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止していない場合は、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令に設定し、
    前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令に設定した後、前記下流電流監視信号の検出値が、前記下流側電流制限抵抗に過電流が流れる場合の前記両端電圧に対応して予め設定された過電流判定値以上となった場合に、前記第1電気負荷の負荷短絡異常が生じたと判定し、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止し、
    前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令に設定した後、前記下流電流監視信号の検出値が、前記下流側電流制限抵抗に正常電流が流れない場合の前記両端電圧に対応して予め設定された低電流判定値以下となった場合に、前記第1電気負荷の負荷断線異常又は前記第1電気負荷の負側配線が地絡する負線地絡異常が生じたと判定する請求項1又は2に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  4. 前記マイクロプロセッサは、天絡異常が生じたと判定した後、予め設定されたモニタ期間だけ前記下流側指令信号を閉路指令に設定すると共に前記上流側指令信号を開路指令に設定し、モニタ期間で検出した前記下流電流監視信号の検出値が、過電流判定値以下である場合に、天絡異常が上流天絡異常であると判定し、前記下流側指令信号の閉路指令の設定禁止を解除し、
    前記マイクロプロセッサは、地絡異常が生じたと判定した後、予め設定されたモニタ期間だけ前記上流側指令信号を閉路指令に設定すると共に前記下流側指令信号を開路指令に設定し、モニタ期間で検出した前記下流電流監視信号の検出値が、低電流判定値以上である場合に、地絡異常が下流地絡異常であると判定し、前記上流側指令信号の閉路指令の設定禁止を解除する請求項3に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  5. 前記マイクロプロセッサは、天絡異常の検出により、前記下流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止している場合であっても、前記第1電気負荷への電力供給が要求されている場合は、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令に設定し、
    前記下流側指令信号を閉路指令に設定した後、前記下流電流監視信号の検出値が、過電流判定値以上になった場合には、天絡異常が負線天絡異常であると判定し、前記下流側指令信号を強制的に開路指令に設定する請求項3又は4に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  6. 前記第1電気負荷と前記下流側開閉素子との接続路中に直列接続され、電流の逆流を防止する第1逆流防止素子と、
    第2電気負荷の負側端子を、前記第1逆流防止素子と前記下流側開閉素子との接続路に接続する第2下流側接続路と、
    前記第2下流側接続路中に直列接続され、電流の逆流を防止する第2逆流防止素子と、
    前記第2電気負荷の正側端子と前記車載バッテリの正極とを接続する第2上流側接続路を開閉する第2上流側開閉素子と、を備え、
    前記マイクロプロセッサは、前記第1電気負荷へ電力を供給する場合は、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令にすると共に、前記第2上流側開閉素子を開閉させる第2上流側指令信号を開路指令として前記第2電気負荷に電力が供給されないようにし、前記第2電気負荷に電力を供給する場合は、前記第2上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令にすると共に、前記上流側指令信号を開路指令として前記第1電気負荷に電力が供給されないようにする請求項1から5のいずれか一項に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  7. 前記マイクロプロセッサは、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令に設定した時の、前記負荷電圧監視信号の検出値が、前記車載バッテリの電源電圧に対応して予め設定された高電圧判定値以上である場合に、前記第1電気負荷の上流側回路が天絡する上流天絡異常及び前記第1電気負荷の負側配線が天絡する負線天絡異常を含む天絡異常が生じたと判定し、前記下流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止すると共に、前記第2電気負荷に電力を供給できない状態であることを報知装置に報知させる報知信号を生成する請求項6に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  8. 前記第1電気負荷は、エンジンの始動用の電動機であるスタータへの電力供給路を開閉する開閉接点と当該開閉接点を開閉駆動する電磁コイルとを有する電動スタータリレーにおける電磁コイルであり、
    前記第2上流側開閉素子は、エンジンの冷却水及び車室空調用の冷媒を冷却する第1ファンモータへの電力供給路を開閉する開閉接点と当該開閉接点を開閉駆動する電磁コイルとを有する第1ファンリレーにおける電磁コイルへの電力供給路を開閉する開閉素子であり、
    前記第2電気負荷は、冷却水及び冷媒を冷却する第2ファンモータへの電力供給路を開閉する開閉接点と当該開閉接点を開閉駆動する電磁コイルとを有する第2ファンリレーにおける電磁コイルであり、前記第2電気負荷の正側端子は、前記第1ファンリレーの開閉接点を介して前記車載バッテリの正極に接続されており、
    前記第2上流側開閉素子は、前記第1ファンリレーの電磁コイルへの電力供給路を開閉することにより、前記第1ファンリレーの開閉接点を開閉させ、前記第2上流側接続路を開閉させる請求項6又は7に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  9. 前記マイクロプロセッサは、冷却水又は冷媒の温度が予め設定された第1温度以下である場合は、前記第2上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令にし、冷却水又は冷媒の温度が前記第1温度より大きく、且つ前記第1温度よりも高い温度に予め設定された第2温度未満である場合は、前記第2上流側指令信号を閉路指令にすると共に前記下流側指令信号を開路指令にし、冷却水又は冷媒の温度が前記第2温度以上であって、前記下流側指令信号の閉路指令の設定を禁止していない場合は、前記第2上流側指令信号及びに前記下流側指令信号を閉路指令にし、冷却水又は冷媒の温度が前記第2温度以上であって、前記下流側指令信号の閉路指令の設定を禁止している場合は、前記第2上流側指令信号を閉路指令にすると共に前記下流側指令信号を強制的に開路指令にし、エンジンが有する複数の燃焼室に対して順番に行う燃料噴射を間欠停止してエンジンの出力を抑制する請求項8に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  10. 第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置であって、
    前記上流側開閉素子に直列接続された上流側電流制限抵抗と、
    前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、
    前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じた下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、
    前記第1電気負荷の正側端子及び負側端子、又は前記第1電気負荷の正側端子に接続され、当該正側端子の対グランド電位及び当該負側端子の対グランド電位、又は当該正側端子の対グランド電位に応動して対グランド電位が変化する監視用接続点を有し、当該監視用接続点の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、
    前記マイクロプロセッサは、前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御を実行し、
    前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令にする上下流閉パターン、前記上流側指令信号を閉路指令にすると共に前記下流側指令信号を開路指令にする上流閉パターン、前記上流側指令信号を開路指令にすると共に前記下流側指令信号を閉路指令にする下流閉パターン、及び前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令にする上下流開パターンの4種類の開閉パターンのいずれかで検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行し、
    判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行する車載電気負荷の給電制御装置。
  11. 前記負荷電圧監視回路は、前記車載バッテリの正極と負極との間に正極側から順番に直列接続された上流分圧抵抗、第1下流分圧抵抗、及び第2下流分圧抵抗と、前記上流分圧抵抗と前記第1下流分圧抵抗との間の接続点である前記監視用接続点を前記第1電気負荷の正側端子に接続する上流側監視接続路と、前記上流側監視接続路中に直列接続された上流側並列抵抗と、前記監視用接続点を前記第1電気負荷の負側端子に接続する下流側監視接続路と、前記下流側監視接続路中に直列接続された下流側並列抵抗と、前記第1下流分圧抵抗と前記第2下流分圧抵抗との接続点の対グランド電位を前記負荷電圧監視信号として前記制御回路部に入力する負荷電圧監視信号入力線と、を備え、
    前記下流電流監視回路は、前記下流側開閉素子と前記下流側電流制限抵抗との接続点と前記車載バッテリの負極との間に直列接続された第1電流監視分圧抵抗及び第2電流監視分圧抵抗と、第1電流監視分圧抵抗と第2電流監視分圧抵抗との接続点の対グランド電位を前記下流電流監視信号として前記制御回路部に入力する電流監視信号入力線と、を備えている請求項10に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  12. 前記マイクロプロセッサは、前記4種類の開閉パターンの複数において検出した前記負荷電圧監視信号の検出値と、前記正常状態及び前記複数の特定異常状態のそれぞれについて、前記4種類の開閉パターンの複数において予め設定された前記負荷電圧監視信号の予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する請求項10又は11に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  13. 前記複数の特定異常状態には、前記第1電気負荷の負側配線が前記車載バッテリの正極配線と混触する負線天絡異常、前記第1電気負荷の正側配線が前記車載バッテリの負極配線と混触する正線地絡異常、前記第1電気負荷が内部短絡する又は前記第1電気負荷の正側配線と負側配線とが混触する負荷短絡異常、前記上流側開閉素子の内部短絡異常又は前記第1電気負荷の正側配線が前記車載バッテリの正極配線と混触する正線天絡異常の上流天絡異常、前記第1電気負荷の負側配線が前記車載バッテリの負極配線に混触する負線地絡異常、負荷断線異常、前記上流側開閉素子の断線異常、前記下流側開閉素子の断線異常、及び前記下流側開閉素子の内部短絡異常の全部又は一部が含まれ、
    前記負線天絡異常、前記正線地絡異常、又は前記負荷短絡異常が生じると、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定した場合に、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の一方又は双方を流れる電流が定格電流よりも過大になる過電流異常が生じる状態となり、
    前記上流天絡異常、前記負線地絡異常、前記負荷断線異常、前記上流側開閉素子の断線異常、前記下流側開閉素子の断線異常、又は前記下流側開閉素子の内部短絡異常が生じると、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号により前記第1電気負荷に予定された給電を行えない不適正通電状態となる請求項10から12のいずれか一項に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  14. 前記複数の特定異常状態には、回路の2個所で同時に異常が発生する二重異常であって、正線天絡異常又は前記上流側開閉素子の内部短絡異常と、負線地絡異常又は前記下流側開閉素子の内部短絡異常とが同時に発生する上下流通電二重異常が含まれ、
    前記マイクロプロセッサは、前記上下流通電二重異常が発生したと判定した場合には、前記第1電気負荷への給電を遮断できない状態であることを報知装置に報知させる報知信号を生成する請求項10から13のいずれか一項に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  15. 前記マイクロプロセッサは、前記第1電気負荷への給電が要求されていない場合に、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号に、前記上下流開パターン、前記上流閉パターン、及び前記下流閉パターンの3種類の開閉パターンを順番に設定して、前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号を検出し、
    前記3種類の開閉パターン毎に検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、回路の前記正常状態及び前記複数の特定異常状態のそれぞれについて、前記3種類の開閉パターン毎に予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定し、判定した異常種別に応じて前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する一次異常判定を実行し、
    前記第1電気負荷への給電が要求されており、前記一次異常判定により前記上流側指令信号又は前記下流側指令信号を閉路指令に設定することを禁止していない場合に、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を前記上下流閉パターンに設定して、前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号を検出し、
    更に、前記上下流閉パターンで検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、回路の前記正常状態及び前記複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定し、判定した異常種別に応じて前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止する二次異常判定を実行する請求項10から14のいずれか一項に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  16. 前記マイクロプロセッサは、前記一次異常判定において、前記3種類の開閉パターンにおいて検出した前記負荷電圧監視信号の検出値の一次結合データと、予め設定された回路の前記正常状態及び前記複数の特定異常状態のそれぞれについて、前記3種類の開閉パターン毎に予め設定された前記負荷電圧監視信号の予測値の一次結合データと、を対比して、異常発生の有無と、発生した異常種別とを判定し、
    前記二次異常判定において、前記4種類の開閉パターンにおいて検出した前記負荷電圧監視信号の検出値の一次結合データと、予め設定された回路の前記正常状態及び前記複数の特定異常状態のそれぞれについて、前記4種類の開閉パターン毎に予め設定された前記負荷電圧監視信号の予測値の一次結合データとを対比する、又は一次結合データだけでは区別できない特定の異常の種別について前記上下流閉パターンで検出した前記負荷電圧監視信号の検出値と予測値とを対比することにより、異常発生の有無と、発生した異常種別とを判定し、
    前記一次結合データは、複数の検出値又は予測値を積算した値、又は複数の検出値又は予測値のそれぞれに予め設定された係数を乗算した値を積算した値である請求項15に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  17. 前記車載バッテリの電源電圧から予め定められた電圧レベルの安定化電圧である制御電圧を生成する電源ユニットと、
    前記車載バッテリの前記電源電圧に応じて変化する電源電圧監視信号を前記制御回路部に入力する電源電圧監視回路と、を備え、
    前記制御回路部は、入力された信号の信号電圧をデジタル変換して前記マイクロプロセッサに入力する多チャンネルAD変換器を備え、前記多チャンネルAD変換器の基準電圧は、前記制御電圧とされ、
    前記負荷電圧監視信号の信号電圧は、前記監視用接続点の対グランド電位が前記第1下流分圧抵抗と前記第2下流分圧抵抗とによって分圧された電圧であり、前記第1下流分圧抵抗の抵抗値をR414aとし、前記第2下流分圧抵抗の抵抗値をR414bとすると、前記第1下流分圧抵抗及び前記第2下流分圧抵抗の分圧率Gtは、Gt=R414a/(R414a+R414b)となり、前記監視用接続点の対グランド電位をVxとすると、前記負荷電圧監視信号の信号電圧Vmntは、Vmnt=Gt×Vxとなり、
    前記電源電圧監視信号の信号電圧は、前記電源電圧が、前記分圧率Gtと同じ分圧率となる第1基準分圧抵抗と第2基準分圧抵抗とによって分圧された電圧であり、前記車載バッテリの電源電圧をVbbとすると、前記電源電圧監視信号の信号電圧Vbmは、Vbm=Gt×Vbbとなり、
    前記マイクロプロセッサは、前記負荷電圧監視信号の検出値及び予測値として、前記電源電圧監視信号の信号電圧に対する前記負荷電圧監視信号の信号電圧の比である電圧比率を用いる請求項11に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  18. 前記第1電気負荷と前記下流側開閉素子との接続路中に直列接続され、電流の逆流を防止する第1逆流防止素子と、第2電気負荷の負側端子を、前記第1逆流防止素子と前記下流側開閉素子との接続路に接続する第2下流側接続路と、前記第2下流側接続路中に直列接続され、電流の逆流を防止する第2逆流防止素子と、前記第2電気負荷の正側端子と前記車載バッテリの正極とを接続する第2上流側接続路中に直列接続されて当該第2上流側接続路を開閉する第2上流側開閉素子と、前記第2上流側開閉素子に直列接続された第2上流側電流制限抵抗と、を備え、
    前記監視用接続点は、前記第1電気負荷の正側端子、前記第2電気負荷の正側端子、及び前記第1電気負荷の負側端子と前記第2電気負荷の負側端子との接続点である下流側合流接続点に接続され、前記監視用接続点の対グランド電位は、前記第1電気負荷の正側端子の対グランド電位、前記第2電気負荷の正側端子の対グランド電位、及び前記下流側合流接続点の対グランド電位に応動して変化し、
    前記マイクロプロセッサは、前記第1電気負荷へ電力を供給する場合は、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令にすると共に、前記第2上流側開閉素子を開閉させる第2上流側指令信号を開路指令として前記第2電気負荷に電力が供給されないようにし、前記第2電気負荷に電力を供給する場合は、前記第2上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令にすると共に、前記上流側指令信号を開路指令として前記第1電気負荷に電力が供給されないようにし、
    前記第2上流側指令信号及び前記下流側指令信号に係る前記4種類の開閉パターンのいずれかで検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記第2電気負荷及び前記第2電気負荷に電力を供給する回路の前記正常状態及び前記複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定を実行し、
    判定した異常の種別に応じて、前記第2上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御を実行する請求項10から17のいずれか一項に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  19. 前記負荷電圧監視回路は、前記車載バッテリの正極と負極との間に前記車載バッテリの正極側から順番に直列接続された上流分圧抵抗、第1下流分圧抵抗、及び第2下流分圧抵抗と、前記上流分圧抵抗と前記第1下流分圧抵抗との間の接続点である前記監視用接続点を前記第1電気負荷の正側端子に接続する上流側監視接続路と、前記上流側監視接続路中に直列接続された上流側並列抵抗と、前記監視用接続点を前記第2電気負荷の正側端子に接続する第2上流側監視接続路と、前記第2上流側監視接続路中に直列接続された第2上流側並列抵抗と、前記監視用接続点を前記下流側合流接続点に接続する下流側監視接続路と、前記下流側監視接続路中に直列接続された下流側並列抵抗と、前記第1下流分圧抵抗と前記第2下流分圧抵抗との接続点の対グランド電位を前記負荷電圧監視信号として前記制御回路部に入力する負荷電圧監視信号入力線と、を備えている請求項18に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  20. 前記第1電気負荷は、方向指示器の左折ランプであり、
    前記第2電気負荷は、方向指示器の右折ランプであり、
    前記マイクロプロセッサは、左折信号を発生させる場合は、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を断続的に閉路指令にすると共に、前記第2上流側指令信号を開路指令にし、右折信号を発生させる場合は、前記第2上流側指令信号及び前記下流側指令信号を断続的に閉路指令にすると共に、前記上流側指令信号を開路指令にし、ハザード信号を発生させる場合は、前記下流側指令信号を閉路指令にし、前記上流側指令信号及び前記第2上流側指令信号を交互に閉路指令にする請求項18又は19に記載の車載電気負荷の給電制御装置。
  21. 第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置の制御方法であって、
    前記給電制御装置は、
    前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、
    前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じて変化する下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、
    前記第1電気負荷の正側端子の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、
    前記マイクロプロセッサは、
    前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御ステップと、
    前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号に設定した開路指令又は閉路指令の設定開閉パターンとに基づいて、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定ステップと、
    判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御ステップと、を実行する車載電気負荷の給電制御装置の制御方法。
  22. 第1電気負荷の正側端子と車載バッテリの正極とを接続する上流側接続路中に直列接続されて当該上流側接続路を開閉する上流側開閉素子と、前記第1電気負荷の負側端子と前記車載バッテリの負極とを接続する下流側接続路中に直列接続されて当該下流側接続路を開閉する下流側開閉素子と、前記上流側開閉素子及び前記下流側開閉素子の開閉状態を制御するマイクロプロセッサを有する制御回路部と、を備えた車載電気負荷の給電制御装置の制御方法であって、
    前記給電制御装置は、
    前記上流側開閉素子に直列接続された上流側電流制限抵抗と、
    前記下流側開閉素子に直列接続された下流側電流制限抵抗と、
    前記下流側電流制限抵抗の両端電圧に応じた下流電流監視信号を前記制御回路部に入力する下流電流監視回路と、
    前記第1電気負荷の正側端子及び負側端子、又は前記第1電気負荷の正側端子に接続され、当該正側端子の対グランド電位及び当該負側端子の対グランド電位、又は当該正側端子の対グランド電位に応動して対グランド電位が変化する監視用接続点を有し、当該監視用接続点の対グランド電位に応じて変化する負荷電圧監視信号を前記制御回路部に入力する負荷電圧監視回路と、を備え、
    前記マイクロプロセッサは、
    前記上流側開閉素子を開閉させる上流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定すると共に、前記下流側開閉素子を開閉させる下流側指令信号を開路指令又は閉路指令に設定する開閉制御ステップと、
    前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を閉路指令にする上下流閉パターン、前記上流側指令信号を閉路指令にすると共に前記下流側指令信号を開路指令にする上流閉パターン、前記上流側指令信号を開路指令にすると共に前記下流側指令信号を閉路指令にする下流閉パターン、及び前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号を開路指令にする上下流開パターンの4種類の開閉パターンのいずれかで検出した前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の検出値と、前記第1電気負荷及び前記第1電気負荷に電力を供給する回路の正常状態及び複数の特定異常状態のそれぞれについて予め設定された前記下流電流監視信号及び前記負荷電圧監視信号の一方又は双方の予測値と、を対比して、回路の異常発生の有無と、発生した異常の種別とを判定する異常判定ステップと、
    判定した異常の種別に応じて、前記上流側指令信号及び前記下流側指令信号の一方又は双方を閉路指令に設定することを禁止するフェール制御ステップと、を実行する車載電気負荷の給電制御装置の制御方法。
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